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JP2005119217A - インクジェット記録材料及びこれを用いたインクジェット画像形成方法 - Google Patents

インクジェット記録材料及びこれを用いたインクジェット画像形成方法 Download PDF

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JP2005119217A JP2003358748A JP2003358748A JP2005119217A JP 2005119217 A JP2005119217 A JP 2005119217A JP 2003358748 A JP2003358748 A JP 2003358748A JP 2003358748 A JP2003358748 A JP 2003358748A JP 2005119217 A JP2005119217 A JP 2005119217A
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健次 藪田
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Mitsubishi Paper Mills Ltd
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Abstract

【課題】本発明は、インクジェット記録方式においてインク吸収性、画像鮮明性に優れたインクジェット画像が得られ、更に高光沢で耐オゾン性が良く、また表裏でインク付着量が大きく異なる場合でも、記録後のカール特性の良いインクジェット記録材料を提供することを目的とするものである。
【解決手段】支持体の両面に無機超微粒子及び熱可塑性有機高分子微粒子の混合物を含有するインクジェット記録層を設けたインクジェット記録材料において、該無機超微粒子の平均二次粒子径が300nm以下であり、且つ支持体の片面の熱可塑性有機高分子微粒子の平均粒子径が300nm以下であり、更に支持体の他面の熱可塑性有機高分子微粒子の平均粒子径が0.1μm以上10μm以下であることを特徴とするインクジェット記録材料。又画像形成後加熱により光沢性、耐オゾン性の更に良好なインクジェット記録材料を提供するインクジェット画像形成方法。
【選択図】 なし。

Description

本発明は、インクジェット記録材料及びこれを用いたインクジェット画像形成方法に関するものであり、インク吸収性、画像鮮明性に優れると共に、光沢性、耐オゾン性にも優れ、更に表裏で印字条件が変わった場合でも、記録後に良好なカール性を示すインクジェット記録材料及びこれを用いたインクジェット画像形成方法に関するものである。
インクジェット記録方式は、種々の作動原理によりインクの微小液滴を飛翔させて紙等の記録材料に付着させ、画像、文字等の記録を行なうものであるが、高速、低騒音、多色化が容易、記録パターンの融通性が大きい、現像−定着が不要等の特徴があり、漢字を含め各種図形及びカラー画像等の記録装置として種々の用途において急速に普及している。又、多色インクジェット方式により形成される画像は、製版方式による多色印刷やカラー写真方式による印画に比較して、遜色のない記録を得ることが可能であるし、更に、作成部数が少なくて済む用途においては、写真技術によるよりも安価であることから、フルカラー画像記録分野にまで広く応用されつつある。
インクジェット記録方式で使用される記録材料としては、通常の印刷や筆記に使われる上質紙やコーテッド紙を使うべく、装置やインク組成の面から努力がなされてきた。しかし、装置の高速化・高精細化或はフルカラー化等インクジェット記録装置の性能の向上や用途の拡大に伴い、記録材料に対してもより高度な特性が要求されるようになった。即ち、当該記録材料としては、印字ドットの濃度が高く、色調が明るく鮮やかであること、インクの吸収が早くて印字ドットが重なった場合においてもインクが流れ出したり滲んだりしないこと、印字ドットの横方向への拡散が均一で必要以上に大きくなく、且つ周辺が滑らかでぼやけないこと、経時や環境で画質の変化がないこと例えば、耐オゾン性に優れていること等が要求される。
このような要求に対して、従来からいくつかの提案が行われてきた。例えば、無機超微粒子を主体とするインクジェット記録層を設けることで、光沢性とインク吸収性に優れるインクジェット記録材料が提案された。
無機超微粒子としては、例えば、球状、数珠状、カチオン変性などのコロイダルシリカ、気相法により合成されたシリカ、不定形、ベーマイト、擬ベーマイトなどのアルミナ水和物、シリカ/アルミナハイブリッドゾル、スメクタイト粘土などの種々なものが知られている。
しかしながら、かかる無機超微粒子の欠点としては、オゾン、光などによる色素の退色が進行しやすく、耐オゾン性などの保存性に劣ることなどが挙げられ、これらの問題は未だに解決はなされていなかった。
一方、インクジェット記録材料は用途の多様化が進み、従来は片面タイプが主流であったが、近年両面タイプの用途分野が増加してきた。両面記録書類、通信葉書、両面写真、両面パンフレット及び広告類への供給要求である。この市場要求に対し、各インクジェット記録材料メーカーは、両面マットタイプ、片面マット片面強光沢タイプ、片面マット片面半光沢タイプの両面インクジェット記録材料を開発し供給を始めた。しかし、特にカラー用途で供給要求の強い両面光沢インクジェット記録材料については、安定した製造が難しいという製造技術面の問題もあり、開発が遅れていた。
また、従来提案されている両面インクジェット記録用紙では、カールの改良は不十分である。特開平9−286166号(特許文献1)に記載のインクジェット記録用紙においては、同一量のインク滴が付着して形成されるドット径を表裏で異なるようにすることにより、インク量を変えずに解像度のみを変化させることを可能にして、カールを改良しているが、片面だけに印字された場合や表裏で印字のインク量が大きく異なる場合に、印字物を高温あるいは低温、高湿あるいは低湿下に放置するとカールが発生する(環境カール)という問題があった。
かかる環境カールの改良に関しては、特開2002−29147号(特許文献2)に支持体の両面に少なくとも無機微粒子層及び熱可塑性微粒子層を積層する構成のインクジェット記録用紙が提案されており、無機微粒子層の上部に更に熱可塑性微粒子層を設けて無機微粒子層のインク吸収による拡がりを抑えることにより、インク量が変わった場合でもカールの発生を抑えることができるとしているが、支持体の両面に多層塗布する複雑な構成から塗布量の量的なバランスが難しく、環境条件によってはカールの改良が困難であるのみならず、印字後の加熱により熱可塑性微粒子層を緻密化する際に、隣接する無機微粒子層中の気泡が混ざり十分に緻密化されたフィルムが形成されないので、かかる多層構造では光沢性や耐オゾン性に劣ると云う問題があった。
特開平9−286166号公報 特開2002−29147号公報
本発明は、インクジェット記録方式において、単層の場合でも十分なインク吸収性、画像鮮明性に優れて高光沢で耐オゾン性に優れたインクジェット画像が得られると共に、表裏で印字条件が変わった場合でも、記録後のカール特性が良好なインクジェット記録材料及びこれを用いたインクジェット画像形成方法に関するものである。
本発明の目的は、以下のインクジェット記録材料によって基本的に達成された。
