JP2005176464A - リニアモータ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】導電線を筒状に巻いた中空の3相コイル3を有する電機子と、磁極が3相コイル3の外周面に対向し、かつ、同じ極性の磁極が対向するように配置された複数の磁石60と、を有し、対向する磁石間に3相コイル3のみが存在する。
【選択図】図1
Description
たとえば、特許文献1に開示されているようなコアレスリニアモータの可動子では、可動子の剛性を確保するために、ステンレスやFRP等の非磁性材料からなるプレート状の保持板の両面に扁平に形成された複数のコイルが樹脂で固定される。この保持板を直線状に配列された一対の永久磁石列の間に配置し、一方の永久磁石列から他方の永久磁石列に向かう磁束とコイルに流れる電流との相互作用によって、左手のフレミング則に基づく推力が発生する。
また、コイルの保持板をステンレス等の非磁性の金属を用いると、保持板は磁気回路の磁束の通路にあるため、保持板を可動子が直線運動したときに保持板に誘導電流が流れることで推力とは逆方向の力が発生し、推力変動の原因となる。
また、本発明では、コイルを極性が同じ磁極が対向配置された磁石間に配置するとともに、対向する磁石間に中空のコイルのみを配置し、磁石間にヨーク等の磁性体やコイルを保持する金属板などの導電体が存在しない。このため、対向する磁石の磁束は向きが相反し、かつ、コイル内部にヨークなどの磁性体が存在しないので、磁束は磁石に近い位置にあるコイルには到達するが、3相コイルの内部にはほとんど到達しない。
対向する磁石の一方の磁束とコイルとの間で発生する力の向きと、他方の磁束とコイルとの間で発生する力の向きとは同じ向きとなり、これがリニアモータの推力となる。
また、磁石間にコイル以外の導電体がないため、コイル以外に誘導電流が発生することがない。この結果、磁性体の磁気飽和による推力低下およびコイル以外の導電体に流れる誘導電流に起因する推力とは逆方向の力による推力変動がない。
さらに、本発明では、3相コイルに対して逆相の関係にある3相コイルを各相コイルに隣接して配置する。互いに隣接するコイルの内部では、相反する向きの磁束が発生し、互いに打ち消し合う。この結果、コイルからの磁束が磁石の形成する磁界へ悪影響を与えることがない。
また、本発明では、渦電流損失も回避でき、モータ効率の低下を防ぐことができる。
また、本発明によれば、コイルからの熱を効率良く放出でき、温度上昇が抑制されたリニアモータが得られる。
さらに、本発明によれば、電機子が大幅に軽量化されたリニアモータが得られる。
また、本発明によれば、推力の変動が大幅に抑制されたリニアモータが得られる。
第1の実施形態
図1は、本発明の一実施形態に係るリニアモータの構造を示す斜視図である。
図1に示すように、リニアモータ1は、可動部2と固定部50とを有する。なお、本実施形態では、電機子が可動部2となっている。
ヨーク51は、互いに対向する平面をもつ所定の間隔で対向する対向部51A,51Bと、これらに垂直に配置され直動方向A1およびA2に沿って対向部51A,51Bの一端部を連結する連結部51Cとからなる。なお、直動方向A1,A2は可動部2の運動する方向である。
対向部51A,51Bおよび連結部51Cは、たとえば、鉄などの強磁性体材料で一体に形成されている。対向部51A,51Bまたは連結部51Cの外側面がベースなどに固定される。なお、対向部51A,51Bおよび連結部51Cは、別体としてもよい。また、対向部51A,51Bに強磁性体を用い、連結部51Cに非磁性体を用いる構成としてもよい。また、ヨーク51は、軽量化の観点から、アルミ二ウム合金等の比強度の高い軽量の金属や強化プラスチックなどの非磁性材料を用いてもよい。
これらの永久磁石60は、対向部51A,51Bの各対向面に直動方向A1,A2に沿って配列されている。永久磁石60は、直動方向A1,A2に沿って磁極の極性が交互に反転する、すなわち、N極、S極、N極、S極となるように配列されている。さらに、対向部51A側と対向部51Bとで対向する永久磁石60は、同じ極性の磁極が対向するように配置されている。
図2に示すように、可動部2は、コイル結合体3と、保持部材10とを有する。
保持部材10は、プレート状の部材からなり、たとえば、ステンレス、アルミ二ウム合金等の金属で形成されている。保持部材10は、コイル結合体3を保持する役割を果たす。この保持部材10は、図示しないガイド機構によって直動方向A1およびA2に移動自在に支持されている。
筒状の3相コイル3A,3B,3Cをそれぞれ形成したのち、非磁性材料からなる電気絶縁性部材9によって端面同士が互いに結合され、コイル結合体3が形成される。電気絶縁性部材9は、たとえば、ガラスエポキシ樹脂や硬質アルマイト処理されたアルミ合金である。コイル結合体3は、長手方向に沿って貫通する輪郭が長方形状の中空部3Hをもつ。
なお、3相コイル3相コイル3A,3B,3Cの巻き方向は、すべて同じである。
