JP2005002518A - ゴム補強用スチールコードおよび空気入りラジアルタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】耐疲労性、耐カット性および耐腐食性を両立させ、これまで以上に耐久性を向上させたゴム補強用スチールコードおよび該スチールコードを補強材として用いた空気入りラジアルタイヤを提供する。
【解決手段】2層以上の層撚り構造を有するコアストランド2と、コアストランド2を囲むシースストランド1とからなり、シースストランド1の撚り構造がn×mで表されるゴム補強用のスチールコードである。シースストランド1の直径d1とコアストランド2の直径d2との関係は、好ましくは次式、d2≧d1で表される。また、シースストランド1の破断に至る伸度E1は、好ましくは次式、E1≧1.5 (%)で表される。
【選択図】 図1
【解決手段】2層以上の層撚り構造を有するコアストランド2と、コアストランド2を囲むシースストランド1とからなり、シースストランド1の撚り構造がn×mで表されるゴム補強用のスチールコードである。シースストランド1の直径d1とコアストランド2の直径d2との関係は、好ましくは次式、d2≧d1で表される。また、シースストランド1の破断に至る伸度E1は、好ましくは次式、E1≧1.5 (%)で表される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気入りタイヤ等のゴム補強材として使用されるゴム補強用スチールコードおよびこのゴム補強用スチールコードを補強材として用いた空気入りラジアルタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
今日、車両の発達によりタイヤに対する要求も、より高速高荷重の耐久性が求められるようになってきている。特に、鉱山車両等は悪路を高荷重で走破するために、補強用スチールコードに対しても、曲げ、圧縮等の入力に対する耐疲労性、外傷による耐カット性、および外傷からの耐腐食性に基づく耐久性をさらに向上させることが求められている。
【0003】
従来、かかる車両用のタイヤの補強用スチールコードは、高い強力が必要とされることから、複数本のスチールフィラメントを撚り合わせたストランドを更に撚り合わせた複撚り構造のスチールコードが広く使用されており、例えば、図7に示すような、12本のフィラメントからなるコンパクト構造のストランド7本を撚り合わせた7×(1×12)+1構造のスチールコード等が知られている。
【0004】
その他にも、例えば、従来の7×(n+m)に代表される複撚りコードとして、特許文献1や特許文献2記載のスチールコードを挙げることができる。
【0005】
【特許文献1】
特開昭50−29855号公報(特許請求の範囲等)
【特許文献2】
特開平6−240590号公報(特許請求の範囲等)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
車両等の補強目的に使用される従来の複撚り構造のスチールコードでは、曲げ、圧縮疲労入力による素線の破断が、中立軸から離れたシースストランド内で発生することが知られている。かかる曲げ、圧縮疲労性を改善するには、コード径を小径化し中立軸に対し、圧縮−引張の歪差を小さくすることが有効であるが、このようにするとスチールコードの耐カット性の低下を招くことになる。
【0007】
一方、従来の7×(n+m)に代表される複撚りコードは耐カット性に優れた効果を奏するものの、耐腐食性に劣るものであった。
【0008】
すなわち、従来の複撚り構造のスチールコードでは曲げ、圧縮に対する耐疲労性、外傷による耐カット性、および外傷からの耐腐食性を両立させることは困難な課題の1つであった。