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JP2005053792A - 圧縮成形製剤およびその製造方法 - Google Patents

圧縮成形製剤およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】口腔内や水性溶媒中で速やかな崩壊性を有し、服用時の使用感に優れ、かつ流通その他の取り扱いに必要な硬度が保たれた圧縮成型製剤とその製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、製剤用基剤にグルコノラクトンまたはプルランから選ばれる化合物の1種又は2種以上を添加してなる、速崩壊性の圧縮成型製剤およびその製造方法である。製剤用基剤としては糖類が好ましく、糖アルコールと水飴が特に好ましい。
圧縮成形製剤は、製剤用基剤その他の製剤化助剤を含む粒状物を、グルコノラクトンまたはプルランを水性溶媒に溶解した溶解液で造粒するか、またはこれをグルコノラクトンまたはプルランと共に水性溶媒で造粒し、得られた造粒物を圧縮成形して製造する。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医薬及び食品用の圧縮成型用組成物を利用した少量の水分でも速やかに崩壊する圧縮成型製剤およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
医薬品分野のほか、近年では健康食品や栄養食品の分野においても多くの商品が経口製剤として提供されているが、これら経口製剤の多くは、錠剤、カプセル剤、顆粒、粉末等の乾燥状態の製剤として提供されているのが現状である。しかし、このような経口製剤の多くは、高齢者、小児や嚥下困難な患者にとって服用しづらいものである。
【0003】
このため、服用を容易にするため、服用に当たっては水に懸濁し、シロップとすることのできるドライシロップ剤等も提供されているが、粉末または顆粒状の場合には、一回の服用量毎に包装してあっても、包装内への内容物の残留、開封時にその一部をこぼしてしまう等の恐れがあり、適正量を服用するには問題があった。
【0004】
最近、この服用の困難さの問題を解決する目的で、水なしでも服用でき口腔内で速やかに崩壊する錠剤ないしトローチ剤や、水に溶解して服用する場合にも速やかに水性溶媒に溶ける錠剤ないしトローチ剤の開発が進められている。
【0005】
例えば、上記のような錠剤ないしトローチ剤の製造方法として、粒子表面が湿潤する程度の水分を含む混合物を打錠する口腔内崩壊錠の製造方法(例えば、特許文献1参照)や、非晶質糖類を主体とし、低圧で圧縮成型した後、加湿下に錠剤を置いて湿潤させ、更に乾燥することにより得られる口腔内崩壊錠の製造方法(例えば、特許文献2、および3参照)などが知られている。また、糖類と同一質量の無機制酸剤を均一に分散させた懸濁液を噴霧乾燥して得られる組成物を利用した速崩壊性圧縮組成物(例えば、特許文献4参照)も知られている。更に、一定条件のもと、生理活性物質、糖類、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを組み合わせることによる口腔内速崩錠の製造方法(例えば、特許文献5参照)、結晶化した糖と非晶質化した糖を用いた口腔内速崩錠及びその製造方法(例えば、特許文献6参照)、メタケイ酸アルミン酸塩でコーティングした糖を用いた口腔内速崩錠(例えば、特許文献7参照)なども知られている。
【0006】
上記した従来技術では、水性溶媒中での速やかな崩壊性、及び携帯に必要な硬度が一応保たれた製剤が得られるものの、いずれも製造工程中における水分の取扱や、高湿度下での放置を必要とするなど、使用する生理活性成分との関係で安定性に問題を来す可能性があり、また、製造工程管理の点からも、必ずしも満足できるものではなかった。更に、無機制酸剤を利用する例では、無機制酸剤を多量に使用しなければならないことから、製造工程や消化管内のpHに影響を及ぼすことが懸念されていた。その上、従来技術での製剤の調製に当たっては、圧縮成型の際の圧力の調整を一定にする必要があり、製造条件の設定と操作が複雑となることがあった。更に、このような従来技術によっても、口腔内で崩壊した後の口当たりにざらつき感、粉のような感触が残るなど、服用時の使用感に更に改善の余地があった。
【0007】
【特許文献1】
