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JP2005118660A - 撥液領域の形成方法およびパターン形成方法並びに電子デバイス - Google Patents

撥液領域の形成方法およびパターン形成方法並びに電子デバイス Download PDF

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JP2005118660A
JP2005118660A JP2003355820A JP2003355820A JP2005118660A JP 2005118660 A JP2005118660 A JP 2005118660A JP 2003355820 A JP2003355820 A JP 2003355820A JP 2003355820 A JP2003355820 A JP 2003355820A JP 2005118660 A JP2005118660 A JP 2005118660A
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Takuya Miyagawa
拓也 宮川
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Seiko Epson Corp
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Seiko Epson Corp
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Publication date
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Abstract

【課題】 所定領域を容易に撥液化できるようにする。
【解決手段】 パターン形成方法は、撥液領域形成工程10とパターン形成工程20とからなっている。撥液領域形成工程10は、液体下地膜材料を塗布して乾燥させる下地膜形成工程12と、下地膜の表面に紫外線を照射して水酸基を形成する極性基形成工程14と、液体撥液膜材料を塗布してアニールし、極性基の形成された部分に撥液膜を形成する撥液膜形成工程16とを有する。パターン形成工程20は、撥液膜の形成されていない部分の下地膜を除去し、液体パターン材料を塗布してアニールすることにより、液体パターン材料を所定形状のパターンにする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、基板の表面の一部を撥液化する撥液領域の形成方法に係り、特に液体パターン材料を用いて微細なパターンを形成するのに好適な撥液領域の形成方法およびパターン形成方法並びに電子デバイスに関する。
電子デバイスである半導体装置は、微細なパターンを何度も形成することにより製造される。従来、半導体装置を構成する微細なパターンは、基板の表面にパターンを形成するための導電性や絶縁性の薄膜をCVDなどによって成膜したのち、フォトリソグラフィー技術を用いて薄膜をエッチングして形成していた。このような成膜やエッチングは、真空中において行なわれるため、大型で高価な真空装置を必要とするとともに、非常に多くの工程とエネルギーおよび時間とを必要とする。このため、液体材料を用いてパターンを形成することが研究されている。液体パターン材料によりパターンを形成する場合、基板のパターン形成領域にのみ選択的に液体パターン材料を塗布し、これを焼成してパターンを形成できれば、工程を大幅に簡素化でき、パターンを形成する時間も短縮することができる。
しかし、液体は、容易に周囲に広がるため、液体パターン材料をパターン形成領域に留めておくバンクなどを形成する必要がある。ところが、バンクの表面に液体パターン材料が付着すると、パターンを形成するために液体パターン材料を加熱して硬化させたときに、バンク上に付着した液体パターン材料も硬化し、不要となったバンクを容易に除去できなくなり、バンクを除去するために多くの手間と時間が必要となる。そこで、本願出願人は、フッ素樹脂の重合膜からなる撥液膜を形成し、この撥液膜にマスクを介して紫外線を照射して分解し、撥液膜をパターニングしてバンクにすることを提案した(特許文献1)。
特開2003−124215号公報
