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JP2005081672A - 静電吐出型インクジェットヘッド - Google Patents

静電吐出型インクジェットヘッド Download PDF

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JP2005081672A JP2003315525A JP2003315525A JP2005081672A JP 2005081672 A JP2005081672 A JP 2005081672A JP 2003315525 A JP2003315525 A JP 2003315525A JP 2003315525 A JP2003315525 A JP 2003315525A JP 2005081672 A JP2005081672 A JP 2005081672A
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亮一 山本
Hideyuki Oguchi
秀幸 小口
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

【課題】メニスカスの位置および形状を安定的に保つことができ、これにより、インク滴等の液滴の吐出・飛翔を安定して行うことができ、記録媒体等の液滴受容体上への高品質な画像形成を可能にすることができる静電吐出型インクジェットヘッドを提供する。
【解決手段】静電吐出型インクジェットヘッド10は、ヘッド基板12と、ヘッド基板12と所定の間隔を設けて配置され、ヘッド基板12との間にインク流路22を形成するとともに、貫通孔20が形成された絶縁性基板16と、先端部が貫通孔20の略中心に位置するようにヘッド基板12上に配置されるインクガイド14と、インク流路22にインクQを供給するインク供給手段と、貫通孔20を囲うように絶縁性基板16に設けられた制御電極18と、インクガイド14近傍に形成されるメニスカスMの縁部Eを固定するメニスカス制御手段40とを有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、分散させた粒子を含む液滴を飛翔させて画像を記録するインクジェット記録装置に利用される静電吐出型インクジェットヘッドに関し、特に、液滴の吐出および飛翔を安定して行うことができる静電吐出型インクジェットヘッドに関する。
従来、静電吐出型インクジェット記録方式としては、帯電した微粒子成分を含むインクを用い、画像データに応じて、インクジェットヘッドの制御電極に所定の電圧を印加することにより、静電力を利用してインクの吐出を制御し、画像データに対応した画像を記録媒体上に記録する方式が知られている。この静電吐出インクジェット記録方式を用いたインクジェット装置が種々提案されている(例えば、特許文献1および特許文献2等参照)。
図3は、特許文献1に開示された従来のインクジェット記録装置のインクジェットヘッドを模式的に示す模式的断面図である。
図3に示すように、インクジェットヘッド100においては、絶縁性基板102とこの絶縁性基板102に対向して配置されるヘッド基板104を有する。絶縁性基板102には、基板貫通孔102aが形成されている。この基板貫通孔102aの周囲には、制御電極110が設けられている。ヘッド基板104には、基板貫通孔102aの略中心に位置するように、インクガイド106が立設されている。このインクガイド106は、その先端部が基板貫通孔102aから突出するものであり、インクガイド106には、その中心線に沿って所定幅だけ切り欠かれてインクガイド溝108が形成されている。
絶縁性基板102とヘッド基板104との間には、インク溜114が形成される。また、制御電極110には、記録すべき画像に対応する信号電圧を供給する信号電圧源112が接続されている。
さらに、絶縁性基板102に、インクガイド106の先端部の突出方向側に対向して対向電極120が設けられている。この対向電極120は、所定の電位レベルが与えられるとともに、プラテンとして記録媒体Pを保持する。
また、インクジェットヘッド100において、インク溜114には、インク供給管(図示せず)およびインク回収管(図示せず)を介して、インクQを循環させるインク還流機構(図示せず)が設けられている。
なお、インクQとしては、108 Ω・cm以上の抵抗率を有する絶縁性の溶媒中に、帯電性を有する色剤成分(帯電微粒子)をコロイド状に分散させて浮遊させたものを用いる。
