JP2005060443A - ランプユニット部品用樹脂組成物、それから得られるランプユニット部品 - Google Patents
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Abstract
【課題】熱伝導性、低そり性、耐熱性に優れたランプユニット部品用樹脂組成物、錠剤およびそれから得られるランプユニット部品を得る。
【解決手段】液晶性樹脂およびポリアリーレンサルファイド樹脂から選択される少なくとも1種(A)とフィラー(B)を含有してなり、レーザーフラッシュ法で測定した熱伝導率が1W/mK以上であることを特徴とするランプユニット部品用樹脂組成物、ランプユニット部品用錠剤およびそれらを溶融成形してなるランプユニット部品。
【選択図】なし
【解決手段】液晶性樹脂およびポリアリーレンサルファイド樹脂から選択される少なくとも1種(A)とフィラー(B)を含有してなり、レーザーフラッシュ法で測定した熱伝導率が1W/mK以上であることを特徴とするランプユニット部品用樹脂組成物、ランプユニット部品用錠剤およびそれらを溶融成形してなるランプユニット部品。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱伝導性、低そり性、耐熱性に優れたランプユニット部品用樹脂組成物、錠剤およびそれから得られるランプユニット部品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリアリーレンサルファイド樹脂は、機械的特性、耐熱性、耐薬品性および薄肉流動性をバランスよく備えているため、軽量化の要求とともにこれらを用いた自動車部品、家電部品、携帯機器部品、事務機部品への展開が検討されてきているが、これまで樹脂化が困難とされていた分野への用途開拓も盛んに試みられ、樹脂に対する要求性能は、益々多様化すると共に厳しくなる傾向にある。近年、特に目立つのが、従来は板金、アルミダイキャスト、セラミックが用いられていたOA用途において軽量化、生産性向上によるコスト低減のため、樹脂化が検討されている。例えば、プロジェクタ装置は、近年、プレゼンテーション等のような商用的な用途に用いられるばかりではなく、様々なコンテンツの表示手段として家庭内で使用可能となることが望まれており、高輝度で、かつ薄型化、小型化が求められている。しかし、ランプ及びそれを保持するハウジングまたはケース等からなるランプユニットは、使用によりランプが発熱して高温になり易い。特に、プロジェクタで使用する照明用ランプ装置は、プロジェクタの高輝度化及び小型化にともなって、より高温になる傾向がある。このため、ランプユニット及びそれを使用している機器は、安全性や信頼性の観点から、ランプユニットの放熱対策が重要になっている。このランプユニットの放熱対策は、従来、主としてファンを利用した放射放熱により行なわれている。
【0003】
しかしながら、放射放熱に依存したランプユニットの放熱では、ランプの高輝度化に伴い、ファンの数を増す、ファンの容量を大きくする、あるいはファンの回転数を増大させる等の必要があり、それらはランプユニット及びそれを使用している機器の小型化の要請に反する、また、ファンによる風切り音による雑音が大きくなり、使用の妨げになる。また、従来は、ランプを支持するハウジングやケースの局部、あるいはランプ装置を収納した機器の外装ケースの対応部分が、その他の場所に比べて特に高温となる場合もあるため、一部板金をはめ込むなどの放熱対策を施してきたか、あるいは特許文献1などのように構造を工夫することで風路を設けたりしているが、薄型化、小型化を行う上で最終的には装置に用いる材料自体を改良せざるを得ないのが実状である。
【0004】
【特許文献1】
特開2003−207849号公報(第2、8、9頁)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した従来の問題点を解消し、製品設計自由度および生産性を向上させ、熱伝導性、低そり性、耐熱性に優れたランプユニット部品用樹脂組成物、錠剤およびそれから得られるランプユニット部品を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題点を解決するために鋭意検討を重ねた結果、本発明に至った。
【0007】
すなわち本発明は、
(1)液晶性樹脂およびポリアリーレンサルファイド樹脂から選択される少なくとも1種(A)とフィラー(B)を含有してなり、レーザーフラッシュ法で測定した熱伝導率が1W/mK以上であることを特徴とするランプユニット部品用樹脂組成物、
(2)(A)および(B)の組成比が、(A)および(B)の合計量に対し、(A)成分2〜50重量%、(B)成分98〜50重量%であることを特徴とする上記(1)記載のランプユニット部品用樹脂組成物、
(3)フィラー(B)の少なくとも一部あるいは全部が熱伝導率が20W/mK以上の熱伝導性フィラーであることを特徴とする上記(1)または(2)記載のランプユニット部品用樹脂組成物、
(4)液晶性樹脂およびポリアリーレンサルファイド樹脂から選択される少なくとも1種(A)とフィラー(B)の合計量に対し、(A)成分が2〜50重量%、(B)成分が98〜50重量%となるように下記(イ)〜(ハ)から選択した原料を圧縮成形してなり、レーザーフラッシュ法で測定した熱伝導率が1W/mK以上であるランプユニット部品用錠剤、
(イ)液晶性樹脂およびポリアリーレンサルファイド樹脂から選択される少なくとも1種(A)
(ロ)フィラー(B)
(ハ)(A)または(B)成分を必須とする成分を溶融混練してなる組成物の粉体
(5)上記(1)〜(3)いずれか記載のランプユニット部品用樹脂組成物または上記(4)記載のランプユニット部品用錠剤を溶融成形してなるランプユニット部品である。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。本発明において「重量」とは「質量」を意味する。
【0009】
本発明において(A)液晶性樹脂およびポリアリーレンサルファイド樹脂から選択される少なくとも1種以上の熱可塑性樹脂について説明する。
【0010】
まず、液晶性樹脂とは、異方性溶融相を形成し得る樹脂であり、エステル結合を有するものが好ましい。例えば芳香族オキシカルボニル単位、芳香族ジオキシ単位、芳香族および/または脂肪族ジカルボニル単位、アルキレンジオキシ単位などから選ばれた構造単位からなり、かつ異方性溶融相を形成する液晶性ポリエステル、あるいは、上記構造単位と芳香族イミノカルボニル単位、芳香族ジイミノ単位、芳香族イミノオキシ単位などから選ばれた構造単位からなり、かつ異方性溶融相を形成する液晶性ポリエステルアミドなどが挙げられ、具体的には、p−ヒドロキシ安息香酸および6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位、芳香族ジヒドロキシ化合物および/または脂肪族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸および/またはアジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、テレフタル酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、テレフタル酸およびイソフタル酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、テレフタル酸および/またはアジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボンから生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、芳香族ジヒドロキシ化合物から生成した構造単位、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステルなど、また液晶性ポリエステルアミドとしては、芳香族オキシカルボニル単位、芳香族ジオキシ単位、芳香族および/または脂肪族ジカルボニル単位、アルキレンジオキシ単位などから選ばれた構造単位以外にさらにp−アミノフェノールから生成したp−イミノフェノキシ単位を含有した異方性溶融相を形成するポリエステルアミドである。上記した液晶性樹脂のうち、液晶性ポリエステルが好ましく、なかでもp−ヒドロキシ安息香酸および6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、芳香族ジヒドロキシ化合物から生成した構造単位、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステルを特に好ましく用いることができる。
【0011】
上記液晶性ポリエステルのうち、好ましい構造の具体例としては、下記(I)、(II)、(III) および(IV)の構造単位からなる液晶性ポリエステル、または、(I)、(III) および(IV)の構造単位からなる液晶性ポリエステルなどが挙げられる。
【0012】
特に好ましいのは(I)、(II)、(III)および(IV)の構造単位からなる液晶性ポリエステルである。
【0013】
【化1】
【0014】
(ただし式中のR1は
【0015】
【化2】
【0016】
から選ばれた1種以上の基を示し、R2は
【0017】
【化3】
【0018】
から選ばれた1種以上の基を示す。ただし式中Xは水素原子または塩素原子を示す。)。
【0019】
上記構造単位(I)はp−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位であり、構造単位(II)は4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよび4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルから選ばれた一種以上の芳香族ジヒドロキシ化合物から生成した構造単位を、構造単位(III)はエチレングリコールから生成した構造単位を、構造単位(IV)はテレフタル酸、イソフタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、および1,2−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸から選ばれた一種以上の芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位を各々示す。これらのうちR1が
【0020】
【化4】
【0021】
であり、R2が
【0022】
【化5】
【0023】
であるものが特に好ましい。
【0024】
本発明に好ましく使用できる液晶性ポリエステルは、上記したように、構造単位(I)、(III)、(IV)からなる共重合体および上記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)からなる共重合体から選択される1種以上であり、上記構造単位(I)、(II)、(III)および(IV)の共重合量は任意である。しかし、本発明の特性を発揮させるためには次の共重合量であることが好ましい。
【0025】
すなわち、上記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)からなる共重合体の場合は、上記構造単位(I)および(II)の合計は構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して30〜95モル%が好ましく、40〜85モル%がより好ましい。また、構造単位(III)は構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して70〜5モル%が好ましく、60〜15モル%がより好ましい。また、構造単位(I)の(II)に対するモル比[(I)/(II)]は好ましくは75/25〜95/5であり、より好ましくは78/22〜93/7である。また、構造単位(IV)は構造単位(II)および(III)の合計と実質的に等モルであることが好ましい。
【0026】
一方、上記構造単位(II) を含まない場合は流動性の点から上記構造単位(I)は構造単位(I)および(III)の合計に対して40〜90モル%であることが好ましく、60〜88モル%であることが特に好ましく、構造単位(IV)は構造単位(III)と実質的に等モルであることが好ましい。
【0027】
ここで実質的に等モルとは、末端を除くポリマー主鎖を構成するユニットが等モルであるが、末端を構成するユニットとしては必ずしも等モルとは限らないことを意味する。
【0028】
また液晶性ポリエステルアミドとしては、上記構造単位(I)〜(IV)以外にp−アミノフェノールから生成したp−イミノフェノキシ単位を含有した異方性溶融相を形成するポリエステルアミドが好ましい。
【0029】
上記好ましく用いることができる液晶性ポリエステル、液晶性ポリエステルアミドは、上記構造単位(I)〜(IV)を構成する成分以外に3,3’−ジフェニルジカルボン酸、2,2’−ジフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸などの脂環式ジカルボン酸、クロロハイドロキノン、3,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルサルファイド、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,4’−ジヒドロキシビフェニル等の芳香族ジオール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂肪族、脂環式ジオールおよびm−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ヒドロキシナフトエ酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸およびp−アミノ安息香酸などを液晶性を損なわない程度の範囲でさらに共重合せしめることができる。