(1)支持体の両面に無機超微粒子及び熱可塑性有機高分子微粒子の混合物を含有するインクジェット記録層を設けたインクジェット記録材料において、該無機超微粒子の平均二次粒子径が300nm以下であり、且つ支持体の片面の熱可塑性有機高分子微粒子の平均粒子径が300nm以下であり、更に支持体の他面の熱可塑性有機高分子微粒子の平均粒子径が0.1μm以上10μm以下であることを特徴とするインクジェット記録材料によって達成された。
(2)インクジェット記録層中の無機超微粒子/熱可塑性有機高分子微粒子の質量比が2以上20以下であることが好ましい。
(3)上記インクジェット記録材料に印字した後、該インクジェット記録材料を加熱することにより熱可塑性有機高分子微粒子を加熱緻密化することで更に耐オゾン性に優れた高光沢なインクジェット記録材料を得るインクジェット画像形成方法。
(4)上記のインクジェット画像形成方法において、該加熱緻密化する方法が加熱、加圧されたロールの間を通すことにより加熱緻密化する方法であり、該加圧ロールによるインクジェット記録材料にかかる圧力が面圧0.1〜2.5MPaであるインクジェット画像形成方法。
本発明によれば、支持体の両面に無機超微粒子及び熱可塑性有機高分子微粒子の混合物を含有するインクジェット記録層を設けたインクジェット記録材料において、該無機超微粒子の平均二次粒子径が300nm以下であり、且つ該熱可塑性有機高分子微粒子の平均粒子径が表裏で異なることで、表裏でインク付着量が大きく異なる場合でも印字後のカール特性が良好で、更に印字後加熱することで、インクジェット記録層中の無機超微粒子が溶融樹脂で被覆される為、極めて光沢性、耐オゾン性が良好で更に画質、インク吸収性にも優れたインクジェット記録材料が得られる。又、両面を単層構成にできるため、生産時工程的にもかなり有利であり、産業上有用である。
以下、本発明のインクジェット記録材料及びこれを用いたインクジェット画像形成方法について、詳細に説明する。
上記記録材料の支持体としては、従来公知のものがいずれも使用でき、例えば、a)LBKP、NBKPなどの化学パルプ、GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGPなどの機械パルプ、DIPなどの古紙パルプなどの天然パルプと従来公知の顔料を主成分として、バインダーおよびサイズ剤や定着剤、歩留まり向上剤、カチオン化剤、紙力増強剤などの各種添加剤を1種以上用いて混合したスラリーを用い、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機などの各種装置で抄造された非塗工紙類;
b)非塗工紙に、澱粉、ポリビニルアルコールなどでのサイズプレスやアンカーコート層を設けた紙や、それらの上にコート層を設けたアート紙、コート紙、キャストコート紙などの塗工紙類;
c)マシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダーなどのカレンダー装置を用いて平滑化処理を施したような非塗工紙類;
d)非塗工紙あるいは塗工紙の両面または片面に溶融押し出し法などにて高密度、或は低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルなどをコートしたレジンコート紙類;
e)ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコールなどの透明合成樹脂フィルムやこれら材料に顔料、発泡剤などを含有して透明度を低下させた半透明合成樹脂フィルム類;
f)ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、アクリル酸エステル類などの熱可塑性樹脂と炭酸カルシウム、タルク、シリカ、焼成クレーなどの無機顔料を混合して延伸積層した合成紙等;
g)あるいはこれら支持体の表面にコロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理、アンカー層塗工処理などの易接着性を改良したようなものを好適に用いることができる。
さらに、これらの支持体には、マシンカレンダー、スーパーカレンダー、グロスカレンダー、艶消しカレンダー、摩擦カレンダー、ブラシカレンダーなどのカレンダー処理を行うことができる。支持体の坪量としては、通常50〜300g/m2程度のものが用いられる。
本発明に使用される無機超微粒子としては、例えば、気相法により合成されたシリカ、不定形、ベーマイト、擬ベーマイトなどのアルミナ水和物、シリカ/アルミナハイブリッドゾル、スメクタイト粘土などの種々なものが知られており、二次平均粒子径が300nmであればいずれも好適に使用されるが、特にアルミナ微粒子、気相法シリカがインク吸収性、画像鮮明性の点で好ましい。
アルミナ微粒子としては、各種のアルミナ化合物が用いられる。一般にジブサイト、バイヤライトまたはベーマイトなどの水酸化アルミニウムを加熱することによりその結晶形をχ→κ→α、γ→δ→θ→α、η→θ→α、ρ→η→θ→αまたは擬γ→θ→αの様に各種の中間アルミナを経てα−アルミナに遷移させ、粒径を成長させ得ることが知られている(例えば電気化学、28巻(1960)、p302、船木・清水;アルミナ水和物およびアルミナについて、アルミナ水和物の熱変化例参照)。また、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、および硝酸アルミニウムなどのアルミニウム塩を熱分解することによって、無定形アルミナからγ−、δ−またはθ−などの中間アルミナを経てα−アルミナに遷移させ得ることも知られている(例えば鉱物学雑誌、19巻、1号(1990)、p21、p41参照)。本発明のインクジェット記録材料に含有されるアルミナ微粒子は、δ−またはγ−アルミナより選ばれ、平均二次粒子径が、300nm以下の粒子であればよく、その形状などに特に限定はない。
アルミナ微粒子を分散、粉砕、解叩するには、ホモミキサー、超音波ホモジナイザー、圧力式ホモジナイザー、ナノマイザー、高速回転ミル、ローラミル、容器駆動媒体ミル、媒体攪拌ミル、ジェットミル、サンドグラインダー等が用いられるが、より効果的に分散あるいは粉砕するためには圧力式分散方法を用いることが好ましい。また、酢酸、硝酸、乳酸、塩酸等の酸を添加すると効率がよい。本発明において圧力式分散方法とは、原料粒子のスラリー状混合物をオリフィス中で高圧で連続的に通過させ、 高圧粉砕する方法であり、処理圧力は19.6×106〜343.2×106Pa、より好ましくは49.0×106〜245.3×106Pa、さらに好ましくは、98.1×106〜196.2×106Paである。上記高圧粉砕により処理することで良好な分散あるいは粉砕が達成できる。さらに高圧でオリフィスを通過したスラリー状混合物を対向衝突させることによる分散、或いは粉砕方法を用いることがより好ましい。対向衝突による方法は、分散液を加圧することによって入口側に導き、分散液を二つの通路に分岐し、さらに流路をオリフィスにより狭めることによって、流速を加速して対向衝突させて粒子を衝突させて粉砕する。分散液を加速したり衝突させたりする部分を構成する材料としては、材料の摩耗を抑えるなどの理由からダイヤモンドが好ましく用いられる。高圧粉砕機としては、圧力式ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、マイクロフルタイザー、ナノマイザーが用いられ、特に高速流衝突型ホモジナイザーとしてマイクロフルタイザー、ナノマイザーが好ましい。
