JP2005020868A - 電力変換回路 - Google Patents
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Abstract
【課題】スイッチング損失を増加させたり放熱器の大型化や素子定格をアップさせることなく放射ノイズを低減し、その規格に容易に適合できるようにする。
【解決手段】(a)に示すように、従来の銅製ブスバーに対し、抵抗率が銅より大きい物質でブスバー1を構成する。(b),(c)のようにスナバコンデンサまたは接地コンデンサにおいて、抵抗率が銅より大きい物質でリード部または圧接端子部21,22または端子部31,32を構成する。さらには、(d),(e)のようにリード41,42または電極51,52を直列に接続する。これらの少なくとも1つを用いることで、配線部の抵抗を大きくし放射ノイズを低減する。
【選択図】 図1
【解決手段】(a)に示すように、従来の銅製ブスバーに対し、抵抗率が銅より大きい物質でブスバー1を構成する。(b),(c)のようにスナバコンデンサまたは接地コンデンサにおいて、抵抗率が銅より大きい物質でリード部または圧接端子部21,22または端子部31,32を構成する。さらには、(d),(e)のようにリード41,42または電極51,52を直列に接続する。これらの少なくとも1つを用いることで、配線部の抵抗を大きくし放射ノイズを低減する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、放射ノイズを低減するために配線および電極構造に工夫を凝らした電力変換回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
図8に、電力変換回路の代表的な装置であるインバータの主回路図を示す。
Sは商用の交流電源、REは交流から直流に変換するダイオード整流器モジュール、Cdは大容量の電解コンデンサ、Mはモータなどの負荷、INは電力用スイッチングデバイスからなり直流から交流に変換するインバータモジュール、Csは上記スイッチングデバイスのスイッチング時に発生するサージ電圧を抑制するスナバコンデンサ、ERはダイオード整流器モジュールREとインバータモジュールINを冷却する放熱器、Ceはインバータから発生する伝導性ノイズを低減する接地コンデンサで、入力3相電源と接地間に接続されている。
【0003】
また、インバータモジュールINはIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)等のスイッチング素子SWと、逆並列に接続されているフライホイールダイオード(FWD)Dとの6回路で構成されており、通常はインバータを構成するため6回路入りのモジュールを1台、または2回路入りのモジュールを3台使用する。また、スナバコンデンサCsはインバータモジュールINと、電解コンデンサCd間のインダクタンス値によっては接続しない場合もある。
【0004】
図9に6回路入りのインバータモジュールINの一般的な外観図を示す。Opが直流の正側電源電位出力電極(P出力電極)、Onが負側電源電位出力電極(N出力電極)、Ou,Ov,Owが負荷側に接続される出力電極(U,V,W出力電極)である。また、ダイオード整流器モジュールREについては同様の形状であるため、説明は省略する。
また、図10にインバータモジュールIN内の浮遊容量の1相分を示す。C1,C2はコレクタ・エミッタ間(アノード・カソード間)の出力容量、C3は出力電位Uと対地間の浮遊容量で、チップ面積や絶縁材の誘電率などが関係している。
【0005】
また、図11,図12に一般的な電解コンデンサCdおよびスナバコンデンサCsの外観図をそれぞれ示す。電解コンデンサCdは図11に示すように、正側電極Ed1と負側電極Ed2を有する。スナバコンデンサCsは図12に示すように、リード線がついているタイプ(a)とBOXタイプで出力電極がついているタイプ(b)があるが、両者とも一般にフィルムコンデンサであるため無極性である。またスナバコンデンサCsはサージ電圧抑制効果を大きくするために、インバータモジュールINの出力電極Op,Onに直接接続するのが普通である。そのため、タイプ(b)はそのまま金属螺子による固定となるが、タイプ(a)の場合はリード線に圧着端子T1,T2をつけての固定と言うことなる。
【0006】
インバータモジュールINやダイオード整流器モジュールREと、電解コンデンサ間の配線は図13(a),(b)に示すように(インバータモジュールと電解コンデンサ間のみを図示、スナバコンデンサは接続しない例として示している)、絶縁被覆された銅ケーブルK1,K2による配線(電解コンデンサやインバータモジュールとの接続は圧着端子と螺子を用いる)や、平板状のブスバーB1,B2により配線されるのが一般的である。
【0007】
図14に図13(b)に示すブスバーの代表的な形状例を示す。
ここでは、厚さ1〜5mm,10〜30mm×100mm程度の平板状に形成され、両端に電解コンデンサとインバータモジュールとの結合のために螺子穴が設けられており、通常は低抵抗材料である銅が用いられる。また、実際の電極形状については電解コンデンサ,インバータモジュール,整流器モジュールの配置やその他の物理的な構造によってL字型など多種多様であるが、基本は図14に示す形状となる。なお、ノイズを低減するための電力変換装置の配線構造,電極構造については例えば特許文献1,2に示すものがある。
【0008】
【特許文献1】
特開平09−135565号公報(第4頁、図1−図2)
【特許文献2】
特開平06−061904号公報(第2頁、図3)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
