[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/

JP2005132923A - 低温硬化性樹脂組成物及び低温硬化性樹脂組成物を用いたプリプレグ - Google Patents

低温硬化性樹脂組成物及び低温硬化性樹脂組成物を用いたプリプレグ Download PDF

Info

Publication number
JP2005132923A
JP2005132923A JP2003369406A JP2003369406A JP2005132923A JP 2005132923 A JP2005132923 A JP 2005132923A JP 2003369406 A JP2003369406 A JP 2003369406A JP 2003369406 A JP2003369406 A JP 2003369406A JP 2005132923 A JP2005132923 A JP 2005132923A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin composition
low
temperature
curable resin
temperature curable
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2003369406A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3987479B2 (ja
Inventor
Kazunari Imai
一成 今井
Eiji Nakamura
英司 中村
Yukio Asano
幸雄 浅野
Sadataka Umemoto
禎孝 梅元
Yoichi Suyama
洋一 須山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Arisawa Mfg Co Ltd
Teijin Ltd
Original Assignee
Arisawa Mfg Co Ltd
Toho Tenax Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Arisawa Mfg Co Ltd, Toho Tenax Co Ltd filed Critical Arisawa Mfg Co Ltd
Priority to JP2003369406A priority Critical patent/JP3987479B2/ja
Publication of JP2005132923A publication Critical patent/JP2005132923A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3987479B2 publication Critical patent/JP3987479B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Reinforced Plastic Materials (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Macromonomer-Based Addition Polymer (AREA)

Abstract

【課題】 低温,短時間で硬化させることができ、しかも、半硬化状態で常温下における取扱使用可能時間が長い画期的な低温硬化性樹脂を提供するものである。
【解決手段】 ビニルエステル樹脂若しくはポリエステル樹脂と、過酸化物と、ラジカル反応(の進行)を防止する性質を有する酸化防止剤とから成る低温硬化性樹脂。
【選択図】 図1


