JP2005014545A - 離型フィルム用ポリエステルフィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】フィルム内における配向角の変動が3度/500mm以下であり、150℃30分間における加熱収縮率が5%以下、フィルム5%伸張時の強度(F5)が100MPa以上であることを特徴とする離型フィルム用2軸配向ポリエステルフィルム。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示用途等のフィルムにおいて重要な特性である光学特性に優れたポリエステルフィルムに関するものであり、特に偏光板用の離型フィルムまたは偏光板保護フィルムに好適に使用することのできるポリエステルフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯電話やパーソナルコンピューターの急速な普及に伴い、従来型のディスプレイであるCRTに比べ、薄型軽量化、低消費電力、高画質化が可能である液晶ディスプレイ(LCD)の需要が著しく伸びつつあり、LCDの大画面化についてもその技術の成長は著しい。LCDの大画面化の1例として、最近では例えば17インチ以上の大型モニタや大型TV用途にLCDが使用されている。大画面化されたLCDにおいては、LCD内に組み込まれたバックライトの輝度を上げることや、輝度を向上させるフィルムを液晶ユニット内に組み込むこと等により、大画面で明るいLCDとする場合が多い。
【0003】
このようないわゆる高輝度タイプのLCDでは、ディスプレイ中に存在する小さな輝点が問題となる場合が多く、ディスプレイ中に組み込まれる偏光板、位相差板または位相差偏光板といった構成部材においては、これまでの低輝度タイプのLCDでは問題にならなかったような微小なサイズの異物が問題となってきており、製造工程における異物の混入を防ぐ一方で、万一、異物が混入した場合であっても欠陥として確実に認知できるような検査性の向上や、検査の繰り返し精度の向上といった安定検査性も重要となってきている。
【0004】
例えば偏光板の欠陥検査としては、クロスニコル法による目視検査が一般的であり、さらに例えば30インチ以上の大型TV用途に使用する偏光板等では、クロスニコル法を利用した自動異物検査器による検査も実施されつつある。このクロスニコル法は2枚の偏光板をその配向主軸を直交させて消光状態とし、異物や欠陥があればそこが輝点として現れるので、目視による欠点検査ができるという方法である。ここで、偏光板には粘着剤層を介して離型層を設置したポリエステルフィルムが使用されており、2枚の偏光板の間に離形ポリエステルフィルムが挟み込まれた状態でクロスニコル検査を実施するが、一般に、離型ポリエステルフィルムをこれに用いた場合には、クロスニコル法の検査の障害となり、異物の混入や欠陥を見逃しやすくなるという不具合が生じる場合がある。また、ポリエステルフィルムに異物や欠陥がある場合には、偏光板の欠陥なのかどうかが判別できずに偏光板を不良品とする場合があるため、偏光板製造の際の不良率を上昇させる原因となる場合があり問題となる。また最近では、偏光板の保護フィルムにおいても同様のクロスニコルの検査を実施する場合があり問題となる。
【0005】
従来の離型フィルム用2軸配向ポリエステルフィルムとしては、フィルム内の異物個数を規定しているもの(例えば、特許文献1参照)、フィルムの配向角を規定しているもの(例えば、特許文献2参照)が開示されているが、これらを使用しても欠陥を確実に見いだすための検査を実施する場合には問題となる場合がある。
【0006】
【特許文献1】特開平08−294988号公報
【特許文献2】特開2000−335649号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような問題点を解決しようとするものであり、その解決課題は、いわゆるクロスニコル法による偏光板の検査を行うに際し、精度のある検査を実施できるような離型フィルム用のベースフィルムとして好適なポリエステルフィルムを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の構成を有するポリエステルフィルムにより、上記課題が容易に解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明の要旨は、フィルム内における配向角の変動が3度/500mm以下であり、150℃30分間における加熱収縮率が5%以下、フィルム5%伸張時の強度(F5)が100MPa以上であることを特徴とする離型フィルム用2軸配向ポリエステルフィルムに存する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明でいうポリエステルとは、ジカルボン酸とジオールとから、またはヒドロキシカルボン酸から重縮合によって得られるエステル基を含むポリマーを指す。