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JP2005010264A - 感光性平版印刷版の処理方法及び現像液の劣化低減方法 - Google Patents

感光性平版印刷版の処理方法及び現像液の劣化低減方法 Download PDF

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JP2005010264A
JP2005010264A JP2003171917A JP2003171917A JP2005010264A JP 2005010264 A JP2005010264 A JP 2005010264A JP 2003171917 A JP2003171917 A JP 2003171917A JP 2003171917 A JP2003171917 A JP 2003171917A JP 2005010264 A JP2005010264 A JP 2005010264A
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JP
Japan
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developer
developing
lithographic printing
printing plate
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JP2003171917A
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Toshitsugu Suzuki
利継 鈴木
Taro Konuma
太朗 小沼
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Konica Minolta Medical and Graphic Inc
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Konica Minolta Medical and Graphic Inc
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Abstract

【課題】現像液の現像安定性を保ち、且つ、補充液の使用量増大によるコストの上昇や廃液の増大等の問題を同時に解決し、また、非画像部のインキ汚れが改良され、さらにスラッジの発生を抑えた感光性平版印刷版の処理方法及び現像液の劣化低減方法を提供すること。
【解決手段】実質的に珪酸塩を含有しない水系アルカリ現像液廃液に強制的に接触させた空気を実質的に珪酸塩を含有しない水系アルカリ現像液を収納する現像処理漕中の空気と置換することにより該現像液の劣化を低減する方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、感光性平版印刷版の処理方法及び現像液の劣化低減方法に関し、さらに詳しくは、劣化の低減された実質的に珪酸塩を含有しない水系アルカリ現像液を用いた感光性平版印刷版の処理方法及び実質的に珪酸塩を含有しない水系アルカリ現像液の劣化低減方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、感光性平版印刷版の現像処理にはアルカリ金属珪酸塩の現像液が広く用いられている。従来の感光性平版印刷版の感光層には、オルソキノンジアジド化合物がノボラック樹脂と併用されており、現像液としてはノボラック樹脂の溶解が可能なアルカリ性の珪酸塩水溶液が用いられている。この現像液は感光層のノボラック樹脂を溶解することが可能であるpHが13程度の為、pH13の付近で良好なpH緩衝性を有している珪酸塩を現像液に含有させ、現像液の安定性を付与してきた。これらの現像液は、特開平8−160633号公報の第15頁等に記載されている。
【0003】
珪酸塩を含有する現像液、好ましくは珪酸塩をSiO換算で0.8〜8質量%含有する現像液の空気中の炭酸ガスによる疲労劣化を低減する技術として、画像露光済の感光性平版印刷版を自動的に搬送し、現像処理する感光性平版印刷版自動現像機において、前記自動現像機内または前記自動現像機外近傍の空気を脱炭酸ガス処理する脱炭酸ガス処理手段を設けたことを特徴とする感光性平版印刷版自動現像機が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、珪酸塩を含む現像液は、現像による感光層成分の溶解や空気中の炭酸ガスの混入によりpHが低下すると、珪酸が固化しスラッジとなり現像した版に付着し版を汚したり、現像液槽中に堆積し現像液槽の清掃の負担が増大する等の問題がある。また、特許文献1には、現像液として実質的に珪酸塩を含有しない水系アルカリ現像液の使用については何ら言及していない。
【0005】
一方、フォトポリマー型CTPプレートに代表される付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物を含有する光重合系の感光層は、一般にノボラック樹脂を使わない為、現像液のpHが12.5未満での設計が可能であり、珪酸塩をpH緩衝液として使用する必要がないことから、珪酸塩を含有しない現像液の設計が可能である。このような現像液は特開2002−251019号公報の34頁に記載されている。しかしながらこの良好なpH緩衝剤である珪酸塩を含まないことから、現像液のpHの安定性が悪く、空気中の炭酸ガスによる現像液pHの低下により現像性劣化が生じ、印刷時に印刷部の非画像部の汚れが発生する等の問題が生じていた。このため、現像液の放置時間に応じてpHの高い現像補充液を補充するいわゆる経時補充などで対応されてきたが、この場合、補充液の使用量増大によるコストの上昇や廃液の増大等の問題が生じている。
【0006】
【特許文献1】
特開平8−44081号公報(特許請求の範囲、段落番号0032)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、上記問題を解決することであり、すなわち、現像液の現像安定性を保ち、且つ、補充液の使用量増大によるコストの上昇や廃液の増大等の問題を同時に解決し、また、非画像部のインキ汚れが改良され、さらにスラッジの発生を抑えた感光性平版印刷版の処理方法及び現像液の劣化低減方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、以下の手段により達成することができた。
【0009】
(1) 付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物、光重合開始剤及び高分子結合材を含有する光重合型感光層を支持体上に設けた光重合型感光性平版印刷版を、露光後、現像液を収納する現像処理漕及び該現像処理漕から排出される現像液廃液を収納する現像処理廃液漕を有する自動現像機で現像処理する感光性平版印刷版の処理方法において、前記現像液は実質的に珪酸塩を含有しない水系アルカリ現像液であり、且つ、前記自動現像機内に存在する空気を前記現像処理廃液漕に収納された現像液廃液に強制的に接触させながら現像処理することを特徴とする感光性平版印刷版の処理方法。
【0010】
(2) 付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物、光重合開始剤及び高分子結合材を含有する光重合型感光層を支持体上に設けた光重合型感光性平版印刷版を、露光後、現像液を収納する現像処理漕及び該現像処理漕から排出される現像液廃液を収納する現像処理廃液漕を有する自動現像機で現像処理する感光性平版印刷版の処理方法において、前記現像液は実質的に珪酸塩を含有しない水系アルカリ現像液であり、且つ、前記現像処理漕内に存在する空気を前記現像処理廃液漕に収納された現像液廃液に強制的に接触させ、次いで該接触した空気を該現像処理漕内に循環させながら現像処理することを特徴とする感光性平版印刷版の処理方法。
【0011】
(3) 付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物、光重合開始剤及び高分子結合材を含有する光重合型感光層を支持体上に設けた光重合型感光性平版印刷版を、露光後、現像液を収納する現像処理漕及び該現像処理漕から排出される現像液廃液を収納する現像処理廃液漕を有する自動現像機で現像処理する感光性平版印刷版の処理方法において、前記現像液は実質的に珪酸塩を含有しない水系アルカリ現像液であり、且つ、前記現像液廃液を用いて脱炭酸ガス化した空気を前記現像処理漕内に送り込みながら現像処理することを特徴とする感光性平版印刷版の処理方法。
【0012】
(4) 付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物、光重合開始剤及び高分子結合材を含有する光重合型感光層を支持体上に設けた光重合型感光性平版印刷版を、露光後、現像液を収納する現像処理漕及び該現像処理漕から排出される現像液廃液を収納する現像処理廃液漕を有する自動現像機で現像処理する感光性平版印刷版の処理方法において、前記現像液は実質的に珪酸塩を含有しない水系アルカリ現像液であり、且つ、前記現像液廃液を用いて脱炭酸ガス化した空気を前記自動現像機内に送り込みながら現像処理することを特徴とする感光性平版印刷版の処理方法。
【0013】
(5) 前記現像液が、さらにポリオキシアルキレン基を有する界面活性剤を含むことを特徴とする(1)乃至(4)のいずれか1項記載の感光性平版印刷版の処理方法。
【0014】
(6) 前記ポリオキシアルキレン基を有する界面活性剤が、疎水基全体に占める飽和アルキル部分の割合が分子量で0〜25%である非イオン界面活性剤であることを特徴とする(5)記載の感光性平版印刷版の処理方法。
【0015】
(7) 前記ポリオキシアルキレン基を有する界面活性剤が、疎水基全体に占める飽和アルキル部分の割合が分子量で0〜25%であるアニオン界面活性剤であることを特徴とする(5)記載の感光性平版印刷版の処理方法。
【0016】
(8) 付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物、光重合開始剤及び高分子結合材を含有する光重合型感光層を支持体上に設けた光重合型感光性平版印刷版を、露光後、現像液を収納する現像処理漕及び該現像処理漕から排出される現像液廃液を収納する現像処理廃液漕を有する自動現像機で現像処理するための現像液の劣化低減方法において、前記現像液は実質的に珪酸塩を含有しない水系アルカリ現像液であり、且つ、前記自動現像機内に存在する空気を前記現像処理廃液漕に収納された現像液廃液に強制的に接触させることにより該自動現像機内に存在する空気中の炭酸ガスを減少させることを特徴とする現像液の劣化低減方法。
【0017】
(9) 付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物、光重合開始剤及び高分子結合材を含有する光重合型感光層を支持体上に設けた光重合型感光性平版印刷版を、露光後、現像液を収納する現像処理漕及び該現像処理漕から排出される現像液廃液を収納する現像処理廃液漕を有する自動現像機で現像処理するための現像液の劣化低減方法において、前記現像液は実質的に珪酸塩を含有しない水系アルカリ現像液であり、且つ、前記現像処理漕内に存在する空気を前記現像処理廃液漕に収納された現像液廃液に強制的に接触させ、次いで該接触した空気を該現像処理漕内に循環させることにより該現像処理漕内に存在する空気中の炭酸ガスを減少させることを特徴とする現像液の劣化低減方法。
【0018】
(10) 付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物、光重合開始剤及び高分子結合材を含有する光重合型感光層を支持体上に設けた光重合型感光性平版印刷版を、露光後、現像液を収納する現像処理漕及び該現像処理漕から排出される現像液廃液を収納する現像処理廃液漕を有する自動現像機で現像処理するための現像液の劣化低減方法において、前記現像液は実質的に珪酸塩を含有しない水系アルカリ現像液であり、且つ、前記現像液廃液を用いて脱炭酸ガス化した空気を前記現像処理漕内に送り込むことを特徴とする現像液の劣化低減方法。
【0019】
(11) 付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物、光重合開始剤及び高分子結合材を含有する光重合型感光層を支持体上に設けた光重合型感光性平版印刷版を、露光後、現像液を収納する現像処理漕及び該現像処理漕から排出される現像液廃液を収納する現像処理廃液漕を有する自動現像機で現像処理するための現像液の劣化低減方法において、前記現像液は実質的に珪酸塩を含有しない水系アルカリ現像液であり、且つ、前記現像液廃液を用いて脱炭酸ガス化した空気を前記自動現像機内に送り込むことを特徴とする現像液の劣化低減方法。
【0020】
(12) 前記現像液が、ポリオキシアルキレン基を有する界面活性剤を含むことを特徴とする(8)乃至(11)のいずれか1項記載の現像液の劣化低減方法。
