JP2005012072A - Laminated common mode choke coil and its manufacturing method - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子機器に侵入するコモンモードノイズを除去する積層型コモンモードチョークコイル及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、パーソナルコンピュータやその周辺機器で採用されているUSB(Universal Serial Bus)、IEEE1394(Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)及びLDVS(Low Voltage Differential Signaling)といった高速の差動伝送方式のラインに流れるコモンモードノイズを除去するために、コモンモードチョークコイルが使用されている。
このコモンモードチョークコイルは、2つ以上のコイルを磁気的に組み合わせたコイルのことであり、電流の伝導方向におけるノーマル(ディファレンシャル)モードの成分には影響を与えないようにしてコモンモードの成分のみを除去するように構成したものである。すなわち、ノーマルモードのインピーダンスを最小限に抑えて、コモンモードのインピーダンスをできるだけ大きくすることが必要となる。
【0003】
さて、従来の積層型コモンモードチョークコイルには、ほぼ平行な2本のコイルパターンを形成したフェライトシートを複数積層するとともに、フェライトシートを貫通して形成されたスルーホールを介して隣接するコイルパターンを順に電気的に接続してなる二つの螺旋状コイルを形成することにより、バイファイラ型ソレノイド巻きとしたものがある。(たとえば、特許文献1参照)
また、従来の積層型コモンモードチョークコイルには、コイル用導体と高透磁率材料層を交互に重ねたコイル部と、引出用導体と低透磁率材料層を交互に重ねた引出部とからなる積層構造体を備え、各コイル用導体と引出用導体とを電気的に接続して積層型のソレノイド巻きに構成したものがある。(たとえば、特許文献2参照)
【0004】
【特許文献1】
特開昭62−257709号公報(第2〜3頁、図2)
【特許文献2】
特開平5−101950号公報(第2〜3頁、図1)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した特許文献1記載の積層型コモンモードチョークコイルは、バイファイラ巻きとした螺旋状コイルの線長が異なるものであるため、ノーマルモードにおけるインピーダンスが高いという問題がある。
また、上述した特許文献2記載の積層型コモンモードチョークコイルは、積層型ソレノイド巻きであることから非磁気結合域があって結合係数が低いという問題を有している。また、積層型ソレノイド巻きとした二つのコイルは、上下で重複する(平面視で重なる)面積が大きくなるため、コンデンサとして機能する浮遊容量が大きくなって高周波特性を低下させるという問題も生じてくる。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、ノーマルモード及びコモンモードのいずれにおいてもインピーダンスを最適化すると共に高周波特性を改善して、ノイズ除去特性を向上させることができる積層型コモンモードチョークコイル及びその製造方法の提供を目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用した。
本発明の積層型コモンモードチョークコイルは、非磁性絶縁材料または磁性材料よりなる複数のシート状材料を積層して第1及び第2の内部導体を形成するシート状材料層と、該シート状材料層の上下両面に配置された磁性材料層とを具備してなる積層体に、前記第1及び第2の内部導体に接続された外部電極が設けられている積層型コモンモードチョークコイルであって、前記シート状材料層は、シート状材料に引出電極及び引出電極接続導体が形成されて両端部に積層される引出電極形成層と、隣接して積層する2枚のシート状材料に内外を入れ替えるとともに積層方向で重ならないよう一周分の内部導体が分割形成された1または複数のコイル形成ユニット層とを備え、前記各層の導体を電気的に接続してバイファイラ型ソレノイド巻きに構成した。
【0008】
このような積層型コモンモードチョークコイルとすれば、内外を入れ替えるとともに積層方向で重ならないようにして、一周分の内部導体を隣接する2枚のシート状材料に分割形成したバイファイラ型ソレノイド巻きの第1及び第2内部導体となるので、磁気結合する内部導体の有効長さを十分に確保し、磁気結合する内部導体の線長を等しくして高い結合係数を得ることができる。また、内部導体が積層方向に重ならないため、浮遊容量を低減することができる。
【0009】
