JP2005085026A - アクセス制御装置ならびにそのプログラム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 状態遷移制御部4が、不正アクセス検知部3によって検知される不正アクセス定義情報に基づく不正アクセスを契機に、監査モードから保護モード、および運用モードから保護モードへの状態遷移を許可し、アクセス制御部5を介し、監査モードでは外部向けの提供サービスを不許可とし、運用モードではセキュリティ管理者によるアクセス権を不許可とし、保護モードではシステムに変更を加え得るパーミッションの全てについて不許可とする。
【選択図】 図1
Description
上記した製品は、前提として、既知の攻撃パターンを対象としたものであり、また、パケット監視がベースであるため、通常のリクエストを装った不正なコード実行等の検知には限界がある。最終的には、そのような悪意のあるユーザからのリクエストにより発生する不正なコード実行等の処理過程での逸脱行為を抑え得るのは、基本ソフトウェア(OS:Operating System)によるアクセス制御の機能である。
OSは、管理者を含むユーザから、ファイル、ディレクトリ、プロセス、ネットワーク、デバイス、メモリ等のシステム資源への、読み取り、書き込み、削除、新規作成、追記、実行、名称変更等のアクセス要求に対し、所定のアクセス制御情報に基づいてそれらの可否を決定する機能を持つ。
図11において、まず、ユーザ“jdoe”が、アプリケーションを介して、“foo”というディレクトリの削除要求を発行したとする(コマンド実行a)。この要求はシステムコール“rmdir()”により処理がユーザモードからカーネルに委託される(システムコールb)。そして、処理関数“vfs_rmdir()”の中で、パーミッションチェック“may_create()”が呼ばれ、アクセス制御が実行される(アクセス制御c)。
ここで、カーネルは、サブジェクト(アクセスする側)、オブジェクト(アクセスの対象)、メソッド(アクセスの種類)の組み合わせ対して、アクセス権が与えられているか否かを、アクセス制御情報に基づいて判定する。UNIX(登録商標)系OSでは、ファイルのオーナー、グループ、それ以外のユーザに対しての、“read/write/execute”に関するパーミッションがオブジェクト毎に付与されており、サブジェクトのUID(User Identifier)やGID(Group Identifier)に基づき、アクセス許可、不許可を判定する(パーミッションチェックd)。“rmdir:ディレクトリの削除”であれば、削除対象の上位ディレクトリに対してのwrite/execute権限が必要とされる。そして、アクセスが許可されれば、“rmdir”:処理)を実行し、不許可であればユーザにエラーを返す(判定結果に応じた処理e)。
Unix(登録商標)系のOSにおいては、rootユーザがこれに該当し、不正にroot権限が取得できてしまうような種々の脆弱性を解消することが望まれていた。
通常のUNIX(登録商標)系OSであれば、オブジェクト毎のアクセス権(所有者、グループ・パーミッション)についてはそのオブジェクトの所有者であれば、“chown/chgrp/chmod”等のコマンドにより、変更可能である。また、root等の管理者権限を持ってすれば、全てのオブジェクトについて、アクセス権の変更が可能である。このため、root権限を奪取するような形で、不正侵入が行われた場合には、アクセス権による各オブジェクトの保護の意味が低減する。
また、アクセス対象であるオブジェクト、およびアクセス主体であるオブジェクトを詳細に分類し、その分類に基づいて特有の制限を強制的に加えて単一の特権利用者を排除し、プログラムの乗っ取りによる被害を最小限にとどめ、もしくは排除してセキュリティを高めるアクセス制御方法ならびにアクセス制御装置および記録媒体が出願されている(例えば、特許文献1参照)。
また、所定の安全性判定に基づき不正アクセスの危険性が低いと判断された時点でセキュリティレベルを下げる制御を行うことで、柔軟なセキュリティ制御が可能な、アクセス制御装置ならびにそのプログラムを提供することも目的とする。
なお、ここで、「アクセス制御情報」とは、管理者を含むユーザによって発行されるシステム資源(ファイル、ディレクトリ、プロセス、ネットワーク、デバイス、メモリ等)への利用要求(読み取り・書き込み・削除・新規作成・追記・実行・名称変更等)に対し、そのアクセス可否が規定されたものをいう。
