JP2005038840A - リチウム一次電池用正極活物質および二酸化マンガンの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高温耐性に優れたリチウム一次電池用正極活物質及び該正極活物質に用いられる二酸化マンガンの製造方法を提供する。
【解決手段】 二酸化マンガンからなるリチウム一次電池用正極活物質であって、前記二酸化マンガンが、酸素の一部がフッ素に置換され、一般式MnO2−xFx(式中Xは、0.001≦X≦0.2である)で表されるリチウム一次電池用正極活物質とする。
【選択図】 図1
【解決手段】 二酸化マンガンからなるリチウム一次電池用正極活物質であって、前記二酸化マンガンが、酸素の一部がフッ素に置換され、一般式MnO2−xFx(式中Xは、0.001≦X≦0.2である)で表されるリチウム一次電池用正極活物質とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は二酸化マンガンからなるリチウム一次電池用正極活物質及び二酸化マンガンの製造方法に関するものである。
リチウム一次電池の正極活物質として二酸化マンガン、フッ化炭素等が代表的なものとして知られており、これらは既に実用化されている。この中で特に二酸化マンガンは、保存性に優れ、かつ安価であるという利点を有するため、正極活物質としての使用が多く検討されている(特許文献1及び2等参照)。また、350〜450℃の低温焼成により得られる斜方晶系リチウムマンガン複合酸化物を酸処理した二酸化マンガン(特許文献3)、スピネル型LiMn2O4を酸処理した二酸化マンガン(特許文献4)や、LiMn2O4を酸処理した後焼成した二酸化マンガン(非特許文献1)が知られている。
しかしながら、従来の二酸化マンガンを使用すると、高温で使用した場合は、低温パルス特性等の電池特性が低下するという問題があり、特に、120℃での高温保存では、有機電解液の溶媒であるプロピレンカーボネートを分解し、発生するガスによって電池が膨張し、電池特性が劣化してしまう。
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑みなされたもので、高温耐性に優れたリチウム一次電池用正極活物質及び該正極活物質に用いられる二酸化マンガンの製造方法を提供することを課題とするものである。
なお、スピネル型リチウムマンガン複合酸化物の酸素をフッ素で置換して、高温(60℃)雰囲気下での電解液中へのMn溶解を抑制し充放電サイクル寿命を向上させたリチウム二次電池正極用リチウムマンガン酸化物が知られている(特許文献5参照)。しかしながら、このようなリチウムマンガン複合酸化物はそれ自体を二次電池の正極活物質として用いるものであり、二酸化マンガンの原料とすることにより、本願発明のような特異な効果を奏することを示唆するものではない。
前記課題を解決する第1の態様は、二酸化マンガンからなるリチウム一次電池用正極活物質であって、前記二酸化マンガンが、酸素の一部がフッ素に置換され、一般式MnO2−xFx(式中Xは、0.001≦X≦0.2である)で表されることを特徴とするリチウム一次電池用正極活物質にある。
かかる第1の態様では、二酸化マンガンの酸素の一部がフッ素に置換されているので、高温保存時のガス発生が抑制され、高温耐性に優れた高性能なリチウム一次電池用正極活物質を提供することができる。
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記二酸化マンガンの比表面積が、1〜12m2/gであることを特徴とするリチウム一次電池用正極活物質にある。
かかる第2の態様では、二酸化マンガンの比表面積が1〜12m2/gと低いため、有機溶媒との反応面積が減少し、高温での電池の膨張を抑制することができる。
本発明の第3の態様は、第1または2の態様において、前記二酸化マンガンには、硫酸根が0.6質量%以下含有されていることを特徴とするリチウム一次電池用正極活物質にある。
かかる第3の態様では、二酸化マンガンの硫酸根含有量が低いので、特に低温パルス特性に優れたリチウム一次電池用正極活物質を提供することができる。
