本発明は、予め調合される混合原料に熱履歴を与えて調製される不活性なカルシヤガラスに対して、水溶解性ナトリウムとアルカリシラノール基を保有するアクティブシリカならびに硫酸根を保有するサルフェイトを加えた必須3成分、さらに必要に応じて補助組成物を加えた4成分を均質混合することにより省エネ型・無公害型でワンパック化されていて棚寿命性が確保されており、水硬性反応・処理により対象素材に対して処理体もしくは硬化体・処理材体形成機能を発揮する「処理材」技術分野に関する。
さらに本発明は、処理材からなる単品素材、もしくは処理材に対象素材[砂粒体、充填材、含水土質、汚染素材、吸着性粉体、耐熱性粉粒体、ケイ酸アルカリ系素材、ガラクタ集合体等]を複合せしめる複合素材に対して、水系活性剤を共存せしめて混和物とする混和工程、混和物を必要に応じて成型加工物とする加工工程、次いで混和物もしくは成型加工物における水硬性反応を完結せしめる養生工程からなる省エネ型の一連の作業工程により、耐水性・耐熱性で水溶出pHが12未満の改質処理品に改質処理され、もしくは無機質製品に加工調製される「処理材の活用利用方法」技術分野に関する。
さらに本発明は、処理材が有する処理・硬化機能に加えて、処理材が有する特別な機能性[窒素成分の水溶出阻止能、重金属類の不溶・固定化能、ダイオキシン類の捕捉・分解能、可溶性塩素成分の不溶・固定化能等]を発揮させて、問題点を有する対象素材に対して水系活性剤を共存せしめる一連の作業工程に付することにより、対象素材の問題点を低負荷型で改質処理されている「改質処理品」技術分野に関する。
さらにまた本発明は、処理材の単品素材もしくは複合素材を利用して、水系活性剤を共存せしめる一連の作業工程により、対象とする対象素材が構造体、複合硬化体、顆粒体、骨材体、付着体、フイルム、含水土処理体、無公害化物、固結吸着体、断熱・保温・耐熱材、耐酸材料もしくは一体化物等からなる成型体類に加工調製されており、該成型体類からなる無機質成型品が、耐水性・耐熱性で水溶出pHが12未満の低アルリカリ性である「無機質成型品」技術分野に関する。
本発明に係わる背景技術の技術分野にとしては、常温で水硬性を発揮する固化材、硬化剤、処理材、バインダー、処理材等の材料、ならびにこれらの材料の機能性を発揮させて処理する各種素材の改質処理品、さらにこれら材料を活用ならびに処理することにより二次加工して調製されている無機質の成型品類を挙げることができる。
従来、常温で水硬性を発揮して硬化体の形成ならびに接着等の機能を発揮する無機系水硬性材料として開示されている技術として、下記の6種類の材料を代表的に挙げることができる。中でもセメント系固化材および水ガラス系硬化材は、広く汎用されてきた。
1.漆喰やセメント等として実績があるカルシウム塩を中心とする水硬性鉱物類の水和反応によるセメンティング材料。
2.彫刻や歯型等で焼き石こうとして実績のある部分脱水されている硫酸カルシウムの水和反応によるプラスター材料。
3.水処理剤等である硫酸バンド類の硫酸アルミニウムをアルカリで中和して形成する結着性アルミナゾからなるアルミナゾル材料。
4.農業土木等の分野で軽焼マグネシヤの水硬性結着能力ならびに肥料等のリン酸成分の硬化作用を発揮する軽焼マグネシヤ材料。
5.ケイ酸アルカリの酸中和で生成するシラノール基のポリマー化で硬化してシロキサン結合の形成によるシリカ系処理材料。
6.ナトリウムシラノール基をカルシヤでポリマー化して副生するアルカリをゼオライト類で固定化するシラノール系材料。
従来技術においては、下記課題を抱えている。現在最も汎用されているセメントや石灰からなるセメンティング材料を使用して加工した二次製品は、pH12以上の強いアルカリ性を示し、特に製品類が水系環境と接触するとき、これら水系環境に生態系環境に対して影響のあるアルカリ成分を放出して、アルカリによる2次公害を誘発している。
また、セメンティング材料は、製造工程においてアルカリ成分を高熱で処理することから、その製造工程で発生する課題を抱えている。即ち、セメントの製造工程において、セメント材料の成分であるアルカリが高温で耐える耐熱レンガとして「マグクロレンガ」の採択が必須となっている。その結果、セメント製品には有害な六価クロムの共存が避けられず、六価クロムを含有しているセメントを原料とするセメント二次製品からは環境に対して有害な六価クロムが溶出拡散し、生活環境を汚染していることから問題[参考:旧通産省通達(平成12年3月24日付け)]となっている。
さらにセメント製造では、高温(約1400℃)処理の工程が必須であり、この高温のために貴重なエネルギー浪費が必要であり、これに伴う二酸化炭素の放出による地球温暖化への危惧が避けられない。また、セメントによる固化体形成における水硬性硬化機構は水和物の形成が基本であり、形成されるマトリックスに耐熱性を期待することはできない。さらにまた、セメントによる固化体は、カルシウム塩が基本であることから、酸性雨等の酸性に耐え得る性能は有しておらず、その使用範囲は自ずと限定されている。勿論、セメントには基本的にナトリウム成分を含むことは好ましくないとされている。
さらにまた、ポルトランドセメントは、各種骨材と共に混練・養生してコンクリート化された構造体を形成するが、その骨材等に糖類等の有機質成分やリン酸成分が共存するときは、これら糖類等の有機質成分やリン酸成分がセメントの水和性鉱物であるカルシウム塩を先に消耗して、形成されるコンクリート製品に強度を確保することが困難となり、また満足できる結着体・固化体を得ることはできない傾向にある。
さらにまた、ポルトランドセメントは、泥状泥土、ヘドロ、軟弱土、火山灰質粘土の含水泥土等の結着改質材として土木分野等で採択され利用されている。しかし、微細粒子で構成される泥状泥土、ヘドロ、軟弱土、さらに火山灰質粘土等の含水泥土等をセメントで固化しようとすると、微細粒子の土壌粒径がセメント粒径よりも細かいことから、セメント粒子の周りを細かい土壌粒子が囲んでしまい、セメントの硬化機構を阻害して良好な結着体・固化体の形成を期待することはできない。
プラスター材料としては、二水塩の硫酸カルシウムを部分脱水した半水石こうである焼石こうを代表的に挙げることができる。焼石こうは、水和反応により固化体を形成することから、古くより手軽な固化材として利用されてきた。しかるに、焼石こうに水が加えられて水和石膏を形成する際に、水和石こうの固化体生成時に大きな収縮が起こり、しかも高強度ある結着体・固化体は期待できない。しかも石こうでは、耐酸性ならびに耐熱性硬化体は得られず、その用途は自ずと制限されている。
アルミナゾル材料としては、硫酸アルミニウム等の酸性化合物をアルカリ性化合物で中和反応せしめたときに生成するアルミナゾルのバインダー効果が期待されている。しかるに、この中和反応は大変迅速に進行することから、このゾル形成の中和反応を実際の施工作業条件に併せてコントロールすることは難しく、所謂現場施工における作業可使時間を確保することが困難となり、現場施工の実用化には程遠い状態にある。
軽焼マグネシヤ材料は、焼成された酸化マグネシウムが原料となっており、形成される固化体が低アルカリであることから低アルカリ性の結着体・固化体形成材として利用されている。具体的には、コンクリートから発生するアルカリを嫌う農業土木等で利用が試みられている。しかるに軽焼マグネシヤ材料は、原料マグネシヤが高価であることから製品コストが割高となり、低価格が求められる農業・水産・土木等の広範囲での汎用には、施工費用を高騰させることから汎用性に乏しく、一般的でなく、特殊な分野における用途に限定されて採択されている。
シリカ系処理材料は、水ガラスで代表されるシラノール基を有する液状のケイ酸アルカリを主剤として、この主剤に酸性化合物等の硬化剤を所定量加えて、ポリシロキサン結合[−Si−O−Si−]nを生成せしめて硬化体を形成せしめてきた実績が示されている。特に、シリカ系処理材料は、古くよりバインダー等として、建設・土木等の分野で、また接着剤・コーティング剤等の分野で利用されている。また、シルカゲルの製造原料として、また耐酸・耐熱が求められる固化体等として古くから広く使用されている。
しかし、ケイ酸アルカリを原料とするシリカ系処理材料では、ケイ酸アルカリと酸性の硬化剤との混合併用を基本としていることから、種々の課題を残している。例えば、現場における施工性と生成固化体が示す諸物性の発現バランスが悪く、施工性を重視して作業時間を確保すると生成固化体の諸物性発現に長時間を要し、一方生成固化体の諸物性発現の短期間完成を期待する施工・作業性を悪くする傾向にある。
これらのケイ酸アルカリを原料とするシリカ系処理材料においては、常温施工に付されて形成される固化体は、一般に生成固化体中に水可溶性のアルカリ塩を副生して残す傾向にあり、生成固化体に水が接触する時は、この副生アルカリ塩が再度水に溶解して生成していたシリカ成分を溶解せしめてしまい、耐水性のある固化体を確保することは難しく、特に屋外等での使用には適さない。
また、生成固化体に残存する水可溶性のアルカリ塩は、空気中の水分や炭酸ガスと反応して炭酸アルカリを発生させ、所謂白華現象により固化体表面に白い粉が吹いた状態となり、トラブルの原因となっている。
以上に示した諸問題点からシリカ系処理材料では実質上未解決の問題点であり、これらの諸問題点を原因とする商品トラブルが現在も絶えてない。
シリカ系処理材を改良したシラノール系材料として、本発明者等が先願特許出願技術として種々開示(特公昭53−24212号、特公昭53−109558号、特公昭57−42581号、特公昭53−24206号、特公昭58−58306号、特公平1−53230号、特公平2−1791号、特公平2−56299号等)している。また、リン酸ケイ素が有するリン酸分の徐放特性を利用して、特定した水ガラス組成物を処理材とする技術も開示されている。
また、本発明者等の先願特許出願技術(特開平11−246261号)には、水可溶性の粉状ケイ酸アルカリとアルカリ溶液に可溶なバリウムイオンを有するバリウム塩とリン酸イオンの徐放性を有する粉状リン酸ケイ素と水酸化アルミニウムのカルシウム成分を含まない四成分で構成される粉状ワンパックのケイ酸アルカリ組成物を低レベル放射性廃棄物等の産業廃棄物類を減容固化する処理材とする技術が開示されている。
さらに、本発明者等が先願特許出願技術(特願平10−004811号を国内優先した特開平11−263661号)には、シリカーアルカリ組成物とアルミン酸組成物を水に分散せしめた湿式流動体の水硬性シリカ系バインダーが開示されている。
さらにまた、本発明者等が先願特許出願技術(特開2002−128550号)には、ケイ酸塩系素材にカルシヤ組成物ならびにアルカリ組成物と水系組成物の3者で構成されており、粉状体のワンパック品でないアルカリ系硬化剤が開示されている。さらにまた、本発明者等が先願特許出願技術(特願2001−083816号)には、硫黄のオキシ酸塩組成物、アルカリ組成物、カルシヤ組成物ならびに水系組成物の4者で構成される粉状体のワンパック品でない常温水硬性固化材が開示されている。
さらにまた、本発明者等が先願特許出願技術(特願2001−234183号)には、カルシヤ組成物と硫酸アルミ組成物とリン酸アルミ組成物で構成される粉末状ワンパック複合組成物である改質処理材が開示されている。しかし、ここに開示されている改良処理材は、活性のあるアルカリ成分と酸性成分の混合物であって、ワンパックされたときのワンパック品の貯蔵安定性(棚寿命)に配慮した特別な手段および工夫はなされておらず、ワンパック品を使用するまでの貯蔵・保管中に起こる製品劣化は避けられない。
さらに、本発明者等が先願特許出願技術(特願2001−339994号)には、熱履歴を受けて酸化硫黄を含有している火山灰にカルシヤ等を添加配合して予め800℃以下で熱処理したカルシヤ−シリカ組成物を一旦調製しているが、棚寿命性を確保するに充分な不活性化処理がされていないカルシヤ−シリカ組成物に水酸化ナトリウムを加えた活性ケイ酸塩を一構成成分とする水硬性固化材の製造法が開示されている。
さらにまた、本発明者等が先願特許出願技術(特願2002−238623号)には、重金属類の固定化材としてシラノール基を有する活性シリカ、反応性アルミナ、水酸化ナトリウムおよびカルシヤ組成物の4者で構成される粉末状ワンパックの複合組成物が開示されている。しかるに本開示の粉末状ワンパックの複合組成物においては、製品の貯蔵安定性(棚寿命)に配慮した特別な手段ならびに工夫はなされていない。
以上の本発明者等先願技術においては、活性化されたシリカのシラノール基が縮合して、シロキサン結合[−Si−O−Si−]nを生成してポリマー化すること、またこの時遊離するナトリウムならびに含有重金属類を固定化して安定な硬化体を形成すること、さらに活性なカルシウム塩が水和性鉱物を生成すること等が開示されているが、水可溶性アルカリと硫酸根含有化合物を共存せしめて棚寿命性と機能性を併せ発揮させるための工夫を持つ固化材等の[処理材]に関する技術的開示はなされていない。
しかも先願技術のシラノール系材料では、水硬性機能を果たす必須成分が目的用途に合わせて配合されているが、これら粉状体の必須成分をワンパック化した粉状体複合組成物に調製されて、貯蔵安定性を確保して棚寿命性を発揮させるための特別な手段・工夫はなされておらず、固化材料等の[処理材]が安定な棚寿命性を有して水硬性反応・処理機能を併せ発揮し、しかも低アルカリ性で固化体を形成することおよび重金属類を固定化する等の機能が発揮される材料技術の開示はない。
本発明が解決しようとする課題は、従来汎用されてきた水硬性固化材が抱えてきた課題にある。具体的には、セメントでは有害な六価クロムを含有しており、セメント加工製品は放出アルカリによる二次公害があること。水ガラスにより加工製品類には耐水性がなく自然界での実用性に乏しいこと。さらに本発明者等先願技術である水硬性固化材料の商品類では、保存性ならびに棚寿命性が欠如していることを挙げることができる。
さらに本発明で解決したい具体的課題としては、下記項目を挙げることができる。
▲1▼セメント代替の無公害固化材で生活環境にクロム汚染を起こさない
▲2▼セメント固化体が示すpH値を低くし環境への二次公害を抑制する
▲3▼有機質およびリン酸含有素材を対象とする固化体形成を可能にする
▲4▼処理材の貯蔵安定性(棚寿命)を確保して品質保証の信頼性を得る
▲5▼安価な材料で容易な施工作業性により生成固化体の強度を確保する
▲6▼環境に与える負荷が小さい工程で製造され、無公害型固化材である
本発明が対応せねばならない課題は、従来技術における関連製品類が、環境問題ならびに枯渇資源に充分な配慮と対処に欠けていた点に課題がある。例えば、従来技術においては、製品の製造過程でエネルギーを多消費して二酸化炭素を環境に大量放出する高温を要して製造されるケースが多く、しかもセメント製品では有害なクロム元素を環境に拡散汚染させており、さらに生成固化体から溶出するアルカリ成分に対する対策が講じられていない等の事実を挙げることができる。
本発明によれば、予め調合される混合原料により調製されるカルシヤガラス、さらにアルカリシラノール基保有のアクティブシリカならびに硫酸根保有のサルフェイトの必須3成分の粉状体で構成されてワンパック化されている処理材において;
上記の混合原料が、ケイ酸塩組成物、カルシヤ組成物ならびにアルミナ組成物の群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせからなる混合原料で構成されており、混合原料の組成成分の基本的割合が、酸化物基準で表してシリカ100質量部に対して、少なくともアルミナを10ないし100質量部およびカルシヤを50ないし350質量部、必要に応じて酸化ナトリウムを1ないし100質量部の範囲で確保されており;
上記のカルシヤガラスが、上記の混合原料を少なくとも820℃で熱処理された熱処理物を100メッシュ篩通過の微粒子に粉砕・分級されたカルシヤガラスの粉状体であり、該熱処理物粉状体の水溶出pHが12未満を示す不活性な粉状体であり;
上記のアクティブシリカが、下記組成式(1)
[式中;Mは水素、ナトリウムもしくはカリウム元素]で表されるアルカリシラノール基と水溶解性ナトリウムを保有しているケイ酸アルカリを主成分とする単一素材、もしくはシラノール基保有のケイ酸化合物とナトリウム塩化合物とが共存している複合素材からなる活性粉状体であり;
上記のサルフェイトが、下記組成式(2)
[式中:Mはアルカリ金属、Zはアルカリ土類金属、Rはアルミニウムまたは3価の鉄、a、b、cは零を含む20以下の数、nは2または3の数、wは零を含む25以下の数]で表される金属元素のオキシ酸塩化合物の塩基性塩ないしは正塩群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせからなる硫酸根含有化合物または組成物類の粉状体であり;
上記のワンパック化が、粒径が100μ以下、好むらくは50μ以下にある不活性なカルシヤガラス100質量部に対して、アクティブシリカを5ないし100質量部、ならびにサルフェイトを3ないし140質量部の量割合で加えた必須3成分を均質に混合することによりワンパック化されており;
上記の処理材が、必須3成分をワンパック化して棚寿命性を確保して、常温水硬性反応により対象素材に対して処理・硬化・結着機能を発揮する処理材が提供される。
本発明によれば、前記の不活性なカルシヤガラスとアクティブシリカとサルフェイトの必須3成分で構成される処理材に対して、さらに補助組成物を加えた4成分で構成されてワンパック化されている処理材において;
上記の補助組成物が、結晶タネ組成物、ナトリウム補充組成物、カルシヤ補充組成物、硫酸根補充組成物、補強材組成物、リン酸根組成物,バリウム塩組成物、鉄塩補充組成物、添加素材組成物、分散媒質組成物、担持体組成物ならびに機能性付与組成物の群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせからなる組成物類であり、該組成物類が粉状体、球状粉状体、繊維状粉状体、フレーク状粉状体もしくは砂状粉状体であり;
上記のワンパック化が、不活性なカルシヤガラス100質量部に対して、活性なアクティブシリカを50ないしは100質量部ならびにサルフェイトを3ないしは140質量部の必須3戦分に加えて、さらに補助組成物を1ないし300質量部の量割合で加えられる4成分が均質に混合ワンパック化されており;
上記の処理材が、処理材の必須3成分に補助組成物加える4成分をワンパック化して棚寿命性が確保されており、常温水硬性反応により対象素材に対して処理・硬化機能を発揮する処理材が提供される。
本発明によれば、前記のケイ酸塩組成物が、酸化物基準で表してシリカを45ないし80質量%、アルミナを5ないし35質量%、酸化鉄を0.1ないし25質量%、アルカリ土金属[MgまたはCa]の酸化物を0.5ないし25質量%含有している層状粘土鉱物、シリケート、アルカリケイ酸塩、含水土質類、熱履歴物ならびに廃ケイ酸塩物の群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせからなるケイ酸塩を主成分とするケイ酸塩組成物である請求項1または2記載の処理材。
本発明によれば、前記の層状粘土鉱物が、アロフェン、ヒシンゲル石、パイロフェライト、タルク、雲母、モンモリロナイト石群、バーミキュル石、リョクデイ石群、カオリナイトならびにイノケイ酸塩の群より選ばれる単独ないしは2種以上の組み合わせからなるフェロケイ酸塩の層状粘土鉱物である請求項3記載の処理材。
本発明によれば、前記のシリケートが、天然もしくは合成のケイ酸塩化合物でウオラストナイト、ゾーノトライトやトバモライトであるケイ酸カルシウムやケイ酸マグネシウム、ケイ石、石英、クリストバライト、オパール石、長石類、沸石、花崗岩・変成岩・流紋岩・礫岩等の岩石鉱物ならびにモルデン石からなるアルミノケイ酸塩鉱物の群から選ばれる単独ないしは2種以上の組み合わせケイ酸塩化合物のである請求項3記載の処理材。
本発明によれば、前記のケイ酸アルカリが、下記組成式(3)
[式中:Mはナトリウムないしカリウム元素、aは0.1ないし4の数、wは16ないし50の数]で表されるケイ酸アルカリの群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせからなるケイ酸アルカリである請求項3項記載の処理材。
本発明によれば、前記の含水土質類が、建設工事現場地盤や副生土、海・湖・沼・河川・ダムに堆積している低質土質、含水粘土質土壌、泥状泥土、有機質土、岩石の風化土、軟弱地盤土壌、粘性・砂質土ならびに下水汚泥の群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせからなり含水量が少なくとも25質量%の含水土質類である処理材が提供される。
本発明によれば、前記の熱履歴物が、ケイ酸塩を主成分とする廃棄物類の焼却灰、乾留処理灰、石炭灰、フライアッシュ、高炉や製鋼スラッグ、火山灰や溶岩の火山噴出物、窯業業界からの排出物ならびにケイ酸塩ガラスの群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせからなり、熱処理履歴を受けているケイ酸塩化合物類である処理材が提供される。
本発明によれば、前記廃ケイ酸塩物が、酸化物規準で表してケイ酸分の含有量が50質量%以上である油分含有の廃白土、浄水時の排出浄水ケーキ、窯業用廃材料、窯業無機質成型品の廃品、建設・土木業界の残土もしくは廃土ならびに化学工業業界から排出されるシリカ系廃棄物類の群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせからなり、熱処理履歴を受けているケイ酸塩化合物類である処理材が提供される。
本発明によれば、前記のカルシヤ組成物が、酸化カルシウムを少なくとも25質量%以上含有しているカルシヤ類組成物、カルシウム塩組成物、廃棄物組成物、セメント組成物ならびに炭カル変性組成物の群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせからなるカルシヤ組成物である処理材が提供される。
本発明によれば、前記のカルシヤ類組成物が、下記組成式(4)
[式中;wは零を含む2以下の数]で表される酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムの群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせからなるカルシヤ成分を酸化カルシウムで表して50質量%以上含有しているカルシウム化合物である処理材が提供される。
本発明によれば、前記のカルシウム塩組成物が、下記組成式(5)
[式中;Tはアルミニウム、ケイ素、窒素、リン、炭素元素群の単独ないし2種以上の組み合わせの元素、Xはハロゲン元素、a、b、cは零を含む10以下の数、mは0.5ないし6の数、wは零を含む28以下の数]で表されるカルシウムのオキシ酸塩化合物の正塩または塩基性塩化合物の群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせからなるカルシウム化合物をCaO酸化物基準で少なくとも30質量%含有しているカルシウム塩化合物である処理材が提供される。
前記の廃棄物組成物が、石灰中和スラッジ、廃石こう、高炉・製鋼スラグである鉱滓類ならびに廃ケイ酸カルシウムの群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせからなるカルシウム塩化合物を主成分とする廃棄物類である処理材が提供される。
本発明によれば、前記のセメント組成物が、ポルトランドセメント、混合セメント(高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント等)、特殊セメント(白色セメント、アルミナセメント,超速硬性セメント、コロイド状セメント、油井セメント、地熱セメント、膨潤セメント)の群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせからなる水硬性セメント鉱物類である処理材が提供される。
本発明によれば、前記の炭カル変性組成物が、炭酸カルシウムを主成分とする炭酸カルシウム類100質量部に対して、塩酸、硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸、ケイ酸、アルミノケイ酸、アルミン酸、ホウ酸ならびにリン酸の群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせからなる酸根を50質量部加えて、980℃以下で熱処理して脱炭酸されている炭カル変性組成物である処理材が提供される。
本発明によれば、前記のアルミナ組成物が、下記組成式(6)
「式中:Mはアルカリ金属、Zはアルカリ土類金属、aは零を含む5以下の数、bは零を含む5以下の数、wは零を含む9以下の数]で表されるアルカリ金属またはアルカリ土類金属のアルミン酸塩もしくは水酸化アルミの群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせからなるアルミニウム化合物である処理材が提供される。
本発明によれば、前記のカルシヤガラスが、既に熱履歴を受けていて、少なくともシリカ、アルミナ、カルシヤで構成されている前記の基本組成割合を満足しているケイ酸カルシウムを主成分とする低結晶ないし非晶質化合物であって、粉砕・分級されて水溶出pHが12未満の不活性な粉状体である処理材が提供される。
本発明によれば、前記のアクティブシリカが、前記組成式(3)で表されるケイ酸アルカリの群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせからなるケイ酸アルカリで構成される活性な単一アクティブシリカの粉状体である処理材が提供される。
本発明によれば、前記のアクティブシリカが、ケイ酸塩原料をナトリウム塩化合物で変性せしめるナトリウム変性ケイ酸塩からなる単一アクティブシリカであり;
上記のケイ酸塩原料が、前記ケイ酸塩組成物から選択されたケイ酸塩化合物類であり;
上記のナトリウム塩化合物が、下記組成式(7)
[式中;Tはケイ素、アルミニウム、窒素、硫黄、炭素、ホウ素、リン元素群の単独ないし2種以上の組み合わせ元素、Xはハロゲン元素、aおよびbは零を含む10以下の数、mは0.5ないし6の数、wは零を含む12以下の数]で表されるナトリウム塩化合物の群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせからなる活性な粉状体であり;
上記のナトリウム変性ケイ酸が、上記のケイ酸塩組成物100質量部に対して、ナトリウム塩化合物を1ないし30質量部、さらに水を50質量部以下の量割合で加えた混合材料を100℃以上で反応変性せしめ、必要に応じて脱水・乾燥して粉砕・分級した粉状体からなる活性なアルカリシラノール基保有のケイ酸ナトリウムを少なくとも50質量%以上含有している活性なナトリウム変性ケイ酸塩の単一アクティブシリカの粉状体である処理材が提供される。
本発明によれば、前記のアクティブシリカが、シラノール基を保有するケイ酸化合物とナトリウム塩化合物を共存せしめた複合アクティブシリカとして構成されており;
上記のシラノール基(−OH)を保有するケイ酸化合物が、含水で非晶質ケイ酸であるヒドロゲル、非晶質ケイ酸であるキセロゲルならびにフェロケイ酸塩化合物の群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせからなる活性な粉粒体であり;
上記の活性なナトリウム塩化合物が、前記組成式(7)で表されるナトリウム塩化合物の群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせからなる活性な粉状体であり;
上記の複合アクティブシリカが、シラノール基保有ケイ酸化合物100質量部に対して、ナトリウム塩化合物を30ないし180質量部の量割合で加えて均質に混合ワンパック化されている活性な複合粉状体である処理材が提供される。
本発明によれば、前記の処理材を構成するカルシヤガラスとアクティブシリカのナトリウム変性ケイ酸の2成分が共存して調製されている複合構成材料において;
上記の複合構成材料が、カルシヤガラスの原料である前記混合原料100質量部に対して、上記ナトリウム変性ケイ酸の原料である前記混合材料を10ないし100質量部加えて混合する混合複合原料を少なくとも820℃で熱処理されて熱処理物とし、次いで該熱処理物を100メッシュ篩通過の微粒子に粉砕・分級されてカルシヤガラスとアクティブシリカのナトリウム変性ケイ酸の2成分が共存している粉状体である処理材が提供される。
本発明によれば、前記の補助組成物である結晶タネ組成物が、下記単位格子組成式(8)
[式中:Mは原子価n:の金属陽イオン、X+Yは単位格子当りの四面体数]で表されるアルミノケイ酸の金属塩のゼオライト構造を有するゼオライトの群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせからなるゼオライトもしくはゼオライト前駆体の粉状体である処理材が提供される。
本発明によれば、前記の補助組成物であるナトリウム補充組成物が、前記組成式(7)で表されるナトリウム塩化合物の群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせからなる活性なナトリウム塩化合物の粉状体である処理材が提供される。
本発明によれば、前記の補助組成物であるカルシヤ補充組成物が、前記組成式(5)で表されるカルシウムのオキシ酸塩化合物の正塩または塩基性塩化合物の群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせからなるカルシウム塩組成物であり、該カルシウム塩組成物がCaO酸化物基準で少なくとも30質量%の酸化カルシウムを含有しているカルシウ厶塩組成物の粉状体である処理材が提供される。
本発明によれば、前記の補助組成物である硫酸根補充組成物が、下記組成式(9)
[式中:Gはナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、アルミニウム、チタン、ケイ素ならびに鉄の群の単独ないし2種以上の組み合わせの元素、hは1ないし8の数、nは2または3の数、wは零を含む10以下の数]で表される各金属元素の硫黄のオキシ酸塩化合物の群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせからなる硫酸根含有塩化合物類の粉状体である処理材が提供される。
本発明によれば、前記の補助組成物である補強材組成物が、金属粉・繊維、ガラス繊維、ロックウール、炭素繊維、鉱物繊維、植物性繊維、有機質繊維、無機質粉粒体、砂、砂利、重量・軽量骨材ならびにカレットの群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせからなる充填材・繊維材もしくは骨材である処理材が提供される。
本発明によれば、前記の補助組成物であるリン酸根組成物が、下記組成式(10)
[式中:Gはナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、アルミニウム、チタン、ケイ素ならびに鉄の群の単独ないし2種以上の組み合わせの元素、hは1ないし8の数、tはG元素原子価÷2の数、wは零を含む10以下の数]で表される各金属元素のリンのオキシ酸塩化合物の群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせからなるリンのオキシ酸塩化合物類の粉状体である処理材が提供される。
本発明によれば、前記の補助組成物であるバリウム塩組成物が、下記組成式(11)
[式中:fは4以下の数、wは零を含む10以下の数]で表されるアルカリ溶液に可溶なバリウム塩群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせからなるバリウム塩化合物の粉状体である処理材が提供される。