このような構成を有するインクジェットヘッド100においては、色剤成分を含むインクQが毛細管現象によってインク案内溝108内を移動してインクガイド106の先端部に溜まっていく。この状態で、信号電圧源112から制御電極110に高電圧パルスが印加されると、色剤成分を含むインク滴がインクガイド106から飛び出し、対向電極120に引っ張られて、記録媒体Pに向けて飛翔されて付着し、画像を記録する。
図4は、特許文献2に開示された従来のインクジェット記録装置のインクジェットヘッドを模式的に示す模式的断面図である。
図4に示すように、インクジェットヘッド130においては、絶縁性支持基板132と、この絶縁性支持基板132に対向して配置される基板134とを有する。絶縁性支持基板132と基板134との間にインク溜136が形成される。インク溜136には、インクQを供給するためのインク供給タンク(図示せず)が配管(図示せず)を介して設けられている。
また、絶縁性支持基板132には、基板貫通孔132aが形成されている。この貫通孔132aの周囲を囲むようにして、絶縁性支持基板132の表面および裏面に第1および第2の制御電極140、142が形成されている。この絶縁性支持基板132の表面側に対向して金属プラテン120aが配置されている。この金属プラテン120aは、対向電極を兼ねるものであり、金属プラテン120aには、記録媒体Pが保持される。
第1および第2の制御電極140、142には、信号電圧源144が接続されている。また、第2の制御電極142と接地された金属プラテン120aとの間にはバイアス電圧源146が接続されている。インクQとしては、105 〜109 Ω・cm程度の導電率を持つ導電性インクが使用される。
このような構成を有するインクジェットヘッド130においては、インク供給タンクからインクQがインク溜136に供給されて、静水圧により貫通孔132a内にインクQが供給される。この状態で、バイアス電圧に、加えて信号電圧源144により、第1および第2の制御電極140、142間に画像信号に応じた信号電圧を重畳印加する。これにより、貫通孔132a内のインク面からインク滴が飛翔する。この飛翔したインク滴は、金属プラテン120aと、第1および第2の制御電極140、142に印加されたバイアス電圧によって加速され記録媒体Pに達して画像が形成される。
しかしながら、図3および図4に示すインクジェットヘッド100および130においては、通常の使用時においても、特に、装置の振動やインク供給圧力の変動等の影響により、インクの染み出しが生じたり、もしくはインクガイド先端に形成されるインクメニスカスの形状が変わり、あるいはメニスカスとインクガイド先端との位置が変化するために、印字特性への影響が生じ、特に、インク吐出部を高密度に配列する必要のあるラインヘッド等の場合には、隣接する吐出部間でインクの干渉が生じるため、インク滴の径を制御できず、高品質な画像記録が難しいという問題があった。
特開平10−230608号公報 特開平10−138494号公報
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解消し、絶縁性基板表面の貫通孔近傍または貫通孔内に、あるいは、さらにこれらとインク滴等の液滴を静電力により吐出させるためのインクガイド先端部近傍との間に形成されるインクのメニスカスの縁部を固定して、メニスカスの位置および形状を安定的に保つことができ、これにより、インク滴等の液滴の吐出・飛翔を安定して行うことができ、記録媒体等の液滴受容体上への高品質な画像形成を可能にすることができる静電吐出型インクジェットヘッドを提供することにある。
前記課題を解決するために、本発明は、溶媒中に粒子を分散させたインクに静電気力を作用させることにより、少なくとも前記粒子を含む液滴を、液滴受容体に向けて飛翔させる静電吐出型インクジェットヘッドであって、ヘッド基板と、前記ヘッド基板と所定間隔離間して配置され、前記ヘッド基板との間にインク流路を形成するとともに、少なくとも1つの貫通孔が穿孔された絶縁性基板と、前記インク流路に前記インクを供給するインク供給手段と、前記貫通孔を囲うように前記絶縁性基板に設けられ、第1の信号が印加され、前記液滴の吐出制御を行う制御電極と、前記第1の信号と異なる第2の信号を印加され、前記絶縁性基板の前記貫通孔の近傍または前記貫通孔内に形成される前記インクのメニスカスの縁部の固定を制御するメニスカス制御手段とを有することを特徴とする静電吐出型インクジェットヘッドを提供するものである。