【0021】
(13) 前記ポリオキシアルキレン基を有する界面活性剤が、疎水基全体に占める飽和アルキル部分の割合が分子量で0〜25%である非イオン界面活性剤であることを特徴とする(12)記載の現像液の劣化低減方法。
【0022】
(14) 前記ポリオキシアルキレン基を有する界面活性剤が、疎水基全体に占める飽和アルキル部分の割合が分子量で0〜25%であるアニオン界面活性剤であることを特徴とする(12)記載の現像液の劣化低減方法。
【0023】
(15) 実質的に珪酸塩を含有しない水系アルカリ現像液廃液に強制的に接触させた空気を実質的に珪酸塩を含有しない水系アルカリ現像液を収納する現像処理漕中の空気と置換することにより該現像液の劣化を低減する方法。
【0024】
本発明の大きな特徴は、現像液は実質的に珪酸塩を含有しない水系アルカリ現像液であること、実質的に珪酸塩を含有しない水系アルカリ現像液を収容する現像処理漕から排出される現像液廃液に強制的に空気を接触させること、空気中の炭酸ガスを現像液廃液に吸収させ実質的に珪酸塩を含有しない水系アルカリ現像液の炭酸ガスによる劣化を減少させること、実質的に珪酸塩を含有しない水系アルカリ現像液廃液に空気を強制的に接触させ脱炭酸ガス化した空気を現像液漕の空気と置換すること等である。このような技術を採用することにより、現像液の現像安定性を保ち、且つ、補充液の使用量増大によるコストの上昇や廃液の増大等の問題を同時に解決し、非画像部のインキ汚れが改良され、さらにスラッジの発生を抑えた感光性平版印刷版の処理方法及び現像液の劣化低減方法を提供することができることを見出したのである。
【0025】
本発明において、現像液が「実質的に珪酸塩を含有しない」とは、現像液に含まれる珪酸塩の濃度が、SiO質量換算で0.3%を超えない濃度であることを意味する。
【0026】
また、本発明において、現像液廃液に「強制的に空気を接触させる」とは、静的状態で現像液廃液と空気を接触させるのではなく、詳細は後記するが、物理的手段により空気を現像液廃液中に導き現像液廃液と接触させることを意味する。
【0027】
現像液の劣化とは、アルカリ性である現像液が空気中の炭酸ガスを吸収してpHが低下し、現像能力を失うことであり、使用する感光性平版印刷版の能力と現像液の組成によるが、一般にpH値で0.5以上の低下で現像性に悪影響が生じる可能性が高く、印刷時の非画像部に汚れ等が生じる可能性がある。また、pH値で1.0以上の低下では、印刷時の非画像部の汚れに加えてさらに、現像液にスラッジ等の不溶解物が生じる可能性がある。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成要件について順次説明する。
【0029】
本発明に係る光重合型感光層の主要な構成要素は、付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物及び光重合開始剤並びに高分子結合材である。
【0030】
〈付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物〉
付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物としては、一般的なラジカル重合性のモノマー類、紫外線硬化樹脂に一般的に用いられる分子内に付加重合可能なエチレン性二重結合を複数有する多官能モノマー類や、多官能オリゴマー類を用いることができる。好ましいものとして、例えば、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、グリセロールアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ノニルフェノキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルオキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルオキシヘキサノリドアクリレート、1,3−ジオキサンアルコールのε−カプロラクトン付加物のアクリレート、1,3−ジオキソランアクリレート等の単官能アクリル酸エステル類、或いはこれらのアクリレートをメタクリレート、イタコネート、クロトネート、マレエートに代えたメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸エステル、例えば、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングルコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ハイドロキノンジアクリレート、レゾルシンジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのジアクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートのジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのε−カプロラクトン付加物のジアクリレート、2−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−5−ヒドロキシメチル−5−エチル−1,3−ジオキサンジアクリレート、トリシクロデカンジメチロールアクリレート、トリシクロデカンジメチロールアクリレートのε−カプロラクトン付加物、1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテルのジアクリレート等の2官能アクリル酸エステル類、或いはこれらのアクリレートをメタクリレート、イタコネート、クロトネート、マレエートに代えたメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸エステル、例えばトリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートのε−カプロラクトン付加物、ピロガロールトリアクリレート、プロピオン酸・ジペンタエリスリトールトリアクリレート、プロピオン酸・ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ヒドロキシピバリルアルデヒド変性ジメチロールプロパントリアクリレート等の多官能アクリル酸エステル酸、或いはこれらのアクリレートをメタクリレート、イタコネート、クロトネート、マレエートに代えたメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸エステル等を挙げることができる。
【0031】
また、プレポリマーも上記同様に使用することができる。プレポリマーとしては、後述する様な化合物等が挙げることができ、また、適当な分子量のオリゴマーにアクリル酸、又はメタクリル酸を導入し、光重合性を付与したプレポリマーも好適に使用できる。これらプレポリマーは、1種又は2種以上を併用してもよいし、上述の単量体及び/又はオリゴマーと混合して用いてもよい。
【0032】
プレポリマーとしては、例えばアジピン酸、トリメリット酸、マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、ハイミック酸、マロン酸、こはく酸、グルタール酸、イタコン酸、ピロメリット酸、フマル酸、グルタール酸、ピメリン酸、セバシン酸、ドデカン酸、テトラヒドロフタル酸等の多塩基酸と、エチレングリコール、プロピレングルコール、ジエチレングリコール、プロピレンオキサイド、1,4−ブタンジオール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、1,6−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール等の多価のアルコールの結合で得られるポリエステルに(メタ)アクリル酸を導入したポリエステルアクリレート類、例えば、ビスフェノールA・エピクロルヒドリン・(メタ)アクリル酸、フェノールノボラック・エピクロルヒドリン・(メタ)アクリル酸のようにエポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を導入したエポキシアクリレート類、例えば、エチレングリコール・アジピン酸・トリレンジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレート、ポリエチレングリコール・トリレンジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルフタリルメタクリレート・キシレンジイソシアネート、1,2−ポリブタジエングリコール・トリレンジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレート、トリメチロールプロパン・プロピレングリコール・トリレンジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレートのように、ウレタン樹脂に(メタ)アクリル酸を導入したウレタンアクリレート、例えば、ポリシロキサンアクリレート、ポリシロキサン・ジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレート等のシリコーン樹脂アクリレート類、その他、油変性アルキッド樹脂に(メタ)アクリロイル基を導入したアルキッド変性アクリレート類、スピラン樹脂アクリレート類等のプレポリマーが挙げられる。
【0033】
また、ホスファゼンモノマー、トリエチレングリコール、イソシアヌール酸EO(エチレンオキシド)変性ジアクリレート、イソシアヌール酸EO変性トリアクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート、トリメチロールプロパンアクリル酸安息香酸エステル、アルキレングリコールタイプアクリル酸変性、ウレタン変性アクリレート等の単量体及び該単量体から形成される構成単位を有する付加重合性のオリゴマー及びプレポリマーを使用することができる。
【0034】
更に、併用可能なエチレン性単量体として、少なくとも一つの(メタ)アクリロイル基を含有するリン酸エステル化合物が挙げられる。該化合物は、リン酸の水酸基の少なくとも一部がエステル化された化合物であり、しかも、(メタ)アクリロイル基を有する限り特に限定はされない。
【0035】
その他に、特開昭58−212994号公報、同61−6649号公報、同62−46688号公報、同62−48589号公報、同62−173295号公報、同62−187092号公報、同63−67189号公報、特開平1−244891号公報等に記載の化合物などを挙げることができ、更に「11290の化学商品」化学工業日報社、p.286〜p.294に記載の化合物、「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」高分子刊行会、p.11〜65に記載の化合物なども本発明においては好適に用いることができる。これらの中で、分子内に2以上のアクリル基又はメタクリル基を有する化合物が本発明においては好ましく、更に分子量が10,000以下、より好ましくは5,000以下のものが好ましい。
【0036】
また、分子内に三級アミノ基を含有する付加重合可能なエチレン性二重結合含有単量体を使用することが好ましい。構造上の限定は特に無いが、水酸基を有する三級アミン化合物を、グリシジルメタクリレート、メタクリル酸クロリド、アクリル酸クロリド等で変性したものが好ましく用いられる。具体的には、特開平1−165613号公報、特開平1−203413号公報、特開平1−197213号公報記載の集合可能な化合物等が好ましく用いられる。
【0037】
さらに、分子内に三級アミノ基を含有する多価アルコール、ジイソシアネート化合物、および分子内にヒドロキシル基と付加重合可能なエチレン性二重結合を含有する化合物の反応生成物を使用することが好ましい。
【0038】
ここで言う、分子内に三級アミノ基を含有する多価アルコールとしては、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノ−ルアミン、N−n−ブチルジエタノールアミン、N−tert.−ブチルジエタノ−ルアミン、N,N−ジ(ヒドロキシエチル)アニリン、N,N,N’,N’−テトラ−2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、p−トリルジエタノ−ルアミン、N,N,N’,N’−テトラ−2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)アニリン、アリルジエタノールアミン、3−(ジメチルアミノ)−1,2−プロパンジオール、3−ジエチルアミノ−1,2−プロパンジオ−ル、N,N−ジ(n−プロピル)アミノ−2,3−プロパンジオール、N,N−ジ(iso−プロピル)アミノ−2,3−プロパンジオール、3−(N−メチル−N−ベンジルアミノ)−1,2−プロパンジオ−ル等が挙げられるが、これに限定されない。
