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JP2005104750A - ナノチューブの精製方法 - Google Patents

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JP2005104750A JP2003337178A JP2003337178A JP2005104750A JP 2005104750 A JP2005104750 A JP 2005104750A JP 2003337178 A JP2003337178 A JP 2003337178A JP 2003337178 A JP2003337178 A JP 2003337178A JP 2005104750 A JP2005104750 A JP 2005104750A
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Abstract

【課題】ナノチューブ混合物から所望のナノチューブを選択分離するために、ナノチューブ混合物を帯電させ分散し、電界を印加して所望のナノチューブを選択的に移動分離し、電気伝導率範囲を絞ったナノチューブ、特に、半導体性のカーボンナノチューブを簡便な方法で得ることができるナノチューブの精製方法を提供することを目的とする。
【解決手段】ナノチューブ精製装置1の電極2の上に電気絶縁性の基板3を具備し、基板3とほぼ平行に対向電極4、対向基板5を対向して設け、基板3の表面に帯電処理工程で帯電させたナノチューブ含有材料6を散布分散し、帯電量検知器8によりナノチューブ含有材料6の帯電量を非接触で測定検知し、電極2と対向電極4の間に、検知した帯電量に応じて調整設定した直流電圧を印加し、電界印加により対向電極4、対向基板5側に帯電した半導体性のカーボンナノチューブを選択的に移動分離させ収集する工程を含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、ナノチューブ(NT)の精製方法に関して、特に、カーボンナノチューブ混合物から所定の電気伝導率範囲のカーボンナノチューブを選択的に分離させ、所望の半導体性のカーボンナノチューブを得る方法に関する。
現在、ナノ構造からなるナノチューブ(NT)、特にカーボン(C)から作成された導電性が非常に良好で、機械的強度が高く化学的熱的にもたいへん安定なカーボンナノチューブ(CNT)が研究されている。カーボンナノチューブは、ナノメーターオ−ダーである極小の直径と、ミクロンオーダーの長さを有していてアスペクト比が非常に大きく、理想的な1次元システムに限りなく近い。カーボンナノチューブには、分子構造の対象性により直径と螺旋度に応じて、高電気伝導率を有する金属性、または直径に反比例する大きさのバンドギャップを有する半導体性の性質を有するものが作成される。通常、カーボンナノチューブは、合成の際に上記金属性のものと半導体性のものが約1:2などの比率で含まれたカーボンナノチューブ混合物として作成される。従って、少なくともナノチューブを薄膜トランジスタの半導体層などとして利用する場合には、半導体性のものを使用する必要がある。従って、カーボンナノチューブ混合物から金属性のカーボンナノチューブを除去させ、必要な半導体性のカーボンナノチューブを得る必要がある。
従来、上述したようなカーボンナノチューブ混合物から、金属性のカーボンナノチューブと絶縁性のカーボンナノチューブとに分離する方法として、特にその電気伝導率に関して所望のナノチューブ材料を得るためのナノチューブの精製方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1は、電子ビーム照射またはコロナ放電シャワーで帯電させたカーボンナノチューブ混合物を、回転ドラムに撒き、その回転ドラムを回転させることで、帯電しなかった金属性のカーボンナノチューブを回転ドラムから除くことで、絶縁性のカーボンナノチューブと金属性のカーボンナノチューブを分離するナノチューブの精製方法を開示している。
図5は、従来例のカーボンナノチューブの精製方法における回転ドラム機構装置の概念図である。特許文献1によれば、図5に示すように、回転ドラム機構装置71において、カーボンナノチューブ混合物72が回転ドラム73の表面に散布され、これにコロナ放電装置76から放電シャワー、または電子ビ−ム装置から電子ビームが照射されて、カーボンナノチューブ混合物72が帯電させられる。回転ドラム73を回転させることにより帯電しなかった金属性のカーボンナノチューブ74は回転ドラム73から落下して除かれ、カーボンナノチューブ混合物72に含まれた金属性のカーボンナノチューブ74と絶縁性のカーボンナノチューブ75とが分離される。