ところで、撥液膜をパターニングしてパターン形成用のバンクにする場合、撥液膜には、次の3つの特性を備えていることが要求される。1つ目は、基板との密着性がよく、容易に剥離しないこと。2つ目は、液体パターン材料を弾く性質があること。3つ目は、紫外線によって容易に分解されること。
ところが、特許文献1に記載されているフッ素樹脂の重合膜からなる撥液膜は、紫外線によって容易に分解することができない。撥液性を有する膜は、一般にフッ素系の樹脂によって形成される。このフッ素系の樹脂は、紫外線を透過する性質を有している。このため、フッ素系樹脂からなる撥液膜を紫外線によってパターニングする場合、長時間にわたって紫外線を照射する必要がある。そして、パターニングの時間を短縮しようとした場合、波長の短いエネルギーの大きな紫外線を照射する必要がある。しかし、短波長の紫外線は、平行光を得ることが困難であるため、微細なパターンを高精度で形成するためには、フォトリソグラフィー技術を使用してレジストによるマスクを形成する必要があり、工程の簡素化、コストの削減などにおいて充分な効果を得ることができない。
本発明は、上記従来技術の欠点を解消するためになされたもので、所定領域を容易に撥液化できるようにすることを目的としている。
また、本発明は、液体パターン材料によるパターンを容易に形成できるようにすることを目的としている。
上記の目的を達成するために、本発明に係る撥液領域の形成方法は、極性基を有しない有機物からなる下地膜を基板に形成する下地膜形成工程と、前記下地膜の表面の所定領域に極性基を形成する極性基形成工程と、前記下地膜の極性基を形成した前記所定領域に撥液膜を形成する撥液膜形成工程と、を有することを特徴としている。
このようになっている本発明は、基板と密着性のよい下地膜を形成したのち、下地膜表面の所定位置に極性基を形成し、この極性基を形成した部分に撥液膜を形成する。極性基は、比較的強い結合を形成するため、下地膜に液体撥液膜材料を塗布することにより、容易に極性基の形成された部分にのみ選択的に液体撥液膜材料を付着させることができる。したがって、極性基を形成した部分に付着させた液体撥液膜材料を硬化することにより、所定領域を容易に撥液化することができる。
下地膜は、ポリイミドやシランカップリング剤によって形成してよい。そして、極性基形成工程において形成する極性基は、水酸基であってよい。有機物からなる下地膜は、水酸基の形成が容易である。下地膜に水酸基を形成する場合、酸化雰囲気において下地膜の表面に高エネルギー線を照射して行なうことができる。有機膜は、空気中などの酸化雰囲気において表面に紫外線や電子線などの高エネルギー線が照射されると、高エネルギー線によって損傷を受けて分子結合が切断され、空気中の酸素や水蒸気と反応して容易に水酸基が形成される。
そして、撥液膜は、フッ素系シランカップリング剤またはフッ素系界面活性剤によって形成することができる。これらは、水酸基などの極性基と水素結合により容易に結合し、極性基の存在していない部分には付着しない。したがって、極性基が形成された部分に液体撥液膜材料を選択的に付着させることができる。また、フッ素を含んでいるため、優れた撥液性を示す。
前記撥液膜形成工程は、撥液膜成分を溶解した液体撥液膜材料を前記所定領域に塗布する溶液塗布工程と、塗布した前記液体撥液膜材料中の溶媒を除去して乾燥撥液膜を得る乾燥工程と、前記乾燥撥液膜を乾燥工程における乾燥温度より高い温度に加熱するアニール工程と、を有するようにできる。乾燥温度は、液体撥液膜材料に含まれる溶媒によるが、溶媒の沸点より低い温度で乾燥させることが望ましい。溶媒の沸点以上で乾燥させると、気泡が形成されたりして撥液膜がまだらになる。そして、乾燥して得た乾燥撥液膜をアニールすると、下地膜と撥液膜との結合が水素結合状態からより強い結合状態となり、非常に強い結合が得られて液体パターン材料の溶媒に対する耐性が得られる。
さらに、本発明に係るパターン形成方法は、上記の撥液領域の形成方法により、基板の所定位置に撥液領域を形成する撥液領域形成工程と、前記撥液領域以外のパターン形成領域に液体パターン材料を塗布して固化するパターン形成工程と、を有することを特徴としている。これにより、基板の所定位置に容易に撥液性を有するバンク(マスク)を形成することができ、パターン形成領域にパターンを形成するための時間の短縮が図れ、コストを低減することができる。なお、パターン形成工程は、前記パターン形成領域の前記下地膜を除去したのち、前記液体パターン材料を塗布して行なうことができる。例えば、下地膜の下方の部分と電気的導通を必要とする配線パターンを形成する場合などは、導通の障害となる下地膜を除去したのちに形成する。下地膜の除去は、紫外線や電子線などの高エネルギー線の照射、下地膜を300℃以上の高温に加熱することなどにより行なうことができる。