【0039】
ジイソシアネート化合物としては、ブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサン−1,6−ジイソシアネート、2−メチルペンタン−1,5−ジイソシアネート、オクタン−1,8−ジイソシアネート、1,3−ジイソシアナートメチル−シクロヘキサノン、2,2,4−トリメチルヘキサン−1,6−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,2−フェニレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、トリレン−2,4−ジイソシアネート、トリレン−2,5−ジイソシアネート、トリレン−2,6−ジイソシアネート、1,3−ジ(イソシアナートメチル)ベンゼン、1,3−ビス(1−イソシアナート−1−メチルエチル)ベンゼン等が挙げられるが、これに限定されない。
【0040】
分子内にヒドロキシル基と付加重合可能なエチレン性二重結合を含有する化合物としては、MH−1からMH−13等の化合物等が挙げられるが、これに限定されない。
【0041】
【化1】
Figure 2005010264
【0042】
好ましくは、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピレン−1,3−ジメタクリレート、2−ヒドロキシプロピレン−1−メタクリレート−3−アクリレート等が挙げられる。
【0043】
これらの反応は、通常のジオール化合物、ジイソシアネート化合物、ヒドロキシル基含有アクリレート化合物の反応で、ウレタンアクリレートを合成する方法と同様に行うことが出来る。
【0044】
また、これらの分子内に三級アミノ基を含有する多価アルコール、ジイソシアネート化合物、および分子内にヒドロキシル基と付加重合可能なエチレン性二重結合を含有する化合物の反応生成物において具体例を以下に示す。
【0045】
M−1:トリエタノールアミン(1モル)、ヘキサン−1,6−ジイソシアネート(3モル)、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(3モル)の反応生成物M−2:トリエタノールアミン(1モル)、イソホロンジイソシアネート(3モル)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(3モル)の反応生成物
M−3:N−n−ブチルジエタノ−ルアミン(1モル)、1,3−ビス(1−イソシアナート−1−メチルエチル)ベンゼン(2モル)、2−ヒドロキシプロピレン−1−メタクリレート−3−アクリレート(2モル)の反応生成物
M−4:N−n−ブチルジエタノ−ルアミン(1モル)、1,3−ジ(イソシアナートメチル)ベンゼン(2モル)、2−ヒドロキシプロピレン−1−メタクリレート−3−アクリレート(2モル)の反応生成物
M−5:N−メチルジエタノールアミン(1モル)、トリレン−2,4−ジイソシアネート(2モル)、2−ヒドロキシプロピレン−1,3−ジメタクリレート(2モル)の反応生成物
この他にも、特開平1−105238号公報、特開平2−127404号公報記載のアクリレートまたはアルキルアクリレートが用いることが出来る。
【0046】
〈光重合開始剤〉
本発明においては、好ましい光重合開始剤として下記一般式(1)又は(2)で表される構造の臭素化合物、チタノセン化合物、モノアルキルトリアリールボレート化合物及び鉄アレーン錯体化合物等が挙げられる。
【0047】
一般式(1) R−CBr−(C=O)−R
式中、Rは、水素原子、臭素原子、アルキル基、アリール基、アシル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、シアノ基を表す。Rは、一価の置換基を表す。RとRが結合して環を形成してもかまわない。
【0048】
一般式(2) CBr−(C=O)−X−R
は、一価の置換基を表す。Xは、−O−、−NR−を表す。Rは、水素原子、アルキル基を表す。RとRが結合して環を形成してもかまわない。
【0049】
チタノセン化合物としては、特開昭63−41483号公報、特開平2−291号公報に記載される化合物等が挙げられる。好ましい具体例としては、ビス(シクロペンタジエニル)−Ti−ジ−クロライド、ビス(シクロペンタジエニル)−Ti−ビス−フェニル、ビス(シクロペンタジエニル)−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル、ビス(シクロペンタジエニル)−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル、ビス(シクロペンタジエニル)−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニル、ビス(シクロペンタジエニル)−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニル、ビス(シクロペンタジエニル)−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフェニル、ビス(メチルシクロペンタジエニル)−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル、ビス(メチルシクロペンタジエニル)−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル、ビス(メチルシクロペンタジエニル)−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフェニル(IRUGACURE727L:チバスペシャリティーケミカルズ社製)、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(ピリ−1−イル)フェニル)チタニウム(IRUGACURE784:チバスペシャリティーケミカルズ社製)、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,4,6−トリフルオロ−3−(ピリ−1−イル)フェニル)チタニウムビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,4,6−トリフルオロ−3−(2−5−ジメチルピリ−1−イル)フェニル)チタニウム等が挙げられる。
【0050】
モノアルキルトリアリールボレート化合物としては、特開昭62−150242号公報、特開昭62−143044号公報に記載される化合物等挙げられる。好ましい具体例としては、テトラ−n−ブチルアンモニウム n−ブチルートリナフタレン−1−イル−ボレート、テトラ−n−ブチルアンモニウム n−ブチルートリフェニル−ボレート、テトラ−n−ブチルアンモニウム n−ブチルートリ−(4−tert−ブチルフェニル)−ボレート、テトラ−n−ブチルアンモニウム n−ヘキシルートリ−(3−クロロ−4−メチルフェニル)−ボレート、テトラ−n−ブチルアンモニウム n−ヘキシルートリ−(3−フルオロフェニル)−ボレート等が挙げられる。
【0051】
鉄アレーン錯体化合物としては、特開昭59−219307号公報に記載される化合物等挙げられる。好ましい具体例としては、η−ベンゼン−(η−シクロペンタジエニル)鉄 ヘキサフルオロホスフェート、η−クメン−(η−シクロペンタジエニル)鉄 ヘキサフルオロホスフェート、η−フルオレン−(η−シクロペンタジエニル)鉄 ヘキサフルオロホスフェート、η−ナフタレン−(η−シクロペンタジエニル)鉄 ヘキサフルオロホスフェート、η−キシレン−(η−シクロペンタジエニル)鉄 ヘキサフルオロホスフェート、η−ベンゼン−(η−シクロペンタジエニル)鉄 テトラフルオロボレート等が挙げられる。
【0052】
その他に任意の光重合開始剤の併用が可能である。例えばJ.コーサー(J.Kosar)著「ライト・センシテイブ・システムズ」第5章に記載されるようなカルボニル化合物、有機硫黄化合物、過硫化物、レドックス系化合物、アゾ並びにジアゾ化合物、ハロゲン化合物、光還元性色素などが挙げられる。更に具体的な化合物は英国特許1,459,563号明細書に開示されている。
【0053】
即ち、併用が可能な光重合開始剤としては、次のようなものを使用することができる。
【0054】
ベンゾインメチルエーテル、ベンゾイン−i−プロピルエーテル、α,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノン等のベンゾイン誘導体;ベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4′−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体;2−クロロチオキサントン、2−i−プロピルチオキサントン等のチオキサントン誘導体;2−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン等のアントラキノン誘導体;N−メチルアクリドン、N−ブチルアクリドン等のアクリドン誘導体;α,α−ジエトキシアセトフェノン、ベンジル、フルオレノン、キサントン、ウラニル化合物の他、特公昭59−1281号公報、同61−9621号公報ならびに特開昭60−60104号記載のトリアジン誘導体;特開昭59−1504号、同61−243807号公報記載の有機過酸化物;特公昭43−23684号公報、同44−6413号公報、同44−6413号公報、同47−1604号公報ならびに米国特許3,567,453号明細書記載のジアゾニウム化合物;米国特許2,848,328号明細書、同2,852,379号明細書ならびに同2,940,853号明細書記載の有機アジド化合物;特公昭36−22062号公報、同37−13109号公報、同38−18015号公報ならびに同45−9610号公報記載のo−キノンジアジド類;特公昭55−39162号公報、特開昭59−14023号公報ならびに「マクロモレキュルス(Macromolecules)」10巻,1307頁(1977年)記載の各種オニウム化合物;特開昭59−142205号公報記載のアゾ化合物;特開平1−54440号公報、ヨーロッパ特許109,851号明細書、同126,712号明細書ならびに「ジャーナル・オブ・イメージング・サイエンス(J.Imag.Sci.)」30巻,174頁(1986年)記載の金属アレン錯体;特開平5−213861号公報及び同5−255347号公報記載の(オキソ)スルホニウム有機硼素錯体;「コーディネーション・ケミストリー・レビュー(Coordination Chemistry Review)」84巻,85〜277頁(1988年)ならびに特開平2−182701号公報記載のルテニウム等の遷移金属を含有する遷移金属錯体;特開平3−209477号公報記載の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体;四臭化炭素、特開昭59−107344号公報記載の有機ハロゲン化合物等。
【0055】
光源にレーザー光を用いる場合、好ましくは感光層に増感色素を添加する。光源の波長付近に吸収極大波長を有する色素を用いることが好ましい。
【0056】
可視光から近赤外まで波長増感させる化合物としては、例えばシアニン、フタロシアニン、メロシアニン、ポルフィリン、スピロ化合物、フェロセン、フルオレン、フルギド、イミダゾール、ペリレン、フェナジン、フェノチアジン、ポリエン、アゾ化合物、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、ポリメチンアクリジン、クマリン、クマリン誘導体、ケトクマリン、キナクリドン、インジゴ、スチリル、ピリリウム化合物、ピロメテン化合物、ピラゾロトリアゾール化合物、ベンゾチアゾール化合物、バルビツール酸誘導体、チオバルビツール酸誘導体等、ケトアルコールボレート錯体が挙げられ、更に欧州特許568,993号明細書、米国特許4,508,811号明細書、同5,227,227号明細書、特開2001−125255号公報、特開平11−271969号公報等に記載の化合物も用いられる。
【0057】
上記の光重合開始剤と増感色素の組合せの具体例としては、特開2001−125255号公報、特開平11−271969号公報に記載のある組合せが挙げられる。
【0058】
これら重合開始剤の配合量は特に限定されないが、好ましくは、付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物100質量部に対して0.1〜20質量部である。光重合開始剤と増感色素の配合比率は、モル比で1:100〜100:1の範囲が好ましい。
【0059】
〈高分子結合材〉
高分子結合材としては、アクリル系重合体、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、シェラック、その他の天然樹脂等が使用出来る。また、これらを2種以上併用してもよい。
【0060】