通常、電力変換装置を製品化する場合、CISPR規格として規定されている雑音電界強度(放射ノイズ)を、或る規格値内に抑える必要がある。その規格範囲は、30MHz〜1GHzである。
図8のIGBT(SW)やFWD(D)は、通常高dv/dtによるスイッチングが行なわれる。その際、図10に示すIGBTやFWDの浮遊容量C1,C2,C3はU電位が変動するため充放電現象が起こり、それにより電流が流れる。その電流経路は多々存在するが、代表的な経路は図15に示す電流経路L1とL2である。
【0010】
電流経路L1は各配線を介して出力容量C1,C2とスナバコンデンサCs間(スナバコンデンサを接続しない場合は、出力容量C1,C2と電解コンデンサCd間となる)、電流経路L2は各配線を介して対地間浮遊容量C3,ダイオード整流器モジュールRE,接地コンデンサCeおよび放熱器ER間となる。このとき経路L1とL2に流れる電流の波形は、その経路の抵抗値と配線インダクタンス値およびそれぞれの浮遊容量C1,C2,C3によって決まり、その電流波形のスペクトルは浮遊容量値(C)と配線インダクタンス値(L)とで決まる共振周波数(fr=1/2π√(L・C))でピークとなる。この電流が放射ノイズ源となり、空間に電磁波が放射される。
【0011】
このときの或る空間距離地点での電界の最大値は、次の(1)式により求められる。
Epeak=1.32×10−14・S・Ed/(π2・T・tr・R)…(1)
Epeak:電界のピーク値
S :電流経路L1またはL2の空間的な面積
Ed :電解コンデンサの電圧
T :IGBTのスイッチング周期
tr :IGBTまたはFWDのスイッチング時の立ち上がり時間
R :電流経路L1またはL2の抵抗分
r :空間距離
【0012】
一般にインバータの場合、主回路構造および適用するインバータモジュールの関係で、電流経路L1またはL2の共振周波数frは30MHz付近になることが多く、そのため上記規格値をオーバするケースが多い。また、その周波数での電界強度も一般機器に比べて高いため、インバータの周辺機器が誤動作するという問題が発生する場合がある。その場合、上記(1)式に示すtrを大きくする、すなわちIGBTまたはFWDのスイッチング時のdv/dtを緩やかにする対策がとられるが、そのトレードオフとしてスイッチング損失が増加するため、放熱器の大型化や素子定格をアップさせるなどの対策が必要となり、装置が大型化しコストアップするという問題がある。
【0013】
以上は、電力変換装置の主回路配線と電極の場合であったが、上記と全く同様の問題が電力変換装置を構成する、図16のようなスイッチングモジュール内部にも発生する。この点について以下に説明する。なお、図16(a)のOpは直流の正側出力電極(P)、Onは負側出力電極(N)、Ouは負極側に接続される出力電極(U)、Tg1,Te1,Tg2,Te2は上アーム側および下アーム側IGBTのゲート端子およびエミッタ端子である。また、モジュールの下部BE(ヒートシンクとの接続面)は銅の基板(銅ベース)で構成している。そのため、ヒートシンクと銅ベースは電気的には同電位(アース電位)となる。
【0014】
また、図16(b)において、Iは絶縁材、P1,P2,P3は各電位(P,U,N)の銅パターン、CH1,CH2は上アーム側IGBTチップ,下アーム側IGBTチップ(FWDは図示を省略)、W1,W2はIGBTチップのエミッタ電位と銅パターンP2,P3を結線するためのワイヤで、通常アルミニウムや金が使われる。CE1は銅パターンP1(上アームIGBTのコレクタ電位)と正側出力電極Opを結線する銅電極、CE2は銅パターンP3(下アームIGBTのエミッタ電位)と負側出力電極Onを結線する銅電極、CE3は銅パターンP2(下アームIGBTのコレクタ電位)と出力電極Ouを結線する銅電極である。
【0015】
銅電極CE1,CE2,CE3は厚さ1mm程度の平板状のものを部分的な切削で折り曲げた形状となっている。また、電極の錆防止のためニッケルめっきする場合もあるが、めっき厚は錆防止が目的のため数μm程度(その材料の表皮深さより薄い)である。図17にその形状例を示す(三角法で示し、(a)は正面図、(b)は右側から見た右側方図、(c)は下面図である)。図の点線部が出力電極となる。
また、図18(a)にインバータモジュール内で放射ノイズに影響を及ぼす浮遊容量(1相分)C4,C5を示す。この浮遊容量C4,C5によりU電位が変動すると充放電現象が生じ、それによる電流が図18(b)にL3で示すような経路で流れることになる。
したがって、この発明の課題は、スイッチング損失を増加させたり放熱器の大型化や素子定格をUPさせることなく、放射ノイズを低減し規格に容易に適合できるようにすることにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、請求項1の発明は、直流から交流または交流から直流に変換する電力変換回路において、前記電力変換回路を構成する配線またはブスバーを含む電極の電流を流す部分の少なくとも一部を、抵抗率が銅よりも大きい材料により構成することを特徴とする。
請求項2の発明は、直流から交流または交流から直流に変換する電力変換回路において、前記電力変換回路を構成する銅製の配線またはブスバーを含む電極の表面に、鉄など銅の表皮深さより小さい材料により、かつその材料の放射ノイズ規格の最低周波数での表皮深さを目安とする厚さでめっきを施すことを特徴とする。
請求項3の発明は、直流から交流または交流から直流に変換する電力変換回路において、前記電力変換回路を構成し銅製の配線またはブスバーを含む電極の表面に、抵抗性塗料またはフェライトなどの磁性物質を混合した材料を塗装するか、その材料の膜を形成したことを特徴とする。
【0017】
