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JP2005146400A - 電極形成方法、薄膜トランジスタ、薄膜トランジスタ回路、電子デバイスおよび電子機器 - Google Patents

電極形成方法、薄膜トランジスタ、薄膜トランジスタ回路、電子デバイスおよび電子機器 Download PDF

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JP2005146400A
JP2005146400A JP2003390000A JP2003390000A JP2005146400A JP 2005146400 A JP2005146400 A JP 2005146400A JP 2003390000 A JP2003390000 A JP 2003390000A JP 2003390000 A JP2003390000 A JP 2003390000A JP 2005146400 A JP2005146400 A JP 2005146400A
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JP2003390000A
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Mitsuaki Harada
光明 原田
Takeo Kawase
健夫 川瀬
Satoshi Kimura
里至 木村
Hidemichi Furuhata
栄道 降旗
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Seiko Epson Corp
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Seiko Epson Corp
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Abstract

【課題】接触する有機層の特性が低下するのを防止し得る電極を、簡易な方法で形成することができる電極形成方法、かかる電極形成方法により形成された電極を備え、特性に優れる薄膜トランジスタ、および、この薄膜トランジスタを備える薄膜トランジスタ回路、電子デバイスおよび電子機器を提供すること。
【解決手段】本発明の電極形成方法は、主として有機材料で構成される有機層に接触する電極を形成する電極形成方法であり、前記電極を形成するための金属の金属塩と、還元剤とを含み、アルカリ金属イオンを実質的に含まないメッキ液を用いて、無電解メッキにより電極を形成することを特徴とする。還元剤としては、ヒドラジンおよび次亜燐酸アンモニウムの少なくとも一方を主成分とするもの、また、pH調整剤としては、アンモニア水、トリメチルアンモニウムハイドライドおよび硫化アンモニウムのうちの少なくとも1種を主成分とするものが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、電極形成方法、薄膜トランジスタ、薄膜トランジスタ回路、電子デバイスおよび電子機器に関するものである。
近年、半導体的な電気伝導を示す有機材料(有機半導体材料)を使用した薄膜トランジスタの開発が進められている。この薄膜トランジスタは、薄型軽量化に適すること、可撓性を有すること、材料コストが安価であること等の長所を有しており、フレキシブルディスプレイ等のスイッチング素子として期待されている。
この薄膜トランジスタとしては、基板上に、ソース電極、ドレイン電極が形成され、これら電極上に有機半導体層、ゲート絶縁層、ゲート電極がこの順に積層されたものが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特許文献1には、ゲート電極、ソース電極およびドレイン電極を、真空蒸着法を用いて形成することが開示されている。
このように、真空蒸着法を用いて、ゲート電極、ソース電極およびドレイン電極を形成するとともに、絶縁体層および有機半導体層も合わせて、真空蒸着法で形成することにより、性能の高い薄膜トランジスタを再現性よく製造することができる。
ところが、真空蒸着法では、大がかりな設備が必要であり、また成膜に要する消費エネルギーが大きく、高コストになる等の問題がある。
特開平5−55568号公報
本発明者は、前述したような問題点を解決するため、ゲート電極、ソース電極およびドレイン電極を、大気圧下で寸法精度よく形成し得る方法について鋭意検討を重ね、特に無電解メッキが有効であるとの考えに至った。
かかる考えに基づいて、本発明者は、ソース電極およびドレイン電極を無電解メッキにより形成した薄膜トランジスタを製造してみた。ところが、この薄膜トランジスタでは、ソース電極およびドレイン電極を真空蒸着法により形成した薄膜トランジスタと同等の特性を得ることが困難であった。
そこで、本発明者は、更に検討を重ねた結果、一般に使用される無電解メッキに用いられるメッキ液中には、ナトリウムイオン等のアルカリ金属イオンが多く含まれており、このアルカリ金属イオンが薄膜トランジスタの特性に悪影響を及ぼすことを見出した。
具体的には、電極を形成する際に、メッキ液中のアルカリ金属イオンが電極に取り込まれ、このアルカリ金属イオンが有機半導体層(有機層)に拡散等して、これが大きな要因となり、有機半導体層の特性を低下(変化)させることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づいてなされたものであり、その目的は、接触する有機層の特性が低下するのを防止し得る電極を、簡易な方法で形成することができる電極形成方法を提供することにある。
また、本発明の目的は、かかる電極形成方法により形成された電極を備え、特性に優れる薄膜トランジスタ、および、この薄膜トランジスタを備える薄膜トランジスタ回路、電子デバイスおよび電子機器を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の電極形成方法は、主として有機材料で構成される有機層に接触する電極を形成する電極形成方法であって、
前記電極を形成するための金属の金属塩と還元剤とを含み、アルカリ金属イオンを実質的に含まないメッキ液を用いて、無電解メッキにより前記電極を形成することを特徴とする。
これにより、簡易な方法で、接触する有機層の特性が低下するのを防止し得る電極が得られる。
本発明の電極形成方法では、前記メッキ液における前記金属塩の含有量は、1〜50g/Lであるのが好ましい。
これにより、適正な成膜速度で、メッキ膜を形成することができる。
本発明の電極形成方法では、前記還元剤は、ヒドラジンおよび次亜燐酸アンモニウムの少なくとも一方を主成分とするものであるのが好ましい。
これにより、メッキ膜の成膜速度が適正なものとなり、メッキ膜の膜厚制御が容易となる。
本発明の電極形成方法では、前記メッキ液における前記還元剤の含有量は、10〜200g/Lであるのが好ましい。
これにより、より適正な成膜速度で、メッキ膜を形成することができる。
本発明の電極形成方法では、前記メッキ液は、pH調整剤を含むのが好ましい。
これにより、無電解メッキの進行に伴って、メッキ液のpHが低下するのを防止または抑制することができ、その結果、成膜速度の低下や、メッキ膜の組成、性状の変化を効果的に防止することができる。
本発明の電極形成方法では、前記pH調整剤は、アンモニア水、トリメチルアンモニウムハイドライドおよび硫化アンモニウムのうちの少なくとも1種を主成分とするものであるのが好ましい。
これにより、成膜速度の低下や、メッキ膜の組成、性状の変化を、より確実に防止することができる。
本発明の電極形成方法では、前記無電解メッキを行う際の前記メッキ液のpHは、5〜12であるのが好ましい。
これにより、成膜速度が特に適正なものとなり、均一な膜厚のメッキ膜を高い精度で形成することができる。
本発明の電極形成方法では、前記無電解メッキを行う際の前記メッキ液の温度は、30〜90℃であるのが好ましい。
これにより、成膜速度が特に適正なものとなり、均一な膜厚のメッキ膜を高い精度で形成することができる。
本発明の電極形成方法では、前記電極を形成した後、前記電極の表面に存在する有機物を除去するのが好ましい。
これにより、電極と有機層との密着性の向上を図ることができる。
本発明の電極形成方法では、前記有機物の除去は、プラズマ処理により行われることが好ましい。
プラズマ処理によれば、短時間で確実に有機物の除去を行うことができる。
本発明の電極形成方法では、前記プラズマ処理は、大気圧下で行われることが好ましい。
これにより、製造コストの低減および製造時間の短縮を図ることができる。
本発明の電極形成方法では、前記プラズマ処理において、酸素、窒素、アルゴン、ヘリウム、フッ化炭素の少なくとも1種を主成分とするガスを用いて、プラズマを発生させることが好ましい。
これにより、これらのガスは、比較的真空度の低い雰囲気下または大気圧下でプラズマを発生することができるので、装置の簡易化を図ることができる。
本発明の電極形成方法では、前記有機材料は、有機半導体材料を主成分とするものであるのが好ましい。
特に、有機半導体材料は、アルカリ金属イオンの混入による特性の低下が著しいため、本発明は、かかる有機半導体材料を主材料とする有機層と接触する電極の形成に好適に適用される。
本発明の電極形成方法では、前記電極の平均厚さは、30〜300nmであるのが好ましい。
本発明によれば、このように薄い電極を寸法精度よく形成することができる。
