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JP2005261867A - 管状の人工器官 - Google Patents

管状の人工器官 Download PDF

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JP2005261867A
JP2005261867A JP2004106634A JP2004106634A JP2005261867A JP 2005261867 A JP2005261867 A JP 2005261867A JP 2004106634 A JP2004106634 A JP 2004106634A JP 2004106634 A JP2004106634 A JP 2004106634A JP 2005261867 A JP2005261867 A JP 2005261867A
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tubular
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JP2004106634A
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Kunio Kuwabara
邦生 桑原
Hideki Furuya
英樹 古屋
Chikara Kotani
主税 小谷
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Ube Corp
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Ube Industries Ltd
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Abstract

【課題】 本発明は、管の厚みを厚くし有孔度を下げても、取扱い性に優れ、器質化が良好で、液漏れの起こりにくい、耐久性に優れた人口血管などの利用可能な、ポリエステル樹脂などの非伸縮性の樹脂繊維の編織物の管状の人工器官の提供を目的とした。
【解決手段】 本発明は、外層及び内層を有するの2層構造の管状の人工器官であり、
(a)内層にA層を、外層にB層とした2層構造、又は(b)内層にB層を、外層にA層とした2層構造、或いは(c)外層及び内層をC層とした2層構造であり、
A層、B層及びC層は、合成樹脂繊維の編み及び/又は織りによる管状の繊維構造体であり、
・A層の有孔度及び厚みはB層の有孔度及び厚みより大きいこと、
・C層の有孔度及び厚みが特定範囲であることを特徴とする人工器官を提供することである。
【選択図】 図1

Description

本発明は、人工血管などの管状の人工器官に関し、取扱性及び治癒性に優れ、特に柔軟で生体血管などの生体器官とのアタッチメント及び縫合性がよく、鉗子による遮断が容易な二重管構造の人工器官に関するものである。
二重管構造の人工血管として、特許文献1には、非伸縮性を有する繊維を編み物、織り物または不織布とした繊維構造体からなる伸展性および多孔性を有するA層と、伸縮性および多孔性を有する材料より形成されたB層とを具備する管状体であって、前記A層とB層とを、当該管状体壁の外側から内側まで連通した孔を有するように配置したことを特徴とする人工血管用管状体が開示されている。
特許文献2には、人工血管主管に1本以上の側管を縫合により派生してなる分岐人工血管であって、人工血管主管、1本以上の側管及び補強管が熱可塑性樹脂繊維の織編物のチューブであり、人工血管主管の側管との縫合部分が人工血管主管に補強管を重ね合わせた2重構造であることを特徴とする分岐人工血管が開示されている。
特許文献3には、PTFE多孔質チューブの有する表面特性、生体適合性、易屈曲性を損なうことなく、針穿刺時における穿刺孔の閉塞性に優れた人工血管を提供することを本発明の目的として、管壁が2層以上の四弗化エチレン樹脂多孔質体層から構成された多層構造を有し、かつ、該多孔質体層の内の少なくとも2層間の界面において非接着部分を有することを特徴とする人工血管が開示されている。
特開平4−146745号公報 特開2002−017758公報 特開平6−343688号公報