そこで本発明の目的は、これら耐疲労性、耐カット性および耐腐食性を両立させ、これまで以上に耐久性を向上させたゴム補強用スチールコードおよび該スチールコードを補強材として用いた空気入りラジアルタイヤを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、コアストランドとその周囲のシースストランドとからなる特定構造のスチールコードの、シースストランドの撚り構造を所定の範囲内とすることにより上記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明のゴム補強用のスチールコードは、2層以上の層撚り構造を有するコアストランドと、該コアストランドを囲むシースストランドとからなり、該シースストランドの撚り構造がn×mで表されることを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明の空気入りラジアルタイヤは、一対のビード部間でトロイド状に延びるカーカスを骨格とし、該カーカスのクラウン部をベルト層で補強した空気入りラジアルタイヤであって、該カーカスおよび/またはベルト層を構成するコードに前記ゴム補強用スチールコードが適用されてなることを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について具体的に説明する。
本発明のゴム補強用スチールコードにおいては、真円性の良好な、2層以上の層撚り構造を有するコアストランドを用いる。真円性の良好なストランドの、2層以上の層撚り構造としては、3+9、3+9+15等を挙げることができる。
【0013】
かかるコアストランドの素線径は、好ましくは0.17〜0.35mmであり、また撚りピッチは、好ましくは5〜20mmである。さらに、撚り方向は、好ましくは各層同方向である。
【0014】
このコアストランドを囲むシースストランドは、n×mで表される撚り構造を有する。シースストランドの撚り構造をn×mとすることにより、コード内部へのゴム浸透性を確保することができる。また、シースストランドをn×m構造とすることにより高い伸びを実現でき、コード径を小径化することなく、曲げ、圧縮入力に対し耐疲労性を改善することができる。n×mの撚り構造の好適例としては、3×3、4×4等を挙げることができる。
【0015】
また、シースストランドの破断に至る伸度E1は次式、
E1≧1.5 (%)
で表される関係を満たすことが好ましく、より好ましくは、次式、
3.5≧E1≧1.5 (%)
で表される関係を満足するようにする。この伸度E1が1.5%未満の場合、曲げ、圧縮に対する耐疲労性が大幅に低下することになる。一方、3.5%を超えると耐疲労性の向上効果はもはやそれ以上は得られず、コストの面から好ましくなくなる。
【0016】
かかるシースストランドの素線径は、好ましくは0.17〜0.3mmであり、また、撚りピッチは、好ましくは3〜18mmである。さらに、シースストランドの好適本数は6〜8本であり、撚り方向は、好ましくはシースとコード同方向である。
【0017】
また、本発明のゴム補強用スチールコードにおいては、シースストランドの直径d1とコアストランドの直径d2との関係が次式、
d2≧d1
で表されることが好ましい。これにより、コアストランドに対してもゴム浸透性を確保することができ、結果として、スチールコード全体の耐腐食性を良好に確することができる。
【0018】
さらに、シースストランドの撚り方向は、コアストランドの最外層の撚り方向と同方向であることが好ましい。
【0019】
本発明のゴム補強用スチールコードは、上述のように従来の複撚り構造のスチールコードに比べ、耐疲労性、耐カット性および耐腐食性が向上しているために、例えば、従来の複撚り構造のスチールコードの代わりに、このコードの複数本を互いに平行に引き揃えてゴムシートに埋設してなるプライをカーカスおよび/またはベルト層に適用した空気入りラジアルタイヤは、耐久性が大幅に改善されることになる。よって、本発明の空気入りラジアルタイヤは、図示はしないが、一対のビード部間でトロイド状に延びるカーカスを骨格とし、該カーカスのクラウン部をベルト層で補強した空気入りラジアルタイヤの、カーカスおよび/またはベルト層に、上述の本発明のゴム補強用スチールコードが適用されている。
【0020】
【実施例】
次に本発明を実施例および比較例により具体的に説明する。
下記の表1に示すコード構造等に従う各種スチールコードを試作した。なお、表1に示すスチールコードのうち、3本のコアフィラメントと9本の内側シースフィラメントと15本の外側シースフィラメントとからなるコアストランド2の周囲に、3×3の撚り構造のシースストランド1を6本撚り合わせ、さらに1本のスパイラルフィラメント3を巻き付けた構造のスチールコード(実施例1、3、6、7)の断面構造を図1に示す。
【0021】
