【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な黒色インクに関し、特にインクジェット記録方式に好適な黒色インクに関する。
【0002】
【従来の技術】
筆記用具あるいはインクジェット記録方式の記録用に用いられているインクには、基本的に色素、水及び有機溶剤から構成されるが、臭気、人体及び周辺環境への安全性の配慮から、水を主溶媒とする水性インクが主流であり、色素としては水溶性の酸性染料、及び直接性染料等が実用化されている。これに関して染料及びインクには様々な特性が要求されている。
特に、インクジェット記録方式の記録液に用いられる黒色インクには、以下に示す様々な要求特性が挙げられるが、全てを満足できるまでには至っていないのが現状である。
(1)インクの粘度、表面張力、比電導度、密度、pH等の物性値が適当であること。
(2)インクの長期保存安定性が良好であること。
(3)溶解成分の溶解安定性が高く、ノズルを目詰まりさせないこと。
(4)被記録材での速乾性が良好であること。
(5)記録画像が鮮明性であり、滲みがなく、耐光性、耐水性、耐湿性が良好であること。
従来から知られている黒色色素としては、例えばAcid Black 1や特許文献1などで開示されているジスアゾ色素、特許文献2などで開示されている金属キレートアゾ色素、或いは特許文献3などで開示されているトリスアゾ色素があげられる。しかし、これらアゾ色素は耐光性等の堅牢性の点でまだ不十分である。
以上のように、特にインクジェット記録方式に用いられるインクの諸特性においては、色素固有の特性に影響されるところが大きく、これら諸条件を満たす色素及びインクの創出が極めて重要である。
【0003】
【特許文献1】
特開2003−138155号公報
【特許文献2】
特開2002−30229号公報
【特許文献3】
特開平5−93143号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、高耐光性を有する新規なフタロシアニン化合物、該色素の特性を保持した黒色インク、さらに高画像品位で滲みがなく、かつ保存安定性、耐光性、耐湿性に優れたインクジェット記録方式の記録液として有用なインクを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明のフタロシアニン化合物が高耐光性を有し黒色色素として利用できることが判明し、該色素を用いたインクも優れた耐光性を有したまま特性を発揮できる事を見出し、本発明を完成するに到った。すなわち、本発明は、▲1▼下記一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物を含有する黒色インクに関する。
【0006】
【化3】
【0007】
[式中、A1〜A16は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子を介する置換基、酸素原子を介する置換基、窒素原子を介する置換基、硫黄原子を介する置換基を表し、隣り合う置換基が環を形成しても良い。ただしA1〜A16のうち少なくとも一つは窒素原子を介する置換基である。Mは2価の金属原子、3価又は4価の置換金属原子、又はオキシ金属を表す。]
▲2▼一般式(1)において、A1〜A16のうち少なくとも1組の隣り合う置換基が環を形成する黒色インク。
▲3▼下記一般式(2)で表されるフタロシアニン化合物。
【0008】
【化4】
【0009】
[式中、R1〜R16、Y1〜Y6は各々独立に水素原子、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子を介する置換基、酸素原子を介する置換基、窒素原子を介する置換基、硫黄原子を介する置換基を表し、X1〜X4は各々独立に酸素原子或いは硫黄原子を表し、Mは2価の金属原子、3価又は4価の置換金属原子、又はオキシ金属を表す。m,n,o,pはそれぞれ0〜10の整数を表し、m/2+n+o/2+pが16を越えることはなく、mとoが同時に0になることはない。またR1〜R16、Y1〜Y6の少なくとも1つは水溶性を付与する置換基である。]
▲4▼▲3▼記載のフタロシアニン化合物を少なくとも一種含有することを特徴とするインクジェット黒色インク。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の一般式(1)で表されるフタロシアニン化合物において、
式中、A1〜A16は各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子を介する置換基、酸素原子を介する置換基、窒素原子を介する置換基、硫黄原子を介する置換基を表し、隣り合う置換基が環を形成しても良い。A1〜A16のうち少なくとも一つは窒素原子を介する置換基である。窒素原子が直接フタロシアニン環に導入されることによって、よりニュートラルに近くかつ色濃度の高い黒色インクの成分としてより相応しいフタロシアン化合物になる。Mは2価の金属原子、3価又は4価の置換金属原子、又はオキシ金属を表す。
【0011】
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、沃素等があげられる。炭素原子を介する置換基としては、メチル基、エチル基、ビニル基、プロピル基、プロペニル基、フェニル基、ベンジル基、メトキシメチル基、フェノキシメチル基、フェニルアミノメチル基、メトキシエチル基、エトキシカルボニル基、メチルカルボニル基、カルボン酸或いはその塩、等があげられる。酸素原子を介する置換基としては、水酸基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、アセトキシ基、フェノキシ基、ベンゾイルオキシ基、アミノエトキシ基、アミノフェノキシ基、メトキシフェノキシ基、或いは表−1に記載の置換基等があげられる。窒素原子を介する置換基としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ基、アセチルアミノ基、フェニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、フェニルアゾ基、或いは表−2に記載の置換基等があげられる。硫黄原子を介する置換基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、フェニルチオ基、スルホン酸或いはその塩、或いは表−3に記載の置換基等があげられる。隣り合う置換基が環を形成しても良い置換基としては、好ましくはヘテロ原子を介して六員環を形成するものであり、例えば表−4に記載の置換基等があげられる。Mで表される金属としては、Cu、Zn、Fe、Co、Ni、Al−Cl、Al−Br、Al−F、Ga−Cl、Ga−F、Tl−Cl、Tl−Br、Mn(OH)2、Sn(OH)2、VO、MnO、TiOなどが挙げられる。これらの中で特に好ましいMはCu、Pd、AlCl、TiO、またはVOである。
【0012】
【表1】
【0013】
【表2】
【0014】
【表3】
【0015】
【表4】
【0016】
【表5】
【0017】
【表6】
【0018】
【表7】
【0019】
【表8】
【0020】