また、3相コイル3A,3B,3Cを上記構成とすることにより、断面2次モーメントを大きくとることができ、3相コイル3A,3B,3Cコイルの剛性、特に、曲げ、せん断剛性が高まる。また、3相コイル3A,3B,3C自体の剛性が高まるとともに、3相コイル3A,3B,3Cは中空部3Hをもつので軽量である。
図5に示すように、直動方向A1,A2に関して、一対の磁極、すなわち、2個の永久磁石60の寸法と、3相コイル3A,3B,3Cの寸法とが略一致する。
3相コイル3A,3B,3Cを間にして、対向する永久磁石60,60の磁束BFは、磁極の極性が同じであることから、対向している永久磁石60,60の一方から他方へはほとんど向かわず、主に隣接する永久磁石60,60へ向かう。
さらに、本実施形態によれば、コイル結合体3は中空部3Hに導電体が存在しないため、3相コイル3A,3B,3Cの発生する磁界によって誘導電流が発生することがなく、推力とは逆方向の力が発生しない。この結果、誘導電流に起因するリニアモータ1の推力変動が発生しない。また、誘導電流が発生しないので、モータの効率の低下を防ぐことができる。
図6は、本発明の第2の実施形態に係るリニアモータの可動部の構造を示す斜視図である。なお、本実施形態に係るリニアモータの基本的な構成は第1の実施形態のリニアモータ1と同様である。また、図6において、第1の実施形態と同一構成部分は同一の符号を使用している。
図6に示す可動部2Aは、3相コイル3A1,3B1,3C1と、3相コイル3A2,3B2,3C2からなるコイル結合体30を備えている。各相のコイル3A2,3B2,3C2は、各相のコイル3A1,3B1,3C1にそれぞれ隣接して配置されている。
3相コイル3A1,3B1,3C1と3相コイル3A2,3B2,3C2は、上述した実施形態の3相コイル3A,3B,3Cと同様の構成である。コイル結合体30も上述した実施形態と同様に形成される。
3相コイル3A2,3B2,3C2は、3相コイル3A1,3B1,3C1に対して逆位相、すなわち、位相が180度異なる磁界を発生する。
図7に示すように、2組の3相コイル3A1,3B1,3C1および3相コイル3A2,3B2,3C2は、2対の磁極、すなわち、4個の隣り合う永久磁石60に対向する。直動方向A1およびA2に関して、4個の永久磁石60の寸法と、6個のコイルの寸法とが略同じである。
この結果、コイル3A1,3A2、コイル3B1,3B2およびコイル3C1,3C2内から漏れる磁束が抑制されるため、永久磁石60の形成する磁場への乱れを少なくできまた、コイルの発生する磁束によるヨーク51の磁気飽和を防ぐことができる。
図8に示すように、コイル3A1,3A2、コイル3B1,3B2およびコイル3C1,3C2の組の寸法を2個の磁石60の寸法と略同じとし、各コイルの組を60度または120度の位相分異ならせた配置とする。各コイルの組に上記と同様に磁界を発生させることにより、同様の作用、効果が得られる。
図9は、本発明の第3の実施形態に係るリニアモータの可動部の構造を示す斜視図である。
図9に示すリニアモータ1Aの基本的な構成は、第1の実施形態に係るリニアモータ1と同様であるが、異なる構成は、コイル結合体3の中空部3Hに補強部材20を設けた点である。
また、補強部材20は、中空部20hを備える。この中空部20hは、軽量化のために形成されている。
補強部材20の形成材料としては、非磁性で電気絶縁性の材料が用いられる。たとえば、ガラスエポキシ樹脂、カーボン繊維等の強化繊維を用いたFRP(Fiber Reinforced Plastics)等の材料が好ましく、金属よりも軽量で高剛性な材料が好ましい。
このように、非磁性で電気絶縁性の材料の補強部材20によって、コイル結合体3の中空部3Hの内周を支持することにより、コイル結合体3の剛性をさらに向上させることができる。
なお、本実施形態では、補強部材20の形状を筒状としたが、これに限定されるわけではなく、種々の形状を採用することができる。例えば、平板状ととしても良い。また、コイル内の全周に設けずに、例えば、対向する一対の側面にそれぞれ平板状の補強部材を設ける構成としても良い。また、中実の部材を用いて、中空部3Hをすべて補強部材とすることも可能である。
図11は、本発明の第4の実施形態に係るリニアモータの斜視図である。
図11に示すように、リニアモータ100は、可動部150と固定部101とを有する。本実施形態では、固定部101が電機子となっている。
保持部材110は、平板状の部材からなり、たとえば、ステンレス、アルミ二ウム合金等の金属で形成されている。保持部材110は、コイル結合体103を保持する役割を果たす。この保持部材110は、図示しないベース等に固定される。
また、コイル結合体3の中空部103Hは、直動方向A1およびA2に沿って貫通している。
ヨーク151は、図12に示すように、互いに対向する平面をもつ所定の間隔で対向する対向部51A,151Bと、これらに垂直に配置され直動方向A1およびA2に沿って対向部151A,151Bの一端部を連結する連結部151Cとが一体に形成されている。なお、対向部151A,151B、連結部151Cを別体としてもよい。
