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JP2005139086A - 速崩壊製剤 - Google Patents

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JP2005139086A
JP2005139086A JP2003374940A JP2003374940A JP2005139086A JP 2005139086 A JP2005139086 A JP 2005139086A JP 2003374940 A JP2003374940 A JP 2003374940A JP 2003374940 A JP2003374940 A JP 2003374940A JP 2005139086 A JP2005139086 A JP 2005139086A
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limaprost
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Akio Nishiura
昭雄 西浦
Masanobu Yamamoto
政信 山本
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Ono Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

【課題】
口腔内で速やかに崩壊する速崩壊製剤を提供する。
【解決手段】
医薬成分、糖質(糖類または糖アルコール)、結晶セルロースおよび崩壊剤を含有してなる速崩壊製剤。特に、医薬成分がエパルレスタット、リマプロスト、プランルカスト水和物およびメシル酸カモスタットから選択される1種または2種以上であり、糖質がマンニトールまたはエリスリトールである、口腔内または胃内において唾液または少量の水で速やかに崩壊することのできる優れた錠剤である。
【選択図】 なし

Description

本発明は医薬製剤、特に口腔内で水なしでも速い崩壊性あるいは溶解性を有する口腔内速崩壊性製剤に関する。
通常、錠剤をはじめとする固形製剤は、経口投与により消化管内で崩壊、溶解して医薬成分を吸収させることを目的とし、口腔内での速い崩壊性や溶解性を通常示さない。ところが、人口の高齢化・生活環境の変化に伴い、錠剤の特徴である取り扱いの便利さを保ちつつも、老人、小児が水なしでも容易に服用することができ、また水なしで手軽に時や場所を選ばず随時服用することのできる口腔内溶解型固形製剤の開発が切望されている。
例えば、プランルカスト水和物は特許文献1、エパルレスタットは特許文献2、リマプロストは特許文献3、メシル酸カモスタットは特許文献4に記載されている化合物である。これらの薬剤は錠剤またはカプセル剤として供給されているが、速崩壊製剤としては全く知られておらず、患者のコンプライアンスを向上することができる製剤が切望されていた。
一方、口腔内速崩壊製剤の製法としては、例えば、薬物を融解性結合剤とともに圧縮成形し、得られた錠剤中の結合剤を融解、凝固させることにより、圧縮するのが困難な薬物を含有し、柔らかくて噛み砕くことができ、そして急速に崩壊する多孔性の錠剤を得ること(特許文献5参照)、薬物、糖類、および糖類の粒子表面が占める程度の水分を含む混合物を打錠することによって、適度な強度と口腔内での速い溶解性および崩壊性を有する口腔内溶解型錠剤を得ること(特許文献6参照)が知られている。
特許第1741466号明細書 特許第1442337号明細書 特許第1317845号明細書 特許第1122708号明細書 特表平7−503237号公報 特開平5−271054号公報
本発明は水なしでも容易に服用することができる製剤、特に口腔内で速やかに崩壊し溶解する製剤を提供する。
本発明者らは、鋭意検討の結果、医薬成分にエリスリトールに代表される糖質、結晶セルロースおよび崩壊剤の三成分を処方した製剤は、口腔内または胃内において唾液または少量の水で速やかに崩壊する性質を有することを見い出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、医薬成分を含有してなる口腔内速崩壊製剤に関する。
即ち、本発明は
[1] 医薬成分としてエパルレスタット、プランルカスト水和物、リマプロストおよびメシル酸カモスタットから選択される1種または2種以上に糖質、結晶セルロースおよび崩壊剤を含有してなる速崩壊製剤、
[2] 口腔内速崩壊製剤である前項[1]記載の製剤、
[3] 糖質が糖アルコールおよび糖類から選択される1種または2種以上である前項[1]記載の剤、
[4] 糖アルコールがソルビトール、マンニトール、マルチトール、還元澱粉糖化物、キシリトール、還元パラチノース、エリスリトール、パラチニットおよびラクチトールから選択される1種または2種以上である前項[3]記載の剤、
[5] 糖類が白糖、イソマルトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、パラチノース、カップリングシュガー、大豆オリゴ糖、マルトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、キシロオリゴ糖、トレハロース、ブドウ糖、果糖、ガラクトース、麦芽糖、乳糖、ラクチュロースおよびショ糖から選択される1種または2種以上である前項[3]記載の製剤、
[6] 崩壊剤がクロスポピドン、クロスカルメロースナトリウムおよびカルメロースカルシウムから選択される1種または2種以上である前項[1]記載の製剤、
[7] 錠剤である前項[1]記載の製剤、
[8] エパルレスタット、プランルカスト水和物またはメシル酸カモスタットを5重量%ないし60重量%含有する前項[1]記載の製剤、
[9] リマプロストを0.0005重量%ないし0.04重量%含有する前項[1]記載の製剤、
[10] 糖アルコールがエリスリトールまたはマンニトールである前項[4]記載の製剤、
[11] (i)医薬成分、(ii)エリスリトール、(iii)結晶セルロース、および(iv)崩壊剤の成分が、均一に混合してなる前項[1]記載の製剤、
