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JP2005112765A - 複素環化合物および該化合物を含有する有機電界発光素子 - Google Patents

複素環化合物および該化合物を含有する有機電界発光素子 Download PDF

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JP2005112765A JP2003347991A JP2003347991A JP2005112765A JP 2005112765 A JP2005112765 A JP 2005112765A JP 2003347991 A JP2003347991 A JP 2003347991A JP 2003347991 A JP2003347991 A JP 2003347991A JP 2005112765 A JP2005112765 A JP 2005112765A
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Abstract

【課題】有機電界発光素子に好適に使用可能な化合物、および該化合物を用いた耐久性、発光輝度の改良された有機電界発光素子を提供することにある。
【解決手段】一般式(1)で表される複素環化合物、および該複素環化合物を用いることを最も主要な特徴とする有機電界発光素子。
【化1】
Figure 2005112765

[式中、Qは酸素原子または硫黄原子を表し、TおよびTはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、直鎖、分岐または環状のアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、あるいは置換または未置換のアリール基を表し、YおよびYはそれぞれ独立に、置換または未置換のアリーレン基を表し、Z〜Zはそれぞれ独立に、置換または未置換のアリール基を表し、さらにZとZおよびZとZはそれぞれ、置換する窒素原子と共に含窒素複素環を形成してもよい]
【選択図】なし

Description

本発明は、複素環化合物および該化合物を含有する有機電界発光素子に関する。
近年、各種の有機化合物が、表示材料や記録材料など、種々の機能を有する材料として盛んに開発が進められている。
例えば、最近では、素子の構成材料に有機化合物を用いた有機電界発光素子(有機エレクトロルミネッセンス素子;有機EL素子)が開発された〔例えば非特許文献1参照〕。有機電界発光素子は、蛍光性有機化合物を含む薄膜を、陽極と陰極の間に挟持された構造を有し、該薄膜に電子および正孔(ホール)を注入して、再結合させることにより励起子(エキシトン)を生成させ、この励起子が失活する際に放出される光を利用して発光する素子である。有機電界発光素子は、数V〜数十V程度の直流の低電圧で発光が可能であり、また蛍光性有機化合物を選択することにより、種々の色(例えば、赤色、青色、緑色)の発光が可能である。このような特徴を有する有機電界発光素子は、種々の発光素子、表示素子などへの応用が期待されている。しかしながら、一般に、有機電界発光素子は、安定性、耐久性に乏しいなどの難点がある。さらに発光輝度が低く、実用上充分でない。
例えば、大きな発光輝度を持つ有機電界発光素子として、一般式(2)(化1)で表される化合物を含むことを特徴とする有機エレクトロルミネセンス素子が開示されている〔特許文献1〕。
Figure 2005112765
[式中、Aは、CH、O、S、SO、Se、Te、C=C(CN)、NR9、PR10、C=O、C=S、C=Se、C=Teである。RないしR10は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、エステル基、モノまたはジ置換アミノ基、アシルアミノ基、水酸基、アルコキシ基、メルカプト基、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、シロキシ基、アシル基、シクロアルキル基、カルバモイル基、カルボン酸基、スルフォン酸基、置換もしくは未置換の脂肪族基、置換もしくは未置換の脂肪族式環基、置換もしくは未置換の炭素環式芳香族環基、置換もしくは未置換の複素環式芳香族環基、置換もしくは未置換の複素環基を表す。また、隣接した置換基同士で置換もしくは未置換の脂肪族式環、置換もしくは未置換の炭素環式芳香族環、置換もしくは未置換の複素環式芳香族環、置換もしくは未置換の複素環を形成しても良い。ここで、RないしRのうち少なくとも一つ、およびRないしRのうち少なくとも一つが、アミノ基、モノ置換アミノ基もしくはジ置換アミノ基である。]
しかしながら、これらの発光素子も充分な耐久性、耐熱性を有しているとは言いがたい。現在では、一層改良された有機電界発光素子が望まれており、新規な有機材料が求められている。
Appl.Phys.Lett.,51,913(1987) 特開平7−53950号公報
本発明の課題は、新規な化合物および該化合物を含有する有機電界発光素子を提供することにある。さらに詳しくは、有機電界発光素子に好適に使用可能な化合物、および該化合物を用いた耐久性、発光輝度の改良された有機電界発光素子を提供することにある。
本発明者等は、種々の化合物および有機電界発光素子に関して鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、
[1]一般式(1)(化2)で表される複素環化合物、
Figure 2005112765
[式中、Qは酸素原子または硫黄原子を表し、TおよびTはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、直鎖、分岐または環状のアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、あるいは置換または未置換のアリール基を表し、YおよびYはそれぞれ独立に、置換または未置換のアリーレン基を表し、Z〜Zはそれぞれ独立に、置換または未置換のアリール基を表し、さらにZとZおよびZとZはそれぞれ、置換する窒素原子と共に含窒素複素環を形成してもよい]
[2]一対の電極間に、一般式(1)で表される化合物を少なくとも1種含有する層を少なくとも1層狭持してなる有機電界発光素子、
[3]一般式(1)で表される化合物を含有する層が、正孔注入輸送層である[2]記載の有機電界発光素子、
[4]一般式(1)で表される化合物を含有する層が、発光層である[2]記載の有機電界発光素子、に関するものである。
本発明により、新規な複素環化合物、および耐久性、発光輝度に優れた有機電界発光素子を提供することができる。
一般式(1)で表される化合物において、Qは酸素原子または硫黄原子を表し、TおよびTはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、直鎖、分岐または環状のアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、あるいは置換または未置換のアリール基を表し、YおよびYはそれぞれ独立に、置換または未置換のアリーレン基を表し、Z〜Zはそれぞれ独立に、置換または未置換のアリール基を表し、さらにZとZおよびZとZはそれぞれ、置換する窒素原子と共に含窒素複素環を形成してもよい。なお、本願においてアリール基とは、炭素環式芳香族基および複素環式芳香族基を表す。また、アリーレン基とは、炭素環式芳香族の2価基、複素環式芳香族の2価基を表す。
一般式(1)で表される化合物において、Qは酸素原子または硫黄原子である。
一般式(1)で表される化合物において、TおよびTはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、直鎖、分岐または環状のアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、あるいは置換または未置換のアリール基であり、好ましくは、水素原子、フッ素原子、塩素原子、炭素数1〜16の直鎖、分岐または環状のアルキル基、あるいは炭素数4〜16の置換または未置換のアリール基であり、より好ましくは、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜14の直鎖、分岐または環状のアルキル基、あるいは炭素数6〜14の置換または未置換のアリール基であり、さらに好ましくは、水素原子、炭素数1〜4の直鎖または分岐のアルキル基、あるいは置換または未置換のフェニル基であり、特に好ましくは水素原子である。
