JP2005029873A - ナノカーボン分散被膜の形成方法及びナノカーボン分散被膜 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、押出成型のための軸とコンテナを必要とせず、また基材を焼結・成型するための金型を必要とせずに、摩擦特性を発揮するために十分な厚みを持つナノカーボン分散被膜の形成方法及びそれよって作られたナノカーボン分散被膜を提供することを目的とする。
【解決手段】 フラーレン、ナノクラスターダイヤモンド、オニオン構造炭素のいずれか一種からなるナノカーボン若しくはこれらの複合物又はこれらと金属、セラミックス、樹脂のいずれ一種との複合粉末若しくはこれらの混合粉末を用いて、溶射を行うことを特徴とするナノカーボン分散被膜の形成方法。
【選択図】 図1
Description
本発明は、ナノカーボン分散被膜を形成させる方法及び当該方法によって作られたナノカーボン分散被膜に関するものである。
フラーレン、ナノクラスターダイヤモンドあるいはオニオン構造炭素などのナノカーボンは、直径1〜10ナノメートルのほぼ球形の炭素粒子であり、表面に反応性の高い非飽和結合を持たないため、接触する物質との相互作用が極めて小さいナノサイズのボールとみなせる。
このボールベアリング的機能によって、ナノカーボンは優れた固体潤滑材として期待されている。更に近年、低摩擦材料開発の観点から、ナノカーボンを金属や樹脂のマトリックス中に分散させた各種複合材料の製作が試みられている(例えば、非特許文献1又は特許文献1参照)。
このボールベアリング的機能によって、ナノカーボンは優れた固体潤滑材として期待されている。更に近年、低摩擦材料開発の観点から、ナノカーボンを金属や樹脂のマトリックス中に分散させた各種複合材料の製作が試みられている(例えば、非特許文献1又は特許文献1参照)。
ナノカーボンを分散させたバルク状複合材料の製造技術に関しては、ナノカーボンとマトリックス物質粒子を機械的に混合し、これを高圧・高温条件で固化成型する方式が考案されており、この方式によって、アルミニウム合金、銅、チタン、エポキシ、ポリイミド、PTFEあるいは酸化チタン等のマトリクスにフラーレンやナノクラスターダイヤモンドを分散させた材料が製作されている(例えば、非特許文献2参照)。
しかし、ナノカーボンの摩擦低減機能のみを利用するのであれば、この機能は材料の表面にのみ付与されればよいから、単価の高いナノカーボンをバルク全体に分散させる必要はない。しかも、ナノダイヤモンドをバルク全体に分散させることで、マトリクス材の機械的、熱的あるいは化学的特性を不必要に劣下させてしまう可能性が生じる。
そのため、ナノカーボン分散材料を他の基材上に被膜として形成する方法が求められている。この場合、被膜の厚みは、摩擦特性を発揮するために十分な大きさを持つ必要がある。
そのため、ナノカーボン分散材料を他の基材上に被膜として形成する方法が求められている。この場合、被膜の厚みは、摩擦特性を発揮するために十分な大きさを持つ必要がある。
被膜状のナノクラスターダイヤモンド分散材料を他の基材上に形成する方法としては、粉体の押出圧紛成型により基材上にナノカーボン分散層を形成する手法が報告されている(例えば、非特許文献1(頁161−168)参照)。
これによりアルミニウム合金表面に、厚さ0.25mm、長さ25mmに渡って、ナノダイヤモンド分散アルミニウム合金層を形成することができる。
しかしこの手法は、押出成型のための軸とコンテナを要するため、基材のとりうる形状に大きな制約を生じる問題がある。
これによりアルミニウム合金表面に、厚さ0.25mm、長さ25mmに渡って、ナノダイヤモンド分散アルミニウム合金層を形成することができる。
しかしこの手法は、押出成型のための軸とコンテナを要するため、基材のとりうる形状に大きな制約を生じる問題がある。