編織物の人工血管などの管状の人工器官では、管の厚みが小さいと、生体血管とのアタッチメントが悪く、鉗子による血液などの液の流通の遮断が困難になるなど取扱い性に劣ることが考えられる。また、縫合後の針孔からの液漏れも起こりやすくなる。管の厚みを小さく抑えたまま、有孔度(透水性)を上げることにより柔軟性や器質化を図ろうとすれば、管の強度が低下し長期埋植の耐久性が劣ること、液漏れがし易く、術中操作による大量出血を引く起こしやすく、埋植後のセローマの原因となることが考えられる。
一方、管の厚みを厚くし有孔度を下げると、管が硬くなり柔軟性が欠くものになる。
また、管の厚みを厚くし有孔度を上げると、取扱い性や器質化は向上するが、液漏れしやすく、強度が劣るものになり、術前に管の前処理(プレクロッティング)を要することになり、術中において液漏れに注意を要することが考えられる。
本発明は、管の厚みを厚くし有孔度を下げても、取扱い性に優れ、器質化が良好で、液漏れの起こりにくい、耐久性に優れた人口血管などの利用可能な、ポリエステル樹脂などの非伸縮性の樹脂繊維の編織物の管状の人工器官の提供を目的とした。
本発明は、非伸縮性のポリエステル樹脂の繊維からなる管状物を用い、層構成の検討、管の有孔度及び厚みの検討、さらに加工繊維の検討、コーティングの検討を行うことにより完成させたものである。
本発明の第一は、外層及び内層を有するの2層構造の管状の人工器官Xであり、
(a)内層にA層を、外層にB層とした2層構造、又は(b)内層にB層を、外層にA層とした2層構造であり、
A層及びB層は、合成樹脂繊維の編み及び/又は織りによる管状の繊維構造体であり、
A層の有孔度及び厚みはB層の有孔度及び厚みより大きいことを特徴とする人工器官を提供することである。
本発明の人工器官Xの好ましい態様をしめす。
本発明の人工器官Xは、(1)内層の内径が4mm以上から8mm未満の場合は、内層にA層を、外層にB層とした2層構造(a)とし、
(2)内層の内径が8mm以上の場合は、内層にA層を、外層にB層とした2層構造(a)、又は内層にB層を、外層にA層とした2層構造(b)とすることが好ましい。
本発明の人工器官Xは、(1)内層の内径が4mm以上から8mm未満の場合は、内層にA層を、外層にB層とした2層構造(a)とし、
(2)内層の内径が8mm以上の場合は、内層にB層を、外層にA層とした2層構造(b)とすることが特に好ましい。
本発明の人工器官Xは、A層とB層の有孔度の差が、20〜6000ml/(cm・min)であることが好ましい。
本発明の人工器官Xは、A層とB層の厚みの差が、20〜500μmであることが好ましい。
本発明の人工器官Xは、A層の合成樹脂繊維の一部又は全部が、捲縮加工した繊維であることが好ましい。
本発明の人工器官Xは、A層及びB層の一部が結合及び/又は交絡されていることが好ましい。
本発明の人工器官Xは、外層がゼラチンでコーティングされていることが好ましい。
本発明の第二は、外層及び内層がC層である2層構造の管状の人工器官Yであり、
C層は合成樹脂繊維の編み及び/又は織りによる管状の繊維構造体であり、
C層の有孔度が150ml/(cm・min)以下で、厚みが50〜200μmであることを特徴とする人工器官を提供することである。
本発明の人工器官Yの好ましい態様をしめす。
本発明の人工器官Yは、C層の合成樹脂繊維の一部又は全部が、捲縮加工した繊維であることが好ましい。
本発明の人工器官Yは、外層及び内層のC層間の一部が結合及び/又は交絡されていることが好ましい。
本発明の人工器官Yは、外層がゼラチンでコーティングされていることが好ましい。
本発明の人工器官X及び人工器官Yは、管の厚みを厚くし有孔度を多少下げても、取扱い性に優れ、器質化が良好で、液漏れの起こりにくい、耐久性に優れた人口血管などの利用可能な管状の人工器官である。
本発明の人工器官Xは、
(1)有孔度及び厚みが大きいA層は、伸び、柔軟性、及び器質化に優れ、
(2)有孔度及び厚みが小さいB層は、強度に優れ、径方向及び軸方向へ伸びにくい性質を持たせているため形状の保持に優れ、止血性及び抗血栓性に優れ、これらのA層及びB層を、外層及び内層に用いることにより、各層の欠点を補完しあうことができ、各層の優れた特性を併せ持つ人工器官を提供することができる。
本発明の人工器官Xは、これらの2層を組み合わせた二重管構造を取ることにより、縫合性に優れ縫合時の針孔が閉じやすくなり、生体血管とのアタッチメントが良く、柔軟性にとみ鉗子操作が容易になる人工器官を提供することができる。
本発明の人工器官Yでは、C層は有孔度及び厚みが小さく、強度に優れ、径方向及び軸方向へ伸びにくい性質を持たせているため形状の保持に優れ、止血性及び抗血栓性に優れている層である。