ヨーク151は、鉄などの磁性材料で形成することができるが、可動部150の軽量化の観点から、アルミ二ウム合金等の比強度の高い軽量の材料を用いることができる。
また、対向部151A,151Bに磁性材料を用い、連結部151Cにアルミ二ウム合金等の非磁性材料を用いても良い。
図13に示すように、直動方向A1,A2に関して、一対の磁極、すなわち、2個の永久磁石106の寸法と、3相コイル103A,103B,103Cの寸法とが略一致する。
3相コイル103A,103B,103Cを間にして、対向する永久磁石106,106の磁束BFは、磁極の極性が同じであることから、対向している永久磁石106,106の一方から他方へはほとんど向かわず、主に隣接する永久磁石106へ向かう。
したがって、図13からわかるように、永久磁石106の磁束BFは、永久磁石106の表面付近に主に分布し、対向する3相コイル103A,103B,103Cの内部へは到達しにくい。
図14に示すように、コイル結合体103の中空部103Hの一端からファン300を用いて空気を供給する。中空部103Hの一端から供給された空気は、中空部H内を通過し、熱を効率よく吸収して、中空部103Hの他端から排出される。
本実施形態では、コイル結合体103が固定されているので、空気等の冷却媒体を中空部103Hへ常時供給して強制冷却を容易に行うことができる。この結果、リニアモータの温度管理が容易にできる。
なお、冷却媒体として空気を用いたが、コイル結合体103をシールするなどして液体の冷却媒体を用いて冷却することも可能である。
図15は、本発明の第5の実施形態に係るリニアモータの構成を示す図である。
なお、本実施形態に係るリニアモータの基本的な構成は第3の実施形態のリニアモータ100と同様である。また、図15において、第3の実施形態と同一構成部分は同一の符号を使用している。
図15に示すリニアモータ100Aは、第3の実施形態と同様に、固定部が電機子であり、可動部に永久磁石が設けられている。リニアモータ100Aは、複数の3相コイル103A1,103B1,103C1と、3相コイル103A2,103B2,103C2からなるコイル結合体103−Aを備えている。また、各相のコイル103A2,103B2,103C2は、各相のコイル103A1,103B1,103C1にそれぞれ隣接して配置されている。
3相コイル103A1,103B1,103C1と3相コイル103A2,103B2,103C2は、上述した実施形態の3相コイル103A,103B,103Cと同様の構成である。
3相コイル103A2,103B2,103C2は、3相コイル103A1,103B1,103C1に対して位相が180度異なる磁界を発生する。
図16は、本発明の第6の実施形態に係るリニアモータの構成を示す図である。
図17は、図16に示すリニアモータの可動部および固定部の構造を示す断面図である。
本実施形態に係るリニアモータは、電機子が固定部であり、可動部に永久磁石が設けられている。また、本実施形態に係るリニアモータの基本的な構成は、第4の実施形態または第5の実施形態と同様である。
本実施形態では、ヨーク151−Aを外形が四角の筒状に形成している。ヨーク151−Aの内面には、2組の対向する永久磁石106が設けられている。これらの永久磁石106がコイル結合体103の4つの外周面にそれぞれ対向している。
このように構成することにより、コイルが利用する永久磁石の利用効率が高まり、推力等を向上させることができる。
また、第3の実施形態で説明した補強部材20は、第2、第4〜第6の実施形態のコイルにも適用することができる。
また、本発明の補強部財は、コイル内にセンターヨークが挿入されるタイプのリニアモータのコイルにも適用することができる。
2…可動部
3…コイル結合体
10…保持部材
20…補強部材
50…固定部
51…ヨーク
60…永久磁石
Claims (4)
- 導電線を筒状に巻いた中空の3相コイルと、
磁極が前記中空の3相コイルの外周面に対向し、かつ、同じ極性の磁極が対向するように配置された複数の磁石と
を有するリニアモータ。 - 前記中空の3相コイルは、各コイルが筒状に整列多層巻きされ、かつ、接着剤で固められており、電気絶縁性の部材を介して端面が互いに結合されている
請求項1に記載のリニアモータ。 - 前記中空の3相コイルは、互いに逆位相の磁界を発生させる第1および第2の中空の3相コイルとから構成され、
前記第1および第2の中空の3相コイルの対応する各コイルは隣接して配置されている
請求項1に記載のリニアモータ。 - 導電線を筒状に巻いた中空の3相コイルと、
磁極が前記中空の3相コイルの外周面に対向し、かつ、同じ極性の磁極が対向するように配置された複数の磁石と、
非磁性で、かつ、電機絶縁性の材料で形成され、前記中空の3相コイルの各コイルの内周を共通に支持する補強部材と
を有するリニアモータ。
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