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JP2005034926A - ウェーハ基板の研磨方法及びウェーハ - Google Patents

ウェーハ基板の研磨方法及びウェーハ Download PDF

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JP2005034926A
JP2005034926A JP2003197784A JP2003197784A JP2005034926A JP 2005034926 A JP2005034926 A JP 2005034926A JP 2003197784 A JP2003197784 A JP 2003197784A JP 2003197784 A JP2003197784 A JP 2003197784A JP 2005034926 A JP2005034926 A JP 2005034926A
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wafer substrate
polishing
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single crystal
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JP2003197784A
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Toshishige Murai
利成 村井
Yukio Shibano
由紀夫 柴野
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Shin Etsu Chemical Co Ltd
Original Assignee
Shin Etsu Chemical Co Ltd
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Abstract

【課題】弾性表面波デバイス等の圧電性酸化物単結晶ウェーハ基板の鏡面研磨加工方法に関し、ワックス貼り付け方法を用いることなく、高平坦度等の優れた加工精度を再現性よく製造することができるウェーハ基板の研磨方法及びこれによって得られるウェーハを提供する。
【解決手段】圧電性酸化物単結晶ウェーハ基板5の粗面化した裏面を、水等の液体を介してプレート4に直接保持させ、この状態で片面研磨により鏡面研磨加工を行なう。この際、圧電性酸化物単結晶ウェーハ基板が、プレートのウェーハ保持位置となる凹部内で自由に回転することによりウェーハ基板裏面に擦れキズが生じないよう、ウェーハ基板と同一形状(オリエンテーションフラット(OF)付き)に型抜きされたテンプレートを用い、回転を防止する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、ウェーハ、特に弾性表面波フィルター用等に用いられるタンタル酸リチウム単結晶ウェーハ基板の片面のみを鏡面研磨する方法及びこれによって得られるウェーハに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
PHSや携帯電話等の移動体通信分野では、弾性表面波素子の基板としてタンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム、水晶、四ホウ酸リチウム又はランガサイト等の圧電性酸化物単結晶ウェーハが利用されている。
【0003】
弾性表面波素子は、これら圧電性を呈する酸化物単結晶ウェーハの一主面にインターデジタル形状(櫛型形状)のトランスデューサ(電極)を設けることにより構成されている。このような構成においては、トランスデューサで弾性表面波を励受信する形となるため、この単結晶ウェーハのトランスデューサ形成面は鏡面研磨する必要がある。また、単結晶ウェーハの裏面側が同様な鏡面であると、弾性表面波の励受信と同時にバルク波等の不要波(障害波)も励受信し、周波数特性におけるスプリアス妨害等を引き起こしてしまう。そこで、表面波デバイス用の単結晶ウェーハにおいては、裏面側を粗い研磨剤による研磨(ラップ)やホーニング加工等によって粗面化している。
