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JP2005189322A - 画像形成装置 - Google Patents

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JP2005189322A
JP2005189322A JP2003427885A JP2003427885A JP2005189322A JP 2005189322 A JP2005189322 A JP 2005189322A JP 2003427885 A JP2003427885 A JP 2003427885A JP 2003427885 A JP2003427885 A JP 2003427885A JP 2005189322 A JP2005189322 A JP 2005189322A
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JP2003427885A
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Yukikazu Kamei
幸和 亀井
Toshiaki Kagawa
敏章 香川
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Sharp Corp
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Sharp Corp
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Abstract

【課題】 高速化に伴うトナー溶融不足の解消及びヒートローラ径の大径化を解決するとともに、大径化によるW/U時間の長時間化(非省エネ)、装置の大型化、コストアップの問題を解決し、さらに、低熱容量化、薄膜化、高強度化の問題を同時に解決する。
【解決手段】 トナー像が形成される可視像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bと、可視像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bに形成されたトナー像が転写され、所定方向に循環駆動されるトランスフェーズベルト21と、トランスフェーズベルト21の駆動経路上でトランスフェーズベルト21上のトナー像を加熱溶融する加熱ローラ22と、記録紙Pにトランスフェーズベルト21上のトナー像を転写すると共に定着する加圧ローラ23とを少なくとも備える画像形成装置において、トランスフェーズベルト21は、その一部にフッ素化処理されたカーボンナノチューブを含んで構成されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の電子写真プロセスを用いた画像形成装置に関するものであり、より詳しくは、中間転写体上に形成されたトナー像を記録材に転写すると共に定着を行う画像形成装置に関する。
トナー像担持体上に形成されたトナー像を中間転写体上に転写し、その中間転写体に記録材を重ね、重ねられた中間転写体と記録材とを加熱しながら加圧することにより、中間転写体上のトナー像を記録材上に転写定着する方式の画像形成装置が知られている。
従来、この方式の画像形成装置に関する種々の改良が行われているが、トナー像担持体の熱ダメージ防止、像形成手段の温度上昇を防ぎ画質安定化を行うという観点から転写定着後の中間転写材の冷却方法に関して幾つかの改善がなされている。
例えば、中間転写材の一部に中間転写材に接触して配置された冷却手段を設けた画像形成装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、冷却手段を設ける場合、装置の大型化、コストアップ、中間転写材と冷却手段の接触部での摩擦磨耗によるライフ低減、駆動トルクアップといった新たな問題が発生する。
また、別の問題として、高速化、小型化対応の問題がある。すなわち、中間転写材のトナーを加熱溶融する場合、中間転写材の熱容量が大きい場合にベルト上に形成したトナーを迅速に加熱することができず、このため、加熱時間を長くとる必要から、加熱ローラの外径を大きくするか、速度を下げるかしなければならない。加熱ローラの外径を大きくした場合、ウォーミングアップ時間が長くなってしまう。
特開平9−330006号公報
上記のように転写と定着を同時に行うプロセス(以下「トランスフューズ」と称する)を用いた画像形成装置の問題点の一つとして、さらなる高速化対応の問題がある。
現在の中高速カラー機のカテゴリーに含まれるエンジンに求められるプロセススピードとしては、一般的には200mm/sec〜250mm/sec程度のスピードが求められる。
トランスフューズシステムに従来用いられていたポリイミド(中間転写体)の熱伝導率は1W/mK以下と悪く、例えばNi、ステンレス等従来定着ベルトに用いられている金属ベースのベルト基材と比較すると2桁以上悪い。また、強度面では、ベルト端部の割れ、屈曲しわ等が発生しない強度を有するポリイミドを選択する必要があった。この強度面での必要厚さは、ポリイミドを中間転写材に用いている従来の画像形成装置の構成、プロセススピード等で左右されるが、従来のポリイミドであると60μm〜200μm程度の厚さで引張強度として0.2GPa以上が好ましい。
トランスフューズベルトの場合、定着と同時に転写特性を考慮に入れる必要があるため、熱伝導率、強度に優れた導電体である金属ベルトを基材として用いることは、転写時の画像劣化の問題があり使用することができない。
