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JP2005246574A - 研磨用キャリア基材及びその製造方法 - Google Patents

研磨用キャリア基材及びその製造方法 Download PDF

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JP2005246574A JP2004062908A JP2004062908A JP2005246574A JP 2005246574 A JP2005246574 A JP 2005246574A JP 2004062908 A JP2004062908 A JP 2004062908A JP 2004062908 A JP2004062908 A JP 2004062908A JP 2005246574 A JP2005246574 A JP 2005246574A
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Abstract

【課題】研磨装置に着脱するにあたり、研磨面から容易に脱離させることができる研磨用キャリア基材を提供する。
【解決手段】基材に熱硬化性樹脂を含浸、乾燥してなるプリプレグ14を複数枚重ねて加熱加圧成形される。その表面にエンボス状の凹凸が形成される。前記凹凸間の高低差が10〜50μmの範囲である。このため、この研磨用キャリア基材にて形成される研磨用キャリア1を研磨装置に装着して被研磨物の研磨を行った後、研磨用キャリア1を脱離する際に、研磨用キャリア1の表面と研磨面とが密着することを防止して、研磨用キャリア1を容易に脱離することができるようになる。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体ウエハ、ハードディスク等の製造工程において、これらの表面を研磨するにあたり、この半導体ウエハ等の被研磨物を研磨するにあたって被研磨物を保持するために用いる研磨用キャリア基材及びその製造方法に関するものである。
従来、半導体ウエハ、ハードディスク等の製造工程において、これらの表面を研磨するにあたっては、平面研磨装置の歯車と噛み合う駆動用のギアを外周に形成した円板にワーク保持用の孔を1個〜複数個形成した研磨用キャリアを用い、この研磨用キャリアの保持用の孔に半導体ウエハ等の被研磨物を嵌め込んで保持し、この状態で研磨用キャリアを研磨装置に装着して、キャリアを平面上で駆動させることにより、研磨を行っている(特許文献1参照)。
研磨装置の装置構成の一例を図3,4に示す。この例では、上下に回転盤7,8を対向して配置し、その回転盤7,8の各対向面に研磨布9,10を貼着している。この研磨布9,10には、図示はしないが研磨剤が供給されるようになっている。また下側に配置される回転盤8には、上側の回転盤7との対向面の略中心部に、太陽歯車11が、この対向面から上方に突出するように設けられている。また回転盤7,8の外周側には全周に亘って内歯歯車12が、太陽歯車11の周囲を囲むように設けられており、この内歯歯車12は固定用のリング材13にて回転不能な状態に固定されている。
このような研磨装置にて被研磨物6を研磨する場合、研磨用キャリア1は、図2に示すように円盤状に形成され、その外周には全周に亘って、上記の太陽歯車11及び内歯歯車12と噛合する複数枚の歯2を設けた歯車状に形成される。また、この研磨用キャリア1には、被研磨物6の保持用の一又は複数の保持孔3を貫通させて形成している。
この研磨用キャリア1は、上記の研磨装置に対して、太陽歯車11と内歯歯車12とに同時に噛合するように装着され、太陽歯車11の回転駆動により自転すると共に太陽歯車11の周りを公転するようになっている。
