JP2005160733A - 手術用処置具 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、患者に電流を流すことなく、生体組織の接触状態や、乾燥状態などが検知可能であり、その結果から出力を制御できる手術用処置具を提供することを最も主要な特徴とする。
【解決手段】発熱部16を発熱駆動するための発熱電力を供給制御する出力電力制御手段35と、出力電力制御手段35から発熱部16に供給される出力電力を検出し、第1把持部8と第2把持部9間に把持された生体組織の有無、もしくは第1把持部8と第2把持部9間に把持された生体組織の状態の少なくとも一方を判別する出力状態判別手段39と、判別手段39の判別結果に基づき、出力電力制御手段35からの発熱電力の供給、または、判別結果の告知の少なくとも一方を駆動制御するCPU(制御手段)32とを具備するものである。
【選択図】 図4
【解決手段】発熱部16を発熱駆動するための発熱電力を供給制御する出力電力制御手段35と、出力電力制御手段35から発熱部16に供給される出力電力を検出し、第1把持部8と第2把持部9間に把持された生体組織の有無、もしくは第1把持部8と第2把持部9間に把持された生体組織の状態の少なくとも一方を判別する出力状態判別手段39と、判別手段39の判別結果に基づき、出力電力制御手段35からの発熱電力の供給、または、判別結果の告知の少なくとも一方を駆動制御するCPU(制御手段)32とを具備するものである。
【選択図】 図4
Description
本発明は、生体組織の処置部位に熱を加えて切開、凝固、及び止血等の処置を行う手術用処置具に関する。
一般に、手術用処置具として、処置具本体の先端部に開閉可能な一対の把持部からなる処置部が配置され、把持部を開閉操作する操作部が処置具本体の基端部に配置されるとともに、把持部の少なくとも一方に発熱部を設け、把持部間に把持された生体組織を発熱部によって加熱処置する熱処置用の装置が知られている。この種の手術用処置具は、例えば外科手術時に、生体組織の処置部位を切開、凝固、及び止血等の処置を行う際に使用されれる。
そして、この手術用処置具の使用時には、把持部間に生体組織を把持させたのち、出力を開始し、発熱部に電力を供給して発熱部を加熱する。この発熱部の熱を把持部に伝熱させて生体組織の処置部位に切開、凝固、及び止血等の処置を行うようになっている。
また、特許文献1には、患者の血管や、その他の組織を封鎖する外科用器具が示されている。この外科用器具には患者の血管や、その他の組織を把持する把持部材が設けられている。さらに、この外科用器具には電気外科ゼネレータが接続されている。
そして、この外科用器具の使用時には把持部材によって患者の血管や、その他の組織を把持させた状態で、電気外科ゼネレータから把持部材に電気外科出力電力が供給される。これにより、外科用器具の把持部材に把持されている患者の血管や、その他の組織に高い電流を印加させることにより、組織を急速に加熱して乾燥させ、把持部材に把持されている患者の血管や、その他の組織を封鎖するようにしている。
また、この外科用器具のシステムでは、生体組織の処置時に組織のインピーダンスを監視し、組織のインピーダンスが予め設定された設定値に達した時点で電力供給を止めることにより、外科用器具のシステムを停止するようにしている。
特表平10−510460号公報
従来の熱処置用の手術用処置具では、発熱部の制御は、電源スイッチのオン、オフ操作によって行なわれている。そのため、生体組織の処置時に、出力を開始して生体組織の凝固が完了し、出力を停止する操作を行なう場合に、目視で確認する必要がある。その結果、手術用処置具の出力開始時に生体組織を把持しない状態で不要な電力が出力されることを確実に防止することは困難である。さらに、手術用処置具の出力停止時にも凝固が完了する前に出力を停止する可能性がある。
また、特許文献1の装置では、生体組織の処置時に組織のインピーダンスを監視しているので、生体組織の処置状態が検出可能である。しかしながら、特許文献1の装置では、生体組織の処置時には常に患者に電流を流し続ける必要がある。
本発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的は、患者に電流を流すことなく、生体組織の接触状態や、乾燥状態などが検知可能であり、その結果から出力を制御できる手術用処置具を提供することにある。
請求項1の発明は、処置具本体の先端部に配置され、開閉可能な一対の把持部からなる処置部と、前記処置具本体の基端部に配置され、前記把持部を開閉操作する操作部とを有し、前記把持部の少なくとも一方に前記把持部間に把持された生体組織を加熱処置する為の発熱部を設けた手術用処置具において、前記発熱部を発熱駆動するための発熱電力を供給制御する出力電力制御手段と、前記出力電力制御手段から前記発熱部に供給される前記出力電力を検出し、前記把持部間に把持された生体組織の有無、もしくは前記把持部間に把持された生体組織の状態の少なくとも一方を判別する判別手段と、前記判別手段の判別結果に基づき、前記出力電力制御手段からの発熱電力の供給、または、判別結果の告知の少なくとも一方を駆動制御する制御手段と、を具備することを特徴とする手術用処置具である。
そして、本請求項1の発明では、使用時には出力電力制御手段によって発熱部を発熱駆動するための発熱電力を供給制御する。このとき、出力電力制御手段から発熱部に供給される出力電力を検出し、把持部間に把持された生体組織の有無、もしくは把持部間に把持された生体組織の状態の少なくとも一方を判別手段によって判別する。さらに、判別手段の判別結果に基づき、出力電力制御手段からの発熱電力の供給、または、判別結果の告知の少なくとも一方を制御手段によって駆動制御する。これにより、患者に電流を流すことなく、生体組織の接触状態や、乾燥状態などが検知可能であり、その結果から出力を制御できるようにしたものである。