ジカルボン酸としては、テレフタル酸、コハク酸、イソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等を、ジオールとしては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール等を、ヒドロキシカルボン酸としては、p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸等をそれぞれ例示することができる。
【0011】
かかるポリマーの代表的なものとして、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6―ナフタレート等が例示される。これらのポリマーはホモポリマーであってもよく、また第3成分を共重合させたものでもよい。
【0012】
本発明におけるポリエステルフィルムは、フィルム内における配向角の変動が3度/500mm以下であることが必要であり、好ましくは2度/500mm以下である。配向角の変動が3度/500mmを超える場合には、偏光板を検査する際に偏光板の位置により透過光強度が変動し、偏光板の安定した検査の障害となり好ましくない。
【0013】
さらに、150℃30分間における加熱収縮率が5%以下、好ましくは3%以下、さらにはフィルム5%伸張時の強度(F5)が100MPa以上であることが必要である。かかる範囲を逸脱する場合には、離型層を塗布乾燥する工程や離型フィルム上に粘着材を塗布する工程において平面性が損なわれる場合があり、離型フィルム上の粘着材の厚みムラが生じ、結果として不良品の偏光板となり好ましくない。
【0014】
また、フィルム中に存在する最大径150μm以上の異物は0個/m2、最大径30μm以上の異物は1.5個/m2以下であることがそれぞれ好ましく、最大径30μm以上の異物は1個/m2以下であることがさらに好ましい。最大径150μm以上の異物が0個/m2または最大径30μm以上の異物が1.5個/m2以下を逸脱する場合には、検査の際にポリエステルフィルム中の異物が輝点となり、偏光板等の不良と判別がつかない場合があり、偏光板等自身を不良品と見なす場合がある。
フィルムヘーズについては6%以下であることが好ましく、フィルムヘーズが6%を超える場合には、欠陥部の輝点が発見しにくくなる場合がある。
【0015】
さらに、フィルム表面に存在する幅10μm以上の傷の数は、20個/m2以下、さらには10個/m2以下が好ましい。幅10μmの傷の数が20個/m2より多い場合、クロスニコル検査の際にフィルム表面の傷の箇所が輝点となる場合や、反射光により偏光板等の外観検査を行う場合、輝点として認知し偏光板等を不良品とする場合がある。
また、色差計を用いて透過光により測定されるb値は、−2.0〜2.0の範囲内であることが好ましい。b値がこの範囲を外れる場合には、ポリエステルフィルム上に離型層を設置した離型フィルムロールにおいてその端面の色調が極端に黄色い場合や青い場合があり、実用上問題の生じる場合がある。
【0016】
本発明のポリエステルフィルムには、作業性を良好にする目的でフィルム中にフィラーを添加し、フィルムの滑り性を向上させることが好ましく、添加するフィラーとしては、例えばシリカ、炭酸カルシウム、カオリン、酸化チタン、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、ゼオライト等の無機粒子、またはシリコーン樹脂、架橋ポリスチレン、アクリル樹脂等の有機粒子を単独または混合体でフィルム中に配合させることが挙げられる。この場合、使用する粒子の平均粒径、添加量、さらに粒径分布は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されるものではないが、平均粒径は0.1〜4.0μm、添加量は0.01〜3.0重量%であることが好ましい。
【0017】
このような添加フィラー群の中でも、ポリエステルに対して0.03重量%以上の添加量でフィルム中に炭酸カルシウム粒子を配合することにより、異物の少ないポリエステルフィルムを作成することができ、好ましい場合がある。
本発明のポリエステルフィルムは、本発明の効果を損なわない限り、単層フィルムであっても複数の層が積層された多層フィルムであってもよいが、2種2層、2種3層や3種3層といった多層構成のフィルムであることが好ましい。
