[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/

JP2005023124A - 芳香族ポリカーボネート樹脂 - Google Patents

芳香族ポリカーボネート樹脂 Download PDF

Info

Publication number
JP2005023124A
JP2005023124A JP2003187182A JP2003187182A JP2005023124A JP 2005023124 A JP2005023124 A JP 2005023124A JP 2003187182 A JP2003187182 A JP 2003187182A JP 2003187182 A JP2003187182 A JP 2003187182A JP 2005023124 A JP2005023124 A JP 2005023124A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polycarbonate resin
aromatic polycarbonate
aromatic
bis
ppm
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003187182A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshimasa Tokuda
俊正 徳田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Chemicals Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Teijin Chemicals Ltd filed Critical Teijin Chemicals Ltd
Priority to JP2003187182A priority Critical patent/JP2005023124A/ja
Publication of JP2005023124A publication Critical patent/JP2005023124A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Wrappers (AREA)
  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)
  • Optical Record Carriers And Manufacture Thereof (AREA)

Abstract

【課題】優れた耐熱性、剛性を持ち、且つ色相の優れた特定構造の芳香族ポリカーボネート樹脂を提供する。
【解決手段】全芳香族ジヒドロキシ成分の5〜95モル%が下記一般式[1]
【化1】
Figure 2005023124

[式中、R〜Rは夫々独立して水素原子、炭素原子数1〜9の芳香族基を含んでもよい炭化水素基又はハロゲン原子である。]で表されるフルオレン系ビスフェノール、95〜5モル%が下記一般式[2]
【化2】
Figure 2005023124

