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JP2005041817A - クルクミノイド配糖体、及びその製造方法 - Google Patents

クルクミノイド配糖体、及びその製造方法 Download PDF

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JP2005041817A JP2003277991A JP2003277991A JP2005041817A JP 2005041817 A JP2005041817 A JP 2005041817A JP 2003277991 A JP2003277991 A JP 2003277991A JP 2003277991 A JP2003277991 A JP 2003277991A JP 2005041817 A JP2005041817 A JP 2005041817A
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Abstract

【課題】 新規なクルクミノイド配糖体、該配糖体を含む色素組成物、該クルクミノイド配糖体などを含むアレルギー治療用医薬組成物、及び効率的で、多様なクルクミノイド配糖体を製造できる方法を提供する。
【解決手段】 式(I)のクルクミノイド配糖体、及びその塩:
【化1】
Figure 2005041817

(式中、R1がメトキシ基の場合、R3はメトキシ基又は水素であり、R1が水素の場合、R3は水素であり、R2は水素、糖残基又はアセチル化糖残基であり、かつR4は糖残基又はアセチル化糖残基であり、R5及びR6は酸素官能基、又は水素である。);及び
フェノール性水酸基を有するベンズアルデヒド化合物、及びアセチルアセトン-B2O3複合体を反応させること、及び該反応生成物をアルコール溶媒の存在下で脱ホウ素処理することを含む、クルクミノイド配糖体の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、新規なクルクミノイド配糖体、及びその製造方法に関するものである。さらに詳細に述べると、本発明は、新規なクルクミノイド配糖体、及びテトラヒドロクルクミノイド配糖体、並びにクルクミン配糖体を含む、広範囲のクルクミノイド配糖体を製造する方法に関するものである。
クルクミノイドの一種で、ターメリックに含まれるクルクミンは、古くから黄色染料、利胆薬などとして用いられている。また、クルクミノイドの中には活性酸素除去作用(非特許文献2)、抗炎症作用(非特許文献3)、コレステロール低下(非特許文献4及び5)、抗腫瘍(非特許文献6及び7)、抗アレルギー作用(非特許文献8)、及び殺線虫作用(非特許文献10)などを有するものがある。しかし、クルクミノイドは一般に水に難溶性であるため、その用途は限られ、特に医薬としての利用が制限されていた。
該クルクミノイドは、酸化ホウ素、トリアルコキシホウ素、及び有機アミン触媒の存在下で、所定の2,4―ジケトンと芳香族アルデヒドを反応させて合成することができるが(非特許文献9)、該クルクミノイドを水溶性にするため、その水酸基に糖を付けた配糖体を得ようとすると、該従来法では、ホウ素化合物の除去、及び有機アミノの中和に塩酸を用いているので、その糖残基が切断されるという問題があった。
また、クルクミンとアセトブロモグルコースとを、ベンジルトリエチルアンモニウムブロマイド存在下で反応させ、次いで脱アセチル化することで、クルクミンジグルコシド、及びクルクミンモノグルコシドを製造する方法が開発されたが、その収率はかなり低いものであった(特許文献1)。また、該方法は、クルクミンに直接アセトブロモグルコースを反応させる方法であるため、他のクルクミノイドの配糖体製造に利用することは困難であった。
国際公開第02/02582号パンフレット(Hergenhahn M.et.al) 浅井明らの研究論文;食品黄色色素クルクミノイドの吸収代謝と体脂肪蓄積抑制作用, FOODS & FOOD INGREDIENTS JOURNAL OF JAPAN, Vol.208, No.2, pp95-105 (2003) Sreejayan A. M., Rao M. N., J. Pharm. Pharmacol., 46, 1013-1016 (1994). Srimal R. C., Dhawan B. N., J. Pharm. Pharmacol., 25, 447-452 (1973) Rao D. S., Sekhara N. C., Satyanarayana M. N., Srinivasan M., J. Nutr., 100, 1307-1316 (1970). Babu P. S., Srinivasan K., Mol. Cell. Biochem., 166 169-175 (1997). Samaha H. S., Kellof G. J., Steele V., Rao C. V., Reddy B. S., Cancer Res., 57, 1301-1305 (1997). Huang M. T., Lou Y. R., Newmark H. L., Reuhi K. R., Conney A. H., Cancer Res., 54, 5841-5847 (1994). Yano S. et.al. Natural Medicines (Tokyo), 54, 325-329 (2000). Roughley P. J., Whiting D. A., J. C. S. Perkin Trans I, 2379-2383 (1973) Kiuchi F., Goto Y., Sugimoto N., Akao N., Kondo K., Tsuda Y., Chem. Pharm. Bull., 41(9), 1640-1646 (1993).