ここで、本発明者らは、従来のポリイミドを用いた場合、すなわち熱伝導率が1W/mK以下、層厚70μm(ポリイミド厚さ60μm+PFA(パ−フロロアルコキシエチレン)コート10μm)のトランスフューズベルト(中間転写体)を用いて、トナー加熱時間とトナーの溶融状態に関する実験検討を行った。
今回の実験条件を図10に示す。プロセススピード20mm/sec下において、従来のトランスフューズベルト101を用い、トナーの加熱時間を変えることにより定着性と相関を検証した。
すなわち、トランスフューズベルト101を加熱ローラ100とテンションローラ102に回動支持し、テンションローラ102には、加圧ローラ104を押圧させ、この部分で形成されるニップに記録紙103を通紙して、溶融後のトナーを定着させる。加熱ローラ100のローラ径をφ20、φ40、φ60、φ80mmと変化させることにより、トナーの加熱時間及び加熱温度を変化させている。トランスフェーズベルト101上に形成されたトナー108をトナー加熱部106でベルトの背面から加熱ローラ100により加熱し、トナーを溶融させる。溶融させた後、転写定着部105に溶融トナーが順次送られ記録紙103に転写定着する。その際に転写定着されたトナーに関して定着性の評価を行った。その結果を表1に示す。
Figure 2005189322
上記表1より、プロセススピードが250mm/secの場合、トナーを溶融させるために必要な加熱時間として500msec(定着温度180℃以上)が必要であり、この時必要な加熱ローラの外径としてはφ80mmとなる。
以上の結果より、プロセススピードが250mm/sec下の高速域においては、トナーの加熱不足によりトナーの溶融も悪くなり、定着不良の原因となってしまう。これを解決するためには、トナーの加熱時間を確保するため、ベルトを巻回するヒートローラ径の径を大きくする必要がある。例えば、層厚70μmのベルトを用いた場合においては、プロセススピード250mm/secで定着性を満足するために必要な加熱幅として126mm程度必要になってしまい、ローラ径としても、180度の巻き付け角時において126mmの加熱幅を確保するためにφ80mmという非常に大きな径のローラが必要になってしまう。
また、従来のポリイミドベルトを用いたトランスフューズベルトにおいて問題となっているのは、機械的強度確保のために、厚さ60μm以上のポリイミドを選択しなければならず、それにより熱容量が増大してしまい、本方式のようなベルトを介したトナー背面加熱を行う際にトナー溶融不足の一因となる点である。また、低熱容量化を図るために薄膜化を行うと強度不足となってしまうといった問題もある。
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的は、このように高速化に伴うトナー溶融不足の解消及びヒートローラ径の大径化を解決するとともに、大径化によるW/U時間の長時間化(非省エネ)、装置の大型化、コストアップといった問題を解決した画像形成装置を提供することにある。また、他の目的は、低熱容量化、薄膜化、高強度化といった問題を同時に解決した画像形成装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明の画像形成装置は、トナー像が形成されるトナー像担持体と、トナー像担持体に形成されたトナー像が転写され、所定方向に循環駆動される中間転写体と、中間転写体の駆動経路上で中間転写体上のトナー像を加熱溶融する加熱手段と、紙などの記録材に中間転写体上のトナー像を転写すると共に定着する加圧手段とを少なくとも備えた画像形成装置において、前記中間転写体は、その一部にフッ素化処理されたカーボンナノチューブを含んで構成されていることを特徴とする。
このように、中間転写材に、フッ素化処理が施されたカーボンナノチューブ(以下、「フッ素化カーボンナノチューブ」ともいう)を用いることにより、転写に必要な物性である高抵抗の体積固有抵抗率の調整の容易化を図るとともに、薄膜化することができて機械的強度が優れ、低熱容量の中間転写体を得ることができる。また、薄膜化、低熱容量化により、トナー像の加熱を迅速に行うことができ、高速化が可能となる。さらに、感光体への熱ダメージを抑制するために、中間転写体の冷却を行う必要があるが、薄膜化、低熱容量化により、中間転写体の加熱後の昇温が抑制でき、冷却手段を用いなくとも、自然冷却のみで冷却が可能となる。
また、本発明の画像形成装置によれば、前記中間転写体の周回方向における前記加圧手段の圧接位置を前記加熱手段によりトナー像が加熱される位置よりも下流側に配置したことを特徴とする。これにより、トナーを中間転写体上で充分予備加熱した後、記録紙に転写定着することでトナーの溶融不足を解消でき、十分な定着強度とトナーカバレージの優れた高濃度高画質の画像を得ることができる。
ここで、フッ素化カーボンナノチューブに関する詳しい説明は後述するが、フッ素化カーボンナノチューブを用いる理由としては、カーボンナノチューブ(以下「CNT(carbon nanotube)」と略記する)単体を用いた場合であると、CNT自体は非常に電気導電性が高いため、これをポリイミド基材中に添加剤として用いた場合、CNTの添加量にもよるが、体積固有抵抗率で104Ω・cm以下となってしまい、この体積抵抗率であると転写部において十分な転写特性が得られないためである。また、単体のCNTを添加剤として用いた場合、少量であっても、体積抵抗率の低減に大きく作用を及ぼし、単体CNTを用いて体積抵抗率の調整を行うことが非常に困難であるといった理由による。
そこで、本発明では、ポリイミドの添加剤に用いるCNTに予めフッ素化処理を行うことで、体積抵抗率の調整を容易にし、さらには、フッ素化度の異なるCNTを用いて調整することにより、さらに、体積抵抗率の微調整を行うことで、トランスフューズ装置に搭載可能な最適なトランスフューズベルトを搭載した画像形成装置を実現している。