本発明の薄膜トランジスタは、本発明の電極形成方法により形成された電極を備えることを特徴とする。
これにより、特性(スイッチング特性)に優れる薄膜トランジスタが得られる。
本発明の薄膜トランジスタは、本発明の電極形成方法により、櫛歯状、かつ、その歯が互いに噛み合うように形成されたソース電極およびドレイン電極を備えることを特徴とする。
これにより、ゲート電極と、ソース電極およびドレイン電極とが重なる部分の面積が増大するのを防止することができ、薄膜トランジスタの特性がより向上する。
本発明の薄膜トランジスタ回路は、本発明の薄膜トランジスタを備えることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い薄膜トランジスタ回路が得られる。
本発明の電子デバイスは、本発明の薄膜トランジスタ回路を備えることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い電子デバイスが得られる。
本発明の電子機器は、本発明の電子デバイスを備えることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い電子機器が得られる。
以下、本発明の電極形成方法、薄膜トランジスタ、薄膜トランジスタ回路、電子デバイスおよび電子機器の好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
<薄膜トランジスタおよびその製造方法>
まず、本発明の電極形成方法を適用して製造される薄膜トランジスタの構成およびその製造方法について説明する。
<<薄膜トランジスタの第1構成>>
まず、本発明の電極形成方法を適用して製造される薄膜トランジスタの第1構成について説明する。
図1は、第1構成の薄膜トランジスタを示す図であり、(a)は縦断面図、(b)は平面図である。なお、以下の説明では、図1(a)中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
図1に示す薄膜トランジスタ1は、基板2上に設けられており、ソース電極3およびドレイン電極4と、有機半導体層(有機層)5と、ゲート絶縁層6と、ゲート電極7とが、この順で基板2側から積層されて構成されている。
具体的には、薄膜トランジスタ1は、基板2上に、ソース電極3およびドレイン電極4が分離して設けられ、これら電極3、4を覆うように有機半導体層5が設けられている。さらに有機半導体層5上には、ゲート絶縁層6が設けられ、さらにこの上に、少なくともソース電極3とドレイン電極4の間の領域に重なるようにゲート電極7が設けられている。
この薄膜トランジスタ1では、有機半導体層5のうち、ソース電極3とドレイン電極4との間の領域が、キャリアが移動するチャネル領域51となっている。以下、このチャネル領域51において、キャリアの移動方向の長さ、すなわちソース電極3とドレイン電極4との間の距離をチャネル長L、チャネル長L方向と直交する方向の長さをチャネル幅Wと言う。
このような薄膜トランジスタ1は、ソース電極3およびドレイン電極4が、ゲート絶縁層6を介してゲート電極7よりも基板2側に設けられた構成の薄膜トランジスタ、すなわち、トップゲート構造の薄膜トランジスタである。
以下、薄膜トランジスタ1を構成する各部について、順次説明する。
基板2は、薄膜トランジスタ1を構成する各層(各部)を支持するものである。基板2には、例えば、ガラス基板、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)等で構成されるプラスチック基板(樹脂基板)、石英基板、シリコン基板、ガリウム砒素基板等を用いることができる。薄膜トランジスタ1に可撓性を付与する場合には、基板2には、樹脂基板が選択される。
この基板2上には、下地層が設けられていてもよい。下地層としては、例えば、基板2表面からのイオンの拡散を防止する目的、ソース電極3およびドレイン電極4と、基板2との密着性(接合性)を向上させる目的等により設けられる。
下地層の構成材料としては、特に限定されないが、基板2にガラス基板を用いる場合には、酸化珪素(SiO)、窒化珪素(SiN)等が好適に用いられる。
基板2上には、ソース電極3およびドレイン電極4が、チャネル長L方向に沿って、所定距離離間して並設されている。
これらのソース電極3およびドレイン電極4の構成材料は、後述する無電解メッキによって成膜し得る材料が用いられる。
具体的には、ソース電極3およびドレイン電極4の構成材料としては、それぞれ、Ni、Cu、Co、Au、Pdまたはこれらを含む合金を主とするものが好適に用いられる。これらの金属材料を用いて、ソース電極3およびドレイン電極4を形成することにより、薄膜トランジスタ1の特性をより向上させることができる。
ソース電極3およびドレイン電極4の厚さ(平均)は、特に限定されないが、それぞれ、30〜300nm程度であるのが好ましく、50〜150nm程度であるのがより好ましい。本発明の電極形成方法によれば、このように薄い電極を寸法精度よく形成することができる。
ソース電極3とドレイン電極4との間の距離(離間距離)、すなわち、チャネル長Lは、2〜30μm程度であるのが好ましく、5〜20μm程度であるのがより好ましい。チャネル長Lを前記下限値より小さくすると、得られた薄膜トランジスタ1同士でチャネル長に誤差が生じ、特性(トランジスタ特性)がばらつくおそれがある。一方、チャネル長Lを前記上限値より大きくすると、しきい電圧の絶対値が大きくなるとともに、ドレイン電流の値が小さくなり、薄膜トランジスタ1の特性が不十分となるおそれがある。
チャネル幅Wは、0.1〜5mm程度であるのが好ましく、0.5〜3mm程度であるのがより好ましい。チャネル幅Wを前記下限値より小さくすると、ドレイン電流の値が小さくなり、薄膜トランジスタ1の特性が不十分となるおそれがある。一方、チャネル幅Wを前記上限値より大きくすると、薄膜トランジスタ1が大型化してしまうとともに、寄生容量の増大や、ゲート絶縁層6を介したゲート電極7へのリーク電流の増大を招くおそれがある。
また、基板2上には、ソース電極3およびドレイン電極4を覆うように、有機半導体層5が設けられている。
有機半導体層5は、有機半導体材料(半導体的な電気伝導を示す有機材料)を主材料として構成されている。
この有機半導体層5は、少なくともチャネル領域51においてチャネル長L方向とほぼ平行となるように配向しているのが好ましい。これにより、チャネル領域51におけるキャリア移動度が高いものとなり、その結果、薄膜トランジスタ1は、その作動速度がより速いものとなる。
有機半導体材料としては、例えば、ナフタレン、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、ヘキサセン、フタロシアニン、ペリレン、ヒドラゾン、トリフェニルメタン、ジフェニルメタン、スチルベン、アリールビニル、ピラゾリン、トリフェニルアミン、トリアリールアミン、オリゴチオフェン、フタロシアニンまたはこれらの誘導体のような低分子の有機半導体材料や、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルピレン、ポリビニルアントラセン、ポリチオフェン、ポリヘキシルチオフェン、ポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリチニレンビニレン、ポリアリールアミン、ピレンホルムアルデヒド樹脂、エチルカルバゾールホルムアルデヒド樹脂、フルオレン−ビチオフェン共重合体、フルオレン−アリールアミン共重合体またはこれらの誘導体のような高分子の有機半導体材料(共役系高分子材料)が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、特に、高分子の有機半導体材料(共役系高分子材料)を主とするものを用いるのが好ましい。共役系高分子材料は、その特有な電子雲の広がりにより、キャリアの移動能が特に高い。
高分子の有機半導体材料は、簡易な方法で成膜することができるとともに、比較的容易に配向させることができる。また、このうち、空気中で酸化され難く、安定であること等の理由から、高分子の有機半導体材料(共役系高分子材料)としては、フルオレン−ビチオフェン共重合体、ポリアリールアミンまたはこれらの誘導体のうちの少なくとも1種を主成分とするものを用いるのが特に好ましい。
また、高分子の有機半導体材料を主材料として構成される有機半導体層5は、薄型化・軽量化が可能であり、可撓性にも優れるため、フレキシブルディスプレイのスイッチング素子等として用いられる薄膜トランジスタへの適用に適している。
有機半導体層5の厚さ(平均)は、0.1〜1000nm程度であるのが好ましく、1〜500nm程度であるのがより好ましく、10〜100nm程度であるのがさらに好ましい。
なお、有機半導体層5は、ソース電極3およびドレイン電極4を覆うように設けられる構成のものに限定されず、少なくともソース電極3とドレイン電極4との間の領域(チャネル領域51)に設けられていればよい。
有機半導体層5上には、ゲート絶縁層6が設けられている。
このゲート絶縁層6は、ソース電極3およびドレイン電極4に対してゲート電極7を絶縁するものである。
ゲート絶縁層6は、主として有機材料(特に有機高分子材料)で構成されているのが好ましい。有機高分子材料を主材料とするゲート絶縁層6は、その形成が容易であるとともに、有機半導体層5との密着性の向上を図ることもできる。