被研磨物6の研磨にあたっては、まず上側の回転盤7を上昇させて上下の回転盤7,8の間を十分に離間させた状態で、研磨用キャリア1の保持孔3に被研磨物6を嵌め込むと共に研磨用キャリア1を研磨装置に装着する。次いで、上側の回転盤7を下側の回転盤8に向けて下降させて、各回転盤7,8の対向面に貼着した研磨布9,10をそれぞれ被研磨物6の表面と接触させる。
そして、研磨布9,10に研磨剤を供給しながら、太陽歯車11を回転させると共に、各回転盤7,8を互いに逆方向に回転させて、被研磨物6の両面の研磨を行うものである
このような研磨用キャリア1は、従来、熱硬化性樹脂積層板にて形成されていたものであり、例えばガラス繊維基材にエポキシ樹脂を含浸、乾燥したプリプレグ14を加熱加圧成形することにより研磨用キャリア基材が形成され、これに研磨装置の形状に応じた加工を施すことにより研磨用キャリア1を形成していた。
しかし、上記のようなガラスエポキシ基板を用いて研磨用キャリア1を得る場合には、研磨用キャリア1を平面研磨装置に装着した後、研磨終了後に研磨用キャリア1を研磨面(研磨布9,10の表面)から引き剥がすときに、表面が平滑な研磨用キャリア1が研磨面に密着してしまって引き剥がすことが困難であり、作業性が悪いものであった。
特開2000−153454号公報
本発明は上記の点に鑑みて為されたものであり、研磨装置に着脱するにあたり、研磨面から容易に脱離させることができる研磨用キャリア基材及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明に係る研磨用キャリア基材は被研磨物を研磨するにあたってこれを保持するために用いる研磨用キャリア1として加工される研磨用キャリア基材において、基材に熱硬化性樹脂を含浸、乾燥してなるプリプレグ14を複数枚重ねて加熱加圧成形され、その表面にエンボス状の凹凸が形成され、前記凹凸間の高低差が10〜50μmの範囲であることを特徴とする。この凹凸間の高低差は、十点平均粗度と同一の手法で測定されるものである。このため、この研磨用キャリア基材にて形成される研磨用キャリア1を研磨装置に装着して被研磨物の研磨を行った後、研磨用キャリア1を脱離する際に、研磨用キャリア1の表面と研磨面とが密着することを防止して、研磨用キャリア1を容易に脱離することができるようになる。
また、本発明に係る研磨用キャリア基材の製造方法は、被研磨物を研磨するにあたってこれを保持するために用いる研磨用キャリア1として加工される研磨用キャリア基材の製造方法において、基材に熱硬化性樹脂を含浸、乾燥させたプリプレグ14を複数枚重ねた積層物15の外面に、ガラス織布に四フッ化エチレン樹脂を含浸、乾燥させた加工用プリプレグ16を重ね、加熱加圧して積層成形した後、加工用プリプレグ16を剥離することを特徴とする。この加工用プリプレグ16はその表面に基材の織り目による凹凸が形成されると共に四フッ化エチレン樹脂により優れた離型性を有し、研磨用キャリア基材の表面には前記加工用プリプレグ16によりエンボス状の凹凸形状が転写成形される。このようにして得られる研磨用キャリア基材にて形成される研磨用キャリア1を研磨装置に装着して被研磨物の研磨を行った後、研磨用キャリア1を脱離する際に、研磨用キャリア1の表面と研磨面とが密着することを防止して、研磨用キャリア1を容易に脱離することができるようになる。
この研磨用キャリア基材の製造方法においては、上記積層物15の外面に加工用プリプレグ16を重ねる際に、加工用プリプレグ16に離型剤を塗布しておくことができ、この場合は、積層成形後に研磨用キャリア基材から加工用プリプレグ16を剥離する際の剥離性が更に向上する。
また、上記積層物15の外面に加工用プリプレグ16を重ねる際に、加工用プリプレグ16と積層物15との間に厚み20μm以下の離型フィルム17を介在させるようにしても良く、この場合も、積層成形後に研磨用キャリア基材から加工用プリプレグ16を剥離する際の剥離性が更に向上する。