本発明の第4の態様は、第1〜3の何れかの態様において、前記二酸化マンガンは、酸素の一部をフッ素で置換したリチウムマンガン複合酸化物を、鉱酸処理した後、焼成したものであることを特徴とするリチウム一次電池用正極活物質にある。
かかる第4の態様では、酸素の一部をフッ素で置換したリチウムマンガン複合酸化物を鉱酸処理した後焼成することにより、酸素とフッ素が均一な、酸素の一部がフッ素に置換された二酸化マンガンからなるリチウム一次電池用正極活物質を提供することができる。
本発明の第5の態様は、酸素の一部をフッ素で置換したリチウムマンガン複合酸化物を鉱酸処理した後、焼成することにより、酸素の一部がフッ素に置換された二酸化マンガンを得ることを特徴とする二酸化マンガンの製造方法にある。
かかる第5の態様では、酸素の一部をフッ素で置換したリチウムマンガン複合酸化物を用い、これを処理して二酸化マンガンとすることにより、酸素の一部がフッ素で置換された二酸化マンガンを容易に得ることができ、また、この二酸化マンガンをリチウム一次電池に用いると電池の高性能化を図ることができる。
本発明の第6の態様は、第5の態様において、前記二酸化マンガンが、酸素の一部がフッ素に置換され、一般式MnO2−xFx(式中Xは、0.001≦X≦0.2である)で表されることを特徴とする二酸化マンガンの製造方法にある。
かかる第6の態様では、一般式MnO2−xFx(式中Xは、0.001≦X≦0.2)で表される二酸化マンガンであるので、リチウム一次電池に用いると高温耐性に優れた電池となる。
本発明の第7の態様は、第5または6の態様において、前記二酸化マンガンの比表面積が、1〜12m2/gであることを特徴とする二酸化マンガンの製造方法にある。
かかる第7の態様では、二酸化マンガンの比表面積が1〜12m2/gであるため、リチウム一次電池に用いると高温での膨張を抑制することができる。
本発明の第8の態様は、第5〜7の何れかの態様において、前記二酸化マンガンの硫酸根含有量が0.6質量%以下であることを特徴とする二酸化マンガンの製造方法にある。
かかる第8の態様では、二酸化マンガンの硫酸根含有量が0.6質量%以下であるので、リチウム一次電池に用いると特に低温パルス特性を良好にすることができる。
本発明の第9の態様は、第5〜8の何れかの態様において、前記リチウムマンガン複合酸化物を、原料としての二酸化マンガンとリチウム塩とフッ素化合物とを混合した後、焼成することにより得ることを特徴とする二酸化マンガンの製造方法にある。
かかる第9の態様では、原料としての二酸化マンガンとリチウム塩とフッ素化合物とを混合した後焼成することにより得た酸素の一部をフッ素で置換したリチウムマンガン複合酸化物を用い、これを処理して二酸化マンガンとするので、酸素の一部がフッ素に置換された二酸化マンガンを容易に得ることができ、この二酸化マンガンをリチウム一次電池に用いると電池の高性能化を図ることができる。
本発明の第10の態様は、第9の態様において、前記リチウムマンガン複合酸化物を、原料としての二酸化マンガンとリチウム塩とフッ素化合物とを混合した後、550〜950℃で焼成することにより得ることを特徴とする二酸化マンガンの製造方法にある。
かかる第10の態様では、550〜950℃で焼成して酸素の一部をフッ素で置換したリチウムマンガン複合酸化物を得、これを処理して二酸化マンガンとするので、硫酸根含有量が0.6質量%以下で、比表面積が1〜12m2/gである二酸化マンガンを得ることができる。
本発明の第11の態様は、第9または10の態様において、前記原料としての二酸化マンガンが、電解法により得られた電解二酸化マンガンであることを特徴とする二酸化マンガンの製造方法にある。
かかる第11の態様では、電解二酸化マンガンを原料とし、酸素の一部がフッ素に置換された二酸化マンガンとすることにより、リチウム一次電池に用いると電池の高性能化を図ることができる二酸化マンガンを得ることができる。
以下、本発明の構成をさらに詳細に説明する。