本発明において、前記メニスカス制御手段は、前記メニスカスの接触角を大きくすること、および前記インクの粘度を高くすることの少なくとも一方により、前記メニスカスの縁部を固定することが好ましい。
また、本発明において、前記制御電極に印加される前記第1の信号の第1の電圧は、前記メニスカス制御手段に印加される前記第2の信号の第2の電圧よりも高いことが好ましい。
この場合、前記メニスカス制御手段は、電圧により駆動されるものであり、前記制御電極に印加される第1の電圧は、前記メニスカス制御手段に印加される第2の電圧よりも高いことが好ましい。
さらにまた、本発明において、前記メニスカス制御手段は、前記インクの温度を下げる冷却手段を持つことが好ましい。この場合、前記冷却手段は、少なくともペルチェ効果を有する層構成を持つことが好ましい。
さらに、本発明において、前記メニスカス制御手段は、前記インクの温度を上げるヒータを持つことが好ましい。
また、本発明において、さらに、上記静電吐出型インクジェットヘッドは、先端部が前記貫通孔の略中心に位置するように前記ヘッド基板上に配置され、前記先端部が前記貫通孔から突出するインクガイドを有することが好ましい。
本発明の静電吐出型インクジェットヘッドによれば、絶縁性基板表面の貫通孔近傍または貫通孔内に、あるいは、さらにこれらとインク滴等の液滴を静電力により吐出させるためのインクガイド先端部近傍との間に形成されるインクのメニスカスの縁部を固定して、メニスカスの位置および形状を安定的に保つことができ、これにより、インク滴等の液滴の吐出・飛翔を安定して行うことができ、記録媒体等の液滴受容体上への高品質な画像形成を可能にすることができる。
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明の静電吐出型インクジェットヘッドを詳細に説明する。
図1は、本発明に係る静電吐出型インクジェットヘッドを備えた静電吐出型インクジェット装置の一の実施例を模式的に示す模式的断面図である。なお、以下においては、図1に示すように、静電吐出型インクジェットヘッドとして、絶縁性基板の貫通孔の中央にインクガイドが配置された吐出部を1つだけ図示して説明するが、本発明はこれに限定されず、複数の吐出部を有するものであってもよいことはいうまでもない。
図1に示すように、本実施例の静電吐出型インクジェットヘッド(以下、インクジェットヘッドという)10は、画像データに基づいて、帯電した顔料等の色成分(例えば、トナー等)を含むインクQを静電的引力により、インク滴(液滴)Dとして飛翔させて、画像を記録媒体(液滴受容体)P上に記録するものである。インクジェットヘッド10は、ヘッド基板12と、インクガイド14と、絶縁性基板16と、制御電極(第1制御電極)18と、絶縁膜19と、インク流路22と、信号電圧源24と、インク供給管26と、インク回収管28と、インク還流手段30と、メニスカス制御手段(第2制御電極)40と、制御電源50とを有する。また、インクジェットヘッド10に対向して対向電極32が設けられている。
なお、図1に示すインクジェットヘッド10においては、貫通孔20の中央にインクガイド14を持つ吐出部を1つだけ示しているが、インクジェットヘッド10は、吐出部が、複数個配列されたマルチチャンネル構造を有しているものである。更に、インクジェットヘッド10は、モノクロまたはカラーのいずれの場合の画像の記録にも適用できる。
ヘッド基板12は、インクガイド14が形成される基板である。また、このヘッド基板12に、所定間隔離間して対向して絶縁性基板16が配置されている。このヘッド基板12と絶縁性基板16とにより、インクガイド14にインクQを供給するためのインク流路22が形成される。
インクガイド14は、インクQを吐出させるためガイド部材である。インクガイド14は、ヘッド基板12上に設けられた基部14aと、この基部14aの上に設けられた突状先端部14bとを有する。この基部14aは、例えば、円錐台形状を呈し、突状先端部14bは、例えば、円錐形状を呈するものである。インクガイド14は、例えば、プラスチック樹脂またはセラミックス等の絶縁性部材で構成されるものである。
絶縁性基板16は、Al2 3 もしくはZrO2 等のセラミックス、またはポリイミド等の樹脂からなるものである。この絶縁性基板16の上に絶縁膜19が形成されている。絶縁膜19および絶縁性基板16には、これら絶縁膜19および絶縁性基板16を貫通する貫通孔20が形成されている。この貫通孔20は、対向電極32に対して開口されている。インクガイドヘッド14は、その突状先端部14bが貫通孔20の中心となるように配置される。