【0004】
従来、これらウェーハは以下のように製造されている。即ち、チョクラルスキー法等により得られた単結晶インゴットに対して指定された方向に平面(オリエンテーションフラット)を形成し、内周刃ブレード用スライサー又はワイヤーソーを用いて切断し、板状ウェーハを得、得られたウェーハの両面を所定の厚さまでラップし、次いで研磨装置にて片面のみを鏡面研磨し、研磨終了後に洗浄することによって得られている。
このような弾性表面波フィルター用等に用いられる圧電性酸化物単結晶ウェーハの特性においては、以下の項目が重要となってくる。
【0005】
弾性表面波フィルターの用途において、圧電性酸化物単結晶ウェーハに金属電極を形成する必要があり、例えばウェーハ表面に写真製版等によりパターン形成する際、ウェーハ表面形状が不規則にうねっていると、パターンに則った金属電極が形成されなくなる。従って、設計された電極パターン通りに圧電性酸化物単結晶ウェーハ上に金属電極を形成するためには、ウェーハ表面形状に関して起伏の小さい、即ち平坦度等のよいウェーハを提供しなければならない。
【0006】
上述した弾性表面波素子用の圧電性酸化物単結晶ウェーハの鏡面研磨加工は、従来、裏面にワックスが塗布された圧電性酸化物単結晶ウェーハを加熱してセラミックスプレートにワックス接着したり(特許文献1:実開昭58−129658号公報)、セラッミクスプレートのウェーハを保持する部分に無数の吸着孔を設けて圧電性酸化物単結晶ウェーハを真空吸着したり(特許文献2:特開平2−98926号公報)、バッキング材(バックパッド)と呼ばれる発泡ポリウレタン等からなる吸着材で圧電性酸化物単結晶ウェーハを水吸着し(特許文献3:特開昭62−297064号公報、特許文献4:特開昭63−93562号公報)、片面研磨することにより実施している。
【0007】
これら従来の圧電性酸化物単結晶ウェーハの保持方法のうち、ウェーハをワックスで接着保持する方法は、平坦度等の加工精度に優れる反面、接着に技術を要すると共に、接着に使用したワックスを洗浄する工程が必要であるため、取り扱いが煩雑になったり、特に粗面化した裏面側に付着したワックスを完全に除去しきれないと、電極剥がれ等の原因となるような問題があった。加えて、圧電性酸化物単結晶ウェーハを加熱して接着するため、加熱工程で単結晶ウェーハに割れ等が発生し易いという問題も招いていた。
【0008】
ウェーハをセラミックスプレートに真空吸着保持する方法も、平坦度等の加工精度に優れる反面、ウェーハとプレートの間に異物が介在してしまうと、その部分が極度に研磨されてヘコミを生じてしまう危険性が高い。従って、異物混入を未然に防ぐ必要があり、徹底的にクリーン度を管理したり、極力人が介在しない自動化を推進しなければならず、莫大な設備投資が必要である。
【0009】
一方、バッキング材を用いてウェーハを吸着保持する方法は、上記のような不具合はなく、後工程に関しても特に問題がないものの、発泡ポリウレタン等からなる吸着材の厚みバラツキにより、圧電性酸化物単結晶ウェーハの平坦度等の加工精度が低下し易いと共に、ウェーハ外周部に面だれが発生し易いという問題があった。
【0010】
また、弾性表面波素子用の圧電性酸化物単結晶ウェーハの鏡面研磨加工に、平坦度等を高精度化し易い両面研磨方法を適用することも検討されているが、鏡面研磨後に上述した裏面の粗面化加工を行わなければならず、表面側の鏡面を保護する手間が生じると共に、たとえ表面側を保護した上で粗面化加工を行っても、表面側の鏡面にキズ等が発生し易いというような問題があった(特許文献5:特開2000−124758号公報、特許文献6:特開2001−192296号公報)。
【0011】