およびTのハロゲン原子、直鎖、分岐または環状のアルキル基、あるいは直鎖、分岐または環状のアルコキシ基の具体的例としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子;メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、2−エチルプロピル基、シクロペンチル基、n−ヘキシル基、2−エチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、シクロヘキシルメチル基、n−オクチル基、1,1−ジメチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−テトラデシル基、n−ヘキサデシル基などの直鎖、分岐または環状のアルキル基;
メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、2−エチルブトキシ基、3,3−ジメチルブトキシ基、シクロヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、シクロヘキシルメチルオキシ基、n−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、n−ノニルオキシ基、n−デシルオキシ基、n−ドデシルオキシ基、n−テトラデシルオキシ基、n−ヘキサデシルオキシ基などの直鎖、分岐または環状のアルコキシ基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
また、TおよびTの置換または未置換のアリール基の具体的例としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、9−フェナントリル基、2−フルオレニル基、9−フルオレニル基、4−キノリル基、4−ピリジル基、3−ピリジル基、2−ピリジル基、3−フリル基、2−フリル基、3−チエニル基、2−チエニル基、2−オキサゾリル基、2−チアゾリル基、2−ベンゾオキサゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、2−ベンゾイミダゾリル基、
4−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、2−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、3−エチルフェニル基、2−エチルフェニル基、4−n−プロピルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基、2−イソプロピルフェニル基、4−n−ブチルフェニル基、4−イソブチルフェニル基、4−sec−ブチルフェニル基、2−sec−ブチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、3−tert−ブチルフェニル基、2−tert−ブチルフェニル基、4−n−ペンチルフェニル基、4−イソペンチルフェニル基、2−イソペンチルフェニル基、4−tert−ペンチルフェニル基、4−(2’−エチルプロピル)フェニル基、4−ヘキシルフェニル基、4−(2’−エチルブチル)フェニル基、4−n−ヘプチルフェニル基、4−n−オクチルフェニル基、4−(2’−エチルヘキシル)フェニル基、
4−シクロペンチルフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、4−(4’−メチルシクロヘキシル)フェニル基、3−シクロヘキシルフェニル基、2−シクロヘキシルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、2,4−ジエチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,3,6−トリメチルフェニル基、3,4,5−トリメチルフェニル基、2,6−ジエチルフェニル基、2,5−ジイソプロピルフェニル基、2,6−ジイソブチルフェニル基、2,4−ジ(tert−ブチル)フェニル基、2,5−ジ(tert−ブチル)フェニル基、4,6−ジ(tert−ブチル)−2−メチルフェニル基、5−(tert−ブチル)−2−メチルフェニル基、4−(tert−ブチル)−2,6−ジメチルフェニル基、
2−メチル−1−ナフチル基、4−メチル−1−ナフチル基、4−エチル−1−ナフチル基、4−ブチル−1−ナフチル基、5−エチル−1−ナフチル基、6−メチル−2−ナフチル基、6−エチル−2−ナフチル基、6−n−ブチル−2−ナフチル基、6−n−ヘキシル−2−ナフチル基、7−メチル−2−ナフチル基、7−n−ブチル−2−ナフチル基、1,4−ジメチル−2−ナフチル基、
1−メチル−9−アントリル基、2−メチル−9−アントリル基、3−メチル−9−アントリル基、4−メチル−9−アントリル基、10−メチル−9−アントリル基、10−エチル−9−アントリル基、10−n−ブチル−9−アントリル基、10−(tert−ブチル)−9−アントリル基、9,10−ジメチル−2−アントリル基、9,10−ジエチル−2−アントリル基、
10−メチル−9−フェナントリル基、10−エチル−9−フェナントリル基、10−n−ブチル−9−フェナントリル基、9−メチル−2−フルオレニル基、9−エチル−2−フルオレニル基、9,9−ジメチル−2−フルオレニル基、7,9,9−トリメチル−2−フルオレニル基、9,9−ジエチル−2−フルオレニル基、9−メチル−9−フルオレニル基、
4−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、2−メトキシフェニル基、4−エトキシフェニル基、3−エトキシフェニル基、2−エトキシフェニル基、4−n−プロポキシフェニル基、3−n−プロポキシフェニル基、4−イソプロポキシフェニル基、2−イソプロポキシフェニル基、4−n−ブトキシフェニル基、4−イソブトキシフェニル基、2−sec−ブトキシフェニル基、4−n−ペンチルオキシフェニル基、4−イソペンチルオキシフェニル基、2−イソペンチルオキシフェニル基、4−ネオペンチルオキシフェニル基、2−ネオペンチルオキシフェニル基、4−n−ヘキシルオキシフェニル基、2−(2’−エチルブチル)オキシフェニル基、4−n−オクチルオキシフェニル基、
2−メトキシ−1−ナフチル基、4−メトキシ−1−ナフチル基、4−n−ブトキシ−1−ナフチル基、5−エトキシ−1−ナフチル基、6−メトキシ−2−ナフチル基、6−エトキシ−2−ナフチル基、6−n−ブトキシ−2−ナフチル基、6−n−ヘキシルオキシ−2−ナフチル基、7−メトキシ−2−ナフチル基、7−n−ブトキシ−2−ナフチル基、2−メチル−4−メトキシフェニル基、2−メチル−5−メトキシフェニル基、3−メチル−5−メトキシフェニル基、3−エチル−5−メトキシフェニル基、2−メトキシ−4−メチルフェニル基、3−メトキシ−4−メチルフェニル基、2,4−ジメトキシフェニル基、2,5−ジメトキシフェニル基、2,6−ジメトキシフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、3,5−ジメトキシフェニル基、3,5−ジエトキシフェニル基、3,5−ジ−n−ブトキシフェニル基、2−メトキシ−4−エトキシフェニル基、2−メトキシ−6−エトキシフェニル基、3,4,5−トリメトキシフェニル基、
1,1’−ビフェニル−4−イル基、1,1’−ビフェニル−3−イル基、1,1’−ビフェニル−2−イル基、4’−メチル−1,1’−ビフェニル−4−イル基、3’−メチル−1,1’−ビフェニル−4−イル基、4’−メトキシ−1,1’−ビフェニル−4−イル基、4’−n−ブトキシ−1,1’−ビフェニル−4−イル基、2’−メトキシ−1,1’−ビフェニル−2−イル基、3−フルオロ−1,1’−ビフェニル−4−イル基、4’−クロロ−1,1’−ビフェニル−4−イル基、2−メチル−1,1’−ビフェニル−2−イル基、2−メトキシ−1,1’−ビフェニル−2−イル基、4−フェニル−1−ナフチル基、2−フェニル−1−ナフチル基、6−フェニル−2−ナフチル基、10−フェニル−9−アントリル基、7−フェニル−2−フルオレニル基、9−フェニル−9−フルオレニル基、
