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JP2005088441A - 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置 - Google Patents

液体噴射ヘッド及び液体噴射装置 Download PDF

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JP2005088441A JP2003326705A JP2003326705A JP2005088441A JP 2005088441 A JP2005088441 A JP 2005088441A JP 2003326705 A JP2003326705 A JP 2003326705A JP 2003326705 A JP2003326705 A JP 2003326705A JP 2005088441 A JP2005088441 A JP 2005088441A
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Abstract

【課題】 振動板の変位量の低下を防止でき且つ圧電素子の外部環境に起因する破壊を防止できる液体噴射ヘッド及び液体噴射装置を提供する。
【解決手段】 圧力発生室12に対向する領域の下電極60を圧力発生室12よりも狭い幅で形成し、圧力発生室12に対応する領域の下電極60の上面及び端面を圧電体層70によって覆い、且つ圧電体層70の上面及び端面を、圧電体層70上に設けられた上電極80によって覆う。
【選択図】 図2


Description

本発明は、液体噴射ヘッド及び液体噴射装置に関し、特に、インク滴を吐出するノズル開口と連通する圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板の表面に圧電素子を形成して、圧電素子の変位によりインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置に関する。
インク滴を吐出するノズル開口と連通する圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板を圧電素子により変形させて圧力発生室のインクを加圧してノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッドには、圧電素子の軸方向に伸長、収縮する縦振動モードの圧電アクチュエータを使用したものと、たわみ振動モードの圧電アクチュエータを使用したものの2種類が実用化されている。
前者は圧電素子の端面を振動板に当接させることにより圧力発生室の容積を変化させることができて、高密度印刷に適したヘッドの製作が可能である反面、圧電素子をノズル開口の配列ピッチに一致させて櫛歯状に切り分けるという困難な工程や、切り分けられた圧電素子を圧力発生室に位置決めして固定する作業が必要となり、製造工程が複雑であるという問題がある。
これに対して後者は、圧電材料のグリーンシートを圧力発生室の形状に合わせて貼付し、これを焼成するという比較的簡単な工程で振動板に圧電素子を作り付けることができるものの、たわみ振動を利用する関係上、ある程度の面積が必要となり、高密度配列が困難であるという問題がある。
一方、後者の記録ヘッドの不都合を解消すべく、振動板の表面全体に亙って成膜技術により均一な圧電材料層を形成し、この圧電材料層をリソグラフィ法により圧力発生室に対応する形状に切り分けて各圧力発生室毎に独立するように圧電素子を形成したものがある。また、このような圧電素子は、例えば、湿気等の外部環境に起因して破壊され易いという問題がある。この問題を解決するために、例えば、圧電素子の外周面に絶縁体からなる保護膜を設けたものがある(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、このように圧電素子を絶縁膜で覆ってしまうと、圧電素子の外部環境に起因する破壊を防止することができたとしても、圧電素子の駆動による振動板の変位量が低下するという問題がある。また、上記特許文献1には、保護膜の厚さを部分的に薄くして振動板の変位量の低下を抑えた構造が開示されている。確かに、この構造と、圧電素子の表面を均一な厚さの保護膜によって覆ったものとを比較すると、振動板の変位量の低下は抑えられているが、保護膜を設けていない構造と比較すると、変位量の低下は十分に抑えられているとは言えない。なお、このような問題は、インク滴を吐出するインクジェット式記録ヘッドだけではなく、勿論、インク以外の液滴を吐出する他の液体噴射ヘッドにおいても、同様に存在する。
特開2001−260357号公報(特許請求の範囲)