基材を焼結・成型するための金型内面に、あらかじめナノカーボンを塗布しておくことで、成型された基材表面にナノカーボンを付着させる方法が検討されている。しかし、この方式が適用できるのは金型成型品にのみ限られる。
マグネトロンスパッタリング法によって炭素とニッケルを同時に基材に蒸着し、これに熱処理と酸処理を施す方法が報告されている。これによって、シリコン基材上にオニオン構造炭素が高密度に集合した膜を形成することが可能である。しかしこの方法によって得られる膜厚は35ナノメートル程度と薄く、摩擦特性を発揮するために十分な大きさではない。
「国際研究協力事業:クラスタダイヤモンドを利用した固体潤滑材料の開発:成果報告書」新エネルギー・産業技術総合開発事業(委託先:(株)東京ダイヤモンド工具製作所)編、平成13年3月、P30−232 米国特許第5158695号
K. Hanada, M. Mayuzumi, N. Nakayama, T. Sano, "Processing and characterization of cluster diamond dispersed Al-Si-Cu-Mg composite" Journal of Materials Processing Technology, 119(2001), P216-221
マグネトロンスパッタリング法によって炭素とニッケルを同時に基材に蒸着し、これに熱処理と酸処理を施す方法が報告されている。これによって、シリコン基材上にオニオン構造炭素が高密度に集合した膜を形成することが可能である。しかしこの方法によって得られる膜厚は35ナノメートル程度と薄く、摩擦特性を発揮するために十分な大きさではない。
「国際研究協力事業:クラスタダイヤモンドを利用した固体潤滑材料の開発:成果報告書」新エネルギー・産業技術総合開発事業(委託先:(株)東京ダイヤモンド工具製作所)編、平成13年3月、P30−232
本発明は、押出成型のための軸とコンテナを必要とせず、また基材を焼結・成型するための金型を必要とせずに、摩擦特性を発揮するために十分な厚みを持つナノカーボン分散被膜の形成方法及びそれよって作られたナノカーボン分散被膜を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、溶射を利用することにより、特に発明者らが特許取得している電磁加速プラズマによる溶射(特許第3331375号)を利用することにより、摩擦特性を発揮するために十分な厚みを持つナノカーボン分散被膜を形成可能なことを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、1)フラーレン、ナノクラスターダイヤモンド、オニオン構造炭素のいずれか一種からなるナノカーボン若しくはこれらの複合物又はこれらと金属、セラミックス、樹脂のいずれ一種との複合粉末若しくはこれらの混合粉末を用いて、溶射を行うナノカーボン分散被膜の形成方法。2)特に、電磁加速プラズマによる溶射を断続的行う前記1)のナノカーボン分散被膜の形成方法。3)一連の溶射を複数回行う前記1)又は2)に記載のナノカーボン分散被膜の形成方法。4)フラーレン、ナノクラスターダイヤモンド、オニオン構造炭素のいずれか一種からなるナノカーボン若しくはこれらの複合物と金属、セラミックス、樹脂との配合比率を一連の溶射ごとに変化させる前記2)又は3)に記載のナノカーボン分散被膜の形成方法。5)前記1)、2)及び3)のいずれかに記載された方法によって形成されたナノカーボン分散被膜。6)溶射によって形成されたフラーレン、ナノクラスターダイヤモンド、オニオン構造炭素のいずれか一種からなるナノカーボン層若しくはこれらの複合物層又はこれらと金属、セラミックス、樹脂のいずれ一種との複合層若しくはこれらの混合層を備えていることを特徴とするナノカーボン分散被膜。7)複合層又は混合層におけるフラーレン、ナノクラスターダイヤモンド、オニオン構造炭素のいずれか一種からなるナノカーボンと金属、セラミックス若しくは樹脂との配合比率が層の厚み方向に変化していることを特徴とする前記6)に記載のナノカーボン分散被膜。