好ましくはアクリル系のモノマーの共重合によって得られるビニル系共重合である。高分子結合材の共重合組成として、(a)カルボキシル基含有モノマー、(b)メタクリル酸アルキルエステル、またはアクリル酸アルキルエステルの共重合体であることが好ましい。
【0061】
カルボキシル基含有モノマーの具体例としては、α,β−不飽和カルボン酸類、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸等が挙げられる。その他、フタル酸と2−ヒドロキシメタクリレートのハーフエステル等のカルボン酸も好ましい。メタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘプチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ウンデシル、メタクリル酸ドデシル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ウンデシル、アクリル酸ドデシル等の無置換アルキルエステルの他、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル等の環状アルキルエステルや、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸−2−クロロエチル、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、アクリル酸ベンジル、アクリル酸−2−クロロエチル、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、グリシジルアクリレート等の置換アルキルエステルも挙げられる。
【0062】
さらに、本発明の高分子結合材は、他の共重合モノマーとして、下記1)〜14)に記載のモノマー等を用いる事が出来る。
【0063】
1)芳香族水酸基を有するモノマー、例えばo−(又はp−,m−)ヒドロキシスチレン、o−(又はp−,m−)ヒドロキシフェニルアクリレート等。
【0064】
2)脂肪族水酸基を有するモノマー、例えば2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、5−ヒドロキシペンチルアクリレート、5−ヒドロキシペンチルメタクリレート、6−ヒドロキシヘキシルアクリレート、6−ヒドロキシヘキシルメタクリレート、N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)メタクリルアミド、ヒドロキシエチルビニルエーテル等。
【0065】
3)アミノスルホニル基を有するモノマー、例えばm−(又はp−)アミノスルホニルフェニルメタクリレート、m−(又はp−)アミノスルホニルフェニルアクリレート、N−(p−アミノスルホニルフェニル)メタクリルアミド、N−(p−アミノスルホニルフェニル)アクリルアミド等。
【0066】
4)スルホンアミド基を有するモノマー、例えばN−(p−トルエンスルホニル)アクリルアミド、N−(p−トルエンスルホニル)メタクリルアミド等。
【0067】
5)アクリルアミド又はメタクリルアミド類、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−ヘキシルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−(4−ニトロフェニル)アクリルアミド、N−エチル−N−フェニルアクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド等。
【0068】
6)弗化アルキル基を含有するモノマー、例えばトリフルオロエチルアクリレート、トリフルオロエチルメタクリレート、テトラフルオロプロピルメタクリレート、ヘキサフルオロプロピルメタクリレート、オクタフルオロペンチルアクリレート、オクタフルオロペンチルメタクリレート、ヘプタデカフルオロデシルメタクリレート、N−ブチル−N−(2−アクリロキシエチル)ヘプタデカフルオロオクチルスルホンアミド等。
【0069】
7)ビニルエーテル類、例えば、エチルビニルエーテル、2−クロロエチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等。
【0070】
8)ビニルエステル類、例えばビニルアセテート、ビニルクロロアセテート、ビニルブチレート、安息香酸ビニル等。
【0071】
9)スチレン類、例えばスチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン等。
【0072】
10)ビニルケトン類、例えばメチルビニルケトン、エチルビニルケトン、プロピルビニルケトン、フェニルビニルケトン等。
【0073】
11)オレフィン類、例えばエチレン、プロピレン、i−ブチレン、ブタジエン、イソプレン等。
【0074】
12)N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、4−ビニルピリジン等。
【0075】
13)シアノ基を有するモノマー、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、2−ペンテンニトリル、2−メチル−3−ブテンニトリル、2−シアノエチルアクリレート、o−(又はm−,p−)シアノスチレン等。
【0076】
14)アミノ基を有するモノマー、例えばN,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、ポリブタジエンウレタンアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N−i−プロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド等。
【0077】
これらのモノマーと共重合し得る他のモノマーを共重合してもよい。さらに、上記ビニル系共重合体の分子内に存在するカルボキシル基に、分子内に(メタ)アクリロイル基とエポキシ基を有する化合物を付加反応させる事によって得られる、不飽和結合含有ビニル系共重合体も高分子結合材として好ましい。分子内に不飽和結合とエポキシ基を共に含有する化合物としては、具体的にはグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、特開平11−271969号公報に記載のあるエポキシ基含有不飽和化合物等が挙げられる。
【0078】
これらの共重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定された重量平均分子量が1〜20万であるものが好ましいが、この範囲に限定されるものではない。
【0079】
光重合型感光層における高分子結合材の含有量は、10〜90質量%の範囲が好ましく、15〜70質量%の範囲が更に好ましく、20〜50質量%の範囲で使用することが感度の面から特に好ましい。
【0080】
高分子結合材の酸価については10〜150の範囲で使用するのが好ましく、30〜120の範囲がより好ましく、50〜90の範囲で使用することが、光重合型感光層全体の極性のバランスをとる観点から特に好ましい。これにより光重合型感光層塗布液に顔料を含有させる場合、顔料の凝集を防ぐことができる。
【0081】
〈支持体〉
支持体としては、感光性平版印刷版賭して用いることのできる任意の支持体を用いることができるが、本発明においてはアルミニウム板が好ましい。
【0082】
アルミニウム支持体は、純アルミニウムを用いたアルミニウム板材料又はアルミニウム合金を用いたアルミニウム支持体材料から得られる。アルミニウム合金を用いたアルミニウム板材料には、例えば珪素、銅、マンガン、マグネシウム、クロム、亜鉛、鉛、ビスマス、ニッケル、チタン、ナトリウム、鉄等の金属とアルミニウムとの合金が用いられ、アルミニウム板の表面は大きなうねりに小ピットが重畳された二重構造の粗面形状を有している。
【0083】
アルミニウム板は、通常その表面に存在する圧延・巻取り時に使用されたオイルを除去するためにアルカリ、酸、溶剤等で脱脂した後に使用される。脱脂処理としては特にアルカリ水溶液による脱脂が好ましい。また、塗布層との接着性を向上させるために、塗布面に易接着処理や下塗り層塗布を行うことが好ましい。例えば、シランカップリング剤等のカップリング剤を含有する液に浸漬するか、液を塗布した後、十分な乾燥を行う方法が挙げられる。陽極酸化処理も易接着処理の一種と考えられ、使用することができる。また、陽極酸化処理と上記浸漬または塗布処理を組合わせて使用することもできる。また、公知の方法で粗面化されたアルミニウム板を使用することもできる。
【0084】
〈感光性平版印刷版としてのその他の構成〉
本発明に係る感光性平版印刷版は酸素遮断層を設けることができる。酸素遮断層としては、酸素透過性の低い被膜を形成しうる水溶性ポリマーを使用する。具体的には、ポリビニルアルコール、及びポリビニルピロリドンを含有する。ポリビニルアルコールは酸素の透過を抑制する効果を有し、ポリビニルピロリドンは、隣接する感光層との接着性を確保する効果を有する。
【0085】
上記2種のポリマーの他に、必要に応じ、ポリサッカライド、ポリエチレングリコール、ゼラチン、膠、カゼイン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチル澱粉、アラビアゴム、サクローズオクタアセテート、アルギン酸アンモニウム、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアミン、ポリエチレンオキシド、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリル酸、水溶性ポリアミド等の水溶性ポリマーを併用することも出来る。
【0086】
本発明に係る感光性平版印刷版はオーバーコート層を設けることができる。光重合型感光層とオーバーコート層間の剥離力が35g/10mm以上であることが好ましく、より好ましくは50g/10mm以上、更に好ましくは75g/10mm以上である。剥離力は、オーバーコート層上に十分大きい粘着力を有する所定幅の粘着テープを貼り、それを感光性平版印刷版の平面に対して90度の角度でオーバーコート層と共に剥離する時の力を測定する。
【0087】
好ましいオーバーコート層の組成としては特開平10−10742号公報に記載されるものが挙げられる。オーバーコート層には、更に必要に応じて界面活性剤、マット剤等を含有することができる。上記オーバーコート層組成物を適当な溶剤に溶解し感光層上に塗布・乾燥してオーバーコート層を形成する。塗布溶剤の主成分は水、あるいはメタノール、エタノール、i−プロパノール等のアルコール類であることが特に好ましい。オーバーコート層の厚みは0.1〜5.0μmが好ましく、特に好ましくは0.5〜3.0μmである。
【0088】
本発明に係る現像液は、実質的に珪酸塩を含有しない水系アルカリ現像液である。本発明においては、好ましくは本発明に係る現像液はポリオキシアルキレン基を有する界面活性剤を含むことが好ましい。
【0089】
以下に、本発明に係る現像液について説明する。
〈アルカリ剤〉
本発明に係る現像液は珪酸塩を全く含まないことが好ましい。珪酸塩を含んだとしても、現像液に含まれる珪酸塩の濃度が、SiO質量換算で0.3%を超えない濃度である。
【0090】
本発明における現像液および補充液の主成分は、燐酸、炭酸、硼酸、フェノール類、糖類、オキシム類およびフッ素化アルコール類から選ばれる少なくとも一種の化合物、又はそのアルカリ金属塩又は有機カチオンの塩を含有することが好ましい。これらの化合物は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物と共存させることで、pHは8.5より高く13.0未満の範囲のアルカリ性水溶液にして使用することが好ましい。さらに好ましくはpH8.5〜12である。
【0091】
これらのうちフェノール類、糖類、オキシム類およびフッ素化アルコール類の如き弱酸性物質としては、解離指数(pKa)が10.0〜13.2のものが好ましい。このような酸としては、PergamonPress社発行のIONISATION CONSTANTS OF ORGANIC ACIDS INAQUEOUS SOLUTIONなどに記載されているものから選ばれ、具体的には、サリチル酸(pKa13.0)、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(同12.84)、カテコール(同12.6)、没食子酸(同12.4)、スルホサリチル酸(同11.7)、3,4−ジヒドロキシスルホン酸(同12.2)、3,4−ジヒドロキシ安息香酸(同11.94)、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン(同11.82)、ハイドロキノン(同11.56)、ピロガロール(同11.34)、o−クレゾール(同10.33)、レゾルソノール(同11.27)、p−クレゾール(同10.27)、m−クレゾール(同10.09)などのフェノール性水酸基を有するフェノール類が挙げられる。