さらに、トランスフューズベルトの機械的強度を増大させるためには、基材であるポリイミド中にCNTを添加させることにより可能であるが、所定の薄さに薄膜化を行い、低熱容量化を行う場合には、従来のポリイミドにCNTを添加させるのみでは、上述した体積抵抗率の低減とのトレードオフになってしまう。具体的には、CNT含有率を多くし、機械強度を増大させると、それに伴い体積抵抗率の低減化の問題があり、逆にCNT含有率を少なくし、所定の体積抵抗率まで引き上げようとすると、十分な機械強度が得られない。この低熱容量化、薄膜化、所定の体積抵抗率の確保といったトレードオフとなっている問題を解決すべく、本発明では、ポリイミドに含有するCNTにフッ素化処理を施すことで、体積抵抗率を低下することなく、機械強度を増大させることを可能としたものである。
具体的には、フッ素化CNTをある程度(十分な機械的強度が得られる程度で良いが、本発明では、1wt%)含有させても、体積抵抗率の低減をきたさず、トランスフューズを用いた画像形成装置に最適な1011Ω・cmの体積抵抗率のベルトを得ることができる。
本発明の画像形成装置によれば、中間転写材に、フッ素化処理が施されたカーボンナノチューブを用いることにより、転写に必要な物性である高抵抗の体積固有抵抗率の調整の容易化を図るとともに、薄膜化することができて機械的強度が優れ、低熱容量の中間転写体を得ることができる。また、薄膜化、低熱容量化により、トナー像の加熱を迅速に行うことができ、高速化が可能となる。さらに、感光体への熱ダメージを抑制するために、中間転写体の冷却を行う必要があるが、薄膜化、低熱容量化により、中間転写体の加熱後の昇温が抑制でき、冷却手段を用いなくとも、自然冷却のみで冷却が可能となる。
また、本発明の画像形成装置によれば、中間転写体の周回方向における加圧手段の圧接位置を加熱手段によりトナー像が加熱される位置よりも下流側に配置したことにより、トナーを中間転写体上で充分予備加熱した後、記録紙に転写定着することができるので、トナーの溶融不足を解消でき、十分な定着強度とトナーカバレージの優れた高濃度高画質の画像を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
<実施形態1>
本発明の実施形態1について、図1及び図2を参照して説明する。本実施形態1では、本発明の画像形成装置をカラーレーザープリンタに適用した場合について説明する。
本実施形態1に係るカラーレーザープリンタは、図1に示すように、4組の可視像形成ユニット10Y、10M、10C、10B及びトランスフューズユニット20aとを備えている。トランスフューズユニット20aは、トランスフューズベルト(中間転写体)21、加熱ローラ(加熱加圧部材)22、加圧ローラ(加圧部材)23、テンションローラ24、クリーニングブレード25を備えており、トランスフューズベルト21は加熱ローラ22及びテンションローラ24によって張架されている。そしてトランスフューズベルト21の回転方向における可視像形成ユニット10Bの下流側において、加熱ローラ22と加圧ローラ23とがトランスフューズベルト21を挟んで対向配置され、加圧ローラ23は加熱ローラ22に対し図示していない加圧手段により所定の圧力で圧接されている。さらに下流側においては、テンションローラ24に対しトランスフューズベルト21を挟んで対向配置されたクリーニングブレード25が、テンションローラ25に対し図示していない加圧手段により所定の圧力で押圧されている。
各可視像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bは、感光体ドラム(トナー担持体)11の周囲に帯電ローラ12、レーザー光照射手段13、現像器14、転写ローラ15、クリーナー16を配置しており、各ユニットの現像器にはイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(B)の各色トナーが収容されている。
上記構成の各可視像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bは、以下の工程によりトナー画像を順次トランスフューズベルト21上に転写形成する。
すなわち、感光体ドラム11表面を帯電ローラ12で一様に帯電した後、レーザー光照射手段13により感光体ドラム11表面を画像情報に応じてレーザー露光し静電潜像を形成する。その後、現像器14により感光体ドラム11上の静電潜像に対しトナー像を現像し、この顕像化されたトナー画像をトナーとは逆極性のバイアス電圧が印加された転写ローラ15によりトランスフューズユニット20のトランスフューズベルト21上に順次転写するようになっている。
次に、トランスフューズユニット20aについて詳細に説明する。
本実施形態1のトランスフューズベルト21は、周長500mm、厚さ15μmのフッ素化カーボンナノチューブを一部に含むポリイミドからなる無端状ベルト基材の外周面に、厚さ10μmのフッ素系材料からなる離型層を被覆(又はコート)した構成である。本実施形態1では、2層構造となっているが、フッ素化カーボンナノチューブを一部に含むポリイミド単体のものでもよく、また、導電性ゴムからなる弾性体を前記ポリイミド上に被覆した構造のものでもよく、さらには、導電性ゴムからなる弾性体を前記ポリイミド上に被覆し、その上からフッ素系材料からなる薄膜(10μm以下)離型層を被覆(又はコート)した構造のものであってもよい。