そして、本発明に係る電子デバイスは、上記のパターン形成方法により形成したパターンを有することを特徴としている。これにより、電子デバイスを形成する際に上記の効果が得られる。
本発明に係る撥液領域の形成方法およびパターン形成方法並びに電子デバイスの好ましい実施の形態を、添付図面に従って詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るパターン形成方法を説明する工程ブロック図である。図1において、本発明の実施形態に係るパターン形成方法は、撥液領域形成工程10とパターン形成工程20とを有する。撥液領域形成工程10は、下地膜形成工程12と極性基形成工程14と撥液膜形成工程16とからなっている。
下地膜形成工程12は、洗浄した基板に液体下地膜材料を塗布する塗布工程12aと、基板に塗布した液体下地膜材料を乾燥し、基板の表面に下地膜を形成する乾燥工程12bとからなっている。下地膜は、表面の一部に撥液膜を結合させるため、化学的結合を生じやすい水酸基(−OH)やアミノ基(−NH2)、カルボキシル基(−COOH)などの、極性基を有しない有機物から形成することが望ましい。また、実施形態の場合、後述するように、下地膜の表面に水酸基を形成し、その水酸基に撥液膜を結合させるため、ポリイミドやシランカップリング剤などの表面が親油性のものが望ましい。そこで、実施形態の塗布工程12aは、キシレンとN−メチル−2−ピロリドン(NMP)とからなる溶媒に溶解したポリイミド、またはシランカップリング剤の希釈液などを基板に塗布する。塗布は、スピンコートやディップコート、スリットコートなど、任意の方法で行なうことができる。
乾燥工程12bは、液体下地膜材料に含まれている溶媒を除去する工程であって、自然乾燥であってもよい。しかし、加熱して乾燥すれば、乾燥時間を大幅に短縮することができる。乾燥温度は、液体下地膜材料の溶媒の種類によって異なる。しかし、乾燥温度は、溶媒の沸点より低い温度がよい。溶媒の沸点以上の温度で乾燥した場合、下地膜に気泡が生じ、パターン形成工程20において形成したパターンの表面に凹凸が生じ、高精度なパターンの形成が困難となるとともに、パターンが配線などの場合、凸部に電界の集中が生じて絶縁破壊の原因などになる。
下地膜形成工程12において形成した下地膜は、次の極性基形成工程14において、表面の所定領域に極性基が形成される。極性基を形成する領域は、パターン形成工程20においてパターンを形成する領域以外の部分である。そして、極性基は、実施形態の場合、水酸基である。この水酸基は、下地膜を空気中または水分(水蒸気)などが存在する酸化雰囲気中に配置し、マスクを介して高エネルギー線である紫外線を照射することにより行なう。すなわち、下地膜の上方に、パターン形成領域を覆うマスクを配置し、そのマスクを介して下地膜に紫外線を照射する。これにより、下地膜は、表面のマスクに覆われていない部分が紫外線によって損傷され、結合が切断されて空気中の酸素や水蒸気と反応し、紫外線を照射された部分に極性基である水酸基が形成される。なお、極性基形成工程14は、紫外線に代えて電子線などの高エネルギー線を下地膜に照射してもよい。
その後、撥液膜形成工程16を行なう。この撥液膜形成工程16においては、まず、下地膜の水酸基を形成した部分に液体撥液膜材料を塗布する溶液塗布工程16aを行なう。液体撥液膜材料は、フッ素系シランカップリング剤やフッ素系表面活性剤を用いることができる。液体撥液膜材料の塗布は、前記と同様にスピンコート、ディップコート、スリットコートなどによって、下地膜の全面に塗布してよい。液体撥液膜材料は、下地膜が親油性であるため、下地膜の全面に塗布すると、水酸基の形成されている部分に選択的に付着し、水酸基の形成されていない部分には付着しない。なお、液体撥液膜材料の塗布は、インクジェットプリンタのプリンタヘッドのような液体吐出装置を用い、下地膜の水酸基が形成されている部分にだけ、液体撥液膜材料を選択的に供給して塗布してもよい。また、フッ素系シランカップリング剤またはフッ素系界面活性剤は、形成する下地膜の厚さを考慮して適宜の濃度に希釈して塗布するとよい。塗布と乾燥とを複数回繰り返してしてもよい。
