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JP2005136397A - 活性炭及びそれを用いた電極材料並びに電気二重層キャパシタ - Google Patents

活性炭及びそれを用いた電極材料並びに電気二重層キャパシタ Download PDF

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JP2005136397A JP2004294636A JP2004294636A JP2005136397A JP 2005136397 A JP2005136397 A JP 2005136397A JP 2004294636 A JP2004294636 A JP 2004294636A JP 2004294636 A JP2004294636 A JP 2004294636A JP 2005136397 A JP2005136397 A JP 2005136397A
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洋一 南波
Akira Onishi
晃 尾西
Takashi Mori
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Abstract

【課題】 体積当たりの静電容量(F/ml)大きく、且つ電圧印加時の電極の膨張を低減させた電気二重層用の電極に好適な活性炭及びそれを使用した電極を提供すること。
【解決手段】 窒素吸着法によって求めたDFT法による4オングストローム以下の細孔容積が0.01ml/g以下、10〜13オングストロームの細孔容積が0.07ml/g以上で、結晶質炭素部分(黒鉛類似の微結晶構造部分)を含まない少なくとも一部に乱層構造を有する活性炭。
電極はこの活性炭またはこれに好ましくは気相法炭素繊維を添加し、集電体に担持したものである。
【選択図】 なし

Description

本発明は電気二重層キャパシタ(電気二重層コンデンサともいう)として有用な活性炭及び分極性電極材料並びにその製造方法に関する。更に詳しくは高電気(静電)容量で高耐久性のキャパシタ用電極材料として好適に使用できる活性炭と好ましくは気相法炭素繊維を含む分極性電極材料を用いた電気二重層キャパシタ用電極(分極性電極)、その電極を有する電気二重層キャパシタに関する。
電気二重層キャパシタは急速充放電が可能、過充放電に強い、化学反応を伴わないために長寿命、広い温度範囲で使用可能、重金属を含まないため環境に優しいなどのバッテリーにはない特性を有しており、従来よりメモリーバックアップ電源等に使用されている。さらに近年では、大容量化開発が急激に進み、高性能エネルギーデバイスへの用途開発が進められ、太陽電池や燃料電池と組み合わせた電力貯蔵システム、ハイブリットカーのエンジンアシスト等への活用も検討されている。
電気二重層キャパシタは、活性炭等から作られた1対の正極と負極の分極性電極(単に電極とも言う)を、電解質イオンを含む、溶液中でセパレータを介して対向させた構造からなっている。電極に直流電圧を印加すると正(+)側に分極した電極には溶液中の陰イオンが、負(−)側に分極した電極には溶液中の陽イオンが引き寄せられ、これにより電極と溶液との界面に形成された電気二重層を電気エネルギーとして利用するものである。
従来の電気二重層キャパシタはパワー密度に優れている反面、エネルギー密度が劣っているという問題点があり、エネルギーデバイス用途への活用に際しては、更なる大容量化開発が必要である。電気二重層キャパシタの容量を大きくするには溶液の間で多くの電気二重層を形成する電極材料の開発が不可欠である。
したがって、より多くの電気二重層を形成すべく、比表面積の大きい活性炭の使用が検討されてきたが、このような活性炭は質量あたりの電気容量(F/g)に優る反面、電極密度の低下を招く為に体積あたりの電気容量(F/ml)がそれほど大きくならないという問題点を有していた。
また、層間距離(平均面間隔)が0.365nm〜0.385nmである黒鉛類似の微結晶を有する活性炭を製造し、分極性電極の原料とすることが提案されている(特許文献1参照)。該活性炭を分極性電極の原料とした電気二重層キャパシタは、体積あたりの静電容量(F/ml)が大きいという点で優れた原料であると言える。
しかし、この例にはまた問題点もあり、満足すべきものではなかった。即ち、この活性炭は電圧印加時に膨張するため、該特許公報に記載されているように電極の膨張を抑えるために、寸法制限構造体が必要となり、キャパシタの組立操作に大きな問題点がある。また、あらかじめ4V程度の電圧を印加しなければ電気容量が発現しないため、電解液の分解を招くおそれもあった。
近年、加熱により難黒鉛化炭素を形成する炭素源および加熱により易黒鉛化炭素を形成する炭素源を混合した後、賦活した活性炭が提案されている(特許文献2参照)。易黒鉛化炭素を形成する炭素源を使用した活性炭は、高嵩密度に起因する体積あたりの容量(F/ml)が高いが電圧印加時に電極の膨張が著しい、一方、難黒鉛化性炭素を形成する炭素源を使用した活性炭は、体積あたりの容量(F/ml)が低いが電圧印加時での電極の膨張が少ない、というそれぞれの持つ利点と欠点が補完されるというものであった。しかし、この例のように単に両者を混合しただけでは容量と電極膨張はトレードオフの関係になり、太陽電池や燃料電池と組み合わせた電力貯蔵システム、ハイブリットカーのエンジンアシスト等などに要求される容量と電極膨張の低減を実現することは困難であった。
また、電気二重層キャパシタ電極の導電性及び電極シートの強度を改善することを目的として、ポリ塩化ビニリデン樹脂(以下PVDCと記す)の炭化物粉末の活性炭と気相法炭素繊維とを混合したものを使用することが提案されている。(特許文献3参照)しかし、これらの例では体積あたりの静電容量(F/ml)が小さいため、近年のキャパシタに求められている高容量化のニーズを満足すべきものではなかった。