特開平5−271054号公報
【特許文献2】
特開平11−12162号公報
【特許文献3】
特開平11−349475号公報
【特許文献4】
特開2000−86537号公報
【特許文献5】
特開2000−103731号公報
【特許文献6】
特開2002−154988号公報
【特許文献7】
特開2002−308760号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は、簡単な手段によって、口中や水性溶媒中での速やかな崩壊性を有しながら、しかも、服用時の使用感に優れ、かつ携帯に必要な硬度が保たれた、錠剤、トローチ剤等の圧縮成型製剤、およびかかる圧縮成型製剤を製造する技術の提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる従来技術の問題点を解決すべく検討した結果、錠剤やトローチ剤などの圧縮成型製剤にグルコノラクトンもしくはプルランの1種以上を含有させることにより、適度な強度と硬度を有して流通過程において損耗がなく、かつ、少量の水にも速やかに崩壊する圧縮成型物が得られること、更に、通常の方法による圧縮成型にも拘わらず、得られた圧縮成型製剤はある程度の硬度を保ちつつも少量の水にも速やかに崩壊するような崩壊性も兼ね備えたものであることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
即ち、本発明は、以下の内容をその要旨とするものである。
(1)グルコノラクトンまたはプルランから選ばれる化合物の1種又は2種以上を添加してなる、速崩壊性の圧縮成型製剤。
(2)製剤用基剤にグルコノラクトンまたはプルランから選ばれる化合物の1種又は2種以上を添加してなる、前記(1)記載の速崩壊性の圧縮成型製剤。
(3)製剤用基剤が糖類である、前記(1)または(2)記載の速崩壊性の圧縮成型製剤。
(4)グルコノラクトンまたはプルランから選ばれる化合物の含有量が、圧縮成型製剤に対して0.0001から0.1質量部であることを特徴とする、前記(1)ないし(3)のいずれかに記載の圧縮成形組成物。
(5)グルコノラクトンまたはプルランから選ばれる化合物の含有量が、製剤用基剤1質量部に対して0.0002から0.15質量部であることを特徴とする、前記(2)または(3)記載の速崩壊性の圧縮成型製剤。
(6)更に、生理活性物質を含有することを特徴とする、前記(1)ないし(5)のいずれか記載の速崩壊性の圧縮成型製剤。
(7)生理活性物質が、医薬活性成分であることを特徴とする、前記(6)記載の速崩壊性の圧縮成型製剤。
(8)製剤用基剤を含み更に必要に応じてその他の適当な製剤化助剤を含む粒状物を、グルコノラクトンもしくはプルランから選ばれた1種以上の化合物を水性溶媒に溶解した溶解液で造粒するか、または、製剤用基剤を含み更に必要に応じて他の適当な製剤化助剤を含む粒状物を、グルコノラクトンもしくはプルランから選ばれた1種以上の化合物と共に水性溶媒で造粒し、得られた造粒物を圧縮成形することを特徴とする、速崩壊性の圧縮成型製剤の製造方法。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明は、製剤用基剤にグルコノラクトンまたはプルランから選ばれる化合物の1種又は2種以上を添加し、さらに必要に応じて生理活性成分を加え、また更に必要に応じて製剤化助剤としてその他の種々の添加剤を添加した圧縮成型用組成物において、この圧縮成型用組成物を圧縮成形して得られる、少量の水分で短時間に崩壊することのできる、速崩壊性の圧縮成型製剤と、その製造方法である。
【0012】
本発明の圧縮成型製剤において用いられるグルコノラクトンは、ラクトン環の位置によって、γ−グルコノラクトンと、δ−グルコノラクトンがあるが、δ−グルコノラクトンが好ましい。また、本発明の圧縮成型製剤においてプルランはデンプンを原料とし、マルトトリオースが規則正しくα−1,6結合した天然多糖類である。