しかし、上記従来の技術によれば、ナノチューブの精製をする際に、大型で高価格の回転ドラムとその機構装置を必要とする。また、電気伝導率に関する分離度を上げるために、上記回転工程サイクルを何回も実施する必要がある。
ナノチューブ混合物から電気伝導率範囲を絞った、特に半導体性のカーボンナノチューブを選択的に分離収集する、簡便で、小型低価格の装置を使って精製することが可能なナノチューブの精製方法が望まれている。
特開平8−231210号公報(第5−6頁、図1)
特許文献1によれば、電子ビーム照射またはコロナ放電で帯電させたカーボンナノチューブ混合物を、回転ドラムに撒き、その回転ドラムを回転させることで、帯電しなかった金属性のカーボンナノチューブを回転ドラムから落下させることにより、絶縁性のカーボンナノチューブと金属性のカーボンナノチューブを分離するナノチューブの精製方法が開示されている。その精製方法の実施のためには、回転ドラムを使用した大型で高価格の回転機構装置を必要とするという問題がある。
特許文献1によれば、カーボンナノチューブの精製において、電気伝導率に関する分離度を上げるために、上記回転サイクルを何回も実施する必要があり、精製するために数回の工程サイクルを必要とするという問題がある。
本発明は、このような問題に鑑みなされたもので、ナノチューブ混合物から金属性のナノチューブを除去し、所望のナノチューブを分離するために、ナノチューブ混合物を帯電させ、分散し、電界を印加して所望のナノチューブを選択的に移動分離させることにより、電気伝導率範囲を絞った所望のナノチューブ、特に、半導体性のカーボンナノチューブを簡便な方法で得ることが可能となり、また、低価格の小型装置で精製することが可能なナノチューブの精製方法を提供することを目的とする。
本発明は、前記課題を解決するために、以下の手段を採用した。
すなわち、本発明のナノチューブの精製方法は、ナノチューブ混合物から所望のナノチューブを得る工程を有するナノチューブの精製方法であって、その工程が、ナノチューブ混合物を少なくとも含むナノチューブ含有材料を帯電する帯電処理工程と、ナノチューブ含有材料を分散する材料分散工程と、ナノチューブ含有材料に少なくとも電界を印加する電界印加工程と、電界によって移動したナノチューブを分離する分離工程と、を少なくとも含むことを特徴とするものである。また、具体的には、ナノチューブは、カーボンナノチューブであることを特徴とするものである。また、望ましくは、ナノチューブ混合物は、その大きさがほぼ均一であることを特徴とするものである。
これにより、ナノチューブ混合物から金属性のナノチューブを除去し、所望のナノチューブを分離するために、特に、大きさがほぼ均一なカーボンナノチューブ混合物を帯電させ、分散し、電界を印加して所望のカーボンナノチューブを選択的に移動分離させることにより、電気伝導率範囲を絞ったカーボンナノチューブ、特に、半導体性のカーボンナノチューブを簡便な方法で得ることが可能となる。
具体的には、本発明のナノチューブの精製方法における帯電処理工程は、ナノチューブ含有材料を接触帯電、コロナ放電および電子ビーム照射より選択された少なくとも1つの方法により帯電させる工程を有することを特徴とするものである。また、さらに具体的には、接触帯電による帯電処理工程は、ナノチューブ含有材料を交流磁場印加、交流電場印加、超音波照射および機械的振動付与より選択された少なくとも1つの方法により混合撹拌して帯電させる工程を有することを特徴とするものである。
また、詳しくは、ナノチューブ含有材料は、磁性粒子を少なくとも含むことを特徴とするものである。また、さらに詳しくは、帯電処理工程は、ナノチューブ含有材料を振動磁場あるいは回転磁場などの磁場で撹拌して帯電させる工程を有することを特徴とするものである。
また、具体的には、材料分散工程は、電位が設定された電極上または基板上にナノチューブ含有材料が分散される工程を含み、電界印加工程は、電極と対向電極あるいは対向基板との間に電界を印加する工程を有することを特徴とするものである。
また、別に具体的には、材料分散工程は、ナノチューブ含有材料が、略平行に設けられた少なくとも2枚の電極の空間中に出射される工程を有し、電界印加工程は、ナノチューブ含有材料が出射された電極間に電界を印加する工程を有することを特徴とするものである。
また、電界は、所定の電圧を有する少なくとも直流電界であることを特徴とするものである。
また、望ましくは、電界印加工程は、帯電処理工程によって得られた帯電量を検知し、検知された前記帯電量に応じて調整した電界を印加する工程を有することを特徴とするものである。