従来の弾性表面波素子等に使用される圧電性酸化物単結晶ウェーハの鏡面研磨加工において、ワックスを用いて圧電性酸化物単結晶ウェーハを接着保持する方法では、ワックスの洗浄工程が必要であるため、取り扱いが煩雑になると同時に、粗面化した裏面にワックスが残留すると電極剥がれ等の原因となり、更には接着時の加熱工程で圧電性酸化物単結晶ウェーハに割れ等が生じ易いという問題が残った。圧電性酸化物単結晶ウェーハをセラミックスプレートに真空吸着保持する方法では、クリーン度の管理が重要となり、莫大な設備投資が必要であるという問題が残った。一方、バッキング材を用いて圧電性酸化物単結晶ウェーハを吸着保持する方法は、吸着材の厚みバラツキによって高平坦度等が得られ難いという問題が残った。
また、両面研磨方法を適用した場合には、鏡面研磨後に圧電性酸化物単結晶ウェーハの裏面を粗面化する必要があるために、表面側の鏡面にキズ等が発生し易いという問題が残った。
【0012】
更に、鏡面化すべき面を外側が表面となるように2枚のウェーハを貼り合わせて両面鏡面研磨機で加工する方法も提案されているが(特許文献7:特開平11−309665号公報)、ウェーハ同士が擦れ合うことによるウェーハ裏面キズの発生や貼り合わせ作業の煩わしさ等の問題があった。
【0013】
【特許文献1】
実開昭58−129658号公報
【特許文献2】
特開平2−98926号公報
【特許文献3】
特開昭62−297064号公報
【特許文献4】
特開昭63−93562号公報
【特許文献5】
特開2000−124758号公報
【特許文献6】
特開2001−192296号公報
【特許文献7】
特開平11−309665号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、ウェーハ、特に弾性表面波素子等に使用される圧電性酸化物単結晶ウェーハ基板の片面鏡面研磨加工において、研磨時及び研磨工程後の取り扱い性等に問題を生じさせることなく、作業性の向上を図ると共に、莫大な設備投資も必要とせず、高平坦度等の優れた加工精度を有する片面鏡面ウェーハを再現性よく製造することができるウェーハ基板の研磨方法及びこれによって得られたウェーハを提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、ウェーハ基板の片面を鏡面加工する研磨工程において、ウェーハ基板の保持方法を工夫することにより、以下の知見を見出し、本発明をなすに至ったものである。
【0016】
即ち、本発明は、下記ウェーハ基板の研磨方法及びウェーハを提供する。
請求項1:
研磨定盤上に配設された研磨布とプレートとの間にウェーハ基板を介在させ、上記研磨定盤及びプレートをそれぞれ回転させることにより、ウェーハ基板の研磨布側の面を該研磨布によって鏡面研磨する方法において、上記ウェーハ基板のプレート側の面を液体を介して該液体の吸着力により直接プレートに保持させた状態で鏡面研磨加工を行うことを特徴とするウェーハ基板の研磨方法。
請求項2:
ウェーハ基板にオリエンテーションフラットが形成されていると共に、このオリエンテーションフラットを有するウェーハ基板と同一形状の型抜き穴が形成されたテンプレートを上記プレートに固定し、このテンプレートの型抜き穴に上記ウェーハ基板を嵌合させた状態で上記プレートに液体を介して直接保持させた請求項1記載の研磨方法。
請求項3:
上記プレートのウェーハ基板保持面が、その周縁部から中央部に向かうに従い、漸次ウェーハ基板側に突出するように形成された請求項1又は2記載の研磨方法。
請求項4:
上記プレートのウェーハ基板保持面が、曲率半径Rが5.0km以上の凸面に形成された請求項3記載の研磨方法。
請求項5:
上記ウェーハ基板が圧電性酸化物単結晶基板である請求項1乃至4のいずれか1項記載の研磨方法。
請求項6:
圧電性酸化物単結晶基板がタンタル酸リチウム単結晶基板である請求項5記載の研磨方法。
請求項7:
請求項1乃至6のいずれか1項記載の研磨方法により片面が鏡面研磨されることにより得られたウェーハ。
【0017】