請求項4の発明は、電力用半導体素子モジュールを用いて直流から交流または交流から直流に変換する電力変換回路において、直流の正側出力電極と上アーム側電力用半導体素子のコレクタ部間,または直流の負側出力電極と下アーム側電力用半導体素子のエミッタ部間、または上アーム側電力用半導体素子のエミッタ部と下アーム側電力用半導体素子のコレクタ部間のうち、ワイヤ配線部を除く少なくとも1つの配線または1つの電極を、鉄,アルミニウムなどの抵抗率が銅よりも大きい材料で構成することを特徴とする。
【0018】
請求項5の発明は、電力用半導体素子モジュールを用いて直流から交流または交流から直流に変換する電力変換回路において、
直流の正側出力電極と上アーム側電力用半導体素子のコレクタ部間,または直流の負側出力電極と下アーム側電力用半導体素子のエミッタ部間、または上アーム側電力用半導体素子のエミッタ部と下アーム側電力用半導体素子のコレクタ部間のうち、ワイヤ配線部は鉄などの抵抗率がアルミニウムよりも大きい材料で構成することを特徴とする。
【0019】
請求項6の発明は、電力用半導体素子モジュールを用いて直流から交流または交流から直流に変換する電力変換回路において、
直流の正側出力電極と上アーム側電力用半導体素子のコレクタ部間,または直流の負側出力電極と下アーム側電力用半導体素子のエミッタ部間、または上アーム側電力用半導体素子のエミッタ部と下アーム側電力用半導体素子のコレクタ部間のうち、ワイヤ配線部を除く少なくとも1つの配線または1つの電極の表面に、鉄など銅の表皮深さより小さい材料により、放射ノイズ規格の最低周波数での表皮深さを目安とする厚さでめっきを施すことを特徴とする。
【0020】
請求項7の発明は、電力用半導体素子モジュールを用いて直流から交流または交流から直流に変換する電力変換回路において、
直流の正側出力電極と上アーム側電力用半導体素子のコレクタ部間,または直流の負側出力電極と下アーム側電力用半導体素子のエミッタ部間、または上アーム側電力用半導体素子のエミッタ部と下アーム側電力用半導体素子のコレクタ部間のうち、ワイヤ配線部を除く少なくとも1つの配線または1つの電極の表面に、抵抗性塗料またはフェライトなどの磁性物質を混合した材料を塗布するか、その材料の膜を形成したことを特徴とする。
【0021】
請求項1の発明は、上記(1)式においてRを大きくすると、Epeakが小さくなることに着目している。つまり、図3(a),(b)および図4の太線1,2および太線3で示す配線部の抵抗分Rを大きくするものである。請求項4,5の発明は同様の原理を、例えば図7のように電力用半導体素子モジュール内の配線H1,H2,H3に適用するものである。ただし、ワイヤ配線部は通常アルミニウムや金が用いられることから、配線のうちでワイヤ配線部とそれ以外とを請求項4,5として分けている。
【0022】
請求項2(または6)の発明は、一般に電線または電極に流れる電流は、高周波になるほど表面しか流れない現象(表皮効果)を利用するもので、配線または電極の表面部分のみに吸収損失の大きい材料をめっきし、その箇所から発生する電磁波エネルギを吸収する。これにより、請求項1(または4,5)の発明に対して、放射ノイズが問題とならない低周波(直流も含む)では銅部分に電流が流れるため、低周波電流による損失の増加は発生しない。ただし、めっきの場合はめっき材質特有の表皮深さ(skin depth)があるため、高周波エネルギを効果的に吸収しようとすると、この表皮深さを目安としためっき厚にする必要がある。
【0023】
一般に、めっき厚と吸収損失Aの関係は、次の(2)式のように表わされる。
A=8.686・t/δ(dB) …(2)
t:めっき厚さ、δ:表皮深さ
また、表皮深さδは、次の(3)式のように表わされる。
δ=[1/(2π)]・√[109・ρ/(fμr)](cm) …(3)
ρ:抵抗率(Ωcm)、μr:透磁率、f:周波数
したがって、表皮深さδが小さいほど、またはめっき厚tが大きいほどその吸収効果は大きくなる。一般にδが小さい物質はμrが大きい物質で、鉄や磁性体などが挙げられる。
【0024】
請求項3(または7)の発明は、請求項2(または6)の発明と同様に、表面部分に高周波エネルギの消費、または吸収を行なう抵抗性の塗料や磁性体を混合した塗料を塗布し、同様の効果を期待するものである。
【0025】
【発明の実施の形態】
図1は第1の実施形態を説明する説明図である。
図1(a)は、図14に示す従来の銅製のブスバーに対し、抵抗率が銅より大きい物質で構成したブスバー1を示している。また、図1(b),(c)は、スナバコンデンサまたは接地コンデンサにおいて、抵抗率が銅より大きい物質で構成したリード部または圧着端子部21,22、または端子部31,32を示している。さらに、図1(d),(e)は、スナバコンデンサまたは接地コンデンサにおいて、リード部または端子部に抵抗率が銅より大きい物質からなるリード41,42、もしくは電極51,52を直列に接続した例を示す。なお、上記の例で抵抗率が銅より大きい物質としてはアルミニウムや鉄などが挙げられる。
【0026】
銅の体積抵抗率は2.23Ωm、アルミニウムは3.55Ωm、純鉄は14.7Ωmであることから、理論上は先の(1)式より、図3や図4の太線部分を全てアルミニウムとした場合、2.23/3.55=0.63よりノイズは37%低減(dB換算で約−4dB)する。また、純鉄を適用した場合は、2.23/14.7=0.15よりノイズは85%低減(dB換算で約−16dB)することになる。
【0027】
図2はこの発明の第2の実施形態を説明する説明図である。同図(a)は外観図、同(b)は断面図を示す。
これは、図14に示す従来の銅製のブスバーに対し、ブスバー表面にめっきまたは抵抗性塗料や磁性体混合塗料を塗装したブスバー10を示す例である。めっき材料としては、表皮深さが小さい鉄などが有効な材料として挙げられる。また、そのめっき厚は、めっき材料の放射ノイズ規格の最低周波数である30MHzの表皮深さを目安とすれば効果的である。また、抵抗性塗料としてはカーボンペースト材やグラファイトペースト材などが挙げられる。