【0030】
本発明において使用する上記液晶性ポリエステルの製造方法は、特に制限がなく、公知のポリエステルの重縮合法に準じて製造できる。
【0031】
例えば、上記液晶性ポリエステルの製造において、次の製造方法が好ましく挙げられる。
(1)p−アセトキシ安息香酸および4,4’−ジアセトキシビフェニル、ジアセトキシベンゼンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物のジアシル化物と2,6−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸から脱酢酸縮重合反応によって液晶性ポリエステルを製造する方法。
(2)p−ヒドロキシ安息香酸および4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物と2,6−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸に無水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアシル化した後、脱酢酸重縮合反応によって液晶性ポリエステルを製造する方法。
(3)p−ヒドロキシ安息香酸のフェニルエステルおよび4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物と2,6−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸のジフェニルエステルから脱フェノール重縮合反応により液晶性ポリエステルを製造する方法。
(4)p−ヒドロキシ安息香酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸に所定量のジフェニルカーボネートを反応させて、それぞれジフェニルエステルとした後、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物を加え、脱フェノール重縮合反応により液晶性ポリエステルを製造する方法。
(5)ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルのポリマー、オリゴマーまたはビス(β−ヒドロキシエチル)テレフタレートなど芳香族ジカルボン酸のビス(β−ヒドロキシエチル)エステルの存在下で(1)または(2)の方法により液晶性ポリエステルを製造する方法。
【0032】
本発明に使用する液晶性ポリエステルは、非晶性樹脂添加による流動性低下あるいは、フィラーを充填した場合の流動性低下を抑制するため、溶融粘度は0.5〜80Pa・sが好ましく、特に1〜50Pa・sがより好ましい。また、流動性がより優れた組成物を得ようとする場合には、溶融粘度を40Pa・s以下とすることが好ましい。
【0033】
なお、この溶融粘度は融点(Tm)+10℃の条件で、ずり速度1,000(1/秒)の条件下で高化式フローテスターによって測定した値である。
【0034】
ここで、融点(Tm)とは示差熱量測定において、重合を完了したポリマーを室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1 )の観測後、Tm1 +20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却した後、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm2 )を指す。
【0035】
また、ポリアリーレンサルファイド樹脂の代表例としては、ポリフェニレンサルファイド(以下、PPSと略す場合もある)、ポリフェニレンサルファイドスルホン、ポリフェニレンサルファイドケトン、これらのランダム共重合体、ブロック共重合体およびそれらの混合物などが挙げられ、中でもポリフェニレンサルファイドが特に好ましく使用される。かかるポリフェニレンサルファイドは、下記構造式で示される繰り返し単位を有するものであり、好ましくは70モル%以上、より好ましくは90モル%以上含む重合体であり、上記繰り返し単位が70モル%以上の場合には、耐熱性が優れる点で好ましい。
【0036】
【化6】
【0037】
また、かかるポリフェニレンサルファイド樹脂は、その繰り返し単位の30モル%以下を、下記の構造式を有する繰り返し単位などで構成することが可能であり、ランダム共重合体、ブロック共重合体であってもよく、それらの混合物であってもよい。
【0038】
【化7】
【0039】
かかるポリアリーレンサルファイド樹脂は、通常公知の方法、つまり特公昭45−3368号公報に記載される比較的分子量の小さな重合体を得る方法あるいは特公昭52−12240号公報や特開昭61−7332号公報に記載される比較的分子量の大きな重合体を得る方法などによって製造することができる。
【0040】
本発明においては、上記のようにして得られたポリアリーレンサルファイド樹脂を、空気中加熱による架橋/高分子量化、窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下での熱処理、有機溶媒、熱水、酸水溶液などによる洗浄、酸無水物、アミン、イソシアネート、官能基含有ジスルフィド化合物などの官能基含有化合物による活性化などの種々の処理を施した上で使用することも、もちろん可能である。
【0041】
ポリアリーレンサルファイド樹脂を加熱により架橋/高分子量化する場合の具体的方法としては、空気、酸素などの酸化性ガス雰囲気下あるいは前記酸化性ガスと窒素、アルゴンなどの不活性ガスとの混合ガス雰囲気下で、加熱容器中で所定の温度において希望する溶融粘度が得られるまで加熱を行う方法を例示することができる。この場合の加熱処理温度としては、好ましくは150〜280℃、より好ましくは200〜270℃の範囲が選択して使用され、処理時間としては、好ましくは0.5〜100時間、より好ましくは2〜50時間の範囲が選択されるが、この両者をコントロールすることによって、目標とする粘度レベルを得ることができる。かかる加熱処理の装置は、通常の熱風乾燥機でもまた回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置であってもよいが、効率よくしかもより均一に処理する場合は、回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置を用いるのがより好ましい。
【0042】
ポリアリーレンサルファイド樹脂を窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下で熱処理する場合の具体的方法としては、窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧(好ましくは7,000Nm−2以下)下で、加熱処理温度150〜280℃、好ましくは200〜270℃、加熱時間0.5〜100時間、好ましくは2〜50時間の条件で加熱処理する方法を例示することができる。かかる加熱処理の装置は、通常の熱風乾燥機でもまた回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置であってもよいが、効率よくしかもより均一に処理する場合は、回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置を用いるのがより好ましい。
【0043】
ポリアリーレンサルファイド樹脂を有機溶媒で洗浄する場合に、洗浄に用いる有機溶媒としては、ポリアリーレンサルファイド樹脂を分解する作用などを有しないものであれば特に制限はなく使用することができる。例えばN−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどの含窒素極性溶媒、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホンなどのスルホキシド・スルホン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、アセトフェノンなどのケトン系溶媒、ジメチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、トリクロロエチレン、2塩化エチレン、ジクロロエタン、テトラクロルエタン、クロロベンゼンなどのハロゲン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、フェノール、クレゾール、ポリエチレングリコールなどのアルコール・フェノール系溶媒、およびベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒などが使用される。これらの有機溶媒のなかでも、特にN−メチルピロリドン、アセトン、ジメチルホルムアミドおよびクロロホルムなどが好ましく使用される。また、これらの有機溶媒は、1種類または2種類以上の混合で使用される。
【0044】
かかる有機溶媒による洗浄の具体的方法としては、有機溶媒中にポリアリーレンサルファイド樹脂を浸漬せしめるなどの方法があり、必要により適宜撹拌または加熱することも可能である。有機溶媒でポリアリーレンサルファイド樹脂を洗浄する際の洗浄温度については特に制限はなく、常温〜300℃程度の任意の温度が選択できる。洗浄温度が高くなるほど洗浄効率が高くなる傾向があるが、通常は常温〜150℃の洗浄温度で十分な効果が得られる。なお、有機溶媒洗浄を施されたポリアリーレンサルファイド樹脂は、残留している有機溶媒を除去するため、水で数回洗浄することが好ましい。上記水洗浄の温度は50〜90℃であることが好ましく、60〜80℃であることが好ましい。
【0045】
ポリアリーレンサルファイド樹脂を熱水で処理する場合の具体的方法としては、以下の方法を例示することができる。すなわち、熱水洗浄によるポリアリーレンサルファイド樹脂の好ましい化学的変性の効果を発現するために、使用する水は蒸留水あるいは脱イオン水であることが好ましい。熱水処理の操作は、通常、所定量の水に所定量のポリアリーレンサルファイド樹脂を投入し、常圧であるいは圧力容器内で加熱、撹拌することにより行われる。ポリアリーレンサルファイド樹脂と水との割合は、水が多い方がよく、好ましくは水1リットルに対し、ポリアリーレンサルファイド樹脂200g以下の浴比で使用される。
【0046】
ポリアリーレンサルファイド樹脂を酸処理する場合の具体的方法としては、以下の方法を例示することができる。すなわち、酸または酸の水溶液にポリアリーレンサルファイド樹脂を浸漬せしめるなどの方法があり、必要により適宜撹拌または加熱することも可能である。用いられる酸としては、ポリアリーレンサルファイド樹脂を分解する作用を有しないものであれば特に制限はなく、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸などの脂肪族飽和モノカルボン酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸などのハロ置換脂肪族飽和カルボン酸、アクリル酸、クロトン酸などの脂肪族不飽和モノカルボン酸、安息香酸、サリチル酸などの芳香族カルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フタル酸、フマル酸などのジカルボン酸、および硫酸、リン酸、塩酸、炭酸、珪酸などの無機酸性化合物などが用いられる。これらの酸のなかでも、特に酢酸、塩酸がより好ましく用いられる。酸処理を施されたポリアリーレンサルファイド樹脂は、残留している酸または塩などを除去するため、水で数回洗浄することが好ましい。上記水洗浄の温度は50〜90℃であることが好ましく、60〜80℃であることが好ましい。また、洗浄に用いる水は、酸処理によるポリアリーレンサルファイド樹脂の好ましい化学的変性の効果を損なわない意味で、蒸留水または脱イオン水であることが好ましい。
【0047】
本発明で用いられるポリアリーレンサルファイド樹脂は、フィラー充填による高粘度化によって成形時に引き起こされる成形品に残留歪みによる寸法変化を抑制するためにポリスチレン換算における重量平均分子量が50000以下であることが好ましく、40000以下がより好ましく、25000以下であることが特に好ましい。重量平均分子量の下限については特に制限はないが、滞留安定性等を考慮した場合、1500以上であることが好ましい。また分子量の異なる2種以上のポリアリーレンサルファイド樹脂を併用して用いてもよい。
【0048】
なお、ポリアリーレンサルファイド樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、1−クロロナフタレン(1−CN)に5gにポリアリーレンサルファイド樹脂5mgを溶解し、超高温GPC装置を用いて測定することができる。
【0049】
本発明に用いる(B)フィラーとしては、本発明で規定する熱伝導率を有する組成物、錠剤を与え得るフィラーが選択される。フィラー形状としては繊維状もしくは、非繊維状(板状、鱗片状、粒状、不定形状、破砕品など)のフィラーが挙げられ、具体的には例えば、繊維状フィラーとしてガラス繊維、PAN系やピッチ系の炭素繊維、ステンレス繊維、アルミニウム繊維や黄銅繊維などの金属繊維、芳香族ポリアミド繊維などの有機繊維、石膏繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、ジルコニア繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、酸化チタン繊維、炭化ケイ素繊維、ロックウール、チタン酸カリウムウィスカー、チタン酸バリウムウィスカー、ほう酸アルミニウムウィスカー、窒化ケイ素ウィスカー等が挙げられ、ガラス繊維あるいは炭素繊維の種類は、一般に樹脂の強化用に用いるものなら特に限定はなく、例えば長繊維タイプや短繊維タイプのチョップドストランド、ミルドファイバーなどから選択して用いることができる。また、上記フィラーはエチレン/酢酸ビニル共重合体などの熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂で被覆あるいは集束されていてもよい。