[式中、R〜Rは夫々独立して水素原子、炭素原子数1〜9の芳香族基を含んでもよい炭化水素基又はハロゲン原子であり、Wは単結合、炭素原子数1〜20の芳香族基を含んでもよい炭化水素基、O、S、SO、SO、CO又はCOO基である。]
で表されるジヒドロキシ成分から得られたポリカーボネート共重合体であって、硫黄化合物の含有量が硫黄原子として100ppb以下、四塩化炭素が2ppm以下であることを特徴とする芳香族ポリカーボネート樹脂。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、芳香族ポリカーボネート樹脂に関する。さらに詳しくは優れた耐熱性、剛性を有する、色相の改善された芳香族ポリカーボネート樹脂に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ビスフェノールAにカーボネート前駆物質を反応させて得られるポリカーボネート樹脂は透明性、耐熱性、機械的特性、寸法安定性が優れているがゆえにエンジニアリングプラスチックとして多くの分野に広く使用されている。
このポリカーボネート樹脂は、ホスゲンを原料として製造されるが、ホスゲンを製造する際に、原料として用いる常用の一酸化炭素中には硫黄化合物が50〜100ppm含まれている。
【0003】
このような硫黄化合物含有量の多い一酸化炭素を用いてホスゲンを製造すると、ホスゲン中には硫黄化合物が20〜40ppm、四塩化炭素が150〜200ppm含有される。
【0004】
また、硫黄化合物、四塩化炭素含有量の多いホスゲンを用いて製造されたポリカーボネート樹脂は、硫黄化合物、四塩化炭素を多量に含有することになり、色相の悪化、衛生性、金属腐食性、耐加水分解性等が低下し、使用中問題となる場合もあるため、これらの問題点を解決する方法が種々提案されている(例えば特許文献1〜3参照)。
【0005】
一方、ポリカーボネート樹脂の耐熱性、剛性を向上するためには、一般的に嵩高い動きにくい構造を有するビスフェノール類を用いる方法があり、種々のポリカーボネートが提案されている。中でも、特定のフルオレン構造を有するポリカーボネート樹脂が提案されている(例えば特許文献4,5参照)。しかしながら、これらの構造を有するポリカーボネート樹脂は耐熱性、屈折率、剛性に優れるものの色相および耐候性が十分ではなく、直接太陽光線の当たる屋外用途や照明用途、表示素子基板用途に用いた場合に色相が悪化する問題があった。
【0006】
【特許文献1】
特開平1−275630号公報
【特許文献2】
特公平6−76482号公報
【特許文献3】
特開2000−248059号公報
【特許文献4】
特開平11−174424号公報
【特許文献5】
特開平8−134198号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、優れた耐熱性、剛性を持ち、且つ色相の優れた特定構造の芳香族ポリカーボネート樹脂を提供することにある。
【0008】
本発明者はこの目的を達成せんとして鋭意研究を重ねた結果、特定の二価フェノールを使用して芳香族ポリカーボネート共重合体を合成する際に、ホスゲン中の硫黄含有量と四塩化炭素含有量を特定量以下に制御したホスゲンを使用することによって、上記目的を達成することを見出し、本発明に到達した。
【0009】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明によれば、芳香族ジヒドロキシ成分の5〜95モル%が下記一般式[1]
【0010】
【化3】
Figure 2005023124
【0011】
[式中、R〜Rは夫々独立して水素原子、炭素原子数1〜9の芳香族基を含んでもよい炭化水素基又はハロゲン原子である。]で表されるフルオレン系ビスフェノール、好ましくは9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、95〜5モル%が下記一般式[2]
【0012】
【化4】
Figure 2005023124
【0013】
[式中、R〜Rは夫々独立して水素原子、炭素原子数1〜9の芳香族基を含んでもよい炭化水素基又はハロゲンであり、Wは単結合、炭素原子数1〜20の芳香族基を含んでもよい炭化水素基、O、S、SO、SO、CO又はCOO基である。]
で表されるジヒドロキシ成分から得られたポリカーボネート共重合体であって、硫黄化合物含有量が硫黄原子として100ppb以下、四塩化炭素が2ppm以下であることを特徴とする芳香族ポリカーボネート樹脂が提供される。
【0014】
上記芳香族ポリカーボネート樹脂の製造に用いられるホスゲンは、硫黄化合物含有量が5ppm以下、四塩化炭素含有量が100ppm以下であるが、硫黄化合物含有量は好ましくは1ppm以下、さらに好ましくは0.5ppm以下であり、0.05ppm以下が最も好ましく、四塩化炭素含有量は好ましくは50ppm以下、さらに好ましくは10ppm以下であり、1ppm以下が最も好ましい。
【0015】
本発明で用いる硫黄化合物含有量5ppm以下、四塩化炭素含有量100ppm以下のホスゲンは、硫黄化合物含有量10ppm以下の一酸化炭素と塩素の反応を2段以上の多段反応槽で行うことで得られる。この多段の反応槽は2〜10段が好ましく、2〜6段がより好ましく、3〜4段が更に好ましい。4段の例として、反応熱を除去するための機能を有した装置に第4反応槽の活性炭の総比表面積の20〜40%の活性炭を充填した第1反応槽、40〜60%の活性炭を充填した第2反応槽、70〜80%の活性炭を充填した第3反応槽および第4反応槽を直列に接続した構成が挙げられる。一般的には、更に直列に−20℃のブラインを通液したコンデンサーと、重量測定装置を付設した液化ホスゲン貯槽を設ける。第1反応槽から一酸化炭素と塩素のモル比(CO/Cl)が1.015以上になるように一酸化炭素と塩素ガスを通気することによって得られる。より四塩化炭素の生成量を少なくする方法としては、一酸化炭素と塩素ガスの通気量を少なくして槽内の発熱量を少なくすればよい。更に少なくするには、ホスゲンを蒸留分離する方法があるが、この方法では硫黄化合物を下げる効果は殆どない。CO/Clのモル比が高すぎると収率が低下するので、モル比は1.015〜1.060の範囲が好ましく、1.020〜1.045の範囲が更に好ましい。反応槽内の活性炭の総比表面積は、活性炭と陶磁器製やガラス製のビーズやラシヒリング等との混合比を変える方法や、比表面積の異なる活性炭を用いる方法で調整できる。
【0016】
上記記載のホスゲンの製造方法は一例として列記したものであり、本発明の条件を満たすホスゲンであればいかなる方法で製造されたホスゲンであっても好ましく使用できる。
【0017】
上記のホスゲン製造に用いる一酸化炭素は、硫黄化合物含有量が10ppm以下、好ましくは5ppm以下、更に好ましくは0.5ppm以下である。一酸化炭素中の硫黄化合物含有量が10ppmを越えると、ホスゲン中の硫黄化合物の含有量が5ppmを越え、このホスゲンを用いて得られたポリカーボネート樹脂中の硫黄化合物含有量が硫黄原子として100ppbを越えるため好ましくない。
【0018】
硫黄化合物が10ppm以下の一酸化炭素は、コークスと酸素を反応させて得られた一酸化炭素を、例えば、Cu、Cr、V、Mo等の金属酸化物および/または金属塩を添着した活性炭または活性アルミナ等に接触せしめ、次いでカセイソーダ水溶液に接触せしめる方法やカセイソーダ水溶液に接触せしめた後に活性アルミナに接触せしめる方法等によって得られる。
【0019】
本発明の芳香族ポリカーボネート共重合体は、それを構成する芳香族ジヒドロキシ成分として、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンが全芳香族ジヒドロキシ成分の5〜95モル%、好ましくは10〜95モル%、さらに好ましくは30〜85モル%である。5モル%未満の場合、本発明の目的である耐熱用材料として不満足な性質となり好ましくない。
【0020】
前記9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンは、その10gをエタノール50mlに溶解した溶液を光路長30mmで測定したb値が好ましくは6.0以下、より好ましくは5.5以下であり、さらに好ましくは5.0以下である。b値が上記範囲内であれば、得られるポリカーボネート共重合体から形成される成形体は色相および強度が高く、延伸フィルム特性も良好となり好ましい。