本発明は、これまで製造できなかった新規なクルクミノイド配糖体、及びテトラヒドロクルクミノイド配糖体を提供し、かつクルクミン配糖体を含む、広範囲のクルクミノイド配糖体を効率的に製造することができる方法を提供することを目的とする。
本発明者らが上記課題を解決するために研究を行った結果、配糖体化した芳香族アルデヒド化合物を出発原料としてアセチルアセトン−酸化ホウ素錯体と縮合してクルクミノイド配糖体とし、かつ反応生成物を低級アルコールと加熱することでホウ素を除去することにより、広範囲のクルクミノイド配糖体を効率的に製造することができるという知見を得た。本発明は、該知見に基づき完成されたものである。
したがって、本発明は、下記式(I)のクルクミノイド配糖体、又はその生理学的に許容される塩を提供する:
Figure 2005041817
(式中、R1がメトキシ基の場合、R3はメトキシ基又は水素であり、R1が水素の場合、R3は水素であり、R2は水素、糖残基又はアセチル化糖残基であり、かつR4は糖残基又はアセチル化糖残基であり、R5及びR6は酸素官能基、又は水素である。);
また、本発明は、下記式(II)のテトラヒドロクルクミノイド配糖体、又がその生理学的に許容される塩を提供する:
Figure 2005041817
(式中、R7がメトキシ基の場合、R9及びR11はともにメトキシ基であるか、又は水素であり、R7が水素の場合、R9及びR11はともに水素であり、R8は水素又は糖残基であり、かつR10は糖残基である。);
さらに本発明は、フェノール性水酸基を有するベンズアルデヒド化合物、及びアセチルアセトン−B2O3複合体を反応させること、及び該反応生成物をアルコール溶媒の存在下で脱ホウ素処理することを含む、クルクミノイド配糖体の製造方法を提供する。
さらに、本発明は、フェノール性水酸基を有するベンズアルデヒド化合物として、下記式(III)のベンズアルデヒド化合物、又は下記式(III)及び(IV)のベンズアルデヒド化合物の混合物を、アセチルアセトン-B2O3複合体と反応させること、及び該反応生成物をアルコール溶媒の存在下で脱ホウ素処理することを含む、クルクミノイド配糖体の製造方法を提供する。
Figure 2005041817
(式中、R12は水素、酸素官能基、アミノ基、アミド基又はハロゲンであり、かつR13は糖残基であり、かつR14は水素、酸素官能基、アミノ基、アミド基又はハロゲンである。);
Figure 2005041817
(式中、R15及びR16はそれぞれ独立に水素、酸素官能基、アミノ基、アミド基又はハロゲンである。);
さらに本発明は、前記クルクミノイド配糖体、及び該クルクミノイド配糖体の塩からなる群から選ばれた、少なくとも1種を含む、色素組成物を提供する。
さらに本発明は、前記クルクミノイド配糖体、前記テトラヒドロクルクミノイド配糖体、及び該配糖体の生理的に許容し得る塩からなる群から選ばれた、少なくとも1種を含む、医薬組成物を提供する。
本明細書で用いる用語「オリゴ糖残基」とは、2〜20個の単糖が重合した糖分子の残基をいう。
本発明で用いる用語「アセチル化糖残基」とは、単糖類又はオリゴ糖のOH基の水素原子がアセチル基と置き換わった基をいい、基礎となる単糖類又はオリゴ糖は、通常の糖残基と同じである。
また、本明細書で用いる用語「クルクミノイド」とは、クルクミン(*1)、デメトキシクルクミン(*2)、ビスデメトキシクルクミン(*3) 及びこれらの類縁体を意味する。
*1) 1,7-ビス-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-1,6-ヘプタジエン-3,5-ジオン
*2) 1-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-7-(4- ヒロドキシフェニル)-1,6-ヘプタジエン-3,5-ジオン
*3) 1,7-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,6-ヘプタジエン-3.5-ジオン
本発明は、これまで製造できなかった新規なクルクミノイド配糖体、及びテトラヒドロクルクミノイド配糖体を提供し、かつ本発明の製造方法は、クルクミン配糖体を含む、広範囲のクルクミノイド配糖体を効率的に製造するという効果を有する。
発明を実施するための形態
本発明のクルクミノイド配糖体を表す式(I)において、R2及びR5の糖残基は単糖残基、又はオリゴ糖残基を表す。該単糖残基には、例えば、ヘキソース、又はペントースの単糖残基がある。該ヘキソースの残基には、グルコシル基、ガラクトシル基、マンノシル基、及びフラクトシル基などがあり、該ペントースの残基には、リキソシル基、キシロシル基、アラビノシル基、及びリボシル基などがある。また、オリゴ糖として好ましいのは、マルトース及びラクトースなどである。
なお、本発明のクルクミノイド配糖体の具体的な例を挙げると次のものがある。
ジグルコシルクルクミンオクタアセテート
ジグルコシル-ビス-デメトキシクルクミンオクタアセテート
ジガラクトシルクルクミンオクタアセテート
モノグルコシルクルクミンテトラアセテート
モノグルコシル-ビス-デメトキシクルクミンテトラアセテート
モノガラクトシルクルクミンテトラアセテート
ジグルコシルクルクミン
ジグルコシル-ビス-デメトキシクルクミン
ジガラクトシルクルクミン
モノグルコシルクルクミン
モノグルコシル-ビス-デメトキシクルクミン
モノガラクトシルクルクミン
本発明のテトラヒドロクルクミノイド配糖体を表す式(II)において、R8及びR10の糖残基には単糖残基、又はオリゴ糖残基がある。該単糖残基には、例えば、ヘキソース、又はペントースの単糖残基がある。該ヘキソースの残基には、グルコシル基、ガラクトシル基、マンノシル基、及びフラクトシル基などがあり、該ペントースの残基には、リキソシル基、キシロシル基、アラビノシル基、及びリボシル基などがある。また、オリゴ糖として好ましいのは、マルトース及びラクトースなどである。
なお、本発明の具体的なテトラヒドロクルクミノイド配糖体には次のものがある。
ジグルコシルテトラヒドロクルクミン
モノグルコシルテトラヒドロクルクミン
なお、本発明のクルクミノイド配糖体、及びテトラヒドロクルクミノイド配糖体は、塩基化合物、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化マグネシウムなどを用いて塩を形成することが出来る。なお、塩の形成は常法により行うことができる。