又、本発明のアルミナ微粒子としてアルミナ水和物微粒子を選択することも可能であり、下記の一般式により表すことができる。
Al23・nH2
アルミナ微粒子は組成や結晶形態の違いにより、ジプサイト、バイヤライト、ノルストランダイト、ベーマイト、ベーマイトゲル(擬ベーマイト)、ジアスポア、無定形非晶質等に分類される。中でもベーマイトおよび擬ベーマイトは、上記の式中のnの値が1である場合はベーマイト構造のアルミナ微粒子を表し、nが1を越え3未満である場合は擬ベーマイト構造のアルミナ微粒子を表す。nが3以上では非晶質構造のアルミナ微粒子を表す。好ましいアルミナ微粒子は、少なくともnが1を越え3未満の擬ベーマイト構造を有するアルミナ微粒子である。
アルミナ微粒子より構成されるキセロゲルが十分なインク吸収容量を有するには、キセロゲルの細孔容積が0.3乃至0.8ml/gの範囲であることが好ましく、特に、0.4乃至0.6ml/gの範囲であることが好ましい。インク受容層の細孔容積が大きい場合にはインク受容層にひび割れや粉落ちが発生し、細孔容積が小さい場合にはインクの吸収が遅くなる。更に、単位面積当たりのインク受容層の溶媒吸収量は5ml/m2以上、特に10ml/m2以上であることが好ましい。単位面積当たりの溶媒吸収量が小さい場合には、特に多色印刷を実施した場合にインクが溢れることがある。
アルミナ微粒子がインク中の染料を十分に吸収し、定着するにはBET比表面積が70乃至300m2/gの範囲であることが好ましい。BET比表面積が大きすぎると細孔径分布が小さい方へ片寄って、インク中の染料の定着効率が悪くなり、画像の滲みが発生する。逆に、BET比表面積が小さすぎるとアルミナ微粒子の分散が困難となる。
アルミナ微粒子の形状は、平板状、繊維状、針状、球状、棒状等のいずれでもよく、インク吸収性の観点から好ましい形状は平板状である。平板状のアルミナ微粒子は、平均アスペクト比3〜8であり、好ましくは平均アスペクト比が3〜6である。アスペクト比は、粒子の「厚さ」に対する「直径」の比で表される。ここで粒子の直径とは、アルミナ微粒子を電子顕微鏡で観察したときの粒子の投影面積に等しい円の直径を表す。アスペクト比が上記の範囲より小さい場合は、インク受容層の細孔径分布が狭くなり、インク吸収性が低下する。一方アスペクト比が上記の範囲を超える場合は、粒子を揃えてアルミナ微粒子を製造することが困難となる。
アルミナ微粒子は、アルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミニウム塩のアルカリによる中和、アルミン酸塩の加水分解等の公知の方法によって製造することができる。また、アルミナ微粒子の粒子径、細孔径、細孔容積、比表面積、表面水酸基の数等は、析出温度、熟成時間、液pH、液濃度および共存塩類等によって制御することができる。
アルミナ微粒子を得る方法としては、特開昭57−88074号公報、同62−56321号公報、特開平4−275917号公報、同6−64918号公報、同7−10535号公報、同7−267633号公報、米国特許第2,656,321号、Am.Ceramic Soc.Bull.、54、289(1975)等にアルミニウムアルコキシドを加水分解する方法が開示されている。アルミニウムアルコキシドとしては、イソプロポキシド、プロポキシド、2−ブトキシドなどが挙げられる。
その他のアルミナ微粒子を得る方法としては、特開昭54−116398号公報、同55−23034号公報、同55−27824号公報、同56−120508号公報に例示されているが如きアルミニウムの無機塩またはその水和物を原料として得る方法が一般的である。これらの無機塩としては、例えば塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、アンモニウムミョウバン、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム、水酸化アルミニウム等やそれらの水和物を挙げることができる。
本発明に用いられる気相法シリカは、乾式法とも呼ばれ、一般的には火炎加水分解法によって作られる。具体的には四塩化ケイ素を水素及び酸素と共に燃焼して作る方法が一般的に知られているが、四塩化ケイ素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も、単独または四塩化ケイ素と混合した状態で使用することができる。気相法シリカは日本アエロジル株式会社からアエロジルとして市販されており入手することができる。
本発明に用いられる気相法シリカの一次粒子の平均粒径は50nm以下であり、好ましくは5〜30nmである。又平均二次粒子径は300nm以下である。湿式法によるコロイダルシリカは、一次粒子径は数nm〜数10nmと非常に小さいが、一次粒子として孤立して存在するために、塗膜を形成した場合粒子が密な状態で存在するため、インク受容層に用いたとき、空隙性が乏しくインク吸収性を低下させる。また、数μmから数10μmの二次凝集シリカ粒子は、インク吸収性は高いが、画質を低下させる。一方、本発明の気相法シリカの特徴は、一次粒子が網目構造または鎖状につながりあって二次的に凝集した状態で存在することであり、これによって、高いインク吸収性が得られる。また一次粒子径が非常に小さいため、高画質の画像を得ることができる。
本発明に用いられる無機超微粒子の平均二次粒子径は、動的光散乱法により測定されたものである。動的光散乱法は半導体レーザーから発射された光を分散媒体中の粒子に照射し、粒子から反射された光から粒子径を解析する方法であり、凝集している粒子全体の大きさを求める事が出きる。動的光散乱法による平均二次粒子径は、動的光散乱法粒子径測定装置コールターN4(コールター社製)を用いて測定した。
本発明に用いられる無機超微粒子を含むインクジェット記録層には、他の無機あるいは実質的に熱可塑性がない有機の微粒子を、無機超微粒子100質量部に対して20質量部以内で配合することも出来る。
無機あるいは有機の微粒子としては、従来公知の各種顔料を用いることができる。例えば、シリカ(コロイダルシリカ、湿式法非晶質シリカ)、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、ケイソウ土、珪酸カルシウム、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、水酸化マグネシウム、などの無機顔料、更にマイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等を挙げることができる。
本発明のインクジェット記録層に用いられる熱可塑性有機高分子微粒子は、無水マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系共重合体ラテックス;アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重合体又は共重合体、アクリル酸及びメタクリル酸の重合体又は共重合体等のアクリル系重合体ラテックス;エチレン酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス;或いはこれらの各種重合体のカルボキシル基等の官能基含有単量体による官能基変性重合体ラテックスなどを単独で、あるいは混合して用いることができる。
支持体の片面のインクジェット記録層中に用いられてる熱可塑性有機高分子微粒子の平均粒子径は300nm以下と極めて小さい為、特に可視光の低波長領域(400nm程度)の光を散乱させることがほとんどないことから、得られる画像の透明性も向上しており、鮮明な画像が得られ、特にインク付着量の多い写真画像の形成に適している。熱可塑性有機高分子微粒子の平均粒子径も無機超微粒子と同様な動的光散乱法で測定された値である。