Description

本発明は、低温で、その上短時間で硬化でき、しかも、半硬化状態における取扱使用可能期間が長い低温硬化性樹脂組成物及び該樹脂組成物を用いたプリプレグに関するものである。
熱硬化性樹脂組成物であり付加重合樹脂系のエポキシ樹脂組成物(エポキシ樹脂を主成分とし、過酸化物等の硬化剤が加えられて成る組成物)は、低温(例えば80℃)で硬化させるために長時間(例えば四時間以上)の加熱(80℃)が必要である。
そこで、このエポキシ樹脂組成物を短時間で硬化させるには、加熱温度を高温(例えば180℃)にしなければならず、よって、特に大型成形物を成形する場合には、高温加熱のための大掛かりな設備が必要となり、また、加熱のためのエネルギーも多く必要となってコスト高となる為、エポキシ樹脂組成物の短時間硬化は実用性に劣る。
また、短時間(例えば数分間乃至数時間)での低温加熱(例えば80℃)で硬化可能な熱硬化性樹脂組成物として、ラジカル重合樹脂系のビニルエステル樹脂組成物(ビニルエステル樹脂を主成分とし、過酸化物等の硬化剤が加えられて成る組成物)が知られている。
しかしながら、このビニルエステル樹脂組成物は、該ビニルエステル樹脂組成物を加熱処理などにより所望の半硬化状態(所謂Bステージ)にした後、常温での取扱使用可能時間(Bステージ状態の該樹脂組成物を所望の成形物にレイアップし、完全硬化するまでに要する準備時間、若しくはBステージ状態で常温保存した場合の時間)が極端に短く、例えば数時間乃至数日間となってしまう問題点がある。
ビニルエステル樹脂組成物の前記使用可能時間を長くさせるには、該ビニルエステル樹脂組成物を、高温で分解する性質を有する過酸化物と共に高温で加熱しなければならず、特に大型成形物を成形する場合、上記エポキシ樹脂組成物と同様、高温加熱のための大掛かりな設備が必要となり、また、加熱のためのエネルギーも多く必要となってコスト高となる為、実用性に劣る。
従って、結局のところ、上記樹脂組成物のいずれも、低温短時間硬化タイプとしては、実用的であるとは言い難い。
本発明は、低温,短時間で硬化させることができ、しかも、半硬化状態で常温下における取扱使用可能時間が長い画期的な低温硬化性樹脂組成物及び該樹脂組成物を用いたプリプレグを提供するものである。
本発明の要旨を説明する。
ビニルエステル樹脂若しくはポリエステル樹脂と、過酸化物と、常温時においてラジカル反応を防止する性質を有する酸化防止剤とから成ることを特徴とする低温硬化性樹脂組成物に係るものである。
また、請求項1記載の低温硬化性樹脂組成物において、酸化防止剤は一分子中に二つ以上の二重結合を有する環式化合物であることを特徴とする低温硬化性樹脂組成物に係るものである。
また、請求項2記載の低温硬化性樹脂組成物において、環式化合物は芳香族化合物であることを特徴とする低温硬化性樹脂組成物に係るものである。
また、請求項3記載の低温硬化性樹脂組成物において、芳香族化合物として、2,4,6−トリアルキルフェノール若しくは2,4,5−トリアルキルフェノールを含む芳香族化合物が採用されていることを特徴とする低温硬化性樹脂組成物に係るものである。
また、請求項4記載の低温硬化性樹脂組成物において、2,4,6−トリアルキルフェノール若しくは2,4,5−トリアルキルフェノールを含む芳香族化合物は、2,4,6−トリアルキルフェノール若しくは2,4,5−トリアルキルフェノールの少なくとも1つのアルキル基がt−ブチル基である芳香族化合物であることを特徴とする低温硬化性樹脂組成物に係るものである。
また、請求項5記載の低温硬化性樹脂組成物において、t−ブチル基はヒドロキシル基の両隣に設けられていることを特徴とする低温硬化性樹脂組成物に係るものである。
また、請求項1〜8いずれか1項に記載の低温硬化性樹脂組成物において、ビニルエステル樹脂若しくはポリエステル樹脂が100重量部、過酸化物が0.1乃至10重量部、更に酸化防止剤が0.05乃至10重量部混合されて成ることを特徴とする低温硬化性樹脂組成物に係るものである。
また、請求項1〜7いずれか1項に記載の低温硬化性樹脂組成物を基材に設けて成ることを特徴とする低温硬化性樹脂組成物を用いたプリプレグに係るものである。
また、請求項8記載の低温硬化性樹脂組成物を用いたプリプレグにおいて、60℃乃至90℃で0.25時間乃至4時間加熱処理して、ガラス転移温度が120℃以上、且つ、層間剪断強度が50MPa以上の特性を具備せしめたことを特徴とする低温硬化性樹脂組成物を用いたプリプレグに係るものである。
本発明は上述のように構成したから、低温且つ短時間で硬化させることができ、しかも、半硬化状態における可使時間が長い画期的な低温硬化性樹脂組成物となる。
好適と考える本発明の実施の形態をその作用効果を示して簡単に説明する。
ビニルエステル樹脂若しくはポリエステル樹脂は、ラジカル重合樹脂系であり、このラジカル重合樹脂系は反応性に富むことから、低温での短時間硬化が可能となる。
次に、常温での取扱使用可能時間(以下、可使時間という。)を可及的に長くすることができるのは、次の理由と推測される。
ビニルエステル樹脂若しくはポリエステル樹脂に、過酸化物と常温時においてラジカル反応(の進行)を防止する性質をもつ酸化防止剤(例えばラジカル捕捉剤等)とを混合する。
この際、過酸化物は化学的に活性なラジカル(不対電子を有する原子,原子団若しくは分子。一般的に不安定である。)を発生する。
この過酸化物から発生する活性なラジカルは常温時において選択的に酸化防止剤に取り込まれ、安定なラジカルを形成する。