本発明のウェーハ基板の研磨方法は、前記鏡面研磨工程を前記圧電性酸化物単結晶等のウェーハ基板の裏面を粗面化した後に行い、この粗面化した圧電性酸化物単結晶等のウェーハ基板の裏面側を、液体を介してプレートに直接保持させることを特徴としている。
【0018】
この場合、本発明のウェーハ基板の研磨方法は、ウェーハ基板の裏面側を液体を介してプレートに直接保持させることから、プレート形状精度がウェーハの加工精度に及ぼす影響が大きく、プレート精度を、プレートのウェーハ基板保持面の曲率半径Rとして5.0km以上、好ましくは9.0km以上の凸形状に形成することが好ましい。
【0019】
ここで、曲率半径とは、曲線に接触する円の半径を意味し、この場合、プレート中央部を中心として互いに対向するプレート両端縁部及びこのプレート中央部を通る円弧を形成する円の半径として、容易に算出することができる。例えばφ485mm径のプレートの場合、曲率半径R=5.88kmが、プレート両端縁部とプレート中央部との高低差5.0μmに相当する。従って、具体的にはφ485mm径のプレートを用いる場合、プレートの曲率半径Rを5.0km以上、特に9.0km以上の凸形状にすることが好ましい(即ち、プレート精度として、プレートのウェーハ基板保持面の中央部の突出高さhを0μm≦h≦5μmの凸面、特に0μm≦h≦3μmの凸面とすることが好ましい)。なお、プレートは完全な平坦(即ち、プレートのウェーハ基板保持面の中央部の突出高さが0μm)でも差し支えないが、研磨条件の制御性を考慮すると中央部が突出していた方が好ましい。
【0020】
このようにプレート精度としてプレートのウェーハ基板保持面を凸形状にした場合、プレート自体が研磨布上で回転することによりプレート周縁部から中央部に周速度差が生じ、これよリウェーハ基板にも面内に研磨速度差が生じて、プレート中央部に相当する部分は研磨速度が小さく、プレート周縁部に相当する部分は研磨速度が大きくなる傾向となるため、この研磨速度を補うことができる。なお、プレートの形状はウェーハ基板保持面と反対面も同一形状、即ち周縁部から中央部に向かうに従い、漸次回転シャフト側に突出するように形成されていることが好ましい。
なお、プレートの厚さは適宜選定されるが、通常10〜30mmであることが好ましい。
【0021】
また、本発明のウェーハ基板の研磨方法は、ワックスを用いてウェーハを接着保持する方法や圧電性酸化物単結晶ウェーハをセラミックスプレートに真空吸着保持する方法と異なり、ウェーハ基板がプレートに固定されているものではないことから、鏡面研磨加工中に圧電性酸化物単結晶等のウェーハ基板がプレートのウェーハ保持位置で自由に回転することによりウェーハ裏面に擦れキズが生じないようにすることが好ましい。そこで、ウェーハ基板が、プレートのウェーハ保持位置で自由に回転することを防止するため、ウェーハ基板にオリエンテーションフラット(OF)を形成すると共に、このOF付きウェーハ基板と同一形状に型抜きされているテンプレートを用いることが好ましい。
【0022】
このウェーハ基板と同一形状(オリエンテーションフラット(OF)付き)に型抜きされているテンプレートに関しては、研磨工程直後のウェーハ基板回収作業に際し、ウェーハ基板を回収し易いようにオリエンテーションフラット部又はウェーハ基板周縁部の一部に指の大きさ程度の切り欠きを設けた方がより好ましい。
【0023】
更に、このオリエンテーションフラット部を設ける位置も、ウェーハ基板がプレートのウェーハ基板保持位置となるテンプレートの型抜き穴内で自由に回転することをより効果的に抑制するため、オリエンテーションフラット部をその長さ方向(図における直線方向)がプレートの回転方向に対してほぼ直面するように形成することがより好ましい。例えば図2のようにプレートの中央部に対向するように設けても差し支えないが、テンプレートの使用時間をより長くするためには図3のようにプレートの回転方向に対してオリエンテーションフラット部がほぼ直面するように形成することがより好ましい。
【0024】