上記平均粒子径300nm以下の熱可塑性有機高分子微粒子は、アニオン性又はカチオン性であることが好ましい。このようなポリマー微粒子は、通常アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、スチレン及びスチレン誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種のモノマーを、分子中に炭素−炭素二重結合を1個又は2個以上(好ましくは2個以上)有する乳化剤を用いて乳化重合することにより得ることができる。
アクリル酸アルキルエステルおよびメタクリル酸アルキルエステルの例としては、アルキルの炭素原子数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸iso−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸iso−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリルを挙げることができる。スチレン及びスチレン誘導体の例としては、スチレン、α−メチルスチレン及びビニルトルエンを挙げることができる。
上記モノマー以外に、上記モノマーと共重合可能なモノマーを全モノマー量の50質量%以下の量で使用しても良い。例えば、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のアニオン性ビニルモノマー;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートおよび第4級アンモニウム塩を有するビニルモノマー等のカチオン性ビニルモノマー;及び(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピルおよび(メタ)アクリロイルオキシフォスフェート等のノニオン性ビニルモノマーを挙げることができる。
上記モノマーに加えて更に、架橋性ビニルモノマーを全モノマー量の5質量%以下の量で使用しても良い。例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサメチレンビス(メタ)アクリルアミド、ジビニルベンゼン等の二官能性モノマー;1,3,5−トリアクリロイルヘキサヒドロ−S−トリアジン及びトリアリルイソシアヌレート等の三官能性モノマー;テトラメチロールメタンテトラアクリレート及びN,N,N’,N’−テトラアリル−1,4−ジアミノブタン等の四官能性モノマーを挙げることができる。
上記分子中に炭素−炭素二重結合を1個又は2個以上(好ましくは2個以上)有する乳化剤の、その炭素−炭素二重結合の例としては、(メタ)アリル基、1−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、ビニル基、イソプロペニル基及び(メタ)アクリロイル基を挙げることができる。これらの中で(メタ)アクリロイル基が好ましい。上記乳化剤は、疎水基と共に乳化作用を示すためのカチオン性基またはアニオン性基(親水性基)を有している。カチオン性基は、インクを保持する機能が大きいため、色材受容層の耐水性が向上するので好ましい。カチオン性基またはアニオン性基(親水性基)としては、−COOH、−COOM、−OSO3M、−N(R1)(R2)(R3)、−OH、−PO(OM)2 、(−O)3P、(−O)2P(OH)−、−OP(OH)2 、−OPO(OM)2 、(−O)2PO(OM)、(−O)3PO及び−(OR)−[但し、MはNaまたはKを表わし、R1、R2及びR3はそれぞれ独立に水素原子、アルキル、アラルキル又はヒドロキシアルキルを表わし、そしてRはエチレンまたはプロピレンを表わす]を挙げることができる。これらの中で、−N(R1)(R2)(R3)[R1、R2及びR3はそれぞれ独立に水素原子、アルキル又はヒドロキシアルキルを表わし、少なくとも1個の基はアルキル又はヒドロキシアルキルである]で表されるカチオン性基が好ましい。上記乳化剤は、通常の乳化剤の役割と重合性(架橋性)モノマーの役割を担っており、したがって得られるポリマー微粒子の表面は上記のようなカチオン性基またはアニオン性基が存在している。勿論ポリマー微粒子の内部に存在する場合もある。
乳化剤の例としては、上記炭素−炭素二重結合を分子中に2個以上有するポリオキシエチレンアルキルエーテルのスルホコハク酸エステル塩、上記炭素−炭素二重結合を分子中に2個以上有するポリオキシエチレンアルキルエーテルの硫酸エステル塩、上記炭素−炭素二重結合を分子中に2個以上有するポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルのスルホコハク酸塩、上記炭素−炭素二重結合を分子中に2個以上有するポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルの硫酸エステル塩、酸性リン酸(メタ)アクリル酸エステル系分散剤、オリゴエステル(メタ)アクリレートのリン酸エステルもしくはそのアルカリ塩、及び親水性アルキレンオキサイド基を有するポリアルキレングリコール誘導体のオリゴエステルポリ(メタ)アクリレートを挙げることができる。これらの市販されている製品としては、KAYAMER PM−2(日本化薬(株)製)、ニューフロンティアA−229E(第一工業製薬(株)製)、ニューフロンティアN−250Z(第一工業製薬(株)製)等を挙げることができる。
上記分子中に炭素−炭素二重結合を2個以上有する乳化剤を使用する場合は、分子中に炭素−炭素二重結合を1個有する乳化剤を全乳化剤の60質量%以下の割合で含んでいても良い。また、上記分子中に炭素−炭素二重結合を1個又は2個以上有する乳化剤は、通常のアニオン性乳化剤、カチオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤を含んでいても良い。上記分子中に炭素−炭素二重結合を1個又は2個以上有する乳化剤の添加量は、前記全モノマー量100質量部に対して、通常1〜20質量部であり、3〜10質量部が好ましい。
本発明の熱可塑性有機高分子微粒子は、上記材料を用いて、公知の乳化重合法により得ることができる。例えば、反応容器に上記乳化剤及び水を投入し、これに前記モノマーを加えて乳化した後、ラジカル重合開始剤を加え、攪拌下に加温してモノマーを重合させることにより上記熱可塑性有機高分子微粒子を得ることができる。ビニルモノマーの添加は、一括滴下、分割滴下のいずれでも良い。また、このような材料の濃度は、最終的に得られる反応液(分散液)中の固形分濃度が、通常20〜50質量%となるように、好ましくは30〜45質量%となるように調整される。反応時のpHは3〜9の範囲が好ましく、反応温度は、重合開始剤が活性化する温度であれば良く、通常40〜90℃であり、50〜80℃が好ましい。反応時間は通常30分〜2時間である。
