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JP2005146200A - 乳酸系ポリマー組成物 - Google Patents

乳酸系ポリマー組成物 Download PDF

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JP2005146200A JP2003389021A JP2003389021A JP2005146200A JP 2005146200 A JP2005146200 A JP 2005146200A JP 2003389021 A JP2003389021 A JP 2003389021A JP 2003389021 A JP2003389021 A JP 2003389021A JP 2005146200 A JP2005146200 A JP 2005146200A
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Abstract

【課題】 滑り性、耐ブロッキング性及び透明性が良好な乳酸系ポリマー組成物、並びにそれから得られるフィルム、積層フィルムおよび延伸フィルムを提供すること。
【解決手段】 乳酸系ポリマー(A)と、(A)100重量部に対し炭素数10〜100の脂肪族アミド(B)0.1〜2重量部および耐ブロッキング剤(C)0.01〜0.5重量部とを含有する乳酸系ポリマー組成物、並びにそれから得られるフィルム、積層フィルムおよび延伸フィルム。さらに該乳酸系ポリマー組成物をマスターバッチ方式で製造する方法及びマスターバッチが提供される。
【選択図】 なし

Description

本発明は乳酸系ポリマー組成物、並びにそのフィルムに関する。更に詳しくは滑り性、耐ブロッキング性、透明性が良好で使用後、自然環境下で分解する乳酸系ポリマー組成物並びにそのフィルムに関する。
従来、プラスチック製フィルムから作られる成形物の材料としては、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート樹脂が使用されている。かかる樹脂から製造された成形物は透明性に優れているものもあるが、廃棄する際その処理方法を誤るとゴミの量を増すうえに、自然環境下では殆ど分解しないため、埋設処理すると、半永久的に地中に残留する。一方、熱可塑性樹脂で生分解性のあるポリマーとして、ポリ乳酸または乳酸とその他のヒドロキシカルボン酸のコポリマーが開発されている。これらのポリマーは、動物の体内で数カ月から1年以内に100 %生分解し、また土壌や海水中に置かれた場合、湿った環境下では数週間で分解を始め、約1年から数年で消滅し、さらに分解生成物は、人体に無害な乳酸と二酸化炭素と水になるという特性を有している。
これらの乳酸系ポリマーのフィルムは透明性、剛性に優れているものの、柔軟性が低く、またその滑り性は劣っていた。
一般的に、フィルムの表面の滑り性が悪いと、フィルムの製造時及び二次加工時の巻き取りなどの操作性が悪く、フィルムの生産性が低下したり、包装用の袋に加工された後に内容物を充填装入するときの作業性が悪化したりする問題が生じる。滑り性を改良するためにさまざまな添加剤を混合することが行われてきた。特開平8−34913にはポリ乳酸と可塑剤との混合物に特定の耐ブロッキング剤および滑剤を含む組成物が開示されている。特開2002−146064号公報では、ポリ乳酸系重合体のガラス転移温度がTg(℃)、融点がTm1(℃)で、耐ブロッキング剤の融点がTm2(℃)であるとき、Tg<Tm2<Tm1の関係が成り立つ耐ブロッキング剤を配合したポリ乳酸系重合体シート状物の技術が開示されている。しかし いずれもフィルム同士の耐ブロッキング性、滑り性及び透明性の点で未だ十分ではなかった。
特開平8−34913号公報 特開2002−146064号公報
本発明は、滑り性、耐ブロッキング性及び透明性が良好な乳酸系ポリマー組成物、並びにそれから得られるフィルム、積層フィルムおよび延伸フィルムを提供することである。