[12] (i)医薬成分、(ii)エリスリトール、(iii)結晶セルロースおよび(iv)崩壊剤を組み合わせてなる製剤の口腔内崩壊性の改善方法、
[13] (i)医薬成分、(ii)エリスリトール、(iii)結晶セルロースおよび(iv)崩壊剤を配合してなる、口腔内崩壊性の改善された製剤の製造への使用、
[14] 硬度が0.8kgfないし10kgfである、前項[1]記載の製剤、
[15] 1錠あたりエパルレスタットを25mg、50mgまたは100mg含有することを特徴とする前項[7]記載の錠剤、
[16] 1錠あたりプランルカスト水和物を112.5mg、225mgまたは450mg含有することを特徴とする前項[7]記載の錠剤、
[17] 1錠あたりリマプロストを2.5μg、5μg、10μg、15μgまたは30μg含有することを特徴とする前項[7]記載の錠剤および
[18] 1錠あたりメシル酸カモスタットを50mg、100mg、200mg、300mgまたは600mg含有することを特徴とする前項[7]記載の錠剤に関する。
本発明で用いられる医薬成分としては、固形状、粉末状、結晶状、油状、溶液状など何れの形状のものでもよく、例えば、エパルレスタット、プランルカスト水和物、リマプロスト、メシル酸カモスタットなどから選ばれる1種または2種以上の成分が好適に用いられる。
医薬成分は、一般に医療、食品分野などで用いられる希釈剤などによって希釈されたものであってもよい。また医薬成分の苦味のマスキングを目的として処理したものを用いてもよい。
本発明で用いられる糖質としては、例えば、糖類(単糖類、二糖類、オリゴ糖、多糖類)、糖アルコールなどが挙げられ、これらは、その同種又は異種の2種以上を適宜の割合で混合して用いてもよい。
糖類としては、例えば、白糖、イソマルトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、パラチノース、カップリングシュガー、大豆オリゴ糖、マルトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、キシロオリゴ糖、トレハロース、ブドウ糖、果糖、ガラクトース、麦芽糖、乳糖、ラクチュロースまたはショ糖などが挙げられる。
糖アルコールとしては、例えば、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、還元澱粉糖化物、キシリトール、還元パラチノース、エリスリトール、パラチニットまたはラクチトールなどが挙げられる。
上記した糖類は、水溶性糖類であることが好ましい。ここで、水溶性糖類とは、糖類1gを水に加え、20℃において5分ごとに強く30秒間振り混ぜて約30分以内に溶かす際に、必要な水の量が30ml未満である糖類を意味する。
本発明において、糖アルコールとして好ましくはマンニトール、ソルビトール、キシリトールおよびエリスリトールである。糖類として好ましくは白糖、乳糖およびトレハロースである。
十分な製剤強度および十分な速崩壊性を得るために、製剤中における糖類の含量としては通常約5重量%ないし約97重量%、好ましくは約10重量%ないし約90重量%である。
本発明で用いられる水溶性高分子としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、線維素グリコール酸ナトリウム、線維素グリコールカルシウム、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプンリン酸エステルナトリウム、キトサンおよびキチンなどが挙げられる。
本発明の速崩壊製剤は、速崩壊性(例えば、口腔内速崩壊性、胃内速崩壊性、十二指腸内速崩壊性のいずれも好ましいが、特に口腔内速崩壊性が好ましい。)または製剤強度に支障のない限り、一般製剤の製造に用いられる種々の添加剤を含んでもよく、またその添加量は一般製剤の製造に用いられる量である。このような添加剤としては、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、界面活性剤、膨潤剤、膨潤補助剤、安定化剤、溶解補助剤、矯味剤、香料、酸味剤、発泡剤などが挙げられる。
賦形剤としては例えば、グルコース、フルクトース、ラクトース、スクロース、D−マンニトール、エリスリトール、マルチトール、トレハロース、ソルビトール、トウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、コムギデンプン、コメデンプン、結晶セルロース、無水ケイ酸、無水リン酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウムなどが挙げられる。賦形剤として好ましくは、エリスリトール、トレハロース、D−マンニトールおよび結晶セルロースである。
結合剤としては例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、部分アルファ化デンプン、アルファ化デンプン、アルギン酸ナトリウム、プルラン、アラビアゴム末、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルエチルセルロース、デキストリン、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール、ゼラチン、結晶セルロース、アラビアゴム末などが挙げられる。結合剤として好ましくは、部分アルファ化デンプンおよびヒドロキシプロピルセルロースである。
崩壊剤としては例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ヒドロキシプロピルスターチなどが挙げられる。崩壊剤として好ましくは、クロスポビドンおよびカルメロースカルシウムである。
滑沢剤としては例えば、ステアリン酸マグネシウム、蔗糖脂肪酸エステル、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸、タルク、ポリエチレングリコール、カルナウバロウ、サラシミツロウ、ステアリン酸カルシウムなどが挙げられる。滑沢剤として好ましくは、ステアリン酸マグネシウムおよびステアリン酸である。