そのため本発明の人工器官YはC層を二重に重ねた人工器官であり、有孔度の低減が大きく、臨床的に漏血が少なく、安全性が向上する。また、厚みの薄いものを2枚重ねているため、必要以上に硬くならず、針通り、鉗子操作、柔軟性に優れ、取り扱い性の優れたものである。
本発明の人工器官X及び人工器官Yは、外層のみにゼラチンをコーティングすることにより、人工器官全体に対するゼラチンのコーティング量を削減することができ、ゼラチン由来の発熱を軽減することができるため、安全性が向上する。
以下に、本発明の実施の形態を図面により詳細に説明する。ただし、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではない。
本発明では、以下に説明する図は、本発明の一例であり、図面に記載の形状に限定されず、以下に記載の図と以下に記載の内容とを組み合わせることができる。
本発明の人工器官Xについて以下に説明する。
本発明の人工器官Xは、
(1)有孔度及び厚みの大きいA層は、伸び、柔軟性、及び器質化に優れ、
(2)有孔度及び厚みの小さいB層は、強度に優れ、径方向及び軸方向へ伸びにくい性質を持たせているため形状の保持に優れ、止血性及び抗血栓性に優れ、これらのA層及びB層を、外層及び内層に用いることにより、各層の欠点を補完しあうことができ、各層の優れた特性を併せ持つ人工器官を提供することができる。
本発明の人工器官Xは、これらの2層を組み合わせた二重管構造を取ることにより、縫合性に優れ縫合時の針孔が閉じやすくなり、生体血管とのアタッチメントが良く、柔軟性にとみ鉗子操作が容易になる人工器官を提供することができる。
合成樹脂繊維の編織り構造では、径方向の伸びが大きいと、破裂や瘤形成を引き起こす原因となり、さらに縫合した管では両端で引っ張る力が働くため縫合部の裂けや破壊を起こす可能性が考えられる。また、長軸方向の伸びが大きいと、埋植した管がキンクを引き起こし閉塞を誘発する可能性が考えられる。
本発明の人工器官Xは、径方向及び軸方向へ伸びにくい性質を持たせているため形状の保持に優れているため、上記のような径方向への伸びによる問題点、及び軸方向への伸びによる問題点を抑制された人工器官を提供することができる。
本発明の人工器官X及び人工器官Yの一例を図1に示す。人工器官1は、外層2と内層3の2層構造である。外層2は、ゼラチンでコーティングされている。
本発明の人工器官X及び人工器官Yの別一例を図2に示す。人工器官4は、主管5と側管8を有する側管付きの人工器官であり、主管5は外層6と内層7の2層構造であり、側管8は外層9と内層10の2層構造であり、管全体が2層構造になっている。外層6及び外層9は、ゼラチンでコーティングされている。
本発明の人工器官Xの、内層にA層を、外層にB層とする二重管構造の人工器官の断面の模式図を図3〜図5に示す。
図3の人工器官11は、内層12及び外層13の2層構造であり、内層と外層とは分離可能である。
図4及び図5の人工器官21,31は、内層と外層とが部分的に結合されている。人工器官21では、内層と外層とが部分的に二重織り構造になり、その部分で結合されている(24など)。人工器官31は、内層と外層とが部分的に接着、融着などの方法により、結合されている(34など)。
本発明の人工器官Xの、内層にB層を、外層にA層とする二重管構造の人工器官の断面の模式図を図6〜図8に示す。
図6の人工器官41は、内層42及び外層43の2層構造であり、内層と外層とは分離可能である。
図7及び図8の人工器官51,61は、内層と外層とが部分的に結合されている。人工器官51では、内層と外層とが部分的に二重織り構造になり、結合されている(54など)。人工器官61は、内層と外層とが部分的に接着、融着などの方法により、結合されている(64など)。
内層と外層との部分的な結合とは、織る、編む、組む、縫う及び/又は交絡などの繊維による結合、接着による結合、融着による結合などの公知の方法を用いて、又はこれらを複数組み合わせて行うことができる。
内層と外層とを部分的に結合させることで、切断時のほつれ防止に優れるために好ましい。
図1〜図8に示す人工器官において、外層はゼラチンでコーティングされている。
図1〜図8において、A層及びB層は、合成樹脂繊維の編み及び/又は織りによる管状の繊維構造体である。
本発明の人工器官Xにおいて、
(1)内層の内径が4mm以上から8mm未満の場合は、内層にA層を、外層にB層とした2層構造(a)とすることにより、内面の治癒を促進させる効果が優れると考えられ、