また、上記加工用プリプレグ16の基材であるガラス織布としては、開繊処理が施されていない厚み50〜150μmのものを用いることが好ましく、この場合、ガラス織布の剛性が高く、且つその織り目によって加工用プリプレグ16に明確な凹凸形状が形成され、これにより研磨用キャリア基材への凹凸形状の転写成形時の成形性が向上する。
また、上記加工用プリプレグ16の樹脂含浸量は、25〜50質量%の範囲となるようにすることが好ましい。これにより、加工用プリプレグ16は四フッ化エチレン樹脂による充分な離型効果が得られ、且つその表面の凹凸形状が明確に形成されて、これにより研磨用キャリア基材への凹凸形状の転写成形時の成形性が向上する。
また、上記積層物15を構成するプリプレグ14は、基材に液晶ポリエステル不織布を用いて形成することが好ましく、この場合、スクラッチ傷の発生を抑制し、また低コストで研磨用キャリア基材を得ることが可能となる。
また、上記積層物15を構成するプリプレグ14は、熱硬化性樹脂にエポキシ樹脂を用いて形成することが好ましく、この場合、低コストで剛性の高い研磨用キャリア基材を得ることができる。
本発明によれば、研磨用キャリア基材の表面にエンボス状の凹凸が形成されることから、この研磨用キャリア基材にて形成される研磨用キャリアに被研磨物を保持させて研磨装置に装着し、被研磨物の研磨を行う場合、研磨用キャリアと研磨面とが密着することを防止することができ、そのため、研磨終了後に研磨用キャリアを研磨装置から脱離する際に研磨面から容易に剥離することができて、作業性が良好なものである。
本発明に係る研磨用キャリア基材は、複数枚のプリプレグ14を積層して加熱加圧成形により得られる。このプリプレグ14として、基材としてガラス繊維、アラミド繊維、ポリエステル繊維などの適宜の無機繊維又は有機繊維の織布や不織布等を用い、この基材に熱硬化性樹脂を含浸、乾燥して得られるものが用いられる。基材としては適宜のものが用いられるが、好ましくは液晶ポリエステル不織布、特に溶融液晶全芳香族ポリエステル繊維の不織布が用いられる。
溶融液晶全芳香族ポリエステル繊維とは、熱溶融時に液晶性を示す全芳香族ポリエステル繊維であり、紡糸押出時に分子鎖のドメインが繊維方向に整然と配列し、高い剛直性を示すことを特徴とする。具体的には、ヒドロキシナフトエ酸とヒドロキシ安息香酸のポリエステル共重合体による液晶ポリマー繊維が挙げられるものであり、市販品としてはクラレ社製の「ベクトラン」シーズが挙げられる。
ここで、液晶ポリエステル繊維は、高耐熱、高強度、高弾性率を有する繊維でありながら、アラミド繊維と比較して非常に吸湿性が小さく、耐磨耗性にも優れ、更に工業的にも非常に低コストで生産可能であるという利点を有する。このため、液晶ポリエステル不織布に熱硬化性樹脂を含浸、乾燥してなるプリプレグ14を用いて研磨用キャリア基材を作製すると、高い剛性を有して反りの発生が少なく、寸法安定性、板厚精度に優れ、耐磨耗性が高く、かつ半導体ウエハ、ハードディスク等の被研磨物6を保持して研磨するにあたって被研磨物6の表面や外周面にスクラッチが付きにくく、更に製造するにあたってのコストメリットが高い研磨用キャリア基材を得ることができる。
基材に含浸させる熱硬化性樹脂としては、特に限定するものではなく、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、変性ポリフェニレンオキサイド樹脂(変性PPO樹脂)、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂等のような、一般的にプリプレグの形成に用いられているものを適用することができる。但し、フェノール樹脂やポリイミド樹脂は樹脂自体の剛性が高い反面、基材との密着性が弱く剥離が起こりやすくなるため、熱硬化性樹脂としては接着性が高く、可とう性も兼ね備えるエポキシ樹脂や変性PPO樹脂を用いることが好ましい。変性PPO樹脂を用いる場合での、ポリフェニレンオキサイドを変性する架橋樹脂としてはエポキシ樹脂やトリアリルイソシアヌレート等が挙げられる。