本発明によれば、前記の補助組成物である鉄塩補充組成物が、下記組成式(12)
[式中;Tはアルミニウム、ケイ素、硫黄、窒素、リン元素群の単独ないし2種以上の組み合わせの元素、nは2ないし3の数、mは0.5ないし6の数、wは零を含む28以下の数]で表される鉄の各元素のオキシ酸塩化合物の群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせからなる鉄塩化合物の粉状体である処理材が提供される。
本発明によれば、前記の補助組成物である添加素材組成物が、顔料、着色剤および充填剤の群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせからなる添加素材の粉状体である処理材が提供される。
本発明によれば、前記の補助組成物である分散媒質組成物が、カオリン、酸性白土、ベントナイト、ケイソー土、タルク、ゼオライト、石炭灰、ボーキサイト、鉄鉱石、パーライト、石膏、貝殻、ケイ酸塩ガラスならびに火山灰の群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせからなる無機系化合物で100μ以下の粉末、好むらくは10μ以下の微粉末からなる分散媒質組成物である処理材が提供される。
本発明によれば、前記補助組成物である担持体組成物が、表面積100m2/g以上である炭類、非晶質シリカ、活性ケイ酸、活性アルミナならびにゼオライトの群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせからなる吸着性担持体である処理材が提供される。
本発明によれば、前記の補助組成物である機能性付与組成物が、活性剤、磁性体、抗微生物剤、撥水性吸着体ならびに機能性付加剤の群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせからなる機能性付与組成物の粉状体である処理材が提供される。
本発明によれば、前記の処理材からなる単品素材もしくは単品素材に対象素材を複合せしめる複合素材に対して、水系活性剤を共存せしめて改質処理品に改質処理もしくは無機質成型品に加工調製する一連の作業工程により、処理材が有する水硬性反応による対象素材に対する処理・硬化機能を活用する活用方法において;
上記の単品素材が,カルシヤガラスとアクティブシリカとサルフェイトの必須3成分に必要に応じて補助組成物を加えてワンパック化されている処理材の単品であり;
上記の複合素材が、処理材100質量部に対して、砂粒体、充填材、含水土質、汚染素材、吸着性粉体、耐熱性粉粒体、ケイ酸アルカリ系素材ならびにガラクタ集合体の群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせからなる対象素材を1ないし2000質量部を複合混合されている複合品であり;
上記の水系活性剤が、自然水[雨水、河川・湖沼水、たまり水、井戸水、海水]、人工池・ダム水、加工水、産業界における処理水または排水類の群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせからなる処理材の反応起動剤となる水系液体であり;
上記の改質処理品が、単品素材もしくは複合素材により、問題点を有する対象素材を改質処理して低アルカリ性で解消されている改質処理品であり;
上記の無機質成型品が、単品素材もしくは複合素材を加工調製して成型体である硬化体もしくは結着体として使用される無機質成型品であり;
上記の一連の作業工程が、単品素材もしくは複合素材に対して水系活性剤を共存せしめて流動性、可塑性ないしはバサバサ性の混和物とする混和工程、必要に応じて該混和物を成型加工物とする加工工程、次いで該混和物もしくは該成型加工物における水硬性反応を完結せしめる養生工程からなる複数工程であり;
上記の混和工程が、単品素材100質量部に対して、少なくとも15質量部の水系活性剤を介して混和せしめて混和物とする工程であり;
上記の加工工程が、該混和物を特定形状ないし不特定形状に成型加工せしめて成型加工物とする工程であり;
上記の養生工程が、該混和物ないし該成型加工物を2ないし120℃の大気中、酸素レスガス中、水中、海中、土中、溶液中、蒸気中、加温中、減圧中もしくは加圧中の雰囲気の群より選ばれる単独雰囲気中ないし2種以上の組み合わせからなる多段雰囲気中に10分間以上放置する養生条件で改質処理品または無機質成型品とする工程であり;
上記の改質処理品もしくは無機質成型品が、対象素材を対象にして耐水性で耐熱性が確保され、水溶出pHが12未満の低アルカリ性に改質処理または加工調製されており;
上記の活用方法が、処理材を活用して単品素材もしくは複合素材を一連の作業工程に付することにより、対象素材を改質処理品に改質処理する、もしくは処理材または対象素材を素材原料として無機質成型品に加工調製する活用方法が提供される。
本発明によれば、前記の改質処理品または無機質成型品が、耐水性で耐熱性が確保され、水溶出pHが12未満の低アルカリ性であり、対象素材の問題点を解消されている改質処理品、または構造体、複合硬化体、顆粒体、骨材体、付着体、フイルム、含水土改質処理品、無公害化物、固結吸着体、断熱・保温・耐熱材、耐酸材料もしくは一体化物からなる無機質成型品である活用方法が提供される。
本発明によれば、前記の処理材が、該処理材が有する対象素材に対する処理・硬化機能を発揮させ、対象素材に対して水系活性剤を共存せしめる一連の作業工程により改質処理される改質処理品において;
上記の処理材が、カルシヤガラスとアクティブシリカとサルフェイトの必須3成分に必要に応じて補助組成物を加えてワンパック化する処理材であり;
上記の対象素材が、問題点を有する砂粒体、充填材、含水土質、汚染素材、吸着性粉体、耐熱性粉粒体、ケイ酸アルカリ系素材ならびにガラクタ集合体の群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせからなる対象素材であり;
上記の水系活性剤が、自然水[雨水、河川・湖沼水、たまり水、海水]、人工池・ダム水、加工水、産業界における処理水または排水類の群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせからなる処理材の反応起動剤である水系液体であり;
上記の一連の作業工程が、上記の対象素材に対して処理材と水系活性剤を共存せしめて流動性、可塑性ないしはバサバサ性の混和物とする混和工程、必要に応じて該混和物を成型加工物とする加工工程、次いで該混和物もしくは該成型加工物における水硬性反応を完結せしめて改質処理品とする養生工程からなる複数工程であり;
上記の混和工程が、対象素材100質量部に対して、少なくとも処理材10質量部を加え、同時に少なくとも10質量部の水系活性剤を介して混和物とする工程であり;
上記の加工工程が、該混和物を特定形状ないし不特定形状に成型加工せしめて成型加工物とするか工程であり;
上記の養生工程が、該混和物ないし該成型加工物を2ないし120℃の大気中、酸素レスガス中、水中、海中、土中、溶液中、蒸気中、加温中、減圧中もしくは加圧中の雰囲気の群より選ばれる単独雰囲気中ないし2種以上の組み合わせからなる多段雰囲気中に少なくとも10分間放置する養生条件による工程であり;
上記の改質処理品が、対象素材に対して処理材と水系活性剤を共存せしめる一連の作業工程により処理材の処理・硬化機能性を発揮させ、耐水性で耐熱性が確保され、水溶出pHが12未満の低アルカリ性に改質処理されている改質処理品が提供される。
本発明によれば、前記の処理材が、対象素材である含水土質に対して共存せしめる水系活性剤を介する一連の作業工程により改質処理されている改質処理品において;
上記の対象素材が、窒素成分(アンモニヤ態窒素、硝酸態)を水産用水基準における海域での全窒素溶出量の基準値(1mg/L)以上に含有しており、水分を25質量%ないし80質量%の範囲で含有している流動性ないし可塑性の含水土質であり;
上記の一連の作業工程が、含水土質を乾燥物基準で50ないし2000質量部に相当する量に対し、処理材を100質量部を加え、該含水土質の含有水を介して混和する混和工程で混和物とし、該混和物を特定形状に成型加工し、もしくは成型加工することなく水硬性反応を完結せしめて改質処理品とする養生工程からなる複数工程であり;
上記の改質処理品が、処理対象とする含水土質に対して処理材と水系活性剤を共存せしめる一連の作業工程で改質処理され、含水土質の含有窒素成分の溶出量を水産用水質基準値以内に抑制され、耐水性で耐熱性が確保され、水溶出pHが12未満の低アルカリ性に改質処理されている改質処理品が提供される。
本発明によれば、前記の処理材が、対象素材である汚染素材に対して共存せしめる水系活性剤を介する一連の作業工程により改質処理されている改質処理品において;
上記の対象素材が、重金属類[鉛、カドミ、クロム、砒素、水銀]の水溶出試験において、国の定める環境基準値を超えて水可溶性の重金属類を含有しており、水分を少なくとも15質量%含有している汚染土壌地盤の汚染素材であり;
上記の一連の作業工程が、重金属類を含有する原位置土壌地盤もしくは移動せしめた汚染素材の乾燥物基準で50ないし2000質量部に相当する量に対して、粉状体処理材もしくはスラリー状の含水状態処理材を乾燥物基準で100質量部に相当する量で含有水を含めた水を共存せしめて汚染素材に対して機械的に混和もしくは注入せしめる混和工程により混和物とし、次いで該混和物とした処理原位置または移動処理場所における常温の自然条件下に少なくとも24時間放置して水硬性反応を完結せしめて改質処理品とする養生工程からなる複数工程であり;
上記の改質処理品が、処理対象とする汚染素材に対して処理材と水系活性剤を共存せしめる一連の作業工程で改質処理され、汚染素材含有重金属類の水溶出試験量が国の定める環境基準値の範囲内に水不溶化され、簡易型変形性測定試験により測定した外圧による変形性強度値が40KN/m2以下であり、耐水性と耐熱性が確保されて、水溶出pHが12未満の低アルカリ性に改質処理されている改質処理品が提供される。
本発明によれば、前記の処理材が、対象素材である汚染素材に対して共存せしめる水系活性剤を介する一連の作業工程による処理方法により処理されている改質処理品において;
上記の対象素材が、水可溶性塩素分を0.1mg/Lを超える濃度で含有している廃棄物類の焼却灰、汚泥ないし汚染物、海域含水泥土の群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせからなる汚染素材であり;
上記の一連の作業工程が、上記汚染素材の乾燥物基準で100ないし2000質量部に対して処理材100質量部を加えて複合素材を対象にして、少なくとも20質量部の水系活性剤を介して混和せしめる混和工程により混和物とし、該混和物を加工工程にて特定形状ないし不特定形状、もしくは顆粒状に成型加工せしめて成型加工物とし、次いで該成型加工物を常温の自然条件下に少なくとも24時間放置して水硬性反応を完結せしめて改質処理品とする養生工程からなる複数工程であり;
上記の改質処理品が、処理対象とする処理体賞素材の汚染素材に対して処理材と水系活性剤を共存せしめる一連の作業工程で処理され、処理対象とする汚染素材の水可溶性塩素分が0.1mg/L以下に補足・固定化され、改質処理品である顆粒体の荷重強度が4kg以上に確保され、耐水性と耐熱性が確保され、水溶出pHが12未満の低アルカリ性に改質処理されている改質処理品が提供される。
本発明によれば、前記の処理材が、対象素材である汚染素材に対して共存せしめる水系活性剤を介する一連の作業工程による処理方法により処理されている改質処理品において;
上記の対象素材が、ダイオキシン類を国が定める環境基準値を超える濃度で含有している汚染素材であり;
上記一連の作業工程が、ダイオキシン類を含有する原位置土壌地盤もしくは移動せしめた汚染素材の乾燥物基準で100ないし2000質量部に対して処理材100質量部を加えて複合素材を対象にして少なくとも20質量部の水系活性剤を介して混和せしめる混和工程による混和物とし、次いで混和物とした処理原位置もしくは移動処理場所における常温の自然条件下もしくは200℃以下の乾燥条件下に放置して、少なくとも該混和物含有水分が15質量%以下、好むらくは限りなく零である水非存在状態に処理して水硬性反応・処理を完結せしめて改質処理品とする養生工程からなる複数工程であり;
上記の改質処理品が、処理対象とする原位置地盤の汚染素材もしく移動せしめた汚染素材に対して処理材と水系活性剤を共存せしめる一連の作業工程で処理されて、処理材によるダイオキシン類の捕捉・分解作用により、含有ダイオキシン類濃度が国の定める環境基準値以下に捕捉・分解されており、簡易型変形性測定試験により測定した外圧による変形性強度値が40KN/m2以下であり、耐水性と耐熱性が確保されて、水溶出pHが12未満の低アルカリ性に改質処理されている改質処理品が提供される。
本発明によれば、前記の処理材の対象素材に対する処理・硬化機能を発揮させて、該処理材である単品素材もしくは該処理材に対象素材を複合せしめる複合素材に対して、水系活性剤を共存せしめる一連の作業工程を付して成型体に加工調製されている無機質成型品において;
上記の単品素材が,カルシヤガラスとアクティブシリカとサルフェイトの必須3成分に必要に応じて補助組成物を加えてワンパック化する単品の処理材であり;
上記複合素材が、処理材100質量部に対して、砂粒体、充填材、含水土質、汚染素材、吸着性粉体、耐熱性粉粒体、ケイ酸アルカリ系素材ならびにガラクタ集合体の群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせからなる対象素材を1ないし2000質量部を複合混合せしめる複合素材であり;
上記の水系活性剤が、自然水[雨水、河川・湖沼水、たまり水、海水]、人工池・ダム水、加工水、産業界における処理水または排水類の群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせからなる処理材の反応起動剤である水系液体であり;
上記の一連の作業工程が、上記の単品素材もしくは複合素材と水系活性剤を共存せしめて流動性、可塑性ないしはバサバサ性の混和物とする混和工程、必要に応じて該混和物を成型加工物とする加工工程、次いで該混和物もしくは該成型加工物の水硬性反応を完結せしめて無機質成型品とする養生工程からなる複数工程であり;
上記の混和工程が、上記の単品素材もしくは複合素材に対して、少なくとも15質量部の水系活性剤を介して混和せしめて混和物とする工程であり;
上記の加工工程が、該混和物を特定形状ないし不特定形状に成型加工せしめて成型加工物とする工程であり;
上記の養生工程が、該混和物ないし該成型加工物を2ないし120℃の大気中、酸素レスガス中、水中、海中、土中、溶液中、蒸気中、加温中、減圧中もしくは加圧中の雰囲気の群より選ばれる単独雰囲気中ないし2種以上の組み合わせからなる多段雰囲気中に少なくとも10分間放置する工程であり;
上記の無機質成型品が、単品素材もしくは複合素材に対して水系活性剤を共存せしめる一連の作業工程により、構造体、複合硬化体、顆粒体、骨材体、付着体、フイルム、含水土改質処理品、無公害化物、固結吸着体、断熱・保温・耐熱材、耐酸材料もしくは一体化物からなる無機質成型品に調製され、耐水性で耐熱性が確保され、水溶出pHが12未満の低アルカリ性の成型体である無機質成型品が提供される。
本発明によれば、前記の処理材を対象素材に複合せしめる複合素材に水系活性剤を共存せしめる前記の一連の作業工程により硬化体、構造体、複合硬化体、顆粒体ないしは骨材に加工調製されている無機質成型品において;
上記の対象素材が、粒径0.2ないし50mmφで、嵩比重0.2ないし3.5g/ccである砂粒体であり;
上記の一連の作業工程における混和工程が、対象素材である砂粒体1ないし2000質量部に対して処理材100質量部を複合せしめる複合素材を対象にして、該複合素材100質量部に対して、少なくとも15質量部の前記の水系活性剤を共存せしめて均質な混和物とする工程であり、加工工程が、該混和物を特定形状ないし不特定形状に成型加工せしめて成型加工物とする工程であり;
上記の無機質成型品が、砂粒体を対象素材とする複合素材に水系活性剤を共存せしめる一連の作業工程で調製されて、一軸圧縮強度2,000KN/m2以上が確保されている特定形状または不特定形状の硬化体、構造体、複合硬化体、顆粒体ないしは骨材に調製され、耐水性と耐熱性が確保されて、水溶出pHが12未満の低アルカリ性の硬化体、構造体、複合硬化体、顆粒体ないしは骨材である無機質成型品が提供される。
本発明によれば、前記の処理材を対象素材に複合せしめる複合素材に水系活性剤を介する前記の一連の作業工程により付着体に加工調製されている無機質成型品において;
上記の対象素材が、粒径100μ以下の粉末状の充填材であり;
上記の一連の作業工程における混和工程が、調製対象素材である上記の充填材1ないし2000質量部に対して処理材100質量部を複合せしめた複合素材を対象にして、該複合素材100質量部に対して、少なくとも15質量部の水系活性剤を共存せしめて糊状混和物とする工程であり、加工工程が、該糊状混和物を基材類の表面、内面ないし隙間面に塗装、接着、結着、被覆、多層塗り、どぶ浸け、まぶし、貼り付け、吹き付け、流し込みもしくは注入手段による塗布加工せしめて成型加工物とする工程であり;
上記の無機質成型品が、充填剤を対象素材とする複合素材に水系活性剤を共存せしめる一連の作業工程で調製され、剪断破壊付着力2,000KN/m2以上が確保されて付着体に調製され、耐水性と耐熱性が確保されて、水溶出pHが12未満の低アルカリ性の付着体である無機質成型品が提供される。
本発明によれば、前記の処理材を対象素材に前記の充填材を複合せしめて調製しる前記の糊状混和物により、前記の一連の作業工程により粒状体の集合群体を一体化固結せしめて貫通空隙を有している粟オコシ状成型体に加工調製されている無機質成型品において;
上記の粒状体の集合群体が、1〜10mmφの球体、中空体、円柱体、フレーク体、課粒体もしくは不特定粒状体の単独ないしは複数混合の集合体の群であり;
上記の糊状混和物が、上記の充填材10ないし2000質量部に対して処理材100質量部を複合せしめた複合素材を対象にして、該複合素材100質量部に対して、少なくとも15質量部の水系活性剤を共存せしめて混和する糊状混和物であり;
上記の一連の作業工程における加工工程が、粒状体の集合群体に対して、集合群体の粒状体表面全体を濡らすに充分な量で上記の糊状混和物を加えて粒状体表面を被覆し、糊状混和物で被覆される粒状体の集合群体を被特定形状に確保する加工工程であり、
上記の一連の作業工程における養生工程が、被特定形状にある糊状混和物で被覆される粒状体の集合群体を少なくとも常温の大気中に24時間放置する養生工程であり;
上記の粟オコシ状成型体の無機質成型品が、貫通空隙が確保されて一体化固結されている粟オコシ状成型体に調製され、耐水性と耐熱性が確保されて、水溶出pHが12未満の低アルカリ性の粟オコシ状成型体である無機質成型品が提供される。
本発明によれば、前記の処理材を対象素材に複合せしめる複合素材に水系活性剤を介する前記一連の作業工程によりフイルムに加工調製されている無機質成型品において;
上記の調製対象素材が、粒径100μ以下の粉末状の充填材であり;
上記の一連の作業工程における混和工程が、対象素材である充填材1ないし2000質量部に対して処理材100質量部を複合せしめる複合素材を対象にして、該複合素材100質量部に対して、少なくとも15質量部の水系活性剤を共存せしめて流動性ないし可塑性である混和物とする工程であり、加工工程が、該流動性ないし可塑性混和物を金属質もしくは無機質繊維製の織布または不織布と複合せしめて1ないしは20mmの膜状、板状もしくは塗布状の特定形状フイルムに成型加工物とする工程であり;
上記の養生工程が、流動性ないし可塑性混和物を塗布加工せしめて成型されている成型加工物を2ないし120℃の大気中、酸素レスガス中、水中、海中、土中、溶液中、蒸気中、加温中、減圧中もしくは加圧中の雰囲気の群より選ばれる単独雰囲気中ないし2種以上の組み合わせからなる多段雰囲気中に少なくとも10分間放置し、塗布加工されている成型加工物が硬化して必要に応じて型から外し成型加工物とする工程であり;
上記の無機質成型品が、充填剤を対象素材とする複合素材に水系活性剤を共存せしめる一連の作業工程でフイルム状の成型体に調製され、耐水性と耐熱性が確保されて、水溶出pHが12未満の低アルカリ性のフイルムである無機質成型品が提供される。
本発明によれば、前記の処理材を対象素材に複合せしめる複合素材に水系活性剤を介する前記一連の作業工程により含水土改質体に加工調製されている無機質成型品において;
上記の対象素材が、水分を25質量%ないし80質量%の範囲に含有していて流動性ないし可塑性である含水土質であり;
上記一連の作業工程における混和工程が、対象素材である上記の含水土質の乾燥物基準で50ないし2000質量部に相当する量に対して処理材100質量部を加える複合素材を対象にして、含水土質の含有水を介して混和物する工程であり;
上記一連の作業工程における混和工程が、該混和物を特定形状の構造体、容器一体化物または不特定形状顆粒体に成型加工せしめて成型加工物とする工程であり;
上記一連の作業工程における養生工程が、該成型加工物を気中、土中、水中もしくは海水中での養生工程、さらに必要に応じて予め養生工程に付された成型加工物を再度気中、土中、水中もしくは海水中での2段目の養生工程からなる工程であり;
上記の無機質成型品が、一軸圧縮強度で1000KN/m2以上が確保された特定形状もしくは不特定形状含水処理土体に調製されて、耐水性と耐熱性が確保されて、水溶出pHが12未満の低アルカリ性の含水土改質体である無機質成型品が提供される。
本発明によれば、前記の処理材を対象素材に複合せしめる複合素材に水系活性剤を介する前記一連の作業工程により含水処理土体に加工調製されている無機質成型品において;
上記の複合素材において複合される調査対象素材が、水分含有量が少なくとも20質量%含有しているバサバサ状ないし可塑状軟弱地盤の原位置における含水土質であり;
上記一連の作業工程における混和工程が、対象素材である上記の原位置含水土質である軟弱地盤の乾燥物基準で50ないし2000質量部に相当する量に対して、必要に応じて、粉状体処理材の単品素材、または砂粒体が複合された処理材の複合素材、もしくは処理材に水系活性剤少なくとも75ないし120質量部を加えるスラリー状処理材を乾燥物換算で100質量部に相当する量を対象軟弱地盤の原位置の一定範囲ないで含水土質に常圧掘削、加圧下掘削、攪拌注入もしくは加圧注入により押し込み式の混和工程により混和して混和物とする工程であり;
上記一連の作業工程における養生程が、該原位置軟弱地盤の混和物を加工工程に付することなく混和せしめた原位置の自然条件下に24時間以上放置する工程であり;
上記の無機質成型品が、原位置の軟弱地盤において一軸圧縮強度が少なくとも300KN/m2に改質されている軟弱地盤に調製され、耐水性と耐熱性が確保されて、水溶出pH12未満の低アルカリ性の含水処理土体である無機質成型品が提供される。
本発明によれば、前記の処理材を対象素材に複合せしめる複合素材に水系活性剤を介する前記一連の作業工程により無公害物に加工調製されている無機質成型品において;
上記の複合素材において複合される対象素材が、重金属類[鉛、カドミ、クロム、砒素、水銀]の少なくとも1種類の水溶出試験において、国が定める環境基準準を超えて水可溶性の重金属類を含有している汚染素材であり;
上記の汚染素材が、廃棄物類の焼却灰、汚泥ないし汚染物の群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせ汚染素材であり;
上記の一連の作業工程における混和工程が、対象素材である上記汚染素材の乾燥物基準で100ないし2000質量部に対して処理材100質量部を加える複合素材を対象にして、少なくとも20質量部の水系活性剤を介して混和物とする工程であり;
上記の一連の作業工程における加工工程が、特定形状ないし不特定形状、もしくは顆粒状に成型加工処理せしめて成型加工物とする工程である、養生工程が、該成型加工物を自然条件下に少なくとも24時間放置して成型体とする工程であり;
上記の無機質成型品が、顆粒体としたときの荷重強度が4kg以上に確保され、含有重金属類が固定化され水溶出試験の結果が国の定める環境基準値の範囲内で水不溶・固定化され硬化体、構造体もしくは顆粒体の成型体であり、再利用・再資源化可能な無公害化物に調製され、耐水性と耐熱性が確保され、水溶出pHが12未満の低アルカリ性の無公害化物である無機質成型品が提供される。
本発明によれば、前記の処理材を対象素材に複合せしめる複合素材に水系活性剤を介する前記一連の作業工程により吸着性粉体に加工調製されている無機質成型品において;
上記の複合素材において複合される対象素材が、比表面積10m2/g以上である吸着性粉体であり;
上記の一連の作業工程における混和工程が、対象素材である上記吸着性粉体を乾燥物基準で100ないし2000質量部に対して処理材100質量部を加える複合素材を対象として、少なくとも20質量部の水系活性剤を介して混和物とする工程であり;
上記の一連の作業工程における加工工程が、特定形状ないし不特定形状、もしくは顆粒状に成型加工処理せしめて成型加工物とする工程である;
上記の一連の作業工程における養生工程が、該成型加工物を自然条件下に少なくとも24時間放置して成型体とする工程であり;
上記の無機質成型品が、比表面積減少率が40%以内に抑えられている固結吸着体に調製され、耐水性と耐熱性が確保され、水溶出pHが12未満の低アルカリ性の固結吸着体である無機質成型品が提供される。
本発明によれば、前記の処理材を対象素材に複合せしめる複合素材に水系活性剤を介する前記一連の作業工程により断熱・保温・耐熱材に加工調製されている無機質成型品において;
上記の複合素材において複合される理対象素材が、酸化物または非酸化物からなる化合物で粒径が10ないし5000mμである耐熱性粉粒体であり;
上記の一連の作業工程における混和工程が、対象素材である上記耐熱性粉粒体を乾燥物基準で100ないし2000質量部に対して処理材100質量部を加える複合素材を対象として、少なくとも20質量部の水系活性剤を介して混和物とする工程であり;
上記の一連の作業工程における加工工程が、特定形状ないし不特定形状、もしくは顆粒状に成型加工処理せしめて成型加工物とする工程である;
上記の一連の作業工程における養生工程が、該成型加工物を自然条件下に少なくとも24時間放置して成型体とする工程であり;
上記の無機質成型品が、予め熱処理成型することなく現場で施工可能な不焼成の保温・耐火物もしくは500℃雰囲気に暴露した時の耐熱性強度保持率が少なくとも80%確保され断熱・保温・耐熱材に調整されており、耐水性も確保され、水溶出pHが12未満の低アルカリ性の断熱・保温・耐熱材である無機質成型品が提供される。
本発明によれば、前記の処理材を対象素材に複合せしめる複合素材に水系活性剤を介する前記一連の作業工程により耐酸材料に加工調製されている無機質成型品において;
上記の複合素材において複合される対象素材が、前記組成式(3)で表されるアルカリのケイ酸塩化合物群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせからなるケイ酸アルカリの単品、もしくは該ケイ酸アルカリ系素材の単品100質量部に前記の粒径100μ以下の粉末状の充填材または前記の砂粒体を1ないし2000質量部を加えた水ガラス複合品からなるケイ酸アルカリ系素材であり;
上記一連の作業工程における混和工程が、ケイ酸アルカリ単品もしくは水ガラス複合品であるケイ酸アルカリ系素材100ないし2000質量部に対して処理材100質量部を加えた複合素材に対として、ケイ酸アルカリの含有水量を考慮して共存する水の総量が少なくとも20質量部に調整して混和物とする工程であり;
上記一連の作業工程における加工工程が、該混和物を特定形状の構造体、塗布付着体ないし不特定形状の粉粒体・顆粒体に成型加工せしめて成型加工物とする工程であり;
上記の一連の作業工程における養生工程が、該成型加工物を自然条件下に少なくとも24時間放置して成型体とする工程であり;
上記の無機質成型品が、pH3の酸性溶液に浸漬した時の固化体強度保持率が少なくとも80%確保されて耐酸材料に調製されており、耐水性と耐熱性が確保され、水溶出pHが12未満の低アルカリ性の耐酸材料である無機質成型品が提供される。
本発明によれば、前記の処理材を対象素材に複合せしめる複合素材に水系活性剤を介する前記一連の作業工程により一体化物に調製されている無機質成型品において;
上記の複合素材において複合される対象素材が、板状、膜状、球状、粒状、角状、柱状、繊維状、ひも状、塊状もしくはこれら混合物からなるガラクタ物を容器類に収納されて空隙を有するガラクタ集合体であり;
上記の上記一連の作業工程における混和工程ならびに加工工程が、容器類に格納されて空隙を有するガラクタ集合体に対して、処理材に水系活性剤を少なくとも25質量部加えて調整される流動性スラリー体をガラクタ集合体空隙に注入充填して一体化せしめると共にガラクタ集合体を一体化された成型加工物とする工程であり;
上記の一連の作業工程における養生工程が、該一体化される成型加工物を自然条件下に少なくとも24時間放置して成型体とする工程であり;
上記の無機質成型品が、ガラクタ集合体が一体化した固結一体化物調製されており、耐水性と耐熱性が確保され、水溶出pHが12未満の低アルカリ性の一体化物である請求項41載の無機質成型品。
本発明の効果は、従来の水硬性固化材が抱えている諸課題を解消して、棚寿命性が確保されている無公害型の処理材(常温水硬性固化材)を環境に負荷を与えない製造技術で安価に安定して供給し、該処理材の有効な活用・処理技術を提案しならびに該処理材を利用した無機質性成型品を供給し、各業界・各分野で処理処分に窮している材料・廃棄物を有効利用して再資源化して有効利用できる無機質成型品類を提供して、環境問題の解消と循環型社会の構築に貢献することにある。
発明を実施するため最良の形態
1.バックグランド
近年科学技術の進歩と情報メディアのグローバル化で急速な発展は、人類社会をより豊かな社会へと導いた。これら進歩・発展は、地球と人類にさまざまな問題を残し、社会・経済・生活環境に多くの弊害をもたらしている。これら弊害を改善・解消するために、循環型社会の構築が求められている。また、エネルギーや資源活用における地球温暖化の負荷への工夫、廃棄物類の安全で低コストによるリサイクルが求められている。
本発明は、こうした現在の社会的ならびに環境的なニーズに応えられる技術として確立し、循環型社会ならびに地球環境にやさしい環境を保全・構築するため、また枯渇する熱エネルギー源類を確保・保留しておくことを目標に本発明技術を完成させた。
本発明者らは、常温で水硬性反応・処理による処理・硬化機構が環境問題に対処できる多機能性(水硬性固化、付着性、低アルカリ性固化体形成、重金属類の固定化等)を発揮できる処理材であり、該処理材が非セメント系でクロムレス無公害型であり、環境に低負荷型で製造され、製造された処理材が長期貯蔵時に変質しない品質の安定性(棚寿命)が確保される「処理材」を求めて研究開発を重ねて本発明に至った。
また本発明者らは、必要に応じて各種の対象素材を対象として、前記の明処理材に加える水系活性剤を介して行う混和工程、必要に応じて加工工程、次いで養生工程を経る一連の作業工程により、対象素材に対して処理材が有す水硬性反応・処理機能を完結せしめる省エネ型の「処理材の活用利用方法」を求めて研究開発を重ねて本発明に至った。