【0050】
非繊維状フィラーとしてマイカ、タルク、カオリン、シリカ、炭酸カルシウム、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラスマイクロバルーン、クレー、二硫化モリブデン、ワラステナイト、ポリリン酸カルシウム、グラファイト、金属粉、金属フレーク、金属リボン、金属酸化物(アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン等)、カーボン粉末、黒鉛、カーボンフレーク、鱗片状カーボン、カーボンナノチューブなどが挙げられる。また、金属粉、金属フレーク、金属リボンの金属種の具体例としては銀、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウム、ステンレス、鉄、黄銅、クロム、錫などが例示できる。
【0051】
ここで、上記金属粉、金属フレークおよび金属リボンの金属種の具体例としては、銀、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、ステンレス、鉄、黄銅、クロムおよび錫などを例示することができる。
【0052】
また、上記金属繊維の金属種の具体例としては、鉄、銅、ステンレス、アルミニウムおよび黄銅などを例示することができる。
【0053】
かかる金属粉、金属フレーク、金属リボンおよび金属繊維は、いずれもチタネート系、アルミネート系およびシラン系などの表面処理剤で表面処理を施されていてもよい。
【0054】
上記金属酸化物の具体例としては、SnO2 (アンチモンドープ)、In2 O3 (アンチモンドープ)およびZnO(アルミニウムドープ)などを例示することができ、これらはチタネート系、アルミ系およびシラン系などの表面処理剤で表面処理を施されていてもよい。
【0055】
上記窒化物の具体例としては、AlN(窒化アルミニウム)、BN(窒化ホウ素)、Si3N4(窒化珪素)などを例示することができ、これらはチタネート系、アルミ系およびシラン系などの表面処理剤で表面処理を施されていてもよい。
【0056】
上記熱伝導性物質で被覆された無機フィラーにおける熱伝導性物質の具体例としては、アルミニウム、ニッケル、銀、カーボン、SnO2 (アンチモンドープ)およびIn2 O3 (アンチモンドープ)などを例示することができる。また、被覆される無機フィラーとしては、マイカ、ガラスビーズ、ガラス繊維、炭素繊維、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化チタン、および炭化珪素ウィスカーなどを例示することができる。被覆方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、無電解メッキ法および焼き付け法などが挙げられる。そして、これらの熱伝導性物質で被覆された無機フィラーもまた、チタネート系、アルミネート系およびシラン系などの表面処理剤で表面処理を施されていてもよい。
【0057】
なかでも、樹脂に充填した際に本発明で規定する熱伝導率を満たすためには、熱伝導率が20W/mK以上の熱伝導性フィラーを(B)成分の少なくとも一部または全部として用いることが好ましい。このような熱伝導性充填材の具体例としては金属粉、金属フレーク、金属リボン、金属繊維、ベリリア、アルミナ、酸化亜鉛、酸化マグネシウムなどの金属酸化物、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化珪素などの窒化物、熱伝導性物質で被覆された無機フィラー、カーボン粉末、黒鉛、ピッチ系炭素繊維、あるいは黒鉛化度の比較的高いPAN系炭素繊維、カーボンフレーク、鱗片状カーボンおよびカーボンナノチューブなどが挙げられる。なお、フィラーの熱伝導率は、原則レーザーフラッシュ法で測定した値であるが、フィラーが炭素系の材料である場合など、レーザーフラッシュ法により直接測定できない場合には、測定が可能な方法で間接的に測定し、レーザーフラッシュ法に換算した値を使用する。例えばエポキシ系熱硬化性樹脂でフィラーを固めたサンプルを用いて光交流法により熱伝導率を測定して作成したフィラー充填量と熱伝導率の関係を示す検量線よりフィラー100容量%の場合の熱伝導率を算出し、レーザーフラッシュ法の数値に換算した値を使用することができる。さらにかかる方法による測定も適さない場合には、エポキシ系熱硬化性樹脂でフィラー(同様の質を有し、測定可能な形態を有するフィラー)を固めた疑似サンプルを用いて広角X線により測定した黒鉛層間距離(d002)と結晶子径(Lc)から求めたX線パラメータと、レーザーフラッシュ法による熱伝導率から検量線を予め求めておき、広角X線により測定した測定サンプルのd002とLcから、上記検量線を用いてレーザーフラッシュ法の熱伝導率に換算した値などを使用することができる。
【0058】
さらには、ランプユニットをより軽量にし得る点において、アルミナ、酸化亜鉛、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化珪素、カーボン粉末、黒鉛、PAN系あるいはピッチ系炭素繊維、カーボンフレーク、鱗片状カーボンおよびカーボンナノチューブなどが好ましい。 本発明においては剛性を付与させるために用いるフィラーの少なくとも一種に繊維状を用いることが好ましい。
【0059】
本発明においてフィラーの添加量は、本発明で規定する熱伝導率を満たす限り特に制限はなく、また用いるフィラーの種類によっても異なるが、用いるフィラーの特性を発揮し、かつ溶融加工性とのバランスの点から、液晶性樹脂およびポリアリーレンサルファイド樹脂から選択される少なくとも1種(A)とフィラー(B)の合計量100重量%に対し、液晶性樹脂およびポリアリーレンサルファイド樹脂から選択される少なくとも1種(A)2〜50重量%、フィラー(B)98〜50重量%であることが好ましく、液晶性樹脂およびポリアリーレンサルファイド樹脂から選択される少なくとも1種(A)10〜30重量%、フィラー(B)90〜70重量%であることがより好ましく、液晶性樹脂およびポリアリーレンサルファイド樹脂から選択される少なくとも1種(A)15〜35重量%、フィラー(B)85〜65重量%であることが特に好ましく、液晶性樹脂およびポリアリーレンサルファイド樹脂から選択される少なくとも1種(A)15〜28重量%、フィラー(B)85〜72重量%であることが最も好ましい。
【0060】
また、得られた材料におけるレーザーフラッシュ法で測定した熱伝導率が1W/mK以上とするために熱伝導性フィラーを好ましくは、フィラー総量の20重量%以上、より好ましくは50重量%以上、さらには80重量%以上添加することが好ましい。
【0061】
本発明における樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で他の成分、例えば酸化防止剤や耐熱安定剤(ヒンダードフェノール系、ヒドロキノン系、ホスファイト系およびこれらの置換体等)、耐候剤(レゾルシノール系、サリシレート系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒンダードアミン系等)、離型剤及び滑剤(モンタン酸及びその金属塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミド、各種ビスアミド、ビス尿素及びポリエチレンワックス等)、顔料(硫化カドミウム、フタロシアニン、着色用カーボンブラック等)、染料(ニグロシン等)、結晶核剤(タルク、シリカ、カオリン、クレー等)、可塑剤(p−オキシ安息香酸オクチル、N−ブチルベンゼンスルホンアミド等)、帯電防止剤(アルキルサルフェート型アニオン系帯電防止剤、4級アンモニウム塩型カチオン系帯電防止剤、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートのような非イオン系帯電防止剤、ベタイン系両性帯電防止剤等)、難燃剤(例えば、赤燐、燐酸エステル、メラミンシアヌレート、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、ポリリン酸アンモニウム、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ樹脂あるいはこれらの臭素系難燃剤と三酸化アンチモンとの組み合わせ等)、他の重合体を添加することができる。
【0062】
本発明の樹脂組成物は、通常公知の方法で製造される。例えば、(A)成分、(B)成分中、その他の必要な添加剤を予備混合して、またはせずに押出機などに供給して十分溶融混練することにより調製される。また、(B)フィラーとして繊維状フィラーを添加する場合、特に繊維状フィラーの繊維の折損を抑制するために好ましくは、(A)成分および添加剤を押出機の元から投入し、(B)フィラーをサイドフィーダーを用いて、押出機へ供給することにより調整される。
【0063】
樹脂組成物を製造するに際し、例えば“ユニメルト”(R)タイプのスクリューを備えた単軸押出機、二軸、三軸押出機およびニーダタイプの混練機などを用いて180〜350℃で溶融混練して組成物とすることができる。
【0064】
また、フィラーを多量に添加する場合、例えば添加量が(A)と(B)の合計量100重量%に対して70重量%を越えるフィラーを添加するフィラー高充填の樹脂組成物を得る方法として、例えば、特開平8−1663号公報の如く、押出機のヘッド部分をはずして押し出す方法、あるいは、原料を圧縮成形して錠剤化する方法が挙げられる。特に原料を圧縮成形して錠剤化する方法が、得られた組成物の品質安定性の点から好ましい。錠剤化に際しての圧縮成形は固相状態で行うことが好ましい。固相状態とは樹脂粉末が溶融しない状態をいう。
【0065】
錠剤化の具体的な手法としては、たとえば液晶性樹脂およびポリアリーレンサルファイドから選択させる少なくとも一種の粉末とフィラーをバンバリーミキサー、ニーダー、ロール、単軸もしくは二軸の押出機などを用い、固相状態で均一ブレンドし、打錠機あるいは圧縮ロールを有する成形機により錠剤(タブレット)化することにより得ることができる。また、液晶性樹脂およびポリアリーレンサルファイドから選択される少なくとも一種と、フィラーとをバンバリーミキサー、ニーダー、ロールを用いて予めドライブレンドし、もしくはドライブレンドしないで、単軸もしくは二軸の押出機などを用い、一度溶融混練し、冷却粉砕して粉末状としたのち、打錠機あるいは圧縮ロールを有する成形機により錠剤(タブレット)化することも可能である。この場合、溶融混練に供する液晶性樹脂およびポリアリーレンサルファイドから選択される少なくとも一種としては、溶融混練が可能であれば、粉末状でもペレット状でも特に制限はないが、フィラーの分散不良による特性のバラツキを低減する点から粉末状あるいは粉砕品であることが好ましい。また、単軸もしくは2軸押出機を用いて、予め溶融混練した組成物を粉末状とする場合、フィラーの使用量が多いと、流動性が悪化するため、ダイからの押出ができずペレット化が困難になる場合があるが、その場合には、特開平8−1663号公報に記載の如く、押出機のヘッド部を開放した状態で混練・押出すことも可能である。フィラーが多量である場合、フレーク状の組成物が得られることもある。本発明においてはこれらの方法で予め溶融混練して得られたペレットもしくはフレーク状の組成物を必要により、冷却粉砕して粉末状とした後、錠剤化する。また、これらの方法を組み合わせて錠剤化することも可能である。すなわち、下記(イ)〜(ホ)から選択される原料を所望の含有量となるよう調整し、錠剤化することも可能である。
(イ)(A)液晶性樹脂およびポリアリーレンサルファイド樹脂から選択される少なくとも1種、好ましくは粉体状の(A)液晶性樹脂およびポリアリーレンサルファイド樹脂から選択される少なくとも1種
(ロ)(B)フィラー
(ハ)(A)または(B)成分を必須とする成分を溶融混練してなる組成物の粉体
上記方法のうち、工程が簡素である点で、上記(イ)、(ロ)の原料および必要に応じて(ハ)の原料を固相状態で均一ブレンドした混合物を打錠機あるいは圧縮ロールを有する成形機により錠剤(タブレット)化する方法が好ましい。
【0066】
上記(A)成分としては、ポリアリーレンサルファイド樹脂など粉末状で入手できる場合はそれを使用することができる。また、ペレットを常温あるいは冷凍粉砕することによって粉末を得ることもできる。冷凍粉砕は、ドライアイスあるいは液体窒素等で凍結させた後、一般的に知られている通常のハンマータイプ粉砕機、カッタータイプ粉砕機あるいは石臼型の粉砕機により行うことができる。本発明において用いる液晶性樹脂およびポリアリーレンサルファイドから選択される少なくとも一種の粉末としては、得られる錠剤間の組成の均一化および得られた錠剤のハンドリング性を良好にする点から、レーザー回折式粒度分布測定法に基づき測定した場合の粒子の最大長径の数平均粒子径が1000μm以下であることが好ましく、800μm以下であることがより好ましく、500μm以下であることがさらに好ましい。かかる粒径を有する粉末を得るには、粉砕などにより得られた粉体を適宜所望の大きさの篩を用いてふるい分けすればよい。
【0067】
本発明の樹脂組成物の錠剤形状としては、輸送時の形状保持性と成形時の易圧壊性を考慮した場合、例えば、円柱状、楕円柱状、円錐台形状、球状、楕円球状、鶏卵型形状、マセック型、円盤状、キュービック状、角柱状のものが挙げられる。なかでも加工時の計量安定性の点から円柱状、楕円柱状、円錐台形状、球状、楕円球状、鶏卵型形状、マセック型が好ましい。
【0068】