4−フルオロフェニル基、3−フルオロフェニル基、2−フルオロフェニル基、4−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、2−クロロフェニル基、4−ブロモフェニル基、2−ブロモフェニル基、4−クロロ−1−ナフチル基、4−クロロ−2−ナフチル基、6−ブロモ−2−ナフチル基、2,3−ジフルオロフェニル基、2,4−ジフルオロフェニル基、2,5−ジフルオロフェニル基、2,6−ジフルオロフェニル基、3,4−ジフルオロフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基、2,3−ジクロロフェニル基、2,4−ジクロロフェニル基、2,5−ジクロロフェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、2,5−ジブロモフェニル基、2,4,6−トリクロロフェニル基、2,4−ジクロロ−1−ナフチル基、1,6−ジクロロ−2−ナフチル基、2−フルオロ−4−メチルフェニル基、2−フルオロ−5−メチルフェニル基、3−フルオロ−2−メチルフェニル基、3−フルオロ−4−メチルフェニル基、2−メチル−4−フルオロフェニル基、2−メチル−5−フルオロフェニル基、3−メチル−4−フルオロフェニル基、2−クロロ−4−メチルフェニル基、2−クロロ−5−メチルフェニル基、2−クロロ−6−メチルフェニル基、2−メチル−3−クロロフェニル基、2−メチル−4−クロロフェニル基、3−メチル−4−クロロフェニル基、2−クロロ−4,6−ジメチルフェニル基、2−メトキシ−4−フルオロフェニル基、2−フルオロ−4−メトキシフェニル基、2−フルオロ−4−エトキシフェニル基、2−フルオロ−6−メトキシフェニル基、3−フルオロ−4−エトキシフェニル基、3−クロロ−4−メトキシフェニル基、2−メトキシ−5−クロロフェニル基、3−メトキシ−6−クロロフェニル基、5−クロロ−2,4−ジメトキシフェニル基、4−フルオロ−1−ナフチル基、5−フルオロ−1−ナフチル基、6−フルオロ−2−ナフチル基、2−フルオロ−4−メチル−1−ナフチル基、7−フルオロ−2−フルオレニル基、7−フルオロ−9,9−ジメチル−2−フルオレニル基、7−クロロ−9,9−ジメチル−2−フルオレニル基などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
一般式(1)で表される化合物において、YおよびYは置換または未置換のアリーレン基であり、好ましくは、未置換、もしくは、置換基として、例えば、ハロゲン原子、直鎖、分岐または環状のアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、あるいは置換または未置換のアリール基で単置換または多置換されていてもよい総炭素数6〜21の炭素環式芳香族の2価基、または総炭素数3〜20の複素環式芳香族の2価基であり、より好ましくは、未置換、もしくは、置換基として、例えば、ハロゲン原子、炭素数1〜14のアルキル基、炭素数1〜14のアルコキシ基、あるいは炭素数6〜10のアリール基で単置換または多置換されていてもよい総炭素数6〜21の炭素環式芳香族の2価基であり、さらに好ましくは、未置換、もしくは、置換基として、例えば、フッ素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、あるいは炭素数6〜12のアリール基で単置換または多置換されていてもよい、総炭素数6〜18の1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−ナフタレンジイル基、1,5−ナフタレンジイル基、2,6−ナフタレンジイル基、あるいは9,10−アントラセンジイル基であり、特に好ましくは、未置換の1,4−フェニレン基、あるいは1,4−ナフタレンジイル基である。
およびYの置換または未置換のアリーレン基において、単置換または多置換されていてもよい置換基の具体的例としては、例えば、TおよびTの具体的例として挙げた、ハロゲン原子、直鎖、分岐または環状のアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、あるいは置換または未置換のアリール基などを例示することができるが、これらに限定されるものではない。
一般式(1)で表される化合物において、Z〜Zは置換または未置換のアリール基であり、Z〜Zは好ましくは、未置換、もしくは、置換基として、例えば、ハロゲン原子、直鎖、分岐または環状のアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、あるいは置換または未置換のアリール基で単置換または多置換されていてもよい総炭素数6〜21の炭素環式芳香族基、または総炭素数3〜20の複素環式芳香族基であり、より好ましくは、未置換、もしくは、置換基として、例えば、ハロゲン原子、炭素数1〜14のアルキル基、炭素数1〜14のアルコキシ基、あるいは炭素数6〜12のアリール基で単置換または多置換されていてもよい総炭素数6〜21の炭素環式芳香族基であり、さらに好ましくは、未置換、もしくは、置換基として、例えば、フッ素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、あるいは炭素数6〜12のアリール基で単置換または多置換されていてもよい総炭素数6〜18のフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2−アントリル基、9−アントリル基、9−フェナントリル基、あるいは2−フルオレニル基である。
〜Zの置換または未置換のアリール基において、単置換または多置換されていてもよい炭素環式芳香族基または複素環式芳香族基における置換基の具体的例としては、例えば、TおよびTの具体的例として挙げたハロゲン原子、直鎖、分岐または環状のアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、あるいは置換または未置換のアリール基などを例示することができるが、これらに限定されるものではない。
一般式(1)で表される化合物において、さらにZとZ、およびZとZは結合している窒素原子とともに含窒素複素環を形成していてもよく、好ましくは、−NZ、および−NZは、置換または未置換の−N−カルバゾリル基、置換または未置換の−N−フェノキサジニル基、あるいは置換または未置換の−N−フェノチアジニル基を形成していてもよく、より好ましくは、未置換の、もしくは、置換基として、例えば、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、あるいは炭素数6〜12のアリール基で単置換あるいは多置換されていてもよい−N−カルバゾリル基、−N−フェノキサジニル基、あるいは−N−フェノチアジニル基であり、さらに好ましくは、未置換の、もしくは、置換基として、例えば、ハロゲン原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、あるいは炭素数6〜12のアリール基で単置換あるいは多置換されていてもよい−N−カルバゾリル基、−N−フェノキサジニル基、あるいは−N−フェノチアジニル基であり、特に好ましくは、未置換の−N−カルバゾリル基、3位および6位を炭素数1〜4のアルキル基または炭素数6〜12のアリール基で置換された−N−カルバゾリル基、未置換の−N−フェノキサジニル基、あるいは未置換の−N−フェノチアジニル基である。
本発明に係る一般式(1)で表される化合物の具体的例としては、例えば、以下の化合物を挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2005112765
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Figure 2005112765
Figure 2005112765
本発明に関わる一般式(1)で表される化合物は、公知の方法に従って製造することができる。すなわち、例えば、一般式(3)(化13)で表される化合物と一般式(4)(化13)および一般式(5)(化13)で表される化合物を銅触媒〔例えば、金属銅粉、塩化銅(I)、塩化銅(II)、臭化銅(I)、酢酸銅(II)、あるいは硫酸銅(II)など〕またはパラジウム触媒〔例えば、酢酸パラジウム(II)、あるいはテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)など〕存在下に反応させることにより製造することができる。
Figure 2005112765
〔式中、Q、T、T、Y、YおよびZ〜Zは一般式(1)と同じ意味を表し、XおよびXはそれぞれ独立に、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を表す。〕
一般式(1)で表される化合物は、有機電界発光素子の発光成分または電荷輸送成分として使用する事ができる。その他、各種の蛍光染料、蛍光増白剤などに使用することができる。
有機電界発光素子は、通常、一対の電極間に、少なくとも1種の発光成分を含有する発光層を少なくとも一層挟持してなるものである。発光層に使用する化合物の正孔注入および正孔輸送、電子注入および電子輸送の各機能レベルを考慮し、所望に応じて、正孔注入輸送成分を含有する正孔注入輸送層および/または電子注入輸送成分を含有する電子注入輸送層を設けることもできる。例えば、発光層に使用する化合物の正孔注入機能、正孔輸送機能および/または電子注入機能、電子輸送機能が良好な場合には、発光層が正孔注入輸送層および/または電子注入輸送層を兼ねた型の素子の構成とすることができる。もちろん、場合によっては、正孔注入輸送層および電子注入輸送層の両方の層を設けない型の素子(一層型の素子)の構成とすることもできる。また、正孔注入輸送層、電子注入輸送層および発光層のそれぞれの層は、一層構造であっても多層構造であってもよく、正孔注入輸送層および電子注入輸送層は、それぞれの層において、注入機能を有する層と輸送機能を有する層を別々に設けて構成することもできる。
