JP2005102357A - 発電機の起動停止計画作成方法とその装置及び起動停止計画作成装置の処理プログラムを記録する記録媒体。 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 はじめに電力貯蔵装置を考慮せずに発電機の起動停止計画を決定し、続いて電力貯蔵装置を考慮せずに得られた計画に対して電力貯蔵装置考慮のためのアルゴリズムを適用する。
【選択図】 図1
Description
この問題は、発電機の起動停止を表す0−1変数と発電機出力を表す連続変数を含む混合整数計画問題として定式化され、電力系統において最も解くことが困難な問題の一つに挙げられている。
現在開発されている電力貯蔵技術には、揚水発電機,フライホイール,超伝導コイル電力貯蔵,NAS電池,レドックスフロー電池及び圧縮空気貯蔵ガスタービン発電システムなどが挙げられる。
吉川ほか;「火力・揚水発電所の運用計画作成手法」、電気学会論文誌B,114巻、12号、pp.1220−1226、平成6年 M.K.C.Marwaliほか;「Short Term Generation Scheduling in Photovoltaic-Utility Grid With Battery Storage」、IEEE Transactions on Power Systems,Vol.13,No.3,pp.1057-1062,1998. 千住ほか;「優先リスト法を拡張した発電機起動停止計画問題の解法」、平成14年電気学会電力・エネルギー部門大会論文集、pp.331−337
次に太陽電池から供給される電力を需要電力から差し引き、その残りの供給電力に対して火力機の運転計画を作成している。
最後にELD(Economic Load Dispatch:経済負荷配分)計算により火力機の運転コストを最小にするように火力機の出力を調整している。
このようにバッテリーと火力機群の運転計画作成作業は分離されており、火力機とバッテリーを同時に考慮して最適化問題を解いていないという問題を有している。
はじめに電力貯蔵装置を考慮せずに発電機の起動停止計画を決定し、続いて電力貯蔵装置を考慮せずに得られた計画に対して電力貯蔵装置考慮のためのアルゴリズムを適用することを特徴としたものである。
前記発電機起動停止計画を拡張優先リスト法に基づいて作成する発電機起動停止作成手段と、この作成手段によって得られた起動停止計画に前記電力貯蔵装置を考慮したパラメータを設定するパラメータ設定手段と、設定されたパラメータを用いて総コストの安い順で上位数個の発電機起動停止計画に対して充電動作を実行し、運転コストの高い順で放電動作を実行する充放電実行手段とを備えたことを特徴としたものである。
前記発電機起動停止計画を拡張優先リスト法に基づいて作成する発電機起動停止作成手段と、この作成手段によって得られた起動停止計画に前記電力貯蔵装置を考慮したパラメータを設定するパラメータ設定手段と、設定されたパラメータを用いて総コストの安い順で上位数個の発電機起動停止計画に対して充電動作を実行し、運転コストの高い順で放電動作を実行する充放電実行手段の処理プログラムを記録することを特徴としたものである。
(1)インバータを含んだ電力貯蔵装置と既存の火力発電機とで構成されたシステムなどを一般化して定式化を行い、それに対して実用的な計算時間で電力貯蔵装置を考慮した発電機起動停止計画を決定することができる。
(2)シミュレーションより得られた結果は、火力発電機数の増加や電力貯蔵装置の規模拡大に対しても、本発明に基づく定式化や電力貯蔵装置のためのアルゴリズムを用いれば、実用的な計算時間で対象とする問題に適した起動停止計画を決定することが可能であることを示している。
(3)さらに、作成された計画には負荷の平準化が確認でき、それによる総コスト削減が達成されている。
(4)大規模システムのみならず、分散電源等で構成される小規模地域供給システムに対しても同様な定式化が行いるため、システム規模に関わらず利用できるものである。
なお、EPL法を用いたことは、高速に問題を解くことができて、火力発電機の燃料費と起動費の低コスト化を実現できることによる。
図1のように、電力システムに電力貯蔵装置1が接続されているとき、与えられた期間における火力発電機の燃料コストと起動コストの和で表される総コストを最小化することであり、その総コストCFは、次式で表せる。