さらに、前記の処理材により各種の問題点を有する対象素材を前記の一連の作業工程により改質処理して環境に低負荷型で問題点を解消する、例えばる含有重金属類を固定・不溶化する機能性を発揮する「改質処理品」を求めて;さらにまた対象素材に対して前記の処理材を加えて水系活性剤を共存せしめる一連の作業工程により、各種用途・目的に適う構造体、複合硬化体、顆粒体、骨材、付着体、含水土改質処理品、無公素材、固結吸着体、断熱・保温・耐熱材、耐酸材料もしくは一体化物からなる成型体を加工調製して、耐水性と耐熱性を確保され、水溶出pHが12未満の低アルカリ性である「無機質成型品」を求めて研究開発を重ねて本発明に至った。
2.「処理材」の組成内容と棚寿命性
本発明の処理材においては、水硬性機能を発揮するのに必要なカルシヤ成分は予め熱履歴を経て調製されている不活性なカルシヤガラスであり、この不活性なカルシヤガラス加えて活性なシラノール基とナトリウムイオンを保有するアクティブシリカ、さらに硫酸根保有のサルフェイトを加える3成分を基本的に必須な3成分とする。
さらに本発明の処理材においては、必要に応じるオプション形式として、上記の必須3成分に加えて、各種の補助組成物を加えた4成分の粉状体で処理材を構成せしめることが、本発明の処理材に必要に応じた機能性を付加せしめる上で好都合である。
本発明の処理材における特長は、以上の必須3成分ないしは4成分の粉状体類が混合ワンパック化されている粉状体組成物が「棚寿命性」を有していて、水系活性剤との接触により、処理体・硬化体・結着体の形成機能性を発揮するところにある
本発明の処理材が汎用される有用商品として確立されるためには、製造された処理材を貯蔵・保管のために自然環境下に長期間貯蔵放置されても、放置後の処理材が変質・劣化がなく、処理材に水系活性剤を接触せしめて水硬性反応・処理機能の起動が常に充分に発揮できる品質が保証される「棚寿命性」が確保されていることが大変重要である。
一般に水硬性固化材に必須なカルシヤ成分は、自然界における普通の条件下では、気中の水・湿度や炭酸ガス等と敏感に反応を引き起こし,容易に変質して、固化材や処理材に求められている水硬性機能を充分に発揮することができない。即ち,貯蔵を可能にする「棚寿命性」を有しておらず,一般的汎用施工に適応する商品とはならない。
さらに、本発明の処理材に常温での水硬性反応・処理機能を付与するためには、棚寿命性を確保する必要がなければ、本来活性な成分であるカルシヤ成分と活性なシラノール基とナトリウムイオンを保有するアクティブシリカをワンパック化して共存せしめておくことが水系活性剤との反応に即対応して反応を起動させる上で好都合である。
しかるに、気中の水・湿度や炭酸ガス等に敏感で活性なカルシヤと水可溶性ナトリウムイオンを有する材料をワンパック化して共存せしめた状態に置くことは、単に棚寿命性を消失するのみならず、気中の水・湿度と接したときに発生する急速な発熱反応を伴うことから、大変危険な状態にある。
また、水硬性固化材に必須な硫酸根成分は、一般に塩基性塩もしくは中性塩の硫酸化合物として存在するか、結晶水をもった安定な化合物として供給されている。したがって、これらの硫酸塩化合物に施工に際して求められる水和機構をさらに期待することはできず、必要に応じて結晶水を部分的にも脱水してから使用していることからコストが高騰し、しかも安定した「棚寿命性」を期待することはできない。
勿論、処理材に必要な活性な数種の構成成分をワンパック化させることなく、これら構成成分を別途・別個にそれぞれ施工現場に持ち込み、施工現場で計量・混合して、目的の施工作業を実施することを本発明は排除するものではないが、施工現場で各必要原料をそれぞれ計量して混合して施工作業に付することは、実際に大変な煩雑な作業となり、実用的でなく、ワンパック化された商品による施工作業性とは比較にならない。
本発明処理材における棚寿命性は、処理材に必要なカルシヤ成分を予め混合原料して調合し、次いで少なくとも820℃以上の温度で熱処理し、次いで粉砕・分級して微粒子粉状体にすることにより、共存するカルシヤ成分を一部低結晶化もしくは非晶質化せしめて水溶出pHが12未満の不活性な材料に改質しておく工夫により、ワンパック化されても、処理材としての棚寿命性を確保することができる。
本発明で予め調製されるカルシヤガラスが、水溶出pHが12未満であることは、カルシヤガラスから水へのカルシヤ等のアルカリ成分溶出が少なく、カルシヤ成分が不活性化されていることを示しており、ワンパック化した処理材を自然条件下に暴露したときに自然雰囲気に共存している湿気・水や炭酸ガスとの反応性に鈍感であり、貯蔵安定性の棚寿命性が確保できる条件を生み出している。
したがって本発明処理材は、予め調合される混合原料を熱処理した不活性粉状体のカルシヤガラスに対して、活性なアルカリシラノール基を保有するケイ酸を主成分とするアクティブシリカならびに硫酸根を保有するサルフェイトの粉状体を加えた必須3成分に加えて、さらに目的用途に応じて、各種補助組成物を加えた4成分により省エネ型で無公害型でワンパック化されて棚寿命性に安定な処理材として提供することができる。
3.処理材を構成する「カルシヤガラス」
本発明において棚寿命性を確保するに必要なカルシヤガラスは、原料となる混合原料の対象原料であるケイ酸塩組成物、カルシヤ組成物もしくはアルミナ組成物を適宜選択して所定量混合して、次いで少なくとも820℃における15分間の熱処理に付した熱処理物とし、該熱処理物を粉砕・分級して少なくとも100メッシュ篩通過の微粉末として調製することが好ましい。
本発明におけるカルシヤガラスの原料となる混合原料は、混合原料に必須なカルシヤ、シリカおよびアルミナの3成分を、さらに必要に応じて酸化ナトリウムを加えた4成分を下記に示す少なくともケイ酸塩組成物、カルシヤ組成物ならびにアルミナ組成物の3組成物、さらに必要に応じて各成分の単品類から適宜選択・組み合わせて、下記に示す基本的割合の範囲を満足する量割合で混合されていることが好ましい。
しかし、混合原料として選択混合されるケイ酸塩組成物、カルシヤ組成物ならびにアルミナ組成物には、カルシヤ、シリカおよびアルミナ、必要に応じて酸化ナトリウムをそれぞれ単一組成物内に既に複数組み合わせて複合含有している場合がある。この場合、混合原料の組成内容に対応して、必要に応じて過不足成分を補い、あるいは二成分の組成物ないし単一組成物により混合原料の原料とすることが可能である。
本発明の混合原料に選ばれる材料は、活性な材料に限定されることはなく、従来技術における固化材の原料として採択されなかった不活性な炭酸カルシウムや結晶性ケイ酸塩、水分を担持・吸着もしくは結晶水として含有している材料、非酸化性物質材料ならびに不活性だが高温でガラスを形成しやすい材料を選び採択することができる。
ただし、水分や炭酸等を含有している原料、もしくは非酸化性物質である原料、もしくは不活性な原料では、少なくとも820℃の酸化雰囲気における熱処理により、含有されている水分や炭酸等は熱により分解・揮発・発散し、非酸化性物質ならびに不活性な原料は熱酸化を伴う反応により、本発明のカルシヤガラスを形成可能である。ただし、これらの原料では熱処理で生じる質量変化に充分配慮して選択・配合する必要がある。
本発明の混合原料に好適なケイ酸塩組成物は、併用されるカルシヤ組成物ならびにアルミナ組成物の組成内容に左右されるが、基本的に酸化物基準で表してシリカを45ないし80質量%、アルミナを5ないし35質量%、酸化鉄を0.1ないし25質量%、アルカリ土金属の酸化物を0.5ないし25質量%の範囲で含有しているケイ酸塩組成物を適宜・調合・選択して採択することが好ましい。
本発明における混合原料に好適に選ばれるケイ酸塩組成物としては、層状粘土鉱物、シリケート、アルカリケイ酸塩、含水土質類、熱履歴物ならびに廃ケイ酸塩物の群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせからなるケイ酸を主成分とするケイ酸塩組成物を挙げることができる。
ケイ酸塩組成物である層状粘土鉱物としては、フェロケイ酸塩である非晶質アロフェンやヒシンゲル石ならびに結晶性フェロケイ酸塩(2:1層型のパイロフェライト、タルク、雲母群、モンモリロナイト石群、バーミキュル石;2:2層型のリョクデイ石群;1:1層型のカオリナイト)とイノケイ酸塩等を好適に挙げることができる。
上記層状粘土鉱物は、本発明でいずれも採択できるが、入手の容易さならびに反応性等から含水フェロケイ酸塩鉱物である2:1層型で2八面体型もしくは3八面体型のスメクタイ族の含水フェロケイ酸塩鉱物を主成分とする層状粘土鉱物が好適である。
しかし、含水のフェロケイ酸塩鉱物は天然の鉱物であることから、一般には不純物が共存されている。したがって、不純物を共存している含水の層状粘土鉱物の場合、層状粘土鉱物における有効成分を少なくとも50質量%以上含有している粘土鉱物であれば、本発明の目的を損なうことなく層状粘土鉱物として採択することができる。
一般にフェロケイ酸塩鉱物からなる層状粘土鉱物は、水分20ないし35質量%含有している。しかし、層状粘土鉱物は乾燥粉末であることが好ましい。したがって、含有水分量が25質量%以下、好ましく20質量%以下の量で乾燥粉末状態に調整され、しかも粉末度は、実質的に65メッシュ篩を少なくとも80質量%以上通過する粉末であることが反応性ならびに作業性等から好ましい。
ケイ酸塩組成物であるシリケートとしては、天然もしくは合成のケイ酸塩化合物でウオラストナイト、ゾーノトライトやトバモライトであるケイ酸カルシウムやケイ酸マグネシウム、ケイ石、石英、クリストバライト、オパール石、長石類、沸石、花崗岩・変成岩・流紋岩・礫岩等の岩石鉱物ならびにモルデン石からなるアルミノケイ酸塩鉱物の群から選択される単独ないしは2種以上の組み合わせからなるケイ酸塩化合物から選択することができる。
シリケートの具体的例としては、天然または合成のケイ酸塩化合物を少なくとも50質量%含有する結晶性アルミノケイ酸塩や土木、窯業、化学等の工業界で汎用される結晶性アルミノケイ酸塩類、他のアルミノケイ酸塩化合物類を好適に挙げることができる。
また、天然産のアルミナを主成分とするボーキサイト、ケイ酸カルシウム、シリカ鉱物であるケイ石、石英、トリジマイト、クリストバライト、オパール、長石、カリ長石、斜長石、沸石、モルデン石等の精製した粉砕品をシリケート(SGMS2)として好適に採択することできる。また、シリケートとして一般的にケイ酸塩溶液(例えば水ガラス等)から酸もしくはアルカリで中和して沈殿生成せしめる含水ゲル状もしくは乾燥せしめた無水の非晶質シリカ、又は四塩化ケイ素等のハロゲンケイ素を酸素雰囲気の気層酸化で生成させた無水の非晶質シリカ等の合成ケイ酸塩化合物も好適に挙げるができる。
ケイ酸塩組成物であるケイ酸アルカリとしては、下記組成式(3)
[式中:Mはアルカリ金属、aは0.1ないし4の数、wは1.6ないし50の数]で表されるケイ酸アルカリの群より選択される単独ないし2種以上の組み合わせケイ酸アルカリを挙げることができる。
アルカリケイ酸塩のアルカリ金属は、一般に入手容易であり、安価であることから、ナトリウムが好適である。また、本発明の処理材を構成する基本成分として、ナトリウム塩化合物必須であり、アルカリケイ酸塩からケイ酸とナトリウムを同時に補給できることから好ましい。
しかし、本発明の目的・用途および作業性等によっては、カリウムやリチウムを単独もしくはナトリウムと組み合わせたアルカリ金属からなるアルカリケイ酸塩を採択することもできる。また、アルカリ土類金属成分(カルシヤやマグネシヤ成分)が混在しているアルカリのケイ酸塩を本発明では採択することもできる。
アルカリケイ酸塩のナトリウム塩は、水ガラスとしてJIS化されており、工業的にも大量生産されており、また粉状体での製品もあり好適である。しかし、アルカリケイ酸塩は、一般的に液状態で製品化されているが、液状態のアルカリケイ酸塩では、液体の担持・吸収能力を有する本発明の混合原料類に担持・吸収させて採択することができる。
ケイ酸塩組成物である含水土質類としては、建設工事現場地盤や副次的に発生する副生土、海・湖・沼・河川・ダム等におけるヘドロ等の堆積土質、天然粘土質土壌、泥状泥土、有機質土、岩石風化土、軟弱地盤土壌、粘性・砂質土、浄水場から排出される浄水ケーキならびに下水汚泥の群から選択される単独ないし2種以上の組み合わせの少なくとも25質量%含水の含水土質類を挙げることができる。
特に、浄水場から排出される浄水ケーキは、都市部における水利用と相伴って、一定組成条件で大量に排出されており、処理処分に窮していることから、本発明における混合原料のケイ酸塩組成物としては大変好適である。
ケイ酸塩組成物に含水土類を採択する時は、続く熱作業工程のため含水土類の含有水分量は可能な限り少量であることが好ましい。含水土類を選択するときは、含有水分は予め脱水・乾燥等による脱水調整をしてから熱処理に付することが好ましい。
ケイ酸塩組成物である熱履歴物としては、ケイ酸塩を主成分とする廃棄物類の焼却灰、乾留処理灰、火力発電所から排出される石炭灰やフライアッシュ、高炉や製鋼から排出されるスラグ、火山噴火により発生する火山灰等の火山噴出物、窯業業界からの排出物ならびにケイ酸塩ガラスの群から選択される単独ないし2種以上の組み合わせからなる熱履歴のあるケイ酸塩化合物類を選択することができる。
本発明の熱履歴灰として有効な火山灰は、火山活動による噴出物のケイ酸アルミニウムを主成分とする火山灰や火山灰を主成分として風化変質した火山灰質粘土等を好適に採択することができる。火山灰が硫酸根等を含有する場合、含有硫酸根が処理材の構成成分として有効な硫酸源としての役割を果たすことができる。
火山噴出物は、火山活動による噴出した噴出物や過去に噴出した堆積物の火山灰や火山スコーリャのケイ酸アルミニウムを主成分としているが、その噴出母体の火山帯等によって組成は異なり、ケイ酸アルミニウムの他にアルカリ土類金属のカルシヤやマグネシヤ、微量だが鉄、マンガン等の重金属類が共存している。しかし、これら微量含有成分、特に鉄等の成分は、本発明の処理材(S)の構成成分としても有用である。
本発明の熱履歴灰として採択されるケイ酸塩ガラスは、ケイ酸を主成分として高温で溶融されてガラス化したガラス類ならびにガラスの廃棄物類のガラス質ケイ酸塩を窯業業界から排出される熱履歴を受けているケイ酸塩系廃棄物類と共に挙げることができる。
ケイ酸塩組成物である廃ケイ酸塩物としては、酸化物規準で表してケイ酸分の含有量が50質量%以上である油分含有の廃白土,製紙業界から排出されるペーパースラジやペーパースラジ灰、アルミニウムの製造原料であるボーキサイトを処理して排出される赤泥、窯業関連廃材料、窯業製品の廃品、建設・土木業界の残土や廃土ならびに化学工業業界から排出されるシリカ系廃棄物類の群から選択される単独ないし2種以上の組み合わせからなるケイ酸塩化合物類を主成分とする廃棄物類が好適である。
特に、廃白土やペーパースラジ等は、熱処理時に必要な可燃エネルギーを有していることから好ましい。また、赤泥は、処理材に必要なナトリウム成分を含有していることから好ましい。
特に、サラダ油や動物油等の食用油類を精製する際の脱色精製剤として酸性白土を活性化せしめて製造された活性白土を使用しているが、ここに廃棄される油分を含有している廃白土は、油分を含んでいることから発火ならびに腐敗による危険性があり、その処理処分には窮している。廃白土をケイ酸塩組成物として混合原料に採択することは、含有する油分を後の熱作業工程のエネルギー源としても活用できることから好適である。
勿論、ケイ酸塩組成物に好適な原料組成物類は、本発明目的用途ならびに各原料の置かれている社会的・経済的・環境的状況に応じて、各原料の群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせの混合で構成せしめて本発明の混合原料とすることは大変好ましい。
本発明の混合原料に好適なカルシヤ組成物としては処理材(S)の目的・用途に応じて各種カルシヤ化合物ならびに天然鉱物、工業薬品、産業廃棄物類、変性加工品等の中から適宜選ぶことができる。
特に、本発明混合原料に好適なカルシヤ組成物としては、酸化カルシウムを25質量%以上含有しているカルシヤ類組成物、カルシウム塩組成物、廃棄物組成物、セメント組成物ならびに炭カル変性組成物の群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせからなるカルシヤを主成分とするカルシヤ組成物から適宜選択して採択することができる。
カルシヤ組成物を代表するカルシヤ(生石灰:酸化カルシウム)は、水と激しく反応して多量の熱量(1モルで15540cal.)を発生するので取扱いには充分注意を要する。また、カルシウムの酸化物ならびに水酸化物は、空気中の炭酸や水と敏感に反応して、炭酸塩や水酸化物に変質してしまう。しかるに、本発明では混合原料(SGM)は熱処理されて不活性な材料に調製されることを考慮して採択すればよい。
また、カルシヤ組成物を代表するカルシヤ化合物は一般的に、カルシウム元素と周期律表上同族元素であるアルカリ土類金属のマグネシウム、亜鉛、ストロンチウムならびにバリリウム元素等が混在共存している場合があるが、10質量%以下の量で混在する限り、本発明の基本的化学反応ならびに特定される機能的効果を損なうものではない。
カルシヤ組成物に採択されるカルシヤ類組成物としては、下記組成式(4)
[式中;wは零を含む2以下の数]で表される酸化カルシウムまたは水酸化カルシウムの群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせからなるカルシヤ成分を酸化カルシウムで表して50質量%以上含有しているカルシウム化合物から選択することができる。
カルシヤ標準組成物の具体的な例としては、天然もしくは合成、さらに副生されるカルシヤを主成分とする酸化カルシウム(生石灰)もしくは水酸化カルシウム(消石灰)を挙げることができる。これらのカルシヤ類組成物(SGMC1)のカルシヤは、石灰岩等の炭酸カルシウムを約950℃以上の熱雰囲気下で脱炭酸して生石灰として大量に生産されており、鉄鋼、化学工業、紙、建材、肥料、農薬、土壌改良等の広い分野で使用されており、安価で入手が容易である。
また、水酸化カルシウム(消石灰)は、生石灰として調製された酸化カルシウムに水を加えて消化させることにより生産されており、化学工業(砂糖、皮革、晒粉)、建築・建材、肥料、農薬、土壌安定処理等の広い分野で大量に使用されており、安価で入手が容易であり、本発明の代表敵カルシヤ組成物として好適に採択することができる。
カルシヤ組成物に採択されるカルシウム塩組成物としては、下記組成式(5)
[式中;Tはアルミニウム、ケイ素、窒素、リン、炭素元素群の単独ないし2種以上の組み合わせの元素、Xはハロゲン元素、a、b、cは零を含む10以下の数、mは0.5ないし6.0の数、wは零を含む28,0以下の数]で表されるカルシウムのオキシ酸塩化合物の正塩または塩基性塩化合物の群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせからなるカルシウム化合物を酸化物基準で少なくとも30質量%含有しているカルシウム塩化合物から選択することができる。
カルシヤ塩組成物の具体的な例としては、天然鉱物、もしくは工業薬品、さらには副生される廃棄物類の中から、塩基性ないし正塩化合物であるアルミン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、硝酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン鉱石、炭酸カルシウム、石灰石、塩化カルシウム等を好適に挙げることができる。
カルシヤ組成物に選択されるカルシヤ塩組成物の中でも炭酸カルシウム類は、大理石、石灰岩、廃棄貝殻等ならびに合成炭酸カルシウム等は入手が容易であり好適である。しかも本発明においては、カルシヤ塩組成物を原料とする混合原料を熱処理することから、予め脱炭酸工程を実施する必要がなく、炭酸カルシウム類を直接混合原料の原料とすることが可能である。
カルシヤ組成物に採択される廃棄物組成物としては、石灰中和スラッジ、副生ないしは石こうボードからなる廃石こう、高炉や製鋼のスラグである鉱滓類ならびに保温・断熱材の廃ケイ酸カルシウムの群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせからなるカルシウム塩化合物を主成分とする廃棄物類から選択することができる。
カルシヤ組成物に採択されるセメント組成物としては、ポルトランドセメント、混合セメント(高炉セメント、シリカセメント、フライアッシュセメント等)、特殊セメント白色セメント、アルミナセメント,超速硬性セメント、コロイド状セメント、油井セメント、地熱セメント、膨潤セメントの群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせからなる水硬性セメント鉱物類から選択することができる。
カルシヤ組成物に採択される炭カル変性組成物としては、炭酸カルシウムを主成分とする炭酸カルシウム類100質量部に対して、塩酸、硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸、ケイ酸、アルミノケイ酸、アルミン酸、ホウ酸ならびにリン酸の群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせからなる酸根を50質量部加えて980℃以下で熱処理して脱炭酸されている炭カル変性組成物から選択することができる。
カルシヤ組成物に選択される炭カル変性組成物の具体的な例は、炭酸カルシウムを主成分とする天然の霰石、方解石、大理石、貝殻等100質量部に対して、塩酸、硫酸、亜硫酸、硝酸、亜硝酸、ケイ酸、アルミノケイ酸、アルミン酸、ホウ酸ならびにリン酸の群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせの酸根を少なくとも30質量部加えて、1000℃を超えない範囲で熱処理して脱炭酸処理されている炭カル変性組成物を好適に挙げることができる。
特に、ホタテや牡蠣等の貝殻は、カルシウム成分原料として宝庫である。しかし、貝殻は炭酸カルシウムが主成分であることから有効利用されずに放置され処分に窮している。この貝殻を本発明の混合原料の原料として採択することは、貝殻の再利用につながり有効である。しかも、貝殻を原料として海底ドロ等の固化再資源化に応用することは、処理処分せねばならない廃棄物(ヘドロ等)を海産物の廃棄物を利用して再資源化して、海の環境を改善できることは大変好ましい。
本発明の混合原料を構成するアルミナ組成物としては、下記組成式(6)
[式中:Mはアルカリ金属、Zはアルカリ土類金属、aは零を含む5.0以下の数、bは零を含む5.0以下の数、wは零を含む9.0以下の数]で表されるアルカリ金属またはアルカリ土類金属のアルミン酸塩もしくはアルミナ水和物の群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせからなるアルミニウム化合物の粉末組成物を処理材(S)の使用目的/用途に応じて適宜選択・組み合わせて採択することができる。
アルミナ組成物の具体的な例としては、イオン性アルカリに可溶なアルミナ含有化合物を好適に挙げることができる。特に、工業薬品の水酸化アルミニウムを好適に挙げることができる。さらにボーキサイト、石炭灰、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム等の各種アルミニウム含有化合物や鉱物類を採択することができる。さらに、本発明カルシヤガラスの調製に際しては、酸化雰囲気での熱作業工程があることから一定条件下で金属アルミニウムを選ぶこともできる。
本発明の混合原料においては、上記の各原料類の組成内容を考慮して、酸化物基準で表してシリカ100質量部に対して、少なくともアルミナを10ないし100質量部およびカルシヤを15ないし150質量部、必要に応じて酸化ナトリウムを1ないし30質量部の範囲にある基本組成割合が確保されるように選び組み合わせて混合原料とすることが好ましい。なお、混合原料に関する基本組成割合において、各原料が熱処理により放出減量する成分(例えば:水、炭酸ガス、硝酸根、有機質成分等)を含んでいる場合は、それら放出減量成分を考慮して、混合原料の配合内容を決定する必要がある。
本発明の混合原料において、シリカ100質量部に対して、構成するカルシヤ成分が15質量部より少ないときは、本発明の処理材)において、水系活性剤とナトリウム塩化合物との反応で起動されて活性化されるカルシヤの役割を充分に果たすことができない傾向にある。また、カルシヤ成分が150質量部より多くなると形成されるシロキサン結合からなるシリカポリマーのネットワーク構造が弱くなり本発明の目的を有効に達成することはできない。
また、混合原料を構成するアルミナが15質量部より少ないときは、活性無機質成型品の機能に必要なゼオライトもしくはゼオライト前躯体の生成が未完に終わり好ましくなく、また100質量部より多くなるとシロキサン結合からなるシリカポリマーのネットワーク構成が弱くなり本発明の目的を効率よく達成することができない。
本発明においては、処理材の構成成分としてカルシヤガラスに加えて、ナトリウム塩化合物の配合を必須成分としていることから、カルシヤガラスに既に酸化ナトリウム成分が共存していることは構わない。したがって、混合原料を構成する組成物成分に酸化ナトリウムが30質量部の範囲で共存する原料組成物を選択することは構わない。
以上の各成分・組成物を選択・組み合わせて混合配合された混合原料は、少なくとも820℃にて少なくとも15分間保たれる熱作業工程を受けて、ケイ酸塩を中心とする低結晶化ないしはカラス化が達成された不活性化合物のガラス質で水溶出pHが12未満に調製されていることから本発明の目的に適うカルシヤシリカとして好ましい。
熱作業工程において、820℃より低い温度での熱処理では、混合原料の低結晶化・ガラス化反応が充分でなく、ガラス質で不活性なカルシヤガラスとしては満足でなく、熱処理物の水溶出pHが12未満を満足することはできず、貯蔵安定性を含む本発明処理材としての機能ならびに棚寿命性を同時に充分に発揮させることはできない。
本発明において不活性化を確実に完成せしめるためには、混合原料の組成内容によっては、820℃より高い温度での熱作業工程が好ましい場合がある。しかし、熱処理の温度条件が1000℃より高くても本発明のカルシヤガラスとするガラス化条件として問題はないが、高温になることはエネルギーの無駄な消費となり、好ましくない。
本発明の混合原料を熱処理して回収した熱処理物は、当業界公知・公用の乾式による粉砕方法により,少なくとも100メッシュ篩通過の微粉末として分級回収されるカルシヤガラスを構成成分とする本発明の処理材は、水を介した反応を速やかに起動させ、しかも処理材に求められる機能性を充分に発揮することから好ましい。
特に本発明においては、カルシヤ組成物に採択されている製鉄所の高炉や製鋼から排出されるスラグ類ならびに炭カル変性組成物類は、熱履歴を受けてケイ酸カルシウムを主成分として本発明のカルシヤガラスに求められるシリカ、アルミナ、カルシヤの基本組成割合を既に満足している。
しかも、これらの熱履歴を既に受けているカルシヤ組成物類の粉砕品は、水溶出pHが12未満を満足していて既に不活性化されていることから、さらなる熱エネルギーを必要とする熱作業工程を施すことなく、本発明の処理材に求められる棚寿命性が既に確保されるカルシヤガラスとして、本発明の処理材の構成成分として直接採択して配合することができることから好ましい。
4.処理材を構成する「サルフェイト」
本発明の処理材においては、不活性化したカルシヤガラスの粉状体と活性なアクティブシリカの粉状体からなる必須構成成分に加えて、サルフェイトの粉状体を水和誘導剤として所定量加えてワンパンク化することにより、本発明の硬化体マトリックスを構成するシリカポリマーからなるネットワーク骨格の隙間にサルフェイトからなる水和結晶を沈着生成せしめて緻密な固化体マトリックスを形成する上で重要である。
本発明のサルフェイトとしては、本発明の目的・用途に応じて各種硫酸根を保有する化合物または組成物を好適に選択配合することがきる。しかし、本発明処理材により形成される硬化体に緻密性を付与して強度を有効的に補強できるサルフェイトとしては、特に含水結晶を形成する硫酸カルシウム類を好適に挙げることができる。
本発明のサルフェイトとしては、一般的に下記組成式(2)
[式中:Mはアルカリ金属、Zはアルカリ土類金属、Rは3価のアルミニウムないし鉄、a、b、cは零を含む20以下の数、nは2または3の数、wは零を含む25以下の数]で表される金属元素のオキシ酸塩化合物の塩基性塩または正塩の群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせからなる硫酸根保有化合物や組成物を挙げることができる。
さらに、本発明におけるサルフェイトとしては、上記の一般的組成式(2)で示される硫酸根保有組成物をさらに分類して、カルシウムの硫黄のオキシ酸塩を主成分とする石こう型組成物、硫酸アルミニウムを主成分とする明礬型組成物ならびに硫酸ナトリウムを主成分とする芒硝型組成物の3種類を本発明のサルフェイトとして好適に挙げることができる。
サルフェイトの石こう型組成物としては、下記組成式(2−A)
[式中:Zはアルカリ土類金属のカルシウムないしマグネシウム、bは10以下の数、nは2または3の数、wは零を含む2以下の数]で表されるカルシウムの硫黄のオキシ酸塩を好適に挙げることができる。
石こう型組成物である硫酸カルシウムは、温度により結晶水が相互転換する2水塩、半水塩、無水塩の7種類が知られている。本発明では、いずれの石こうも採択が可能であり、本発明の目的に及ぼす効果に大きな差はない。ただ、石こうの入手の容易さから2水塩石こうが一般的である。
また、石こう型組成物である硫酸カルシウムは、リン酸の製造ならびに顔料等の酸化チタン(チタン白)の製造の際に副生して処分に窮している廃石こうを好適に選びことができる。また、建築業界で多量に使用されている石こうボードが建設廃材となる廃石こうボードが乾式で回収されることからサルフェイト原料として好適に採択することができる。
サルフェイトの明礬型組成物としては、下記組成式(2−B)
[式中:Mはアルカリ金属元素類、Rは3価のアルミニウムないし鉄、aは0.2ないし20の数、cは1ないし20の数、wは零を含む25以下の数、nは2または3の数]で表されるアルカリ金属を含むアルミニウムまたは鉄の硫黄のオキシ酸塩の塩基性塩もしくは正塩の群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせの明礬型組成物を挙げることができる。
明礬型組成物であるアルカリ金属のアルミニウムまたは鉄の硫黄のオキシ酸塩としては、硫酸アルミニウムと硫酸カリウムとの混合溶液から生成する正八面体の複塩結晶が代表的である。本発明の硫酸根組成物として、組成式(2−B)におけるaが零のる硫酸アルミニウムならびに硫酸鉄も有効に採択することができる。
しかも本発明の処理材は、形成される固化・硬化体にゼオライト類の生成を期待することから、アルミニウム成分の共存は好ましい。したがって、本発明においては、硫酸根成分と共にアルミニウム成分が共存している明礬型組成物は大変有効である。また、重金属類の固定化対象としてひ素が共存するときは、鉄イオンの共存が固定化に有効であり、この面からも鉄含有の明礬型組成物(2−B)は有効であり効果的である。
したがって、工業薬品の水処理材等として汎用されている粉状体の硫酸アルミニウム(バンド)は、本発明のサルフェイト原料として好適であり、さらに粘土等の鉱物を硫酸処理したときに廃酸として副生される鉄を含んだ含鉄硫酸アルミニウムは、好適に採択することができる。
硫酸根組成物の芒硝型組成物としては、下記組成式(2−C)
[式中:Mはアルカリ金属元素、aは1ないし20の数、wは零を含む20以下の数、nは2または3の数]で表される塩基性塩もしくは正塩のリチウム、ナトリウムもしくはカリウムであるアルカリ金属の硫黄のオキシ酸塩化合物群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせの芒硝型組成物を好適に挙げることがきる。