本発明は、前記クルクミノイド配糖体から選ばれた、少なくとも1種を含む色素組成物を提供する。
本発明の色素組成物を調製する場合、クルクミノイド配糖体を、粉体で粉砕し、または水溶液にして混合した後、乾燥して、顆粒、微粉など所望の形態にする。また、本発明の色素組成物は、主成分であるクルクミノイド配糖体の特性を損なわない範囲で、他の成分を含有してもよい。
従来、クルクミノイド化合物系黄色色素は水難溶性であったが、本発明の色素組成物が含むクルクミノイド配糖体は水溶性であり、多くの用途に制限なく使用することができる。例えば、飲食品、化粧品、香料、医薬品などの着色である。
本発明の色素組成物を用いることができる飲食品の例を挙げると、無果汁飲料、果汁入り飲料、乳酸菌飲料、茶類飲料、コーヒー飲料、豆乳飲料、スープ類等の飲料類;アイスクリーム、シャーベット、みぞれなど冷菓類;プリン、ババロア、ゼリー、ヨーグルトなどのデザート食品類及びその他のインスタント食品などがある。これら飲食品 に対する、本発明の色素組成物の添加量は、特に制限されるものではなく、該飲食品の種類に応じて選択することができるが、一般的には、クルクミノイド配糖体が、該飲食品の0.005〜1.0重量%となるよう添加するのが好ましい。
また、該化粧品の例を挙げると、頭髪用、顔用、皮膚用の化粧品や香水、コロンなどの香料製品、マウスウオッシュ、歯磨きなどの口腔用製品がある。本発明の色素組成物添加量も特に制限する必要はなく、該化粧品の種類に応じて選択することができるが、一般的には化粧品の0.1〜1.0重量%となるよう添加するのが好ましい。
本発明のクルクミノイド配糖体、及びテトラヒドロクルクミノイド配糖体を、医薬組成物、例えば、アレルギー治療用医薬組成物として用いる場合、経口投与又は非経口投与することができる。経口投与する場合、硬カプセル剤、軟カプセル剤、錠剤、顆粒剤、顆粒剤、散剤、細粒剤、丸剤、トローチ錠、有効成分持続的開放剤、エリキシル剤、乳剤、シロップ剤、液剤、懸濁剤などの形態で調剤することができる。非経口投与する場合には、点滴、静脈注射、皮下注射、筋肉注射などの注射による投与、軟膏及び経皮剤など外用剤による経皮的投与、油脂製坐剤、水溶性坐剤、座剤による直腸投与、点眼剤などの形態とすることができる。また、該調剤は、製薬分野における通常の担体を用い、常法により容易に行なうことができる。
本発明の医薬組成物を経口投与形態に調剤する場合、汎用されている担体などの製剤用成分、例えば、充填剤、増量剤、結合剤、崩壊剤、崩壊抑制剤、緩衝剤、等張化剤、乳化剤、分散剤、安定化剤、コーティング剤、界面活性剤、吸収促進剤、保湿剤、湿潤剤、吸着剤、滑沢剤及び賦形剤などを用いることができる。また、必要に応じて着色剤、保存剤、香料、風味剤、甘味剤などの添加剤を用いてもよい。
具体的な例を挙げると、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、尿素、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、ケイ酸などの賦形剤、水、エタノール、単シロツプ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、セラツク、メチルセルロース、リン酸カリウム、ポリビニルピロリドンなどの結合剤、乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、デンプン、乳糖などの崩壊剤、白糖、ステアリン酸、カカオバター、水素添加油などの崩壊抑制剤、第4級アンモニウム塩、ラウリル硫酸ナトリウムなどの吸収促進剤、グリセリン、デンプンなどの保湿剤、デンプン、乳糖、カオリン、ベントナイト、コロイド状ケイ酸等の吸着剤、精製タルク、ステアリン酸塩等の滑沢剤などである。
また、本発明のクルクミノイド配糖体の投与量は、患者の年齢、体重、症状、投与形態、及び処置期間などによって変わるが、該クルクミノイド配糖体として0.01〜1000mg/kg体重/日、好ましくは1.00〜500mg/kg体重/日となるように、1日に1回から複数回に分けて投与する。
本発明のアレルギー治療用医薬組成物を外用剤の形態にする場合、ローション、懸濁液、乳液などの液状製剤、ゲル剤、クリーム剤、軟膏などのペースト状製剤として、患部、又は必要部位に塗布することができる。適用すべき剤形は、患者の年齢、性別、体質、症状、処置時期などに応じて適宜選択することができる。
また、当該外用剤は、本発明のクルクミノイド配糖体、テトラヒドロクルクミノイド配糖体、及び/又はその生理学的に許容し得る塩を、通常の製剤成分とを適宜配合して、常法により製造することができる。
本発明で用いることができる製剤成分の例を挙げると、精製水、リン酸緩衝液など緩衝液、生理的食塩水、リンゲル溶液、ロック溶液などの生理的塩類溶液、ラノリン、ミンク油、馬油、アーモンド油、ヒマシ油、ホホバ油、メドフォーム油、オリーブ油、ごま油、カカオバターなどの動植物油、鉱油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、イソオクタン酸セトステアリル、イソステアリン酸アルキルエステルなどの合成油、コレステリン、ラノリンアルコール、フィトステロールなどのステロール類、固形パラフィン、セレシン、鯨ロウ、ミツロウ、カルナウバロウなどワックス類、流動パラフィン、スクアランなどの炭化水素油、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸などの高級脂肪酸類、エタノールなどの低級アルコール類、ラウリルアルコール、セタノール、セトステアリルアルコール、オレイルアルコールなどの高級アルコール類、グリセリン、ソルビット、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコールなどの多価アルコール類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸塩、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などの界面活性剤類、ヒアルロン酸塩、ピロリドンカルボン酸塩、加水分解コラーゲン液などの保湿剤、海藻エキス、カラギーナン、キサンタンガム、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマーなどの増粘剤類などがある。