最適運用のために、次式のように任意の時間で火力発電機発電電力の総和とインバータ出力(電力貯蔵装置からの充放電電力)の和は負荷と等しくなければならない。
運用中の発電機から予備の出力を保証する。
各発電機出力はその容量内になければならない。
各発電機に対して決められた最小時間のように間、発電機は連続的に運転・停止状態でなければならない。
各発電機には、単位時間に増加・減少可能な出力の変化幅が決まっている。
電力貯蔵装置はある初期電力量から充電動作を開始する。
Csrc(t)を時間tで充電のために用いられた電力量、Csrd(t)を放電に用いられた電力量として次のように表す。
充電は電力貯蔵量が充電終了時下限電力量を上回ったときに終了する。放電は放電終了時上限電力量を下回った時点で終了とする。ここで、放電終了時上限電力量を設けたことは、不測の事態に備え予備の電力を保証するためである。また、鉛電池の場合には、放電深度を指定して運用できるためである。
まず初めに、火力発電機の起動停止計画をEPL法により決定する(ステップ1)。火力発電機のスケジュールが決定したら、次に電力貯蔵装置を考慮した計画を決定する(ステップ2,3)。電力貯蔵装置を考慮した計画はEPL法によって得られた火力発電機の起動停止計画上で、本発明の電力貯蔵装置のためのアルゴリズム(後述)を導入することで得られる。
[EPL法の概略]
以下にEPL法の概略を記述するが、詳細は非特許文献3を参照されたい。
EPL法は、計算時間の大幅な削減および細部にわたるコストの低減化を目的とした手法である。その構成は、発電機データを用いた事前解析による初期解生成の部分と、得られた初期解の制約条件を満足させ.コストの低減化を図る後処理(修正アルゴリズム)の部分から構成されている。
初期解の生成ではデータの簡単な事前解析により、発電単価と起動停止の頻度を考慮した優先リストを作成し、解の探索領域を削減する。これにより、効率的に改善見込のある解のみを探索することができる。ここで改善見込のある解とは、その後の簡単な修正だけで最適解により近づいた近似解に変化するような解のことをいう。後処理の修正アルゴリズムでは得られた改善見込のある解に対してUC間題に適したヒューリスティック手法を適用する。
[火力発電機の起動停止計画]
火力発電機の起動停止計画は上に述べたEPL法を用いて決定する。EPL法で用いる優先リストおよびシミュレーションパラメータをそれぞれ図3、図4に示す。発電コストの小さい発電機ほど高い優先度を持つように優先リストを作成した。よって、図3ではユニット1が最も高い優先度を持ち、ユニット10が最も低い優先度を持つ。
図4において、初期解の個数w=20、ヒューリスティックス手法を適用する解の個数s=5、需要電力(D(t)+Rt)付近の窓内の発電機数Xは事前シミュレーションで最良の結果が得られた1機とする。
[ランプ制約の考慮]
本発明においては、さらに火力発電機のランプ制約を考慮している。EPL法の修正アルゴリズムの最後にランプ制約が考慮される。ランプ制約は発電機の立ち上がり部分(停止状態から運転状態へ変化する部分)、運転中、そして立ち下がり部分(運転状態から停止状態へ変化する部分)に存在する。発電機の立ち上がり部分および運転中に関しては、(13)式を等λ法に基づく経済負荷配分に組み込むことによりランプ制約を満足させることができる。しかし、発電機の立ち下がり部分に関しては、(13)式を経済負荷配分に組み込むだけで完全に満足させるのは困難であるため、本発明では立ち下がり部分に関して別の修正アルゴリズムを導入することで満足させる。
t=t+1としてStep1へ戻る。もしt=24ならStep3に移る。
[電力貯蔵装置を考慮するためのアルゴリズム]
図2のステップ2,3における電力貯蔵装置を考慮するためのアルゴリズムについて説明する。
ステップ2の諸パラメータ設定では、Csr max,Csr min,Csr ini,α,k,wのパラメータに値を設定する。
ステップ3では先に得られた火力発電機起動停止計画上で電力貯蔵装置を考慮していく。できるだけ良好な計画を見つけ出すために、総コストの安い順で上位s個の火力発電機起動停止計画に対してステップ3を適用する。以下にステップ3の詳細について説明する。