【0018】
以下、本発明のフィルムの製造方法に関して具体的に説明するが、本発明の要旨を満足する限り、本発明は以下の例示に特に限定されるものではない。
公知の手法により乾燥したポリエステルチップを溶融押出装置に供給し、それぞれのポリマーの融点以上である温度に加熱し溶融する。次いで、溶融したポリマーをダイから押出し、回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下の温度になるように急冷固化し、実質的に非晶状態の未配向シートを得る。この場合、シートの平面性を向上させるため、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、本発明においては静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。
【0019】
本発明においては、このようにして得られたシートを2軸方向に延伸してフィルム化することが好ましい。延伸条件について具体的に述べると、前記未延伸シートを好ましくは縦方向に70〜145℃で1.3〜6倍に延伸し、縦1軸延伸フィルムとした後、横方向に90〜160℃で1.3〜6倍延伸を行い、150〜240℃で1〜600秒間熱処理を行うことが好ましい。さらにこの際、熱処理の最高温度ゾーンおよび/または熱処理出口のクーリングゾーンにおいて、縦方向および/または横方向に0.1〜20%弛緩する方法が好ましい。
【0020】
このような延伸条件の中でも、配向角の変動を小さくして熱処理時のフィルムの平面性を保持するために、縦延伸の倍率を2.6倍以上3.1倍以下、横延伸の倍率を5.0倍以上、さらには熱処理温度(主結晶温度)を185℃以上とすることが好ましい。また、必要に応じて再縦延伸、再横延伸を付加することも可能である。延伸方法としては、逐次2軸延伸であっても同時2軸延伸であってもよく、同時2軸延伸法による延伸方法が好ましい。
【0021】
本発明のポリエステルフィルムは、本発明の効果を損なわない範囲であれば、その要求特性に応じて必要な特性、例えばオリゴマー発生の防止、帯電防止性、耐候性および表面硬度の向上のため、必要に応じて縦延伸終了後、横延伸のテンター入口前にコートをしてテンター内で乾燥する、いわゆるインラインコートを行ってもよい。また、フィルム製造後にオフラインコートで各種のコートを行ってもよい。このようなコートは片面、両面のいずれでもよい。コーティングの材料としては、オフラインコーティングの場合は水系および/または溶媒系のいずれでもよいが、インラインコーティングの場合は水系または水分散系が好ましい。
【0022】
また、本発明のポリエステルフィルムには、本発明の効果を損なわない範囲であれば、他の熱可塑性樹脂、例えばポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート等を混合することができる。また、紫外線吸収剤、酸化防止剤、界面活性剤、顔料、蛍光増白剤等を混合することができる。
本発明のポリエステルフィルムに離型層を設置する場合、離型層を構成する材料は離型性を有するものであれば特に限定されるものではなく、硬化型シリコーン樹脂を主成分とするタイプでもよいし、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂等の有機樹脂とのグラフト重合等による変性シリコーンタイプ等を使用してもよい。それらの中でも、硬化型シリコーン樹脂を主成分とした場合に離型性が良好な点で良い。
【0023】
硬化型シリコーン樹脂の種類としては、溶剤付加型・溶剤縮合型・溶剤紫外線硬化型、無溶剤付加型、無溶剤縮合型、無溶剤紫外線硬化型、無溶剤電子線硬化型等いずれの硬化反応タイプでも用いることができる。
【0024】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、種々の諸物性、特性は以下のように測定、または定義されたものである。
【0025】
(1)フィルム内における配向角の変動の測定
ポリエステルフィルムの端部からフィルム幅方向に、フィルム幅に対して0、30、40、50、60、70、100%の位置に相当する計7箇所よりそれぞれ6cm角の正方形サンプルを切り出し、7箇所のフィルムについて王子計測機器社製の自動複屈折率計(KOBRA−21ADH)により配向角をそれぞれ測定し、配向角の最大値と最小値、フィルムの幅を用いて配向角の変動を求めた。続いてフィルム長手方向についても幅方向と同様にして7箇所のサンプルを切り出し、配向角の変動を求めた。フィルムがロール形状の場合には、長手方向について全長にわたって測定する必要はなく、2m長を切り出して2m長の長さ方向から7箇所のサンプルを切り出して測定すれば良い。このようにして幅方向、長手方向での配向角の変動を求め、最大の変動値をそのフィルムの配向角の変動とした。また、測定の際には全てのサンプルにおいて配向角の基準軸を同一とすることが重要であり、基準軸については任意に決定できる。