本発明は、このような事情に鑑み、振動板の変位量の低下を防止でき且つ圧電素子の外部環境に起因する破壊を防止できる液体噴射ヘッド及び液体噴射装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決する本発明の第1の態様は、液滴を吐出するノズル開口にそれぞれ連通する圧力発生室が形成される流路形成基板と、該流路形成基板の一方面側に振動板を介して設けられる下電極、圧電体層及び上電極からなる圧電素子とを具備する液体噴射ヘッドであって、前記圧力発生室に対向する領域の前記下電極が当該圧力発生室よりも狭い幅で形成されると共に当該圧力発生室に対応する領域の前記下電極の上面及び端面が前記圧電体層によって覆われており、且つ前記圧電体層の上面及び端面が、当該圧電体層上に設けられた前記上電極によって覆われていることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる第1の態様では、圧電体層が上電極によって覆われているため、圧電素子(圧電体層)の水分(湿気)に起因する破壊を防止することができる。また、圧電素子とは別に保護膜を設ける必要がないため、圧電素子及び変位の低下も抑えられる。
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記圧力発生室の長手方向の端部近傍に対応する領域の前記下電極上の一部に絶縁膜が設けられ、前記圧電体層の前記下電極上の端部が前記絶縁膜上に設けられていることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる第2の態様では、下電極と上電極とを短絡させることなく、上電極によって圧電体層の表面を容易に覆うことができる。
本発明の第3の態様は、第1の態様において、前記下電極が各圧力発生室に対向する領域内に形成されてその上面及び端面が前記圧電体層によって覆われ、且つ当該下電極が、前記振動板を構成する複数の絶縁膜の間に設けられる接続配線と、当該下電極の前記圧電体層とは反対側の面で接続されていることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる第3の態様では、振動板上に圧電素子とは別の層を設けることなく、圧電体層の表面を上電極によって覆うことができる。
本発明の第4の態様は、第1〜3の何れかの態様において、前記上電極が複数の圧電素子に対向する領域に連続的に設けられていることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる第4の態様では、上電極を容易にパターニングすることができ、製造工程を簡略化できる。
本発明の第5の態様は、第1〜4の何れかの態様の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置にある。
かかる第5の態様では、耐久性及び信頼性を向上した液体噴射装置を実現することができる。
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るインクジェット式記録ヘッドを示す分解斜視図であり、図2は、図1の平面図及び断面図である。図示するように、流路形成基板10は、本実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板からなり、その一方の面には予め熱酸化により形成した二酸化シリコンからなる、厚さ1〜2μmの弾性膜50が形成されている。流路形成基板10には、複数の圧力発生室12がその幅方向に並設されている。また、流路形成基板10の圧力発生室12の長手方向外側の領域には連通部13が形成され、連通部13と各圧力発生室12とが、各圧力発生室12毎に設けられたインク供給路14を介して連通されている。なお、連通部13は、後述する保護基板のリザーバ部と連通して各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバの一部を構成する。インク供給路14は、圧力発生室12よりも狭い幅で形成されており、連通部13から圧力発生室12に流入するインクの流路抵抗を一定に保持している。
また、流路形成基板10の開口面側には、圧力発生室12を形成する際のマスクとして用いられた絶縁膜51を介して、各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側の端部近傍に連通するノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が接着剤や熱溶着フィルム等を介して固着されている。なお、ノズルプレート20は、厚さが例えば、0.01〜1mmで、線膨張係数が300℃以下で、例えば2.5〜4.5[×10-6/℃]であるガラスセラミックス、シリコン単結晶基板又は不錆鋼などからなる。