(2)内層の内径が8mm以上の場合は、内層にA層を、外層にB層とした2層構造(a)、又は内層にB層を、外層にA層とした2層構造(b)とすることにより、取扱性の効果が優れると考えられ、
特に(2)内層の内径が8mm以上の場合は、内層にB層を、外層にA層とした2層構造(b)とすることにより、外組織との固定を早め安定させる効果が優れると考えられる。
A層及びB層の合成樹脂繊維は、捲縮加工している繊維、捲縮加工していない繊維を用いることが出来、組み合わせとしては、A層及びB層共に捲縮加工した繊維を一部又は全部を用いる場合、A層のみ捲縮加工した繊維を一部又は全部を用いる場合、B層のみ捲縮加工した繊維を一部又は全部を用いる場合を挙げることが出来る。
A層及びB層の少なくとも1層に捲縮加工した繊維を用いることにより、両層が部分的に交絡しやすくなるために、層のずれや層間の隙間が開きにくくなる。
特にA層の繊維の一部又は全部が捲縮加工した繊維を用いることにより、A層を外層に用いると風合い、治癒促進、取扱い性向上に優れ、A層を内層に用いると、治癒促進に優れることが考えられ好ましい。
繊維の捲縮加工は、公知の方法で行うことが出来る。
A層又はB層、或いはA層及びB層の2層構造の管は、水や空気などを用いて、A層の繊維間、B層の繊維間、又はA層及びB層間を部分的或いは全体的に交絡させたものを用いることができる。
A層とB層の一部が結合されているものを用いることが出来る。
A層とB層の有孔度の差は、好ましくは20〜6000ml/(cm・min)、さらに好ましくは80〜5000ml/(cm・min)、より好ましくは100〜4500ml/(cm・min)、特に好ましくは150〜4000ml/(cm・min)での範囲であることが、治癒促進と取扱い性に優れるために好ましい。
A層とB層の厚みの差は、好ましくは20〜500μm、さらに好ましくは80〜450μm、より好ましくは100〜420μm、特に好ましくは150〜400μmであることが、取扱い性に優れるために好ましい。
本発明の人工器官Xの厚みは、実用上問題なければ特に制限はないが、A層は好ましくは70〜800μm、さらに好ましくは100μm〜750μm、より好ましくは150μm〜700μm、特に好ましくは200μm〜600μmを用いることができる。B層は好ましくは50〜300μm、さらに好ましくは50μm〜200μm、特に好ましくは50μm〜180μmを用いることができる。
本発明の人工器官Xの有孔度は、実用上問題なければ特に制限はないが、A層は25〜6500ml/(cm2・min)以下、さらに100〜6000ml/(cm・min)、さらに200〜5000ml/(cm2・min)が好ましい。B層は5〜500ml/(cm2・min)以下、さらに5〜400ml/(cm・min)、さらに5〜300ml/(cm2・min)が好ましい。
本発明の人工器官Yは、外層及び内層がC層の2層構造の管状の人工器官であり、人工器官Yの一例を図9に示す。人工器官101は、外層102と内層103の2層構造である。外層102は、ゼラチンでコーティングされている。図9において、C層は、合成樹脂繊維の編み及び/又は織りによる管状の繊維構造体である。
本発明の人工器官Yについて以下に説明する。
本発明の人工器官Yは、外層及び内層がC層である2層構造の管状の人工器官であり、
C層は合成樹脂繊維の編み及び/又は織りによる管状の繊維構造体であり、
C層の有孔度は150ml/(cm・min)以下、好ましくは130ml/(cm・min)以下、さらに好ましくは100ml/(cm・min)以下、特に好ましくは80ml/(cm・min)以下であり、厚みが50〜200μm、好ましくは80〜200μm、さらに好ましくは100〜180μm、特に好ましくは120〜180μmであることを特徴とする人工器官である。
本発明の人工器官Yでは、C層は有孔度及び厚みが小さく、強度に優れ、径方向及び軸方向へ伸びにくい性質を持たせているため形状の保持に優れ、止血性及び抗血栓性に優れている。そのためC層を二重に重ねた人工器官Yは、有孔度の低減が大きく、臨床的に漏血が少なく、安全性が向上する。また、厚みの薄いものを2枚重ねているため、必要以上に硬くならず、針通り、鉗子操作、柔軟性に優れ、取り扱い性の優れたものである。
本発明の人工器官Yの外層は、ゼラチンでコーティングされていることが好ましい。
C層の合成樹脂繊維は、捲縮加工している繊維、捲縮加工していない繊維を用いることが出来る。