本発明のウェーハ基板の研磨方法においては、ウェーハ基板を水等の液体を介してプレートに直接保持させている。従って、従来用いられてきたバッキング材が介在していないことから、圧電性酸化物単結晶等のウェーハ基板の平坦度等を高精度に加工することができる。また、圧電性酸化物単結晶等のウェーハ基板の裏面を粗面化した後に鏡面研磨を実施し、この粗面化した裏面側をプレートに直接保持させても、ウェーハ基板が、プレートのウェーハ基板保持位置で自由に回転しない工夫を施すことにより、裏面の粗さ変化を十分効果的に限度内に抑制することができる。
【0025】
一方、ウェーハ基板の吸着保持自体は、上記したように、従来のバッキング材を使用した場合と同様に、例えば水吸着により行っているため、鏡面研磨時及び加工後の取り扱い性に優れ、作業効率の向上を図ることができ、更には粗面化した裏面側に付着物が残留するおそれが極めて少ないため、残留付着物による電極剥がれ等を防止することができる。
加えて、従来のバッキング材を使用した研磨方法と比べて設備的に大きな変更点はなく、付帯設備等の投資は一切必要がない。
【0026】
なお、本発明において、ウェーハ基板は、丸形、少なくとも平面部分(例えばオリエンテーションフラット)を1箇所有する角型のいずれでもよく、大きさは特に制限ないが、厚さは5mm以下が好ましい。また、本発明においてウェーハ基板としては、圧電性酸化物単結晶基板であることが好ましく、特にタンタル酸リチウム単結晶基板であることが好ましい。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施するための形態についてウェーハ基板として圧電性酸化物単結晶ウェーハ基板を用いた場合を例に説明する。
図1は、本発明の圧電性酸化物単結晶ウェーハの製造方法を説明するための片面研磨装置の構成例を示す図である。同図において、1は研磨定盤である。この研磨定盤1の表面(上面)には研磨布2が貼り付けられており、研磨面を提供するものである。この研磨定盤1の下側には駆動軸3が固着されており、この駆動軸3を介して図示を省略したが、駆動系(例えばモーター)により、研磨定盤1は任意の回転速度で回転駆動される。
【0028】
上記したような研磨定盤1上(実際には研磨布2上)には、例えばセラミックスプレートからなるプレート4に保持された圧電性酸化物単結晶ウェーハ基板5がセットされる。このプレート4への圧電性酸化物単結晶ウェーハ基板5のセットに先立ち、事前に例えばエポキシガラス材からなる型抜き穴6aを有するテンプレート6(図2、図3に相当する)をプレート4に粘着テープを介して接着し、プレート4にウェーハ保持位置となる凹部(型抜き穴6a)を設けておく。この凹部内に圧電性酸化物単結晶ウェーハ基板5を例えば水等の液体を介して、この液体による吸着力により保持させることができる。なお、鏡面研磨加工中に圧電性酸化物単結晶ウェーハ基板5がプレート4のウェーハ保持位置となる凹部内で自由に回転しないように、基板5にオリエンテーションフラット(OF)6bが形成されていると共に、テンプレート6にはこのウェーハと同一形状(オリエンテーションフラット(OF)付き)の型抜き穴6aが施されている。
【0029】
このウェーハと同一形状(オリエンテーションフラット(OF)付き)に型抜きされているテンプレートに関しては、研磨工程直後のウェーハ基板回収作業に際し、ウェーハ基板を回収し易いようにオリエンテーションフラット部乃至ウェーハ基板周縁部の一部に指の大きさ程度の切り欠き6cを設けたほうがより好ましい。
【0030】
更に、このオリエンテーションフラット部を設ける位置も、ウェーハがプレートのウェーハ保持位置となる凹部内で自由に回転することを抑制するため、プレートの回転方向に対して直面するように設けたほうがより好ましい。即ち、図2のような位置でも差し支えないが、テンプレートの使用時間をより長くするためには図3のような位置がより好ましい。
【0031】