本構成のトランスフューズベルト21は、フッ素化CNTを添加剤として用い、厚さ15μmのポリイミドと厚さ10μmのフッ素系材料(PFA:パーフロロアルコキシエチレン樹脂、PTFE:ポリテトラフルオロエチレン樹脂)とからなるトータル25μmの厚さの薄膜ベルトであり、フッ素化CNTを含有させることにより引張強度が向上し、また薄膜化が可能となったものである。
この層厚25μmのトランスフューズベルトを用いて、図10の構成で行った検討内容と同様の検討実験を行った。その結果を表2に示す。
Figure 2005189322
表2の実験検討結果より、薄膜化により低熱容量化が実現し、トナーの溶融促進が可能となったことから、加熱時間125msec、ローラ径φ20mm、定着温度190℃においても定着性がクリアーできるようになった。これにより、ヒートローラ径として小径のものでも使用可能となったため、上記の問題点すなわち、ヒートローラ径を大型化することによるW/U時間の長時間化(非省エネ)、装置の大型化、コストアップといった問題が解消されることがわかる。
トランスフューズベルト21は、耐熱性を有するポリイミド樹脂とフッ素化CNTを混合させて、厚さ10μm〜20μm(最適値15μm)でかつ体積固有抵抗率が107Ω・cm〜1013Ω・cm(最適値1011Ω・cm)のシームレスベルトを作成する。このとき、ポリイミド粉末に配合されるフッ素化CNTの配合量としては、ベルト強度、電気抵抗値の両特性を兼ね合わせる必要があるため、ポリイミド樹脂に対して、10wt%〜0.1wt%(最適値:1wt%)であることが好ましい。さらには、強度アップ対策として、添加されるフッ素化CNTは、ポリイミドとの混成の際に、強度の掛かる方向(この場合ベルトの周方向(ベルトの厚み方向と垂直の一方向))に平行に配向されるように配向処理が施されていることが望ましい。フッ素化CNTポリイミドの製造方法及び配向処理方法については、特に限定されるものではないが、例えば特開2002−273741号公報に記載された方法を採用することができる。
(CNTの製造方法の説明)
CNTの製造方法としては、例えば特開平11−116218号公報に記載されているようなレーザー蒸着法、抵抗加熱法、アーク放電法、高周波誘導加熱法、プラズマ法、熱CVD法、電子線蒸着法、燃焼法などを採用することができるが、特に限定されるものではない。
(フッ素化CNTの製造方法の説明)
フッ素化CNTの製造方法としては、ヘリウムに希釈したフッ素ガスとCNTを高温(250℃〜350℃)で12時間程度反応させることにより行ってもよい。具体的には、例えば、特表2002−526360号公報(特願2000−574020号)に記載されている方法により製造しても良いが、特に限定されるものではない。
CNT単体の体積固有抵抗率は5Ω・cm〜16Ω・cmであったものが、このフッ素化によって、2×108Ω・cm以上に増大することが知られている(例えば、[文献名:Chemical.Physics.Letters(1998),ボリューム番号:296,著者名:E.T.Mickelson,C.B.Huffman,A.G.Rinzler,R.E.Smalley,R.H.Hauge,J.L.Margrave,ページ:188]を参照)。
この体積固有抵抗率は、フッ素化CNTの添加量を調整することにより行う他、CNTとフッ素ガスの反応時間を変えることによりCNTのフッ化率を調整することで、同様の制御が可能である。
(フッ素化CNTポリイミドの製造方法の説明)
例えば、特開2002−273741号公報に記載されている方法により製造した複合材を、さらに、特開平5−57815号公報に記載されている方法によりシームレスベルト化することによってフッ素化CNTポリイミドを製造することができる。ただし、この方法に特に限定されるものではない。なお、必要に応じて、その上からフッ素系材料からなる薄膜(10μm以下)離型層を被覆(又はコート)する。表層に表面エネルギーの小さいフッ素系樹脂を形成することにより、トナーの離型性向上を図るためである。
加熱ローラ22は直径30mm、肉厚0.5mmの鉄製中空芯金表面に厚さ10μmのフッ素ゴムからなる被覆層が設けられた構成であり、内部に熱源として1000Wのハロゲンランプ26が配置されている。フッ素ゴムからなる被覆層は、トランスフューズベルト21に対する駆動力を確保する目的で設けられており、加熱ローラ22によるトランスフューズベルト21の加熱性能を低下させないよう極力薄く、また金属フィラーを内添することで熱伝導率を向上させている。
加熱ローラ22にはトランスフューズベルト21が約180°の巻き付け角で巻きかけられており、トランスフューズベルト21上に転写されたトナー像Tを加熱溶融するための加熱部X(加熱幅:約21mm)を形成している。
また、加熱ローラ22の加熱部X以外の外周部分には、温度検知のためのサーミスタ27が当接されており、加熱ローラ22の表面温度を検知しハロゲンランプ26への通電のON−OFFを制御することで、加熱ローラ22の表面温度を所定の温度(本実施形態1では125℃)に維持するようになっている。ハロゲンランプ26がONしてから加熱ローラ22表面が125℃に達するまでに要する時間は約5.5秒であり、事実上ウオームアップによる待ち時間0を実現している。
加圧ローラ23は、直径11mmのステンレス製芯金表面に厚さ2mmのシリコンゴムからなる弾性層を設け、さらにその上に厚さ30μmのPFAチューブからなる離型層を設けて構成されるものである。加圧ローラ23は、トランスフューズベルト21を挟んで、加熱ローラ22に対し図示していない加圧手段により77Nの加圧力で押圧付勢されることにより定着ニップ部Nを形成している。ここで、定着ニップ部Nの幅(定着ニップ幅)は1mm、面圧としては従来(面圧135kPa)に比べて2倍以上の310kPaに設定されている。このように定着ニップ部Nでの面圧を高く設定することにより、記録紙の表面とトランスフューズベルト21との密着性が向上し、溶融したトナー像Tの記録紙Pへのトランスフューズ性が確保される。