また必要に応じて各種添加剤を加えることができる。該添加剤の例を挙げると、オキシ安息香酸アルキルエステル類、塩化セチルビリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、フェノキシエタノール、トリクロサン、トリクロロカルバニリド、ジンクピリチオンなどの防腐、殺菌剤、BHT、BHA、ビタミンA、C、E、及びそれらの誘導体などの酸化防止剤、ベンゾフェノン誘導体、パラアミノ安息香酸誘導体、メトキシケイ皮酸誘導体、ウロカニン酸などの紫外線吸収剤、カチオン化デキストランなど等のカチオンリンス剤類、タルク、カオリン、マイカ、ベントナイト、雲母、雲母チタン、酸化チタン、ベンガラ、酸化鉄などの顔料、香料などがある。
当該外用剤に含まれるクルクミノイド配糖体などの濃度は、投与形態、疾病の種類、程度、目的とする投与量などによって変わるが、一般的には外用薬の全重量に対して0.1〜90%、好ましくは1〜80%である。
また、当該外用剤により投与する前記配糖体の量は、患者の年齢、体重、症状、投与形態、及び処置期間などによって変わるが、クルクミノイド配糖体として0.01〜1000mg/kg体重/日の範囲になるように、1日に1回から複数回に分けて投与する。
次に本発明のクルクミノイド配糖体、及びテトラヒドロクルクミノイド配糖体の製造方法について説明する。
特許文献1に開示されているM. Hergenhahnらのクルクミン配糖体の製造方法では、図2及び3の反応図に示すように、それぞれの工程(1)において相関移動触媒の存在下で、クルクミンとα−アセチルブロムグルコースを縮合させ、次いでクルクミンのモノ配糖体とジ配糖体を得ているが、その収率はそれぞれ8%、及び3%とかなり低い。また、該方法では該ブロムグルコースを直接クルクミンに反応させるので、クルクミン配糖体は合成できても、他のクルクミノイド誘導体を製造するのは困難であった。
これに対し、本発明の製造方法では、図1に示すように、工程(1)で予め配糖化した芳香族アルデヒドとアセチルアセトン-酸化ホウ素錯体の縮合反応を行うことで、クルクミノイドのモノ配糖体又はジ配糖体を選択的に良好な収率で得ることができる。該工程(1)は、Whitingらの方法を応用したものである(非特許文献9)。また、ホウ素を除去する工程(2)において、該従来法は塩酸を用いていたため、糖残基が切断され、配糖体が容易に分解されていた。これに対し、本発明の方法では、工程(1)の反応生成物を工程(2)でアルコール溶媒と加熱して、ホウ素を除去することで、得られた配糖体の分解を防ぎ、クルクミノイド配糖体の製造を可能にしたのである。
図1の工程(2)において、ホウ素はアルコール中における加熱で、例えば、メタノールを使用したときはホウ酸トリメチル(B(OMe)3)となり、蒸留により溶媒とともに留去される。該留液に水酸化ナトリウムを加えて、加熱することにより(B(OMe)3)は分解されてメタノールに再生される。したがって、アルコール類を消耗することなく回収、再利用できる。図1の行程(2)における工程では、他の低級アルコール、例えば、エタノール、プロパノール、これら及び他の低級アルコールの混合溶液、又はこれら低級アルコールを含有した他の溶媒との混合溶液を使用したときも同様な結果が得られる。
本発明の製造方法で用いるフェノール性水酸基を有するベンズアルデヒド化合物は、目的とする化合物によって変わるが、配糖体化したベンズアルデヒド化合物のみを用いる方法(A)と、配糖体化したベンズアルデヒド化合物と、糖残基のないベンズアルデヒド化合物の混合物を用いる方法(B)がある。
本発明で用いるベンズアルデヒド化合物化合物には、下記式(III)のベンズアルデヒド化合物がある。
Figure 2005041817
式(III)において、R12は水素、酸素官能基、アミノ基、アミド基又はハロゲンであり、かつR13は糖残基であり、かつR14は水素、酸素官能基、アミノ基、アミド基又はハロゲンである。該単糖残基には、例えば、ヘキソース、又はペントースの単糖残基がある。該ヘキソースの残基には、グルコシル基、ガラクトシル基、マンノシル基、及びフラクトシル基などがあり、該ペントースの残基には、リキソシル基、キシロシル基、アラビノシル基、及びリボシル基などがある。また、オリゴ糖として好ましいのは、マルトース及びラクトースなどである。
また、本発明の方法(B)で用いるベンズアルデヒド化合物には、下記式(IV)のベンズアルデヒド化合物がある。
Figure 2005041817
式(IV)において、R15及びR16はそれぞれ独立に水素、酸素官能基、アミノ基、アミド基又はハロゲンである。
次に本発明の方法(A)によるクルクミノイド・ジ配糖体の製造工程を説明する。該方法は図4に示されている。該方法におい、まず工程(1)で、配糖体化したベンズアルデヒド化合物に、ホウ酸トリブチル(BuO)3B、アセチルアセトン−B2O3複合体、及びブチルアミンを加えて、常温、好ましくは15〜25℃で、5〜40時間、好ましくは10〜20時間、反応させる。該反応により、図4のクルクミノイド−ホウ素複合体が形成される。
この場合、該ベンズアルデヒド化合物1モルに対し、該ホウ酸トリブチル1〜5モル、好ましくは2〜4モル、アセチルアセトン−B2O3複合体0.4〜0.8モル、好ましくは0.4〜0.6モル、及びブチルアミン0.05〜0.2モル、好ましくは0.05〜0.15モル加える。
次いで、得られたクルクミノイド−ホウ素複合体を、アルコール溶媒の存在下で、
50〜100℃、好ましくは80〜85℃の温度で環流してホウ素を除去する。ここで使用するアルコール溶媒は、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールなどの低級脂肪族アルコールが好ましい。
ホウ素の除去を行った後、アンモニア3〜10%、好ましくは4〜6%を含むアルコール溶媒中において、10〜30℃、好ましくは15〜25℃で処理することにより、得られたクルクミノイド配糖体の脱アセチル化を行う。