更にフタロシアニン化合物としては、置換基A1〜A16のうち、少なくとも一つの隣り合う置換基が環を形成することが好ましい。隣り合う置換基が環を形成することでフタロシアニン環がひずみ、よりニュートラルに近くかつ色濃度の高い黒色インクの成分としてより相応しいフタロシアン化合物になる。なお、好ましくは少なくとも一つ、より好ましくは二つ以上、さらに好ましくは四つ以上の隣り合う置換基が、ヘテロ原子を介する六員環を形成する化合物である。
【0021】
本願発明の黒色インクは水を主成分としフタロシアニン化合物を溶解させた溶解型水性インク、有機溶媒を主体とする油溶性インク、ワックスタイプの固体インク、樹脂微粒子を着色したエマルション型の分散型水性インク等、あらゆるインクに利用できるが、例えば、水を主成分とする溶解型水性インク用途として利用する場合には、水溶性を付与する置換基が必要となる。溶解型水性インク用途として特に好ましいフタロシアニン化合物としては、下記一般式(2)で表されるフタロシアニン化合物である。
【0022】
【化5】
【0023】
式中、R1〜R16、Y1〜Y6は各々独立に水素原子、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子を介する置換基、酸素原子を介する置換基、窒素原子を介する置換基、硫黄原子を介する置換基を表し、X1〜X4は各々独立に酸素原子或いは硫黄原子を表し、Mは2価の金属原子、3価又は4価の置換金属原子、又はオキシ金属を表す。m,n,o,pはそれぞれ0〜10の整数を表し、m/2+n+o/2+pが16を越えることはなく、mとoが同時に0になることはない。またR1〜R16、Y1〜Y6の少なくとも1つは水溶性を付与する置換基である。
【0024】
R1〜R16、Y1〜Y6で表される、ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、沃素等があげられる。炭素原子を介する置換基としては、メチル基、エチル基、ビニル基、プロピル基、プロペニル基、オクチル基、ステアリル基、オレイル基、フェニル基、ベンジル基、メトキシメチル基、フェノキシメチル基、フェニルアミノメチル基、メトキシエチル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、エトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニル基、メチルカルボニル基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、オクチルカルボニル基、ベンゾイル基、メトキシベンゾイル基、ヒドロキシカルボニルメチル基およびその塩、アミノカルボニルメチル基、ジエチルアミノカルボニルメチル基、カルボン酸或いはその塩、スルホン酸が置換したアルキル基或いはその塩、スルホン酸が置換したアリール基或いはその塩、等があげられる。酸素原子を介する置換基としては、水酸基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、アセトキシ基、フェノキシ基、ベンゾイルオキシ基、アミノエトキシ基、アミノフェノキシ基、メトキシフェノキシ基等があげられる。窒素原子を介する置換基としては、アミノ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ基、アセチルアミノ基、フェニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等があげられる。硫黄原子を介する置換基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、フェニルチオ基、スルホン酸或いはその塩等があげられる。
【0025】
R1〜R8として更に好ましい置換基としては、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、カルボン酸或いはその塩、スルホン酸或いはその塩である。特に好ましい置換基としては水素原子、カルボン酸或いはその塩である。
【0026】
R9〜R16として更に好ましい置換基としては、水素原子、水酸基、アミノ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数6〜12のアリールオキシ基、炭素数1〜6のアルキルアミノ基、炭素数2〜16のジアルキルアミノ基、炭素数6〜12のアリールアミノ基、炭素数7〜18のアルキルアリールアミノ基、炭素数12〜24のジアリールアミノ基、カルボン酸或いはその塩、スルホン酸或いはその塩である。特に好ましい置換基としては、水素原子、水酸基、アミノ基、カルボン酸或いはその塩、スルホン酸或いはその塩である。
【0027】
Y1〜Y6として更に好ましい置換基としては、水素原子、炭素数1〜18の置換又は未置換のアルキル基、炭素数6〜12の置換又は未置換のアリール基、アミノカルボニル基、炭素数2〜18のアルキルカルボニル基、カルボン酸或いはその塩、スルホン酸或いはその塩である。特に好ましい置換基としては、水素原子、ヒドロキシカルボニルメチル基或いはその塩、スルホン酸が置換した炭素数1〜6のアルキル基或いはその塩、スルホン酸が置換した炭素数6〜12のアリール基或いはその塩、2,3−ジヒドロキシプロパン、カルボン酸或いはその塩である。
【0028】
水溶性を付与する置換基としては、アルカリ金属或いはアミン類等と塩を形成し水溶性を付加できる置換基であり、好ましい置換基としては、水酸基またはカルボン酸或いはその塩、スルホン酸或いはその塩を含む置換基であり、より好ましくはカルボン酸或いはその塩、スルホン酸或いはその塩を含む置換基である。カルボン酸とスルホン酸が混在していても良いし、種類の異なる置換基が混在していても差し支えない。具体的には、表−5に記載の化合物があげられる。これらの水溶性を付与する置換基は少なくとも1個必要である。また2個以上が好ましく、4個以上が更に好ましい。
【0029】
【表9】
【0030】
Mで表される金属としては、Cu、Zn、Fe、Co、Ni、Al−Cl、Al−Br、Al−F、Ga−Cl、Ga−F、Tl−Cl、Tl−Br、Mn(OH)2、Sn(OH)2、VO、MnO、TiOなどが挙げられる。これらの中で特に好ましいMはCu、Pd、AlCl、TiO、またはVOである。
【0031】
本発明のフタロシアニン化合物の製造においては、特に限定されるものではないが、例えば、下記一般式(3)或いは(4)で示されるフタロジニトリル、1,3−ジアミノイソインドリン化合物を単独、或いは数種の混合物を、一般式(1)或いは(2)中のMで示される金属の塩化物、酸化物、酢酸塩等を適当な溶媒中、必要に応じて塩基性触媒を使用して反応させることによって得ることが出来る。
【0032】
【化6】
【0033】
[一般式(3)、(4)中のAは一般式(1)におけるA1〜A16に相当する。]
或いはフッ素、塩素、臭素、沃素等のハロゲン原子が2〜16置換したハロゲン化フタロシアニンと一般式(1)或いは(2)に対応する、アルコール、アミン、或いはチオール等を単独、或いは数種の混合物を、塩基の存在化反応させることによって得られる。更に得られた化合物は、油溶性を付与させる為に、定法に従い、窒素原子上に、アルキル基、アリール基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基等を付加させることが出来る。また水溶性を付与させる為に、定法に従い、ベンゼン環上にスルホン化反応等を実施したり、また、定法に従って窒素原子上に、水溶性を付与できる置換基を導入することができる。