芒硝型組成物(2−C)であるリチウム、ナトリウムもしくはカリウムであるアルカリ金属の硫黄のオキシ酸塩化合物の代表化合物は、芒硝(硫酸ナトリウム)もしくは無水塩として天然に産し、また石灰芒硝である石こうとの複塩として岩塩産地で産する。
工業的には、人絹や廃液等の廃液処理時の副生芒硝等として副生されている。不純物を含む天然または合成・副生の芒硝も好適に採択することができる。またカリウムを含む複塩や塩基性塩、アルカリ土類金属の塩化合物、炭酸塩を共存している混合塩等を含む化合物も、芒硝型組成物として好適に採択することができる。
しかも、芒硝型組成物におけるサルフェイトのアルカリ金属がナトリウムである場合は、併用されるナトリウム塩化合物として配合されて含有するナトリウム元素の量を勘案する必要があり、本発明の処理材全体に占める酸化ナトリウムの量を20質量%の範囲になるようサルフェイトおよびナトリウム塩化合物の種類と配合量を厳しく調整して配合する必要がある。
本発明の処理材において、本発明の目的・用途と求められる機能性に応じて選ばれるシリカガラス、アクティブシリカならびにサルフェイト原料類が、その役割を共有する場合がある。こうしたケースでは、処理材用原料としての数量は減少するので好適であるが、その機能性と役割に必要な量比を充分に考慮して選択する必要がある。
5.処理材を構成する「アクティブシリカ」
本発明の処理材は、予め調合された混合原料を熱処理により調製した不活性なカルシャガラスの粉状体に対して、後述するサルフエイトと共に活性なアクティブシリカの粉状体を反応起動剤として所定量を加えてワンパック化して棚寿命が確保されて硬化体形成を形成せしめる処理材として提供することができる。
本発明で処理材の必須構成成分として採択されるアクティブシリカは、活性アルカリシラノール基と水溶解性ナトリウムを保有しており、処理材が水系活性剤を介して反応を起動するときの反応起動剤としての役割を果たすので大変重要である。
一般に、アルカリシラノール基は、ケイ酸もしくはケイ酸塩にアルカリを反応せしめて生成するシラノール基のアルカリ塩として生成する。本発明のアクティブシリカは、イオン性アルカリを保有するアルカリシラノール基保有化合物を総称していう。
特に本発明においては、処理材に水系活性剤が接して起動する反応は、アクティブシリカに水系活性剤が接して反応が起動して複製するアルカリが共存するカルシヤガラスのケイ酸カルシウムやケイ酸アルミニウムと反応することによりアルカリが固定化されて水不溶性のアルミノケイ酸のアルカリ塩化合物(ゼオライト類)を生成することが基点となっている。
ここに生成したポリシロキサン結合からなるシリカポリマーで形成される基礎骨格であるネットワークマトリックの形成と並行して、共存するサルフェイト成分の硫酸カルシウムやカルシヤガラス成分からのケイ酸カルシウム等ならびにアルミノケイ酸のアルカリ塩等の水和鉱物がネットワークマトリックの隙間に沈着生成して、本発明の無機質成型品を形成する硬化体に強度を与えてマトリックスを構築する。
本発明におけるアクティブシリカは、ケイ酸アルカリの単品もしくはケイ酸塩原料をナトリウム塩化合物で変性せしめた単一アクティブシリカ、さらにケイ酸塩化合物とナトリウム塩化合物を共存せしめた複合アクティブシリカの2種類を挙げることができる。
本発明の処理材を構成する活性なアルカリシラノール基保有のアクティブシリカである単一アクティブシリカとしては、基本的に下記組成式(1)
[式中;Mはナトリウムやカリウムのアルカリ金属]で表されるアルカリシラノール基を保有しているケイ酸アルカリを主成分とする単一素材、またはシラノール基を保有するケイ酸化合物とナトリウム塩化合物との複合素材からなる活性な粉状体であることが好ましい。単一アクティブシリカの具体的な例は、アルカリシラノール基を保有するケイ酸アルカリならびにナトリウム変性ケイ酸の群より選ばれる単独ないし2種の組み合わせからなるケイ酸アルカリを主成分とする粉状体を挙げることができる。
本発明の単一アクティブシリカとしてのケイ酸アルカリは、下記組成式(3)
[式中:Mはアルカリ金属元素、aは0.1ないし4の数、wは1.ないし10の数]で表されるケイ酸アルカリの群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせからなるアルカリシラノール基保有のケイ酸アルカリからなる活性な粉状体を挙げることができる。特に、ケイ酸アルカリは、一般には水ガラスとしてJIS化され、汎用されており、入手しやすいことから本発明の単一アクティブシリカとして好ましい。特にケイ酸ナトリウムは、水ガラスの中でも汎用されており、安価であることから好ましい。
本発明の他方の単一アクティブシリカは、ケイ酸塩原料を名トリム塩化合物で変性せしめてシラノール基を保有するアルカリ変性ケイ酸塩からなる単一アクティブシリカであることが好ましい。ケイ酸塩原料は、カルシヤガラスにおける混合物原料で選んだケイ酸塩組成物を好適に挙げることができる。
上記のナトリウム塩化合物は、下記組成式(7)
[式中;Tはケイ素、アルミニウム、窒素、硫黄、炭素、ホウ素、リン元素群の単独ないし2種以上の組み合わせ元素、Xはハロゲン元素、aおよびbは零を含む10以下の数、mは0.5ないし6.0の数、wは零を含む12以下の数]で表されるナトリウム塩化合物の群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせからなる活性な粉状体が好ましい。
上記のナトリウム変性ケイ酸が、上記のケイ酸塩組成物100質量部に対してナトリウム塩化合物を1ないし30質量部、さらに水を50質量部以下の量割合で加えた混和物を100℃以上で反応変性せしめ、必要に応じて脱水・乾燥して粉砕・分級した活性なアルカリシラノール基保有のケイ酸アルカリを少なくとも50質量%以上含有している活性なナトリウム変性ケイ酸塩の単一アクティブシリカ粉状体であることが好ましい。
ナトリウム変性ケイ酸の具多的な例は、実施例の参考例2で示す。本発明においては、カルシヤガラスにおいて、ケイ酸塩組成物、カルシヤ組成物、アルミナ組成部物の3成分を820℃以上の温度で処理して調製するカルシヤガラスにおいて、この3成分にさらにナトリウム塩化合物を加えた4成分を一緒にした混合複合原料を820℃以上の温度で処理して、カルシヤガラスとアクティブシリカのアルカリ変性ケイ酸を同時に一括して効率よく調製することもできる。
このナトリウム変性ケイ酸のケイ酸塩原料としては、カルシヤガラスの混合原料として選んだケイ酸塩組成物をすべて好適に選ぶことができる。特に結晶性鉱物の層状粘土鉱物、層−リボン鉱物、岩石類、低結晶・非晶質鉱物、火山噴出物、廃棄物類ならびに各種の天然・合成のケイ酸塩の群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせからなるケイ酸塩原料を好適に選ぶことができる。
ナトリウム変性ケイ酸の原料となるケイ酸塩の一例としては、結晶性鉱物の層状粘土鉱物としてカオリナイト、蛇紋石、パイロフェライト、タルク、スメクタイト、モンモリロナイト石群、バーミキュルタイト、雲母群、リョクデイ石等;層−リボン鉱物としてセピオライト、パリゴルスカイト)、低結晶・非晶質鉱物としてイモゴライト、アロフェン、ヒシンゲライト、ベンウィサイト等;岩石類として長石類、石英岩、花崗岩、変成岩、流紋岩、礫岩等;火山噴出物として火山灰、溶岩、スコーリャ等;廃棄物類として浄水場で排出する浄水ケーキ、河川・湖沼・海域等に堆積している含水ケイ酸系汚泥、高炉・製鋼スラッグ、フライアッシュ、各種焼却灰等;各種の天延・合成ケイ酸塩としてケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウムの群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせからなるケイ酸塩を挙げることができる。
ナトリウム変性ケイ酸の調製は、ケイ酸塩原料100質量部に対して、水酸化ナトリウムを1ないし30質量部、さらに水を50質量部以下の量割合で加えた混和物を100℃以上で反応変性せしめ、必要に応じて脱水・乾燥して粉砕・分級した粉状体からなる粉状体の活性なアルカリシラノール基保有のケイ酸ナトリウムを少なくとも50質量%以上含有している粉状体として回収することにより調製することができる。
本発明においてはアクティブシリカとして、アルカリシラノール基を保有している単一素材に替わって、シラノール基を保有するケイ酸化合物とナトリウム塩化合物の所定量を混合ワンパック化せしめた、ケイ酸化合物とナトリウム塩化合物が共存している混合素材からなる粉状体を本発明の好適なアクティブシリカとして選ぶことができる。シラノール基を保有するケイ酸化合物とナトリウム塩化合物とを共存せしめた複合素材を本発明の処理材の必須構成成分である単一アルカリシラノール基を保有しているケイ酸ナトリウムに替えて採択できる理由は、下記の通りである。
即ち、混合素材状態でワンパック化された処理材で調製される処理材においても、水溶解性ナトリウムが確保され、しかも処理材に水を介した本発明の活用利用方法に付したときに、混合素材中のナトリウム塩化合物がただちに共存している活性なシラノール基を保有するケイ酸化合物と反応を起動して、反応系の中でアルカリシラノール基を保有するケイ酸ナトリウムに変質して、本発明の処理材としての機能性を充分に発揮することができるところにある。
シラノール基を保有するケイ酸化合物としては、非晶質ケイ酸のヒドロゲルまた水を含まないキセロゲルならびに含水で層状構造を有するフェロケイ酸塩化合物の群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせからなる活性な粉粒体を挙げることができる。
上記の活性なナトリウム塩化合物としては、下記組成式(7)
[式中;Tはケイ素、アルミニウム、窒素、硫黄、炭素、ホウ素、リン元素群の単独ないし2種以上の組み合わせ元素、Xはハロゲン元素、aおよびbは零を含む10以下の数、mは0.5ないし6.0の数、wは零を含む12以下の数]で表されるナトリウム塩化合物の群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせからなる活性なナトリウム塩化合物の粉状体を好適に挙げることができる。
ナトリウム塩化合物としての具体的な例としては、硫酸ナトリウム(芒硝)、塩化ナトリウム(シオ)、炭酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、アルミン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウムならびに水酸化ナトリウムの群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせからなる水に対する溶解性ナトリウムを含有する粉粒体として好適である。中でも、水酸化ナトリウムが代表的であり、安価で入手が容易であり、他の塩類を伴わないことから本発明の処理材の構成成分としては好ましい。但し、水酸化ナトリウムは、毒・劇物取締法の法規制を受けており、危険性があり充分な注意を要する。
本発明のナトリウム塩化合物として採択されるナトリウム塩化合物には、ナトリウム元素と同属元素であるカリならびにリチウムが共存する場合がある。これらのカリならびにリチウムがナトリウム塩化合物に共存することは基本的に本発明の処理材の機能等を特別に阻害するものでなく、10質量%以下の混入は問題にならない。
さらにナトリウム塩化合物の代表的な他の具体例としては、ハロゲン化合物である塩化ナトリウムを挙げることができる。食塩はポピュラーなナトリウム塩化合物である。しかるに、塩化ナトリウムを処理材の構成成分として採択すると、処理材中に塩素が混入することになり、採択には制限がある。
上記複合アクティブシリカが、ケイ酸化合物100質量部に対して、活性なナトリウム塩化合物を30ないし180質量部の量割合で加えて均質に混合したアクティブシリカは、処理材に有効な必須成分として好ましい。複合アクティブシリカにおけるケイ酸化合物100質量部に対して、活性なナトリウム塩化合物を30質量部以下の量で混合しても、本発明の処理材としての機能性、特にポリシロキサン結合の充分な生成やゼオライト前駆体等の形成に支障をきたし好ましくない。
複合アクティブシリカにおいて、ケイ酸化合物100質量部に対して、活性なナトリウム塩化合物を180質量部以上加えて複合ワンパック化しても、処理材中に固定化されない遊離のナトリウムが残り、生成硬化体の水溶出pHを低く抑えることはできない。また、活性なシラノール基を保有している対象素材、例えば、粘土質土壌、水和性シリケイト、粘土質ヘドロ等を対象とする場合、処理材中に配合されるアクティブシリカを限りなく減少せしめることができる。即ち対象素材が保有しているシラノール基を処理材に必要な構成成分として活用することができる。
6.処理材を構成する「補助組成物」
本発明の処理材は、カルシヤガラスにアクティブシリカを加えた2成分の処理材を必須構成成分としている。しかし本発明においては、処理材を本発明の多様な目的・用途に対応して、また本発明の無機質成型品類の多様なニーズと条件に対応して、種々なる作業性ならびに機能性が求められる。
したがって、本発明の基本的処理材が有する基礎特性に加えて、さらに多様な目的・用途、ニーズと条件、作業性ならびに機能性に対応できる処理材(S)に仕立て上げるために、本発明の処理材に各種の補助組成物を必要に応じて付加配合して調製される処理材の処理材を提供することが好ましく、必要である。
本発明の処理材を大量に安価に供給するに際して、予め、本発明の処理材の基本配合であるカルシヤガラス、アクティブシリカさらにサルフェイトの必須3成分により、基本組成の処理材を汎用製品として調製しておき、この汎用製品にそれぞれの目的・用途に応じて必要な機能性を発揮させるために後から補助組成物を付加・補填して、各ユーザーに必要処理材を提供するメリットがある。
本発明の処理材に好適に付加される補助組成物としては、硬化体の形成時に生成するゼオライトの生成を促進する結晶タネ組成物、補充成分のナトリウム補充組成物、補充成分のカルシヤ補充組成物、補充成分の硫酸根組成物、形成される硬化体の強度を補強する補助組成物;さらに形成される硬化体の機能性を向上させるリン酸根組成物,バリウ厶塩組成物、鉄塩補充組成物、添加素材組成物、分散媒質組成物、担持体組成物ならびに機能性付与組成物からなる繊維状体をも含む粉状体からなる12種類の補助組成物類を挙げることができる。
本発明の補助組成物として好適に採択される結晶タネ組成物は、処理材から形成されるアルミノケイ酸塩のゼオライト類の結晶を生成させる核として添加配合して硬化体中にゼオライト類を速やかに成長させるためのタネの核結晶としてゼオライトを少量共存せしめておくことは好ましい。
本発明の補助組成物である結晶タネ組成物としては、下記単位格子組成式(8)
[式中:Mは原子価n:の金属陽イオン、X+Yは単位格子当りの四面体数]で表されるアルミノケイ酸の金属塩のゼオライト構造を有するゼオライトの群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせからなるゼオライトもしくはゼオライト前駆体を好適に挙げることができる。
特に本発明における結晶タネ組成物としては、天然品を選ぶこともできるが、水ガラスのほか石炭灰のフライアッシュ、また火山灰を原料として工業生産されている結晶型の定まったゼオライト、例えば4Aタイプの合成ゼオライト等を選ぶこともできる。タネとなるゼオライトは、粒径が10μ以下、好むらくは6μ以下の微細粒子が好ましい。
本発明の補助組成物としてナトリウム補充組成物を本発明の目的・用途に応じて選択配合することにより、処理材で形成される硬化体に重金属類固定化機能ならびに緻密性の補強機能を付与できるゼオライト類形成を補充することができる。
本発明の補助組成物であるナトリウム補充組成物としては、複合アクティブシリカでも採択した下記組成式(7)
[式中;Tはケイ素、アルミニウム、窒素、炭素、ホウ素、リン元素群の単独ないし2種以上の組み合わせ元素、Xはハロゲン元素、aおよびbは零を含む10以下の数、mは0.5ないし6.0の数、wは零を含む12以下の数]で表されるナトリウム塩化合物の群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせからなる活性な粉状体から目的・用途に合わせて適宜選択して採択することが好適である。
特に工業的に汎用されていて粉状苛性ソーダは、補充するナトリウムを単独で補充できることから好ましい。また、これも工業的に汎用されていて粉状体化されている芒硝[硫酸ナトリウム]を補充するときは、ナトリウムと共に、必要な硫酸根も同時に補充できることから好ましい。
本発明補助組成物に好適なナトリウム補充組成物としては、試薬や工業薬品の中からケイ酸ソーダ、アルミン酸ソーダ、硝酸ソーダ、亜硝酸ソーダ、亜硫酸ソーダ、芒硝、ソーダ灰、重曹、塩基性もしくは正塩のホウ酸ソーダ、塩基性もしくは正塩リン酸ソーダ、食塩、フッ化ソーダ等を本発明の用途・目的に応じて選ぶことができる、
本発明の補助組成物であるカルシヤ補充組成物を本発明の目的・用途に応じて選択配合することにより、本発明の処理材に形成される硬化体におけるカルシウム成分の不足分を補う材料として、本発明のカルシヤガラスの混合原料として採択したカルシヤ組成物を好適に挙げることができる。
カルシヤ補充組成物としての具体的な例は、本発明の混合原料を構成するカルシヤ組成物として採択しているカルシヤ類組成物、カルシウム塩組成物、廃棄物組成物、セメント粉体組成物ならびに炭カル変性組成物の群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせからなるカルシヤを主成分とする粉状体を好適に挙げることができる。
特に本発明においては、本発明の処理材の主要な構成成分として、不活性なケイ酸カルシウムを主成分とするカルシヤガラスを採択していることから、活性のあるカルシヤ補充組成物を配合するに際しては、処理材の貯蔵安定性を損なわないようなカルシヤ補充組成物の選択に充分配慮する必要がある。
本発明の補助組成物である硫酸根補充組成物を本発明の目的・用途に応じて選択配合することにより、本発明の処理材に形成される硬化体における水和物の硫酸カルシウム成分の不足分を補う材料として、本発明のサルフェイトとして採択した組成式(2)の硫酸根含有化合物を好適に挙げることができる。
さらに、本発明の補助組成物である硫酸根補充組成物は、下記組成式(9)
[式中:Gはナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、アルミニウム、チタン、ケイ素ならびに鉄の群の単独ないし2種以上の組み合わせの元素、hは1ないし8の数、nは2または3の数、wは零を含む10以下の数]で表される各金属元素の硫黄のオキシ酸塩化合物の群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせからなる硫酸根含有塩化合物類の粉状体を好適に選ぶことができる。
本発明の処理材を採択して形成せしめた無機質成型品に補強性を強化付加するために、各種補強材を添加配合することが有効である。このときの補強性強化を可能にする補助組成物(ST)として補強材組成物を適宜選択して均質に加えることが好ましい。
本発明の補助組成物である補強材組成物としては、当業界で公知・公用されている金属粉、金属繊維、ガラス繊維、ロックウール、鉱物繊維、炭素繊維、木・竹パルプ、麻等の植物性繊維、有機質繊維、無機質粉粒体、砂、砂利、重量骨材、軽量骨材ならびにカレット群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせの充填材、繊維材ならびに骨材を好適に挙げることができる。補強材組成物の金属粉としては、ステンレス、ケイ素、亜鉛、アルミニウム、ニッケルおよび鉄等の合金を含む金属系の粉末もしくはこれら粉末の油性ペーストを挙げることができる。
補強材組成物の繊維材としては、金属繊維、ガラス繊維、ロックウール、鉱物繊維、炭素繊維、植物性繊維(木・竹パルプ、麻等)ならびに有機質繊維(アラミド繊維、ポリエチレン繊維等)の中から長繊維や短繊維である繊維質の補強材を好悪的に挙げることができる。
補強材組成物の骨材としては、天然産で砂粒状の砂、砂利、火山噴出物のスコーラならびに砕石等やこれらの加工処理石や改良石、廃棄物類のガラスカレット、焼却灰の熔融スラッグ、窯業製品やセメント製品の廃棄物の整粒品等からなる粒径5mmφ未満の細骨材もしくは粒径5mmφ以上の粗骨材を骨材として好適に挙げることができる。さらに、補強材組成物の骨材としては、蛭石等を加熱加工して多量のポアを保有するパーライトやバーミュキュライト等の軽量骨材、また鉄鉱石やマンガン鉱当の重量骨材も本発明で求められる無機質成型品に対応して選ぶことができる
本発明の補助組成物としてリン酸根組成物を本発明の目的・用途に応じて選択配合することにより、本発明の処理材で形成した硬化体の強度等の機能性を低下させることなく、低アルカリ性の硬化体をさらに中和することができる。さらにまた、本発明の処理材を活用して各無機質成型品とするとき、その施工条件もしくは作業性から、急速な硬化が求められる場合がある。この様な時補助組成物としてリン酸根組成物を硬化促進剤として使用することは効果的である。
本発明の補助組成物であるリン酸根組成物としては、下記組成式(10)
[式中:Gはナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、アルミニウム、チタン、ケイ素ならびに鉄の群の単独ないし2種以上の組み合わせの元素、hは1.0ないし8.0の数、tはG元素原子価÷2の数、wは零を含む10以下の数]で表される各金属元素のリンのオキシ酸塩化合物群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせのリンのオキシ酸塩化合物類からなる硬化促進剤を好適に挙げることができる。
本発明の補助組成物に好適に採択されるリン酸根組成物は、処理材を構成しているカルシヤ組成物ならびにナトリウム塩化合物を中和して、形成される製品のpH値を低く調整する役割を果たすことができる。特に、ナトリウムアルミのケイ酸塩であるゼオライト類が形成された後は、リン酸カルシウム結晶の生成により、カルシウム分が不溶化されアルカリ二次公害を回避することができる。
本発明で好適に採択されるリン酸根組成物具体的な例としては、試薬もしくは工業薬品の中から、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸バリウム、リン酸アルミニウム、リン酸チタン、リン酸ケイ素、リン酸鉄、リン酸亜鉛(抗微生物剤)等の中から適宜選択することができる。
さらに、本発明のリン酸根組成物においては、金属製品(自動車、車輌、建材、家電等)の表面処理剤(パーカーライジング処理剤)として汎用されているリン酸系薬品による処理後、産業廃棄物として排出されるリン酸塩を多量に含んだスラッジを有効に利用することができる。
さらにまた、本発明のリン酸根組成物として、アルカリ性溶液に徐放性を示すリン酸ケイ素からなる粉状体を挙げることができる。
リン酸ケイ素は、下記組成式(9−A)
[式中:jは1.0ないし8.0の数]で表される燐酸ケイ素群より選ばれる「リン酸分の徐放性」を有するリン酸ケイ素を挙げることができる。単独ないし2種以上の組み合わせのケイ素のリンであり、下記に示す
リン酸ケイ素における「リン酸分の徐放性」は、下記する試験方法により評価することができ、下記式(T−1)
[式中:Xはリン酸ケイ素1gを4規定苛性ソーダ溶液100ml中に撹拌分散せしめ、Xは経過時間(分)、Yは4規定苛性ソーダ溶液中に溶出したリン酸(リンの酸化物)量(mg/100ml)]で表され、リン酸ケイ素のリン酸分(リンの酸化物)溶出の初期溶出量(b)が200以下であり、式中のaに相当する平均加水分解速度定数(a)が0.2以上の範囲にあるリン酸分の溶出状態をいう。
本発明の補助組成物としてバリウム塩組成物を本発明の目的・用途に応じて選択配合することができる。本発明の処理材の単品素材もしく対象素材に処理材を加えた複合素材に水系活性剤を加えて流動性ないしは可塑性の混和物として無機質成型品とするときの施工条件や作業性により、該混和物の加工等の施工作業を必要とするときの可使時間(作業可能な時間)を充分に確保したいときがある。このときの混和物の可使時間を確保するために本発明の処理材にバリウム塩組成物からなる粉状体を配合しておくときは効果的である。
本発明の補助組成物であるバリウム塩組成物としては、下記組成式(11)
[式中:fは4.0以下の数、wは零を含む10以下の数]で表されるアルカリ溶液に可溶なバリウム塩より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせのバリウム塩化合物の粉体が、処理材(S)を用いた均質混和物における作業性を調整する上で好ましい。
本発明のバリウム塩組成物おして採択した粉末状のバリウム塩化合物における作業性等の整機能は、「バリウムイオンのアルカリ溶液への可溶分=BS」によって推定することができる。「BS」は、下記試験方法により評価することができる。
「バリウムイオンのアルカリ溶液への可溶分(BS)の試験方法」は、バリウム塩化合物10gを25℃の1規定苛性ソーダ溶液100ml中に10分間撹拌分散せしめた試料溶液を濾別した採取溶液中のバリウムイオン量をBaOとして測定し、試料バリウム塩化合物中の全バリウム元素をBaOで換算した量を%で表示して、BSのバリウム量を求める。
本発明の処理材からなる混和物が、バリウム塩組成物により作業性が調整されて、硬化体の形成を管理するためには、バリウム塩組成物の「アルカリ溶液への可溶分BS」が、10%以上であることが好適である。「アルカリ溶液への可溶分」が10%以下であるときは、該混和物の施工作業性の管理が困難となり好ましくない。
一般に上記の「アルカリ溶液への可溶分」を満足し、安価で入手容易なバリウム塩化合物としては、工業薬品の水酸化バリウムもしくは酸化バリウムが好適である。しかし、形成されるゼオライト類に悪影響を与えず、ゼオライト類の形成に充分な作業可使時間を確保できるバリウム塩組成物としてのバリウム塩化合物としては、ケイ酸バリウムが好適である。
バリウム塩組成物としてのケイ酸バリウムは、組成式(11)のfが4以下の数であることが良く、4以上の数ではバリウムイオンの活性を有効に利用することができない。ま,た、組成式(11)のwの数が9以下であることが良く、9以上の数ではバリウム塩化合物の保存安定性が確保されず、本発明の国定を達成することができない。
本発明の補助組成物として鉄塩補充組成物を選択配合するときは、重金属類を含有している対象素材の含有重金属類処理材によりを水不溶性に固定・不溶化せしめるに際し、特に砒素やクロムに対しては、鉄塩粉状体を共存せしめておくことが固定・不溶化を有効に発揮し、重金属類の固定・不溶化を効果的に達成する上で好ましい。
本発明の補助組成物である鉄塩補充組成物としては、下記組成式(12)
[式中;Tはアルミニウム、ケイ素、硫黄、窒素、リン元素群の単独ないし2種以上の組み合わせの元素、nは2ないし3の数、mは0.5ないし6の数、wは零を含む28以下の数]で表されるカルシウムの各元素のオキシ酸塩化合物の正塩または塩基性塩群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせの鉄塩化合物を好適に挙げることができる。
本発明に好適に採択される鉄塩補充組成物としては、2価または3価の水酸化鉄化合物が特に有効である。しかし、工業薬品もしくは廃棄物類として入手容易な面から、2価もしくは3価の塩化鉄や硫酸鉄、さらに金属鉄分も好適に挙げることができる。これら金属鉄分、塩化鉄や硫酸鉄も処理材に配合されているカルシヤ組成物と反応して、また大気中の酸素や水分と反応して容易に水酸化鉄化合物を生成し、重金属類の不溶化の補助的効果を発揮することができる。
本発明の補助組成物である添加素材組成物は、顔料、着色剤および充填剤の群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせの添加素材の粉状体を好適に挙げることができる。添加素材組成物は、処理材で調製される製品類のニーズに応じた機能性を付与せしめる添加素材であり、製品に特殊性を発揮させる上で重要である。
本発明の添加素材組成物の形状は、粒径が50μ未満の粉末体もしくは粉粒体が好ましい。具体的な形状としては、粉状、砂状、塊状、針状、柱状、球状、中空状、板状、フレーク状、変形状もしくは各種の形状体でよく、本発明の目的・用途に応じて選択することができる。
本発明に好適な添加素材組成物としては、一般にプラスチックの加工、セメント加工、木材加工等で使用する塗料、接着剤、各種の処理材ならびに当業界で公知・公用で採択されている材料であり、下記に示す顔料、着色剤、ならびに充填剤の群の中から適宜選んで採択することができる。しかし、本発明で採択される添加素材組成物(ST8)の好適な例は、下記に示す添加素材に限定されるものでない。
顔料としては、当業界で公知・公用の各種体質顔料はすべて採択することができる。具体的には、カーボンブラック、酸化チタン、シリカ系微粉末(ホワイトカーボン等)、熔融シリカ、ケイ酸塩や粘土類、アルミナ、熔融アルミナ、貝殻等炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化ジルコニウム等を好適に挙げることができる。
さらに、酸化鉄(弁柄等)、水酸化鉄、酸化クロム、クロム酸鉛(黄鉛等)、群青、酸化亜鉛やホウ酸亜鉛、各種金属の酸化物の焼成顔料、無機質有色顔料、非酸化物、金属・合金類等、さらに有機質顔料(不溶性アゾ顔料、縮合多環型顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、シアンニンブルー、シアニングリーン等)であるアルカリ性に強い顔料粉体を好適に挙げることができる。
着色剤としては、上記の無機・有機顔料に加えて、当業界で公知・公用に汎用されている各種有機質着色化合物、各種のインキならびに天然もしくは合成の染料等を単独ないし2種以上の組み合わせの着色剤より選ぶことにより、希望する色相を製品に付与することが可能となる。
充填剤としては、ダイヤモンド、ガラス、窒化物、炭化物、セラミック、陶磁器、酸化ケイ素(珪石、珪砂、シリカヒュム、熔融シリカ等)、岩石(蛇紋岩、安山岩、蛭石等)、粘土(カオリン、ベントナイト、ガイロメ、タルク、マイか、木伏粘土等)、焼成クレー(ボーキサイト、モンモリロナイト等)、石こう、リン鉱石、鉄鉱石、マンガン鉱、貝殻、ジルコンサンド等であって小塊状、フレーク状、繊維状、粉末状ある充填剤を好適に挙げることができる。
本発明の処理材を採択して各種無機質成型品を調製するに際して、処理材の対象素材を充分均質に分散接触せしめることは必要な条件である。均質な分散を可能ならしめるために補助組成物として分散媒質組成物の配合することは有効である。
本発明の補助組成物である分散媒質組成物としては、処理材に相溶性があり、無機質の粉体であり、工業的もしくは廃棄物類として大量に生産もしくは排出されていて粉状体で、しかも安価荷入手可能な材料であることが望ましい。
具体的な例として、天然産物では、カオリン、酸性白土、ベントナイト、ボーキサイト、ケイソー土、タルク、ゼオライト、石灰粉、ボーキサイト、パーライト、石膏、貝殻、ケイ酸塩ガラスならびに火山灰群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせの100μ以下の粉粒体、好むらくは10μ以下の微粉末の無機系化合物が有効であり、特に無機系化合物のケイ酸塩系素材は、本発明の処理材と相溶性が良く好適な分散媒質組成物として挙げることができる。