このような有機高分子材料としては、例えば、ポリスチレン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリビニルフェニレン、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)のようなアクリル系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のようなフッ素系樹脂、ポリビニルフェノールあるいはノボラック樹脂のようなフェノール系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブテンなどのオレフィン系樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
ゲート絶縁層6の厚さ(平均)は、特に限定されないが、10〜5000nm程度であるのが好ましく、100〜1000nm程度であるのがより好ましい。ゲート絶縁層6の厚さを前記範囲とすることにより、ソース電極3およびドレイン電極4とゲート電極7とを確実に絶縁しつつ、薄膜トランジスタ1が大型化すること(特に、厚さが増大すること)を防止することができる。
なお、ゲート絶縁層6は、単層構成のものに限定されず、複数層の積層構成のものであってもよい。
また、ゲート絶縁層6の構成材料には、例えば、SiO等の無機絶縁材料を用いることもできる。ポリシリケート、ポリシロキサン、ポリシラザンのような溶液を塗布して、塗布膜を酸素、または水蒸気の存在下で加熱することによって、溶液材料からSiOを得ることができる。また、金属アルコキシド溶液を塗布した後、これを酸素雰囲気で加熱することによって無機絶縁材料を得る(ゾルゲル法として知られる)ことができる。
ゲート絶縁層6上には、ゲート電極7が設けられている。
ゲート電極7の構成材料としては、例えば、Pd、Pt、Au、W、Ta、Mo、Al、Cr、Ti、Cuまたはこれらを含む合金等の金属材料、ITO、FTO、ATO、SnO等の導電性酸化物、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレン等の炭素材料、ポリアセチレン、ポリピロール、PEDOT(poly−ethylenedioxythiophene)のようなポリチオフェン、ポリアニリン、ポリ(p−フェニレン)、ポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリフルオレン、ポリカルバゾール、ポリシランまたはこれらの誘導体等の導電性高分子材料等が挙げられ、通常塩化鉄、ヨウ素、強酸、有機酸、ポリスチレンサルフォニック酸などの高分子でドープされ導電性を付与された状態で用いられる。さらに、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
ゲート電極7の厚さ(平均)は、特に限定されないが、0.1〜5000nm程度であるのが好ましく、1〜5000nm程度であるのがより好ましく、10〜5000nm程度であるのがさらに好ましい。
以上のような薄膜トランジスタ1は、ゲート電極7に印加する電圧を変化させることにより、ソース電極3とドレイン電極4との間に流れる電流量が制御される。
すなわち、ゲート電極7に電圧が印加されていないOFF状態では、ソース電極3とドレイン電極4との間に電圧を印加しても、有機半導体層5中にほとんどキャリアが存在しないため、微少な電流しか流れない。一方、ゲート電極7に電圧が印加されているON状態では、有機半導体層5のゲート絶縁層6に面した部分に電荷が誘起され、チャネル領域51にキャリアの流路が形成される。この状態でソース電極3とドレイン電極4との間に電圧を印加すると、チャネル領域51を通って電流が流れる。
このような薄膜トランジスタ1は、例えば、次のようにして製造される。
以下、薄膜トランジスタ1の製造方法について、第1および第2製造方法について、それぞれ説明する。
<<第1製造方法>>
まず、図1に示す薄膜トランジスタ1の第1製造方法について説明する。
図2〜図4は、それぞれ、図1に示す薄膜トランジスタの第1製造方法を説明するための図(縦断面図)である。なお、以下の説明では、図2〜図4中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
薄膜トランジスタ1の第1製造方法は、[A1]ソース電極およびドレイン電極形成工程と、[A2]有機物除去工程と、[A3]有機半導体層形成工程と、[A4]ゲート絶縁層形成工程と、[A5]ゲート電極形成工程とを有している。以下、これらの各工程について、順次説明する。
[A1]ソース電極およびドレイン電極形成工程
[A1−I] まず、図2(a)に示すような基板2を用意し、この基板2を、例えば、水(純水等)、有機溶媒等を単独または適宜組み合わせて洗浄する。これにより、基板2の水に対する濡れ性が向上し、以下に示す各種処理液が接触し易い状態になる。
なお、基板2としてポリイミド等の樹脂基板を用いる場合には、本工程[A1−I](工程[A1])に先立って、基板2のソース電極3およびドレイン電極4を形成する面に、これらの密着性を向上させるための密着性向上処理を施しておくのが好ましい。
この密着性向上処理(粗面加工)は、基板2の表面をエッチング液によりエッチング処理した後、還元剤を含む処理液による処理することにより行う。
エッチング液には、例えばCrO、MnO等の遷移金属酸化物と、硫酸、塩酸等の無機酸とを含む液を用いることができる。
一方、処理液に用いる還元剤としては、特に限定されないが、アルカリ金属元素を実質的に含まないものを用いるのが好ましい。これにより、基板2の表面にアルカリ金属イオンが取り込まれることがないので、後工程で形成される有機半導体層5へアルカリ金属イオンが拡散(混入)することが防止され、その結果、有機半導体層5の特性の低下を防止することができる。
このような還元剤としては、亜硫酸アンモニウム水和物、次亜隣酸アンモニウムのようなアンモニウム化合物、ヒドラジン等が挙げられるが、これらの中でも、アンモニウム化合物を主成分とするものが好ましく、亜硫酸アンモニウム水和物を主成分とするものがより好ましい。アンモニウム化合物(特に、亜硫酸アンモニウム水和物)は、還元作用に優れることから好ましい。
[A1−II] 次に、基板2に、メッキ膜8を形成するための前処理を行う。
この前処理は、例えば、カチオン性界面活性剤またはアニオン性界面活性剤を含む溶液(界面活性剤溶液)を基板2に接触させることにより行う。これにより、基板2表面にカチオン性界面活性剤またはアニオン性界面活性剤を付着させる。
基板2の表面は、カチオン性界面活性剤が付着することによりプラスに帯電し、アニオン性界面活性剤が付着することによりマイナスに帯電する。これらの帯電に対して、無電解メッキで用いる触媒の帯電極性が反対である場合、触媒が吸着し易いようになり、結果として、形成されるメッキ膜8(ソース電極3およびドレイン電極4)と基板2との密着性が向上する。
界面活性剤溶液を基板2に接触させる方法としては、例えば、界面活性剤溶液中に基板2を浸漬させる方法(浸漬法)、界面活性剤溶液を基板2にシャワー(噴霧)する方法等が挙げられるが、特に、浸漬法を用いるのが好ましい、浸漬法によれば、大量の基板2を容易に処理することができる。
このように、液体を基板2に接触させる方法には、各種方法があるが、以下の各工程では、液体を接触させる方法として、浸漬法を用いる場合を代表に説明する。
カチオン性界面活性剤としては、例えば、塩化アルキルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ステアリン酸等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
処理に際する界面活性剤溶液の温度は、0〜70℃程度であるのが好ましく、10〜40℃程度であるのがより好ましい。
また、界面活性剤溶液中での基板2の処理時間は、10〜90秒程度であるのが好ましく、30〜60秒程度であるのがより好ましい。
このようにして、前処理が施された基板2を、例えば、純水(超純水)、イオン交換水、蒸留水、RO水等を用いて洗浄する。
[A1−III] 次に、基板2の表面に、触媒を吸着させる。
触媒としては、Au、Ag、Pd、Pt等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
このうち、触媒としてPdを用いる場合には、Sn−Pd等のPd合金のコロイド液、または塩化パラジウム等のイオン系Pd触媒の溶液中に、基板2を浸漬することにより、Pd合金、またはイオン系Pd触媒を基板2の表面に吸着させる。その後、触媒に関与しない元素を除去することにより、Pdを基板2の表面に露出させる。
例えば、Sn−Pdコロイド液を用いる場合には、基板2をコロイド液に浸漬した後、酸溶液に浸漬する。これにより、Pdに配位しているSnが溶解して除去され、基板2の表面にPdが露出した状態になる。
酸溶液としては、例えば、HBF等の酸と、ブドウ糖等の還元剤とを含む溶液や、これに、さらに硫酸を添加した溶液等を用いることができる。
処理に際する触媒を含む溶液の温度は、0〜70℃程度であるのが好ましく、10〜40℃程度であるのがより好ましい。
触媒を含む溶液中での基板2の処理時間は、10秒〜5分程度であるのが好ましく、20秒〜3分程度であるのがより好ましい。
一方、処理に際する酸溶液の温度は、0〜70℃程度であるのが好ましく、10〜40℃程度であるのがより好ましい。