【0092】
糖類としてはアルカリ中でも安定な非還元糖が好ましく用いられる。かかる非還元糖とは、遊離のアルデヒド基やケトン基を持たず、還元性を示さない糖類であり、還元基同士の結合したトレハロース型少糖類、糖類の還元基と非糖類が結合した配糖体および糖類に水素添加して還元した糖アルコールに分類され、何れも本発明に好適に用いられる。トレハロース型少糖類には、サッカロースやトレハロースがあり、配糖体としては、アルキル配糖体、フェノール配糖体、カラシ油配糖体などが挙げられる。また糖アルコールとしてはD,L−アラビット、リビット、キシリット、D,L−ソルビット、D,L−マンニット、D,L−イジット、D,L−タリット、ズリシットおよびアロズルシットなどが挙げられる。更に二糖類の水素添加で得られるマルチトールおよびオリゴ糖の水素添加で得られる還元体(還元水あめ)が好適に用いられる。更には、2−ブタノンオキシム(pKa12.45)、アセトキシム(同12.42)、1.2−シクロヘプタンジオンオキシム(同12.3)、2−ヒドロキシベンズアルデヒドオキシム(同12.10)、ジメチルグリオキシム(同11.9)、エタンジアミドジオキシム(同11.37)、アセトフェノンオキシム(同11.35)などのオキシム類、例えば2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール−1(同12.74)、トリフルオロエタノール(同12.37)、トリクロロエタノール(同12.24)などのフッ素化アルコール類が挙げられる。他にも、ピリジン−2−アルデヒド(同12.68)、ピリジン−4−アルデヒド(同12.05)などのアルデヒド類、アデノシン(同12.56)、イノシン(同12.5)、グアニン(同12.3)、シトシン(同12.2)、ヒポキサンチン(同12.1)、キサンチン(同11.9)などの核酸関連物質、他に、ジエチルアミノメチルスルホン酸(同12.32)、1−アミノ−3,3,3−トリフルオロ安息香酸(同12.29)、イソプロピリデンジスルホン酸(同12.10)、1,1−エチリデンジホスホン酸(同11.54)、1,1−エチリデンジスルホン酸1−ヒドロキシ(同11.52)、ベンズイミダゾール(同12.86)、チオベンズアミド(同12.8)、ピコリンチオアミド(同12.55)、バルビツル酸(同12.5)などの弱酸が挙げられる。これらの酸性物質は単独でも、また二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0093】
これらの酸性物質の中で好ましいのは、燐酸、炭酸、スルホサリチル酸、サリチル酸及び非還元糖の糖アルコールとサッカロースであり、特にD−ソルビット、サッカロース、還元水あめが適度なpH領域に緩衝作用があることと、低価格であることで好ましい。
【0094】
これらの酸性物質の現像液中に占める割合は0.1〜30質量%が好ましく、更に好ましくは、1〜20質量%である。この範囲以下では十分な緩衝作用が得られず、またこの範囲以上の濃度では、高濃縮化し難く、また原価アップの問題が出てくる。これらの酸に組み合わせる塩基としては、水酸化ナトリウム、同アンモニウム、同カリウムおよび同リチウムが好適に用いられる。これらのアルカリ剤は単独もしくは二種以上を組み合わせて用いられる。現像液のpHが8.5以下の場合、このような現像液で現像可能な感光性平版印刷版から得られる印刷版の画像部は物理的に脆弱であり、印刷中の摩耗が早く十分な耐刷力が得られない。また、その画像部は化学的にも弱く、印刷中にインキ洗浄溶剤やプレートクリーナー等で拭いた部分の画像がダメージを受け、その結果、十分な耐薬品性が得られない。pHが13.0を越える様な高pHの現像液は皮膚や粘膜へ付着した場合の刺激性が強く、取扱いには十分な注意を必要とし好ましくない。
【0095】
その他として、例えば、燐酸三カリウム、燐酸三ナトリウム、燐酸三リチウム、燐酸三アンモニウム、燐酸二カリウム、燐酸二ナトリウム、燐酸二リチウム、燐酸二アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素アンモニウム、硼酸カリウム、硼酸ナトリウム、硼酸リチウム、硼酸アンモニウム等があげられ、予め形成された塩の形で加えられてもよい。この場合も、水酸化ナトリウム、同アンモニウム、同カリウムおよび同リチウムをpH調整に加えることができる。また、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジンなどの有機アルカリ剤も組み合わせて用いられる。
【0096】
なお、本発明で言う現像液とは現像のスタート時に使用される未使用の液だけでなく、感光性平版印刷版の処理によって低下する現像液の活性度を補正するために補充液が補充され、活性度が保たれた液(いわゆるランニング液)を含む。補充液は従って、現像液より活性度(アルカリ濃度)が高い必要があるので補充液のpHは13.0を超えていてもよい。
【0097】
〈界面活性剤〉
本発明に係る現像液には、ポリオキシアルキレン基を有する界面活性剤を含むことが好ましい。この界面活性剤添加により、未露光部の感光層の溶解促進、露光部への現像液の浸透性の低減が可能となる。ポリオキシアルキレン基を有する界面活性剤としては、疎水基全体に占める飽和アルキル部分の割合が分子量で0〜25%である非イオン界面活性剤(界面活性剤A)、又は疎水基全体に占める飽和アルキル部分の割合が分子量で0〜25%であるアニオン界面活性剤(界面活性剤B)、であることが好ましい。
【0098】
(界面活性剤A)
界面活性剤Aは、疎水基全体に占める飽和アルキル部分の割合が分子量で0〜25%(すなわち、疎水基中の飽和アルキル部の比が0〜25%)であるポリオキシアルキレン基を有する非イオン性界面活性剤を指し、該疎水基全体の分子量の0〜5%であるものが好ましい。
【0099】
ここで、「疎水基全体に占める飽和アルキル部分の割合が分子量で0〜25%」とは、分子中に飽和アルキル部分を有する疎水基を、2以上有する場合には、その分子が有する全ての疎水基の元素について合計した分子量を分母として、また、その全ての疎水基が有する飽和アルキル部分の元素についての分子量を分子(飽和アルキル部)として計算した結果を%表示したものである。この場合において、幾つかの疎水基を分子が有する場合に、各疎水基が平均して「疎水基全体に占める飽和アルキル部分の割合が分子量で0〜25%である」ことが好ましいが、各疎水基が平均して上記の範囲にないものも有用である。
【0100】
また、疎水基の元素についての合計した分子量は、ある程度の大きさを有することが好ましく、分子量が120以上2000以下程度のものが好ましい。
【0101】
次に、界面活性剤Aの好ましい例を挙げるが、本発明においては、これらに限定されるものではない。なお、()内の%は上記の疎水基全体に占める飽和アルキル部分の割合を表す。
【0102】
【化2】
Figure 2005010264
【0103】
【化3】
Figure 2005010264
【0104】
界面活性剤Aは、現像液中に0.1〜10質量%含有されることが好ましく、更に、0.5〜5.0質量%含有されることが好ましい。
【0105】
(界面活性剤B)
界面活性剤Bは、疎水基全体に占める飽和アルキル部分の割合が分子量で0〜25%(すなわち、疎水基中の飽和アルキル部の比が0〜25%)であるポリオキシアルキレン基を有するアニオン性界面活性剤を指し、該疎水基全体の分子量の0〜5%であるものが好ましい。
【0106】
ここで、「疎水基全体に占める飽和アルキル部分の割合が分子量で0〜25%」とは、界面活性剤Aと同義である。
【0107】
次に、界面活性剤Bの好ましい例を挙げるが、本発明においては、これらに限定されるものではない。なお、()内の%は上記の疎水基全体に占める飽和アルキル部分の割合を表す。
【0108】
【化4】
Figure 2005010264
【0109】
【化5】
Figure 2005010264
【0110】
界面活性剤Bは、現像液中に0.1〜10質量%含有されることが好ましく、更に、0.5〜5.0質量%含有されることが好ましい。
【0111】
また、上記した界面活性剤Aおよび界面活性剤Bにおいて、疎水基の分子量が小さすぎると感光性平版印刷版の光重合型感光層の現像時での溶解能力が低下し、スラッジ、ヘドロの発生が抑制しにくくなり、一方、疎水基の分子量が大きすぎると、これら化合物の現像液への溶解性が悪くなり均一な現像液を作製・維持し難くなることから上記した範囲が好ましい。
【0112】
本発明に係る現像液は、必要に応じて公知の添加剤を含有することができる。
(界面活性剤)
本発明に用いられる現像液および補充液には、現像性の促進や現像カスの分散および印刷版画像部の親インキ性を高める目的で必要に応じて種々界面活性剤や有機溶剤を添加できる。好ましい界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系および両性界面活性剤が挙げられる。
【0113】
界面活性剤の好ましい例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、グリセリン脂肪酸部分エステル類、ソルビタン脂肪酸部分エステル類、ペンタエリスリトール脂肪酸部分エステル類、プロピレングリコールモノ脂肪酸エステル類、しょ糖脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸部分エステル類、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレン化ひまし油類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸部分エステル類、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体、エチレンジアミンのポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体付加物、脂肪酸ジエタノールアミド類、N,N−ビス−2−ヒドロキシアルキルアミン類、ポリオキシエチレンアルキルアミン、トリエタノールアミン脂肪酸エステル、トリアルキルアミンオキシドなどの非イオン性界面活性剤、脂肪酸塩類、アビエチン酸塩類、ヒドロキシアルカンスルホン酸塩類、アルカンスルホン酸塩類、ジアルキルスルホ琥珀酸エステル塩類、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、分岐鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩類、アルキルフェノキシポリオキシエチレンプロピルスルホン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルスルホフェニルエーテル塩類、N−メチル−N−オレイルタウリンナトリウム塩、N−アルキルスルホ琥珀酸モノアミド二ナトリウム塩、石油スルホン酸塩類、硫酸化牛脂油、脂肪酸アルキルエステルの硫酸エステル塩類、アルキル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類、脂肪酸モノグリセリド硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩類、アルキルリン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルリン酸エステル塩類、スチレン/無水マレイン酸共重合物の部分鹸化物類、オレフィン/無水マレイン酸共重合物の部分鹸化物類、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物類などのアニオン界面活性剤、アルキルアミン塩類、テトラブチルアンモニウムブロミド等の第四級アンモニウム塩類、ポリオキシエチレンアルキルアミン塩類、ポリエチレンポリアミン誘導体などのカチオン性界面活性剤、カルボキシベタイン類、アミノカルボン酸類、スルホベタイン類、アミノ硫酸エステル類、イミダゾリン類などの両性界面活性剤が挙げられる。以上挙げた界面活性剤の中でポリオキシエチレンとあるものは、ポリオキシメチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレンなどのポリオキシアルキレンに読み替えることもでき、それらの界面活性剤もまた包含される。更に好ましい界面活性剤は分子内にパーフルオロアルキル基を含有するフッ素系の界面活性剤である。係るフッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステルなどのアニオン型、パーフルオロアルキルベタインなどの両性型、パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩などのカチオン型およびパーフルオロアルキルアミンオキサイド、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルキル基および親水性基含有オリゴマー、パーフルオロアルキル基および親油性基含有オリゴマー、パーフルオロアルキル基、親水性基および親油性基含有オリゴマー、パーフルオロアルキル基および親油性基含有ウレタンなどの非イオン型が挙げられる。
