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JP2005261388A - リゾホスファチジルグリセロールの製造方法 - Google Patents

リゾホスファチジルグリセロールの製造方法 Download PDF

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JP2005261388A JP2004082703A JP2004082703A JP2005261388A JP 2005261388 A JP2005261388 A JP 2005261388A JP 2004082703 A JP2004082703 A JP 2004082703A JP 2004082703 A JP2004082703 A JP 2004082703A JP 2005261388 A JP2005261388 A JP 2005261388A
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Abstract

【課題】 品質に優れ、かつ保存安定性も優れたリゾホスファチジルグリセロールの製造方法を提供すること。
【解決手段】 水系溶媒中で、PLDの存在下、リン脂質とグリセロールとを反応させて、ホスファチジルグリセロール(PG)を含有する水系反応液を調製する工程;該水系反応液に極性溶媒を添加して該PLDを除去し、PG含有画分を回収する工程;該画分から極性溶媒を除去し、水系画分を得る工程;該水系画分に、PLA2を添加し、リゾPGを含有する水系反応液を調製する工程;および、該リゾPGを含む水系反応液に低級アルコールを添加してPLA2を除去し、リゾPGを含有する画分を回収する工程;を含む方法を提供する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、水系溶媒を用いるリゾホスファチジルグリセロールの製造方法に関する。
リゾホスファチジルグリセロールは、スポンジケーキ、パウンドケーキなどの食品に用いられる起泡剤中の起泡力安定剤(特許文献1)、澱粉の老化防止剤(特許文献2)などとして使用されるリン脂質であり、一般に酵素法により製造されている。この酵素法による合成スキームを図1に示す。図1によれば、リン脂質(レシチン)とグリセロール(グリセリンを含む)とをホスホリパーゼD(以下、PLDという)の存在下反応させてホスファチジルグリセロール(以下、PGという)を生成させ(第1段階)、次いで、このPGにホスホリパーゼA2(以下、PLA2という)を作用させ、リゾホスファチジルグリセロール(以下、リゾPGという)を得る(第2段階)という2段階の反応で、リゾPGが製造される。
第1段階の反応について、種々検討がなされている。例えば、アルキルジエーテルを含む1相の水系溶媒を用いて、PGを製造する方法(特許文献3);有機溶媒と水との均一相の1相系の溶媒を用いてPGを製造する方法(特許文献4);特定の放線菌に由来するホスホリパーゼDを用い、単一水性相で反応後、ヘキサン/イソプロパノール/水を用いてPGを抽出し、さらに水/イソプロパノールおよび酢酸ナトリウム/イソプロパノールの順で抽出し、ついでシリカゲルカラムによりPGを精製する方法(特許文献5);PLDとグリセロールとを疎水性担体に固定化し、エーテル類、非極性溶媒などの有機溶媒中でリン脂質からPGを製造する方法(特許文献6);水または一価の金属塩溶液を溶媒として酵素反応させ、反応後、水洗して未反応のグリセリンおよびPLDを濾過または遠心分離で除去する操作を繰返してPGを製造する方法(特許文献7);酢酸エチル、ケトンなどの有機溶媒と水との1相系溶媒を用いてPGを製造し、濃縮後、エタノールでPGを抽出する方法(特許文献8);などがある。
第2段階の反応については、PGにPLA2を作用させ、反応後加熱処理して酵素を失活させた後、濃縮してリゾPGを得る方法がある(特許文献9)。
この第1段階と第2段階の反応を一連の反応として行うと、残存するPLDが問題となる。すなわち、PLDが第2段階の反応に存在すると、最終目的物であるリゾPGがリゾPAあるいは環状ホスファチジン酸に変換されるということである。また、PLA2が最終製品に混入するとリゾPGの応用の場面で不都合を生じることがあり、望ましくない。このように、最終製品にPLDおよびPLA2が残存すると品質の低下、保存安定性の低下を招くという問題がある。