制御電極18は、貫通孔20の周囲を囲むようにして、絶縁性基板16に形成されるものである。この制御電極18は、リング状を呈している。また、制御電極18は、信号電圧源24に接続されている。
信号電圧源24は、制御電極18に接続されているものである。この信号電圧源24は、制御電極18に、例えば、1.5kVのバイアス電圧を印加するとともに、画像データに基づく画像信号(第1の信号)として、制御電極18に、例えば、600Vのパルス電圧を重畳して印加するものである。
本実施例のインクジェットヘッド10は、画像データに基づいて、信号電圧源24から、例えば、画像信号をパルス電圧として印加することにより、インク滴Dをインクガイド14の突状先端部14bから吐出させるものである。この制御電極18は、例えば、アルミニウムからなり、配線膜厚が0.8μmであり、配線幅が5μmである。この制御電極18の材質は、アルミニウムに限定されるものではなく、他の材質であってもよい。制御電極18の材質としては、例えば、アルミニウム合金、銅、または銅合金等が挙げられる。
また、絶縁膜19は、絶縁性基板16に形成されたメニスカス制御手段40を覆うように、絶縁性基板16上に形成されたものである。この絶縁膜19は、例えば、サイトップTM等のフッ化樹脂からなり、厚さが0.5μmの絶縁層と、この絶縁層の上に形成された無機絶縁層との積層膜である。この無機絶縁層は、例えば、SiO2 からなるものである。この無機絶縁層の上には、吸着モノレイヤを形成するようなフッ素基を持つシランカップリング剤を用いたコート層が形成されている。このコート層は、特に限定されるものではなく、例えば、表面エネルギが低いシリコーン樹脂等からなるものとすることもできる。
インク還流手段30は、インク流路22にインクQを供給するとともに、回収して、インクQを還流させるものであり、インク供給手段を兼ねる。インク還流手段30は、インク流路22に接続されたインク供給管26およびインク回収管28に接続される。このインク還流手段30は、記録時に、インクQをインク供給管26側からインク回収管28側に向かう方向に、所定の速度で循環させる。また、インク還流手段30は、図示はしないが、ポンプおよびインクタンク等を有する。インク還流手段30から送り出されたインクQは、インク供給管26を経てインク流路22に供給され、一部がインクガイド14から吐出され、そして、インク流路22からインク回収管28を経てインク還流手段30に回収される。
メニスカス制御手段40は、インクQを局所的に冷却することにより、その部分におけるインクQの粘度を局所的に高くし、インクQの表面張力を局所的に上げることにより、貫通孔20から溢れたインクQにより絶縁膜19の表面19aに形成されたメニスカスMの縁部Eを、その絶縁膜19の表面19aの所定の位置に固定し、メニスカスMの形状を安定させるものである。このメニスカス制御手段は、制御電極18に印加される画像信号とは、異なる制御信号(第2の信号)により制御される。
なお、本実施例においては、絶縁膜19の表面19aに固定しているが、本発明は、これに限定されるものではない。メニスカスMの端部Eを貫通孔20内に固定するようにしてもよい。
以下、本実施例においては、メニスカス制御手段40として、熱電素子のうち、ペルチェ素子を用いた冷却手段を例に説明する。
図2(a)は、本実施例の静電吐出型インクジェットヘッドが備えるメニスカス制御手段の構成を示す模式的平面図であり、(b)は、図2(a)に示すメニスカス制御手段の模式的断面図である。
図2(a)に示すように、メニスカス制御手段40は、例えば、リング状を呈するものである。また、図2(b)に示すように、メニスカス制御手段40は、上部基板42と、上部電極43と、下部基板44と、下部電極45と、直方体状のp型熱電素子46と、直方体状のn型熱電素子48とを有し、制御電源50により制御されるものである。
メニスカス制御手段40においては、p型熱電素子46およびn型熱電素子48が、長辺を立てて交互に円環状に配置されている。隣接するp型熱電素子46およびn型熱電素子48が上部電極43および下部電極45により直列に接続されており、全てのp型熱電素子46およびn型熱電素子48は直列に接続されている。リング状の上部基板42が上部電極43の上に設けられ、下部電極45の下にリング状の下部基板44が設けられている。上部電極43および下部電極45には、制御電源50が接続されている。