本発明の有機電界発光素子において、一般式(1)で表される化合物は、正孔注入輸送成分および/または発光成分に用いることが好ましく、正孔注入輸送成分に用いることがより好ましい。本発明の有機電界発光素子においては、一般式(1)で表される化合物は、単独で使用してもよく、あるいは複数併用してもよい。
本発明の有機電界発光素子の構成としては、特に限定するものではなく、例えば、(A)陽極/正孔注入輸送層/発光層/電子注入輸送層/陰極型素子(図1)、(B)陽極/正孔注入輸送層/発光層/陰極型素子(図2)、(C)陽極/発光層/電子注入輸送層/陰極型素子(図3)、(D)陽極/発光層/陰極型素子(図4)などを挙げることができる。さらには、発光層を電子注入輸送層で挟み込んだ型の素子である(E)陽極/正孔注入輸送層/電子注入輸送層/発光層/電子注入輸送層/陰極型素子(図5)とすることもできる。(D)型の素子構成としては、発光成分を一層形態で一対の電極間に挟持させた型の素子はもちろんであるが、さらには、例えば、(F)正孔注入輸送成分、発光成分および電子注入輸送成分を混合させた一層形態で一対の電極間に挟持させた型の素子(図6)、(G)正孔注入輸送成分および発光成分を混合させた一層形態で一対の電極間に挟持させた型の素子(図7)、(H)発光成分および電子注入輸送成分を混合させた一層形態で一対の電極間に挟持させた型の素子(図8)がある。
本発明の有機電界発光素子は、これらの素子構成に限るものではなく、それぞれの型の素子において、正孔注入輸送層、発光層、電子注入輸送層を複数層設けたりすることができる。また、それぞれの型の素子において、正孔注入輸送層と発光層との間に、正孔注入輸送成分と発光成分の混合層および/または発光層と電子注入輸送層との間に、発光成分と電子注入輸送成分の混合層を設けることもできる。より好ましい有機電界発光素子の構成は、(A)型素子、(B)型素子、(E)型素子、(F)型素子または(G)型素子であり、さらに好ましくは、(A)型素子、(B)型素子または(G)型素子である。
本発明の有機電界発光素子として、例えば、(図1)に示す(A)陽極/正孔注入輸送層/発光層/電子注入輸送層/陰極型素子について説明する。(図1)において、1は基板、2は陽極、3は正孔注入輸送層、4は発光層、5は電子注入輸送層、6は陰極、7は電源を示す。
本発明の有機電界発光素子は、基板1に支持されていることが好ましく、基板としては、特に限定するものではないが、透明ないし半透明であることが好ましく、例えば、ガラス板、透明プラスチックシート(例えば、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルフォン、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのシート)、半透明プラスチックシート、石英、透明セラミックスあるいはこれらを組み合わせた複合シートからなるものを挙げることができる。さらに、基板に、例えば、カラーフィルター膜、色変換膜、誘電体反射膜を組み合わせて、発光色をコントロールすることもできる。
陽極2としては、比較的仕事関数の大きい金属、合金または電気電導性化合物を電極物質として使用することが好ましい。陽極に使用する電極物質としては、例えば、金、白金、銀、銅、コバルト、ニッケル、パラジウム、バナジウム、タングステン、酸化錫、酸化亜鉛、ITO(インジウム・ティン・オキサイド)、ポリチオフェン、ポリピロールなどを挙げることができる。これらの電極物質は、単独で使用してもよく、あるいは複数併用してもよい。陽極は、これらの電極物質を、例えば、蒸着法、スパッタリング法等の方法により、基板の上に形成することができる。また、陽極は一層構造であってもよく、あるいは多層構造であってもよい。陽極のシート電気抵抗は、好ましくは、数百Ω以下、より好ましくは、5〜50Ω程度に設定する。陽極の厚みは、使用する電極物質の材料にもよるが、一般に、5〜1000nm程度、より好ましくは、10〜500nm程度に設定する。
正孔注入輸送層3は、陽極からの正孔(ホール)の注入を容易にする機能、および注入された正孔を輸送する機能を有する化合物を含有する層である。正孔注入輸送層は、一般式(1)で表される化合物および/または他の正孔注入輸送機能を有する化合物(例えば、フタロシアニン誘導体、トリアリールメタン誘導体、トリアリールアミン誘導体、オキサゾール誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、ピラゾリン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリフェニレンビニレンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール誘導体など)を、少なくとも1種用いて形成することができる。なお、正孔注入輸送機能を有する化合物は、単独で使用してもよく、あるいは複数併用してもよい。
本発明において用いる正孔注入輸送機能を有する化合物としては、トリアリールアミン誘導体〔例えば、N,N’−ビス(4”−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N’−ビス(3”−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N’−ビス(3”−メトキシフェニル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、N,N’−ジ(1”−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン、3,3’−ジメチル−N,N’−ビス(3”−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4‘−ジアミン、1,1−ビス{4’−[N,N−ビス(4”−メチルフェニル)アミノ]フェニル}シクロヘキサン、N,N’−ビス(4’−n−ブチルフェニル)−N、N’−ビス(4”−メチルフェニル)フェナントレン−9,10−ジアミン、6,N,N,N’,N’−ペンタフェニルフェナントリジン−3,8−ジアミン、N−(4”−メチルフェニル)−N,N−ビス{4’−[N’,N’−ビス(4’”−メチルフェニル)アミノ]−1,1’−ビフェニル−4−イル}アミン、N,N’−ビス[4’−(N”,N”−ジフェニルアミノ)フェニル]−N,N’−ジフェニル−1,3−フェニレンジアミン、N,N’−ビス[4’−(N”,N”−ジフェニルアミノ)フェニル]−N,N’−ジフェニル−1,4−フェニレンジアミン、5,5”−ビス{4’”−[N,N−ビス(4””−メチルフェニル)アミノ]フェニル}−2,2’:5’,2”−ターチオフェン、N,N,N’,N’,N”,N”−ヘキサフェニル−1,3,5−ベンゼントリアミン、4,4’,4”−トリス(N−カルバゾリル)トリフェニルアミン、4,4’,4”−トリス[N−(3’’’−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ]トリフェニルアミン、4,4’,4”−トリス[N,N−ビス(4””−tert−ブチル−1’”,1””−ビフェニル−4’”−イル)アミノ]トリフェニルアミン、N,N’,N”−トリス[4’−(N’”,N’”−ジフェニルアミノ)フェニル]−N,N’,N”−トリフェニル−1,3,5−ベンゼントリアミンなど〕、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール誘導体がより好ましい。
本発明の有機電界発光素子においては、正孔注入輸送層に一般式(1)で表される化合物を含有していることが好ましい。一般式(1)で表される化合物と他の正孔注入輸送機能を有する化合物を併用する場合、正孔注入輸送層中に占める一般式(1)で表される化合物の割合は、好ましくは、0.001〜99.999質量%程度に調製する。
発光層4は、正孔および電子の注入機能、それらの輸送機能、正孔と電子の再結合により励起子を生成させる機能を有する化合物を含有する層である。発光層は、一般式(1)で表される化合物および/または他の発光機能を有する化合物(例えば、アクリドン誘導体、キナクリドン誘導体、ジケトピロロピロール誘導体、多環芳香族化合物〔例えば、ルブレン、アントラセン、テトラセン、ピレン、ペリレン、クリセン、デカシクレン、コロネン、テトラフェニルシクロペンタジエン、ペンタフェニルシクロペンタジエン、9,10−ジフェニルアントラセン、9,10−ビス(フェニルエチニル)アントラセン、1,4−ビス(アントラセン−9’−イルエチニル)ベンゼン、4,4’−ビス(アントラセン−9”−イルエチニル)−1,1’−ビフェニル〕、トリアリールアミン誘導体〔例えば、正孔注入輸送機能を有する化合物として前述した化合物を挙げることができる〕、有機金属錯体〔例えば、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(10−ベンゾ[h]キノリノラート)ベリリウム、2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾオキサゾールの亜鉛塩、2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾールの亜鉛塩、4−ヒドロキシアクリジンの亜鉛塩、3−ヒドロキシフラボンの亜鉛塩、5−ヒドロキシフラボンのベリリウム塩、5−ヒドロキシフラボンのアルミニウム塩〕、スチルベン誘導体〔例えば、1,1,4,4−テトラフェニル−1,3−ブタジエン、4,4’−ビス(2”,2”−ジフェニルビニル)−1,1’−ビフェニル、4,4’−ビス(1”,2”,2”−トリフェニルビニル)−1,1’−ビフェニル〕、