さらに望ましくは、電界印加工程は、所望の電気伝導率範囲値と検知された帯電量とによって調整した電界を印加する工程を有し、分離工程は、一方の電極側に移動した所望の電気伝導率範囲値を有するナノチューブを分離収集して得ることを特徴とするものである。
また、具体的には、ナノチューブ混合物から所望のナノチューブを得る前記工程に含む材料分散工程、帯電処理工程、電界印加工程および分離工程の少なくとも1つまたは2つ以上の工程は、電気絶縁性の液体中における電気泳動法によって行われることを特徴とするものである。
また、本発明のナノチューブ精製装置は、一方の電極と電気絶縁性の基板を具備し、電極に対して基板とは間隙を挟んでほぼ平行に対向して少なくとも対向電極を具備し、基板上にナノチューブ含有材料を分散配置した後、電界を印加する電界印加装置によって電極と対向電極間に直流電圧を印加し、対向電極側に帯電した所望のナノチューブを選択的に移動分離させることを特徴とするものである。
また、本発明のナノチューブ精製装置は、ナノチューブ含有材料を帯電処理させるための帯電処理装置と、帯電処理装置から帯電したナノチューブ含有材料が出射される空間を有する略平行に設けた少なくとも電極、対向電極を具備し、少なくともナノチューブ含有材料が空間中に出射されている時、電極,対向電極間に所定の直流電界を印加し、対向電極側に帯電した所望のナノチューブを選択的に移動分離させることを特徴とするものである。また、本発明のナノチューブ精製装置は、少なくとも電極と対向電極を設けた間隙に、ナノチューブ混合物を分散し帯電させる電気絶縁性の液体を具備し、電圧を印加する電界印加装置により両電極間に電圧を印加して、電気泳動により対向電極側に帯電した所望のナノチューブを引きつけて、選択的に移動分離させることを特徴とするものである。
なお、以上に述べた各工程、構成は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。
以上のように、本発明のナノチューブの精製方法により、ナノチューブ混合物から金属性のナノチューブを除去し、所望のナノチューブを分離するために、カーボンナノチューブ混合物を帯電させ、分散し、電界を印加して所望のカーボンナノチューブを選択的に移動分離させることにより、絞った範囲の電気伝導率の値を有するカーボンナノチューブ、特に、半導体性のカーボンナノチューブを簡便に得ることが可能となる。
また、本発明のナノチューブの精製方法により、低価格の小型装置で精製することが可能となるナノチューブの精製方法とすることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、以下で説明する図面において、同一要素については同じ番号を付している。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1であるナノチューブの精製方法におけるナノチューブ精製装置を示す断面概念図である。図1におけるナノチューブ精製装置1を使用したナノチューブを精製する実施の形態1の工程として、図示しないが、事前に、少なくとも金属性および半導体性のナノチューブを例えば約1:2の割合で含むナノチューブ混合物の、大きさをほぼ均一に揃える。ナノチューブ混合物を、メンブランフィルターやミクロフィルターなどの微細孔を有するフィルターに数回通すなどの方法を利用し、事前に約1〜2μmの長さにほぼそろったカーボンナノチューブ混合物を得る。また、超遠心分離器などによりカーボンナノチューブの直径、長さを含めた大きさの均一化を図ることが可能である。
次に、大きさがほぼ均一にそろったカーボンナノチューブ混合物の材料に、磁性粒子などの材料を混合してナノチューブ含有材料を用意する。磁性粒子は、フェライト、マグネタイト、ヘマタイトなどの鉄、コバルト、ニッケル、マンガンなどの合金や化合物、その他の強磁性合金などの磁性材料が含有される、粒径が約1〜数100μmの磁性粒子が利用可能である。磁性粒子の形状は、球状、針状、棒状、粉状、薄片状などが利用可能である。ナノチューブ含有材料には、本発明の範疇において他の材料、例えば、上記磁性粒子が半導体性のナノチューブとは逆極性に帯電するように電荷付与材をその表面上に付着させることができ、さらに必要であれば他の材料も混合することができる。