【0114】
上記の界面活性剤は、単独もしくは2種以上を組み合わせて使用することができ、現像液中に0.001〜10質量%、より好ましくは0.01〜5質量%の範囲で添加される。
【0115】
(現像安定化剤)
本発明に用いられる現像液および補充液には、好ましくは現像安定化剤が用いられる。それらの好ましい例として、特開平6−282079号公報記載の糖アルコールのポリエチレングリコール付加物、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドなどのテトラアルキルアンモニウム塩、テトラブチルホスホニウムブロマイドなどのホスホニウム塩およびジフェニルヨードニウムクロライドなどのヨードニウム塩が好ましい例として挙げられる。更に、特開昭50−51324号公報記載のアニオン界面活性剤または両性界面活性剤、また特開昭55−95946号公報記載の水溶性カチオニックポリマー、特開昭56−142528号公報に記載されている水溶性の両性高分子電解質を挙げることができる。更に、特開昭59−84241号公報のアルキレングリコールが付加された有機硼素化合物、特開昭60−111246号公報記載のポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック重合型の水溶性界面活性剤、特開昭60−129750号公報のポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンを置換したアルキレンジアミン化合物、特開昭61−215554号公報記載の重量平均分子量300以上のポリエチレングリコール、特開昭63−175858号公報のカチオン性基を有する含フッ素界面活性剤、特開平2−39157号公報の酸またはアルコールに4モル以上のエチレンオキシドを付加して得られる水溶性エチレンオキシド付加化合物と、水溶性ポリアルキレン化合物などが挙げられる。
【0116】
(有機溶剤)
現像液および現像補充液には更に必要により有機溶剤が加えられる。係る有機溶剤としては、水に対する溶解度が約10質量%以下のものが適しており、好ましくは5質量%以下のものから選ばれる。例えば、1−フェニルエタノール、2−フェニルエタノール、3−フェニル−1−プロパノール、4−フェニル−1−ブタノール、4−フェニル−2−ブタノール、2−フェニル−1−ブタノール、2−フェノキシエタノール、2−ベンジルオキシエタノール、o−メトキシベンジルアルコール、m−メトキシベンジルアルコール、p−メトキシベンジルアルコール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、3−メチルシクロヘキサノールおよび4−メチルシクロヘキサノール、N−フェニルエタノールアミンおよびN−フェニルジエタノールアミンなどを挙げることができる。
【0117】
有機溶剤の含有量は使用液の総質量に対して0.1〜5質量%であるが、実質的に含まれないことが好ましく、全く含まれないことが特に好ましい。ここで実質的に含まれないとは1質量%以下であることを示す。
【0118】
(還元剤)
本発明に用いられる現像液および補充液には必要に応じて還元剤が加えられる。これは印刷版の汚れを防止するものであり、特に感光性ジアゾニウム塩化合物を含むネガ型感光性平版印刷版を現像する際に有効である。好ましい有機還元剤としては、チオサリチル酸、ハイドロキノン、メトール、メトキシキノン、レゾルシン、2−メチルレゾルシンなどのフェノール化合物、フェニレンジアミン、フェニルヒドラジンなどのアミン化合物が挙げられる。
【0119】
更に好ましい無機の還元剤としては、亜硫酸、亜硫酸水素酸、亜リン酸、亜リン酸水素酸、亜リン酸二水素酸、チオ硫酸および亜ジチオン酸などの無機酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩などを挙げることができる。これらの還元剤のうち汚れ防止効果が特に優れているのは亜硫酸塩である。これらの還元剤は使用時の現像液に対して好ましくは、0.05〜5質量%の範囲で含有される。
【0120】
(有機カルボン酸)
本発明に用いられる現像液および補充液には必要に応じて更に有機カルボン酸を加えることもできる。好ましい有機カルボン酸は炭素原子数6〜20の脂肪族カルボン酸および芳香族カルボン酸を挙げることができる。
【0121】
脂肪族カルボン酸の具体的な例としては、カプロン酸、エナンチル酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸およびステアリン酸などがあり、特に好ましいのは炭素数8〜12のアルカン酸である。また炭素鎖中に二重結合を有する不飽和脂肪酸でも、枝分かれした炭素鎖のものでも良い。芳香族カルボン酸としてはベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環などにカルボキシル基が置換された化合物で、具体的には、o−クロロ安息香酸、p−クロロ安息香酸、o−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、o−アミノ安息香酸、p−アミノ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、没食子酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、2−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸、1−ナフトエ酸、2−ナフトエ酸などがあるがヒドロキシナフトエ酸は特に有効である。上記脂肪族および芳香族カルボン酸は水溶性を高めるためにナトリウム塩やカリウム塩またはアンモニウム塩として用いるのが好ましい。
【0122】
本発明で用いる現像液の有機カルボン酸の含有量は格別な制限はないが、0.1質量%より低いと効果が十分でない場合もあり、また10質量%以上ではそれ以上の効果の改善が見られない場合もあり、従って、好ましい添加量は使用時の現像液に対して0.1〜10質量%であり、より好ましくは0.5〜4質量%である。
【0123】
(その他添加剤)
本発明に用いられる現像液および補充液には現像性能を高めるために前記の他に以下のような添加剤を加えることができる。例えば特開昭58−75152号公報記載のNaCl、KCl、KBr等の中性塩、特開昭59−121336号公報記載の[Co(NH)]Cl等の錯体、特開昭56−142258号公報記載のビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライドとアクリル酸ナトリウムの共重合体等の両性高分子電解質、特開昭59−75255号公報記載のSi、Ti等を含む有機金属界面活性剤、特開昭59−84241号公報記載の有機硼素化合物等が挙げられる。本発明に用いられる現像液および補充液には更に必要に応じて、防腐剤、着色剤、増粘剤、消泡剤および硬水軟化剤などを含有させることもできる。消泡剤としては例えば、特開平2−244143号公報記載の鉱物油、植物油、アルコール、界面活性剤、シリコーン等が挙げられる。硬水軟化剤としては例えば、ポリ燐酸およびそのナトリウム塩、カリウム塩およびアンモニウム塩、エチレンジアミンテトラ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、トリエチレンテトラミンヘキサ酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、ニトリロトリ酢酸、1,2−ジアミノシクロヘキサンテトラ酢酸および1,3−ジアミノ−2−プロパノールテトラ酢酸などのアミノポリカルボン酸およびそれらのナトリウム塩、カリウム塩およびアンモニウム塩、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、トリエチレンテトラミンヘキサ(メチレンホスホン酸)、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ(メチレンホスホン酸)および1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸やそれらのナトリウム塩、カリウム塩およびアンモニウム塩を挙げることができる。
【0124】
このような硬水軟化剤はそのキレート化力と使用される硬水の硬度および硬水の量によって最適値が変化するが、一般的な使用量を示せば、使用時の現像液に0.01〜5質量%、より好ましくは0.01〜0.5質量%の範囲である。
【0125】
(濃縮液)
本発明に用いられる現像液および補充液は使用時よりも水の含有量を少なくした濃縮液としておき、使用時に水で希釈するようにしておくことが運搬上有利である。この場合の濃縮度は各成分が分離や析出を起こさない程度が適当であるが、必要により可溶化剤を加えることが好ましい。かかる可溶化剤としては、特開平6−32081号公報記載のトルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸およびそれらのアルカリ金属塩等のいわゆるヒドロトロープ剤が好ましく用いられる。濃縮液の水の含有量をさらに減らし、固形状もしくはペースト状にすることもできる。この場合、一旦現像液にしてから蒸発乾固しても良いが、好ましくは複数の素材を混ぜ合わせる際に水を加えず、または少量の水を加える方法で素材を混ぜ合わせることで濃縮状態とする方法が好ましい。また、この現像液濃縮物は、特開昭51−61837、特開平2−109042、特開平2−109043、特開平3−39735、特開平5−142786、特開平6−266062、特開平7−13341等に記載された従来よく知られた方法にて顆粒状、錠剤とすることができる。固形状もしくはペースト状の現像液濃縮物に含まれる素材は、通常の感光性平版印刷版の現像液に用いられる成分を使用することができるが、水で希釈してももとに戻らないものは含まない方が好ましい。たとえば、珪酸塩は水分が低くなると石化し水に溶けにくくなるので、珪酸塩の代わりに炭酸塩、燐酸塩、有機酸塩等を含むことが好ましい。
【0126】
これらの現像液の濃縮液もしくは固形状もしくはペースト状の濃縮物は、素材種や素材配合比等の異なる複数のパートに分けても良い。これらの濃縮した現像液濃縮物は、現像前に水で所定の濃度に希釈した後現像に使用することが好ましい。またこの現像液濃縮液または濃縮物を現像補充液として用いる場合は、所定の濃度に水で希釈した後、使用中の現像液に投入することが最も好ましいが、所定の濃度より濃い濃度や、所定の濃度に希釈せずそのまま使用中の現像液に投入することも可能である。所定の濃度より濃い濃度や、所定の濃度に希釈せずそのままで現像液濃縮物を使用中の現像液に投入する際は、同じタイミングまたは別のタイミングで使用中の現像液に直接別途に水を添加しても良い。
【0127】
〈露光〉
感光性平版印刷版における光重合型感光層を、例えば、カーボンアーク灯、高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、蛍光ランプ、タングステンランプ、ハロゲンランプ、ヘリウムカドミニウムレーザー、アルゴンイオンレーザー、FD・YAGレーザー、ヘリウムネオンレーザー、半導体レーザー(350nm〜600nm)等の従来公知の活性光線で画像露光した後、現像処理することにより、支持体表面に画像を形成することができる。画像露光後、現像までの間に、光重合型感光層の硬化率を高める目的で50℃〜150℃の温度で1秒、5分の時間の加熱プロセスを設けることを行っても良い。
【0128】
〈自動現像機〉
本発明に用いる自動現像機は、現像液を収納する現像処理漕及び該現像処理漕から排出される現像液廃液を収納する現像処理廃液漕を有することが必須である。本発明においては、現像処理廃液漕は、自動現像機内に設置されていても、自動現像機外近傍に設置されていてもよい。
【0129】
この必須の機構に加えて感光性平版印刷版の処理に適用する自動現像機に備わっている任意の機構を持つことができる。例えば、好ましくは現像液漕に自動的に補充液を必要量補充する機構が付与されている。また、好ましくは現像液漕に自動的に水を必要量補充する機構が付与されており、好ましくは、感光性平版印刷版の通過を検知(通版の検知)する機構が付与されており、好ましくは通版の検知をもとに版の処理面積を推定する機構が付与されており、好ましくは通版の検知および/または処理面積の推定をもとに補充しようとする補充液および/または水の補充量および/または補充タイミングを制御する機構が付与されており、好ましくは現像液の温度を制御する機構が付与されており、好ましくは現像液のpHおよび/または電導度を検知する機構が付与されており、好ましくは現像液のpHおよび/または電導度をもとに補充しようとする補充液および/または水の補充量および/または補充タイミングを制御する機構が付与されている。また、現像工程後に水洗工程がある場合、使用後の水洗水を現像濃縮液、現像補充液の濃縮液の希釈水として用いることができる。