即ち、活性なラジカルは、ビニルエステル樹脂やポリエステル樹脂とも反応するが、自身で連鎖的なラジカル重合を起こす。従って、このラジカル重合が酸化防止剤によって抑止され、常温時において、安定なラジカルを存在させることが可能となる。
従って、過酸化物から発生した活性なラジカルを常温時に安定化させることができ、これにより、半硬化状態における可使時間を長く保つことが可能となる。
以上から、本発明は、低温且つ短時間で硬化させることができ、しかも、半硬化状態における可使時間が長い低温硬化性樹脂組成物となる。
本発明の実施例を説明する。
本実施例は、ビニルエステル樹脂若しくはポリエステル樹脂と、過酸化物と、常温時においてラジカル反応(の進行)を防止する性質を有する酸化防止剤とから成る低温硬化性樹脂に関するものである。この低温硬化性樹脂組成物は、低温(60℃乃至90℃)且つ短時間(0.25時間乃至4時間)で硬化し、半硬化状態における可使時間が長くなる(1カ月乃至3カ月)。
ビニルエステル樹脂若しくはポリエステル樹脂は、ラジカル重合樹脂系であり、このラジカル重合樹脂系は反応性に富むため、例えばエポキシ樹脂に比べ低温の短時間硬化が可能となる。
過酸化物は、ビニルエステル樹脂若しくはポリエステル樹脂に、酸化防止剤と共に混合した際活性なラジカルを発生し、この活性なラジカルによってビニルエステル樹脂若しくはポリエステル樹脂の反応を開始させる。
本実施例では、過酸化物として、Bis(4−t−butylcyclohexyl) peroxy dicarbonateが採用されている。尚、上記以外でも例えば、Isobut-yryl preoxide、α,α’Bis(neodecanoyl peroxy)diisopropyl benzene、Cumyl peroxy neode-canoate、Di−n−propyl peroxy dicarbonete、 Diisopropyl peroxy dicarbonate、1,1,3,3− Tetramethylbutyl peroxy neodecanoate、1− Cyclohexyl−1−methylethyl peroxy neodeca-noate、Di−2−ethoxyethyl peroxy dicarbona-te、Di(2−ethylhexyl peroxy)dicarbonate、t−Hexyl peroxy neodecanoate、Dimethoxybuty-l peroxy dicarbonate、Di(3−methyl−3−meth-oxybutyl peroxy)dicarbonate、若しくは、t−Buty-l peroxy neodecanoateを採用しても良い。
酸化防止剤としては、常温時においてラジカル反応を防止する性質を有するものが採用される。常温時においてラジカル反応を防止する性質を有するものは、樹脂組成物から発生する活性なラジカルを安定させた状態で存在させることができるからである。尚、このような性質を有するものとしては、酸化防止剤の他、重合禁止剤、ラジカルトラップ剤(ラジカル補足剤)若しくはラジカル安定剤等がある。
具体的には、一分子中に二つ以上の二重結合を有する環式化合物としての芳香族化合物(環状につながるπ電子が共鳴安定化する性質を芳香族性という。)、具体的には、2,4,6−トリアルキルフェノール若しくは2,4,5−トリアルキルフェノールを含む芳香族化合物、特に、少なくとも1つのアルキル基がt−ブチル基である芳香族化合物(最も好ましくは、ヒドロキシル基の両隣がt−ブチル基であるもの)が考えられる。
t−ブチル基は非常に嵩高い官能基である為に、活性なラジカルを捕捉したヒドロキシル基の反応性を阻害することができ、また、t−ブチル基は電子供与性が秀れている為、環式化合物の有する環状電子雲構造と相俟って、活性なラジカルを安定した状態で存続させることができる。
本実施例では、酸化防止剤として、2,4,6−トリアルキルフェノールを含むものとして、N,N’−ビス(3−(3,3−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル)ヒドラジン、若しくは、ペンタエリスリチル−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)が採用されている。
また、上記以外の、2,4,6−トリアルキルフェノールを含む酸化防止剤として以下に示すものを採用しても良い。
2官能型加工安定剤
2−tert−Butyl−6−(3−tert−butyl−2−hydroxy−5−methylbenzyl)−4−methylphenyl acrylate(商品名:Sumilizer GM)
2−[1−(2−hydroxy−3,5−di−pentylphenyl)et-hyl]−4,6−di−tert−pentylphenyl acrylate(商品名:Sumilizer GS(F))
フェノール系一次酸化防止剤
2,6−Di−tert−butyl−4−methylphenol(商品名:S-umilizer BHT(BHT−P))
2,2’−Methylenebis(6−tert−butyl−4−methy-lphenol)(商品名:Sumilizer MDP−S)
3,9−Bis[2−〔3−(3−tert−butyl−4−hydroxy−5−methylphenyl)propionyloxy〕−1,1−dimethyl-ethyl]−2,4,8,10−tetraoxaspiro[5・5]undec-ane(商品名:Sumilizer GA−80)
単剤添加型(SA−System)加工安定剤