本発明は、乳酸系ポリマー(A)と、(A)100重量部に対し、炭素数10〜100の脂肪族アミド(B)0.1〜2重量部および耐ブロッキング剤(C)0.01〜0.5重量部を含有する乳酸系ポリマー組成物を提供する。
前記脂肪族アミドが、脂肪族ポリアミドである前記の乳酸系ポリマー組成物は本発明の好ましい態様である。
前記耐ブロッキング剤(C)が、SiO、CaCO、ゼオライト、タルクから選ばれた少なくとも1種である前記の乳酸系ポリマー組成物は本発明の好ましい態様である。
本発明は、前記した乳酸系ポリマー組成物からなるフィルムを提供する。
また本発明は、前記した乳酸系ポリマー組成物からなる多層フィルムを提供する。
さらに本発明は、前記したフィルムまたは多層フィルムを延伸して得られる延伸フィルムを提供する。
本発明はまた、乳酸系ポリマー(A)、脂肪族アミド(B)および耐ブロッキング剤(C)を含有する樹脂組成物からなるマスターバッチを、乳酸系ポリマーによって希釈することによって前記乳酸系ポリマー組成物を製造する方法を提供する。
本発明はさらに、乳酸系ポリマー(A)100重量部に対し、滑剤として炭素数10〜100の脂肪族アミド(B)を0.2〜200重量部かつ耐ブロッキング剤(C)を0.02〜50重量部含んでなるマスターバッチに適した樹脂組成物を提供する。
本発明により、滑り性、耐ブロッキング性、透明性に優れ、更に分解性が良好な乳酸系ポリマー組成物を提供することができる。
本発明の乳酸系ポリマー組成物から、耐ブロッキング性、透明性に優れ、更に分解性が良好なフィルム及び積層フィルム、並びにその延伸フィルムが提供される。
また、本発明によれば、本発明のすぐれた乳酸系ポリマー組成物を得るのに使用しうる方式による製造方法及びそれに好適なマスターバッチの提供される。
本発明により、乳酸系ポリマー(A)と、(A)100重量部に対し炭素数10〜100の脂肪族アミド(B)0.1〜2重量部および耐ブロッキング剤(C)0.01〜0.5重量部とを含有する乳酸系ポリマー組成物が提供される。
本発明において乳酸系ポリマーとは、乳酸を主成分とするポリエステルである。乳酸のホモポリマーであっても、コポリマーであっても、これらの混合物であってもよい。乳酸系ポリマーには、乳酸が50%以上、好ましくは75%以上含有されていることが望ましい。乳酸系ポリマーを構成するその他の成分としては、乳酸以外の脂肪族ヒドロキシカルボン酸類、脂肪族ジカルボン酸類、脂肪族ジオール類などを挙げることができる。また乳酸系ポリマーには、ポリマーの生分解性を損なわない範囲でテレフタル酸などの芳香族化合物が含有されていてもよい。
ポリマーの原料に用いられる乳酸としては、L−乳酸、D−乳酸,DL−乳酸もしくはそれらの混合物または乳酸の環状2量体であるラクタイドなどの乳酸類から適宜選択されたものを使用することができる。また乳酸と併用できるヒドロキシカルボン酸類としては、炭素数2〜10の乳酸以外のヒドロキシカルボン酸類が好ましく、具体的にはグリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸などを好適に使用することができ、更にヒドロキシカルボン酸の環状エステル中間体、例えばグリコール酸の2量体であるグリコライドや6−ヒドロキシカプロン酸の環状エステルであるε−カプロラクトンも使用できる。
脂肪族ジカルボン酸類としては、炭素数2〜30の脂肪族ジカルボン酸が好ましく、具体的にはシュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、フェニルコハク酸、1,4-フェニレンジ酢酸などを挙げることができる。これらは、単独で又は二種以上の組合せて使用することができる。
脂肪族ジオール類としては、炭素数2〜30の脂肪族ジオールが好ましく、具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリテトラメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノ一ル、1,4−ベンゼンジメタノールなどが挙げられる。これらは、単独で又は二種以上の組合せて使用することができる。
原料としての乳酸以外のヒドロキシカルボン酸類、脂肪族ジカルボン酸類、脂肪族ジオール類は、得られるコポリマーならびに混合物中の乳酸含有率が50%以上になるように、種々の組み合わせで使用することができる。
