JP2005045981A - 三相交流負荷模擬装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電力系統の三相交流負荷と電気的に相似なアナログ回路を構成し、このアナログ回路にシミュレータ系統から電圧を印加すると共に電流を通流させて電力系統に発生する系統現象を模擬する三相交流負荷模擬装置に関する。負荷模擬装置20’が、複数の演算処理部を備えたディジタル演算装置21’と、シミュレータ系統から印加される電圧を検出する電圧検出器23と、ディジタル演算装置21’からの電流指令値に従って負荷電流を流す電流源24と、遮断器25とから構成され、模擬するべき三相交流負荷の機能を、ディジタル演算装置21’により複数の制御用パーツ216を組み合わせて構成した制御ブロック図にて実現し、この制御ブロック図に基づきディジタル演算装置21’の負荷演算プログラムを生成する。
【選択図】 図1
Description
ここで、図9、図10に示した従来技術は、何れも負荷模擬装置の一相分を表したものである。
このハイブリッドシミュレータでは、電力系統の基準周波数からの周波数偏差を演算すると共に、アナログシミュレータにより計測した電流、電圧のベクトルデータの前記周波数偏差に起因するベクトル回転を補正演算し、その結果の電流、電圧データに基づいてアナログシミュレータの状態量(等価アドミタンス量)を最小二乗法により演算して電力系統の時々刻々の状態を模擬するものである。
しかし、電力系統に存在する負荷は近年、電子機器等の普及により複雑な特性を持つ傾向にあり、これらの多様な負荷特性を模擬したい場合には、その都度、プログラムを変更する必要があり、多大な労力を要することになる。
更に、実際の負荷がアナログ回路と一定の演算周期をもったディジタル形の制御回路とを組み合わせたような特性を有する場合、正確な負荷模擬を行うためには、1個の演算処理部211では実現が困難であった。
この結果、負荷模擬装置を多数台設置したようなアナログシミュレータによる解析ケースでは、数%以下の高精度なシミュレーション結果が要求されるシステムでは無視できない負荷電流誤差を生じていた。
特許文献2に記載された負荷モデル、特許文献3,4に記載された三相三相電子的負荷モデルは、あくまで絶縁変圧器に起因する誤差の補償やCPUによる演算遅れ、電圧の過渡的変動を考慮したものであり、負荷模擬装置構成機器の入出力ゲイン誤差や入出力遅延時間による位相誤差等の補正、更には負荷特性に応じた適正な演算周期等まで考慮したものではない。
この負荷模擬装置が、複数の演算処理部を備えたディジタル演算装置と、前記シミュレータ系統から印加される電圧を検出する電圧検出器と、前記ディジタル演算装置からの電流指令値に従って負荷電流を流すための電流源と、この電流源と前記シミュレータ系統との間に接続された遮断器とから構成され、
模擬するべき三相交流負荷の機能を、前記ディジタル演算装置により複数の制御用パーツを組み合わせて構成した制御ブロック図により実現し、この制御ブロック図に基づいて、前記ディジタル演算装置により実行される負荷演算プログラムを生成するものである。
前記ディジタル演算装置内の複数の演算処理部の演算周期を異ならせ、これらの演算処理部により演算周期の異なる負荷演算を可能にしたものである。
負荷模擬装置内に存在する誤差分のコンダクタンス及びサセプタンスと、負荷模擬装置と前記シミュレータ系統との接続端子から負荷模擬装置側を見て測定したコンダクタンス及びサセプタンスと、前記遮断器が有する抵抗値と、前記電圧検出器による検出電圧とを用いて、構成機器の入出力遅延時間や入出力ゲイン誤差を補正した電流指令値を生成するものである。
請求項2の発明によれば、複数の演算処理部を用いることで演算周期の異なる負荷模擬を可能にし、効率的なリアルタイム演算を実現することができる。
請求項3の発明によれば、構成機器の入出力遅延時間や入出力ゲイン誤差等に起因する負荷電流の誤差を補正でき、高精度な負荷模擬装置を実現することが可能である。