【0028】
一例として鉄めっきの場合、30MHzでの表皮深さδは先の(3)式より、δ=1.2μmとなるため、鉄めっき厚を1.2μmとすれば、(2)式より約8.7dBの吸収損失となる。すなわち、めっきを施していない銅ブスバーに対し、約8.7dBのノイズ低減効果が上げられる結果となる。ただし、めっき厚を表皮深さの値と等しくするのは目安であり、実際は(2)式に基づき必要とするノイズ低減量によって、めっき厚を決定すれば良い。
また、抵抗性塗料や磁性体混合塗料についても、その塗料特有の塗料厚と吸収損失の関係があるため、上記と同様に必要とするノイズ低減量に応じてその厚さを決定すれば良い。
【0029】
以上は、電力変換装置の主回路配線と電極の場合を説明したが、この発明は電力変換装置を構成するスイッチングモジュール内部の配線と電極に対しても、上記と全く同様にして適用することができる。
図5は図17に示す従来の電極において、銅以外の材料で形成した電極11を示している(三角法にて表示)。銅以外の材料として具体的には、銅より抵抗率が大きいアルミニウムや鉄などが挙げられる。また、図示はしていないが、図16(b)の銅パターンP1,P2,P3も同様に、銅以外の抵抗率が大きい材料で形成する。
【0030】
この場合も図1と同じく、銅の体積抵抗率は2.23Ωm、アルミニウムは3.55Ωm、純鉄は14.7Ωmであることから、理論上は先の(1)式より、図7に示す太線部分H1,H2,H3を全てアルミニウムとしたとすると、2.23/3.55=0.63よりノイズは37%低減(dB換算で約−4dB)する。また、純鉄を適用した場合は、2.23/14.7=0.15よりノイズは85%低減(dB換算で約−16dB)することになる。
【0031】
図6は図17に示す従来の銅製の電極において、表面にめっきまたは抵抗性塗料や磁性体混合塗料を塗装した電極12の例を示す。めっき材料としては、表皮深さが小さい鉄などが有効な材料として挙げられること、また、そのめっき厚の決め方等については、図2と全く同様なのでこれ以上の説明は省略する。
【0032】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、主回路配線または電極の抵抗成分を増やすことで、(1)式に基づきIGBTやFWDのスイッチングが起因となるノイズスペクトルのピーク値を低減することができる。その結果、外部機器への動作障害が減少するとともに、雑音電界強度規格に容易に適合することも可能となり、ノイズ対策費用を軽減することが可能となる。また、請求項2,3の発明によれば、請求項1の発明に対して放射ノイズが問題となる高周波成分のみエネルギ吸収を行なうため、装置の効率低下や発熱の問題は極めて少なくなる。
【0033】
請求項4,5の発明は、電力用半導体モジュール内部の配線および電極に対して、請求項1の発明と同様の考え方を適用したもので、したがって請求項1の発明と同様の効果を期待することができる。
さらに、請求項6,7の発明も、電力用半導体モジュール内部の配線および電極について、請求項2,3の発明の考え方を適用したもので、これにより請求項2,3の発明と同様の効果をそれぞれ期待することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施の形態を説明する説明図
【図2】この発明の第2の実施の形態を説明する説明図
【図3】図1の発明が適用される第1の具体的回路図
【図4】図1の発明が適用される第2の具体的回路図
【図5】この発明の第3の実施の形態を説明する説明図
【図6】この発明の第4の実施の形態を説明する説明図
【図7】図5の発明が適用される第1の具体的回路図
【図8】一般的なインバータ主回路図
【図9】インバータモジュールの一例を示す外観図
【図10】インバータモジュール内の浮遊容量説明図
【図11】電解コンデンサの一例を示す外観図
【図12】スナバコンデンサの例を示す外観図
【図13】ケーブルおよびブスバーによる配線例の説明図
【図14】ブスバー電極の外観図
【図15】インバータの浮遊容量による充放電電流経路説明図
【図16】インバータモジュールの別の例の説明図
【図17】モジュールの内部電極構造図
【図18】インバータモジュールの浮遊容量による充放電電流経路説明図
【符号の説明】
1…抵抗率が銅より大きい物質で構成したブスバー、10…表面にめっきまたは抵抗性塗料や磁性体混合塗料を塗装したブスバー、11…抵抗率が銅より大きい物質で構成した電極、12…表面にめっきまたは抵抗性塗料や磁性体混合塗料を塗装した電極、21,22…抵抗率が銅より大きい物質で構成したリード部または圧着端子部、31,32…抵抗率が銅より大きい物質で構成した端子部、41,42…抵抗率が銅より大きい物質からなるリード、51,52…抵抗率が銅より大きい物質からなる電極。
【発明の属する技術分野】
この発明は、放射ノイズを低減するために配線および電極構造に工夫を凝らした電力変換回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
図8に、電力変換回路の代表的な装置であるインバータの主回路図を示す。
Sは商用の交流電源、REは交流から直流に変換するダイオード整流器モジュール、Cdは大容量の電解コンデンサ、Mはモータなどの負荷、INは電力用スイッチングデバイスからなり直流から交流に変換するインバータモジュール、Csは上記スイッチングデバイスのスイッチング時に発生するサージ電圧を抑制するスナバコンデンサ、ERはダイオード整流器モジュールREとインバータモジュールINを冷却する放熱器、Ceはインバータから発生する伝導性ノイズを低減する接地コンデンサで、入力3相電源と接地間に接続されている。