これらの熱硬化性樹脂を基材に含浸させる際には、必要に応じて適宜の硬化剤、硬化促進剤、その他の添加剤、溶剤等と混合した樹脂ワニスを基材に含浸させることが好ましい。
そして、基材に上記のように熱硬化性樹脂を含浸させた後、熱硬化性樹脂(或いは樹脂ワニス)の組成に応じた適宜の条件で加熱乾燥することにより熱硬化性樹脂を半硬化させて、プリプレグ14が得られる。
上記の基材の厚みは特に制限されないが、厚過ぎると成形される研磨用キャリア基材の板厚精度を安定させることが困難となり、薄過ぎると十分な強度の基材が得られずにプリプレグ14にシワが入りやすくなる等の問題が発生してプリプレグ14を形成する作業が難しくなるとともに、所望の厚みの研磨用キャリア基材を得るためのプリプレグ14の使用枚数が多くなってコスト的にも不利となるため、これらを勘案して適宜の厚みの基材を用いることが好ましい。また、プリプレグ14中における樹脂量は特に制限されないが、樹脂量が過剰であると研磨用キャリア基材の板厚精度を安定させることが困難となり、また樹脂量が過小であると成形時に白化が生じやすくなって剛性が落ちたり、接着性が弱くなって基材と樹脂との界面の剥離を生じやすくなるため、これらを勘案して、樹脂量を適宜設定することが好ましい。例えば基材として液晶ポリエステル不織布を用いる場合には、特に制限はされないが、繊維径5〜20μm程度、基材厚み50〜150μm、プリプレグ14の樹脂量を40〜60重量%となるようにすることが望ましい。またガラス織布を用いる場合には、特に制限されないが、繊維径5〜10μm、基材厚み50〜200μm、プリプレグ14の樹脂量は40〜70重量%となるようにすることが好ましい、またアラミド不織布を用いる場合は、特に制限されないが、繊維径5〜10μm、基材厚み50〜100μm、プリプレグ14の樹脂量は40〜60重量%となるようにすることが好ましい。更に上記以外のポリエステル不織布を用いる場合には、特に制限されないが、繊維径5〜10μm、基材厚み70〜200μm、プリプレグ14の樹脂量は40〜60重量%となるようにすることが好ましい。
上記のようなプリプレグ14を用いて研磨用キャリア基材を作製するにあたっては、複数枚のプリプレグ14を積層し、プリプレグ14を構成する熱硬化性樹脂或いは樹脂ワニスの組成に応じた適宜の条件にて、加熱加圧成形により一体に積層成形するものである。
使用するプリプレグ14の枚数は、プリプレグ14の厚みに応じ、所望の厚みの研磨用キャリア基材が得られるような適宜の枚数とする。また形成される研磨用キャリア基材の厚みは、研磨対象である被研磨物6の厚みに応じた適宜の厚みとするものであり、被研磨物6の厚みよりも薄くなるように形成される。
かかる積層成形過程において、本発明では、図1に示すように、複数枚のプリプレグ14を積層した積層物15の外面に、ガラス織布に四フッ化エチレン樹脂を含浸、乾燥させて得られる加工用プリプレグ16を重ね、この状態で、例えば両側に鏡面盤18を配置して、加熱加圧成形を行うものである。加工用プリプレグ16は積層物15の少なくとも一面側に配置され、好ましくは両側に配置される。
上記の加工用プリプレグ16は、積層成形にて形成される研磨用キャリア基材の表面に、エンボス状の凹凸形状を転写成形するために用いられる。すなわち、基材として剛性の高いガラス繊維の織布を用いることで、この基材の織り目の凹凸形状を研磨用キャリア基材の表面に転写成形することができる。また、四フッ化エチレン樹脂は硬化温度が250℃と高く、一方、上記のプリプレグ14の積層成形条件では溶融温度は180℃前後であるから、積層成形時には加工用プリプレグ16は溶融せず、且つ四フッ化エチレン樹脂は離型性が高いため、プリプレグ14の積層成形後、得られた研磨用キャリア基材の表面から加工用プリプレグ16を容易に剥離することができる。