そして、本請求項1の発明では、使用時には出力電力制御手段によって発熱部を発熱駆動するための発熱電力を供給制御する。このとき、出力電力制御手段から発熱部に供給される出力電力を検出し、把持部間に把持された生体組織の有無、もしくは把持部間に把持された生体組織の状態の少なくとも一方を判別手段によって判別する。さらに、判別手段の判別結果に基づき、出力電力制御手段からの発熱電力の供給、または、判別結果の告知の少なくとも一方を制御手段によって駆動制御する。これにより、患者に電流を流すことなく、生体組織の接触状態や、乾燥状態などが検知可能であり、その結果から出力を制御できるようにしたものである。
請求項2の発明は、前記制御手段は、前記発熱部を発熱駆動するスイッチが接続され、前記出力電力制御手段は、電源オン時に、前記発熱部の状態を検出するための微弱電力を前記発熱部に供給するスタンバイ状態とし、前記スイッチのオン操作時に前記発熱部に生体処置を行なうための発熱電力を供給する通常の駆動状態に切換え操作されることを特徴とする請求項1に記載の手術用処置具である。
そして、本請求項2の発明では、電源オン時に、スイッチがオフ状態で保持されている場合には、スタンバイ状態で保持する。このとき、出力電力制御手段は、発熱部の状態を検出するために微弱な電力を発熱部に供給する。その後、スイッチのオン操作時には通常の駆動状態に切換え操作する。このとき、出力電力制御手段は、発熱部を発熱駆動するための発熱電力を供給するようにしたものである。
そして、本請求項2の発明では、電源オン時に、スイッチがオフ状態で保持されている場合には、スタンバイ状態で保持する。このとき、出力電力制御手段は、発熱部の状態を検出するために微弱な電力を発熱部に供給する。その後、スイッチのオン操作時には通常の駆動状態に切換え操作する。このとき、出力電力制御手段は、発熱部を発熱駆動するための発熱電力を供給するようにしたものである。
請求項3の発明は、前記制御手段は、前記スタンバイ状態から前記通常の駆動状態へ切換えられる出力開始電力を検出するための出力開始電力検出用の第1の設定値W1と、前記生体組織の加熱処置を終了する終了状態検出用の第2の設定値W2とが予め設定され、
前記判別手段は、前記スタンバイ状態で前記出力電力の検出値が前記第1の設定値W1を越えた状態を検出することにより、前記把持部間に把持されている生体組織が有りと判別し、前記通常の駆動状態で前記出力電力の検出値が前記第2の設定値W2を下回った状態を検出することにより、前記把持部間に把持されている生体組織の加熱処置終了状態と判別することを特徴とする請求項2に記載の手術用処置具である。
そして、本請求項3の発明では、スタンバイ状態で出力電力の検出値が第1の設定値W1を越えた状態を検出することにより、把持部間に把持されている生体組織が有りと判別手段が判別する。また、通常の駆動状態で出力電力の検出値が第2の設定値W2を下回った状態を検出することにより、把持部間に把持されている生体組織の加熱処置終了状態と判別手段が判別するようにしたものである。
前記判別手段は、前記スタンバイ状態で前記出力電力の検出値が前記第1の設定値W1を越えた状態を検出することにより、前記把持部間に把持されている生体組織が有りと判別し、前記通常の駆動状態で前記出力電力の検出値が前記第2の設定値W2を下回った状態を検出することにより、前記把持部間に把持されている生体組織の加熱処置終了状態と判別することを特徴とする請求項2に記載の手術用処置具である。
そして、本請求項3の発明では、スタンバイ状態で出力電力の検出値が第1の設定値W1を越えた状態を検出することにより、把持部間に把持されている生体組織が有りと判別手段が判別する。また、通常の駆動状態で出力電力の検出値が第2の設定値W2を下回った状態を検出することにより、把持部間に把持されている生体組織の加熱処置終了状態と判別手段が判別するようにしたものである。
請求項4の発明は、前記制御手段は、前記判別手段によって前記生体組織が有りと判別された際に、前記出力電力の検出値が前記第1の設定値W1を越えた後の時間をカウントし、予め設定された設定時間Twait以下で、前記スイッチがオン操作された場合に前記出力電力制御手段を前記通常の駆動状態に切換え操作する出力開始制御を行うことを特徴とする請求項3に記載の手術用処置具である。
そして、本請求項4の発明では、判別手段によって生体組織が有りと判別された際に、制御手段は出力電力の検出値が第1の設定値W1を越えた後の時間をカウントし、予め設定された設定時間Twait以下で、スイッチがオン操作された場合に出力電力制御手段を通常の駆動状態に切換え操作する出力開始制御を行う。このとき、出力電力の検出値が第1の設定値W1を越えた後の時間が設定時間Twaitを越えてもスイッチがオン操作されない場合には、出力電力制御手段をスタンバイ状態で保持する。これにより、生体組織を把持しない状態で不要な電力が出力されることを防止するようにしたものである。
そして、本請求項4の発明では、判別手段によって生体組織が有りと判別された際に、制御手段は出力電力の検出値が第1の設定値W1を越えた後の時間をカウントし、予め設定された設定時間Twait以下で、スイッチがオン操作された場合に出力電力制御手段を通常の駆動状態に切換え操作する出力開始制御を行う。このとき、出力電力の検出値が第1の設定値W1を越えた後の時間が設定時間Twaitを越えてもスイッチがオン操作されない場合には、出力電力制御手段をスタンバイ状態で保持する。これにより、生体組織を把持しない状態で不要な電力が出力されることを防止するようにしたものである。
請求項5の発明は、前記制御手段は、前記判別手段によって前記生体組織の加熱処置終了状態と判別された際に、前記出力電力の検出値が前記第2の設定値W2を下回る直前に前記出力電力の検出値が急激に変化するtn-1時点の検出値Wtn-1と、前記第2の設定値W2を下回る領域で前記出力電力の検出値が急激に変化するtn時点の検出値Wtnとの差ΔWが任意の電力設定値Wsより大きいことを検出した時点で、前記出力電力制御手段による前記通常の駆動状態の出力を停止する出力停止制御を行うことを特徴とする請求項3に記載の手術用処置具である。