【0003】
また、インバータモジュールINはIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)等のスイッチング素子SWと、逆並列に接続されているフライホイールダイオード(FWD)Dとの6回路で構成されており、通常はインバータを構成するため6回路入りのモジュールを1台、または2回路入りのモジュールを3台使用する。また、スナバコンデンサCsはインバータモジュールINと、電解コンデンサCd間のインダクタンス値によっては接続しない場合もある。
【0004】
図9に6回路入りのインバータモジュールINの一般的な外観図を示す。Opが直流の正側電源電位出力電極(P出力電極)、Onが負側電源電位出力電極(N出力電極)、Ou,Ov,Owが負荷側に接続される出力電極(U,V,W出力電極)である。また、ダイオード整流器モジュールREについては同様の形状であるため、説明は省略する。
また、図10にインバータモジュールIN内の浮遊容量の1相分を示す。C1,C2はコレクタ・エミッタ間(アノード・カソード間)の出力容量、C3は出力電位Uと対地間の浮遊容量で、チップ面積や絶縁材の誘電率などが関係している。
【0005】
また、図11,図12に一般的な電解コンデンサCdおよびスナバコンデンサCsの外観図をそれぞれ示す。電解コンデンサCdは図11に示すように、正側電極Ed1と負側電極Ed2を有する。スナバコンデンサCsは図12に示すように、リード線がついているタイプ(a)とBOXタイプで出力電極がついているタイプ(b)があるが、両者とも一般にフィルムコンデンサであるため無極性である。またスナバコンデンサCsはサージ電圧抑制効果を大きくするために、インバータモジュールINの出力電極Op,Onに直接接続するのが普通である。そのため、タイプ(b)はそのまま金属螺子による固定となるが、タイプ(a)の場合はリード線に圧着端子T1,T2をつけての固定と言うことなる。
【0006】
インバータモジュールINやダイオード整流器モジュールREと、電解コンデンサ間の配線は図13(a),(b)に示すように(インバータモジュールと電解コンデンサ間のみを図示、スナバコンデンサは接続しない例として示している)、絶縁被覆された銅ケーブルK1,K2による配線(電解コンデンサやインバータモジュールとの接続は圧着端子と螺子を用いる)や、平板状のブスバーB1,B2により配線されるのが一般的である。
【0007】
図14に図13(b)に示すブスバーの代表的な形状例を示す。
ここでは、厚さ1〜5mm,10〜30mm×100mm程度の平板状に形成され、両端に電解コンデンサとインバータモジュールとの結合のために螺子穴が設けられており、通常は低抵抗材料である銅が用いられる。また、実際の電極形状については電解コンデンサ,インバータモジュール,整流器モジュールの配置やその他の物理的な構造によってL字型など多種多様であるが、基本は図14に示す形状となる。なお、ノイズを低減するための電力変換装置の配線構造,電極構造については例えば特許文献1,2に示すものがある。
【0008】
【特許文献1】
特開平09−135565号公報(第4頁、図1−図2)
【特許文献2】
特開平06−061904号公報(第2頁、図3)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
通常、電力変換装置を製品化する場合、CISPR規格として規定されている雑音電界強度(放射ノイズ)を、或る規格値内に抑える必要がある。その規格範囲は、30MHz〜1GHzである。
図8のIGBT(SW)やFWD(D)は、通常高dv/dtによるスイッチングが行なわれる。その際、図10に示すIGBTやFWDの浮遊容量C1,C2,C3はU電位が変動するため充放電現象が起こり、それにより電流が流れる。その電流経路は多々存在するが、代表的な経路は図15に示す電流経路L1とL2である。
【0010】
電流経路L1は各配線を介して出力容量C1,C2とスナバコンデンサCs間(スナバコンデンサを接続しない場合は、出力容量C1,C2と電解コンデンサCd間となる)、電流経路L2は各配線を介して対地間浮遊容量C3,ダイオード整流器モジュールRE,接地コンデンサCeおよび放熱器ER間となる。このとき経路L1とL2に流れる電流の波形は、その経路の抵抗値と配線インダクタンス値およびそれぞれの浮遊容量C1,C2,C3によって決まり、その電流波形のスペクトルは浮遊容量値(C)と配線インダクタンス値(L)とで決まる共振周波数(fr=1/2π√(L・C))でピークとなる。この電流が放射ノイズ源となり、空間に電磁波が放射される。
【0011】
このときの或る空間距離地点での電界の最大値は、次の(1)式により求められる。
Epeak=1.32×10−14・S・Ed/(π2・T・tr・R)…(1)
Epeak:電界のピーク値
S :電流経路L1またはL2の空間的な面積
Ed :電解コンデンサの電圧
T :IGBTのスイッチング周期
tr :IGBTまたはFWDのスイッチング時の立ち上がり時間
R :電流経路L1またはL2の抵抗分
r :空間距離
【0012】
一般にインバータの場合、主回路構造および適用するインバータモジュールの関係で、電流経路L1またはL2の共振周波数frは30MHz付近になることが多く、そのため上記規格値をオーバするケースが多い。また、その周波数での電界強度も一般機器に比べて高いため、インバータの周辺機器が誤動作するという問題が発生する場合がある。その場合、上記(1)式に示すtrを大きくする、すなわちIGBTまたはFWDのスイッチング時のdv/dtを緩やかにする対策がとられるが、そのトレードオフとしてスイッチング損失が増加するため、放熱器の大型化や素子定格をアップさせるなどの対策が必要となり、装置が大型化しコストアップするという問題がある。