図1は、この実施形態に係る負荷模擬装置の一相分を示す構成図であり、図10と同一の構成要素には同一の参照符号を付して説明を省略し、以下では異なる部分を中心に説明する。
ディジタル演算装置21’は、端末215が接続され、かつCPUが実装されたCPUボード214と、演算周期が異なる例えば4個の演算処理部としてのDSP 211A〜211D及び共有メモリ211Mを有する演算処理装置211’と、A/D変換部212及びD/A変換部213とから構成され、A/D変換部212には電圧検出器23により検出されたシミュレータ系統からの印加電圧v(t)が入力され、D/A変換部213から出力される負荷電流指令値としての瞬時電流指令値i(t)が電流源24に入力されている。なお、4個の演算処理部はCPUであっても良い。
この汎用制御用ソフトウェアには、図2に示したような微分、積分、乗算、sin関数等の各種演算要素や、非線形要素、不感帯要素、遅延要素、スイッチ等の制御用パーツ216が各種用意されており、端末215からの入力操作によってこれらの制御用パーツ216を組み合わせることにより、本装置が模擬するべき負荷の機能を、図3のように視覚的に把握が容易な制御ブロック図(負荷演算ブロック図)によって表現可能となっている。
更に、この機械語プログラムを、CPUボード214上のCPUから複数個のDSP 211A〜211Dに対してダウンロードすることも可能であり、各DSP 211A〜211Dはダウンロードしたプログラムを実行して所定の負荷演算を行うようになっている。
図4は、上記プログラムによる個別演算周期の設定画面を示しており、各DSP 211A〜211D(画面上のDSP−A〜DSP−D)に設定される個別の演算周期及びその実演算周期(実処理時間)が表示されるようになっている。
また、演算周期を個別に設定可能とすれば、演算周期の長いDSP(例えばDSP−C,DSP−D)では、最も演算周期が短いDSP(例えばDSP−A)に合わせて短時間で演算を終了させる必要がなくなるため、より多くの負荷演算を可能にしてハードウェア資源を有効に利用することが可能になる。
しかし、負荷模擬装置20’の各構成機器は実際にはそれぞれ相当の誤差を有しており、これらを組み合わせた場合には、シミュレータの如く高精度(2%程度)が要求される装置に適応した演算精度、模擬精度を得ることはできない。
そこで、本実施形態では、以下のようにして数式1を補正し、最終的に後述する数式21を得てこの数式21により瞬時電流指令値i(t)を生成することとした。
最初に負荷模擬装置20’の各構成機器の入出力遅延時間について着目し、これをまとめて補正する方法について述べる。
まず、数式1に示した瞬時電流指令値i(t)を、実数部Ir及び虚数部IiからなるベクトルIk(なお、本文において、ベクトルを示すドット“・”は便宜上、省略する。)により以下のように表記する。
これらの電流ベクトルIm,Ik,Inの関係を図示すると、図5のようになる。
一方、数式2は、数式1から数式4のように表すことができる。
まず、遅れ位相θを進み位相θにすればよいことから、θ分だけ進相させた設定すべき電流ベクトルInは、次式で表される。
次に、負荷模擬装置20’の各構成機器の入出力ゲイン誤差を補正する方法について述べる。
図6は、図1に示した負荷模擬装置20’に基づいて構成された入出力ゲイン誤差を補正するための具体的な等価回路を示している。
しかし、誤差分r,Gx,Bxが負荷模擬装置20’内に存在するため、実際に電流源24に対して設定する負荷量相当分のコンダクタンスGs及びサセプタンスBsは、GL,BLとは異なる値になるべきである。このため、以下ではGs,BsとGL,BLとの関係を求める。
ただし、負荷模擬装置20’に使用される各構成機器によって、Gx,Bx,rの値は異なってくる。
前述した数式9による入出力遅延時間による誤差補正の演算式に、数式19,20による入出力ゲイン誤差を補正するための演算式を代入すれば、負荷模擬装置20’が有する誤差を補正した電流指令値を得ることができる。