【0021】
通常、この9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンはo−クレゾールとフルオレノンの反応によって得られる。前記特定のb値を有する9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンは、特定の処理を行い不純物を除去することによって得ることができる。具体的には、o−クレゾールとフルオレノンの反応後に、未反応のo−クレゾールを留去した後、残さをアルコール系、ケトン系またはベンゼン誘導体系の溶媒に溶解し、これに活性白土または活性炭を加えてろ過後、ろ液から結晶化した生成物をろ過して精製された9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンを得ることができる。除去される不純物としては、2,4′−ジヒドロキシ体、2,2′−ジヒドロキシ体および構造不明の不純物等である。かかる精製に用いるアルコール系の溶媒としてはメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の低級アルコール、ケトン系の溶媒としてはアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン等の低級脂肪族ケトン類およびこれらの混合物が好ましく、ベンゼン誘導体系の溶媒としてはトルエン、キシレン、ベンゼンおよびこれらの混合物が好ましい。溶媒の使用量はフルオレン化合物が十分に溶解する量であれば足り、通常フルオレン化合物に対して2〜10倍量程度である。活性白土としては市販されている粉末状または粒状のシリカ−アルミナを主成分とするものが用いられる。また、活性炭としては市販されている粉末状または粒状のものが用いられる。
【0022】
本発明の芳香族ポリカーボネート共重合体において用いられる上記一般式[2]で示される他のジヒドロキシ成分としては、通常芳香族ポリカーボネートのジヒドロキシ成分として使用されているものであればよく、例えばハイドロキノン、レゾルシノール、4,4′−ビフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(ビスフェノールE)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン(ビスフェノールC)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールZ)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、4,4′−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール、α,α′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン(ビスフェノールM)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサンなどが挙げられ、なかでもビスフェノールA、ビスフェノールZ、ビスフェノールC、ビスフェノールE、ビスフェノールMが好ましく、特にビスフェノールAが好ましい。
【0023】
芳香族ポリカーボネート共重合体はそのポリマーを塩化メチレンに溶解した溶液での20℃における比粘度が0.2〜1.2の範囲が好ましく、0.25〜1.0の範囲がより好ましく、0.27〜0.80の範囲がさらに好ましい。比粘度が上記範囲内であれば成形品、殊にシートの強度が十分強く、溶融粘度および溶液粘度が適当で、取り扱いが容易であり好ましい。
【0024】
本発明の芳香族ポリカーボネート共重合体は、通常の芳香族ポリカーボネート樹脂を製造するそれ自体公知の反応手段、例えば芳香族ジヒドロキシ成分にホスゲンや炭酸ジエステルなどのカーボネート前駆物質を反応させる方法により製造される。次にこれらの製造方法について基本的な手段を簡単に説明する。
【0025】
カーボネート前駆物質として、例えばホスゲンを使用する反応では、通常酸結合剤および溶媒の存在下に反応を行う。酸結合剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物またはピリジンなどのアミン化合物が用いられる。溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素が用いられる。また反応促進のために例えば第三級アミンまたは第四級アンモニウム塩などの触媒を用いることもできる。その際、反応温度は通常0〜40℃であり、反応時間は数分〜5時間である。
【0026】
カーボネート前駆物質として炭酸ジエステルを用いるエステル交換反応は、不活性ガス雰囲気下所定割合の芳香族ジヒドロキシ成分を炭酸ジエステルと加熱しながら撹拌して、生成するアルコールまたはフェノール類を留出させる方法により行われる。反応温度は生成するアルコールまたはフェノール類の沸点などにより異なるが、通常120〜300℃の範囲である。反応はその初期から減圧にして生成するアルコールまたはフェノール類を留出させながら反応を完結させる。
【0027】
また、反応を促進するために通常エステル交換反応に使用される触媒を使用することもできる。前記エステル交換反応に使用される炭酸ジエステルとしては、例えばジフェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネートなどが挙げられる。これらのうち特にジフェニルカーボネートが好ましい。
【0028】
本発明の芳香族ポリカーボネート共重合体は、その重合反応において、末端停止剤として通常使用される単官能フェノール類を使用することができる。殊にカーボネート前駆物質としてホスゲンを使用する反応の場合、単官能フェノール類は末端停止剤として分子量調節のために一般的に使用され、また得られた芳香族ポリカーボネート共重合体は、末端が単官能フェノール類に基づく基によって封鎖されているので、そうでないものと比べて熱安定性に優れている。
【0029】
かかる単官能フェノール類としては、芳香族ポリカーボネート樹脂の末端停止剤として使用されるものであればよく、一般にはフェノール或いは低級アルキル置換フェノールであって、下記一般式で表される単官能フェノール類を示すことができる。
【0030】
【化5】
Figure 2005023124
【0031】
[式中、Aは水素原子、炭素数1〜9の直鎖または分岐のアルキル基あるいはアリールアルキル基であり、rは1〜5、好ましくは1〜3の整数である。]
前記単官能フェノール類の具体例としては、例えばフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノールおよびイソオクチルフェノールが挙げられる。
【0032】
また、他の単官能フェノール類としては、長鎖のアルキル基或いは脂肪族エステル基を置換基として有するフェノール類または安息香酸クロライド類、もしくは長鎖のアルキルカルボン酸クロライド類を使用することができ、これらを用いて芳香族ポリカーボネート共重合体の末端を封鎖すると、これらは末端停止剤または分子量調節剤として機能するのみならず、樹脂の溶融流動性が改良され、成形加工が容易となるばかりでなく、物性も改良される。特に樹脂の吸水率を低くする効果があり、好ましく使用される。これらは下記一般式[I−a]〜[I−h]で表される。
【0033】
【化6】
Figure 2005023124
【0034】
【化7】
Figure 2005023124
【0035】
【化8】
Figure 2005023124
【0036】
【化9】
Figure 2005023124
【0037】
【化10】
Figure 2005023124
【0038】
【化11】
Figure 2005023124
【0039】
【化12】
Figure 2005023124
【0040】
【化13】
Figure 2005023124
【0041】
[前記一般式[I−a]〜[I−h]中、Xは−R−O−、−R−CO−O−または−R−O−CO−である、ここでRは単結合または炭素数1〜10、好ましくは1〜5の二価の脂肪族炭化水素基を示し、Tは単結合または上記Xと同様の結合を示し、nは10〜50の整数を示す。