下地膜の水酸基に液体撥液膜材料を塗布した基板は、乾燥工程16bにおいて、液体撥液膜材料の溶媒の沸点より低い温度に加熱し、液体撥液膜材料の乾燥を行なう。乾燥を溶媒の沸点以上の温度において行なった場合、気泡が生じて形成される撥液膜がまだらになるおそれがある。この乾燥工程16bにおける乾燥は、室温において自然乾燥してもよいが、加熱して乾燥することにより、乾燥時間を短縮することができる。なお、液体撥液膜材料を塗布したときに、下地膜の水酸基が形成されていない部分に液体撥液膜材料が付着している場合、基板を適宜の溶剤によって洗浄し、水酸基が形成されていない部分に付着した液体撥液膜材料を洗い落とす。水酸基に付着した液体撥液膜材料は、水酸基と水素結合しており、溶剤によって洗い落とされることはない。
乾燥工程16bにおいて形成した乾燥撥液膜は、アニール工程16cにおいてアニール(焼成)され、撥液膜にされる。このアニール工程16cは、空気中などの酸素または水蒸気が存在する酸化雰囲気において乾燥温度以上の温度によって行なわれ、例えば200℃程度の温度でアニールする。このアニールを行なうと、例えば液体撥液膜材料としてフッ素系シランカップリング剤を使用した場合、水酸基との水素結合部における水素が酸素と反応して除去され、フッ素系シランカップリング剤に含まれているケイ素(Si)が下地側の酸素と直接結合する。このため、下地膜と撥液膜とが強固に結合されるため、液体パターン材料の溶媒によって撥液性が損なわれるおそれがない。
なお、アニール工程16cは、通常のヒータによる加熱の他、電磁波や光、電子線などの高エネルギー線を用いて行なってもよい。また、液体撥液膜材料としてフッ素系界面活性剤を使用した場合、フッ素系界面活性剤は、アニールしても水素結合の状態が維持される。このため、液体撥液膜材料がフッ素系界面活性剤である場合、アニール工程16cを省略してよい。
これにより、撥液領域形成工程10が終了し、所定領域である基板のパターン形成領域以外の部分が撥液膜によって撥液化される。撥液領域形成工程10を終了した基板は、次のパターン形成工程20が行なわれる。パターン形成工程20においては、まず、下地膜除去工程22が行なわれ、撥液膜が形成されていない露出している下地膜、すなわちパターン形成領域の下地膜を除去する。これにより、パターン形成領域の周囲に、表面に撥液膜を有する下地膜からなるマスクが形成される。この下地膜の除去は、下地膜の上方にパターン形成領域を露出させたマスクを配置し、紫外線を照射して下地膜を分解することにより行なうことができる。もちろん、電子線などの他の高エネルギー線を照射して除去してもよい。また、例えば、DNAチップなどのバイオチップを形成する場合など、パターン形成領域に下地膜が存在していても問題とならないときには、下地膜除去工程22を省略してよい。
なお、下地膜除去工程22は、撥液膜形成工程16における乾燥工程16bの終了直後に行なってもよい。乾燥工程16bの直後に下地膜除去工程を行なうと、高温によるアニールが行なわれていないため、紫外線の照射などにより比較的容易に下地膜を除去することができる。また、下地膜の除去は、適宜の溶剤(除去液)を用いて行なってもよい。
次に、液体パターン材料の塗布工程24を行なう。形成するパターンが配線パターンである場合、液体パターン材料としては、Au、Ag、CuまたはAl等の金属、またはこれらの有機化合物(有機金属化合物)を有機溶媒に溶解したもの等を使用することができる。有機溶媒としては、アクリル樹脂や酢酸ブチルの他、アルコール類、エーテル類、有機エステル類、ケトンの一種類または混合物等を使用することが可能である。
また、パターンとして、ITO(Indium Tin Oxide)からなる液晶パネルの透明電極などを形成する場合、液体パターン材料は、酸化インジウムに酸化錫を1〜5重量%ドープしたITOを、有機溶媒に溶かして使用する。有機溶媒には、例えばn−酢酸ブチル等の酢酸エステル類を採用し、濃度0.02mol/L程度に希釈して使用する。そして、絶縁物のパターンを形成する場合、液体パターン材料は、例えば二酸化ケイ素(SiO2)や窒化ケイ素(Si34)などの無機絶縁材料の微粉末を溶媒に溶解したものや、テトラエトキシシラン(TEOS)などのアルコキシド系化合物などの有機系絶縁材料を溶解したものなどを使用することができる。