そして、上記カーボンナノチューブ混合物を少なくとも含むナノチューブ含有材料に含まれる少なくとも半導体性、半絶縁性からなるカーボンナノチューブを、帯電させる帯電処理工程として、実施の形態1においては、接触帯電による方法でナノチューブ含有材料を帯電させる。上述の磁性粒子を混合したナノチューブ含有材料を、マグネット塊を振動させる振動磁場印加装置(図示省略)、あるいはマグネット塊を回転させる回転磁場印加装置(図示省略)に挿入して、印加磁場の位置、その強度や周期を変動させる。印加磁場の変動を受けてナノチューブ含有材料に含まれる強磁性体材料である磁性粒子が内部で高速に上下左右にあるいは回転して大きく動き回り、ナノチューブ含有材料からなる微粉末はほぼ均一に混合撹拌される。そして同時に上記装置内部では、カーボンナノチューブ混合物と磁性粒子、あるいはカーボンナノチューブ同士などが接触あるいは摩擦することによって接触帯電あるいは摩擦帯電が起きることになるので、ナノチューブ含有材料の少なくとも半導体性、半絶縁性などの材料を帯電させることができる。
上記帯電処理工程において、磁性粒子を含んだナノチューブ含有材料を接触帯電の方法で帯電させるとしたが、コロナ帯電、イオンフローシャワーあるいは電子ビーム照射などの方法を利用してナノチューブ含有材料を帯電させても同様に実施可能である。
また、上記接触帯電による帯電処理工程において、ナノチューブ含有材料を交流磁場印加、交流電場印加、超音波照射および機械的振動付与などや、その組み合わせによって接触帯電させてもよい。この時、上記ナノチューブ含有材料においては必要に応じて磁性粒子を含ませてよい。
図1に示すように、本発明の実施の形態1に使用するナノチューブ精製装置1は、表面がほぼ平坦状の形状をした電極2の上にポリカーボネートなどのプラスチックシ−トやセラミックシートなどの電気絶縁性の基板3を具備し、また、電極2に対向して、従って基板3とは間隙(例えば、約100μm)を挟んでほぼ平行に対向した形で対向電極4やその内側に対向基板5を設けている。電極2と基板3、対向電極4と対向基板5とはそれぞれ接触していても非接触でもよく、基板3は例えば接地電位などの電位設定をした電極2と電気的に接続し、対向基板5は対向電極4とに接続している。
次の材料分散工程として、電位設定された電気絶縁性の基板3の表面に、上記の帯電処理工程で帯電あるいは非帯電させたカーボンナノチューブ混合物や磁性粒子を含むナノチューブ含有材料6を、好ましくは均一に散布し分散する。
図1において、材料分散工程あるいは下に述べる電界印加工程において、静電気測定器7や表面電位計などの帯電量検知器8を使用して、上述の帯電処理工程によって帯電させたナノチューブ含有材料6の帯電量を非接触で測定検知する。
図2は、実施の形態1におけるナノチューブ精製方法の電界印加工程を示す概念図である。図1における材料分散工程において、基板3表面上にナノチューブ含有材料を分散配置した後、図2において、電界印加工程として、ナノチューブ精製装置1の電極2と対向電極4の間に、その間隙にもよるが、電界印加装置20によって、直流電圧Vを徐々に所定の電圧(数十V〜数百V)まで印加する。上記で直流電圧はバイアス直流電圧を重畳した交流電圧でもよく、バイアス電圧重畳の交流電圧によりナノチューブ含有材料6はより攪乱され分離されすくなる。また、図1で、帯電量検知器8により検知した帯電量に応じて印加する電界値を調整設定し電極2と対向電極4との間に、電界印加装置20によって調整した直流電圧(V)を印加することができる。電界印加により対向電極4、対向基板5側に矢印のように帯電した半導体性のカーボンナノチューブ9を選択的に移動分離させ、収集することにより、所望のナノチューブを得て分離工程を終える。
実験の結果では、表1の結果例に示すように、両電極間に非常に高い電圧(例えば100V以上)を印加することにより、対向電極4,対向基板5側に移動した、カーボンナノューブ混合物の約2/3の分量を占める半導体性のカーボンナノューブ7を分離収集することができた。そして、電極2、基板3側には、帯電しなかった高い電気伝導率を有する約1/3の分量の金属性のカーボンナノチューブおよび混合された逆極性に帯電した重い重量の磁性粒子が残った。
Figure 2005104750
また、実験の結果では、表2の結果例に示すように、カーボンナノチューブ混合物のナノチューブの大きさと混合物の分量がほぼ一定の条件下においては、検知した帯電量が大きい場合には低い電圧を印加し、検知した帯電量が小さい場合には高い電圧を印加するように電圧を調整することにより、より所望のほぼ一定の電気伝導率以下、あるいは一定の範囲の電気伝導率の半導体性のカーボンナノューブを得ることができた。
Figure 2005104750
また、実施の形態1の電界印加工程において、所望の値の電気伝導率範囲を設定し、この範囲値と検知された帯電量とによって、電界を調整して印加することにより、所望の設定した電気伝導率範囲の値を有するほぼ均一なカーボンナノューブを選択して分離し得ることできる。