この問題を解消するためには、第1段階の生成物(PG)からPLDを有効に除去し、第2段階の生成物(リゾPG)からPLA2を有効に除去することが必要となる。特許文献9には、加熱により、酵素を失活させることが記載されているが、加熱処理では、PGあるいはリゾPGが分解され、品質が低下するという問題がある。
上記各先行技術は、PGあるいはリゾPGの収率向上を目的としており、特許文献7を除き、PLDあるいはPLA2の除去は検討されていない。しかし、この特許文献7の方法は、複数回の水洗を必要とし、工程が複雑である。
このように、一連の反応でリン脂質からリゾPGを生産する試みはほとんどなく、いったん、PGを単離し、ついで、この単離したPGを用いて、リゾPGを製造しているのが現状である。そのうえ、第1段階において、反応溶媒として有機溶媒を用いると、PLDを容易に除去できないことが、本発明者の研究で明らかとなった。
特開平3−127951号公報 特開平2−242643号公報 国際特許公開WO89/01524号公報 特開昭63−245685号公報 特開2002−23288号公報 特開昭62−205788号公報 特開2003−169692号公報 特開平3−22991号公報 特開平2−273536号公報
このような実状に鑑み、本発明は、簡単な方法で、効率よく、保存安定性に優れたリゾPGを製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者は、前述の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、2種類の酵素を用いてリン脂質からリゾPGを合成する方法において、2段階の酵素反応をそれぞれ水系溶媒で行い、第1段階終了後に極性溶媒処理を行い、第2段階終了後に低級アルコール処理を行うことによって、品質および安定性に優れたリゾPGが効率よく得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、水系溶媒中で、ホスホリパーゼDの存在下、リン脂質とグリセロールとを反応させて、ホスファチジルグリセロールを含有する水系反応液を調製する工程;該水系反応液に極性溶媒を添加してホスホリパーゼDを除去し、ホスファチジルグリセロール含有画分を回収する工程;該画分から極性溶媒を除去し、水系画分を得る工程;該水系画分にホスホリパーゼA2を添加し、リゾホスファチジルグリセロールを含有する水系反応液を調製する工程;および、該リゾホスファチジルグリセロールを含有する水系反応液に低級アルコールを添加してホスホリパーゼA2を除去し、リゾホスファチジルグリセロールを含有する画分を回収する工程;を含む、リゾホスファチジルグリセロールの製造方法を提供する。
好ましい実施態様においては、前記極性溶媒がアセトンおよびエタノールからなる群から選択される少なくとも一つの溶媒である。
また、好ましい実施態様においては、前記低級アルコールがエタノールである。
本発明の方法によれば、2種類の酵素を用いて、リン脂質からリゾPGを2段階反応で合成する方法において、2段階の酵素反応をそれぞれ水系溶媒で行うことでリゾPGが効率よく生産され、かつ、第1段階終了後に極性溶媒処理および第2段階終了後に低級アルコール処理という簡単な操作を行うことによって、各酵素が反応系から容易に除去される。従って、加熱処理が不要であるため、得られる合成リン脂質の品質を低下させることがなく、保存安定性に優れる。さらに、最終製品から酵素が除去されているため、最終製品でも品質を低下させることなく、保存安定性の優れる。このように簡単な工程で安定性に優れたリゾPGを効率よく得ることができる。
酵素を用いて、リン脂質からリゾPGを製造する方法は、上記の通り、一般に、図1に示すスキームで表される。この図1のスキームにおいて、RおよびR’は脂肪酸残基であり、その種類は特に制限はないが、Rは、炭素数14〜24の飽和または不飽和脂肪酸に由来することが好ましい。このような脂肪酸残基は、直鎖であってもよく、分岐鎖を有していてもよい。
本発明の方法は、上記スキームに従って行われる。本発明の方法の特徴は、図1に示す第1段階の反応を水系溶媒中で行うこと、第1段階終了後の水系反応液について極性溶媒処理を行ってPLDを除去すること、PLDを除去したPGを含む画分を第2段階の水系反応に供すること、そして、第2段階反応後の水系反応液について低級アルコール処理を行うことである。以下、本発明について説明する。
(出発材料:原料リン脂質)