グルコノラクトンを使用する場合には、圧縮成形製剤1質量部に対して、0.0001〜0.1質量部であることが好ましく、0.001〜0.07質量部であることがより好ましく、0.003〜0.05質量部であることが更に好ましい。また、製剤用基剤1質量部に対して、0.0002〜0.15質量部であることが好ましく、0.001〜0.07質量部であることがより好ましく、0.003〜0.05質量部であることが更に好ましい。プルランを使用する場合には、圧縮成形製剤1質量部に対して、0.0001〜0.1質量部であることが好ましく、0.001〜0.05質量部であることがより好ましく、0.003〜0.03質量部であることが更に好ましい。また、製剤用基剤1質量部に対して、0.0002〜0.15質量部であることが好ましく、0.001〜0.07質量部であることがより好ましく、0.003〜0.05質量部であることが更に好ましい。グルコノラクトンとプルランを同時に使用する場合には、グルコノラクトン:プルランが、その質量比で0.1〜10:0.01〜5となるように配合することが好ましい。
【0013】
本発明の圧縮成型製剤において用いられる製剤用基剤は、錠剤やトローチ剤などの固形の成形製剤にするための基剤であり、その一部若しくはすべてが水に溶解する添加剤が含有されていればよく、通常賦形剤と呼ばれる添加剤であれば格段特定するものではない。これらのうちで本発明の目的のためには糖類が特に好ましい。また、ケイ酸化合物も好ましく用いることができる。
【0014】
本発明で用いられる糖類は、特に制約はなく種々の糖類が使用される。これらの糖類としては、例えば砂糖、澱粉糖、乳糖、蜂蜜、糖アルコールなどが挙げられ、これらは、その2種以上を適宜の割合で混合して用いてもよい。砂糖としては、例えば白糖、カップリングシュガー、フラクトオリゴ糖、パラチノースなどが挙げられる。澱粉糖としては、例えばブドウ糖、麦芽糖、粉飴、水飴、果糖などが挙げられる。乳糖としては、例えば乳糖、異性化乳糖(ラクチュロース)、還元乳糖(ラクチトール)などが挙げられる。蜂蜜としては、一般に食用として用いられる各種蜂蜜が挙げられる。糖アルコールとしては、例えばソルビトール、マンニトール、マルチトール、還元澱粉糖化物、キシリトール、還元パラチノース、エリスリトールなどが挙げられる。中でも糖アルコール類と、水飴が好ましく、糖アルコール類では、特にマンニトール、トレハロース、キシリトール、ソルビトールが好ましい。
【0015】
本発明で用いられるケイ酸化合物としては、ケイ酸もしくは、メタケイ酸のアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属塩が挙げられる。具体的にはケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムがあり、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムが好ましい。
【0016】
本発明の速崩壊性の圧縮成型製剤には、必要に応じて生理活性成分を加えることができる。生理活性成分としては、医薬活性成分、嗜好成分、栄養補給成分等が挙げられる。
この生理活性成分のうち、医薬活性成分としては、例えば、滋養強壮保健薬、解熱・鎮痛・消炎薬、向精神病薬、抗不安薬、抗うつ薬、催眠鎮静薬、鎮痙薬、胃腸薬、制酸剤、鎮咳去痰剤、歯科口腔用薬、抗ヒスタミン剤、アレルギー用剤、強心剤、不整脈用剤、利尿剤、血圧降下剤、血管収縮剤、冠血管拡張剤、末梢血管拡張剤、利胆剤、抗生物質、化学療法剤、糖尿病用剤、骨粗しょう症用剤、骨格筋弛緩薬などから選ばれた1種または2種以上の成分が用いられる。
【0017】
滋養強壮保健薬には、例えば、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE(酢酸d−α−トコフェロールなど)、ビタミンB(ジベンゾイルチアミン、フルスルチアミン塩酸塩など)、ビタミンB(酪酸リボフラビンなど)、ビタミンB(塩酸ピリドキシンなど)、ビタミンC(アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ナトリウムなど)、ビタミンB12(酢酸ヒドロキソコバラミンなど)などのビタミン;カルシウム、マグネシウム、鉄などのミネラル;タンパク;アミノ酸;オリゴ糖;生薬などが含まれる。
【0018】
解熱・鎮痛・消炎薬としては、例えば、アスピリン、アセトアミノフェン、エテンザミド、イブプロフェン、塩酸ジフェンヒドラミン、dl−マレイン酸クロルフェニラミン、リン酸ジヒドロコデイン、ノスカピン、塩酸メチルエフェドリン、塩酸フェニルプロパノールアミン、カフェイン、セラペプターゼ、塩化リゾチーム、トルフェナム酸、メフェナム酸、ジクロフェナクナトリウム、フルフェナム酸、サリチルアミド、アミノピリン、ケトプロフェン、インドメタシン、ブコローム、ペンタゾシン、トラネキサム酸などが挙げられる。