次に本発明の方法(B)によるクルクミノイド配糖体の製造工程を説明する。該方法では図5に示されているように、モノ配糖体、ジ配糖体及び糖残基がないクルクミノイドの3種が合成されるので必要に応じて分離、精製する。まず該方法の工程(1)で、配糖体化したベンズアルデヒド化合物と、糖残基が無いベンズアルデヒド化合物との混合物に、ホウ酸トリブチル(BuO)3B、アセチルアセトン-B2O3複合体、及びブチルアミンを加えて反応させる。得られたクルクミノイド−ホウ素複合体の混合物を、アルコール溶媒の存在下で還流してホウ素を除去した後、反応生成物から常法でモノ配糖体のテトラアセテート体及びジ配糖体のオクタアセテート体を分離し、アンモニアを含むアルコール溶媒中で処理して脱アセチル化して、クルクミノイド・モノ及びジ配糖体を得る。該製造方法における反応条件、及び使用する試薬は、前記ジ配糖体を得る方法(A)と同じでよい。
次に、テトラヒドロクルクミノイド配糖体の製造方法について説明する。
クルクミノイドは、生体中でオレフィン部分が還元されテトラヒドロクルクミノイドに代謝されることが知られており(Holder G. M.らの論文, J., Xenobiotica, 8, 61-68 (1978))、例えば、テトラヒドロキシ体にするとクルクミンでは、活性酸素除去能力が向上すると報告されている(Sugiyama Yらの論文, Biochem Pharmacol., 52, 519-525 (1996)。
本発明のテトラヒドロクルクミノイド配糖体は、有機溶媒中で、パラジウム、プラチナなどの白金族元素を含む活性炭の存在下で、還元接触により水素化することで製造することができる。該方法で用いる有機溶媒は、例えば、メチルアルコール、エチルアルコールなどの低分子アルコールである。
テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノシルバニリンの合成(化合物1)
上記配糖体化した芳香族アルデヒドである化合物1を、特開2000−109496号に開示されているKreger R.らの方法により合成した。すなわち、バニリン13.6g、アセトブロモグルコース18.3gを、相関移動触媒のテトラブチルアンモニウムブロマイド14.6gとともに、クロロホルム-1N水酸化ナトリウム水溶液150ml中で、室温で1時間、縮合反応を行わせることにより合成した。
得られた化合物の分析値は次のとおりであった。
mp 135-137℃ (lit. mp 142 ℃).; 1H-NMR δ:9.90 (1H, s, CHO), 7.47-7.16 (3H, m, Ar-H), 5.35-5.06 (4H, m, Glc-H), 4.28-4.22 (2H, m, Glc-H), 3.90 (3H, s, OMe), 2.07-2.05 (12H, OAc).
テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラノシル-4-ヒロドキシ-ベンズアルデヒドの合成(化合物2)
バニリンに代わり、4-ヒドロキシベンズアルデヒドを用いた他は、実施例1と同様にして配糖体化した芳香族アルデヒドである化合物2を得た。得られた化合物の分析値は次のとおりであった。
mp 142-143 ℃ (lit. mp 145-147 ℃); 1H-NMR δ: 9.93 (1H, s, CHO), 7.86 (2H, d, J=8.6 Hz, Ar-H), 7.11 (2H, d, J=8.6 Hz, Ar-H), 5.34-5.16 (4H, m, Glc-H), 4.33-4.16 (2H, m, Glc-H), 3.97-3.92 (1H, m, Glc-H), 2.08-2.05 (12H, OAc).
テトラ-O-アセチル-β-D-ガラクトピラノシルバニリンの合成(化合物3)
アセトブロモグルコースに代えて、アセトブロモガラクトース18.3gを用いた他は、実施例1と同様にして配糖体化した芳香族アルデヒドである化合物3を得た。得られた化合物の分析値は次のとおりであった。
無色,針状; mp 124-125 ℃ (lit. mp 123-124℃); 1H-NMR δ: 9.90 (1H, s, CHO), 7.43-7.22 (3H, m, Ar-H), 5.59-5.46 (2H, m, Gal-H), 5.15-5.05 (2H, m, Gal-H), 4.28-4.14 (3H, m, Gal-H), 3.90 (3H, s, OMe), 2.18-2.03 (12H, OAc).
ジグルコシルクルクミンオクタアセテートの合成 (化合物4)
アセチルアセトン2.5gと酸化ホウ素1.5gを室温で30分反応させて、アセチルアセトン−ホウ素複合体を形成させ、その中に、化合物1を2.4g含む酢酸エチル溶液30ml、ホウ酸トリブチル2.5ml、次いでn-ブチルアミン0.05mlを加え、室温で20時間撹拌した。該溶媒を減圧下留去し、メチルアルコール200mlを加えて4時間還流を行い、該反応系からホウ素をトリメチルボレートとして除いた後、未反応の原料とアミンをシリカゲルクロマトにて分離することにより、目的の化合物4を51%の収率で得た。得られた化合物の分析値は次のとおりであった。
黄色の非晶質粉末; mp 172-174 ℃; IR (KBr): 3450, 1760, 1630 cm-1.;1H-NMR δ: 7.59 (2H, d, J=15.6 Hz, H-1, 7), 7.27-7.10 (6H, m, Ar-H), 6.56 (2H, d, J=15.6 Hz, H-2, 6), 5.84 (1H, s, H-4), 5.26-5.06 (10H, m, Glc-H), 4.32-4.15 (4H, m, Glc-H), 3.87 (6H, s, OMe), 2.08-2.04 (24H, m, OAc).
ジグルコシル−ビス−デメトキシクルクミンオクタアセテートの合成 (化合物5)
化合物1に代えて、化合物2を2.26g用いた他は、実施例4と同様にして化合物5を51%の収率で得た。得られた化合物の分析値は次のとおりであった。
黄色の非晶質粉末; mp 185-188 ℃; IR (KBr): 1760, 1740 cm-11H-NMR (CDCl3 + CD3OD)δ: 7.61 (2H, d, J=15.6 Hz, H-1, 7), 7.52, 7.01 (each 4H, d, J=8.7 Hz, Ar-H), 6.53 (2H, d, J=15.6 Hz, H-2, 6), 5.82 (1H, s, H-4), 5.35-3.87 (14H, m, Glc-H), 2.30-2.06 (24H, m, OAc).