また、錠剤の錠剤サイズとしては、底面15mm直径以下×長さ20mm以下が好ましく、なかでも底面の直径または長さ(高さ)の最大値が15mm未満であることが好ましく、最小値が1mm以上であることが好ましい。なお、底面が円状でないものに関して、最大径、最小径の規定方法としては、外接円の最大直径で特定する場合、その最大直径が15mm未満、1mm以上であることが好ましく、更に好ましくは12mm以下、1.5mm以上であるのがよい。
【0069】
また、輸送時等の形状を安定に保つために、錠剤における打錠面の側面もしくは圧縮ロールでの圧縮面に対し、垂直に圧力をかけた時の圧縮破壊強度値(圧壊強度値)が、好ましくは5〜100N、より好ましくは15〜80Nである。好ましい圧壊強度値を得るための方法としては、例えば、原料組成によるところが最も大きく、エステル系、アミド系、燐系添加剤を添加することにより、あるいは錠剤化工程において、原料供給ポケットに均一に原料を供給する方法、圧縮ロールの回転数を下げ圧縮ロール上での材料への加圧時間を延ばす方法、ホッパー内にフィードスクリューを用い、そのスクリューによりロール圧縮前において効果的な脱気と予備圧縮する方法などにより、高い錠剤密度が得られ、高い圧壊強度が得られる。なお、圧壊強度値の測定は、ロードセルなどの歪ゲージの上に錠剤を置き、その上から圧子を低速(好ましくは0.1〜2.0mm/sec)で降下させ、錠剤の圧縮破壊時に歪ゲージが示す圧力を測定する方法を用い行うことができる。
【0070】
かかる方法を用いることにより、フィラーを高充填した樹脂組成物を得ることが可能となる。
【0071】
錠剤の形状保持性を向上させる観点から、以下の添加剤を添加することが好ましい。このような添加剤としては、脂肪酸の一価アルコールエステル(例えばモンタン酸エステル、ペンタエリスリトールモノステアレートなど)、脂肪酸金属塩、多塩基酸の脂肪酸エステル、多価アルコールの脂肪酸エステル、およびそれらの誘導体、エポキシ化合物、グリセリンの脂肪酸エステル、シリコーンレジン、フェノール系化合物、ホスフェート系化合物、ホスファイト系化合物、チオエーテル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、アミド基含有化合物、シアヌレート化合物およびその塩、脂肪酸の一価アルコールエステル、多塩基酸の一価アルコールエステル、多価アルコールの脂肪酸エステル、およびそれらの誘導体、グリセリンの脂肪酸エステル、シリコーンオイル、ホスファイト系化合物、リン酸エステル(例えばトリフェニルホスフェートなどの芳香族リン酸エステル、芳香族縮合リン酸エステルなど)等を添加することが可能である。中でも上記脂肪酸の一価アルコールエステル、リン酸エステルが好ましく用いられる。このような添加剤の添加量は、(A)ポリアリーレンサルファイド樹脂と(B)フィラーの合計量100重量部に対し、0.1〜10重量部、好ましくは0.1〜8重量部、より好ましくは0.3〜6重量部の範囲が選択される。
【0072】
本発明の樹脂組成物、錠剤は、ランプユニット部品して使用した場合、ランプの熱による溶融変形、壁の倒れ込みあるいは垂れ下がりを抑制するためにレーザーフラッシュ法で測定した熱伝導率が1W/mK以上である必要があり、好ましくは、2W/mK以上、さらに好ましくは、3W/mKである。また、上限については、フィラーの種類によっても変わり得るので、特に制限はないが、他の特性とのバランスを考慮した場合、150W/mKであることが好ましい。なお、上記熱伝導率の測定は、本発明の樹脂組成物、錠剤を溶融成形して得られる50mm×50mm×厚さ3mmの角形成形品を成形し、この成形品の両表面を深さ0.5mm切削し、レーザーフラッシュ法定数測定装置により測定される熱伝導率である。
【0073】
本発明の樹脂組成物、錠剤を成形するにあたっての成形方法は、通常の成形方法(射出成形、プレス成形、インジェクションプレス成形など)により、溶融成形することが可能である。
【0074】
本発明のランプユニット用樹脂組成物、錠剤は、ランプユニット部品、例えば、プロジェクタ装置のランプユニット部品(例えば支持台(ハウジング)、ランプカバー(フタ)、リフレクターなど)や車両用灯具の部品(例えばヘッドライト、フォグランプ、テールランプ、ハイマウントストップランプなどのリフレクター、ケース、放熱ソケット)をはじめとするランプユニット部品等に好適に用いられる。
【0075】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の骨子は以下の実施例にのみ限定されるものではない。
【0076】
参考例1 熱可塑性樹脂
(1)PPS(ポリフェニレンスルフィド)の調製
撹拌機および底に弁の付いた20リットルオートクレーブに、47%水硫化ナトリウム(三協化成)2383g(20.0モル)、96%水酸化ナトリウム831g(19.9モル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)3960g(40.0モル)、およびイオン交換水3000gを仕込み、常圧で窒素を通じながら225℃まで約3時間かけて徐々に加熱し、水4200gおよびNMP80gを留出した後、反応容器を160℃に冷却した。仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たりの系内残存水分量は0.17モルであった。また、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たりの硫化水素の飛散量は0.021モルであった。
【0077】
次に、p−ジクロロベンゼン(シグマアルドリッチ)2942g(20.0モル)、NMP1515g(15.3モル)を加え、反応容器を窒素ガス下に密封した。その後、400rpmで撹拌しながら、200℃から227℃まで0.8℃/分の速度で昇温し、次いで274℃まで0.6℃/分の速度で昇温し、274℃で50分保持した後、282℃まで昇温した。オートクレーブ底部の抜き出しバルブを開放し、窒素で加圧しながら、内容物を撹拌機付き容器に15分かけてフラッシュし、250℃でしばらく撹拌して大半のNMPを除去し、ポリフェニレンサルファイド(PPS)と塩類を含む固形物を回収した。
【0078】
得られた固形物およびイオン交換水15120gを撹拌機付きオートクレーブに入れ、70℃で30分洗浄した後、ガラスフィルターで吸引濾過した。次いで70℃に加熱した17280gのイオン交換水をガラスフィルターに注ぎ込み、吸引濾過してケークを得た。
【0079】
得られたケークおよびイオン交換水11880gを、撹拌機付きオートクレーブに仕込み、オートクレーブ内部を窒素で置換した後、192℃まで昇温し、30分保持した。その後オートクレーブを冷却して内容物を取り出した。
【0080】
内容物をガラスフィルターで吸引濾過した後、これに70℃のイオン交換水17280gを注ぎ込み吸引濾過してケークを得た。得られたケークを80℃で熱風乾燥し、さらに120℃で24時間で真空乾燥することにより、乾燥PPSを得た。ついで以下の測定条件で重量平均分子量を測定した結果、得られたPPSは、ポリスチレン換算の重量平均分子量が20000であった。
・GPC測定条件
装置 : センシュー科学 SSC−7100
カラム名 : センシュー科学 GPC3506×1
溶離液 : 1−クロロナフタレン(1−CN)
検出器 : 示差屈折率検出器
検出器感度 : Range 8
検出器極性 : +
カラム温度 : 210℃
プレ恒温槽温度 : 250℃
ポンプ恒温槽温度 : 50℃
検出器温度 : 210℃
サンプル側流量 : 1.0mL/min
リファレンス側流量 : 1.0mL/min
試料注入量 : 300μL
検量線作成試料 : ポリスチレン。
【0081】
(2)LCP(液晶性ポリエステル)の調整
p−ヒドロキシ安息香酸995重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル126重量部、テレフタル酸112重量部、固有粘度が約0.6dl/gのポリエチレンテレフタレ−ト216重量部及び無水酢酸960重量部を撹拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、室温から150℃まで昇温しながら3時間反応させ、150℃から250℃まで2時間で昇温し、250℃から320℃まで1.5時間で昇温させた後、320℃、1.5時間で0.5mmHg(67Pa)に減圧し、さらに約0.25時間反応させ重縮合を行った結果、芳香族オキシカルボニル単位80モル当量、芳香族ジオキシ単位7.5モル当量、エチレンジオキシ単位12.5モル当量、芳香族ジカルボン酸単位20モル当量からなる融点314℃、溶融粘度18Pa・s(測定条件;高化式フローテスターにて測定温度324℃、オリフィス0.5mm直径×10mm、ずり速度1,000(1/秒))ペレットを得た。さらに液体窒素で冷却しながらアトマイザー(ハンマーミル)に投入して冷凍粉砕し、JIS−K0069に基づく篩分け試験法により測定した数平均粒子径150μm粉末を得た。
【0082】
参考例2 フィラー
B−1:炭素繊維(CF)、MLD1000(繊維状フィラー、平均繊維長150μm、東レ社製)、熱伝導率3W/mK
熱伝導率は、フィラーをエポキシ系熱硬化性樹脂で固めたサンプルを用い、光交流法により熱伝導率を測定して作成したフィラーを充填量と熱伝導率の関係を示す検量線よりフィラー容量100%の場合の熱伝導率を算出し、レーザーフラッシュ法の数値に換算した値である。
B−2:炭素繊維(CF)、XN−100−01Z(繊維状フィラー、繊維長1000μm、日本グラファイトファイバー社製)、熱伝導率900W/mK
熱伝導率は、フィラー(同様の質を有し、かつ測定可能な形態を有するフィラー)をエポキシ系熱硬化性樹脂で固め、レーザーフラッシュ法により熱伝導率を測定し、また広角X線により測定したd002、Lcから求めたX線パラメータから検量線を求めておき、広角X線により測定した測定サンプルのd002とLcから上記検量線を用いてレーザーフラッシュ法の熱伝導率に換算した値である。B−3:グラファイト(CFW)、CFW50A(鱗片状フィラー、平均粒径50μm、中越黒鉛社製)200W/mK
熱伝導率は、フィラーをエポキシ系熱硬化性樹脂で固めたサンプルを用い、光交流法により熱伝導率を測定し、フィラー充填量と熱伝導率との関係を示す検量線よりフィラー100容量%の場合の熱伝導率を算出し、レーザーフラッシュ法の数値に換算した値である。
【0083】
なお、平均粒径はJIS−K0069に基づく篩分け試験法により測定した数平均である。
【0084】
参考例3 添加剤
C−1:“PX−200”(大八化学工業社製粉末状芳香族縮合リン酸エステル、CAS No. 139189−30−3)融点95℃(篩にて42メッシュパスしたものを使用)。
C−2:モンタン酸エステルワックス
“リコワックス”(R)(クラリアントジャパン社製)融点78℃(篩にて42メッシュパスしたものを使用)
実施例1〜3 比較例1〜4
参考例1の熱可塑性樹脂、参考例2に示したフィラーをリボンブレンダーで表1に示す量でブレンドし、3ホールストランドダイヘッド付きPCM30(2軸押出機;池貝鉄工社製)にて表1に示す樹脂温度で溶融混練を行い、ペレットを得た。ついで130℃の熱風オーブンで4時間乾燥した後、後述する評価を行った。
【0085】
実施例4〜7
参考例1の熱可塑性樹脂、参考例2に示したフィラーおよび参考例3の添加剤を表1に示す量でヘンシェルミキサーでブレンドし、自動原料供給フィーダーを備えた月島機械社製ロータリー打錠機を用いて常温タブレット化により、7mm直径×3mm長の円柱状のタブレット(錠剤型樹脂組成物)(最大値7mm、最小値3mm)を得た。ついで140℃の熱風乾燥機で3時間乾燥した後、以下に示す評価を行った。
【0086】
(1)熱伝導率
UH1000(80t)射出成形機(日精樹脂工業社製)を用い、表1の樹脂温度、金型温度の温度条件で、50mm×50mm×厚さ3mmの角形成形品(フィルムゲート)を成形し、この成形品の両表面を深さ0.5mm切削して厚さ2mmの試験片としたものを用いてレーザーフラッシュ法定数測定装置(リガク社製LF/TCM−FA8510B)により熱伝導率を測定した。
【0087】
(2)そり性(そり変形量)
射出成形機UH1000(日精樹脂工業社製)を用いて表1に示す樹脂温度、金型温度で天面縦100mm×天面横70mm×高さ70mm×成形品厚み1.5mmのコの字型成形品(前後には壁なし)を作成し、立ち壁の倒れ込み量を測定した。なお、測定方法は、立ち壁先端部内側の距離67mmを基準として測定した。
【0088】
(3)耐熱性
上記(2)で使用したものと同様の成形品を点灯した120WのUHPランプにかぶせ、成形品側面部分に風を当てて1時間保持した時の天面部分の状態を観察した。評価は、◎:変化なし、○:若干の表面荒れ、×:部分溶融、あるいは溶融垂れとした。
【0089】
実施例8、比較例5
実施例7および比較例1の組成物で実際にランプケースを作成し、120WのUHPタイプのランプを組み込み、1時間投影した。ランプ温度の上昇を防止するためにプロジェクタ筐体内部に取り付けられているサーモ式冷却ファンの回転数が比較例1で作成した成形品では1800rpmで制御されていたものが実施例7の組成物で作成した成形品では1000rpmと低速で制御され、高いランプの冷却効率が得られた。
【0090】
表1および実施例8の結果から明らかなように本発明のランプユニット部品用樹脂組成物、錠剤をランプユニット部品とすることにより、従来得られなかった熱伝導性、低そり性、耐熱性が得られることから、高輝度でかつ、薄型化、小型対応が可能となることがわかる。また、放熱特性が優れることから、冷却ファンの回転数低減を図ることが可能となるため、騒音対策や消費電力も大幅に低減可能となる。
【0091】
【表1】
【0092】
【発明の効果】