Qはハロゲン原子または炭素数1〜10、好ましくは1〜5の一価の脂肪族炭化水素基を示し、pは0〜4の整数を示し、Yは炭素数1〜10、好ましくは1〜5の二価の脂肪族炭化水素基を示し、Wは水素原子、−CO−R17、−CO−O−R18またはR19である、ここでR17、R18およびR19は、それぞれ炭素数1〜10、好ましくは1〜5の一価の脂肪族炭化水素基、炭素数4〜8、好ましくは5〜6の一価の脂環族炭化水素基または炭素数6〜15、好ましくは6〜12の一価の芳香族炭化水素基を示す。
aは4〜20、好ましくは5〜10の整数を示し、mは1〜100、好ましくは3〜60、特に好ましくは4〜50の整数を示し、Zは単結合または炭素数1〜10、好ましくは1〜5の二価の脂肪族炭化水素基を示し、Wは水素原子、炭素数1〜10、好ましくは1〜5の一価の脂肪族炭化水素基、炭素数4〜8、好ましくは5〜6の一価の脂環族炭化水素基または炭素数6〜15、好ましくは6〜12の一価の芳香族炭化水素基を示す。]
これらのうち好ましいのは、[I−a]および[I−b]の置換フェノール類である。この[I−a]の置換フェノール類としては、nが10〜30、特に10〜26のものが好ましく、その具体例としては、例えばデシルフェノール、ドデシルフェノール、テトラデシルフェノール、ヘキサデシルフェノール、オクタデシルフェノール、エイコシルフェノール、ドコシルフェノールおよびトリアコンチルフェノールなどを挙げることができる。
【0042】
また、[I−b]の置換フェノール類としてはXが−R−CO−O−であり、Rが単結合である化合物が適当であり、nが10〜30、特に10〜26のものが好適であって、その具体例としては、例えばヒドロキシ安息香酸デシル、ヒドロキシ安息香酸ドデシル、ヒドロキシ安息香酸テトラデシル、ヒドロキシ安息香酸ヘキサデシル、ヒドロキシ安息香酸エイコシル、ヒドロキシ安息香酸ドコシルおよびヒドロキシ安息香酸トリアコンチルが挙げられる。
【0043】
前記一般式[I−a]〜[I−g]で示される置換フェノール類または置換安息香酸クロライドにおいて置換基の位置は、p位またはo位が一般的に好ましく、その両者の混合物が好ましい。
【0044】
前記単官能フェノール類は、得られた芳香族ポリカーボネート共重合体の全末端に対して少なくとも5モル%、好ましくは少なくとも10モル%末端に導入されることが望ましく、また単官能フェノール類は単独でもしくは2種以上混合して使用してもよい。
【0045】
また、本発明の芳香族ポリカーボネート共重合体において、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンが、全芳香族ヒドロキシ成分の60モル%以上である場合は、樹脂の流動性が低下することがあり、そのため前記一般式[I−a]〜[I−g]で示される置換フェノール類または置換安息香酸クロライド類を末端停止剤として使用することが好ましい。
【0046】
本発明の芳香族ポリカーボネート共重合体は、本発明の趣旨を損なわない範囲で、芳香族ジカルボン酸、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸あるいはその誘導体を共重合したポリエステルカーボネートであってもよい。また少量の3官能化合物を共重合した分岐ポリカーボネートであってもよい。
【0047】
本発明の芳香族ポリカーボネート共重合体は、そのガラス転移点が160℃以上が好ましく、180℃以上がより好ましく、200℃以上がさらに好ましい。
【0048】
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂は、硫黄化合物含有量が硫黄原子として100ppbを越え、四塩化炭素含有量が2ppmを越えると、ポリカーボネート樹脂の色相が悪くなると共に、使用時に硫黄化合物や四塩化炭素が発生するので衛生的でなく、且つ金属類を腐食させたり、樹脂の劣化を促進するので好ましくない。ポリカーボネート樹脂の色相は2mm厚みの成形片で測定した場合、3.0以下が好ましく、2.0以下がより好ましく、1.5以下が最も好ましい。
【0049】
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂には、離型剤、蛍光増白剤、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、帯電防止剤、抗菌剤等改質改良剤を適宜添加して用いることができる。
【0050】
本発明において使用される蛍光増白剤は、合成樹脂等の色調を白色あるいは青白色に改善するために用いられるものであれば特に制限はなく、例えばスチルべン系、ベンズイミダゾール系、ナフタルイミド系、ローダミン系、クマリン系、オキサジン系化合物等が挙げられる。蛍光増白剤の配合量は、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂100重量部に対して、0.0005〜0.1重量部、好ましくは0.001〜0.05重量部、さらに好ましくは0.005〜0.02重量部である。配合量が0.0005重量部より少ないと、十分な色調の改良効果が得られず、0.1重量部を超えると、かえって色調のムラが生じて好ましくない。また、コスト高にもなる。
【0051】
本発明で用いられる紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾオキサジン系紫外線吸収剤またはベンゾフェノン系紫外線吸収剤が使用される。
【0052】
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3’,5’−ジ−tert−アミル−2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、5−トリフルオロメチル−2−(2−ヒドロキシ−3−(4−メトキシ−α−クミル)−5−tert−ブチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
【0053】
なかでも2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3’−tert−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールが好ましく、更に2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾールが好ましい。
【0054】
トリアジン系の紫外線吸収剤としては、ヒドロキシフェニルトリアジン系の例えば商品名チヌビン400(チバスペシャルティーケミカル社製)が好ましい。
【0055】
ベンゾオキサジン系の紫外線吸収剤としては、2−メチル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−ブチル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−フェニル−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−(1−又は2−ナフチル)−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2−(4−ビフェニル)−3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2,2’−ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−p−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン、2,2’−m−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−(4,4’−ジフェニレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、2,2’−(2,6又は1,5−ナフタレン)ビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)、1,3,5−トリス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン−2−イル)ベンゼンなどが挙げられるが、中でも2,2’−p−フェニレンビス(3,1−ベンゾオキサジン−4−オン)が好ましい。