乳酸系ポリマーは、上記原料を直接脱水重縮合する方法、または上記乳類やヒドロキシカルボン酸類の環状2量体、例えばラクタイドやグリコライド、あるいはε−カプロラクトンのような環状エステル中間体を開環重合させる方法により得られる。
直接脱水重縮合して製造する場合、原料である乳酸類又は乳酸類とヒドロキシカルボン酸類を、脂肪族ジカルボン酸類 及び脂肪族ジオ−ル類を好ましくは有機溶媒、特にフェニルエーテル系溶媒の存在下で共沸脱水縮合し、特に好ましくは共沸により留出した溶媒から水を除き実質的に無水の状態にした溶媒を反応系に戻す方法によって重合することにより、本発明に適した強度を持つ高分子量の乳酸系ポリマーが得られる。乳酸系ポリマーの重量平均分子量は、成形性が可能な範囲で高分子量のものが好ましく、3万以上500万以下がより好ましく、更に好ましくは7万以上300万が好ましく、特に好ましくは10万以上150万以下が好ましい。
脂肪族アミドとは、分子内にアミド結合を有する化合物である。本発明の脂肪族アミドとしては、炭素数が10〜100の脂肪族アミドが好ましく、その中でも複数のアミド結合を有する有機化合物が好ましい。脂肪族アミドの好ましい例は、炭素数4〜30の脂肪族カルボン酸と炭素数2〜30の1級又は2級の脂肪族アミンとを、必要に応じて多塩基酸を用いて反応させることによって得られる有機化合物である。具体的な例として、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド、リシノール酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミドのような脂肪族モノカルボン酸アミド類;N−オレイルパルミチン酸アミド、N−オレイルオレイン酸アミド、N−オレイルステアリン酸アミド、N−ステアリルオレイン酸アミド、N−ステアリルステアリン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミド、メチロールステアリン酸アミド、メチロールベヘニン酸アミドのようなN−置換脂肪族モノカルボン酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド、エチレンビスベヘニン酸アミド、エチレンビスイソステアリン酸アミド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド、ブチレンビスステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、へキサメチレンビスステアリン酸アミド、へキサメチレンビスベヘニン酸アミド、へキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アミドのような脂肪族ビスカルボン酸アミド類;N,N′−ジオレイルセバシン酸アミド、N,N′−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N−ジステアリルアジピン酸アミド、N,N′−ジステアリルセバシン酸アミドのようなN−置換脂肪族カルボン酸ビスアミド類などを挙げることができるが、これに限定されるものではない。
これらの中でも特に、エチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミドが安価且つ効果的で好ましく、更にエチレンビスステアリン酸アミドが最も好ましい。またこれらの有機化合物を単独あるいは2種類以上の混合物でもよい。
本発明の脂肪族アミドは滑剤として働くもので、ポリマー相互間の潤滑性を向上させる。具体的には成形加工されたプラスチック製品の滑り性を改良有する。本発明において使用される脂肪族アミドとして、滑剤として市場から入手できる化合物を用いることも可能である、市場から入手できるものの例として、「10889の化学商品(1989年、化学工業日報社、東京都中央区日本橋浜町)」の389頁右欄〜391頁左欄に記載の「脂肪族アミド」、商品名ライトアマイドWH−255、ライトアマイドWH-215(共に共栄社化学(株)製)などが挙げられる。