本発明の積層型コモンモードチョークコイルの製造方法は、非磁性絶縁材料または磁性材料よりなる複数のシート状材料を積層して第1及び第2の内部導体を形成するシート状材料層と、該シート状材料層の上下両面に配置された磁性材料層とを具備してなる積層体に、前記第1及び第2の内部導体に接続された外部電極が設けられている積層型コモンモードチョークコイルの製造方法であって、前記シート状材料層が、シート状材料に引出電極及び引出電極接続導体を形成して両端部に積層される引出電極形成層の間に、隣接して積層される2枚のシート状材料に内外を入れ替えるとともに積層方向で重ならないよう一周分の内部導体を分割形成したコイル形成ユニット層を1または複数積層した構成とされ、前記各層の導体を電気的に接続して、前記第1及び第2の内部導体をバイファイラ型ソレノイド巻きに形成する。
【0010】
このような積層型コモンモードチョークコイルの製造方法とすれば、第1及び第2の内部導体は、積層方向で重ならないバイファイラ型ソレノイド巻きに形成するため浮遊容量が低く、また、分割した内部導体の内外を入れ替えたバイファイラ型ソレノイド巻きとするため、磁気結合する内部導体の線長を等しくして高い結合係数が得られ、かつ、磁気結合する内部導体の有効長さを十分に確保できる積層型コモンモードチョークコイルを容易に製造することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による積層型コモンモードチョークコイル(以下では「コモンモードチョークコイル」と呼ぶ)及びその製造方法の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、図1は本発明におけるコモンモードチョークコイルの分解斜視図、図2は図1の完成状態を示すコモンモードチョークコイルの外観斜視図、図3は本発明によるコモンモードチョークコイルの磁気結合の様子を示す分解斜視図である。
【0012】
図1及び図2において、図中の符号10はコモンモードチョークコイルを示している。このコモンモードチョークコイル10は、シート状とした複数枚の磁性材料を積層して、あるいは、シート状とした複数枚の非磁性絶縁材料及び磁性材料を積層して一体化した構成とされる。また、略直方体形状の積層体としたコモンモードチョークコイル10の対向する2側面には、後述する2組の内部導体と引出電極を介して接続されている4つの外部電極11,12,13,14が分配して設けられている。
図1に示す構成例では、積層体としたコモンモードチョークコイル10の上下両端面側に、それぞれが1または複数層よりなる磁性材料層15,16を配置してある。そして、これら上下の磁性材料層15,16の間には、少なくとも4層(複数層)のシート状材料(磁性材料または非磁性絶縁材料)よりなるシート状材料層20を配置してある。
【0013】
磁性材料層15,16は、それぞれが磁性材料15a,15b,15c及び磁性材料16a,16b,16cを3層に積層した構成とされる。ここで、磁性材料層15,16としては高透過率のものが好ましく、使用可能なシート状の磁性材料には、たとえばNi−Znフェライト、Ni−Zn−Cuフェライト等がある。
なお、磁性材料層15,16については、上述した3層に限定されることはなく、磁性材料の種類や厚みに応じて適宜変更することができる。
【0014】
図示のシート状材料層20は、上面側から第1シート状材料21、第2シート状材料22、第3シート状材料23、第4シート状材料24、第5シート状材料25及び第6シート状材料26の順に、シート状材料を6層に積層した構成とされる。ここで、シート状材料層20として使用可能なシート状の非磁性絶縁材料には、たとえばアルミナなどのセラミックス材料、シリカなどのガラス材料やポリイミド樹脂などの樹脂材料等がある。また、シート状材料20として使用可能なシート状の磁性材料には、磁性材料層15,16と同様に、たとえばNi−Znフェライト、Ni−Zn−Cuフェライト等がある。
【0015】
さて、上述したシート状材料層20は、積層方向(上下方向)の両端に積層されて引出電極形成層となる第1シート状材料21及び第6シート状材料26と、これら引出電極形成層の間に積層される二つのコイル形成ユニット層27,28とを備えた積層体とされる。
コイル形成ユニット層27,28は、第2シート状材料22と第3シート状材料23及び第4シート状材料24と第5シート状材料25のように、隣接して積層される2枚のシート状材料を1ユニットとして、それぞれがバイファイラ型ソレノイド巻きのコイル一周分を形成するものである。なお、図示の例ではコイル形成ユニット層27,28を2層設けてあるが、1層または3層以上の複数層としてもよい。
【0016】
このように、上下両端の引出電極形成層(第1シート状材料21及び第6シート状材料26)間にコイル形成ユニット層27,28を挟み込むように積層してなるシート状材料層20には、以下に説明するようにして、第1内部導体31及び第2内部導体32がバイファイラ型ソレノイド巻きに形成されている。