また、「不正アクセス定義情報」とは、禁止すべきアクセスの定義情報であり、「アクセス制御情報」で許可されていない全てのアクセスとして定義しても良いし、特に注意深く監視したい不正なアクセスのみを定義しても良い。
本発明によれば、不正アクセス検知の頻度に応じ不正アクセスの危険性が低いと判断された時点で、セキュリティレベルを下げる制御を行うことで、柔軟なセキュリティ制御が可能なアクセス制御装置を提供することができる。
また、アクセス制御情報、不正アクセス定義情報のそれぞれをシステム起動時に読み込み、セキュリティレベルにあわせてOSの管理化に置き、一連の制御はOS内部で行わせることで、外部からの干渉なしに安全にアクセス制御情報への変更が可能な状態と、アクセス制御情報への干渉を一切排除可能な状態の双方が両立可能となる。更に、セキュリティレベルの制御は常に高くする(厳格化する)という一方向のみの制御がフェイルセーフの観点からは望ましいが、所定の安全性判定に基づき不正アクセスの危険性が低いと判断された時点で、セキュリティレベルを下げる制御を行うことで、柔軟なセキュリティ制御が可能となる。
ここで「アクセス制御情報」とは、管理者を含むユーザによって発行されるシステム資源(ファイル、ディレクトリ、プロセス、ネットワーク、デバイス、メモリ等)への利用要求(読み取り・書き込み・削除・新規作成・追記・実行・名称変更等)に対し、そのアクセス可否が規定されたものをいい、「不正アクセス定義情報」とは、禁止すべきアクセスの定義情報をいい、それぞれ、アクセス制御情報DB1、不正アクセス定義情報DB2に格納される。図2にそのデータ構造が示されている。
ここでは、rootによる/etc/passwdファイルへのアクセスを許可する、userによる/home/userディレクトリへのアクセスを許可するアクセス制御情報、および、userによる/etc/passwdファイルへのwrite,append,unlink等のアクセスを不正アクセスとして扱う、userによる/sbin/shutdownファイルへのアクセスを不正アクセスとして扱う不正アクセス定義情報のそれぞれが例示されている。
アクセス制御部5は、監査モードにおいては少なくとも外部向けの提供サービスを不許可とし、運用モードにおいてはセキュリティ管理者によるアクセス権を不許可とし、保護モードにおいてはシステムに変更を加え得るパーミションの全てについて不許可とするようにOSの動作を制御する。ここでは、セキュリティレベル(監査モード、運用モード、保護モード)毎にその動作実行部51、52、53を持つこととする。
なお、運用モードのみ動作実行部52を2つ有しているが、これは、後述するように、不正アクセス検知部3による不正アクセス検知の頻度に応じて同モード間での遷移を許可するオプションを持つためである。このことによりセキュリティレベルに柔軟性を持たせることができる。また、状態遷移制御部4は、監査モードから運用モードへの遷移を除き、不正アクセス検知部3による不正アクセスの検知により遷移を制御する。更に、不正アクセス定義情報は、上記したモードのそれぞれについて、サブジェクト、オブジェクト、メソッドの3つの組から成ることは上記したとおりである。
まず、カーネル(不正アクセス検知部3)は、要求されたアクセスを所定の不正アクセス定義情報と比較し、要求されたアクセスが不正アクセスであるか、否かを判定する。不正アクセス検知は許可されないすべてのアクセスを対象としても良いし、特定の(不許可となるような)アクセスのみを対象としても良い。状態遷移制御部4は、カーネルによる不正アクセスの検知を契機として、監査モードから保護モード、及び運用モードから保護モードへの状態遷移を許可する。また、管理者のコマンド指示等による、監査モードから運用モードへの状態遷移も許可し、それ以外の状態遷移は不許可とする。
アクセス制御部5は、運用モードにおいて、逆にセキュリティ管理者によるアクセス制御情報への書き込み等のアクセス権は許可する。万全を期するのであれば、セキュリティ管理者の一切の権限は不許可とする。その一方で、外部向け提供サービスに対しては通常の稼動に必要かつ十分なアクセス権が与えられるものとする。保護モードは、運用モードのアクセス権がさらに制限された状態で、外部向け提供サービスに関連する書き込みや削除、新規生成等、システムに変更を加えるパーミッションについて不許可された状態として定義する。パーミッションを制限することにより、不正アクセスによる被害を抑えることを目的としている。また、各管理者の権限に関しても、制限する。