脂肪族アミドの添加量は、乳酸系ポリマー100重量部に対し0.1〜2重量部であり、好ましくは0.3〜1.7重量部であり、より好ましくは0.35〜1.5重量部であり、更に好ましくは0.5〜1.0重量部である。その添加量は、組成物からフィルムなどの成形品を得る際の加工性や、成形品の耐ブロッキング性、印刷性、滑り性が良好となるよう適宜選択することができる。
本発明で示す耐ブロッキング剤とは、例えばフィルム又はシートを重ねた時に互いに付着して剥離しなくなる現象を防止する添加剤であって、無機、有機のいずれの化合物でもよく、フィルムの表面に少量散布したり、練り込んだりする場合がある。例えば、無機化合物や高融点のワックス、金属石鹸などが用いられ、本発明では乳酸系ポリマーの融点以上の融点を有するものが良く、好ましく用いられる耐ブロッキング剤としては、SiO、CaCO、タルク、クレー、カオリン、カオリンクレー、マイカ、ゼオライト、酸化亜鉛などの無機化合物が挙げられ、特に好ましくはSiO、CaCO、ゼオライト、タルクが好ましい。これらは一種又は二種以上の混合物として用いることもできる。
また、耐ブロッキング剤の平均粒径は0.05〜20μm、好ましくは0.1〜15μm、より好ましくは0.5〜10μm、さらに好ましくは1〜5μmであることが望ましい。
耐ブロッキング剤の添加量は、乳酸系ポリマー100重量部に対し0.01〜0.5重量部であり、好ましくは0.03〜0.3重量部、より好ましくは0.03〜0.2重量部である。その添加量は、滑剤と同様に、目的とする押出し成形、例えばTダイ押出し成形やインフレーション成形、あるいは二次加工時、例えばヒートシール性などの加工性や得られたフィルム・シートの耐ブロッキング性、印刷性、滑り性が良好となる最適量が適宜選択される。
本発明の組成物は、必要により可塑剤を含んでいてもよい。可塑剤とは、ポリマーの分子間相互間の分子間力を弱め、ポリマーの分子鎖の運動を容易とし、柔軟性、弾性、低温柔軟性などの性質を付与するものである。本発明のポリ乳酸に用いられる可塑剤としては、上記性質を付与さするものであれば特に制限はなく、例えば、アセチルクエン酸トリブチル等のヒドロキシ多価カルボン酸エステル類、グセリントリアセテートやグセリントリプロピオネート等の多価アルコールエステルがあげられる。その添加量は、目的とする物性例えば、柔軟性、伸び率等によってその際適量が適宜選択できる。
また、本発明の組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じてその他の添加剤を含んでいてもよい。添加剤の例としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、顔料などを挙げることができる。
乳酸系ポリマーと滑剤などの他の成分との混合には、公知の混練技術を適用できる。本発明による乳酸系ポリマー組成物は、通常造粒することにより、ペレット、棒状のものとして、成形に用いられる。
乳酸系ポリマー組成物の成形方法としては、公知の方法を用いることができる。通常、パウダー状あるいはペレット状の乳酸系ポリマーに滑剤や耐ブロッキング剤をリボンブレンダーなどで混合した後、2軸押出機で組成物を押出しペレット化して成形に供せられる。例えば(a)前記方法にて得られたペレットを成形機に供給する方法、(b)乳酸系ポリマーのペレットを2軸押出機で溶融混練する際に滑剤や耐ブロッキング剤を同時にフィードしながら溶融混練し、成形機に供給する方法、(c)滑剤や耐ブロッキング剤を高濃度に含有した乳酸系ポリマー組成物(マスターバッチ)を一旦製造し、この乳酸系ポリマー組成物を改質用のマスターバッチとして使用し、このマスターバッチを通常のペレットとして乳酸系ポリマーのペレットに希釈混合して成形機に供給する方法などが挙げられる。
上記(c)のマスターバッチ方式を採用する場合、改質用のマスターバッチの希釈倍率は、マスターバッチ中の滑剤や耐ブロッキング剤の濃度によって変わるが、通常2〜100倍、好ましくは3〜50倍、より好ましくは5〜40倍、さら好ましくは5〜30倍である。この範囲では滑剤や耐ブロッキング剤が均一に分散するので好適に採用できる。マスターバッチは、滑剤のマスターバッチ、耐ブロッキング剤のマスターバッチ、あるいはそれらの混合物のマスターバッチとして用いてもよい。