さらに、電気二重層キャパシタ用活性炭に静電容量を高め、内部抵抗を少なくすることを目的として、アルカリ賦活後水洗などによりアルカリ金属化合物を除去した後、さらに水蒸気賦活することが提案されている(特許文献4参照)。
しかし、この例のようにアルカリ賦活後さらに水蒸気賦活を行うだけでは、電極膨張に影響する4Å以下の細孔分布を制御することはできないため電極膨張の低減効果が少なく、しかも電気容量が低下してしまい好ましくない。
特開平11−317333号公報 特開2002−83748号公報 特開平9−171946号公報 特開2000−40645号公報
本発明は、体積あたりの静電容量(F/ml)が大きく、且つ電圧印加時の電極の膨張を低減させた電気二重層キャパシタ用の分極性電極を提供することを目的とする。
本発明は上記の目的を達成するため鋭意研究した結果なされたもので以下の構成からなる。
(1)窒素吸着法によって求めたDFT法による4オングストローム以下の細孔容積が0.01ml/g以下、10〜13オングストロームの細孔容積が0.07ml/g以上であり、透過型電子顕微鏡における明視野像で少なくとも一部に乱層構造を有する活性炭。
(2)10〜13オングストロームの細孔容積が0.07ml/g以上、0.5ml/g以下である上記(1)に記載の活性炭。
(3)10〜13オングストロームの細孔容積が0.085ml/g以上、0.45ml/g以下である上記(1)に記載の活性炭。
(4)窒素吸着法によって求めたBET比表面積が800〜1600m/gの範囲であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の活性炭。
(5)上記(1)〜(4)のいずれかに記載の活性炭と気相法炭素繊維を含む電極材料。
(6)活性炭の平均粒子径に対する気相法炭素繊維の平均の長さの比が1:0.5〜1:5の範囲であることを特徴とする上記(5)に記載の電極材料。
(7)気相法炭素繊維の長さが1〜1000μm、窒素吸着法によって求めたBET比表面積が10〜500m/gの範囲であって、活性炭の平均粒子径が2〜50μmである上記(5)または(6)に記載の電極材料。
(8)気相法炭素繊維が、内部に中空構造を有し、外径2〜500nm、アスペクト比10〜15000であることを特徴とする上記(5)〜(7)のいずれかに記載の電極材料。
(9)気相法炭素繊維が、0.01〜0.4ml/gのミクロ孔容積を有し、BET比表面積が10〜500m/gであることを特徴とする上記(5)〜(8)のいずれかに記載の電極材料。
(10)気相法炭素繊維が、分岐構造を有していることを特徴とする上記(5)〜(9)のいずれかに記載の電極材料。
(11)気相法炭素繊維の添加量が活性炭に対し、0.02質量%〜50質量%である上記(5)〜(10)に記載の電極材料。
(12)活性炭が、石炭系ピッチをアルカリ金属化合物と混合加熱し不活性ガス、水蒸気存在下で800℃以下の温度で賦活されたものであり、気相法炭素繊維が、1000〜1500℃で焼成処理されたもの、2200℃以上で黒鉛化処理されたもの、800℃以下の温度で賦活されたものからなる群から選ばれる少なくとも1種である上記(5)〜(11)のいずれかに記載の電極材料。
(13)2.5V電圧印加時の電極材料の膨張率が25%以下、該電極材料の電極密度が0.7g/ml以上である上記(5)〜(12)のいずれかに記載の電極材料。
(14)2.5V充放電時の電気容量が、37F/g以上、かつ30F/ml以上である上記(5)〜(13)のいずれかに記載の電極材料。
(15)上記(1)〜(4)のいずれかに記載の活性炭と気相法炭素繊維と導電性粒子と結着剤樹脂を混合した後、該混合粉に沸点200℃以下の有機溶剤を添加してから混練し、圧延した後100〜200℃で乾燥させることを特徴とする電極材料の製造方法。
(16)導電性粒子が、カーボンブラック、天然黒鉛、人造黒鉛、酸化チタン、酸化ルテニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種である上記(15)に記載の電極材料の製造方法。
(17)結着剤樹脂が、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、フルオロオレフィン/ビニルエーテル共重合体、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸またはその塩である上記(15)または(16)に記載の電極材料の製造方法。
(18)上記(15)〜(17)のいずれかに記載の製造方法で得られた電極材料。
(19)上記(5)〜(14)のいずれかに記載の電極材料を含む電極シートと集電体との積層体。
(20)上記(18)に記載の電極材料を含む電極シートと集電体との積層体。
(21)集電体が、アルミニウム、銅、チタン、タンタル、ニッケルまたはそれらの合金またはステンレスからなる群から選ばれる上記(19)または(20)に記載の積層体。
(22)上記(19)〜(21)のいずれかに記載の積層体からなる電極。
(23)上記(22)の電極を使用した電気二重層キャパシタ。
(24)4級アンモニウム塩、4級イミダゾリウム塩、4級ピリジニウム塩、4級ホスホニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む電解質塩を溶解した電解液を用いることを特徴とする上記(23)に記載の電気二重層キャパシタ。
本発明の活性炭を用いることで、過剰な電圧を与えなくても、電気容量(F/ml)が高く、電極膨張率が少なく耐久性も良好な活性炭を得ることができる。
さらに、当該活性炭に気相法炭素繊維を混合することで、より優れた特性を有する電極および電気二重層キャパシタを製造することが可能である。
以下本発明を詳細に説明する。
(活性炭)
活性炭の電気特性は、活性炭の比表面積・細孔分布・結晶構造といった構造物性に大きく左右される。このような活性炭の構造特性は、原料の構造、炭素化条件、賦活条件で決定される。