本発明の正極活物質は、二酸化マンガンに事後的にフッ素を添加したものと異なり、二酸化マンガンの酸素の一部がフッ素に置換されたものである。さらに詳言すると、二酸化マンガンの酸素がフッ素に置換された状態とは、例えばX線回折で測定した時、フッ化物が観察されない状態であり、フッ素が酸素を置換して一体的な二酸化マンガンとなっていると推測される。
本発明の正極活物質は、高温耐性に優れる、すなわち、低温パルス特性等の電池特性の高温保存後の劣化が低減されるという特性を有する。これは、二酸化マンガンの酸素の一部をフッ素に置換することにより、二酸化マンガンのマンガン価数を低下させて酸化触媒活性を落とし、これにより、高温でのプロピレンカーボネート等の有機溶媒分解による二酸化炭素等のガス発生が引き起こす電池の膨張が改善され、内部抵抗の上昇が抑制されて、低温パルス特性等の電池特性の劣化が改善されたと推測される。
このような二酸化マンガンの酸素の一部がフッ素に置換された二酸化マンガンは、例えば、酸素の一部をフッ素で置換したリチウムマンガン複合酸化物を、鉱酸処理した後、焼成することにより得ることができ、この場合には、リチウムマンガン複合酸化物の時点で、酸素の一部をフッ素に置換する必要がある。
本発明の二酸化マンガンは、一般式MnO2−xFxであり、式中Xは、0.001≦X≦0.2であることが好ましい。Xが0.001より低いとリチウム一次電池の正極活物質として用いた時、電池での高温保存時のガス発生抑制効果が低くなり、0.2より高いと電池での低温パルス特性が低下する。
また、本発明の二酸化マンガンの比表面積は、1〜12m2/gであることが好ましい。比表面積が12m2/gより高いと反応面積が大きいため、リチウム一次電池の正極活物質として用いた時、電池での高温保存時のガス発生抑制効果が低くなり、1m2/gより低いと低温パルス特性が低下する。
二酸化マンガンの比表面積が1〜12m2/gと低いと、反応面積が減少し、高温での有機溶媒分解によるガス発生が減少するため、電池の膨張を抑制することができる。また、水分も有機溶媒を分解しガスを発生して電池を膨張させるが、比表面積が低いと付着する水分量が低くなり、高温での有機溶媒分解を抑制できるため、リチウム一次電池の正極活物質として用いると、高温耐性に優れた電池とすることができる。
ここで比表面積は、例えば、BETの一点法によって測定される。測定条件の例としては以下の通りである。
測定装置:カンタクロム社製モノソーブ
サンプル質量:0.15g
測定前の脱ガス条件:250℃にて窒素ガスを30cc/分の流量で導入しながら20分間加熱
吸着測定温度:21±1℃から−196℃まで冷却
脱離測定温度:−196℃から21±1℃まで昇温
サンプル質量:0.15g
測定前の脱ガス条件:250℃にて窒素ガスを30cc/分の流量で導入しながら20分間加熱
吸着測定温度:21±1℃から−196℃まで冷却
脱離測定温度:−196℃から21±1℃まで昇温
さらに、本発明の二酸化マンガンに含有される硫酸根(SO4)は、0.6質量%以下であることが好ましい。硫酸根含有量が0.6質量%より高いと電池の正極活物質として用いた時、電池での低温パルス特性向上効果及び高温保存時のガス発生抑制効果が低くなる。硫酸根が0.6質量%以下であると、結晶性が向上し二酸化マンガン内部でのリチウムの拡散性が向上して、低温パルス特性が改善されると推測される。また、硫酸根は有機溶媒を分解し二酸化炭素等を発生して電池を膨張させるが、硫酸根濃度を0.6質量%とすることにより、高温での有機溶媒分解を抑制することができる。ここで、二酸化マンガンに含有される硫酸根は、二酸化マンガンに事後的に添加したものではなく、例えば電解法により製造された電解二酸化マンガンを原料とする場合は、電解により製造された時点で電解二酸化マンガンの内部に含有される硫酸根に由来する。
本発明の酸素の一部をフッ素に置換した二酸化マンガンの製造方法では、酸素の一部をフッ素で置換したリチウムマンガン複合酸化物を鉱酸処理した後、焼成する。すなわち、マンガン酸リチウムなどのリチウムマンガン複合酸化物の合成過程で酸素の一部をフッ素に置換する工程を行うことにより、二酸化マンガンの酸素をフッ素に置換することができる。