外層及び内層に用いるC層の少なくとも一方の層に捲縮加工した繊維を用いることにより、両層が部分的に交絡しやすくなるために、層のずれや層間の隙間が開きにくくなる。
特に外層に繊維の一部又は全部が捲縮加工した繊維を用いることにより、治癒促進、取扱い性向上に優れると考えられ好ましい。
繊維の捲縮加工は、公知の方法で行うことが出来る。
外層のC層及び内層のC層の一部が結合されているものを用いることが出来る。
A層、B層及びC層は、
合成樹脂繊維の編み及び/又は織りによる管状の繊維構造体であり、
編物、織物及び組物など、或いはこれらを組み合わせた物を用いることが出来、綾織、平織又はニット織物を用いることが出来、ベロア構造や組織りを部分的に有してもよい。
A層、B層及びC層は、クリンプ加工されていないもの、または、クリンプ加工されていない部分とクリンプ加工されていない部分間にクリンプ加工された部分を有したもの、さらに端部がクリンプ加工されていない部分であるもの(端部を除いてクリンプ加工していない部分を有していてもよい)などを好ましく用いることができる。
A層及びB層は、共に同様な形状にクリンプ可能しているもの、共に同様な状態にクリンプ可能しているもの、共にクリンプ加工されていないものなどを用いることができる。
クリンプ加工としては、熱可塑性樹脂繊維の平織などの織編物のチューブの表面を凹凸状に加工する方法を用いることができる。例えば、米国特許第3337673号明細書に記載の方法、すなわち、丸棒表面に、熱可塑性樹脂繊維の平織したチューブを嵌め込み、チューブの上から糸を等間隔に螺旋状に巻き付け、そのままチューブを軸方向に圧縮して縮めることにより襞を形成し、加熱して熱セットする方法。特開平1−155860号明細書に記載の方法、すなわち、熱可塑性樹脂繊維の平織したチューブを、表面を充分に研磨したネジ棒に嵌め込み、ネジ溝に沿って適宜の糸を巻き付け、そのままの状態で加熱処理して熱セットする方法などを好ましく用いることができる。
A層、B層及びC層を構成する合成樹脂繊維に用いる合成樹脂としては、熱可塑性合成樹脂を用いることが出来、ポリエチレン,ポリプロピレン,エチレン−α−オレフィン共重合体などのポリオレフィン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート,ポリシクロヘキサンテレフタレート,ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどのポリエステル、4フッ化エチレン(PTFEなど)やETFEなどのフッ素化ポリオレフィンなどのフッ素樹脂などを挙げることができる。さらに好ましくは、化学的に安定で耐久性が大きく、組織反応の少ない、PTFEやETFEなどのフッ素樹脂、化学的に安定で耐久性が大きく、組織反応の少ない、引張り強度等機械的物性の優れたポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルが好ましい。特に好ましくは、体温によりポリエステル樹脂の強度が低下する場合が考えられるため、ガラス転移温度60℃以上のポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルが好ましい。
合成樹脂繊維に用いる合成樹脂は、非伸縮性であり、大きな弾性を有しない特徴の樹脂を用いることが出来る。
合成樹脂繊維としては、紡糸可能な円形、楕円、U型、中空状、リボン状、断面が円形や楕円形ではない異径などの形状で、紡糸可能な太さの糸を用いることができ、好ましくは0.01〜5デニール、さらに好ましくは0.1〜3デニール、より好ましくは0.2〜2デニール、特に好ましくは0.3〜1デニールのモノフィラメントを複数本、好ましくは数〜数百本、さらに好ましくは10〜700本、特に好ましくは10〜100本を撚った糸や束ねた糸を用いることが出来る。
本発明の人工器官X、人工器官Y、各層(A層、B層、C層)、合成樹脂繊維、合成樹脂などは、ヘパリン、コラーゲン、ゼラチンなどの生体由来成分で被覆処理をされていないもの、ヘパリン、コラーゲン、アセチルサリチル酸、ゼラチンなどの抗血栓性材料で被覆処理されたものなどを用いることが出来る。
本発明の人工器官X及び人工器官Yの引張り強度は、実用上問題なければ特に制限はないが、好ましくは5Kg以上、さらに好ましくは7Kg〜30Kg、特に好ましくは8Kg〜25Kgの範囲の物を用いることができる。