6−[3−(3−t−Butyl−4−hydroxy−5−methylphen-yl)propoxy]−2,4,8,10−tetra−t−butyldiben-z[d,f][1,3,2]dioxaphosphepin(商品名:Sumili-zer GP)
ヒンダートフェノール系酸化防止剤
triethyleneglycol−bis〔3−(3−t−butyl−5−methyl−4−hydroxyphenyl)propionate〕(商品名:IRGANOX 245,245FF)
1,6−hexanediol−bis〔3−(3,5−di−t−butyl−4−hydroxyphenyl)propionate〕(商品名:IRGANOX 259)
2,4−bis−(n−octylthio)−6−(4−hydroxy−3,5−di−t−butylanilino)−1,3,5−triadine(商品名:IRGANOX )(商品名:IRGANOX 565、565FL)
2,2’−thio−diethylenebis〔3−(3,5−di−t−butyl−4−hydroxyphenyl)propionate〕(商品名:IRGANOX 1035FF)
octadecyl−3−(3,5−di−t−butyl−4−hydroxyphenyl)propionate(IRGANOX 1076,1076FF)
N,N’−hexamethylenebis(3,5−di−t−butyl−4−hydroxy−hydrocinnamate)(商品名:IRGANOX 1098) 3,5−di−t−butyl−4−hydroxybenzylphosphonate−diethylester(商品名:IRGANOX 1222)
1,3,5−trimethyl−2,4,6−tris(3,5−di−t−butyl−4−hydroxybenzyl)benzene(商品名:IRGANOX 1330)
bis(3,5−di−t−butyl−4−hydroxybenzyl et-hyl phosphonate)calcium及びpolyethylenewax(50%)の混合物(商品名:IRGANOX 1425WL)
tris−(3,5−di−t−butyl−4−hydroxybenzyl)− isocyanurate(商品名:IRGANOX 3114)
2,4−bis〔(octylthio)methyl〕−o−cresol(商品名:IRGANOX 1520)
また、2,4,5−トリアルキルフェノールを含む酸化防止剤として例えば以下に示すものを採用しても良い。
フェノール系一次酸化防止剤
4,4’−Butylidenebis(6−tert−butyl−3−meth-ylphenol)(商品名:Sumilizer BBM−S)
4,4’−Thiobis(6−tert−butyl−3−methylphen-ol)(商品名:Sumilizer WX−R,WX−RA,WX−RC)
次に配合量について説明する。
本実施例では、ビニルエステル樹脂若しくはポリエステル樹脂が100重量部、過酸化物が0.1乃至10重量部、酸化防止剤が0.05乃至10重量部混合されて形成されている。
また、酸化防止剤を上記重量部範囲に設定したのは、仮に0.05重量部未満とすると、樹脂組成物や該樹脂組成物から成るプリプレグの半硬化状態における可使時間が短くなることによって積層等の作業に長時間を要する場合には該加工に不向きとなる為であり、逆に10重量部よりも多く添加すると樹脂組成物の硬化反応が進みにくくなって所望の特性を有する硬化成形物が得られなくなる為である。
また、過酸化物を上記重量部範囲に設定したのは、0.1重量部未満とすると、半硬化状態の樹脂組成物が硬化するまでに長時間を要したり硬化が未反応で終わってしまう為であり、逆に10重量部よりも多く添加すると硬化速度が速くなって例えば樹脂組成物の可使時間が短くなり、プリプレグにおいてはBステージ状態の可使時間が短くなり、所望の積層等の作業に長時間を要する場合には、該加工に不向きとなってしまう為である。
即ち、ビニルエステル樹脂若しくはポリエステル樹脂及び過酸化物を夫々所定の重量部に設定したときに、該ビニルエステル樹脂等に対して酸化防止剤の添加量が相対的に多すぎると、該酸化防止剤の作用が発揮され過ぎて樹脂組成物が硬化しにくくなってしまい、逆に酸化防止剤の添加量が相対的に少なすぎると、該酸化防止剤の作用が不十分で半硬化状態における可使時間を長くすることができなくなる。
また、ビニルエステル樹脂若しくはポリエステル樹脂及び酸化防止剤を夫々所定の重量部に設定したときに、該ビニルエステル樹脂等に対して過酸化物の添加量が相対的に多すぎると、該過酸化物の作用が発揮され過ぎ樹脂組成物の硬化速度が速くなって、上述のように、加工しにくくなって作業性に劣るものとなってしまい、逆に該過酸化物の添加量が相対的に少なすぎると、該過酸化物の作用が不十分となり、硬化するまでに長時間を要したりほとんど硬化しなくなってしまう。
本実施例の樹脂組成物を基材に設けることで、低温,短時間で硬化させることができ、しかも、半硬化状態における可使時間が長いプリプレグが製造される。
このプリプレグは、60℃乃至90℃で0.25時間乃至4時間加熱処理して、ガラス転移温度が120℃以上、且つ、層間剪断強度が50MPa以上の特性を具備している。
本実施例のガラス転移温度とは、JIS K 7244−5:プラスチック 動的機械特性の試験方法:第5部 曲げ振動−非共振法により測定される、プラスチック材料の粘弾性状からガラス状に変化する温度をいう。