具体的には、例えば、まず、原料としての二酸化マンガンと、リチウム塩と、フッ素化合物とを混合した後焼成して、酸素の一部をフッ素で置換したリチウムマンガン複合酸化物を得る。ここで、リチウムマンガン複合酸化物は、スピネル構造であることが好ましい。後述する鉱酸処理で、リチウムマンガン複合酸化物からリチウムを除去しやすくするためである。
原料としての二酸化マンガンは、電解法によって得られたもの、化学合成により得られたもの、天然のものの何れでもよく、また、これらを加熱処理したものやリン等を添加したものでもよいが、特に電解二酸化マンガンを用いることが好ましい。なお、電解二酸化マンガンは、例えば、従来から知られている硫酸マンガン及び硫酸溶液からなる電解液を電解して得ることができる。具体的には、例えば、電解液中のマンガン濃度は20〜50g/L、硫酸濃度は30〜80g/Lが一般的である。また、電極として陽極にはチタン等、陰極にはカーボン等を用いることができる。電解条件も従来から知られている条件でよく、例えば、浴温90〜100℃、電流密度50〜100A/m2で行えばよい。
ここで、現在、リチウム一次電池の正極活物質として使用されている電解二酸化マンガンは、0.8〜1.3質量%の硫酸根を含有しているが、本発明の製造方法では、原料としての二酸化マンガンに含有される硫酸根は、リチウムマンガン複合酸化物合成時点でほとんどが硫酸リチウムとなるため、後述する鉱酸処理時に溶出して除去され、硫酸根は0.6質量%以下となる。したがって、上述の製造方法では、原料としての二酸化マンガンは、硫酸根を0.6質量%より多く含んでいてもよい。また、先に出願した特願2002−140703号に記載されているように、硫酸根を1.3〜1.6質量%と多く含有する電解二酸化マンガンも、原料としての二酸化マンガンとして用いることができる。
また、この製造方法で用いるリチウム塩として、炭酸リチウム、水酸化リチウム、硝酸リチウム等を挙げることができる。
この製造方法で用いるフッ素化合物として、アルカリ金属のフッ素化合物、遷移金属のフッ素化合物等、具体的には、フッ化リチウム、フッ化マンガン等を挙げることができる。なお、フッ素化合物は、酸素部分置換量相当の量を用いればよい。
原料としての二酸化マンガンとリチウム塩とフッ素化合物とを混合した後の焼成条件は特に限定されないが、焼成温度は550〜950℃であることが好ましく、また、焼成時間は5〜20時間であることが好ましい。この温度で焼成するとリチウムマンガン複合酸化物はスピネル構造となり、鉱酸処理によりリチウムを除去しやすくなるからである。また、550℃以上で焼成すると硫酸根はほとんど硫酸リチウムとなり、次の鉱酸処理工程で除去できるため、550℃以上で焼成することが好ましい。例えば550℃で焼成した場合は二酸化マンガンの硫酸根含有量は0.6質量%以下、950℃で焼成した場合は二酸化マンガンの硫酸根含有量は0.2質量%以下とすることができる。なお、950℃より高温で焼成した場合は、分解してMn3O4等の不純物が、550℃より低温で焼成した場合はLiMn2Oz(式中Zは、Z>4)等の不純物が生成してしまうため、低温パルス特性等の電池特性は低下し、さらに、高温耐性も低下してしまう傾向にある。さらに、原料の粒径によっても影響されるが、焼成温度を550〜950℃とすると、本発明の二酸化マンガンの比表面積は1〜12m2/gの範囲となる。
次に、酸素の一部をフッ素で置換したリチウムマンガン複合酸化物を鉱酸処理することにより、リチウムを除去する。ここで、鉱酸とは、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸であり、鉱酸処理とは、この鉱酸によりリチウムマンガン複合酸化物中のリチウムを除去して、λ型二酸化マンガンを得ることである。リチウムマンガン複合酸化物としてスピネル構造のものを用いると鉱酸処理でリチウムを容易に除去することができるため、リチウムの含有量が0.5質量%以下の二酸化マンガンを得ることができる。なお、フッ素はこの鉱酸処理によりほとんど除去されない。鉱酸処理の条件は、リチウムマンガン複合酸化物中のリチウムを除去できれば特に限定されないが、例えば、10〜100g/Lの鉱酸、例えば硫酸で1時間程度洗滌後、2〜3度水洗することが好ましい。