制御電源50は、所定の電圧(第2の信号)Sを発生させるものであり、この電圧Sが印加されてp型熱電素子46およびn型熱電素子48に電流を流すものである。これにより、絶縁膜19の表面19aが冷却される。
制御電源50により印加される電圧Sは、制御電極18により印加されるパルス電圧よりも低い。
なお、本実施例においては、冷却手段として、熱電素子のうちペルチェ素子を用いたものを例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、冷却することができれば、熱電素子は、特に限定されるものではない。
本実施例のメニスカス制御手段40においては、制御電源50から所定の電流sを印加することにより、上部基板42が冷却され、上部基板42の冷却により奪われた熱は、下部基板44から放熱される。これにより、メニスカス制御手段40が設けられている位置に相当する絶縁膜19の表面19aの温度を下げることができる。このため、インクQの粘度が高くなり、インクQの表面張力が上がるので、メニスカス制御手段40の上方に位置する絶縁膜19の表面19aでメニスカスMの縁部Eが固定される。
なお、フッ素樹脂等を用いたコーティング層では、絶縁性溶媒を主成分とするインクに対しては、接触角が小さくなり、メニスカスの縁部を固定することができない。しかしながら、本実施例のメニスカス制御手段40によれば、インクQを冷却し、インクQの粘度を高くして、インクQの表面張力を局所的に下げることにより、絶縁性溶媒が主成分のインクであっても、メニスカスMの縁部Eを固定することができる。このため、メニスカスMの形状を一定に保持することができる。特に、インクQの絶縁性溶媒として、イソパラフィン系溶媒を用いた場合には、インクQを冷却することにより、インクQの粘度が高くなり、インクQの表面張力が大きなる。これにより、メニスカスMの縁部Eを固定することができ、メニスカスMの形状を安定にすることができるので好ましい。
また、本実施例において、メニスカス制御手段40を設ける位置は、特に限定されるものではなく、メニスカス制御手段40は、メニスカスMの縁部Eを、絶縁膜19の表面19a、貫通孔20の近傍、または貫通孔20内等の固定したい位置が冷却できるように設ければよい。
なお、本実施例に用いられるインクQは、例えば、正に帯電した色成分(以下、帯電微粒子ともいう)を、帯電制御剤またはバインダなどと共に、絶縁性溶媒中にコロイド状に分散させ浮遊させたものであり、制御電極18に印加する電圧はこの帯電微粒子と同極性とする。この絶縁性溶媒は108 Ω・cm以上の抵抗率を持つものであることが好ましい。
また、本実施例において、インクガイド14の突状先端部14bには金属薄膜を形成することが好ましい。この金属薄膜により、インク滴Dを飛翔させる強電界のレベルを低くできるので、制御電極18に印加するパルス電圧またはバイアス電圧の電圧レベルを低くできる。
また、インクガイド14の形状は、インクQ、特に、インクQ内の帯電微粒子を絶縁性基板16の貫通孔20を通って突状先端部14bに濃縮させることができれば、特に、限定されるものではない。例えば、突状先端部14bは、突状ではなくても良く、適宜変更することができ、上述の特許文献1等に開示された従来公知のインクガイドの形状であってもよい。
対向電極32は、インクガイド14の突状先端部14bに対向する位置に配置されるものであり、接地されている。また、記録媒体Pは、対向電極32のインクジェットヘッド10側の表面に支持されており、この対向電極32は、記録媒体Pのプラテンとしての機能も有する。
次に、本実施例のインクジェットヘッド10の動作について説明する。
図1に示すインクジェットヘッド10では、記録時に、インク還流手段30により、例えば、正(+)に帯電した色成分(帯電微粒子)を含むインクQが、インク流路22の内部を、インク供給管26からインク回収管28に向けて移動される。制御電極18により印加される電圧は、インクQの帯電微粒子と同極性である。このとき、記録媒体Pは、対向電極32に静電吸着されている。
ここで、制御電極18にパルス電圧が印加されていないか、または、印加されているパルス電圧が低電圧レベル(0V)であるとき、制御電極18と対向電極32(記録媒体P)との間の電圧(電位差)は、例えば、バイアス電圧分の1.5kVである。インクガイド14の突状先端部14bの近傍の電界強度は低く、インクQは、インクガイド14の突状先端部14bからインク滴Dとして吐出されない。