界面活性剤としては例えば、ポリソルベート(ポリソルベート80など)、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレン共重合物、ラウリル硫酸ナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、モノステアリン酸ソルビタンなどが挙げられる。
膨潤剤としては例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カーボポール、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、キサンタンガム、グアーガムなどが挙げられる。
膨潤補助剤としては例えば、グルコース、フルクトース、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルトース、トレハロース、リン酸塩、クエン酸塩、ケイ酸塩、グリシン、グルタミン酸、アルギニンなどが挙げられる。
安定化剤としては、例えば、アスコルビン酸、亜硫酸ナトリウム、グリシン、L−アスパラギン酸、酢酸トコフェロール、β−シクロデキストリン、フマル酸などが挙げられる。
溶解補助剤としては例えば、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グルタミン酸、アスパラギン酸などが挙げられる。
矯味剤としては例えば、クエン酸、アスコルビン酸、乳酸、酢酸、酒石酸、リンゴ酸、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、ソーマチン、サッカリンナトリウム、グリチルリチン二カリウム、グルタミン酸ナトリウム、5’−イノシン酸ナトリウム、5’−グアニル酸ナトリウムなどが挙げられる。
香料としては例えば、オレンジ、ストロベリー、ミント、レモン、バニラなどの香味料、レモン油、オレンジ油、メントール、はっか油などが挙げられる。
酸味剤としては例えば、クエン酸などが挙げられる。
発泡剤としては例えば、重曹などが挙げられる。
また、必要に応じて常用される防腐剤、抗酸化剤(例えば、アスコルビン酸ナトリウム、L−システイン、亜硫酸ナトリウムなど)、着色剤(例えば、酸化チタン、食用黄色5号、食用青色2号、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、食用赤色2号、食用レーキ色素、ベンガラなど)、隠蔽剤(例えば、酸化チタン等)、静電気防止剤(例えば、タルク、酸化チタンなど)などの添加物を加えることもできる。
本発明の速崩壊製剤は、例えば、錠剤、カプセル剤、丸剤、多孔剤、顆粒剤、細粒剤などいずれの製剤であってもよいが、特に錠剤およびカプセル剤が好ましい。
本発明の速崩壊製剤が錠剤の場合、錠剤は細粒を含んでいてもよい。細粒は医薬成分を含んでいてもよい。これらの剤は公知の方法またはその類似の方法で製造できる。細粒は医薬成分を含む核または含まない核を含んでいてもよい。
このような核としては、例えば、(1)結晶セルロースと乳糖による球形造粒品[例えば、結晶セルロース(3部)と乳糖(7部)による約100μmないし約200μmの球形造粒物(ノンパレル105(商品名)、フロイント社製);結晶セルロース(3部)と乳糖(7部)による約150μmないし約250μmの球形造粒品(ノンパレルNP−7:3(商品名)、フロイント社製);結晶セルロース(5部)と乳糖(5部)による約150μmないし約250μmの球形造粒品(ノンパレルNP−5:5(商品名)、フロイント社製)など]、(2)結晶セルロースの約150μmないし約250μmの球形造粒品[アビセルSP(商品名)、旭化成(株)製)など]などが挙げられる。その他にも、ショ糖、デンプン、乳糖、結晶セルロースを任意の組み合わせで用いてもよい。前記核は、医薬成分などでコーティングされた後、さらに味・臭気のマスキング、腸溶化あるいは徐放化を目的として、自体公知の方法によってコーティングされていてもよい。
この場合のコーティング剤としては、例えば、腸溶性ポリマー(例えば、セルロースアセテートフタレート、酢酸フタル酸セルロース、メタアクリル酸コポリマーL、メタアクリル酸コポリマーLD(オイドラギット(Eudragit)L30D−55(商品名:レーム社製)、メタアクリル酸コポリマーS、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルボキシメチルエチルセルロース、コリコートMAE30DP(商品名;BASF社製)、ポリキッドPA30(商品名:三洋化成社製)など〕、カルボキシメチルエチルセルロース、セラック、メタアクリル酸共重合体〔例えば、オイドラギットNE30D(商品名)、オイドラギットRL30D(商品名)、オイドラギットRS30D(商品名)など〕、クエン酸トリエチル、ポリエチレングリコール、アセチル化モノグリセリド、トリアセチン、ヒマシ油等)、胃溶性ポリマー(例、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、アミノアルキルメタアクリレートコポリマー等)、水溶性ポリマー(例、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等)、難溶性ポリマー(例、エチルセルロース、アミノアルキルメタアクリレートコポリマーRS、アクリル酸エチル・メタアクリル酸メチル共重合体等)、ワックス等が挙げられる。これらは一種または二種以上混合して使用してもよい。
また、本発明における「細粒」は、公知の造粒法により製造することもできる。「造粒法」としては、例えば、転動造粒法(例、遠心転動造粒法)、流動造粒法(例、転動流動層造粒、流動造粒等)、撹拌造粒法、押し出し造粒法などが挙げられる。このうち、流動造粒法および転動流動層造粒法が好ましい。該転動造粒法の具体例としては、例えば、フロイント社製の「CF装置」などを用いる方法が挙げられる。該転動流動層造粒法の具体例としては、例えば、「スパイラフロー」、パウレック社製の「マルチプレックス」、不二パウダル社製の「ニューマルメ」などを用いる方法が挙げられる。混合液の噴霧方法は造粒装置の種類に応じて適当に選択でき、例えば、トップスプレー方式、ボトムスプレー方式、タンジェンシャルスプレー方式などのいずれであってもよい。このうち、タンジェンシャルスプレー方式が好ましい。