ジガラクトシルクルクミンオクタアセテートの合成(化合物6)
化合物1に代えて、化合物3を2.4g用いた他は、実施例4と同様にして化合物6を56%の収率で得た。得られた化合物の分析値は次のとおりであった。
黄色の非晶質粉末; mp 102-105 ℃; IR (KBr): 1770, 1740 cm-1.; 1H-NMRδ: 7.60 (2H, d, J=15.8 Hz, H-1, 7), 7.12-7.08 (6H, m, Ar-H), 6.53 (2H, d, J=15.8 Hz, H-2, 6), 5.85 (1H, s, H-4), 5.56-5.45 (4H, m, Gal-H), 5.14-4.96 (4H, m, Gal-H), 4.25-4.02 (6H, m, Gal-H), 3.88 (6H, s, OMe), 2.18-2.02 (24H, m, OAc)
モノグルコシルクルクミンテトラアセテートの合成(化合物7)
等モルの化合物1(1.2g)とバニリン(0.383g)を用いた他は、実施例4と同様に反応を行った。生成物を精製、分離した結果、目的化合物7、クルクミン及び化合物4をそれぞれ34%、15%及び4%の収率で得ることができた。得られた化合物7の分析値は次のとおりであった。
mp 86-88 ℃; IR (KBr): 3420, 1750 cm-11H-NMRδ: 7.61, 7.56 (each 1H, d, J=15.8 Hz, H-7 and H-1), 7.12-6.91 (6H, m, Ar-H), 6.52, 6.47 (each 1H, d, J=15.6 Hz, H-6 and H-2), 5.81 (1H, s, H-4), 5.31-4.15 (7H, m, Glc-H), 3.94, 3.86 (each 3H, s, OMe), 2.09-2.05 (12H, m, OAc)
モノグルコシル-ビス-デメトキシクルクミンテトラアセテートの合成 (化合物8)
等モルの化合物2(1.13g)と4-ヒドロキシベンズアルデヒド(0.305g)を用いた他は、実施例4と同様に反応を行った。生成物を精製、分離した結果、目的化合物8を31%の収率で得ることができた。得られた化合物8の分析値は次のとおりであった。
黄色針状体; mp 232-233 ℃; IR (KBr): 3400, 1750, 1740 cm-1.; 1H-NMR (CDCl3+CD3OD)δ: 7.61, 7.59 (each 1H, d, J=15.8 Hz, H-1 and H-7), 7.50, 7.45, 7.00, 6.85 (each 2H, d, J=8.6 Hz, Ar-H), 6.52, 6.48 (each 1H, d, J=15.8 Hz, H-2 and H-6), 5.79 (1H, s, H-4), 5.32-4.16 (7H, m, Glc-H), 2.18-2.03 (12H, m, OAc).
モノガラクトシルクルクミンテトラアセテートの合成 (化合物9)
等モルの化合物3(2.4g)とバニリン(0.765g)を用いた他は、実施例4と同様に反応を行った。生成物を精製、分離した結果、目的化合物9を28%の収率で得ることができた。得られた化合物9の分析値は次のとおりであった。
黄色非晶質粉末; mp 98-100 ℃; IR (KBr): 3400, 1750 cm-1.; 1H-NMRδ: 7.60, 7.58 (each 1H, d, J=15.8 Hz, H-1 and H-7), 7.14-6.92 (6H, m, Ar-H), 6.52, 6.48 (each 1H, d, J=15.8 Hz, H-2 and H-6), 5.82 (1H, s, H-4), 5.56-4.03 (7H, m, Gal-H), 3.93, 3.88 (each 3H, s, OMe), 2.18-2.02 (12H, m, OAc).
ジグルコシルクルクミンの製造 (化合物10)
上記化合物4のアセトキシ基のアンモノリシスを、5%アンモニア水−メチルアルコール中において、室温で2時間撹拌することにより行った。溶媒留去後の残渣を逆相カラムクロマトで精製し、対応する脱アセチル体である目的化合物10を収率79%で得た。得られた化合物10の分析値は次のとおりであった。
橙色非晶質粉末; mp 155-159 IR (KBr): 3400, 1630 cm-1. 1H-NMR (pyridine-d5)δ: 7.94 (2H, d, J=15.7 Hz, H-1, 7), 7.41 (6H, m, Ar-H), 6.94 (2H, d, J=15.7 Hz, H-2, 6), 6.13 (1H, s, H-4), 5.79 (2H, d, J=6.8 Hz, Glc-H-1), 4.60-4.18 (12H, m, Glc-H), 3.76 (6H, s, OMe).
モノグルコシルクルクミンの製造 (化合物11)
化合物4の代わりに、化合物7を用いた他は実施例11と同様に処理を行い、対応する脱アセチル体である目的化合物11を収率63%で得た。得られた化合物11の分析値は次のとおりであった。
橙色非晶質粉末; mp 110-113 ℃; IR (KBr): 3400, 1630 cm-1.; 1H-NMR (pyridine-d5)δ: 7.96 (1H, d, J=15.8 Hz, H-1 or H-7), 7.93 (1H, d, J=15.8 Hz, H-7 or H-1), 7.61-7.24 (6H, m, Ar-H), 6.95 (1H, d, J=15.8 Hz, H-2 or H-6), 6.92 (1H, d, J=15.8 Hz, H-6 or H-2), 6.14 (1H, s, H-4), 5.78 (1H, d, J=6.8 Hz, Glc-H-1), 4.59-4.18 (7H, m, Glc-H), 3.78, 3.76 (each 3H, s, OMe).
ジグルコシル−ビス−デメトキシクルクミンの合成 (化合物12)
化合物4の代わりに、化合物5を用いた他は実施例11と同様に処理を行い、対応する脱アセチル体である目的化合物12を収率64%で得た。得られた化合物12の分析値は次のとおりであった。
橙色非晶質粉末; mp 157-161 ℃; IR (KBr): 3380, 1660 cm-1.; 1H-NMR (pyridine-d5)δ: 7.89 (2H, d, J=15.7 Hz, H-1, 7), 7.57, 7.37 (each 4H, d, J=8.5, Ar-H), 6.81 (2H, d, J=15.7 Hz, H-2, 6), 6.13 (1H, s, H-4), 5.72 (2H, d, J=7.1 Hz, Glc-H-1), 4.61-4.18 (12H, m, Glc-H).