【0019】
向精神病薬としては、例えば、クロルプロマジン、レセルピンなどが挙げられる。抗不安薬としては、例えば、クロルジアゼポキシド、ジアゼパムなどが例示される。抗うつ薬としては、例えば、イミプラミン、マプロチリン、アンフェタミンなどが例示される。催眠鎮静薬としては、例えば、エスタゾラム、ニトラゼパム、ジアゼパム、フェノバルビタールナトリウム、トリアゾラム、ブロチゾラムなどが例示される。鎮痙薬には、例えば、臭化水素酸スコポラミン、塩酸ジフェンヒドラミン、塩酸パパベリンなどが含まれる。
【0020】
胃腸薬には、例えば、ジアスターゼ、含糖ペプシン、ロートエキス、リパーゼAP、ケイヒ油などの健胃消化剤;塩化ベルベリン、耐性乳酸菌、ビフィズス菌などの整腸剤;ドンペリドンなどの制吐剤などが含まれる。制酸剤としては、例えば、炭酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ヒドロタルサイト、沈降炭酸カルシウム、酸化マグネシウムなどが挙げられる。また、ゲファルナート、塩酸セトラキサート、テプレノン、ソファルコン、レバミピド、シメチジン、塩酸ラニチジン、ファモチジン、ニザチジン、オメプラゾール、ランソプラゾールなどの消化性潰瘍治療剤も挙げられる。更に、ピコスルファートナトリウム、センナエキス、ビサコジルなどの下剤も挙げられる。
【0021】
鎮咳去痰剤としては、例えば、塩酸クロペラスチン、臭化水素酸デキストロメトルファン、テオフィリン、グァヤコールスルホン酸カリウム、グアイフェネシンなどが挙げられる。歯科口腔用薬としては、例えば、オキシテトラサイクリン、トリアムシノロンアセトニド、塩酸クロルヘキシジン、リドカインなどが例示される。
【0022】
抗ヒスタミン剤としては、例えば、塩酸ジフェンヒドラミン、プロメタジン、塩酸イソチペンジル、dl−マレイン酸クロルフェニラミンなどが挙げられる。強心剤としては、例えば、塩酸エチレフリンなどが挙げられる。アレルギー用剤としては、例えば、オキサミド、トラニラスト、メキタジン、フマル酸ケトチフェン、塩酸エピナスチン、塩酸セチリジンなどが挙げられる。不整脈用剤としては、例えば、塩酸プロカインアミド、塩酸プロプラノロール、ピンドロールなどが含まれる。利尿剤としては、例えば、イソソルビド、フロセミドなどが挙げられる。血圧降下剤としては、例えば、塩酸デラプリル、カプトプリル、臭化ヘキサメトニウム、塩酸ヒドララジン、塩酸ラベタロール、メチルドーパなどが挙げられる。
【0023】
血管収縮剤としては、例えば、塩酸フェニレフリンなどが挙げられる。冠血管拡張剤としては、例えば、塩酸カルボクロメン、モルシドミン、塩酸ベラパミルなどが挙げられる。末梢血管拡張剤としては、例えば、シンナリジンなどが例示される。利胆剤としては、例えば、デヒドロコール酸、トレピブトンなどが例示される。
【0024】
抗生物質には、例えば、セファレキシン、アモキシシリン、塩酸ピブメシリナム、塩酸セフォチアムなどのセフェム系、ペネム系およびカルバペネム系抗生物質などが含まれる。化学療法剤としては、例えば、スルファメチゾール、チアゾスルホンなどが挙げられる。糖尿病用剤としては、例えば、トルブタミド、ボグリボーズなどが挙げられる。骨粗しょう症用剤としては、例えば、イプリフラボンなどが挙げられる。骨格筋弛緩薬としては、メトカルバモールなどが挙げられる。
【0025】
上記した各生理活性成分のうち、本発明の圧縮成型製剤において、好ましく配合される生理活性成分としては、例えば上述した各成分のうち、ビタミン、生薬、解熱・鎮痛・消炎薬、抗不安薬、催眠鎮静薬、鎮痙薬、胃腸薬、消化性潰瘍薬、鎮咳去痰剤、抗ヒスタミン剤、アレルギー用剤、血圧降下剤、糖尿病用剤、骨粗しょう症用剤、骨格筋弛緩薬などが挙げられる。これら活性成分は、一般に医薬、食品分野などで用いられる希釈剤などによって希釈されたものであってもよい。また、本発明の圧縮成型製剤中の生理活性成分の少なくとも一種が油状のものであってもよい。
【0026】
以上のようにして得られる本発明の圧縮成型製剤は、医薬品や食品分野でのトローチ剤や、錠剤等として使用され、この圧縮成型製剤の形状、用途は特に限定されるものではない。しかしながら、水中、特に少量の水分での速やかに崩壊することを目的とする圧縮成型製剤に特に好ましく使用することができる。即ち、この本発明の圧縮成型製剤は、少量の水分と接触して短時間で崩壊し、一般的には1〜60秒、好ましくは1〜30秒という短い時間で崩壊するという特徴を有する。