一方、このような流路形成基板10の開口面とは反対側には、上述したように、厚さが例えば約1.0μmの弾性膜50が形成され、この弾性膜50上には、厚さが例えば、約0.4μmの絶縁体膜55が形成されている。さらに、この絶縁体膜55上には、厚さが例えば、約0.2μmの下電極膜60と、厚さが例えば、約1.0μmの圧電体層70と、厚さが例えば、約0.05μmの上電極膜80とが、後述するプロセスで積層形成されて、圧電素子300を構成している。ここで、圧電素子300は、下電極膜60、圧電体層70及び上電極膜80を含む部分をいう。一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を各圧力発生室12毎にパターニングして構成する。そして、ここではパターニングされた何れか一方の電極及び圧電体層70から構成され、両電極への電圧の印加により圧電歪みが生じる部分を圧電体能動部という。本実施形態では、下電極膜60は圧電素子300の共通電極とし、上電極膜80を圧電素子300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。何れの場合においても、各圧力発生室毎に圧電体能動部が形成されていることになる。また、ここでは、圧電素子300と当該圧電素子300の駆動により変位が生じる振動板とを合わせて圧電アクチュエータと称する。
ここで、本実施形態に係る圧電素子300の構造について詳しく説明する。図3に示すように、圧電素子300を構成する下電極膜60は、各圧力発生室12に対向する領域毎に、圧力発生室12の幅よりも狭い幅で設けられている。また下電極膜60は、各圧力発生室12の長手方向一端部側から周壁上まで延設され、周壁上で連結されて各圧電素子300に共通する共通電極となっている。なお、本実施形態では、圧力発生室12の長手方向他端部側の下電極膜60の端部は、圧力発生室12に対向する領域内に位置している。
また、圧力発生室12の長手方向一端部に対応する領域の下電極膜60上には、例えば、二酸化シリコン(SiO)等からなる絶縁膜65が設けられている。この絶縁膜65は、本実施形態では、各圧力発生室12に対向する領域の下電極膜60上にそれぞれ設けられているが、複数の圧力発生室12に対向する領域の下電極膜60上に連続的に設けられていてもよい。
圧電体層70は、本実施形態では、圧力発生室12に対向する領域内に、下電極膜60の幅よりも広い幅で設けられている。また、圧力発生室12の一端部側の圧電体層70の端部は、絶縁膜65上に位置し、圧力発生室12の他端側の端部は、下電極膜60の端部よりも外側に位置している。すなわち、圧電体層70は、圧力発生室12に対応する領域の下電極膜60の上面及び端面を完全に覆うように設けられている。
上電極膜80は、本実施形態では、圧電体層70の幅よりも広い幅で、各圧力発生室12に対向する領域にそれぞれ独立して設けられている。そして、圧力発生室12の長手方向他端部側から周壁上まで延設されている。すなわち、上電極膜80は、圧電体層70の上面及び端面を完全に覆って設けられ、圧電体層70への大気中の水分(湿気)の浸透を防止する保護膜としての役割も果たしている。例えば、本実施形態では、上電極膜80は、イリジウム(Ir)等の金属からなるため、圧電体層70の表面を完全に覆うことによって大気中の水分(湿気)が圧電体層70に浸透するのを防止することができる。したがって、水分(湿気)に起因する圧電素子300(圧電体層70)の破壊を防止でき、圧電素子300の耐久性を著しく向上することができる。
また、上電極膜80は、圧電体層70の表面を覆って設けられているため、振動板(絶縁体膜55)上にも形成されることになるが、上電極膜80の厚さは、0.05μm程度と極めて薄いため、振動板の変位を妨げることはない。また、上電極膜80は、圧電素子300の一方の電極であり、圧電素子300自体の厚さは変わらないため、圧電素子300の変位特性が低下することもない。よって、本発明の構成としても圧電素子300及び振動板の変位量は低下することはなく、良好なインク吐出特性が得られる。
なお、流路形成基板10上の圧電素子300側の面には、圧電素子300に対向する領域にその運動を阻害しない程度の空間を確保可能な圧電素子保持部31を有する保護基板30が接着剤35を介して接合されている。圧電素子300は、この圧電素子保持部31内に形成されているため、外部環境の影響を殆ど受けない状態で保護されている。また、保護基板30には、流路形成基板10の連通部13に対応する領域にリザーバ部32が設けられている。このリザーバ部32は、本実施形態では、保護基板30を厚さ方向に貫通して圧力発生室12の並設方向に沿って設けられており、上述したように流路形成基板10の連通部13と連通されて各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバ100を構成している。