第1シート状材料21には、第1内部導体31の一端となる引出電極33と、この引出電極33とソレノイド巻きの導体とを接続する引出電極接続導体31aと、ソレノイド巻きの一部となる第1コイル導体31bとが連続して形成されている。さらに、第1シート状材料21には、第2内部導体32の一端となる引出電極34と、この引出電極34とソレノイド巻きの導体とを接続する引出電極接続導体32aと、ソレノイド巻きの一部となる第2コイル導体32bとが連続して形成されている。この場合、第1コイル導体31bが第2コイル導体32bの外側となるように、所定の間隔をもって互いに短絡しないようほぼ平行に配置されている。
【0017】
第1コイル導体31bの端部は、第1シート状材料21に穿設されたスルーホール21aを介して、第2シート状材料22に形成されている第1コイル内側導体31cの一端Aと電気的に接続される。この第1コイル内側導体31cは、第1コイル導体31bと積層方向で重ならないように、かつ、平面視で螺旋状のコイルを形成するようにして、一端Aから第2シート状材料22に穿設されたスルーホール22aまで連続して形成されている。
【0018】
また、第2コイル導体32bの端部は、第1シート状材料21に穿設されたスルーホール21bを介して、第2シート状材料22に形成されている第2コイル外側導体32cの一端Bと電気的に接続される。この第2コイル外側導体32cは、第2コイル導体32bと積層方向で重ならないように、かつ、平面視で螺旋状のコイルを形成するようにして、一端Bから第2シート状材料22に穿設されたスルーホール22bまで連続して形成されている。なお、第1コイル内側導体31c及び第2コイル外側導体32cは、所定の間隔をもって互いに短絡しないようほぼ平行に配置されている。
このように、第1シート状材料21と第2シート状材料22とを比較すると、スルーホール21a,21bの位置を適切に設定することで、第1導体31及び第2導体32の配置が内外で入れ替わっている。
【0019】
第1コイル内側導体31cの他端部は、第2シート状材料22に穿設されたスルーホール22aを介して、第3シート状材料23に形成されている第1コイル外側導体31dの一端Cと電気的に接続される。この第1コイル外側導体31dは、第1コイル内側導体31cと積層方向で重ならないように、かつ、平面視で螺旋状のコイルを形成するようにして、一端Cから第3シート状材料23に穿設されたスルーホール23aまで連続して形成されている。
【0020】
また、第2コイル外側導体32cの他端部は、第2シート状材料22に穿設されたスルーホール22bを介して、第3シート状材料23に形成されている第2コイル内側導体32dの一端Dと電気的に接続される。この第2コイル内側導体32dは、第2コイル外側導体32cと積層方向で重ならないように、かつ、平面視で螺旋状のコイルを形成するようにして、一端Dから第3シート状材料23に穿設されたスルーホール23bまで連続して形成されている。なお、第1コイル外側導体31d及び第2コイル内側導体32dは、所定の間隔をもって互いに短絡しないようほぼ平行に配置されている。
このように、第2シート状材料22と第3シート状材料23とを比較すると、スルーホール22a,22bの位置を適切に設定することで、第1導体31及び第2導体32の配置が内外で入れ替わっている。
【0021】
上述した第2シート状材料22及び第3シート状材料23は、2枚のシート状材料を積層することで一層のバイファイラ型ソレノイド巻きを構成するコイル形成ユニット層27となる。すなわち、第1コイル内側導体31cと第1コイル外側導体31d及び第2コイル外側導体32cと第2コイル内側導体32dとは、それぞれが上下に分割形成されれた導体が電気的に接続され、互いに短絡することなくほぼ平行に配置されて螺旋状に一周し、平面視で重なることのない二つのコイルを形成している。このようなバイファイラ型のコイルは、内部導体の内外を入れ替えることで二つのコイル長さが同じとされる。
【0022】
換言すれば、上述した第2シート状材料22及び第3シート状材料23は、第1内部導体31と第2内部導体32とを区別しなければ、実質的に同じ導体パターン及びスルーホールが形成されたものを180度回転させて使用することができる。なお、第1コイル内側導体31cと第2コイル外側導体32cとを合計した導体長さ、そして、第1コイル外側導体31dと第2コイル内側導体32dとを合計した導体長さは、いずれもコイル一周分の長さと等しくなるように分割されているということもできる。
【0023】
同様にして、第4シート状材料24及び第5シート状材料25は、2枚のシート状材料を積層することで一層のバイファイラ型ソレノイド巻きを構成するコイル形成ユニット層28となる。
第4シート状材料24の第1コイル内側導体31cは、スルーホール23aを介して第3シート状材料23の第1コイル外側導体31dと電気的に接続される一端Eからスルーホール24aまで形成されている。また、第4シート状材料24の第2コイル外側導体32cは、スルーホール23bを介して第3シート状材料23の第2コイル内側導体32dと電気的に接続される一端Fからスルーホール24bまで形成されている。
【0024】