このような滑剤や耐ブロッキング剤を高濃度に含有した乳酸系ポリマー組成物(マスターバッチ)としては、乳酸系ポリマー(A)100重量部に対し、滑剤として炭素数10〜100の脂肪族アミド(B)を0.2〜200重量部かつ耐ブロッキング剤(C)を0.02〜50重量部含んでなる乳酸系ポリマー組成物が好ましい。マスターバッチと乳酸系ポリマーとの公知の混練にも公知の混練技術を適用することができる。
ペレットにした組成物は、加熱処理を行なうことでペレット中のポリマーの結晶化度を促進し、耐熱性が向上して、ペレット同士の融着が防止されて押出安定性が向上する。
本発明の組成物から各種の成形品に成形することができる。成形に際して、従来公知の成形機によって公知の方法で成形することができる。成形品としては、特にフィルムが好ましい。本発明においてフィルムとは、厚みが1〜10mmのシートまたはフィルム両方を含んだものをいう。
本発明の組成物からフィルムを成形するには、通常押出し成形が用いられる。例えばTダイ押出し成形法やインフレーション成形法によってフィルムを成形することができる。得られたフィルムはさらに延伸することなく使用することができるが、公知の延伸技術によって延伸した後使用してもよい。
フィルムの延伸は一軸延伸であってもまた二軸延伸であってもよい、一軸延伸の場合、延伸倍率は、1.1〜15.0であることが好ましく、さらに好ましくは3.0〜12.0、更に好ましくは4.0〜10.0であることが望ましい。二軸延伸の場合、縦方向の延伸倍率は、1.5〜5.0であることが好ましく、さらに好ましくは2.0〜4.0であることが望ましく、横方向の延伸倍率は、1.5〜5.0であることが好ましく、さらに好ましくは2.0〜4.0であることが望ましい。
本発明のフィルムは延伸することによって収縮性の発現し、更に延伸後に熱固定すれば耐熱性、耐衝撃性、寸法安定性、保存安定性などの物性が向上する。従って、収縮ラベルや収縮フィルム、更にはオーバーラップフィルムや一般包装用フィルムなど、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレートなどの未(延伸)フィルムが用いられる用途に好適に用いることができる。
本発明のフィルムは、必要に応じてフィルム表面に帯電防止性、防曇性、粘着性、ガスバリヤー性、密着性および易接着性などの機能を有する層をコーティングにより形成することができる。例えば、フィルムの片面あるいは両面に、帯電防止剤を含む水性塗工液を塗布、乾燥することによって帯電防止層を形成することができる。また、本発明の多層フィルムは、必要に応じて、他樹脂およびフィルムをラミネートすることにより、帯電防止性、防曇性、粘着性、ガスバリヤー性、密着性および易接着性等の機能を有する層を形成することができる。その際、押出ラミ、ドライラミなどの公知の方法を用いることができる。
本発明に係る樹脂組成物からなるフィルムは、規格袋、重袋、ラップフィルム、シュリンクラベルやシュリンクフィルムなどの熱収縮フィルム、ラミ原反、砂糖袋、油物包装袋、水物包装袋、食品包装用等の各種包装用フィルム、輸液バッグ、農業用資材等に好適である。
本発明のフィルムを、基材と貼り合わせた多層フィルムとして用いることもできる。基材としては、乳酸系ポリマー、乳酸系ポリマー以外の生分解性樹脂、ナイロン、ポリエステル、アルミなどのフィルムを挙げることができる。多層フィルムを製造する方法としては、フィルム同士を熱や圧縮によって接着する方法、フィルム同士を接着剤で接着する方法、基材上に本発明の組成物からなる層を押出ラミ、ドライラミなどの公知の方法を用いて形成する方法、本発明の組成物と基材形成成分とを共押出しして積層させる方法などを挙げることができる。
このような多層フィルムには、各々の層の物性や機能を複合化できる特徴があり、目的に応じ層成分、層構造、厚みを選択することで、各用途に適用できるフィルムにでき、好適に使用することができる。
以下に実施例によって本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら制限されるものではない。