テンションローラ24は、直径15mmのステンレス製芯金上にフッ素ゴムからなる被覆層が設けられた構成であり、トランスフューズベルト21がたるまないよう所定の張力を作用させている。
クリーニングブレード25は、トランスフューズベルト21のテンションローラ25への巻き掛け部に当接されており、トランスフューズベルトに残ったトナー、紙粉等をトランスフューズベルト表面から回収する。
(上記構成のカラーレーザープリンタの動作説明)
上記のように構成されたカラーレーザープリンタにおいて、まずトランスフューズベルト21が停止した状態で加熱ローラ22内部に配設されたハロゲンランプ26がONとなり、加熱ローラ22表面を所定の温度(本実施形態1では125℃)に昇温させる。このウオームアップ期間中にトランスフューズベルト21を停止しておく理由としては、トランスフューズベルト21に熱を奪われることにより加熱ローラ22の立ち上がりが遅れるのを防止し、また加熱されたトランスフューズベルト21により加圧ローラ23の温度が昇温するのを防止する2つの目的によるものである。
加熱ローラ22のウオームアップが完了した後、加熱ローラ22及び加圧ローラ23が回転駆動し、トランスフューズベルト21を周回させると同時に、可視像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bにより形成された各色トナー画像がトランスフューズベルト21上に順次転写される。転写されたトナー画像Tは、加熱部Xにおいて125℃に維持された加熱ローラ22からの熱によりトランスフューズベルト21を介して加熱溶融される。その後溶融したトナー像Tは、トランスフューズベルト21の移動により加圧ローラ23aとの対向位置(定着ニップ部N)に搬送され、この搬送タイミングに合わせてトランスフューズベルト21と加圧ローラ23との間に記録紙Pが送り込まれる。そして記録紙Pが加圧ローラ23で押圧されることにより、溶融トナー像Tが記録紙P上にトランスフューズされる。万一、紙ジャム等によりトナーがトランスフューズベルト21表面にオフセットした場合でも、定着ニップ部N下流側でトランスフューズベルト21外周面に当接されたクリーニングブレード25により、トランスフューズベルト21表面に付着したオフセットトナーや紙粉などがクリーニングされる。
また、上記のようにトランスフューズベルト21は薄膜形成により熱容量が小さいため、定着ニップ部Nにおいて加圧ローラ23及び記録紙Pに熱を奪われ、さらにその下流側の長い搬送区間における雰囲気中への放熱、及びテンションローラ24との当接部においても熱を奪われるため、再び可視像形成ユニット10Yとの当接部に戻るまでに十分冷却され、感光体ドラム11の感光特性には影響を与えることはない。
(本発明の新たな特徴についての説明)
ここで、本発明のフッ素化カーボンナノチューブを含むポリイミドからなる無端状ベルト基材を用いたトランスフューズ方式の新たな特徴について以下に述べる。
従来の、内部にハロゲンランプを備えた加熱ローラと加圧ローラとによりニップを形成し定着を行う方式の画質の問題として、トナー付着量(トナー層厚)を低減した場合、定着強度が低下してしまうことがわかっている。これは、大きく下記の2つの理由に起因する。
1)少ないトナー量で所定の濃度を確保するため色材の含有率を増やす必要のあることから、トナー自体の粘弾性特性が悪化し、トナーが溶融しにくくなる。
2)トナー層厚が記録材の表面粗さよりも小さくなり、定着ローラからトナー層への熱伝達効率が低下する。
ここで、本発明者らは、上記2)のトナー層厚と定着強度の関係について、理論解析により詳細に検討した。その結果について以下に説明する。
まず、標準的な記録材の表面粗さを触針式表面粗さ測定器にて計測し、その測定結果(最大高さRmax及び平均間隔S)より、記録材表面の平均的な空気層厚さδaを、δa=Rmax×Sにて求めた結果、δp=8μmとなった。
また、トナー層の厚さδtとしては、標準的なトナー付着量0.6mg/cm2の場合(トナーの粒径は5μm〜7μm)、溶融前の空気層を含んだ状態でδt=10μmとなり、
δt>δp
となる。
この場合、図3(a)に示すように、記録材P表面の凹凸はトナー層Tによって埋め尽くされることから、定着ローラRとトナー層Tとの間にはほとんど空気層は介在せず、定着ローラRからトナー層Tに直接熱が伝達するため、伝熱特性に優れている。
しかしながら、トナー付着量を低減していった場合、
δt<δp
となることから、図3(b)に示すように、定着ローラRとトナー層Tとの間に空気層Aが介在することになり、その結果、定着ローラRからトナー層Tへの伝熱特性が低下する。
ここで、定着ローラとトナー層間の空気層厚をδaとし、
δa=δp−δt
で近似できると仮定して、1次元熱伝導解析を用いて、トナー層厚と定着性の関係について検討を行った。以下に具体的な解析方法について説明する。
トナーの記録材への定着性は、定着ニップ部でのトナー層温度に依存し、トナー層温度が高いほど、定着性が良い(定着強度が高い)ことが経験的に知られている。
そこで、定着ニップ部でのトナー層温度を、差分法を用いた1次元の伝熱解析により理論的に求めることで、トナー層厚と定着性との関係を求めることができる。
以下に理論計算によるトナー層温度の算出方法について詳細に説明する。
1次元の非定常熱伝導方程式は、
Figure 2005189322
で表わされる。ここで、T、t、x、λ、ρ、cはそれぞれ温度、時間、距離、熱伝導率、比重、比熱である。
この式から、空間離散化を行い差分方程式を導くと、
Figure 2005189322