酸溶液中での基板2の処理時間は、10秒〜5分程度であるのが好ましく、30秒〜3分程度であるのがより好ましい。
このようにして、触媒を付着(吸着)させた基板2を、例えば、純水(超純水)、イオン交換水、蒸留水、RO水等を用いて洗浄する。
[A1−IV] 次に、図2(b)に示すように、基板2をメッキ液10に浸漬し、基板2の表面に金属元素(金属単体)を析出させ、メッキ膜8を形成する。
ここで、本発明では、無電解メッキに用いるメッキ液10として、メッキ膜8(ソース電極3およびドレイン電極4)を形成するための金属の金属塩と、還元剤とを含み、アルカリ金属イオンを実質的に含まないものを用いる。
すなわち、メッキ液10は、少なくとも金属塩および還元剤を溶媒に溶解して調製するが、その組成物として、アルカリ金属を構成元素として含まないものを用いる。
これにより、形成されるメッキ膜8にアルカリ金属イオンが混入するのが防止される。その結果、後工程で形成される有機半導体層5へアルカリ金属イオンが拡散(混入)することが防止され、有機半導体層5の特性の低下を防止することができる。
金属塩としては、例えば、硫酸塩、硝酸塩等が好適に用いられる。
還元剤としては、例えば、ヒドラジン、次亜隣酸アンモニウム等が挙げられるが、これらの中でも、ヒドラジンおよび次亜隣酸アンモニウムの少なくとも一方を主成分とするものが好ましい。適切なメッキ液温度、メッキ液pHの下で、還元剤としてこれらのものを用いることにより、メッキ膜8の成膜速度が適正なものとなり、ソース電極3およびドレイン電極4において求められる最適な膜厚範囲に、容易に膜厚を制御できるようになる。また、形成されるメッキ膜8も、均一な膜厚、かつ、良好な表面性を有する(膜表面モフォロジーが高い)ものとなる。
メッキ液10における金属塩の含有量(溶媒への金属塩の添加量)は、1〜50g/L程度であるのが好ましく、5〜25g/L程度であるのがより好ましい。金属塩の含有量が少な過ぎると、メッキ膜8を形成するのに長時間を要するおそれがある。一方、金属塩の含有量を前記上限値を超えて多くしても、それ以上の効果の増大が期待できない。
また、メッキ液10における還元剤の含有量(溶媒への還元剤の添加量)は、10〜200g/L程度であるのが好ましく、50〜150g/L程度であるのがより好ましい。還元剤の含有量が少な過ぎると、還元剤の種類等によっては、金属イオンの効率のよい還元が困難になるおそれがある。一方、還元剤の含有量を前記上限値を超えて多くしても、それ以上の効果の増大が期待できない。
このようなメッキ液10には、さらにpH調整剤(pH緩衝剤)を混合(添加)するのが好ましい。これにより、無電解メッキの進行に伴って、メッキ液10のpHが低下するのを防止または抑制することができ、その結果、成膜速度の低下や、メッキ膜8の組成、性状の変化を効果的に防止することができる。
このpH調整剤としては、各種のものが挙げられるが、アンモニア水、トリメチルアンモニウムハイドライドおよび硫化アンモニウムのうちの少なくとも1種を主成分とするものであることが好ましい。これらのものは、緩衝作用に優れるため、これらのものをpH調整剤として用いることにより、前記効果がより顕著に発揮される。
以上のようなメッキ液10に、触媒を吸着させた状態の基板2を浸漬すると、触媒を核として無電解メッキ反応が促進され、メッキ膜8が形成される。
処理に際するメッキ液10のpHは、5〜12程度であるのが好ましく、6〜10程度であるのがより好ましい。
処理に際するメッキ液10の温度は、30〜90℃程度であるのが好ましく、40〜80℃程度であるのがより好ましい。
メッキ液10中での基板2の処理時間は、10秒〜5分程度であるのが好ましく、20秒〜3分程度であるのがより好ましい。
メッキ液10のpH、温度、メッキ液10による処理時間を、それぞれ前記範囲とすることにより、成膜速度が特に適正なものとなり、均一な膜厚のメッキ膜8を高い精度で形成することができる。
なお、作業温度(メッキ液の温度)、作業時間(メッキ時間)、メッキ液の量、メッキ液のpH、メッキ回数(ターン数)等のメッキ条件を設定することにより、形成されるメッキ膜8の厚さを調整することができる。
また、メッキ液10中には、例えば、錯化剤、安定化剤等の添加物を、適宜添加するようにしてもよい。
錯化剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸、酢酸のようなカルボン酸類、酒石酸、クエン酸のようなオキシカルボン酸類、グリシンのようなアミノカルボン酸類、トリエタノールアミンのようなアミン類、グリセリン、ソルビトールのような多価アルコール類等が挙げられる。
安定化剤としては、例えば、2,2’−ビピリジル、シアン化合物、フェロシアン化合物、フェナントロリン、チオ尿素、メルカプトベンゾチアゾール、チオグリコール酸等が挙げられる。
このようにして、メッキ膜8が形成された基板2を、例えば、純水(超純水)、イオン交換水、蒸留水、RO水等を用いて洗浄する。
[A1−V] 次に、このメッキ膜8上に、ソース電極3およびドレイン電極4に対応する形状のレジスト層9を形成する。
まず、図2(c)に示すように、メッキ膜8上に、レジスト材料9’を塗布(供給)する。次いで、ソース電極3およびドレイン電極4の形状に対応するフォトマスクを介して露光した後、現像液で現像する。これにより、図3(d)に示すように、ソース電極3およびドレイン電極4に対応する形状にパターニングされたレジスト層9が得られる。
[A1−VI] 次に、このレジスト層9をマスクとして、図3(e)に示すように、メッキ膜8の不要部分をエッチングにより除去する。
このエッチングには、プラズマエッチング、リアクティブエッチング、ビームエッチング、光アシストエッチング等の物理的エッチング法、ウェットエッチング等の化学的エッチング法等のうち1種または2種以上を組み合わせて行うことができる。このうち、ウェットエッチングを用いるのが好ましい。これにより、真空装置等の大がかりな装置を用いずに、簡易な装置および工程でエッチングを行うことができる。
ウェットエッチングに用いるエッチング液としては、例えば、塩化第二鉄を含む溶液、硫酸や硝酸、酢酸を含む溶液等が挙げられる。
[A1−VII] 次に、レジスト層9を除去することにより、図3(f)に示すようなソース電極3およびドレイン電極4が得られる。
このレジスト層9の除去には、好ましくはレジスト剥離液が用いられるが、その他、例えば、前述の物理的エッチング法を用いることもできる。
以上のように、フォトリソグラフィー法とエッチングとを組み合わせて用いることにより、寸法精度の高いソース電極3およびドレイン電極4を、容易かつ確実に形成することができる。
したがって、ソース電極3とドレイン電極4との間の距離(チャネル長L)を比較的短く設定することが可能となり、これにより、しきい電圧の絶対値が低く、またドレイン電流の大きい、すなわちスイッチング素子としての特性に優れた薄膜トランジスタ1を得ることができる。
なお、フォトリソグラフィー法において用いるレジスト材料は、ネガ型のレジスト材料およびポジ型のレジスト材料のいずれであってもよい。
[A2]有機物除去工程
次に、ソース電極3およびドレイン電極4が形成された基板2を、例えば、水(純水等)、有機溶媒等を単独または適宜組み合わせて洗浄する。
その後、図4(g)に示すように、基板2の有機半導体層5を形成する面側に存在する有機物を除去する。これにより、後工程で形成される有機半導体層5と、ソース電極3およびドレイン電極4間の界面のキャリアに対する障壁が除去され、薄膜トランジスタ1の特性の向上を図ることができる。
この有機物の除去する方法(除去方法)としては、例えば、プラズマ処理、オゾン水での処理、酸・アルカリによるエッチング、機械的な表面層除去、UV(特にディープUV)照射等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、有機物の除去方法としては、プラズマ処理が好ましい。プラズマ処理によれば、短時間で確実に有機物の除去を行うことができる。
プラズマ処理を行う場合、減圧手段およびプラズマ発生手段を有するチャンバー内に基板2を搬入し、減圧状態となされたチャンバー内でプラズマを発生させることにより処理を行ってもよく、プラズマの噴出口を有するヘッドを使用し、基板表面に向けてプラズマを噴出させることで処理を行ってもよい。
後者の方法によれば、大気圧下でプラズマ処理(大気圧プラズマ処理)を行うことができるため、チャンバーや減圧手段等の使用を不要にでき、製造コストの低減および製造時間の短縮を図ることができ有利である。
大気圧プラズマ処理を用いる場合、その条件は、例えば、ガス流量が10〜300sccm程度、RFパワーが0.005〜0.2W/cm程度で行われる。
プラズマ発生に用いるガスとしては、特に限定されないが、酸素、窒素、アルゴン、ヘリウム、フッ化炭素の少なくとも1種を主成分とするものを用いるのが好ましい。アルゴンまたはヘリウムを主成分に混合することによって、比較的真空度の低い雰囲気下または大気圧下でプラズマを発生することができるので、装置の簡易化を図ることができる。
なお、本工程[A2]は、必要に応じて、省略することもできる。
[A3]有機半導体層形成工程
次に、図4(h)に示すように、ソース電極3およびドレイン電極4が形成された基板2上に、ソース電極3およびドレイン電極4を覆うように、有機半導体層5を形成する。
このとき、ソース電極3とドレイン電極4との間(ゲート電極7に対応する領域)には、チャネル領域51が形成される。