【0027】
本発明の圧縮成型製剤は、まず、圧縮成型用の粒状物を得てから調製する。圧縮成型用の粒状物は、単純に製剤用基剤に、生理活性物質とその他本発明の圧縮成型製剤に所望の成分を単に混合するだけでも得られるが、湿式造粒することが望ましい。湿式造粒にあたっては、製剤用基剤に、必要に応じて生理活性物質から選ばれる一種以上、およびその他の適当な製剤化助剤を含む粒状物を、グルコノラクトンもしくはプルランから選ばれた1種以上の化合物を水性溶媒に溶解した溶解液で造粒するか、グルコノラクトンもしくはプルランから選ばれた1種以上の化合物と共に水性溶媒で造粒することがよりのぞましい。また、グルコノラクトンもしくはプルランの1種以上の化合物を含む水性溶液中にその他の適当な製剤化助剤を混合してもよい。或いは、上記のようにして製剤用基剤とグルコノラクトンもしくはプルランの1種以上を含む粒状物を調製し、生理活性物質を別途添加した粒状物とし、これを圧縮成形してもよい。
また、湿式造粒に使用する水性溶媒には、使用する生理活性物質や、その他の製剤化助剤の種類によって、水混和性の有機溶媒を使用してもよい。水混和性の有機溶媒としては、エタノール、プロパノール等が好ましい。また、造粒方法については、一般に使用される方法であれば特に限定はないが、撹拌造粒、流動層造粒、転動造粒等が上げられ、特に流動層造粒が好ましい。
【0028】
このように得られた粒状物は常法によって打錠その他の成形方法によって圧縮成形され、本発明の圧縮成型製剤となる。この圧縮成形の際の、成形圧は、少量の水で、1〜60秒以内に崩壊する錠剤が得られる成形圧を適宜選択すればよいが、流通時の損耗などを考慮すると、1,000N〜20,000Nが好ましく、3,000N〜15,000Nがより好ましい。本発明の圧縮成形製剤は、打錠その他の通常の方法によって製造できるにもかかわらず、得られた成形品が適度な強度と硬度を有しており、輸送や保管中の取り扱いによって型崩れしたりしない。
【0029】
また、更に、本発明の圧縮成型製剤の製造に当たっては、本発明の効果に支障がない限り、上記の部分でその他の製剤化助剤として記載した、圧縮成型製剤の製造に一般に使用される種々の添加剤を含んでいても良い。
【0030】
このような製剤化助剤である添加剤として、例えば、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、矯味成分、香料並びに補助剤などが挙げられる。
【0031】
崩壊剤としては、例えば、コーンスターチやバレイショデンプンなどのデンプン、部分アルファー化澱粉、カルボキシメチルスターチナトリウム、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、ポリビニルアルコール、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルスターチなどが例示される。結合剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、カルメロースナトリウム、アルファー化澱粉、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム末、ゼラチン、プルランなどが挙げられる。増量剤としては、ショ糖、ブドウ糖、乳糖、マンニトール、マルトース、ソルビトール、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム等が挙げられる。
【0032】
矯味成分としては、例えば、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸などが挙げられる。
発泡剤としては、例えば、重曹などが挙げられる。人口甘味料としては、例えば、サッカリンナトリウム、グリチルリチン二カリウム、アスパルテーム、ステビア、ソーマチンなどが挙げられる。マスキング剤としては、例えば、エチルセルロース等の水不溶性高分子、メタアクリル酸メチル・メタアクリル酸ブチル・メタアクリル酸ジエチルアミノエチル・コポリマー等の抗唾液性胃溶性高分子などが挙げられる。
【0033】
