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JP2005032693A - リチウムイオン二次電池 - Google Patents

リチウムイオン二次電池 Download PDF

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Abstract

【目的】 マンガン酸リチウムを正極に用いた高い容量をもつリチウムイオン二次電池を実用化するため、高温での電池の劣化の抑制を目的とする。
【構成】 マンガン酸リチウムとY、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luのいずれか一つ以上の金属イオンを含む溶液を混合した後に焼成して得た物質を正極に用いることにより、正極からのMn溶解が少なくなり負極劣化を抑制することになり、リチウムイオン二次電池の高温における激しい劣化を抑制する。

Description

発明の詳細な説明
この発明はマンガン酸リチウムを正極に用いるリチウムイオン二次電池の高温劣化の抑制に関するものである。
従来の技術とその課題
マンガン酸リチウムは、豊富な資源量、高い安全性、安い価格、低い環境負荷の点から、大型リチウムイオン二次電池の正極として期待されている。しかし、これを正極に用いたリチウムイオン二次電池を高温で保存すると容量が激しく劣化する。このため、リチウム過剰のマンガン酸リチウムを正極に用いたリチウムイオン二次電池が試作されている。しかし、リチウムを過剰にすると活物質に相当する3価Mnが減少するために正極容量が大きく減少する。このようなことからマンガン酸リチウムを正極に用いた高い容量をもつリチウムイオン二次電池の実用化が難しかった。高温状態で電池が激しく劣化する原因は、正極に用いたマンガン酸リチウムからマンガンが溶け出して負極に付着して負極を激しく劣化するためである。
発明が解決しようとする課題
マンガン酸リチウムを正極に用いた高い容量をもつリチウムイオン二次電池を実用化するためには、高温での電池の劣化を抑制することが必要である。
課題を解決するための手段
本発明は、マンガン酸リチウムを正極に用いたリチウムイオン二次電池を高温状態に保持した場合における容量の劣化問題を解決するために、マンガン酸リチウムとY、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luのいずれか一つ以上の金属イオンを含む溶液を混合した後に焼成して得た物質を正極に用いてリチウムイオン二次電池の高温における激しい劣化を抑制するものである。
この発明において、マンガン酸リチウム粒子にY、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luのいずれか一つ以上の金属イオンを付着させて、その後、焼成することによりMn溶解の少ないマンガン酸リチウムを調整し、これを正極に用いて高温でも劣化の少ないリチウムイオン二次電池を得ようとするものである。
発明の実施形態
マンガン酸リチウムはLiMnの組成に限定されるものではなく、Mnの一部をLi、Na、Mg、Ca、Al、Cr、Fe、Co、Niなどの異種金属イオンで置換したものでも構わない。
金属イオンを含む溶液を調整する際に、金属イオンとして溶液中に存在すればよいので金属塩や金属イオンの化学形態は特に限定されないが、硝酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩などの金属塩が考えられるが、これに限定されるものではない。また、種々の金属錯体なども溶存化学種として可能である。
溶液としては水溶液が考えられるが、金属塩や金属錯体を溶かす溶媒であればこれに限定されず、他にアルコールなどの有機溶媒が適当なものとして挙げられる。
マンガン酸リチウムに対して金属イオンのモル比は5分の1から100分の1が適量であるが、これ以外のモル比であっても効果が見られるので、特にこれに限定されるものではない。また、溶液の濃度として10mmol/dmから0.2mol/dm程度が適当であるがこれに限定されるものでなく、溶液の濃度が0.2mol/dm程度だと濃すぎる場合が多く、その場合には溶媒を適宜加えて希釈する。マンガン酸リチウムの量に対してスラリー状態になる溶液量が適切であるが、これに限定されるものではない。
マンガン酸リチウムと金属イオンを含む溶液をスラリー状態にして混ぜるが、熱を加えて溶媒を蒸発させながら混合するのが適切であるが、これに限定されるものではない。温度は特に限定しないが、100度以下が望ましく、溶媒が十分蒸発して粉状にマンガン酸リチウムがなるまで混合するのが適切な方法の一つとして挙げられるが、これに限定されるものではなく、溶液中の金属イオンがマンガン酸リチウムの表面に付着するように行うことが重要であり、マンガン酸リチウム表面に金属イオンを含む溶液を噴霧したりする方法も同様の効果を生む。
このように処理したマンガン酸リチウムを焼成するが、焼成温度として、450度から850度が望ましいが、特にこれに限定されるものではなく、金属塩が分解する温度で焼成すれば構わない。
発明の効果
この発明の効果は、本発明の処理をしたマンガン酸リチウムを正極に用いると高温でも劣化の少ないリチウムイオン二次電池を作製することができる。添加した金属イオンがマンガン酸リチウム粒子の表面に付着し、結晶格子の破壊などを防ぎ、その結果Mn溶解が抑制されたものと考えているが、検証はまだ不十分である。
次に実施例によってこの発明をさらに具体的に説明する。
実施例1
日本重化学工業製のスピネル型マンガン酸リチウム(Li/Mn=0.51、単位格子長0.8241nm)500mgをバイアルビンに取り、それに11.1mmol/dmのY(NO水溶液1.25mlを加えた後にゆっくり撹拌し混合した。混合比はLiMn :Y=10:1になる。次に、50度に調整した乾燥器に10時間置いた後に、メノウ乳鉢でゆっくりと均一に混合した。その後、750度で3時間焼成して得た物質を常法に従い正極ペレットとした。負極に金属Liを用いてコイン型リチウムイオン二次電池を作製した。次に、コイン二次電池の容量を測定した後に、電池電圧を4.3Vに設定して、55度で1週間貯蔵した。貯蔵後、室温に戻して、容量を再度測定して、容量劣化量を調べた。さらに、コイン二次電池を解体して負極Liに付着したMn量を測定し、正極から溶け出したMn量を測定した。
実施例2
日本重化学工業製のスピネル型マンガン酸リチウム(Li/Mn=0.51、単位格子長0.8241nm)500mgをバイアルビンに取り、それに11.1mmol/dmのGd(NO水溶液0.625mlを加えた後にゆっくり撹拌した。混合比はLiMn :Y=20:1になる。撹拌時に水を1ml加えた。次に、50度に調整した乾燥器に10時間置いた後に、メノウ乳鉢でゆっくりと均一に混合した。その後、750度で3時間焼成して得た物質を常法に従い正極ペレットとした。負極に金属Liを用いてコイン型リチウムイオン二次電池を作製した。次に、コイン二次電池の容量を測定した後に、電池電圧を4.3Vに設定して、55度で1週間貯蔵した。貯蔵後、室温に戻して、容量を再度測定して、容量劣化量を調べた。さらに、コイン二次電池を解体して負極Liに付着したMn量を測定し、正極から溶け出したMn量を測定した。
実施例3
日本重化学工業製のスピネル型マンガン酸リチウム(Li/Mn=0.51、単位格子長0.8241nm)500mgをバイアルビンに取り、それに11.1mmol/dmのSm(NO水溶液0.625mlを加えた後にゆっくり撹拌した。撹拌時に水を1ml加えた。次に、50度に調整した乾燥器に10時間置いた後に、メノウ乳鉢でゆっくりと均一に混合した。その後、750度で3時間焼成した。続いて、11.1mmol/dmのSm(NO水溶液0.625mlを加えた後にゆっくり撹拌した。撹拌時に水を1ml加えた。次に、50度に調整した乾燥器に10時間置いた後に、メノウ乳鉢でゆっくりと均一に混合した。その後、750度で3時間焼成して得た物質を常法に従い正極ペレットとした。負極に金属Liを用いてコイン型リチウムイオン二次電池を作製した。次に、コイン二次電池の容量を測定した後に、電池電圧を4.3Vに設定して、55度で1週間貯蔵した。貯蔵後、室温に戻して、容量を再度測定して、容量劣化量を調べた。さらに、コイン二次電池を解体して負極Liに付着したMn量を測定し、正極から溶け出したMn量を測定した。
実施例に従い、種々の金属イオンや濃度で行った結果を表1に示す。Y及びランタノイド系列に属する金属イオンがMn溶解を抑制しているのがわかる。また、同一濃度の金属イオン溶液で複数回処理するのも効果的であることがわかる。一方、Mg、Cr、Co、NiなどのイオンはMn溶解を助長している。PbやZnイオンなどもMn溶解を抑制するが、充放電容量の著しい減少が見られた。
表1
Figure 2005032693
Figure 2005032693