【0013】
以上は、電力変換装置の主回路配線と電極の場合であったが、上記と全く同様の問題が電力変換装置を構成する、図16のようなスイッチングモジュール内部にも発生する。この点について以下に説明する。なお、図16(a)のOpは直流の正側出力電極(P)、Onは負側出力電極(N)、Ouは負極側に接続される出力電極(U)、Tg1,Te1,Tg2,Te2は上アーム側および下アーム側IGBTのゲート端子およびエミッタ端子である。また、モジュールの下部BE(ヒートシンクとの接続面)は銅の基板(銅ベース)で構成している。そのため、ヒートシンクと銅ベースは電気的には同電位(アース電位)となる。
【0014】
また、図16(b)において、Iは絶縁材、P1,P2,P3は各電位(P,U,N)の銅パターン、CH1,CH2は上アーム側IGBTチップ,下アーム側IGBTチップ(FWDは図示を省略)、W1,W2はIGBTチップのエミッタ電位と銅パターンP2,P3を結線するためのワイヤで、通常アルミニウムや金が使われる。CE1は銅パターンP1(上アームIGBTのコレクタ電位)と正側出力電極Opを結線する銅電極、CE2は銅パターンP3(下アームIGBTのエミッタ電位)と負側出力電極Onを結線する銅電極、CE3は銅パターンP2(下アームIGBTのコレクタ電位)と出力電極Ouを結線する銅電極である。
【0015】
銅電極CE1,CE2,CE3は厚さ1mm程度の平板状のものを部分的な切削で折り曲げた形状となっている。また、電極の錆防止のためニッケルめっきする場合もあるが、めっき厚は錆防止が目的のため数μm程度(その材料の表皮深さより薄い)である。図17にその形状例を示す(三角法で示し、(a)は正面図、(b)は右側から見た右側方図、(c)は下面図である)。図の点線部が出力電極となる。
また、図18(a)にインバータモジュール内で放射ノイズに影響を及ぼす浮遊容量(1相分)C4,C5を示す。この浮遊容量C4,C5によりU電位が変動すると充放電現象が生じ、それによる電流が図18(b)にL3で示すような経路で流れることになる。
したがって、この発明の課題は、スイッチング損失を増加させたり放熱器の大型化や素子定格をUPさせることなく、放射ノイズを低減し規格に容易に適合できるようにすることにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、請求項1の発明は、直流から交流または交流から直流に変換する電力変換回路において、前記電力変換回路を構成する配線またはブスバーを含む電極の電流を流す部分の少なくとも一部を、抵抗率が銅よりも大きい材料により構成することを特徴とする。
請求項2の発明は、直流から交流または交流から直流に変換する電力変換回路において、前記電力変換回路を構成する銅製の配線またはブスバーを含む電極の表面に、鉄など銅の表皮深さより小さい材料により、かつその材料の放射ノイズ規格の最低周波数での表皮深さを目安とする厚さでめっきを施すことを特徴とする。
請求項3の発明は、直流から交流または交流から直流に変換する電力変換回路において、前記電力変換回路を構成し銅製の配線またはブスバーを含む電極の表面に、抵抗性塗料またはフェライトなどの磁性物質を混合した材料を塗装するか、その材料の膜を形成したことを特徴とする。
【0017】
請求項4の発明は、電力用半導体素子モジュールを用いて直流から交流または交流から直流に変換する電力変換回路において、直流の正側出力電極と上アーム側電力用半導体素子のコレクタ部間,または直流の負側出力電極と下アーム側電力用半導体素子のエミッタ部間、または上アーム側電力用半導体素子のエミッタ部と下アーム側電力用半導体素子のコレクタ部間のうち、ワイヤ配線部を除く少なくとも1つの配線または1つの電極を、鉄,アルミニウムなどの抵抗率が銅よりも大きい材料で構成することを特徴とする。
【0018】
請求項5の発明は、電力用半導体素子モジュールを用いて直流から交流または交流から直流に変換する電力変換回路において、
直流の正側出力電極と上アーム側電力用半導体素子のコレクタ部間,または直流の負側出力電極と下アーム側電力用半導体素子のエミッタ部間、または上アーム側電力用半導体素子のエミッタ部と下アーム側電力用半導体素子のコレクタ部間のうち、ワイヤ配線部は鉄などの抵抗率がアルミニウムよりも大きい材料で構成することを特徴とする。
【0019】
請求項6の発明は、電力用半導体素子モジュールを用いて直流から交流または交流から直流に変換する電力変換回路において、
直流の正側出力電極と上アーム側電力用半導体素子のコレクタ部間,または直流の負側出力電極と下アーム側電力用半導体素子のエミッタ部間、または上アーム側電力用半導体素子のエミッタ部と下アーム側電力用半導体素子のコレクタ部間のうち、ワイヤ配線部を除く少なくとも1つの配線または1つの電極の表面に、鉄など銅の表皮深さより小さい材料により、放射ノイズ規格の最低周波数での表皮深さを目安とする厚さでめっきを施すことを特徴とする。
【0020】
請求項7の発明は、電力用半導体素子モジュールを用いて直流から交流または交流から直流に変換する電力変換回路において、
直流の正側出力電極と上アーム側電力用半導体素子のコレクタ部間,または直流の負側出力電極と下アーム側電力用半導体素子のエミッタ部間、または上アーム側電力用半導体素子のエミッタ部と下アーム側電力用半導体素子のコレクタ部間のうち、ワイヤ配線部を除く少なくとも1つの配線または1つの電極の表面に、抵抗性塗料またはフェライトなどの磁性物質を混合した材料を塗布するか、その材料の膜を形成したことを特徴とする。
【0021】