を提供するものである。
すなわち本発明は、1)フラーレン、ナノクラスターダイヤモンド、オニオン構造炭素のいずれか一種からなるナノカーボン若しくはこれらの複合物又はこれらと金属、セラミックス、樹脂のいずれ一種との複合粉末若しくはこれらの混合粉末を用いて、溶射を行うナノカーボン分散被膜の形成方法。2)特に、電磁加速プラズマによる溶射を断続的行う前記1)のナノカーボン分散被膜の形成方法。3)一連の溶射を複数回行う前記1)又は2)に記載のナノカーボン分散被膜の形成方法。4)フラーレン、ナノクラスターダイヤモンド、オニオン構造炭素のいずれか一種からなるナノカーボン若しくはこれらの複合物と金属、セラミックス、樹脂との配合比率を一連の溶射ごとに変化させる前記2)又は3)に記載のナノカーボン分散被膜の形成方法。5)前記1)、2)及び3)のいずれかに記載された方法によって形成されたナノカーボン分散被膜。6)溶射によって形成されたフラーレン、ナノクラスターダイヤモンド、オニオン構造炭素のいずれか一種からなるナノカーボン層若しくはこれらの複合物層又はこれらと金属、セラミックス、樹脂のいずれ一種との複合層若しくはこれらの混合層を備えていることを特徴とするナノカーボン分散被膜。7)複合層又は混合層におけるフラーレン、ナノクラスターダイヤモンド、オニオン構造炭素のいずれか一種からなるナノカーボンと金属、セラミックス若しくは樹脂との配合比率が層の厚み方向に変化していることを特徴とする前記6)に記載のナノカーボン分散被膜。
を提供するものである。
本発明によれば、押出成型のための軸とコンテナ、および軸を駆動するための機構を要さず、また基材を焼結・成型するための金型を要さずに、摩擦特性を発揮するために十分な厚みを持つナノカーボン分散被膜を製造することができるという優れた効果がある。また、これにより優れた固体潤滑材として期待されているナノカーボンが金属や樹脂のマトリックス中に分散した被膜を基材上に形成し、その摩擦特性を向上させるための手段が提供できるという著しい効果を有する。
本発明において用いるナノカーボンのうち、フラーレンは、それを構成する炭素原子がいかなる数であってもよく、またその内部に金属元素等の他の元素が含まれる複合物であってもよい。
また、ナノクラスターダイヤモンド及びオニオン構造炭素は、個々の粒子が分離した状態でも、多数の粒子による凝集体が形成されている状態でも、またその内部に金属元素等の他の元素が含まれる複合物であってもよい。これらはいずれも使用できる。
また、溶射は、不活性気体又は活性気体の存在下で行うことができる。特に電磁加速プラズマによる溶射は、本発明のナノカーボン分散被膜の形成に有効であり、不活性気体又は活性気体の存在下で、断続的に行うことができる。
不活性気体としてはヘリウム、アルゴンなどがある。活性気体としては酸素、窒素が挙げられる。
また、ナノクラスターダイヤモンド及びオニオン構造炭素は、個々の粒子が分離した状態でも、多数の粒子による凝集体が形成されている状態でも、またその内部に金属元素等の他の元素が含まれる複合物であってもよい。これらはいずれも使用できる。
また、溶射は、不活性気体又は活性気体の存在下で行うことができる。特に電磁加速プラズマによる溶射は、本発明のナノカーボン分散被膜の形成に有効であり、不活性気体又は活性気体の存在下で、断続的に行うことができる。
不活性気体としてはヘリウム、アルゴンなどがある。活性気体としては酸素、窒素が挙げられる。