さらに、保護基板30の圧電素子保持部31とリザーバ部32との間の領域には、保護基板30を厚さ方向に貫通する貫通孔33が設けられ、下電極膜60及び上電極膜80の端部がこの貫通孔33内に露出されている。そして、図示しないが、これら下電極膜60及び上電極膜80は、貫通孔33内に延設される接続配線によって圧電素子300を駆動するための駆動IC等に接続される。
なお、保護基板30の材料としては、例えば、ガラス、セラミックス材料、金属、樹脂等が挙げられるが、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料で形成されていることがより好ましく、本実施形態では、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて形成した。
この保護基板30上には、さらに、封止膜41及び固定板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する材料(例えば、厚さが6μmのポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム)からなり、この封止膜41によってリザーバ部32の一方面が封止されている。また、固定板42は、金属等の硬質の材料(例えば、厚さが30μmのステンレス鋼(SUS)等)で形成される。この固定板42のリザーバ100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっているため、リザーバ100の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
このような本実施形態のインクジェット式記録ヘッドでは、図示しない外部インク供給手段からインクを取り込み、リザーバ100からノズル開口21に至るまで内部をインクで満たした後、図示しない駆動ICからの記録信号に従い、圧力発生室12に対応するそれぞれの下電極膜60と上電極膜80との間に電圧を印加し、弾性膜50、絶縁体膜55、下電極膜60及び圧電体層70をたわみ変形させることにより、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口21からインク滴が吐出する。
ここで、このようなインクジェット式記録ヘッドの製造方法について、図4及び図5を参照して説明する。なお、図4及び図5は、圧力発生室12の長手方向の断面図である。まず、図4(a)に示すように、シリコン単結晶基板である流路形成基板10を約1100℃の拡散炉で熱酸化し、流路形成基板10の表面に弾性膜50及びマスク膜51を構成する二酸化シリコン膜52を形成する。次いで、図4(b)に示すように、弾性膜50(二酸化シリコン膜52)上に、ジルコニウム(Zr)層を形成後、例えば、500〜1200℃の拡散炉で熱酸化して酸化ジルコニウム(ZrO)からなる絶縁体膜55を形成する。次いで、図4(c)に示すように、例えば、白金とイリジウムとを絶縁体膜55上に積層することにより下電極膜60を形成後、この下電極膜60を所定形状にパターニングする。
次に、図4(d)に示すように、二酸化シリコンからなる絶縁膜65を、例えば、CVD法、あるいはスパッタリング法により流路形成基板10の全面に形成後、所定形状のマスクを介してエッチングすることにより、圧力発生室12の一端部側の端部に対応する領域の各下電極膜60上に絶縁膜65を形成する。次に、図5(a)に示すように、圧電体層70を流路形成基板10の全面に形成後、各圧力発生室12に対向する領域に、下電極膜60の表面を覆うようにパターニングする。この圧電体層70は、結晶が配向していることが好ましい。例えば、本実施形態では、金属有機物を触媒に溶解・分散したいわゆるゾルを塗布乾燥してゲル化し、さらに高温で焼成することで金属酸化物からなる圧電体層70を得る、いわゆるゾル−ゲル法を用いて形成することにより、結晶が配向している圧電体層70とした。圧電体層70の材料としては、チタン酸ジルコン酸鉛系の材料がインクジェット式記録ヘッドに使用する場合には好適である。なお、この圧電体層70の成膜方法は、特に限定されず、例えば、スパッタリング法で形成してもよい。
さらに、ゾル−ゲル法又はスパッタリング法等によりチタン酸ジルコン酸鉛の前駆体膜を形成後、アルカリ水溶液中での高圧処理法にて低温で結晶成長させる方法を用いてもよい。何れにしても、このように成膜された圧電体層70は、バルクの圧電体とは異なり結晶が優先配向しており、且つ本実施形態では、圧電体層70は、結晶が柱状に形成されている。なお、優先配向とは、結晶の配向方向が無秩序ではなく、特定の結晶面がほぼ一定の方向に向いている状態をいう。また、結晶が柱状の薄膜とは、略円柱体の結晶が中心軸を厚さ方向に略一致させた状態で面方向に亘って集合して薄膜を形成している状態をいう。勿論、優先配向した粒状の結晶で形成された薄膜であってもよい。なお、このように薄膜工程で製造された圧電体層の厚さは、一般的に0.2〜5μmである。