また、工業界から排出される廃棄性副産物や廃棄物類も好適に挙げることができる。例えば、火力発電所から排出される石炭灰(フライアッシュ)、鉄鋼業界の高炉等から排出されるスラッグ類、排煙脱硫ならびにチタン工業等より副生する石膏類、海産物における廃棄物になっているホタテやかき等の貝殻粉砕品等の廃棄性副産物や廃棄物類が安価で大量に入手できることから好ましい。
本発明の補助組成物である吸着性を有する担持体組成物としては、比表面積10m2/g以上を有する吸着体である炭類、非晶質シリカ、活性アルミナ、活性ケイ酸アルミニウム類(例えば、酸性白土、活性白土等)、ゼオライト群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせの吸着性を有する担持体組成物を挙げることができる。
特に、本発明の担持体組成物は、本発明の処理材に配合されて活性化材である可溶性材料の水酸化ナトリウム等を予め担持体組成物に担持もしくは吸着により捕捉して、処理材の粉末性を確保して機能性を発揮させるために有効である。さらに、配合される可溶性材料を反応系外に遊離したり、放出したりすることなく効果的にゼオライト類の形成を促進し、特に可溶性のナトリウムイオンを固定化して不溶化せしめることは本発明技術として重要である。
担持体組成物の具体的な例としては、各種の有機化合物や有機質素材を含有している動物・植物類、ならびに農業・畜産・水産の各分野で回収・生産・加工される天然品やその廃棄物、また各種天然品素材の発酵による製品や発酵残渣、紙・パルプ・繊維布類の製造・加工メーカーから排出される廃棄物類、さらにまた、各種プラスチックやその加工現場から排出される有機質素材等を400ないし1000℃で乾留処理して回収される炭を主成分とする炭類、また吸着性能を有するシリカやアルミナを含有している炭−ケイ酸塩の複合品等を挙げることができる。
本発明の補助組成物である機能性付与組成物としては抗微生物剤、活性剤、撥水性吸着体ならびに機能性付加剤の群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせからなる粉状体を好適に選ぶことができ、本発明の目的・用途に応じて選択配合することにより、処理材の機能性を利用して形成される改質処理品ならびに無機質成型品類にさらに各種機能性を付加することができる。
これらの機能性付与組成物は、一般には、当業界で公知・公用の無機質もしくは有機質の素材もしくは材料から適宜選ぶことができる。勿論、本発明の機能性付与組成物に採択される吸着性担持体、抗微生物剤、活性剤、撥水性吸着体ならびに機能性付加剤類は、請求項に記載された材料もしくは素材に限定されるものでなく、本発明の処理材(S)に併配合されてワンパック化されて有用性を発揮する素材もしくは材料は本発明機能性付与組成物として除かれるものではない。
機能性付与組成物である活性剤としては、リン酸アルミ、ホウ酸、各種の触媒、光触媒の酸化チタン等を好適に挙げることができる。特に、ポリシロキサン結合に組み込まれるホウ酸は、4価のケイ素に3価のホウ素が組み込まれることにより、ポリシロキサン結合に遊びを与える緩衝帯を形成する素材(緩衝帯形成剤)として有効である。
機能性付与組成物である活性剤としての緩衝帯形成剤としては、下記組成式(16)
[式中:Mはリチウム、ナトリウムないしはカリウムのアルカリ金元素、Zはマグネシウム、カルシウムないしは亜鉛のアルカリ土類金属、gは1.0ないしは4.0の数、wは零を含む10以下の数]で表されるアルカリ金属ないしはアルカリ土類金属のホウ素のオキシ酸塩の群の単独ないしは2種以上の組み合わせからなる各元素のホウ素のオキシ酸塩化合物からなる緩衝帯形成剤を挙げることができる。
特に本発明においては、処理材より形成されるマトリックスに熱湯の衝撃により発生する歪を避けたいときには、機能性付与組成物である緩衝帯形成剤、ホウ酸塩を付加せしめることは、4価のケイ素と酸素から成る窮屈なマトリックスに3価のホウ素を加えることにより、緩衝帯を形成できることから有効である。
本発明の機能性付与組成物である磁性体としては、一般的な酸化鉄を磁器化したフェライト,酸化鉄、酸化クロム、コバルト等の粉状体を挙げることができる。さらに、特殊な磁性体として、鉄−ホウ素、コバルト−ホウ素、ネオヂウム−鉄、ネオヂウム−ホウ素等の複合金属による磁性体の粉状体を挙げることができる。
機能性付与組成物である抗微生物剤としては、下記組成式(17)
[式中:Dは1価または2かの銀、銅、亜鉛もしくはニッケル元素、Tはカルシウム、マグネシウム、ホウ素、アルミニウム、炭素、ケイ素、リンまたは硫黄元素、Vは零を含む3.5以下の数、wは零を含む24.0以下の数、yは0.5ないし1.0の数、xは0.5ないし3.0の数]で表わされる銀、銅、亜鉛もしくはニッケル元素の塩でカルシウム、マグネシウム、ホウ素、アルミニウム、炭素、ケイ素、リンまたは硫黄元素のオキシ酸塩化合物の群の単独ないし2種以上の組み合わせからなる抗微生物剤を好適に挙げることができる。
機能性付与組成物である撥水性吸着体としては、前述した吸着性担持体に撥水性を有するオルガノシロキサン類やオルガノポリシロキサン類等、さらにフッ素系化合物の液状撥水剤を無機質吸着担持体に担持させた粉状体を好適に採択することができる。
機能性付与組成物である機能性付加剤としては、従来公知・公用されてきた各種の機能付与剤を挙げることができる。具体的には、緩衝帯形成剤、防錆剤、発泡剤、消泡剤、重金属類不溶化材、重金属類固定化材、抗酸化防止剤、滑り止め剤、吸水剤、結露防止剤、融雪剤、凍結融解剤、凝集剤、水処理剤、アブロッキング剤、保存剤、膨張剤、吸着剤、不燃・難燃剤、発色剤、発熱体、発煙剤等を挙げることができる。
さらに、紫外線・近赤外・赤外線吸収剤、赤外・遠赤外線発生剤、放射線発生剤、発光体、光触媒、火薬、起爆剤、弾性体、熱伝導体、導電体、誘電体、帯電防止剤、電磁波吸収・遮蔽剤、絶縁材、防臭剤、消臭剤、芳香剤、香料、界面活性剤、忌避剤、殺虫剤、防虫剤、除草剤、抗微生物剤、抗菌剤、防腐剤、各種農薬、肥料、植物種、各種活性剤等を例示することができる。
本発明においては、本発明の補助組成物である結晶タネ組成物、ナトリウム補充組成物、カルシヤ補充組成物、硫酸根組成物、補強骨組成物、リン酸根組成物,バリウム塩組成物、鉄塩補充組成物、添加素材組成物、分散媒質組成物、担持体組成物ならびに機能性付与組成物の群の単独ないし2種以上の組み合わせからなる繊維状体をも含む粉状体の複合補助組成物類を本発明の目的用途に応じて適宜選択して本発明の処理材に複合せしめた補助組成物を選択配合することができる。
7.ワンパック化された「処理材」
本発明の処理材は、構成する活性なアクティブシリカならびにサルフェイトの粉状体に対して、予め粉状体に調製されている水溶出pH12未満の不活性なるカルシヤガラス、さらに必要に応じて補助組成物を加えて混合ワンパック化することにより、棚寿命性が確保された上で処理・硬化機能を含めた各種機能性を発揮することができる。
本発明の処理材は、不活性なカルシヤガラス100質量部に対して、活性なアクティブシリカを5ないし100質量部、ならびにサルフェイトを3ないし200質量部の量割合で加え、さらに必要に応じて補助組成物を1ないし400質量部の量割合で加えて混合ワンパック化されている粉状体組成物として提供することができる。
本発明の処理材において、不活性なカルシヤガラスの粉状体、活性なアクティブシリカの粉状体ならびにサルフェイトの粉状体との必須3成分のうちいずれかの成分が、ここに示した基本的量割合を満足しないときには、処理材が水系活性剤を介して起動される水硬性反応・処理を完結することはできず、処理材が発揮せねばならない耐水性・耐熱性であり、低アルカリ性の改質処理品ならびに無機質成型品が回収できず、重金属類の固定化やダイオキシン類の捕捉・分解等の機能性を発揮することはできない。
本発明の処理材において、カルシヤガラス100質量部に対して加えるアクティブシリカが5質量部より少ない量であるときは、不活性なカルシヤガラスを活性化させることはできず、本発明の処理材に求められ特性を発揮することはできない。また100質量部より多い量が配合されるときは、本発明の処理材が活用されて形成される改質処理品や硬化体を低アルカリで得ることはできない。
また、本発明の処理材において、カルシヤガラス100質量部に対して加えるサルフェイトが3質量部より少ない量であるときは、本発明の無機質成型品が必要とする硬化体に満足とする強度を得られない。また140質量部より多い量が配合されるときは、本発明硬化体の基本マトリックスを形成するポリシロキサン結合の量が減少して、やはり満足の行く改質処理品や硬化体を得ることはできない。
しかし、本発明において、特に重金属類の固定・不溶化やダイオキシン類の捕捉・分解を主なる目的とするときは、例えば、重金属類やダイオキシン類で汚染されている土壌地盤における原位置で重金属類の固定・不溶化処理やダイオキシン類の捕捉・分解処理を実行するときは、処理された土壌地盤が堅いコンクリート状に固化することは、処理地盤の後利用に好ましくない。したがって、これらの目的に応じる本発明の処理材は、カルシヤガラス100質量部に対して加えるサルフェイトの配合量は3質量部より多いが、好むらくは10質量部より少ない量であることが処理地盤を堅くせず好ましい。
さらに、本発明の処理材において配合される補助組成物の配合量は、処理材を活用する目的・用途ならびに作業性、さらには施工現場の状況に応じて、それぞれ処理材に配合されるカルシヤガラス、アクティブシリカならびにサルフェイトの内容を考慮して、さらに必要に応じて行う予備実験の結果により、配合される補助組成物の種類と量、ならびに配合内容を決定する必要がある。
なお、本発明の処理材を構成するカルシヤガラス、アクティブシリカ、サルフェイト、さらに補助組成物の化合物や組成内容において、本発明処理材に採択する化合物や組成の内容が同一もしくは類似している場合、ひとつの化合物や組成で二役の役割に対応できるときがある。このような場合、同一化合物や組成成分に異なった少なくとも二役の役割を発揮させることができることから好ましい。同一化合物や組成成分が二役を果たす例としてあげられる硫酸ナトリウム(芒硝)は、アクティブシリカであると同時にサルフェイトとしての役割を果たすことが可能である。また、硫酸アルミニウム(硫酸バンド)は、カルシヤガラスを調製する混合原料を構成するアルミナ組成物であると同時にサルフェイトとしての二役を果たすことができある。
さらにまた二役の役割を果たす例として、ケイ酸塩組成物のアルカリケイ酸塩とアクティブシリカのケイ酸アカリである水ガラス、サルフェイトの石こう組成物とカルシヤ組成物である石こう、アルミナ組成物とナトリウム塩組成物であるアルミン酸ソーダ、アクティブシリカの単一素材のアルカリ変性ケイ酸塩原料であるケイ酸塩化合物とケイ酸塩組成物のケイ酸塩化合物等を挙げることができる。
本発明の処理材に配合される各構成成分は、例え同一成分が別個の機能性を発揮して二役を果たせる構成成分として採択されても、本発明の処理材の機能性を有効に発揮できるときは、処理材の配合原料として採択される原料種の数を減らすことができることから好ましい。こうした複数の役割を同一の化合物や組成成分で発揮できる具体的な例示は、さらに後述する実施例に示す。
本発明の処理材において、処理材を利用いて水系活性剤を介して各種の改質処理品ないしは無機質成型品を調製するに際して、このとき採択する後述する対象素材によっては、処理材を構成する成分に対象素材の中から対象素材である例えば、高炉スラグ、フライアッシュ、焼却灰等を処理材の成分素材として積極的に利用することも可能である。
さらに、本発明においては、棚寿命性を確保して本発明処理材の機能性効果を有効に発揮させるために、本発明の処理材が粉状体であることは重要である。本発明の処理材における粉粒体としては、一般に100μ以下、好むらくは50μ以下の微粒子からなる粉粒体であることが、処理材が水を介して反応を有効に起動させる上で重要である。
処理材を構成する成分の野粒径が、50μよりも大きいと、本発明の処理材)が水系活性剤を介して起こす反応が組成集計に表面のみで発生し、効率のより反応・処理機能を発揮することができず好ましくない。ただし、本発明の補助組成物においては、作業性に問題なければ繊維状、砂状、フレーク状等の形状のある粉粒体を本発明処理材の構成成分として採択することも可能できる。
なお、本発明の処理材は、環境に対応する処理材として利用できることから、ワンパック化された処理材は、環境に有害な汚染物質を国の定める環境基準値以下の含有量ならびに水溶出量の材料で構成されている無公害型で提供されることが好ましい。
本発明の処理材をワンパック化する工程は、それぞれ予め調製したカルシヤガラス、アクティブシリカならびに必要に応じて補助組成物として準備された各粉状体を処理材の活用目的・用途・作業性に応じて所定量を測り採り、当業界で公知・公用されている各種の混合装置を用いた簡単な均質混合操作によって達成することができる。
本発明処理材を商品とする荷姿は、本発明の処理材が貯蔵性に安定な棚寿命を有していることから、処理材の粉状体を完全に自然界の水や炭酸ガスから遮断する荷姿は必要でないが、移動ならびに作業性に有効で製品粉状体を飛散させないで移動可能な荷姿であることが好ましい。
8.「処理材」の処理・硬化機能性
本発明の処理材が有する処理体もしくは硬化体・結着体の形成機能性を発揮して、水系活性剤を介して起動する反応が完結されて耐水性で耐熱性が確保され、水溶出pHが12未満の低アルカリ性である改質処理品もしくは無機質成型品は、
1.脱ナトリウムによるポリシラキサン結合(−Si−O−Si−)nの形成
2.ナトリウムを固定化する等のゼオライト前駆体の形成
3.ケイ酸カルシウムや硫酸カルシウム等の水和結晶性鉱物の形成
上記3点の反応過程により達成される。
本発明の処理材が水系活性剤を介して起動する上記3点の反応は、処理材単品が水系活性剤と接触して起動する基本的反応であるが、本発明の処理材を利用する対象となる対象素材の種類と本発明の目的・用途ならびに作業性に応じて、上記3点の反応で発揮させる度合いに若干の強弱をつけて対応せしめることが好ましい。
本発明の処理材が水系活性剤を介して起動する上記3点の反応においては、処理材が保有するアクティブシリカの活性なアルカリシラノール基が縮合して形成されるシロキサン結合からなるシリカポリマーを形成するときに放出するナトリウムイオンを処理材が同じく保有しているアルミのケイ酸塩が捕捉反応して、水不溶性化合物であるゼオライトもしくはゼオライト前駆体を少なくとも常温において形成する現象が重要である。
本発明処理材が、水可溶性ナトリウムを水不溶性ゼオライトまたはゼオライト前駆体として固定化できる機能性が、本発明処理材による対象素材を改質処理もしくは加工調製したときに,低アルカリ性の処理体もしくは硬化体・結着体の形成を可能にしている。
さらに、本発明の処理材が、水可溶性のナトリウムを水不溶性のゼオライトもしくはゼオライト前駆体として固定化できる機能性が、このとき同時に水可溶性の重金属類が共存しているときは、ナトリウムイオンを固定化したように、形成されるゼオライトもしくはゼオライト前駆体に結合して重金属類を取り込んだ水不溶性のゼオライトもしくはゼオライト前駆体を形成して、重金属類の水系環境への拡散を防止することができる。
さらに、ダイオキシン類とは、ポリ塩化ジベンゾパラジオキシンの異性体を含めた化合物を総称している。したがってダイオキシン類は安定など毒性化合物として、PCBを含めてダイオキシン類の分解・除去は、環境上重要な課題である。本発明の処理材は、ダイオキシン類を捕捉・分解する機能を水可溶性ナトリウムを水不溶性ゼオライトもしくはゼオライト前駆体として固定化できる機能により発揮することができる。
即ち例えば、ダイオキシン類を含有している汚染土壌地盤の現位置において、重金属類による汚染土壌地盤の場合と同様にして、本発明処理材を含有水を介して汚染土壌に混和するときは、処理材が有するカルシヤならびにナトリウムが乾式状態においてダイオキシン類と接触し、ダイオキシン類を塩素と有機質部分に分解することができる。
本発明処理材を利用して硬化機能を発揮させる時に対象とする好適な対象素材としては、砂粒体、充填材、含水土質、汚染素材、吸着性粉体、耐熱性粉粒体、ケイ酸アルカリ系素材(ケイ酸アルカリ単品、水ガラス複合品)ならびにガラクタ集合体の群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせからなる対象素材を好適に挙げることができる。
本発明処理材を利用して処理機能を発揮させる時に対象とする好適な対象素材としては、水可溶性の重金属類、ダイオキシン類、水可溶性塩素等を含有している砂粒体、充填材、含水土質、汚染素材、吸着性粉体、耐熱性粉粒体、ケイ酸アルカリ系素材ならびにガラクタ集合体の群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせからなる問題点を残している対象素材類を好適に挙げることができる。
勿論、本発明で対象とする対象素材は以上の対象素材に限定されるものではない。
本発明処理方法の対象となる具体的な他の対象素材としては、重金属類(鉛、カドミ、クロム、砒素、水銀)を少なくとも1種類の水溶出において、国の定める「環境基準値」(表1を参照)を超えて水可溶性重金属類を含有している汚染土壌であり、乾燥状態もしくは水分を含有している汚染土壌地盤の汚染素材の原位置もしくは移動せしめた汚染素材を対象として処理する。さらに以上の重金属類に加えて銅、セレン、フッ素、ホウ素、シアン等も環境基準の対象となる元素は汚染素材の対象素材とすることができる。
土壌汚染に係る環境基準は、公害対策基本法第9条に土壌汚染に係る環境基準の告示で環境基本法第16条に『土壌の汚染に係る環境上の条件につき、人の健康を保護し、及び生活環境を保全する上で維持することが望ましい基準(以下「環境基準」という)ならびにその達成期間等は、次のとおりとする』とある。
また、汚染土壌に関しては、「土壌・地下水汚染に係る調査・対策指針運用基準」の中で重金属類における「環境基準」としては、表1に示されている。但し、「環境基準」では汚染物質を重金属等(シアン、PCB、農薬を含む)と揮発性有機化合物の2種類に分類しており、一般的分類と異なる定義が持ち込まれている。一部例外的に不揮発性ならびに揮発性を軸に分類され、調査や対策において区別されている。
本発明において、処理材との反応を起動させて処理体・硬化体・結着体の形成機構を発揮させる水系活性剤としては、自然界の水である雨水、地下水、河川・湖沼水、井戸水、海水、たまり水等、人工池・ダム水、加工水である純水、水道水、工業用水、さらに産業界から排出・副生する水や処理水等の群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせからなる水系活性剤を挙げることができる。
特に河川水や海水等の自然界の水を選択することは、作業現場での入手の容易さならびに安価であることから最も好ましい。
さらに本発明で採択される水系活性剤は、他より加えられる水系活性剤に限定されるものでなく、本発明処理材による処理・硬化の対象となる対照素材が含有している水、例えば、含水土質における軟弱地盤の土質や河川・海域等の低質泥土であるヘドロ等が保持している水を利用することが好適である。
本発明のワンパック化された処理材が利用される分野は、本発明処理材が有する処理・硬化機能が発揮されて有効利用される分野にある。本発明処理材が処理対象とする処理素材を改質処理もしくは加工調製する機能は、下記に示す7種類の機能を代表的に挙げることができる。
1.常温水硬性で硬化体の形成
2.低アルカリ性改質処理品の形成
3.重金属類の不溶・固定化
4.ダイオキシン類の捕捉・分解
5.塩素イオンの捕捉
6.水中窒素分の捕捉
7.水中リン酸分の捕捉
この7種類の機能のうち、「常温水硬性で硬化体の形成」と「低アルカリ性改質処理品の形成」の2種類の機能性に関しては、前述した「処理材」の項で説明したように、本発明処理材に水系活性剤を介して起動される反応により達成されて無機質成型体を加工調製する本発明処理材における基本的機能である。
さらに詳細には、「活用利用方法」ならびに「無機質成型品」の項にて説明する。
その他5種類の機能性は、それぞれ対象とされる対象素材に対応して発揮される機能性であり、以下に述べる「改質処理品」の項で詳細に説明される。
代表的例として、人体に対して有害物質である重金属類を処理材が発揮するゼオライト前駆体の形成時に重金属類を取り込み水不溶性鉱物として固定化できる機能性は、例えば環境問題における汚染土壌の原位置での無害化処理等を挙げることができる。
また、人体に対して有害物質であるダイオキシン類を処理材のケイ酸塩が油性状態にあるダイオキシン類を捕捉し、次いで乾式状態で接する高濃度にあるナトリウムならびにカルシヤのアルカリ成分が捕捉しているダイオキシン類を分解する機能性は、例えば環境問題における汚染土壌の原位置での無害化処理を挙げることができる。
また、焼却灰等に包含されている水可溶性塩素を本発明の処理材により形成されるゼオライトもしくはゼオライト前駆体に捕捉され、次いで塩素を含有する水不溶性鉱物に改質される機能により、焼却灰等に包含されている水可溶性塩素を水扶養し得に改質処理することができる。
9.「処理材の活用利用方法」
本発明処理材が有する処理体もしくは硬化体・結着体を形成する機能を有効に利用・活用させるための処理材の活用利用方法は重要である。特に、本発明の処理材に反応起動剤として加える水系活性剤を介して反応が起動して、処理材を単独素材として、もしくは各種対象素材を処理材ならびに前記した水系活性剤と共存せしめた複合素材として一連の作業工程に付する水硬性反応完結せしめる活用利用方法において、有用な改質処理品ならびに無機質成型品群を調製するための活用条件と仕様は大切である。
本発明処理材の活用利用方法は、本発明の処理材のみの単品素材を対象とする場合と、各種対象素材に対して所定量の処理材を加えて混合複合されている複合素材を対象とする場合との2種類に大別される。
本発明の複合素材において対象とされる対象素材には、砂粒体、充填材、含水土質、汚染素材(重金属含有、ダイオキシン含有、塩素含有、窒素・リン含有等)、吸着性粉体、耐熱性粉粒体、ケイ酸アルカリ系素材(ケイ酸アルカリ単品、水ガラス複合品)ならびにガラクタ集合体の群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせからなる対象素材を代表的に好適に挙げることができる。
本発明における複合素材は、本発明処理材100質量部に対して、本発明の目的・用途に応じて、対象素材を10ないし2000質量部の割合で均質に混合されていれば良い。さらに水系活性剤を少なくとも15質量部別途加えるか、本発明処理材と対象素材とを複合混合するときに同時に加えるが、もしくは既に対象素材が水系活性剤を保持している場合は、その保持している水系活性剤を勘案して、本発明の一連の作業工程に付することができる。
本発明の無機質成型品を調製する活用利用方法は、単品素材もしくは複合素材に対して、加えた水系活性剤を介して混和物とする混和工程、必要に応じて該混和物を成型加工物とする加工工程、次いで該混和物ないしは該成型加工物を無機質成型品に改質せしめる養生工程からなる3工程の一連の作業工程によって構成されている。
本発明処理材を活用して、本発明の無機質成型品群を調製する一連の作業工程における混和工程は、本発明の単品素材もしくは複合素材に水系活性剤の共存せしめて、各種手段により均質一体化せしめて、流動体状、マヨネーズ状、ペースト状、可塑状、バサバサ状、一体化物等の状態で混和して、成型性可能な単品素材もしくは複合素材からなる均質な混和物類に調製する工程である。
本発明における好適な混和物は、先に述べた予め一定の量割合の混合で調製された単品素材もしくは複合素材に対して、もしくは処理対象とする対象素材が存在する原位置において、対象素材100質量部に対して、本発明処理材を5ないしは50質量部加え、さらに水を少なくとも15質量部共存せしめて混和一体化せしめることにより、成型性可能な混和物として調製することができる。
本発明における混和物として一体化せしめる混和工程における混和手段は、一般に当業界の食品業界、化学工業界、窯業工業界、土木・建築業界等で公知・公用されている混合機、混練機、撹拌機、かき混ぜ機、反応機、分散機、スタビライザー等の均質混和を可能とする装置類、たとえばセメントミルクやコンクリート・窯業製品等の二次製品等の加工現場で採択され混和・混練装置(ミキサー、混合機、混練機等)を用いることにより容易に達成することができる。
また、予め容器や袋等に空隙が確保されて収納セットされている対象素材に対しては、スラリー状の処理材を流し込み注入もしくは注入攪拌する方法で一体化させる手段も可能である。勿論、本発明における混和工程における混和手段として、移動して持ち込まれた対象素材を混和装置類で均質混和する方法等に限定されるものでなく、対象素材となる素材が存在する現地原位置(例えば、海底・河川・ダム等の水中下、地盤の深層部等)に処理材もしくは水系活性剤を加えてスラリー状として現地原位置に移動して持ち込み対象素材のある現場で一体化もしくは混和の混和工程を行うこともできる。
この現場原位置での混和工程の具体的な例としては、軟弱地盤の改良等で施工されている工法の例を挙げることができる。この工法では、セメント等の粉末状もしくはスラリー状の固化材を地盤深層部に高圧下に注入攪拌する方法で、本発明の混和工程においても、同様の深層混合方法により、本発明の処理材を含水泥土や汚染素材である汚染地盤等の対象素材を現場で混和せしめることができる。
勿論、本発明の処理材を対象素材に混和せしめるに際して、本発明処理材の必須構成成分のカルシヤガラス、アクティブシリカやサルフェイト、必要に応じて加える補助組成物をワンパックされた状態でなく、それぞれ単品より選択して必要種類の所定量を別々に多段な手順で原位置対象素材に加えて水を介して均質に混和せしめる混和工程による作業工程も可能であるが煩雑である。
さらにまた、対象素材に粉末状の処理材を改質処理品や硬化・固化材として、必要に応じて対象素材を加えて水を介し均質に混和せしめるに際して、粉末状ワンパックの処理材、もしくは処理材を構成する原料成分を予め所定量の水に分散せしめて湿潤状、可塑状ないしはスラリー状にしてから、対象素材に混和せしめる方法も、粉塵飛散の防止ならびに混和効率向上の上から好ましく、有効である。
本発明無機質成型品群が本発明の目的・用途に応じて特定形状ないしは不特定形状に加工成型されていることが必要なときは、混和工程で調製された混和物を、それぞれ目的・用途に応じた特定しない状態もしくは混和物とした状態で特に成型加工する加工工程に付することなく、養生肯定に移ることができる。
本発明における混和物を各種形状に加工成型する手段としては、一般に当業界の食品業界、化学工業界、窯業工業界、土木・建築業界等で公知・公用されている当業界公知・公用の方である特定形状の型枠に常圧、加圧、減圧において振動、流し込み、押し込み、叩き込み、鋳込み、造粒、噴霧、引抜等で成型する方法等、また不特定形状にかきまぜ、吹き上げ、分散、注入等の手段によって成型することができる。
特に顆粒体や骨材体の粒状造粒成型加工においては、当業界公知・公用の転動造粒、押し出し造粒、攪拌造粒、スプレー法造粒、噴霧造粒、パッキング造粒、ペレタイザー等の造粒装置により、1〜8mmφの粒径にそれぞれ造粒することができる。
本発明無機質成型品群に求められる具体的な形状例としては、特定形状の場合、球状、顆粒状、中空状、角状、箱状、棒状、柱状、管状、線状、繊維状、板状、瓦状、壁状、フイルム状、容器、U字状、土管、フューム管、漁礁、テトラポット状、レンガ、内装・仕切・間仕切板、外壁、鉢類、置物、飾り物、枕木、ベンチ、机、瓦、陶磁器、衛生陶器類、各種構造体、特定される特別形状やその他の形状等を挙げることができる。
また、不特定形状の場合、集合固化体、顆粒状集合体,粉粒集合体、対象形状に応じた付着体,不焼成保温・不定形耐火材類、保護材、保温材、装飾品、美術品、置物、砂状、覆砂、地盤、道路、処理場等、さらに対象素材原位置に対応した不特定形状を挙げることができる。
本発明において調製される無機質成型品の群は、混和物を成型体に加工成型された無機質成型品に止まらず、加工成型されていない無機質成型品群をも対象としており、例えば、軟弱地盤の改良、汚染土壌に改質、畦の取り付け等の無機質成型品群においては、特別な成形加工工程を必要としない。
本発明無機質成型品の群を調製する一連の作業工程における養生工程は、予め調製された混和物ないしは成型加工物に反応・養生条件を与えて、耐水性で耐熱性が確保されて水溶出pH12未満が確保されて各用途・目的に適う無機質成型品として調製され、提供するための工程である。
本発明における養生工程の処理条件は、基本的に混和物ないしは成型加工物を2ないしは40℃の常温における気中、水中、海中、土中もしくは溶液中の単独雰囲気または複数雰囲気の多段組み合わせ雰囲気中で少なくとも1時間以上放置して反応・養生を進行せしめ工程である。
常温における養生工程では、特別な装置・エネルギー等を必要とせず好ましい。しかし、養生工程の条件は、常温、常圧に限定されず、加圧ないし減圧でも可能である。また雰囲気も、大気中のみならず酸素を絶った窒素雰囲気や、他の不活性ガスや特定ガス中、加湿中、また水系内での条件で常温・加温での養生工程も可能である。さらに、養生工程の雰囲気に赤外線、電磁波・放射線や各種波長を照射することも可能である。
この養生工程の反応・養生処理条件において、処理温度が2℃より低いときには、反応・養生の進行に時間を要するので実際的でない。また処理温度が100℃を超えると、介在している水の蒸発が急激に始まり、本発明の硬化体に必要な水和鉱物の形成を阻害する傾向があり、考慮する必要がある。
しかし、本発明の養生工程における温度条件は、40℃を超えて40ないし800℃の範囲であっても無機質成型品の反応・養生の完成は可能である。特に生産性が求められる工場における生産ラインにおいて、本発明の無機質成型品類を生産する場合は、加温下での養生工程の付与は生産効率を上げる上で有効である。しかも水分蒸発を抑える手段、例えば密閉・加圧条件下や蒸発を物理的に抑える手段を併用するときは、高温での養生工程はさらに有効である。
本発明の常温における養生工程は、上記混和物または成型加工物を2ないし40℃において少なくとも1時間放置して、初期的反応を経過した後、各種雰囲気である気中(常圧大気中、各種気体による置換雰囲気中等)、溶液中(純水、雨水、水道水、工業用水、海水、河川水、排水、排水処理水、塩類含有溶液等)、土中もしくは気中と溶液中等の多段で組み合わせた雰囲気中により反応・養生を進行・完結させることができる。勿論、これら雰囲気を減圧、加圧。加温、加湿等の条件下に変化させて養生することもできる。
ただし、本発明の養生工程で所定温度に暴露・放置する時間は、一般的に常温では1時間以上から硬化が始まり、12時間で充分であるが、2日間以上、好むらくは7日間以上、さらに好むらく28日間以上放置することで反応・養生はほぼ完了する。なお、特殊な無機質成型品によっては、7日を越えてさらに時間を要するケースもあるが、予め行う簡単な実験により、必要とする温度ならびに時間を確認することができる。
10.「改質処理品」について
本発明においては、問題点(重金属含有、ダイオキシン含有、塩素含有、窒素・リン含有等)を有している処理対象とする対象素材に対して、本発明処理材が有する処理・硬化機能のうち、処理機能を重視して発揮させ、処理対象とする対象素材を少なくとも状お音で改質処理して、対象素材の問題点(重金属含有、ダイオキシン含有、塩素含有、窒素・リン含有等)を解消して、有効な改質処理品とすることができる。