上記ラジカル重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、過酸化水素、水溶性のアゾ系の開始剤等の水溶性のラジカル重合開始剤;あるいは上記過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム等の還元剤とを組み合わせたレドックス系重合開始剤を挙げることができる。レドックス系重合開始剤が好ましい。ラジカル重合開始剤の添加量は、全モノマー量の0.05〜5質量%が好ましく、特に0.1〜3質量%が好ましい。また得られるポリマー微粒子を透明性の超微粒子にするため、重合促進剤として遷移金属イオンの存在下に上記重合を行なうことが好ましい。このようにして得られる上記乳化剤により熱可塑性有機高分子微粒子は、表面に上記乳化剤が重合により粒子に結合した状態で存在しており、このため、その表面にはアニオン性基、カチオン性基(親水性基)が存在することになる。従って、インクジェットの水性インクをその表面で容易に吸着することができ、アニオン性基、カチオン性基等が有効に働くことができる。このような親水性基は、使用する乳化剤の種類、量、そして反応方法により熱可塑性有機高分子微粒子の内部にも存在することになる。
支持体の他方の面のインクジェット記録層中に用いられる熱可塑性有機高分子微粒子の平均粒子径は0.1μm以上10μm以下であることが好ましい。上記の面よりインク付着量の少ない文字情報等の印字に適している。熱可塑性有機高分子微粒子の平均粒子径が0.1μmに満たない場合は、表裏でインク付着量が異なると環境カールを起こしやすく、熱可塑性有機高分子微粒子の平均粒子径が10μmを越える場合は、インクのドットが不均一になり印字性の低下が生ずるおそれがある。
更に、通常熱可塑性有機高分子に使われるような紫外線吸収剤、酸化防止剤、離型剤、光安定剤等を付与することは、形成された熱可塑性有機高分子被膜の劣化を防ぎ、更にインクジェット画像の染料の耐光性を向上させるために望ましい。
本発明において、インクジェット記録層中の無機超微粒子/熱可塑性有機高分子微粒子の質量比は2以上20以下であることが好ましい。この比が2未満であるとインクの吸収性が悪化する。又、この比が20を越える場合には加熱処理で熱可塑性有機高分子微粒子を被膜化した際の光沢性や耐オゾン性が悪化したり、選択する無機超微粒子によっては画像がくすんで画質が悪化する場合がある。インクジェット記録層の全固形分に対して無機超微粒子は20〜80質量%の範囲である事が好ましく、20質量%未満ではインク吸収性が悪化し、80質量%を越えると光沢性、耐オゾン性が悪化する。又、インクジェット記録層の全固形分に対して熱可塑性有機高分子微粒子は2〜30質量%の範囲である事が好ましく、2質量%未満では光沢性、耐オゾン性が悪化する傾向があり、30質量%を越えるとインク吸収性が低下する傾向がある。
熱可塑性有機高分子微粒子の最低成膜温度は60℃以上150℃以下であることが好ましい。本発明で言う最低成膜温度とは、熱可塑性有機高分子微粒子が加熱により粒子状から連続被膜に変化する温度であり、次の様にして測定した。第一に、PETフィルム上に熱可塑性有機高分子微粒子の水分散液を乾燥固形分で5g/m2となるように均一に塗布し、測定用試料とした。第二に、該測定用試料にシリコーン離型フィルムを介して市販のラミネータを異なる温度水準において18cm/分の速度で通過させ、連続被膜を形成したとみなされる最低温度を最低成膜温度とした。連続被膜形成の判断基準は、1)塗布層が透明化する、2)塗布層が平滑化する、3)鋭利な器物で表面を擦って得られる塗布層からの脱落物が非連続体ではなく連続被膜状である、の3項目を満たすこととした。最低成膜温度が60℃より低いとインクジェット記録層を塗工後乾燥時に高温乾燥が不可能となり、操業性が著しく低下したり、インク吸収性が悪化する。最低成膜温度が150℃より高いと被膜化を行うために高温が必要となったり、支持体が熱で歪んだり破壊される場合があり、また光沢度や耐オゾン性の低下を招き易く、好ましくない。
本発明に用いられるインクジェット記録層には、バインダーとして高分子化合物を含んでもよい。好ましい高分子化合物としては、顔料の保護コロイドとして機能し、且つ、インクジェット記録層としてインクと親和性を有する化合物であれば、如何なる化合物でもよい。
バインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、酸化澱粉、エーテル化澱粉、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、シリル変性ポリビニルアルコール等やメラミン樹脂、尿素樹脂等の熱硬化合成樹脂系等の水性バインダーを挙げることができ、少なくとも1種以上で使用することができる。又、従来公知の染料を定着する目的として添加するカチオン性樹脂を併用することもできる。
バインダーの総量は、目的とするインクジェット記録材料の特性に合わせて、適宜調整することが出来るが、一般には、無機顔料及びその他の無機あるいは有機の微粒子100質量%に対して、5〜60質量%である。このインクジェット記録層は塗工量(乾燥固形分)として、5g/m2〜50g/m2が好ましい。更に、その他の添加剤として、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防バイ剤、染料定着剤(カチオン性高分子)、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤、架橋剤等を適宜配合することもできる。
これらのインクジェット記録層を塗工する方法としては、各種ブレードコータ、ロールコータ、エアーナイフコータ、バーコータ、ロッドコータ、ゲートロールコータ、カーテンコータ、ショートドウェルコータ、グラビアコータ、フレキソグラビアコータ、サイズプレス、フィルムトランスファーロールコータ、スライドホッパー方式等の各種装置をオンマシン或はオフマシンで用いることができる。
又、塗工後には、マシンカレンダー、熱カレンダー、スーパーカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダーを用いて仕上げても良い。
本発明のインクジェット記録材料は、インクジェット記録画像を記録することで、そのままでも十分に画像鮮明性、インク吸収性に優れたインクジェット記録材料を提供するが、更にインクジェット記録後に、インクジェット記録材料を加熱して熱可塑性有機高分子微粒子を溶解、又は融解し被膜化する事で、更にインクジェット記録層中の空隙が被膜化処理で埋められることにより高光沢で耐オゾン性にも優れたインクジェット記録材料を得る事が出来る。
本発明におけるインクジェット記録した記録材料を加熱により熱可塑性微粒子を加熱緻密化処理して画像を得る画像形成方法としては、熱可塑性微粒子の最低成膜温度以上の温度で行えばよく、その加熱手段としては特に制限はない。加熱は記録物の表面または裏面、更には両面からでも良い。また、加熱処理時に加圧処理を併用しても良い。この時、加熱処理による溶融が加圧処理により促進されるため、樹脂の緻密化が促進され、より短時間に処理が行える。好ましくは、ラミネート等に用いられるロール状の熱ロールを通過させ、その後冷却ロールを通過させて加熱処理を完了させる。この時ロールの表面を鏡面にすればより平滑な表面が得られ、ロールの表面に形状をもたせればマット状の表面を得ることも可能である。