有機半導体層5は、有機高分子材料またはその前駆体を含む溶液を、例えば、塗布法を用いて、基板2上にソース電極3およびドレイン電極4を覆うように塗布(供給)した後、必要に応じて、この塗膜に対して後処理(例えば加熱、赤外線の照射、超音波の付与等)を施すことにより形成することができる。
ここで、塗布法としては、例えば、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェット法、マイクロコンタクトプリンティング法等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、有機半導体層5の形成領域は、図示の構成に限定されず、有機半導体層5は、ソース電極3とドレイン電極4との間の領域(チャネル領域51)にのみ形成してもよい。これにより、同一基板上に、複数の薄膜トランジスタ1(素子)を並設する場合に、各素子の有機半導体層5を独立して形成することにより、リーク電流、各素子間のクロストークを抑えることができる。また、有機半導体材料の使用量を削減することができ、製造コストの削減を図ることもできる。チャネル領域51にのみ有機半導体層5を形成する際、インクジェット法は非接触で行なえる点で特に適している。また、必要な解像度も5〜100μmで、インクジェット法の解像度に適合している。
この場合、有機半導体材料を溶解する溶媒には、例えば、硝酸、硫酸、アンモニア、過酸化水素、水、二硫化炭素、四塩化炭素、エチレンカーボネイト等の無機溶媒や、メチルエチルケトン(MEK)、アセトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルイソプロピルケトン(MIPK)、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール(DEG)、グリセリン等のアルコール系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン(DME)、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、テトラヒドロピラン(THP)、アニソール、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)、ジエチレングリコールエチルエーテル(カルビトール)等のエーテル系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、フェニルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒、トルエン、キシレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素系溶媒、ピリジン、ピラジン、フラン、ピロール、チオフェン、メチルピロリドン等の芳香族複素環化合物系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)等のアミド系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化合物系溶媒、酢酸エチル、酢酸メチル、ギ酸エチル等のエステル系溶媒、ジメチルスルホキシド(DMSO)、スルホラン等の硫黄化合物系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル、アクリロニトリル等のニトリル系溶媒、ギ酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸系溶媒のような各種有機溶媒、または、これらを含む混合溶媒等を用いることができる。
有機半導体材料は、芳香族炭化水素基、複素環基などの共役系を含むため、一般的に芳香族炭化水素系溶媒に溶けやすい。トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン、シクロヘキシルベンゼンなどが特に適する溶媒である。
なお、有機半導体材料として低分子のものを用いる場合には、有機半導体層5は、例えば、真空蒸着法等を用いて形成することもできる。
[A4]ゲート絶縁層形成工程
次に、図4(i)に示すように、有機半導体層5上に、ゲート絶縁層6を形成する。
ゲート絶縁層6は、例えば、前記有機半導体層5と同様にして形成することができる。
なお、塗布法を用いるに際し、有機半導体層5が可溶な有機半導体材料で構成されている場合には、絶縁材料用の溶媒が、有機半導体層5を膨潤させたり、溶解しないものを選択する必要がある。先に述べた通り、有機半導体材料は芳香族炭化水素系溶媒に溶けやすいので、絶縁材料を塗布する際には、これを避けることがより望ましい。つまり、水系溶媒、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、フッ素系溶媒を用いることが望ましい。
[A5]ゲート電極形成工程
次に、図4(j)に示すように、ゲート絶縁層6上に、ゲート電極7を形成する。
例えば、ゲート電極7の導電性材料(電極材料)として有機高分子材料を用いる場合には、ゲート電極7は、前記有機半導体層5と同様にして形成することができる。
また、電極材料として各種金属材料を用いる場合には、ゲート電極7は、例えば、次のようにしてを形成することができる。
まず、ゲート絶縁層6上に金属膜(金属層)を形成する。これは、例えば、プラズマCVD、熱CVD、レーザーCVDのような化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング(低温スパッタリング)、イオンプレーティング等の乾式メッキ法、電解メッキ、浸漬メッキ、無電解メッキ等の湿式メッキ法、溶射法、ゾル・ゲル法、MOD法、金属箔の接合等により形成することができる。
この金属膜上に、レジスト材料を塗布(供給)する。次いで、ゲート電極7の形状に対応するフォトマスクを介して露光した後、現像液で現像する。これにより、レジスト材料が、ゲート電極7に対応する形状にパターニングされたレジスト層が得られる。
このレジスト層をマスクとして、金属膜の不要部分をエッチングにより除去する。このエッチングには、前記ソース電極3およびドレイン電極4で挙げたのと同様の方法を用いることができる。
その後、例えばレジスト剥離液を用いて、レジスト層を除去することにより、ゲート電極7が得られる。
以上のような工程を経て、図1に示す薄膜トランジスタ1が得られる。
このような製造方法では、ソース電極3およびドレイン電極4の形成方法として無電解メッキを用いるので、これらの電極3、4を、真空装置等の大がかりな装置を要せず、簡易な方法により、低コストで形成することができる。
また、この無電界メッキに用いるメッキ液10に、アルカリ金属イオンが実質的に含まないので、ソース電極3およびドレイン電極4へのアルカリ金属イオンの混入が防止され、有機半導体層5へのアルカリ金属イオンの拡散が防止される。これにより、有機半導体層5の特性の低下が防止され、その結果、スイッチング素子としての特性に優れる薄膜トランジスタ1を製造することができる。
また、前記工程[A2]の有機物除去工程を設けることにより、薄膜トランジスタ1の特性がより向上する。
さらに、各層の構成材料や、各種処理方法を適宜選択することにより、薄膜トランジスタ1を構成する全ての層を、大気圧下での湿式プロセスにより製造することができるようになり、製造コストの削減および製造時間の短縮を図ることができる。
<<第2製造方法>>
次に、図1に示す薄膜トランジスタ1の第2製造方法について説明する。
図5は、図1に示す薄膜トランジスタの第2製造方法を説明するための図(縦断面図)である。なお、以下の説明では、図5中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
以下、第2製造方法について説明するが、前記第1製造方法との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
第2製造方法では、ソース電極およびドレイン電極形成工程が異なり、それ以外は、前記第1製造方法と同様である。
[B1]ソース電極およびドレイン電極形成工程
[B1−I] まず、前記[A1−I]と同様にして、基板2の洗浄を行う。
次に、基板2の表面に、メッキ膜8を形成するための前処理(例えば、レジスト層9と基板2との密着性を向上させる処理等)を行う。
この前処理としては、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)のようなシラザン類、ジメチルクロロシランやトリメチルクロロシランのようなクロロシラン類、ジメチルジメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシランのようなアルコキシシラン類、あるいは、チタネート系カップリング剤等を用いたプライマー処理が挙げられる。
[B1−II] 次に、ソース電極3およびドレイン電極4の形成領域以外の領域に、レジスト層(マスク)9を形成する。
まず、図5(a)に示すように、基板2上に、レジスト材料9’を塗布(供給)する。次いで、ソース電極3およびドレイン電極4の形状に対応するフォトマスクを介して露光した後、現像液で現像する。これにより、図5(b)に示すように、ソース電極3およびドレイン電極4の形成領域を除いた領域に対応する形状にパターニングされたレジスト層9が得られる。