しかし、このとき、インク室内22内のインクQの一部、特にインクQ内に含まれる帯電微粒子は、泳動現象または毛細管現象等によって、絶縁性基板16の貫通孔20を通って、インクガイド14に案内されて記録媒体Pの方向へ上昇し、貫通孔20からインクQが溢れ、突状先端部14bの近傍にインクメニスカスMが形成される。このメニスカスMは、その縁部Eが絶縁膜19の表面19aにまで及ぶ。このように突状先端部14bの近傍にインクメニスカスMが形成されることによって、突状先端部14bにインクQが供給される。
一方、制御電極18に、画像データに基づく画像信号として、例えば、600Vのパルス電圧が印加されると、制御電極18と対向電極32(記録媒体P)との間の電圧(電位差)は、例えば、バイアス電圧分の1.5kVにパルス電圧分の600Vが重畳され、2. 1kVとなり、インクガイド14の突状先端部14b近傍の電界強度は高くなる。
このとき、インクガイド14に沿って上昇し、突状先端部14bに達したインクQ、特に、インクQ内に濃縮した帯電微粒子は、静電力によってインクガイド14の突状先端部14bから、帯電微粒子を含むインク液滴Dとして、対向電極32(記録媒体P)に向けて吐出して、記録媒体P上に付着する。
すなわち、本実施例においては、制御電極18に、信号電圧源24から、常にバイアス電圧として、例えば1.5kVの電圧が与えられている。また、信号電圧源24からは、画像データに応じた画像信号として、例えば、600Vのパルス電圧が制御電圧として重畳される。すなわち、制御電圧が0V(OFF状態)で、制御電極14の電圧が1.5kVのときは、インクQのインク滴Dは飛翔せず、制御電圧が600V(ON状態)となり、制御電極18の電圧が2.1kVとなったときに、所定サイズのインク滴Dがインクガイド14の突状先端部14bから飛翔する。飛翔したインク滴Dは、制御電極18と対向電極32の間に生じている電界によって対向電極32に引き寄せられ、記録媒体Pの所定の位置に着弾して画像を記録する。
この場合、本実施例においては、メニスカスMの縁部Eを固定したい位置にメニスカス制御手段40が設けられている。メニスカス制御手段40に電圧を印加すると、絶縁膜19の表面19aが局所的に冷却されるので、その表面19aに溢れたインクQは、局所的に温度が下げられ、インクQの表面張力が増大する。このため、メニスカス制御手段40の上方におけるインクQの接触角が大きくなり、メニスカスMの縁部Eがメニスカス制御手段40が設けられた位置に相当する絶縁膜19の表面19aに固定される。
このように、本実施例においては、メニスカス制御手段40を用いて、メニスカスMが所定の位置に固定することにより、メニスカスMの形状が安定する。このため、インク滴Dの飛翔方向も一定になり、インク滴Dの着弾位置が、インクガイド14の突状先端部14bの中央に定まるため、記録媒体Pの正確な位置にインク滴Dを着弾させることができ、画像を高画質となるように記録媒体Pに記録することができる。さらに、メニスカスMの形状が安定することにより、所定サイズ(所定量)のインク滴Dを確実に吐出させることができ、濃度が安定した良好な画像を記録媒体Pに記録することができる。
また、メニスカスMが所定の位置に固定されるので、隣接する他の貫通孔(図示せず)のインクと一体化することがなくなり、各チャンネル間干渉が生じない。このように、各チャンネル間の干渉が生じないので、インクの架橋によるインク滴の吐出方向の乱れ、および吐出周波数の乱れを防止することができる。
なお、本実施例のメニスカス制御手段40としては、p型およびn型の熱電素子を有する冷却手段を例示し、インクQを冷却することにより、インクQの粘度を高くして、インクQの表面張力を上げるものとしたが、本発明は、これに限定されるものではない。これ以外にも、メニスカス制御手段としては、メニスカスの接触角を大きくすること、およびインクの粘度を高くすることの少なくとも一方により、メニスカスの縁部を固定することができるものであればよい。
例えば、インクQが加熱することにより、インクQの表面張力が高くなるか、またはメニスカスの縁部で接触角が大きくなるものであれば、加熱素子(ヒータ)を有するものとすることができる。更にインクQが電界により、インクQの表面張力が上がるか、またはメニスカスの縁部で接触角が大きくなるものであれば、メニスカスMに電界をかけることができるものとする。なお、本実施例の熱電素子を用いたメニスカス制御手段40においては、印加する電圧の極性を変えることにより、上部基板42を加熱できるので、絶縁層19の表面19aを加熱することができる。