第5シート状材料25の第1コイル外側導体31dは、スルーホール24aを介して第4シート状材料24の第1コイル内側導体31cと電気的に接続される一端Gからスルーホール25aまで形成されている。また、第5シート状材料25の第2コイル内側導体32dは、スルーホール24bを介して第4シート状材料24の第2コイル外側導体32cと電気的に接続される一端Hからスルーホール25bまで形成されている。
この場合、第4シート状材料24の導体パターン及びスルーホール24a,24bの位置は上述した第2シート22と一致し、第5シート状材料25の導体パターン及びスルーホール25a,25bの位置は上述した第3シート23と一致するので、実質的に同じ導体パターン及びスルーホール位置としたシート状材料を4枚用意し、一層毎に180度回転させて積層して二つのコイル形成ユニット層27,28を積層すればよい。
【0025】
第6シート状材料26には、第1内部導体31の他端となる引出電極35と、この引出電極35とソレノイド巻きの導体とを接続する引出電極接続導体31eとが連続して形成されている。さらに、第6シート状材料26には、第2内部導体32の他端となる引出電極36と、この引出電極36とソレノイド巻きの導体とを接続する引出電極接続導体32eとが連続して形成されている。なお、外部電極11,12,13,14の配置によっては、第1シート状材料21と同様にして、引出電極35,36とソレノイド巻きの導体とをそれぞれ接続する引出電極接続導体を形成してもよい。
なお、上述した第1内部導体31及び第2内部導体32を形成する各導体31a〜31e,32a〜32eや引出電極33,34,35,36は、たとえば銀などの導電体を印刷やメッキなど周知の手法により、非磁性絶縁材料の表面に形成したものである。
【0026】
このように、第1内部導体31及び第2内部導体32は、第1シート状材料21から第6シート状材料26まで積層し、各材料に形成された導体を電気的に接続することにより、ソレノイド巻きの二つのコイルが互いに重なることなく隣接して形成されたバイファイラ型ソレノイド巻きに構成される。また、それぞれのソレノイド巻きコイルは、隣接するシート状材料に形成された導体が、積層方向で重なることはない。
従って、第1導体31及び第2導体32は、線長が短くなる内側と線長が長くなる外側とに分割形成されているので、その有効長さは、すなわち、引出電極33,34,35,36との接続に必要な部分を除いて互いに平行に配置されている導体の長さは、バイファイラ巻きの採用で全長を長く確保でき、かつ、その長さについても同じに設定することができる。
【0027】
以上のように構成された本発明のコモンモードチョークコイル10について、以下にその製造方法を説明する。
最初に、所定の形状(たとえば矩形状)とした第1シート状材料21、第2シート状材料22、第3シート状材料23、第4シート状材料24、第5シート状材料25及び第6シート状材料26を作製する。
次に、第1シート状材料21〜第5シート状材料25の5枚のシート状材料に対し、それぞれの所定位置にレーザ、パンチングなど周知の手法で穴あけ加工を施し、スルーホール21a〜25a,21b〜25bを設ける。
【0028】
次に、第1シート状材料21〜第6シート状材料26の各シート状材料上面に対して、第1内部導体31及び第2内部導体32の一部となる導体パターンや引出電極を、印刷やメッキなど周知の手法を用いて互いに短絡しないように形成する。
また、各スルーホール21a〜25a,21b〜25bには、スルーホールを設けたシート状材料に形成される導体と一体的に連続するよう銀などの導電材料が充填される。なお、スルーホールを介して接続されるシート状材料側の導体とは、導体端部に図示しない凸状の電極部を設けるなどしてスルーホールの導電体に接触させ、電気的に接続されるようになっている。
【0029】
次に、第1シート状材料21から第6シート状材料26まで6枚のシート状材料を積層し、シート状材料層20を形成する。これにより、第1内部導体31及び第2内部導体32は、各層に形成された導体がスルーホールを介して電気的に接続されるので、積層方向に隣接するコイルが重なることのないバイファイラ型ソレノイド巻きが構成される。
なお、磁性材料層15,16は、シート状材料層20を挟み込むようにして上下に積層されることにより、積層体が完成する。
【0030】
また、上述したコモンモードチョークコイル10は、各シート状材料に対し所定のピッチで複数組の内部導体を形成して積層してもよく、この場合、ダイシングなどで切断することにより、上述した積層体を同時に多数製造することができる。
最後に、積層体の対向する両側面に露出した引出電極33,34,35,36と接続させて、銀などの導電体からなる外部電極11,12,13,14をそれぞれ形成し、上述した構成のコモンモードチョークコイルを製造する。このような製造方法により、第1内部導体31及び第2内部導体32の長さを等しくしたバイファイラ型ソレノイド巻きのコモンモードチョークコイル10を容易に製造することができる。
なお、外部電極11,12,13,14は、必要に応じて銀などの導電体の上面にメッキ処理を施してもよい。
【0031】