なお、本発明において各種物性は下記の方法で測定し評価した。
(1)静摩擦係数
JIS P−8147に準じて実施した。東洋精機製の摩擦角測定機を用い、100×60×20mmのおもり(940g)にて傾斜版の傾き速度が2.8℃/secで測定した。
滑り性は下記基準によって評価した。
良好:静摩擦係数が0.5以下である。
滑り性不良:静摩擦係数が0.5超である。
(2)透明性(ヘイズ)
JIS K−6714に従い、東京電色製 Haze Meter を使用して測定した。透明性は下記基準により評価した。
良好:ヘイズ値が10%以下のもの。
不良:ヘイズ値が10%超のもの。
(3)ブロッキング性
ASTM D−1893に準拠した。150mm×150mmのフィルムを重ねた後、20kgの荷重をかけ50℃で1日放置した時のフィルムの状態を観察した。ブロッキング性は下記基準によって評価した。
良好:全くブロッキングが認められなかった。
不良:ブロッキングが認められた。
(実施例1)
ヘンシェルミキサー中でポリ乳酸A(H−440(三井化学(株)製)、重量平均分子量 21万、L体/D体=96/4、融点 155℃)100重量部、エチレンビスステアリン酸アミド(ライオンアクゾ製)1.0重量部、平均粒径2.7μmのシリカ(サイリシア 530 富士シリシア化学(株)製)0.2重量部を混合し、ドライブレンド物を調製した。その後、このドライブレンド物を、210℃に設定された、スクリュー径が35mmφの同方向二軸回転式押出機へと供給し、溶融混練して、ペレットを調製した。
次いで、前記の方法で得たペレットを、樹脂温度が210℃に設定された、スクリュー径が50mmφの、ダイス幅350mmのT-ダイフィルム製膜機へ供給した。
このようにして、温度を35℃に調整したキャストロール上に溶融樹脂を押出し、厚み160μmの無延伸フィルムを得た。
この未延伸フィルムを、バッチ式二軸延伸機を用い、70℃に温度調整された延伸槽内で1分間の予熱した後、縦方向に2.5倍、横方向に2.5倍の同時二軸延伸を行い、フィルムの熱固定の為、延伸槽温度を150℃まで昇温し、厚み約25μmのフィルムを取り出した。
(実施例2)
実施例1のポリ乳酸A100重量部をポリ乳酸B(H−280(三井化学(株)製)、重量平均分子量 20万、L体/D体=88/12)100重量部、エチレンビスステアリン酸アミド1.0重量部をエチレンビスステアリン酸アミド0.75重量部、及び平均粒径2.7μmのシリカ0.2重量部を平均粒径2.7μmのシリカ0.1重量部に変更し、更にフィルムの熱固定操作を省略した以外は、実施例1と同様な操作を行い二軸延伸フィルムを得た。
(実施例3)
実施例1のポリ乳酸A100重量部をポリ乳酸C(H−100(三井化学(株)製)、重量平均分子量 14万、L体/D体=98/2、融点 166℃)100重量部、エチレンビスステアリン酸アミド1.0重量部をエチレンビスステアリン酸アミド0.5重量部、及び平均粒径2.7μmのシリカ0.2重量部を平均粒径2.7μmのシリカ0.1重量部に変更した以外は、実施例1と同様な操作を行い二軸延伸フィルムを得た。
(実施例4)
実施例1のエチレンビスステアリン酸アミド1.0重量部をエチレンビスステアリン酸アミド0.75重量部、及び平均粒径2.7μmのシリカ0.2重量部を平均粒径2.7μmのシリカ0.05重量部に変更した以外は、実施例1と同様な操作を行い二軸延伸フィルムを得た。
(実施例5)
実施例1のポリ乳酸A100重量部をポリ乳酸D(H−400(三井化学(株)製)、重量平均分子量 22万、L体/D体=98/2、融点 167℃)100重量部、エチレンビスステアリン酸アミド1.0重量部をエチレンスビステアリン酸アミド0.75重量部、及び平均粒径2.7μmのシリカ0.2重量部を平均粒径2.7μmのシリカ0.15重量部に変更した以外は、実施例1と同様な操作を行い二軸延伸フィルムを得た。
(実施例6)
実施例1のエチレンビスステアリン酸アミド1.0重量部をエチレンビスラウリン酸アミド(日本化成(株)製) 1.0重量部、及び平均粒径2.7μmのシリカ0.2重量部を平均粒径2.8μmのシリカ(富士シリシア化学(株)製)0.1重量部に変更した以外は、実施例1と同様な操作を行い二軸延伸フィルムを得た。