本発明の電磁加速プラズマによる溶射を使用する場合、例えば一回あたり100〜500マイクロ秒の所要時間で、断続的に2〜60回程度行うことができる。
さらに本発明の電磁加速プラズマによる溶射では、例えば最初の5回(1サイクル)と中間の5回(1サイクル)と最後の10回(1サイクル)の合計20回の電磁加速プラズマによる溶射を、1サイクルごとにそれぞれ組成比の異なる原料で行うことができる。
本発明においてナノカーボン分散被膜を設ける基材(板)は、ステンレスや銅などの金属、セラミックス、ガラスなどがあり、広範囲の材料に使用することができる。その材料の選択に特に制限はない。
さらに本発明の電磁加速プラズマによる溶射では、例えば最初の5回(1サイクル)と中間の5回(1サイクル)と最後の10回(1サイクル)の合計20回の電磁加速プラズマによる溶射を、1サイクルごとにそれぞれ組成比の異なる原料で行うことができる。
本発明においてナノカーボン分散被膜を設ける基材(板)は、ステンレスや銅などの金属、セラミックス、ガラスなどがあり、広範囲の材料に使用することができる。その材料の選択に特に制限はない。
電磁加速プラズマ溶射を用いた場合の、ナノカーボン分散被膜の製造工程の一例を図1〜図5に示す。図1は発明者らが特許を取得した(特許第3331375号)電磁加速プラズマによる溶射方法の実施形態の例である。
図1に示した状態においてパルス電源(コンデンサバンク)10を充電する。
充電終了後、材料噴射装置5に連結する加圧ガス管7に付設された開閉バルブ8を瞬時に開き、加圧ガスをその装置5内に導入させ、その装置5内のナノカーボン粉体6とともに筒体1に形成された透孔9から筒体内へパルス的に噴射させる(図2)。
次に、粉体6の筒体内への噴射終了直後にパルス電源10のスイッチを閉じ、筒体1と陽極2を特定の場所で電気的に短絡している導電体細線Wに大電流を通電すると、その際に発生する熱量によって筒体内のガスが電離し、高温のプラズマPが発生する(図3)。
図1に示した状態においてパルス電源(コンデンサバンク)10を充電する。
充電終了後、材料噴射装置5に連結する加圧ガス管7に付設された開閉バルブ8を瞬時に開き、加圧ガスをその装置5内に導入させ、その装置5内のナノカーボン粉体6とともに筒体1に形成された透孔9から筒体内へパルス的に噴射させる(図2)。
次に、粉体6の筒体内への噴射終了直後にパルス電源10のスイッチを閉じ、筒体1と陽極2を特定の場所で電気的に短絡している導電体細線Wに大電流を通電すると、その際に発生する熱量によって筒体内のガスが電離し、高温のプラズマPが発生する(図3)。
このようにして発生された高温プラズマPは、電磁力により筒体の先端開口3の方向へ加速度的に移動するが、その際、筒体内に存在する粉体材料を捕集する。この捕集された粉体は高温プラズマととも高速度で移動する(図4)。粉体は高温プラズマと共に先端開口部から噴出し、基板Sと高速に衝突する。その結果、基板上にはナノカーボンを含有した被膜Dが形成される(図5)。
このようにして形成されたナノカーボン含有被膜は、粉体粒子が非常に高速に基板に衝突し、十分な塑性変形によって粒子同士が密着してできたものである。従って、押出成型のための軸とコンテナ、および軸を駆動するための機構、あるいは、基材を焼結・成型するための金型などを全く必要としない。
また、被膜の製造は、図1〜図5に示した製膜工程を任意の回数繰り返してよい。従って、最終的に得られるナノカーボン含有被膜の厚みは、製膜工程の繰り返しによって任意に調整することができ、特性を発揮するために必要と考えられる1ミクロン以上の厚みを容易に得ることができる。
また、被膜の製造は、図1〜図5に示した製膜工程を任意の回数繰り返してよい。従って、最終的に得られるナノカーボン含有被膜の厚みは、製膜工程の繰り返しによって任意に調整することができ、特性を発揮するために必要と考えられる1ミクロン以上の厚みを容易に得ることができる。