本発明における「細粒」は、医薬成分などを含む細粒以外の成分により、自体公知の方法またはその類似の方法を用いて被覆できる。例えば、医薬成分が酸に不安定な生理活性物質である場合は、結晶セルロースおよび乳糖を含有する核に、酸に不安定な生理活性物質を被覆する方法が用いられる。例えば、特開平5−092918号公報に記載の製造法(コーティング方法)などに記載の、結晶セルロースおよび乳糖を含有する核に、酸に不安定な生理活性物質と、必要に応じ、塩基性無機塩、結合剤、滑沢剤、賦形剤、水溶性高分子など(以下、被覆層と略記することもある)とを被覆する方法が挙げられる。例えば、核に、酸に不安定な生理活性物質および塩基性無機塩を被覆し、結合剤、滑沢剤、賦形剤、水溶性高分子などを被覆する方法が挙げられる。
該「核」の平均粒子径は、通常約250μm以下であればよく、好ましくは約50ないし約250μm、より好ましくは約100μmないし約250μm、特に好ましくは約100μmないし約200μmである。このような平均粒子径を有する核としては、50号(300μm)の篩を全通し、60号(250μm)の篩に残留する粒子が全体の約5w/w%以下であり、かつ282号(53μm)の篩を通過する粒子が全体の約10w/w%以下であるような粒子が含まれる。「核」の比容は通常約5ml/g以下、好ましくは約3ml/g以下である。該「核」としては、例えば、(1)結晶セルロースおよび乳糖の球形造粒品、(2)結晶セルロースの約150μmないし約250μmの球形造粒品(旭化成(株)製、アビセルSP)、(3)乳糖(9部)とα化デンプン(1部)による約50ないし約250μmの撹拌造粒品、(4)特開昭61−213201号公報に記載の微結晶セルロース球形顆粒を分級した約250μm以下の微粒、(5)スプレーチリングや溶融造粒により球状に形成されたワックス類などの加工品、(6)オイル成分のゼラチンビーズ品などの加工品、(7)ケイ酸カルシウム、(8)デンプン、(9)キチン、セルロースおよびキトサンなどの多孔性粒子、(10)グラニュー糖、結晶乳糖、結晶セルロースまたは塩化ナトリウムなどのバルク品およびそれらの製剤加工品などが挙げられる。さらに、これらの核を、自体公知の粉砕方法あるいは造粒方法により製造し、篩過して所望の粒子径の粒子を調製してもよい。
該「結晶セルロースおよび乳糖の球形造粒品」としては、例えば、(i)結晶セルロース(3部)と乳糖(7部)とによる約100μmないし約200μmの球形造粒品(例、ノンパレル105(70−140)(粒子径約100μmないし約200μm)、フロイント社製)、(ii)結晶セルロース(3部)と乳糖(7部)とによる約150μmないし約250μmの球形造粒品(例、ノンパレルNP−7:3、フロイント社製)、(iii)結晶セルロース(4.5部)と乳糖(5.5部)とによる約100μmないし約200μmの球形造粒品〔例、ノンパレル105T(70−140)(粒子径約100μmないし約200μm)、フロイント社製)など〕、(iv)結晶セルロース(5部)と乳糖(5部)とによる約150μmないし約250μmの球形造粒品〔例、ノンパレルNP−5:5、フロイント社製〕などが挙げられる。適度の強度を保ちつつ溶解性にも優れた製剤を製造するためには、該「核」として、好ましくは結晶セルロースと乳糖による球形造粒品、より好ましくは結晶セルロースと乳糖による球形造粒品で乳糖を約50重量%以上含有するものものが挙げられる。結晶セルロースを約40重量%ないし約50重量%および乳糖を約50重量%ないし約60重量%含有するものが好ましい。本発明に用いられる核としては、結晶セルロースおよび乳糖の球形造粒品が好ましく、さらに好ましくは、結晶セルロース(4.5部)と乳糖(5.5部)とによる約100μmないし約200μmの球形造粒品である。該「核」は、上述の医薬成分などの生理活性物質を含んでいてもよいが、該生理活性物質を含む被覆層により、その生理活性物質の放出性をコントロールできるので、核は生理活性物質を含んでいなくてもよい。該「核」は、細粒状であってもよく、被覆のバラツキを小さくするためには、できる限り均一な球状であることが好ましい。
該「核」に対する「被覆層」の割合は、生理活性物質の溶出性および組成物の粒度を制御できる範囲で選択でき、例えば、核に対して、通常、約50重量%ないし約400重量%である。「被覆層」は複数の層で形成されていてもよく、複数の被覆層の少なくとも1つの層が生理活性物質を含有していればよい。複数の被覆層を構成する、医薬成分を有しない被覆層や下掛け用の被覆層、腸溶性被覆層など種々の被覆層の組み合わせは適宜選択されうる。核を被覆する場合、例えば、上述の生理活性物質および水溶性高分子を混合液として使用する。該混合液は、溶液でも分散液であってもよく、水またはエタノールなどの有機溶媒、またはこれらの混液を用いて調製できる。混合液中の水溶性高分子の濃度は、核に対する生理活性物質の結合力を保持させるとともに、作業性を低下させない程度に混合液の粘度を維持させるため、生理活性物質および添加剤の割合により異なるが、通常、約0.1重量%ないし約50重量%、好ましくは約0.5ないし約10重量%である。
被覆層が複数の層で形成される場合、水溶性高分子の配合割合や粘度のグレードを選定したり、生理活性物質や他の添加剤の割合が変化した混合液を用いて順次被覆し、各層の生理活性物質濃度を連続的にまたは段階的に変動させてもよい。その場合、被覆層全体が水溶性高分子を約0.1重量%ないし約50重量%含む限り、約0.1重量%ないし約50重量%の配合割合を外れた混合液で被覆してもよい。さらには、公知の方法により不活性な被膜を形成し、生理活性物質を含む各層の間を遮断するよう複数からなる被覆層としてもよい。また、2種以上の配合性の悪い生理活性物質を配合する場合、それぞれの混合液を同時にまたは別々に使用して、核を被覆してもよい。上記被覆物を乾燥した後、篩により粒度の揃った組成物が得られる。組成物の形状は、通常、核に対応しているので、略球形の組成物を得ることもできる。篩としては、例えば、50号(300μm)の丸篩が使用でき、この50号の丸篩を通過するものを選別することにより、組成物が得られる。