上述したように、本発明のランプユニット部品用樹脂組成物、錠剤は、従来得られなかった熱伝導性と低そり性および耐熱性が均衡して優れることから、従来不可能であったランプユニット用部品として極めて実用的に用いることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱伝導性、低そり性、耐熱性に優れたランプユニット部品用樹脂組成物、錠剤およびそれから得られるランプユニット部品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリアリーレンサルファイド樹脂は、機械的特性、耐熱性、耐薬品性および薄肉流動性をバランスよく備えているため、軽量化の要求とともにこれらを用いた自動車部品、家電部品、携帯機器部品、事務機部品への展開が検討されてきているが、これまで樹脂化が困難とされていた分野への用途開拓も盛んに試みられ、樹脂に対する要求性能は、益々多様化すると共に厳しくなる傾向にある。近年、特に目立つのが、従来は板金、アルミダイキャスト、セラミックが用いられていたOA用途において軽量化、生産性向上によるコスト低減のため、樹脂化が検討されている。例えば、プロジェクタ装置は、近年、プレゼンテーション等のような商用的な用途に用いられるばかりではなく、様々なコンテンツの表示手段として家庭内で使用可能となることが望まれており、高輝度で、かつ薄型化、小型化が求められている。しかし、ランプ及びそれを保持するハウジングまたはケース等からなるランプユニットは、使用によりランプが発熱して高温になり易い。特に、プロジェクタで使用する照明用ランプ装置は、プロジェクタの高輝度化及び小型化にともなって、より高温になる傾向がある。このため、ランプユニット及びそれを使用している機器は、安全性や信頼性の観点から、ランプユニットの放熱対策が重要になっている。このランプユニットの放熱対策は、従来、主としてファンを利用した放射放熱により行なわれている。
【0003】
しかしながら、放射放熱に依存したランプユニットの放熱では、ランプの高輝度化に伴い、ファンの数を増す、ファンの容量を大きくする、あるいはファンの回転数を増大させる等の必要があり、それらはランプユニット及びそれを使用している機器の小型化の要請に反する、また、ファンによる風切り音による雑音が大きくなり、使用の妨げになる。また、従来は、ランプを支持するハウジングやケースの局部、あるいはランプ装置を収納した機器の外装ケースの対応部分が、その他の場所に比べて特に高温となる場合もあるため、一部板金をはめ込むなどの放熱対策を施してきたか、あるいは特許文献1などのように構造を工夫することで風路を設けたりしているが、薄型化、小型化を行う上で最終的には装置に用いる材料自体を改良せざるを得ないのが実状である。
【0004】
【特許文献1】
特開2003−207849号公報(第2、8、9頁)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した従来の問題点を解消し、製品設計自由度および生産性を向上させ、熱伝導性、低そり性、耐熱性に優れたランプユニット部品用樹脂組成物、錠剤およびそれから得られるランプユニット部品を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題点を解決するために鋭意検討を重ねた結果、本発明に至った。
【0007】
すなわち本発明は、
(1)液晶性樹脂およびポリアリーレンサルファイド樹脂から選択される少なくとも1種(A)とフィラー(B)を含有してなり、レーザーフラッシュ法で測定した熱伝導率が1W/mK以上であることを特徴とするランプユニット部品用樹脂組成物、
(2)(A)および(B)の組成比が、(A)および(B)の合計量に対し、(A)成分2〜50重量%、(B)成分98〜50重量%であることを特徴とする上記(1)記載のランプユニット部品用樹脂組成物、
(3)フィラー(B)の少なくとも一部あるいは全部が熱伝導率が20W/mK以上の熱伝導性フィラーであることを特徴とする上記(1)または(2)記載のランプユニット部品用樹脂組成物、
(4)液晶性樹脂およびポリアリーレンサルファイド樹脂から選択される少なくとも1種(A)とフィラー(B)の合計量に対し、(A)成分が2〜50重量%、(B)成分が98〜50重量%となるように下記(イ)〜(ハ)から選択した原料を圧縮成形してなり、レーザーフラッシュ法で測定した熱伝導率が1W/mK以上であるランプユニット部品用錠剤、
(イ)液晶性樹脂およびポリアリーレンサルファイド樹脂から選択される少なくとも1種(A)
(ロ)フィラー(B)
(ハ)(A)または(B)成分を必須とする成分を溶融混練してなる組成物の粉体
(5)上記(1)〜(3)いずれか記載のランプユニット部品用樹脂組成物または上記(4)記載のランプユニット部品用錠剤を溶融成形してなるランプユニット部品である。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。本発明において「重量」とは「質量」を意味する。
【0009】
本発明において(A)液晶性樹脂およびポリアリーレンサルファイド樹脂から選択される少なくとも1種以上の熱可塑性樹脂について説明する。
【0010】
まず、液晶性樹脂とは、異方性溶融相を形成し得る樹脂であり、エステル結合を有するものが好ましい。例えば芳香族オキシカルボニル単位、芳香族ジオキシ単位、芳香族および/または脂肪族ジカルボニル単位、アルキレンジオキシ単位などから選ばれた構造単位からなり、かつ異方性溶融相を形成する液晶性ポリエステル、あるいは、上記構造単位と芳香族イミノカルボニル単位、芳香族ジイミノ単位、芳香族イミノオキシ単位などから選ばれた構造単位からなり、かつ異方性溶融相を形成する液晶性ポリエステルアミドなどが挙げられ、具体的には、p−ヒドロキシ安息香酸および6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位、芳香族ジヒドロキシ化合物および/または脂肪族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸および/またはアジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、テレフタル酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、テレフタル酸およびイソフタル酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、テレフタル酸および/またはアジピン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボンから生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、芳香族ジヒドロキシ化合物から生成した構造単位、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステルなど、また液晶性ポリエステルアミドとしては、芳香族オキシカルボニル単位、芳香族ジオキシ単位、芳香族および/または脂肪族ジカルボニル単位、アルキレンジオキシ単位などから選ばれた構造単位以外にさらにp−アミノフェノールから生成したp−イミノフェノキシ単位を含有した異方性溶融相を形成するポリエステルアミドである。上記した液晶性樹脂のうち、液晶性ポリエステルが好ましく、なかでもp−ヒドロキシ安息香酸および6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、芳香族ジヒドロキシ化合物から生成した構造単位、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル、p−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステルを特に好ましく用いることができる。
【0011】
上記液晶性ポリエステルのうち、好ましい構造の具体例としては、下記(I)、(II)、(III) および(IV)の構造単位からなる液晶性ポリエステル、または、(I)、(III) および(IV)の構造単位からなる液晶性ポリエステルなどが挙げられる。
【0012】
特に好ましいのは(I)、(II)、(III)および(IV)の構造単位からなる液晶性ポリエステルである。
【0013】
【化1】
【0014】
(ただし式中のR1は
【0015】
【化2】
【0016】
から選ばれた1種以上の基を示し、R2は
【0017】
【化3】
【0018】
から選ばれた1種以上の基を示す。ただし式中Xは水素原子または塩素原子を示す。)。
【0019】
上記構造単位(I)はp−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位であり、構造単位(II)は4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、t−ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンおよび4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルから選ばれた一種以上の芳香族ジヒドロキシ化合物から生成した構造単位を、構造単位(III)はエチレングリコールから生成した構造単位を、構造単位(IV)はテレフタル酸、イソフタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、および1,2−ビス(2−クロロフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸から選ばれた一種以上の芳香族ジカルボン酸から生成した構造単位を各々示す。これらのうちR1が
【0020】
【化4】
【0021】
であり、R2が
【0022】
【化5】
【0023】
であるものが特に好ましい。
【0024】
本発明に好ましく使用できる液晶性ポリエステルは、上記したように、構造単位(I)、(III)、(IV)からなる共重合体および上記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)からなる共重合体から選択される1種以上であり、上記構造単位(I)、(II)、(III)および(IV)の共重合量は任意である。しかし、本発明の特性を発揮させるためには次の共重合量であることが好ましい。
【0025】
すなわち、上記構造単位(I)、(II)、(III)、(IV)からなる共重合体の場合は、上記構造単位(I)および(II)の合計は構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して30〜95モル%が好ましく、40〜85モル%がより好ましい。また、構造単位(III)は構造単位(I)、(II)および(III)の合計に対して70〜5モル%が好ましく、60〜15モル%がより好ましい。また、構造単位(I)の(II)に対するモル比[(I)/(II)]は好ましくは75/25〜95/5であり、より好ましくは78/22〜93/7である。また、構造単位(IV)は構造単位(II)および(III)の合計と実質的に等モルであることが好ましい。
【0026】
一方、上記構造単位(II) を含まない場合は流動性の点から上記構造単位(I)は構造単位(I)および(III)の合計に対して40〜90モル%であることが好ましく、60〜88モル%であることが特に好ましく、構造単位(IV)は構造単位(III)と実質的に等モルであることが好ましい。
【0027】
ここで実質的に等モルとは、末端を除くポリマー主鎖を構成するユニットが等モルであるが、末端を構成するユニットとしては必ずしも等モルとは限らないことを意味する。
【0028】
また液晶性ポリエステルアミドとしては、上記構造単位(I)〜(IV)以外にp−アミノフェノールから生成したp−イミノフェノキシ単位を含有した異方性溶融相を形成するポリエステルアミドが好ましい。
【0029】
上記好ましく用いることができる液晶性ポリエステル、液晶性ポリエステルアミドは、上記構造単位(I)〜(IV)を構成する成分以外に3,3’−ジフェニルジカルボン酸、2,2’−ジフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸などの脂環式ジカルボン酸、クロロハイドロキノン、3,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルサルファイド、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,4’−ジヒドロキシビフェニル等の芳香族ジオール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂肪族、脂環式ジオールおよびm−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ヒドロキシナフトエ酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸およびp−アミノ安息香酸などを液晶性を損なわない程度の範囲でさらに共重合せしめることができる。
【0030】
本発明において使用する上記液晶性ポリエステルの製造方法は、特に制限がなく、公知のポリエステルの重縮合法に準じて製造できる。
【0031】
例えば、上記液晶性ポリエステルの製造において、次の製造方法が好ましく挙げられる。
(1)p−アセトキシ安息香酸および4,4’−ジアセトキシビフェニル、ジアセトキシベンゼンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物のジアシル化物と2,6−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸から脱酢酸縮重合反応によって液晶性ポリエステルを製造する方法。
(2)p−ヒドロキシ安息香酸および4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物と2,6−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸に無水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアシル化した後、脱酢酸重縮合反応によって液晶性ポリエステルを製造する方法。