本発明の人工器官X及び人工器官Yの外径は、実用上問題なければ特に制限はないが、4mm以上、好ましくは4.5mm以上、さらに好ましくは5mm以上、特に好ましくは6mm以上から60mm以下、好ましくは55mm以下、さらに好ましくは50mm以下、特に好ましくは45mm以下の範囲の物を用いることが出来る。
本発明の人工器官X及び人工器官Yの長さは、実用上問題なければ特に制限はないが、2cm以上、好ましくは2.5〜50cm、さらに好ましくは3〜40cm、特に好ましくは4〜30cmの物を用いることが出来る。
本発明の人工器官X及び人工器官Yは、人工血管、人工食道、人工気管などの管状構造物などに用いることが出来る。
特性の評価方法を示す。
(1)有孔度:管状物に37℃で120mmHgの水を流し、流出した水の重量、管状物の表面積、時間から有孔度を算出する。
A層、B層及びC層の有孔度の測定は、ゼラチンなどのコーティングしていないもので行う。
(2)引張強度:引張強度の測定条件は、温度23℃、引張り速度10mm/min、試料として径方向(幅)に1cm、軸方向(長さ)に2cmである。引張強度は、測定試料数5の平均値である。
例えば、合成樹脂繊維の平織の布の場合、緯糸方向の引張強度を測定する。
[実施例1]
熱可塑性樹脂繊維は、0.7デニールのポリエチレンテレフタレート製モノフィラメントを複数本撚糸したものを用いた。
(1)B層(内層)として緯糸(長さ方向)として熱可塑性樹脂繊維(429本)150デニール、経糸(周方向)として100デニールの熱可塑性樹脂繊維を用いて、平織した布と内径10mmの管状物を作成した。得られた平織した布と管状物は、引張強度18.0Kg、壁厚150μm、有孔度は、50ml/(cm・min)であった。
(2)A層(外層)として緯糸(長さ方向)として熱可塑性樹脂繊維(508本)100デニール及び400デニールの2種類の太さの繊維を交互に使用し、経糸(周方向)として100デニールの熱可塑性樹脂繊維を用いて、平織した布と内径がB層よりも少し大きな約10mmの管状物を作成した。得られた平織した布と管状物は、引張強度9.5Kg、壁厚450μm、有孔度は、4000ml/(cm・min)であった。
(3)上記(1)で得た管状物に、上記(2)で得た管状物を被せ、A層(外層)と内径10mmのB層(内層)からなる2層構造の人工血管Eを作製した。
[比較例1]
熱可塑性樹脂繊維は、0.7デニールのポリエチレンテレフタレート製モノフィラメントを複数本撚糸したものを用いた。緯糸(長さ方向)として熱可塑性樹脂繊維(429本)150デニール、経糸(周方向)として100デニールの熱可塑性樹脂繊維を用いて、内径10mmの単層構造の人工血管Fを作製した。
人工血管E及び人工血管Fを各々雑種成犬の腹部大動脈移植した。
まずは、人工血管E及び人工血管Fの一端を生体血管の中枢側に吻合をおこなった。生体血管とのアタッチメントは、人工血管Eが人工血管Fと比較して、良好で縫合性が向上していた。この後、クランプの開閉を1回行いプレクロッティング処理を実施した。続いて人工血管E及び人工血管Fの中間部にクランプして血流を遮断した。この時、人工血管Eは人工血管Fと比較して、クランプはかけ易く、人工血管E及び人工血管Fは共にクランプ周辺部からの出血及び中枢縫合部からの出血は認められなかった。続いて人工血管E及び人工血管Fの末梢側を縫合し血流を再開した。人工血管E及び人工血管Fは共に末梢吻合部を含め人工血管からの出血は生じなかった。
[実施例2]
熱可塑性樹脂繊維は、0.7デニールのポリエチレンテレフタレート製モノフィラメントを複数本撚糸したものを用いた。
(1)B層(内層)として緯糸(長さ方向)として熱可塑性樹脂繊維(429本)150デニール、経糸(周方向)として100デニールの熱可塑性樹脂繊維を用いて、平織した布と内径10mmの管状物を作成した。得られた平織した布と管状物は、引張強度18.0Kg、壁厚150μm、有孔度は、50ml/(cm・min)であった。
(2)A層(外層)として緯糸(長さ方向)として熱可塑性樹脂繊維(508本)100デニール及び400デニールの2種類の太さの繊維を交互に使用し、経糸(周方向)として100デニールの熱可塑性樹脂繊維を用いて、平織した布と内径がB層よりも少し大きな約10mmの管状物を作成した。得られた平織した布と管状物は、引張強度9.5Kg、壁厚450μm、有孔度は、4000ml/(cm・min)であった。
さらにこの管状物にゼラチンをコーティングし、その有孔度を測定した。有孔度は0.2ml/(cm・min)であった。
(3)上記(1)で得た管状物に、上記(2)で得た管状物を被せ、A層(外層)と内径10mmのB層(内層)からなる2層構造の人工血管を作製した。
