JP2005032372A - 磁気転写用マスタ担体及びこの磁気転写用マスタ担体でプリフォーマットされた磁気記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【課題】 磁気転写用マスタ担体を用いて磁気記録媒体を繰り返しプリフォーマットしても、磁気転写用マスタ担体が変形しないようにする。
【解決手段】 複数のプリフォーマット情報書込領域にプリフォーマット情報が書き込まれ、各プリフォーマット情報書込領域間にデータ領域が形成される磁気記録媒体に密着され、転写用磁界が印加されたときプリフォーマット情報を前記プリフォーマット情報書込領域に磁気転写する磁気転写用マスタ担体において、前記データ領域と対面する領域22に前記転写用磁界の吸い込みが所定量以下となる凹凸形状26を形成し、前記密着時に凹凸形状26で前記磁気記録媒体の前記データ領域を支持する構成とする。
【選択図】 図2
【解決手段】 複数のプリフォーマット情報書込領域にプリフォーマット情報が書き込まれ、各プリフォーマット情報書込領域間にデータ領域が形成される磁気記録媒体に密着され、転写用磁界が印加されたときプリフォーマット情報を前記プリフォーマット情報書込領域に磁気転写する磁気転写用マスタ担体において、前記データ領域と対面する領域22に前記転写用磁界の吸い込みが所定量以下となる凹凸形状26を形成し、前記密着時に凹凸形状26で前記磁気記録媒体の前記データ領域を支持する構成とする。
【選択図】 図2
Description
本発明はハードディスクやフレキシブルディスク等の磁気記録媒体をプリフォーマットする磁気転写用マスタ担体に係り、特に、磁気記録媒体の表面全面で信号抜けを起こすことなく多数の磁気記録媒体に対して磁気転写を繰り返すことができる磁気転写用マスタ担体とこの磁気転写用マスタ担体によりプリフォーマットされた磁気記録媒体に関する。
高密度磁気記録媒体であるハードディスクやフレキシブルディスク等の磁気ディスクを製造し出荷する場合、磁気ディスクをプリフォーマットする必要がある。プリフォーマットとは、トラックのアドレス情報やトラック位置決め用サーボ情報等(以下、プリフォーマット情報という。)を磁気ディスク表面の所定箇所に書き込む処理であり、プリフォーマット情報は、図8に示す磁気ディスク1の表面に放射状に設けた複数のプリフォーマット情報書込領域2に書き込まれる。尚、プリフォーマット情報書込領域はプリサーボ部とも云われる。
プリフォーマット情報を磁気ディスク1の表面に書き込む場合、従来は、磁気ディスク1のトラック方向3に磁気ヘッドを走査しながらデジタル信号でなるプリフォーマット情報を1ビットづつ書き込んでいた。
しかし、この書込には時間がかかると共に、磁気ヘッドの位置決め精度の誤差が大きいという問題がある。このため近年では、下記特許文献1,2,3に記載されているように、磁性体でなる磁気転写用マスタ担体5(図8)のプリフォーマット情報形成領域6(磁気ディスク1のプリフォーマット情報書込領域2に対応)にプリフォーマット情報に対応した凹凸形状を形成しておき、この磁気転写用マスタ担体5を磁気ディスク1に密着させ(図8で、軸Aを中心として磁気転写用マスタ担体5を矢印B方向に磁気ディスク1に重ね合わせる。図8では、磁気ディスク1及び磁気転写用マスタ担体5はいずれも密着させる面側を表示している。)て転写用磁界を印加することで、凹凸形状に対応する磁化情報(プリフォーマット情報)を磁気ディスク1の領域2に転写する様にしている。
尚、説明の都合上、領域2にプリフォーマット情報を転写すると述べたが、プリフォーマット情報を磁気ディスク1に書き込む前に磁気ディスク1側にプリフォーマット情報書込領域2を設けるのではなく、プリフォーマット情報が書き込まれたとき、プリフォーマット情報が書き込まれた領域がプリフォーマット情報書込領域2となり、この領域2間がデータ領域4となる。
特開昭63―183623号公報
特開平10―40544号公報
特開平10―269566号公報
図9は、図8に示す磁気転写用マスタ担体5の表面のうち、破線で囲ったC部分の拡大表面模式図である。磁気転写用マスタ担体5のプリフォーマット情報形成領域6には、プリフォーマット情報に対応する凹凸形状8が形成されており、この領域6に挟まれた領域7、即ち、磁気ディスク1のプリフォーマット情報書込領域2間のデータ領域4に対応する領域7は、図示の例では全凹形状となっている。
即ち、磁気転写用マスタ担体5を磁気ディスク1に密着させてプリフォーマット情報を転写するに際して、両者は、領域6で接触し、領域7では離間した状態となる。
ディスク全面に対して領域6(領域2)の占める割合は10%程度であるため、磁気転写用マスタ担体5を磁気ディスク1に密着させたときの密着荷重は、この10%の領域に集中することになる。このため、1枚の磁気転写用マスタ担体5で多数枚の磁気ディスク1にプリフォーマット情報の転写を繰り返すと、剛体でなる磁気転写用マスタ担体5でも若干の湾曲が生じてしまい、磁気転写用マスタ担体5の領域6が磁気ディスク1から浮いた箇所で磁気転写不良が発生し、プリフォーマット情報の信号抜けが生じてしまうという問題がある。
更に、磁気転写時に印加する転写用磁界によって、磁気ディスク1のデータ領域4にランダムなノイズ信号が書き込まれてしまうという問題もある。磁気ディスク1をプリフォーマットした後は、トラック方向に磁気ヘッドを走査して磁気を検出する検査を行うが、理想的なプリフォーマット後には、図10に実線で示す様に、プリフォーマット情報書込領域2の走査時には所定振幅の信号10が検出されるのに対してデータ領域4の走査時には信号“0”が検出される。しかし、データ領域4に図10に点線で示すランダムなノイズ信号が書き込まれると、プリフォーマット情報書込領域2とデータ領域4の境目が不明瞭となり、検査不良になってしまう。
そこで、領域7を全凸形状にすると、今度は、磁気転写用マスタ担体5を磁気ディスク1に密着させるときの両者間の空気を逃がす隙間がなくなり、両者間にエア溜まりが生じてしまう。このエア溜まりは、面積的に平方センチメートルオーダで発生し、広い面積での磁気転写不良すなわち信号抜けが発生してしまう。
これに対し、領域7を領域6と同様の凹凸形状とすることで、領域7を全凸形状または全凹形状とすることによる不具合を回避することができる。しかし、今度は、磁気ディスク1のデータ領域4にも領域7の凹凸形状に応じたデータが書き込まれてしまうため、図10で説明したと同様に、プリフォーマット情報書込領域2とデータ領域4との境目が検出できなくなってしまうという問題がある。
本発明の目的は、磁気転写用マスタ担体で磁気転写を繰り返しても信号抜けが生じることが無く、しかも、プリフォーマット後の検査でデータ領域をプリフォーマット情報書込領域と容易に識別できる磁気転写用マスタ担体とこの磁気転写用マスタ担体によってプリフォーマットされた磁気記録媒体を提供することにある。
本発明の磁気転写用マスタ担体は、複数のプリフォーマット情報書込領域にプリフォーマット情報が書き込まれ、各プリフォーマット情報書込領域間にデータ領域が形成される磁気記録媒体に密着され、転写用磁界が印加されたときプリフォーマット情報を前記プリフォーマット情報書込領域に磁気転写する磁気転写用マスタ担体において、〔データ領域信号長/プリサーボ領域信号長〕<1の範囲にあり、前記データ領域と対面する領域に前記転写用磁界の吸い込みが所定量以下となる凹凸形状を形成し、前記密着時に該凹凸形状で前記磁気記録媒体の前記データ領域を支持する構成としたことを特徴とする。
この構成により、磁気記録媒体が磁気転写用マスタ担体に密着されたときデータ領域が磁気転写用マスタ担体から浮いてしまうことがなくなるため、磁気転写が繰り返されても磁気転写用マスタ担体が変形することがなくなる。また、データ領域に対面する凹凸形状による隙間からエアーが抜けるため、密着時にエアー溜まりが生じることもない。更に、データ領域と凹凸形状とが密着するため、データ領域に書き込まれるノイズを低レベルにすることができる。
本発明の磁気転写用マスタ担体の前記所定量は、前記転写用磁界の吸い込みによって前記データ領域に書き込まれる磁気信号の検出レベルが所定値以下となる量であることを特徴とする。
この構成により、データ領域とプリフォーマット情報書込領域(プリサーボ部)の各磁気信号の区別が容易となる。また、データ部に記録する信号をプリサーボ部と同様なビット長に設定すると、サーボ信号においてはデータ部を信号部と誤検出する可能性が高い。加えて、長ビット長信号を記録すると、プリサーボ部よりもデータ部出力が高くなり、誤検出の割合が高くなる。よって、データ部に記録する信号はプリサーボ部のものよりも短く、〔データ部信号長/プリサーボ部信号長〕<1の範囲にある必要がある。
本発明の磁気転写用マスタ担体の前記所定値は、前記プリフォーマット情報書込領域に転写された前記プリフォーマット情報の磁気信号の検出レベルに対して弁別可能なレベル差を有する値であることを特徴とする。
この構成により、プリフォーマット情報書込領域に書き込まれたプリフォーマット情報とデータ領域の信号とを容易に弁別可能となる。
本発明の磁気転写用マスタ担体は、複数のプリフォーマット情報書込領域にプリフォーマット情報が書き込まれ、各プリフォーマット情報書込領域間にデータ領域が形成される磁気記録媒体に密着され、転写用磁界が印加されたときプリフォーマット情報を対応する第1凹凸形状によって前記プリフォーマット情報書込領域に磁気転写する磁気転写用マスタ担体において、前記データ領域と対面する領域に第2の凹凸形状を形成して前記密着時に該第2の凹凸形状で前記磁気記録媒体の前記データ領域を支持する構成にすると共に、前記第1の凹凸形状と前記第2の凹凸形状とが
0.005≦(d2/d1)・(L2/L1)≦0.5
ここで、L1:第1の凹凸形状の凸部最短長寸法
d1:第1の凹凸形状の深さ寸法
L2:第2の凹凸形状の凸部最短長寸法
d2:第2の凹凸形状の深さ寸法
を満たす関係としたことを特徴とする。
0.005≦(d2/d1)・(L2/L1)≦0.5
ここで、L1:第1の凹凸形状の凸部最短長寸法
d1:第1の凹凸形状の深さ寸法
L2:第2の凹凸形状の凸部最短長寸法
d2:第2の凹凸形状の深さ寸法
を満たす関係としたことを特徴とする。
この構成により、磁気記録媒体が磁気転写用マスタ担体に密着されたときデータ領域が磁気転写用マスタ担体から浮いてしまうことがなくなるため、磁気転写が繰り返されても磁気転写用マスタ担体が変形することがなくなる。また、データ領域に対面する第2の凹凸形状による隙間からエアーが抜けるため、密着時にエアー溜まりが生じることもない。更に、データ領域と第2の凹凸形状とが密着するため、データ領域に書き込まれるノイズを低レベルにすることができる。
本発明の磁気転写用マスタ担体は、表面にスパッタカーボンまたはダイヤモンドライクカーボンを主成分とする硬質保護層を設けたことを特徴とする。
この構成により、表面のキズや摩耗を抑制することができる。
本発明の磁気転写用マスタ担体は、最表面に前記磁気記録媒体で使用される潤滑剤と同じ潤滑剤の層が形成されることを特徴とする。
この構成により、磁気記録媒体との接触過程で生じるずれを補正する際の摩擦による傷の発生などが更に抑制され、耐久性をより向上させることができる。
本発明の磁気転写用マスタ担体は、前記データ領域に対面する領域に設けられた前記凹凸形状が前記磁気記録媒体のガードバンドに対面する領域にも設けられることを特徴とする。
この構成により、転写時の密着性と平面性を更に高めることができる。
本発明の磁気記録媒体は、上記のいずれかの磁気転写用マスタ担体を用いて前記プリフォーマット情報が転写されたことを特徴とする。
この構成により、高精度のプリフォーマット情報が書き込まれた磁気記録媒体が提供できる。
本発明によれば、磁気記録媒体が磁気転写用マスタ担体に密着されたときデータ領域が磁気転写用マスタ担体から浮いてしまうことがなくなるため、磁気転写が繰り返されても磁気転写用マスタ担体が変形することがなくなる。また、データ領域に対面する凹凸形状による隙間からエアーが抜けるため、密着時にエアー溜まりが生じることもない。更に、データ領域と凹凸形状とが密着するため、データ領域に書き込まれるノイズを低レベルにすることができる。
このため、1枚の磁気転写用マスタ担体でプリフォーマットできる磁気記録媒体の数を増やすことができ、磁気記録媒体を低コストで製造可能となる。
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る磁気転写用マスタ担体の表面模式図である。この磁気転写用マスタ担体20は円盤状に形成され、その表面側(磁気ディスク1と密着する面側)には、磁気ディスク1のプリフォーマット情報書込領域2に対応する複数本のプリフォーマット情報形成領域21が放射状に設けられており、このプリフォーマット情報形成領域21に、従来と同様に、プリフォーマット情報に対応した凹凸形状が形成される。領域21間は、磁気ディスク1(図8)のデータ領域4に対面する領域22となる。また、磁気転写用マスタ担体20の表面には、軟磁性層が設けられる。
磁気転写用マスタ担体20の基板としては、ニッケル,シリコン,石英板,ガラス,アルミニウム,セラミックス,合成樹脂等が用いられる。表面に設ける軟磁性層の磁性材料としては、Co,Co合金(CoNi,CoNiZr,CoNbTaZr等),Fe,Fe合金(FeCo,FeCoNi,FeNiMo,FeAlSi,FeAl,FeTaN),Ni,Ni合金(NiFe)を用いる。特に、FeCo,FeCoNiを用いるのが好ましい。
なお、軟磁性層の代わりに、半硬質磁性の層を設けてもよい。軟磁性もしくは半硬質磁性等の保磁力の小さい磁性層を磁気転写用マスタ担体20の表面に設けることで、より良好な磁気転写を行うことが可能となる。
磁気転写用マスタ担体20の表面に配される磁性層は、磁気転写用マスタ担体20の基板が有する飽和磁化よりも高い飽和磁化値を有する材料とするのが好ましい。
図2は、図1の円弧線II―IIに沿う磁気転写用マスタ担体20の断面模式図である。本実施形態の磁気転写用マスタ担体20では、プリフォーマット情報形成領域21にプリフォーマット情報に応じた凹凸形状25を設ける他に、領域21に挟まれた領域22の全域表面にも凹凸形状26を設ける。尚、図2では、磁気転写用マスタ担体20の表面に設けた磁性層の断面図示は省略している。
磁気ディスク1のデータ領域4に対面する磁気転写用マスタ担体20の領域22に設ける凹凸形状26は、プリフォーマット情報形成領域21に設ける凹凸形状よりも小さい形状とし、両凹凸形状25,26の表面は同一面としている。
プリフォーマット情報に対応する凹凸形状25の凸部最短長寸法をL1、凹凸形状25の深さ寸法をd1とし、凹凸形状26の凸部最短長寸法をL2、凹凸形状26の深さ寸法をd2としたとき、本実施形態における磁気転写用マスタ担体20では、凹凸形状25,26の寸法が
0.005≦(d2/d1)・(L2/L1)≦0.5 (1)
を満たすようにする。
を満たすようにする。
磁気転写用マスタ担体20の凹凸形状25,26は、スタンパー法、フォトリソグラフィー法等を用いて形成することができる。凹凸形状25はプリフォーマット情報に応じた凹凸パターンであるが、データ領域4(領域22)に対応する微小な凹凸形状26は、単なる凹凸の繰り返しでもよく、また、ランダムな凹凸パターンでもよい。凹凸形状25,26が形成された磁気転写用マスタ担体20の原盤表面に軟磁性層(あるいは半硬質磁性層)を形成し、磁気転写用マスタ担体20とする。
プリフォーマット情報に対応する凹凸形状25の凸部の高さ(凹凸パターンの深さ)は、50〜800nmの範囲が好ましく、より好ましくは80〜600nmがよい。凹凸形状25がサンプルサーボ信号である場合は、円周方向よりも半径方向に長い矩形状の凸部となる。具体的には、半径方向の長さは0.05〜20μm、円周方向は0.05〜5μmが好ましく、この範囲で半径方向の方が長い形状となる値を選ぶことがサーボ信号の情報を担持するパターンとして好ましい。凹凸形状25の大きさは上記の様に磁気転写に適した大きさに形成されるが、微小な凹凸形状26の大きさは、凹凸形状25の寸法に対して上記の(1)式の関係となるように形成される。
磁気転写用マスタ担体20の表面に軟磁性層あるいは半硬質磁性層の形成するには、磁性材料を真空蒸着法,スパッタリング法,イオンプレーティング法等の真空成膜手段、メッキ法などを用いて行う。プリフォーマット情報に対応する凹凸形状25の凸部表面に設ける軟磁性層の厚みは、50〜500nmの範囲が良好な磁気転写のために好ましく、さらに好ましくは80〜300nmとする。
尚、凹凸形状25,26の各凸部表面の軟磁性層(あるいは半硬質磁性層)の上に、5〜30nmのスパッタカーボンやダイヤモンドライクカーボン(DLC)を主成分とする硬質保護膜を設けるのが好ましい。更に、潤滑剤層を設けても良い。この潤滑剤は、磁気ディスク1で使用される潤滑剤とするのがよい。潤滑剤を設けることにより、磁気ディスク1との接触過程で生じるずれを補正する際の、摩擦による傷の発生などを抑制し、耐久性をより向上させることができる。また、表面の磁性層と保護膜の間に、Si等の密着強化層を設けてもよい。
次に、上述した実施形態でなる磁気転写用マスタ担体を用いて磁気ディスク1にプリフォーマット情報を転写する方法を説明する。
磁気転写用マスタ担体20のスレーブ媒体となる磁気ディスク1は、両面または片面に磁気記録層が形成されたハードディスク,フレキシブルディスク等の円盤状磁気記録媒体である。ここでは、片面に磁気記録層が形成された例を説明するが、両面でも磁気転写は同様に行うことができる。
図3は、本実施形態に係る磁気転写用マスタ担体20の表面要部断面図である。上述したように、磁気転写用マスタ担体20の表面には、プリフォーマット情報に対応した凹凸形状25と、これに連続する微小な凹凸形状26が形成され、夫々の凹凸形状25,26の表面側には磁性層20aが形成される。
図4は、プリフォーマットを行う磁気ディスク1の要部断面図である。磁気ディスク1の表面には磁気記録面1aが形成されており、これに初期直流磁化Hinを印加することで、磁気記録面1aは一方向に磁化される。
図5は、本実施形態に係る磁気転写用マスタ担体20の表面に図4に示す磁気ディスク1を密着させた状態を示し、この密着した状態で、図4で述べた初期直流磁化Hinの方向(トラック方向)と略反対方向に転写用磁界Hduを印加する。
これにより、磁気ディスク1の磁気記録面1aにおける磁化方向のうち、磁気転写用マスタ担体20の凹凸形状の凸凸間に接する部分の磁化方向が転写用磁界Hdu方向(初期磁化Hinと逆方向)となり、図6に示す様に、磁気ディスク1のプリフォーマット情報書込領域2の磁気記録面1aの磁化方向は、凹凸形状25に応じた磁化方向、即ち、プリフォーマット情報に応じた磁化方向となる。
この磁気転写において、微小な凹凸形状26に接した磁気ディスク1のデータ領域4においても、磁気記録面1aの磁化方向は凹凸形状26に応じたパターンとなる。しかし、本実施形態では、上記(1)式を満たす微小な凹凸形状26としたため、凹凸形状26の様に微小ビット,浅パターンのサブミクロン微細信号を磁気ディスク1の磁気記録面1aに記録するのに十分な磁界吸い込みが磁気転写時に発生せず、このため、データ領域4には実質的に信号が記録されることはない。
従って、プリフォーマット後に磁気ヘッドで磁気ディスク1をトラック方向に走査して得られる信号は、図7に示す様に、プリフォーマット情報書込領域2とデータ領域4との境目がはっきり弁別できるレベル差のある信号となる。
このように、本実施形態に係る磁気転写用マスタ担体20では、磁気転写時に磁気ディスク1と磁気転写用マスタ担体20を密着したとき、ディスク全面で平均的に密着できるため、磁気転写を繰り返しても磁気転写用マスタ担体20が変形することがなく、更に、エアー抜けの隙間が凹凸形状26で確保されるため密着時にエアー溜まりが生じずに、信号抜けが生じることがなくなる。
また、データ領域4には磁気転写時に微小な凹凸形状26が接触するため、データ領域4に図10に点線で示すノイズ信号が書き込まれることがなくなり、データ領域4のノイズレベルを低減可能となる。
尚、上述した実施形態では、磁気転写用マスタ担体20のうち、磁気ディスク1のデータ領域4に接する領域22に微小な凹凸形状を設ける例について述べたが、他の領域にも微小な凹凸形状を設けることが可能である。例えば、磁気ディスク1の半径方向の適宜箇所には、トラック間にガードバンドが設けられるが、磁気転写用マスタ担体20のうちこのガードバンドに対応する領域に微小凹凸形状を設けることで、磁気転写用マスタ担体20と磁気ディスク1との密着時の平面度を更に保つことが可能になると共に、ガードバンドのノイズ低減を図ることができる。
以下、具体的実施例とその評価結果を示す。
中心から半径方向20mm〜40mmの位置までの半径域に、角度10度毎かつ1度幅にプリサーボ信号部を形成した。プリサーボ部パターンはビット長0.1μm,トラック幅1.0μm,トラックピッチ1.1μm,溝深さ0.1μmである放射状ラインである。
データ部パターンはプリサーボパターン角度領域以外に形成し、ビット長0.05μm,トラック幅1.0μm,トラックピッチ1.1μm,溝深さ0.05μmの放射パターンである。尚、この等のパラメータ値を持つ実施例を実施例1とし、他のパラメータ値を持つ実施例を実施例2,3,…し、各実施例の比較結果を後述の表1に示す。
マスター担体の作成には、スタンパー作成法を用いた。スタンパーはNi製であり、磁気吸い込み効果を上げる軟磁性層の役目を果たす。Ni製マスタ担体上に軟磁性層FeCo30at%層を25℃で作成した。Arスパッタ圧は0.15Pa(1.08mTorr)とした。投入電力は2.80W/cm2とした。
真空製膜装置(芝浦メカトロニクス:S―50Sスパッタ装置)において、室温にて1.33×10-5Pa(1.0×10-7Torr)まで減圧した後に、アルゴンを導入して0.4Pa(3.0mTorr)とした条件下で、ガラス板を200℃に加熱し、CrTi30nm,CoCrPt30nm,Ms:5.7T(4500ガウス),保磁力Hc:199kA/m(2500エルステッド)の3.5インチ型の円盤状磁気記録媒体を作成し、面内スレーブ媒体として使用した。
次の表1は、上述したビット長等の各パラメータ値を持つ各実施例の比較結果を示す表である。
〔電磁変換特性評価方法〕
スレーブ媒体を磁気変換特性測定装置(協同電子製SS―60)に設置し(ヘッド:再生ヘッドギャップ0.11μm,再生トラック幅0.31μm,記録ヘッドギャップ0.19μm,記録トラック幅0.40μmであるGMRヘッド)、半径40mmでの線速度を10m/secに設定する。
スレーブ媒体を磁気変換特性測定装置(協同電子製SS―60)に設置し(ヘッド:再生ヘッドギャップ0.11μm,再生トラック幅0.31μm,記録ヘッドギャップ0.19μm,記録トラック幅0.40μmであるGMRヘッド)、半径40mmでの線速度を10m/secに設定する。
その後、20,30,40mmの各半径位置で、プリサーボ部,データ部での平均出力(TAA)を測定する(プリサーボ部:TAA―pre、データ部:TAA―data)。全ての半径位置で〔TAA―data/TAA―pre〕が0.35未満であれば“○”、0.35以上0.4未満であれば“△”、0.4以上であれば“×”と判断した。
〔マスタ担体・スレーブ媒体耐久性評価方法〕
マスタ担体とスレーブ媒体間の接触圧力は4.9×10-3Pa(5.0kgf/cm2)とし、未接触・隔離状態、および、10000接触・剥離を繰り返した後、磁気転写により信号記録を行う。転写済み媒体を電子変換特性と同条件で、20〜40mmの半径範囲を測定ピッチ1μmでプリサーボ部、データ部の各信号出力を測定する。接触・剥離処理実施の出力が、処理前を基準としたときの90%以上であれば“○”、90%未満75%以上であれば“△”、75%未満であれば“×”と判断した。
マスタ担体とスレーブ媒体間の接触圧力は4.9×10-3Pa(5.0kgf/cm2)とし、未接触・隔離状態、および、10000接触・剥離を繰り返した後、磁気転写により信号記録を行う。転写済み媒体を電子変換特性と同条件で、20〜40mmの半径範囲を測定ピッチ1μmでプリサーボ部、データ部の各信号出力を測定する。接触・剥離処理実施の出力が、処理前を基準としたときの90%以上であれば“○”、90%未満75%以上であれば“△”、75%未満であれば“×”と判断した。
本発明に係る磁気転写用マスタ担体はスレーブ担体に対して繰り返し磁気転写を行っても変形することがなく、信号抜けが発生することが防止されるため、磁気ディスクをプリフォーマットする磁気転写用マスタ担体として有用である。また、磁気ディスクを大量且つ精度良くプリフォーマットするのに有用である。
1 磁気ディスク(スレーブ媒体)
1a 磁気記録層
2 プリフォーマット情報書込領域(プリサーボ部)
3 トラック方向
4 データ領域
5,20 磁気転写用マスタ担体
20a 表面の磁性層
6,21 プリフォーマット情報形成領域
7,22 磁気ディスク1のデータ領域に対応する領域
25 プリフォーマット情報に応じた凹凸形状(第1の凹凸形状)
26 微小な凹凸形状(第2の凹凸形状)
1a 磁気記録層
2 プリフォーマット情報書込領域(プリサーボ部)
3 トラック方向
4 データ領域
5,20 磁気転写用マスタ担体
20a 表面の磁性層
6,21 プリフォーマット情報形成領域
7,22 磁気ディスク1のデータ領域に対応する領域
25 プリフォーマット情報に応じた凹凸形状(第1の凹凸形状)
26 微小な凹凸形状(第2の凹凸形状)
Claims (8)
- 複数のプリフォーマット情報書込領域にプリフォーマット情報が書き込まれ、各プリフォーマット情報書込領域間にデータ領域が形成される磁気記録媒体に密着され、転写用磁界が印加されたときプリフォーマット情報を前記プリフォーマット情報書込領域に磁気転写する磁気転写用マスタ担体において、〔データ領域信号長/プリフォーマット情報書込領域信号長〕<1の範囲にあり、前記データ領域と対面する領域に前記転写用磁界の吸い込みが所定量以下となる凹凸形状を形成し、前記密着時に該凹凸形状で前記磁気記録媒体の前記データ領域を支持する構成としたことを特徴とする磁気転写用マスタ担体。
- 前記所定量は、前記転写用磁界の吸い込みによって前記データ領域に書き込まれる磁気信号の検出レベルが所定値以下となる量であることを特徴とする請求項1に記載の磁気転写用マスタ担体。
- 前記所定値は、前記プリフォーマット情報書込領域に転写された前記プリフォーマット情報の磁気信号の検出レベルに対して弁別可能なレベル差を有する値であることを特徴とする請求項2に記載の磁気転写用マスタ担体。
- 複数のプリフォーマット情報書込領域にプリフォーマット情報が書き込まれ、各プリフォーマット情報書込領域間にデータ領域が形成される磁気記録媒体に密着され、転写用磁界が印加されたときプリフォーマット情報を対応する第1凹凸形状によって前記プリフォーマット情報書込領域に磁気転写する磁気転写用マスタ担体において、前記データ領域と対面する領域に第2の凹凸形状を形成して前記密着時に該第2の凹凸形状で前記磁気記録媒体の前記データ領域を支持する構成にすると共に、前記第1の凹凸形状と前記第2の凹凸形状とが
0.005≦(d2/d1)・(L2/L1)≦0.5
ここで、L1:第1の凹凸形状の凸部最短長寸法
d1:第1の凹凸形状の深さ寸法
L2:第2の凹凸形状の凸部最短長寸法
d2:第2の凹凸形状の深さ寸法
を満たす関係としたことを特徴とする磁気転写用マスタ担体。 - 表面にスパッタカーボンまたはダイヤモンドライクカーボンを主成分とする硬質保護層を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の磁気転写用マスタ担体。
- 最表面に前記磁気記録媒体で使用される潤滑剤と同じ潤滑剤の層が形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の磁気転写用マスタ担体。
- 前記データ領域に対面する領域に設けられた前記凹凸形状が前記磁気記録媒体のガードバンドに対面する領域にも設けられることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の磁気転写用マスタ担体。
- 請求項1乃至請求項7のいずれかの磁気転写用マスタ担体を用いて前記プリフォーマット情報が転写されたことを特徴とする磁気記録媒体。
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JP2003272382A JP2005032372A (ja) | 2003-07-09 | 2003-07-09 | 磁気転写用マスタ担体及びこの磁気転写用マスタ担体でプリフォーマットされた磁気記録媒体 |
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JP2003272382A JP2005032372A (ja) | 2003-07-09 | 2003-07-09 | 磁気転写用マスタ担体及びこの磁気転写用マスタ担体でプリフォーマットされた磁気記録媒体 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008152838A (ja) * | 2006-12-15 | 2008-07-03 | Fujitsu Ltd | 転写用マスタ媒体、磁気転写方法、垂直磁気記録媒体、及び、磁気ディスク装置 |
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2003
- 2003-07-09 JP JP2003272382A patent/JP2005032372A/ja active Pending
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JP2008152838A (ja) * | 2006-12-15 | 2008-07-03 | Fujitsu Ltd | 転写用マスタ媒体、磁気転写方法、垂直磁気記録媒体、及び、磁気ディスク装置 |
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