【0056】
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等が挙げられ、なかでも2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノンが好ましい。これらの紫外線吸収剤は単独で用いても、二種以上併用してもよい。
【0057】
これらの紫外線吸収剤は、ポリカーボネート樹脂と紫外線吸収剤との合計量を100重量%として0.01〜5重量%であり、好ましくは0.02〜3重量%であり、特に好ましくは0.05〜2重量%である。0.01重量%未満では紫外線吸収性能が不十分で、5重量%を超えると樹脂の色相が悪化することがあるので好ましくない。
【0058】
本発明では、ブルーイング剤を用いてもよく、かかるブルーイング剤としては、例えばバイエル(株)製のマクロレックスバイオレット、三菱化学(株)製のダイアレジンバイオレット、ダイアレジンブルー、サンド(株)製のテラゾールブルー等が挙げられ、最も好適なものとしてマクロレックスバイオレットが挙げられる。これらのブルーイング剤は好ましくは0.1〜3ppm、より好ましくは0.3〜1.5ppm、最も好ましくは0.3〜1.2ppmの濃度で芳香族ポリカーボネート樹脂中に配合される。
【0059】
本発明において、前記芳香族ポリカーボネート共重合体に必要に応じて、リン酸、亜リン酸、ホスホン酸、亜ホスホン酸およびこれらのエステルよりなる群から選択された少なくとも1種のリン化合物を配合することができる。かかるリン化合物の配合量は、該芳香族ポリカーボネート共重合体に対して0.0001〜0.05重量%が好ましく、0.0005〜0.02重量%がより好ましく、0.001〜0.01重量%が特に好ましい。このリン化合物を配合することにより、かかる芳香族ポリカーボネート共重合体の熱安定性が向上し、成形時における分子量の低下や色相の悪化が防止される。
【0060】
かかるリン化合物としては、リン酸、亜リン酸、ホスホン酸、亜ホスホン酸およびこれらのエステルよりなる群から選択される少なくとも1種のリン化合物であり、好ましくは下記一般式
【0061】
【化14】
Figure 2005023124
【0062】
【化15】
Figure 2005023124
【0063】
【化16】
Figure 2005023124
【0064】
【化17】
Figure 2005023124
【0065】
[式中、R〜R16は、それぞれ独立して、水素原子、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシルなどの炭素数1〜20のアルキル基、フェニル、トリル、ナフチルなどの炭素数6〜15のアリール基またはベンジル、フェネチルなどの炭素数7〜18のアラルキル基を表し、また1つの化合物中に2つのアルキル基が存在する場合は、その2つのアルキル基は互いに結合して環を形成していてもよい。]
よりなる群から選択された少なくとも1種のリン化合物である。
【0066】
上記(1)式で示されるリン化合物としては、例えばトリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられる。
【0067】
上記(2)式で示されるリン化合物としては、例えばトリブチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェートなどが挙げられ、上記(3)式で示されるリン化合物としては、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4−ジフェニレンホスホナイトなどが挙げられ、また上記(4)式で示される化合物としては、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、ベンゼンホスホン酸ジプロピルなどが挙げられる。
【0068】
これらのリン化合物のなかで、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4−ジフェニレンホスホナイトが好ましく使用される。
【0069】
本発明のポリカーボネート共重合体には、酸化防止の目的で通常知られた酸化防止剤を添加することができる。その例としてはフェノール系酸化防止剤を示すことができ、具体的には例えばトリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、3,9−ビス{1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン等が挙げられる。これら酸化防止剤の好ましい添加量の範囲はポリカーボネート共重合体に対して0.0001〜0.05重量%である。
【0070】
さらに本発明の芳香族ポリカーボネート共重合体には、必要に応じて一価または多価アルコールの高級脂肪酸エステルを加えることもできる。
【0071】
かかる高級脂肪酸エステルとしては、炭素原子数1〜20の一価または多価アルコールと炭素原子数10〜30の飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルであるのが好ましい。また、かかる一価または多価アルコールと飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エステルとしては、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリン酸モノソルビテート、ベヘニン酸モノグリセリド、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、プロピレングリコールモノステアレート、ステアリルステアレート、パルミチルパルミテート、ブチルステアレート、メチルラウレート、イソプロピルパルミテート、2−エチルヘキシルステアレートなどが挙げられ、なかでもステアリン酸モノグリセリド、ペンタエリスリトールテトラステアレートが好ましく用いられる。
【0072】
かかるアルコールと高級脂肪酸とのエステルの配合量は、該芳香族ポリカーボネート共重合体に対して0.01〜2重量%が好ましく、0.015〜0.5重量%がより好ましく、0.02〜0.2重量%がさらに好ましい。配合量がこの範囲内であれば離型性に優れ、また離型剤がマイグレートし金属表面に付着することもなく好ましい。
【0073】
本発明の芳香族ポリカーボネート共重合体には、さらに滑剤、充填剤などの添加剤や他のポリカーボネート樹脂、他の熱可塑性樹脂を本発明の目的を損なわない範囲で少割合添加することもできる。
【0074】
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂組成物から成形品を得る方法としては、射出成形、押し出し成形、ブロー成形等が用いられ、フィルムやシートを製造する方法としては、厚みの均一性に優れ、ゲル、ブツ、フィッシュアイ、スクラッチ等の光学欠点の生じない方法が好ましく、例えば溶融押出し法、カレンダー法等が挙げられる。
【0075】
かかる方法により製造された成形品は光透過性が高く、その上耐熱性、剛性が高いため、ソリが少なく、色調の優れた光学成形品に好適に用いられる。
【0076】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに説明する。実施例中の部は重量部であり、%は重量%である。なお、評価は下記の方法によった。
(1)硫黄化合物量:一酸化炭素中およびホスゲン中の硫黄化合物の測定は、日立製作所製ガスクロマトグラフ装置263型を用いて測定した。
(2)ホスゲン中の四塩化炭素量:液化ホスゲン1μlをECD付きガスクロマトグラフ装置(日立製作所製263型)に注入し測定した。
(3)ポリカーボネート樹脂中の四塩化炭素量:120mlのステンレス製容器にペレット5gを入れて密栓し、250℃で2時間過熱した後、ヘッドスペースガス1mlをECD付きガスクロマトグラフ装置(日立製作所製263型)に注入し測定した。