そこで、電極材料として有用な活性炭を得るためには、原料の構造、炭素化条件、賦活条件を最適化する必要がある。
上記を達成するために、原料として石炭系ピッチを選択することが好適であることを見出した。石油系炭素原料と比較して、側鎖が少なく、芳香族化合物の比率が高く、様々な分子構造の多環芳香族化合物が混在しているため、石炭系ピッチを原料とした活性炭はこの化合物に由来して、種々の複雑な微結晶構造等を形成し、優れた電気特性を発現するものと考えられるからである。
なお、選択する石炭系ピッチは特に限定されないが、軟化点100℃以下、さらに好ましくは60℃から90℃のものを使用する。
そして、この石炭系ピッチを400℃以上600℃未満および600℃以上800℃以下の温度によって二段階での炭化を行う。
石炭系ピッチを400〜800℃の間で加熱すると、熱分解反応が起こり、ガス・軽質留分が脱離し、残渣は重縮合が起こって最終的には固化する。この炭素化工程における第1段階で、炭素原子間のミクロな結合状態がほぼ決定され、この工程で決定された炭素結晶子の構造は最終生成物である活性炭の構造の基礎を決定づけるものである。第1段階の加熱温度は400℃未満では熱分解反応が不十分であり炭素化が進行しない。第1段階で600℃以上に加熱すると、ピッチが熱分解する段階で十分な溶融状態を経ずに固化するため炭素結晶子の構造がランダムな組織となり、賦活後の活性炭の電気容量が低下してしまい好ましくない。
この第1段階の炭素化工程においては、昇温速度は3〜10℃/hr、より好ましくは4〜6℃/hr、最高温度での保持時間を5〜20hr、より好ましくは8〜12hrとすることで行う。
次に、600〜800℃の温度にて2段階目の炭化を行う。この第2段階の炭素化工程においても、昇温速度は3〜10℃/hr、より好ましくは4〜6℃/hr、最高温度での保持時間を5〜20hr、より好ましくは8〜12hrとすることで行う。第2段階の加熱温度は600℃未満では第1段階の加熱温度と同じであり第2段階の加熱効果が現れない、800℃を超えて加熱すると黒鉛類似の微結晶性構造部分が形成されてしまい好ましくない。
この炭素化処理により、炭素化物の真密度dは1.50g/ml≦d≦1.70g/mlを有する。このことが炭素化物にアルカリ賦活を均一に行い、電気容量の高い活性炭を得る上で有効である。
このようにして得られた活性炭は、透過型電子顕微鏡における明視野像で結晶質炭素部分(黒鉛類似の微結晶構造部分)を有しない乱層構造(無配向繊維)を少なくとも一部に有する構造で、好ましくは乱層構造のみかあるいは主として乱層構造からなるものであった。黒鉛類似の微結晶性構造部分が形成されていると、アルカリ賦活反応時にKOHが還元されて生じた金属カリウムが炭素層間をこじ開けることによりできた層間の隙間が多く形成される。このためキャパシタ電圧印加時に3.35〜4.0オングストローム(Å)の該炭素の層間の隙間を例えば、電解液イオンとして、テトラエチルアンモニウムカチオン(溶媒和イオン半径3.7Å)がインターカレートして層間を押し広げる形で細孔内に吸着するため活性炭粒子の体積を膨張させ、その結果電極全体の膨張が大きくなる。一方、黒鉛類似の微結晶性構造部分が形成されていない活性炭では、アルカリ賦活反応時の水や二酸化炭素ガスによる炭素の消費により形成される細孔が多くなり、金属カリウムによる炭素層間の隙間は少なくなり結果的に電極の膨張も少なくなる。
よって、このような不完全な結晶構造に起因して、過剰な電圧をかけて黒鉛層間にイオンを挿入させるという工程を経なくても、高い電気容量を発揮できるものと推測される。
上記の炭素化工程はアルカリ金属の蒸気中で実施することも有効である。アルカリ金属は、炭素化工程において触媒的な働きをする。即ち、ピッチ中の芳香族間の架橋結合が促進され、炭化反応が進行する。
次に、炭材を1〜5mm程度の粒又は平均粒径1〜50μmの微粉に粉砕して、アルカリ金属化合物と混合して加熱し、炭材に細孔を形成して活性炭とする。
アルカリ賦活反応に使用するアルカリ金属化合物は、特に限定されるものではないが、カリウム、ナトリウム、カルシウムの水酸化物、炭酸塩、硫化物、硫酸塩が好ましい。例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、硫化カリウム、硫化ナトリウム、チオシアン酸カリウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム等が使用できる。好ましくは水酸化カリウム、水酸化ナトリウムであり、さらに好ましくは水酸化カリウムである。これらの1種類あるいは2種類以上混合して使用してもよい。賦活温度は、800℃以下が適し、好ましくは600℃〜800℃、さらに好ましくは700℃〜760℃である。アルカリ金属化合物は炭材質量の1.5から7倍量、より好ましくは2.5から5倍量混合する。
賦活処理は、N、Arガスなどの不活性ガス雰囲気で行い、水蒸気、炭酸ガス等の存在下で行う。賦活処理後、水、酸などの洗浄を行う。
酸洗浄には、硫酸、燐酸、塩酸、硝酸などの鉱酸類、蟻酸、酢酸、クエン酸などの有機酸を使用することができる。洗浄効率と残存物の点から塩酸、クエン酸が好ましい。酸濃度は0.01〜20規定であり、好ましくは0.1〜10規定である。洗浄方法としては、酸添加後に攪拌すればよいが、煮沸または50〜90℃で加温すると洗浄効率が向上する。また、超音波洗浄機を使用すると効果的である。洗浄時間は、0.5時間〜24時間であるが通常は1〜5時間で実施される。洗浄に使用する容器は、酸洗浄の場合グラスライニング、テフロン(登録商標)などが好ましい。
これらの酸洗浄を行った後十分に水洗する。洗浄方法としては、煮沸又は50〜90℃で加温し、攪拌すると効果的である。洗浄時間は0.5〜24時間であるが、通常は1〜5時間で実施、洗浄回数は1〜10回であるが、通常は1〜3回で実施する。洗浄に使用する容器は、ガラスライニング、テフロン(登録商標)等が好ましい。