本発明の速崩壊製剤は、製剤分野における慣用の方法により製造される。このような方法としては、例えば、医薬成分、糖類、結晶セルロースおよび崩壊剤を、所望により水を加えた後、混合し、成形し、さらに所望により乾燥する方法が挙げられる。ただし、本発明の速崩壊製剤は、水を用いなくとも製造することができる。
「成形」は、例えば、速崩壊製剤が錠剤(特に、口腔内崩壊錠)である場合、単発錠剤機(菊水製作所製)、ロータリー式打錠機(菊水製作所製)などを用い、約500ないし約3000kg/cm、好ましくは約1000ないし約2000kg/cmの圧力で打錠することにより行われる。「乾燥」は、例えば、真空乾燥、流動層乾燥など製剤分野における慣用の乾燥方法によって行われる。混合は、一般に用いられる混合方法、例えば、混合、練合、造粒などにより行われる。混合は、例えば、バーチカルグラニュレーター[パウレック社製]、万能練合機(畑鉄工所製)、流動層造粒機フローコーター[フロイント社製]、転動流動型コーティング造粒機NQ[ダルトン製]などの装置を用いて行われる。
本明細書において「被覆」とは、被覆される対象(例、核)の表面全体を被覆する場合に限らず、部分的に被覆する場合、あるいは吸着または吸収されている場合も含む意味に用いる。「球状」とは、真球状に限らず、断面楕円状、なす型状、液滴状などの曲面を有する形状も含む意味に用いる。「平均粒径」とは、特に断りのない限り、体積基準メジアン径(メジアン径:累積分布50%相当粒子径)を示す。その測定方法としては、例えば、レーザー回折式粒度分布測定法が挙げられ、具体例として、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置SALD−2100(島津製作所製)を用いる方法が挙げられる。
また、前記「生理活性物質を含む組成物」は、水溶性高分子、前述の一般製剤の製造に用いられる結合剤、滑沢剤、賦形剤などを含有していてもよい。「水溶性高分子」としては、エタノール可溶性水溶性高分子〔例えば、ヒドロキシプロピルセルロース(以下、HPCと記載することがある)などのセルロース誘導体、ポリビニルピロリドンなど〕、エタノール不溶性水溶性高分子〔例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(以下、HPMCと記載することがある)、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース誘導体、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、アルギン酸ナトリウム、グアーガムなど〕などが挙げられる。水溶性高分子を使用する場合、エタノール可溶性の水溶性高分子とエタノール不溶性の水溶性高分子とを併用したり、粘度の異なる水溶性高分子を組み合わせて使用することにより、薬物(生理活性物質)の溶出性をコントロールできる。
好ましい水溶性高分子としては、HPC、HPMC、メチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、より好ましくは、HPC、HPMCなどのセルロース誘導体が挙げられる。該HPCは、ヒドロキシプロポキシル基を、例えば、約53.4重量%ないし約77.5重量%、好ましくは約60重量%ないし約70重量%含有する。HPCの20℃における2重量%水溶液の粘度は、通常、約1cpsないし約150000cps(センチポアズ)である。このようなHPCとしては、日局ヒドロキシプロピルセルロースなどが使用される(以下、HPCの粘度はいずれも20℃における2重量%水溶液の値である)。該HPMCは、メトキシ基とヒドロキシプロポキシ基が結合した混合エーテルである。HPMCのメトキシ基の含有量は、例えば、約19重量%ないし約30重量%、ヒドロキシプロポキシ基の含有量は、例えば、約4重量%ないし約12重量%である。HPMCの20℃における2重量%水溶液の粘度は、通常、約1センチストークスないし約40000センチストークスである。このようなHPMCとしては、日局ヒドロキシプロピルメチルセルロース2208、日局ヒドロキシプロピルメチルセルロース2906および日局ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910などが使用される。ヒドロキシプロピルメチルセルロースは一種又は二種以上混合して使用できる。HPCおよび/またはHPMCなどの水溶性高分子の含量は、生理活性物質を含む組成物中のその生理活性物質の溶出性をコントロールでき、また高い含有量の生理活性物質を保持させるため、通常、約0.1重量%ないし約50重量%、好ましくは約1重量%ないし約30重量%である。
本発明の「口腔内崩壊錠」は、錠剤の直径を通常約5mmないし約20mm、好ましくは約7mmないし約15mm、より好ましくは約8mmないし約13mmにすると、服用の取り扱いが有利となる。口腔内崩壊錠は、錠剤内部に滑沢剤を含まなくてもよい。
かくして得られる本発明の速崩壊製剤は、口腔内、水中および胃内での速やかな崩壊性あるいは溶解性、および適度な製剤強度を示す。さらに、本発明の速崩壊製剤は、粉っぽさが改善され、口当たりが良い。本発明の速崩壊製剤の口腔内崩壊時間(健康な成人男子及び女子の口腔内の唾液で製剤が完全に崩壊するまでの時間)は、通常約5秒ないし約50秒、好ましくは約5秒ないし約40秒、より好ましくは約5秒ないし約35秒である。
本発明の速崩壊製剤の胃内崩壊時間(健康な成人男子及び女子の口腔内の唾液で製剤が完全に崩壊するまでの時間)は、通常の錠剤のような通常の剤形の崩壊時間よりも短い。本発明の速崩壊製剤の水中崩壊時間は、通常約5秒ないし約40秒、好ましくは約5秒ないし約30秒、より好ましくは約5秒ないし約25秒である。