クマリン誘導体〔例えば、クマリン1、クマリン6、クマリン7、クマリン30、クマリン106、クマリン138、クマリン151、クマリン152、クマリン153、クマリン307、クマリン311、クマリン314、クマリン334、クマリン338、クマリン343、クマリン500〕、ピラン誘導体〔例えば、DCM1、DCM2〕、オキサゾン誘導体〔例えば、ナイルレッド〕、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ピラジン誘導体、ケイ皮酸エステル誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリフェニレンおよびその誘導体、ポリフルオレンおよびその誘導体、ポリフェニレンビニレンおよびその誘導体、ポリビフェニレンビニレンおよびその誘導体、ポリターフェニレンビニレンおよびその誘導体、ポリナフチレンビニレンおよびその誘導体、ポリチエニレンビニレンおよびその誘導体など)を、少なくとも1種用いて形成することができる。
本発明の有機電界発光素子においては、発光層に一般式(1)で表される化合物を含有していることが好ましい。一般式(1)で表される化合物と他の発光機能を有する化合物を併用する場合、発光層中に占める一般式(1)で表される化合物の割合は、好ましくは、0.001〜99.999質量%程度に調製する。
本発明において用いる他の発光機能を有する化合物としては、多環芳香族化合物、スチルベン誘導体、発光性有機金属錯体がより好ましい。例えば、J.Appl.Phys.,65,3610(1989)、特開平5−214332号公報に記載のように、発光層をホスト化合物とゲスト化合物(ドーパント)とより構成することもできる。一般式(1)で表される化合物を、ホスト化合物として発光層を形成することができ、さらにはゲスト化合物として発光層を形成することもできる。一般式(1)で表される化合物を、ホスト化合物として発光層を形成する場合、ゲスト化合物としては、例えば、前記の他の発光機能を有する化合物を挙げることができ、中でも多環芳香族化合物は好ましい。この場合、一般式(1)で表される化合物に対して、他の発光機能を有する化合物を、好ましくは、0.001〜40質量%程度、より好ましくは、0.01〜30質量%程度、さらに好ましくは、0.1〜20質量%程度使用する。一般式(1)で表される化合物を、ゲスト化合物として用いて発光層を形成する場合、ホスト化合物としては、多環芳香族化合物、トリアリールアミン誘導体、有機金属錯体、スチルベン誘導体が好ましく、多環芳香族化合物、スチルベン誘導体がより好ましい。この場合、ホスト化合物に対して、一般式(1)で表される化合物を、好ましくは、0.001〜40質量%程度、より好ましくは、0.01〜30質量%程度、さらに好ましくは、0.1〜20質量%程度使用する。もちろんいずれの場合においても、他の発光機能を有する化合物は、単独で使用してもよく、あるいは複数併用してもよい。
電子注入輸送層5は、陰極からの電子の注入を容易にする機能、そして注入された電子を輸送する機能を有する化合物を含有する層である。電子注入輸送層に使用される電子注入輸送機能を有する化合物としては、例えば、有機金属錯体〔例えば、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム、ビス(10−ベンゾ[h]キノリノラート)ベリリウム、5−ヒドロキシフラボンのベリリウム塩、5−ヒドロキシフラボンのアルミニウム塩〕、オキサジアゾール誘導体〔例えば、1,3−ビス[5’−(4”−tert−ブチルフェニル)−1’,3’,4’−オキサジアゾール−2’−イル]ベンゼン〕、トリアゾール誘導体〔例えば、5−(1’,1”−ビフェニル−4’−イル)−3−(4’”−tert−ブチルフェニル)−4−フェニル−1,2,4−トリアゾール〕、トリアジン誘導体、ペリレン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ニトロ置換フルオレノン誘導体、チオピランジオキサイド誘導体などを挙げることができる。なお、電子注入輸送機能を有する化合物は、単独で使用してもよく、あるいは複数併用してもよい。
陰極6としては、比較的仕事関数の小さい金属、合金または電気電導性化合物を電極物質として使用することが好ましい。陰極に使用する電極物質としては、例えば、リチウム、リチウム−インジウム合金、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、カルシウム、マグネシウム、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、インジウム、ルテニウム、チタニウム、マンガン、イットリウム、アルミニウム、アルミニウム−リチウム合金、アルミニウム−カルシウム合金、アルミニウム−マグネシウム合金、グラファイト薄膜等を挙げることができる。これらの電極物質は、単独で使用してもよく、あるいは複数併用してもよい。陰極は、これらの電極物質を、例えば、蒸着法、スパッタリング法、イオン化蒸着法、イオンプレーティング法、クラスターイオンビーム法等の方法により、電子注入輸送層の上に形成することができる。また、陰極は一層構造であってもよく、あるいは多層構造であってもよい。なお、陰極のシート電気抵抗は、数百Ω以下に設定するのが好ましい。陰極の厚みは、使用する電極物質の材料にもよるが、一般に、5〜1000nm程度、より好ましくは、10〜500nm程度に設定する。なお、有機電界発光素子の発光を効率よく取り出すために、陽極または陰極の少なくとも一方の電極が、透明ないし半透明であることが好ましく、一般に、発光光の透過率が70%以上となるように陽極の材料、厚みを設定することがより好ましい。
また、本発明の有機電界発光素子においては、その少なくとも一層中に、一重項酸素クエンチャーが含有されていてもよい。一重項酸素クエンチャーとしては、特に限定するものではなく、例えば、ルブレン、ニッケル錯体、ジフェニルイソベンゾフランなどが挙げられ、特に好ましくは、ルブレンである。一重項酸素クエンチャーが含有されている層としては、特に限定するものではないが、好ましくは、発光層または正孔注入輸送層であり、より好ましくは、正孔注入輸送層である。なお、例えば、正孔注入輸送層に一重項酸素クエンチャーを含有させる場合、正孔注入輸送層中に均一に含有させてもよく、正孔注入輸送層と隣接する層(例えば、発光層、発光機能を有する電子注入輸送層)の近傍に含有させてもよい。一重項酸素クエンチャーの含有量としては、含有される層(例えば、正孔注入輸送層)を構成する全体量の0.01〜50質量%、好ましくは、0.05〜30質量%、より好ましくは、0.1〜20質量%である。
正孔注入輸送層、発光層、電子注入輸送層の形成方法に関しては、特に限定するものではなく、例えば、真空蒸着法、イオン化蒸着法、溶液塗布法(例えば、スピンコート法、キャスト法、ディップコート法、バーコート法、ロールコート法、ラングミュア・ブロゼット法、インクジェット法など)により薄膜を形成することにより作製することができる。真空蒸着法により、各層を形成する場合、真空蒸着の条件は、特に限定するものではないが、5×10−4Pa程度以下の真空下で、50〜600℃程度のボート温度(蒸着源温度)、−50〜300℃程度の基板温度で、0.005〜50nm/sec程度の蒸着速度で実施することが好ましい。この場合、正孔注入輸送層、発光層、電子注入輸送層等の各層は、真空下で、連続して形成することにより、諸特性に一層優れた有機電界発光素子を製造することができる。真空蒸着法により、正孔注入輸送層、発光層、電子注入輸送層等の各層を、複数の化合物を用いて形成する場合、化合物を入れた各ボートを個別に温度制御して、共蒸着することが好ましい。