【0130】
本発明に用いる自動現像機は、現像工程の前に前処理液に版を浸漬させる前処理部を有してもよい。この前処理部は、好ましくは版面に前処理液をスプレーする機構が付与されており、好ましくは前処理液の温度を25℃〜55℃の任意の温度に制御する機構が付与されており、好ましくは版面をローラー状のブラシにより擦る機構が付与されている。またこの前処理液としては、水などが用いられる。
【0131】
本発明に用いられる自動現像機は、現像液の水の蒸発分を補うため、水を補充する機能を持つことが好ましい。自動現像機に濃縮現像液を希釈する為の水供給機構があればそれを用いてもよい。水の補充量は時間あたりで決められた水を補充する方法がもっとも簡便で好ましいが、現像液のpH、電動度等のセンサーからの測定値から水補充量を補正してもよい。また、外気の気温および/または湿度、現像液の温度、自動現像機内の空気の温度および/または湿度等を用いての水の補充量に補正をしてもよい。
【0132】
〈現像処理〉
本発明の感光性平版印刷版の処理方法の態様としては、基本的には4つ挙げられる。第一は、自動現像機内に存在する空気を現像処理廃液漕に収納された現像液廃液に強制的に接触させながら現像処理すること(請求項1記載の発明)、第二は、現像処理漕内に存在する空気を現像処理廃液漕に収納された現像液廃液に強制的に接触させ、次いで接触した空気を現像処理漕内に循環させながら現像処理すること(請求項2記載の発明)、第三は、現像液廃液を用いて脱炭酸ガス化した空気を現像処理漕内に送り込みながら現像処理すること(請求項3記載の発明)、第四は、現像液廃液を用いて脱炭酸ガス化した空気を自動現像機内に送り込みながら現像処理すること(請求項4記載の発明)である。
【0133】
現像処理廃液漕に収納された現像液廃液に強制的に空気を接触させる方法としては、次のような物理的手段により空気を現像液廃液中に導き現像液廃液と接触させる方法がある。
【0134】
1)現像処理廃液漕に収納された現像液廃液を自動現像機内に存在する空気と接触させた状態で現像液廃液側を攪拌することにより接触を促進させる。接触を促進することにより効率よく空気中の炭酸ガスを除去することができる。現像液廃液を自動現像機内に存在する空気と接触させた状態で、現像液廃液側をスクリューなどで強く攪拌することで、空気と現像液廃液との接触面積を増大させることが好ましい。この攪拌は空気が現像液廃液に泡状に引き込まれる程度に強く攪拌することでより高い効果が得られる。この方法では送液ポンプが必須でない為、現像液廃液成分がポンプに詰まる等の不具合を回避することができる。
【0135】
2)現像処理廃液漕に収納された現像液廃液の中に自動現像機内に存在する空気をバブリングすることにより接触を促進させる。具体的には、エアポンプを用いて自動現像機内に存在する空気を、現像液廃液中にバブリングし、空気と現像液廃液との接触面積を増大させるものである。この場合、エアポンプを使用するものの現像液廃液側には送液ポンプが必須でない為、現像液廃液成分がポンプに詰まる等の不具合を回避することができる。
【0136】
3)自動現像機内に存在する空気中で又は現像液を収納する現像処理漕内に存在する空気中で現像処理廃液漕に収納された現像液廃液をスプレイノズル等で霧状に吐出することにより接触を促進させる。この場合、滴下した現像液廃液側の着地点に傾斜を持たせたり、衝撃を吸収する構造を持たせることで、液滴の着地での衝撃をやわらげ、飛沫の飛び散りや発泡による不具合を回避することができる。また、空気が進入する部分に重点的に滴下することで効率のよい炭酸ガス除去を行うことができる。
【0137】
上記1)及び2)の方法において、現像液を収納する現像処理漕内に存在する空気を現像処理漕の外で現像液廃液と接触させる場合には、現像液廃液と接触し炭酸ガスを除去した空気を現像処理漕内に戻すことが必要である。この場合、炭酸ガスを除去した空気は、現像液の液面付近に戻すことが好ましい。
【0138】
また、本発明は、実質的に珪酸塩を含有しない水系アルカリ現像液が空気中に存在する炭酸ガスにより劣化するのを低減する方法に関するものであり、感光性平版印刷版を処理していないときにでも適用できるものである。
【0139】
基本的には4つ挙げられる。第一は、自動現像機内に存在する空気を現像処理廃液漕に収納された現像液廃液に強制的に接触させることにより自動現像機内に存在する空気中の炭酸ガスを減少させること(請求項8記載の発明)、第二は、現像処理漕内に存在する空気を現像処理廃液漕に収納された現像液廃液に強制的に接触させ、次いで接触した空気を現像処理漕内に循環させることにより現像処理漕内に存在する空気中の炭酸ガスを減少させること(請求項9記載の発明)、第三は、現像液廃液を用いて脱炭酸ガス化した空気を前記現像処理漕内に送り込むこと(請求項10記載の発明)、第四は、現像液廃液を用いて脱炭酸ガス化した空気を自動現像機内に送り込むこと(請求項11記載の発明)である。
【0140】
炭酸ガスは通常大気中に0.03vol%含まれており、この1/2以下、すなわち0.015vol%に低減させることが好ましい。室内の環境では石油ストーブ等の影響で、炭酸ガス濃度が上昇するケースがあり、この場合はより顕著に本発明の効果が現れる。炭酸ガス濃度は、自動現像機のある室内空気に含まれる炭酸ガスの1/2以下の濃度に低減されることが好ましい。
【0141】
空気を現像処理廃液漕に収納された現像液廃液に強制的に接触させる方法は、前記した方法を採用することができる。空気を現像処理廃液漕に収納された現像液廃液に強制的に接触させることにより自動現像機内に存在する空気中の炭酸ガスを減少させる時期については、感光性平版印刷版を処理している最中でもよいことはもちろんであるが、感光性平版印刷版を処理していないときでもよい。
【0142】
請求項10及び請求項11記載の発明では、現像液廃液に強制的に接触させる空気は、自動現像機外近傍の空気であってもよい。
【0143】
また、請求項9記載の発明及び請求項10記載の発明においては、脱炭酸ガス化した空気は現像液の液面付近に送ることが好ましい。
【0144】
〈現像後の処理工程〉
このようにして現像処理された感光性平版印刷版は特開昭54−8002号、同55−115045号、同59−58431号等の各公報に記載されているように、水洗水、界面活性剤等を含有するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体等を含む不感脂化液で後処理される。本発明の感光性平版印刷版の後処理にはこれらの処理を種々組み合わせて用いることができる。上記の様な処理により得られた印刷版は特開2000−89478号に記載の方法による後露光処理やバーニングなどの加熱処理により、耐刷性を向上させることができる。このような処理によって得られた平版印刷版はオフセット印刷機に掛けられ、多数枚の印刷に用いられる。
【0145】
【実施例】
以下に、合成例、支持体作製例、実施例を具体的に示すが、本発明の実施態様は、これ等に限定されるものでない。尚、実施例における「部」は、特に断りない限り「質量部」を表す。
【0146】
(実施例1)
《感光性平版印刷版の作製》
〈感光性平版印刷版1の作製〉
下記支持体上に、下記組成の光重合型感光層塗工液1を乾燥時1.5g/mになるようワイヤーバーで塗布し、95℃で1.5分間乾燥し、光重合型感光層塗布試料を得た。
【0147】
(高分子結合材(アクリル系共重合体1)の合成)
窒素気流下の三ツ口フラスコに、メタクリル酸30部、メタクリル酸メチル50部、メタクリル酸エチル20部、イソプロピルアルコール500部及びα、α′−アゾビスイソブチロニトリル3部を入れ、窒素気流中80℃のオイルバスで6時間反応させた。その後、イソプロピルアルコールの沸点で1時間還流を行った後、トリエチルアンモニウムクロライド3部及びグリシジルメタクリレート25部を加えて3時間反応させ、アクリル系共重合体1を得た。GPCを用いて測定した重量平均分子量は約35,000、DSC(示差熱分析法)を用いて測定したガラス転移温度(Tg)は約85℃であった。
【0148】
(支持体の作製)
厚さ0.3mmのアルミニウム板(材質1050,調質H16)を65℃に保たれた5%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、1分間の脱脂処理を行った後、水洗した。この脱脂アルミニウム板を、25℃に保たれた10%塩酸水溶液中に1分間浸漬して中和した後、水洗した。次いで、このアルミニウム板を、0.3質量%の硝酸水溶液中で、25℃、電流密度100A/dmの条件下に交流電流により60秒間、電解粗面化を行った後、60℃に保たれた5%水酸化ナトリウム水溶液中で10秒間のデスマット処理を行った。デスマット処理を行った粗面化アルミニウム板を、15%硫酸溶液中で、25℃、電流密度10A/dm、電圧15Vの条件下に1分間陽極酸化処理を行い、更に1%ポリビニルホスホン酸で75℃にて、親水化処理を行って支持体を作製した。
【0149】
この時、表面の中心線平均粗さ(Ra)は0.65μmであった。
(光重合型感光層塗工液1)
Figure 2005010264
【0150】
【化6】
Figure 2005010264
【0151】
上記光重合型感光層塗布試料上に、下記組成の酸素遮断層塗工液1を乾燥時1.8g/mになるようになるようアプリケーターで塗布し、75℃で1.5分間乾燥して、感光層上に酸素遮断層を有する感光性平版印刷版1を作製した。
【0152】
(酸素遮断層塗工液1)
ポリビニルアルコール(GL−05:日本合成化学社製) 89部
水溶性ポリアミド(P−70:東レ社製) 10部
界面活性剤(サーフィノール465:日信化学工業社製) 0.5部
水 900部
〈感光性平版印刷版2の作製〉
光重合型感光層塗工液1において、光重合開始剤をI−3(4.0部)、分光増感色素をD−3(3.0部)に代えた以外は、感光性平版印刷版1の作製と同様の方法で感光性平版印刷版2を作製した。
【0153】
【化7】
Figure 2005010264
【0154】
〈感光性平版印刷版3の作製〉
光重合型感光層塗工液1において、分光増感色素をD−5(1.5部)、D−7(1.5部)に代えた以外は、感光性平版印刷版1の作製と同様の方法で感光性平版印刷版3を作製した。
【0155】
【化8】
Figure 2005010264
【0156】
《現像液処方》
Figure 2005010264
Figure 2005010264
Figure 2005010264
《フィニッシャー液処方》
(版面保護剤(ガム液)1L 水溶液処方)
白色デキストリン 5.0質量%
ヒドロキシプロピルエーテル化デンプン 10.0質量%
アラビアガム 1.0質量%
燐酸第1アンモン 0.1質量%
ジラウリルコハク酸ナトリウム 0.15質量%
ポリオキシエチレンナフチルエーテル 0.5質量%
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンのブロック共重合体
(エチレンオキシド比50mol%、分子量5000) 0.3質量%
エチレングリコール 1.0質量%
エチレンジアミンテトラ酢酸2ナトリウム 0.005質量%
エチルパラベン 0.005質量%
《露光》
上記のようにして作製した感光性平版印刷版1及び2について、FD−YAGレーザー光源を搭載したCTP露光装置(Tigercat:ECRM社製)を用いて2400dpi(dpiとは2.54cmあたりのドット数を表す)の解像度で画像露光(露光パターンは、100%画像部と、175LPI 50%のスクエアードットを使用した)を行った。また、感光性平版印刷版3については、408nm、30mW出力のレーザーを備えたプレートセッター(タイガーキャット:ECRM社製改造品)を用いて同様の画像露光を行った。
【0157】
次いで、下記のCTP自動現像機で、画像部、非画像部の面積比率が、1:9になるよう現像を500m実施した。約50ml/mとなるように現像液の補充を実施した。
【0158】
《現像処理》
〈現像処理1〉(本発明)
現像前に酸素遮断層を除去する前水洗部、現像液を充填した現像部(現像処理漕)、版面に付着した現像液を取り除く水洗部、画線部保護のための上記のガム液を備えたCTP自動現像機(PHW32−V:Technigraph社製)を用い、現像廃液によって得られたオーバーフロー液を一時的に蓄える蓋付きの5Lの容器(現像処理廃液漕)を設け、初めは使用されていない現像補充液で満たした。現像処理につれて現像ランニング液のオーバーフロー液(現像液廃液)が流れ込むようにし、5L以上になった部分は廃棄することで、徐々に現像液廃液への変更を進めた。この状態で現像処理漕上の空間に存在する空気をエアポンプにて取り出して、上記の蓋付きの5Lの容器(現像処理廃液漕)の中に流しつつ一方で空気を抜き取り、その空気を現像処理漕内に戻した。さらに蓋付きの5Lの容器内の現像液廃液をスクリューにて攪拌し、この現像液廃液と空気との接触を促進した。
【0159】
〈現像処理2〉(本発明)