上記鉱酸処理後、焼成することにより水分を除去してβ型二酸化マンガンである本発明の二酸化マンガンを得る。この焼成条件は特に限定されないが、焼成温度は350〜450℃が好ましく、また、焼成時間は2〜10時間であることが好ましい。
本発明の二酸化マンガンをリチウム一次電池の正極活物質に用いると、低温パルス特性及び高温耐性に優れた電池となる。なお、リチウム一次電池の負極活物質は従来から知られているものでよく、例えば、リチウム等を用いることができる。また、電池を構成する電解液も従来から知られているものでよく、例えば、リチウム塩の有機溶媒溶液等を用いることができる。
このように、本発明の正極活物質を用いたリチウム一次電池は低温パルス特性及び高温耐性に優れているので、高温、例えば120℃以上でも好適に使用することができる。
本発明の正極活物質は、二酸化マンガンの酸素の一部をフッ素に置換することにより、高温での低温パルス特性等の電池特性の劣化が改善される。また、二酸化マンガンの比表面積を1〜12m2/gと低くすると有機溶媒との反応面積が減少し、加えて付着水分量が低くなるため、高温での電池の膨張を抑制することができる。さらに、鉱酸処理により含有される硫酸根等の不純物を低減したため、低温パルス特性が改善される。
以上説明したように、本発明によると、二酸化マンガンの酸素の一部がフッ素に置換されているので、高温耐性及び低温パルス特性に優れた高性能なリチウム一次電池用正極活物質とすることができる。また、酸素の一部をフッ素で置換したリチウムマンガン複合酸化物を鉱酸処理した後、焼成することにより、一般式MnO2−xFx(式中Xは、0.001≦X≦0.2である)で表される二酸化マンガンを得ることができる。さらに、この二酸化マンガンをリチウム一次電池の正極活物質として用いると、高温耐性に優れた電池、特に120℃の高温保存前後共に低温パルス特性に優れた電池を得ることができるという効果を奏する。
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
(実施例1)
MnO2とLi2CO3を主原料として使用したLi0.5MnO2の合成において、LiFを添加して、Oの一部をFで置換したLi0.5MnO1.99F0.01を得た。具体的には、Li0.5MnO1.99F0.01となるようにMnO2(通常の電解二酸化マンガン)とLi2CO3とLiFとを混合し、大気中750℃で焼成することにより、酸素の一部をフッ素で置換したリチウムマンガン複合酸化物を得た。これを、100g/LのH2SO4で洗滌した後、水洗を行った。この後、濾過、乾燥を行い、大気中400℃で焼成することにより実施例1の二酸化マンガン(平均粒径10〜30μm)を得た。
MnO2とLi2CO3を主原料として使用したLi0.5MnO2の合成において、LiFを添加して、Oの一部をFで置換したLi0.5MnO1.99F0.01を得た。具体的には、Li0.5MnO1.99F0.01となるようにMnO2(通常の電解二酸化マンガン)とLi2CO3とLiFとを混合し、大気中750℃で焼成することにより、酸素の一部をフッ素で置換したリチウムマンガン複合酸化物を得た。これを、100g/LのH2SO4で洗滌した後、水洗を行った。この後、濾過、乾燥を行い、大気中400℃で焼成することにより実施例1の二酸化マンガン(平均粒径10〜30μm)を得た。
(実施例2)
リチウムマンガン複合酸化物がLi0.5MnO1.999F0.001となるようにした以外は、実施例1と同様に行って実施例2の二酸化マンガンを得た。
リチウムマンガン複合酸化物がLi0.5MnO1.999F0.001となるようにした以外は、実施例1と同様に行って実施例2の二酸化マンガンを得た。
(実施例3)
リチウムマンガン複合酸化物がLi0.5MnO1.8F0.2となるようにした以外は、実施例1と同様に行って実施例3の二酸化マンガンを得た。