【0034】
本発明のフタロシアニン化合物を溶解型水性インクとして使用する場合は、遊離酸、また塩のいずれの形態でもよく、使用に際してもいずれの形態でも使用されてもよい。塩としては、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属塩、アンモニア、アルキルあるいはヒドロキシアルキルアミン、カルボキシ置換アミン等の有機アミンの塩等が例示される。これらは単一の塩として用いられてもよく、また複数の塩の混合した化合物として用いられてもよく、一部は遊離酸の形態のままであってもよい。また、必要に応じて、適宜、塩交換を行っても差し支えない。
【0035】
本発明の溶解型水性インクは、各種インク、特にインクジェット記録方式の記録液として有用である。該フタロシアニン化合物は、無機塩類の含有量が少ない場合、そのままでも使用可能であるが、特にインクジェット記録方式の記録液として用いる場合、染料中に含まれる無機塩等による記録装置の吐出ノズルの目詰まりを防止するために、例えばイオン交換樹脂や限外濾過による脱塩処理やその他脱塩処理方法等による精製を行った方が好ましい。
【0036】
その他のフタロシアニン化合物の精製方法としては、フタロシアニン化合物をイオン交換水に溶解させ、極性溶媒を添加することで結晶化させて行うか、あるいは、前記フタロシアニン化合物の水溶液を極性溶媒中へ排出することで結晶化させる方法がある。この方法にて、フタロシアニン化合物に含有されていたKCl、NaCl、Na2SO4などの無機塩類を低減、除去することができ、前記記載のイオン交換樹脂や限外濾過による精製に比べ、塩類などの無機物が簡便に除去できるため有用な精製方法である。フタロシアニン化合物をイオン交換水に溶解させる際の使用する蒸留水の量は、フタロシアニン化合物の溶解度、無機物や有機物の含有量によっても異なるが、フタロシアニン化合物1に対して1〜100重量部である。溶解させる時の温度は、通常、室温で行うが、フタロシアニン化合物が高濃度の場合や溶解性が低い場合は、加熱して溶解させることができる。使用する極性溶媒の量は、フタロシアニン化合物の濃度、フタロシアニン化合物の溶解度、無機物や有機物の含有量や溶解度によっても異なり、また、所望する精製後のフタロシアニン化合物の無機物や有機物の含有量によっても異なるが、フタロシアニン化合物1に対して、1〜100重量部である。極性溶媒としては、水溶性の溶媒が好ましく、また、フタロシアニン化合物の溶解性が低いものが好ましい。例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、グリセリン、チオグリコール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコールエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の含窒素化合物、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール等のアルコール類等が挙げられる。好ましい極性溶媒としては、アルコール類、ケトン類である。これらの水溶性有機溶媒は単独または2種類以上を混合して用いてもよい。
前記精製工程で、結晶化させる際、結晶性が低いものについては、精製後のフタロシアニン化合物の性能を低下させない範囲で、結晶化促進の観点から添加剤を加えることも可能である。
【0037】
本発明の溶解型水性インクの主な成分は、本発明のフタロシアニン化合物、水及び必要に応じて有機溶剤を含有するものである。本発明のフタロシアニン化合物は、単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。その使用量は、用途、目的、染料の種類、インク組成、インクの印字濃度、目詰まり性にもよるが、水性インク全体に対して、フタロシアニン化合物は0.5〜20%であることが好ましく、特に好ましくは1〜10%であり、有機溶剤は0〜80%が好ましい範囲である。
また、インクの色調を調製するため、またその他の特性を改良するために、その他の染料や、インク特性を損なわない程度に、公知の染料や顔料をエマルジョンあるいは微分散状態に処理したものを添加しても差し支えない。
【0038】
本発明の溶解型水性インクは、主溶媒成分として水を使用するが、インクの乾燥防止、フタロシアニン化合物の溶解性を向上させる等の目的で、水溶性有機溶媒と混合して使用することもできる。水溶性有機溶剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、グリセリン、チオグリコール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコールエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の含窒素化合物、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール等のアルコール類等が挙げられる。これらの水溶性有機溶媒は単独または2種類以上を混合して用いてもよく、含有量は、5〜50%の範囲で使用することが好ましい。
【0039】
インクの保存安定性、インクの粘度変化で耐水性を向上させるため、インクのpHは7以上が好ましい。また、耐水性を更に向上させるために、アンモニア等のアミン類とトリエタノールアミン等のヒドロキシアミン類を併用することが好ましい。含有量は、インクに対して0.001〜10%程度が好ましい。またこれらのアミン類はフタロシアニン化合物と対イオンを形成して用いてもよい。
また本発明のフタロシアニン化合物を含有する溶解型水性インクに、尿素、チオ尿素、ビウレット、セミカルバジド及びこれら誘導体を併用してもよい。含有量は水性インクに対して0.1〜15%程度が好ましい。
【0040】
前記組成から構成される本発明の溶解型水性インクは、筆記用具等のインクあるいはインクジェット記録方式のインクとして、記録特性、保存安定性、被記録材への定着性、記録画像の鮮明性、耐光性、耐湿性等に優れたものである。
また、本発明の溶解型水性インクには、従来使用されている種々の添加剤を必要に応じて加えることができる。例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、キレート化剤、水溶性ポリマー、マスキング剤、防かび剤、防腐剤、粘度調節剤、界面活性剤、表面張力調整剤、pH調整剤、比抵抗値調整剤、近赤外線吸収剤、浸透剤等の添加剤が挙げられる。
【0041】
本発明の溶剤型水性インクは、本発明のフタロシアニン化合物を、水、有機溶剤、必要に応じて前記で挙げた添加物等とともに溶解させ、不溶物を除去するためメンブランフィルター等の微小孔径のフィルターで濾過することで製造される。このように製造された溶解型水性インクは、特にインクジェット記録方式の記録液として有用であるが、その他、ボールペン、フェルトペン、万年筆等の筆記用具の黒色インクとしても使用される。
【0042】