次いで、図5(b)に示すように、例えば、イリジウムからなる上電極膜80を流路形成基板10の全面に形成後、各圧力発生室12に対応する領域毎に、圧電体層70の表面を覆う大きさでパターニングすることで圧電素子300を形成する。
次に、図5(c)に示すように、流路形成基板10の圧電素子300側に保護基板30を所定の接着剤からなる接着層35を介して接合し、その後、所定形状にパターニングしたマスク膜51を介して流路形成基板10を異方性エッチングすることにより圧力発生室12等を形成する。なお、実際には、上述した一連の膜形成及び異方性エッチングによって一枚のウェハ上に多数のチップを同時に形成し、プロセス終了後、図1に示すような一つのチップサイズの流路形成基板10毎に分割する。
また、その後は、流路形成基板10にマスク膜51を介してノズルプレート20を接合すると共に、保護基板30上にコンプライアンス基板40を接合することにより本実施形態のインクジェット式記録ヘッドとなる。
(実施形態2)
図6は、実施形態2に係るインクジェット式記録ヘッドの平面図及び断面図である。図6に示すように、本実施形態では、下電極膜60が、各圧力発生室12に対向する領域内に形成されている。そして、下電極膜60の表面、すなわち、上面及び端面が、圧電体層70によって完全に覆われていると共に、圧電体層70の表面が上電極膜80によって完全に覆われている。
また、振動板を構成する複数の絶縁膜、すなわち、弾性膜50と絶縁体膜55との間には、絶縁体膜55に設けられた接点部131を介して下電極膜60に接続される接続配線130が設けられている。具体的には、弾性膜50と絶縁体膜55との間に第2の弾性膜53が設けられ、この第2の弾性膜53が除去された空間に接続配線130が形成されている。そして、接続配線130は、各圧力発生室12に対向する領域から圧力発生室12の長手方向一端部側の周壁に対向する領域まで延設され、周壁に対向する領域でそれぞれ連結されている。すなわち、本実施形態では、下電極膜60と接続配線130とで、各圧電素子300の共通電極が形成されている。なお、勿論、この接続配線130は、圧力発生室12の列方向に亘って連続的に設けられていてもよい。
このような構成としても、上電極膜80によって圧電体層70の表面を完全に覆うことができるため、実施形態1と同様に、圧電素子300及び振動板の変位の低下を防止でき且つ水分(湿気)に起因する圧電素子300の破壊を防止することができる。
なお、このような接続配線130及び振動板の形成方法は、特に限定されないが、本実施形態では、以下の工程で形成している。すなわち、まず、図7(a)に示すように、流路形成基板10上に形成された弾性膜50(52)上に、例えば、二酸化シリコン(SiO)からなる第2の弾性膜53を形成する。そして、この第2の弾性膜53を所定形状にパターニングする。すなわち、接続配線130が形成される領域の第2の弾性膜53を除去して凹部54を形成する。次いで、図7(b)に示すように、第2の弾性膜53に形成された凹部54に、高融点の金属等の導電材料を充填して接続配線130を形成して表面を、例えば、CMP(化学的機械的研磨)法により平坦化する。次いで、図7(c)に示すように、絶縁体膜55を流路形成基板10の全面に形成した後、絶縁体膜55の接続配線130に対向する領域に接続孔56を形成する。そして、図7(d)に示すように、この接続孔56に上記導電材料をさらに充填して表面を平坦化することにより、接続配線130の下電極との接点部131が形成される。
(他の実施形態)
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述の実施形態では、下電極膜60が、各圧電素子300に共通する共通電極となっているが、これに限定されず、勿論、上電極膜80が共通電極となっていてもよい。この場合には、上電極膜80を複数の圧力発生室12(圧電素子300)に対向する領域に連続的に設けるようにしてもよい。これにより、上電極膜80のパターニングが容易となり、製造効率を向上することができる。