請求項1の発明は、上記(1)式においてRを大きくすると、Epeakが小さくなることに着目している。つまり、図3(a),(b)および図4の太線1,2および太線3で示す配線部の抵抗分Rを大きくするものである。請求項4,5の発明は同様の原理を、例えば図7のように電力用半導体素子モジュール内の配線H1,H2,H3に適用するものである。ただし、ワイヤ配線部は通常アルミニウムや金が用いられることから、配線のうちでワイヤ配線部とそれ以外とを請求項4,5として分けている。
【0022】
請求項2(または6)の発明は、一般に電線または電極に流れる電流は、高周波になるほど表面しか流れない現象(表皮効果)を利用するもので、配線または電極の表面部分のみに吸収損失の大きい材料をめっきし、その箇所から発生する電磁波エネルギを吸収する。これにより、請求項1(または4,5)の発明に対して、放射ノイズが問題とならない低周波(直流も含む)では銅部分に電流が流れるため、低周波電流による損失の増加は発生しない。ただし、めっきの場合はめっき材質特有の表皮深さ(skin depth)があるため、高周波エネルギを効果的に吸収しようとすると、この表皮深さを目安としためっき厚にする必要がある。
【0023】
一般に、めっき厚と吸収損失Aの関係は、次の(2)式のように表わされる。
A=8.686・t/δ(dB) …(2)
t:めっき厚さ、δ:表皮深さ
また、表皮深さδは、次の(3)式のように表わされる。
δ=[1/(2π)]・√[109・ρ/(fμr)](cm) …(3)
ρ:抵抗率(Ωcm)、μr:透磁率、f:周波数
したがって、表皮深さδが小さいほど、またはめっき厚tが大きいほどその吸収効果は大きくなる。一般にδが小さい物質はμrが大きい物質で、鉄や磁性体などが挙げられる。
【0024】
請求項3(または7)の発明は、請求項2(または6)の発明と同様に、表面部分に高周波エネルギの消費、または吸収を行なう抵抗性の塗料や磁性体を混合した塗料を塗布し、同様の効果を期待するものである。
【0025】
【発明の実施の形態】
図1は第1の実施形態を説明する説明図である。
図1(a)は、図14に示す従来の銅製のブスバーに対し、抵抗率が銅より大きい物質で構成したブスバー1を示している。また、図1(b),(c)は、スナバコンデンサまたは接地コンデンサにおいて、抵抗率が銅より大きい物質で構成したリード部または圧着端子部21,22、または端子部31,32を示している。さらに、図1(d),(e)は、スナバコンデンサまたは接地コンデンサにおいて、リード部または端子部に抵抗率が銅より大きい物質からなるリード41,42、もしくは電極51,52を直列に接続した例を示す。なお、上記の例で抵抗率が銅より大きい物質としてはアルミニウムや鉄などが挙げられる。
【0026】
銅の体積抵抗率は2.23Ωm、アルミニウムは3.55Ωm、純鉄は14.7Ωmであることから、理論上は先の(1)式より、図3や図4の太線部分を全てアルミニウムとした場合、2.23/3.55=0.63よりノイズは37%低減(dB換算で約−4dB)する。また、純鉄を適用した場合は、2.23/14.7=0.15よりノイズは85%低減(dB換算で約−16dB)することになる。
【0027】
図2はこの発明の第2の実施形態を説明する説明図である。同図(a)は外観図、同(b)は断面図を示す。
これは、図14に示す従来の銅製のブスバーに対し、ブスバー表面にめっきまたは抵抗性塗料や磁性体混合塗料を塗装したブスバー10を示す例である。めっき材料としては、表皮深さが小さい鉄などが有効な材料として挙げられる。また、そのめっき厚は、めっき材料の放射ノイズ規格の最低周波数である30MHzの表皮深さを目安とすれば効果的である。また、抵抗性塗料としてはカーボンペースト材やグラファイトペースト材などが挙げられる。
【0028】
一例として鉄めっきの場合、30MHzでの表皮深さδは先の(3)式より、δ=1.2μmとなるため、鉄めっき厚を1.2μmとすれば、(2)式より約8.7dBの吸収損失となる。すなわち、めっきを施していない銅ブスバーに対し、約8.7dBのノイズ低減効果が上げられる結果となる。ただし、めっき厚を表皮深さの値と等しくするのは目安であり、実際は(2)式に基づき必要とするノイズ低減量によって、めっき厚を決定すれば良い。
また、抵抗性塗料や磁性体混合塗料についても、その塗料特有の塗料厚と吸収損失の関係があるため、上記と同様に必要とするノイズ低減量に応じてその厚さを決定すれば良い。
【0029】
以上は、電力変換装置の主回路配線と電極の場合を説明したが、この発明は電力変換装置を構成するスイッチングモジュール内部の配線と電極に対しても、上記と全く同様にして適用することができる。
図5は図17に示す従来の電極において、銅以外の材料で形成した電極11を示している(三角法にて表示)。銅以外の材料として具体的には、銅より抵抗率が大きいアルミニウムや鉄などが挙げられる。また、図示はしていないが、図16(b)の銅パターンP1,P2,P3も同様に、銅以外の抵抗率が大きい材料で形成する。
【0030】
この場合も図1と同じく、銅の体積抵抗率は2.23Ωm、アルミニウムは3.55Ωm、純鉄は14.7Ωmであることから、理論上は先の(1)式より、図7に示す太線部分H1,H2,H3を全てアルミニウムとしたとすると、2.23/3.55=0.63よりノイズは37%低減(dB換算で約−4dB)する。また、純鉄を適用した場合は、2.23/14.7=0.15よりノイズは85%低減(dB換算で約−16dB)することになる。
【0031】
図6は図17に示す従来の銅製の電極において、表面にめっきまたは抵抗性塗料や磁性体混合塗料を塗装した電極12の例を示す。めっき材料としては、表皮深さが小さい鉄などが有効な材料として挙げられること、また、そのめっき厚の決め方等については、図2と全く同様なのでこれ以上の説明は省略する。