また、本実施例の層間剪断強度とは、JIS K 7078:炭素繊維強化プラスチックの層間剪断強度試験方法により測定される、織物積層材の剪断強度をいう。
尚、プリプレグ以外にも、本実施例の樹脂組成物を用いて引き抜き成型品,フィラメントワインディング(FW)成型品等を製造しても良い。
次に本実施例の作用を説明する。
ビニルエステル樹脂若しくはポリエステル樹脂に、Bis(4−t−butylcyclohexyl) peroxy dicarbonate及びN,N’−ビス(3−(3,3−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル)ヒドラジン若しくはペンタエリスリチル−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)を加えると、先ず、Bis(4−t−bu-tylcyclohexyl) peroxy dicarbonateから活性なラジカルが発生する。
そして、この活性なラジカルの発生によってビニルエステル樹脂若しくはポリエステル樹脂の反応が開始される。
また、この過酸化物から常温時に発生する活性なラジカルは、主としてビニルエステル樹脂若しくはポリエステル樹脂と選択的に反応するのではなく、ペンタエリスリチル−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)等が有するベンゼン環に取り入れられ、常温時は安定した状態で存在する。
これにより、過酸化物から常温時に発生した活性なラジカルは、ビニルエステル樹脂若しくはポリエステル樹脂との反応を、通常のラジカル重合反応のような状態で継続することが無い。
即ち、ラジカルは安定した状態で存在しているため、高分子状態となるようなラジカル重合反応を抑制でき、故に、樹脂組成物のライフを伸ばすことが可能となる。但し、低温時(例えば80℃)の場合は常温時に安定に保持されているラジカルがビニルエステル樹脂若しくはポリエステル樹脂と反応を起こし、継続的なラジカル重合によって熱硬化を可能とする。
また、ビニルエステル樹脂若しくはポリエステル樹脂はラジカル重合樹脂系であり、ラジカル重合樹脂系は反応性に富むため、低温による短時間硬化が可能となる。
本実施例では、およそ60℃乃至90℃という低温環境下において、0.25時間乃至4時間という短時間でビニルエステル樹脂若しくはポリエステル樹脂を基本成分とする樹脂組成物を硬化できることを確認しており、また、この硬化した樹脂組成物は、少なくとも1カ月乃至3カ月に亙って良好に使用可能であることを確認している。
即ち、例えば、ビニルエステル樹脂若しくはポリエステル樹脂を基本成分とする樹脂組成物に酸化防止剤を加えた場合と加えない場合とでは、半硬化状態(所謂Bステージ)で存在できる時間(即ちBステージ状態の樹脂組成物を所望の成形物にレイアップし、完全硬化するまでに要する準備時間、若しくは、Bステージ状態で常温保存した場合の時間)が1カ月乃至3カ月も異なる。
本実施例は上述のように構成したから、低温,短時間で硬化させることができ、しかも、半硬化状態で常温下における可使時間が長い、極めて実用性に秀れた画期的な低温硬化性樹脂組成物となる。
これにより、本実施例は、特に大型成形物を成形する場合にも大掛かりな加熱設備を要せず、また、硬化させるためのエネルギーも小さくできることから、コスト安にして秀れた効果を発揮できる樹脂組成物を実現することができる。
本実施例では、酸化防止剤としてN,N’−ビス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル)ヒドラジン、若しくは、ペンタエリスリチル−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)を採用することで、過酸化物から発生した活性なラジカルをベンゼン環のもつ共役電子の非局在化によって安定した状態で保持することができる。
これにより、ビニルエステル樹脂若しくはポリエステル樹脂が、常温時には、通常のラジカル重合反応のように反応することが無く、よって、樹脂組成物としての半硬化状態における可使時間が短くなってしまうことを防止することができる。
また、およそ60℃乃至90℃という低温で成形可能であるため、成形設備,副資材等の面でコスト的に有利となる。尚、本実施例の樹脂組成物は、真空成形により(真空成形だけで)成形しても良い。この場合には、加圧装置を要せず、よって、より簡易に成形物を硬化することができる。
また、半硬化状態で常温下における可使時間が長いため、レイアップ(積層編成)に時間のかかる大型成形物にも十分対応することができる。
また、低温で硬化できるため、例えば加熱炉の温度管理が不安定な大型成形物を製造するに最適となる。
また、本実施例の樹脂組成物を用いることで、低温,短時間で硬化でき、更に半硬化状態で常温下における可使時間が長い(例えば45日間良好に使用可能な)プリプレグを簡易に製造することができる。
また、このプリプレグは、60℃乃至90℃で0.25時間乃至4時間加熱処理することで、ガラス転移温度が120℃以上、且つ、層間剪断強度が50MPa以上の成形物を実現することができる。尚、プリプレグは、およそ80℃で1時間加熱処理することが好ましい。
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
本実施例のラジカル反応の作用を防止する性質を有する酸化防止剤を示す説明図である。 本実施例のラジカル反応の作用を防止する性質を有する酸化防止剤を示す説明図である。