レジスト層9にはめっきが形成されず、ソース電極3およびドレイン電極4を選択的に形成するためには、次工程の金属触媒が基板上に選択的に吸着する必要がある。そのためには、ガラス(または基板)表面とレジスト層9との帯電状態の差(コントラスト)が大きいことが望ましい。基板がガラスの場合、一般的に表面はマイナスに帯電している。レジスト層9はプラスに帯電しているものが望ましい。かかるレジスト材料としては、例えば、東京応化工業社製の「PMERシリーズ」等の市販品を用いることができる。レジスト材料に帯電制御剤を添加して、プラスの帯電をより安定化させることが、より望ましい。さらに、界面活性剤を吸着することによって、帯電のコントラストを増強することも可能である。
[B1−III] 次に、基板2に、メッキ膜8を形成するための前処理を行う。
レジスト層9にはめっきが形成されず、基板2のソース電極3およびドレイン電極4を形成する部分に選択的にメッキ膜8を形成する手法を用いるための前処理として、まず基板洗浄による表面改質を行う。かかる方法としてUV照射を行う。例えば波長254〜360nmの領域のUVに大気雰囲気下で充分に照射する。次いで基板とレジストに合わせ特定の界面活性剤により基板の液中表面電位とレジストの液中表面電位に差が発生するよう調整する。例えば、基板がガラスでレジストが[B1−I]で前述の東京応化工業社製の「PMERシリーズ」の場合、アミン系アニオン性界面活性剤を用いる。
界面活性剤溶液を基板2に接触させる方法としては、例えば、界面活性剤溶液中に基板2を浸漬させる方法(浸漬法)、界面活性剤溶液を基板2にシャワー(噴霧)する方法等が挙げられるが、特に、浸漬法を用いるのが好ましい。浸漬法によれば、大量の基板2を容易に処理することができる。
処理に際する界面活性剤溶液の温度は、0〜70℃程度であるのが好ましく、10〜40℃程度であるのがより好ましい。
また、界面活性剤溶液中での基板2の処理時間は、10〜90秒程度であるのが好ましく、30〜60秒程度であるのがより好ましい。
このようにして、前処理が施された基板2を、例えば、純水(超純水)、イオン交換水、蒸留水、RO水等を用いて洗浄する。
[B1−IV] 次に、基板2のレジスト非形成部すなわち基板面の液中表面電位が金属触媒と適合していて選択的に吸着する処理を行う。
触媒としては、Au、Ag、Pd、Pt等が挙げられ、このうち例えば触媒としてPdを用いる場合には、塩化パラジウム等のイオン系Pd触媒を用い、基板2を浸漬することにより、Pd触媒を基板2の表面に吸着させる。
処理に際する触媒を含む溶液の温度は、0〜70℃程度であるのが好ましく、10〜40℃程度であるのがより好ましい。
触媒を含む溶液中での基板2の処理時間は、10秒〜5分程度であるのが好ましく、20秒〜3分程度であるのがより好ましい。
このようにして、触媒を付着(吸着)させた基板2を、例えば、純水(超純水)、イオン交換水、蒸留水、RO水等を用いて洗浄する。
[B1−V] 次に、図5(c)に示すように、レジスト層9の凹部(開口部)91内に、金属元素を析出させ、メッキ膜8を形成する。
これは、前記工程[A1−IV]と同様にして行うことができる。
その後、レジスト層9を除去する。これにより、図5(d)に示すように、ソース電極3およびドレイン電極4が形成される。
このような第2製造方法によっても、前記第1製造方法と同様の作用・効果が得られる。
また、第2製造方法では、ソース電極およびドレイン電極形成工程において、メッキ膜8のエッチング工程を省略ことができることから、製造工程の更なる簡略化を図ることができる。
また、第2製造方法では、ソース電極3およびドレイン電極4を選択的に形成することができることから、メッキ液の消費量の削減を図ることもできる。
<<薄膜トランジスタの第2構成>>
次に、本発明の電極形成方法を適用して製造される薄膜トランジスタの第2構成について説明する。
図6は、第2構成の薄膜トランジスタを示す図であり、(a)は縦断面図、(b)は平面図である。なお、以下の説明では、図6(a)中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
以下、薄膜トランジスタの第2構成およびその製造方法について説明するが、それぞれ、前記第1構成との相違点、第1および第2製造方法との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
第2構成の薄膜トランジスタ11は、ソース電極3およびドレイン電極4の形状が異なり、それ以外は、前記第1構成の薄膜トランジスタ1と同様である。
すなわち、図6に示す薄膜トランジスタ11では、ソース電極3およびドレイン電極4の双方が櫛歯状、かつ、その歯が互いに噛み合うように形成されている。
より具体的には、ソース電極3およびドレイン電極4は、それぞれ、所定間隔で並設された複数の電極指3a、4aを有し、全体として櫛歯状をなしている。そして、これらソース電極3およびドレイン電極4は、それぞれの電極指3a、4aが交互に配列するように設けられている。
また、ゲート電極7は、ゲート絶縁層6上に、電極指3a、4aが交互に配列された領域に重なるように設けられている。
この薄膜トランジスタ11では、有機半導体層5のうち、ソース電極3の各電極指3aと、ドレイン電極4の各電極指4aとの間の領域が、キャリアが移動するチャネル領域となっている。また、ソース電極3の各電極指3aと、ドレイン電極4の各電極指4aとの間の領域における、キャリアの移動方向の長さ、すなわち各電極指3a、4a間の距離がチャネル長Lに相当し、チャネル長L方向と直交する方向の長さω×電極指3aと電極指4aとの間隔(ギャップ)の数Nがチャネル幅Wとなる。
各電極指3a、4aの幅Aは、それぞれ、20μm以下であるのが好ましく、10μm以下がより好ましい。
また、チャネル長Lは、20μm以下であるのが好ましく、10μm以下がより好ましい。
チャネル幅Wは、前記第1構成と同様とすることができる。
このような薄膜トランジスタ11は、[B1]ソース電極およびドレイン電極形成工程において、メッキ膜8をパターニングするためのレジスト層9を、櫛歯状のパターンに対応して形成する以外は、前記第1製造方法と同様にして製造することができる。
また、[B1]ソース電極およびドレイン電極形成工程において、基板2に形成するレジスト層9を、櫛歯状のパターンに対応して形成する以外は、前記第2製造方法と同様にして製造することができる。
このような第2構成の薄膜トランジスタ11によっても、前記第1構成の薄膜トランジスタ1と同様の作用・効果が得られる。
ここで、一般に、薄膜トランジスタでは、ソース電極およびドレイン電極と、ゲート電極とが重なると、その重なった部分がコンデンサとして機能するようになり、重なった部分の面積が増大するのにともなって、ゲート電極の容量が大きくなって、高速に駆動することが困難になる。塗布法でゲート電極を形成する場合、その解像度の限界により、20ミクロンより小さなパターンを形成することが困難なので、従来の構造ではどうしても、この重なり面積が大きくなっていた。
これに対して、ソース電極3およびドレイン電極4とを櫛歯状に形成し、各電極指3a、4a間の領域がチャネル領域とされた薄膜トランジスタ11では、電極指3a、4aの幅Aにより、ソース電極3およびドレイン電極4と、ゲート電極7とが重なる部分の大きさが決まる。
そして、本発明では、ソース電極3およびドレイン電極4を、フォトリソグラフィー法により形成したレジスト層をマスクに用いて形成する。したがって、電極指3a、4aの幅Aは、フォトリソグラフィー法の精度に依存するが、フォトリソグラフィー法の精度は極めて高いため、狭小化することが可能である。
このため、ゲート電極7の幅を比較的大きく形成した場合でも、このゲート電極7と、ソース電極3およびドレイン電極4とが重なる部分の面積が増大するのを防止することができる。これにより、薄膜トランジスタ11では、ゲートの容量を小さく抑えることができ、その結果、良好な特性(スイッチング特性)が発揮される。
このように、本実施形態では、ゲート電極7を微細な形状に形成することを要求されないことから、その形成方法の選択の幅が広がり、ゲート電極7の形成に各種塗布法を用いた場合でも、良好な特性を有する薄膜トランジスタ11が得られる。
<電子デバイス>
次に、前述したような薄膜トランジスタ1、11を備えるアクティブマトリクス装置が組み込まれた電子デバイスについて、電気泳動表示装置を一例に説明する。
図7は、本発明の電子デバイスを電気泳動表示装置に適用した場合の実施形態を示す縦断面図、図8は、図7に示す電気泳動表示装置が備えるアクティブマトリクス装置の構成を示すブロック図である。
図7に示す電気泳動表示装置20は、基板50上に設けられたアクティブマトリクス装置(本発明の薄膜トランジスタ回路)30と、このアクティブマトリクス装置30に電気的に接続された電気泳動表示部40とで構成されている。
図8に示すように、アクティブマトリクス装置30は、互いに直交する複数のデータ線31と、複数の走査線32と、これらのデータ線31と走査線32との各交点付近に設けられた薄膜トランジスタ1、11とを有している。
そして、薄膜トランジスタ1、11が有するゲート電極7は走査線32に、ソース電極3はデータ線31に、ドレイン電極4は後述する画素電極(個別電極)41に、それぞれ接続されている。
図7に示すように、電気泳動表示部40は、基板50上に、順次積層された、画素電極41と、マイクロカプセル42と、透明電極(共通電極)43および透明基板44とを有している。
そして、マイクロカプセル42がバインダ材45により、画素電極41と透明電極43との間に固定されている。