また、本発明の速崩壊製剤の硬度(錠剤硬度計による測定値)は、通常約0.8kgfないし約10kgf、好ましくは約2kgfないし約7kgfである。本発明の速崩壊製剤は、特に口腔内崩壊錠として有用であり、水なしで、または水とともに服用される。服用方法としては、(1)口に含みそのまま飲み込まず少量の水、または水なしで口腔内の唾液で溶解または崩壊させて服用する方法、または(2)水とともにそのまま飲み込んで服用する方法が挙げられる。また、錠剤を水で溶解または崩壊させた後、服用してもよい。本発明の「口腔内崩壊錠」は、(a)水なしで服用する必要が多い場合、また(b)錠剤を飲み込むことが困難な患者が服用する場合、または(c)通常の錠剤なら喉に詰まらせてしまう恐れのある高齢者や子供が服用する場合などに有利に用いられる。
本発明の製剤原料の一つとして使用するエリスリトールは、糖アルコールの一種であり、通常ぶどう糖を原料として酵母による発酵により生産される。通常、粒度が50メッシュを通過し得るものが用いられ、これは、市販品(日研化学(株)製品)として入手することができる。エリスリトールの製剤中における含量は、通常約5重量%ないし約90重量%、好ましくは約10質量%ないし約80重量%、より好ましくは約20重量%ないし約80重量%である。約50重量%ないし約80重量%の含量がさらに好適である。
本発明で使用することのできる結晶セルロースは、微結晶セルロースと云われているものも含み、α−セルロースを部分的に解重合して、精製したものであればよい。各種グレード、例えば、セオラスKG801、アビセルPH101、アビセルPH102、アビセルPH301、アビセルPH302、アビセルRC−591(結晶セルロース・カルメロースナトリウム)などを用いることができる。これら結晶セルロースは単独使用でもよいが、二種以上併用することもできる。好ましくは高成形アビセルといわれているセオラスKG801が挙げられる。これら原料は市販品(旭化成(株)製)として入手することができる。結晶セルロースの製剤中における含量は、通常約3重量%ないし約50重量%、好ましくは約5重量%ないし約40重量%である。とりわけ、約5重量%ないし約25重量%程度の含量が好ましい。
本発明で使用することのできる崩壊剤としては、本発明の目的を損なわない限り、製剤分野で慣用される崩壊剤を用いることができる。好ましい崩壊剤としては、例えば、クロスポビドン(ISP Inc., BASF)、クロスカルメロースナトリウム(FMC−旭化成)、カルメロースカルシウム(五徳薬品)などスーパー崩壊剤と称される崩壊剤が特に好ましい。その他の好ましい崩壊剤としては、例えば、カルボキシメチルスターチナトリウム(松谷化学(株))、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(信越化学(株))、コーンスターチなどを挙げることができる。これら崩壊剤は単独使用のほかに、二種以上併用することもできる。例えば、クロスポビドン単独、あるいはクロスポビドンと他の崩壊剤との併用が考えられる。尚、クロスポピドンは、クロス−リンクト(架橋)ポピドン、コリドンCL(BASF社製)、(ポリプラストンXL)、ポリプラスドン、XL−10、INF−10(ISP社製)、ポリビニルポリピロリドン、PVPP、1−ビニル−2−ピロリジノンホモポリマーと称されているものも含め、1−エテニル−2−ピロリジノンホモポリマーという化学名を有し架橋されている重合物のいずれであってもよい。通常分子1,000,000を超えている。このような崩壊剤の製剤中における含量は、通常約1重量%ないし約20重量%、好ましくは約3重量%ないし約15重量%、より好ましくは約5重量%ないし10重量%である。
本発明の製剤中におけるマンニトールの含量として好ましくは約5重量%ないし約90重量%である。マンニトールは市販品(東和化成(株))として入手することができ、通常その粒度が150メッシュを通過し得るものを使用する。本発明の製剤は、特に口腔内速崩壊製剤として有用であり、これは固形ではあるが、そのまま飲み込まず口腔内で溶解または崩壊させて服用する製剤である。
本発明の製剤には発明の効果に支障のない限り、一般製剤の製造に用いられる種々の添加剤を含んでいてもよい。このような添加剤とし、例えば、結合剤、酸味料、発泡剤、人口甘味料、香料、滑沢剤、着色剤などが挙げられる。
結合剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、α化デンプン、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム末、ゼラチン、プルランなどが挙げられる。
酸味料としては、例えば、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸などが挙げられる。
発泡剤としては、例えば、重曹などが挙げられる。
人口甘味料としては、例えば、サッカリンナトリウム、グリチルリチン二カリウム、アスパルテーム、ステビア、ソーマチンなどが挙げられる。
香料としては、例えば、レモン、レモンライム、オレンジ、メントールなどが挙げられる。
滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ショ糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、タルク、ステアリン酸などが例示される。
着色剤としては、例えば、食用黄色5号、食用赤色2号、食用青色2号などの食用色素、食用レーキ色素、ベンガラなどが挙げられる。
本発明の製剤は、上記した成分を均一に含有しているのが好ましい。すなわち各成分が製剤全体に一様に分布しているのが好ましい。