(実施例7)
ヘンシェルミキサー中でポリ乳酸A 100重量部、エチレンビスラウリン酸アミド 0.75重量部、平均粒径2.8μmのシリカ(サイリシア 710 富士シリシア化学製)0.1重量部を混合し、ドライブレンド物を調製した。その後、このドライブレンド物を、210℃に設定された、スクリュー径が35mmφの同方向二軸回転式押出機へ供給し、溶融混練して、ペレットを調製した。
次いで、前記の方法で得たペレットを、樹脂温度が220℃に設定された、スクリュー径が50mmφの、ダイス幅350mmのT-ダイフィルム製膜機へ供給した。
このようにして、温度を35℃に調整したキャストロール上に溶融樹脂を押出し、厚み125μmの無延伸フィルムを得た。
この未延伸フィルムを、バッチ式二軸延伸機を用い、70℃に温度調整された延伸槽内で1分間の予熱した後、縦方向に5倍の一軸延伸を行い、厚み約25μmのフィルムを取り出した。
(実施例8)
実施例7のポリ乳酸A100重量部をポリ乳酸C(H−100(三井化学(株)製)、重量平均分子量 14万、L体/D体=98/2、融点 166℃)100重量部、エチレンビスステアリン酸アミド 0.75重量部をエチレンスビステアリン酸アミド0.5重量部、及び平均粒径2.8μmのシリカ0.1重量部を平均粒径2.7μmのシリカ0.05重量部に変更した以外は、実施例7と同様な操作を行い 一軸延伸フィルムを得た。
(実施例9)
ヘンシェルミキサー中でポリ乳酸A 100重量部、エチレンビスステアリン酸アミド 7.5重量部、平均粒径2.8μmのシリカ(サイリシア 710 富士シリシア化学(株)製)1.0重量部を混合し、ドライブレンド物を調製した。その後、このドライブレンド物を、210℃に設定された、スクリュー径が35mmφの同方向二軸回転式押出機へと供給し、溶融混練して、エチレンビスステアリン酸アミドとシリカのマスターバッチAを調製した。
次いで、ポリ乳酸A 90重量部とマスターバッチA 10重量部をドライブレンドした後、この混合ペレットを樹脂温度が220℃に設定された、スクリュー径が50mmφの、ダイス幅350mmのT-ダイフィルム製膜機へ供給した。
このようにして、温度を35℃に調整したキャストロール上に溶融樹脂を押出し、厚み125μmの無延伸フィルムを得た。
この未延伸フィルムを、バッチ式二軸延伸機を用い、70℃に温度調整された延伸槽内で1分間の予熱した後、縦方向に5倍の一軸延伸を行い、厚み約25μmのフィルムを取り出した。
得られたフィルムは、ヘイズは5%と透明性は良好で、静摩擦係数は0.33と良好な滑り性を示し、ブロキング製も良好だった。
(実施例10)
ヘンシェルミキサー中でポリ乳酸A 100重量部、エチレンビスステアリン酸アミド 10重量部を混合し、ドライブレンド物を調製した。その後、このドライブレンド物を、210℃に設定された、スクリュー径が35mmφの同方向二軸回転式押出機へと供給し、溶融混練して、エチレンビスステアリン酸アミドのマスターバッチBを調製した。
ヘンシェルミキサー中でポリ乳酸A 100重量部、平均粒径2.7μmのシリカ(サイリシア 530 富士シリシア化学(株)製)4.0重量部を混合し、ドライブレンド物を調製した。その後、このドライブレンド物を、210℃に設定された、スクリュー径が35mmφの同方向二軸回転式押出機へと供給し、溶融混練して、シリカのマスターバッチCを調製した。
次いで、ポリ乳酸A 92.5重量部とマスターバッチB 5重量部、マスターバッチC 2.5重量部をドライブレンドした後、この混合ペレットを樹脂温度が220℃に設定された、スクリュー径が50mmφの、ダイス幅350mmのT-ダイフィルム製膜機へ供給した。
このようにして、温度を35℃に調整したキャストロール上に溶融樹脂を押出し、厚み125μmの無延伸フィルムを得た。
(比較例1)
実施例1のエチレンビスステアリン酸アミド及び平均粒径2.7μmのシリカの添加を省略した以外は、実施例1と同様な操作を行い二軸延伸フィルムを得た。
(比較例2)