賦活後洗浄した活性炭は、必要に応じて、加熱、真空乾燥を行い、1〜5mm粒の場合には平均粒径2〜50μmに粉砕する。粉砕方法はジェットミル、振動ミル、バルベライザなど通常の粉砕方法でよい。
このようにして得られた活性炭微粉は、金属異物等を除去するため、磁気選別及び篩掛け処理を行う。磁選及び篩掛け処理は湿式スラリー、乾式粉体のいずれでも、両方を実施してもよい。磁選機には5000G〜12000GのNb、フェライト磁石等を使用する。篩掛け処理は目開き20〜100μmで実施するが、好ましくは45〜60μmが好適である。
このようにして得られた活性炭は、過剰な電圧を与えなくても、1サイクル目から高い電気容量を発揮し、また、その電気容量の保持率が高いという特徴を有していた。
また、ラマンスペクトルのGピーク高さ(実測曲線におけるベースラインからピーク点までの高さ)に対するDピーク高さの比は0.8〜1.2であった。
ここで、ラマンスペクトルのGピークに対するDピークの強度比は、炭素材料の黒鉛化度を示す指標として用いられているが、この強度比をピーク高さ比として示した場合、黒鉛化度が高いほど小さい値となる。透過型電子顕微鏡における明視野像で結晶質炭素部分(黒鉛類似の微結晶構造部分)を有しない当該活性炭の場合には0.8〜1.2の値となった。
さらに、十分な炭化工程を経ることで、炭素表面の官能基量が低減されて、電気容量の劣化が抑えられたものと考えられる。
また、当該活性炭は、タップ密度計(蔵持科学器械製作所製)にてタップ密度を測定したところ、タップ回数50回で0.35〜0.70g/mlであり、粉体抵抗は、1.0MPaで0.4Ωcm以下であった。
本発明の活性炭は、窒素吸着法を用い密度関数理論(DFT法)によって、ミクロ+メソ細孔の統合細孔分布を求めた4Å以下の細孔容積が0.01ml/g以下であり、10〜13Åの細孔容積が0.07ml/g以上である。その上限は0.5ml/g程度まで可能である。10〜30Åの細孔容積の望ましい範囲は0.085ml/g以上、0.45ml/g以下、さらに望ましくは0.08ml/g以上、0.4ml/g以下である。DFT法では、従来のBJH(Barrett,Joyner and Halenda)法によるメソ細孔(20Å以上)の分布を評価する方法に比べてより小さい細孔容積を評価するのに適している。
4Å以下の細孔容積が0.01ml/gを超えると、電解液イオン(溶媒和イオン半径3.7Å)がインターカレートして細孔を押し広げるため、電極膨張が大きくなる。10〜13Åの細孔容積はキャパシタ容量に大きく寄与するものであり、これが0.07ml/g未満であるとキャパシタ容量が不十分となる。上記10〜13Åの細孔容積の範囲において、容積の少ない方にするにはBET比表面積を小さくし、多い方にするにはBET比表面積を大きくするなどを調整すればよい。細孔が20Å以上の大きな孔は質量当たりの電気容量に寄与する反面、電極密度の低下を招くため、これが多くなると体積当たりの電気容量が低下する。BET表面積は望ましくは800〜1600g/mである。
なお、細孔について補足すると0.7nm(7Å)以下はウルトラミクロ細孔と呼ばれ、0.35nm(3.5Å)程度まで測定が可能である(「ゼオライト」Vol.19,No.4(2002))。上記のDFT(Density Function Theory)法はガス吸着法により決定される比表面積、細孔容積、細孔分布などの特性値による細孔構造の解析法で、ミクロ孔(20Å以下)〜メソ孔(20〜50Å)まで幅広い領域にわたってひとつの理論で解析することが可能である。
(気相法炭素繊維)
さらに、このようにして得られた活性炭に対して、気相法炭素繊維を添加することで、より一層の特性向上が図られる。この場合の気相法炭素繊維は、例えばベンゼンと金属触媒粒子とを水素気流中で約1000℃で吹き付けることによって製造されたもが使用でき、内部に中空構造を有し、外径2〜500nm、アスペクト比10〜15000であることが特徴である。繊維の長さは1〜1000μmのものが好ましい。また繊維は分岐を有するものが好ましい。この気相法炭素繊維を当該活性炭と混合することで、粒子同士の接触抵抗が低減されるとともに、電極強度が向上し、分極性電極としての耐久性が向上する。
気相法炭素繊維の長さは活性炭粒子の平均粒子径に対する比が1:0.5〜1:5好ましくは1:0.8〜1:3の範囲である。気相法炭素繊維の長さの比が0.5よりも短いと粒子同士の橋渡しができず導電性が不十分となり、長さの比が5を超えると活性炭粒子の隙間に入れず分極性電極の強度が低下する。
この気相法炭素繊維は、生成されたままのものを1000〜1500℃で焼成したもの、あるいは、さらに2000℃以上で黒鉛化処理したものを使用することができる。
また、当該気相法炭素繊維をガス賦活(水蒸気、COなど)及び/または薬品賦活(塩化亜鉛、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなど)したものを使用することも可能であるが、この場合にはミクロ孔(20Å以下の細孔)容積0.01〜0.4ml/g、BET比表面積10〜500m/gになるように表面構造を制御したものを使用する方がよい。ミクロ孔の多い炭素繊維を混合すると、電極内部でのイオン拡散抵抗が増大してしまうからである。賦活温度は活性炭と同様800℃以下が適し、好ましくは600℃〜800℃、さらに好ましくは700℃〜760℃である。
なお、この場合の気相法炭素繊維の混合量は、活性炭に対して0.02質量%〜50質量%が好ましいが、より好ましくは、0.5〜10質量%である。0.02質量%未満だと、活性炭粒子との接点を増加させる効果が少ないために十分な効果が得られない。50質量%を超えると、分極性電極中の活性炭含有量が低下して電気容量が低下してしまう。
この気相法炭素繊維を当該活性炭と混合することで、粒子同士の接触抵抗が低減されるとともに導電性及び電極強度が向上し、電圧印加持の電極膨張率が低減される。