そして、本請求項5の発明では、出力電力制御手段が通常の駆動状態で、判別手段によって生体組織の加熱処置終了状態と判別された際に、制御手段は出力電力の検出値が第2の設定値W2を下回る直前に出力電力の検出値が急激に変化するtn-1時点の検出値Wtn-1と、第2の設定値W2を下回る領域で出力電力の検出値が急激に変化するtn時点の検出値Wtnとの差ΔWが任意の電力設定値Wsより大きいことを検出した時点で、出力電力制御手段による通常の駆動状態の出力を停止する出力停止制御を行う。これにより、加熱処置終了後に不要の出力を継続させることなく、自動停止することができる。
そして、本請求項5の発明では、出力電力制御手段が通常の駆動状態で、判別手段によって生体組織の加熱処置終了状態と判別された際に、制御手段は出力電力の検出値が第2の設定値W2を下回る直前に出力電力の検出値が急激に変化するtn-1時点の検出値Wtn-1と、第2の設定値W2を下回る領域で出力電力の検出値が急激に変化するtn時点の検出値Wtnとの差ΔWが任意の電力設定値Wsより大きいことを検出した時点で、出力電力制御手段による通常の駆動状態の出力を停止する出力停止制御を行う。これにより、加熱処置終了後に不要の出力を継続させることなく、自動停止することができる。
請求項6の発明は、前記制御手段は、前記判別手段によって前記生体組織の加熱処置終了状態と判別された際に、前記出力電力の検出値が前記第2の設定値W2を下回る状態が予め設定された任意の設定時間以上続いた状態を検出した時点で、前記出力電力制御手段による前記通常の駆動状態の出力を停止する出力停止制御を行うことを特徴とする請求項3に記載の手術用処置具である。
そして、本請求項6の発明では、判別手段によって生体組織の加熱処置終了状態と判別された際に、制御手段は出力電力の検出値が第2の設定値W2を下回る状態が予め設定された任意の設定時間以上続いた状態を検出した時点で、出力電力制御手段による通常の駆動状態の出力を停止する出力停止制御を行う。これにより、加熱処置終了後に不要の出力を継続させることなく、自動停止することができる。
そして、本請求項6の発明では、判別手段によって生体組織の加熱処置終了状態と判別された際に、制御手段は出力電力の検出値が第2の設定値W2を下回る状態が予め設定された任意の設定時間以上続いた状態を検出した時点で、出力電力制御手段による通常の駆動状態の出力を停止する出力停止制御を行う。これにより、加熱処置終了後に不要の出力を継続させることなく、自動停止することができる。
本発明によれば、患者に電流を流すことなく、生体組織の接触状態や、乾燥状態などが検知可能であり、その結果から出力を制御できる。
以下、本発明の第1の実施の形態を図1乃至図3(A)〜(C)、および図4乃至図8を参照して説明する。図1は本実施の形態の手術用処置具1のシステム全体の概略構成を示すものである。本実施形態の手術用処置具1のシステムは、ハサミ型の熱凝固切開鉗子(処置具本体)2と、電源装置3と、フットスイッチ4とから構成されている。
図2は、熱凝固切開鉗子2全体の概略構成を示す。鉗子2は、2つ(第1,第2)の鉗子構成体5,6を有する。これら第1,第2の鉗子構成体5,6は、枢支軸7を介して相互に回動可能に取付けられている。第1の鉗子構成体5の先端側には第1把持部8、第2の鉗子構成体6の先端側には第2把持部9がそれぞれ設けられている。これらの第1把持部8と第2把持部9とによって、生体組織を把持するための処置部10が形成されている。第1把持部8と第2把持部9は、ステンレス等の金属材料によって形成されている。
また、第1の鉗子構成体5の後方側には、アーム11が延び、アーム11の末端には手指挿入用のリング12が設けられている。第2の鉗子構成体6の後方側にも同様に、アーム13が延び、アーム13の末端には手指挿入用のリング14が設けられている。そして、これらアーム11,リング12,アーム13,リング14によって、一対の把持部8,9を開閉操作する為の操作部15が形成されている。
図3(A)〜(C)は熱凝固切開鉗子2の処置部10の内部構成を示す。処置部10の第1把持部8には、第2把持部9との対向面に、発熱部装着用の長溝状の凹部8aが形成されている。この凹部8aには、生体組織に熱エネルギーを与える為の発熱部16が装着されている。
図3(A),(B)に示すように、発熱部16は、複数、本実施の形態では3つの発熱素子17a,17b,17cと、これら3つの発熱素子17a,17b,17cの熱を伝達して生体組織を加熱処置する金属刃である伝熱板18とを有する。
図3(C)に示すように伝熱板18には、第2把持部9との対向面(下面)側に先細状の刃部18a、この刃部18aと反対側の端面(上面)に凹陥状の発熱素子装着部18bがそれぞれ形成されている。伝熱板18の刃部18aは、第2把持部9側に露出している。
さらに、伝熱板18の発熱素子装着部18bには、3つの発熱素子17a,17b,17cが熱伝導率の良好な伝達部材を介して接合されている。3つの発熱素子17a,17b,17cは、例えばセラミック基板上に形成された薄膜抵抗体で形成されている。各発熱素子17a〜17cと、伝熱板18とは熱的に接合されて、各発熱素子17a〜17cで発生した熱は、伝熱板18に伝達されるようになっている。
発熱部16の上側部分は、断面形状が略U字状の断熱部材19によって覆われている。この断熱部材19は、PTFEやPEEK等の熱伝導率が低く耐熱性の高い材料からなる。この断熱部材19は第1把持部8の凹部8aに嵌め込まれた形で固定されている。
また、各発熱素子17a〜17cのそれぞれには、電力を供給する為のリード線20a〜20cが接続されている。図2に示すように、第1の鉗子構成体5には、リング12の後端側にコード接続部21が突設されている。コード接続部21には、各リード線20a〜20cの基端部が接続されている。
さらに、コード接続部21には接続コード22の一端が接続されている。この接続コード22の他端部は、接続コネクタ23を介して電源装置3に着脱可能に接続されている。そして、この電源装置3から接続コード22、コード接続部21、各リード線20a〜20cを介して各発熱素子17a〜17cに発熱電力が供給されるようになっている。