画素電極41は、マトリクス状に、すなわち、縦横に規則正しく配列するように分割されている。
各カプセル42内には、それぞれ、特性の異なる複数種の電気泳動粒子、本実施形態では、電荷および色(色相)の異なる2種の電気泳動粒子421、422を含む電気泳動分散液420が封入されている。
このような電気泳動表示装置20では、1本あるいは複数本の走査線32に選択信号(選択電圧)を供給すると、この選択信号(選択電圧)が供給された走査線32に接続されている薄膜トランジスタ1、11がONとなる。
これにより、かかる薄膜トランジスタ1、11に接続されているデータ線31と画素電極41とは、実質的に導通する。このとき、データ線31に所望のデータ(電圧)を供給した状態であれば、このデータ(電圧)は画素電極41に供給される。
これにより、画素電極41と透明電極43との間に電界が生じ、この電界の方向、強さ、電気泳動粒子421、422の特性等に応じて、電気泳動粒子421、422は、いずれかの電極の方向に向かって電気泳動する。
一方、この状態から、走査線32への選択信号(選択電圧)の供給を停止すると、薄膜トランジスタ1、11はOFFとなり、かかる薄膜トランジスタ1、11に接続されているデータ線31と画素電極41とは非導通状態となる。
したがって、走査線32への選択信号の供給および停止、あるいは、データ線31へのデータの供給および停止を適宜組み合わせて行うことにより、電気泳動表示装置20の表示面側(透明基板44側)に、所望の画像(情報)を表示させることができる。
特に、本実施形態の電気泳動表示装置20では、電気泳動粒子421、422の色を異ならせていることにより、多階調の画像を表示することが可能となっている。
また、本実施形態の電気泳動表示装置20は、アクティブマトリクス装置30を有することにより、特定の走査線32に接続された薄膜トランジスタ1、11を選択的にON/OFFすることができるので、クロストークの問題が生じにくく、また、回路動作の高速化が可能であることから、高い品質の画像(情報)を得ることができる。
また、本実施形態の電気泳動表示装置20は、低い駆動電圧で作動するため、省電力化が可能である。
なお、本発明の電子デバイスは、このような電気泳動表示装置20への適用に限定されるものではなく、透明電極に接触する有機配向膜(有機層)を有する液晶表示装置、陽極または陰極に接触する有機EL層(有機層)を有する有機EL表示装置等に適用することもできる。
<電子機器>
このような電気泳動表示装置20は、各種電子機器に組み込むことができる。以下、電気泳動表示装置20を備える本発明の電子機器について説明する。
<<電子ペーパー>>
まず、本発明の電子機器を電子ペーパーに適用した場合の実施形態について説明する。
図9は、本発明の電子機器を電子ペーパーに適用した場合の実施形態を示す斜視図である。
この図に示す電子ペーパー600は、紙と同様の質感および柔軟性を有するリライタブルシートで構成される本体601と、表示ユニット602とを備えている。
このような電子ペーパー600では、表示ユニット602が、前述したような電気泳動表示装置20で構成されている。
<<ディスプレイ>>
次に、本発明の電子機器をディスプレイに適用した場合の実施形態について説明する。
図10は、本発明の電子機器をディスプレイに適用した場合の実施形態を示す図であり、(a)は断面図、(b)は平面図である。
この図に示すディスプレイ800は、本体部801と、この本体部801に対して着脱自在に設けられた電子ペーパー600とを備えている。なお、この電子ペーパー600は、前述したような構成、すなわち、図9に示す構成と同様のものである。
本体部801は、その側部(図中、右側)に電子ペーパー600を挿入可能な挿入口805が形成され、また、内部に二組の搬送ローラ対802a、802bが設けられている。電子ペーパー600を、挿入口805を介して本体部801内に挿入すると、電子ペーパー600は、搬送ローラ対802a、802bにより挟持された状態で本体部801に設置される。
また、本体部801の表示面側(下図(b)中、紙面手前側)には、矩形状の孔部803が形成され、この孔部803には、透明ガラス板804が嵌め込まれている。これにより、本体部801の外部から、本体部801に設置された状態の電子ペーパー600を視認することができる。すなわち、このディスプレイ800では、本体部801に設置された状態の電子ペーパー600を、透明ガラス板804において視認させることで表示面を構成している。
また、電子ペーパー600の挿入方向先端部(図中、左側)には、端子部806が設けられており、本体部801の内部には、電子ペーパー600を本体部801に設置した状態で端子部806が接続されるソケット807が設けられている。このソケット807には、コントローラー808と操作部809とが電気的に接続されている。
このようなディスプレイ800では、電子ペーパー600は、本体部801に着脱自在に設置されており、本体部801から取り外した状態で携帯して使用することもできる。
また、このようなディスプレイ800では、電子ペーパー600が、前述したような電気泳動表示装置20で構成されている。
なお、本発明の電子機器は、以上のようなものへの適用に限定されず、例えば、テレビ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、電子新聞、ワードプロセッサ、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等を挙げることができ、これらの各種電子機器の表示部に、電気泳動表示装置20を適用することが可能である。
以上、本発明の電極形成方法、薄膜トランジスタ、薄膜トランジスタ回路、電子デバイスおよび電子機器について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、前記実施形態では、薄膜トランジスタについて、トップゲート構造のものを代表に説明したが、本発明は、ボトムゲート構造の薄膜トランジスタに適用することもできる。この場合、ゲート電極の形成に、本発明の電極形成方法を適用することができる。
また、本発明の電極形成方法は、前述したような工程に、必要に応じて、1または2以上の任意の目的の工程を追加することもできる。
また、本発明の薄膜トランジスタ、薄膜トランジスタ回路、電子デバイスおよび電子機器の各部の構成は、同様の機能を発揮し得る任意のものと置換することができ、あるいは、任意の構成のものを付加することもできる。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.薄膜トランジスタの製造
以下では、特に断らない限り、水として純水を用いた。
(実施例1)
まず、平均厚さ1mmのガラス基板を用意し、水(洗浄液)を用いて洗浄した。
次に、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム(カチオン性界面活性剤)の水溶液(25℃)中に、ガラス基板を60秒間浸漬した。これにより、ガラス基板の表面に塩化ジステアリルジメチルアンモニウムを吸着させた。その後、水を用いてガラス基板を洗浄した。
次に、Sn−Pdコロイド液(25℃)中に、ガラス基板を60秒間浸漬した。これにより、ガラス基板の表面にSn−Pdを吸着させた。その後、水を用いてガラス基板を洗浄した。
次に、HBFとブドウ糖とを含む水溶液(25℃)中に、ガラス基板を60秒間浸漬した。これにより、ガラス基板の表面からSnを除去して、Pdをガラス基板の表面に露出させた。その後、水を用いてガラス基板を洗浄した。
次に、Niメッキ液(80℃、pH8.5)中に、ガラス基板を60秒間浸漬した。これにより、ガラス基板の表面に、平均厚さ100nmのNiメッキ膜を形成した。
なお、Niメッキ液は、硫酸ニッケル10gと、ヒドラジン(還元剤)100gと、硫化アンモニウム(pH調整剤)5gとを、それぞれ水1Lに溶解して調製した。
次に、このNiメッキ膜上に、フォトリソグラフィー法により、ソース電極およびドレイン電極の形状に対応するパターンのレジスト層を形成した。
なお、レジスト材料には、東京応化工業社製、「OPR800」を用いた。
次に、塩化第二鉄水溶液(25℃)中に、ガラス基板を浸漬した。これにより、レジスト層で覆われていない部分のメッキ膜を除去して、ソース電極およびドレイン電極を形成した。
なお、ソース電極とドレイン電極間との距離(チャネル長L)を20μm、チャネル幅Wを1mmとした。
次に、レジスト剥離液を用いて、レジスト層を除去した後、ソース電極およびドレイン電極が形成されたガラス基板を、水およびメタノールで、順次洗浄した。
次に、ソース電極およびドレイン電極が形成されたガラス基板に対して、大気圧下で酸素プラズマ処理(大気圧酸素プラズマ処理)を施した。
なお、大気圧プラズマ処理の条件は、RFパワー0.05W/cm、ガス流量80sccmとした。
次に、ガラス基板上に、F8T2(フルオレン−ビチオフェン共重合体)の1%wt/volトルエン溶液を、スピンコート法(2400rpm)により塗布した後、60℃×10分間で乾燥した。これにより、平均厚さ50nmの有機半導体層を形成した。
次に、有機半導体層上に、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)の5%wt/vol酢酸ブチル溶液を、スピンコート法(2400rpm)により塗布した後、60℃×10分間で乾燥した。さらに、ポリビニルフェノールの2%wt/volイソプロピルアルコール溶液を、スピンコート法(2400rpm)により塗布した後、60℃×10分間で乾燥した。これにより、平均厚さ500nmのゲート絶縁層を形成した。