となる。ここでhは各格子間の距離、τは微小時間であり、上式より時刻tにおける微小距離hを隔てて隣接する3つの格子点x−h、x、x+hでの温度Tが既知であるなら、時刻τだけ進んだときの温度T(x,t+τ)が求まる。
上式は同一物質内での差分方程式であるが、同様に異なる物質a,bが接している境界上での差分方程式は、
Figure 2005189322
となる。その他の解析条件は以下のとおりである。
(1)軸方向及び周方向の熱の移動は無視し、厚み方向のみの熱移動を考える。(1次元)
(2)着ローラ表面からの熱損失は、放射及び自然対流による熱伝達を考慮する。
(3)物性値の温度依存は空気のみ考慮する。
(4)トナー層は均一(100%印字)で定着前後で厚さの変化はない。
(5)トナーの相変化による物性値の変化は考慮しない。
(6)接触熱抵抗は考慮しない。
(7)定着ニップ部入口において2物体(例えばトナーと定着ローラ)が接触した瞬間の境界温度は、接触前の2物体の温度に熱容量を重みづけした平均温度で定義する。
(8)記録紙の水分の蒸発熱は考慮しない。
以上の解析条件により、定着ニップ部に突入する直前の定着ローラ、加圧ローラ、トナー、記録材、及び雰囲気温度を時刻t=0の時の初期条件として設定し計算を行えば、任意の時間τ経過後における各部の温度変化を算出することができる。
上記解析方法により、表3に示す条件下において、定着速度117mm/sec、ニップ幅5mmとし、トナー層厚として、
(1)10μm(従来)、(2)5μm(従来比1/2)、(3)2.5μm(従来比1/4)
の3通りの場合における定着ニップ部でのトナー層温度を計算した結果を図4に示す。
Figure 2005189322

図4より、トナー層厚が薄くなるほど、トナー層自体の熱容量は小さくなるにもかかわらず、定着ニップ部でのトナー層温度は低くなることから、定着性は低下することがわかる。これは、上述したように、トナー層厚が記録紙の表面粗さよりも小さくなり、定着ローラからトナー層への熱伝達効率が低下するためである。
この課題を回避しようとした場合、トナーを紙に定着する際に、熱容量が十分小さいトランスフューズベルト上にトナー画像を形成し、当該ベルト上でトナーを十分溶融した後、紙にトナーを定着するといった本実施形態1で示される方式を採用する必要がある。本方式をとることにより、トナー付着量を低減しても、高速領域において十分な定着強度が確保できる。
本実施形態1において、定着ニップ部N直前でのトナーの温度並びに加熱ローラ温度を前述の熱伝導解析(ただし今回は2次元)にて計算した結果を図2に示す。
図2に示すように、トナー温度は加熱部X手前では常温(25℃)であるが、加熱部Xにて加熱溶融され、定着ニップ部N直前に到達したときのトナー温度(ニップ手前)は、常に120℃を維持することがわかる。さらに、定着ニップ部でのトナー温度(図中Pにより示す)は、記録紙や加圧ローラに熱拡散することで80〜90℃に低下することがわかる。これにより、記録紙P上にトランスフューズしたトナーは冷却固化しトナー層間の凝集力が増大するため、トランスフューズベルト21表面にシリコーンオイル等の離型剤を塗布せずとも、トナーのトランスフューズベルト21表面へのオフセットを防止することができる。万一、紙ジャム等によりトナーがトランスフューズベルト21表面にオフセットした場合でも、定着ニップ部N下流側でトランスフューズベルト21外周面に当接されたクリーニングブレード25によりトランスフューズベルト21表面に付着したオフセットトナーや紙粉などがクリーニングされる。
本実施形態1によれば、加熱ローラ22がトランスフューズベルト上のトナー像を加熱溶融するための加熱手段と、加熱溶融されたトナー像を記録紙に押圧して、転写同時定着を行う加圧手段とを兼用する構成であるため、装置の小型化、簡略化が図れる。
ここで、薄膜化による別の効果について説明する。
薄膜化による別の効果を検証するために、感光体の温度上昇に関して解析を行った。その解析結果を図5(a)〜(c)に示す。ただし、図5(a)はトランスフェーズベルト層厚40μmの場合、図5(b)はトランスフェーズベルト層厚25μmの場合、図5(c)はトランスフェーズベルト層厚18μmの場合である。
トランスフューズベルトの定着部における加熱昇温から画像形成部(感光体)に至るまでの温度降下の一連の流れを加熱冷却サイクルと呼ぶが、この加熱冷却サイクルを前述の熱伝導解析(2次元)を用いて解析を行った。図6はこの解析モデルを示している。
図6において、トランスフューズベルト201(ここでは、ベルト膜厚による感光体ドラム200の昇温特性の検証を行うために、ベルト膜厚を8、15、30μmの3種類用意し、この3種類の比較を行っている。)は、転写ローラ205とテンションローラ206により支持されている。感光体ドラム200上に形成されたトナー画像は、トランスフューズベルト201を介して当接されている転写ローラ205により静電的にベルト201上に転写される。転写されたトナー203は、加熱体202でベルト背面より加熱溶融される。加熱溶融されたトナーは、テンションローラ206と加圧ローラ204で形成されるニップ部に順次送られ記録紙207に転写定着される。
解析に用いた各々の物性値には標準的な物性値を用い、加熱体202で加熱されたベルト201の熱により感光体ドラム200がどの程度まで昇温するか、昇温温度の解析を行った。表4は、記録紙207を100枚連続通紙したときの感光体の飽和温度予測解析結果を示している。
Figure 2005189322
感光体の温度としては、極力温度上昇しないほうが望ましいが、上限温度として、35℃付近でも良好に画像形成できることが別の実験により確認できている。ただし、これ以上の温度領域においては、画像不良の発生が確認されている。