サブジェクト(アクセスする側)、オブジェクト(アクセスされる側)が図示された対応関係となっており、ここでは、ユーザによるコマンド実行に基づき、システムコール“rmdir()”で処理がカーネルに委託されたときの動作が示されている。本発明では、監査モード、運用モード、保護モードのそれぞれにおいて異なるアクセス制御を行うために、カーネルおよびアクセス制御情報について以下の拡張が行なわれる。
そして、管理者が、アプリケーション(シェル)を介して、“foo”というディレクトリの削除要求を発行したとする(コマンド実行c)。この要求はシステムコール“rmdir()”により処理がカーネルに委託される(システムコールd)。カーネルでは、該当するシステムコール処理関数が呼び出され、アクセス制御が開始される(アクセス制御e)。続いて、運用モードのアクセス制御情報によるパーミッションチェックが行われ(パーミションチェックf)、判定結果に応じた処理が実行される(判定結果に応じた処理g)。
不正アクセス検知部3は、カーネル内、パーミッションチェックにより不許可とされたアクセスに関し、不正アクセス定義情報DB2に格納された不正アクセス定義情報に基づき、それが該当するか否かを判定し、状態遷移制御部4へ伝える。状態遷移制御部4は、不正アクセス検知部3から不正アクセス検知の通知を受け、現在のモードから保護モードへの状態遷移を行い(現在のモードから保護モードへ移行h)、アクセス制御部5による上記したアクセスが実行される。
カーネルは、起動されると、デフォルトでは運用モードで起動する。(セキュリティ状態は運用モードで初期化される)。運用モードでは、上記したように、userによる/sbin/shutdownへの全てのアクセスを不正アクセスとして定義されている。まず、一般ユーザuserは、許可されているアクセス“rmdir foo”を、シェルを介して実行する(図4、コマンド実行a)。このことにより、カーネルに対して、システムコール“rmdir()”が発行される(システムコールb)。カーネルでは、該当するシステムコール処理関数が呼び出される。続いて、運用モードのアクセス制御情報によるパーミッションチェックが行われる(パーミションチェックd)。パーミッション関数の処理の流れは、図7に示されている。ここでは許可されたアクセスであるため、処理が実行される(アクセス制御cとアクセス許可なら処理実行e、および図7、S71、S72)。
この場合もカーネルに対し、システムコール“execve(sbin/shutdown)”が発行され(システムコールg)、該当するシステム処理関数が呼び出される(アクセス制御h)。これは、運用モードのアクセス制御情報によるパーミッションにおいて不許可となってそのコマンドは実行されない(バーミッションチェックi、および図7、S73)。また、不正アクセス検知部3により運用モードでの不正アクセス定義情報による不正アクセス検知が行われ(不正アクセス検知j、および図7、S74)、検知対象に該当するため、状態制御関数を呼ぶ。そして、状態遷移制御部4によって運用モードから保護モードへの状態遷移が行われる(現在のモードから保護モードに移行k、および図7、S75)。以後、アクセス制御情報、不正アクセス定義情報は保護モードのものが用いられ、アクセス制御部5による遷移モードに従う動作が実行される。
また、運用モード(52)は、アクセス制御情報を操作不可能なカーネル状態を示し、カーネルは、デフォルトとしてこのモードが選択され起動される。万全を期すのであれば、セキュリティ管理者の一切の権限は不許可とされる。また、外部向けの提供サービスについては、通常の稼働に必要かつ十分なアクセス権が与えられる。そして、不正アクセス検知を契機に、監査モード(51)からの遷移が可能であり、他への遷移は禁止される。更に、監査モード(51)は、アクセス制御情報を操作可能なカーネル状態を示し、セキュリティ管理者にアクセス制御情報への書込み等のアクセス権が認められ、万全を期すのであれば一切のリモートアクセスの権限を不許可とする。なお、監査モード(51)は、ブートオプション指定、コマンド等による起動が可能である。
不正アクセス検知した場合、図10の状態遷移図に示されるように、監査モード(51)と運用モード2(52)からは保護モード(53)に遷移し、運用モード1(52)からは運用モード2(52)に遷移する。運用モード2(52)は運用モード1(52)のアクセス権に制限を課したものであり、保護モード(53)ほどは厳しくない。運用モード2(52)においては安全性判定が適用され、不正アクセスの兆候が一定時間みられない等、安全状態であると判断された場合には運用モード2(52)から運用モード1(52)への状態遷移を行い、アクセス権を緩和するような制御を行う。それ以外の遷移については図3、図4に示す実施形態と同様に禁止する。