圧電性酸化物単結晶ウェーハ基板5が吸着保持されたプレート4は、回転シャフト7を介して図示を省略したが別の駆動系により回転駆動される。また、研磨布2上には、図示を省略したが、研磨剤供給装置から研磨剤が供給される。そして、上記研磨剤を供給しつつ研磨定盤1を回転させると共に、圧電性酸化物単結晶ウェーハ基板5をプレート4で研磨布2に押圧した状態で、プレート4を研磨定盤1とは逆方向に回転させる。このようにして、圧電性酸化物単結晶ウェーハ基板5の表面(研磨布2との摺接面)の鏡面研磨加工が行われる。
【0032】
図4に従来のバッキング材を使用した場合の片面研磨装置の構成例を示す。本発明と比較し、プレート4と圧電性酸化物単結晶ウェーハ基板5との間にバッキング材8が介在している。研磨機構そのものは本発明と同一である。圧電性酸化物単結晶ウェーハ基板5は、例えば水等の液体を介してバッキング材8に吸着(例えば水吸着)される。バッキング材8は発泡ポリウレタン等から構成された吸着材のため、圧電性酸化物単結晶ウェーハ基板5はバッキング材8に強固に固着される。よって、本研磨方法に用いられるテンプレート9(図5、図6に相当する)は圧電性酸化物単結晶ウェーハ基板5とほぼ同一直径を有する円形に型抜きを施すことで十分対応できる。なお、9aは円形状の型抜き穴である。
【0033】
次に、上述した片面研磨装置を用いた実施形態による圧電性酸化物単結晶ウェーハの製造工程について述べる。即ち、まず酸化物単結晶を例えばチョクラルスキー法により育成してそのインゴットを得て、指定された方向に平面(オリエンテーションフラット)を形成し、次いでこれを所定の厚さにスライス加工して板状のウェーハ基板を得る。このスライスウェーハ基板を両面ラップで所望の厚さまで研磨する。このスライス加工とラップ加工は、従来と同様に行えばよい。
【0034】
上記のようにラップ(表裏面を粗面化加工)した圧電性酸化物単結晶ウェーハ基板5に関し、図1に示した片面研磨装置を用いて鏡面研磨加工を行う。この鏡面研磨工程においては、まずプレート4の凹部内(プレート4に固定されたテンプレート6の型抜き穴6a)内に、粗面化した圧電性酸化物単結晶ウェーハ基板5の裏面側を、例えば水等の液体を介して吸着保持させる。
【0035】
次いで、この圧電性酸化物単結晶ウェーハ基板5を吸着保持したプレート4を研磨定盤1上に、研磨する面を研磨布2に接するようにセットする。そして、回転シャフト7をプレート4直上からゆっくり降ろしてプレート4に接触させ、研磨剤を研磨定盤1上に供給しつつ、プレート4と研磨定盤1を回転駆動させることによって、圧電性酸化物単結晶ウェーハ基板5の表面(粗面化加工した面と反対側の面)を鏡面研磨する。上述した鏡面研磨加工において、圧電性酸化物単結晶ウェーハ基板5は水等の液体を介してプレート4に直接保持されており、従来用いられてきたバッキング材8は介在していない。従って、圧電性酸化物単結晶ウェーハ基板5の加工精度、例えば平坦度等を高精度化することができる。具体的には、4インチ径の圧電性酸化物単結晶ウェーハ基板TTV(Total Thickness Variation)が3μm以下、5mm×5mmsiteにおけるLTVmax(Local Thickness Variation)が0.5μm以下の平坦度を再現性よく鏡面研磨加工することが可能となる。
【0036】
本発明における平坦度は、光学式斜入射レーザー干渉方式により、TTV(Total Thickness Variation)、LTVmax(Local Thickness Variation)を指標に評価することができる。ここで、TTVとは、ウェーハをクランプした状態で、ウェーハ裏面を基準平面とし、裏面に対する最大値と最小値の高さの差をいう。
【0037】
一方、LTVmaxとは、TTV同様、ウェーハをクランプした状態で、ウェーハ裏面を基準平面とし、更にウェーハ面内を正方形(本発明においては5mm×5mm)に区切った領域における裏面に対する最大値と最小値の高さの差を測定して、その中での最大値をいう。
【0038】
また、圧電性酸化物単結晶ウェーハ基板5の吸着保持は、従来のバッキング材8を使用した場合と同様に、例えば水吸着により行っているため、鏡面研磨加工後の取り扱い性に優れ、従来のワックス接着のように高度な洗浄等を必要としないため、作業効率の低下を防止することができる。更に、粗面化した裏面側に付着物が残留するおそれが極めて少ないため、残留付着物による電極剥がれ等を防止することができ、弾性表面波素子等の歩留りを向上させることが可能となる。