次に、乾燥工程26とアニール工程28とを行なって液体パターン材料を硬化する。この乾燥工程26とアニール工程28とは、使用する液体パターン材料により、必要に応じて行なわれる。例えば、ポリアニリンやポリピロールなどの導電性有機物を有機溶媒に溶解したものにより、導電性のパターンを形成する場合、乾燥工程26だけを行なってアニール工程を省略してよい。一方、液体パターン材料がTEOSなどのアルコキシド系物化合物を有機溶媒に溶解したものである場合、液体パターン材料を300℃以上の温度でアニールする。これにより、アルコキシド系化合物が分解して二酸化ケイ素からなる絶縁物のパターンが形成される。このアルコキシド系化合物をアニールする場合、乾燥工程26を行なったのちにアニール工程28を行なってもよいし、乾燥工程26を省略して300℃の温度で直接アニール工程28を行なってもよい。また、バイオチップの形成の場合などは、乾燥工程26およびアニール工程28を省略することができる。
その後、必要に応じて下地膜マスク除去工程30が行なわれ、パターン形成工程が終了する。下地膜と撥液膜とからなる下地膜マスクの除去は、紫外線や電子線などの高エネルギー線の照射によって行なうことができる。なお、アニール工程28が、窒素雰囲気などの不活性な雰囲気または非酸化雰囲気において、基板を300℃の温度以上に加熱して行なわれる場合、下地膜マスクが熱分解するため、下地膜マスク除去工程30を省略することができる。
図2ないし図14は、上記のパターン形成方法の具体的適用例を示したもので、MOSトランジスタのソースとドレインとに接続される配線パターンの形成方法の一例を説明する工程図を示したものである。ただし、図2に示したMOSトランジスタ40は、既に形成されているものとし説明する。このMOSトランジスタ40は、半導体基板42の上部にゲート酸化膜44を介してゲート電極46が形成されている。そして、MOSトランジスタ40は、ゲート電極46の両側に、半導体基板42に不純物を拡散させて形成したソース48とドレイン50とを有する。なお、図2に示した符号52は、素子形成領域を区画しているフィールド酸化膜である。
MOSトランジスタ40のソース48とドレイン50とに接続した配線を形成する場合、まず、図3に示したように、MOSトランジスタ40およびフィールド酸化膜52を覆って半導体基板42の全面に下地膜54を形成する。この実施形態の場合、下地膜54は、ポリイミドからなっている。すなわち、ポリイミドをキシレンとNMPとの混合溶媒に溶解して液体下地膜材料を形成し、この液体下地膜材料をスリットコートなどによって半導体基板42の全面に塗布する。その後、80℃程度の適宜の温度で液体下地膜材料を乾燥し、親油性のポリイミドからなる下地膜54にする。
次に、図4に示したように、下地膜54の上にハードマスク56を配置する。このハードマスク56は、後述する層間絶縁膜に形成されるビアホールに相当する部分に透孔58が設けてある。その後、空気中などの酸化雰囲気中において、ハードマスク56の上方から紫外線60を照射する。紫外線60は、ハードマスク56の透孔58を通過して下地膜54に照射される。これにより、下地膜54は、紫外線60の照射された部分が損傷を受け、周囲の酸素または水蒸気(水分)と反応して極性基である水酸基62が形成される。
次に、下地膜54の全面に、スリットコートなどにより液体撥液膜材料を塗布する。液体撥液膜材料は、実施形態の場合、適宜の濃度に調整したフッ素系シランカップリング剤からなっている。下地膜54は親油性であるため、図5に示したように、液体撥液膜材料64が下地膜54の水酸基62が形成されている部分に、水素結合によって選択的に付着(結合)し、水酸基62が形成されていない部分には付着しない。なお、液体撥液膜材料64が、下地膜54の水酸基62の形成されていない部分に付着した場合、適宜の溶剤によって半導体基板42を洗浄し、水酸基62の形成されていない部分に付着した液体撥液膜材料64を除去する。
その後、半導体基板42を空気または水蒸気の存在する酸化雰囲気中に配置し、液体撥液膜材料64の乾燥とアニールとを行ない、撥液膜66にする。フッ素系シランカップリング剤からなる液体撥液膜材料64の乾燥は、例えば80℃程度の温度において行なう。また、アニールは、200℃程度の温度において行なう。これにより、フッ素系シランカップリング剤と水酸基62との水素結合部における水素が除去され、フッ素系シランカップリング剤に含まれているケイ素原子が下地膜側の酸素原子と直接結合する。