本発明の処理方法における具体的な処理条件は、前述した本発明処理材の「活用利用方法」の項で説明した水系活性剤を介した一連の作業工程を基本としている。具体的な例としては、対象素材100質量部に対して、本発明処理材10ないしは100質量部の量割合で加え、さらに水系活性剤を少なくとも15質量部別途加えるか、本発明処理材と対象素材とを複合混合するときに同時に加えるか、もしくは既に対象素材が水系活性剤を保持している場合は、その保持している水系活性剤を勘案して加えて、本発明の一連の作業工程に付すればよい。
また、処理対象とする対象素材の改質処理における水系活性剤を介した一連の作業工程の作業が書画、対象素材を移動せしめた移動場所で一連の作業工程を行うこともできるが、対象素材が存在する原位置,例えば,軟弱地盤や汚染土壌地盤の原位置において,一連の作業工程を行うこともできる。
本発明の処理方法における一連の作業工程は、対象素材に対して所定量の処理材と水系活性剤を共存せしめて混和して混和物とする混和工程、必要に応じて該混和物を成型加工物とする加工工程、次いで該混和物ないしは該成型加工物を無機質成型品に改質せしめる養生工程からなる3工程の一連の作業工程によって構成されている。
本発明処理材の機能性を発揮せしめて対象素材を改質処理する具体例を以下に示す。
本発明処理方法の対象となる具体的な対象素材としては、窒素分含有ならびにリン酸分含有の対象素材としては、窒素分(アンモニヤ態窒素、硝酸態)ならびにリン酸分(金属類のリンの酸化物塩類)を含有している、港湾、河川、湖沼、ダム等の低質含水泥土やヘドロ等の含水土質を挙げることができる
本発明の処理方法における窒素分ならびにリン酸分含有の含水土質の処理条件は、水分を25質量%ないし80質量%の範囲に含有して流動性ないし可塑性の含水土質を乾燥物基準で100ないし2000質量部に相当する量に対し、処理材100質量部を加え、このとき含水土質の含有水を利用して、含水土質と混和せしめる混和工程を当業界で公知・公用の混和・混合・攪拌・注入等による機械的混和もしくは注入せしめる混和装置により処理材が含水土質に均質分散された混和物を調製する。
次いで、該混和物を特別な加工工程に付することなく常温の大気中に少なくとも24時間放置する直接養生工程に付することにより、含有窒素(アンモニヤ態窒素、硝酸態)の溶出試験により窒素分の溶出量が環境基準値以内に抑制された含水土改質処理品で耐水性と耐熱性が確保されて、水溶出pH12未満に改質処理することができる。
重金属類汚染土壌である汚染素材の含有重金属類の溶出を阻止せしめる処理条件は、該汚染素材を乾燥物基準で50ないし2000質量部に相当する量に対して、本発明処理材もしくはスラリー状の含水状態処理材を乾燥物基準で100質量部に相当する量ならびに必要に応じて水系活性剤を少なくとも15質量部を加え、また含有する水を含めた水を介して、当業界で公知・公用の混和・混合・攪拌・注入方法等による機械的混和もしくは注入せしめる混和工程にて処理材が汚染素材に均質混和された混和物を調製する。
次いで、該混和物とした処理原位置もしくは移動処理場所における常温の自然条件下に放置する養生工程に付することにより、簡易型変形性測定試験により測定した外圧による変形性強度値が40KN/m2以下であり、含有重金属類が固定化されて、水溶出値が国の定める環境基準値の範囲内で水不溶性が確保された硬化体とした無公害化物もしくは処理土壌地盤で耐水性と耐熱性が確保されて、水溶出pHを12未満に改質処理することができる。
さらに、重金属類で汚染されている対象素材としては、工場跡地等の重金属類の汚染土壌の他に、一般ならびに産業廃棄物類の焼却灰、火力発電所から排出されるフライアッシュ、海・河川・沼・湖・ダム等のヘドロ等の堆積含水土、カドミウムや鉛等の重金属で汚染されている田圃の土壌等を挙げることができる。
さらに、本発明処理方法の対象となる具体的な他の対象素材としては、ダイオキシン類を含有していて、国の定める「環境基準値」を超えてダイオキシン類を含有している汚染土壌であり、乾燥状態もしくは水分を含有している汚染土壌地盤の汚染素材の原位置土壌地盤もしくは移動せしめた汚染素材を対象素材とすることができる。勿論、ダイオキシン類と共に重金属類を共存している汚染素材も対象素材とすることができる。
ダイオキシン類汚染土壌等である汚染素材のダイオキシン類を無害化せしめる処理条件は、該汚染素材を乾燥物基準で50ないし2000質量部に相当する量に対して、本発明処理材もしくはスラリー状の含水状態処理材を乾燥物基準で100質量部に相当する量ならびに必要に応じて水系活性剤を少なくとも15質量部を加え、水を含有する場合はその含有水を含めた水を介して、汚染土壌に対して当業界で公知・公用の混和・混合・攪拌・注入等による機械的混和もしくは注入せしめる混和工程にて本発明の処理材が汚染土壌に均質混和された混和物を調製する。
次いで、該混和物とした処理原位置もしくは移動処理場所における常温の自然条件下もしくは常温に放置して、もしくは必要に応じて200℃以下で混和物の含水率を限りなく零に近づけて含有水分の非存在下における養生工程に付することにより、簡易型変形性測定試験により測定した外圧による変形性強度値が40KN/m2以下であり、含有ダイオキシン類が捕捉・分解されて無害化されて、ダイオキシン類含有量が国の定める環境基準値の範囲内に減少している無公害化物もしくは処理土壌地盤で耐水性と耐熱性が確保されて、水溶出pHを12未満に改質処理することができる。
さらに、本発明処理方法の対象となる具体的な他の対象素材としては、水可溶性塩素分を含有している廃棄物類の焼却灰等の汚染素材ならびに海水等を含んだ含水土質等を対象素材として挙げることができる。
水可溶性塩素分を含有している対象素材の塩素分溶出を阻止して無害化せしめる処理条件は、該対象素材を乾燥物基準で50ないし2000質量部に相当する量に対して、本発明の処理材もしくはスラリー状の含水状態処理材を乾燥物基準で100質量部に相当する量ならびに必要に応じて水系活性剤を少なくとも15質量部を加え、水を含有する場合はその含有水を含めた水を介して当業界で公知・公用の混和・混合・攪拌・注入等による機械的混和もしくは注入せしめる混和装置にて混和物とする混和工程に付して処理材が理対象素材に均質混和された混和物を調製する。
次いで、該混和物を加工工程にて特定形状の構造体、容器一体化物または不特定形状の顆粒体に成型加工造粒せしめた成型加工物に調製する。次いで、該顆粒体等の成型加工物を常温大気中に少なくとも7日間放置する養生工程に付することによる一連の作業工程からなる処理方法により、一般的土木資材となる顆粒体であって塩素溶出量が、水道水の規準以下に抑制されて耐水性と耐熱性が確保されて、水溶出pHが12未満である顆粒状等の改質処理品に改質処理することができる。
本発明の改質処理方法は、本発明処理材が有する多機能性を充分に発揮せしめて、処理せねばならない対象素材に対して本発明処理材を作用せしめ、生活環境の中で処理せねばならない情況にある対象素材を改質して、生活環境の中で有用な資源・資材として再利用できることから、環境問題に省エネで低コストで環境への負荷を軽減して対処できる有用な技術といえる。
11.「無機質成型品」
本発明においては、本発明の水溶解性ナトリウムと硫酸根を保有して棚寿命性の確保された水硬性の本発明処理材を一連の作業工程からなる活用利用方法により、本発明の処理材が有する処理体もしくは硬化体・結着体の形成機能を発揮させて、耐水性で耐熱性が確保されて水溶出pHが12未満の低アルカリ性の改質処理品ならびに硬化体からなる各種の無機質成型品群を提供することができる。
本発明の無機質成型品は、本発明処理材のみの単品素材もしくは活用利用方法ならびに処理方法の項で説明した対象素材に処理材を加えて調製した複合素材に対して、加えた水系活性剤を介して反応を起動させる一連の作業工程における混和工程、加工工程、養生工程に付する活用・処理方法により加工調製される。
本発明の複合素材に好適に採択される対象素材としては、砂粒体、充填材、含水土質、汚染素材、吸着性粉体、耐熱性粉粒体、ケイ酸アルカリ系素材ならびにガラクタ集合体等の8種類を挙げることができる。勿論、本発明処理材で対象とする対象素材は以上の対象素材に限定されるものではない。
勿論、本発明においては、無機質成型品となる対象素材と処理材を均質混和するに際して、移動して持ち込まれた対象素材を均質混和できる装置類の許で混和する方法に限定されるものでなく、対象素材となる素材が存在する現地原位置(例えば、海底・河川・ダム等の水中下、地盤の深層部等)に処理材を持ち込み、対象素材が存在する現場原位置において、処理材と一体化混和ができる処理・活用利用方法が適応できる状態にある対象素材を対象とすることもできる。
本発明の無機質成型品は、本発明の目的・用途に応じた本発明処理材の活用利用方法により、13種類[硬化体、構造固化体、複合硬化体(含む各種二次製品)、顆粒体(含む異層・多層顆粒体)、骨材体、付着体(含む粟オコシ体)、フイルム、含水土処理土(含む原位置軟弱地盤杭)、無公害化物(含む原位置重金属類やダイオキシン類等の汚染土壌地盤)、固結吸着体、断熱・保温・耐熱材、耐酸材料および一体化物]の無機質成型品群を目的として、それぞれの活用・処理方法により加工調製することができる。
なお、本発明処理材の機能特性を処理・活用する無機質成型品群は、上記の13種類の無機質成型品群の調製に限定されるものでなく、本発明の13種類の無機質成型品群を基礎として、該無機質成型品群を生かして改良・改善・変形・組み合わせ・付加せしめた各種の無機質成型品類をさらに提供することができる。
本発明における無機質成型品は、カルシヤガラス、アクティブシリカならびにサルフェイトの必須3成分、さらに必要に応じて加える補助組成物により構成される処理材100質量部に対して、必要に応じて対象素材を10ないし2000質量部、また水を少なくとも15質量部を原料として、混和工程、加工工程、改質工程の3工程からなる前記の活用・処理方法である一連の作業工程に付することにより、本発明の無機質成型品をそれぞれ加工調製することができる。
本発明の処理材のみの単品素材を活用した処理体もしくは硬化体からなる無機質成型品の調製は、処理材の単品素材100質量部に対して、水系活性剤として、例えば水を少なくとも15質量部加えて、均質混和する混和工程により混和物として成型可能な混和物を調製することができる。
次いで該混和物を、特定形状もしくは不特定形状の成型加工物とする加工工程を経て、該成型加工物を常温で1時間以上放置する養生工程に付することにより、それぞれ硬化体、構造固化体、複合硬化体、顆粒体または骨材体等からなる耐水性と耐熱性が確保され、水溶出pHが12未満である無機質成型品群を調製することができる。
特に、本発明の処理材に補助組成物である添加素材組成物、分散媒質組成物、担持体組成物もしくは機能性付与組成物等が既に配合されてワンパック化されているときは、単品素材単独でもそれぞれ各種の補助機能を発揮することができるので、各種形状の無機質成型品に対応する補助組成物配合の単品素材を選んで本発明の無機質成型品群を調製することができる。
本発明の処理材に砂粒体を複合せしめた複合素材を活用・処理した硬化体、構造体、複合硬化体、顆粒体ないしは骨材体等の無機質成型品群の調製は、まず1ないし50mmφの粒径で0.2ないし3.5g/ccの嵩比重からなる砂粒体10ないし2000質量部に対して処理材100質量部を加えた複合素材を対象にして、複合素材100質量部に少なくとも15質量部加えて水系活性剤の少なくとも15質量部を介して混和せしめる混和工程により、バサバサ状、可塑状、マヨネーズ状、ペースト状、流動体状等の成型性可能で均質な混和物を調製する。
次いで、該混和物を特定形状ないし不特定形状に成型加工処理せしめる加工工程にて成型加工物とし、該成型加工物を養生工程に付することによる一連の作業工程からなる活用利用方法により、特定される場合を除き、少なくとも一軸圧縮強度が100KN/m2以上に確保された特定形状の構造体や複合硬化体等、または不特定形状の粒径1〜8mmφに造粒された顆粒体や骨材体等の群からなる一定強度を有して耐水性と耐熱性が確保され、水溶出pHが12未満である無機質成型品群を調製することができる。
本発明の砂粒体からなる複合素材を活用・処理する特定形状の構造体、複合硬化体等の無機質成型品群を調製する加工工程は、セメント・コンクリート系の二次加工製品類を成型加工する時に当業界等で一般に採用されている加工技術・手段により、それぞれの特定形状に成型加工することができる。
本発明による特定形状の構造体、複合硬化体等の具体的な例としては、ブロック、レンガ、耐火材、基礎石、インターロッキング、テトラポット、漁礁、仕切・間仕切板、外壁、ポール、柱、踏石,建材類、土管、フューム管、鉢類、花壇、飾物、置物、枕木、ベンチ、机、瓦、磁器類。陶器類、衛生陶器類、保温材等を挙げることができる。
なお、本発明の無機質製景品においては、クロムレスで耐熱性のある二次加工製品が従来のセメント加工二次製品に替わって製造することができる。また。少なくとも常温で無機質製景品を加工調整できることから、従来窯業分野でエネルギーを多消費して焼き物として製造してきた窯業製品類の代替として、省エネで、二酸化炭素を放出することない環境に負荷を与えない環境にやさしい方法で耐水性で耐熱性を兼ねた無機質成型品を不焼成で加工調製することができる。
本発明の耐水性・耐熱性で、水溶出pHが12未満で、クロムレスで、不溶性で加工成型調製できる無機質成型品が、従来の窯業製品に代替できる分野は、特にレンガ・耐火材類、耐熱材料、タイル類、衛生陶器類、容器類、鉢類、建材、瓦、磁器・陶器類、飾物・置物等を挙げることができる。
本発明砂粒体からなる複合素材を活用する不特定形状の顆粒体ないし骨材体等の無機質成型品群を調製する加工工程は、球体、円柱体、顆粒体または塊体等を造粒加工するために当業界等で一般に採用されている造粒技術・手段である、成長様式の転動式、振動式、焼結式、混合式、流動式もしくは解砕式、圧縮様式の圧縮成型式もしくは押し出し成型方式、液滴発生によるフレイカー式、噴射式もしくは鋳造式等の顆粒化手段により目的に応じ顆粒体の無機質成型品に加工調製することができる。
本発明による不特定形状の顆粒体ないしは骨材体等の具体的な例としては、砂利・砂の代替、骨材、盛土、中込材、充填材、粟オコシ状材の基材(保温材、断熱材、保水材、遮蔽材、防音材、脱臭剤、清浄剤、抗微生物剤等)、触媒等を挙げることができる。
本発明の無機質成型品群が構造体等の硬化体である場合、汎用骨材類を本発明の対象素材の砂粒体として好適に採択することができる。このときの骨材類としては、コンクリート製品等で使用されている粒径5mmφ以下の砂・砕石等からなる「細骨材」ならびに粒径5mmφ以上の砂利・砕石等からなる「粗骨材」もしくはこれらの「混合骨材」を本発明の目的・用途に応じて好適に採択することができる。
本発明においては、汎用骨材の他に、嵩比重が0.9ないし2.5g/ccの範囲にある結晶状、砂状、塊状、粒体、針状、柱状、球状、中空状、板状、棒状、フレーク状、フイルム状、不特定形状等の各種形状の無機質や有機質の天然材料や合成加工材料を本発明の砂粒体として選ぶことができる。
また、砂粒体として、嵩比重が0.9g/cc未満である天然もしくは合成の軽量骨材(バーミュキュライト、パーライト、人工材等)も選ぶこともできる。さらに嵩比重が2.5g/cc以上の重たい骨材[鉄鉱石やマンガン鉱等]を本発明目的・用途に応じて適宜選ぶことができる。
さらにまた、日常生活や産業界から廃出される無機質素材を主成分とする廃棄物類(廃ガラスのカレット、セメント製品廃物、窯業製品ガラクタ屑、リサイクル品、建設廃土、焼却灰類の熔融スラッグ等)の各種形状に選別加工処理されている廃棄物加工品も本発明の対象素材の砂粒体して好適に採択することができる。
本発明の充填材からなる複合素材を活用した付着体としては、粒径100μ以下の粉末状の充填材10ないし2000質量部に対して処理材100質量部を加えた複合素材を対象にして、少なくとも20質量部加える水系活性剤を介して混和せしめる混和工程にて、必要に応じて補強材組成物の繊維質材を加えて糊状の混和物を調製する。
次いで、該糊状混和物を加工工程にて各種基材類の表面、内面ないし隙間面に塗装、接着、結着、被覆、多層塗り、ローラー塗り、ハケ塗り、コテ塗り、どぶ浸け、まぶし塗り、貼り付け、吹き付け(スプレー)塗り、巻き取り法、盛り付け法、パッチング法、流し込み法または注入手段による塗布加工処理せしめる成型加工物とすることができる。
ここに塗布加工処理した成型加工物を養生工程に付することによる一連の作業工程からなる活用利用方法により、剪断破壊付着力が少なくとも2,000KN/m2に確保された付着体として耐水性と耐熱性が確保されて、水溶出pH12未満である無機質成型品を調製することができる。
本発明における無機質成型品が付着体である場合、対象素材は、補助組成物である添加素材組成物である無機質素材からなる充填剤等を代表的な対象素材として選ぶことができる。特に、付着体に採択される充填剤としては、粒径が100μ、好むらくは50ミクロン以下の微粉末からなる顔料・充填材・活性材類の無機質粉末類が、付着効果を発揮させる上で好適である。
本発明による付着体の具体的な例としては、接着剤、バインダー、目地材、コーキング材、埋め物材、絡め材、捨てコン材、固め材、裏打ち材、アンカー材、コーティング材、粒・顆粒体等の表面まぶし剤、多層膜形成材、被覆材、床材、壁材、防水幕材、塗料、塗膜、各種機能膜(抗菌性、消臭性、結露防止性、磁気性、発光性、発色性、抗酸化性、発熱性、熱伝導性、絶縁性、紫外線・近赤外・赤外線吸収性、電磁波吸収性、芳香性、殺虫性、忌避性等)を挙げることができる。
本発明の付着体を応用する例として、粒状体類の集合群に対して、充填材からなる複合素材に加えた水系活性剤を介して調製される糊状混和物を活用して、粒状体の集合群を粟オコシ状にまとめた成型体で気体・液体の通過を可能とする貫通空隙を有する耐水性で耐熱性の粟オコシ状の無機質成型品(粟オコシ体)を調製することができる。
粟オコシ体原料の粒状体の集合群は、具体的には粒径が1〜20mmφの粒状体の集合群であり、集合群を構成する粒状体は、無機質のケイ酸塩、パーライト等の軽量材、コンクリート、金属類、焼き物、窯業製品、ガラス、溶融物、廃棄物類等、有機物の木、竹、繊維、紙、ゴム、プラスチックス等、これらの複合製品であることができる。
粟オコシ体を調製は、上記の粒状体の集合群に対して、上記の充填材からなる複合素材を活用して調整した糊状混和物を加えて、集合群の粒状体表面を糊状混和物で被覆塗布した状態で集合群の粒状体同士の結着をすると共に集合している粒状体間に生じる空隙を確保して養生工程に付することによって完成することができる。
粟オコシ体の具体的例は、無機質で耐水性・耐熱性を有する各種液体のろ過体、浄化体等として、また気体の吸着体、触媒体、清浄体、保温材、活性材等として、さらにまた防音壁材、緑化植物等の基材、建材類、土木資材等の通気性、透水性、軽量性を期待する分野での用途にそれぞれ提供することができる。
本発明の充填材からなる複合素材を活用したフイルムとしては、粒径100μ以下の粉末状の充填材10ないし2000質量部に対して処理材100質量部を加えた複合素材を対象にして、少なくとも15質量部加える水系活性剤を介して混和せしめる混和工程にて、まず流動性ないし可塑性である混和物を調製する。
なお、目的・必要とするフイルムの形態や用途によっては、複合素材とする対象素材を充填材に限定せず、複合素材とする対象素材に各種の活性剤を含めた充填材料や補助組成物で示した補強材組成物や添加素材組成物から選ばれる材料を選び、上記の糊状混和物を調製することができる。
次いで、ここに調製した流動性ないし可塑性の混和物に金属質もしくは無機質繊維製の織布または不織布と複合せしめて1ないしは20mmの厚の膜状もしくは板状の特定形状フイルムに成型加工物とする加工工程によりフイルム状に成型加工品する。
次いで、このフイルム状に成型加工した成型加工物を2ないし120℃の大気中、酸素レスガス中、水中、海中、土中、溶液中、蒸気中、加温中、減圧中もしくは加圧中の雰囲気の群より選ばれる単独雰囲気中ないし2種以上の組み合わせからなる多段雰囲気中に少なくとも10分間放置し、塗布加工されている成型加工物が硬化して必要に応じて型より外して成型加工物とする養生工程により無機質の膜状、板状もしくは塗布状の耐水性・耐熱性で水溶出pHが12未満の無機質製景品を加工調製することができる。
本発明の含水土質からなる複合素材を活用した硬化体ないしは顆粒体としては、水分を25質量%ないし80質量%の範囲に含有して流動性ないし可塑性の含水土質の乾燥物基準で50ないし2000質量部に相当する量に対して、処理材100質量部を加えた複合素材を対象にして、含水土質の含有水を利用して、この含有水を介して混和せしめる混和工程にて均質混和物を調製する。
次いで、該均質混和物を加工工程にて特定形状の構造体、容器一体化物または不特定形状の顆粒体に成型加工処理せしめた成型加工物とし、該成型加工物を気中もしくは水中で養生工程に付する作業工程からなる活用利用方法により、一軸圧縮強度が少なくとも800KN/m2に確保された特定形状もしくは不特定形状の構造体、容器一体化物ないしは顆粒体を耐水性・耐熱性で水溶出pHが12未満の無機質成型品として調製することができる。
本発明における無機質成型品が含水土処理である場合、対象素材は、水分含有量が25質量%以上、好むらくは80質量%以下で含有している流動性ないし可塑性の海・河川・沼・湖・ダム等に堆積しているヘドロや泥土等の浚渫土、軟弱地盤、田圃等の粘土質土、各種水処理場で発生するろ過ケーキ等の含水土質を好適に選ぶことができる。
さらに、本発明の含水土質からなる複合素材を活用して軟弱地盤を硬化せしめて軟弱地盤を改質することができる。軟弱地盤としては、水分含有量が少なくとも20質量%含有しているバサバサ状ないしは可塑状の軟弱地盤の原位置を対象として、下記する原位置における一連の作業工程を施工する活用利用方法が好適に適応することができる。
まず、含水土質である軟弱地盤原位置において、軟弱地盤土質の乾燥物基準で50ないし2000質量部に相当する量に対して、処理材もしくは予め調製された粉状体処理材に水系活性剤を少なくとも25質量部を施工直前に加えた流動性ないしスラリー状の含水処理材を乾燥物換算で100質量部に相当する量を準備する。
次いで、対象となる軟弱地盤の原位置における含水土質に常圧掘削、加圧下掘削、攪拌注入もしくは加圧注入により押し込み混和せしめる混和工程により粉状体処理材もしくは流動性ないしスラリー状の含水処理材を所定量割合で必要に応じて攪拌を伴って注入混和して混和物を調製して軟弱地盤を改質補強することができる。
さらに、原位置の該混和物を自然環境下の常温で少なくとも24時間放置する養生工程に付することにより、一軸圧縮強度が少なくとも200KN/m2に確保された改質地盤で耐水性と耐熱性が確保されて、水溶出pHが12未満である改質補強地からなる盤無機質成型品を調製することができる。
本発明による軟弱地盤を補強する技術を利用して、軟弱地盤の原位置において、軟弱地盤の垂直方向の一定の径内に処理材を土木業界に深層注入混合方式を採択して、杭状に補強硬化体を形成したり、田んぼのあぜを低アルカリ性で補強することができる。
対象素材が処理処分に窮しているヘドロ等の場合、本発明による処理材の活用利用方法を有効に適用することにより、ヘドロ等を再利用可能な再資源材料として活用することが可能となり、環境問題等を解消する有効な手段として選択することができる。
また、本発明の汚染素材からなる複合素材を活用した顆粒体とした無公害化物としては、一般廃棄物ならびに産業廃棄物の焼却灰、汚泥ないしは汚染物の群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせからなる重金属類(鉛、カドミ、クロム、砒素、水銀)の少なくとも1種類の水溶出量において、国が定める「環境基準値」(表1を参照)を超えて含有している汚染素材を対象とする。
汚染素材を乾燥物基準で100ないし2000質量部に対して、処理材100質量部を加えた複合素材を対象にし、少なくとも20質量部の水系活性剤を介して混和せしめる混和工程で均質混和物を調製し、該均質混和物を加工工程にて特定形状の構造体、容器一体化物または不特定形状の顆粒体に成型加工造粒せしめて成型加工物を調製する。
次いで、該顆粒体の成型加工物を常温大気中に少なくとも24時間放置する養生工程に付することによる一連の作業工程からなる活用利用方法により、一般的土木資材となる顆粒体で耐水性と耐熱性が確保されて、水溶出pHが12未満である顆粒状の無公害物の無機質成型品を調製することができる。
本発明の吸着性粉体からなる複合素材を活用する固結吸着体としては、比表面積10m2/g以上である吸着性粉体(QA)を乾燥物基準で100ないし2000質量部に対して処理材100質量部を加えた複合素材を対象として、少なくとも20質量部の水系活性剤を介して混和せしめる混和工程にて均質混和物を調製する。
次いで、該均質混和物を加工工程にて特定形状の構造体ないし不特定形状の粉粒体ないしは顆粒体に成型加工処理せしめて成型加工物とし、該成型加工物を養生工程に付することによる一連の作業工程からなる活用利用方法により、比表面積減少率が40%以内に抑えられている固結吸着体で耐水性と耐熱性が確保され、水溶出pH12未満である無機質成型品を調製することができる。
本発明における無機質成型品が固結吸着体である場合、対象素材としては、さらに比表面積が10m2/g以上の無機質粉粒体であり、具体的は、シリカゲル、アルミナゲル、粘土類、ケイ酸アルミ類、ゼオライト、炭類等を好適に挙げることができる。
さらにまた、農業・林業・畜産・水産の分野から廃出される各種の有機化合物や動植物の有機質素材、発酵分野、造園等の剪定廃材や間伐材、紙・パルプ分野、繊維・布分野、各種プラスチックス等から排出される有機質素材類を400ないし900℃で乾留処理された炭を主成分とする炭−ケイ酸塩粉粒体を挙げることができる。
本発明においては、耐熱性粉粒体を活用した断熱・保温・耐熱材としては、酸化物もしくは非酸化物である粒径10ないし5000mμである断熱・保温・耐熱材の廃材を含めた耐熱性粉粒体を乾燥物基準で100ないし2000質量部前記に対して処理材100質量部を加えた複合素材を対象として、少なくとも20質量部の水系活性剤を介して混和せしめる混和工程にて均質混和物を調製する。
次いで、該均質混和物を少なくとも常温での加工工程にて特定形状の構造体ないし不特定形状の粉粒体・顆粒体に成型加工処理せしめて成型加工物とし、該成型加工物を脱水・加熱処理を含む養生工程に付することにより、予め熱処理成型することなく現場で施工可能な不焼成の保温・耐火物もしくは500℃雰囲気に暴露したときの耐熱性強度保持率が少なくとも80%確保された断熱・保温・耐熱材で耐水性も確保され、水溶出pH12未満である無機質成型品を調製することができる。
本発明における無機質成型品が断熱・保温・耐熱材である場合、対象素材は、酸化物もしくは非酸化物の熱に強い無機質の粉体類を挙げることができる。具体的には、マグネシヤ、カルシヤ、シリカ、アルミナならびに酸化物の複合物、さらに炭化ケイ素、窒化物等の非酸化物、各種結晶のケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウムや石綿、さらにバーミュキュライトやパーライト等の軽量素材を好適に挙げることができる。勿論、以上の酸化物や非酸化物で、保温材、断熱材、耐火材等として使用後の廃材の粉粒体も好適に採択することができる。
本発明のケイ酸アルカリ系素材を複合素材に活用する耐酸材料は、前述の組成式(3)
[式中:Mはアルカリ金属、aは0.1ないし4の数、wは1,6ないし50.0以下の数]で表されるアルカリケイ酸塩化合物群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせからなるケイ酸アルカリ、もしくは対象素材が、ケイ酸アルカリ100質量部に対して、砂粒体または充填材100ないし2000質量部を加えて複合化されたケイ酸アルカリ系素材を対象として調製することができる。
さらに、本発明における耐酸材料は、上記ケイ酸アルカリ系素材100質量部に砂粒体または充填材を100ないし2000質量部加えて複合化された水ガラス複合日からなる複合素材を活用・処理して調製することにより、より応用性の高い耐酸材料である無機質成型品を調製することができる。
本発明における耐酸材としては、ケイ酸アルカリ系素材単品もしくは水ガラス複合品100ないし2000質量部に対して処理材100質量部を加えた複合素材を対象として、ケイ酸アルカリの含有水量を考慮して水の総量が少なくとも20質量部になるように加えて混和せしめる混和工程にて流動性ないしは可塑性の混和物に調製する。
次いで、該流動性ないしは可塑性混和物特定形状の構造体、塗布付着体ないし不特定形状の粉粒体・顆粒体に成型加工処理せしめる加工工程により成型加工物とし、該成型加工物を自然大気中に24時間放置する養生工程に付することにより、pH3酸性溶液に浸漬した時の固化体強度保持率が少なくとも80%確保される耐酸材料で耐水性と耐熱性が確保され、水溶出pH12未満である製品を調製することができる。
本発明による耐酸材料は、不燃性・耐熱性の無機質であり、常温で施工性が可能であることから、食品工場、化学工場、厨房等の耐酸床材として有効である。また、酸性サイドにある温泉場等における水路や床材等として有効である。
本発明の耐酸材料に好適な処理材は、耐酸性が求められることから、硬化・固化強度を損なわない範囲で耐酸性に乏しいカルシヤ等の配合量は抑え、シロキサン結合からなるシリカポリマーを中心に硬化体が形成されるように処理材の組成内容を選ぶ必要がある。
本発明のガラクタ集合体からなる複合素材を活用した固結一体化物としては、板状、膜状、球状、粒状、角状、柱状、繊維状、ひも状、塊状もしくはこれら混合物からなるガラクタ物を容器類に収納されて空隙を有する集合体の空隙に対して、予め粉状体の処理材組成物に水系活性剤を少なくとも25質量部加えて調製された流動性のあるスラリー状含水状態の処理材を調製する。
次いで、予め調製したスラリー状含水処理材をガラクタ物の収納された容器類に注入し、ガラクタ集合体の空隙を満たして一体化せしめる混和工程・加工工程により集合体の一体化成型加工物とし、次いで成型加工物を常温もしくは一定条件下における養生工程に付することにより、ガラクタ集合体の固結一体化物が耐水性と耐熱性が確保され、水溶出pH12が未満である一体化された無機質成型品を調製することができる。
本発明においては、ガラクタ集合体の収納された容器に処理材スラリーによる注入方式による一体化物形成が可能である。したがって、例えば危険な放射性廃棄物類や有害な汚染物からなる危険物等でガラクタ集合体を形成している場合には、危険物類からに遠隔作業による一体化物形成作業が可能である。また、本発明方式で放射性廃棄物類に限定されることなく、各種の危険物類を取り扱い作業性の許で安全な作業システムにより、安全な一体化物として取り扱えることから、作業環境上からも大変好ましい。
物性評価試験方法
本発明においては処理材(S)ならびに無機質成型品類の諸物性を評価するために下記に示す試験方法を採択して行った。
本発明における物性試験方法は、基本的にJIS記載の方法に準拠しているが、一部本発明のための特別な試験法を採択している。
本発明の物性評価試験における各試験体における標準的作成方法は、つぎの手順によって行った。
なお、本明細書においては『部』および『%』の記載は、特記しない限り「質量」を以って示す。
1.処理材(S)における水硬性機能と棚寿命性機能の確認試験
1−1処理材による硬化・固化試験体の調製
処理材による硬化・固化試験体の調製は、供試料の処理材100質量部に対して、水20質量部を加える配合を標準として、全体を混和して混和物に調製し、該混和物をφ2〜7mmの顆粒状に造粒し、密閉可能なプラスチック製容器中にセットして室温(約25℃)にて7日間放置して反応・養生を完了し、顆粒状の硬化・固化試験体と評価した。