また、本実施例においては、インクガイド14を設けたが、このインクガイド14は、必ずしも必要ではなく、本発明の静電吐出型インクジェットヘッドは、図4に示すように、インクガイド14がなくてもよい。
また、上述の実施例の静電吐出型インクジェットヘッドは、帯電した色成分を含むインクを吐出するものに限定されるものではなく、荷電粒子を含む液体を吐出させる液体吐出ヘッドであれば特に制限されるものでない。例えば、静電吐出型インクジェットヘッドは、ポリイミドを帯電粒子とし、この帯電粒子を含む液滴を吐出して対象物を塗布する塗布装置に適用することができる。
以上、本発明の実施例に係る静電吐出型インクジェットヘッドについて、詳細に説明したが、本発明は上記種々の実施例に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良および変更をしてもよいのはもちろんである。
本発明の実施例に係る静電吐出型インクジェットヘッドを備えた静電吐出型インクジェット装置を模式的に示す模式的断面図である。 (a)は、本実施例の静電吐出型インクジェットヘッドが備えるメニスカス制御手段の構成を示す模式的平面図であり、(b)は、図2(a)に示すメニスカス制御手段の模式的断面図である。 従来のインクジェット記録装置のインクジェットヘッドを模式的に示す模式的断面図である。 従来のインクジェット記録装置のインクジェットヘッドを模式的に示す模式的断面図である。
符号の説明
10 静電吐出型インクジェットヘッド
12、104 ヘッド基板
14、106 インクガイド
16、102 絶縁性基板
18、21、110 制御電極
19 絶縁層
19a 表面
20 貫通孔
22 インク流路
24、25、112、144 信号電圧源
26 インク供給管
28 インク回収管
30 インク還流手段
32、120 対向電極
40 メニスカス制御手段
42 上部基板
43 上部電極
44 下部基板
45 下部電極
46 p型熱電素子
48 n型熱電素子
50 制御電源
100、130 インクジェットヘッド
102a 基板貫通孔
114、136 インク溜
132 絶縁性支持基板
132a 貫通孔
140 第1の制御電極
142 第2の制御電極
146 バイアス電圧源
D インク滴
P 記録媒体
Q インク

Claims (7)

  1. 溶媒中に粒子を分散させたインクに静電気力を作用させることにより、少なくとも前記粒子を含む液滴を、液滴受容体に向けて飛翔させる静電吐出型インクジェットヘッドであって、
    ヘッド基板と、
    前記ヘッド基板と所定間隔離間して配置され、前記ヘッド基板との間にインク流路を形成するとともに、少なくとも1つの貫通孔が穿孔された絶縁性基板と、前記インク流路に前記インクを供給するインク供給手段と、
    前記貫通孔を囲うように前記絶縁性基板に設けられ、第1の信号が印加され、前記液滴の吐出制御を行う制御電極と、
    前記第1の信号と異なる第2の信号を印加され、前記絶縁性基板の前記貫通孔の近傍または前記貫通孔内に形成される前記インクのメニスカスの縁部の固定を制御するメニスカス制御手段とを有することを特徴とする静電吐出型インクジェットヘッド。
  2. 前記メニスカス制御手段は、前記メニスカスの接触角を大きくすること、および前記インクの粘度を高くすることの少なくとも一方により、前記メニスカスの縁部を固定する請求項1に記載の静電吐出型インクジェットヘッド。
  3. 前記制御電極に印加される前記第1の信号の第1の電圧は、前記メニスカス制御手段に印加される前記第2の信号の第2の電圧よりも高い請求項1または2に記載の静電吐出型インクジェットヘッド。
  4. 前記メニスカス制御手段は、前記インクの温度を下げる冷却手段を持つ請求項1〜3のいずれかに記載の静電吐出型インクジェットヘッド。
  5. 前記冷却手段は、少なくともペルチェ効果を有する層構成を持つ請求項4に記載の静電吐出型インクジェットヘッド。
  6. 前記メニスカス制御手段は、前記インクの温度を上げるヒータを持つ請求項1〜3のいずれかに記載の静電吐出型インクジェットヘッド。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の静電吐出型インクジェットヘッドであって、さらに、先端部が前記貫通孔の略中心に位置するように前記ヘッド基板上に配置され、前記先端部が前記貫通孔から突出するインクガイドを有することを特徴とする静電吐出型インクジェットヘッド。
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