香料としては、例えば、レモン、レモンライム、オレンジ、メントール、ハッカ油、バニリンなど、あるいはこれをデキストリンもしくはシクロデキストリンに吸着させた粉末香料などが挙げられる。滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ショ糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、タルク、ステアリン酸などが例示される。
【0034】
補助剤としては、着色剤、生理活性成分安定化剤、溶解補助剤等が挙げられる。例えば、着色剤としては、食用黄色5号、食用赤色3号、食用青色2号などの食用色素;食用レーキ色素;ベンガラなどが挙げられる。安定化剤又は溶解補助剤は、使用する生理活性成分によって異なるが、例えば、アスコルビン酸、トコフェロールなどの抗酸化剤、ポリソルベート80等の界面活性剤が挙げられる。
【0035】
【実施例】
次に実施例及び試験例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制約されるものではない。
製造例:製剤用基剤の造粒品の製造
メタケイ酸アルミン酸マグネシウム(商品名:ノイシリンFL、富士化学工業(株)製)の240gを精製水2,400gに懸濁させた。D−マンニトール(商品名:マンニットP、東和化成工業(株)製)の5,484gに対して、上記のノイシリンFL懸濁液2,400gを用い、流動層造粒機(FLO−5型流動層造粒機:フロイント産業(株)製)を用い製剤用基剤の造粒品を製造した。
【0036】
実施例1:グルコノラクトンを用いた圧縮成形製剤の製造
グルコノラクトン(商品名:グルクノδラクトン:藤沢製薬(株)製)15.32gを精製水306.4gに溶解した。このグルクノラクトン水溶液に、上記製造例で製造した製剤用基剤造粒品800gを加えて、流動層造粒機にて造粒を行った。得られた造粒物46.79gに、架橋性ポリビニルピロリドン(商品名:コリドンCL、クロスポビドン、BASF(株)製)2.92gと、ステアリン酸マグネシウム(ステアリン酸マグネシウム:日本油脂(株)製)0.29gを加えた。この顆粒を用い、打錠圧10,000Nでオイルプレスにて直径8.0mmの錠剤を製造した。
【0037】
実施例2:プルランを用いた圧縮成形製剤の製造
実施例1において、グルコノラクトン15.32gをプルラン微粉末(商品名:プルランPI−21、(株)林原製)15.32gとして、打錠圧を2500Nとした以外は実施例1と同一の条件で打錠を行い、直径8.0mmの錠剤を製造した。
【0038】
実施例3:グルコノラクトンとプルランを用いた圧縮成形製剤の製造
グルコノラクトン7.66g及びプルラン7.66gを精製水306.4gに溶解した。このグルクノラクトンとプルランの水溶液に、上記製造例で調製した製剤用基剤の造粒品800gを加えて、流動層造粒機にて造粒を行った。得られた造粒物46.79gにコリドンCL 2.92gと、ステアリン酸マグネシウム 0.29gを加えた。この顆粒を打錠圧15,000Nでオイルプレスにて打錠を行い、直径8.0mmの錠剤を製造した。
【0039】
比較例1:
実施例1のグルコノラクトン15.32gを、アルギン酸プロピレングリコールエステル(商品名:キミロイド、(株)キミカ製)15.32gとして、そのほかは実施例1と同一の条件に従って打錠を行い、直径8.0mmの錠剤を製造した。
【0040】
比較例2:
実施例1のグルコノラクトン15.32gを、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(商品名:アデカプルロニックF68、旭電化工業(株)製)15.32gとして、そのほかは実施例1と同一の条件に従って打錠を行い、直径8.0mmの錠剤を製造した。
【0041】
比較例3:
実施例1のグルコノラクトン15.32gを、デキストリン(商品名:デキストリン、松谷化学工業(株)製)15.32gとして、そのほかは実施例1と同一の条件に従って打錠を行い、直径8.0mmの錠剤を製造した。
【0042】
比較例4:
実施例1のグルコノラクトン15.32gを、水飴(商品名:水飴、日本食品化工(株)製)15.32gとして、そのほかは実施例1と同一の条件に従って打錠を行い、直径8.0mmの錠剤を製造した。
【0043】
試験例:
実施例1〜実施例3、および比較例1〜比較例4で製造した各錠剤を用いて、3名のパネラーによってその崩壊性等の評価を行なった。具体的には、各パネラーが試料の錠剤を口腔内に含み、その崩壊時間と口腔内における崩壊の様子を評価した。各パネラーの評価の平均の結果を表1に示す。
【0044】
【表1】