このように構成されたコモンモードチョークコイル10は、バイファイラ型ソレノイド巻きとして磁気結合に寄与する第1内部導体31及び第2内部導体32の長さを十分に確保し、しかも、磁気結合に寄与しない内部導体を極力低減し、磁気結合に寄与する両内部導体31,32の長さを等しくしてあるので、コモンモードのインピーダンス値を高くし、かつ、ノーマルモードのインピーダンス値を低く抑えることができる。
【0032】
図3は、上述したコモンモードチョークコイル10において、コモンモード時における磁気結合の様子を示す図である。
この場合、磁気結合に寄与する第1内部導体31及び第2内部導体32の長さを等しく設定してあるので、各層において第1導体31と第2導体32とが影響し合って矢印Z1,Z2,Z3,Z4,Z5のように磁気結合する。この結果、矢印Z6,Z7で示すように、コモンモードチョークコイル10全体に大きな磁気結合が生じることとなるので、コモンモードのインピーダンス値を高くすることができる。
すなわち、磁気結合に寄与する内部導体の有効長さを十分に確保することでコモンモードにおけるインピーダンス値を高くしてノイズ除去性能が向上し、かつ、磁気結合に寄与する両内部導体の長さを等しくすることでノーマルモードにおけるインピーダンス値を低減して電流が流れやすい、すなわち高速信号波形に影響を及ぼすことのない積層型のコモンモードチョークコイル10となる。
【0033】
さらに、上述したバイファイラ型ソレノイド巻きでは、上下の層に形成された内部導体どうしが重なることはないので、ふたつの導体間における浮遊容量は低下する。しかも、バイファイラ型の採用で磁気結合する内部導体間の対向面積を小さく抑えることができるので、これによってもコンデンサ容量を低く抑えることが可能になる。
すなわち、バイファイラ型としたため、同一のシート状材料上に配置された導体間で磁気結合するようになり、第1内部導体31及び第2内部導体32の導体高さ(厚さ)が対向面積を定めることとなる。この導体高さは、シート状材料の積層方向で重なった導体が磁気結合する場合に対向面積となる導体線幅とは異なり、かなり小さなものとなる。
【0034】
具体例をあげると、現状の導体形成技術においては、たとえば50〜100μm程度となる導体の線幅を対向面積とするより、たとえば10μm程度となる厚さが対向面積となるように、同一面上にバイファイラ巻きとした導体間で磁気結合させることにより、対向面積を1/5〜1/10程度まで小さくすることができるので、この結果、コンデンサ容量を低く抑えて良好な高周波特性を得ることができる。
なお、本発明の構成は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
【0035】
【発明の効果】
本発明の積層型コモンモードチョークコイルによれば、第1導体及び第2導体をバイファイラ型ソレノイド巻きに構成したので、第1内部導体と第2内部導体との長さが等しくなって高結合係数を得ることができ、互いの磁気結合が高くなることによりノーマルモードにおけるインピーダンス値は低減される。また、互いに平行に配置されて磁気結合する内部導体の有効長さを十分に確保することができるため、コモンモードのインピーダンス値は高くなる。従って、ノーマルモード及びコモンモードのいずれにおいてもインピーダンスが最適化され、さらに、良好な高周波特性も得られるので、ノイズ除去特性がより一層向上した積層型コモンモードチョークコイルとなる。
【0036】
また、本発明による積層型コモンモードチョークコイルの製造方法によれば、コンデンサとしての容量が低く良好な高周波特性が得られ、磁気結合する内部導体の線長が等しく高い結合係数を得られ、かつ、磁気結合する内部導体の有効長さを十分に確保できる積層型コモンモードチョークコイルの製造を容易にし、ノイズ除去特性が高く安価で信頼性の高い製品を提供できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る積層型コモンモードチョークコイルの一実施形態を示す分解斜視図である。
【図2】図1の完成状態を示す斜視図である。
【図3】図1の積層型コモンモードチョークコイルにおける磁気結合の様子を示す図である。
【符号の説明】
10 積層型コモンモードチョークコイル(コモンモードチョークコイル)
11、12,13,14 外部電極
15,16 磁性材料層
15a,15b,15c,16a,16b,16c 磁性材料
20 シート状材料層
21 第1シート状材料(引出電極形成層)
22 第2シート状材料
23 第3シート状材料
24 第4シート状材料
25 第5シート状材料
26 第6シート状材料(引出電極形成層)
27,28 コイル形成ユニット層
31 第1内部導体
32 第1内部導体
33,34,35,36 引出電極[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a stacked common mode choke coil that removes common mode noise that enters an electronic device, and a method of manufacturing the same.