実施例1のポリ乳酸A100重量部をポリ乳酸D(H−400(三井化学(株)製)、重量平均分子量 22万、L体/D体=98/2、融点 167℃) 100重量部、エチレンビスステアリン酸アミド1.0重量部をエチレンステアリン酸アミド0.3重量部に変更、及び平均粒径2.7μmのシリカを添加しなかった以外は、実施例1と同様な操作を行い二軸延伸フィルムを得た。
(比較例3)
実施例1のポリ乳酸A100重量部をポリ乳酸C (H−100(三井化学(株)製)、重量平均分子量 14万、L体/D体=98/2、融点 166℃)100重量部に変更、エチレンビスステアリン酸アミド添加せず、平均粒径2.7μmのシリカ0.2重量部を平均粒径2.7μmのシリカ0.6重量部に変更した以外は、実施例1と同様な操作を行い二軸延伸フィルムを得た。
(比較例4)
実施例1のエチレンビスステアリン酸アミド1.0重量部を、エルカ酸アミド(日本精化(株)製) 1.0重量部に変更、及び平均粒径2.7μmのシリカ添加しなかった以外は、実施例1と同様な操作を行い二軸延伸フィルムを得た。
以上の実施例及び比較例で得られた二軸延伸フィルムについて、フィルムの表面同士の滑り性、ヘイズ値、フィルム同士のブロッキング性を測定し、結果を表1及び表2に示した。
Figure 2005146200
Figure 2005146200
ポリ乳酸A:重量平均分子量 21万、L体/D体=96/4、融点 155℃ (三井化学(株)製 H−440)、
ポリ乳酸B:重量平均分子量 20万、L体/D体=88/12 (三井化学社(株)製 H−280)
ポリ乳酸C:重量平均分子量 14万、L体/D体=98/2、融点 166℃ (三井化学(株)製 H−100)
ポリ乳酸D:重量平均分子量 22万、L体/D体=98/2、融点 167℃ (三井化学(株)製 H−400)、
EBS:エチレンビスステアリン酸アミド
EBR:エチレンビスラウリン酸アミド
本発明によれば、滑り性、耐ブロッキング性、透明性に優れ、更に分解性が良好な乳酸系ポリマー組成物の提供が可能となる。
さらに本発明によれば、乳酸系ポリマー組成物から、耐ブロッキング性、透明性に優れ、更に分解性が良好なフィルム及び積層フィルム、並びにその延伸フィルムの提供が可能となる。

Claims (9)

  1. 乳酸系ポリマー(A)と、(A)100重量部に対し炭素数10〜100の脂肪族アミド(B)0.1〜2重量部および耐ブロッキング剤(C)0.01〜0.5重量部とを含有する乳酸系ポリマー組成物。
  2. 前記脂肪族アミドが、脂肪族ポリアミドであることを特徴とする請求項1に記載の乳酸系ポリマー組成物。
  3. 前記耐ブロッキング剤(C)が、SiO、CaCO、ゼオライト、タルクから選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の乳酸系ポリマー組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の乳酸系ポリマー組成物からなるフィルム
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の乳酸系ポリマー組成物からなる層を少なくとも1層含む多層フィルム。
  6. 請求項4または5に記載のフィルムを少なくとも一方向に延伸して得られる延伸フィルム。
  7. 乳酸系ポリマー(A)、脂肪族アミド(B)および耐ブロッキング剤(C)を含有する樹脂組成物を、乳酸系ポリマーによって希釈することによって請求項1に記載した乳酸系ポリマー組成物を製造する方法。
  8. 前記樹脂組成物が乳酸系ポリマー(A)100重量部に対し、滑剤として炭素数10〜100の脂肪族アミド(B)を0.2〜200重量部かつ耐ブロッキング剤(C)を0.02〜50重量部含んでなる乳酸系ポリマー組成物であることを特徴とする請求項7に記載の乳酸系ポリマー組成物を製造する方法。
  9. 乳酸系ポリマー(A)100重量部に対し、滑剤として炭素数10〜100の脂肪族アミド(B)を0.2〜200重量部かつ耐ブロッキング剤(C)を0.02〜50重量部含んでなるマスターバッチに適した樹脂組成物。
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