また、3本のコアフィラメントと9本の内側シースフィラメントと15本の外側シースフィラメントとからなるコアストランド12の周囲に、4×4の撚り構造のシースストランド11を6本撚り合わせ、さらに1本のスパイラルフィラメント13を巻き付けた構造のスチールコード(実施例2)の断面構造を図2に示す。
【0022】
さらに、3本のコアフィラメントと9本の内側シースフィラメントと15本の外側シースフィラメントとからなるコアストランド22の周囲に、3×3の撚り構造のシースストランド21を8本撚り合わせ、さらに1本のスパイラルフィラメント23を巻き付けた構造のスチールコード(実施例4)の断面構造を図3に示す。
【0023】
さらにまた、3本のコアフィラメントと9本のシースフィラメントとからなるコアストランド32の周囲に、3×3の撚り構造のシースストランド31を6本撚り合わせ、さらに1本のスパイラルフィラメント33を巻き付けた構造のスチールコード(実施例5)の断面構造を図4に示す。
【0024】
さらにまた、3本のコアフィラメントと9本の内側シースフィラメントと15本の外側シースフィラメントとからなるコアストランド42の周囲に、3本のコアフィラメントと9本の内側シースフィラメントと15本の外側シースフィラメントとからなるシースストランド41を6本撚り合わせ、さらに1本のスパイラルフィラメント43を巻き付けた構造のスチールコード(比較例1)の断面構造を図5に示す。
【0025】
さらにまた、3本のコアフィラメントと9本の内側シースフィラメントと15本の外側シースフィラメントとからなるスチールコード52の周囲に、シースストランドを設けず、直接1本のスパイラルフィラメント53を巻き付けた構造のスチールコード(比較例2)の断面構造を図6に示す。
【0026】
これら試作スチールコードのシースストランドについて、JIS G3510の「スチールタイヤコード試験法」に定める6.4項の「切断荷重」の測定法に基づき、その切断に至るまでの伸び率E1(%)を測定した。
【0027】
また、試作スチールコードの耐カット性、圧縮疲労性および耐腐食性を以下のようにして測定し、評価した。
耐カット性:1000Nの張力下で、各試作スチールコードに対し、500mmの高さから3kgのカット試験用の刃を自由落下させることにより室内衝撃試験を実施し、破断無しの場合を○、破断有りの場合を×とした。
圧縮疲労性:直径25mm、長さ50mmの円柱状ゴムの中心に各試作スチールコードを配したゴム・スチールコード複合体を作製して、このゴム・スチールコード複合体を軸を垂直にして立て、圧縮量2mm(圧縮歪み4%)、周波数8Hzの条件下で50万回繰り返し入力を与えて、シースストランド1本あたりに発生する素線切れの割合を求めた。
耐腐食性:湿度100%、温度75℃にて4日間放置することにより湿熱劣化試験を実施した後、コアストランドのゴム被覆率(%)を求めた。
得られた結果を下記の表1中に併記する。
【0028】
【表1】
【0029】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明のゴム補強用スチールコードによれば、耐疲労性、耐カット性および耐腐食性を両立させ、これまで以上に耐久性の向上を図ることができる。よって、このゴム補強用スチールコードを補強材として用いた空気入りラジアルタイヤは優れた耐久性を示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1、3、6、7のスチールコードの断面図である。
【図2】実施例2のスチールコードの断面図である。
【図3】実施例4のスチールコードの断面図である。
【図4】実施例5のスチールコードの断面図である。
【図5】比較例1のスチールコードの断面図である。
【図6】比較例2のスチールコードの断面図である。
【図7】従来例のスチールコードの断面図である。
【符号の説明】
1,11,21,31,41 シースストランド
2,12,22,32,42 コアストランド
3,13,23,33,43,53 スパイラルフィラメント
50 スチールコード
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気入りタイヤ等のゴム補強材として使用されるゴム補強用スチールコードおよびこのゴム補強用スチールコードを補強材として用いた空気入りラジアルタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