本発明の黒色インクは、上記の様に、水を主成分とし、フタロシアニン化合物を溶解させた溶解型水性インク以外にも、有機溶媒を主体とする油溶性インク、ワックスタイプの固体インク、樹脂微粒子を着色したエマルション型の分散型水性インク等、あらゆるインクに利用できる。即ち本発明の黒色インクは、本発明のフタロシアニン化合物を、各種有機溶剤、ワックス、樹脂類に均一に溶解させて作ることも出来るし、或いは水系溶媒中に界面活性剤等を用いて分散させる事もできる。更に、エマルション樹脂を着色或いは、マイクロカプセル化して、水系溶媒中に分散させて用いることも出来る。好ましい形態としては、各種有機溶剤、ワックス、樹脂類に均一に溶解させて作成した油溶性インク或いは固体インク、或いはエマルション樹脂を着色して水系溶媒中に分散して作成した分散型水性インクである。それらの黒色インクは、必要に応じて、添加剤を含有しても良く、フタロシアニン化合物は単独で用いても良いし、2種類以上を混合して用いてもよく、また、その他の構造の異なった色素を混合してもよい。
【0043】
各種有機溶剤、ワックス、樹脂類に均一に溶解させて作成した油溶性インク或いは固体インクを作成するにあたり、各種有機溶剤、ワックス、樹脂類が特に制限無く使用できる。例えば、植物系ワックス、動物系ワックス、石油系ワックス、高級飽和あるいは不飽和脂肪酸、ステアロン、ラウロン等のケトン、飽和あるいは不飽和脂肪酸アミド、飽和あるいは不飽和脂肪酸エステル、グリセライド、飽和あるいは不飽和脂肪酸エステルアミド、 飽和あるいは不飽和脂肪族アルコールさらにロジン系樹脂、炭化水素系樹脂、アミド系樹脂、ポリエステル、ポリ酢酸ビニル、アクリル酸系及びメタクリル酸系高分子、スチレン系高分子、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリケトン、シリコーン、クマロン等の高分子量の樹脂等がある。
【0044】
有機溶剤としては、通常の有機溶剤が必要とする条件において適宜選択して使用することができる。例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘプタノール、オクタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、フェニルプロピルアルコール、フルフリルアルコール、アニスアルコール等のアルコール類、
エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、グリセリン、チオグリコール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールエーテル類、エチレングリコールジアセテート、プロピレングルコールジアセテート等の多価アルコールアセテート類、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の多価アルコールエーテルアセテート類、
ブチルフェニルエーテル、ジフェニルエーテル、ベンジルエチルエーテル、ヘキシルエーテル等のエーテル類、
酢酸エチル、酢酸アミル、酢酸ベンジル、酢酸フェニルエチル、酢酸フェノキシエチル、プロピオン酸ベンジル、フェニル酢酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸ブチル、ラウリン酸メチル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸プロピル、ラウリン酸ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、リン酸トリエチル、リン酸トリブチル、リン酸トリクレジル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジプロピル、マロン酸ジブチル、ジエチルマロン酸ジエチル、コハク酸ジエチル、コハク酸ジブチル、グルタル酸ジメチル、グルタル酸ジエチル、グルタル酸ジブチル、アジピン酸ジエチル、アジピン酸ジプロピル、アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ(2−メトキシエチル)、セバシン酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジオクチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジオクチル、桂皮酸3−ヘキセニル等のエステル類、
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ベンジルメチルケトン、ベンジルアセトン、ジアセトンアルコール、シキロヘキサノン等のケトン類、
石油エーテル、石油ベンジル、トルエン、キシレン、メシチレン、t−アミルベンゼン、テトラリン、デカリン、ジメチルナフタレン等の炭化水素系溶剤類、
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、N,N−ジエチルドデカンアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の含窒素系溶剤、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類、アセトニトリル、スルホラン、N,N−ジメチルスルホキシド、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート等が挙げられる。これらの有機溶剤は単独で使用することも、2種類以上を選定し混合してしようすることもできるが、なんらこれらに限定されるものではない。
【0045】
固体の油性媒体としては、例えば、密ロウ、カルナウバワックス、ライスワックス、木ロウ、ホホバ油、鯨ロウ、カンデリラワックス、ラノリン、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタムなどの天然ワックス;ポリエチレンワックス、塩素化炭化水素、パルミチン酸、ステアリル酸、ベヘン酸、チグリン酸、2 −アセトナフトベヘン酸、12 −ヒドロキシステアリン酸、ジヒドロキシステアリン酸などの有機酸;ドデカノール、テトラデカノール、ヘキサデカノール、エイコサノール、ドコサノール、テトラコサノール、ヘキサコサノール、オクタコサノール、ドデセノール、ミリシルアルコール、テトラセノール、ヘキサデセノール、エイコセノール、ドコセノール、ピネングリコール、ヒノキオール、ブチンジオール、ノナンジオール、イソフタリルアルコール、メシセリン、ヘキサンジオール、デカンジオール、テトラデカンジオール、ヘキサデカンジオール、ドコサンジオール、テトラコサンジオール、テレビネオール、フェニルグリセリン、エイコサンジオール、オクタンジオール、フェニルプロピレングリコールなどのアルコール類;