また、図3(A)及び図3(C)に示すように、第2把持部9には、発熱部16と対向する位置に露出面を有する受け部材24が一体的に設けられている。受け部材24は、例えば、シリコンゴムやPTFE等の弾性を有する樹脂材料からなる。この受け部材24の露出面には、滑り止め加工24aが施されている。
そして、熱凝固切開鉗子2の使用時には、操作部15を開閉操作して、処置部10の第1把持部8の発熱部16と第2把持部9の受け部材24との間に生体組織の処置部位を把持させ、その把持した生体組織に発熱素子17a〜17cで発生させた熱を伝熱板18を介して伝熱して加熱凝固切開させるようになっている。
また、図1に示すように電源装置3には、前面パネル3aにコネクタ受け25と、電源スイッチ26と、出力設定スイッチ27と、設定出力表示部28と、出力表示部29と、異常表示部30などが設けられている。コネクタ受け25には、熱凝固切開鉗子2の接続コネクタ23が接続される。ここで、電源スイッチ26は、電源装置3の駆動電源をオン/オフする。出力設定スイッチ27は、熱凝固切開鉗子2の発熱部16の発熱温度レベルを設定する温度レベルアップスイッチ27aと、温度レベルダウンスイッチ27bとからなる。設定出力表示部28は、この出力設定スイッチ27で設定した発熱温度レベルを表示する。出力表示部29は、凝固切開処置時に熱凝固切開鉗子2への通電中を表示する。異常表示部30は、手術用処置具1のシステムに異常がある場合に表示される熱凝固切開鉗子2の異常点灯表示30aと、電源装置3の内部手段の異常点灯表示30bと、異常警告音発生用ブザー30cとからなる。
また、電源装置3の図示しない背面パネルには、図示しない電源ソケットと、フットスイッチコネクタ31(図4参照)とが設けられている。ここで、電源ソケットには、電源装置3の駆動用電源を供給するための電源ケーブルの電源プラグが接続される。
フットスイッチコネクタ31には、フットスイッチ4が接続される。このフットスイッチ4は、電源装置3から熱凝固切開鉗子2への発熱電力の供給出力のオン/オフ指示入力を術者が足で操作する。さらに、フットスイッチ4は、最高レベルスイッチ4aと、設定レベルスイッチ4bとを有している。最高レベルスイッチ4aは、熱凝固切開鉗子2を最大温度レベルで発熱させるように指示入力する。設定レベルスイッチ4bは、出力設定スイッチ27で設定した発熱温度レベルで発熱させるように指示入力する。
また、図4は、電源装置3の内部の概略構成を示すブロック図である。この電源装置3の内部には、マイクロプロセッサ(以下、単にCPUと称する)32が内蔵されている。このCPU(制御手段)32には、発熱設定手段33と、フットスイッチ入力部34と、出力電力制御手段35と、抵抗値検出手段36と、印加電力検出手段37と、表示部38と、異常警告音発生用のブザー30cとが接続されている。さらに、発熱設定手段33には出力設定スイッチ27とフットスイッチ入力部34とが接続されている。フットスイッチ入力部34にはフットスイッチコネクタ31が接続されている。そして、フットスイッチ入力部34には、フットスイッチコネクタ31に接続されたフットスイッチ4による操作指示スイッチ情報が入力される。また、発熱設定手段33は、フットスイッチ入力部34と出力設定スイッチ27からの操作入力で発熱素子17a〜17cの発熱温度レベルを設定する。
CPU32は、フットスイッチ入力部34の発熱操作指示入力と発熱設定手段33からの発熱温度レベルの指示入力との基で出力電力制御手段35と、表示部38と、異常警告音発生用のブザー30cとを駆動制御する。ここで、表示部38は、温度レベルの設定出力表示部28と、熱凝固切開鉗子2への通電出力表示部29と、異常表示部30とを有する。
また、出力電力制御手段35は、CPU32の制御の基で接続コネクタ23を介して、熱凝固切開鉗子2の発熱素子17a〜17cを発熱駆動させるための発熱電力を生成出力する。この出力電力制御手段35から発熱素子17a〜17cに供給印加された発熱電力は、印加電力検出手段37で検出され、ここで検出された印加発熱電力の電圧値と電流値とから抵抗値検出手段36で発熱素子17a〜17cの抵抗値が演算される。
この発熱素子17a〜17cの抵抗値は、発熱温度変化と連動するために、抵抗値検出手段36で演算された発熱素子17a〜17cの抵抗値から発熱素子17a〜17cの発熱温度に換算し、出力電力制御手段35から発熱素子17a〜17cに供給出力される発熱電力の制御が行われる。
また、CPU32には、出力状態判別手段39と、出力告知制御手段40とが設けられている。ここで、出力状態判別手段39は、印加電力検出手段37によって検出された出力電力の検出値に基いて第1把持部8と第2把持部9との間に把持された生体組織の有無、もしくは第1把持部8と第2把持部9との間に把持された生体組織の状態の少なくとも一方を判別する。出力告知制御手段40は、この判別手段39の判別結果に基づき、出力電力制御手段35からの発熱電力の供給および判別結果の告知を駆動制御する。
また、出力電力制御手段35は、電源オン時に、発熱部16の状態を検出するための微弱電力を発熱部16に供給するスタンバイ状態と、フットスイッチ4のオン操作時に発熱部16を発熱駆動するための発熱電力を供給する通常の駆動状態とに切換え操作される。
さらに、CPU32には、スタンバイ状態から通常の生体組織の凝固・切開時の駆動状態へ切換えられる出力開始状態を検出するための出力開始電力検出用の第1の設定値W1と、生体組織の凝固・切開処置を終了する終了状態検出用の第2の設定値W2とが予め設定されている。なお、W1、W2は、生体組織の状態などの条件に応じて例えば出力設定スイッチ27のレベル設定などで任意に設定できる。
図5は本実施の形態の熱凝固切開鉗子2の出力制御の一例を説明するための特性図である。図5中で、実線の特性曲線Aは生体組織の凝固・切開時に印加電力検出手段37によって検出された出力電力の変化状態、点線の特性曲線Bは第1把持部8と第2把持部9との間に生体組織が把持されていない状態でフットスイッチ4がオン操作された場合の出力電力の変化状態をそれぞれ示す。