今日、車両の発達によりタイヤに対する要求も、より高速高荷重の耐久性が求められるようになってきている。特に、鉱山車両等は悪路を高荷重で走破するために、補強用スチールコードに対しても、曲げ、圧縮等の入力に対する耐疲労性、外傷による耐カット性、および外傷からの耐腐食性に基づく耐久性をさらに向上させることが求められている。
【0003】
従来、かかる車両用のタイヤの補強用スチールコードは、高い強力が必要とされることから、複数本のスチールフィラメントを撚り合わせたストランドを更に撚り合わせた複撚り構造のスチールコードが広く使用されており、例えば、図7に示すような、12本のフィラメントからなるコンパクト構造のストランド7本を撚り合わせた7×(1×12)+1構造のスチールコード等が知られている。
【0004】
その他にも、例えば、従来の7×(n+m)に代表される複撚りコードとして、特許文献1や特許文献2記載のスチールコードを挙げることができる。
【0005】
【特許文献1】
特開昭50−29855号公報(特許請求の範囲等)
【特許文献2】
特開平6−240590号公報(特許請求の範囲等)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
車両等の補強目的に使用される従来の複撚り構造のスチールコードでは、曲げ、圧縮疲労入力による素線の破断が、中立軸から離れたシースストランド内で発生することが知られている。かかる曲げ、圧縮疲労性を改善するには、コード径を小径化し中立軸に対し、圧縮−引張の歪差を小さくすることが有効であるが、このようにするとスチールコードの耐カット性の低下を招くことになる。
【0007】
一方、従来の7×(n+m)に代表される複撚りコードは耐カット性に優れた効果を奏するものの、耐腐食性に劣るものであった。
【0008】
すなわち、従来の複撚り構造のスチールコードでは曲げ、圧縮に対する耐疲労性、外傷による耐カット性、および外傷からの耐腐食性を両立させることは困難な課題の1つであった。そこで本発明の目的は、これら耐疲労性、耐カット性および耐腐食性を両立させ、これまで以上に耐久性を向上させたゴム補強用スチールコードおよび該スチールコードを補強材として用いた空気入りラジアルタイヤを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、コアストランドとその周囲のシースストランドとからなる特定構造のスチールコードの、シースストランドの撚り構造を所定の範囲内とすることにより上記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明のゴム補強用のスチールコードは、2層以上の層撚り構造を有するコアストランドと、該コアストランドを囲むシースストランドとからなり、該シースストランドの撚り構造がn×mで表されることを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明の空気入りラジアルタイヤは、一対のビード部間でトロイド状に延びるカーカスを骨格とし、該カーカスのクラウン部をベルト層で補強した空気入りラジアルタイヤであって、該カーカスおよび/またはベルト層を構成するコードに前記ゴム補強用スチールコードが適用されてなることを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について具体的に説明する。
本発明のゴム補強用スチールコードにおいては、真円性の良好な、2層以上の層撚り構造を有するコアストランドを用いる。真円性の良好なストランドの、2層以上の層撚り構造としては、3+9、3+9+15等を挙げることができる。
【0013】
かかるコアストランドの素線径は、好ましくは0.17〜0.35mmであり、また撚りピッチは、好ましくは5〜20mmである。さらに、撚り方向は、好ましくは各層同方向である。
【0014】
このコアストランドを囲むシースストランドは、n×mで表される撚り構造を有する。シースストランドの撚り構造をn×mとすることにより、コード内部へのゴム浸透性を確保することができる。また、シースストランドをn×m構造とすることにより高い伸びを実現でき、コード径を小径化することなく、曲げ、圧縮入力に対し耐疲労性を改善することができる。n×mの撚り構造の好適例としては、3×3、4×4等を挙げることができる。