次に、図5に示したように、下地膜54の上方に撥液膜66を覆い、パターン形成領域に対応した部分が開口しているハードマスク68を配置する。そして、撥液膜66が形成されていない露出している下地膜54に紫外線70を照射し、パターン形成領域の下地膜54を除去する。これにより、MOSトランジスタ40のソース48とドレイン50とに対応した位置に、下地膜54と撥液膜66とからなる柱状の下地膜マスク72が形成される(図6参照)。したがって、半導体基板42の予め定めた領域が撥液化されたことになる。なお、下地膜54の除去は、液体撥液膜材料64をアニールする前の乾燥した段階で行なってもよい。また、下地膜54を除去するために照射する紫外線70は、水酸基62を形成するための紫外線よりも高エネルギーのものを使用するとよい。
その後、図6に示したように、半導体基板42の上部に絶縁膜用の液体パターン材料74をスリットコートなどにより塗布する。この液体パターン材料74は、実施形態の場合、TEOSなどのアルコキシド系化合物の溶液からなっている。そして、実施形態の場合、下地膜マスク72は、表面に撥液膜66を有しているため、下地膜マスク72の上面に液体パターン材料74が付着することを防ぐことができる。
次に、半導体基板42に塗布した液体パターン材料74を300℃程度の温度においてアニールし、図7に示したように、二酸化ケイ素からなる絶縁膜76にする。さらに、図8に示したように、半導体基板42の全面に紫外線78を照射し、下地膜マスク72を紫外線78によって分解、除去する。これにより、絶縁膜76は、ビアホール80を有する所定のパターンに形成された層間絶縁膜となる。
次に、絶縁膜76を覆って液体下地膜材料を塗布して乾燥させ、図9に示したように、絶縁膜76を覆った下地膜82を形成する。この下地膜82は、図3に示した下地膜54と同様にして形成することができる。その後、図10に示したように、下地膜82の上方にハードマスク84を配置する。このハードマスク84は、絶縁膜76に形成したビアホール80の上方の位置を含み、配線パターンを形成する領域に対応した部分を覆い、配線パターン形成領域に対応した部分以外が開口している。そして、酸化雰囲気中でハードマスク84を介して下地膜82に紫外線86を照射し、下地膜82の表面の配線パターン形成領域に対応した部分以外の部分に水酸基88を形成する。
その後、下地膜82の表面に液体撥液膜材料を塗布し、下地膜82の水酸基88が形成された部分に液体撥液膜材料を付着させる。そして、前記と同様にして液体撥液膜材料を酸化雰囲気中で乾燥、アニールし、図11に示したように、水酸基88が形成されている部分に撥液膜90を形成する。さらに、同図に示すように、下地膜82の上方に撥液膜90を覆うハードマスク92を配置する。そして、ハードマスク92を介して紫外線94を照射し、表面が露出している配線パターン形成領域に対応した部分の下地膜82を除去し、下地膜82にパターン溝96を形成する(図12参照)。このとき、絶縁膜76に形成されているビアホール80内の下地膜82も同時に除去する。これにより、配線パターン形成領域98の周囲に下地膜82と撥液膜90とからなるバンクを有する下地膜マスク100が形成され、配線パターン形成領域98の周囲が撥液領域となる。
次に、図12に示したように、下地膜マスク100のバンクによって形成されているパターン溝96に液体パターン材料(液体配線材料)102を充填する。液体パターン材料は、例えば有機金属化合物を有機溶媒に溶解したもの、銅やアルミニウムなど金属を溶媒に溶解させたものや、それらの微粉末を分散させたものなどを使用することができる。これらの液体パターン材料102はアニールされ、図13に示したように、MOSトランジスタ40のソース48、ドレイン50に電気的に接続された配線パターン104にされる。その後、図14に示したように、下地膜マスク100に紫外線106を照射し、下地膜マスク100を分解除去する。なお、下地膜マスク100を絶縁膜として残存させておいても不都合を生じないときには、下地膜マスク100を除去する必要がない。
このように、実施の形態においては、下地膜の所定部分に極性基を形成し、その極性基に撥液膜を形成して撥液化することにより、基板の所定領域を容易に撥液化することができ、また液体パターン材料を用いてパターンを容易に形成することができる。