ビスフェノールA 、p −α−クミルフェノールなどのフェノール類;前記有機酸のグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール等の有機酸エステル;ステアリン酸コレステロール、パルミチン酸コレステロール、ミリスチン酸コレステロール、ベヘン酸コレステロール、ラウリン酸コレステロール、メリシン酸コレステロールなどのコレステロール脂肪酸エステル;ステアリン酸サッカロース、パルミチン酸サッカロース、ベヘン酸サッカロース、ラウリン酸サッカロース、メリシン酸サッカロース、ステアリン酸ラクトース、パルミチン酸ラクトース、ベヘン酸ラクトース、ラウリン酸ラクトース、メリシン酸ラクトースなどの糖類脂肪酸エステル;ベンゾイルアセトン、ジアセトベンゼン、ベンゾフェノン、トリコサノン、ヘプタコサノン、ヘプタトリアコンタノン、ヘントリアコンタノン、ステアロン、ラウロンなどのケトン類;オレイン酸アミド、ラウリン酸アミド、ステアリン酸アミド、リシノール酸アミド、パルミチン酸アミド、ベヘン酸アミド、ブラシジン酸アミド、テトラヒドロフラン酸アミド、エルカ酸アミド、ミリスチン酸アミド、12 −ヒドロキシステアリン酸アミド、N −ステアリルエルカ酸アミド、N −オレイルステアリン酸アミド、N ,N −エチレンビスラウリン酸アミド、N ,N −エチレンビスステアリン酸アミド、N ,N −エチレンビスベヘン酸アミド、N ,N −キシリレンビスステアリン酸アミド、N ,N −ブチレンビスステアリン酸アミド、N ,N −ジオレイルアジピン酸アミド、N ,N −ジオレイルセバシン酸アミド、N ,N −ジステアリルセバシン酸アミド、N ,N −ジステアリルテレフタル酸アミド、N .N ´−2 −ヒドロキシエチルステアリン酸アミド、N .N ´−エチレンビスオレイン酸アミド、N .N ´−キシレンビスステアリン酸アミド、、ステアリン酸モノメチロールアミド、N −ステアリルステアリン酸アミド、N −オレイルパルミチン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミド、
フェナセチン、トルアミド、アセトアミドなどのアミド類;p −トルエンスルホンアミド、エチルベンゼンスルホンアミド、ブチルベンゼンスルホンアミドなどのスルホンアミド類;α−メチルナフタレン、β−メチルナフタレン、2 ,6−ジメチルナフタレンなどのアルキルナフタレン類;ジブチルナフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルアジペート、ジメチルテレフタレート、ベンジルベンゾエート、ナフタレン−2 ,6 −ジカルボン酸メチルエステルなどのカルボン酸エステル類;リン酸トリブチル、リン酸トリフェニルなどのリン酸エステル類;が挙げられる。
脂肪酸エステルアマイドとしてはCPH −380N が挙げられる。
脂肪酸エステルとしては一価または多価アルコール脂肪酸エステルが望ましい。例えば、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノベヘネート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート、プロピレングリコールモノステアレート、エチレングリコールジステアレート、ステアリン酸モノグリセライド、パルミチンモノグリセライド、オレイン酸モノグリセライド、ベヘニン酸モノグリセライドなどが挙げられる。
セロチン酸ミリシル、セロチン酸セリル、モンタン酸セリル、パルミチン酸ミリシル、ステアリン酸ミリシル、パルミチン酸セチル、ステアリン酸セチル等の高級脂肪酸の高級アルコールエステル類等も挙げられる。
ポリアミド類は、一般に芳香族ポリアミドとダイマー酸ポリアミドに大別されるが、本発明では特にダイマー(二量体)酸ベースのポリアミドが望ましい。さらに、このベースとなる酸がオレイン酸、リノール酸、リノレイン酸またはエレオステアリン酸であることが最適である。
グリセライドとしては、ロジンエステル、ラノリンエステル、硬化ひまし油、部分水添ひまし油、大豆油の極度硬化油、ナタネ油の極度硬化油、植物性極度硬化油などから選ばれる少なくても1 種または2 種以上を混合して用いることができる。
ワックス系としては、具体的にはパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油系ワックス、キャンデリラワックス、カルナバワックスに代表される植物系ワックス、ポリエチレンワックスや硬化ひまし油、ステアリン酸、ベヘン酸等の高級脂肪酸、および高級アルコール、ステアロン、ラウロン等のケトン、特に脂肪酸エステルアミド、飽和あるいは不飽和脂肪酸アミド、脂肪酸エステルが望ましい。
更に上記の脂肪酸、脂肪酸アミド、グリセライド、ワックス等他のインク成分と適応性である限り、考えられるどの組み合わせにおいても使用できる。
【0046】
インク組成物中のフタロシアン化合物の含有量は、用途、目的、フタロシアニン化合物の種類、インク組成、インクの印字濃度、目詰まり性にもよるが、インク組成物に対して、0.1〜50重量%、好ましくは1〜20重量%である。
フタロシアニン化合物の含有量が少ないと十分な記録画像を得ようとした際、多量のインクを必要とし、記録装置の印字ヘッドや記録紙に負荷がかかり、また、多いとフタロシアニン化合物が有機溶剤から析出し易くなりインク中に析出物を生じ、印字ヘッドの目詰まりや印字した時に滲み等を引き起こす。
また、本発明の油溶性インク或いは固体インクには、インクの色調を調製するために、その他の色素や、インク特性を損なわない程度に、公知の染料や顔料をエマルジョンあるいは微分散状態に処理したものを添加しても差し支えない。
【0047】
また、本発明の油溶性インク或いは固体インクには、従来使用されている種々の添加剤を必要に応じて加えることができる。例えば、バインダー樹脂、紫外線吸収剤、酸化防止剤、分散剤、分散安定剤、キレート化剤、水溶性ポリマー、マスキング剤、防かび剤、防腐剤、粘度調節剤、界面活性剤、表面張力調整剤、pH調整剤、比抵抗値調整剤、近赤外線吸収剤、浸透剤等の添加剤が挙げられる。
前記成分から構成される本発明の油溶性インク或いは固体インクは、インクジェット記録方式のインクとして使用する以外に、筆記用具等のインクとしても使用可能であり、記録特性、保存安定性、被記録材への定着性、記録画像の鮮明性、耐光性、耐水性等に優れたものである。
【0048】
分散型水性インクは、色素で着色した樹脂微粒子が水系溶媒中に分散した形態(エマルション)をとるが、本発明のフタロシアニン化合物、水、樹脂を主成分とし、必要により、その他の成分、例えば分散剤、乳化剤、その他の添加剤や助剤を用いてもよく、本発明に係る色素で着色された樹脂微粒子を水媒体中に分散し、乳化工程により乳化分散したエマルジョンの形態をとっている。マイクロエマルション重合法またはミニエマルション重合法等の手法を用いても良い。また、本発明の分散型水性インクは、必要に応じて、有機溶剤、添加剤等を含有していてもよい。本発明のフタロシアニン化合物は、単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよく、また、その他の構造の異なった色素を混合してもよい。
【0049】
本発明の分散型水性インクにおいて、樹脂微粒子を構成する樹脂としては、その表面にイオン性基を有するものであれば良く、例えば、ポリエステル系樹脂、ビニル重合体、ポリウレタン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル共重合体等の様々な樹脂を用いることができる。
【0050】