すなわち、数式9,19,20により、検出した瞬時電圧v(t)と電流指令値i(t)との関係を改めて記すと、数式21のようになる。なお、この数式21におけるr,Gx,Bx,K,Sを、以下では誤差補正定数というものとする。
数式21において、未知数すなわち誤差補正定数r,Gx,Bx,K,Sを求める方法を以下に具体的に述べる。
(a)Gx,Bx,rの求め方
図6において、電流源24に対する電流指令値、言い換えればGs,Bsを0[pu]に設定すると、端子a−a’からディジタル演算装置21’側を見たインピーダンスは無限大(開放)とみなせる。
従って、端子a−a’を開放すると、数式19,20から次式が得られる。
すなわち、図6のGs,Bs=0[pu]に設定したときのP,Qをディジタルパワーメータ33等の測定器により測定すれば、GL,BLを求めることができ、これらのGL,BLと前記rとを用いて数式22,23からGx,Bxを求めることができる。
なお、測定したP,Q,|V|とGL,BLとの関係は、次式のとおりである。
数式1の位相補正を行っていない瞬時電流i(t)を計算する式において、Gs,Bsをディジタル演算装置21’のソフトウェア内で固定値に設定すると、実際に測定されるGL,BLは、数式7から以下のように求めることができる。
ただし、測定されたGL,BLには回路中に存在するGx,Bxの値が含まれることから、前述したGx,Bxを用いて、K,Sを次式により求める。
なお、上記の演算は、演算処理装置211’内の何れかのDSPを用いて実行すれば良い。
この実施形態によれば、有効電力Pの設定値を1[pu]に設定した時に1アームにつき25[mA]流れるが、誤差補正により図8の相対誤差は図7の約1/3程度となり、高精度な負荷模擬装置を実現できることが立証されている。
21’:ディジタル演算装置
23:電圧検出器
24:電流源
25:遮断器
211’:演算処理装置
211A,211B,211C,211D:DSP(演算処理部)
212:A/D変換部
213:D/A変換部
214:CPUボード
215:端末
216:制御用パーツ
31:無限大電源
32:リアクトル
33:ディジタルパワーメータ
Claims (3)
- 電力系統の三相交流負荷と電気的に相似なアナログ回路を構成し、解析対象である電力系統を模擬したシミュレータ系統から前記アナログ回路に電圧を印加すると共に電流を通流させて電力系統に発生する系統現象をシミュレーションするようにしたアナログシミュレータ用の三相交流負荷模擬装置において、
この負荷模擬装置が、複数の演算処理部を備えたディジタル演算装置と、前記シミュレータ系統から印加される電圧を検出する電圧検出器と、前記ディジタル演算装置からの電流指令値に従って負荷電流を流すための電流源と、この電流源と前記シミュレータ系統との間に接続された遮断器とから構成され、
模擬するべき三相交流負荷の機能を、前記ディジタル演算装置により複数の制御用パーツを組み合わせて構成した制御ブロック図により実現し、この制御ブロック図に基づいて、前記ディジタル演算装置により実行される負荷演算プログラムを生成することを特徴とする三相交流負荷模擬装置。 - 請求項1に記載した三相交流負荷模擬装置において、
前記ディジタル演算装置内の複数の演算処理部の演算周期を異ならせ、これらの演算処理部により演算周期の異なる負荷演算を可能にしたことを特徴とする三相交流負荷模擬装置。 - 請求項1または2に記載した三相交流負荷模擬装置において、
負荷模擬装置内に存在する誤差分のコンダクタンス及びサセプタンスと、負荷模擬装置と前記シミュレータ系統との接続端子から負荷模擬装置側を見て測定したコンダクタンス及びサセプタンスと、前記遮断器が有する抵抗値と、前記電圧検出器による検出電圧とを用いて、構成機器の入出力遅延時間や入出力ゲイン誤差を補正した電流指令値を生成することを特徴とする三相交流負荷模擬装置。
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