【0015】
また、シースストランドの破断に至る伸度E1は次式、
E1≧1.5 (%)
で表される関係を満たすことが好ましく、より好ましくは、次式、
3.5≧E1≧1.5 (%)
で表される関係を満足するようにする。この伸度E1が1.5%未満の場合、曲げ、圧縮に対する耐疲労性が大幅に低下することになる。一方、3.5%を超えると耐疲労性の向上効果はもはやそれ以上は得られず、コストの面から好ましくなくなる。
【0016】
かかるシースストランドの素線径は、好ましくは0.17〜0.3mmであり、また、撚りピッチは、好ましくは3〜18mmである。さらに、シースストランドの好適本数は6〜8本であり、撚り方向は、好ましくはシースとコード同方向である。
【0017】
また、本発明のゴム補強用スチールコードにおいては、シースストランドの直径d1とコアストランドの直径d2との関係が次式、
d2≧d1
で表されることが好ましい。これにより、コアストランドに対してもゴム浸透性を確保することができ、結果として、スチールコード全体の耐腐食性を良好に確することができる。
【0018】
さらに、シースストランドの撚り方向は、コアストランドの最外層の撚り方向と同方向であることが好ましい。
【0019】
本発明のゴム補強用スチールコードは、上述のように従来の複撚り構造のスチールコードに比べ、耐疲労性、耐カット性および耐腐食性が向上しているために、例えば、従来の複撚り構造のスチールコードの代わりに、このコードの複数本を互いに平行に引き揃えてゴムシートに埋設してなるプライをカーカスおよび/またはベルト層に適用した空気入りラジアルタイヤは、耐久性が大幅に改善されることになる。よって、本発明の空気入りラジアルタイヤは、図示はしないが、一対のビード部間でトロイド状に延びるカーカスを骨格とし、該カーカスのクラウン部をベルト層で補強した空気入りラジアルタイヤの、カーカスおよび/またはベルト層に、上述の本発明のゴム補強用スチールコードが適用されている。
【0020】
【実施例】
次に本発明を実施例および比較例により具体的に説明する。
下記の表1に示すコード構造等に従う各種スチールコードを試作した。なお、表1に示すスチールコードのうち、3本のコアフィラメントと9本の内側シースフィラメントと15本の外側シースフィラメントとからなるコアストランド2の周囲に、3×3の撚り構造のシースストランド1を6本撚り合わせ、さらに1本のスパイラルフィラメント3を巻き付けた構造のスチールコード(実施例1、3、6、7)の断面構造を図1に示す。
【0021】
また、3本のコアフィラメントと9本の内側シースフィラメントと15本の外側シースフィラメントとからなるコアストランド12の周囲に、4×4の撚り構造のシースストランド11を6本撚り合わせ、さらに1本のスパイラルフィラメント13を巻き付けた構造のスチールコード(実施例2)の断面構造を図2に示す。
【0022】
さらに、3本のコアフィラメントと9本の内側シースフィラメントと15本の外側シースフィラメントとからなるコアストランド22の周囲に、3×3の撚り構造のシースストランド21を8本撚り合わせ、さらに1本のスパイラルフィラメント23を巻き付けた構造のスチールコード(実施例4)の断面構造を図3に示す。
【0023】
さらにまた、3本のコアフィラメントと9本のシースフィラメントとからなるコアストランド32の周囲に、3×3の撚り構造のシースストランド31を6本撚り合わせ、さらに1本のスパイラルフィラメント33を巻き付けた構造のスチールコード(実施例5)の断面構造を図4に示す。
【0024】
さらにまた、3本のコアフィラメントと9本の内側シースフィラメントと15本の外側シースフィラメントとからなるコアストランド42の周囲に、3本のコアフィラメントと9本の内側シースフィラメントと15本の外側シースフィラメントとからなるシースストランド41を6本撚り合わせ、さらに1本のスパイラルフィラメント43を巻き付けた構造のスチールコード(比較例1)の断面構造を図5に示す。
【0025】
さらにまた、3本のコアフィラメントと9本の内側シースフィラメントと15本の外側シースフィラメントとからなるスチールコード52の周囲に、シースストランドを設けず、直接1本のスパイラルフィラメント53を巻き付けた構造のスチールコード(比較例2)の断面構造を図6に示す。