気相法炭素繊維の添加により、気相法炭素繊維の高い導電性、高い熱伝導を生かした放熱性の改善に加え、塊状の活性炭粒子に繊維状のものが混在することによる電極膨張クッション材としての役割が増強されるため、電圧印加持の電極膨張率が増加するのを抑えるのに効果的である。
(分極性電極の作製方法)
本発明の活性炭または活性炭と気相法炭素繊維から、分極性電極及び電気二重層キャパシタを製造することができる。即ち、分極性電極は活性炭に導電剤および結合剤を加えて混練圧延する方法、活性炭に導電剤、結合剤樹脂、必要に応じて溶媒を加えてスラリー状にして導電材に塗布する方法、活性炭に未炭化樹脂類を混合して焼結する方法、等の方法で作製される。
例えば、平均粒径10〜50μm程度の活性炭の粉末に、導電剤としてカーボンブラックと気相法炭素繊維を加え、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン等の結合剤樹脂を加え、ブレンダーで乾式混合する。次いで混合粉に沸点200℃以下の有機溶剤を添加して膨潤させてから混練し、厚さ0.1〜0.5mm程度のシートに成形し、100〜200℃程度の温度で真空乾燥する。
結合剤樹脂としては、例えばポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、フルオロオレフィン/ビニルエーテル共重合体、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、又はポリアクリル酸等が使用できる。電極中の結合剤樹脂の含有量は、活性炭と結合剤樹脂の合量中0.5〜20質量%程度とするのが好ましい。結合剤樹脂の量が0. 5質量%未満であると電極の強度が不足し、20質量%を超えると電気抵抗の増大や容量の低下が起き好ましくない。電極の強度と容量バランスから、結合剤樹脂の配合量は0. 5〜10質量%とするのがより好ましい。なお、フルオロオレフィン/ビニルエーテル共重合体は架橋ポリマーとしてもよく、架橋剤としては、アミン類、ポリアミン類、ポリイソシアネート類、ビスフェノール類又はパーオキサイド類等が挙げられる。
導電性粒子(導電剤)としては、カーボンブラック、天然黒鉛、人造黒鉛、酸化チタン、酸化ルテニウム等の粉末が用いられる。これらのうち、少量でも導電性を向上させる効果が大きいことから、カーボンブラックの1種であるケッチェンブラック又はアセチレンブラックを使用するのが好ましい。
電極中のカーボンブラック等の導電性粒子の配合量は、導電性を充分向上するように、活性炭粉末との合量中、5質量%以上、特には10質量%以上配合するのが好ましい。導電性粒子の配合量があまり多すぎると、活性炭の配合割合が減って電極の静電容量が減るため電極中の導電性粒子の配合量は、40質量%以下、特には30質量%以下とするのが好ましい。
分極性電極作製時に使用する有機溶剤としては、結合剤樹脂を溶解できるものが好ましく、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼンなどの炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン、ブチルメチルケトンなどのケトン類、メタノール、エタノール、ブタノールなどのアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類など沸点200℃以下の有機溶剤であれば好ましい、さらにトルエン、アセトン、エタノールなどが好適である。
沸点が200℃を越える有機溶媒を用いると、分極性電極シート形成後100〜200℃乾燥したときに有機溶媒がシート中に残存するため好ましくない。
このシートを所定の形状に打ち抜き電極材料とする。電極材料の2.5V電圧印加時の膨張率は好ましくは25%以下、さらに好ましくは20%以下、電極材料の密度は0.7g/ml以上が好ましい。この電極材料に集電体である金属板を積層して電極とし、セパレータを介し、金属板を外側にして2枚重ね、電解液に浸して電気二重層キャパシタとする。キャパシタは2.5V充放電時の電気容量が37F/g以上、かつ30F/ml以上とすることができる。
集電体としては、電気化学的、化学的に耐食性のある導電体であれば特に制限するものではなく、例えば、アルミニウム、銅、チタン、タンタル、ニッケルまたはそれらの合金またはステンレス等が用いられる。中でも、アルミニウム、ステンレスが好ましい。集電体の形状は、箔状、ネット状、繊維状でもよく、また、表面に微細孔が貫通したものでもよい。集電体表面は、導電性を失わなければ金属以外の化合物で被覆されていてもよく、例えば炭素被覆アルミニウム等が用いられる。電気二重層キャパシタの電解液としては公知の非水系電解質、水系電解質のいずれも使用可能であり限定されないが、本発明の多孔性金属集電体やアルカリ賦活活性炭は非水系電解質中での使用の方がより適している。
本発明で用いる非水系電解質の例としては公知の有機電解液、高分子固体電解質及び高分子ゲル電解質、イオン性液体が挙げられる。
有機電解液に用いられる有機溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ビニレンカーボネート等のカーボネート類;γ−ブチロラクトン等のラクトン類;アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類、1,2−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、2−メトキシテトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,3−ジオキソラン等のエーテル類;ジメチルスルホキシド、スルホラン等の含硫黄化合物;ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド、ヘキサメチルホスホリルアミド等のアミド;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のジアルキルケトン;N−メチルピロリドン;アセトニトリル、ニトロメタン等の有機溶媒が挙げられる。好ましくはエチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、プロピレンカーボネート、ビニレンカーボネートのカーボネート類、γ−ブチロラクトン等のラクトン類、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン等が挙げられる。これらの溶媒は、単独または2種以上を混合して使用することができる。