なお、実施の形態1において、図1,2におけるナノチューブ精製装置1は、基板と電極を組み合わせた構成としたが、電極2と対向電極4の電極のみからなる構成でもよく、同様に実施可能であり、この場合には、ナノチューブ含有材料6を電極2の表面上に直接散布し分散する。あるいは、基板3と対向基板5の基板のみからなる構成でもよく、同様に実施可能であり、この場合にはナノチューブ含有材料6を基板3の表面上に散布する。上記基板3と対向基板5の電気絶縁性の基板のみからなる構成では、その間隙にもよるが千V〜数千Vの高い直流電圧を印加する。また、基板の絶縁性や表面抵抗や雰囲気の温度湿度などの違いによりその印加電圧、電位設定条件を調整する必要がある。また、電極間の間隙の値により、印加する電界の値を変える必要があることは勿論である。
また、本実施の形態において、帯電量検知器8を使用して、帯電させたナノチューブ含有材料6の帯電量を検知し、検知した帯電量に応じて印加する電界値を調整し電極2と対向電極4との間に電圧を印加するとしたが、帯電量を検知せずに所定の電圧を両電極間に印加しても構わない。その場合には、不均一ではあるが広い範囲の電気伝導率の半導体性、半絶縁性のカーボンナノチューブが得ることができる。
本発明のナノチューブの精製方法における実施の形態1の工程により、カーボンナノチューブ混合物を帯電させ、分散し、電界を印加して分離し単サイクルの工程で簡便に、所望の電気伝導率以下の範囲に絞った半導体性のナノチューブを選択的に分離収集して得ることができる。
また、実施の形態1による精製方法によって、少なくとも2枚の電極あるいは基板の構成を有する電界印加構成により、回転機構を不要とする低価格で小型のナノチューブ精製装置を使用して精製することができる。
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2であるナノチューブの精製方法におけるナノチューブ精製装置を示す断面概念図である。図3におけるナノチューブ精製装置11を使用したナノチューブを精製する実施の形態2の工程として、まず事前に、実施の形態1と同じように、大きさをほぼ均一に揃えたカーボンナノチューブ混合物材料を用意する。この材料とナノチューブとは逆極性に帯電するように処理した磁性粒子とを混合したナノチューブ含有材料6を、実施の形態1と同じように混合撹拌して接触帯電させるために、振動磁場や回転磁場によって帯電処理装置12の中で帯電処理する。次に、材料分散工程として、上記帯電処理したナノチューブ含有材料6を、約5mmの間隙をあけて略平行に設けた少なくとも電極13、対向電極14の間の空間15に向けて帯電処理装置12から、例えば空気や不活性ガスなどのガス圧を利用して上方から出射し落下させる。そして、上記材料分散工程と同時に、電界印加工程として、ナノチューブ含有材料6がその空間中に出射された電極13,対向電極14間に所定の値の直流電圧(例えば1000V)を印加し、直流電界を印加する。あるいはバイアス直流電圧を重畳した交流電界を印加してもよい。
上記工程の順番としては、電界印加工程を経て材料分散工程に入る方が、ナノチューブの分離度としてはよい結果を得ることができる。
そして、上記電界が印加されている2枚の電極間の空間15に出射されたナノチューブ含有材料6の帯電した材料は、落下しながら静電気によるクーロン力で電界に引きつけられ弧を描くように分離して行き、帯電あるいは逆極性に帯電した材料は、それぞれ電極13,対向電極14側に付着する。そして、非帯電の材料や重い材料などは両電極に引きつけられることなく下方に落下する。
実験の結果では、一方の電極13側には、カーボンナノチューブ混合物の約2/3の分量の帯電した半導体性のカーボンナノチューブ16が引きつけられ、対向電極14側には、逆極性に帯電した磁性粒子17などが引きつけられた。カーボンナノチューブ混合物の約1/3の分量の帯電していない金属性のカーボンナノチューブ18や重い磁性粒子17は下方に落下した。
また、図3に示すように、電気伝導率の値に応じて帯電した、大きさをほぼ揃えた半導体性のカーボンナノチューブは、落下しつつ電極13に引きつけられ、漸次、電極13の異なる上下の位置に分離付着する。電極13の上側の位置には、帯電量が大きく電気伝導率が低い値を有する高抵抗の半導体性のカーボンナノチューブ16が得られる。電極13の下側の位置には、帯電量が少なく電気伝導率が高い値を有する低抵抗の半導体性のカーボンナノチューブ16が得られる。その途中の位置には、その中間の連続した値の電気伝導率のナノチューブが得られる。