なお、上述した実施形態のインクジェット式記録ヘッドは、インクカートリッジ等と連通するインク流路を具備する記録ヘッドユニットの一部を構成して、インクジェット式記録装置に搭載される。図8は、そのインクジェット式記録装置の一例を示す概略図である。図8に示すように、インクジェット式記録ヘッドを有する記録ヘッドユニット1A及び1Bは、インク供給手段を構成するカートリッジ2A及び2Bが着脱可能に設けられ、この記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられている。この記録ヘッドユニット1A及び1Bは、例えば、それぞれブラックインク組成物及びカラーインク組成物を吐出するものとしている。そして、駆動モータ6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って移動される。一方、装置本体4にはキャリッジ軸5に沿ってプラテン8が設けられており、図示しない給紙ローラなどにより給紙された紙等の記録媒体である記録シートSがプラテン8上を搬送されるようになっている。
なお、上述した実施形態においては、本発明の液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドを説明したが、液体噴射ヘッドの基本的構成は上述したものに限定されるものではない。本発明は、広く液体噴射ヘッドの全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射するものにも勿論適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンタ等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレー、FED(面発光ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられる。
実施形態1に係る記録ヘッドの分解斜視図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの平面図及び断面図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの要部を示す平面図及び断面図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 実施形態1に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 実施形態2に係る記録ヘッドの断面図である。 実施形態2に係る記録ヘッドの製造工程を示す断面図である。 一実施形態に係る記録装置の概略図である。
符号の説明
10 流路形成基板、 12 圧力発生室、 20 ノズルプレート、 21 ノズル開口、 30 保護基板、 31 圧電素子保持部、 32 リザーバ部、 33 貫通孔、 40 コンプライアンス基板、 50 弾性膜、 53 第2の弾性膜 55 絶縁体膜、 60 下電極膜、 70 圧電体膜、 80 上電極膜、 100 リザーバ、 130 接続配線、 131 接点部、 300 圧電素子

Claims (5)

  1. 液滴を吐出するノズル開口にそれぞれ連通する圧力発生室が形成される流路形成基板と、該流路形成基板の一方面側に振動板を介して設けられる下電極、圧電体層及び上電極からなる圧電素子とを具備する液体噴射ヘッドであって、
    前記圧力発生室に対向する領域の前記下電極が当該圧力発生室よりも狭い幅で形成されると共に当該圧力発生室に対応する領域の前記下電極の上面及び端面が前記圧電体層によって覆われており、且つ前記圧電体層の上面及び端面が、当該圧電体層上に設けられた前記上電極によって覆われていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
  2. 請求項1において、前記圧力発生室の長手方向の端部近傍に対応する領域の前記下電極上の一部に絶縁膜が設けられ、前記圧電体層の前記下電極上の端部が前記絶縁膜上に設けられていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
  3. 請求項1において、前記下電極が各圧力発生室に対向する領域内に形成されてその上面及び端面が前記圧電体層によって覆われ、且つ当該下電極が、前記振動板を構成する複数の絶縁膜の間に設けられる接続配線と、当該下電極の前記圧電体層とは反対側の面で接続されていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
  4. 請求項1〜3の何れかにおいて、前記上電極が複数の圧電素子に対向する領域に連続的に設けられていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
  5. 請求項1〜4の何れかの液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置。

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