上記実施形態においては、MOSトランジスタ40のソース48とドレイン50とに接続した配線パターン104を形成する場合について説明したが、MOSトランジスタ40の形成や、フィールド酸化膜52を形成するためのシリコン窒化膜のパターニングなどにも適用することができる。また、液晶表示パネルの画素やカラーフィルタ、有機エレクトロルミネッセンスパネルの形成などにも適用することができる。
本発明の実施の形態に係るパターン形成方法の工程ブロック図である。 MOSトランジスタを模式的に示した断面図である。 実施の形態に係る下地膜を形成した状態を示す図である。 実施の形態に係る下地膜の所定領域に水酸基を形成する方法の説明図である。 実施の形態に係る撥液膜および下地膜マスクを形成する方法の説明図である。 実施に形態に係る絶縁膜用の液体パターン材料を塗布した状態の説明図である。 実施の形態に係る絶縁膜を形成した状態を示す図である。 実施の形態に係る下地膜マスクを除去する方法の説明図である。 実施の形態に係る絶縁膜を覆って下地膜を形成した状態を示す図である。 実施の形態に係る下地膜の所定領域に水酸基を形成する方法の説明図である。 実施の形態に係る配線用のパターン溝を形成する方法の説明図である。 実施の形態に係る配線用液体パターン材料を塗布した状態を示す図である。 実施の形態に係る配線パターンが形成された状態を示す図である。 実施に形態に係る下地膜マスクを除去する方法の説明図である。
符号の説明
10………撥液領域形成工程、12………下地膜形成工程、14………極性基形成工程、16………撥液膜形成工程、20………パターン形成工程、40………MOSトランジスタ、42………半導体基板、46………ゲート電極、48………ソース、50………ドレイン、54、82………下地膜、56、68、84、92………ハードマスク、60、70、78、86、94、106………高エネルギー線(紫外線)、62、88………極性基(水酸基)、64………液体撥液膜材料、66、90………撥液膜、72、100………下地膜マスク、74、102………液体パターン材料、76、104………パターン(絶縁膜、配線パターン)、98………配線パターン形成領域。

Claims (8)

  1. 極性基を有しない有機物からなる下地膜を基板に形成する下地膜形成工程と、
    前記下地膜の表面の所定領域に極性基を形成する極性基形成工程と、
    前記下地膜の極性基を形成した前記所定領域に撥液膜を形成する撥液膜形成工程と、
    を有することを特徴とする撥液領域の形成方法。
  2. 請求項1に記載の撥液領域の形成方法において、
    前記極性基形成工程において形成する極性基は、水酸基であることを特徴とする撥液領域の形成方法。
  3. 請求項2に記載の撥液領域の形成方法において、
    前記極性基の形成は、酸化雰囲気において前記下地膜の表面に高エネルギー線を照射して行なうことを特徴とする撥液領域の形成方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載の撥液領域の形成方法において、
    前記撥液膜は、フッ素系シランカップリング剤またはフッ素系界面活性剤からなることを特徴とする撥液領域の形成方法。
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載の撥液領域の形成方法において、
    前記撥液膜形成工程は、
    撥液膜成分を溶解した液体撥液膜材料を前記所定領域に塗布する溶液塗布工程と、
    塗布した前記液体撥液膜材料中の溶媒を除去して乾燥撥液膜を得る乾燥工程と、
    前記乾燥撥液膜を乾燥工程における乾燥温度より高い温度に加熱するアニール工程と、
    を有することを特徴とする撥液領域の形成方法。
  6. 請求項1ないし5のいずれかに記載の撥液領域の形成方法により、基板の所定位置に撥液領域を形成する撥液領域形成工程と、
    前記撥液領域以外のパターン形成領域に液体パターン材料を塗布して固化するパターン形成工程と、
    を有することを特徴とするパターン形成方法。
  7. 請求項7に記載のパターン形成方法において、
    前記パターン形成工程は、前記パターン形成領域の前記下地膜を除去したのち、前記液体パターン材料を塗布することを特徴とするパターン形成方法。
  8. 請求項6または7に記載のパターン形成方法により形成したパターンを有することを特徴とする電子デバイス。
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