本発明におけるインクジェット記録材料の加熱手段としては特に制限はない。具体的には熱風を直接当てる、アイロンを当てる、大判プリンター出力画像の後処理によく使われているラミネーター等の加熱ロールの間を通す、写真の乾燥等に使われる加熱鏡面ドラムに密着させるフェロタイプ乾燥器を用いる等の方法が挙げられる。これらの方法の中でも均一に大判が加熱処理できることから加圧されたロールの間を通すことにより加熱緻密化することができるラミネーターを用いる方法がより好ましく、さらに、該加圧ロールにより加えられる圧力が面圧として0.1〜2.5MPaであることが好ましい。面圧が0.1MPaよりも小さい場合は圧のかかり方が不均一になる、熱の伝わり方が不均一になる等の不具合より表面の光沢不良、耐オゾン性不良が発生するために好ましくない。また、2.5MPaを越えるような圧をかけた場合には熱可塑性有機高分子微粒子を加熱緻密化した際に圧がかかりすぎることにより表面が荒れて光沢性が下がる、インクジェット記録材料自身が熱圧により変形するために好ましくない。
又、本発明のインクジェット記録材料及びこれを用いたインクジェット画像形成方法に使用されるインクは、通常のインクジェットプリンターで使用されるインクのみならず、複写装置に使用されるトナーインクでも適用可能であり、定着プロセスに加熱・加圧処理を用いるものであれば特定の印刷方式又は特定の複写方式に限定されるものではない。
以下に、本発明の実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。又、実施例において示す「部」及び「%」は、特に明示しない限り質量部及び質量%を示す。
<支持体A>
ダブルディスクリファイナーで320ml、csfまで叩解した広葉樹漂白クラフトパルプを75部、及びダブルディスクリファイナーで430ml、csfまで叩解した針葉樹漂白クラフトパルプを25部から成る混合パルプに対し、カチオン化澱粉1.0部、アルキルケテンダイマーサイズ剤0.1部、及び重質炭酸カルシウム填料7部を水に添加して紙料スラリーを調製した。その紙料スラリーから、長網抄紙機で紙匹を形成しプレスで搾水後、多筒式ドライヤー乾燥工程で乾燥し、乾燥の途中で酸化澱粉の5%水溶液をサイズプレスし(付着量は両面乾燥固形分で3.5g/m2)、最終的に得られる基紙水分が絶乾水分で8%になるように乾燥し、マシンカレンダー処理して、坪量120g/m2のインクジェット記録材料用の支持体Aを製造した。
<支持体B>
上記支持体Aの両面に、予めコロナ放電処理を行った後、溶融押し出しダイを用いて低密度ポリエチレン(密度0.924)を各々塗工量12g/m2となるように溶融押し出しコーティング行った後、低密度ポリエチレン表面に、アンカーコート層(組成:乾燥固形部でゼラチン95部、クロムみょうばん5部)を乾燥塗工量2.0g/m2で設け支持体Bを製造した。
<支持体C>
市販の白色PETフィルム(ダイアホイルヘキスト(株)製ダイアホイルW、125μm)をそのまま支持体Cとして用いた。
次にインクジェット記録層塗工液について記す。以下の「部」は全て固形換算部である。無機超微粒子/熱可塑性有機高分子微粒子の質量比は、単に「質量比」と記す。
上記支持体の表面に次のようなインクジェット記録層塗工液を塗布し、インクジェット記録層を形成した。
A面:次のようにインクジェット記録層塗工液を形成した。
<インクジェット記録層塗工液1>
インクジェット記録層塗工液1は、以下の処方により調製した。粉体として供給される熱可塑性有機高分子微粒子及び無機超微粒子については、予めホモジナイザーを使用して予備分散を行った上で、各成分を順次添加しながらラボミキサーにて撹拌・混合を行って塗工液とした。
無機超微粒子 100部
熱可塑性有機高分子微粒子 20部
ポリビニルアルコール 15部
スミレーズレジン5004(耐水化剤) 0.5部
固形分濃度 30%
尚、熱可塑性有機高分子微粒子として荒川化学工業(株)製(商品名「ミストパールC−150」、平均粒子径:52nm、炭素−炭素二重結合を2個と4級アンモニウム塩基を有する乳化剤により架橋されたポリスチレン微粒子)、無機超微粒子として、CABOT社製フュームドアルミナ粒子をサンドグラインダーにより粉砕分散した後、さらにマイクロフルイダイザーを用いて粉砕分散を繰り返し、平均二次粒子径300nmのフュームドアルミナ(θ−アルミナ、δ−アルミナ、γ−アルミナの混合質量比率が約3:1:1)粒子を用いた。ポリビニルアルコールとしてクラレ社製PVA235を用いた。質量比は5であった。
<インクジェット記録層塗工液2>
熱可塑性有機高分子微粒子として荒川化学工業(株)製(商品名「ミストパールC−100」、平均粒子径:72nm、炭素−炭素二重結合を2個と4級アンモニウム塩基を有する乳化剤により架橋されたポリスチレン微粒子)、無機超微粒子として、平均二次粒子径が180nmの市販のコロイド状アルミナ水和物(カタロイドAS−3:触媒化成社製)を用いた以外はインクジェット記録層塗工液1と同様の処方により調製した。質量比は5であった。
<インクジェット記録層塗工液3>
無機超微粒子として、気相法シリカである日本アエロジル社製アエロジル200(平均二次粒子径150nm)を用いた以外はインクジェット記録層塗工液2と同様の処方により調製した。質量比は5であった。
<インクジェット記録層塗工液4>
インクジェット記録層塗工液1で熱可塑性有機高分子微粒子を4部用いた以外はインクジェット記録層塗工液2と同様の処方により調製した。質量比は25であった。
<インクジェット記録層塗工液5>
無機超微粒子として、平均粒径が180nmの市販のコロイド状アルミナ水和物(カタロイドAS−3:触媒化成社製)を36部用いた以外はインクドェット記録層塗工液2と同様の処方により調製した。質量比は1.8であった。
<インクジェット記録層塗工液6>
無機超微粒子として、市販アルミナ粒子(住友化学社製、商品名:AKP−G015、γ―アルミナ、平均二次粒子径3〜5μm)に変更したことを除き、その他はインクジェット記録層塗工液2と同様の処方により調製した。質量比は5であった。
<インクジェット記録層塗工液7>
熱可塑性有機高分子微粒子として平均粒子径0.48μmのアクリルエマルジョン(JSR社製、商品名AE940)を用いた以外はインクジェット記録層塗工液2と同様の処方により調製した。質量比は5であった。
<インクジェット記録層塗工液8>
インクジェット記録層塗工液1の処方において、無機超微粒子を添加しなかった以外はインクジェット記録層塗工液2と同様に調製し、無機超微粒子を含まない塗工液を得た。
<インクジェット記録層塗工液9>
熱可塑性有機高分子微粒子を含まないインクジェット記録層塗工液9は、以下の処方により調製した。各成分を順次添加しながらラボミキサーにて撹拌・混合を行って塗工液とした。尚、無機超微粒子については、予めホモジナイザーを使用して予備分散を行った。
無機超微粒子 100部
ポリビニルアルコール 20部
スミレーズレジン5004(耐水化剤) 2部
固形分濃度 18%
無機超微粒子はインクジェット記録層塗工液2と同様のものを用い、ポリビニルアルコールはクラレ社製PVA235を用いた。
B面:次のようにインクジェット記録層塗工液を形成した。
<インクジェット記録層塗工液10>
インクジェット記録層塗工液10は、以下の処方により調製した。粉体として供給される熱可塑性有機高分子微粒子及び無機超微粒子については、予めホモジナイザーを使用して予備分散を行った上で、各成分を順次添加しながらラボミキサーにて撹拌・混合を行って塗工液とした。
無機超微粒子 100部
熱可塑性有機高分子微粒子 20部
ポリビニルアルコール 15部
スミレーズレジン5004(耐水化剤) 0.5部
固形分濃度 30%
尚、熱可塑性有機高分子微粒子として、エチレン−酢酸ビニル共重合体(粒径:7μm:ケミパールV−200三井化学製)、無機超微粒子として、CABOT社製フュームドアルミナ粒子をサンドグラインダーにより粉砕分散した後、さらにマイクロフルイダイザーを用いて粉砕分散を繰り返し、平均二次粒子径300nmのフュームドアルミナ(θ−アルミナ、δ−アルミナ、γ−アルミナの混合質量比率が約3:1:1)粒子を用いた。ポリビニルアルコールとしてクラレ社製PVA235を用いた。質量比は5であった。