すなわち、本実施の形態の熱凝固切開鉗子2による生体組織の凝固・切開時には、出力電力制御手段35から発熱部16の3つの発熱素子17a〜17cに供給される出力電力は一般に実線の特性曲線Aに沿って変化する。ここで、電源装置3の電源スイッチ26がオン操作される(P0時点)と出力電力制御手段35から発熱部16の3つの発熱素子17a〜17cにスタンバイ状態の設定電力Wwaitが印加される。
このスタンバイ状態で、第1把持部8と第2把持部9との間に生体組織が把持される(P1時点)と、このときの生体組織との接触によって発熱部16の温度が下がることにより、一時的に出力電力制御手段35から発熱部16の3つの発熱素子17a〜17cに供給される出力電力がWt(接触初期時上昇電力値)まで上昇する。その後、再びスタンバイ状態に戻る。
また、スタンバイ状態で、フットスイッチ4がオン操作された場合(P2時点)には出力電力制御手段35を通常の生体組織の凝固・切開時の駆動状態に切換え操作する出力開始制御が行われる。この通常の生体組織の凝固・切開時には、出力電力制御手段35から発熱部16の3つの発熱素子17a〜17cに供給される出力電力Wが適宜の凝固・切開処置の開始電力W3まで急激に上昇する(P3時点)。
その後、発熱部16の3つの発熱素子17a〜17cに供給される出力電力Wは短い時間内にW4に急激に下がる(P4時点)現象が発生する。このP4時点からは出力電力Wは略平滑に徐々に低下する。そして、生体組織の凝固・切開の終了時には、生体組織が乾燥される際に発熱部16の3つの発熱素子17a〜17cに供給される出力電力Wが短時間(P5時点とP6時点との間)に急激に低下する現象が発生する。そのため、このP6時点以後、適宜の時点P7で通常の生体組織の凝固・切開時の駆動状態の出力をオフすることにより、通常の生体組織の凝固・切開作業が終了する。この後は、再びスタンバイ状態に戻る。
また、上記出力開始電力検出用の第1の設定値W1と、生体組織の凝固・切開処置を終了する終了状態検出用の第2の設定値W2とは、一般的な生体組織の凝固・切開時の上記特性曲線Aに基いて次の通り設定されている。すなわち、第1の設定値W1は、
Wwait<W1<Wt
の関係に設定されている。
Wwait<W1<Wt
の関係に設定されている。
また、第2の設定値W2は、生体組織の凝固・切開の終了時に生体組織が乾燥される際に急激に低下する出力電力Wの変化範囲であるP5時点とP6時点との間に設定されている。
また、本実施の形態では判別手段39は、スタンバイ状態で出力電力Wの検出値が第1の設定値W1を越えた状態を検出することにより、第1把持部8と第2把持部9との間に把持されている生体組織が有りと判別し、通常の駆動状態で出力電力Wの検出値が第2の設定値W2を下回った状態を検出することにより、第1把持部8と第2把持部9との間に把持されている生体組織の加熱処置終了状態と判別する。
さらに、CPU32は、判別手段39によって生体組織が有りと判別された際に、出力電力Wの検出値が第1の設定値W1を越えた後の時間をカウントし、予め設定された設定時間Twait以下で、フットスイッチ4がオン操作された場合に出力電力制御手段35を通常の生体組織の凝固・切開時の駆動状態に切換え操作する出力開始制御を行う機能が設けられている。また、CPU32は、判別手段39によって生体組織の加熱処置終了状態と判別された際に、出力電力Wの検出値が第2の設定値W2を下回る状態が予め設定された任意の設定時間T2 以上続いた状態を検出した時点で、出力電力制御手段35による通常の生体組織の凝固・切開時の駆動状態の出力を停止する出力停止制御を行う機能が設けられている。
次に、上記構成の作用について説明する。本実施の形態の熱凝固切開鉗子2の使用時には、図6のフローチャートに示す凝固切開時の出力を開始する制御と、図7のフローチャートに示す凝固切開時の出力を停止する制御と、図8のフローチャートに示す熱凝固切開鉗子2による出力状態を告知する制御とがそれぞれ行なわれる。
まず、熱凝固切開鉗子2の使用開始時には、図6のフローチャートに示す凝固切開時の出力を開始する制御が行なわれる。ここでは、まずステップS1で、電源装置3の電源スイッチ26がオン操作されると出力電力制御手段35から発熱部16の3つの発熱素子17a〜17cにスタンバイ状態の設定電力Wwaitが印加される(ステップS2)。このとき、印加電力検出手段37によって出力電力Wが検出される(ステップS3)。
続いて、次のステップS4で、第1把持部8と第2把持部9との間に把持された生体組織の有無がCPU32の出力状態判別手段39によって判別される。本実施の形態ではこのとき、次のステップS5で、W>W1か、否かが判断される。
このとき、スタンバイ状態で、第1把持部8と第2把持部9との間に生体組織が把持される(図5のP1時点)と生体組織との接触によって発熱部16の温度が下がる。これにより、図5の実線の特性曲線Aに示すように一時的に出力電力制御手段35から発熱部16の3つの発熱素子17a〜17cに供給される出力電力Wが第1の設定値W1を越えてWtまで上昇する。そのため、ステップS5で、出力電力Wが第1の設定値W1を越えている状態と判別された場合には、第1把持部8と第2把持部9との間に把持された生体組織が有りの状態と判断され、次のステップS6に進む。なお、ステップS5で、WがW1を越えている状態と判別されない場合には、再びスタンバイ状態に戻される。
また、ステップS6では、出力電力Wが第1の設定値W1を越えた後の時間tのカウントが開始される。そして、次のステップS7で、tが予め設定された設定時間(待ち時間)Twaitよりも小さいか、否かが判断される。このとき、t<Twaitと判断された場合には次のステップS8に進む。また、ステップS7で、t<Twaitと判断されない場合には再びスタンバイ状態に戻される。なお、Twaitは例えば5秒程度に設定される。
また、ステップS8では、フットスイッチ4がオン操作されたか、否かが判断される。ここで、フットスイッチ4がオン操作された状態と判断された場合(図5のP2時点)には次のステップS9に進む。また、ステップS8で、フットスイッチ4がオン操作された状態と判断されない場合にはステップS7に戻される。
ステップS9では、出力電力制御手段35を通常の生体組織の凝固・切開時の駆動状態に切換え操作する出力開始制御が行われる。その後、ステップS10の通常の生体組織の凝固・切開時の動作が行なわれる。