なお、製膜工程1サイクルごとに投入する粉体の平均サイズと投入重量は任意の大きさが可能であるが、例えばコンデンサバンクから出力されるパルス電流のピーク値が100kA程度の場合、マトリックス粉末の平均粒計は10ミクロン以下、1サイクル毎の投入重量は0.5グラム以下が望ましい。
以上については、新しい特許発明である電磁加速プラズマ溶射を用いた場合の例を示したが、これは配合量を変化させたり、繰り返し断続的に被膜を形成できるなどの点において、本発明のナノカーボン分散被膜の形成に特に有効である。しかし、通常の溶射被膜でも同様な形成が可能である。
以上については、新しい特許発明である電磁加速プラズマ溶射を用いた場合の例を示したが、これは配合量を変化させたり、繰り返し断続的に被膜を形成できるなどの点において、本発明のナノカーボン分散被膜の形成に特に有効である。しかし、通常の溶射被膜でも同様な形成が可能である。
本発明の実施例を具体的に説明する。
図1に示した電磁加速プラズマ溶射装置の筒体1として、外径70mm、内径40mm,長さ約400mmの銅を、また陽極2として直径15mm、長さ約500mmの銅を用いた。
基板Sは10×10mmのSUS304もしくはSUS430であり、先端開口3から約50mm離れた場所に設置した。基板温度は室温とした。筒体内部および基板雰囲気は1Torr程度の空気とした。
材料粉体6としてはナノクラスターダイヤモンドが用いた。粉体噴射用加圧ガスとして8気圧のアルゴンを用いた。パルス電源10の出力電流波形は、ピーク値100kA、時間幅約300マイクロ秒であった。
図1に示した電磁加速プラズマ溶射装置の筒体1として、外径70mm、内径40mm,長さ約400mmの銅を、また陽極2として直径15mm、長さ約500mmの銅を用いた。
基板Sは10×10mmのSUS304もしくはSUS430であり、先端開口3から約50mm離れた場所に設置した。基板温度は室温とした。筒体内部および基板雰囲気は1Torr程度の空気とした。
材料粉体6としてはナノクラスターダイヤモンドが用いた。粉体噴射用加圧ガスとして8気圧のアルゴンを用いた。パルス電源10の出力電流波形は、ピーク値100kA、時間幅約300マイクロ秒であった。
図6(a)および(b)に、ナノクラスターダイヤモンド粉体と、被膜形成サイクルを2回繰り返して形成された被膜表面のSEM像を示した。ナノクラスターダイヤモンド粉体は20ミクロン以下のサイズの凝集体からなっており、溶射の結果、基板を完全に被う被膜が形成されていることがわかる。
厚みは一様ではないが、最も薄い場所で1〜2ミクロンである。図7(a)および(b)に、ナノクラスターダイヤモンド粉体と被膜のTEM像を示した。ナノクラスターダイヤモンド粉体は直径約10ナノメートルのダイヤモンド粒子からなっている。
一方、電磁加速プラズマによる溶射によって形成された被膜は、球状あるいは多面体状のオニオン構造炭素粒子とリボン状グラファイト組織から構成されていることがわかる。すなわち、ナノクラスターダイヤモンドを原料として電磁加速プラズマによる溶射を行うことにより、ナノカーボンであるオニオン構造炭素を含む被膜が形成された。
厚みは一様ではないが、最も薄い場所で1〜2ミクロンである。図7(a)および(b)に、ナノクラスターダイヤモンド粉体と被膜のTEM像を示した。ナノクラスターダイヤモンド粉体は直径約10ナノメートルのダイヤモンド粒子からなっている。
一方、電磁加速プラズマによる溶射によって形成された被膜は、球状あるいは多面体状のオニオン構造炭素粒子とリボン状グラファイト組織から構成されていることがわかる。すなわち、ナノクラスターダイヤモンドを原料として電磁加速プラズマによる溶射を行うことにより、ナノカーボンであるオニオン構造炭素を含む被膜が形成された。