加えて、従来のバッキング材8を使用した研磨方法と比べて設備的に大きな変更点はなく、付帯設備等の投資は一切必要がない。
【0039】
このように、上述した圧電性酸化物単結晶ウェーハの製造方法の実施形態によれば、設備投資を一切せずに、従来のバッキング材を使用した研磨方法を変更することにより、高平坦度等の加工精度が得られると共に、このような圧電性酸化物単結晶ウェーハ基板の鏡面研磨加工の作業性及び後工程の作業性の向上を図ることが可能となる。従って、圧電性酸化物単結晶ウェーハを用いた弾性表面波素子等の歩留り並びに作業効率の向上等に大きく寄与するものである。
【0040】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0041】
[実施例1]
試料として、直径4インチのタンタル酸リチウム(LiTaO)単結晶ウェーハ基板を用いた。チョクラルスキー(CZ)法によって製造したこの単結晶を、OF加工後、ワイヤーソーを用いてスライスし、表裏面が規定粗さの状態になるよう適切な研磨剤(遊離砥粒)を用いて、このスライスウェーハ基板を両面ラップで所望の厚さまで研磨した。
この後、上記のようにラップ(表裏面を粗面化加工)したウェーハに関し、ウェーハ基板保持面が曲率半径R=9.8km(中央部の突出高さ3μm)の板形状を有するプレートを用いて図1に示したような片面研磨装置を用いて鏡面研磨加工を行った。具体的には、セラミックス製のプレート4の凹部内(テンプレート6の型抜き穴6a内)にウェーハ基板の粗面化した裏面側を当接して水吸着させ、この状態でプレート4を研磨定盤1上に、研磨する面を研磨布2に接するようにセットした。次いで、回転シャフト7をプレート4直上からゆっくり降ろしてプレート4に接触させ、コロイダルシリカなる研磨剤を研磨布2上に供給しながら徐々に加圧し、ゆっくりと回転させた後に規定回転速度を維持しながら所定の圧力を加え、鏡面研磨加工を行った。この鏡面研磨加工後にウェーハ表面に付着しているコロイダルシリカなる研磨剤及びパーティクルを除去するため、所定の薬液にて、特定周波数の超音波洗浄を実施した。
【0042】
このような工程を100枚のウェーハ基板について実施し、平坦度を測定したところ、TTVで0.78〜2.89μm、5mm×5mmsiteにおけるLTVmaxで0.21〜0.48μmであった。
また、ウェーハ基板裏面を蛍光灯下で観察したところ、キズの発生は一切認められなかった。
【0043】
[比較例1]
図4に示したような片面研磨装置を用いて、図5に示したようにバッキング材(バッキング材の材質:発泡ポリウレタン、厚さ0.4mm)を介在させた曲率半径R=9.8km(中央部の突出高さ3μm)の板形状を有するプレートを用いる以外は実施例1と同様にして、鏡面研磨加工を行った。この鏡面研磨加工後にウェーハ基板表面に付着しているコロイダルシリカなる研磨剤及びパーティクルを除去するため、所定の薬液にて、特定周波数の超音波洗浄を実施した。
【0044】
このような工程を100枚のウェーハ基板について実施し、平坦度を測定したところ、TTVで2.18〜4.68μm、5mm×5mmsiteにおけるLTVmaxで0.78〜2.08μmであった。
なお、ウェーハ基板裏面を蛍光灯下で観察したところ、キズの発生は一切認められなかった。
【0045】
【0046】
以上のように、実施例の方が比較例よりもウェーハ基板平坦度の加工精度が優れており、ウェーハ基板全面にわたって設計されたパターン通りに金属電極を形成できるため、デバイス歩留りの改善を図ることができる。更に、ウェーハ基板裏面には擦れキズが一切生じないことから、キズに起因したワレ等の心配も回避することができる。
【0047】