Claims (18)

  1. マンガン酸リチウムとY、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luのいずれか一つ以上の金属イオンを含む溶液を混合した後に焼成して得た物質を正極に用いることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
  2. スピネル型マンガン酸リチウムとY、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luのいずれか一つ以上の金属イオンを含む溶液を混合した後に450度から850度で焼成して得た物質を正極に用いることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
  3. スピネル型マンガン酸リチウムとYイオンを含む溶液を混合した後に450度から850度で焼成して得た物質を正極に用いることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
  4. スピネル型マンガン酸リチウムとLaイオンを含む溶液を混合した後に450度から850度で焼成して得た物質を正極に用いることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
  5. スピネル型マンガン酸リチウムとCeイオンを含む溶液を混合した後に450度から850度で焼成して得た物質を正極に用いることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
  6. スピネル型マンガン酸リチウムとPrイオンを含む溶液を混合した後に450度から850度で焼成して得た物質を正極に用いることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
  7. スピネル型マンガン酸リチウムとNdイオンを含む溶液を混合した後に450度から850度で焼成して得た物質を正極に用いることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
  8. スピネル型マンガン酸リチウムとPmイオンを含む溶液を混合した後に450度から850度で焼成して得た物質を正極に用いることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
  9. スピネル型マンガン酸リチウムとSmイオンを含む溶液を混合した後に450度から850度で焼成して得た物質を正極に用いることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
  10. スピネル型マンガン酸リチウムとEuイオンを含む溶液を混合した後に450度から850度で焼成して得た物質を正極に用いることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
  11. スピネル型マンガン酸リチウムとGdイオンを含む溶液を混合した後に450度から850度で焼成して得た物質を正極に用いることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
  12. スピネル型マンガン酸リチウムとTbイオンを含む溶液を混合した後に450度から850度で焼成して得た物質を正極に用いることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
  13. スピネル型マンガン酸リチウムとDyイオンを含む溶液を混合した後に450度から850度で焼成して得た物質を正極に用いることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
  14. スピネル型マンガン酸リチウムとHoイオンを含む溶液を混合した後に450度から850度で焼成して得た物質を正極に用いることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
  15. スピネル型マンガン酸リチウムとErイオンを含む溶液を混合した後に450度から850度で焼成して得た物質を正極に用いることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
  16. スピネル型マンガン酸リチウムとTmイオンを含む溶液を混合した後に450度から850度で焼成して得た物質を正極に用いることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
  17. スピネル型マンガン酸リチウムとYbイオンを含む溶液を混合した後に450度から850度で焼成して得た物質を正極に用いることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
  18. スピネル型マンガン酸リチウムとLuイオンを含む溶液を混合した後に450度から850度で焼成して得た物質を正極に用いることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
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