【0026】
(2)加熱収縮率の測定
フィルムの幅方向、フィルム幅に対して10、50、90%に相当する位置より15mm幅×150mm長の短冊状にサンプルを切り出し、無張力状態にて150℃に設定されたオーブン(田葉井製作所製:熱風循環炉)中で30分間の加熱処理を行い、加熱処理前後の長さを測微計により測定し、下記式にて熱収縮率を求めた。
加熱収縮率(%)=[(a−b)/a]×100
(式中a,bはそれぞれ加熱前後のフィルム長さ(mm))
【0027】
(3)F5値の測定
加熱収縮率の測定と同様の箇所より長さ50mm、幅15mmの短冊フィルムを切り出し、(株)インテスコ製の引張試験機インテスコモデル2001型を用いて温度23℃、湿度50%RHに調節された室内において、50mm/分の速度で引張り、5%伸張時の強度をF5値として求めた。
【0028】
(4)異物個数の測定
幅700mm、長さ10m(面積7m2)のポリエステルフィルムについて、クロスニコル法を用いた目視による異物検査を行い、検出された全異物の大きさを、光学顕微鏡を用いて測定し、長軸が150μm以上の大きさの異物個数、長軸が30μm以上の大きさの異物個数をカウントした後、単位面積あたりに換算した。本実施例では、長尺サンプルにより異物検査を実施したが、例えばA4サイズのような小さな試料でも同様な手法により、異物個数の測定は可能である。
【0029】
(5)フィルムヘーズの測定
JIS−K6714に準じ、日本電色工業社製分球式濁度計NDH−20Dによりフィルムのヘーズを測定した。
【0030】
(6)傷個数の測定
幅1500mm、長さ10m(面積15m2)のフィルム表面にハロゲンライトにて光を当て、目視にてフィルム表面を観察、輝点となって現れるキズの個数をカウントし、全てのキズについて光学顕微鏡にて幅を測定し、幅10μm以上のキズの個数を算出した。本実施例では、長尺サンプルについて幅10μm以上のキズ個数をカウントしたが、例えばA4サイズ程度の大きさのフィルムであっても、上記と同様な方法にて幅10μm以上のキズ個数を測定することは可能である。
【0031】
(7)b値の測定
日本電色工業(株)製分光色色差計 SE−2000型を用いて、JIS Z−8722の方法に準じて透過法によるb値を測定した。
【0032】
(8)クロスニコル下での目視検査性
得られたポリエステルフィルムを用いて硬化型シリコーン樹脂(信越化学製「KS−779H」)100部、硬化剤(信越化学製「CAT−PL−8」)1部、メチルエチルケトン(MEK)/トルエン混合溶媒系2200部より成る離型剤を塗工量が0.1g/mm2になるように塗布して170℃で10秒間の乾燥を行い、離型フィルムを得た後、離型フィルムの幅方向が偏光フィルムの配向軸と平行となるように、粘着剤を介して離型フィルムを偏光フィルムに密着させ偏光板とし、密着させた離型フィルム上に配向軸がフィルム幅方向と直交するように検査用の偏光板を重ね合わせ、偏光板側より白色光を照射し、検査用の偏光板より10人の検査員がそれぞれ目視にて観察し、クロスニコル下での目視検査性を下記基準に従い評価した。なお、測定の際には、得られたポリエステルフィルムの端部からフィルム幅方向に、フィルム幅に対して10、50、90%の位置に相当する箇所よりそれぞれA4サイズのサンプルを切り出して実施した。
【0033】
<クロスニコル下での目視検査性・判定基準>
(検査性良好) ◎>○>△>×>×× (検査性不良)
上記判定基準中、△以上のものが実使用上問題なく使用できるレベルである。
【0034】
(9)異物認知性