この通常の生体組織の凝固・切開の開始時には出力電力制御手段35から発熱部16の3つの発熱素子17a〜17cに供給される出力電力Wが第2の設定値W2よりも高い適宜の凝固・切開処置の開始電力W3まで急激に上昇する(図5のP3時点)。
その後、印加電力検出手段37で検出される出力電力Wの検出値は短い時間内にW4に急激に下がる(図5のP4時点)。このW4から出力電力Wの検出値は略平滑に徐々に低下する。また、通常の生体組織の凝固・切開動作の開始後、図7のフローチャートに示す凝固切開時の出力を停止する制御が行なわれる。
ここでは、まずステップS11で、印加電力検出手段37によって出力電力Wが検出される。続いて、次のステップS12で、第1把持部8と第2把持部9との間に把持された生体組織の状態がCPU32の出力状態判別手段39によって判別される。本実施の形態ではこのとき、次のステップS13で、W<W2か、否かが判断される。
このとき、出力電力Wが第2の設定値W2よりも小さい状態(W<W2)と判別された場合には、第1把持部8と第2把持部9との間に把持された生体組織が乾燥した状態(加熱処置終了状態)と判断され、次のステップS14に進む。なお、ステップS13で、W<W2と判別されない場合には、再びステップS11に戻される。
ステップS14では、出力電力Wの検出値が第2の設定値W2を下回る状態が予め設定された任意の設定時間T2 以上続いたか、否かが判断される。このとき、設定時間T2 以上続いた状態が検出される(図5のP7時点)と、次のステップS15に進む。なお、ステップS14で、設定時間T2 以上続いた状態が検出されない場合には、再びステップS11に戻される。
ステップS15では、出力電力制御手段35による通常の生体組織の凝固・切開時の駆動状態の出力が停止される。その後、次のステップS16で、通常の生体組織の凝固・切開時の駆動状態の出力停止が告知される。
また、通常の生体組織の凝固・切開時には、図8のフローチャートに示す熱凝固切開鉗子2による出力状態を告知する制御が次の通り行なわれる。まず、ステップS21で、通常の生体組織の凝固・切開時の動作が開始されると、次のステップS22で、出力告知開始制御が行なわれる。この出力告知開始制御時にはCPU32は、出力表示部29の点灯と、出力音の発振による告知を行う(ステップS23)ようになっている。
その後、ステップS24で、通常の生体組織の凝固・切開時の動作が停止されると、次のステップS25で、出力告知停止制御が行なわれる。この出力告知停止制御時にはCPU32は、出力表示部29の消灯と、出力音の発振停止を行う(ステップS26)ようになっている。
そこで、上記構成のものにあっては次の効果を奏する。すなわち、本実施の形態の手術用処置具1のシステムでは、熱凝固切開鉗子2の使用時には出力電力制御手段35によって発熱部16を発熱駆動するための発熱電力を供給制御する。このとき、出力電力制御手段35から発熱部16に供給される出力電力Wを検出し、第1把持部8と第2把持部9との間に把持された生体組織の有無、もしくは第1把持部8と第2把持部9との間に把持された生体組織の状態の少なくとも一方を判別手段39によって判別することができる。さらに、判別手段39の判別結果に基づき、出力電力制御手段35からの発熱電力の供給、または、判別結果の告知の少なくとも一方をCPU32によって駆動制御する。これにより、患者に電流を流すことなく、生体組織の接触状態や、乾燥状態などが検知可能であり、その結果から通常の生体組織の凝固・切開時の出力を制御できる。
また、電源装置3の電源スイッチ26のオン時に、フットスイッチ4がオフ状態で保持されている場合には、スタンバイ状態で保持し、その後、フットスイッチ4のオン操作時には通常の生体組織の凝固・切開時の駆動状態に切換え操作している。そして、本実施の形態では判別手段39は、スタンバイ状態で出力電力Wの検出値が第1の設定値W1を越えた状態を検出することにより、第1把持部8と第2把持部9との間に把持されている生体組織が有りと判別することができる。
さらに、判別手段39によって生体組織が有りと判別された際に、CPU32は出力電力Wの検出値が第1の設定値W1を越えた後の時間をカウントし、予め設定された設定時間Twait以下で、フットスイッチ4がオン操作された場合に出力電力制御手段35を通常の駆動状態に切換え操作する出力開始制御を行う。このとき、出力電力Wの検出値が第1の設定値W1を越えた後の時間が設定時間Twaitを越えてもフットスイッチ4がオン操作されない場合には、出力電力制御手段35をスタンバイ状態で保持する。これにより、図5中の点線の特性曲線Bに示すように第1把持部8と第2把持部9との間に生体組織が把持されていない状態で通常の生体組織の凝固・切開時の駆動状態が開始され、不要な電力が出力されることを防止することができる。その結果、機器の劣化を防止することができる。
また、判別手段39によって生体組織が有りと判別されない場合にはフットスイッチ4がオン操作されても通常の生体組織の凝固・切開時の駆動状態が開始されないように制御することもできる。この場合も同様に不要な電力の出力を防止することができ、機器の劣化を防止することができる。
また、通常の生体組織の凝固・切開時の駆動状態で出力電力Wの検出値が第2の設定値W2を下回った状態を検出することにより、第1把持部8と第2把持部9との間に把持されている生体組織の加熱処置終了状態と判別手段39が判別することができる。そして、判別手段39によって生体組織の加熱処置終了状態と判別された際に、CPU32は出力電力Wの検出値が第2の設定値W2を下回る状態が予め設定された任意の設定時間T2 以上続いた状態を検出した図5のP7時点で、出力電力制御手段35による通常の生体組織の凝固・切開時の駆動状態の出力を停止する出力停止制御を行う。これにより、患者に電流を流すことなく、通常の生体組織の凝固・切開時の駆動状態の出力の自動停止を行なうことができる。そのため、出力停止時に凝固が完了する前に通常の生体組織の凝固・切開時の駆動状態の出力を停止することを防止することができる。さらに、出力停止時に凝固が完了した後も通常の生体組織の凝固・切開時の駆動状態が継続されることも確実に防止できるので、消費電力の低減を図ることができる。