この人工血管は、屈曲させても、鉗子操作を行っても、使用に問題はなかった。
[実施例3]
熱可塑性樹脂繊維は、0.7デニールのポリエチレンテレフタレート製モノフィラメントを複数本撚糸したものを用いた。
(1)C層(内層)として緯糸(長さ方向)として熱可塑性樹脂繊維(429本)150デニール、経糸(周方向)として100デニールの熱可塑性樹脂繊維を用いて、平織した布と内径10mmの管状物を作成した。得られた平織した布と管状物は、引張強度18.0Kg、壁厚150μm、有孔度は、70ml/(cm・min)であった。
(2)上記(1)で得た管状物を二重に被せ2層構造の人工血管を作製した。
この人工器官は、有孔度40ml/(cm・min)、厚み300μmであり、針通り及び屈曲性共によく、適度な弾力性を持ち、取り扱いやすいものであった。
人工器官の一実施形態を示す斜視図である。 側管付き人工器官の一実施形態を示す斜視図である。 人工器官Xの一実施形態を示す断面の模式図である。 人工器官Xの一実施形態を示す断面の模式図である。 人工器官Xの一実施形態を示す断面の模式図である。 人工器官Xの一実施形態を示す断面の模式図である。 人工器官Xの一実施形態を示す断面の模式図である。 人工器官Xの一実施形態を示す断面の模式図である。 人工器官Yの一実施形態を示す断面の模式図である。
符号の説明
1、4,11,21,31,41,51,61:人工器官X、
2,6,9:人工器官の外層、
3,7,10:人工器官の内層、
12,22,32,42,52,62:人工器官XのA層、
13,23,33,343,53,63:人工器官XのB層、
24,34,54,64:結合部、
101:人工器官Y、
102:人工器官Yの外層
103:人工器官Yの内層。


Claims (8)

  1. 外層及び内層を有するの2層構造の管状の人工器官であり、
    (a)内層にA層を、外層にB層とした2層構造、又は(b)内層にB層を、外層にA層とした2層構造であり、
    A層及びB層は、合成樹脂繊維の編み及び/又は織りによる管状の繊維構造体であり、
    A層の有孔度及び厚みはB層の有孔度及び厚みより大きいことを特徴とする人工器官。
  2. 外層及び内層を有するの2層構造の管状の人工器官であり、
    (1)内層の内径が4mm以上から8mm未満の場合は、内層にA層を、外層にB層とした2層構造(a)とし、
    (2)内層の内径が8mm以上の場合は、内層にA層を、外層にB層とした2層構造(a)、又は内層にB層を、外層にA層とした2層構造(b)とし、
    A層及びB層は、合成樹脂繊維の編み及び/又は織りによる管状の繊維構造体であり、
    A層の有孔度及び厚みはB層の有孔度及び厚みより大きいことを特徴とする人工器官。
  3. 外層及び内層を有するの2層構造の管状の人工器官であり、
    (1)内層の内径が4mm以上から8mm未満の場合は、内層にA層を、外層にB層とした2層構造(a)とし、
    (2)内層の内径が8mm以上の場合は、内層にB層を、外層にA層とした2層構造(b)とし、
    A層及びB層は、合成樹脂繊維の編み及び/又は織りによる管状の繊維構造体であり、
    A層の有孔度及び厚みはB層の有孔度及び厚みより大きいことを特徴とする人工器官。
  4. A層の合成樹脂繊維の一部又は全部が、捲縮加工した繊維であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の人工器官。
  5. A層とB層の有孔度の差が20〜6000ml/(cm・min)であり、
    A層とB層の厚みの差が20〜500μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の人工器官。
  6. A層とB層の一部が結合されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の人工器官。
  7. 外層及び内層がC層である2層構造の管状の人工器官であり、
    C層は合成樹脂繊維の編み及び/又は織りによる管状の繊維構造体であり、
    C層の有孔度が150ml/(cm・min)以下で、厚みが50〜200μmであることを特徴とする人工器官。
  8. 外層がゼラチンでコーティングされていることを特徴とする請求項1〜7に記載の人工血管。

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