現像前に酸素遮断層を除去する前水洗部、現像液を充填した現像部(現像処理漕)、版面に付着した現像液を取り除く水洗部、画線部保護のための上記のガム液を備えたCTP自動現像機(PHW32−V:Technigraph社製)を用い、現像廃液によって得られたオーバーフロー液を一時的に蓄える蓋付きの5Lの容器(現像処理廃液漕)を設け、初めは使用されていない現像補充液で満たした。現像処理につれて現像ランニング液のオーバーフロー液(現像液廃液)が流れ込むようにし、5L以上になった部分は廃棄することで、徐々に現像液廃液への変更を進めた。この状態で現像処理漕上の空間に存在する空気をエアポンプにて取り出して、上記の蓋付きの5Lの容器(現像処理廃液漕)中の現像廃液中の底の部分からバブリングしつつ、液面から上がった空気を抜き取り、その空気を現像処理漕内に戻すことにより、この現像液廃液と空気との接触を促進した。
【0160】
〈現像処理3〉(本発明)
現像前に酸素遮断層を除去する前水洗部、現像液を充填した現像部(現像処理漕)、版面に付着した現像液を取り除く水洗部、画線部保護のための上記のガム液を備えたCTP自動現像機(PHW32−V:Technigraph社製)を用い、現像廃液によって得られたオーバーフロー液を一時的に蓄える蓋付きの5Lの容器(現像処理廃液漕)を設け、初めは使用されていない現像補充液で満たした。現像処理につれて現像ランニング液のオーバーフロー液(現像液廃液)が流れ込むようにし、5L以上になった部分は廃棄することで、徐々に現像液廃液への変更を進めた。この液を送液ポンプにて自動現像機の現像処理漕と現像部蓋の間の空気に接触するよう、シャワー状に繰り返し滴下し、滴下し終わった液は再び蓋付きの5Lの容器(現像処理廃液漕)に戻るようにすることにより、この現像液廃液と空気との接触を促進した。
【0161】
〈現像処理4〉(比較例)
現像前に酸素遮断層を除去する前水洗部、現像液を充填した現像部、版面に付着した現像液を取り除く水洗部、画線部保護のための上記のガム液を備えたCTP自動現像機(PHW32−V:Technigraph社製)を現像処理廃液漕を設けずに、通常の現像処理をした。
【0162】
《評価》
〈非画像部のインキ汚れ〉
上記各感光性平版印刷版を、各現像液及び現像補充液処方及び各現像処理を表1に示すような組み合わせで現像処理し、平版印刷版を作製した。作製した平版印刷版を、印刷機(三菱重工業(株)製DAIYA1F−1)で、コート紙、印刷インキ(大日本インキ化学工業社製の、大豆油インキ“ナチュラリス100”)及び湿し水(東京インク(株)製H液SG−51濃度1.5%)を用いて印刷を行った。
【0163】
500m印刷後の印刷物の非画像部に、100cm内の斑点状のインキ汚れを目視にて評価した。
【0164】
◎:非画像部にインキ汚れは認められない。
○:非画像部にインキ汚れはほとんど認められない。
【0165】
△:非画像部にインキ汚れがわずかに認められるが、印刷物として使用可。
×:非画像部にインキ汚れが認められ、印刷物として使用不可。
【0166】
評価結果を表1に示す。
〈スラッジ・ヘドロの評価〉
現像処理廃液漕からのオーバーフロー廃液を自動現像機外に設置した蓋付きの5Lの容器に送液ポンプで送り出し、スラッジ・ヘドロの発生状況と発泡の状況を目視で確認した。
【0167】
○:容器内にわずかにスラッジ・ヘドロの発生が見られるが、現像される平版印刷版には付着せず実質上問題はない。
【0168】
△:容器内にスラッジ・ヘドロ発生が見られ、容器内の清掃作業はスポンジ・ブラシ等での擦りが必要である。
【0169】
×:容器内に、ゲル状のスラッジ・へドロが発生し、容器の槽内がゲル化物で流動性が悪くなり、送液ポンプや攪拌スクリューに不具合が生じる。
【0170】
評価結果を表1に示す。
【0171】
【表1】
Figure 2005010264
【0172】
表1より、本発明のものはインキ汚れはほとんどみられず、且つスラッジ・ヘドロの発生についても許容できるものであることがわかる。すなわち、本発明においては、現像液は珪酸塩を全く含有しない(SiO質量換算で0.0%)ことが望ましいが、珪酸塩をSiO質量換算で0.1%程度であれば問題がないことがわかる。
【0173】
(実施例2)
実施例1において、現像処理漕上の空間に存在する空気ではなく、自動現像機の中に存在する空気とした以外は、実施例1と同様に感光性平版印刷版を現像処理したところ、実施例1と同様に本発明のものはインキ汚れはほとんどみられず、且つスラッジ・ヘドロの発生についても許容できるものであった。
【0174】
(実施例3)
実施例1において、現像処理廃液漕を自動現像機外近傍に設けて、現像液廃液を用いて脱炭酸ガス化した空気を現像処理漕内に送り込みながら現像処理したところ、実施例1と同様に本発明のものはインキ汚れはほとんどみられず、且つスラッジ・ヘドロの発生についても許容できるものであった。
【0175】
(実施例4)
実施例1において、現像処理廃液漕を自動現像機外近傍に設けて、現像液廃液を用いて脱炭酸ガス化した空気を自動現像機内に送り込みながら現像処理したところ、実施例1と同様に本発明のものはインキ汚れはほとんどみられず、且つスラッジ・ヘドロの発生についても許容できるものであった。
【0176】
(実施例5)
現像処理直前まで、実施例1〜4と同様な操作を行い、脱炭酸ガス化した空気を自動現像機内若しくは現像処理漕内に送り込んで現像液の劣化を評価したところ、脱炭酸ガス化した空気を送らないで放置した現像液と比べて、現像液の劣化の低減に有意差が認められた。
【0177】
【発明の効果】
本発明により、現像液の現像安定性を保ち、且つ、補充液の使用量増大によるコストの上昇や廃液の増大等の問題を同時に解決し、また、非画像部のインキ汚れが改良され、さらにスラッジの発生を抑えた感光性平版印刷版の処理方法及び現像液の劣化低減方法を提供することができた。

Claims (15)

  1. 付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物、光重合開始剤及び高分子結合材を含有する光重合型感光層を支持体上に設けた光重合型感光性平版印刷版を、露光後、現像液を収納する現像処理漕及び該現像処理漕から排出される現像液廃液を収納する現像処理廃液漕を有する自動現像機で現像処理する感光性平版印刷版の処理方法において、前記現像液は実質的に珪酸塩を含有しない水系アルカリ現像液であり、且つ、前記自動現像機内に存在する空気を前記現像処理廃液漕に収納された現像液廃液に強制的に接触させながら現像処理することを特徴とする感光性平版印刷版の処理方法。
  2. 付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物、光重合開始剤及び高分子結合材を含有する光重合型感光層を支持体上に設けた光重合型感光性平版印刷版を、露光後、現像液を収納する現像処理漕及び該現像処理漕から排出される現像液廃液を収納する現像処理廃液漕を有する自動現像機で現像処理する感光性平版印刷版の処理方法において、前記現像液は実質的に珪酸塩を含有しない水系アルカリ現像液であり、且つ、前記現像処理漕内に存在する空気を前記現像処理廃液漕に収納された現像液廃液に強制的に接触させ、次いで該接触した空気を該現像処理漕内に循環させながら現像処理することを特徴とする感光性平版印刷版の処理方法。
  3. 付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物、光重合開始剤及び高分子結合材を含有する光重合型感光層を支持体上に設けた光重合型感光性平版印刷版を、露光後、現像液を収納する現像処理漕及び該現像処理漕から排出される現像液廃液を収納する現像処理廃液漕を有する自動現像機で現像処理する感光性平版印刷版の処理方法において、前記現像液は実質的に珪酸塩を含有しない水系アルカリ現像液であり、且つ、前記現像液廃液を用いて脱炭酸ガス化した空気を前記現像処理漕内に送り込みながら現像処理することを特徴とする感光性平版印刷版の処理方法。
  4. 付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物、光重合開始剤及び高分子結合材を含有する光重合型感光層を支持体上に設けた光重合型感光性平版印刷版を、露光後、現像液を収納する現像処理漕及び該現像処理漕から排出される現像液廃液を収納する現像処理廃液漕を有する自動現像機で現像処理する感光性平版印刷版の処理方法において、前記現像液は実質的に珪酸塩を含有しない水系アルカリ現像液であり、且つ、前記現像液廃液を用いて脱炭酸ガス化した空気を前記自動現像機内に送り込みながら現像処理することを特徴とする感光性平版印刷版の処理方法。
  5. 前記現像液が、さらにポリオキシアルキレン基を有する界面活性剤を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の感光性平版印刷版の処理方法。
  6. 前記ポリオキシアルキレン基を有する界面活性剤が、疎水基全体に占める飽和アルキル部分の割合が分子量で0〜25%である非イオン界面活性剤であることを特徴とする請求項5記載の感光性平版印刷版の処理方法。
  7. 前記ポリオキシアルキレン基を有する界面活性剤が、疎水基全体に占める飽和アルキル部分の割合が分子量で0〜25%であるアニオン界面活性剤であることを特徴とする請求項5記載の感光性平版印刷版の処理方法。
  8. 付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物、光重合開始剤及び高分子結合材を含有する光重合型感光層を支持体上に設けた光重合型感光性平版印刷版を、露光後、現像液を収納する現像処理漕及び該現像処理漕から排出される現像液廃液を収納する現像処理廃液漕を有する自動現像機で現像処理するための現像液の劣化低減方法において、前記現像液は実質的に珪酸塩を含有しない水系アルカリ現像液であり、且つ、前記自動現像機内に存在する空気を前記現像処理廃液漕に収納された現像液廃液に強制的に接触させることにより該自動現像機内に存在する空気中の炭酸ガスを減少させることを特徴とする現像液の劣化低減方法。
  9. 付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物、光重合開始剤及び高分子結合材を含有する光重合型感光層を支持体上に設けた光重合型感光性平版印刷版を、露光後、現像液を収納する現像処理漕及び該現像処理漕から排出される現像液廃液を収納する現像処理廃液漕を有する自動現像機で現像処理するための現像液の劣化低減方法において、前記現像液は実質的に珪酸塩を含有しない水系アルカリ現像液であり、且つ、前記現像処理漕内に存在する空気を前記現像処理廃液漕に収納された現像液廃液に強制的に接触させ、次いで該接触した空気を該現像処理漕内に循環させることにより該現像処理漕内に存在する空気中の炭酸ガスを減少させることを特徴とする現像液の劣化低減方法。
  10. 付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物、光重合開始剤及び高分子結合材を含有する光重合型感光層を支持体上に設けた光重合型感光性平版印刷版を、露光後、現像液を収納する現像処理漕及び該現像処理漕から排出される現像液廃液を収納する現像処理廃液漕を有する自動現像機で現像処理するための現像液の劣化低減方法において、前記現像液は実質的に珪酸塩を含有しない水系アルカリ現像液であり、且つ、前記現像液廃液を用いて脱炭酸ガス化した空気を前記現像処理漕内に送り込むことを特徴とする現像液の劣化低減方法。
  11. 付加重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物、光重合開始剤及び高分子結合材を含有する光重合型感光層を支持体上に設けた光重合型感光性平版印刷版を、露光後、現像液を収納する現像処理漕及び該現像処理漕から排出される現像液廃液を収納する現像処理廃液漕を有する自動現像機で現像処理するための現像液の劣化低減方法において、前記現像液は実質的に珪酸塩を含有しない水系アルカリ現像液であり、且つ、前記現像液廃液を用いて脱炭酸ガス化した空気を前記自動現像機内に送り込むことを特徴とする現像液の劣化低減方法。
  12. 前記現像液が、ポリオキシアルキレン基を有する界面活性剤を含むことを特徴とする請求項8乃至11のいずれか1項記載の現像液の劣化低減方法。
  13. 前記ポリオキシアルキレン基を有する界面活性剤が、疎水基全体に占める飽和アルキル部分の割合が分子量で0〜25%である非イオン界面活性剤であることを特徴とする請求項12記載の現像液の劣化低減方法。
  14. 前記ポリオキシアルキレン基を有する界面活性剤が、疎水基全体に占める飽和アルキル部分の割合が分子量で0〜25%であるアニオン界面活性剤であることを特徴とする請求項12記載の現像液の劣化低減方法。
  15. 実質的に珪酸塩を含有しない水系アルカリ現像液廃液に強制的に接触させた空気を実質的に珪酸塩を含有しない水系アルカリ現像液を収納する現像処理漕中の空気と置換することにより該現像液の劣化を低減する方法。
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