(4)ポリカーボネート樹脂中の硫黄原子含有量:ポリカーボネート樹脂ペレットをICP発光分光分析法にて測定した。
(5)比粘度:ポリマー0.7gを塩化メチレン100mlに溶解し20℃の温度で測定した。
(6)ガラス転移点(Tg):デュポン社製910型DSCにより測定した。
(7)モノマー溶液のb値:試料10gを50mlのエタノールに溶解し光路長30mmの試料管にて日本電色(株)色差計300Aを用いて測定した。
(8)全光線透過率:ASTM D−1003に準拠して日本電色(株)MDH−300Aを用いて測定した。
(9)成形片b値:日本電色(株)色差計SE2000を用いて測定し、20枚の測定値の平均値を成形片b値とした。
(10)アルミ蒸着曇り:大亜真空技研(株)製真空蒸着装置にて50×90×2mmの見本板に100nmのアルミ膜厚に蒸着し、160℃の雰囲気に24時間放置した後のアルミ膜の変化を観察した。アルミ蒸着膜に曇りが見られた場合×、変化のない場合○とした。
【0077】
[一酸化炭素の製造]
本発明の実施例および比較例で用いる一酸化炭素は次の方法で製造した。
(1)実施例用一酸化炭素:コークスと酸素を反応させて得られたガスを転化触媒(Cu塩、Cr塩、V塩を添着した活性炭)に接触せしめた後、カセイソーダ水溶液に接触せしめ、次いで活性アルミナに接触させて、硫黄化合物含有量2.2ppmの一酸化炭素を得た。
(2)比較例用一酸化炭素:コークスと酸素を反応させて得られたガスをカセイソーダ水溶液に接触せしめ、次いで活性アルミナに接触させて、硫黄化合物100ppmの一酸化炭素を得た。
【0078】
[ホスゲンの製造]
(1)実施例用ホスゲン:反応熱を除去する機能を有した多管式反応槽のシェル側に10℃の冷水を通水し、チューブ側に活性炭15kgと直径3mmのガラス玉の混合物を充填した第1反応槽、多管式反応槽のシェル側に10℃の冷却水を通水し、チューブ側に活性炭20kgと直径3mmのガラス玉の混合物を充填した第2反応槽、多管式反応槽のシェル側に10℃の冷却水を通水し、チューブ側に活性炭30kgと直径3mmのガラス玉の混合物を充填した第3反応槽、多管式反応槽のシェル側に10℃の冷却水を通水し、チューブ側に活性炭40kgを充填した第4反応槽、チューブ側に活性炭50kgを充填した第5反応槽(5基同じ容積)と第5反応槽の後に−25℃のブラインを通液したコンデンサーと重量測定装置を付設した液化ホスゲン貯槽を設け、これらの装置を直列に接続し、第1反応槽へCO/Clのモル比が1.030になるように、硫黄化合物2.2ppm含有するCOを10.30Nm/HとClガス10.00Nm/Hを通気してホスゲンを得た。このホスゲン中の硫黄化合物含有量は1ppm、四塩化炭素含有量は3ppmであった。
(2)比較例用ホスゲン:反応熱を除去する機能を有した多管式反応槽のシェル側に10℃の冷水を通水し、チューブ側に活性炭50kgを充填した反応槽の後に−25℃のブラインを通液したコンデンサーと重量測定装置を付設した液化ホスゲン貯槽を設け、これらの装置を直列に接続し、反応槽へCO/Clのモル比が1.030になるように、硫黄化合物2.2ppm含有するCOを10.30Nm/HとClガス10.00Nm/Hを通気してホスゲンを得た。このホスゲン中の硫黄化合物の含有量は45ppm、四塩化炭素の含有量は150ppmであった。
【0079】
[実施例1]
温度計、撹拌機、還流冷却器付き反応器にイオン交換水24623部、48%水酸化ナトリウム水溶液4153部を入れ、エタノール溶液でのb値が3.0の9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(以下“ビスクレゾールフルオレン”と略称することがある)1936.9部、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下“ビスフェノールA”と略称することがある)2726部およびハイドロサルファイト8部を溶解した後、塩化メチレン18188部を加えた後撹拌下15〜25℃で上記実施例用ホスゲン1994部を60分を要して吹き込んだ。ホスゲン吹き込み終了後、p−tert−ブチルフェノール102.5部を塩化メチレン330部に溶解した溶液および48%水酸化ナトリウム水溶液692.1部を加え、乳化後、トリエチルアミン5.8部を加えて28〜33℃で1時間撹拌して反応を終了した。反応終了後、生成物を塩化メチレンで希釈して水洗したのち塩酸酸性にして水洗し、水相の導電率がイオン交換水と殆ど同じになったところで、塩化メチレン相を濃縮、脱水してポリカーボネート濃度が20%の溶液を得た。この溶液から溶媒を除去して得たポリカーボネートはビスクレゾールフルオレンとビスフェノールAとの構成単位の比がモル比で30:70であった(ポリマー収率97%)。またこのポリマーの比粘度は0.337、Tgは190℃であった。このポリマー100部にトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイトを0.05部、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート0.01部、ペンタエリスリトールテトラステアレート0.03部を混合し、ベント付押出機により押出機温度280〜320℃、ダイス温度290〜330℃、ベント部の真空度を27kPaに保持して、溶融押出ししペレット化した。このペレット中の硫黄含有量は硫黄原子として50ppb以下、四塩化炭素含有量は0.01ppmであった。このペレットを120℃、4時間乾燥後、50×90×2mmの試験片に射出成形した。このものの全光線透過率は89%、b値は1.3であった。このものにアルミ蒸着して加熱処理し、表面状態を目視評価したところ、曇りはなかった。結果を表1に示す。
【0080】
[実施例2]
実施例1のビスクレゾールフルオレンの使用量を3171.4部、ビスフェノールAの使用量を1913部とする以外は実施例1と同様にしてビスクレゾールフルオレンとビスフェノールAの比がモル比で50:50であるポリマー5300部(収率96%)を得た。このポリマーの比粘度は0.320、Tgは205℃であった。このポリマーを実施例1と同様にしてペレット化し、成形評価した結果を表1に示す。
【0081】
[実施例3]
実施例1と同様の装置にイオン交換水35315部、48%水酸化ナトリウム3920部を入れ、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソプロピルベンゼン(ビスフェノールMと略称)2954.9部、ビスクレゾールフルオレン3228.1部およびハイドロサルファイト14部を溶解した後、塩化メチレン12775部を加え、攪拌下15〜20℃で実施例用ホスゲン1946部を45分を要して吹き込んだ。ホスゲン吹き込み終了後、p−tert−ブチルフェノール108.5部と48%水酸化ナトリウム水溶液710.5部を加え乳化後、トリエチルアミン4.55部を加えて、28〜33℃で1時間攪拌して反応を終了した。このものを実施例1と同様に処理してビスフェノールMとビスクレゾールフルオレン構成単位のモル比が50:50であるポリマーを得た(収率98%)。このものの比粘度は0.250、Tgは180℃であった。このポリマーを実施例1と同様にして評価した結果を表1に示す。
【0082】
[比較例1]
実施例1のホスゲンを比較例用ホスゲンとした以外は実施例1と同様にして評価した結果を表1に示す。
【0083】
[比較例2]
実施例2のホスゲンを比較例用ホスゲンとした以外は実施例2と同様にして評価した結果を表1に示す。
【0084】
[比較例3]
実施例3のホスゲンを比較例用ホスゲンとした以外は実施例3と同様にして評価した結果を表1に示す。
【0085】
【表1】
Figure 2005023124
【0086】
【発明の効果】
本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂は、光透過性が高く、優れた耐熱性と剛性を有しており、色相が優れ、且つ金属耐腐食性にも優れているため、各種光学成形品、レンズ、プリズム、光ファイバ、光学フィルム、液晶ディスプレー、液晶テレビのバックライト方式の光拡散板またはスキャナーに用いられている導光板等に好適であり、本発明がもたらす工業的効果は格別である。