溶液塗布法により、各層を形成する場合、各層を形成する成分あるいはその成分とバインダー樹脂等を、溶媒に溶解、または分散させて塗布液とする。正孔注入輸送層、発光層、電子注入輸送層の各層に使用しうるバインダー樹脂としては、例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアリレート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリシロキサン、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリパラキシレン、ポリエチレン、ポリエチレンエーテル、ポリプロピレンエーテル、ポリフェニレンオキサイド、ポリエーテルスルフォン、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリフェニレンビニレンおよびその誘導体、ポリフルオレンおよびその誘導体、ポリチエニレンビニレンおよびその誘導体等の高分子化合物が挙げられる。バインダー樹脂は、単独で使用してもよく、あるいは複数併用してもよい。
溶液塗布法により、各層を形成する場合、各層を形成する成分あるいはその成分とバインダー樹脂等を、適当な有機溶媒(例えば、ヘキサン、オクタン、デカン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、1−メチルナフタレン等の炭化水素系溶媒;アセトン、2−ブタノン、4−メチル−2−ペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、テトラクロロメタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロトルエン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル等のエステル系溶媒;メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ペンタノール、1−ヘキサノール、シクロヘキサノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、エチレングリコール等のアルコール系溶媒;ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、アニソール等のエーテル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジメチルスルフォキサイド等の極性溶媒)および/または水に溶解、または分散させて塗布液とし、各種の塗布法により、薄膜を形成することができる。
なお、分散する方法としては、特に限定するものではないが、例えば、ボールミル、サンドミル、ペイントシェーカー、アトライター、ホモジナイザー等を用いて微粒子状に分散することができる。塗布液の濃度に関しては、特に限定するものではなく、実施する塗布法により、所望の厚みを作製するに適した濃度範囲に設定することができ、一般には、0.1〜50質量%程度、好ましくは、1〜30質量%程度の溶液濃度である。なお、バインダー樹脂を使用する場合、その使用量に関しては、特に限定するものではないが、一般には、各層を形成する成分に対して(一層型の素子を形成する場合には、各成分の総量に対して)、5〜99.9質量%程度、好ましくは、10〜99質量%程度、より好ましくは、15〜90質量%程度に設定する。
正孔注入輸送層、発光層、電子注入輸送層の膜厚に関しては、特に限定するものではないが、一般に、5nm〜5μm程度に設定することが好ましい。なお、作製した素子に対し、酸素や水分等との接触を防止する目的で、保護層(封止層)を設けたり、また素子を、例えば、パラフィン、流動パラフィン、シリコンオイル、フルオロカーボン油、ゼオライト含有フルオロカーボン油などの不活性物質中に封入して保護することができる。
保護層に使用する材料としては、例えば、有機高分子材料(例えば、フッ素化樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、エポキシシリコーン樹脂、ポリスチレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリパラキシレン、ポリエチレン、ポリフェニレンオキサイド)、無機材料(例えば、ダイヤモンド薄膜、アモルファスシリカ、電気絶縁性ガラス、金属酸化物、金属窒化物、金属炭素化物、金属硫化物)、さらには光硬化性樹脂などを挙げることができ、保護層に使用する材料は、単独で使用してもよく、あるいは複数併用してもよい。保護層は、一層構造であってもよく、また多層構造であってもよい。
また、電極に保護膜として、例えば、金属酸化膜(例えば、酸化アルミニウム膜)、金属フッ化膜を設けることもできる。また、例えば、陽極の表面に、例えば、有機リン化合物、ポリシラン、芳香族アミン誘導体、フタロシアニン誘導体(例えば、銅フタロシアニン)、カーボンから成る界面層(中間層)を設けることもできる。さらに、電極、例えば、陽極はその表面を、例えば、酸、アンモニア/過酸化水素、あるいはプラズマで処理して使用することもできる。
本発明の有機電界発光素子は、一般に、直流駆動型の素子として使用されるが、パルス駆動型または交流駆動型の素子としても使用することができる。なお、印加電圧は、一般に、2〜30V程度である。本発明の有機電界発光素子は、例えば、パネル型光源、各種の発光素子、各種の表示素子、各種の標識、各種のセンサーなどに使用することができる。
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、もちろん、本発明はこれらに限定されるものではない。
例示化合物1の合成
2,8−ビス(4’−クロロフェニル)ジベンゾ[b,d]ピラン3.9g、ジフェニルアミン4.3g、ナトリウムtert−ブトキシド1.5gを、1,2−キシレン(25g)に加え、窒素雰囲気下、室温で1時間攪拌した。ここに酢酸パラジウム0.1gとトリ(tert−ブチル)ホスフィン0.4gを加えた後、7時間加熱還流した。その後、室温まで冷却して、その後、室温まで冷却して、トルエン(200g)と水(200g)を加えて室温で30分間攪拌を行った。その後、分液を行い、有機層を水(300g)で3回洗浄し、硫酸マグネシウム20gに通して乾燥して後、およそ50mLまで減圧濃縮した。この濃縮液をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開液;トルエン:n−ヘキサン=1:2)で処理し、さらにトルエンとn−ヘキサンの混合溶媒(重量比3:1)で2回再結晶を行い、白色固体3.6gを得た。質量分析測定により、例示化合物1の化合物であることを確認した。
例示化合物3の合成
実施例1において、ジフェニルアミン4.3gの代わりにN−フェニル−3−メトキシフェニルアミン5.0gを使用した以外は、実施例1と同様の操作を行って、白色固体3.3gを得た。質量分析測定により、例示化合物3の化合物であることを確認した。
例示化合物6の合成
実施例1において、ジフェニルアミン4.3gの代わりにフェノキサジン5.0gを使用した以外は、実施例1と同様の操作を行って、白色固体3.3gを得た。質量分析測定により、例示化合物6の化合物であることを確認した。
例示化合物7の合成
実施例1において、ジフェニルアミン4.3gの代わりにN−フェニル−1,1’−ビフェニル−4−アミン6.2gを使用した以外は、実施例1と同様の操作を行って、白色固体3.9gを得た。質量分析測定により、例示化合物7の化合物であることを確認した。
例示化合物22の合成
実施例1において、2,8−ビス(4’−クロロフェニル)ジベンゾ[b,d]ピラン3.9gの代わりに2,8−ビス(4’−クロロフェニル)ジベンゾ[b,d]チオフェン4.1gを、ジフェニルアミン4.3gの代わりにN−フェニル−3−メチルフェニルアミン4.6gを使用した以外は、実施例1と同様の操作を行って、白色固体3.5gを得た。質量分析測定により、例示化合物22の化合物であることを確認した。
例示化合物25の合成
実施例1において、2,8−ビス(4’−クロロフェニル)ジベンゾ[b,d]ピラン3.9gの代わりに2,8−ビス(4’−クロロフェニル)ジベンゾ[b,d]チオフェン4.1gを、ジフェニルアミン4.3gの代わりにカルバゾール4.2gを使用した以外は、実施例1と同様の操作を行って、白色固体3.6gを得た。質量分析測定により、例示化合物25の化合物であることを確認した。
例示化合物28の合成
実施例1において、2,8−ビス(4’−クロロフェニル)ジベンゾ[b,d]ピラン3.9gの代わりに2,8−ビス(4’−クロロフェニル)ジベンゾ[b,d]チオフェン4.1gを、ジフェニルアミン4.3gの代わりにN−フェニル−1−ナフチルアミン5.5gを使用した以外は、実施例1と同様の操作を行って、白色固体3.9gを得た。質量分析測定により、例示化合物28の化合物であることを確認した。
例示化合物38の合成
実施例1において、2,8−ビス(4’−クロロフェニル)ジベンゾ[b,d]ピラン4.1gの代わりに2,8−ビス(4’−クロロ−1’−ナフチル)ジベンゾ[b,d]チオフェン5.1gを使用した以外は、実施例1と同様の操作を行って、白色固体4.1gを得た。質量分析測定により、例示化合物38の化合物であることを確認した。
例示化合物12の合成