また、図3(D)は、第1の実施の形態(図1乃至図3(A)〜(C)、および図4乃至図8参照)の熱凝固切開鉗子2の発熱部16の変形例を示すものである。本変形例は、第1の実施の形態の熱凝固切開鉗子2の発熱部16に代えて凝固用の発熱部41を設けたものである。この凝固用の処置部41には、第1把持部8における第2把持部9との対向面に、平板状の伝熱板42が設けられている。この伝熱板42は下面側(第2把持部9との対向面)が露出され、上面側には第1の実施の形態と同様の発熱素子17a,17b,17cが装着されている。そして、本変形例でも、第1の実施の形態の熱凝固切開鉗子2と同様の作用効果を得ることができることは勿論である。
また、図9は、第1の実施の形態(図1乃至図3(A)〜(C)、および図4乃至図8参照)の熱凝固切開鉗子2による凝固切開時の出力を停止する制御(図7参照)の変形例を説明するためのフローチャートである。
すなわち、本変形例では、ステップS12までは第1の実施の形態と同様の動作となる。本変形例では、ステップS12から次のステップS31に進む。このステップS31では、図5に示すようにΔWが任意の電力設定値Wsより大きいか、否かが判断される。ここで、ΔWは、生体組織の加熱処置の終了時に出力電力Wの検出値が第2の設定値W2を下回る直前に出力電力Wの検出値が急激に変化するtn-1時点(P5時点)の検出値Wtn-1と、第2の設定値W2を下回る領域で出力電力Wの検出値が急激に変化するtn時点(P6時点)の検出値Wtnとの差である。
このステップS31で、ΔW>Wsと判別された場合には、次のステップS32に進む。なお、ステップS31で、ΔW>Wsと判別されない場合には、再びステップS11に戻される。
ステップS32では、tn、tn-1が通常の生体組織の凝固・切開時の駆動状態の出力開始からの任意時間T1 の範囲内か、否かが判断される。ここで、tn、tn-1が通常の生体組織の凝固・切開時の駆動状態の出力開始からの任意時間T1 の範囲内ではないと判断された場合には、次のステップS33に進む。なお、ステップS32で、任意時間T1 の範囲内と判断された場合には、再びステップS11に戻される。
ステップS33では、出力電力制御手段35による通常の生体組織の凝固・切開時の駆動状態の出力が停止される。その後、次のステップS34で、通常の生体組織の凝固・切開時の駆動状態の出力停止が告知される。
そこで、本変形例では、出力電力制御手段35が通常の生体組織の凝固・切開時の駆動状態で、判別手段39によって生体組織の加熱処置終了状態と判別された際に、CPU32は出力電力Wの検出値が第2の設定値W2を下回る直前に出力電力Wの検出値が急激に変化するtn-1時点の検出値Wtn-1と、第2の設定値W2を下回る領域で出力電力Wの検出値が急激に変化するtn時点の検出値Wtnとの差ΔWが任意の電力設定値Wsより大きいことを検出した時点で、出力電力制御手段35による通常の生体組織の凝固・切開時の駆動状態の出力を停止する出力停止制御を行う。これにより、患者に電流を流すことなく、通常の生体組織の凝固・切開時の駆動状態の出力の自動停止を行なうことができる。
また、図10(A),(B)は、本発明の第2の実施の形態を示すものである。本実施の形態は、手術用処置具として第1の実施の形態(図1乃至図3(A)〜(C)、および図4乃至図8参照)の熱凝固切開鉗子2に代えて内視鏡下外科手術に適した内視鏡用鉗子51を設けたものである。図10(A)に示すようにこの内視鏡用鉗子51は、細長い長尺な挿入シース部52と、この挿入シース部52の基端部に連結された操作部53と、挿入シース部52の先端に設けられた処置部54とを備えている。
操作部53は、固定ハンドル55と、この固定ハンドル55にハンドル枢支軸56を介して回動可能に取付けられた可動ハンドル57とを有する。固定ハンドル55の上端部には操作部本体58が一体に形成されている。この操作部本体58には挿入シース部52が軸回り方向に回転可能に取付けられている。
挿入シース部52は、長尺な外套管59を有する。この外套管59内には細長い棒状の駆動軸60が軸方向に進退可能に挿通されている。駆動軸60の基端側は可動ハンドル57の上端部に回動自在に連結されている。したがって、可動ハンドル57がハンドル枢支軸56を中心に回動されると、駆動軸60に操作力が作用し、この駆動軸60が軸方向に前後動する。
処置部54は、開閉可能な上下一対の(第1,第2)把持部61,62を有する。図10(B)は、処置部54の周辺部分の内部構成を示す。ここで、挿入シース部52の外套管59の先端部には把持部支持部材63が連結されている。この把持部支持部材63の先端部には下側の第2把持部62の基端部が支軸64を介して回動自在に連結されている。
さらに、第2把持部62の基端部には、支軸64との連結部よりも後方に延出される後方延出部65が設けられている。この後方延出部65には上側の第1把持部61の基端部が連結ピン66を介して回動自在に連結されている。
また、第1把持部61の基端部には、連結ピン66との連結部よりも後方に延出されるアーム状の後方延出部67が設けられている。この後方延出部67の端末部には駆動軸60の先端部が連結ピン68を介して回動自在に連結されている。これにより、可動ハンドル57を開閉操作することにより、駆動軸60を介して把持部61,62間の開閉が行われる。
また、第1,第2把持部61,62は、第1の実施の形態の熱凝固切開鉗子2における第1把持部8,第2把持部9と略同様に構成されている。すなわち、図10(B)に示すように上側の第1把持部61には、下側の第2把持部62と対向する位置に、生体組織に熱エネルギーを与える為の発熱部69が設けられている。この発熱部69は、第1の実施の形態の発熱部16(図3(A)〜(C)参照)と同様に構成されている。この発熱部69は、第1の実施の形態の3つの発熱素子17a,17b,17cと、これら3つの発熱素子17a,17b,17cの熱を伝達して生体組織を加熱処置する金属刃である伝熱板18とを有する。下側の第2把持部62には、発熱部69と対向する位置に受け部材70が設けられている。