本発明に用いられるリン脂質(原料リン脂質)としては、特に制限はなく、ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルセリン(PS)、ホスファチジン酸(PA)、ホスファチジルグリセロール(PG)などが挙げられる。
これらのリン脂質の由来は問わず、植物、動物および微生物由来のリン脂質が用いられる。例えば、卵黄リン脂質、大豆リン脂質、菜種リン脂質などが用いられる。卵黄リン脂質には、PCが73.0%、PEが15.0%、およびホスファチジルイノシトール(PI)が0.6%含まれている。また、大豆リン脂質にはPCが38.2%、PEが17.3%、PIが16.0%含まれている(いずれも、新食品機能素材の開発、太田明監修、シーエムシー社、1996年)。従って、卵黄リン脂質、大豆リン脂質、菜種リン脂などは、出発材料として有用である。
このような卵黄リン脂質、大豆リン脂質、菜種リン脂質などは、高度に精製されたものでなくともよい。例えば、リン脂質以外にタンパク質、糖脂質、多糖類、塩類などの成分を含有している粗抽出物あるいは粗精製物を出発原料とする場合であっても、これらの成分が酵素反応を阻害しない程度に含まれていれば、原料リン脂質として、用いられる。また、化学的にあるいは酵素学的に合成されたリン脂質も原料リン脂質として用いることができる。10〜99.5質量%のアセトン不溶物を有するリン脂質が好ましく用いられる。界面活性剤を使用しない本発明においては、リン脂質のアセトン不溶物は50〜95質量%であることが、さらに好ましい。
(ホスホリパーゼD(PLD))
PLDは、ホスファチジル基転移活性を有する、リン脂質の塩基部分とグリセロールとのエステル交換を行い得る酵素である。本発明に用いられるPLDとしては、植物由来のPLD(例えば、キャベツのPLD)、微生物由来のPLD(例えば、ストレプトマイセス属(Streptomyces)に属する放線菌が生産するPLD)などが好ましく用いられる。中でも、ストレプトマイセス・シンナモネウム (Streptomyces cinnamoneum)が生産するホスホリパーゼDが好適に用いられる。この微生物が生産するPLDは、分子量約54,000であり、至適pHは5〜6、至適温度は40〜60℃である (Chiaki 0gmoらJ.Biol.Chem. 125巻、263‐269頁(1999))。
(ホスホリパーゼA2(PLA2))
PLA2は、PGをリゾPGに変換し得る酵素である。PLA2としては、動物(例えば、ブタの膵臓)由来の酵素、微生物由来の酵素などが挙げられる。ブタ膵臓に由来する酵素としては、ノボザイムズジャパン(株)製のレシターゼ10Lが挙げられる。微生物由来の酵素としては、ナガセケムテックス社製のPLA2(商品名:ホスホリパーゼA2ナガセ)が挙げられる。これらの酵素の至適pHは7〜9、至適温度は40〜60℃である。
(水系溶媒)
本発明に用いられる水系溶媒とは、水および水性の緩衝液をいう。水としては、イオン交換水、精製水、または蒸留水を用いることが好ましいが、水道水も使用できる。水性の緩衝液としては、例えば、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液などが好ましく用いられる。これらの水または緩衝液のpHは、用いる酵素の至適pHに応じて、調整すればよい。
(リン脂質からのリゾPGの製造)
(1)第1段階の反応:リン脂質からのPGの生成
リン脂質からのPGの製造には、水系溶媒にリン質、グリセロールおよびPLDを分散あるいは溶解させた水系反応液を用いる。水系溶媒としては、酢酸緩衝液、クエン酸緩衝液が好ましく用いられる。pHは3〜10、好ましくは7〜8.5に調整する。
リン脂質の濃度は特に制限はないが、30質量/容量%(以下、w/v%)以下が好ましく、10〜20w/v%がより好ましい。グリセロールはリン脂質に対して、モル比でグリセロール:リン脂質=0.5〜10:1の割合で、好ましくは3〜5:1の割合で使用される。
使用するPLDの量は、用いるリン脂質の種類に応じて決定すればよい。レシチンを例にとると、2〜10000U/gレシチン、好ましくは10〜150U/gレシチンの割合で使用される。その他のリン脂質の場合も、同様の量が使用される。なお、PLDの1Uは、ホスファチジルコリン(レシチン)を基質とし、37℃、1分間で1μmolのコリンを遊離させるのに必要な酵素量をいう。
水系反応液を30〜70℃、好ましくは40〜55℃に維持し、酵素反応が行われる。反応時間に特に制限はないが、雑菌の混入および生育を考慮すると、1〜12時間であることが好ましく、3〜5時間であることが、より好ましい。