画像の良好な感光体の上限温度を35℃付近とすると、このときのトランスフューズベルト厚としては、25μm(図5(b)参照)であり、このベルト層厚の場合、強度的な問題も無い。もう一の解析結果であるベルト層厚18μm(図5(c)参照)であると、さらに感光体温度の低減が図れるが、この場合、強度的な問題がある。従って、感光体温度と、ベルト強度を考えると、ベルト層厚として25μmが最適である。
図7は、ポリイミド(厚さ100μm)に対して、本実施形態1で示される製造方法に従ってフッ素化CNTの含有率を変えたときのCNT含有率と引張強度の相関を示す。
通常、コピアに用いられている中間転写ベルトに用いられるポリイミドの引張強度としては、0.2GPa以上程度であるが、ポリイミドにフッ素化CNTを含有させることにより、含有率1wt%時で16GPa程度の強度アップが図れた。この条件でフッ素化ポリイミド複合材を用いて、15μmの膜厚のフッ素化ポリイミドを作製し、その上に10μmのPFAコートをした試験サンプルを用いて、引張強度試験機(測定器:引張圧縮試験機SVF型、メーカー名:今田製作所)でテストを行った。このときの強度としては、0.2GPa以上となり、トランスフューズベルトとして実用レベルであることが確認された。
また、本試料を用いて体積固有抵抗率に関しての測定(測定器:ハイレスタUP、メーカー名:ダイアインスツルメンツ)を行った。このとき、通常のCNT複合ポリイミドと、フッ素化CNTポリイミドを比較した結果、通常のCNT複合ポリイミドが、体積固有抵抗率で104Ω・cm程度の値を示し、フッ素化CNTポリイミド(ヘリウムに希釈したフッ素ガスとCNTを高温(250℃〜350℃)で12時間程度反応させた試料)の体積固有抵抗率は、109Ω・cm程度であった。
本発明による中間転写体に必要な体積固有抵抗率は、転写実験を行った結果、1011Ω・cmと分かっている。この体積固有抵抗率にするためには、CNT含有量を減らすことにより、体積固有抵抗率も上昇することが分かっているが、同時に引張強度も低減させてしまう。これを改善するために、本発明では、CNTをフッ化処理する際にフッ素ガスとCNTの反応時間を長く(反応時間を12時間から20時間に変更)することにより、フッ化度の進んだフッ素化CNTを配合剤に用いることで、体積固有抵抗率として1011Ω・cm程度、引張強度として0.2GPa以上の電気抵抗及び機械強度の両特性を満足するトランスフューズベルトを得ることができた。
<実施形態2>
次に、本発明の画像形成装置の実施形態2について、図8及び図9を参照して説明する。なお、本実施形態2において、加熱手段、バックアップローラ及び加圧ローラ以外の構成は上記実施形態1の構成と全く同じであるので、ここでは同部材に同符号を付すこととし、詳細な説明は省略する。
本実施形態2におけるトランスフューズユニット20bは、トランスフューズベルト(中間転写体)21、バックアップローラ(加圧部材)28、加圧ローラ(加圧部材)23、テンションローラ24、クリーニングブレード25、サーマルヒータ(加熱部材)29を備えており、トランスフューズベルト21はバックアップローラ28及びテンションローラ24によって張架されている。そして、トランスフューズベルト21の回転方向における画像形成ユニット10Bの下流側において、トランスフューズベルト21の内周面に当接した状態でサーマルヒータ29が固定配置されている。このサーマルヒータ29は、定格電力1000Wであり、アルミナセラミック基板に面状のMo系発熱抵抗体(面状発熱体)を印刷し、その上にガラスコートを印刷積層したセラミックヒータ29aと、このセラミックヒータ29aの上面に設けた温度センサ29bと、セラミックヒータを断熱支持するヒータホルダ29cとからなる。そして、サーマルヒータ29は発熱抵抗体への通電によって迅速に立ち上がり、温度センサ29bからの信号に基づいて通電制御を行うことで所定の温度(本実施形態2では125℃)に維持される。その結果、トランスフューズベルト21表面に転写されサーマルヒータ29との当接部(加熱部X、本実施形態2では約15mm)に搬送されたトナー像Tは加熱溶融される。
バックアップローラ28は、直径12mmのステンレス製芯金上に厚さ0.5mmのフッ素ゴムからなる耐熱弾性層を設けて構成されている。
また、加圧ローラ23は、直径11mmのステンレス製芯金表面に厚さ2mmのシリコンゴムからなる弾性層を設け、さらにその上に厚さ30μmのPFAチューブからなる離型層を設けて構成されるものである。この加圧ローラ23は、中間転写ベルト21を挟んで、加熱ローラ22に対し図示していない加圧手段により77Nの加圧力で押圧付勢されることにより、定着ニップ部Nを形成している。ここで、定着ニップ部Nの幅(定着ニップ幅)は1mm、面圧としては従来(面圧135kPa)に比べて2倍以上の310kPaに設定されている。このように定着ニップ部Nでの面圧を高く設定することにより、記録紙の表面とトランスフューズベルトとの密着性が向上し、溶融したトナー像Tの記録紙へのトランスフューズ性が確保される。
(上記構成のカラーサーマルプリンタの動作説明)
上記のように構成されたカラーレーザープリンタにおいて、まずトランスフューズベルト21が停止した状態でサーマルヒータ29への通電がONとなり、サーマルヒータ29は約0.5秒で所定の温度(本実施形態2では125℃)に昇温する。