図8(a)および(b)は、本発明によって得られたナノカーボン含有被膜の、大気中および高真空中における摩擦試験結果である。ステンレス基板の摩擦係数が、被膜の形成によって顕著に低下することがわかる。
ナノカーボン特有の摩擦特性として、高真空中における摩擦の顕著な低下が知られているが、図8(a)、(b)からわかるように、本発明によって得られた被膜も、大気中よりも高真空中でより小さな摩擦係数を示している。
すなわち本発明により、ナノカーボン特有の摩擦特性を発揮しうる、ナノカーボン含有被膜が形成された。
ナノカーボン特有の摩擦特性として、高真空中における摩擦の顕著な低下が知られているが、図8(a)、(b)からわかるように、本発明によって得られた被膜も、大気中よりも高真空中でより小さな摩擦係数を示している。
すなわち本発明により、ナノカーボン特有の摩擦特性を発揮しうる、ナノカーボン含有被膜が形成された。
本発明によれば、押出成型のための軸とコンテナ、および軸を駆動するための機構を要さず、また基材を焼結・成型するための金型を要さずに、摩擦特性を発揮するために十分な厚みを持つナノカーボン分散被膜を製造することができる。固体潤滑材として極めて有用であるナノカーボン分散被膜が得られる。
1 筒体(陰極)
2 陽極
3 開口
4 電気絶縁体
5 粉体噴射装置
6 粉体
7 加圧ガス管
8 開閉バルブ
9 透孔
10 パルス電源(コンデンサバンク)
S 基板
W 導電体細線
P 高温プラズマ
D 被膜
2 陽極
3 開口
4 電気絶縁体
5 粉体噴射装置
6 粉体
7 加圧ガス管
8 開閉バルブ
9 透孔
10 パルス電源(コンデンサバンク)
S 基板
W 導電体細線
P 高温プラズマ
D 被膜
Claims (7)
- フラーレン、ナノクラスターダイヤモンド、オニオン構造炭素のいずれか一種からなるナノカーボン若しくはこれらの複合物又はこれらと金属、セラミックス、樹脂のいずれ一種との複合粉末若しくはこれらの混合粉末を用いて、溶射を行うことを特徴とするナノカーボン分散被膜の形成方法。
- フラーレン、ナノクラスターダイヤモンド、オニオン構造炭素のいずれか一種からなるナノカーボン若しくはこれらの複合物又はこれらと金属、セラミックス、樹脂のいずれ一種との複合粉末若しくはこれらの混合粉末を用いて、電磁加速プラズマによる溶射を断続的行うことを特徴とするナノカーボン分散被膜の形成方法。
- 一連の溶射を複数回行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のナノカーボン分散被膜の形成方法。
- フラーレン、ナノクラスターダイヤモンド、オニオン構造炭素のいずれか一種からなるナノカーボン若しくはこれらの複合物と金属、セラミックス、樹脂との配合比率を一連の溶射ごとに変化させる請求項2又は3に記載のナノカーボン分散被膜の形成方法。
- 請求項1、請求項2及び請求項3のいずれかに記載された方法によって形成されたナノカーボン分散被膜。
- 溶射によって形成されたフラーレン、ナノクラスターダイヤモンド、オニオン構造炭素のいずれか一種からなるナノカーボン層若しくはこれらの複合物層又はこれらと金属、セラミックス、樹脂のいずれ一種との複合層若しくはこれらの混合層を備えていることを特徴とするナノカーボン分散被膜。
- 複合層又は混合層におけるフラーレン、ナノクラスターダイヤモンド、オニオン構造炭素のいずれか一種からなるナノカーボンと金属、セラミックス若しくは樹脂との配合比率が層の厚み方向に変化していることを特徴とする請求項6に記載のナノカーボン分散被膜。
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