Claims (9)

  1. ビニルエステル樹脂若しくはポリエステル樹脂と、過酸化物と、常温時においてラジカル反応を防止する性質を有する酸化防止剤とから成ることを特徴とする低温硬化性樹脂組成物。
  2. 請求項1記載の低温硬化性樹脂組成物において、酸化防止剤は一分子中に二つ以上の二重結合を有する環式化合物であることを特徴とする低温硬化性樹脂組成物。
  3. 請求項2記載の低温硬化性樹脂組成物において、環式化合物は芳香族化合物であることを特徴とする低温硬化性樹脂組成物。
  4. 請求項3記載の低温硬化性樹脂組成物において、芳香族化合物として、2,4,6−トリアルキルフェノール若しくは2,4,5−トリアルキルフェノールを含む芳香族化合物が採用されていることを特徴とする低温硬化性樹脂組成物。
  5. 請求項4記載の低温硬化性樹脂組成物において、2,4,6−トリアルキルフェノール若しくは2,4,5−トリアルキルフェノールを含む芳香族化合物は、2,4,6−トリアルキルフェノール若しくは2,4,5−トリアルキルフェノールの少なくとも1つのアルキル基がt−ブチル基である芳香族化合物であることを特徴とする低温硬化性樹脂組成物。
  6. 請求項5記載の低温硬化性樹脂組成物において、t−ブチル基はヒドロキシル基の両隣に設けられていることを特徴とする低温硬化性樹脂組成物。
  7. 請求項1〜8いずれか1項に記載の低温硬化性樹脂組成物において、ビニルエステル樹脂若しくはポリエステル樹脂が100重量部、過酸化物が0.1乃至10重量部、更に酸化防止剤が0.05乃至10重量部混合されて成ることを特徴とする低温硬化性樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7いずれか1項に記載の低温硬化性樹脂組成物を基材に設けて成ることを特徴とする低温硬化性樹脂組成物を用いたプリプレグ。
  9. 請求項8記載の低温硬化性樹脂組成物を用いたプリプレグにおいて、60℃乃至90℃で0.25時間乃至4時間加熱処理して、ガラス転移温度が120℃以上、且つ、層間剪断強度が50MPa以上の特性を具備せしめたことを特徴とする低温硬化性樹脂組成物を用いたプリプレグ。
JP2003369406A 2003-10-29 2003-10-29 低温硬化性樹脂組成物及び低温硬化性樹脂組成物を用いたプリプレグ Expired - Fee Related JP3987479B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003369406A JP3987479B2 (ja) 2003-10-29 2003-10-29 低温硬化性樹脂組成物及び低温硬化性樹脂組成物を用いたプリプレグ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003369406A JP3987479B2 (ja) 2003-10-29 2003-10-29 低温硬化性樹脂組成物及び低温硬化性樹脂組成物を用いたプリプレグ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005132923A true JP2005132923A (ja) 2005-05-26
JP3987479B2 JP3987479B2 (ja) 2007-10-10