モノグルコシル−ビス−デメトキシクルクミンの合成 (化合物13)
化合物4の代わりに、化合物8を用いた他は実施例11と同様に処理を行い、対応する脱アセチル体である目的化合物13を収率68%で得た。得られた化合物13の分析値は次のとおりであった。
橙色非晶質粉末; mp 112-117 ℃; IR (KBr): 3420, 1620 cm-1.; 1H-NMR (pyridine-d5)δ: 7.96 (1H, d, J=15.8 Hz, H-1 or H-7), 7.93 (1H, d, J=15.8 Hz, H-7 or H-1), 7.69, 7.57, 7.40, 7.20 (each 2H, d, J=8.8 Hz, Ar-H), 6.85 (1H, d, J=15.8 Hz, H-2 or H-6), 6.81 (1H, d, J=15.8 Hz, H-6 or H-2), 6.13 (1H, s, H-4), 5.73 (1H, d, J=7.2 Hz, Glc-H-1), 4.61-4.18 (7H, m, Glc-H).
ジガラクトシルクルクミンの合成(化合物14)
化合物4の代わりに、化合物6を用いた他は実施例11と同様に処理を行い、対応する脱アセチル体である目的化合物14を収率77%で得た。得られた化合物14の分析値は次のとおりであった。
橙色非晶質粉末; mp 155-159 ℃;IR (KBr): 3400, 1630 cm-1.; 1H-NMR (pyridine-d5)δ: 7.91 (2H, d, J=15.7 Hz, H-1, 7), 7.62-7.20 (6H, m, Ar-H), 6.91 (2H, d, J=15.7 Hz, H-2, 6), 6.13 (1H, s, H-4), 5.70 (2H, d, J=6.8 Hz, Gal-H-1), 4.84-4.30 (12H, m, Gal-H), 3.73 (6H, s, OMe).
モノガラクトシルクルクミンの合成(化合物15)
化合物4の代わりに、化合物9を用いた他は実施例11と同様に処理を行い、対応する脱アセチル体である目的化合物15を収率85%で得た。得られた化合物15の分析値は次のとおりであった。
橙色非晶質粉末; mp 110-113 ℃; IR (KBr): 3420, 1620 cm-1.;1H-NMR (pyridine-d5)δ: 8.01 (1H, d, J=15.8 Hz, H-1 or H-7), 7.95 (1H, d, J=15.8 Hz, H-7 or H-1), 7.59-7.17 (6H, m, Ar-H), 6.95 (1H, d, J=15.8 Hz, H-2 or H-6), 6.91 (1H, d, J=15.8 Hz, H-6 or H-2), 6.14 (1H, s, H-4), 5.70 (1H, d, J=7.7 Hz, Gal-H-1), 3.79, 3.73 (each 3H, s, OMe).
ジグルコシルテトラヒドロクルクミンの製造(化合物16)
ジグルコシルクルクミン(化合物10)0.102gを10%メチルアルコール溶液50mlに溶かし、10%パラジウム活性炭存在下水素圧2.5気圧で、2時間撹拌し、目的化合物16を収率80%で得た。得られた化合物16の分析値は次のとおりであった。
淡黄色非晶質粉末; mp 92-96 ℃; IR (KBr): 3370, 1700 cm-1.; 1H-NMR (pyridine-d5)δ: 7.72-6.77 (6H, m, Ar-H), 6.80 (1H, s, H-4), 5.68 (2H, d, J=5.7 Hz, Glc-H-1), 4.57-4.11 (12H, m, Glc-H), 3.72 (6H, s, OMe), 2.94 (3H, t, J=15.2 Hz, H-1, 7), 2.66 (3H, t, J=15.2 Hz, H-2, 6).
なお、当業者には明かなように、実施例16と同じ接触還元法により、他のクルクミノイド配糖体もテトラヒドロ体にすることができる。
クルクミノイド配糖体の抗アレルギー作用
非特許文献8に記載されている方法により、細胞実験系において、クルクミン、テトラヒドロクルクミン、ジグルコシルクルクミン、モノグルコシルクルクミン、ジグルコシルービスーデメトキシクルクミン、モノグルコシルービスーデメトキシクルクミン、ジグルコシルテトラヒドロクルクミン、ジガラクトシルクルクミン、及びモノガラクトシルクルクミンのヒスタミン遊離抑制作用を測定することにより抗アレルギー作用を測定した。0.05%BSA-Tyrode緩衝液に、株化肥満細胞RBL-2H3を懸濁した液(1x105 細胞/ml) 400 μlに、前記試験化合物の溶液(50 μg/ml)をそれぞれ50 μl ずつ加え、ついでヒスタミン遊離刺激物質コナカバリンAの溶液(100 μg/ml)を25 μl加えて、37℃で60分インキュベートした後、その上清中のヒスタミンを、ポストカラムラベルHPLC法で測定した。その結果、本発明の化合物は、ヒスタミン遊離を抑制し、抗アレルギー作用が有することが明らかになった。なお、抗アレルギー作用を有するクルクミン及びヒドロキシクルクミンが水難溶性なのに対し、本発明の化合物は水溶性の配糖体であるから、消化管吸収、体内代謝などで有利であり、in vivoにおいて優れた薬効が期待できる。
本発明の新規なクルクミノイド配糖体は、従来、水難溶性であったクルクミノイド類に代わり、水溶性の黄色着色剤として食品、医薬、化粧品などに広い用途を有し、また水溶性の生理活性物質としての用途も有する。また、本発明の製造方法により、前記用途を有するクルクミノイド配糖体を効率的に製造することができる。