図5は充電オペレーションを示したもので、縦軸に出力を、横軸に時間を示し、線D(t)+Rtが需要電力、斜線部分が充電動作部分である。
まず、負荷のボトム付近で運転している発電機の余剰電力を、電力貯蔵装置の充放電制約、運転予備力制約およびインバータの容量制約を考慮しながら可能な限り充電する。すべて充電しても、なお充電終了時下限電力量にも達しない場合はボトム付近で停止している発電機に着目し、これらの発電機を優先リストの順に1時間ずつ運転状態に修正する(図6参照)。図6では図5と比較して時間Hではユニットfが、また時間H+1ではユニットdがそれぞれ追加修正され、修正の度に発電機に関する各種制約を満足しているかをチェックする。
制約を違反するなら状態を元に戻し、次の発電機を運転状態に修正する。ある発電機の状態を1時間運転状態に修正したとき、図6に示すようにその時間の運転予備力を大きく上まわる過剰な余剰電力が発生する。
(2)放電動作,
本発明では、負荷ピーク時間帯において積極的に電力貯蔵装置から電力を供給(放電)する。そのために、ピーク時間帯で運転するコスト高な火力発電機を停止させる必要がある(図7参照)。このような発電機は比較的短時間で停止することが可能であり、また燃料費が高いため、これらを停止することによってピークカットが図れ、総コストの削減が期待できる。火力発電機を停止させることにより供給力が不足するが、その不足分を図7に示すようにそのまま電力貯蔵装置より供給することで対処する。
[シミュレーション条件]
負荷データおよび発電機パラメータをそれぞれ図8,図9に示す。発電機数は10機、20機、40機、60機、80機、l00機で、スケジューリング期間は24時間である。ここで、発電機数の拡張は図9の10機のパラメータを基に、20機の場合は図9のパラメータを2セツト用い、40機の場合は4セツト用いて行う。負荷データは図8のl0機の場合を基に、20機の場合は図8の各期間の値を2倍、40機の場合は4倍とした。
また、initial stateはスケジューリング期間の初期の発電機の状態を示しており十は起動、−は停止を表している。例えば、発電機1(Unit1)において初期状態は十8であるから8時間運転し続けていたことを示している。
initial Powerは各発電機のスケジューリング開始前の時間における初期出力を示している。
また、電力貯蔵装置考慮の際に設定した諸パラメータを図10に示す。α,k,wに関してはすべての発電機数で同じ値を用いる。
[シミュレーション結果]
図11,図12はそれぞれ総コストおよび計算時間のシミュレーション結果である。両図は提案した定式化や電力貯蔵装置のためのアルゴリズムが、系統や電力貯蔵装置の規模に関わらず適用でき、さらに実用的な計算時間で電力貯藏装置を考慮した発電機起動停止計画を決定することが可能なことを示している。
図11より電力貯蔵装置を考慮することで、1.1〜1.5%のコスト削減が達成されている。
図13,図14はそれぞれ電力貯蔵装置を考慮しない場合、考慮した場合の10機に関する火力発電機の起動停止スケジュールを示している。両図より、電力貯蔵装置から電力を供給することで負荷ピーク時のコスト高な火力発電機が停止しピークカットがなされている。
図16は10機に関する電力貯蔵装置の充放電の様子を示している。同図の右縦軸は電力貯蔵率r(t)(電力貯蔵量Csr(t)を貯蔵可能最大電力量Csr maxで除して%表示したもの)を示し、左縦軸は充放電電力を示している。
電力貯蔵装置は負荷ボトム時に充電動作であり、ピーク時には放電動作となることが確認できる。また、インバータ容量制約を満たした範囲で充放電が行われており、さらに、電力貯蔵率に関する全ての制約範囲内で推移していることがわかる。
図17において10はデータ処理装置で、このデータ処理装置10はコントロール部 11、条件読込部12、条件設定部13、ユニット集約部14、修正部15、計画評価部16、表示データ作成部17及びデータ格納部18を備えている。20は入力部でキーボードやマウス等を有し、データの入力や表示部30に表示された選択肢の選択を実行して所定情報をコントロール部11に送る。40は記憶部、50は配信部で、この配信部50はデータ処理装置10で作成した運転計画をこの配信部50及び伝送路を介して各発電所の受信部60に送信し、または、この送受信部60よりの各発電所の情報をデータ処理装置10に送る。