実験の結果では、表3の結果例に示すように、図3の特定の位置に分離付着した半導体性のカーボンナノチューブを収集することにより、所望のほぼ均一な電気伝導率の値の、あるいはほぼ均一な電気伝導率範囲の値を有する半導体性のカーボンナノチューブを得ることができた。
Figure 2005104750
上記実施の形態2において、ナノチューブ含有材料に磁性粒子の材料を混合して帯電処理すると説明したが、磁性粒子を含まず帯電処理できる方法であれば、磁性粒子を混合する必要はなく、同様に実施が可能である。
また、実施の形態2の工程において、カーボンナノチューブ混合物の大きさを事前に均一に揃えるように説明したが、大きさが異なるものを含んだカーボンナノチューブ混合物を使用してもよく、その場合は、半導体性のカーボンナノチューブが電極に付着する位置は、ナノチューブの大きさと電気伝導率の値を加味した位置に付着する。
図4は、実施の形態2における別の実施例であるナノチューブ精製装置を示す断面概念図である。図3と同一要素については同じ参照番号を付与している。図3と異なるのは、ナノチューブ精製装置11の電極13を上側に、他方の電極14を下側に平行に水平に設けるように構成していることである。材料分散工程として、間隙を挟んで水平に配置した電極13、14の間の空間15に向けて、帯電処理装置12の横方向からナノチューブ含有材料6をほぼ水平に出射する。この時、電界印加工程として、電極13,対向電極14間には直流電圧(V)が印加されているようにする。
上側に配置された電極13は、少なくとも帯電した半導体性のカーボンナノチューブを静電気クーロン力で引きつけ付着させる。下側に平行に配置した対向電極14には、帯電していない金属性のカーボンナノチューブや逆極性に帯電した重い磁性粒子が下方に移動して付着する。
上記で、本発明のナノチューブの精製方法における実施の形態2の工程により、カーボンナノチューブ混合物を帯電させ、分散し、電界を印加して、単サイクルの工程で簡便に、電気伝導率をほぼ均一に絞った所望の半導体性のカーボンナノチューブを選択的に分離収集して得ることができる。
また、実施の形態2による精製方法によって、少なくとも2枚の平行に設けた電界印加した電極間の空間に、帯電させたナノチューブ混合物を出射させ、電界印加により選択的に分離収集することが可能な低価格のナノチューブ精製装置を使用することができる。
以上のように、本発明のナノチューブの精製方法により、ナノチューブ混合物から金属性のナノチューブを除去し、所望のナノチューブを分離するために、カーボンナノチューブ混合物を帯電させ、分散し、電界を印加して所望のカーボンナノチューブを選択的に移動分離させることにより、電気伝導率を絞ったカーボンナノチューブ、特に、半導体性のカーボンナノチューブを簡便に得ることが可能となる。
また、本発明のナノチューブの精製方法により、低価格の小型装置で精製することが可能となるナノチューブの精製方法とすることができる。
なお、本発明のナノチューブの精製方法は、電気絶縁性液体中における電気泳動法によって実施することも可能である。図5は、本発明のナノチューブの精製方法における他のナノチューブ精製装置を示す断面概念図である。図5において、電気泳動法によるナノチューブ精製装置21において、ナノチューブ混合物をイソパラフィン系炭化水素などの分散媒などによる電気絶縁性の液体25中に分散すると、界面動電位の発生によりナノチューブ混合物は帯電する。各種ナノチューブ16,18の材料の帯電の極性は、ナノチューブの種類と分散媒溶液の種類により変えることができる。そして、電界印加装置20により電圧を印加し電界を印加することにより、帯電した半導体性のナノチューブ16を一方の対向電極24側に電気泳動により引きつけ、他方の電極22側には逆極性に帯電した材料や、非帯電あるいは逆帯電した金属性のナノチューブ18を液体25中で下方に移動させ分離することができる。分離工程として、各帯電材料の移動速度の違いを利用して、所望の帯電した材料を、ここでは半導体性のカーボンナノチューブを選択的に取り出すこともできる。図5における本発明のナノチューブの精製方法における工程は、材料分散工程に入ると同時に帯電処理工程がなされ、次いで電界印加工程、分離工程と進めることになる。
また、実施の形態1、2において、カーボンナノチューブ混合物の大きさを均一に揃えるほど、本発明で精製される所望のカーボンナノチューブの電気伝導率の値を揃えることが可能となるが、所望のナノチューブの違いにより、大きさの均一性の値について上記に限定されるものではなく、各種大きさ(例えば、長さ0.1〜10μm、直径0.5〜数10nm)のナノチューブを使用することができる。
また、カーボンナノチューブ混合物の中の金属性と半導体性のカーボンナノチューブが約1:2の分量比として説明したが、分量比が異なるカーボンナノチューブ混合物の材料を用いてもその比率の所望の半導体性のカーボンナノチューブを得ることができる。