ポリエステル系樹脂としては、多価カルボン酸類と多価アルコール類から構成され、単独あるいは二種類以上組み合わせて重合させた樹脂等が挙げられる。多価カルボン酸類としては、特に限定されるものではなく、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、1,5−ナフタルレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェン酸、スルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、4−スルホフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7ジカルボン酸、5〔4−スルホフェノキシ〕イソフタル酸、スルホテレフタル酸、p−オキシ安息香酸、p−(ヒドロキシエトキシ)安息香酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、フマ−ル酸、マレイン酸、イタコン酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等の芳香族多価カルボン酸、芳香族オキシカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸等が挙げられ、これらは金属塩、アンモニウム塩等としても使用できる。
【0051】
多価アルコール類としては、特に限定されるものではなく、例えば、エチレングリコール、ラクトン系ポリエステルポリオール類等の脂肪族多価アルコール類、脂環族多価アルコール類、芳香族多価アルコール類等が挙げられる。また、前記の多価カルボン酸類と多価アルコール類との単独あるいは二種類以上組み合わせて重合させたポリエステル樹脂は、通常知られている末端封止可能な化合物を用いて、高分子鎖の末端の極性基を封止したものを使用することもできる。
【0052】
ビニル重合体、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル共重合体等の樹脂としては、特に限定されるものではなく、例えば、以下に挙げる重合性単量体から得られるものが挙げられる。この重合性単量体としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−クロルスチレン、ジビニルベンゼン等のビニル系芳香族炭化水素;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸n−ペンチル、アクリル酸イソペンチル、アクリル酸ネオペンチル、アクリル酸3−(メチル)ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ウンデシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−ペンチル、メタクリル酸イソペンチル、メタクリル酸ネオペンチル、メタクリル酸3−(メチル)ブチル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ウンデシル、メタクリル酸ドデシル等の(メタ)アクリル酸エステル系、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸;(メタ)アクリルアミド、N−置換マレイミド、無水マレイン酸、(メタ)アクリロニトリル、ビニルケトン、酢酸ビニル、塩化ビニリデン等の単独あるいは二種類以上組み合わせて重合させた樹脂等が挙げられる。
【0053】
ポリウレタン系樹脂としては、イソシアネート類とイソシアネート類と反応し得る官能基を有する化合物から構成され、単独あるいは二種類以上組み合わせて重合させた樹脂等が挙げられる。イソシアネート類としては、例えば、エチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、2,2−ジメチルペンタンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、ブテンジイソシアネート、1,3−ブタジエン−1,4−ジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカトリイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、1,8−ジイソシアナト−4−イソシアナトメチルオクタン、2,5,7−トリメチル−1,8−ジイソシアナト−5−イソシアナトメチルオクタン、ビス(イソシアナトエチル)カーボネート、ビス(イソシアナトエチル)エーテル、1,4−ブチレングリコールジプロピルエーテル−ω,ω’−ジイソシアネート、リジンジイソシアナトメチルエステル、リジントリイソシアネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート、2−イソシアナトプロピル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート、キシリレンジイソシアナート、ビス(イソシアナトエチル)ベンゼン、ビス(イソシアナトプロピル)ベンゼン、α,α、α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアナート、ビス(イソシアナトブチル)ベンゼン、ビス(イソシアナトメチル)ナフタレン、ビス(イソシアナトメチル)ジフェニルエーテル、ビス(イソシアナトエチル)フタレート、メシチレントリイソシアネート、2,6−ジ(イソシアナトメチル)フラン等の脂肪族ポリイソシアネート;
イソホロンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ジシクロヘキシルジメチルメタンジイソシアネート、2,2−ジメチルジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ビス(4−イソシアナト−n−ブチリデン)ペンタエリスリトール、ダイマ酸ジイソシアネート、2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−5−イソシアナトメチル−ビシクロ[2,2,1]−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−6−イソシアナトメチル−ビシクロ[2,2,1]−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−5−イソシアナトメチル−ビシクロ[2,2,1]−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−6−イソシアナトメチル−ビシクロ[2,2,1]−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−6−(2−イソシアナトエチル)−ビシクロ[2,2,1]−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−6−(2−イソシアナトエチル)−ビシクロ[2,1,1]−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−5−(2−イソシアナトエチル)−ビシクロ[2,1,1]−ヘプタン、2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−6−(2−イソシアナトエチル)−ビシクロ[2,2,1]−ヘプタン、ノルボルナンビス(イソシアナトメチル)等の脂環族ポリイソシアネート;
フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、エチルフェニレンジイソシアネート、イソプロピレンフェニレンジイソシアネート、ジメチルフェニレンジイソシアネート、ジエチルフェニレンジイソシアネート、ジイソプロピルフェニレンジイソシアネート、トリメチルベンゼントリイソシアネート、ベンゼントリイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、メチルナフタレンジイソシアネート、ビフェニルジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ビベンジル−4,4’−ジイソシアネート、ビス(イソシアナトフェニル)エチレン、3,3’−ジメトキシビフェニル−4−4’−ジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメリックMDI、ナフタレントリイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4,4’−トリイソシアネート、3−メチルジフェニルメタン−4,6,4’−トリイソシアネート、4−メチル−ジフェニルメタン−3,5,2’,4’,6’−ペンタイソシアネート、フェニルイソシアナトメチルイソシアネート、フェニルイソシアナトエチルイソシアネート、テトラヒドロナフチレンジイソシアネート、ヘキサヒドロベンゼンジイソシアネート、ヘキサヒドロジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネート、エチレングリコールジフェニルエーテルジイソシアネート、1,3−プロピレングリコールジフェニルエーテルジイソシアネート、ベンゾフェノンジイソシアネート、ジエチレングリコールジフェニルエーテルジイソシアネート、ジベンゾフランジイソシアネート、カルバゾールジイソシアネート、エチルカルバゾールジイソシアネート、ジクロロカルバゾールジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;
チオジエチルジイソシアネート、チオプロピルジイソシアネート、チオジヘキシルジイソシアネート、ジメチルスルフォンジイソシアネート、ジチオジメチルジイソシアネート、ジチオジエチルジイソシアネート、ジチオプロピルジイソシアネート、ジシクロヘキシルスルフィド−4,4’−ジイソシアネート等の含硫脂肪族イソシアネート;
ジフェニルスルフィド−2,4’−ジイソシアネート、ジフェニルスルフィド−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジイソシアナトジベンジルチオエーテル、ビス(4−イソシアナトメチルベンゼン)スルフィド、4、4’−メトキシベンゼンチオエチレングリコール−3,3’−ジイソシアネート等の芳香族スルフィド系イソシアネート;
ジフェニルジスルフィド−4,4’−ジイソシアネート、2,2’−ジメチルジフェニルジスルフィド−5,5’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルジスルフィド−5,5’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルジスルフィド−6,6’−ジイソシアネート、4,4’−ジメチルジフェニルジスルフィド−5,5’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシジフェニルジスルフィド−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジメトキシジフェニルジスルフィド−3,3’−ジイソシアネート等の芳香族ジスルフィド系イソシアネート;
ジフェニルスルホン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルスルホン−3,3’−ジイソシアネート、ベンジディンスルホン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタンスルホン−4,4’−ジイソシアネート、4−メチルジフェニルメタンスルホン−2,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジメトキシジフェニルスルホン−3,3’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジイソシアネートジベンジルスルホン、4,4’−ジメチルジフェニルスルホン−3,3’−ジイソシアネート、4,4’−ジ−tert−ブチルジフェニルスルホン−3,3’−ジイソシアネート、4,4’−メトキシベンゼンエチレンジスルホン−3,3’−ジイソシアネート、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン−3,3’−ジイソシアネート等の芳香族スルホン系イソシアネート;
4−メチル−3−イソシアナトベンゼンスルホニル−4’−イソシアナトフェノールエステル、4−メトキシ−3−イソシアナトベンゼンスルホニル−4’−イソシアナトフェノールエステル等のスルホン酸エステル系イソシアネート;
4−メチル−4’−イソシアネート、ジベンゼンスルホニル−エチレンジアミン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−メトキシベンゼンスルホニル−エチレンジアミン−3,3’−ジイソシアネート、4−メチル−3−イソシアナトベンゼンスルホニルアニリド−4−メチル−3’−イソシアネート等の芳香族スルホン酸アミド;
チオフェン−2,5−ジイソシアネート、チオフェン−2,5−ジイソシアナトメチル、1,4−ジチアン−2,5−ジイソシアネート、1,4−ジチアン−2,5−ジイソシアナトメチル等の含硫複素環化合物等が挙げられる。
【0054】
前記イソシアネート類と反応し得る官能基を有する化合物としては、例えば、以下のものが挙げられる。ポリオール化合物:エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ブタントリオール、1,2−メチルグリコサイド、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ソルビトール、エリスリトール、スレイトール、リビトール、アラビニトール、キシリトール、アリトール、マニトール、ドルシトール、イディトール、グリコール、イノシトール、ヘキサントリオール、トリグリセロース、ジグリセロール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラエチレンエーテルグリコール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、シクロブタンジオール、シクロペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘプタンジオール、シクロオクタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ヒドロキシプロピルシクロヘキサノール、トリシクロ[5,2,1,02,6 ]デカン−ジメタノール、ビシクロ[4,3,0]−ノナンジオール、ジシクロヘキサンジオール、トリシクロ[5,3,1,1]ドデカンジオール、ビシクロ[4,3,0]ノナンジメタノール、トリシクロ[5,3,1,1]ドデカン−エタノール、ヒドロキシプロピルトリシクロ[5,3,1,1]ドデカノール、スピロ[3,4]オクタンジオール、1,1’−ビシクロヘキシリデンジオール、シクロヘキサントリオール、マルチトール、ラクチトール等の脂肪族ポリオール;