【0026】
これら試作スチールコードのシースストランドについて、JIS G3510の「スチールタイヤコード試験法」に定める6.4項の「切断荷重」の測定法に基づき、その切断に至るまでの伸び率E1(%)を測定した。
【0027】
また、試作スチールコードの耐カット性、圧縮疲労性および耐腐食性を以下のようにして測定し、評価した。
耐カット性:1000Nの張力下で、各試作スチールコードに対し、500mmの高さから3kgのカット試験用の刃を自由落下させることにより室内衝撃試験を実施し、破断無しの場合を○、破断有りの場合を×とした。
圧縮疲労性:直径25mm、長さ50mmの円柱状ゴムの中心に各試作スチールコードを配したゴム・スチールコード複合体を作製して、このゴム・スチールコード複合体を軸を垂直にして立て、圧縮量2mm(圧縮歪み4%)、周波数8Hzの条件下で50万回繰り返し入力を与えて、シースストランド1本あたりに発生する素線切れの割合を求めた。
耐腐食性:湿度100%、温度75℃にて4日間放置することにより湿熱劣化試験を実施した後、コアストランドのゴム被覆率(%)を求めた。
得られた結果を下記の表1中に併記する。
【0028】
【表1】
【0029】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明のゴム補強用スチールコードによれば、耐疲労性、耐カット性および耐腐食性を両立させ、これまで以上に耐久性の向上を図ることができる。よって、このゴム補強用スチールコードを補強材として用いた空気入りラジアルタイヤは優れた耐久性を示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1、3、6、7のスチールコードの断面図である。
【図2】実施例2のスチールコードの断面図である。
【図3】実施例4のスチールコードの断面図である。
【図4】実施例5のスチールコードの断面図である。
【図5】比較例1のスチールコードの断面図である。
【図6】比較例2のスチールコードの断面図である。
【図7】従来例のスチールコードの断面図である。
【符号の説明】
1,11,21,31,41 シースストランド
2,12,22,32,42 コアストランド
3,13,23,33,43,53 スパイラルフィラメント
50 スチールコード
Claims (6)
- 2層以上の層撚り構造を有するコアストランドと、該コアストランドを囲むシースストランドとからなり、該シースストランドの撚り構造がn×mで表されることを特徴とする複撚り構造のゴム補強用のスチールコード。
- 前記シースストランドの直径d1と前記コアストランドの直径d2との関係が次式、
d2≧d1
で表される請求項1記載のゴム補強用のスチールコード。 - 前記シースストランドの破断に至る伸度E1が次式、
E1≧1.5 (%)
で表される請求項1または2記載のゴム補強用のスチールコード。 - 前記コアストランドの層撚り構造が3+9または3+9+15で表される請求項1〜3のうちうずれか一項記載のゴム補強用のスチールコード。
- 前記シースストランドの撚り構造が3×3または4×4で表される請求項1〜4のうちいずれか一項記載のゴム補強用のスチールコード。
- 一対のビード部間でトロイド状に延びるカーカスを骨格とし、該カーカスのクラウン部をベルト層で補強した空気入りラジアルタイヤであって、該カーカスおよび/またはベルト層を構成するコードに請求項1〜5のうちいずれか一項記載のゴム補強用スチールコードが適用されてなることを特徴とする空気入りラジアルタイヤ。
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JP2013147777A (ja) * | 2012-01-23 | 2013-08-01 | Bridgestone Corp | ゴム物品補強用スチールコードおよびそれを用いた空気入りタイヤ |
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2003
- 2003-06-13 JP JP2003168930A patent/JP2005002518A/ja active Pending
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