<インクジェット記録層塗工液11>
熱可塑性有機高分子微粒子として、ポリプロピレンワックス(粒径:1μm:ケミパールWP−100三井化学製)、無機超微粒子として、平均二次粒子径が180nmの市販のコロイド状アルミナ水和物(カタロイドAS−3:触媒化成社製)を用いた以外はインクジェット記録層塗工液10と同様の処方により調製した。質量比は5であった。
<インクジェット記録層塗工液12>
無機超微粒子として、気相法シリカである日本アエロジル社製アエロジル200(平均二次粒子径150nm)を用いた以外はインクジェット記録層塗工液11と同様の処方により調製した。質量比は5であった。
<インクジェット記録層塗工液13>
インクジェット記録層塗工液10で熱可塑性有機高分子微粒子をスチレン/アクリル共重合体(粒径1μm:ローム・アンド・ハース社製ローペイクHP−91)に変え、更に無機超微粒子として、平均二次粒子径が180nmの市販のコロイド状アルミナ水和物(カタロイドAS−3:触媒化成社製)を36部用いた以外はインクジェット記録層塗工液11と同様の処方により調製した。質量比は1.8であった。
<インクジェット記録層塗工液14>
インクジェット記録層塗工液10で熱可塑性有機高分子微粒子をアイオノマー樹脂4部(粒径:0.5μm:ケミパールS−300三井化学製)用いた以外はインクジェット記録層塗工液11と同様の処方により調製した。質量比は25であった。
<インクジェット記録層塗工液15>
無機超微粒子に変えて、市販アルミナ粒子(住友化学社製、商品名:AKP−G015、γ―アルミナ、平均二次粒子径3〜5μm)を用いた以外はインクジェット記録層塗工液11と同様の処方により調製した。質量比は5であった。
<インクジェット記録層塗工液16>
無機超微粒子に変えて、日本シリカ工業社製ニップシールE200(非晶質シリカ、粒子径3.4μm)を用いた以外はインクジェット記録層塗工液11と同様の処方により調製した。質量比は5であった。
<インクジェット記録層塗工液17>
インクジェット記録層塗工液10の処方において、無機超微粒子を添加しなかった以外はインクジェット記録層塗工液11と同様に調製し、無機超微粒子を含まない塗工液を得た。
<インクジェット記録層塗工液18>
熱可塑性有機高分子微粒子を含まないインクジェット記録層塗工液18は、以下の処方により調製した。各成分を順次添加しながらラボミキサーにて撹拌・混合を行って塗工液とした。尚、無機超微粒子については、予めホモジナイザーを使用して予備分散を行った。
無機超微粒子 100部
ポリビニルアルコール 20部
スミレーズレジン5004(耐水化剤) 2部
固形分濃度 18%
無機超微粒子はインクジェット記録層塗工液11と同様のものを用い、ポリビニルアルコールはクラレ社製PVA235を用いた。
支持体Aの片面(A面)に、インクジェット記録層塗工液1をコーティングロッドにより乾燥塗工量25g/m2になるように塗工し、80℃で乾燥した後に、支持体の他方の面(B面)にインクジェット記録層塗工液10をコーティングロッドにより乾燥塗工量25g/m2になるように塗工し、80℃で乾燥して実施例1のインクジェット記録材料を作製した。
支持体Bの片面(A面)に、インクジェット記録層塗工液2をコーティングロッドにより乾燥塗工量25g/m2になるように塗工し、80℃で乾燥した後に、支持体の他方の面(B面)にインクジェット記録層塗工液11をコーティングロッドにより乾燥塗工量25g/m2になるように塗工し、80℃で乾燥して実施例2のインクジェット記録材料を作製した。
支持体Cの片面(A面)に、インクジェット記録層塗工液3をコーティングロッドにより乾燥塗工量25g/m2になるように塗工し、80℃で乾燥した後に、支持体の他方の面(B面)にインクジェット記録層塗工液12をコーティングロッドにより乾燥塗工量25g/m2になるように塗工し、80℃で乾燥して実施例3のインクジェット記録材料を作製した。
支持体Bの片面(A面)に、インクジェット記録層塗工液4をコーティングロッドにより乾燥塗工量25g/m2になるように塗工し、80℃で乾燥した後に、支持体の他方の面(B面)にインクジェット記録層塗工液13をコーティングロッドにより乾燥塗工量25g/m2になるように塗工し、80℃で乾燥して実施例4のインクジェット記録材料を作製した。
支持体Bの片面(A面)に、インクジェット記録層塗工液5をコーティングロッドにより乾燥塗工量25g/m2になるように塗工し、80℃で乾燥した後に、支持体の他方の面(B面)にインクジェット記録層塗工液14をコーティングロッドにより乾燥塗工量25g/m2になるように塗工し、80℃で乾燥して実施例5のインクジェット記録材料を作製した。
(比較例1)
支持体Bの片面(A面)に、インクジェット記録層塗工液6をコーティングロッドにより乾燥塗工量25g/m2になるように塗工し、80℃で乾燥した後に、支持体の他方の面(B面)にインクジェット記録層塗工液15をコーティングロッドにより乾燥塗工量25g/m2になるように塗工し、80℃で乾燥して比較例1のインクジェット記録材料を作製した。
(比較例2)
支持体Bの片面(A面)に、インクジェット記録層塗工液7をコーティングロッドにより乾燥塗工量25g/m2になるように塗工し、80℃で乾燥した後に、支持体の他方の面(B面)にインクジェット記録層塗工液16をコーティングロッドにより乾燥塗工量25g/m2になるように塗工し、80℃で乾燥して比較例2のインクジェット記録材料を作製した。
(比較例3)
支持体Bの片面(A面)に、インクジェット記録層塗工液8をコーティングロッドにより乾燥塗工量25g/m2になるように塗工し、80℃で乾燥した後に、支持体の他方の面(B面)にインクジェット記録層塗工液17をコーティングロッドにより乾燥塗工量25g/m2になるように塗工し、80℃で乾燥して比較例3のインクジェット記録材料を作製した。
(比較例4)
支持体Bの片面(A面)に、インクジェット記録層塗工液9をコーティングロッドにより乾燥塗工量15g/m2になるように塗工し、120℃で乾燥した上に、インクジェット記録層塗工液18をコーティングロッドにより乾燥塗工量10g/m2になるように塗工し、120℃で乾燥した後、支持体の他方の面(B面)にA面と同様の条件で2層を塗布して比較例4のインクジェット記録材料を作製した。
(比較例5)
支持体Bの片面(A面)に、インクジェット記録層塗工液1をコーティングロッドにより乾燥塗工量25g/m2になるように塗工し、80℃で乾燥した後に、支持体の他方の面(B面)にA面と同じインクジェット記録層塗工液1をコーティングロッドにより乾燥塗工量25g/m2になるように塗工し、80℃で乾燥して比較例5のインクジェット記録材料を作製した。
(比較例6)
支持体Bの片面(A面)に、インクジェット記録層塗工液9をコーティングロッドにより乾燥塗工量15g/m2になるように塗工し、120℃で乾燥した上に、インクジェット記録層塗工液8をコーティングロッドにより乾燥塗工量10g/m2になるように塗工し、80℃で乾燥した後、支持体の他方の面(B面)にもA面と同様の条件で2層を塗布して比較例6のインクジェット記録材料を作製した。
<インクジェット記録物の作製>
上記により得られたインクジェット記録材料のA面に、エプソン社製カラーインクジェットプリンタ(PM−770C)を用い、4原色のべた印字及び高精細な写真画像の記録を行い、次いでB面に文字情報の記録を行った。