Figure 2005053792
【0045】
実施例4:
医薬活性成分としてファモチジン100gと乳糖(商品名:乳糖DMV200M:DMV(株)製)45gを2Lの精製水に、ヒドロキシプロピルセルロース(商品名:HPC−ssL、日本曹達(株)製)10.5gとともに溶解させた水溶液を用いて常法により造粒した。この造粒物にアクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマーエマルジョン(商品名:オイドラギットNE30D、ローム(株)製)46.4g、およびタルク(商品名:タルカンハヤシ、林化成(株)製)8.4gを精製水104gに懸濁させた溶液を用い、常法によってファモチジン含有顆粒を製した。このファモチジン含有顆粒6.089gを実施例1で得られた顆粒40.7gと共に、実施例1の方法により、打錠して錠剤を製造した。
【0046】
実施例5:
実施例4のファモチジン100gをランソプラゾール100gに代えて、更にアクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマーエマルジョンをメタアクリル酸コポリマーLD(商品名:オイドラギットL30D−55、ローム(株)製)に代え、他は実施例4と同様にして錠剤を製造した。
【0047】
実施例6:
実施例4のファモチジン100gをトリアゾラム100gに代えて、他は実施例4と同様にして錠剤を製造した。
【0048】
実施例7:
実施例1の造粒品を製する際に水飴を加える他は、実施例4に従って、錠剤を製した。
【0049】
実施例8:グルコノラクトンを用いた圧縮成形製剤の製造
グルコノラクトン(商品名:グルクノδラクトン:藤沢製薬(株)製)15.32gを、上記製造例で製造した製剤用基剤造粒品800gに加えた。更に、架橋性ポリビニルピロリドン(商品名:コリドンCL、クロスポビドン、BASF(株)製)50.9gと、ステアリン酸マグネシウム(ステアリン酸マグネシウム:日本油脂(株)製)5.1gを加え、常法を用い混合した。この顆粒を用い、打錠圧10,000Nでオイルプレスにて直径8.0mmの錠剤を製造した。
【0050】
実施例4ないし実施例8によって得られた錠剤はいずれも口腔内で60秒以内に崩壊し、口触りもなめらかであった。
【0051】
【発明の効果】
本発明の圧縮成形製剤は、少量の水分で速やかに溶解し、例えば、この圧縮成形製剤を口に含むと60秒以内に崩壊し、しかも崩壊した後の口腔内にざらつき感等の好ましくない感触が残留しない。しかも、この成形品は適度な強度と硬度を有しており、流通や保管の過程において形が崩れたりする恐れが少ない。

Claims (8)

  1. グルコノラクトンまたはプルランから選ばれる化合物の1種又は2種以上を添加してなる、速崩壊性の圧縮成型製剤。
  2. 製剤用基剤にグルコノラクトンまたはプルランから選ばれる化合物の1種又は2種以上を添加してなる、請求項1に記載の速崩壊性の圧縮成型製剤。
  3. 製剤用基剤が糖類である、請求項1または2に記載の速崩壊性の圧縮成型製剤。
  4. グルコノラクトンまたはプルランから選ばれる化合物の含有量が、圧縮成型製剤に対して0.0001から0.1質量部であることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の圧縮成形組成物。
  5. グルコノラクトンまたはプルランから選ばれる化合物の含有量が、製剤用基剤1質量部に対して0.0002から0.15質量部であることを特徴とする、請求項2または3に記載の速崩壊性の圧縮成型製剤。
  6. 更に、生理活性物質を含有することを特徴とする、請求項1ないし5のいずれかに記載の速崩壊性の圧縮成型製剤。
  7. 生理活性物質が、医薬活性成分であることを特徴とする、請求項6に記載の速崩壊性の圧縮成型製剤。
  8. 製剤用基剤を含み更に必要に応じてその他の製剤化助剤を含む粒状物を、グルコノラクトンもしくはプルランから選ばれた1種以上の化合物を水性溶媒に溶解した溶解液で造粒するか、または、製剤用基剤を含み更に必要に応じて他の製剤化助剤を含む粒状物を、グルコノラクトンもしくはプルランから選ばれた1種以上の化合物と共に水性溶媒で造粒し、得られた造粒物を圧縮成形することを特徴とする、速崩壊性の圧縮成型製剤の製造方法。
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