リチウムマンガン複合酸化物がLi0.5MnO1.8F0.2となるようにした以外は、実施例1と同様に行って実施例3の二酸化マンガンを得た。
(実施例4)
リチウムマンガン複合酸化物合成時の焼成温度を550℃とした以外は、実施例1と同様に行って実施例4の二酸化マンガンを得た。
リチウムマンガン複合酸化物合成時の焼成温度を550℃とした以外は、実施例1と同様に行って実施例4の二酸化マンガンを得た。
(実施例5)
リチウムマンガン複合酸化物合成時の焼成温度を950℃とした以外は、実施例1と同様に行って実施例5の二酸化マンガンを得た。
リチウムマンガン複合酸化物合成時の焼成温度を950℃とした以外は、実施例1と同様に行って実施例5の二酸化マンガンを得た。
(実施例6)
リチウムマンガン複合酸化物合成時の焼成温度を500℃とした以外は、実施例1と同様に行って実施例6の二酸化マンガンを得た。
リチウムマンガン複合酸化物合成時の焼成温度を500℃とした以外は、実施例1と同様に行って実施例6の二酸化マンガンを得た。
(実施例7)
リチウムマンガン複合酸化物合成時の焼成温度を1000℃とした以外は、実施例1と同様に行って実施例7の二酸化マンガンを得た。
リチウムマンガン複合酸化物合成時の焼成温度を1000℃とした以外は、実施例1と同様に行って実施例7の二酸化マンガンを得た。
(比較例1)
リチウムマンガン複合酸化物がLi0.5MnO1.9995F0.0005となるようにした以外は、実施例1と同様に行って比較例1の二酸化マンガンを得た。
リチウムマンガン複合酸化物がLi0.5MnO1.9995F0.0005となるようにした以外は、実施例1と同様に行って比較例1の二酸化マンガンを得た。
(比較例2)
リチウムマンガン複合酸化物がLi0.5MnO1.75F0.25となるようにした以外は、実施例1と同様に行って比較例2の二酸化マンガンを得た。
リチウムマンガン複合酸化物がLi0.5MnO1.75F0.25となるようにした以外は、実施例1と同様に行って比較例2の二酸化マンガンを得た。
(比較例3)
通常の電解二酸化マンガンを、400℃で焼成し、比較例3の二酸化マンガンを得た。
通常の電解二酸化マンガンを、400℃で焼成し、比較例3の二酸化マンガンを得た。
(比較例4)
通常の電解二酸化マンガンにLiFを添加混合し、400℃で焼成して、比較例4の二酸化マンガンを得た。
通常の電解二酸化マンガンにLiFを添加混合し、400℃で焼成して、比較例4の二酸化マンガンを得た。
(試験例1)
実施例1〜7および比較例1〜4で得られた二酸化マンガンのフッ素含有割合X、比表面積及び硫酸根含有量を測定した。測定結果を表1に示す。なお、二酸化マンガン中のフッ素含有割合は、イオンクロマト法で測定し、硫酸根含有量は通常のICP発光分光分析法で測定した。また、比表面積の測定は、窒素通気中で250℃で20分間、二酸化マンガンを加熱し、細孔内の水分を除去後、BET1点法で行った。
実施例1〜7および比較例1〜4で得られた二酸化マンガンのフッ素含有割合X、比表面積及び硫酸根含有量を測定した。測定結果を表1に示す。なお、二酸化マンガン中のフッ素含有割合は、イオンクロマト法で測定し、硫酸根含有量は通常のICP発光分光分析法で測定した。また、比表面積の測定は、窒素通気中で250℃で20分間、二酸化マンガンを加熱し、細孔内の水分を除去後、BET1点法で行った。
表1に示すように、実施例1〜7の二酸化マンガンは、フッ素含有割合Xは0.001〜0.2であった。
(実施例1A〜7A)
実施例1〜7で得られた二酸化マンガンを正極活物質として、図1の断面図で示すコイン型リチウム一次電池を作製した。
実施例1〜7で得られた二酸化マンガンを正極活物質として、図1の断面図で示すコイン型リチウム一次電池を作製した。
正極1としては、上記正極活物質粉末を使用し、これに導電剤としてアセチレンブラック、結着剤としてポリテトラフルオロエチレン粉末を質量比90:10:5で混練し、これをローラープレスにより厚み0.5mmのシート状に成形した後、直径14mmの円形に打ち抜いたものを用いた。負極2としては、厚み0.3mmのリチウム箔を直径16mmの円形に打ち抜いたものを用いた。また、セパレータ3に含浸されている電池の電解液としては、プロピレンカーボネートと1,2−ジメトキシエタンの混合溶媒にLiClO4を1mol/L溶解したものを使用した。