なお、実施例において直径4インチのタンタル酸リチウムウェーハを例に説明したが、本発明は、弾性表面波フィルター用等に用いられるタンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム、水晶、四ホウ酸リチウム又はランガサイト等の圧電性酸化物単結晶ウェーハに関して有効なものであり、厚さや直径に関しては上記の例に限定されない。
【0048】
また、ウェーハは、圧電性酸化物単結晶ウェーハ以外にも、シリコンウェーハ、化合物半導体ウェーハ又は合成石英ウェーハ等の片面のみ鏡面化されたウェーハ状基板であればあらゆる素材に適用できる。
【0049】
【発明の効果】
本発明のウェーハ基板の研磨方法によれば、鏡面研磨時及び後工程の作業性の向上を図った上で、平坦度等の加工精度を向上させることができる。そして、このような片面鏡面研磨ウェーハを用いることにより、その後のデバイス化工程における歩留りを向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のウェーハ基板の研磨方法の実施形態で使用した片面研磨装置の構成を示す概略断面図である。
【図2】本発明のウェーハ基板の研磨方法の実施形態で使用したテンプレート形状の一例を示す平面図である。
【図3】本発明のウェーハ基板の研磨方法の実施形態で使用したテンプレート形状の他の例を示す平面図である。
【図4】従来のウェーハ基板の研磨方法で使用されている片面研磨装置の構成を示す概略断面図である。
【図5】従来のウェーハ基板の研磨方法で使用されているテンプレート形状の一例を示す平面図である。
【図6】比較形態で使用したテンプレート形状の一例を示す平面図である。
【符号の説明】
1 研磨定盤
2 研磨布
3 駆動軸
4 プレート
5 ウェーハ
6,9 テンプレート
7 回転シャフト
8 バッキング材

Claims (7)

  1. 研磨定盤上に配設された研磨布とプレートとの間にウェーハ基板を介在させ、上記研磨定盤及びプレートをそれぞれ回転させることにより、ウェーハ基板の研磨布側の面を該研磨布によって鏡面研磨する方法において、上記ウェーハ基板のプレート側の面を液体を介して該液体の吸着力により直接プレートに保持させた状態で鏡面研磨加工を行うことを特徴とするウェーハ基板の研磨方法。
  2. ウェーハ基板にオリエンテーションフラットが形成されていると共に、このオリエンテーションフラットを有するウェーハ基板と同一形状の型抜き穴が形成されたテンプレートを上記プレートに固定し、このテンプレートの型抜き穴に上記ウェーハ基板を嵌合させた状態で上記プレートに液体を介して直接保持させた請求項1記載の研磨方法。
  3. 上記プレートのウェーハ基板保持面が、その周縁部から中央部に向かうに従い、漸次ウェーハ基板側に突出するように形成された請求項1又は2記載の研磨方法。
  4. 上記プレートのウェーハ基板保持面が、曲率半径Rが5.0km以上の凸面に形成された請求項3記載の研磨方法。
  5. 上記ウェーハ基板が圧電性酸化物単結晶基板である請求項1乃至4のいずれか1項記載の研磨方法。
  6. 圧電性酸化物単結晶基板がタンタル酸リチウム単結晶基板である請求項5記載の研磨方法。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項記載の研磨方法により片面が鏡面研磨されることにより得られたウェーハ。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007090515A (ja) * 2005-08-31 2007-04-12 Shin Etsu Chem Co Ltd ウェーハの研磨方法及びウェーハ
KR101174925B1 (ko) * 2005-08-31 2012-08-17 신에쓰 가가꾸 고교 가부시끼가이샤 웨이퍼의 연마 방법 및 연마된 웨이퍼
JP2013220516A (ja) * 2012-04-18 2013-10-28 Sumitomo Metal Mining Co Ltd ウェハ基板及びその製造方法

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