1−2処理材の水硬性機能確認試験
供試料処理材における水硬性機能の確認試験は、上記の「処理材による硬化・固化試験体の調製」記載の方法で調製した試験体10gを水100gに投入してゆっくり30分間攪拌して、投入顆粒状試験体が崩壊しない場合を「水硬性あり」とし、崩壊した場合を「水硬性なし」とした。
1−3処理材の棚寿命性機能確認試験
供試料処理材における棚寿命性の機能試験は、下記の手順で行った。まず30質量%の濃度の硫酸溶液(全圧P/mgHg=13.5)を密封デシケーター中に採り、25℃に保って相対湿度(R)で78%の雰囲気を調整した。この相対湿度(R)78のデシケーター中に供試料20g(Y0)を時計皿に採り入れて密封し、7日間25℃に保ち放置し、相対湿度(R)78の条件下に7日間暴露された試料(Ya)を回収した。
ここに回収した試料(Ya)がすでに硬化もしくは粉状態にない場合、この試料(Ya)はこの時点で「棚寿命なし」と判断した。
またここに回収した試料(Ya)が粉状体で回収された場合は、上記の「処理材よる硬化・固化試験体の調製」記載の方法により「水硬性機能」を確認して、水硬性機能を有している場合を「棚寿命あり」とし、水硬性機能を有していない場合を「棚寿命なし」と評価した。
2.標準試験体の調製
円柱状試験体の調製方法は、処理材100質量部に対して、水20質量部を加える配合を標準として、さらに必要に応じて対象素材と対象素材を可塑化状態とするに必要な水を加え、全体を混和して一体化物[混和物]に調製し、該混和物をφ50×100mmの円柱状型容器(参照:JSR5201)に注入充填し、表面をビニールフイルム等で覆って密封状態で室温(約25℃)にて所定時間(7日間)反応・養生した後脱型して、円柱状試験体として調製した。
顆粒状試験体の調製方法は、処理材100質量部に対して、水20質量部を加える配合を標準として、さらに必要に応じて対象素材と対象素材を可塑化状態とするに必要な水を加え全体を混和して一体化物[混和物]に調製し、該混和物をφ2〜7mmの顆粒状に造粒し、密閉可能なプラスチック製容器中にセットして室温(約25℃)にて所定時間(7日間)反応・養生して顆粒状処理試験体として調製した。
3.耐水性の確認試験
予め調製した円柱状処理試験体を、約20℃に保たれた水中に1日間静置浸漬し、浸漬後の処理試験体に異状がなく、一軸圧縮強度の強度減少率が10%以内である処理試験体を耐水性『あり』と評価し、浸漬後の処理試験体に異状があり、一軸圧縮強度の強度減少率が10%を超える処理試験体を耐水性『なし』と評価した。
4.耐熱性の確認試験
予め調製した円柱状処理試験体を、400℃の電気加熱オーブン中に2時間放置暴露し、暴露後の試験体に異状がなく、一軸圧縮強度の強度維持率が50%以上である処理試験体を耐熱性『あり』と評価し、暴露後の処理試験体に異状があり、一軸圧縮強度の強度維持率が50%未満の処理試験体を耐熱性『なし』と評価した。
5.水溶出pH値
本試験は、処理材のカルシヤガラスならびに処理材で調製した無機質成型品の供試料試験体[標準:7日間養生試料]10gに対して20℃のpH7純水を100g中に投入し、20℃で60分間攪拌して回収した溶出検液をpHメーターによりpHを測定し、試験体の10質量%サスペンジョン溶出検液におけるpH値とした。
6.一軸圧縮強度試験
本試験は、基本的にコンクリート・モルタル試験で採択されているJSCE F506ならびにJSCE G505に記載の方法に準拠して、均質混和物(円柱状試験体(φ5×10cm:n=3)として作成し、密閉状態で7日間常温に放置後、処理試験体の一軸方向の圧縮破壊強度(q)を測定し、この時の圧縮破壊強度(q)をKN/m2単位で表示した。
7.顆粒体の強度試験
本試験は、所定の条件下で調整されたか粒状処理試験体の強度を評価するための簡易的試験方法として採択した。
試験体は、試験体の中から選んだ粒径3〜5mmφ試験体9個を供試料とした。強度測定試験機は、2枚の厚さ2mmの鉄板(50×50mm)の4隅に鉄板の自重に耐える少なくとも7mmのスプリングを具備せしめ、その2枚の鉄板の間隙中央に顆粒状の供試料1個をセットして、鉄板上部中央に分銅による荷重を加え、供試料顆粒体が崩れたときの荷重分銅の総重量を測定し、供試料9個を測定した平均値を以って、供試料顆粒体の強度として評価した。
8.付着力試験
本試験は、JIS K 6852に記載の方法に準拠して、30×25cmの鋼板と30×25cmで厚さ0.5mmのアスベスト板との長方形試験片を3枚基材として、鋼板は240番の練研磨紙を用いて金属光沢が出るほどに磨き上げ、混合溶剤で洗浄して乾燥する。アスベスト板は水洗して乾燥する。
次いで、糊状混和物を5mm厚で、表面を洗浄したアスベスト板の長方形試験片基材の25×25cm面に塗布し、その上に鋼板で5mm厚の長方形の試験片基材の25×25cm面を対応させて載せる。この時、均質混和物が塗布されていない5×25cm部分を相互に反対部分直線上に耳状はみ出しさせてセットして付着力試験体とする。
試験体を約20℃の室温に7日間放置した後、圧縮強度試験機を用いて、試験体の耳状部分を立てて縦方向に加重を加え、そのときの剪断破壊力を加重速度による破壊強度(KN/m2)を測定して付着力を評価した。但し、加重を加えた接着部でなく、基材のアスベスト部材が破壊したときは、基材材質強度を越える接着強度として評価した。
9.減水処理強度試験
本試験は、水含有の含水土に対して所定量の処理土に処理材を加えた混和物を標準処理試験体の調整方法に準拠して円柱状処理試験体として作成し、一軸方向の圧縮破壊強度(q)を測定し、この時の圧縮破壊強度(q)をKN/m2単位で表示した。
10.窒素溶出試験
本試験は、本発明の汚染素材を処理した無公害素材における窒素分の溶出測定は、底質調査方法の分析方法に準拠し、室内実験装置により、一定の温度の確保できる円筒(φ10、高さ30cm)に供試料を採り、予め脱酸素の施された海水を注ぎ、24時間放置経過後の溶出海水を採取して溶出海水中の汚染値を測定してmg/L単位で表示した。
11.重金属類溶出試験
本発明においては、対象素材における汚染素材の含有重金属類の主たる組成分析は、土壌分析法における底質調査方法IIに準拠して、主成分の分析は蛍光X線分析法により分析した。含有微量重金属類は、底質調査方法の分析方法に準拠した。
重金属類溶出量は、下記に示す2種類のpH域溶出試験方法にしたがい調製した検液を分析測定した。
1中性域における溶出試験である環境省46号溶出試験法
2酸性域における溶出試験であるオランダNEN7341溶出試験法
各重金属の検出測定方法:
Cd;JIS K0102・1998 55.3 ICP発光分光分析法
Pb:JIS K0102・1998 54.3 ICP発光分光分析法
Cr:JIS K0102・1998 65.2 ICP ジフェニルガルバジド吸光光度法
As:JIS K0102・1998 61.2 ICP水素化物発生原子吸光光度法
Hg 昭和46年12月環境庁告示第59号付表1に掲げる方法
11−1環境庁告示46号溶出試験[略記:pH7溶出試験法:]
11−11試料の作成
採取供試料土壌を風乾し、中小礫、木片等を取り除き、土塊、団粒を粗砕した後、非金属製2mm目篩を通過させた土壌を十分混合する。
11−12試料液の調製
試料(g)と溶媒(純粋に塩酸を加え、水素イオン濃度指数が5.8以上6.3以下となるようにしたもの)とを重量体積比10%の割合で混合し、かつ、その混合液が500ml以上となるようにする。
11−13溶出
調製試料液を常温(おおむね20℃)常圧(おおむね1気圧)で振とう機(あらかじめ振とう回数を毎分約200回に、振とう幅を4cm以上5cm以下に調整したもの)を用いて、6分間連続して振とうする。
11−14検液の作成
以上の操作による試料液を10分〜30分静置後、毎分約3,000回転で20分間遠心分離し、上澄液を孔径0.45μmのメンブランスフィルターでろ過してろ液を採り、定量に必要な正確な量を検液とする。
11−2オランダNEN7341溶出試験[略記:pH4溶出試験法:]
11−21試料の作成
採取した供試料土壌を風乾し、中小礫、木片等を取り除き、土塊、団粒を粗砕した後、非金属製の2mm目のふるいを通過させて得た土壌を十分混合する。
11−22試料液の調製
試料16gに蒸留水800gを加え、1モル/Lの硝酸でpH7に調製しながら維持して3時間撹拌する。次いで、孔径0.45μmのメンブランスフィルターでろ過してろ液を取り、定量に必要な量を正確に計り取り、これをpH7溶出液とする。さらにpH7溶出のろ過残渣に蒸留水800gを加え、今度は1モル/Lの硝酸でpH4に調製しながら維持して3時間撹拌する。次いで、孔径0.45μmのメンブランスフィルターでろ過してろ液を取りpH4溶出液とする。
11−23検液の作成
以上操作を行って得られたpH7溶出液とpH4溶出液とを加え混合して、定量に必要な量を正確に計り取って、これを検液とする。
12.簡易型変形性測定試験
本試験は、本発明による処理土壌が有する変形性を評価するために、「標準貫入試験」に替えて、簡易型の変形性測定試験を採択した。
本試験は、基本的にモルタル試験で採択されているJSCE F 506ならびにJSCE G 505の記載に準拠して混和物を円柱状試験体(φ5×10cm:n=3)に作成し、密閉状態で7日間常温に放置後、一軸方向の圧縮破壊強度(qu)をKN/m2単位で測定して表示した。
13.比表面積減少率
本試験は、乾燥対象素材の比表面積Aqならびに対象素材を固結成型した固結体の比表面積を自動BET比表面積測定装置[CARLOERABA社製Sorptomatic Series 1800]を用いて測定(m
2/g)し、対象素材に対する固結体の比表面積減少率(A)を下記式で求めた。
軸圧縮強度(qh)を測定し、耐熱性強度保持率を下記q(%)で求めた。
14.耐酸材料強度保持率
本試験は、予め調製した円柱状処理試験体(25℃)7日間養生の試験体一軸圧縮強度(q
0)を25℃でpH3の硫酸溶液中に1日間静置浸漬し、浸漬後の試験体一軸圧縮強度(qa)を測定し、下記式(q)の一軸圧縮強度の強度減少率が20%以内である場合を「耐酸性あり」と評価し、浸漬後処理試験体に異状が発生している場合もしくは一軸圧縮強度の強度減少率が20%を超えている試験体を「耐酸性なし」と評価した。
15.ダイオキシン類の測定
ダイオキシン類濃度の分析は公的機関に依頼したて、ガスクロマトグラフ質量分析計で測定・定量した結果を採択した。
本実施例において、カルシヤガラス、アクティブシリカならびにサルフェイトの必須3成分で構成される処理材、さらに補助組成物を加えた4成分で構成される粉状体の処理材について;
さらに処理材に水を介する混和工程、加工工程、養生工程に付する処理材の活用利用方法、ならびに処理材による処理方法について;
さらにまた改質処理品、硬化体、構造体、複合硬化体、顆粒体、付着体、含水土改質処理品、無公害物、固結吸着体、断熱・保温・耐熱材、耐酸材料ならびに一体化物類である無機質成型品について;
それぞれ参考例を添えた具体的例示を以って、本発明を以下に説明する。
[参考例1]
本参考例において、予め調合される混合原料により調製される本実施例における不活性なカルシヤガラスについて説明する。
予め調合される混合原料は、基本組成成分割合を酸化物基準で表して、シリカ100質量部に対して、少なくともアルミナを10ないし100質量部およびカルシヤを50ないし350質量部、必要に応じて酸化ナトリウムを1ないし100質量部の範囲で確保した。
混合原料を構成するケイ酸塩組成物は、層状粘土鉱物、ケイ酸塩化合物、アルカリケイ酸塩、含水土質類ならびに熱履歴物の群から選び、その具体例を表2に表示した。
混合原料を構成するカルシヤ組成物は、カルシヤ類組成物、カルシウム塩組成物、廃棄物組成物、セメント組成物ならびに炭カル変性組成物の群から選び、その具体例を表3に表示した。
混合原料を構成するアルミナ組成物は、アルミン酸塩またはアルミナ水和物の群より選び、その具体例を表4に表示した。
なお、貝殻変性組成物としては、廃棄処分されているホタテの貝殻粉末(主成分:カルシヤ54.3質量%)100質量部に対して、油脂類の精製に使用した活性白土で油分を含んだ廃白土60質量部の二者混合物をそれぞれ約950℃で熱処理し、次いで熱処理物を粉砕・分級した貝殻脱炭酸処理品ならびに貝殻変性処理品の2種類を選んだ。
本参考例におけるカルシヤガラスは、表6に示す種類と基本量割合が確保されている配合割合により調整された混合原料を表6に示す処理温度(℃)で2時間処理して熱処理物を回収し、該処理物を粉砕・分級して100メッシュ篩通過の粉末として調製し、調製したカルシヤガラスの性状(棚寿命性)を確認するため10%サスペンジョンの水溶出pHを測定し、表6に併せ表示した。
本参考例においては、粉状体カルシヤガラスとして、特別に選んだ混合原料を熱処理した熱処理物でなく、混合原料構成成分のカルシヤ組成物として選んだ熱履歴を受けていて水砕され微粉砕された高炉スラグ粉体と貝殻変性処理品を単品で選んだ。
また、本参考例では、本発明の処理材と比較するために、必須構成成分[シリカ、カルシヤ、アルミナ]の一部が欠けた場合の組成物と、熱処理条件を与えなかった場合の組成物について、同様に水溶出pHを測定し、表5に併せ表示した。
本参考例において、本実施例で採択するアクティブシリカとして、市販試薬および工業薬品中よりケイ酸アルカリもしくはアルカリ変性ケイ酸である単一素材、さらにシラノール基を保有するケイ酸化合物とナトリウム塩化合物の混合物である複合素材として好適である化合物および組成物を選んだ。
アクティブシリカの単一素材であるケイ酸アルカリ系素材としては、市販工業薬品の水ガラス粉末(メタケイ酸ソーダ)(試料番号:SN−1)を選んだ。
単一素材であるアルカリ変性ケイ酸としては、シリカガラスの混合原料のケイ酸塩組成物で選んだ酸性白土100質量部に30質量%苛性ソーダ溶液100質量部を加えて均質混合した後、100℃で60分間反応して粉砕して調製した粉状体のアルカリ変性ケイ酸(試料番号:SN−2)を選んだ。
アクティブシリカの混合素材としては、表7に示すケイ酸化合物とナトリウム塩化合物とを所定量混合して調製した。
[参考例3]
本参考例において、本実施例で採択するサルフェイトとして、市販試薬および工業薬品の中から、それぞれカルシウムの硫黄のオキシ酸塩を主成分とする石こう型組成物、硫酸アルミニウムを主成分とする明礬型組成物ならびに硫酸ナトリウムを主成分とする芒硝型組成物から選び、その組成内容を表8に表示した。
なお、本参考例における、サルフェイトに分類されている硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、廃石こうボード、硫酸アルミニウム等は、他のアクティブシリカ、カルシヤ組成物、アルミナ組成物で分類される化合物と同類である場合がある。
本参考例における補助組成物は、結晶タネ組成物、ナトリウム補充組成物、カルシヤ補充組成物、硫酸根補充組成物、補強材組成物、リン酸根組成物,バリウム塩組成物、鉄塩補充組成物、添加素材組成物、分散媒質組成物ならびに機能性付与組成物の群より選ばれる単独ないし2種以上の組み合わせからなる市販試薬、工業薬品ならびに予め精製・調製した材料類の中から繊維状体、フレーク状体ならびに砂状体等を含む粉状体で必要に応じて精製された表9に示す材料を選んだ。
結晶タネ組成物としては、工業薬品のアルミノケイ酸塩でAl/Si原子比が4.2で、環員数8で2次粒径が20μ以下の4A型ゼオライトの粉末と福島産の天然ゼオライトを選んだ。
ナトリウム補充組成物ならびにカルシヤ補充組成物としては、必須3成分で構成される処理材を活用するに際して、処理材の活用目的・用途に対応して必要なナトリウム成分ならびにカルシヤ成分を補填するために選択・選ぶことができる。
補強材組成物としは、一般的な川砂と共に、比重の軽いバーミキュライトならびに比重の大きい漁礁等の骨材に好適な鉄鉱石を充填骨材として選んだ。また、補強材として、ファイバー状のステンレス繊維やガラス繊維を選んだ。
リン酸根組成物としては、原子力発電所の低レベル廃棄物を減容固化するときのケイ酸アルカリ系固化材の硬化剤として採択されているリン酸ケイ素[シリカ/5酸化リンモル比が3.0:1.0で950℃焼成した粉砕品]を選んだ。また、リン酸塩スラッジは、自動車用鋼板を処理した際に副生する主成分が質量%でリン酸鉄25.0、リン酸亜鉛7.5、シリカ10.5、アルミナ8.4、水分35.0のスラッジを選んだ。
バリウム塩組成物としては、本発明処理材と水系活性剤との反応速度を遅延させて作業性を確保させる遅延剤として、簡易反応型で調製したケイ酸バリウム(酸化バリウム/シリカ:モル比=1.0:1.0、250℃で反応・粉砕品)ならびに市販工業薬品の水酸化バリウムを選んだ。
鉄塩補充組成物として選んだ赤泥は、ボーキサイトに苛性ソーダを反応させてアルミン酸ソーダを回収したときに排出された鉄成分を主成分とする廃棄物である。イオン性鉄成分は、重金属類であるヒ素元素等を不溶・固定化する作用機能を有しており選ぶことができる。
添加素材組成物としては、当業界で汎用されている顔料、着色剤、充填剤等の中から、本発明の目的・用途に応じて適宜選んだ。
本発明の処理材が、加えた水系活性剤(W)を介して起動させる反応のスタート時においてはアルカリであることから、選択する顔料、着色剤、充填剤等は、耐アルカリ性を有している化合物や組成物を選んだ。
機能性付与組成物の吸着性担持体としては、産業廃棄物のペーパースラッジを乾留して炭素化した炭−ケイ酸アルミニウム複合物(主成分(質量%):炭素::25.5、シリカ:35.6、アルミナ27.5、カルシヤ11.4)を選んだ。
機能性付与組成物の活性剤としとは、水ガラスの硬化剤として汎用されているリン酸アルミニウム粉末を選んだ。
機能性付与組成物の抗微生物剤(抗菌剤)としては、抗微生物剤として有効なホウ酸、ホウ酸亜鉛、ホウ酸銀を選んだ。
機能性付与組成物の吸着撥水剤としては、活性炭粉末にジメチルジメトキシシランを10質量%含浸させて、粉状体として撥水性を有する機能性付与組成物を選んだ。
本実施例において、参考例に示した予め調製したカルシヤガラス、ならびにアクティブシリカ、サルフェイトの必須3成分を乾式混合方式で均質混合してワンパック化した処理材について説明する。
さらに本発明処理材と比較される処理材ならびに従来技術の水硬性固化材を比較例として沿えて説明する。
本実施例における処理材の必須3成分による配合割合は、参考例1で示したカルシヤガラス、参考例2に示したアクティブシリカならびに参考例3に示したサルフェイトから選択した材料を表10に示す量割合を乾式均質混合してワンパック化した処理材を供試料とした。
また、参考例1で示した本発明の構成成分に対比する比較例としては、参考例1(表5)で示した必須3成分は確保しているが不活性化処理である熱履歴を与えない無処理の供試料(表5:試料番号:HSG1)を選んだ。
さらに、必須3成分のうちいずれかの必須成分を欠いた配合組成からなるカルシヤガラスの比較例(表5:試料番号:HSG2〜HSG4)試料群を選び、本発明処理材の標準的配合となる表10に示した試料番号(1−1)の配合を規準にして調製した比較例となる供試料を表10に併せ表示した。
さらに、本実施例では、本発明処理材に対比できる従来技術の例を比較例として、常温で固化体を形成するポルトランドセメント(JIS R 5210)、水ガラス系固化材[主成分:2号水ガラス+リン酸アルミニウム]、シリカ系バインダーならびにアルカリ系硬化剤[主成分:カルシヤ+粘土+苛性ソーダ]の4種類を選び供試料として、表11に併せ表示した。
以上の必須3成分で調製した本発明の処理材ならびに比較例に関して、物性評価試験方法の項で示した水硬性機能ならびに棚寿命性機能の確認試験の方法に準拠して、それぞれ確認試験を行い、その結果を表10およびに表11併せて表示した。
以上の結果、本発明の不活性化されているカルシヤガラス、アクティブシリカ、サルフェイトの必須3成分が確保されている本実施例の処理材は、いずれも棚寿命性機能が確保されており、水硬性機能を発揮することが良く理解され、常温水硬性を発揮する汎用処理材として有効な商品でることが理解される。
しかし、不活性化されていないカルシヤガラス[比較例:H−1]による供試料、ならびに本発明の処理材を構成する必須3成分であるカルシヤガラス、アクティブシリカ、サルフェイトのいずれかの成分が欠けている供試料[比較例:H−2〜H−4]は、処理材としての基本である水硬性機能を発揮することができない。
なお、比較例の供試料はいずれも水硬性機能がないので,棚寿命性試験を試験することはできなかった。
さらにまた、従来技術における代表的4種類の水硬性固化材の場合、いずれも常温における水硬性機能は確保されているが、いずれも棚寿命性が確保されておらず、本発明における棚寿命性が確保されている処理材とは明確に区別されることを理解することができる。
[実施例2]
本実施例において、実施例1で示した必須3成分により調製した処理材に対して、表12に示した各種の補助組成物を加えた4成分を均質混合してワンパック化した処理材について説明する。
本実施例における処理材においては、実施例1で調製した必須3成分からなる処理材より選択した処理材100質量部に対して、参考例4で示した補助組成物より表12に示したそれぞれの目的・用途に応じた種類の補助組成物を所定量の質量部数で加え、乾式で均質混合してワンパック化された処理材として調製して供試料とした。
以上の補助組成物を加えた4成分で調製した本発明の処理材の物性に関して、水硬性機能ならびに棚寿命性機能の確認試験の方法により確認試験を行い、その結果を表12併せて表示した。
以上の結果、カルシヤガラス、アクティブシリカ、サルフェイトの必須3成分に補助組成物を加えた4成分からなる本発明の処理材は、いずれも水硬性機能を発揮して、しかも棚寿命性機能を保有しており、それぞれの目的・用途に応じた各機能性を発揮して供せられることが良く理解される。
[実施例3]
本実施例において、処理材に加えた水系活性剤を介して反応を起動せしめる一連の作業工程である混和工程、加工工程、養生工程により無機質成型品(本実施例では円柱状処理試験体)に加工調製した処理材の活用利用方法ついて説明する。
本実施例で処理材の活用利用方法に採択した処理材は、実施例1で調製した必須3成分で構成される単品素材である3種類[試料番号:1−2、1−5、1−18]を選んだ。また実施例2で調製した必須3成分に補助組成物を加えた4成分で構成される単品素材である3種類[試料番号:2−1、2−7、2−9]を選んだ。
なお、本実施例では、試験体作成に当り、単品素材とともに、対象素材として砂粒体である川砂(0.5〜4mm)もしくは小砂利[45〜9mm]を選んで表13に示す配合割合で複合せしめた複合素材も選んだ。
各処理材の活用利用方法は、表13に示した作業工程条件[水系活性剤の種類と量、養生工程における雰囲気(ケースにより多段の雰囲気)と温度(雰囲気に対応させる)と時間(日)]により混和工程、加工工程、養生工程を経て、物性評価試験方法の項で示した標準試験体におけるφ50×100mmの円柱状試験体[モールド製の型に均質充填して成型]を調製した。
各処理材に骨材と各種水系活性剤を加えて作業工程に付した本発明処理材に活用利用方法に対応して調製した円柱状処理試験体の物性値[耐水性、耐熱性、一軸圧縮強度(q=KN/m2)、水溶出pH]をそれぞれ測定して評価した。
これらの結果を表14に併せ表示した。
以上の結果、本実施例の処理材単品の単品素材もしくは砂粒体を複合した複合素材を対して、各種水系活性剤を反応起動剤として加えて混和して混和物とする混和工程、次いで混和物を円柱状型枠に充填して円柱状処理試験体に成型し、円柱状型枠に充填した混和物を表13に示した各条件下で養生する養生工程からなる一連の作業工程に付され、耐水性で耐熱性が確保され、水溶出pHが12未満で一定強度を有する固化体に調製される処理材の活用利用方法が良く理解される。
本実施例において、処理材に対象素材として砂粒体を複合させた複合素材に加えた水系活性剤を介して反応を起動せしめて硬化・固化調製した各種構造体もしくは複合硬化体等の硬化体からなる無機質成型品について説明する。
本実施例で採択した処理材は、実施例1ないしは2で調製した必須3成分もしくは補助組成物を加えた4成分で構成される処理材から4種類[試料番号:1−2、1−6、1−18、2−9]を選んだ。
本実施例で採択した対象素材である砂粒体としては、粒径が0.5〜4mmの範囲にある川砂、人工軽量骨材、マンガン鉱、焼却灰を処理した溶融スラグ、ガラスカレットの5種類を選んで処理材に複合せしめた複合素材を選んだ。
本実施例で採択した水系活性剤としては、飲料用にしている井戸水を選んだ。本実施例における処理材の種類と配合量、対象素材として砂粒体の配合量、井戸水の配合量等は、表15に示した。
本実施例における各種構造体もしくは、複合硬化体等の無機質成型品に適合せしめる硬化体無機質成型品としての評価は、下記に示す作業工程により物性評価試験方法の項で示した標準試験体におけるφ50×100mmの円柱状試験体[モールド型に充填成型、n=3]を調製し、一軸圧縮強度試験に付して生成固化体の強度を測定し、その結果を表16に示した。
本実施例における作業工程は、表15に示した量割合で処理材、対象素材である砂粒体、水系活性剤である井戸水を混和して混和物とし、該混和物を円柱状モールド型に充填して円柱状の成型加工物に成型した後、約20℃の密封状態で大気中に7日間放置する養生工程に付して円柱状処理試験体とした。
ここに調製した円柱状処理試験体の物性値[耐水性、耐熱性、水溶出pH、一軸圧縮強度(q=KN/m2)]をそれぞれ測定して評価した。これらの結果を表16に併せ表示した。
以上の結果、本実施例の処理材に砂粒体を複合させた複合素材に井戸水を混和し、一体化せしめた混和物を成型加工物としてから養生工程に付することにより、それぞれの硬化・固化体は、耐水性および耐熱性を有しており、硬化体の水溶出pHが12未満であり、30,000KN/m2以上の強度を示し、本発明の目的・用途に適する硬化体無機質成型品が処理材を活用して調製されることが良く理解される。
[実施例5]
本実施例において、本発明の処理材に対象素材として砂粒体を複合させた複合素材に加えた水系活性剤を介して反応を起動せしめて顆粒化調製した顆粒体無機質成型品について説明する。
本実施例で採択した処理材は、実施例1および2で調製した処理材から2種類[試料番号:1−2、2−9]を選んだ。
本実施例で採択した対象素材である砂粒体としては、粒径が0.2〜2mmの範囲にある3種類の砂粒体[川砂B、パーライト、マンガン鉱]を選んだ。
本実施例で採択した水系活性剤は、飲料用の井戸水を選んだ。
本実施例における顆粒体無機質成型品は、処理材、対象素材である砂粒体および井戸水を表17に示した配合量で、回転攪拌軸羽を有した混合機に採り、約10分間混合攪拌しながら混和物としながら2ないしは10mmφの粒径からなる顆粒体に成型する混和・加工工程に付し、ここに成型された顆粒体を常温の大気中で7日間養生工程に付する方法により、顆粒体無機質成型品をそれぞれ調製した。
ここに調製した各顆粒体無機質成型品の物性値[耐水性、耐熱性、水溶出pH、荷重による強度(kg)]を本明細書の物性評価試験方法に準拠してそれぞれ測定して評価した。これらの結果を表18に併せ表示した。
以上の結果、本実施例の処理材に砂粒体を複合させた複合素材に井戸水を混和し、一体化せしめて顆粒状とした混和・加工工程物(K)に付し、次いで常温における養生工程に付することにより回収した顆粒体は、耐水性および耐熱性を有しており、水溶出pH値が12未満であり、500kg以上の荷重強度を示し、本発明の目的・用途に適する顆粒体無機質成型品が処理材を活用して調製されることが良く理解される。
[実施例6]
本実施例において、処理材に対象素材として充填材を複合させた複合素材に加えた水系活性剤を介して調製した糊状混和物による付着体無機質成型品について説明する。
本実施例における処理材としては、実施例1ないしは2で調製した処理材から2種類[試料番号:1−2、2−9]を選んだ。
対象素材の充填材としては、補助組成物で示した材料から100μ以下の粉状体8種類[試料番号:ST3−2、ST3−5、ST9−4、ST9−7、ST9−8、ST10−2、ST10−4、ST10−7]を選んだ。
水系活性剤には、水道水を選んだ。
本実施例における糊状混和物は、表19に示した配合割合で処理材ならびに対象素材である充填材に対して、さらに水道水を水系活性剤として加えて混和一体化せしめることにより調製した糊状混和物を採択した。
ついで、本明細書に示した物性評価試験方法に準拠して、鋼板とアスベスト板を試験片とする付着力試験用の付着試験体を調製した後、養生工程[約20℃の常温に7日間放置]に付して測定用付着試験体した。ここに調製した付着試験体の耐水性ならびに耐熱性を確認し、剪断破壊強度[KN/m2]を測定した。それらの結果を表20に示した。
以上の結果、本実施例の処理材と粒径100μ以下の粉末充填材と水道水の水系活性剤とで混和一体化せしめた糊状混和物により調製した付着試験体は、付着力(剪断破壊強度)が3,000KN/m2以上であり、耐水性および耐熱性を有しおり、本発明の目的・用途に適する付着体である無機質成型品に加工調製されることが理解される。
本実施例において、実施例6で示した処理材に充填材を複合させた複合素材で調製した糊状混和物を活用して、粒状体の集合群体を一体化結着せしめて加工調製した貫通空隙を有する粟オコシ状成型体からなる無機質成型品について、さらにここで加工調製された粟オコシ状成型体を不燃性防音板とする場合について説明する
本実施例における骨格形成材料である粒状体の集合群体としては、約3ないし7mmφ粒径に整粒されている廃ガラスカレット、パーライト、アルミナならびに本発明顆粒体製品(5−4、5−5、5−6)の6種類の粒状体集合群体を選んだ。
粒状体集合群体をまとめるバインダーとしては、実施例6で調製された試料番号5−1の流動可塑性のある糊状混和物を選んだ。
粟オコシ状無機質成型品は、選んだ粒状体集合群体10kgに約5kgの水を加え顆粒体群表面を濡らした後、調製されているバインダーの糊状混和物15kgを加え混合しながら粒状群表面をバインダーで均質に濡らす。次いで、バインダーで濡らした顆粒体群を厚み30mmで300×300mmの型枠に流し込み成型して常温で少なくとも24時間放置して硬化せしめた後、脱型して粟オコシ状成型体の無機質成型品を調製した。
各粟オコシ状無機質成型品の物性評価を本明細書に示した物性評価試験方法に準拠して、耐水性ならびに耐熱性を確認し、水溶出pHを測定した。また、各粟オコシ状無機質成型品が貫通性であることを確認するために、盤上の粟オコシ状無機質成型品面に水を落として、粟オコシ状成型体からなる無機質成型品下部に水が流出する方法にて貫通性を確認した。これらの結果を表21に示した。
また、本実施例で調製した粟オコシ状成型体からなる無機質成型品[試料番号7−5]を不燃性防音板として応用したときの防音効果を評価するため、JIS A 1416規格に準拠して防音板として評価を行った。不燃性、かさ比重、寸法安定性、圧縮強度、曲げ強度、耐水性ならびに耐候性に関してそれぞれ測定して表22に併せ表示した。その評価結果を表20に併せ表示した。
以上の結果、廃ガラスカレット、パーライト、アルミナならびに本発明処理材で加工調製された(5−4、5−5、5−6)の6種類の粒状体の集合群体を本実施例の糊状混和物をバインダーとしてまとめ、成型して盤状で粟オコシ状成型体からなる無機質成型品とするときは、水溶出pHが12未満で耐水性および耐熱性を有していること、ならびに該粟オコシ状成型体を防音効果に利用するとき優れた不燃性防音板として有効に加工調製されているあることがよく理解される。
[実施例8]