図8において、パーミッションチェックの結果(S81)、アクセスが許可されたときに現在のモードが運用モード2(52)で動作しているか否かがチェックされる(S83)。ここで運用モード2の場合は、更に上記した安全性の判断を行い(S84)、安全と判断されたときにモード遷移制御部4により運用モード1(52)への状態遷移がなされ、アクセス制御部5によりそのモードでの実行が開始される。
一方、パーミッションチェックの結果(S81)、アクセスが不許可となった場合(S86)、不正アクセス検知部3による不正アクセスのチェックが行われ(S87)、ここで不正アクセスが検知された場合に、現在のモードが運用モード1(52)で動作しているか否かがチェックされる(S88)。運用モード1(52)で動作していた場合は、状態遷移制御部4によって運用モード2(52)に状態遷移がなされ、運用モード1(52)以外で動作していた場合は、保護モード(51)に状態遷移がなされる。そして、アクセス制御部5により、そのモードに従う実行が開始される。
なお、図1に示される不正アクセス検知部3、状態遷移制御部4、アクセス制御部5のそれぞれで実行される手順をコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによっても本発明のアクセス制御装置を実現することができる。ここでいうコンピュータシステムとは、OSや周辺機器等のハードウェアを含む。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
Claims (6)
- ネットワークを含むコンピュータシステムの各資源に対してユーザから発せられるアクセス要求を制御するアクセス制御装置であって、
前記要求されたアクセスを、あらかじめ定義してある所定の不正アクセス定義情報と比較し、要求されたアクセスが不正アクセスであるか否かを判定する不正アクセス検知部と、
前記不正アクセスの検知を契機に、監査モードから保護モード、および運用モードから保護モードへの状態遷移を許可する状態遷移制御部と、
前記監査モードにおいては少なくとも外部向けの提供サービスを不許可とし、前記運用モードにおいてはセキュリティ管理者によるアクセス権を不許可とし、保護モードにおいては前記システムに変更を加え得るパーミションの全てについて不許可とするアクセス制御部と、
を備えたことを特徴とするアクセス制御装置。 - 前記状態遷移制御部は、
前記監査モードから運用モードへの遷移を除き、前記不正アクセス検知部による不正アクセスの検知により遷移を制御することを特徴とする請求項1に記載のアクセス制御装置。 - 前記不正アクセス定義情報は、前記モードのそれぞれについて、アクセスする側とされる側とアクセス手段との組から成り、記憶装置に格納されることを特徴とする請求項1または2に記載のアクセス制御装置。
- 前記運用モードを少なくとも2つに分けて定義し、前記不正アクセス検知部による不正アクセス検知の頻度に応じて同モード間での遷移を許可することを特徴とする請求項1に記載のアクセス制御装置。
- ネットワークを含むコンピュータシステムの各資源に対してユーザから発せられるアクセス要求を制御するアクセス制御装置に用いられるプログラムであって、
前記要求されたアクセスを、あらかじめ定義してある所定の不正アクセス定義情報と比較し、要求されたアクセスが不正アクセスであるか否かを判定する第1のステップと、
前記不正アクセスの検知を契機に、監査モードから保護モード、および運用モードから保護モードへの状態遷移を許可する第2のステップと、
前記監査モードにおいては少なくとも外部向けの提供サービスを不許可とし、前記運用モードにおいてはセキュリティ管理者によるアクセス権を不許可とし、保護モードにおいては前記システムに変更を加え得るパーミションの全てについて不許可とする第3のステップと、
を前記コンピュータに実行させるアクセス制御プログラム。 - 前記第2のステップは、前記運用モードを少なくとも2つに分けて定義し、前記不正アクセス検知の頻度に応じて同モード間での遷移を許可するサブステップを含むことを特徴とする請求項5に記載のアクセス制御プログラム。
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