図1に示すように、正極1は正極缶4に正極集電体6を介して圧着されている。また、正極1の上面には、上述の電池の電解液を含浸したポリプロピレン製微多孔膜のセパレータ3が配置されている。一方、負極2は、セパレータ3の上に配置され、負極2の上面に負極集電体7を介して圧着された負極缶5が配置されている。なお、負極缶5は、絶縁パッキング8を介して正極缶4の開口部を封止するように設けられており、これにより電池が密封されている。なお、電池の直径は20mm、厚さは1.6mmである。
(比較例1A〜4A)
比較例1〜4の二酸化マンガンを正極活物質として、実施例1A〜7Aと同様にコイン型リチウム一次電池を作製した。
比較例1〜4の二酸化マンガンを正極活物質として、実施例1A〜7Aと同様にコイン型リチウム一次電池を作製した。
(試験例2)
実施例1A〜7Aおよび比較例1A〜4Aのリチウム一次電池について、120℃で5日間の保存試験を行い、保存前後の低温パルス特性を測定した。測定は、−40℃で放電電流500mAで15秒ON、45秒OFFのパルス繰り返し放電を行い、カット電圧(終止電圧)1.5Vまでのパルス回数を測定した。比較例3Aの値をそれぞれ100%としてパルス特性を評価した。評価結果を表1に示す。
実施例1A〜7Aおよび比較例1A〜4Aのリチウム一次電池について、120℃で5日間の保存試験を行い、保存前後の低温パルス特性を測定した。測定は、−40℃で放電電流500mAで15秒ON、45秒OFFのパルス繰り返し放電を行い、カット電圧(終止電圧)1.5Vまでのパルス回数を測定した。比較例3Aの値をそれぞれ100%としてパルス特性を評価した。評価結果を表1に示す。
表1の結果から、二酸化マンガンのフッ素含有割合Xが0.001〜0.2の実施例1〜7は、従来二酸化マンガンの比較例3と比較して、概ねリチウム一次電池の保存前の低温パルス特性が向上し、また、保存後の低温パルス特性が大きく向上した。このことから、本発明の二酸化マンガンを正極活物質としたリチウム一次電池は、−40℃の低温パルス特性に優れていること及び120℃の高温保存後の低温パルス特性が特に向上し高温耐性に優れていることがわかった。この中で、実施例6はリチウムマンガン複合酸化物合成時の焼成温度が500℃と低いので、硫酸根含有量が0.6質量%より高いためか、高温保存前の低温パルス特性は他の実施例より低下することが認められた。一方、実施例7はリチウムマンガン複合酸化物合成時の焼成温度が1000℃と高いので、硫酸根濃度は低くなるが比表面積が0.5m2/gと低くなり、低温パルス特性は実施例より低下することが分かった。また、リチウムマンガン複合酸化物合成時の焼成温度が550〜950℃であると、比表面積1〜12m2/g且つ硫酸根含有量0.6質量%以下の二酸化マンガンが得られることも分かった。
フッ素含有割合の少ない比較例1では低温パルス特性は向上したが高温耐性は変わらず、また、フッ素含有割合の多い比較例2では保存前後ともに低温パルス特性が低下した。さらに、事後的にLiFを添加した比較例4では、低温パルス特性は低下し、高温耐性は向上しなかったことから、実施例1〜7では酸素の一部がフッ素に置換されて上述した効果を奏するものであると推定できる。
1 正極
2 負極
3 セパレータ
4 正極缶
5 負極缶
6 正極集電体
7 負極集電体
8 絶縁パッキング
2 負極
3 セパレータ
4 正極缶
5 負極缶
6 正極集電体
7 負極集電体
8 絶縁パッキング
Claims (11)
- 二酸化マンガンからなるリチウム一次電池用正極活物質であって、前記二酸化マンガンが、酸素の一部がフッ素に置換され、一般式MnO2−xFx(式中Xは、0.001≦X≦0.2である)で表されることを特徴とするリチウム一次電池用正極活物質。
- 請求項1において、前記二酸化マンガンの比表面積が、1〜12m2/gであることを特徴とするリチウム一次電池用正極活物質。