本実施例において、対象素材として含水土質を選択し、含水土質に処理材を加え、含水土質が含有する含有水を水系活性剤として反応を起動せしめて硬化体もしくは顆粒体からなる含水土改質体に加工調製する処理材の活用利用方法ならびに含水土改質体からなる無機質成型品について説明する。
本実施例で採択した処理材は、実施例1および2で調製した処理材から2種類[試料番号:1−12、2−3]を選んだ。
本実施例で採択した対象素材である含水土質としては、海域[英虞湾]から採取した含水ヘドロ[含水比約:158、水分含有量:61.5%、粒度構成:粘土63、シルト24、砂10、礫3%]を選んだ。
本実施例の含水土改質体とする処理試験体は、表23示す配合割合で、含水土のヘドロに処理材を加えて含有する海水を水系活性剤として混和一体化して可塑性混和物とした。次いで該混和物を円柱状試験体(構造体)に成型して室温(約25℃)の気中に28日間放置し、また混和物を約7mmφ顆粒状試験体(顆粒体)に成型して気中に24時間後海水中に2ヶ月間放置し、含水土改質体を構造体もしくは顆粒体とする活用利用方法により成型試験体とした。
各円柱状試験体(固化体)および顆粒状試験体(顆粒体)における物性評価は、耐水性、耐熱性、水溶出pH、窒素溶出試験(mg/L)および固化体の一軸圧縮強度試験[KN/m2]ならびに顆粒体の荷重強度試験(kg)をそれぞれ測定した。その結果を表24に併せ表示した。
なお、表25に「水産用水基準」として[水産生物を対象として法的に定められた水質基準はないが、日本水産保護協会刊行が示している水域において望ましい水質基準]として示されている中から全窒素の溶出量を参考までに示す。
以上の結果、処理対象素材として選んだ含水土質である海域ヘドロにたいして、本発明処理材による一連の作業工程でしかも海中における養生工程で加工処理することにより、水溶出pHが12以下の固化体ならびに顆粒体で再泥化しない固化体強度を有している含水土改質体に改質されている。
特に海水中で養生した海域ヘドロの顆粒体は、海水中で養生が進行して充分な強度を有しており、本発明処理材により海域ヘドロを海水中で処理してヘドロを再泥化しない顆粒体として海域において覆砂や盛土等の用途に提供し、ヘドロの海中における再資源化利用技術として有効であることが良く理解される。
[実施例9]
本実施例において、対象素材として含水土質である軟弱地盤を対象として、該軟弱地盤の原位置で処理材を均質に混和して、軟弱地盤が含有している含水を介して反応を起動せしめて改質補強処理された軟弱地盤の改質処理品について説明する。
本実施例で採択した処理材は、実施例2で調製した処理材から試料番号2−8を選び、予め、90kgの水に処理材粉末100kgを分散せしめて調製したスラリー状の処理材を選んだ。
本実施例で採択した対象素材である含水土質の軟弱地盤としては、茨城県三和町の含水率30質量%の軟弱地盤を選んだ。
軟弱地盤の原位置における改質補強処理は、土木業界で土壌改良用等に汎用されている薬剤注入攪拌方式の深層混合装置により、加圧下に原位置軟弱地盤1m3に対して150kgに相当する量の処理材のスラリーを注入攪拌して軟弱地盤地下4mまでの地盤に対してスラリー状処理材を注入攪拌方式で均質混和して混和物とする、次いで原位置で7日間養生後、改質補強地盤の土壌をサンプル採取して物性評価を行った。
その結果、改質補強処理された軟弱地盤の一軸圧縮強度は、250KN/m2以上であり、水溶出pHは9.5以下であった。
以上の結果、セメントで補強処理したときのように軟弱地盤に有害クロムを持ち込むことなく、本実施例のスラリー状処理材を原位置軟弱地盤に注入攪拌混和することにより、軟弱地盤に補強性を付与する杭を形成して地盤の改質補強処理がなされていることが良く理解される。
[実施例10]
本実施例において、対象素材として重金属類で含有汚染されている汚染土壌地盤にある汚染素材を対象として、該汚染土壌に対して処理材を均質に混和して、汚染土壌が含有している水を介して反応を起動せしめ、含有重金属類を不溶・固定化して無公害化物に改質処理された改質処理品について説明する。
本実施例における改質処理材としての処理材は、実施例2で調製した処理材からサルフェイト配合量の少ない試料番号2−7を選んだ。
また、本実施例の比較例として、市販ポルトランドセメントを処理材とし選んだ。
本実施例における対象素材である汚染土壌としては、化学工場跡地2カ所より採取した複数の重金属類[カドミ、鉛、ヒ素クロム、水銀]で汚染されている汚染土壌[土壌Aならびに土壌B]を選んだ。それらの主成分[乾燥物基準で質量%]ならびに含有重金属類(mg/kg=ppm)濃度を表26に併せ表示した
処理材による重金属類の不溶・固定化された無公害化物とする改質処理方法は、対象素材とした汚染土壌に対して、物性評価試験方法に準拠して表27示す配合割合で、処理材と水を加えて、かき混ぜ混和装置である試験用モルタルミキサー[マイティ30(容量20リッター:攪拌60rpm):(株)愛工舎製作所]を用いて混和一体化してバサバサで可塑性の混和物とした。
次いで該混和物を密封容器に取り室温(約25℃)で24時間放置後ならびに2ヶ月間放置養生後にサンプリングして重金属類溶出試験用の分析供試料とした。
また、未処理の汚染土壌に関しても同様に重金属類溶出試験分析用の供試料として、本発明の重金属類の不溶・固定化効果を比較確認した。
また、本発明の比較例として選んだポルトランドセメントにおいては、本実施例における処理方法と同様条件・方法により、汚染土壌AとBに表27に示す配合割合で市販セメントを混和して混和物として、本実施例と同様に2ヶ月間放置養生して重金属類溶出試験分析用供試料とした。
改質処理された処理物の分析用供試料における物性評価を確認するために、重金属類のpH7ならびにpH4における溶出試験(mg/L)を行い、その結果を表28,29および30に示した。また簡易型変形性測定試験[q=KN/m2]による簡易型変形性ならびに水溶出pHについて試験を行い、その結果を表31にそれぞれ併せ表示した。
なお、国が定めるところの重金属類のpH7における溶出試験による溶出基準値を表32に示した。
以上の結果、無処理状態では有害重金属類が溶出して環境を重金属類で汚染させている汚染土壌地盤において、本発明処理材の単品を処理材として汚染土壌原位置で改質処理することにより、含有している複数の重金属類を一気に本発明処理材単品が改質処理して、酸性雨を想定するpH4の溶液にも含有重金属類は溶出せず、環境基準内に不溶・固定化されて水溶出pHが12未満で耐水性であり、しかもコンクリート化されておらず再利用作業が可能な堅さの土壌地盤で、再利用しやすい無公害化物からなる処理地盤に改質処理されることが良く理解される。
しかし、従来技術におけるセメントを処理材とする時は、含有重金属類を一時的に被覆することは可能であっても、重金属類を不溶・固定化する不溶性鉱物が生成されていないことから、長期(2ヶ月間)に放置されていると重金属類は環境に水溶出して環境基準を超える値となり、本発明技術と異なり、セメントでは汚染土壌の含有重金属類を安定して改質処理されていない。
[実施例11]
本実施例において、対象素材として重金属類含有の汚染土壌地盤における原位置の汚染素材を対象として、該汚染土壌に対して本発明処理材を均質に混和して、汚染土壌が含有している水を介して反応処理を起動せしめるに際して、本発明の一連の作業工程を現場処理規模で実行して、含有重金属類を原位置で不溶・固定化して無公害化物である改質処理品とする改質処理技術について説明する。
本実施例における処理材としては、実施例2で調製した粉状体処理材からなる試料番号2−7の処理材を選んだ、
本実施例における対象素材である汚染土壌としては、化学工場跡地より採取した複数重金属類[カドミ、鉛、ヒ素クロム、水銀]で汚染されている汚染土壌[土壌C地盤:10m×30m×深さ2m]を選んだ。土壌C地盤各所より採取したサンプリング土壌の分析結果の平均値による主成分[乾燥物基準で質量%]ならびに含有重金属類[mg/kg=ppm]濃度を表33に併せ表示した
本発明処理材による複数重金属類を不溶・固定化して無公害化物とする原位置での改質作業工程における混和工程は、土木業界における地盤改良等で汎用されている混和装置である「自走式土質改良方式」ならびに「バックホウ攪拌方式」の2方式を採択した。
混和工程の「自走式土質改良方式」での汚染土壌の改質処理は、RETERRA装置[コマツ社製:定格出力107KW/195rpm、混合方式:ソイルカッター+3軸大型ロータリーハンマー+アフターカッター]を原位置地盤に設置し、設置したRETERRA装置に原位置で採掘した汚染土壌を投入し、投入した汚染土壌1m3に対して、処理材100kgの配合割合で処理材を加えて連続的に混和し、汚染土壌含有の水を介して混和した混和物を採掘原位置に戻して、水を介して反応を起動させて原位置に24時間放置する養生工程に付し、含有重金属類の不溶・固定化改質処理を行った。
混和工程の「バックホウ攪拌方式」での汚染土壌の改質処理は、バックホウ装置[コマツ製作所製、キャタビラ移動可能で平積:0.6m3で山積:0.8m3容量のバケットに攪拌機を付属させている]を現地に持ち込み、予め汚染土壌地盤に深さ1mを想定した深さ容量の土壌1m3に対して、処理材100kgの配合割合で処理材を加えてバックホウで均質混和し、均して汚染土壌含有の水を介して反応を起動させ、混和された原位置に24時間放置する養生工程に付し、含有重金属類の不溶・固定化改質処理を行った。
本実施例実施原位置の無処理汚染土壌地盤ならびに一連の2方式による作業工程で原位置に24時間放置して無公害化物としたそれぞれの処理土壌地盤より分析用サンプル土壌をそれぞれ採取して、重金属類のpH7およびpH4における溶出試験(mg/L)ならびに水溶出PHを測定した。
以上の分析結果を表34に併せ表示した。
以上の結果、重金属類汚染の土壌地盤原位置において、単一の本発明処理材により、「自走式土質改良方式」ならびに「バックホウ攪拌方式」による複数重金属類の不溶・固定化の改質処理工程により、いずれの方式によっても複数含有重金属類が24時間の放置養生工程で環境に負荷を与えず不溶・固定化され、無公害化物としての無機質成型品に改質されていることが良く理解される。
[実施例12]
本実施例において、対象素材として汚染素材である重金属類含有の焼却灰を対象として、該焼却灰に対して処理材と加えて混和した水系活性剤を介して反応を起動せしめた混和物を顆粒化造粒する加工成型して、含有重金属類を不溶・固定化して無公害化物とする顆粒化された無機質成型品について説明する。
本実施例における処理材としては、実施例2で調製した粉状体処理材から試料番号2−8を選んだ、
本実施例における対象素材である焼却灰としては、一般廃棄物もしくは産業廃棄物を焼却して回収した焼却灰で表35に示す重金属類[カドミ、鉛、ヒ素クロム、水銀]を含有している焼却灰を選んだ。
本実施例で採択した水系活性剤は、飲料用の井戸水を選んだ。
本実施例において、焼却灰を顆粒化して重金属類の溶出がない無公害化物からなる無機質成型品とする加工調製は、実施例5で示した処理材に対象素材として砂粒体を複合させた複合素材より調製した顆粒体の活用利用方法に準拠して無機質成型品を調製した。
本実施例における焼却灰を対象素材として顆粒体を加工調製する作業工程は、対象素材である焼却灰100kgに対して、処理材20kgおよび井戸水60kgを加えて、回転攪拌軸羽を有した混合機に採り、約10分間混合攪拌しながら混和物としながら2ないしは10mmφの粒径からなる顆粒体に成型する混和・加工工程に付し、ここに成型された顆粒体を常温の大気中で7日間養生工程に付する工程により、顆粒体からなる無機質成型品を加工調製した。
ここに調製した各顆粒体の無機質成型品の物性値[重金属類の不溶・固定化、耐水性、耐熱性、水溶出PH値、荷重による強度(kg)]を本明細書の物性評価試験方法に準拠してそれぞれ測定して評価した。
これらの結果を表36に併せ表示した。
以上の結果、汚染素材の重金属類含有の焼却灰を対象素材として、処理材に井戸水を加えて混和一体化せしめて顆粒状とした焼却灰顆粒体は、耐水・耐熱性を有しており、水溶出pH値が12未満であり、5kg以上の荷重強度を示し、しかも有害重金属類が不溶・固定化され無公害化物からなる無機質成型品として調製されており、焼却灰を有効利用して再資源化する本発明処理材の活用利用方法が良く理解される。
[実施例13]
本実施例において、対象素材としてダイオキシン類含有の汚染土壌からなる汚染素材を対象として、該汚染土壌に対して処理材を均質に混和して、汚染土壌が含有している水を介して反応を起動せしめる一連の作業工程により含有ダイオキシン類を捕捉・分解せしめて無公害化物とする無機質成型品について説明する。
本実施例における処理材としては、実施例2で調製した粉状体組成物の処理材から試料番号2−10を選んだ、
本実施例における対象素材である汚染土壌としては、ごみ焼却場跡地より採取したダイオキシン類で汚染されている汚染土壌[土壌D]を選んだ。土壌Dにおけるダイオキシン類による汚染状況は、表37にpg−TEQ/g濃度で表示した。
本発明処理材によるダイオキシン類を捕捉・分解して無公害化物とする一連の作業工程は、対象素材とした汚染土壌100質量部に対して、処理材20質量部と水20質量部の比率で、かき混ぜ混和装置である試験用モルタルミキサー[マイティ30(容量20リッター:攪拌60rpm):(株)愛工舎製作所]を採り、攪拌混和により混和一体化してバサバサで可塑性の混和物とする混和工程に付した。
次いで該混和物を特別に成型することなく2分割して、それぞれの混和物を2種類の異なる養生工程(A養生工程もしくはB養生工程)に付し、混和物を改質処理してダイオキシン類の捕捉・分解を行った。
A養生工程では、混和物を大気中の室温(試験期間中:平均約20℃)に開放して少なくとも7日間放置して、処理土壌の含有水分を5質量%以下まで脱水処理した処理土を処理土壌Aとして回収した。
B養生工程では、混和物を大気中の室温(試験期間中:平均約20℃)に開放して少なくとも24時間放置し、次いで100℃で約30分間暴露してさらに脱水処理して、処理土の含有水分を零とする脱水処理した処理土を処理土壌Bとして回収した。
ここに改質処理した処理土Aならびに処理土Bにおけるダイオキシン含有量を測定し、処理土壌Aの結果を表38に、処理土壌Bの結果を表39に表示した。
また処理土壌Aおよび処理土壌Bにおける簡易型変形性測定試験[q=KN/m2]による簡易型変形性、ならびに水溶出pHについて試験を行い、その結果を表40にそれぞれ併せ表示した。
以上の結果、無処理状態の汚染土壌では、ダイオキシン類を含有していた汚染土壌に対して、本発明の処理材と共に水を介した処理・反応を起動せしめて混和物とし、次いで該混和物を特別な多エネルギーを要する高温での処理をすることなく、含有水分量を限りなくゼロに近づける改質処理工程に付することにより、汚染土壌に含有するダイオキシン類を捕捉・分解して,環境基準以下に減少されている無公害化物からなる処理土壌に改質処理されており、ダイオキシン類で汚染されている汚染素材を低コストで、環境に特別な負荷を与えることなく浄化されることが良く理解される。
本実施例において、対象素材として汚染素材である水可溶性塩素含有の焼却灰を対象として、該焼却灰に対して処理材を均質に混和して、焼却灰に加えた水系活性剤を介して反応を起動せしめた混和物を顆粒化造粒して、含有水可溶性塩素を不溶・固定化して無公害化物とする顆粒化無機質成型品とする処理材の活用利用方法について説明する。
本実施例で採択した処理材は、実施例1および2で調製した処理材から試料番号:2−5を選んだ。
本実施例で採択した対象素材である汚染素材としては、水可溶性塩素を1.35質量%含有する一般廃棄物を焼却して回収した焼却灰を選んだ。
本実施例で採択した水系活性剤は、飲料用の井戸水を選んだ。
本実施例において、焼却灰を顆粒化して水可溶性塩素を不溶・固定化して無公害化物からなる無機質成型品とする加工調製は、実施例5で示した処理材に対象素材として砂粒体を複合させた複合素材より調製した顆粒体の活用利用方法に準拠した。
本実施例における焼却灰を対象素材として顆粒体を加工調製する作業工程は、対象素材である焼却灰100kgに対して、処理材20kgおよび井戸水60kgを加えて、回転攪拌軸羽を有した混合機に採り、約10分間混合攪拌しながら混和物としながら2ないしは10mmφの粒径からなる顆粒体に成型する混和・加工工程に付し、ここに成型された顆粒体を常温の大気中で28日間養生工程に付する工程により、顆粒体からなる無機質成型品を加工調製した。
ここに調製した顆粒体における耐水性・耐熱性、水溶出pH、荷重強度(kg)ならびに水可溶性塩素(mg/kg)に関して物性評価試験方法に準拠してそれぞれ測定して評価した。これらの結果を表41に併せ表示した。
以上の結果、汚染素材の水可溶性塩素含有の焼却灰を対象素材として、処理材に井戸水を加えて混和一体化せしめて顆粒状とした焼却灰顆粒体は、耐水・耐熱性を有しており、水溶出pHが12未満であり、5kg以上の荷重強度を示し、しかも水可溶お製塩素が不溶・固定化され無公害化物からなる無機質成型品として調製されており、焼却灰を有効利用して再資源化する本発明処理材の活用利用方法が良く理解される。
[実施例15]
本実施例において、処理材に対象素材として充填材を複合させた複合素材と水とで調製した糊状混和物により、省エネ型で耐熱性フイルムを加工調製した無機質成型品について説明する。
本実施例における処理材としては、実施例2で調製した処理材から試料番号:2−9を選んだ。
対象素材の充填材としては、補助組成物で示した材料から100μ以下の粉状体である火力発電所から排出されるフライアッシュ[試料番号:10−4]を選んだ。
水系活性剤には、水道水を選んだ。
本実施例における糊状混和物は、本発明処理材100質量部に対して、対象素材であるフライアッシュ100質量部と水道水40質量部を加え、均質に混練混和する混和工程により調製した。
糊状混和物によるフイルムの加工成型は,ガラス繊維により製造された織布(重量:149g/m2、厚さ:0.2mm、幅:92cm)を基材として、ガラス繊維織布の両面に本発明処理材と充填材と水で調製した糊状混和物を含浸させながら全体約4mm厚さで塗布し、プラスチックス製フイルムの上で約80℃で60分間放置して水硬性反応を完結せしめる養生工程にてガラス繊維織布を基材とする無機質フイルムを加工調製した。
ここに調製した無機質フイルムの耐水性ならびに耐熱性を確認し、水溶出pHを測定した。その結果、耐水性ならびに耐熱性を有しており、水溶出PHが9.0であった。また、本発明処理材で成型加工調製したフイルムの引っ張り強度は、980N(タテ50mm×ヨコ100mm)であった。
以上の結果、本実施例の処理材と粒径100μ以下の粉末充填材と水道水の水系活性剤とで混和一体化せしめた糊状混和物により、ガラス繊維織布を基材として調製したフイルム付着試験体は、一定の引っ張り強度を有して、耐水性で耐熱性であり水溶出pHが9.0の低アルカリ性のフイルムである無機質成型品に加工調製されていることが理解される。
[実施例16]
本実施例において、処理材に対象素材として吸着性粉体を複合させた複合素材を対象として、水系活性剤を介して反応を起動せしめて加工調製した吸着性粉体が固結化して固結吸着体を形成している無機質成型品について説明する。
本実施例における処理材としては、実施例2で調製した粉状体処理材から試料番号2−1および2−8の2種類を選んだ、
本実施例における対象素材の吸着性粉体としては、表42に示した比表面積を500m2/g以上を有する無機質の吸着性粉体(シリカゲル粉末、天然ゼオライト粉末、炭−ケイ酸アルミナ、酸性白土粉末を選んだ。
本実施例で選んだ炭−ケイ酸アルミナとしては、参考例の補助組成物で機能性付与組成物における吸着性担持体として選んだ産業廃棄物のペーパースラッジを乾留して炭素化した炭−ケイ酸アルミニウム複合物[主成分:炭素:25.5、シリカ:35.6、アルミナ27.5、カルシヤ11.4(質量%)]を選んだ。
本実施例で採択した水系活性剤は、水道水を選んだ。
本実施例における固結吸着体の加工調製は、実施例5に示した砂粒体を対象素材とする顆粒体の活用利用方法により、表42に示す配合割合で、処理材に対して吸着性粉体と水道水を加えてバッチ式簡易型セメントモルタル調製機[中央に撹拌機を備えたφ100×0.5cmのタライ型]に採り、約10分間混合攪拌しながら混和一体化した混和物を調製しながら2〜8mmφの顆粒体に造粒成型し、20℃に7日間放置する養生工程に付して顆粒体からなる無機質成型品を調製した。
ここに加工調製した顆粒体からなる無機質成型品について、物性評価試験方法にしたがい耐水性、耐熱性、水溶出pHならびに比表面積減少率(%)をそれぞれ測定して評価した。その結果を表43に併せ表示した。
以上の結果、本発明処理材と比表面積が500m2/g以上の吸着性を有する無機質吸着性粉体と水とで一体化された混和物を顆粒体とするとき、吸着性粉体が有する比表面積が処理材バインダーで潰されることなく加工調製された顆粒体の比表面積減少率が20%以下に確保され、水溶出PHが12未満で耐水・耐熱性を有しており、吸着性粉体の比表面積が確保されている吸着性顆粒体が加工調製されることが良く理解される。
[実施例17]
本実施例において、顆粒体等の粒体を芯核として、該粒体の表面に対して、処理材に炭−ケイ酸アルミを複合させた複合素材に水系活性剤を加えて調製した糊状混和物を被覆塗布して、核粒体表面に核粒体と異なる機能性を有する異層膜を形成せしめた異層膜を形成している顆粒体からなる無機質成型品について説明する。
異層膜を形成せしめる顆粒体の芯核となる粒体としては、2〜8φmmに整粒されているかさ比重が0.5〜0.6(g/cc)の市販パーライト粒(黒曜石を800〜1200℃で急速加熱して体積膨張せしめた軽量無機粒状素材)を選んだ。
処理材としては、実施例1で示した処理材[試料番号:1−17]を選んだ。
本発明処理材とで糊状混和物を調製する炭−ケイ酸アルミとしては、吸着性機能性を有している補強組成物の担持体組成物でしめした炭−ケイ酸アルミを選んだ。
糊状混和物は、炭−ケイ酸アルミ100質量に対して、処理材100質量部と水系活性剤の水100質量部を加えて均質混和して糊状混和物を調製した。
顆粒体の芯核となる粒体の表面に異層膜を加工調製するには、バッチ式簡易型セメントモルタル調製器[中央に撹拌機を備えたφ100×0.5cmのタライ型]に芯核となるパーライト粒体を投入し、炭−ケイ酸アルミと処理材で調製した流動可塑性の糊状混和物を攪拌混合しながらパーライト粒体表面に炭−ケイ酸アルミからなる糊状混和物を被覆した。次いで、炭−ケイ酸アルミが異層膜として被覆された顆粒体を室温で24時間放置して、吸着性を有する異層膜が被覆された軽量顆粒体を調製した。
ここに調製した異層膜を有する顆顆粒体からなる軽量吸着体の物性を測定評価した。その結果、異層膜を有する軽量顆顆粒体は、耐熱性・耐水性を有しており、かさ比重が0.60であり、水溶出pHは8.5であった。
以上の結果、かさ比重が小さい顆粒体を芯核として、この顆粒体芯核に本発明処理材と炭−ケイ酸アルミで被覆して、耐熱性ならびに耐水性を有していて吸着性を有する異層膜を被覆せしめ軽量顆粒体が形成されるており、本発明による処理材により、無機質で吸着性を有する材料をその吸着性を生かして被覆せしめた異層膜保有の顆粒体からなる無機質成型品が調製されることが良く理解される。
[実施例18]
本実施例において、処理材に対象素材として断熱・保温・耐熱材の廃材を含む耐熱性粉粒体を複合させた複合素材を対象として、水を介して反応を起動せしめて成型体を調製して少なくとも常温で調製される断熱・保温・耐熱材無機質成型品について説明する。
本実施例における処理材としては、実施例2で調製した粉状体処理材から試料番号2−1および2−8の2種類を選んだ、
本実施例における対象素材である耐熱性粉粒体としては、表38に示した断熱・保温・耐熱材の廃材を含めて酸化物もしくは非酸化物の無機質粉粒体を選んだ。
本実施例で採択した水系活性剤は、水道水を選んだ。
本実施例の断熱・保温・耐熱材は、表44に示した配合割合で、対象素材の耐熱性粉粒体に対して、処理材と水道水とを加えて混和一体化した混和物を調製した。ついで、混和物を円柱状試験体に成型し、室温にて7日間放置して円形状処理試験体を作成した。
常温で成型加工された各断熱・保温・耐熱材の円柱状処理試験体における物性を物性評価試験方法に準拠して耐水性、水溶出pHならびに耐熱性強度保持率を測定した。
それらの結果を表45に併せ表示した。
以上の結果、本発明処理材により廃材を含めた耐熱性粉粒体に対して水を介して目的形状に混和成型して養生工程に付する常温施工により調製された断熱・保温・耐熱材は、一定の耐熱性強度保持率を有して水溶出pHが12未満の断熱・保温・耐熱材に常温で加工され、現場施工可能な不焼成の断熱・保温・耐熱材が調製されることが理解される。
[実施例19]
本実施例において、処理材に対象素材として断熱・保温・耐熱材の廃材を含む耐熱性粉粒体を複合させた複合素材に水を加えた混和物を断熱・保温・耐熱材が必要とされる常温現場で直接加工施工して調製される不焼成の断熱・保温・耐熱材について説明する。
本実施例における処理材としては、実施例2で調製した粉状体処理材から試料番号2−1および2−8の2種類を選んだ、
本実施例における対象素材である耐熱性粉粒体)としては、表40に示した断熱・保温・耐熱材の廃材を含めて酸化物もしくは非酸化物の無機質粉粒体を選んだ。
本実施例で採択した水系活性剤は、水道水を選んだ。
本実施例における断熱・保温・耐熱材は、表40示した配合割合で、対象素材の耐熱性粉粒体に対して、処理材と水道水とを加えて混和一体化した流動可塑性のある混和物を調製した。ついで、混和物を円柱状試験体に成型し、室温にて7日間放置して断熱・保温・耐熱材としての円形状処理試験体を作成した。
常温で成型加工された各断熱・保温・耐熱材の円柱状処理試験体における物性を物性評価試験方法に準拠して耐水性、水溶出pHならびに耐熱性強度保持率を測定した。
それらの結果を表41に併せ表示した。
以上の結果、断熱・保温・耐熱材の廃材を含む耐熱性粉粒体を本発明処理材水にて流動性か可塑状の混和物として、断熱・保温・耐熱材を必要とする現場において常温で施工することにより一定の耐熱性強度保持率を有して水溶出pHが12未満で現場施工型の不焼成断熱・保温・耐熱材の施工を可能とすることが良く理解される。
[実施例20]
実施例において、処理材に対象素材としてケイ酸アルカリもしくは複合水ガラスを複合させた複合素材を対象として、含有もしくは加えた水を介して反応を起動せしめて調製した耐酸材料無機質成型品について説明する。
本実施例における処理材としては、実施例2で調製した粉状体処理材から試料番号1−10、1−14ならびに2−2の3種類を選んだ、
本実施例における対象素材であるケイ酸アルカリとしては、市販の3号水ガラス[JIS K 1408:SiO2 28〜30%、Na2O 9〜10%)[試料番号:QS−1]を選んだ。
本実施例対象素材である複合水ガラスは、市販の2号水ガラス[JIS K 1408:SiO2 34〜36%、Na2O 14〜15%]100質量部に対して、補助組成物の項で示したホワイトカーボン15質量部を均質分散せしめた複合水ガラス[試料番号:QW−1]を選んだ。
本実施例で採択した水系活性剤には、水道水を選んだ。
本実施例における耐酸材料は、表42に示した配合割合で、対象素材であるケイ酸アルカリもしくは複合水ガラスに対して、処理材と必要に応じて骨材(川砂:0.5〜4mm)を加え、さらに必要に応じて作業性に必要な流動性を与える水道水を加えて混和一体化したモルタル状の混和物を調製した。
ここに調製したモルタル状の混和物を円柱状試験体に成型し、室温に7日間放置して耐酸材料としての円形状処理試験体を作成した。調製した各円柱状処理試験体における物性評価を耐水性、水溶出pHならびにpH3の酸性溶液に浸漬したときの耐酸材料強度保持率を測定して評価した。その結果を表43に併せ表示した。
以上の結果、本発明処理材とケイ酸アルカリないしは複合水ガラスの複合により調製された耐酸材料は、pH3の酸性溶液に浸漬し多ときにも材料に変化がなく、耐水性で耐熱性である上に耐酸である。したがって、耐酸性の求められる化学工場、食品工場、厨房、温泉場等の床材や構造体材料として有効であることが充分に理解される。
本実施例において、対象素材としてガラクタ類の集合体であるガラクタ集合体が収納されている容器に対して、処理材を水系活性剤に分散させたスラリーを注入して混和一体化せしめた固結一体化物の無機質成型品について説明する
本実施例における処理材としては、実施例1で調製した粉状体処理材から試料番号1−15を基礎として、処理材[試料番号1−15]をスラリー状に調製したときの注入可能な流動性を確保するために、処理材[試料番号1−15]100質量部に補助組成物のバリウム塩組成物)であるケイ酸バリウム)を10質量部を加えた処理材[試料番号2−10]ならびに実施2で調製した試料番号2−2の2種類の処理材を選んだ。
上記処理材をガラクタ集合体が収納されている容器に注入するために、各処理材100kgに水道水100kgを加えて分散せしめたスラリー状混和物(G)を選んだ。ここに調製した混和物(G)の流動性を一定時間の範囲で粘性として測定して、ガラクタ集合体納容器への混和物を注入する一体化作業続行性の確認を行った。
本実施例の流動性混和物の粘性の測定は、30℃に保持された粉状処理材に35℃の水を所定量割合で加えて攪拌し、調製した流動性混和物を52℃の恒温槽中にて養生し、60分後の混和物の粘性をC型粘度計により測定し、結果をCP[センチポイズ]で表44に表示した。
なお、本実施例では、容器内で空隙を残すことなく注入一体化を可能とする限界ペースト粘性がペースト調製10分後のペースト粘性で8000CPを超えない範囲とし、一方作業可能な可使時間を1時間として、その1時間の範囲でペースト粘性が20,000CPを超えない粘性が良好な作業性を確保できる条件とした。
本実施例における対象素材であるガラクタ集合体としては、200Lドラム缶に収納された廃棄物の硫酸ナトリウム(芒硝)粉末を30×20×15mmのアーモンド状に加圧成型したタブレット楕円球群からなるガラクタ集合体を選んだ
本実施例における対象素材であるガラクタ集合体としては、200Lドラム缶に収納された廃棄物の硫酸ナトリウム(芒硝)粉末を30×20×15mmのアーモンド状に加圧成型したタブレット楕円球群からなるガラクタ集合体を選んだ
加圧タブレット化したアーモンド状芒硝は、特殊セメントで内張りされた200Lドラム缶に260kgを充填して被一体化成型物とした。該被一体化成型物に上記のスラリー化処理材110kgを10分間でドラム缶内に空隙を残さないように注意して注入して一体化成型物とした。
このとき一体化成型物に採択したスラリー状処理材を本明細書に示した物性評価試験方法に準拠して円柱状処理試験体を同時に調製し、室温(約25℃)に7日間放置して各円柱状処理試験体とし、調製した円柱状処理試験体における物性評価を耐水性ならびに水溶出pHを測定して評価した。その結果を表45に併せ表示した。
以上の結果、アーモンド状の硫酸ナトリムの集合体群で一定の空隙率を有する対象素材が収納されたドラム缶容器内に、注入流動性が一定時間確保された本発明処理材のスラリーを注入して一体化して一体化成型物とするとき、アーモンド状硫酸ナトリムの集合体群が一体化された固化体に調製されている。
このように廃棄物類の各種形状物を一体化物として固化できる効果は、例えば、拡散することが嫌われる有形の廃棄物類等を一体化させて処理することを可能にしており、廃棄物類の処理処分方法として有効利用できることを示唆している。
本発明は、従来の水硬性固化材が抱えてきた諸課題を解消して、棚寿命性の確保された汎用性を有する常温水硬性処理材が環境に負荷を与えない製造技術で安価に安定して提供され、省エネ型で廃棄物類を含む処理対象素材を無公害型で改質処理もしくは加工調製できることから、環境問題の解消ならびに循環型社会の構築に貢献できる産業分野での利用・活用の可能性が期待される。