高分子固体電解質や高分子ゲル電解質に用いられる高分子としては、ポリエチレンオキサイド誘導体及び該誘導体を含む重合体、ポリプロピレンオキサイド誘導体及び該誘導体を含む重合体、リン酸エステル重合体、ポリカーボネート誘導体及び該誘導体を含む重合体等が挙げられる。
これらの溶質(電解質塩)には、4級アンモニウム塩、4級イミダゾリウム塩、4級ピリジニウム塩、4級ホスホニウム塩等が単独または2種以上の混合物として使用される。イオン性液体はこれらの溶質の中で溶媒に溶解していなくとも、液状であるもの、例えば1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムトリフルオロスルホネートが挙げられる。
セパレーターはガラスフィルター、不織布、多孔質抄紙、ポリオレフィン系マイクロポーラスフィルム等、公知のものが使用できるが、非水系電解質系では特にポリエチレンやポリプロピレン性の厚み5〜50μmで開孔率40%以上のポリオレフィン製マイクロポーラスフィルムが、薄くでき、また薄くした場合にも短絡が起こらず、強度的にも良好で電解液とのなじみも良好で好ましい。
電気二重層キャパシタは、一対のシート状電極の間にセパレータを介して電解液とともに金属ケースに収容したコイン型、一対の正極と負極をセパレータを介して巻回させた巻回型、セパレータを介して多数のシート状電極を積み重ねた積層型等いずれの構成をもとることができる。好ましくは、積層型、巻回型キャパシタである。
以下実施例により本発明を具体的に説明する。
本実施例における各特性の測定方法は以下の通りである。
(BET比表面積)
Quantachrome社製、NOVA1200を使用し、液体窒素温度における窒素の吸着等温線より、BET法およびDFT法を用いて算出した。なお、窒素の吸着量は相対圧力(P/P0)が0.01〜1.0で測定した。
(透過型電子顕微鏡の測定)
試料をエタノール中に分散後マイクログリッド上にマウントし、ウルトラミクロトームにてカットした。透過型電子顕微鏡(フィリップス社製、CM120)を用いて加速電圧120KVで解析し、倍率20万倍の明視野画像を得た。
(真密度の測定)
セイシン企業製、連続自動粉粒体真密度測定器『オートトウルーデンサーMAT−7000』を使用し、n−ブタノールを溶媒として、真密度を測定した。
(ラマンスペクトルの測定)
励起光としてArレーザー514.5nm、検出器としてCCD(Charge Coupled Device)を使用し、スリット500μm、露光60秒で活性炭の原料としての炭素材料のラマンスペクトルを測定した。
(細孔容積の測定)
Quantachrome社製、AUTOSORB 1を使用し、液体窒素温度における窒素の吸着等温線よりDFT法を用いて算出した。なお、窒素の吸着量は相対圧力(P/P0)が10−8〜1.0で測定した。
(電極の作製)
平均粒径10μmの活性炭80質量部にPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)10質量部、カーボンブラック10質量部を添加し、混練して厚さ0.5mmのシート状に圧延した。このシートを直径20mmの円板に打抜き、200℃で一昼夜真空乾燥して分極性電極として使用した。
(電気二重層キャパシタの組立)
前記の電極を、高純度アルゴンを循環させているグローブボックス内において、図1のような評価用セルを組立て、評価用に使用した。図1において、1はアルミニウム製の上蓋、2はフッ素ゴム製Oリング、3はアルミニウムからなる集電体、4はテフロン(登録商標)からなる絶縁材、5はアルミニウム製容器、6はアルミニウム製板バネ、7は分極性電極、8はガラス繊維からなる厚さ1mmのセパレータである。電解液にはPC(プロピレンカーボネート)を溶媒とし、(C2H5)4NBF4を電解質とする富山薬品工業(株)製の商品名LIPASTE−P/EAFIN(1モル/リットル)を使用した。
充放電時の電極膨張率の変化を測定する場合には、図2のような評価用セルを使用し、電極厚み方向の変位をインジケーターを使用して計測する。なお、図2中の電極押え用コイルばね9は、1cm圧縮するのに0.1〜1.0kgf程度の加重を必要とするものが使用可能であるが、本測定にあたっては、0.3kgfの加重を必要とするものを使用した。測定温度は室温(20〜30℃)とした。ここで、例えば2.5V電圧印加時の電極膨張率(%)は(2.5V充電時の電極厚み−充電前の電極厚み)/(充電前の電極厚み)×100で求められる。
充放電測定は北斗電工(株)製充放電試験装置HJ−101SM6を使用し、5mAで0〜2.5Vあるいは0〜3.0Vで充放電を行い、2回目の定電流放電によって得られた放電曲線から、電気二重層キャパシタの両極活性炭の質量あたりの静電容量(F/g)と体積あたりの静電容量(F/ml)を算出した。
また耐久性は200回の充放電サイクル試験による電気容量の容量保持率(サイクル試験後の電気容量/2回目の充放電後の電気容量)により評価した。
(実施例1)
軟化点86℃の石炭ピッチを50℃/時間で昇温し、500℃で10時間保持して1段階目の炭化、これを前記条件で昇温し、670℃で1時間保持して2段目の炭化を行った。得られた炭材をジェットミル粉砕し平均粒径10μmとしたときの炭材の真密度は1.55g/mlであった。得られた炭材に、質量比で2.5倍量のKOHを混合し、ルツボに充填した。これを水蒸気80容量%以上含む窒素雰囲気中で750℃まで3℃/hrで昇温した後、750℃で60分保持して賦活した。賦活した炭素材料は1N塩酸で煮沸洗浄した後、煮沸水で洗浄し、残留KOH及び金属不純物を除去した。これを200℃で真空乾燥後して平均粒径10μmの活性炭とした。