上記の研磨用キャリア基材の表面のエンボス状の凹凸は、研磨用キャリア1の研磨面からの良好な剥離性を得るためには、その高低差が10〜50μmの範囲となるように形成することが好ましい。この高低差は、十点平均粗度と同一の手法で測定される。この高低差は、加工用プリプレグ16の凹凸を10〜50μmにすることで得られる。この高低差が10μmに満たないと、研磨用キャリア1を研磨面から剥離する際に研磨用キャリア1と研磨面とが密着して剥離しにくくなるおそれがあり、またこの高低差が50μmを超えると研磨用キャリア1の剛性が充分に得られなくなるなどの不具合が生じるおそれがある。
加工用プリプレグ16の基材であるガラス織布としては、良好な凹凸形状の転写成形を行うためには、開繊されていないガラス繊維からなるものを用い、且つこの基材の厚みが50〜150μmのものを用いることが好ましい。開繊されていないガラス繊維は開繊されている場合よりも剛性が高くなり、更に明確な凹凸形状の転写成形が可能となる。また、基材の厚みが50μmに満たないと明確な凹凸形状の転写が困難となり、またこの厚みが150μmを超えると転写される凹凸形状が大きくなり過ぎるおそれがある。
また、この加工用プリプレグ16の樹脂含浸量は、25〜50質量%の範囲となるようにすることが好ましい。この樹脂含浸量が25質量%に満たないと四フッ化エチレン樹脂による離型効果が充分に得られなくなって、成形後の剥離が困難になる場合があり、また50質量%を超えると加工用プリプレグ16の表面が平滑になって、凹凸形状の転写成形を充分に行えなくなるおそれがある。
また、プリプレグ14の積層物15と加工用プリプレグ16とを重ねるにあたっては、加工用プリプレグ16の、積層物15と重ねられる面に、離型剤を塗布するようにして、成形後の研磨用キャリア基材からの加工用プリプレグ16の離型性を更に向上させても良い。離型剤としては適宜のものが用いられるが、例えばフッ素系離型材等を挙げることができる。
また、プリプレグ14の積層物15と加工用プリプレグ16とを重ねるにあたり、この積層物15と加工用プリプレグ16との間に、離型フィルム17を介在させることで、成形後の研磨用キャリア基材からの加工用プリプレグ16の離型性を更に向上させるようにしても良い。離型フィルム17としては適宜の樹脂フィルムを用いることができるが、例えばポリエチレンテレフタレート製フィルムを用いることができる。このような離型フィルム17を介在させた場合でも凹凸形状の良好な転写成形を可能とするためには、離型フィルム17の厚みが好ましくは20μm以下となるようにする。また、離型フィルム17の厚みの下限は特に制限されないが、実用上は厚み10μm以上のものが用いられる。
上記のような研磨用キャリア基材に、図2に示すように、切断加工や切削加工等の適宜の加工処理を施して、研磨装置の仕様及び被研磨材の形状に応じた適宜の形状に加工することにより、研磨用キャリア1を形成することができる。
このような研磨用キャリア1を用い、図3,4に示すような研磨装置(平面研磨装置)にて、被研磨物6の研磨を行うと、研磨用キャリア1は研磨布9,10の表面(研磨面)に接した状態で加圧されるが、上記のように研磨用キャリア基材から形成される研磨用キャリア1の表面には、エンボス状の凹凸が形成されることから、研磨用キャリア1の表面と研磨面とが密着することが抑制されることとなり、このため、研磨用キャリア1を研磨装置から脱離する際に、研磨面からスムースに引き剥がすことができ、容易に脱離することができて作業性が良好なものである。
〔実施例1〜12〕
溶融液晶全芳香族ポリエステル繊維不織布(クラレ製「ベクルスMBBK70」)に、エポキシ樹脂組成物を含浸させ、加熱乾燥してBステージ化することで、研磨用キャリア基材形成用のプリプレグ14を形成した。エポキシ樹脂組成物としては、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(大日本インキ化学工業社製「エピクロンN690」)を100部、ジシアンジアミドを5部、2−エチル−4−メチルイミダゾールを0.05部を、DMF(ジメチルホルムアミド)中に分散混合して得た樹脂ワニスを用いた。