その際、全ての発電機が最小運転停止時間を満足するよう発電機毎に全期にわたって停止→起動、起動→停止となる期間を探し出し、最小運転停止時間が満たされるまでこれを実行する。
作成された最善の計画スケジュールは、コントロール部11、配信部50および伝送路を介して各発電所の受信部60に伝送される。
2…電力貯蔵要素
3…インバータ
4…火力発電機
5…負荷
10…データ処理装置
11…コントロール部
12…条件読込部
13…条件設定部
14…ユニット集約部
15…修正部
16…計画評価部
17…表示データ作成部
18…データ格納部
20…入力部
30…表示部
40…記憶部
50…配信部
60…受信部
Claims (7)
- 発電機と電力貯蔵装置を含む電力系統であって、事前に計算された予測負荷を供給すると同時に、多数の制約条件を考慮した上で、電力系統の運用コストを最小にするように各発電機の運用計画を決定する発電機起動停止計画において、
はじめに電力貯蔵装置を考慮せずに発電機の起動停止計画を決定し、続いて電力貯蔵装置を考慮せずに得られた計画に対して電力貯蔵装置考慮のためのアルゴリズムを適用することを特徴とした発電機起動停止計画作成方法。 - 前記発電機の起動停止計画は、拡張優先リスト法により電力貯蔵装置を考慮せずに決定し、続いて拡張優先リスト法により電力貯蔵装置を考慮せずに得られた計画に対して電力貯蔵装置考慮のためのアルゴリズムを適用することを特徴とした請求項1記載の発電機起動停止計画作成方法。
- 前記発電機起動停止計画は、電力貯蔵装置を考慮せずに得られた発電機起動停止計画のうち総コストの安い順で選択し、その上位複数個の発電機起動停止計画に対して電力貯蔵装置考慮のためのアルゴリズムを適用することを特徴とした請求項2記載の発電機起動停止計画作成方法。
- 前記電力貯蔵装置はインバータを有し、この電力貯蔵装置考慮のためのアルゴリズムは、負荷のボトム付近で運転している発電機の余剰電力を、電力貯蔵装置の充放電制約、運転予備力制約およびインバータの容量制約を考慮しながら可能な限り充電し、すべての充電後でも充電終了時下限電力量に達しない場合はボトム付近で停止している発電機に着目し、これらの発電機を優先リストの順に運転状態に修正するようにしたことを特徴とした請求項2又は3記載の発電機起動停止計画作成方法
- 前記電力貯蔵装置考慮のためのアルゴリズムは、負荷ビーク時間帯において電力貯蔵装置の充放電制約、運転予備力制約およびインバータの容量制約を考慮しながら積極的に電力貯蔵装置から電力を供給(放電)し、コスト高な火力発電機を優先リストの逆順で停止状態に修正するようにしたことを特徴とした請求項2乃至4記載の発電機起動停止計画作成方法。
- 発電機と電力貯蔵装置を含む電力系統であって、事前に計算された予測負荷を供給すると同時に、多数の制約条件を考慮しなから運用コストを最小にするように各発電機の運用計画を決定する発電機起動停止計画装置において、
前記発電機起動停止計画を拡張優先リスト法に基づいて作成する発電機起動停止作成手段と、この作成手段によって得られた起動停止計画に前記電力貯蔵装置を考慮したパラメータを設定するパラメータ設定手段と、設定されたパラメータを用いて総コストの安い順で上位数個の発電機起動停止計画に対して充電動作を実行し、運転コストの高い順で放電動作を実行する充放電実行手段とを備えたことを特徴とした発電機起動停止計画作成装置。 - 発電機と電力貯蔵装置を含む電力系統であって、事前に計算された予測負荷を供給すると同時に、多数の制約条件を考慮しながら運用コストを最小にするように各発電機の運用計画を決定する発電機起動停止計画装置の処理プログラムを記録する記録媒体において、
前記発電機起動停止計画を拡張優先リスト法に基づいて作成する発電機起動停止作成手段と、この作成手段によって得られた起動停止計画に前記電力貯蔵装置を考慮したパラメータを設定するパラメータ設定手段と、設定されたパラメータを用いて総コストの安い順で上位数個の発電機起動停止計画に対して充電動作を実行し、運転コストの高い順で放電動作を実行する充放電実行手段の処理プログラムを記録する記録媒体。
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