Claims (10)

  1. 芳香族ジヒドロキシ成分の5〜95モル%が下記一般式[1]、
    Figure 2005023124
    [式中、R〜Rは夫々独立して水素原子、炭素原子数1〜9の芳香族基を含んでもよい炭化水素基又はハロゲン原子である。]で表されるフルオレン系ビスフェノールであり、
    95〜5モル%が下記一般式[2]
    Figure 2005023124
    [式中、R〜Rは夫々独立して水素原子、炭素原子数1〜9の芳香族基を含んでもよい炭化水素基又はハロゲン原子であり、Wは単結合、炭素原子数1〜20の芳香族基を含んでもよい炭化水素基、O、S、SO、SO、CO又はCOO基である。]
    で表されるジヒドロキシ成分から得られたポリカーボネート共重合体であって、硫黄化合物含有量が硫黄原子として100ppb以下、四塩化炭素が2ppm以下であることを特徴とする芳香族ポリカーボネート樹脂。
  2. 該フルオレン系ビスフェノールが9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンである請求項1記載の芳香族ポリカーボネート樹脂。
  3. 前記9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンは、その10gをエタノール50mlに溶解した溶液を光路長30mmで測定したb値が6.0以下である請求項1又は2記載の芳香族ポリカーボネート樹脂。
  4. 一般式[2]で表される化合物が、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン及び/又はα,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−ジイソブロピルベンゼンである請求項1又は2記載の芳香族ポリカーボネート樹脂。
  5. 請求項1〜4記載の芳香族ポリカーボネート樹脂からなる成形品。
  6. 成形品がピックアップレンズ、カメラレンズ、マイクロアレーレンズ、プロジェクターレンズ及びフレネルレンズなどのレンズ、プリズム及び光ファイバーなどの光路変換部品、リフローハンダ付け部品、光ディスク、プラスチックミラー、各種筐体、トレイ又は容器である請求項5記載の成形品。
  7. 請求項1〜4記載の芳香族ポリカーボネート樹脂からなるフィルム又はシート。
  8. フィルム又はシートが位相差フィルム、プラセル基板、光ディスクの保護フィルム、導光板又は拡散板である請求項7記載のフィルム又はシート。
  9. 硫黄化合物含有量が5ppm以下、四塩化炭素含有量が100ppm以下のホスゲンを用いることを特徴とする請求項1又は2記載の芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法。
  10. 該ホスゲンが硫黄化合物含有量が10ppm以下の一酸化炭素を用いて製造されたホスゲンであることを特徴とする請求項9記載の芳香族ポリカーボネート樹脂の製造方法。
JP2003187182A 2003-06-30 2003-06-30 芳香族ポリカーボネート樹脂 Pending JP2005023124A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003187182A JP2005023124A (ja) 2003-06-30 2003-06-30 芳香族ポリカーボネート樹脂