[0002]
[Prior art]
Conventionally, high-speed differential transmission lines such as USB (Universal Serial Bus), IEEE 1394 (Institut of Electrical and Electronics Engineers 1394) and LDVS (Low Voltage Different Line) used in personal computers and peripheral devices. A common mode choke coil is used to remove common mode noise.
This common mode choke coil is a coil that is a magnetic combination of two or more coils. Only the common mode component is used without affecting the normal (differential) mode component in the current conduction direction. It is comprised so that may be removed. That is, it is necessary to minimize the normal mode impedance and to increase the common mode impedance as much as possible.
[0003]
In the conventional laminated common mode choke coil, a plurality of ferrite sheets formed with two substantially parallel coil patterns are laminated, and adjacent coil patterns are formed through through holes formed through the ferrite sheets. In some cases, a bifilar type solenoid winding is formed by forming two helical coils that are electrically connected in order. (For example, see Patent Document 1)
In addition, a conventional laminated common mode choke coil includes a coil portion in which coil conductors and high permeability material layers are alternately stacked, and a lead portion in which lead conductors and low permeability material layers are alternately stacked. There is a structure in which a laminated structure is provided and each coil conductor and lead conductor are electrically connected to form a laminated solenoid winding. (For example, see Patent Document 2)
[0004]
[Patent Document 1]
Japanese Patent Application Laid-Open No. 62-257709 (pages 2 and 3, FIG. 2)
[Patent Document 2]
JP-A-5-101950 (pages 2 and 3, FIG. 1)
[0005]
[Problems to be solved by the invention]
By the way, the laminated common mode choke coil described in Patent Document 1 described above has a problem that the impedance in the normal mode is high because the wire length of the spiral coil wound by bifilar is different.
Further, the above-described laminated common mode choke coil described in Patent Document 2 has a problem that since it is a laminated solenoid winding, there is a nonmagnetic coupling region and a coupling coefficient is low. In addition, since the two overlapping solenoid coils have large areas that overlap in the upper and lower directions (overlapping in a plan view), there arises a problem that the stray capacitance that functions as a capacitor increases and the high-frequency characteristics deteriorate. .
[0006]
The present invention has been made in view of the above circumstances, and is a multilayer common that can improve noise removal characteristics by optimizing impedance and improving high frequency characteristics in both normal mode and common mode. An object of the present invention is to provide a mode choke coil and a manufacturing method thereof.
[0007]
[Means for Solving the Problems]
The present invention employs the following means in order to solve the above problems.
The laminated common mode choke coil of the present invention includes a sheet-like material layer in which a plurality of sheet-like materials made of a nonmagnetic insulating material or a magnetic material are laminated to form first and second inner conductors, and the sheet-like material A laminated common mode choke coil in which a laminate comprising magnetic material layers arranged on both upper and lower surfaces of a layer is provided with external electrodes connected to the first and second internal conductors. The sheet-like material layer replaces the inside and outside with a sheet-form material in which an extraction electrode and an extraction electrode connecting conductor are formed and laminated at both ends, and two sheet-like materials laminated adjacently. And one or a plurality of coil forming unit layers in which the inner conductor for one round is divided and formed so as not to overlap in the laminating direction, and the conductors of the respective layers are electrically connected to each other to form a bifilar type solenoid winding It was constructed in.