<熱可塑性有機高分子微粒子の被膜化>
上記により得られたインクジェット記録物を両面印字後、大型ラミネータ(富士フィルム社製M−36)を用い、印字物を融着性を有さないポリエステルフィルムで挟みながら2本の加熱ローラを通すことによって加熱緻密化処理を施した。尚、加熱緻密化処理時の面圧は2.0MPaで、加熱温度は160℃あった。
実施例2で作成したインクジェット記録材料に、上記のエプソン社製カラーインクジェットプリンタ(PM−770C)で写真画像及び文字情報の両面記録を行った後に、加熱緻密化する際の面圧を0.05MPaに変更した以外は上記の熱可塑性有機高分子微粒子の被膜化方法を用いて実施例6のインクジェット記録物を作成した。
実施例2で作成したインクジェット記録材料に、上記のエプソン社製カラーインクジェットプリンタ(PM−770C)で写真画像及び文字情報の両面記録を行った後に、加熱緻密化する際の面圧を3.0MPaに変更した以外は上記の熱可塑性有機高分子微粒子の被膜化方法を用いて実施例7のインクジェット記録物を作成した。
<評価>
実施例1〜7、比較例1〜6のインクジェット記録材料について下記の通り5段階評価し、インク吸収速度、画質、光沢、耐オゾン性に関しては、A面に関する評価結果を表1にまとめた。
<インク吸収速度>
エプソン社製カラーインクジェットプリンタ(PM−770C)を用いて記録した画像について、インク吸収速度は記録終了後、熱溶融被膜形成前に印字部を指先で軽く擦って汚れなくなるまでの時間を測定し、以下の基準に従って評価した。合格は4以上である。
5:インク吸収速度が10秒未満である
4:インク吸収速度が10秒以上30秒未満である
3:インク吸収速度が30秒以上60秒未満である
2:インク吸収速度が1分以上5分未満である
1:インク吸収速度が5分以上である
<画質>
熱可塑性有機高分子微粒子を被膜化した後の記録画像の画質を、目視により以下の5段階で評価した。合格は4以上である。
5:画像が完全にクリアーに見え、かつ画像のぼやけが全くない
4:クリアーに見える、僅かに画像のぼやけが認められるが実用上支障無い
3:ややかすみがかかったようにくすんで見える、画像のぼやけが認められる
2:かすみが増して白っぽく彩度が低下している、画像のぼやけに劣る
1:かなり白っぽく彩度が非常に低下している、画像のぼやけが非常に劣る
<光沢>
熱可塑性有機高分子微粒子を溶融被膜化した後の白紙の光沢感を、以下の5段階で評価した。合格は4以上である。
5:光沢が非常に高い
4:光沢が高い
3:光沢がやや劣る
2:光沢が劣る
1:光沢がない
<耐オゾン性>
各インクジェット記録材料の両面ベタ印字後、熱可塑性有機高分子微粒子を被膜化した後、インクジェット記録材料を、オゾン導入口および排出口の付いたガラス容器中に入れ、三菱電機製オゾナイザOS−1にて発生させたオゾンを15分間連続して導入した。この時のオゾン濃度は約80ppmであった。これらのインクジェット記録材料のオゾン処理前後のマゼンタインク色の色差を測定した。色差は、L***(CIE1976)に従って光照射前後のサンプルの色を測定した結果を基に、下記数1で規定することができる。色差が大きいほど、色劣化が生じていることを示し、色差が3.0未満であれば視覚上、色の違いに大差はない。
Figure 2005119217
ここで、△Eは色差、△L*および△a*と△b*は、各々光照射前後のL*およびa*とb*の差である。
<カール性>
実施例1〜5及び比較例1〜6で用いたインクジェット記録材料を、A4サイズの記録材料にして、その印字可能領域全域に亘る同一画像を、A面には720dpiの解像度で、B面には360dpiの解像度でそれぞれ印字して、10cm四方に裁断し、20℃、相対湿度65%の条件下で平坦な机の上に静置してカールを測定した。カールは4隅の持ち上がり高さの平均値をもって表わし、カール平均値が3mm未満の場合をカール性優、3mm〜7mmまでをカール性並、それ以上のカールは裏面に印字する場合に支障となるのでカール性劣として判定した。また実施例6〜7については、印字後に熱可塑性有機高分子微粒子の被膜化方処理を実施例6〜7と各々同様の条件で行った後に、上記の条件でカール平均値を測定した。
Figure 2005119217
表1より、本発明の実施例の如く支持体の両面に無機超微粒子及び熱可塑性有機高分子微粒子の混合物を含有するインクジェット記録層を設けたインクジェット記録材料において、該無機超微粒子の平均二次粒子径が300nm以下であり、且つ該熱可塑性有機高分子微粒子の平均粒子径が表裏で異なることを特徴とするインクジェット記録材料では、インク吸収性、画質、光沢性、耐オゾン性及び印字後のカール特性が良好であった。この場合、熱可塑性有機高分子微粒子と無機超微粒子の質量比の最適化を図ることによってより秀逸な画像や高光沢性及び耐オゾン性を得ることが可能となる。無機超微粒子に対する熱可塑性有機高分子微粒子の添加量が、多すぎるとインク吸収性が劣り、少なすぎると光沢性、耐オゾン性が悪くなる方向に向かう。インクジェット記録層中の空隙が熱可塑性有機高分子微粒子の被膜化で埋められないためであると考えられる。
一方、比較例1はインクジェット記録層に大きな粒径のアルミナ粒子を含む場合であり、画質と、光沢性に劣る。比較例2はインクジェット記録層に大きな粒径の熱可塑性有機高分子微粒子を含む場合であり、画質に劣る。比較例3はインクジェット記録層に熱可塑性有機高分子微粒子だけが含まれ、無機超微粒子を含まない場合であり、インク吸収速度と画質に劣る。比較例4はインクジェット記録層に熱可塑性有機高分子微粒子を含まない場合であり耐オゾン性に劣る。比較例5は同じインクジェット記録層塗工液を支持体の両面に設けた場合であり表裏でインク付着量が異なるとカール特性に劣る。比較例6は支持体上に無機超微粒子層と熱可塑性有機高分子微粒子層を積層した場合であり、インク吸収が熱可塑性有機高分子微粒子層に妨げられるためにインク吸収性及び画質に劣るとともにカール特性も劣る。

Claims (4)

  1. 支持体の両面に無機超微粒子及び熱可塑性有機高分子微粒子の混合物を含有するインクジェット記録層を設けたインクジェット記録材料において、該無機超微粒子の平均二次粒子径が300nm以下であり、且つ支持体の片面の熱可塑性有機高分子微粒子の平均粒子径が300nm以下であり、更に支持体の他面の熱可塑性有機高分子微粒子の平均粒子径が0.1μm以上10μm以下であることを特徴とするインクジェット記録材料。
  2. インクジェット記録層中の無機超微粒子/熱可塑性有機高分子微粒子の質量比が2以上20以下であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録材料。
  3. 請求項1〜2のいずれか1項に記載のインクジェット記録材料を用いた画像形成方法であって、該インクジェット記録材料に印字した後、該インクジェット記録材料を加熱することにより熱可塑性有機高分子微粒子を加熱緻密化することを特徴とするインクジェット画像形成方法。
  4. 請求項3記載のインクジェット画像形成方法において、該加熱緻密化する方法が加熱、加圧されたロールの間を通すことにより加熱緻密化する方法であり、該加圧ロールによるインクジェット記録材料にかかる圧力が面圧0.1〜2.5MPaであることを特徴とするインクジェット画像形成方法。
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