この活性炭の比表面積は1300m/gであり、透過電子顕微鏡(TEM)における明視野像で結晶性炭素部分はみられなかった。DFT法による4Å以下の細孔容積は0.006ml/gであり、10〜13Åの細孔容積は0.025ml/gであった。該活性炭に対して、気相法炭素繊維(長さ5μm)を1質量%、カーボンブラック9質量%とPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)10質量%を乾式混合した後、該混合粉に有機溶剤を添加して膨潤させてから混練し、圧延した後200℃で真空乾燥させ電極材料を作製した。2.5V充放電時の電気容量は 40.3F/g、31.4F/mlであり、電極密度は0.78g/mlであった。200サイクル充放電後の容量保持率は98.2%であった。電圧印加時の電極膨張率は13%であった。
(実施例2)
実施例1と同様にして活性炭を製造し、気相法炭素繊維(長さ20μm)を5質量%混合し分極性電極材料とした。 2.5V充放電時の電気容量は39.5F/g、30.4F/mlであり、電極密度は0.77g/mlであった。200サイクル充放電後の容量保持率は98.7%であった。電圧印加時の電極膨張率は8%であった。
(実施例3)
実施例1の方法で得られた活性炭に対して、気相法炭素繊維をアルカリ賦活したもの(ミクロ孔容積:0.3ml、BET比表面積490m/g、長さ8μm) 3質量%混合して分極性電極材料とした。2.5V充放電時の電気容量は40.1F/g、30.9F/mlであり、電極密度は0.77g/mlであった200サイクル充放電後の容量保持率は99.0%であった。電圧印加時の電極膨張率は10%であった。
(実施例4)
軟化点86℃の石炭ピッチを500℃で1段階目の炭化、650℃で2段目の炭化を行った。得られた炭材に、質量比で2.5倍量のKOHを混合し、ルツボに充填した。得られた炭材の真密度は1.52g/mlであった。これを水蒸気存在下で750℃まで3℃/hrで昇温した後、750℃で60分保持して賦活した。賦活した炭素材料は1N塩酸で煮沸洗浄した後、煮沸水で洗浄し、残留KOH及び金属不純物を除去した。これを200℃で真空乾燥後粉砕して平均粒径10μmの活性炭とした。
この活性炭の比表面積は1416m/gであり、透過電子顕微鏡(TEM)における明視野像で結晶性炭素部分はみられなかった。DFT法による4Å以下の細孔容積は0.003ml/gであり、10〜13Åの細孔容積は0.26ml/gであった。該活性炭に対して、カーボンブラック9質量%とPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)10質量%を乾式混合した後、該混合粉に有機溶剤を添加して膨潤させてから混練し、圧延した後200℃で真空乾燥させ電極材料を作製した。2.5V充放電時の電気容量は 39.2F/g、30.3F/mlであり、電極密度は0.77g/mlであった。200サイクル充放電後の容量保持率は98.5%であった。電圧印加時の電極膨張率は8%であった。
(実施例5)
軟化点86℃の石炭ピッチを500℃で1段階目の炭化、650℃で2段目の炭化を行った。得られた炭材に、質量比で2.5倍量のKOHを混合し、ルツボに充填した。炭材をジェットミル粉砕し、平均粒径4μmとした。真密度は1.53g/mlであった。これを750℃まで3℃/hrで昇温した後、水蒸気を導入し750℃で60分保持して賦活した。賦活した炭素材料は1N塩酸で煮沸洗浄した後、煮沸水で洗浄し、残留KOH及び金属不純物を除去した。これを200℃で真空乾燥後して平均粒径4μmの活性炭とした。
この活性炭の比表面積は1338m/gであり、透過電子顕微鏡(TEM)における明視野像で結晶性炭素部分はみられなかった。DFT法による4Å以下の細孔容積は0.003ml/gであり、10〜13Åの細孔容積は0.25ml/gであった。該活性炭に対して、カーボンブラック9質量%とPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)10質量%を乾式混合した後、該混合粉に有機溶剤を添加して膨潤させてから混練し、圧延した後200℃で真空乾燥させ電極材料を作製した。2.5V充放電時の電気容量は40.5F/g、30.4F/mlであり、電極密度は0.75g/mlであった。200サイクル充放電後の容量保持率は98.5%であった。電圧印加時の電極膨張率は11%であった。
(比較例1)
軟化点86℃の石炭ピッチを500℃で1段階目の炭化、800℃で2段目の炭化を行った。得られた炭材に、質量比で2.5倍量のKOHを混合し、ルツボに充填した。真密度は1.60g/mlであった。これを750℃まで3℃/hrで昇温した後、750℃で60分保持して賦活した。賦活した炭素材料は1N塩酸で煮沸した後、煮沸水で洗浄し、残留KOH及び金属不純物を除去した。これを200℃で真空乾燥後粉砕して平均粒径10μmの活性炭とした。
この活性炭の比表面積は800m/gであり、透過電子顕微鏡(TEM)における明視野像で結晶性炭素部分がみられた。DFT法による4Å以下の細孔容積は0.07ml/gであり、10〜13Åの細孔容積は0.082ml/gであった。該活性炭を分極性電極材料とした。2.5V充放電時の電気容量は38.4F/g、32.3F/mlであり、電極密度は0.84g/mlであった。200サイクル充放電後の容量保持率は96.7%であった。電圧印加時の電極膨張率は33%であった。
(比較例2)
比較例1の活性炭に対して、気相法炭素繊維(長さ5μm)を5質量%混合し分極性電極材料とした。2.5V充放電時の電気容量は37.8F/g、30.2F/mlであり、電極密度は0.80g/mlであった。200サイクル充放電後の容量保持率は98.2%であった。電圧印加時の電極膨張率は26%であった。