また、基材に四フッ化エチレン樹脂を含浸し、330℃以上で加熱乾燥して、表1に示す樹脂含浸量を有する加工用プリプレグ16を得た。
このとき、四フッ化エチレン樹脂としては、ダイキン工業社製「ポリフロンD−2」とダイキン工業社製「ネオフロンND−1」とを3:1の質量比率で配合したものを用いた。また、基材としては、表1に示すようにガラス基材織布である基材H、基材F、基材G、基材I、基材J、を用いたものであり、各基材の詳細は次の通りである。また、各基材につき、開繊処理の有無を、表1に併せて示している。
・基材H:日東紡績社製「WEA116E/1070/S136」、厚み100μm
・基材F:日東紡績社製「WEA116/1070/S136」、厚み40μm
・基材G:日東紡績社製「WEA05E/1070/S136」、厚み60μm
・基材I:日東紡績社製「WEA15/1070/S236」、厚み150μm
・基材J:日東紡績社製「WEA7628/1070/S236」、厚み180μm
そして、各実施例について、研磨用キャリア基材形成用のプリプレグ14を7枚積層して積層物15を形成し、その両面に加工用プリプレグ16を配置し、更にその両側に鏡面盤18を配置して、180℃、3.9MPa(40kgf/cm2)で60分間加熱加圧成形を施した。このとき実施例2では加工用プリプレグ16の積層物15と重なる面に離型剤(フッ素系離型剤、住鉱潤滑剤社製「スミモールドFH」)をスプレー塗布し、また実施例3では加工用プリプレグ16と積層物15との間に離型フィルム17(PETフィルム、厚み20μm)を介在させた。
これにより、厚み0.7〜0.8μmの研磨用キャリア基材を得た。
〔比較例1,2〕
ガラス繊維織布(日東紡績社製「WEA7628/1070/S236」)に、樹脂組成物を含浸させ、加熱乾燥してBステージ化することで、研磨用キャリア基材形成用のプリプレグ14を形成した。樹脂組成物としては、比較例1,2については、上記実施例と同様のエポキシ樹脂の樹脂ワニスを用いた。また比較例3については、ポリイミド樹脂組成物を用いた。このポリイミド樹脂組成物は、ビスマレイミド(三井東圧ファイン社製「MK−100」)を100部、ジアミノジフェニルメタン(住友化学工業社製「スミキュアーM」)を28部を、DMF(ジメチルホルムアミド)中に分散混合し、85℃で3時間反応させて得た樹脂ワニスを用いた。
〔比較例3〕
溶融液晶全芳香族ポリエステル繊維不織布(クラレ製「ベクルスMBBK70」)に、エポキシ樹脂組成物を含浸させ、加熱乾燥してBステージ化することで、研磨用キャリア基材形成用のプリプレグ14を形成した。樹脂組成物としては、上記実施例と同様のエポキシ樹脂の樹脂ワニスを用いた。
そして、各比較例について、研磨用キャリア基材形成用のプリプレグ14を7枚積層して積層物15を形成し、その両面に加工用プリプレグ16を配置せずに離型フィルム17(PETフィルム、厚み20μmμm)を配置し、更にその両側に鏡面盤18を配置して、180℃、3.9MPa(40kgf/cm2)で60分間加熱加圧成形を施した。
これにより、厚み0.7〜0.8μmの研磨用キャリア基材を得た。
〔評価〕
(成形性評価)
各実施例及び比較例につき、上記の加熱加圧成形後、形成された研磨用キャリア基材から加工用プリプレグ16(実施例2、比較例1〜3の場合は離型フィルム17)を剥離する際の引き剥がし強度を、オートグラフにより測定した。測定は、サンプルを10mm×1000mmの寸法に形成した状態で行った。
(凹凸高低差測定)
各実施例及び比較例につき、得られた研磨用キャリア基材の表面の凹凸の高低差(十点平均粗度)を、表面粗度計(東京精密社製「surfcom」)にて測定した。
(脱離性評価)
各実施例及び比較例につき、平面視500×500mmの寸法に形成した研磨用キャリア基材を直径10インチ(25.4cm)の円盤状に加工すると共にその外周に複数枚の歯2を形成し、更に直径3.5インチ(8.89cm)の保持孔3を4個貫通加工して、研磨用キャリア1を作製した。