本発明の製剤は、医薬製剤分野の慣用技術に従い、製造することができる。通常医薬成分と他の製剤原料成分とを混合し、要すればさらに練合又は乾燥ないし成形工程を経て、製造される。錠剤の場合、このようにして得られた製剤をさらに打錠することにより製造される。医薬成分と製剤原料成分との混合は、一般に用いられる混合方法、例えば、混合、練合などにより行われる。具体的には、バーチカルグラニュレーター(パウレック社製)、万能練合機(畑鉄工所製)、流動層造粒機フローコーター(フロイント社製)などを用いて混合することができる。医薬成分および製剤原料成分を含む混合物は、直接打錠してもよいが、通常打錠する前に練合される。水分を含む混合物の練合には、製剤の製造手段として一般に用いられる方法を用いることができる。例えば、医薬成分と原料成分とを混合する際に用いられる上記装置などを用いて練合できる。乾燥は、例えば、真空乾燥、凍結乾燥、自然乾燥、流動層乾燥など製剤一般の乾燥に用いられる何れの方法によってもよい。
錠剤を製造するための打錠には、一般に錠剤の成型または造粒に用いられる装置が用いられる。例えば、単発錠剤機(菊水製作所製)、ロータリー式錠剤機(菊水製作所製)などを用いることができる。打錠の際の成型圧力は、通常約500kg/cm2ないし約3000kg/cm2である。かくして得られる本発明の固形医薬製剤、特に口腔内溶解型錠剤は、口腔内での速やかな崩壊性および溶解性を示す。すなわち、本発明の口腔内溶解型錠剤の口溶け時間(健康な成人男子の口腔内の唾液で錠剤が完全に溶解するまでの時間)は、通常約0.1分ないし約1.0分、好ましくは約0.1ないし約0.8分、より好ましくは約0.1分ないし約0.5分程度である。また硬度(錠剤硬度計による測定値)は、通常約0.8kgfないし約10kgf、好ましくは約2kgfないし約7kgfである。従って、本発明の口腔内溶解型錠剤は、高齢者用、小児用の服用しやすい錠剤として、また一般成人の緊急時の安全な製剤として、それぞれの医薬成分を含有する従来の医薬製剤と同様にそれぞれの医薬成分の有効な種々の病気の治療、予防にそれらの治療・予防を必要とする患者に用いることができ、長期間の保存、安定性にも優れている。本発明の製剤は、のみこむ必要はなく、口腔中で、唾液だけで容易に溶けるので、水なしでのむことができる点をのぞいて従来の経口剤と同様に投与することができる。又、本発明の製剤は、毒性が低く、安全に、小児から高齢者まで幅広い人に投与できる。投与量は、医薬成分の種類、患者の重篤度、年令にもよるが従来の経口剤と同程度である。
本発明で用いられる医薬成分としては、固体状、粉末状、結晶状、油状、溶液状など何れの形状のものでもよく、本発明に特に適するものとしては、例えば、プランルカスト水和物、エパルレスタット、リマプロスト、メシル酸カモスタットなどが挙げられる。
本発明で用いるプランルカスト水和物とは、プランルカスト・1/2水和物を表わす。
本発明の製剤は、医薬成分がプランルカスト水和物、エパルレスタット、メシル酸カモスタットである場合には製剤中における医薬成分の含量は通常約5重量%ないし約60重量%、好ましくは約5重量%ないし約50重量%、より好ましくは約8重量%ないし約30重量%である。
エパルレスタットを含有する製剤の場合、製剤中におけるエパルレスタットの含量として好ましくは約20mgないし約150mgであり、より好ましくは約25mg、約50mgおよび約100mgである。
プランルカスト水和物を含有する製剤の場合、製剤中におけるプランルカスト水和物の含量として好ましくは約100mgないし約500mgであり、より好ましくは約112.5mg、約225mgおよび約450mgである。
メシル酸カモスタットを含有する製剤の場合、製剤中におけるメシル酸カモスタットの含量として好ましくは約30mgないし約800mgであり、より好ましくは約50mg、約100mg、約200mg、約300mgおよび約600mgである。
リマプロストなどのプロスタグランジン誘導体については低用量で有効性を示すので、製剤中におけるリマプロストの含量としては通常約0.0005重量%ないし約0.04重量%、好ましくは約0.0005重量%ないし約0.02重量%、より好ましくは約0.0005重量%ないし約0.01重量%である。
リマプロストを含有する製剤の場合、製剤中におけるリマプロストの含量として好ましくは約1μgないし約30μgであり、より好ましくは約2.5μg、約5μg、約10μg、約15μgおよび約30μgである。
リマプロストは、特に限定されないが、シクロデキストリン包接化合物として製剤化することが好ましく、α−シクロデキストリン包接化合物(アルファデクス)として製剤化することがより好ましい。
本発明の速崩壊製剤は、医薬として有用である。この場合、本発明の製剤は、哺乳動物(例えば、ヒト、サル、ヒツジ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウスなど)において、経口投与することができる。
本発明の固形製剤の包装形態として例えば、打錠後PTP(プレススルーパック)包装、SP(ストリップパック)包装またはアルミニウム包装とする形態などが挙げられるが、本発明はこれらに限られない。
医薬成分にエリスリトールに代表される糖質、結晶セルロースおよび崩壊剤の三成分を配合することによって、本発明の製剤は、口腔内または胃内において唾液または少量の水で速やかに崩壊する性質を有する。
実施例1
エパルレスタット、エリスリトール、カルメロースカルシウム、結晶セルロースおよび部分アルファー化デンプンを流動層造粒機(フロイント産業、フローコーター)に投入し、精製水で造粒した。造粒後、同機で乾燥し、それを整粒機(パウレック、コーミル)で整粒した。この整粒品にステアリン酸マグネシウム0.5%を配合し、ロータリー式打錠機(菊水製作所(株)製)を用いて、打錠圧1000kg/cm2で打錠(1錠500mg,11mmφ)した。
錠剤(500mg)中の組成
エパルレスタット 50mg
エリスリトール 250mg
カルメロースカルシウム 47.5mg
結晶セルロース 100mg
部分アルファー化デンプン 50mg
ステアリン酸マグネシウム 2.5mg
計 500mg
実施例2
プランルカスト水和物、エリスリトール、マンニトール、結晶セルロースおよびクロスポビドンを高速攪拌造粒機(パウレック、バーチカルグラニュレーター)に投入し、55%エタノール溶液で造粒した。造粒後、流動層造粒機(フロイント産業、フローコーター)で乾燥し、それを整粒機(パウレック、コーミル)で整粒した。この整粒品にステアリン酸マグネシウム0.3%を配合し、ロータリー式打錠機(菊水製作所(株)製)を用いて、打錠圧1000kg/cm2で打錠(1錠500mg,11mmφ)した。