(2)極性溶媒処理
第1段階の反応でPGが生成したことを確認した後、水系反応液を極性溶媒で処理する。極性溶媒としては、例えばアセトン、酢酸エチル、炭素数が1〜5の低級アルコールなどの溶媒、あるいはこれらの混合溶媒が好ましく用いられる。なかでも、アセトンおよびエタノールが好ましく用いられる。極性溶媒は、水系反応液の容量の0.5〜10倍量、好ましくは2〜3倍量添加される。水系反応液を予め濃縮しておき、極性溶媒を添加してもよい。極性溶媒を添加後、4〜70℃、好ましくは4〜50℃で、適切な時間(例えば2時間)攪拌する。極性溶媒処理により、PLDが失活し沈澱を生じる。沈澱は、遠心分離あるいはろ過などによって、除去し得る。沈澱の除去をろ過で行う場合、活性白土、セライト、シリカゲル、活性炭などのろ過助剤を用いることが好ましい。
(3)極性溶媒の除去
遠心分離の上清あるいはろ液は回収され、減圧あるいは凍結乾燥により、極性溶媒を除去し、必要に応じて、濃縮される。極性溶媒を除去することにより、次の第2段階の反応を水系溶媒で行うことができる。
(4)第2段階の反応:PGからのリゾPGの生成
極性溶媒が除去された、PGを含む水系の液に、PLA2を添加して水系反応液を調整する。水系反応液中のリン脂質の濃度は第1段階と同程度に調整する。水系反応液のpHは、4〜11、好ましくは7〜9に調整される。また、PLA2の活性化因子として、適量(例えば、10mM)の塩化カルシウムを添加してもよい。
使用するPLA2の量には特に制限はなく、100〜10000U/gPG、好ましくは1000〜3000U/gPGである。PGの代わりに第1段階で用いたリン脂質を基準にPLA2の使用量を決定してもよく、この場合でも、上記活性単位数(U)が適用される。なお、PLA2の1Uは、ホスファチジルコリン(レシチン)を基質とし、37℃、1分間で1μmolの脂肪酸を遊離させるのに必要な酵素量をいう。
水系反応液を20〜90℃、好ましくは40〜55℃に維持し、酵素反応が行われる。反応時間に特に制限はないが、30分〜12時間であることが好ましく、5〜8時間であることが、より好ましい。
(5)低級アルコール処理
リゾPGの生成が確認された水系反応液に低級アルコールを添加する。低級アルコールとしては、炭素数が1〜5のアルコールが好ましく用いられ、エタノールが最も好ましく用いられる。低級アルコールは、水系反応液の容量の2〜10倍、好ましくは3〜5倍量添加される。予め、水系反応液を濃縮した後、低級アルコールを加えることもできる。この処理により、リゾPGは低級アルコールに抽出される。沈澱は、遠心分離あるいはろ過などによって、除去し得る。沈澱の除去をろ過で行う場合、活性白土、セライト、シリカゲル、活性炭などのろ過助剤を用いることが好ましい。PLA2は、沈澱として除去されるか、ろ過助剤で吸着され得る。
(6)リゾPGの精製
遠心分離の上清あるいはろ液は回収され、減圧あるいは凍結乾燥により、低級アルコールを除去する。減圧濃縮は、40〜70℃で、好ましくは55〜60℃で行われる。得られた濃縮液からのリゾPGの回収は、例えば、ヘキサン、ヘプタンなどの非極性有機溶媒による抽出、アセトンによる結晶化などの方法により、行われる。また、リゾPGは塩化カルシウムなどの金属塩を用いて沈澱として回収され得る。脂肪酸の量が多い場合、アセトンで結晶化することによって、脂肪酸が除去でき、同時に精製が行われる。従って、アセトンを用いることが好ましい。また、抽出あるいは回収後、さらに、シリカゲルなどによるクロマトグラフによる精製を行ってもよい。
このようにして得られるリゾPGは、PLD、およびPLA2などのリン脂質の塩基交換反応あるいは加水分解に関する酵素が除去されているので、長期にわたって安定に保存が可能である。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されない。
(実施例1)
5gのレシチンSLP−PC70(ツルーレシチン工業(株)製)および3gのグリセロールを50mM酢酸緩衝液(pH5.5)に分散し、100mlに調整して、40℃、30分間、プレインキュベートした。この分散液にホスホリパーゼDナガセ(ナガセケムテックス(株)製)15000U(3000U/gレシチン)を溶解し、水系反応液を調製し、40℃、3時間反応させた。