(3)p−ヒドロキシ安息香酸のフェニルエステルおよび4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物と2,6−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸のジフェニルエステルから脱フェノール重縮合反応により液晶性ポリエステルを製造する方法。
(4)p−ヒドロキシ安息香酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸に所定量のジフェニルカーボネートを反応させて、それぞれジフェニルエステルとした後、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物を加え、脱フェノール重縮合反応により液晶性ポリエステルを製造する方法。
(5)ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルのポリマー、オリゴマーまたはビス(β−ヒドロキシエチル)テレフタレートなど芳香族ジカルボン酸のビス(β−ヒドロキシエチル)エステルの存在下で(1)または(2)の方法により液晶性ポリエステルを製造する方法。
【0032】
本発明に使用する液晶性ポリエステルは、非晶性樹脂添加による流動性低下あるいは、フィラーを充填した場合の流動性低下を抑制するため、溶融粘度は0.5〜80Pa・sが好ましく、特に1〜50Pa・sがより好ましい。また、流動性がより優れた組成物を得ようとする場合には、溶融粘度を40Pa・s以下とすることが好ましい。
【0033】
なお、この溶融粘度は融点(Tm)+10℃の条件で、ずり速度1,000(1/秒)の条件下で高化式フローテスターによって測定した値である。
【0034】
ここで、融点(Tm)とは示差熱量測定において、重合を完了したポリマーを室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1 )の観測後、Tm1 +20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温条件で室温まで一旦冷却した後、再度20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm2 )を指す。
【0035】
また、ポリアリーレンサルファイド樹脂の代表例としては、ポリフェニレンサルファイド(以下、PPSと略す場合もある)、ポリフェニレンサルファイドスルホン、ポリフェニレンサルファイドケトン、これらのランダム共重合体、ブロック共重合体およびそれらの混合物などが挙げられ、中でもポリフェニレンサルファイドが特に好ましく使用される。かかるポリフェニレンサルファイドは、下記構造式で示される繰り返し単位を有するものであり、好ましくは70モル%以上、より好ましくは90モル%以上含む重合体であり、上記繰り返し単位が70モル%以上の場合には、耐熱性が優れる点で好ましい。
【0036】
【化6】
【0037】
また、かかるポリフェニレンサルファイド樹脂は、その繰り返し単位の30モル%以下を、下記の構造式を有する繰り返し単位などで構成することが可能であり、ランダム共重合体、ブロック共重合体であってもよく、それらの混合物であってもよい。
【0038】
【化7】
【0039】
かかるポリアリーレンサルファイド樹脂は、通常公知の方法、つまり特公昭45−3368号公報に記載される比較的分子量の小さな重合体を得る方法あるいは特公昭52−12240号公報や特開昭61−7332号公報に記載される比較的分子量の大きな重合体を得る方法などによって製造することができる。
【0040】
本発明においては、上記のようにして得られたポリアリーレンサルファイド樹脂を、空気中加熱による架橋/高分子量化、窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下での熱処理、有機溶媒、熱水、酸水溶液などによる洗浄、酸無水物、アミン、イソシアネート、官能基含有ジスルフィド化合物などの官能基含有化合物による活性化などの種々の処理を施した上で使用することも、もちろん可能である。
【0041】
ポリアリーレンサルファイド樹脂を加熱により架橋/高分子量化する場合の具体的方法としては、空気、酸素などの酸化性ガス雰囲気下あるいは前記酸化性ガスと窒素、アルゴンなどの不活性ガスとの混合ガス雰囲気下で、加熱容器中で所定の温度において希望する溶融粘度が得られるまで加熱を行う方法を例示することができる。この場合の加熱処理温度としては、好ましくは150〜280℃、より好ましくは200〜270℃の範囲が選択して使用され、処理時間としては、好ましくは0.5〜100時間、より好ましくは2〜50時間の範囲が選択されるが、この両者をコントロールすることによって、目標とする粘度レベルを得ることができる。かかる加熱処理の装置は、通常の熱風乾燥機でもまた回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置であってもよいが、効率よくしかもより均一に処理する場合は、回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置を用いるのがより好ましい。
【0042】
ポリアリーレンサルファイド樹脂を窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下で熱処理する場合の具体的方法としては、窒素などの不活性ガス雰囲気下あるいは減圧(好ましくは7,000Nm−2以下)下で、加熱処理温度150〜280℃、好ましくは200〜270℃、加熱時間0.5〜100時間、好ましくは2〜50時間の条件で加熱処理する方法を例示することができる。かかる加熱処理の装置は、通常の熱風乾燥機でもまた回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置であってもよいが、効率よくしかもより均一に処理する場合は、回転式あるいは撹拌翼付の加熱装置を用いるのがより好ましい。
【0043】
ポリアリーレンサルファイド樹脂を有機溶媒で洗浄する場合に、洗浄に用いる有機溶媒としては、ポリアリーレンサルファイド樹脂を分解する作用などを有しないものであれば特に制限はなく使用することができる。例えばN−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどの含窒素極性溶媒、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホンなどのスルホキシド・スルホン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、アセトフェノンなどのケトン系溶媒、ジメチルエーテル、ジプロピルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、トリクロロエチレン、2塩化エチレン、ジクロロエタン、テトラクロルエタン、クロロベンゼンなどのハロゲン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、フェノール、クレゾール、ポリエチレングリコールなどのアルコール・フェノール系溶媒、およびベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒などが使用される。これらの有機溶媒のなかでも、特にN−メチルピロリドン、アセトン、ジメチルホルムアミドおよびクロロホルムなどが好ましく使用される。また、これらの有機溶媒は、1種類または2種類以上の混合で使用される。
【0044】
かかる有機溶媒による洗浄の具体的方法としては、有機溶媒中にポリアリーレンサルファイド樹脂を浸漬せしめるなどの方法があり、必要により適宜撹拌または加熱することも可能である。有機溶媒でポリアリーレンサルファイド樹脂を洗浄する際の洗浄温度については特に制限はなく、常温〜300℃程度の任意の温度が選択できる。洗浄温度が高くなるほど洗浄効率が高くなる傾向があるが、通常は常温〜150℃の洗浄温度で十分な効果が得られる。なお、有機溶媒洗浄を施されたポリアリーレンサルファイド樹脂は、残留している有機溶媒を除去するため、水で数回洗浄することが好ましい。上記水洗浄の温度は50〜90℃であることが好ましく、60〜80℃であることが好ましい。
【0045】
ポリアリーレンサルファイド樹脂を熱水で処理する場合の具体的方法としては、以下の方法を例示することができる。すなわち、熱水洗浄によるポリアリーレンサルファイド樹脂の好ましい化学的変性の効果を発現するために、使用する水は蒸留水あるいは脱イオン水であることが好ましい。熱水処理の操作は、通常、所定量の水に所定量のポリアリーレンサルファイド樹脂を投入し、常圧であるいは圧力容器内で加熱、撹拌することにより行われる。ポリアリーレンサルファイド樹脂と水との割合は、水が多い方がよく、好ましくは水1リットルに対し、ポリアリーレンサルファイド樹脂200g以下の浴比で使用される。
【0046】
ポリアリーレンサルファイド樹脂を酸処理する場合の具体的方法としては、以下の方法を例示することができる。すなわち、酸または酸の水溶液にポリアリーレンサルファイド樹脂を浸漬せしめるなどの方法があり、必要により適宜撹拌または加熱することも可能である。用いられる酸としては、ポリアリーレンサルファイド樹脂を分解する作用を有しないものであれば特に制限はなく、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸などの脂肪族飽和モノカルボン酸、クロロ酢酸、ジクロロ酢酸などのハロ置換脂肪族飽和カルボン酸、アクリル酸、クロトン酸などの脂肪族不飽和モノカルボン酸、安息香酸、サリチル酸などの芳香族カルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フタル酸、フマル酸などのジカルボン酸、および硫酸、リン酸、塩酸、炭酸、珪酸などの無機酸性化合物などが用いられる。これらの酸のなかでも、特に酢酸、塩酸がより好ましく用いられる。酸処理を施されたポリアリーレンサルファイド樹脂は、残留している酸または塩などを除去するため、水で数回洗浄することが好ましい。上記水洗浄の温度は50〜90℃であることが好ましく、60〜80℃であることが好ましい。また、洗浄に用いる水は、酸処理によるポリアリーレンサルファイド樹脂の好ましい化学的変性の効果を損なわない意味で、蒸留水または脱イオン水であることが好ましい。
【0047】
本発明で用いられるポリアリーレンサルファイド樹脂は、フィラー充填による高粘度化によって成形時に引き起こされる成形品に残留歪みによる寸法変化を抑制するためにポリスチレン換算における重量平均分子量が50000以下であることが好ましく、40000以下がより好ましく、25000以下であることが特に好ましい。重量平均分子量の下限については特に制限はないが、滞留安定性等を考慮した場合、1500以上であることが好ましい。また分子量の異なる2種以上のポリアリーレンサルファイド樹脂を併用して用いてもよい。
【0048】
なお、ポリアリーレンサルファイド樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、1−クロロナフタレン(1−CN)に5gにポリアリーレンサルファイド樹脂5mgを溶解し、超高温GPC装置を用いて測定することができる。
【0049】
本発明に用いる(B)フィラーとしては、本発明で規定する熱伝導率を有する組成物、錠剤を与え得るフィラーが選択される。フィラー形状としては繊維状もしくは、非繊維状(板状、鱗片状、粒状、不定形状、破砕品など)のフィラーが挙げられ、具体的には例えば、繊維状フィラーとしてガラス繊維、PAN系やピッチ系の炭素繊維、ステンレス繊維、アルミニウム繊維や黄銅繊維などの金属繊維、芳香族ポリアミド繊維などの有機繊維、石膏繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、ジルコニア繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、酸化チタン繊維、炭化ケイ素繊維、ロックウール、チタン酸カリウムウィスカー、チタン酸バリウムウィスカー、ほう酸アルミニウムウィスカー、窒化ケイ素ウィスカー等が挙げられ、ガラス繊維あるいは炭素繊維の種類は、一般に樹脂の強化用に用いるものなら特に限定はなく、例えば長繊維タイプや短繊維タイプのチョップドストランド、ミルドファイバーなどから選択して用いることができる。また、上記フィラーはエチレン/酢酸ビニル共重合体などの熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂で被覆あるいは集束されていてもよい。
【0050】
非繊維状フィラーとしてマイカ、タルク、カオリン、シリカ、炭酸カルシウム、ガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラスマイクロバルーン、クレー、二硫化モリブデン、ワラステナイト、ポリリン酸カルシウム、グラファイト、金属粉、金属フレーク、金属リボン、金属酸化物(アルミナ、酸化亜鉛、酸化チタン等)、カーボン粉末、黒鉛、カーボンフレーク、鱗片状カーボン、カーボンナノチューブなどが挙げられる。また、金属粉、金属フレーク、金属リボンの金属種の具体例としては銀、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウム、ステンレス、鉄、黄銅、クロム、錫などが例示できる。
【0051】
ここで、上記金属粉、金属フレークおよび金属リボンの金属種の具体例としては、銀、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム、ステンレス、鉄、黄銅、クロムおよび錫などを例示することができる。