また、上記では精製工程を単サイクルで実施するとして説明したが、数サイクル繰り返しても構わない。本発明のナノチューブの精製方法における工程は、帯電処理工程、材料分散工程、電界印加工程、分離工程を含む工程であり、その順序や時期は異なっても良いし、同時に行ってもよい。また、複数の工程を繰り返してから他の工程へ移っても構わない。
また、好ましくは、上記実施の形態などの各工程において帯電条件を一定にするために、上記ナノチューブ精製装置は、特に電極間の空間中における温度、湿度を最適条件、例えば、温度約30℃、湿度約40%などの乾燥状態に制御する方がよい。また、実施の形態1、2において、カーボンナノチューブを精製するとして説明したが、将来において、カーボン他の材料からなるナノチューブの精製に利用できる可能性がある。
また、本発明のナノチューブの精製方法を使用して、所望の電気伝導率がほぼ均一な半導体性のナノチューブ材料をあらかじめ得ることにより、ナノチューブ型の薄膜トランジスタにおける半導体層を形成するので、微細で高性能な薄膜トランジスタを高い歩留まりで製造することができる。また、本発明のナノチューブの精製方法を使用して、所望の電気伝導率がほぼ均一な半導体性のナノチューブ材料をあらかじめ得ることにより、有機半導体材料と本発明の精製方法によって得た半導体性のナノチューブとを複合させた複合系半導体層型の薄膜トランジスタを作成することができる。
また、本発明のナノチューブの精製方法で得ることができる半導体性のナノチュ−ブは、半導体回路装置や、その半導体回路装置を使用した携帯機器や使い捨て機器あるいはその他の電子機器などの薄膜トランジスタやデバイスに適用することもできる。薄膜トランジスタを画素のスイッチング素子や周辺の駆動回路として多数配置し設けるように構成したディスプレイや、情報処理記録するIC部や記憶部と無線通信用のアンテナ部を有する超小型装置である無線ICタグ(RFIDタグ)の、少なくともIC部に設けるように構成した無線ICタグや、あるいは薄膜トランジスタを使用した半導体回路装置を設けた携帯機器、使い捨てデバイスなどの電子機器に使用することができる。
本発明は、ナノチューブ混合物から簡便な精製方法により半導体性のナノチューブを選択的に分離収集することができ、少なくともあらかじめ選別した半導体性のナノチューブを含む半導体層を形成することにより、より極微細化高性能化した薄膜トランジスタやその他の半導体デバイスなどを高歩留まりで作成することができ、これらを使用した半導体回路装置をより超小型化高性能化させることができる。また、これらのデバイスを使用して、ペーパーライクあるいはシート状などのディスプレイや、小型高性能半導体回路装置を使用した携帯機器や、無線ICタグなどの使い捨て機器あるいは、その他の電子機器、ロボット、超小型医療器具その他の産業分野に利用することができ、その産業上の利用可能性は非常に広く且つ大きい。
本発明の実施の形態1であるナノチューブの精製方法におけるナノチューブ精製装置を示す断面概念図 本発明の実施の形態1におけるナノチューブ精製方法の電界印加工程を示す概念図 本発明の実施の形態2であるナノチューブの精製方法におけるナノチューブ精製装置を示す断面概念図 実施の形態2における別の実施例であるナノチューブ精製装置を示す断面概念図 図5は、本発明のナノチューブの精製方法における他のナノチューブ精製装置を示す断面概念図 従来例のカーボンナノチューブの精製方法における回転ドラム機構装置の概念図
符号の説明
1,11,21 ナノチューブ精製装置
2,13,22 電極
3 基板
4,14,24 対向電極
5 対向基板
6 ナノチューブ含有材料
7 静電気測定器
8 帯電量検知器
9,16 半導体性のカーボンナノチューブ
12 帯電処理装置
15 空間
17 磁性粒子
18 金属性のカーボンナノチューブ
25 液体

Claims (16)

  1. ナノチューブ混合物から所望のナノチューブを得る工程を有するナノチューブの精製方法であって、前記工程が、前記ナノチューブ混合物を少なくとも含むナノチューブ含有材料を帯電させる帯電処理工程と、前記ナノチューブ含有材料を分散する材料分散工程と、前記ナノチューブ含有材料に少なくとも電界を印加する電界印加工程と、前記電界によって移動した前記ナノチューブを分離する分離工程と、を少なくとも含むことを特徴とするナノチューブの精製方法。
  2. 前記ナノチューブは、カーボンナノチューブであることを特徴とする請求項1記載のナノチューブの精製方法。