次いで、この研磨用キャリア1の各保持孔3に、被研磨物6として直径3.5インチ(8.89cm)、厚み1.5mmのアルミニウムハードディスクを嵌め込んだ状態で、五個の研磨用キャリア1を図2,3に示すものと同様の構成を有する研磨装置(SPEED FAM社製、B型両面研磨装置)に一度に装着し、研磨装置を稼動させて研磨を行った。
ここで、上記研磨装置は、直径64cmのインバー合金製の回転盤7,8を有し、研磨布9,10としてウレタンパッドを備えている。また研磨条件は、研磨時に回転盤7,8間に14.7kPa(150g/cm2)の圧力を加えた状態で、下側の回転盤8を40rpmの回転数で回転させることにより行い、このとき平均粒径1.2μmのか焼アルミナを15重量%含む研磨剤を、200cm3/分の流量で供給した。また研磨処理時間は30分間とした。
この様な研磨を200回繰り返し行い、計4000枚の被研磨物6の研磨を行った。
このような研磨処理を行った後、研磨用キャリア1を研磨装置から脱離する際に、研磨用キャリア1の張り付きが発生するか否かを確認した。このとき各実施例及び比較例につき、同様の操作を10回行い、張り付きが発生した回数にて評価を行った。
以上の結果を表1に併せて示す。
Figure 2005246574
本発明の実施の形態の一例を示す概略図である。 研磨用キャリアの一例を示す平面図である。 研磨装置の一例を示す断面図である。 同上の平面図である。
符号の説明
1 研磨用キャリア
14 プリプレグ
15 積層物
16 加工用プリプレグ
17 離型フィルム

Claims (8)

  1. 被研磨物を研磨するにあたってこれを保持するために用いる研磨用キャリアとして加工される研磨用キャリア基材において、基材に熱硬化性樹脂を含浸、乾燥してなるプリプレグを複数枚重ねて加熱加圧成形され、その表面にエンボス状の凹凸が形成され、前記凹凸間の高低差が10〜50μmの範囲であることを特徴とする研磨用キャリア基材。
  2. 被研磨物を研磨するにあたってこれを保持するために用いる研磨用キャリアとして加工される研磨用キャリア基材の製造方法において、基材に熱硬化性樹脂を含浸、乾燥させたプリプレグを複数枚重ねた積層物の外面に、ガラス織布に四フッ化エチレン樹脂を含浸、乾燥させた加工用プリプレグを重ね、加熱加圧して積層成形した後、加工用プリプレグを剥離することを特徴とする研磨用キャリア基材の製造方法。
  3. 上記積層物の外面に加工用プリプレグを重ねる際に、加工用プリプレグに離型剤を塗布しておくことを特徴とする請求項2に記載の研磨用キャリア基材の製造方法。
  4. 上記積層物の外面に加工用プリプレグを重ねる際に、加工用プリプレグと積層物との間に厚み20μm以下の離型フィルムを介在させることを特徴とする請求項2に記載の研磨用キャリア基材の製造方法。
  5. 上記加工用プリプレグのガラス織布が、開繊処理が施されていない厚み50〜150μmのものであることを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の研磨用キャリア基材の製造方法。
  6. 上記加工用プリプレグの樹脂含浸量が、25〜50質量%の範囲であることを特徴とする請求項2から5のいずれかに記載の研磨用キャリア基材の製造方法。
  7. 上記積層物を構成するプリプレグが、基材に液晶ポリエステル不織布を用いて得られたものであることを特徴とする請求項2から6のいずれかに記載の研磨用キャリア基材の製造方法。
  8. 上記積層物を構成するプリプレグが、熱硬化性樹脂にエポキシ樹脂を用いて得られたものであることを特徴とする請求項2から7のいずれかに記載の研磨用キャリア基材の製造方法。
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