【0052】
また、上記金属繊維の金属種の具体例としては、鉄、銅、ステンレス、アルミニウムおよび黄銅などを例示することができる。
【0053】
かかる金属粉、金属フレーク、金属リボンおよび金属繊維は、いずれもチタネート系、アルミネート系およびシラン系などの表面処理剤で表面処理を施されていてもよい。
【0054】
上記金属酸化物の具体例としては、SnO2 (アンチモンドープ)、In2 O3 (アンチモンドープ)およびZnO(アルミニウムドープ)などを例示することができ、これらはチタネート系、アルミ系およびシラン系などの表面処理剤で表面処理を施されていてもよい。
【0055】
上記窒化物の具体例としては、AlN(窒化アルミニウム)、BN(窒化ホウ素)、Si3N4(窒化珪素)などを例示することができ、これらはチタネート系、アルミ系およびシラン系などの表面処理剤で表面処理を施されていてもよい。
【0056】
上記熱伝導性物質で被覆された無機フィラーにおける熱伝導性物質の具体例としては、アルミニウム、ニッケル、銀、カーボン、SnO2 (アンチモンドープ)およびIn2 O3 (アンチモンドープ)などを例示することができる。また、被覆される無機フィラーとしては、マイカ、ガラスビーズ、ガラス繊維、炭素繊維、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化チタン、および炭化珪素ウィスカーなどを例示することができる。被覆方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、無電解メッキ法および焼き付け法などが挙げられる。そして、これらの熱伝導性物質で被覆された無機フィラーもまた、チタネート系、アルミネート系およびシラン系などの表面処理剤で表面処理を施されていてもよい。
【0057】
なかでも、樹脂に充填した際に本発明で規定する熱伝導率を満たすためには、熱伝導率が20W/mK以上の熱伝導性フィラーを(B)成分の少なくとも一部または全部として用いることが好ましい。このような熱伝導性充填材の具体例としては金属粉、金属フレーク、金属リボン、金属繊維、ベリリア、アルミナ、酸化亜鉛、酸化マグネシウムなどの金属酸化物、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化珪素などの窒化物、熱伝導性物質で被覆された無機フィラー、カーボン粉末、黒鉛、ピッチ系炭素繊維、あるいは黒鉛化度の比較的高いPAN系炭素繊維、カーボンフレーク、鱗片状カーボンおよびカーボンナノチューブなどが挙げられる。なお、フィラーの熱伝導率は、原則レーザーフラッシュ法で測定した値であるが、フィラーが炭素系の材料である場合など、レーザーフラッシュ法により直接測定できない場合には、測定が可能な方法で間接的に測定し、レーザーフラッシュ法に換算した値を使用する。例えばエポキシ系熱硬化性樹脂でフィラーを固めたサンプルを用いて光交流法により熱伝導率を測定して作成したフィラー充填量と熱伝導率の関係を示す検量線よりフィラー100容量%の場合の熱伝導率を算出し、レーザーフラッシュ法の数値に換算した値を使用することができる。さらにかかる方法による測定も適さない場合には、エポキシ系熱硬化性樹脂でフィラー(同様の質を有し、測定可能な形態を有するフィラー)を固めた疑似サンプルを用いて広角X線により測定した黒鉛層間距離(d002)と結晶子径(Lc)から求めたX線パラメータと、レーザーフラッシュ法による熱伝導率から検量線を予め求めておき、広角X線により測定した測定サンプルのd002とLcから、上記検量線を用いてレーザーフラッシュ法の熱伝導率に換算した値などを使用することができる。
【0058】
さらには、ランプユニットをより軽量にし得る点において、アルミナ、酸化亜鉛、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化珪素、カーボン粉末、黒鉛、PAN系あるいはピッチ系炭素繊維、カーボンフレーク、鱗片状カーボンおよびカーボンナノチューブなどが好ましい。 本発明においては剛性を付与させるために用いるフィラーの少なくとも一種に繊維状を用いることが好ましい。
【0059】
本発明においてフィラーの添加量は、本発明で規定する熱伝導率を満たす限り特に制限はなく、また用いるフィラーの種類によっても異なるが、用いるフィラーの特性を発揮し、かつ溶融加工性とのバランスの点から、液晶性樹脂およびポリアリーレンサルファイド樹脂から選択される少なくとも1種(A)とフィラー(B)の合計量100重量%に対し、液晶性樹脂およびポリアリーレンサルファイド樹脂から選択される少なくとも1種(A)2〜50重量%、フィラー(B)98〜50重量%であることが好ましく、液晶性樹脂およびポリアリーレンサルファイド樹脂から選択される少なくとも1種(A)10〜30重量%、フィラー(B)90〜70重量%であることがより好ましく、液晶性樹脂およびポリアリーレンサルファイド樹脂から選択される少なくとも1種(A)15〜35重量%、フィラー(B)85〜65重量%であることが特に好ましく、液晶性樹脂およびポリアリーレンサルファイド樹脂から選択される少なくとも1種(A)15〜28重量%、フィラー(B)85〜72重量%であることが最も好ましい。
【0060】
また、得られた材料におけるレーザーフラッシュ法で測定した熱伝導率が1W/mK以上とするために熱伝導性フィラーを好ましくは、フィラー総量の20重量%以上、より好ましくは50重量%以上、さらには80重量%以上添加することが好ましい。
【0061】
本発明における樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で他の成分、例えば酸化防止剤や耐熱安定剤(ヒンダードフェノール系、ヒドロキノン系、ホスファイト系およびこれらの置換体等)、耐候剤(レゾルシノール系、サリシレート系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒンダードアミン系等)、離型剤及び滑剤(モンタン酸及びその金属塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミド、各種ビスアミド、ビス尿素及びポリエチレンワックス等)、顔料(硫化カドミウム、フタロシアニン、着色用カーボンブラック等)、染料(ニグロシン等)、結晶核剤(タルク、シリカ、カオリン、クレー等)、可塑剤(p−オキシ安息香酸オクチル、N−ブチルベンゼンスルホンアミド等)、帯電防止剤(アルキルサルフェート型アニオン系帯電防止剤、4級アンモニウム塩型カチオン系帯電防止剤、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートのような非イオン系帯電防止剤、ベタイン系両性帯電防止剤等)、難燃剤(例えば、赤燐、燐酸エステル、メラミンシアヌレート、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、ポリリン酸アンモニウム、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ樹脂あるいはこれらの臭素系難燃剤と三酸化アンチモンとの組み合わせ等)、他の重合体を添加することができる。
【0062】
本発明の樹脂組成物は、通常公知の方法で製造される。例えば、(A)成分、(B)成分中、その他の必要な添加剤を予備混合して、またはせずに押出機などに供給して十分溶融混練することにより調製される。また、(B)フィラーとして繊維状フィラーを添加する場合、特に繊維状フィラーの繊維の折損を抑制するために好ましくは、(A)成分および添加剤を押出機の元から投入し、(B)フィラーをサイドフィーダーを用いて、押出機へ供給することにより調整される。
【0063】
樹脂組成物を製造するに際し、例えば“ユニメルト”(R)タイプのスクリューを備えた単軸押出機、二軸、三軸押出機およびニーダタイプの混練機などを用いて180〜350℃で溶融混練して組成物とすることができる。
【0064】
また、フィラーを多量に添加する場合、例えば添加量が(A)と(B)の合計量100重量%に対して70重量%を越えるフィラーを添加するフィラー高充填の樹脂組成物を得る方法として、例えば、特開平8−1663号公報の如く、押出機のヘッド部分をはずして押し出す方法、あるいは、原料を圧縮成形して錠剤化する方法が挙げられる。特に原料を圧縮成形して錠剤化する方法が、得られた組成物の品質安定性の点から好ましい。錠剤化に際しての圧縮成形は固相状態で行うことが好ましい。固相状態とは樹脂粉末が溶融しない状態をいう。
【0065】
錠剤化の具体的な手法としては、たとえば液晶性樹脂およびポリアリーレンサルファイドから選択させる少なくとも一種の粉末とフィラーをバンバリーミキサー、ニーダー、ロール、単軸もしくは二軸の押出機などを用い、固相状態で均一ブレンドし、打錠機あるいは圧縮ロールを有する成形機により錠剤(タブレット)化することにより得ることができる。また、液晶性樹脂およびポリアリーレンサルファイドから選択される少なくとも一種と、フィラーとをバンバリーミキサー、ニーダー、ロールを用いて予めドライブレンドし、もしくはドライブレンドしないで、単軸もしくは二軸の押出機などを用い、一度溶融混練し、冷却粉砕して粉末状としたのち、打錠機あるいは圧縮ロールを有する成形機により錠剤(タブレット)化することも可能である。この場合、溶融混練に供する液晶性樹脂およびポリアリーレンサルファイドから選択される少なくとも一種としては、溶融混練が可能であれば、粉末状でもペレット状でも特に制限はないが、フィラーの分散不良による特性のバラツキを低減する点から粉末状あるいは粉砕品であることが好ましい。また、単軸もしくは2軸押出機を用いて、予め溶融混練した組成物を粉末状とする場合、フィラーの使用量が多いと、流動性が悪化するため、ダイからの押出ができずペレット化が困難になる場合があるが、その場合には、特開平8−1663号公報に記載の如く、押出機のヘッド部を開放した状態で混練・押出すことも可能である。フィラーが多量である場合、フレーク状の組成物が得られることもある。本発明においてはこれらの方法で予め溶融混練して得られたペレットもしくはフレーク状の組成物を必要により、冷却粉砕して粉末状とした後、錠剤化する。また、これらの方法を組み合わせて錠剤化することも可能である。すなわち、下記(イ)〜(ホ)から選択される原料を所望の含有量となるよう調整し、錠剤化することも可能である。
(イ)(A)液晶性樹脂およびポリアリーレンサルファイド樹脂から選択される少なくとも1種、好ましくは粉体状の(A)液晶性樹脂およびポリアリーレンサルファイド樹脂から選択される少なくとも1種
(ロ)(B)フィラー
(ハ)(A)または(B)成分を必須とする成分を溶融混練してなる組成物の粉体
上記方法のうち、工程が簡素である点で、上記(イ)、(ロ)の原料および必要に応じて(ハ)の原料を固相状態で均一ブレンドした混合物を打錠機あるいは圧縮ロールを有する成形機により錠剤(タブレット)化する方法が好ましい。
【0066】
上記(A)成分としては、ポリアリーレンサルファイド樹脂など粉末状で入手できる場合はそれを使用することができる。また、ペレットを常温あるいは冷凍粉砕することによって粉末を得ることもできる。冷凍粉砕は、ドライアイスあるいは液体窒素等で凍結させた後、一般的に知られている通常のハンマータイプ粉砕機、カッタータイプ粉砕機あるいは石臼型の粉砕機により行うことができる。本発明において用いる液晶性樹脂およびポリアリーレンサルファイドから選択される少なくとも一種の粉末としては、得られる錠剤間の組成の均一化および得られた錠剤のハンドリング性を良好にする点から、レーザー回折式粒度分布測定法に基づき測定した場合の粒子の最大長径の数平均粒子径が1000μm以下であることが好ましく、800μm以下であることがより好ましく、500μm以下であることがさらに好ましい。かかる粒径を有する粉末を得るには、粉砕などにより得られた粉体を適宜所望の大きさの篩を用いてふるい分けすればよい。
【0067】
本発明の樹脂組成物の錠剤形状としては、輸送時の形状保持性と成形時の易圧壊性を考慮した場合、例えば、円柱状、楕円柱状、円錐台形状、球状、楕円球状、鶏卵型形状、マセック型、円盤状、キュービック状、角柱状のものが挙げられる。なかでも加工時の計量安定性の点から円柱状、楕円柱状、円錐台形状、球状、楕円球状、鶏卵型形状、マセック型が好ましい。
【0068】
また、錠剤の錠剤サイズとしては、底面15mm直径以下×長さ20mm以下が好ましく、なかでも底面の直径または長さ(高さ)の最大値が15mm未満であることが好ましく、最小値が1mm以上であることが好ましい。なお、底面が円状でないものに関して、最大径、最小径の規定方法としては、外接円の最大直径で特定する場合、その最大直径が15mm未満、1mm以上であることが好ましく、更に好ましくは12mm以下、1.5mm以上であるのがよい。
【0069】
また、輸送時等の形状を安定に保つために、錠剤における打錠面の側面もしくは圧縮ロールでの圧縮面に対し、垂直に圧力をかけた時の圧縮破壊強度値(圧壊強度値)が、好ましくは5〜100N、より好ましくは15〜80Nである。好ましい圧壊強度値を得るための方法としては、例えば、原料組成によるところが最も大きく、エステル系、アミド系、燐系添加剤を添加することにより、あるいは錠剤化工程において、原料供給ポケットに均一に原料を供給する方法、圧縮ロールの回転数を下げ圧縮ロール上での材料への加圧時間を延ばす方法、ホッパー内にフィードスクリューを用い、そのスクリューによりロール圧縮前において効果的な脱気と予備圧縮する方法などにより、高い錠剤密度が得られ、高い圧壊強度が得られる。なお、圧壊強度値の測定は、ロードセルなどの歪ゲージの上に錠剤を置き、その上から圧子を低速(好ましくは0.1〜2.0mm/sec)で降下させ、錠剤の圧縮破壊時に歪ゲージが示す圧力を測定する方法を用い行うことができる。
【0070】