(比較例3)
実施例1の活性炭を洗浄後ルツボに充填し、これを600℃まで3℃/hrで昇温した後、水蒸気を導入し600℃で60分保持して水蒸気賦活した。賦活した炭素材料は1N塩酸で洗浄した後、蒸留水で洗浄し、残留KOH及び金属不純物を除去した。これを200℃で真空乾燥後粉砕して平均粒径10μmの活性炭とした。
以上の実施例1から比較例3までの結果を表1に示す。
Figure 2005136397
本発明の活性炭を含む電極材料を用いた電気二重層キャパシタは高性能エネルギーデバイスへの応用、例えば太陽電池や燃料電池と組み合わせた電力貯蔵システム、ハイブリットカーのエンジンアシスト等に利用可能である。
電気二重層キャパシタ評価用セルの断面図である。 電極膨張測定装置の断面図である。 実施例1の活性炭の細孔径分布図である。 比較例1の活性炭の細孔径分布図である。
符号の説明
1 上蓋
2 Oリング
3 集電体
4 絶縁体
5 容器
6 板ばね
7 電極
8 セパレーター
9 コイルばね

Claims (24)

  1. 窒素吸着法によって求めたDFT法による4オングストローム以下の細孔容積が0.01ml/g以下、10〜13オングストロームの細孔容積が0.07ml/g以上であり、透過型電子顕微鏡における明視野像で少なくとも一部に乱層構造を有する活性炭。
  2. 10〜13オングストロームの細孔容積が0.07ml/g以上、0.5ml/g以下である請求項1に記載の活性炭。
  3. 10〜13オングストロームの細孔容積が0.085ml/g以上、0.45ml/g以下である請求項1に記載の活性炭。
  4. 窒素吸着法によって求めたBET比表面積が800〜1600m/gの範囲であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の活性炭。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の活性炭と気相法炭素繊維を含む電極材料。
  6. 活性炭の平均粒子径に対する気相法炭素繊維の平均の長さの比が1:0.5〜1:5の範囲であることを特徴とする請求項5に記載の電極材料。
  7. 気相法炭素繊維の長さが1〜1000μm、窒素吸着法によって求めたBET比表面積が10〜500m/gの範囲であって、活性炭の平均粒子径が2〜50μmである請求項5または6に記載の電極材料。
  8. 気相法炭素繊維が、内部に中空構造を有し、外径2〜500nm、アスペクト比10〜15000であることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の電極材料。
  9. 気相法炭素繊維が、0.01〜0.4ml/gのミクロ孔容積を有し、BET比表面積が10〜500m/gであることを特徴とする請求項5〜8のいずれかに記載の電極材料。
  10. 気相法炭素繊維が、分岐構造を有していることを特徴とする請求項5〜9のいずれかに記載の電極材料。
  11. 気相法炭素繊維の添加量が活性炭に対し、0.02質量%〜50質量%である請求項5〜10に記載の電極材料。
  12. 活性炭が、石炭系ピッチをアルカリ金属化合物と混合加熱し不活性ガス、水蒸気存在下で800℃以下の温度で賦活されたものであり、気相法炭素繊維が、1000〜1500℃で焼成処理されたもの、2200℃以上で黒鉛化処理されたもの、800℃以下の温度で賦活されたものからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項5〜11のいずれかに記載の電極材料。
  13. 2.5V電圧印加時の電極材料の膨張率が25%以下、該電極材料の電極密度が0.7g/ml以上である請求項5〜12のいずれかに記載の電極材料。
  14. 2.5V充放電時の電気容量が、37F/g以上、かつ30F/ml以上である請求項5〜13のいずれかに記載の電極材料。
  15. 請求項1〜4のいずれかに記載の活性炭と気相法炭素繊維と導電性粒子と結着剤樹脂を混合した後、該混合粉に沸点200℃以下の有機溶剤を添加してから混練し、圧延した後100〜200℃で乾燥させることを特徴とする電極材料の製造方法。
  16. 導電性粒子が、カーボンブラック、天然黒鉛、人造黒鉛、酸化チタン、酸化ルテニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項15に記載の電極材料の製造方法。
  17. 結着剤樹脂が、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、フルオロオレフィン/ビニルエーテル共重合体、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸またはその塩である請求項15または16に記載の電極材料の製造方法。
  18. 請求項15〜17のいずれかに記載の製造方法で得られた電極材料。
  19. 請求項5〜14のいずれかに記載の電極材料を含む電極シートと集電体との積層体。
  20. 請求項18に記載の電極材料を含む電極シートと集電体との積層体。
  21. 集電体が、アルミニウム、銅、チタン、タンタル、ニッケルまたはそれらの合金またはステンレスからなる群から選ばれる請求項19または20に記載の積層体。
  22. 請求項19〜21のいずれかに記載の積層体からなる電極。
  23. 請求項22の電極を使用した電気二重層キャパシタ。
  24. 4級アンモニウム塩、4級イミダゾリウム塩、4級ピリジニウム塩、4級ホスホニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも一種を含む電解質塩を溶解した電解液を用いることを特徴とする請求項23に記載の電気二重層キャパシタ。
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