錠剤(500mg)中の組成
プランルカスト水和物 112.5mg
エリスリトール 141mg
マンニトール 140mg
結晶セルロース 70mg
クロスポビドン 35mg
ステアリン酸マグネシウム 1.5mg
計 500mg
実施例3
メシル酸カモスタット、エリスリトール、マンニトール、結晶セルロースおよびクロスポビドンを高速攪拌造粒機(パウレック、バーチカルグラニュレーター)に投入し、55%エタノール溶液で造粒した。造粒後、流動層造粒機(フロイント産業、フローコーター)で乾燥し、それを整粒機(パウレック、コーミル)で整粒した。この整粒品にステアリン酸マグネシウム0.3%を配合し、ロータリー式打錠機(菊水製作所(株)製)を用いて、打錠圧1000kg/cm2で打錠(1錠500mg,11mmφ)した。
錠剤(500mg)中の組成
メシル酸カモスタット 100mg
エリスリトール 148.5mg
マンニトール 145mg
結晶セルロース 70mg
クロスポビドン 35mg
ステアリン酸マグネシウム 1.5mg
計 500mg
実施例4
リマプロストアルファデクス、エリスリトール、カルメロースカルシウム、結晶セルロースおよび部分アルファー化デンプンを流動層造粒機(フロイント産業、フローコーター)に投入し、精製水で造粒した。造粒後、同機で乾燥し、それを整粒機(パウレック、コーミル)で整粒した。この整粒品にステアリン酸マグネシウム0.5%を配合し、ロータリー式打錠機(菊水製作所(株)製)を用いて、打錠圧1000kg/cm2で打錠(1錠400mg,10mmφ)した。
錠剤(400mg)中の組成
リマプロストアルファデクス 0.162mg(リマプロストとして5μg)
エリスリトール 207.838mg
カルメロースカルシウム 40mg
結晶セルロース 100mg
部分アルファー化デンプン 50mg
ステアリン酸マグネシウム 2.0mg
計 400mg
実験例1
各実施例にて得られた錠剤について、崩壊性について測定を行なった。崩壊性は日本薬局方崩壊試験法に従い、崩壊度試験器(富山産業)を用いて各6錠につき測定し、その平均値を示した。なお、崩壊試験の溶媒としては精製水を用いた。
Figure 2005139086
本発明の速崩壊製剤は、優れた崩壊性を有しているため、高齢者、小児が水なしで手軽に服用できる速崩壊製剤、特に口腔内速崩壊製剤として、種々の疾病の治療、予防に用いられる。また、胃内での崩壊性も向上されている。また、該速崩壊製剤は、適度な強度を有しているため、長期間の保存安定性にも優れる。さらに、本発明の速崩壊製剤は、溶解性、粉っぽさが改善され、口当たりが良い。

Claims (20)

  1. 医薬成分としてエパルレスタット、プランルカスト水和物、リマプロストおよびメシル酸カモスタットから選択される1種または2種以上に糖質、結晶セルロースおよび崩壊剤を含有してなる速崩壊製剤。
  2. 口腔内速崩壊製剤である請求項1記載の製剤。
  3. 糖質が糖アルコールおよび糖類から選択される1種または2種以上である請求項1記載の剤。
  4. 糖アルコールがソルビトール、マンニトール、マルチトール、還元澱粉糖化物、キシリトール、還元パラチノース、エリスリトール、パラチニットおよびラクチトールから選択される1種または2種以上である請求項3記載の剤。
  5. 糖類が白糖、イソマルトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、パラチノース、カップリングシュガー、大豆オリゴ糖、マルトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、キシロオリゴ糖、トレハロース、ブドウ糖、果糖、ガラクトース、麦芽糖、乳糖、ラクチュロースおよびショ糖から選択される1種または2種以上である請求項3記載の製剤。
  6. 崩壊剤がクロスポピドン、クロスカルメロースナトリウムおよびカルメロースカルシウムから選択される1種または2種以上である請求項1記載の製剤。
  7. 錠剤である請求項1記載の製剤。
  8. 製剤中におけるエパルレスタット、プランルカスト水和物またはメシル酸カモスタットの含量が5重量%ないし60重量%である請求項1記載の製剤。
  9. 製剤中におけるリマプロストの含量が0.0005重量%ないし0.04重量%である請求項1記載の製剤。
  10. 糖アルコールがエリスリトールまたはマンニトールである請求項4記載の製剤。
  11. (i)医薬成分、(ii)エリスリトール、(iii)結晶セルロース、および(iv)崩壊剤の成分が、均一に混合してなる請求項1記載の製剤。
  12. (i)医薬成分、(ii)エリスリトール、(iii)結晶セルロースおよび(iv)崩壊剤を組み合わせてなる製剤の口腔内崩壊性の改善方法。
  13. (i)医薬成分、(ii)エリスリトール、(iii)結晶セルロースおよび(iv)崩壊剤を配合してなる、口腔内崩壊性の改善された製剤の製造への使用。
  14. 硬度が0.8kgfないし10kgfである、請求項1記載の製剤。
  15. 1錠あたりエパルレスタットを25mg、50mgまたは100mg含有することを特徴とする請求項7記載の錠剤。
  16. 1錠あたりプランルカスト水和物を112.5mg、225mgまたは450mg含有することを特徴とする請求項7記載の錠剤。
  17. 1錠あたりリマプロストを2.5μg、5μg、10μg、15μgまたは30μg含有することを特徴とする請求項7記載の錠剤。
  18. 1錠あたりメシル酸カモスタットを50mg、100mg、200mg、300mgまたは600mg含有することを特徴とする請求項7記載の錠剤。
  19. 錠剤中におけるエパルレスタット、プランルカスト水和物またはメシル酸カモスタットの含量が5重量%ないし約60重量%である請求項7記載の錠剤。
  20. 錠剤中におけるリマプロストの含量が0.0005重量%ないし約0.02重量%である請求項7記載の錠剤。
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