硬化型シリコーン樹脂(信越化学製「KS−779H」)100部、硬化剤(信越化学製「CAT−PL−8」)1部、メチルエチルケトン(MEK)/トルエン混合溶媒系2200部よりなる離型剤を塗工量が0.1g/mm2になるようにポリエステルの片面に塗布して170℃で10秒間の乾燥を行い、離型フィルムを得た後、離型フィルムの幅方向が偏光フィルムの配向軸と平行となるように、公知のアクリル系粘着剤を介して離型フィルムを偏光フィルムに密着させ離形フィルム付きの偏光板を作成した。ここで、上記偏光板を作成する際、粘着剤と偏光フィルムとの間に50μm以上の大きさを持つ黒色の金属粉(異物)を50個/m2となるように混入させた。このようにして得られた異物を混入させた偏光板離型フィルム上に配向軸が離形フィルム幅方向と直交するように検査用の偏光板を重ね合わせ、偏光板側より白色光を照射し、検査用の偏光板より10人の検査員がそれぞれ目視にて観察し、粘着剤と偏光フィルムとの間に混入させた異物を見いだせるかどうかを下記分類にて評価した。なお、測定の際には、得られたフィルムの中央部と両端部の計3カ所のフィルムを用いて評価し、目視検査性が最も良好であった箇所の結果をもって、そのフィルムの異物認知性とした。<異物認知性 分類基準>
(異物認知性良好) ◎>○>△>× (異物認知性不良)
上記判定基準中、△以上のものが実使用上問題なく使用できるレベルである。
【0035】
実施例 1
(ポリエステルチップの製造法)
ジメチルテレフタレート100部、エチレングリコール70部、および酢酸カルシウム一水塩0.07部を反応器にとり、加熱昇温すると共にメタノール留去させエステル交換反応を行い、反応開始後、約4時間半を要して230℃に昇温し、実質的にエステル交換反応を終了した。次に、燐酸0.04部および三酸化アンチモン0.035部を添加し、常法に従って重合した。すなわち、反応温度を徐々に上げて、最終的に280℃とし、一方、圧力は徐々に減じて、最終的に0.05mmHgとした。4時間後、反応を終了し、常法に従い、チップ化して固有粘度が0.65であるポリエステルAを得た。
上記ポリエステルAを製造する際、平均一次粒径0.7μmの炭酸カルシウムを10000ppm添加し、ポリエステルBを得た。
上記ポリエステルAを製造する際、平均一次粒径2.4μmの非晶質シリカを8000ppm添加し、ポリエステルCを得た。
上記ポリエステルAを製造する際、平均一次粒径60nmのδ型の酸化アルミニウムを20000ppm添加し、ポリエステルDを得た。
【0036】
(ポリエステルフィルムの製造)
上記ポリエステルA〜Dを表1に示す配合比でA層、B層用の混合原料とし、2台の二軸押出機に各々を供給し、285℃で溶融した後、A層を最外層(表層)、B層を中間層として、全厚みに対して、A層/B層/A層=10%/80%/10%の厚み比となるように、2種3層の構成で20℃に冷却したキャスティングドラム上に共押出し、冷却固化させて無配向シートを得た。次いで、100℃にて縦方向に2.8倍延伸した後、テンター内で予熱工程を経て120℃で5.4倍の横延伸を施した後、200℃で10秒間の熱処理を行い、その後180℃で幅方向に10%の弛緩を加え、幅3000mm、厚み40μmのポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムは、目視検査性や異物認知性に優れ実用性の高いポリエステルフィルムであった。
【0037】
実施例2〜4
原料配合、製膜条件、フィルム厚みを表1記載のようにした以外は実施例1と同様にして製造し、ポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムは、表1に示したような結果となり、それぞれで目視検査性や異物認知性に差があるものの、いずれも実用に適したフィルムであった。また、実施例2、3のフィルムにおいては、離型層設置後のフィルム平面性が請求項1や4のフィルムと比べて悪く、実用性はあるものの好ましいフィルムではなかった。
【0038】
比較例1〜4
原料配合、製膜条件を表2記載の如くとした以外、実施例1と同様にして製
造しポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムは目視検査性や異物認知性に差があるものの、何れも劣っており、b値も高く、実用性に欠けたフィルムであった。また、比較例3〜4のフィルムは離型層設置工程において平面性の悪化が見られ、平面性の点においても実用性に欠けたフィルムであった。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、偏光板のクロスニコル法による検査において、精度ある検査を実施できるような離形フィルム用ポリエステルフィルムを提供することができ、本発明の工業的価値は高い。
Claims (1)
- フィルム内における配向角の変動が3度/500mm以下であり、150℃30分間における加熱収縮率が5%以下、フィルム5%伸張時の強度(F5)が100MPa以上であることを特徴とする離型フィルム用2軸配向ポリエステルフィルム。
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