【0032】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、主回路配線または電極の抵抗成分を増やすことで、(1)式に基づきIGBTやFWDのスイッチングが起因となるノイズスペクトルのピーク値を低減することができる。その結果、外部機器への動作障害が減少するとともに、雑音電界強度規格に容易に適合することも可能となり、ノイズ対策費用を軽減することが可能となる。また、請求項2,3の発明によれば、請求項1の発明に対して放射ノイズが問題となる高周波成分のみエネルギ吸収を行なうため、装置の効率低下や発熱の問題は極めて少なくなる。
【0033】
請求項4,5の発明は、電力用半導体モジュール内部の配線および電極に対して、請求項1の発明と同様の考え方を適用したもので、したがって請求項1の発明と同様の効果を期待することができる。
さらに、請求項6,7の発明も、電力用半導体モジュール内部の配線および電極について、請求項2,3の発明の考え方を適用したもので、これにより請求項2,3の発明と同様の効果をそれぞれ期待することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施の形態を説明する説明図
【図2】この発明の第2の実施の形態を説明する説明図
【図3】図1の発明が適用される第1の具体的回路図
【図4】図1の発明が適用される第2の具体的回路図
【図5】この発明の第3の実施の形態を説明する説明図
【図6】この発明の第4の実施の形態を説明する説明図
【図7】図5の発明が適用される第1の具体的回路図
【図8】一般的なインバータ主回路図
【図9】インバータモジュールの一例を示す外観図
【図10】インバータモジュール内の浮遊容量説明図
【図11】電解コンデンサの一例を示す外観図
【図12】スナバコンデンサの例を示す外観図
【図13】ケーブルおよびブスバーによる配線例の説明図
【図14】ブスバー電極の外観図
【図15】インバータの浮遊容量による充放電電流経路説明図
【図16】インバータモジュールの別の例の説明図
【図17】モジュールの内部電極構造図
【図18】インバータモジュールの浮遊容量による充放電電流経路説明図
【符号の説明】
1…抵抗率が銅より大きい物質で構成したブスバー、10…表面にめっきまたは抵抗性塗料や磁性体混合塗料を塗装したブスバー、11…抵抗率が銅より大きい物質で構成した電極、12…表面にめっきまたは抵抗性塗料や磁性体混合塗料を塗装した電極、21,22…抵抗率が銅より大きい物質で構成したリード部または圧着端子部、31,32…抵抗率が銅より大きい物質で構成した端子部、41,42…抵抗率が銅より大きい物質からなるリード、51,52…抵抗率が銅より大きい物質からなる電極。
Claims (7)
- 直流から交流または交流から直流に変換する電力変換回路において、
前記電力変換回路を構成する配線またはブスバーを含む電極の電流を流す部分の少なくとも一部を、抵抗率が銅よりも大きい材料により構成することを特徴とする電力変換回路。 - 直流から交流または交流から直流に変換する電力変換回路において、
前記電力変換回路を構成する銅製の配線またはブスバーを含む電極の表面に、鉄など銅の表皮深さより小さい材料により、かつその材料の放射ノイズ規格の最低周波数での表皮深さを目安とする厚さでめっきを施すことを特徴とする電力変換回路。 - 直流から交流または交流から直流に変換する電力変換回路において、
前記電力変換回路を構成し銅製の配線またはブスバーを含む電極の表面に、抵抗性塗料またはフェライトなどの磁性物質を混合した材料を塗装するか、その材料の膜を形成したことを特徴とする電力変換回路。 - 電力用半導体素子モジュールを用いて直流から交流または交流から直流に変換する電力変換回路において、
直流の正側出力電極と上アーム側電力用半導体素子のコレクタ部間,または直流の負側出力電極と下アーム側電力用半導体素子のエミッタ部間、または上アーム側電力用半導体素子のエミッタ部と下アーム側電力用半導体素子のコレクタ部間のうち、ワイヤ配線部を除く少なくとも1つの配線または1つの電極を、鉄,アルミニウムなどの抵抗率が銅よりも大きい材料で構成することを特徴とする電力変換回路。 - 電力用半導体素子モジュールを用いて直流から交流または交流から直流に変換する電力変換回路において、
直流の正側出力電極と上アーム側電力用半導体素子のコレクタ部間,または直流の負側出力電極と下アーム側電力用半導体素子のエミッタ部間、または上アーム側電力用半導体素子のエミッタ部と下アーム側電力用半導体素子のコレクタ部間のうち、ワイヤ配線部は鉄などの抵抗率がアルミニウムよりも大きい材料で構成することを特徴とする電力変換回路。 - 電力用半導体素子モジュールを用いて直流から交流または交流から直流に変換する電力変換回路において、
直流の正側出力電極と上アーム側電力用半導体素子のコレクタ部間,または直流の負側出力電極と下アーム側電力用半導体素子のエミッタ部間、または上アーム側電力用半導体素子のエミッタ部と下アーム側電力用半導体素子のコレクタ部間のうち、ワイヤ配線部を除く少なくとも1つの配線または1つの電極の表面に、鉄など銅の表皮深さより小さい材料により、放射ノイズ規格の最低周波数での表皮深さを目安とする厚さでめっきを施すことを特徴とする電力変換回路。 - 電力用半導体素子モジュールを用いて直流から交流または交流から直流に変換する電力変換回路において、
直流の正側出力電極と上アーム側電力用半導体素子のコレクタ部間,または直流の負側出力電極と下アーム側電力用半導体素子のエミッタ部間、または上アーム側電力用半導体素子のエミッタ部と下アーム側電力用半導体素子のコレクタ部間のうち、ワイヤ配線部を除く少なくとも1つの配線または1つの電極の表面に、抵抗性塗料またはフェライトなどの磁性物質を混合した材料を塗布するか、その材料の膜を形成したことを特徴とする電力変換回路。
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