サーマルヒータ29のウオームアップが完了した後、バックアップローラ28及び加圧ローラ23が回転駆動しトランスフューズベルト21を周回させると同時に、可視像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bにより形成された各色トナー画像がトランスフューズベルト21上に順次転写される。転写されたトナー画像Tは、加熱部Xにおいて125℃に維持されたサーマルヒータ29からの熱によりトランスフューズベルト21を介して加熱溶融される。その後溶融したトナー像Tは、トランスフューズベルト21の移動により加圧ローラ23との対向位置(定着ニップ部N)に搬送され、この搬送タイミングに合わせてトランスフューズベルト21と加圧ローラ23との間に記録紙Pが送り込まれる。そして記録紙Pが加圧ローラ23で押圧されることにより、溶融トナー像Tが記録紙P上にトランスフューズされる。
ここで、本実施形態2において、加熱部X及び定着ニップ部Nの前後でのトナーの温度を前述の熱伝導解析(ただし今回は2次元)にて計算した結果を図9に示す。
図9に示すように、加熱部Xの手前では常温(25℃)であるトナー像は、加熱部Xで昇温されて溶融した後、トランスフューズベルトの周回により定着ニップ部Nに到達するが、定着ニップ部N到達時のトナー温度(ニップ直前)としても113℃の温度が確保されていることから、定着ニップ部Nにおいて、十分な定着性を得ることができる。
また、定着ニップ部Nでは、上記実施形態1のように積極的な熱の供給が行われないため、熱源から加圧ローラ23等に無駄な熱が奪われることなく、消費電力の低減を図ることができる。具体的には、上記実施形態1の場合、通紙時における平均消費電力が556Wであるが、本実施形態2では462Wとなり、約17%低減することができる。さらに、定着ニップ部Nでは熱源からの熱供給がないため、加圧ローラ23、バックアップローラ28及び記録紙Pによりトランスフューズベルト21及びトナー画像Tの熱が奪われ、記録紙P上にトランスフューズしたトナーは約80℃に温度低下して冷却固化しトナー層間の凝集力が増大するため、中間転写ベルト21表面にシリコーンオイル等の離型剤を塗布せずともトナーの中間転写ベルト21表面へのオフセットを防止することができる。万一、紙ジャム等によりトナーがトランスフューズベルト21表面にオフセットした場合でも、定着ニップ部N下流側でトランスフューズベルト21外周面に当接されたクリーニングブレード25によりトランスフューズベルト21表面に付着したオフセットトナーや紙粉などがクリーニングされる。
また上記のようにトランスフューズベルト21は薄膜で構成できるため、熱容量が非常に小さく、定着ニップ部Nにおいて加圧ローラ23、バックアップローラ28、記録紙Pに熱を奪われ、さらにその下流側の長い搬送区間における雰囲気中への放熱、及びテンションローラ24との当接部においても熱を奪われるため、再び可視像形成ユニット10Yとの当接部に戻るまでに十分冷却され、感光体ドラム11の感光特性には影響を与えない。
なお上記実施形態1、2では、本発明による画像形成装置をカラーレーザープリンタに適用した場合について説明したが、本発明はカラー画像形成装置に限定されるものではなく、モノクロレーザープリンタ等のモノクロ画像形成装置にも適用できることは言うまでもない。また上記実施形態1、2においては、像担持体として中間転写ベルトを使用した形態について説明したが、本発明の像担持体としてはベルト形状のものに限定されるものではなく、例えばドラム形状のものでも使用できることは言うまでもない。
本発明の実施形態1における画像形成装置の概略構成図である。 実施形態1における定着ニップ部直前のトナー温度及び加熱ローラ温度の変化を示したグラフである。 従来の定着方法での定着ニップ部における定着ローラ、トナー層、記録紙の断面状態を一部拡大して示した説明図である。 従来の定着方法での定着ニップ部におけるトナー温度の変化を示したグラフである。 記録紙を100枚連続通紙したときのトランスフューズ膜厚と感光体温度との関係を示すグラフである。 加熱冷却サイクルの解析モデルを示す説明図である。 ポリイミドに対して本実施形態1で示される製造方法に従ってフッ素化CNTの含有率を変えたときのCNT含有率と引張強度の相関を示すグラフである。 本発明の実施形態2における画像形成装置の概略構成図である。 実施形態2における定着ニップ部直前のトナー温度の変化を示したグラフである。 プロセススピードとトナーの溶融状態に関する検討条件を示す説明図である。
符号の説明
10Y、10M、10C、10B 可視像形成ユニット
11 感光体ドラム(トナー担持体)
12 帯電ローラ
13 レーザー光照射手段
14 現像器
15 転写ローラ
16 クリーナー
20a トランスフューズユニット
21 トランスフューズベルト(中間転写体)
22 加熱ローラ(加熱加圧部材)
23 加圧ローラ(加圧部材)
24 テンションローラ
25 クリーニングブレード
26 ハロゲンランプ
27 サーミスタ
28 バックアップローラ(加圧部材)
29 サーマルヒータ(加熱部材)

Claims (2)

  1. トナー像が形成されるトナー像担持体と、トナー像担持体に形成されたトナー像が転写され、所定方向に循環駆動される中間転写体と、中間転写体の駆動経路上で中間転写体上のトナー像を加熱溶融する加熱手段と、紙などの記録材に中間転写体上のトナー像を転写すると共に定着する加圧手段とを少なくとも備えた画像形成装置において、
    前記中間転写体は、その一部にフッ素化処理されたカーボンナノチューブを含んで構成されていることを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記中間転写体の周回方向における前記加圧手段の圧接位置が、前記加熱手段によりトナー像が加熱される位置よりも下流側にあることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。

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