[0008]
If such a laminated common mode choke coil is used, the bifilar type solenoid winding in which the inner conductor for one round is divided into two adjacent sheet-like materials so that the inner and outer sides are interchanged and does not overlap in the lamination direction. Since the first and second inner conductors are used, the effective length of the magnetically coupled inner conductor can be sufficiently secured, and the line length of the magnetically coupled inner conductor can be made equal to obtain a high coupling coefficient. In addition, since the internal conductor does not overlap in the stacking direction, stray capacitance can be reduced.
[0009]
A method for manufacturing a laminated common mode choke coil according to the present invention includes a sheet-like material layer in which a plurality of sheet-like materials made of a nonmagnetic insulating material or a magnetic material are laminated to form first and second inner conductors, A laminated common mode choke coil in which a laminate comprising magnetic material layers disposed on both upper and lower surfaces of a sheet-like material layer is provided with external electrodes connected to the first and second internal conductors 2 wherein the sheet-like material layer is laminated adjacently between extraction electrode-forming layers that are formed at both ends by forming an extraction electrode and an extraction electrode connecting conductor on the sheet-like material. One or a plurality of coil forming unit layers in which inner conductors for one round are divided and formed so as not to overlap each other in the stacking direction are exchanged inside and outside the sheet material, and the conductors of each layer are electrically connected. And, forming the first and second inner conductors in bifilar solenoid winding.
[0010]
According to such a method of manufacturing a laminated common mode choke coil, the first and second inner conductors are formed by bifilar solenoid windings that do not overlap in the laminating direction, so that the stray capacitance is low, and the divided inner conductors are divided. A bifilar type solenoid winding with the inside and outside of which is switched, so that a high coupling coefficient can be obtained by equalizing the line lengths of the magnetically coupled inner conductors, and a sufficiently long effective length of the magnetically coupled inner conductors can be secured. A common mode choke coil can be easily manufactured.
[0011]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, a laminated common mode choke coil (hereinafter referred to as a “common mode choke coil”) and a method for manufacturing the same according to the present invention will be described with reference to the drawings. 1 is an exploded perspective view of the common mode choke coil according to the present invention, FIG. 2 is an external perspective view of the common mode choke coil showing the completed state of FIG. 1, and FIG. 3 is a magnetic coupling of the common mode choke coil according to the present invention. It is a disassembled perspective view which shows a mode.
[0012]
1 and 2,
In the configuration example shown in FIG. 1,
[0013]
Each of the
The
[0014]
The illustrated
[0015]
Now, the sheet-
The coil forming unit layers 27 and 28 are two sheets stacked adjacent to each other like the
[0016]
In this way, the sheet-
The first sheet-
[0017]
The end of the
[0018]
The end of the
As described above, when the first sheet-
[0019]
The other end of the first coil
[0020]
The other end of the second coil
As described above, when the second sheet-
[0021]
The second sheet-
[0022]
In other words, the second sheet-
[0023]
Similarly, the 4th sheet-
The first coil
[0024]
The first coil
In this case, the conductor pattern of the
[0025]
In the sixth sheet-
The
[0026]
Thus, the first
Therefore, since the
[0027]
A method for manufacturing the common
First, the
Next, the five sheet-like materials of the first sheet-
[0028]
Next, a conductor pattern and a lead electrode that are part of the first
Further, each through
[0029]
Next, six sheet-like materials are laminated from the first sheet-
In addition, the magnetic material layers 15 and 16 are laminated | stacked up and down so that the sheet-
[0030]
The common
Finally, the
The
[0031]
The common
[0032]
FIG. 3 is a diagram showing a state of magnetic coupling in the common mode in the common
In this case, since the lengths of the first
That is, by sufficiently securing the effective length of the inner conductor that contributes to the magnetic coupling, the impedance value in the common mode is increased to improve the noise removal performance, and the length of both inner conductors that contribute to the magnetic coupling is increased. By making them equal, the impedance value in the normal mode is reduced and the current flows easily, that is, the laminated common
[0033]
Furthermore, in the bifilar type solenoid winding described above, the internal conductors formed in the upper and lower layers do not overlap with each other, so that the stray capacitance between the two conductors decreases. In addition, since the facing area between the inner conductors that are magnetically coupled can be reduced by adopting the bifilar type, the capacitance of the capacitor can also be reduced.
In other words, since the bifilar type is adopted, the conductors arranged on the same sheet-like material are magnetically coupled, and the conductor heights (thicknesses) of the first
[0034]
As a specific example, in the current conductor forming technology, for example, the conductor line width of about 50 to 100 μm is set as the opposing area, so that the thickness of, for example, about 10 μm becomes the opposing area. Since the opposing area can be reduced to about 1/5 to 1/10 by magnetically coupling between the conductors wound by bifilar, it is possible to obtain good high-frequency characteristics while keeping the capacitor capacity low. it can.