図1は、本発明の製造方法による、クルクミノイド配糖体合成の基本的な反応を示す。 図2は、特許文献1記載の方法に開示された、モノグルコシルクルクミンの合成反応を示す。 図3は、特許文献1記載の方法に開示された、ジグルコシルクルクミンの合成反応を示す。 図4は、本発明の製造方法(A)によるクルクミノイド配糖体の合成反応を示す。 図5は、本発明の製造方法(B)によるクルクミノイド配糖体の合成反応を示す。

Claims (27)

  1. 下記式(I)のクルクミノイド配糖体:
    Figure 2005041817
    (式中、R1がメトキシ基の場合、R3はメトキシ基又は水素であり、R1が水素の場合、R3は水素であり、R2は水素、糖残基又はアセチル化糖残基であり、かつR4は糖残基又はアセチル化糖残基であり、R5及びR6は酸素官能基、又は水素である。);
  2. 請求項1記載のクルクミノイド配糖体の生理学的に許容される塩。
  3. R2が、単糖残基、又はオリゴ糖残基である、請求項1記載のクルクミノイド配糖体。
  4. R2が、ヘキソース又はペントースの単糖残基ある、請求項1記載のクルクミノイド配糖体。
  5. R4が、グルコシル基、ガラクトシル基、マンノシル基、フラクトシル基、リキソシル基、キシロシル基、アラビノシル基、リボシル基からなる群から選ばれる単糖残基である、請求項1記載のクルクミノイド配糖体。
  6. R4が、単糖残基、又はオリゴ糖残基である、請求項1記載のクルクミノイド配糖体。
  7. R4が、ヘキソース又はペントースの単糖残基である、請求項1記載のクルクミノイド配糖体。
  8. R4が、グルコシル基、ガラクトシル基、マンノシル基、フラクトシル基、リキソシル基、キシロシル基、アラビノシル基、リボシル基からなる群から選ばれる単糖残基である、請求項1記載のクルクミノイド配糖体。
  9. 下記式(II)のテトラヒドロクルクミノイド配糖体:
    Figure 2005041817
    (式中、R7がメトキシ基の場合、R9及びR11はともにメトキシ基であるか、又は水素であり、R7が水素の場合、R9及びR11はともに水素であり、R8は水素、糖残基又はアセチル化糖残基であり、かつR10は糖残基又はアセチル化糖残基である。)。
  10. 請求項9記載のテトラヒドロクルクミノイド配糖体の生理学的に許容される塩。
  11. R8が、単糖残基、又はオリゴ糖残基である、請求項9記載のテトラヒドロクルクミノイド配糖体。
  12. R8が、ヘキソース又はペントースの単糖残基である、請求項9記載のクルクミノイド配糖体。
  13. R8が、グルコシル基、ガラクトシル基、マンノシル基、フラクトシル基、リキソシル基、キシロシル基、アラビノシル基、リボシル基からなる群から選ばれる単糖残基である、請求項9記載のテトラヒドロクルクミノイド配糖体。
  14. R10が、単糖残基、又はオリゴ糖残基である、請求項9記載のテトラヒドロクルクミノイド配糖体。
  15. R10が、ヘキソース又はペントースの単糖残基である、請求項9記載のクルクミノイド配糖体。
  16. R10が、グルコシル基、ガラクトシル基、マンノシル基、フラクトシル基、リキソシル基、キシロシル基、アラビノシル基、リボシル基からなる群から選ばれる単糖残基である、請求項9記載のテトラヒドロクルクミノイド配糖体。
  17. 請求項1記載のクルクミノイド配糖体、及び該クルクミノイド配糖体の塩からなる群から選ばれた、少なくとも1種を含む、色素組成物。
  18. 請求項1記載のクルクミノイド配糖体、請求項9記載のテトラヒドロクルクミノイド配糖体、及び該配糖体の生理的に許容し得る塩からなる群から選ばれた、少なくとも1種を含む、医薬組成物。
  19. フェノール性水酸基を有するベンズアルデヒド化合物、及びアセチルアセトン-B2O3複合体を反応させること、及び該反応生成物をアルコール溶媒の存在下で脱ホウ素処理することを含む、クルクミノイド配糖体の製造方法。
  20. さらにアンモニアを含むアルコール溶媒の存在下で、反応生成物を脱アセチル化処理することを含む、請求項19記載の製造方法。
  21. フェノール性水酸基を有するベンズアルデヒド化合物が、下記式(III)のベンズアルデヒド化合物、又は下記式(III)及び(IV)のベンズアルデヒド化合物の混合物である、請求項19記載の製造方法:
    Figure 2005041817
    (式中、R12は水素、酸素官能基、アミノ基、アミド基又はハロゲンであり、かつR13は糖残基であり、かつR14は水素、酸素官能基、アミノ基、アミド基又はハロゲンである。);
    Figure 2005041817
    (式中、R15及びR16はそれぞれ独立に水素、酸素官能基、アミノ基、アミド基又はハロゲンである。);
  22. R12及びR14の酸素官能基がそれぞれ独立に、メトキシ基、又は水酸基である、請求項21記載の製造方法。
  23. 式(III)のR13が単糖残基、又はオリゴ糖残基である、請求項21記載の製造方法。
  24. 式(III)のR13が、ヘキソース又はペントースの単糖残基である、請求項21記載の製造方法。
  25. 式(III)のR13が、グルコシル基、ガラクトシル基、マンノシル基、フラクトシル基、リキソシル基、キシロシル基、アラビノシル基、リボシル基からなる群から選ばれる単糖残基である、請求項21記載の製造方法。
  26. アルコール溶媒が、メチルアルコール、エチルアルコール、及びプロピルアルコールからなる群から選ばれる少なくとも1種の低級アルコールを含む、請求項19又は20記載の製造方法。
  27. アルコール溶媒が、メチルアルコールを含む、請求項26記載の製造方法。
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