反応終了後、水系反応液に300mlのアセトンを加え、室温で30分間、攪拌した。遠心分離(8500×g)にて沈澱を分離し、上清375mlを回収した。この上清を60℃で減圧濃縮し、アセトンを除去して、約100mlの分散液とした。NaOHでこの分散液のpHを8.5に調整し、5mMの濃度となるように塩化カルシウムを加え、さらにホスホリパーゼA2ナガセ(ナガセケムテックス(株)製)を12000U(2400U/gレシチン)となるように添加し、水系反応液を調製した。攪拌下、45℃、5時間反応を行った。反応液を凍結乾燥して、エタノールを150ml添加して、室温で2時間攪拌した。セルパウダー0.5gを加えて軽く攪拌した後、No.2ろ紙でろ過し、135mlのろ液を得た。このろ液を60℃にて、約30mlまで減圧濃縮した。この濃縮液中には、リゾPGが8.2質量%(全リン脂質に対する質量比60%)および遊離脂肪酸が約1.6質量%含まれていた。また、この濃縮液の一部について、PLD活性およびPLA2活性を測定したが、検出されなかった。
(実施例2)
10gのレシチンSLP−PC70(ツルーレシチン工業(株)製)および10gのグリセロールを0.1Mクエン酸緩衝液(pH6.5)に分散し、100mlに調整して、50℃、30分間、プレインキュベートした。この分散液にホスホリパーゼDナガセ(ナガセケムテックス(株)製)25000U(2500U/gレシチン)を溶解し、水系反応液を調製し、40℃、2時間反応させた。
反応終了後、水系反応液に500mlのエタノールを加え、室温で30分間、攪拌したた後、セライト1gを添加した。No.2ろ紙を用いて吸引ろ過し、沈殿を除いた。ろ液を60℃で減圧濃縮し、約96mlの濃縮液を得た。NaOHでこの濃縮液のpHを8.8に調整し、6mMの濃度となるように塩化カルシウムを加え、さらにホスホリパーゼA2ナガセ(ナガセケムテックス(株)製)を30000U(3000U/gレシチン)となるように添加し、水系反応液を調製した。攪拌下、45℃、3時間反応を行った。この水系反応液にエタノールを300ml添加して、30℃で1時間攪拌した後、セライト1gを加えて軽く攪拌し、No.2ろ紙でろ過し、385mlのろ液を得た。このろ液を凍結乾燥した後、100mlのアセトンで3回洗浄し、真空乾燥し、純度約89%のリゾPG粉末4.2gを得た。この粉末には、PLD活性およびPLA2活性は検出されず、遊離脂肪酸も0.5質量%以下であった。
本発明によれば、リゾPGの製造を水系反応で行い、かつ製造に用いる酵素を加熱などの方法によらず簡単に除去できる。そのため、食品をはじめ各種産業分野において使用される、高品質かつ保存安定性に優れたリゾPGの効率よい製造方法が提供される。
酵素法によるリゾホスファチジルグリセロールの合成スキームである。

Claims (3)

  1. 水系溶媒中で、ホスホリパーゼDの存在下、リン脂質とグリセロールとを反応させて、ホスファチジルグリセロールを含有する水系反応液を調製する工程;
    該水系反応液に極性溶媒を添加してホスホリパーゼDを除去し、ホスファチジルグリセロール含有画分を回収する工程;
    該画分から極性溶媒を除去し、水系画分を得る工程;
    該水系画分にホスホリパーゼA2を添加し、リゾホスファチジルグリセロールを含有する水系反応液を調製する工程;および、
    該リゾホスファチジルグリセロールを含有する水系反応液に低級アルコールを添加してホスホリパーゼA2を除去し、リゾホスファチジルグリセロールを含有する画分を回収する工程;
    を含む、リゾホスファチジルグリセロールの製造方法。
  2. 前記極性溶媒が、アセトンおよびエタノールからなる群から選択される少なくとも一つの溶媒である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記低級アルコールがエタノールである、請求項1または2に記載の方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008011745A (ja) * 2006-07-04 2008-01-24 Nagase Chemtex Corp 麺類改質剤及び麺類改良用組成物
WO2008062559A1 (fr) * 2006-11-22 2008-05-29 Asahi Kasei Pharma Corporation Supplément diététique, agent anti-fatigue, activateur d'endurance physique, aliment fonctionnel, ou produit cosmétique

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