2,8−ビス(4’−クロロフェニル)ジベンゾ[b,d]ピラン3.9g、N−フェニル−9−フェナントリルアミン6.8g、ナトリウムtert−ブトキシド1.5gを、トルエン(30g)に加え、窒素雰囲気下、室温で1時間攪拌した。ここに酢酸パラジウム0.1gと2−ジシクロヘキシルホスフィノ−1,1’−ビフェニル0.7gを加えた後、100℃に昇温し、同温度で8時間保温した。その後、室温まで冷却して、メタノール(300g)に排出し、析出した固体をろ取し、メタノールで洗浄後、乾燥した。得られた固体を、シリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開液;トルエン:n−ヘキサン=1:2)で処理し、さらにトルエンとn−ヘキサンの混合溶媒(重量比3:1)で2回再結晶を行い、白色固体4.1gを得た。質量分析測定により、例示化合物12の化合物であることを確認した。
例示化合物13の合成
実施例9において、N−フェニル−9−フェナントリルアミン6.8gの代わりにN−フェニル−4−フルオロ−1−ナフチルアミン6.0gを使用した以外は、実施例9と同様の操作を行って、白色固体4.2gを得た。質量分析測定により、例示化合物13の化合物であることを確認した。
例示化合物19の合成
実施例9において、2,8−ビス(4’−クロロフェニル)ジベンゾ[b,d]ピラン3.9gの代わりに2,8−ビス(6’−クロロ−2’−ナフチル)ジベンゾ[b,d]ピラン5.1gを、N−フェニル−9−フェナントリルアミン6.8gの代わりにジフェニルアミン4.3gを使用した以外は、実施例9と同様の操作を行って、白色固体3.9gを得た。質量分析測定により、例示化合物19の化合物であることを確認した。
例示化合物32の合成
実施例9において、2,8−ビス(4’−クロロフェニル)ジベンゾ[b,d]ピラン3.9gの代わりに2,8−ビス(4’−クロロフェニル)ジベンゾ[b,d]チオフェン4.1gを使用した以外は、実施例9と同様の操作を行って、白色固体4.1gを得た。質量分析測定により、例示化合物32の化合物であることを確認した。
例示化合物35の合成
実施例9において、2,8−ビス(4’−クロロフェニル)ジベンゾ[b,d]ピラン3.9gの代わりに2,8−ビス(4’−クロロフェニル)ジベンゾ[b,d]チオフェン4.1gを、N−フェニル−9−フェナントリルアミン6.8gの代わりにN−フェニル−9,9−ジメチル−2−フルオレニルアミン7.2gを使用した以外は、実施例9と同様の操作を行って、白色固体2.2gを得た。質量分析測定により、例示化合物35の化合物であることを確認した。
例示化合物36の合成
実施例9において、2,8−ビス(4’−クロロフェニル)ジベンゾ[b,d]ピラン3.9gの代わりに2,8−ビス(4’−クロロフェニル)ジベンゾ[b,d]チオフェン4.1gを、N−フェニル−9−フェナントリルアミン6.8gの代わりに3,6−ジメチルカルバゾール4.9gを使用した以外は、実施例9と同様の操作を行って、白色固体2.2gを得た。質量分析測定により、例示化合物36の化合物であることを確認した。
例示化合物24の合成
2,8−ビス(4’−ブロモフェニル)ジベンゾ[b,d]チオフェン24.7g、ジフェニルアミン8.5g、炭酸カリウム7.0gおよび銅粉5.0gを1,2−ジクロロベンゼン(150g)中、窒素雰囲気下、180〜190℃で12時間加熱攪拌した。150℃に冷却後、不溶解物を熱炉別し、ろ液を40℃以下に冷却後、メタノール(300g)に排出して、固体をろ過、メタノール(50g)で洗浄、減圧乾燥を行った。この固体を、シリカゲルカラムクロマトグラフィ〔溶出液:n−ヘキサンとトルエンの混合溶媒(3:1)〕で処理し、淡黄色の固体9.3gを得た。この固体7.0g、ビス(4−tert−ブチルフェニル)アミン4.3g、ナトリウムtert−ブトキシド0.8gを、o−キシレン(25g)に加え、窒素雰囲気下、室温で1時間攪拌した。ここに酢酸パラジウム0.1gとトリ(tert−ブチル)ホスフィン0.4gを加えた後、7時間加熱還流した。その後、室温まで冷却して、その後、室温まで冷却して、トルエン(200g)と水(200g)を加えて室温で30分間攪拌を行った。その後、分液を行い、有機層を水(300g)で3回洗浄し、硫酸マグネシウム20gに通して乾燥して後、およそ50mLまで減圧濃縮した。この濃縮液をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開液;トルエン:n−ヘキサン=1:2)で処理し、さらにトルエンとn−ヘキサンの混合溶媒(重量比3:1)で2回再結晶を行い、白色固体1.8gを得た。質量分析測定により、例示化合物24の化合物であることを確認した。
例示化合物29の合成
2−(4’−ブロモフェニル)−8−(4”−クロロフェニル)ジベンゾ[b,d]チオフェン22.5g、カルバゾール8.4g、炭酸カリウム7.0gおよびヨウ化銅(I)1.0gを1,2−ジクロロベンゼン(180g)中、窒素雰囲気下、180〜190℃で12時間加熱攪拌した。150℃に冷却後、不溶解物を熱炉別し、ろ液を40℃以下に冷却後、メタノール(300g)に排出して、固体をろ過、メタノール(50g)で洗浄、減圧乾燥を行った。この固体を、シリカゲルカラムクロマトグラフィ〔溶出液:n−ヘキサンとトルエンの混合溶媒(2:1)〕で処理し、淡黄色の固体10.2gを得た。この固体5.4g、N−フェニル−1−ナフチルアミン3.0g、ナトリウムtert−ブトキシド0.8gを、o−キシレン(25g)に加え、窒素雰囲気下、室温で1時間攪拌した。ここに酢酸パラジウム0.1gとトリ(tert−ブチル)ホスフィン0.4gを加えた後、7時間加熱還流した。その後、室温まで冷却して、その後、室温まで冷却して、トルエン(200g)と水(200g)を加えて室温で30分間攪拌を行った。その後、分液を行い、有機層を水(300g)で3回洗浄し、硫酸マグネシウム20gに通して乾燥して後、およそ50mLまで減圧濃縮した。この濃縮液をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開液;トルエン:n−ヘキサン=1:2)で処理し、さらにトルエンとn−ヘキサンの混合溶媒(重量比3:1)で2回再結晶を行い、白色固体2.1gを得た。質量分析測定により、例示化合物29の化合物であることを確認した。
有機電界発光素子の作成
厚さ200nmのITO透明電極(陽極)を有するガラス基板を、中性洗剤、アセトン、エタノールを用いて超音波洗浄した。その基板を窒素ガスを用いて乾燥し、さらにUV/オゾン洗浄した後、蒸着装置の基板ホルダーに固定した後、蒸着槽を4×10−4Paに減圧した。まず、ITO透明電極上に、例示化合物1の化合物を、蒸着速度0.2nm/secで75nmの厚さに蒸着し、正孔注入輸送層とした。次いで、その上に、トリス(8−キノリノラート)アルミニウムを、蒸着速度0.2nm/secで50nmの厚さに蒸着し、電子注入輸送層を兼ねた発光層とした。さらにその上に、マグネシウムと銀を蒸着速度0.2nm/secで200nmの厚さに共蒸着(重量比10:1)して陰極とし、有機電界発光素子を作製した。なお、蒸着は、蒸着槽の減圧状態を保ったまま実施した。作製した有機電界発光素子に直流電圧を印加し、乾燥雰囲気下、10mA/cmの定電流密度で連続駆動させた。初期には、6.2V、輝度480cd/mの緑色の発光が確認された。輝度の半減期は700時間であった。
有機電界発光素子の作成
実施例17において、発光層の形成に際して、例示化合物1の化合物を使用する代わりに、例示化合物6の化合物を使用した以外は、実施例17に記載の方法により有機電界発光素子を作製した。各素子からは緑色の発光が確認された。さらにその特性を調べ、結果を第1表(表1)に示した。
有機電界発光素子の作成
実施例17において、発光層の形成に際して、例示化合物1の化合物を使用する代わりに、例示化合物12の化合物を使用した以外は、実施例17に記載の方法により有機電界発光素子を作製した。各素子からは緑色の発光が確認された。さらにその特性を調べ、結果を第1表(表1)に示した。
有機電界発光素子の作成
実施例17において、発光層の形成に際して、例示化合物1の化合物を使用する代わりに、例示化合物19の化合物を使用した以外は、実施例17に記載の方法により有機電界発光素子を作製した。各素子からは緑色の発光が確認された。さらにその特性を調べ、結果を第1表(表1)に示した。
有機電界発光素子の作成
実施例17において、発光層の形成に際して、例示化合物1の化合物を使用する代わりに、例示化合物25の化合物を使用した以外は、実施例17に記載の方法により有機電界発光素子を作製した。各素子からは緑色の発光が確認された。さらにその特性を調べ、結果を第1表(表1)に示した。
有機電界発光素子の作成
実施例17において、発光層の形成に際して、例示化合物1の化合物を使用する代わりに、例示化合物28の化合物を使用した以外は、実施例17に記載の方法により有機電界発光素子を作製した。各素子からは緑色の発光が確認された。さらにその特性を調べ、結果を第1表(表1)に示した。