In addition, the structure of this invention is not limited to embodiment mentioned above, In the range which does not deviate from the summary of this invention, it can change suitably.
[0035]
【The invention's effect】
According to the laminated common mode choke coil of the present invention, since the first conductor and the second conductor are configured as bifilar solenoid windings, the lengths of the first inner conductor and the second inner conductor are equal, and the high coupling coefficient Since the mutual magnetic coupling becomes high, the impedance value in the normal mode is reduced. In addition, since the effective length of the inner conductors arranged in parallel to each other and magnetically coupled can be sufficiently secured, the common mode impedance value is increased. Therefore, the impedance is optimized in both the normal mode and the common mode, and further, good high frequency characteristics can be obtained, so that the multilayer common mode choke coil with further improved noise removal characteristics can be obtained.
[0036]
In addition, according to the method for manufacturing a laminated common mode choke coil according to the present invention, a high capacity can be obtained with a low capacitance as a capacitor, a line length of an inner conductor to be magnetically coupled is equally high, and This makes it easy to manufacture a laminated common mode choke coil capable of sufficiently securing the effective length of the inner conductor to be magnetically coupled, and to provide a product with high noise removal characteristics, low cost and high reliability.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is an exploded perspective view showing an embodiment of a laminated common mode choke coil according to the present invention.
FIG. 2 is a perspective view showing a completed state of FIG. 1;
FIG. 3 is a diagram showing a state of magnetic coupling in the stacked common mode choke coil of FIG. 1;
[Explanation of symbols]
10 Multilayer type common mode choke coil (common mode choke coil)
11, 12, 13, 14
22
27, 28 Coil forming
Claims (2)
前記シート状材料層は、シート状材料に引出電極及び引出電極接続導体が形成されて両端部に積層される引出電極形成層と、隣接して積層する2枚のシート状材料に内外を入れ替えるとともに積層方向で重ならないよう一周分の内部導体が分割形成された1または複数のコイル形成ユニット層とを備え、前記各層の導体を電気的に接続してバイファイラ型ソレノイド巻きに構成した積層型コモンモードチョークコイル。A sheet-like material layer in which a plurality of sheet-like materials made of a non-magnetic insulating material or a magnetic material are laminated to form first and second inner conductors, and a magnetic material layer disposed on both upper and lower surfaces of the sheet-like material layer A laminated common mode choke coil provided with an external electrode connected to the first and second internal conductors in a laminate comprising:
The sheet-like material layer has an extraction electrode and an extraction electrode connecting conductor formed on the sheet-like material and is laminated on both ends, and the two sheet-like materials laminated adjacently are exchanged inside and outside. A laminated common mode comprising one or a plurality of coil forming unit layers in which inner conductors for one round are divided and formed so as not to overlap in the laminating direction, and the conductors of each layer are electrically connected to form a bifilar type solenoid winding choke coil.
前記シート状材料層が、シート状材料に引出電極及び引出電極接続導体を形成して両端部に積層される引出電極形成層の間に、隣接して積層される2枚のシート状材料に内外を入れ替えるとともに積層方向で重ならないよう一周分の内部導体を分割形成したコイル形成ユニット層を1または複数積層した構成とされ、前記各層の導体を電気的に接続して、前記第1及び第2の内部導体をバイファイラ型ソレノイド巻きに形成する積層型コモンモードチョークコイルの製造方法。A sheet-like material layer in which a plurality of sheet-like materials made of a non-magnetic insulating material or a magnetic material are laminated to form first and second inner conductors, and a magnetic material layer disposed on both upper and lower surfaces of the sheet-like material layer A multilayer common mode choke coil manufacturing method in which an external electrode connected to the first and second internal conductors is provided in a multilayer body comprising:
The sheet-like material layer forms an extraction electrode and an extraction electrode connecting conductor on the sheet-like material, and is formed between two sheet-like materials laminated adjacently between the extraction electrode formation layers laminated on both ends. The coil forming unit layer is formed by laminating one or more inner conductors so as not to overlap in the stacking direction, and the first and second conductors are electrically connected to each other by electrically connecting the conductors of the respective layers. A method for manufacturing a laminated common mode choke coil in which a bifilar type solenoid winding is formed.
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