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003187182A JP2005023124A (ja) 2003-06-30 2003-06-30 芳香族ポリカーボネート樹脂

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005023124A true JP2005023124A (ja) 2005-01-27

Family

ID=34186113

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003187182A Pending JP2005023124A (ja) 2003-06-30 2003-06-30 芳香族ポリカーボネート樹脂

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005023124A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20160257790A1 (en) * 2012-07-05 2016-09-08 Idemitsu Kosan Co., Ltd. Polycarbonate-polyorganosiloxane copolymer and method for continuously producing same
US9868817B2 (en) 2010-04-13 2018-01-16 Covestro Deutschland Ag Polycarbonate composition having improved optical and thermal properties
WO2024210012A1 (ja) * 2023-04-06 2024-10-10 三菱瓦斯化学株式会社 ポリカーボネート樹脂及び成形体

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9868817B2 (en) 2010-04-13 2018-01-16 Covestro Deutschland Ag Polycarbonate composition having improved optical and thermal properties
US10370489B2 (en) 2010-04-13 2019-08-06 Covestro Deutschland Ag Polycarbonate composition having improved optical and thermal properties
US20160257790A1 (en) * 2012-07-05 2016-09-08 Idemitsu Kosan Co., Ltd. Polycarbonate-polyorganosiloxane copolymer and method for continuously producing same
CN106977710A (zh) * 2012-07-05 2017-07-25 出光兴产株式会社 聚碳酸酯‑聚有机硅氧烷共聚物
US9850351B2 (en) * 2012-07-05 2017-12-26 Idemitsu Kosan Co., Ltd. Polycarbonate-polyorganosiloxane copolymer and method for continuously producing same
WO2024210012A1 (ja) * 2023-04-06 2024-10-10 三菱瓦斯化学株式会社 ポリカーボネート樹脂及び成形体

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100956048B1 (ko) 폴리카보네이트 공중합체, 수지 조성물 및 성형품
JP2005082713A (ja) 芳香族ポリカーボネート樹脂
TW200920763A (en) Lens and optical unit by using it
JP5226173B2 (ja) 芳香族ポリカーボネート樹脂
JP4086530B2 (ja) 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物
JP2010256621A (ja) 高屈折率ポリカーボネート共重合体からなる光学レンズ
JP2005232252A (ja) 改質ポリカーボネート樹脂
JP2005119124A (ja) ポリカーボネート共重合体の射出成形法およびそれにより成形される成形品
JP2005023124A (ja) 芳香族ポリカーボネート樹脂
JP2005018993A (ja) 高屈折性導光板
JP2005015505A (ja) 高屈折、耐熱性芳香族ポリカーボネート樹脂組成物
JP4383811B2 (ja) 芳香族ポリカーボネート共重合体
JP3584207B2 (ja) ポリカーボネート共重合体
JP2005060628A (ja) リフロー耐性に優れたポリカーボネート樹脂
JP2005003959A (ja) 耐熱性、高剛性光拡散板
JP4369208B2 (ja) 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物
JP2005060541A (ja) ポリカーボネート共重合体および成形体
JP2005060540A (ja) ポリカーボネート共重合体
JP3643555B2 (ja) ポリカーボネート共重合体
JP3638837B2 (ja) ポリカーボネート樹脂フィルム
JP3561195B2 (ja) ポリカーボネート共重合体
JP2005082677A (ja) ポリカーボネート樹脂の製造方法
JP2005171051A (ja) 光学部材およびその製造に適した芳香族ポリカーボネート樹脂
JP2005042021A (ja) ポリカーボネート樹脂組成物
JP3681604B2 (ja) ポリカーボネート共重合体