有機電界発光素子の作成
実施例17において、発光層の形成に際して、例示化合物1の化合物を使用する代わりに、例示化合物29の化合物を使用した以外は、実施例17に記載の方法により有機電界発光素子を作製した。各素子からは緑色の発光が確認された。さらにその特性を調べ、結果を第1表(表1)に示した。
有機電界発光素子の作成
実施例17において、発光層の形成に際して、例示化合物1の化合物を使用する代わりに、例示化合物32の化合物を使用した以外は、実施例17に記載の方法により有機電界発光素子を作製した。各素子からは緑色の発光が確認された。さらにその特性を調べ、結果を第1表(表1)に示した。
有機電界発光素子の作成
実施例17において、発光層の形成に際して、例示化合物1の化合物を使用する代わりに、例示化合物35の化合物を使用した以外は、実施例17に記載の方法により有機電界発光素子を作製した。各素子からは緑色の発光が確認された。さらにその特性を調べ、結果を第1表(表1)に示した。
有機電界発光素子の作成
実施例17において、発光層の形成に際して、例示化合物1の化合物を使用する代わりに、例示化合物38の化合物を使用した以外は、実施例17に記載の方法により有機電界発光素子を作製した。各素子からは緑色の発光が確認された。さらにその特性を調べ、結果を第1表(表1)に示した。
Figure 2005112765
比較例1〜2 有機電界発光素子の作成
実施例1において、正孔注入輸送層の形成に際して、例示化合物1の化合物を使用する代わりに、N,N’−ビス(4”−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(比較例1)、3,7−ビス(N,N−ジフェニルアミノ)ジベンゾ[b,d]チオフェン(比較例2)を使用した以外は、実施例1に記載の方法により有機電界発光素子を作製した。各素子からは緑色の発光が確認された。さらにその特性を調べ、結果を第1表に示した。
有機電界発光素子の作成
厚さ200nmのITO透明電極(陽極)を有するガラス基板を、中性洗剤、アセトン、エタノールを用いて超音波洗浄した。その基板を窒素ガスを用いて乾燥し、さらにUV/オゾン洗浄した後、蒸着装置の基板ホルダーに固定した後、蒸着槽を4×10−4Paに減圧した。まず、ITO透明電極上に、4,4’,4”−トリス〔N−(3’’’−メチルフェニル)−N−フェニルアミノ〕トリフェニルアミンを蒸着速度0.1nm/secで、50nmの厚さに蒸着し、第一正孔注入輸送層とした。次いでN、N’−ジ(1”−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミンと例示化合物7の化合物を、異なる蒸発源から、蒸着速度0.1nm/secで、20nmの厚さに共蒸着(重量比20:80)し、第二正孔注入輸送層とした。次いで、その上に、トリス(8−キノリノラート)アルミニウムを、蒸着速度0.2nm/secで50nmの厚さに蒸着し、電子注入輸送層を兼ねた発光層とした。さらにその上に、マグネシウムと銀を蒸着速度0.2nm/secで200nmの厚さに共蒸着(重量比10:1)して陰極とし、有機電界発光素子を作製した。なお、蒸着は、蒸着槽の減圧状態を保ったまま実施した。作製した有機電界発光素子に直流電圧を印加し、乾燥雰囲気下、10mA/cmの定電流密度で連続駆動させた。初期には、6.0V、輝度650cd/mの緑色の発光が確認された。輝度の半減期は1550時間であった。
有機電界発光素子の作成
厚さ200nmのITO透明電極(陽極)を有するガラス基板を、中性洗剤、アセトン、エタノールを用いて超音波洗浄した。その基板を窒素ガスを用いて乾燥し、さらにUV/オゾン洗浄した後、蒸着装置の基板ホルダーに固定した後、蒸着槽を4×10−4Paに減圧した。まず、ITO透明電極上に、例示化合物13の化合物を蒸着速度0.1nm/secで、20nmの厚さに蒸着し、第一正孔注入輸送層とした。次いで、例示化合物22の化合物とルブレンを、異なる蒸発源から、蒸着速度0.2nm/secで55nmの厚さに共蒸着(重量比10:1)し、第二正孔注入輸送層を兼ねた発光層とした。さらに、その上に、トリス(8−キノリノラート)アルミニウムを蒸着速度0.2nm/secで50nmの厚さに蒸着し、電子注入輸送層とした。さらにその上に、マグネシウムと銀を蒸着速度0.2nm/secで200nmの厚さに共蒸着(重量比10:1)して陰極とし、有機電界発光素子を作製した。なお、蒸着は、蒸着槽の減圧状態を保ったまま実施した。作製した有機電界発光素子に直流電圧を印加し、乾燥雰囲気下、10mA/cmの定電流密度で連続駆動させた。初期には、6.1V、輝度620cd/mの黄色の発光が確認された。輝度の半減期は1710時間であった。
有機電界発光素子の作成
厚さ200nmのITO透明電極(陽極)を有するガラス基板を、中性洗剤、アセトン、エタノールを用いて超音波洗浄した。その基板を窒素ガスを用いて乾燥し、さらにUV/オゾン洗浄した。次に、ITO透明電極上に、ポリカーボネート(重量平均分子量50000)、と例示化合物24の化合物を、重量比100:50の割合で含有する3質量%ジクロロエタン溶液を用いて、ディップコート法により、40nmの正孔注入輸送層を兼ねた発光層とした。次に、この正孔注入輸送層を有するガラス基板を、蒸着装置の基板ホルダーに固定した後、蒸着槽を4×10−4Paに減圧した。次いで、その上に、トリス(8−キノリノラート)アルミニウムを、蒸着速度0.2nm/secで50nmの厚さに蒸着し、電子注入輸送層とした。さらに、電子注入輸送層の上に、マグネシウムと銀を蒸着速度0.2nm/secで200nmの厚さに共蒸着(重量比10:1)して陰極とし、有機電界発光素子を作製した。作製した有機電界発光素子に、乾燥雰囲気下、10Vの直流電圧を印加したところ、90mA/cmの電流が流れた。輝度540cd/mの青色の発光が確認された。輝度の半減期は270時間であった。
有機電界発光素子の作成
厚さ200nmのITO透明電極(陽極)を有するガラス基板を、中性洗剤、アセトン、エタノールを用いて超音波洗浄した。その基板を窒素ガスを用いて乾燥し、さらにUV/オゾン洗浄した。次に、ITO透明電極上に、ポリメチルメタクリレート(重量平均分子量25000)、例示化合物3の化合物、トリス(8−キノリノラート)アルミニウムを、それぞれ重量比100:50:0.5の割合で含有する3質量%ジクロロエタン溶液を用いて、ディップコート法により、100nmの発光層を形成した。次に、この発光層を有するガラス基板を、蒸着装置の基板ホルダーに固定した後、蒸着槽を4×10−4Paに減圧した。さらに、発光層の上に、マグネシウムと銀を、蒸着速度0.2nm/secで200nmの厚さに共蒸着(重量比10:1)して陰極とし、有機電界発光素子を作製した。作製した有機電界発光素子に、乾燥雰囲気下、15Vの直流電圧を印加したところ、85mA/cmの電流が流れた。輝度450cd/mの緑色の発光が確認された。輝度の半減期は340時間であった。
耐久性、発光輝度の改良された有機電界発光素子が提供される。
有機電界発光素子の一例の概略構造図である。 有機電界発光素子の一例の概略構造図である。 有機電界発光素子の一例の概略構造図である。 有機電界発光素子の一例の概略構造図である。 有機電界発光素子の一例の概略構造図である。 有機電界発光素子の一例の概略構造図である。 有機電界発光素子の一例の概略構造図である。 有機電界発光素子の一例の概略構造図である。
符号の説明
1 :基板
2 :陽極
3 :正孔注入輸送層
3a:正孔注入輸送成分
4 :発光層
4a:発光成分
5 :電子注入輸送層
5’’:電子注入輸送層
5a:電子注入輸送成分
6 :陰極
7 :電源

Claims (4)

  1. 一般式(1)(化1)で表される複素環化合物。
    Figure 2005112765
    [式中、Qは酸素原子または硫黄原子を表し、TおよびTはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、直鎖、分岐または環状のアルキル基、直鎖、分岐または環状のアルコキシ基、あるいは置換または未置換のアリール基を表し、YおよびYはそれぞれ独立に、置換または未置換のアリーレン基を表し、Z〜Zはそれぞれ独立に、置換または未置換のアリール基を表し、さらにZとZおよびZとZはそれぞれ、置換する窒素原子とともに含窒素複素環を形成してもよい]
  2. 一対の電極間に、一般式(1)で表される化合物を少なくとも1種含有する層を少なくとも1層狭持してなる有機電界発光素子。
  3. 一般式(1)で表される化合物を含有する層が、正孔注入輸送層である請求項2記載の有機電界発光素子。
  4. 一般式(1)で表される化合物を含有する層が、発光層である請求項2記載の有機電界発光素子。
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