- 請求項1または2において、前記二酸化マンガンには、硫酸根が0.6質量%以下含有されていることを特徴とするリチウム一次電池用正極活物質。
- 請求項1〜3の何れかにおいて、前記二酸化マンガンは、酸素の一部をフッ素で置換したリチウムマンガン複合酸化物を、鉱酸処理した後、焼成したものであることを特徴とするリチウム一次電池用正極活物質。
- 酸素の一部をフッ素で置換したリチウムマンガン複合酸化物を鉱酸処理した後、焼成することにより、酸素の一部がフッ素に置換された二酸化マンガンを得ることを特徴とする二酸化マンガンの製造方法。
- 請求項5において、前記二酸化マンガンが、酸素の一部がフッ素に置換され、一般式MnO2−xFx(式中Xは、0.001≦X≦0.2である)で表されることを特徴とする二酸化マンガンの製造方法。
- 請求項5または6において、前記二酸化マンガンの比表面積が、1〜12m2/gであることを特徴とする二酸化マンガンの製造方法。
- 請求項5〜7の何れかにおいて、前記二酸化マンガンの硫酸根含有量が0.6質量%以下であることを特徴とする二酸化マンガンの製造方法。
- 請求項5〜8の何れかにおいて、前記リチウムマンガン複合酸化物を、原料としての二酸化マンガンとリチウム塩とフッ素化合物とを混合した後、焼成することにより得ることを特徴とする二酸化マンガンの製造方法。
- 請求項9において、前記リチウムマンガン複合酸化物を、原料としての二酸化マンガンとリチウム塩とフッ素化合物とを混合した後、550〜950℃で焼成することにより得ることを特徴とする二酸化マンガンの製造方法。
- 請求項9または10において、前記原料としての二酸化マンガンが、電解法により得られた電解二酸化マンガンであることを特徴とする二酸化マンガンの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004185606A JP2005038840A (ja) | 2003-06-24 | 2004-06-23 | リチウム一次電池用正極活物質および二酸化マンガンの製造方法 |
Applications Claiming Priority (2)
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JP2003180248 | 2003-06-24 | ||
JP2004185606A JP2005038840A (ja) | 2003-06-24 | 2004-06-23 | リチウム一次電池用正極活物質および二酸化マンガンの製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2005038840A true JP2005038840A (ja) | 2005-02-10 |
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ID=34220215
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JP2004185606A Pending JP2005038840A (ja) | 2003-06-24 | 2004-06-23 | リチウム一次電池用正極活物質および二酸化マンガンの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2005038840A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016122586A (ja) * | 2014-12-25 | 2016-07-07 | 信越化学工業株式会社 | リチウムコバルト系複合酸化物及びその製造方法、並びに電気化学デバイス及びリチウムイオン二次電池 |
-
2004
- 2004-06-23 JP JP2004185606A patent/JP2005038840A/ja active Pending
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