次に、ゲート絶縁層上の、ソース電極とドレイン電極との間の領域に対応する部分に、PEDOT(ポリエチレンジオキシチオフェン)の水分散液(粘度(常温)5cps)を、インクジェット法(液滴1滴の量20pL)により塗布した後、80℃×10分間で乾燥した。これにより、平均厚さ100nmのゲート電極を形成した。
以上の工程により、図1に示す薄膜トランジスタを製造した。
(実施例2〜8、比較例1〜5)
還元剤の種類、pH調整剤の種類、および、プラズマ処理の有無および/または種類を、表1に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にして、図1に示す薄膜トランジスタを製造した。
(実施例9)
前記実施例1と同様にして、ソース電極、ドレイン電極、有機半導体層、ゲート絶縁層を作製した後、ゲート絶縁層上の、ソース電極とドレイン電極との間の領域に対応する部分に、Ag微粒子の水分散液(粘度(常温)6cps)を、インクジェット法(液滴1滴の量20pL)により塗布した後、大気中120℃×60分間で焼成した。これにより、平均厚さ800nmのゲート電極を形成した。
(実施例10)
前記実施例1と同様にして、ソース電極、ドレイン電極を形成した後、ガラス基板上に、ポリアリールアミンの1%wt/volトルエン溶液を、スピンコート法により塗布した後、ホットプレート上で乾燥した。これにより、平均厚さ50nmの有機半導体層を形成した。
次に、有機半導体層上に、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)の5%wt/vol酢酸ブチル溶液を、スピンコート法(2400rpm)により塗布した後、60℃×10分間で乾燥した。さらに、ポリビニルフェノールの2%wt/volイソプロピルアルコール溶液を、スピンコート法(2400rpm)により塗布した後、60℃×10分間で乾燥した。これにより、平均厚さ500nmのゲート絶縁層を形成した。
次に、ゲート絶縁層上の、ソース電極とドレイン電極との間の領域に対応する部分に、PEDOT(ポリエチレンジオキシチオフェン)の水分散液(粘度(常温)5cps)を、インクジェット法(液滴1滴の量20pL)により塗布した後、80℃×10分間で乾燥した。これにより、平均厚さ100nmのゲート電極を形成した。
以上の工程により、図1に示す薄膜トランジスタを製造した。
Figure 2005146400
2.評価
各実施例および各比較例で製造した薄膜トランジスタについて、それぞれ、しきい電圧、ゲート電圧(−40V)におけるドレイン電流の値、および、S値を測定した。
ここで、しきい電圧とは、ゲート電圧とId1/2(Id:ドレイン電流の値)との関係を表す近似式(関係式)の値が0となるときのゲート電圧であり、ドレイン電流が流れ始めるのに要するゲート電圧とみなすことができる。また、S値とは、ドレイン電流の値が1桁上昇するのに要するゲート電圧の値である。
したがって、しきい電圧の絶対値が小さく、ゲート電圧(−40V)におけるドレイン電流の値が大きく、S値が小さいもの程、良好な特性を有する薄膜トランジスタであることを意味する。
これらの値を、表2に示す。
Figure 2005146400
表2に示すように、各実施例で製造した薄膜トランジスタは、いずれも、しきい電圧の絶対値およびS値が小さく、ドレイン電流の値は大きいものであり、特性に優れるものであった。このような傾向は、プラズマ処理を行うことで、より顕著となった。
これに対して、各比較例で製造した薄膜トランジスタは、いずれも、しきい電圧の絶対値およびS値が大きく、ドレイン電流の値は小さいものであった。
なお、プラズマ処理の際に、ガス種を変更したり、複数種のガスを用いて、前記実施例と同様にして、図1に示す薄膜トランジスタを製造し、前記と同様の評価を行ったところ、前記実施例と同様の結果が得られた。
また、ガラス基板に代えて、ポリイミド基板を用いて、前述した第2製造方法に従って、図1に示す薄膜トランジスタを製造し、前記と同様の評価を行ったところ、前記実施例と同様の結果が得られた。
さらに、前記実施例と同様にして、図6に示す薄膜トランジスタを製造し、前記と同様の評価を行ったところ、前記実施例と同様の結果が得られた。
第1構成の薄膜トランジスタを示す図であり、(a)は縦断面図、(b)は平面図である。 図1に示す薄膜トランジスタの第1製造方法を説明するための図(縦断面図)である。 図1に示す薄膜トランジスタの第1製造方法を説明するための図(縦断面図)である。 図1に示す薄膜トランジスタの第1製造方法を説明するための図(縦断面図)である。 図1に示す薄膜トランジスタの第2製造方法を説明するための図(縦断面図)である。 第2構成の薄膜トランジスタを示す図であり、(a)は縦断面図、(b)は平面図である。 本発明の電子デバイスを電気泳動表示装置に適用した場合の実施形態を示す縦断面図。 図7に示す電気泳動表示装置が備えるアクティブマトリクス装置の構成を示すブロック図。 本発明の電子機器を電子ペーパーに適用した場合の実施形態を示す斜視図である。 本発明の電子機器をディスプレイに適用した場合の実施形態を示す図である。
符号の説明
1、11‥‥薄膜トランジスタ 2‥‥基板 3‥‥ソース電極 3a‥‥電極指 4‥‥ドレイン電極 4a‥‥電極指 5‥‥有機半導体層 51‥‥チャネル領域 6‥‥ゲート絶縁層 7‥‥ゲート電極 8‥‥メッキ膜 9‥‥レジスト層 91‥‥凹部 9’‥‥レジスト材料 10‥‥メッキ液 20‥‥電気泳動表示装置 30‥‥アクティブマトリクス装置 31‥‥データ線 32‥‥走査線 40‥‥電気泳動表示部 41‥‥画素電極 42‥‥マイクロカプセル 420‥‥電気泳動分散液 421、422‥‥電気泳動粒子 43‥‥透明電極 44‥‥透明基板 45‥‥バインダ材 50‥‥基板 600‥‥電子ペーパー 601‥‥本体 602‥‥表示ユニット 800‥‥ディスプレイ 801‥‥本体部 802a、802b‥‥搬送ローラ対 803‥‥孔部 804‥‥透明ガラス板 805‥‥挿入口 806‥‥端子部 807‥‥ソケット 808‥‥コントローラー 809‥‥操作部

Claims (16)

  1. 主として有機材料で構成される有機層に接触する電極を形成する電極形成方法であって、
    前記電極を形成するための金属の金属塩と還元剤とを含み、アルカリ金属イオンを実質的に含まないメッキ液を用いて、無電解メッキにより前記電極を形成することを特徴とする電極形成方法。
  2. 前記メッキ液における前記金属塩の含有量は、1〜50g/Lである請求項1に記載の電極形成方法。
  3. 前記還元剤は、ヒドラジンおよび次亜燐酸アンモニウムの少なくとも一方を主成分とするものである請求項1または2に記載の電極形成方法。
  4. 前記メッキ液における前記還元剤の含有量は、10〜200g/Lである請求項1ないし3のいずれかに記載の電極形成方法。
  5. 前記メッキ液は、pH調整剤を含む請求項1ないし4のいずれかに記載の電極形成方法。
  6. 前記pH調整剤は、アンモニア水、トリメチルアンモニウムハイドライドおよび硫化アンモニウムのうちの少なくとも1種を主成分とするものである請求項5に記載の電極形成方法。
  7. 前記無電解メッキを行う際の前記メッキ液のpHは、5〜12である請求項1ないし6のいずれかに記載の電極形成方法。
  8. 前記無電解メッキを行う際の前記メッキ液の温度は、30〜90℃である請求項1ないし7のいずれかに記載の電極形成方法。
  9. 前記電極を形成した後、前記電極の表面に存在する有機物を除去する請求項1ないし8のいずれかに記載の電極形成方法。
  10. 前記有機材料は、有機半導体材料を主成分とするものである請求項1ないし9のいずれかに記載の電極形成方法。
  11. 前記電極の平均厚さは、30〜300nmである請求項1ないし10のいずれかに記載の電極形成方法。
  12. 請求項1ないし11のいずれかに記載の電極形成方法により形成された電極を備えることを特徴とする薄膜トランジスタ。
  13. 請求項1ないし11のいずれかに記載の電極形成方法により、櫛歯状、かつ、その歯が互いに噛み合うように形成されたソース電極およびドレイン電極を備えることを特徴とする薄膜トランジスタ。
  14. 請求項12または13に記載の薄膜トランジスタを備えることを特徴とする薄膜トランジスタ回路。
  15. 請求項14に記載の薄膜トランジスタ回路を備えることを特徴とする電子デバイス。
  16. 請求項15に記載の電子デバイスを備えることを特徴とする電子機器。
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Cited By (3)

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JP2012114247A (ja) * 2010-11-25 2012-06-14 Lg Display Co Ltd 薄膜トランジスタおよび表示装置用電極基板の製造方法
JP2016051758A (ja) * 2014-08-29 2016-04-11 国立大学法人 東京大学 電極形成方法

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