Family

ID=34646772

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003369406A Expired - Fee Related JP3987479B2 (ja) 2003-10-29 2003-10-29 低温硬化性樹脂組成物及び低温硬化性樹脂組成物を用いたプリプレグ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3987479B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006049374A (ja) * 2004-07-30 2006-02-16 Matsushita Electric Works Ltd 電気用コンポジット白色積層板
JP2006045266A (ja) * 2004-07-30 2006-02-16 Matsushita Electric Works Ltd 電気用白色積層板
JP2016203397A (ja) * 2015-04-15 2016-12-08 東邦テナックス株式会社 プリプレグ製造方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006049374A (ja) * 2004-07-30 2006-02-16 Matsushita Electric Works Ltd 電気用コンポジット白色積層板
JP2006045266A (ja) * 2004-07-30 2006-02-16 Matsushita Electric Works Ltd 電気用白色積層板
JP4595430B2 (ja) * 2004-07-30 2010-12-08 パナソニック電工株式会社 Ledを実装するプリント配線板用基板
JP4595429B2 (ja) * 2004-07-30 2010-12-08 パナソニック電工株式会社 Ledを実装するプリント配線板用積層板
JP2016203397A (ja) * 2015-04-15 2016-12-08 東邦テナックス株式会社 プリプレグ製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3987479B2 (ja) 2007-10-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6620877B2 (ja) 硬化性樹脂組成物、並びにこれを用いたフィルム、成形品、プリプレグ及び繊維強化プラスチック
JP6952684B2 (ja) 硬化樹脂用組成物及びその硬化物
JP2009051954A (ja) 光および加熱硬化性組成物とその硬化物
WO2014203779A1 (ja) エンチオール系硬化性組成物およびその硬化物
KR20160087863A (ko) 가역적 가교결합을 갖는 디엔-관능화된 (메트)아크릴레이트 및(이종-)디엘스-알더 친디엔체 기반 성형품
JP2011102345A (ja) ポリマレイミド系組成物
JP3987479B2 (ja) 低温硬化性樹脂組成物及び低温硬化性樹脂組成物を用いたプリプレグ
BR9404724A (pt) Composição para enrolamento de filamento compósito de fibra/resina compósito de fibra de grafite e compósito de fibra de vidro
JP4843256B2 (ja) 硬化促進剤
JP2012201816A (ja) ポリマレイミド系組成物
JP2017214536A (ja) ラジカル硬化性組成物
EP3898792A1 (en) Improved thermocurable moulding process
CN114829432B (zh) 自由基聚合性树脂组合物及其固化物
JP2012201751A (ja) ポリマレイミド系組成物
JP2000313796A (ja) 引き抜き成形用樹脂組成物およびこれを用いた引き抜き成形方法
JPS60195119A (ja) エポキシ樹脂組成物
EP4017904A1 (en) Improved thermocurable moulding process
JP5526700B2 (ja) ポリマレイミド系組成物
KR20230154829A (ko) 말레이미드 및 티올을 포함하는 경화성 접착제 조성물
WO2017200082A1 (ja) 炭素繊維強化樹脂用組成物、炭素繊維強化樹脂組成物、硬化物
US20240279415A1 (en) Prepreg production method and prepreg
JP2012197372A (ja) ポリマレイミド系組成物
JP2010138280A (ja) プライマー組成物、電気絶縁用注型品およびその製造方法
JPS63152645A (ja) プリプレグ
DE102022120396A1 (de) Verwendung einer härtbaren und wiederlösbaren Masse zur Herstellung eines Bauteils, und Masse dafür

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050315

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070206

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070215

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070416

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070614

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070712

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100720

Year of fee payment: 3

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100720

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110720

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110720

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120720

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120720

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130720

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees