【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、流体の圧縮を行う圧縮機に関するもので、特に自動車用空調装置などに用いられるベーンロータリ型圧縮機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種におけるベーンロータリ型圧縮機は、ロータの回転に伴ってベーンがその先端をシリンダ内壁に接して回転摺動運転をするようにベーン背部に高圧の潤滑油を圧力差により供給する構成が広く用いられている(例えば特許文献1参照)。
この特許文献1に記載の圧縮機は、圧縮機の高低圧差がないか、または小さい場合に圧縮機を始動した場合でも、始動直後に生じるベーン背圧室内の圧力低下をガス供給通路からのガス状流体の供給によって防止し、また定常運転時においてはガス供給通路を遮断することによって適量の潤滑油をベーン背圧室へ供給するよう選択できるベーン背圧制御装置を備えている。
【0003】
ところで、特許文献1に記載の圧縮機においては、潤滑油が圧縮吐出された高圧流体(冷媒ガス)に含まれて空調装置の冷凍サイクル部品中へ吐出されるのを抑制するため、圧縮機内部に油分離手段が設けられている。そして、前記ベーン背圧制御装置は、潤滑油をベーン背圧室に供給する関係から、油溜め室に設置され、また、前記ベーン背圧室へガスを供給する関係からベーン背圧制御装置のガス供給通路は、前記油溜め室における上方部分にその開口が設定されていた。
【0004】
【特許文献1】
特開昭63−140876号公報(第1図、第4図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1に示される構成は、市場サービス時等において、圧縮機を交換する際に潤滑油を規定量以上に入れることも多く、その場合、前記油溜め室の油面が規定値より上昇し、車輌の振動などに起因してベーン背圧制御装置のガス供給通路入口部が潤滑油中に没してしまい、始動時に気流体(ガス冷媒)をベーン背圧室へ供給することが出来なくなることがあった。
そのため、特に圧縮機の起動初期からベーンの背圧が確保できず、ベーンがベーン溝に密着してロータから突出することができなくなり、この現象が生じると、ベーンの不調現象による異音(遠心力による突然のベーンのシリンダ内壁への衝突音)や、ベーンの突出不備に伴う圧縮不足が生じ、全然冷えないという致命的な不具合が発生するものであった。
【0006】
本発明は、上記従来の課題に鑑み、高圧室とベーン背圧制御装置のガス供給通路入口部を連通することで、始動時にベーンの不調現象や圧縮不良現象を発生させない圧縮機を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1記載のものは、ベーンがロータに設けられたベーン溝内を出没し、前記ロータと共にシリンダ内を回転して流体を吸入し、圧縮し、吐出するベーンロータリ型圧縮機構と、前記圧縮機構より圧縮された高圧流体が吐出される高圧室と、前記高圧流体から分離された潤滑油を貯える貯油室と、前記高圧流体を前記ベーン溝内へ供給するベーン背圧制御装置とを備えたベーンロータリ型圧縮機であって、前記高圧室と前記貯油室は隔壁により仕切られ、前記ベーン溝に供給する高圧流体を取り入れるベーン背圧制御装置のガス供給通路入口部を、前記高圧室に連通させたものである。
【0008】
かかる構成により、例えば、市場サービスにおいて圧縮機を交換する際、誤って潤滑油を規定量以上入れてしまい、油面が上昇して貯油室満杯となっても、ベーン背圧制御装置のガス供給通路入口部は、高圧室の潤滑油が溜まらない位置に連通しているので、潤滑油で没してしまう事が無く、始動時に確実に気流体(ガス冷媒)を供給することができ、その結果、ベーンの不調現象や圧縮不良現象を防ぐことが出来る。
【0009】
また、本発明は、前記ベーン背圧制御装置を、前記貯油室に配置し、前記ガス供給通路入口部を、前記高圧室の潤滑油が溜まらない箇所に開口したものである。
【0010】
かかる構成とすることにより、車輌の振動等に起因して潤滑油面が波打っても、潤滑油のガス供給通路入口部への流入が抑制でき、前記ベーン背圧制御装置の動作を確実なものとする
また、本発明は、前記隔壁に、前記高圧室と貯油室を連通するガス取り入れ通路を設け、前記ベーン背圧制御装置のガス供給通路入口部を、前記ガス取り入れ通路に連通させたものである。
【0011】
かかる構成とすることにより、前記ベーン背圧制御装置のガス取り入れ構造は、ガス供給通路入口部と、前記ガス取り入れ通路を連通させる構成でよいため、前記ベーン背圧制御装置の構成は、従来のままでよく、新たな構成要件を前記ベーン背圧制御装置に設ける必要がないものである。
【0012】
また、本発明は、前記ベーン背圧制御装置のガス供給通路入口部を、前記隔壁から高圧室内へ所定寸法突出させたことにより、潤滑油のガス供給通路入口部からのガス成分の取り入れがより確実に行える。
【0013】
さらに、本発明は、ベーンがロータに設けられたベーン溝内を出没し、前記ロータと共にシリンダ内を回転して流体を吸入し、圧縮し、吐出するベーンロータリ型圧縮機構と、前記圧縮機構より圧縮された高圧流体が吐出される高圧室と、前記高圧流体から分離された潤滑油を貯える貯油室と、前記高圧室の流体と前記貯油室に貯えられた潤滑油を選択的に前記ベーン溝内へ供給するベーン背圧制御装置とを備えたベーンロータリ型圧縮機であって、前記高圧室と前記貯油室は隔壁により仕切られ、前記ベーン溝に供給する高圧流体を取り入れるベーン背圧制御装置のガス供給通路入口部を、前記高圧室の潤滑油が溜まらない位置に連通させたものである。
【0014】
かかる構成とすることにより、圧縮機の起動時は、ベーン溝内へ高圧室のガス流体を供給してベーンの飛び出し不調を改善し、圧縮機の起動後は、前記ベーン溝内へ貯油室の潤滑油を供給して圧縮機構における流体の吸入・圧縮・吐出作用を確実なものとすることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をいわゆるベーンロータリ型圧縮機に適用した例に基づき、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1乃至図4において、1は圧縮機で、円筒内壁を有するシリンダ2と、前記シリンダ2の前後の開口を閉塞する前部側板3、後部側板4および前記後部側板4と併設された高圧室カバー5より構成されている。
【0017】
前記シリンダ2の内部には、略円柱状のロータ6が、その外周の一部をシリンダ2の内壁と微少隙間を形成するようにシリンダ2の軸芯から偏芯して回転自在に収容されている。前記ロータ6には、一体的に形成された駆動軸7が設けられ、この駆動軸7は、前記前部側板3及び後部側板4に軸支されている。8は前記ロータ6に設けられたベーン溝で、前記ロータ6の接線方向に掘り下げられており、等間隔(所定角度毎)に複数設けられている。9は前記ベーン溝8内に出没自在に設けられたベーンである。
【0018】
ここで、前記ロータ6が回転すると、前記ベーン9は前記シリンダ2内壁を摺動し、シリンダ2内空間に、吸入空間2a、圧縮空間2b、吐出空間2cを形成する。10は前記シリンダ2に設けられた吸入孔で、一端は前記吸入空間2aに開口し、他端は前記圧縮機1の吸入口11に連通している。12は前記シリンダ2に設けられた吐出孔で、前記吐出空間2cに開口し、吐出バルブ13が設けられている。14は前記シリンダ2の上部に設けられた高圧通路カバーで、前記吐出空間2cは、前記吐出孔12を介してこの高圧通路カバー14の高圧通路15に連通している。16は前記後部側板4に設けられた連通路で、これにより前記高圧通路15と前記高圧室カバー5の内部に形成された高圧室17が連通している。また、前記後部側板4には、前記シリンダ2内空間に面して前記吐出空間2c、吸入空間2a、圧縮空間2bに延びるベーン背圧溝18が設けられ、またこのベーン背圧溝18に連通する給油路19が貫通して設けられている。
【0019】
次に、前記高圧室カバー5の構成について説明する。この高圧室カバー5は、隔壁20により、内部が前記高圧室17と、連通穴21を介して前記高圧室17と連通した先細り筒状の油分離室22と、前記高圧室17の下部に位置し、かつ前記油分離室22の先細り開口23を介して前記油分離室22に連通した貯油室24より構成されている。
【0020】
前記油分離室22は、いわゆる遠心分離式オイルセパレータと称される構造を有している。すなわち、同心円状の円筒空間22aが設けられ、この円筒空間22aに高圧流体(ガス冷媒)を導く連通穴21は、この円筒空間22aの接線方向に高圧流体(ガス冷媒)を導くようにその向き、角度等が設定されている。すなわち、高圧流体(ガス冷媒)をより円滑に旋回させるために円筒空間22aの内周面22bに沿って高圧流体(ガス冷媒)が吐出されるように形成されていることが望ましい。
【0021】
また、前記油分離室22の先細り先端側には、徐々に径が小さくなる導油路26が設けられ、その先端に前記開口23が設けられている。25は前記油分離室22の上端に設けられたガス排出口で、冷凍サイクル部品(図示せず)が接続される。27は前記円筒空間22aにおける隔壁20近傍に設けられた連通路で、前記貯油室24と前記円筒空間22aの下部(導油路26との境界近く)を連通しており、適宜貯油室24と油分離室22の圧力をバランスさせる。28は前記高圧室17と貯油室24を連通するガス取り入れ通路で、前記隔壁20を貫通する円筒体より形成され、たとえ高圧室17に多少の潤滑油が溜まっても流入しないようにその先端は、前記高圧室17内に突出している。
【0022】
30は前記貯油室24に位置し、前記後部側板4に設けられたベーン背圧制御装置で、前記高圧室17の高圧流体(ガス冷媒)と前記貯油室24に溜まった潤滑油29を適宜切り替えて前記ベーン背圧溝18へ供給する。
【0023】
このベーン背圧制御装置30は、図4に示すように、ガス通路開閉手段30Aと、油路開閉手段30Bを具備している。
【0024】
前記ガス通路開閉手段30Aは、一端が前記ガス取り入れ通路28に連通したガス供給通路入口部30aと、一端が前記ガス供給通路入口部30aに連通した第1ガス供給通路30bと、上下動する第1プランジャ30c、第1プランジャ30cの上下動により開閉する第1球弁30d及び第1弁座30e、前記第1プランジャ30cの上下動作を調節する第1バイアスばね30f、前記第1プランジャ30cを収納した第1プランジャ室30gとからなる弁機構と、前記弁機構の開動作により前記第1ガス供給通路30bと連通する第2ガス供給通路30hと、前記第2ガス供給通路30hと前記給油路19との連通を制御する第2球弁30i、第2弁座30jからなる弁機構と、一端が前記第1プランジャ室30gに開口し、他端が後部側板4に形成され、前記シリンダ2内に開口したガス導入路30kより構成されている。ここで、前記ガス導入路30kは、前記シリンダ2内において、図2に示す如くロータ6の矢印X方向の回転に伴い、前部側板3と後部側板4およびベーン9で形成される空間であって、吸入圧力と同等若しくは吸入圧力よりより若干高い圧力となる部位に開口している。また、前記第2球弁30iは前記第2ガス供給通路30hと前記給油路19の差圧によって連通・遮断を行う。
【0025】
また、前記油路開閉手段30Bは、前記シリンダ2内吐出空間2cの圧力を取り入れる回路と、貯油室24内の圧力を取り入れる回路と、これら両回路からの圧力の差圧によって作動する弁機構より構成され、具体的には、一端が図2に示す如く前記シリンダ2内空間の吐出空間2cに極小面積で開口し、他端が第2プランジャ室30lに連通した高圧導入路30mと、第2プランジャ室30l内を上下動するように収納された第2プランジャ30nと、第2プランジャ室30lに収納され、第2プランジャ30nの上下動作を調節する第2バイアスばね30oと、前記第2プランジャ30nの上下動により開閉動作を行う第3弁球30p、第3弁座30qからなる弁機構と、前記第2プランジャ30nにおける動作調節用の第2バイアスばね30oの付勢力を考慮して前記第3球弁30pを常時第3弁座30qへ押圧する如く付勢する第3バイアスばね30rと、一端が前記貯油室24に開口し、他端が前記第3弁球30p、第3弁座30qに連通した第1導入路30sと、前記第3弁球30p、第3弁座30qを介して前記第1導入路30sを前記給油路19に連通する第2導入路30tより構成されている。
【0026】
したがって、前記第3弁球30p、第3弁座30qが開状態であれば、前記貯油室24の潤滑油は、導入路30tおよび給油路19を介して前記ベーン背圧溝18内へ供給される。
【0027】
次に、上記構成からなる圧縮機1の動作について説明する。ここでは、説明の便宜上、運転されている圧縮機1の状態から圧縮機が停止し、再度起動される様子について説明する。
【0028】
上記構成において、エンジン(図示せず)等の駆動源より駆動軸7に動力が伝達されると、ロータ6が回転し、これに伴ってベーン9も移動する。その結果、吸入孔10から吸入された流体(冷媒)は、ベーン9、前部側板3、後部側板4によって形成される吸入空間2aへ流入し、圧縮空間2bから吐出空間2cへ移動し、圧縮された高圧流体となって吐出孔12から吐出される。
【0029】
一方、ベーン9は、シリンダ2の内壁を摺動している間ベーン溝8内を出没しているが、前記ベーン溝8内に充満している潤滑油によって絶えず突出する方向に付勢されている。
【0030】
つまり、油路開閉手段30Bにおいて、プランジャ30nは、高圧導入路30mを介して供給されたシリンダ2内の吐出空間2cの圧力と、第1導入路30sを介して供給された貯油室24の圧力の差圧に委ねて動作している。この場合は、吐出空間2cの圧力が貯油室24の圧力より上回っているため、第3弁球30p、第3弁座30qは開放状態にある。
【0031】
したがって、前記ベーン溝8へは、貯油室の潤滑油が30j、給油路19、ベーン背圧溝18を介して供給され続け、これによって前記ベーン9は、前記ベーン溝8より絶えず突出する方向に付勢されている。
また、ベーン背圧溝18の圧力は、給油路19を介して第2弁座30j、第2弁球30iにも作用し、この第2弁座30j、第2弁球30iを閉塞状態に付勢する。そのため、前記第2ガス供給通路30hと油路19の連通は遮断されている。
【0032】
前記吐出孔12から吐出された高圧流体は、高圧通路15、連通路16を通過し、高圧室17へ流入する。ここで流体は、連通穴21から油分離室22へ勢いよく噴出する。
【0033】
したがって、前記高圧室17から流入した高圧流体(ガス冷媒)は、前記円筒空間22aを旋回しつつ円筒空間22aの上方に形成されたガス排出口25より圧縮機1の外部に接続された冷凍サイクル部品(図示せず)へ吐出される。
【0034】
一方、高圧流体(ガス冷媒)に含まれる潤滑油は、円筒空間22aを旋回する中で遠心力により、円筒空間22aの内周面22bに接触して張り付き、前記高圧流体(ガス冷媒)から分離される。そして、分離された潤滑油は、前記高圧流体の圧力も作用する関係から円筒空間22aの内周面に沿って下方に移動し、先細り開口23から貯油室24へ流入する。
【0035】
このように、圧縮機が運転されている間は、上述の状態が継続されている。
【0036】
そして、温度調節等の関係から圧縮機1が停止すると、シリンダ2内では、その内部における圧力差から、ロータ6と前部側板3および後部側板4の微小隙間から流体の移動が生じ、その結果、吐出孔12に近い高圧部の圧力は下降し、吸入孔10に近い低圧部の圧力は上昇する。
【0037】
これに伴って、ベーン背圧溝18内の圧力も下降する。このベーン背圧溝18の圧力下降に伴い、油路開閉手段30Bにおいても、第1導入路30sを介しての貯油室24からの圧力および第3バイアスばね30r及び第2バイアスばね30oの付勢力が作用し、第3弁球30p、第3弁座30qは閉塞方向に動作し、その結果、給油路19、第2導入路30tと貯油室24の連通を遮断する。
【0038】
一方、ガス通路開閉手段30Aにおいても、圧縮機停止後、ある時間放置されて高圧側と低圧側の圧力差が小さくなると、第1バイアスばね30fの作用によって第1プランジャ30cが第1弁座30e側に移動し、第1球弁30dを開放する状態となる。
【0039】
これにともない、第2球弁30i、第2弁座30jも開放状態となり、その結果、ガス供給通路入口部30a、第1ガス供給通路30b、第2ガス供給通路30hと、給油路19は、それぞれ連通する。
【0040】
そして、上記の状態から圧縮機が始動すると、ガス通路開閉手段30Aが開放されていること、およびロータ6の回転に伴いベーン9が突出することに起因するベーン溝8内の負圧現象に起因した給油路19、第2ガス供給通路30hに生じる吸引作用によって、シリンダ2から吐出された高圧流体(ガス冷媒)は、瞬時に高圧室17からガス取り入れ通路28へ流入し、ガス供給通路入口部30aと流れる。さらに、第1ガス供給通路30bから第2ガス供給通路30h、第2球弁30i、第2弁座30jからなる弁機構、さらに給油通路19を介してベーン背圧溝18に供給される。
【0041】
このように、圧縮機1の起動時は、ベーン背圧溝18に高圧のガス流体(冷媒)が供給されるため、ベーン溝8におけるベーン9の摺動は円滑なものとなり、ベーン9は確実に突出することができる。
【0042】
さらに、上記動作とほぼ同時に、前記シリンダ2内の吸入圧力より若干高い圧力となる部位の容積拡大に起因したガス導入路30kからの吸引作用により、第1プランジャ30cが下方へ移動し、加えてロータ6の回転にともなって吐出される高圧流体の加圧作用も相乗し、第1ガス供給通路30bの圧力が第1バイアスばね30fに抗して第1球弁30dを第1弁座30eへ押しつけ、第1ガス供給通路30bと第2ガス供給通路30hの連通を遮断する。
【0043】
ほぼ同時に高圧室17の圧力は、貯油室24にも作用し、またこの時、既に第2プランジャ室30lには、シリンダ2内で最も高い圧力に相当する吐出空間2cからの圧力が導入されているため、第2プランジャ30nは下方に押され、第3弁球30p、第3弁座30qが開放されている。また、この状態においては、第2球弁30iは先の給油路19からの潤滑油圧力によって第2弁座30jへ押圧されており、第2ガス供給通路30hと給油路19も遮断されている。つまり、図4の状態になっている。
【0044】
そのため、貯油室24の潤滑油は、第1導入路30sを介して第2導入路30tから給油路19を介してベーン背圧溝18に供給され、前述の圧縮機1の運転状態が再び維持される。
【0045】
したがって、圧縮機の起動時は、ガス取り入れ通路28より確実にベーン背圧制御装置30へ高圧流体のガス成分が供給されるため、ロータ6の回転に伴う遠心力と、ベーン溝8内の負圧現象の解消により、ベーン9を確実に突出させることができる。
【0046】
また、圧縮機の起動後は、潤滑油29をベーン溝8内へ供給し、ベーン9とシリンダ2内壁の当たりを確実なものとするため、安定した冷媒の吸入・圧縮・吐出工程が実現でき、圧縮機の信頼性を高めることができる。
【0047】
さらに、市場サービス時に圧縮機を交換する際、誤って潤滑油を規定量以上に入れ、貯油室24の油面が上昇しても、貯油室24内に設けられているベーン背圧制御装置30のガス供給通路入口部30aは、上方の高圧室17の潤滑油が溜まらない位置で、かつ高圧室17内に突出したガス取り入れ通路28に連通しているので、貯油室24内が潤滑油29で満杯になってもガス供給通路入口部30aが潤滑油で没してしまう事が無く、始動時に確実に高圧流体(ガス冷媒)を供給することができる。
【0048】
このように、誤って潤滑油が多く注入されても、起動時は瞬時にベーン9を飛び出させることができ、ベーン9の不調現象や圧縮不良現象を防ぐことができる。
なお、本実施の形態においては、潤滑油の分離機構として、所謂旋回式の構造を例に説明したが、潤滑油の分離機構として衝突式や濾過式等の他の分離機構を採用することも可能である。
【0049】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の圧縮機は、例えば、市場サービスにおいて圧縮機を交換する際、誤って潤滑油を規定量以上入れてしまい、油面が上昇して貯油室満杯となっても、始動時に確実に気流体(ガス冷媒)を供給することができ、その結果、ベーンの不調現象や圧縮不良現象を防ぐことが出来る。
【0050】
また、本発明は、前記ベーン背圧制御装置を、前記貯油室に配置し、前記ガス供給通路入口部を、前記高圧室の潤滑油が溜まらない箇所に開口しているため、車輌の振動等に起因して潤滑油面が波打っても、潤滑油のガス供給通路入口部への流入が抑制でき、前記ベーン背圧制御装置の動作を確実なものとする。
【0051】
また、本発明は、前記隔壁に、前記高圧室と貯油室を連通する連通路を設け、前記ベーン背圧制御装置のガス供給通路入口部を、前記連通路に連通させたる構成であるため、前記ベーン背圧制御装置のガス取り入れ構造は、ガス供給通路入口部と、前記連通路を連通させる構成でよく、前記ベーン背圧制御装置の構成は、従来のままでよく、新たな構成要件を前記ベーン背圧制御装置に設ける必要がないものである。
【0052】
また、本発明は、前記ガス取り入れ通路を、前記隔壁から高圧室内へ所定寸法突出させたことにより、潤滑油のガス供給通路入口部からのガス成分の取り入れがより確実に行える。
【0053】
さらに、本発明は、前記高圧室の流体と前記貯油室に貯えられた潤滑油を選択的に前記ベーン溝内へ供給する構成であるため、圧縮機の起動時は、ベーン溝内へ高圧室のガス流体を供給してベーンの飛び出し不調を改善し、圧縮機の起動後は、前記ベーン溝内へ貯油室の潤滑油を供給して圧縮機構における流体の吸入・圧縮・吐出作用を確実なものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示すベーンロータリ型圧縮機におけるガス供給経路および潤滑油供給経路を示す横断面図
【図2】同圧縮機におけるシリンダの内部構造を示す断面図
【図3】同圧縮機における高圧室カバー(高圧ケース)をシリンダ側から見た一部切り欠き正面図
【図4】同圧縮機におけるベーン背圧制御装置部分の要部拡大断面図
【符号の説明】
1 圧縮機
2 シリンダ
2a 吸入空間
2b 圧縮空間
2c 吐出空間
3 前部側板
4 後部側板
5 高圧室カバー
6 ロータ
7 駆動軸
8 ベーン溝
9 ベーン
10 吸入孔
11 吸入口
12 吐出孔
14 高圧通路カバー
15 高圧通路
16 連通路
17 高圧室
18 ベーン背圧溝
19 給油路
20 隔壁
21 連通穴
22 油分離室
24 貯油室
25 ガス排出口
28 ガス取り入れ通路
29 潤滑油
30 ベーン背圧制御装置
30A ガス通路開閉手段
30B 油路開閉手段[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a compressor that compresses a fluid, and particularly to a vane rotary type compressor that is used in an air conditioner for automobiles.
[0002]
[Prior art]
The vane rotary type compressor of this type is widely configured to supply high-pressure lubricating oil to the back of the vane due to a pressure difference so that the vane rotates and slides with the tip of the vane contacting the cylinder inner wall as the rotor rotates. Used (see, for example, Patent Document 1).
In the compressor described in Patent Document 1, even if the compressor is started when there is no difference between high and low pressures of the compressor, the pressure drop in the vane back pressure chamber that occurs immediately after the start is reduced by the gas from the gas supply passage. And a vane back pressure control device that can be selected to supply an appropriate amount of lubricating oil to the vane back pressure chamber by blocking the gas supply passage during steady operation.
[0003]
By the way, in the compressor of patent document 1, in order to suppress that lubricating oil is contained in the high pressure fluid (refrigerant gas) compressed and discharged, and is discharged in the refrigeration cycle components of an air conditioner, Is provided with an oil separating means. The vane back pressure control device is installed in the oil sump chamber from the relationship of supplying lubricating oil to the vane back pressure chamber, and the vane back pressure control device is configured to supply gas to the vane back pressure chamber. The gas supply passage had an opening in the upper part of the oil sump chamber.
[0004]
[Patent Document 1]
JP 63-140876 A (FIGS. 1 and 4)
[0005]
[Problems to be solved by the invention]
However, the configuration shown in Patent Document 1 often puts lubricating oil in a specified amount or more when replacing the compressor at the time of market service, in which case the oil level of the oil sump chamber is a specified value. The gas supply passage inlet of the vane back pressure control device is submerged in the lubricating oil due to the vehicle vibration and the like, and the gas fluid (gas refrigerant) is supplied to the vane back pressure chamber at the start-up. There were times when it became impossible.
For this reason, the back pressure of the vane cannot be ensured especially from the beginning of the compressor, and the vane cannot adhere to the vane groove and protrude from the rotor. When this phenomenon occurs, abnormal noise (centrifugation due to vane malfunction) occurs. Suddenly, there was a fatal problem that the vane did not cool at all due to the sudden impact noise of the vane against the cylinder inner wall due to force) and the lack of compression due to improper vane protrusion.
[0006]
In view of the above-described conventional problems, the present invention provides a compressor that does not cause a vane malfunction or a compression failure phenomenon at the start-up by communicating the high pressure chamber and the gas supply passage inlet of the vane back pressure control device. It is.
[0007]
[Means for Solving the Problems]
In order to achieve the above object, according to the first aspect of the present invention, a vane protrudes and retracts in a vane groove provided in a rotor, rotates in the cylinder together with the rotor, sucks and compresses fluid, A vane rotary type compression mechanism for discharging, a high pressure chamber for discharging a high pressure fluid compressed by the compression mechanism, an oil storage chamber for storing lubricating oil separated from the high pressure fluid, and the high pressure fluid into the vane groove A vane rotary compressor having a vane back pressure control device to be supplied, wherein the high pressure chamber and the oil storage chamber are partitioned by a partition, and the gas of the vane back pressure control device that takes in the high pressure fluid supplied to the vane groove A supply passage inlet is communicated with the high pressure chamber.
[0008]
With this configuration, for example, when replacing a compressor in a market service, even if the lubricating oil is accidentally put in more than a specified amount and the oil level rises and the oil storage chamber is full, the gas supply of the vane back pressure control device The passage inlet communicates with the position where the lubricant in the high-pressure chamber does not accumulate, so it will not be submerged with the lubricant, and gas fluid (gas refrigerant) can be reliably supplied at the start. As a result, it is possible to prevent vane malfunctions and compression failure phenomena.
[0009]
In the present invention, the vane back pressure control device is disposed in the oil storage chamber, and the gas supply passage inlet is opened at a location where the lubricating oil in the high pressure chamber does not accumulate.
[0010]
By adopting such a configuration, even if the lubricating oil surface undulates due to the vibration of the vehicle or the like, the inflow of the lubricating oil to the gas supply passage inlet can be suppressed, and the operation of the vane back pressure control device can be reliably performed. Further, in the present invention, the partition is provided with a gas intake passage communicating the high pressure chamber and the oil storage chamber, and the gas supply passage inlet of the vane back pressure control device is communicated with the gas intake passage. Is.
[0011]
With this configuration, the gas intake structure of the vane back pressure control device may be configured such that the gas supply passage inlet and the gas intake passage communicate with each other. Therefore, the configuration of the vane back pressure control device is the conventional one. It is not necessary to provide a new component in the vane back pressure control device.
[0012]
Further, the present invention makes it possible to take in gas components from the gas supply passage inlet of the lubricating oil by projecting the gas supply passage inlet of the vane back pressure control device by a predetermined dimension from the partition into the high pressure chamber. It can be done reliably.
[0013]
Further, according to the present invention, a vane rotary type compression mechanism in which a vane appears and disappears in a vane groove provided in a rotor, rotates in the cylinder together with the rotor, sucks, compresses, and discharges fluid, and the compression mechanism A high-pressure chamber from which compressed high-pressure fluid is discharged; an oil storage chamber for storing lubricating oil separated from the high-pressure fluid; and the fluid stored in the high-pressure chamber and the lubricating oil stored in the oil storage chamber are selectively used in the vane groove. A vane rotary type compressor provided with a vane back pressure control device supplied into the vane, wherein the high pressure chamber and the oil storage chamber are partitioned by a partition wall, and a high pressure fluid supplied to the vane groove is taken in. The gas supply passage inlet is communicated with a position where the lubricating oil in the high-pressure chamber does not accumulate.
[0014]
With this configuration, when the compressor is started, the gas fluid in the high pressure chamber is supplied into the vane groove to improve the vane popping malfunction, and after the compressor is started, the oil storage chamber is inserted into the vane groove. Lubricating oil can be supplied to ensure the suction, compression and discharge of fluid in the compression mechanism.
[0015]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Embodiments of the present invention will be described below with reference to the drawings based on an example in which the present invention is applied to a so-called vane rotary compressor.
[0016]
In FIG. 1 to FIG. 4, reference numeral 1 denotes a compressor, a cylinder 2 having a cylindrical inner wall, a front side plate 3, a rear side plate 4, and a rear side plate 4 that close the front and rear openings of the cylinder 2. The cover 5 is configured.
[0017]
A substantially columnar rotor 6 is housed in the cylinder 2 so as to be rotatable by decentering a part of its outer periphery from the axis of the cylinder 2 so as to form a minute gap with the inner wall of the cylinder 2. Yes. The rotor 6 is provided with an integrally formed drive shaft 7, and this drive shaft 7 is pivotally supported by the front side plate 3 and the rear side plate 4. Reference numeral 8 denotes a vane groove provided in the rotor 6, which is dug down in a tangential direction of the rotor 6, and a plurality of vane grooves are provided at equal intervals (every predetermined angle). Reference numeral 9 denotes a vane provided in the vane groove 8 so as to be able to appear and retract.
[0018]
Here, when the rotor 6 rotates, the vane 9 slides on the inner wall of the cylinder 2 to form a suction space 2a, a compression space 2b, and a discharge space 2c in the inner space of the cylinder 2. Reference numeral 10 denotes a suction hole provided in the cylinder 2, one end opening to the suction space 2 a and the other end communicating with the suction port 11 of the compressor 1. Reference numeral 12 denotes a discharge hole provided in the cylinder 2, which opens into the discharge space 2 c and is provided with a discharge valve 13. Reference numeral 14 denotes a high-pressure passage cover provided in the upper portion of the cylinder 2, and the discharge space 2 c communicates with the high-pressure passage 15 of the high-pressure passage cover 14 through the discharge hole 12. Reference numeral 16 denotes a communication passage provided in the rear side plate 4, whereby the high-pressure passage 15 and the high-pressure chamber 17 formed inside the high-pressure chamber cover 5 communicate with each other. The rear side plate 4 is provided with a vane back pressure groove 18 that faces the inner space of the cylinder 2 and extends to the discharge space 2c, the suction space 2a, and the compression space 2b, and communicates with the vane back pressure groove 18. An oil supply passage 19 is provided therethrough.
[0019]
Next, the configuration of the high pressure chamber cover 5 will be described. The high-pressure chamber cover 5 is located inside the high-pressure chamber 17 by a partition wall 20, a tapered cylindrical oil separation chamber 22 communicating with the high-pressure chamber 17 through a communication hole 21, and a lower portion of the high-pressure chamber 17. And an oil storage chamber 24 communicating with the oil separation chamber 22 through a tapered opening 23 of the oil separation chamber 22.
[0020]
The oil separation chamber 22 has a structure called a so-called centrifugal oil separator. That is, a concentric cylindrical space 22a is provided, and the communication hole 21 for guiding the high-pressure fluid (gas refrigerant) to the cylindrical space 22a is oriented so that the high-pressure fluid (gas refrigerant) is guided in the tangential direction of the cylindrical space 22a. , Angle, etc. are set. That is, it is desirable that the high-pressure fluid (gas refrigerant) is discharged along the inner peripheral surface 22b of the cylindrical space 22a in order to make the high-pressure fluid (gas refrigerant) swirl more smoothly.
[0021]
Further, an oil guide passage 26 with a gradually decreasing diameter is provided on the tapered front end side of the oil separation chamber 22, and the opening 23 is provided at the front end thereof. Reference numeral 25 denotes a gas discharge port provided at the upper end of the oil separation chamber 22 to which a refrigeration cycle component (not shown) is connected. Reference numeral 27 denotes a communication path provided in the cylindrical space 22a in the vicinity of the partition wall 20 and communicates between the oil storage chamber 24 and the lower portion of the cylindrical space 22a (near the boundary with the oil guide passage 26). The pressure in the oil separation chamber 22 is balanced. A gas intake passage 28 communicates the high pressure chamber 17 and the oil storage chamber 24, and is formed of a cylindrical body that penetrates the partition wall 20. The tip of the gas intake passage 28 prevents the lubricant from flowing in even if some lubricating oil accumulates in the high pressure chamber 17. , Projecting into the high-pressure chamber 17.
[0022]
A vane back pressure control device 30 is located in the oil storage chamber 24 and is provided on the rear side plate 4. The high pressure fluid (gas refrigerant) in the high pressure chamber 17 and the lubricating oil 29 accumulated in the oil storage chamber 24 are switched appropriately. To the vane back pressure groove 18.
[0023]
As shown in FIG. 4, the vane back pressure control device 30 includes a gas passage opening / closing means 30A and an oil passage opening / closing means 30B.
[0024]
The gas passage opening / closing means 30A has a first gas supply passage 30b whose one end communicates with the gas intake passage 28, and a first gas supply passage 30b whose one end communicates with the gas supply passage inlet 30a. The first plunger 30c, the first ball valve 30d and the first valve seat 30e that are opened and closed by the vertical movement of the first plunger 30c, the first bias spring 30f that adjusts the vertical movement of the first plunger 30c, and the first plunger 30c are housed. The first plunger chamber 30g, the second gas supply passage 30h communicating with the first gas supply passage 30b by the opening operation of the valve mechanism, the second gas supply passage 30h and the oil supply passage 19 A valve mechanism including a second ball valve 30i and a second valve seat 30j for controlling communication with the first plunger chamber 30g and one end opened to the rear portion It is formed in a plate 4, and is configured from the opened gas inlet passage 30k in the cylinder 2. Here, the gas introduction path 30k is a space formed by the front side plate 3, the rear side plate 4 and the vanes 9 in the cylinder 2 as the rotor 6 rotates in the direction of arrow X as shown in FIG. Thus, it opens at a site where the pressure is equal to or slightly higher than the suction pressure. The second ball valve 30i communicates and shuts off by the differential pressure between the second gas supply passage 30h and the oil supply passage 19.
[0025]
The oil passage opening / closing means 30B includes a circuit that takes in the pressure in the discharge space 2c in the cylinder 2, a circuit that takes in the pressure in the oil storage chamber 24, and a valve mechanism that operates by a differential pressure between the two circuits. Specifically, as shown in FIG. 2, one end opens to the discharge space 2c in the space inside the cylinder 2 with a minimum area, and the other end communicates with the second plunger chamber 30l, and a second high-pressure introduction path 30m. A second plunger 30n accommodated so as to move up and down in the plunger chamber 30l, a second bias spring 30o accommodated in the second plunger chamber 30l for adjusting the vertical movement of the second plunger 30n, and the second plunger 30n A valve mechanism including a third valve ball 30p and a third valve seat 30q that open and close by a vertical movement of the second plunger 30n, and a second bias for adjusting the operation of the second plunger 30n. Considering the biasing force of 30o, a third bias spring 30r that constantly biases the third ball valve 30p to press against the third valve seat 30q, one end opened to the oil storage chamber 24, and the other end is the first A first introduction passage 30s communicating with the three valve balls 30p and the third valve seat 30q, and a first introduction passage 30s communicating with the oil supply passage 19 via the third valve balls 30p and the third valve seat 30q. It is comprised from 2 introduction paths 30t.
[0026]
Therefore, if the third valve ball 30p and the third valve seat 30q are in the open state, the lubricating oil in the oil storage chamber 24 is supplied into the vane back pressure groove 18 through the introduction passage 30t and the oil supply passage 19. The
[0027]
Next, the operation of the compressor 1 having the above configuration will be described. Here, for convenience of explanation, a state in which the compressor is stopped and restarted from the state of the compressor 1 being operated will be described.
[0028]
In the above configuration, when power is transmitted to the drive shaft 7 from a drive source such as an engine (not shown), the rotor 6 rotates, and the vane 9 moves accordingly. As a result, the fluid (refrigerant) sucked from the suction hole 10 flows into the suction space 2a formed by the vane 9, the front side plate 3, and the rear side plate 4, moves from the compression space 2b to the discharge space 2c, and is compressed. The high pressure fluid is discharged from the discharge hole 12.
[0029]
On the other hand, while the vane 9 slides in and out of the vane groove 8 while sliding on the inner wall of the cylinder 2, the vane 9 is constantly urged in the direction of protruding by the lubricating oil filled in the vane groove 8. Yes.
[0030]
That is, in the oil passage opening / closing means 30B, the plunger 30n has the pressure of the discharge space 2c in the cylinder 2 supplied through the high pressure introduction passage 30m and the pressure of the oil storage chamber 24 supplied through the first introduction passage 30s. It works by entrusting it to the differential pressure. In this case, since the pressure in the discharge space 2c is higher than the pressure in the oil storage chamber 24, the third valve ball 30p and the third valve seat 30q are in an open state.
[0031]
Therefore, the lubricating oil in the oil storage chamber is continuously supplied to the vane groove 8 via 30j, the oil supply passage 19, and the vane back pressure groove 18, so that the vane 9 protrudes continuously from the vane groove 8. It is energized.
The pressure in the vane back pressure groove 18 also acts on the second valve seat 30j and the second valve ball 30i through the oil supply passage 19, and puts the second valve seat 30j and the second valve ball 30i in a closed state. Rush. Therefore, the communication between the second gas supply passage 30h and the oil passage 19 is blocked.
[0032]
The high-pressure fluid discharged from the discharge hole 12 passes through the high-pressure passage 15 and the communication passage 16 and flows into the high-pressure chamber 17. Here, the fluid is ejected vigorously from the communication hole 21 to the oil separation chamber 22.
[0033]
Therefore, the high-pressure fluid (gas refrigerant) flowing from the high-pressure chamber 17 is connected to the outside of the compressor 1 through the gas discharge port 25 formed above the cylindrical space 22a while turning around the cylindrical space 22a. It is discharged to a component (not shown).
[0034]
On the other hand, the lubricating oil contained in the high-pressure fluid (gas refrigerant) sticks in contact with the inner peripheral surface 22b of the cylindrical space 22a by centrifugal force while turning in the cylindrical space 22a, and is separated from the high-pressure fluid (gas refrigerant). Is done. The separated lubricating oil moves downward along the inner peripheral surface of the cylindrical space 22a because the pressure of the high-pressure fluid acts, and flows into the oil storage chamber 24 through the tapered opening 23.
[0035]
Thus, the above-mentioned state is continued while the compressor is operated.
[0036]
When the compressor 1 is stopped due to temperature control or the like, fluid movement occurs in the cylinder 2 from the minute gap between the rotor 6, the front side plate 3 and the rear side plate 4 due to the pressure difference in the cylinder 2. As a result, The pressure in the high pressure portion near the discharge hole 12 decreases, and the pressure in the low pressure portion near the suction hole 10 increases.
[0037]
Along with this, the pressure in the vane back pressure groove 18 also decreases. As the pressure in the vane back pressure groove 18 decreases, the pressure from the oil storage chamber 24 through the first introduction path 30s and the biasing force of the third bias spring 30r and the second bias spring 30o also in the oil path opening / closing means 30B. The third valve ball 30p and the third valve seat 30q operate in the closing direction, and as a result, the communication between the oil supply passage 19, the second introduction passage 30t, and the oil storage chamber 24 is blocked.
[0038]
On the other hand, in the gas passage opening / closing means 30A, if the pressure difference between the high pressure side and the low pressure side becomes small after being left for a certain period after the compressor is stopped, the first plunger 30c is moved to the first valve seat 30e by the action of the first bias spring 30f. And the first ball valve 30d is opened.
[0039]
Along with this, the second ball valve 30i and the second valve seat 30j are also opened, and as a result, the gas supply passage inlet 30a, the first gas supply passage 30b, the second gas supply passage 30h, and the oil supply passage 19 are Each communicates.
[0040]
When the compressor is started from the above state, the gas passage opening / closing means 30A is opened, and the negative pressure phenomenon in the vane groove 8 is caused by the vane 9 protruding as the rotor 6 rotates. The high-pressure fluid (gas refrigerant) discharged from the cylinder 2 instantaneously flows from the high-pressure chamber 17 into the gas intake passage 28 due to the suction action generated in the oil supply passage 19 and the second gas supply passage 30h. It flows with 30a. Further, the first gas supply passage 30b is supplied to the vane back pressure groove 18 through the valve mechanism including the second gas supply passage 30h, the second ball valve 30i, and the second valve seat 30j, and the oil supply passage 19.
[0041]
In this way, when the compressor 1 is started, since the high-pressure gas fluid (refrigerant) is supplied to the vane back pressure groove 18, the sliding of the vane 9 in the vane groove 8 becomes smooth, and the vane 9 is surely secured. Can protrude into.
[0042]
Further, almost simultaneously with the above operation, the first plunger 30c moves downward due to the suction action from the gas introduction passage 30k due to the volume expansion of the portion where the pressure is slightly higher than the suction pressure in the cylinder 2. The pressurizing action of the high-pressure fluid discharged along with the rotation of the rotor 6 is also synergistic, and the pressure of the first gas supply passage 30b resists the first bias spring 30f to move the first ball valve 30d to the first valve seat 30e. The communication between the first gas supply passage 30b and the second gas supply passage 30h is cut off.
[0043]
Almost simultaneously, the pressure in the high pressure chamber 17 also acts on the oil storage chamber 24. At this time, the pressure from the discharge space 2c corresponding to the highest pressure in the cylinder 2 has already been introduced into the second plunger chamber 30l. Therefore, the second plunger 30n is pushed downward, and the third valve ball 30p and the third valve seat 30q are opened. In this state, the second ball valve 30i is pressed against the second valve seat 30j by the lubricating oil pressure from the previous oil supply passage 19, and the second gas supply passage 30h and the oil supply passage 19 are also shut off. . That is, it is in the state of FIG.
[0044]
Therefore, the lubricating oil in the oil storage chamber 24 is supplied from the second introduction path 30t to the vane back pressure groove 18 via the first introduction path 30s and the oil supply path 19, and the operation state of the compressor 1 is maintained again. Is done.
[0045]
Therefore, when the compressor is started, the gas component of the high-pressure fluid is reliably supplied from the gas intake passage 28 to the vane back pressure control device 30, so that the centrifugal force associated with the rotation of the rotor 6 and the negative pressure in the vane groove 8 can be reduced. The vane 9 can be reliably protruded by eliminating the pressure phenomenon.
[0046]
In addition, after starting the compressor, the lubricant 29 is supplied into the vane groove 8 to ensure the contact between the vane 9 and the inner wall of the cylinder 2, so that a stable refrigerant suction / compression / discharge process can be realized. , The reliability of the compressor can be increased.
[0047]
Further, when replacing the compressor at the time of market service, even if the lubricating oil is accidentally added to a specified amount or more and the oil level of the oil storage chamber 24 rises, the vane back pressure control device 30 provided in the oil storage chamber 24 The gas supply passage inlet portion 30a communicates with the gas intake passage 28 that protrudes into the high pressure chamber 17 at a position where the lubricating oil in the upper high pressure chamber 17 does not accumulate, so that the oil storage chamber 24 has the lubricating oil 29 therein. Therefore, the gas supply passage inlet 30a is not submerged with the lubricating oil even when it is full, and the high-pressure fluid (gas refrigerant) can be reliably supplied at the start.
[0048]
Thus, even if a large amount of lubricating oil is mistakenly injected, the vane 9 can be ejected instantaneously at the time of start-up, and the malfunction phenomenon and the compression failure phenomenon of the vane 9 can be prevented.
In the present embodiment, a so-called swivel structure has been described as an example of the lubricating oil separation mechanism, but other separation mechanisms such as a collision type and a filtration type may be adopted as the lubricating oil separation mechanism. Is possible.
[0049]
【The invention's effect】
As described above, the compressor of the present invention can be used even when, for example, when replacing the compressor in a market service, the lubricating oil is accidentally put in a specified amount or more and the oil level rises and the oil storage chamber becomes full. The gas-fluid (gas refrigerant) can be reliably supplied at the start, and as a result, the vane malfunction phenomenon and the compression failure phenomenon can be prevented.
[0050]
In the present invention, the vane back pressure control device is disposed in the oil storage chamber, and the gas supply passage inlet is opened at a location where the lubricating oil in the high pressure chamber does not collect, so that vibration of the vehicle, etc. Even if the lubricating oil surface undulates due to the above, the inflow of the lubricating oil into the gas supply passage inlet can be suppressed, and the operation of the vane back pressure control device is ensured.
[0051]
In the present invention, the partition wall is provided with a communication passage communicating the high pressure chamber and the oil storage chamber, and the gas supply passage inlet portion of the vane back pressure control device is communicated with the communication passage. The gas intake structure of the vane back pressure control device may have a configuration in which the gas supply passage inlet and the communication passage are communicated with each other. The vane back pressure control device need not be provided.
[0052]
Further, according to the present invention, by allowing the gas intake passage to protrude from the partition wall into the high pressure chamber by a predetermined size, the gas component from the gas supply passage inlet of the lubricating oil can be taken in more reliably.
[0053]
Furthermore, since the present invention is configured to selectively supply the fluid in the high pressure chamber and the lubricating oil stored in the oil storage chamber into the vane groove, the high pressure chamber is introduced into the vane groove when the compressor is started. The gas fluid is supplied to improve the vane popping malfunction, and after the compressor is started, the lubricating oil in the oil storage chamber is supplied into the vane groove to ensure the suction, compression and discharge of the fluid in the compression mechanism. Can be.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a cross-sectional view showing a gas supply path and a lubricating oil supply path in a vane rotary compressor showing an embodiment of the present invention. FIG. 2 is a cross-sectional view showing an internal structure of a cylinder in the compressor. ] Front view of partly cutaway high pressure chamber cover (high pressure case) in the compressor as seen from the cylinder side. [Fig. 4] Enlarged cross-sectional view of the main part of the vane back pressure control unit in the compressor.
DESCRIPTION OF SYMBOLS 1 Compressor 2 Cylinder 2a Suction space 2b Compression space 2c Discharge space 3 Front side plate 4 Rear side plate 5 High pressure chamber cover 6 Rotor 7 Drive shaft 8 Vane groove 9 Vane 10 Suction hole 11 Suction port 12 Suction port 14 High pressure passage cover 15 High pressure Passage 16 communication passage 17 high pressure chamber 18 vane back pressure groove 19 oil supply passage 20 partition wall 21 communication hole 22 oil separation chamber 24 oil storage chamber 25 gas discharge port 28 gas intake passage 29 lubricating oil 30 vane back pressure control device 30A gas passage opening / closing means 30B Oil passage opening and closing means