かかる方法を用いることにより、フィラーを高充填した樹脂組成物を得ることが可能となる。
【0071】
錠剤の形状保持性を向上させる観点から、以下の添加剤を添加することが好ましい。このような添加剤としては、脂肪酸の一価アルコールエステル(例えばモンタン酸エステル、ペンタエリスリトールモノステアレートなど)、脂肪酸金属塩、多塩基酸の脂肪酸エステル、多価アルコールの脂肪酸エステル、およびそれらの誘導体、エポキシ化合物、グリセリンの脂肪酸エステル、シリコーンレジン、フェノール系化合物、ホスフェート系化合物、ホスファイト系化合物、チオエーテル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、アミド基含有化合物、シアヌレート化合物およびその塩、脂肪酸の一価アルコールエステル、多塩基酸の一価アルコールエステル、多価アルコールの脂肪酸エステル、およびそれらの誘導体、グリセリンの脂肪酸エステル、シリコーンオイル、ホスファイト系化合物、リン酸エステル(例えばトリフェニルホスフェートなどの芳香族リン酸エステル、芳香族縮合リン酸エステルなど)等を添加することが可能である。中でも上記脂肪酸の一価アルコールエステル、リン酸エステルが好ましく用いられる。このような添加剤の添加量は、(A)ポリアリーレンサルファイド樹脂と(B)フィラーの合計量100重量部に対し、0.1〜10重量部、好ましくは0.1〜8重量部、より好ましくは0.3〜6重量部の範囲が選択される。
【0072】
本発明の樹脂組成物、錠剤は、ランプユニット部品して使用した場合、ランプの熱による溶融変形、壁の倒れ込みあるいは垂れ下がりを抑制するためにレーザーフラッシュ法で測定した熱伝導率が1W/mK以上である必要があり、好ましくは、2W/mK以上、さらに好ましくは、3W/mKである。また、上限については、フィラーの種類によっても変わり得るので、特に制限はないが、他の特性とのバランスを考慮した場合、150W/mKであることが好ましい。なお、上記熱伝導率の測定は、本発明の樹脂組成物、錠剤を溶融成形して得られる50mm×50mm×厚さ3mmの角形成形品を成形し、この成形品の両表面を深さ0.5mm切削し、レーザーフラッシュ法定数測定装置により測定される熱伝導率である。
【0073】
本発明の樹脂組成物、錠剤を成形するにあたっての成形方法は、通常の成形方法(射出成形、プレス成形、インジェクションプレス成形など)により、溶融成形することが可能である。
【0074】
本発明のランプユニット用樹脂組成物、錠剤は、ランプユニット部品、例えば、プロジェクタ装置のランプユニット部品(例えば支持台(ハウジング)、ランプカバー(フタ)、リフレクターなど)や車両用灯具の部品(例えばヘッドライト、フォグランプ、テールランプ、ハイマウントストップランプなどのリフレクター、ケース、放熱ソケット)をはじめとするランプユニット部品等に好適に用いられる。
【0075】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の骨子は以下の実施例にのみ限定されるものではない。
【0076】
参考例1 熱可塑性樹脂
(1)PPS(ポリフェニレンスルフィド)の調製
撹拌機および底に弁の付いた20リットルオートクレーブに、47%水硫化ナトリウム(三協化成)2383g(20.0モル)、96%水酸化ナトリウム831g(19.9モル)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)3960g(40.0モル)、およびイオン交換水3000gを仕込み、常圧で窒素を通じながら225℃まで約3時間かけて徐々に加熱し、水4200gおよびNMP80gを留出した後、反応容器を160℃に冷却した。仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たりの系内残存水分量は0.17モルであった。また、仕込みアルカリ金属硫化物1モル当たりの硫化水素の飛散量は0.021モルであった。
【0077】
次に、p−ジクロロベンゼン(シグマアルドリッチ)2942g(20.0モル)、NMP1515g(15.3モル)を加え、反応容器を窒素ガス下に密封した。その後、400rpmで撹拌しながら、200℃から227℃まで0.8℃/分の速度で昇温し、次いで274℃まで0.6℃/分の速度で昇温し、274℃で50分保持した後、282℃まで昇温した。オートクレーブ底部の抜き出しバルブを開放し、窒素で加圧しながら、内容物を撹拌機付き容器に15分かけてフラッシュし、250℃でしばらく撹拌して大半のNMPを除去し、ポリフェニレンサルファイド(PPS)と塩類を含む固形物を回収した。
【0078】
得られた固形物およびイオン交換水15120gを撹拌機付きオートクレーブに入れ、70℃で30分洗浄した後、ガラスフィルターで吸引濾過した。次いで70℃に加熱した17280gのイオン交換水をガラスフィルターに注ぎ込み、吸引濾過してケークを得た。
【0079】
得られたケークおよびイオン交換水11880gを、撹拌機付きオートクレーブに仕込み、オートクレーブ内部を窒素で置換した後、192℃まで昇温し、30分保持した。その後オートクレーブを冷却して内容物を取り出した。
【0080】
内容物をガラスフィルターで吸引濾過した後、これに70℃のイオン交換水17280gを注ぎ込み吸引濾過してケークを得た。得られたケークを80℃で熱風乾燥し、さらに120℃で24時間で真空乾燥することにより、乾燥PPSを得た。ついで以下の測定条件で重量平均分子量を測定した結果、得られたPPSは、ポリスチレン換算の重量平均分子量が20000であった。
・GPC測定条件
装置 : センシュー科学 SSC−7100
カラム名 : センシュー科学 GPC3506×1
溶離液 : 1−クロロナフタレン(1−CN)
検出器 : 示差屈折率検出器
検出器感度 : Range 8
検出器極性 : +
カラム温度 : 210℃
プレ恒温槽温度 : 250℃
ポンプ恒温槽温度 : 50℃
検出器温度 : 210℃
サンプル側流量 : 1.0mL/min
リファレンス側流量 : 1.0mL/min
試料注入量 : 300μL
検量線作成試料 : ポリスチレン。
【0081】
(2)LCP(液晶性ポリエステル)の調整
p−ヒドロキシ安息香酸995重量部、4,4’−ジヒドロキシビフェニル126重量部、テレフタル酸112重量部、固有粘度が約0.6dl/gのポリエチレンテレフタレ−ト216重量部及び無水酢酸960重量部を撹拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、室温から150℃まで昇温しながら3時間反応させ、150℃から250℃まで2時間で昇温し、250℃から320℃まで1.5時間で昇温させた後、320℃、1.5時間で0.5mmHg(67Pa)に減圧し、さらに約0.25時間反応させ重縮合を行った結果、芳香族オキシカルボニル単位80モル当量、芳香族ジオキシ単位7.5モル当量、エチレンジオキシ単位12.5モル当量、芳香族ジカルボン酸単位20モル当量からなる融点314℃、溶融粘度18Pa・s(測定条件;高化式フローテスターにて測定温度324℃、オリフィス0.5mm直径×10mm、ずり速度1,000(1/秒))ペレットを得た。さらに液体窒素で冷却しながらアトマイザー(ハンマーミル)に投入して冷凍粉砕し、JIS−K0069に基づく篩分け試験法により測定した数平均粒子径150μm粉末を得た。
【0082】
参考例2 フィラー
B−1:炭素繊維(CF)、MLD1000(繊維状フィラー、平均繊維長150μm、東レ社製)、熱伝導率3W/mK
熱伝導率は、フィラーをエポキシ系熱硬化性樹脂で固めたサンプルを用い、光交流法により熱伝導率を測定して作成したフィラーを充填量と熱伝導率の関係を示す検量線よりフィラー容量100%の場合の熱伝導率を算出し、レーザーフラッシュ法の数値に換算した値である。
B−2:炭素繊維(CF)、XN−100−01Z(繊維状フィラー、繊維長1000μm、日本グラファイトファイバー社製)、熱伝導率900W/mK
熱伝導率は、フィラー(同様の質を有し、かつ測定可能な形態を有するフィラー)をエポキシ系熱硬化性樹脂で固め、レーザーフラッシュ法により熱伝導率を測定し、また広角X線により測定したd002、Lcから求めたX線パラメータから検量線を求めておき、広角X線により測定した測定サンプルのd002とLcから上記検量線を用いてレーザーフラッシュ法の熱伝導率に換算した値である。B−3:グラファイト(CFW)、CFW50A(鱗片状フィラー、平均粒径50μm、中越黒鉛社製)200W/mK
熱伝導率は、フィラーをエポキシ系熱硬化性樹脂で固めたサンプルを用い、光交流法により熱伝導率を測定し、フィラー充填量と熱伝導率との関係を示す検量線よりフィラー100容量%の場合の熱伝導率を算出し、レーザーフラッシュ法の数値に換算した値である。
【0083】
なお、平均粒径はJIS−K0069に基づく篩分け試験法により測定した数平均である。
【0084】
参考例3 添加剤
C−1:“PX−200”(大八化学工業社製粉末状芳香族縮合リン酸エステル、CAS No. 139189−30−3)融点95℃(篩にて42メッシュパスしたものを使用)。
C−2:モンタン酸エステルワックス
“リコワックス”(R)(クラリアントジャパン社製)融点78℃(篩にて42メッシュパスしたものを使用)
実施例1〜3 比較例1〜4
参考例1の熱可塑性樹脂、参考例2に示したフィラーをリボンブレンダーで表1に示す量でブレンドし、3ホールストランドダイヘッド付きPCM30(2軸押出機;池貝鉄工社製)にて表1に示す樹脂温度で溶融混練を行い、ペレットを得た。ついで130℃の熱風オーブンで4時間乾燥した後、後述する評価を行った。
【0085】
実施例4〜7
参考例1の熱可塑性樹脂、参考例2に示したフィラーおよび参考例3の添加剤を表1に示す量でヘンシェルミキサーでブレンドし、自動原料供給フィーダーを備えた月島機械社製ロータリー打錠機を用いて常温タブレット化により、7mm直径×3mm長の円柱状のタブレット(錠剤型樹脂組成物)(最大値7mm、最小値3mm)を得た。ついで140℃の熱風乾燥機で3時間乾燥した後、以下に示す評価を行った。
【0086】
(1)熱伝導率
UH1000(80t)射出成形機(日精樹脂工業社製)を用い、表1の樹脂温度、金型温度の温度条件で、50mm×50mm×厚さ3mmの角形成形品(フィルムゲート)を成形し、この成形品の両表面を深さ0.5mm切削して厚さ2mmの試験片としたものを用いてレーザーフラッシュ法定数測定装置(リガク社製LF/TCM−FA8510B)により熱伝導率を測定した。
【0087】
(2)そり性(そり変形量)
射出成形機UH1000(日精樹脂工業社製)を用いて表1に示す樹脂温度、金型温度で天面縦100mm×天面横70mm×高さ70mm×成形品厚み1.5mmのコの字型成形品(前後には壁なし)を作成し、立ち壁の倒れ込み量を測定した。なお、測定方法は、立ち壁先端部内側の距離67mmを基準として測定した。
【0088】
(3)耐熱性
上記(2)で使用したものと同様の成形品を点灯した120WのUHPランプにかぶせ、成形品側面部分に風を当てて1時間保持した時の天面部分の状態を観察した。評価は、◎:変化なし、○:若干の表面荒れ、×:部分溶融、あるいは溶融垂れとした。
【0089】
実施例8、比較例5
実施例7および比較例1の組成物で実際にランプケースを作成し、120WのUHPタイプのランプを組み込み、1時間投影した。ランプ温度の上昇を防止するためにプロジェクタ筐体内部に取り付けられているサーモ式冷却ファンの回転数が比較例1で作成した成形品では1800rpmで制御されていたものが実施例7の組成物で作成した成形品では1000rpmと低速で制御され、高いランプの冷却効率が得られた。
【0090】
表1および実施例8の結果から明らかなように本発明のランプユニット部品用樹脂組成物、錠剤をランプユニット部品とすることにより、従来得られなかった熱伝導性、低そり性、耐熱性が得られることから、高輝度でかつ、薄型化、小型対応が可能となることがわかる。また、放熱特性が優れることから、冷却ファンの回転数低減を図ることが可能となるため、騒音対策や消費電力も大幅に低減可能となる。
【0091】
【表1】
【0092】
【発明の効果】
上述したように、本発明のランプユニット部品用樹脂組成物、錠剤は、従来得られなかった熱伝導性と低そり性および耐熱性が均衡して優れることから、従来不可能であったランプユニット用部品として極めて実用的に用いることができる。
Claims (5)
- 液晶性樹脂およびポリアリーレンサルファイド樹脂から選択される少なくとも1種(A)とフィラー(B)を含有してなり、レーザーフラッシュ法で測定した熱伝導率が1W/mK以上であることを特徴とするランプユニット部品用樹脂組成物。
- (A)および(B)の組成比が、(A)および(B)の合計量に対し、(A)成分2〜50重量%、(B)成分98〜50重量%であることを特徴とする請求項1記載のランプユニット部品用樹脂組成物。
- フィラー(B)の少なくとも一部あるいは全部が熱伝導率が20W/mK以上の熱伝導性フィラーであることを特徴とする請求項1または2記載のランプユニット部品用樹脂組成物。
- 液晶性樹脂およびポリアリーレンサルファイド樹脂から選択される少なくとも1種(A)とフィラー(B)の合計量に対し、(A)成分が2〜50重量%、(B)成分が98〜50重量%となるように下記(イ)〜(ハ)から選択した原料を圧縮成形してなり、レーザーフラッシュ法で測定した熱伝導率が1W/mK以上であるランプユニット部品用錠剤。
(イ)液晶性樹脂およびポリアリーレンサルファイド樹脂から選択される少なくとも1種(A)
(ロ)フィラー(B)
(ハ)(A)または(B)成分を必須とする成分を溶融混練してなる組成物の粉体 - 請求項1〜3いずれか記載のランプユニット部品用樹脂組成物または請求項4記載のランプユニット部品用錠剤を溶融成形してなるランプユニット部品。
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