  3. 前記ナノチューブ混合物は、その大きさがほぼ均一であることを特徴とする請求項1から2のいずれかに記載のナノチューブの精製方法。
  4. 前記帯電処理工程が、前記ナノチューブ含有材料を接触帯電、コロナ放電および電子ビーム照射より選択された少なくとも1つの方法により帯電させる工程を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のナノチューブの精製方法。
  5. 前記接触帯電による前記帯電処理工程は、前記ナノチューブ含有材料を交流磁場印加、交流電場印加、超音波照射および機械的振動付与より選択された少なくとも1つの方法により混合撹拌して帯電させる工程を有することを特徴とする請求項4に記載のナノチューブの精製方法。
  6. 前記ナノチューブ含有材料は、磁性粒子を少なくとも含むことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のナノチューブの精製方法。
  7. 前記帯電処理工程は、前記ナノチューブ含有材料を振動磁場および回転磁場の少なくとも1種の磁場で撹拌して帯電させる工程を有するものであることを特徴とする請求項6に記載のナノチューブの精製方法。
  8. 前記材料分散工程は、前記ナノチューブ含有材料が電気絶縁性の基板上に分散される工程を含み、前記電界印加工程は、前記基板と対向して設けた対向電極あるいは対向基板との間に電界を印加する工程を有することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のナノチューブの精製方法。
  9. 前記分散工程は、前記ナノチューブ含有材料が、略平行に設けられた少なくとも2枚の電極の空間中に出射される工程を有し、前記電界印加工程は、前記ナノチューブ含有材料が出射された前記電極間に電界を印加する工程を有することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載のナノチューブの精製方法。
  10. 前記電界は、所定の電圧を有する少なくとも直流電界であることを特徴とする請求項1か9のいずれかに記載のナノチューブの精製方法。
  11. 前記電界印加工程は、前記帯電処理工程によって得られた帯電量を検知し、検知された前記帯電量に応じて調整した電界を印加する工程を有することを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載のナノチューブの精製方法。
  12. 前記電界印加工程は、所望の電気伝導率(抵抗率)範囲値と検知された前記帯電量によって調整した電界を印加する工程を有し、前記分離工程は、一方の電極側に移動した所望の電気伝導率範囲値を有するナノチューブを分離収集して得ることを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載のナノチューブの精製方法。
  13. ナノチューブ混合物から所望のナノチューブを得る前記工程に含む材料分散工程、帯電処理工程、電界印加工程および分離工程の少なくとも1つまたは2つ以上の工程は、電気絶縁性の液体中における電気泳動法によって行われることを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載のナノチューブの精製方法。
  14. 一方の電極と電気絶縁性の基板を具備し、前記電極に対して前記基板とは間隙を挟んでほぼ平行に対向して少なくとも対向電極を具備し、前記基板上にナノチューブ含有材料を分散配置した後、電界を印加する電界印加装置によって前記電極と前記対向電極間に直流電圧を印加し、前記対向電極側に帯電した所望のナノチューブを選択的に移動分離させることを特徴とするナノチューブ精製装置。
  15. ナノチューブ含有材料を帯電処理させるための帯電処理装置と、前記帯電処理装置から帯電した前記ナノチューブ含有材料が出射される空間を有する略平行に設けた少なくとも電極、対向電極を具備し、少なくとも前記ナノチューブ含有材料が前記空間中に出射されている時、前記電極,前記対向電極間に所定の直流電界を印加し、前記対向電極側に帯電した所望のナノチューブを選択的に移動分離させることを特徴とするナノチューブ精製装置。
  16. 少なくとも電極と対向電極を設けた間隙に、ナノチューブ混合物を分散し帯電させる電気絶縁性の液体を具備し、電圧を印加する電界印加装置により前記両電極間に電圧を印加して、電気泳動により前記対向電極側に帯電した所望のナノチューブを引きつけて、選択的に移動分離させることを特徴とするナノチューブ精製装置。
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