また、第1の実施の形態と同様に3つの発熱素子17a,17b,17cのそれぞれには、電力を供給する為のリード線20a〜20cが接続されている。各リード線20a〜20cは挿入シース部52内を通して操作部53側に延出されている。
また、操作部本体58には、コード接続部71が設けられている。このコード接続部71の内端部には、各リード線20a〜20cの基端部が接続されている。さらに、コード接続部71の外端部には接続コード72の一端が接続されている。この接続コード72の他端部は、第1の実施の形態と同様に電源装置3(図1参照)に接続されている。そして、本実施の形態の発熱部69の3つの発熱素子17a,17b,17cは、第1の実施の形態と同様に、出力制御がなされる。
次に、上記構成の作用について説明する。ここでは、本実施の形態の内視鏡用鉗子51を用いて生体組織を処置する場合について説明する。まず、体壁に穿刺した図示しないトロッカー等を介して、内視鏡用鉗子51の処置部54及び挿入シース部52の先端を体腔内に導入する。
その後、可動ハンドル57を開いて第1,第2把持部61,62間を開操作し、第1,第2把持部61,62間に生体組織を位置させる。その状態で、次に、可動ハンドル57を閉方向に操作し、第1把持部61と第2把持部62との間で生体組織を把持する。
生体組織を把持したのち、フットスイッチ4(図1参照)を操作することにより、電源装置3から接続コード72、コード接続部71、及びリード線20a〜20cを介して発熱部69の3つの発熱素子17a,17b,17cに電力を供給し、発熱部69の3つの発熱素子17a,17b,17cを発熱させる。この時、第1の実施の形態と同様に出力制御を行い、生体組織の凝固切開を行う。これにより、第1の実施の形態と同様に、生体組織の凝固切開が行われる。
そこで、上記構成のものにあっては次の効果を奏する。すなわち、本実施の形態の内視鏡用鉗子51であっても、第1の実施の形態のハサミ型の熱凝固切開鉗子2と同様に、患者に電流を流すことなく、生体組織の接触状態や、乾燥状態などが検知可能であり、その結果から通常の生体組織の凝固・切開時の出力を制御できる。
さらに、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施できることは勿論である。
本発明は、血管等を含む生体組織の処置部位に熱を加えて切開、凝固、及び止血等の処置を行う手術用処置具を製造し、使用する技術分野で有効である。
2…熱凝固切開鉗子(処置具本体)、8…第1把持部、9…第2把持部、10…処置部、15…操作部、16…発熱部、32…CPU(制御手段)、35…出力電力制御手段、39…出力状態判別手段。
Claims (6)
- 処置具本体の先端部に配置され、開閉可能な一対の把持部からなる処置部と、前記処置具本体の基端部に配置され、前記把持部を開閉操作する操作部とを有し、前記把持部の少なくとも一方に前記把持部間に把持された生体組織を加熱処置する為の発熱部を設けた手術用処置具において、
前記発熱部を発熱駆動するための発熱電力を供給制御する出力電力制御手段と、
前記出力電力制御手段から前記発熱部に供給される前記出力電力を検出し、前記把持部間に把持された生体組織の有無、もしくは前記把持部間に把持された生体組織の状態の少なくとも一方を判別する判別手段と、
前記判別手段の判別結果に基づき、前記出力電力制御手段からの発熱電力の供給、または、判別結果の告知の少なくとも一方を駆動制御する制御手段と、
を具備することを特徴とする手術用処置具。 - 前記制御手段は、前記発熱部を発熱駆動するスイッチが接続され、
前記出力電力制御手段は、電源オン時に、前記発熱部の状態を検出するための微弱電力を前記発熱部に供給するスタンバイ状態とし、前記スイッチのオン操作時に前記発熱部に生体処置を行なうための発熱電力を供給する通常の駆動状態に切換え操作されることを特徴とする請求項1に記載の手術用処置具。 - 前記制御手段は、前記スタンバイ状態から前記通常の駆動状態へ切換えられる出力開始電力を検出するための出力開始電力検出用の第1の設定値W1と、前記生体組織の加熱処置を終了する終了状態検出用の第2の設定値W2とが予め設定され、
前記判別手段は、前記スタンバイ状態で前記出力電力の検出値が前記第1の設定値W1を越えた状態を検出することにより、前記把持部間に把持されている生体組織が有りと判別し、前記通常の駆動状態で前記出力電力の検出値が前記第2の設定値W2を下回った状態を検出することにより、前記把持部間に把持されている生体組織の加熱処置終了状態と判別することを特徴とする請求項2に記載の手術用処置具。 - 前記制御手段は、前記判別手段によって前記生体組織が有りと判別された際に、前記出力電力の検出値が前記第1の設定値W1を越えた後の時間をカウントし、予め設定された設定時間Twait以下で、前記スイッチがオン操作された場合に前記出力電力制御手段を前記通常の駆動状態に切換え操作する出力開始制御を行うことを特徴とする請求項3に記載の手術用処置具。
- 前記制御手段は、前記判別手段によって前記生体組織の加熱処置終了状態と判別された際に、前記出力電力の検出値が前記第2の設定値W2を下回る直前に前記出力電力の検出値が急激に変化するtn-1時点の検出値Wtn-1と、前記第2の設定値W2を下回る領域で前記出力電力の検出値が急激に変化するtn時点の検出値Wtnとの差ΔWが任意の電力設定値Wsより大きいことを検出した時点で、前記出力電力制御手段による前記通常の駆動状態の出力を停止する出力停止制御を行うことを特徴とする請求項3に記載の手術用処置具。
- 前記制御手段は、前記判別手段によって前記生体組織の加熱処置終了状態と判別された際に、前記出力電力の検出値が前記第2の設定値W2を下回る状態が予め設定された任意の設定時間以上続いた状態を検出した時点で、前記出力電力制御手段による前記通常の駆動状態の出力を停止する出力停止制御を行うことを特徴とする請求項3に記載の手術用処置具。
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