ジヒドロキシナフタレン、トリヒドロキシナフタレン、テトラヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゼン、ベンゼントリオール、ビフェニルテトラオール、ピロガロール、(ヒドロキシナフチル)ピロガロール、トリヒドロキシフェナントレン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、キシリレングリコール、ジ(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、ビスフェノールA−ビス−(2−ヒドロキシエチルエーテル)、テトラブロムビスフェノールA、テトラブロムビスフェノールA−ビス−(2−ヒドロキシエチルエーテル)、ビスフェノールS等の芳香族ポリオール;
ジブロモネオペンチルグリコール等のハロゲン化ポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトン、ポリチオエーテルポリオール、ポリアセタールポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリチオエーテルポリオール、ポリブタジエンポリオール、フランジメタノールの他にシュウ酸、グルタミン酸、アジピン酸、酢酸、フタル酸、イソフタル酸、サリチル酸、ピロメリット酸等の有機酸と前記ポリオールとの縮合反応生成物、前記ポリオールとエチレンオキシドや、プロピレンオキシド等アルキレンオキシドとの付加反応生成物、アルキレンポリアミンとアルキレンオキシドとの付加反応生成物、2,2−ジメチロール乳酸、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロール吉草酸、3,4−ジアミノブタンスルホン酸、3,6−ジアミノ−2−トルエンスルホン酸、及びこれらのカプロラクトン変性品;
2−メルカプトエタノール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール、グリセリンジ(メルカプトアセテート)、1−ヒドロキシ−4−メルカプトシクロヘキサン、2,4−ジメルカプトフェノール、2−メルカプトハイドロキノン、4−メルカプトフェノール、1,3−ジメルカプト−2−プロパノール、2,3−ジメルカプト−1,3−ブタンジオール、ペンタエリスリトールトリス(3ーメルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールモノ(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールトリス(チオグリコレート)、ペンタエリスリトールペンタキス(3−メルカプトプロピオネート)、ヒドロキシメチル−トリス(メルカプトエチルチオメチル)メタン、1−ヒドロキシエチルチオ−3−メルカプトエチルチオベンゼン、4−ヒドロキシ−4’−メルカプトジフェニルスルフォン、2−(2−メルカプトエチルチオ)エタノール、ジヒドロキシエチルスルフィドモノ(3−メルカプトプロピオネート)、ジメルカプトエタンモノ(サルチレート)、ヒドロキシエチルチオメチル−トリス(メルカプトエチルチオ)メタン等が挙げられる。
【0055】
この他、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、シクロヘキシレンジアミン、ピペラジン、2−メチルピペラジン、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、α,α’−メチレンビス(2ークロルアニリン)3,3’−ジクロル−α,α’−ビフェニルアミン、m−キシレンジアミン、イソフォロンジアミン、N−メチル−3,3’−ジアミノプロピルアミン、ノルボルネンジアミン等に挙げられるポリアミノ化合物、ポリチオール化合物、セリン、リジン、ヒスチジン、等のα−アミノ酸、更にこれら上記の活性水素化合物のハロゲン置換体も使用することが出来る。これらはそれぞれ単独で用いることも、また2種類以上混合して用いても良い。これらの樹脂は、単独あるいは二種類以上混合させて用いることもできるが、なんらこれらに限定されるものではない。
【0056】
樹脂は、その表面にイオン性基を含有することによって優れた水分散性を発現する。このようなイオン性基としてはスルホン酸基、カルボン酸基、硫酸基、リン酸基、ホスホン酸基およびホスフィン酸基もしくはこれらのアルカリ金属塩基やアンモニウム塩基、または第1級〜第3級アミン基等を例示することができ、カルボン酸アルカリ金属塩基、カルボン酸アンモニウム塩基、スルホン酸アルカリ金属塩基およびスルホン酸アンモニウム塩基が好ましく、特にスルホン酸アルカリ金属塩基およびスルホン酸アンモニウム塩基が水分散安定性の点で好ましい。イオン性基の導入は、樹脂合成時にイオン性基を有する単量体を添加すればよい。例えば、ポリエステル系樹脂にイオン性基としてカルボン酸アルカリ金属塩基またはカルボン酸アンモニウム塩基を導入する場合には、ポリエステルの重合末期にトリメリット酸等の多価カルボン酸を系内に導入することにより、樹脂末端にカルボキシル基を付加し、さらにこれをアンモニア、水酸化ナトリウム等にて中和することによりカルボン酸塩の基に交換する方法を用いることができる。
【0057】
また、ポリエステル系樹脂微粒子にイオン性基としてスルホン酸アルカリ金属塩基またはスルホン酸アンモニウム塩基を導入する場合には、スルホン酸アルカリ金属塩基またはスルホン酸アンモニウム塩基を有するモノまたはジカルボン酸を系内に導入することにより、これらのイオン性基をポリエステル樹脂に導入することができる。塩としてはアンモニウム系イオン、Li、Na、K、Mg、Ca、Cu、Fe等が挙げられ、特に好ましいものはKまたはNaである。
【0058】
更に本発明の分散型水性インクは、本発明のフタロシアニン化合物と樹脂及び水を必須の成分として用いるエマルジョンであり、次の方法で製造できる。
▲1▼前記の重合性単量体にフタロシアニン化合物を溶解あるいは分散させた後、乳化重合を 行い、必要に応じて添加剤等を加えて均一溶解あるいは均一分散、さらに水を加えて水 分散体とし乳化を行う方法、
▲2▼重合を行い前記の樹脂を得た後、フタロシアニン化合物を直接添加し、必要に応じて添 加剤等を加えて均一溶解または均一分散、さらに水を加えて水分散体とし乳化を行う方 法、
▲3▼水溶性有機溶媒(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)や通常知られている造膜助剤(例えば、テキサノール、N,N−ジメチルピロリドン等)にインクジェット記録用色素を溶解あるいは分散させたものを、重合を行った前記の樹脂に加え、また、必要に応じて添加剤等を加えて均一溶解あるいは均一分散、さらに水を加えて水分散体とし乳化を行い、さらに必要に応じて水溶性有機溶媒を 留去する方法、
▲4▼水不溶性有機溶媒(例えば、トルエン等)にフタロシアニン化合物を溶解あるいは分散させたものを、重合を行った前記の樹脂に加え、また、必要に応じて添加剤等を加えて均一溶解あるいは均一分散、さらに水を加えて水分散体とし乳化を行い、さらに必要に応じて水不溶性有機溶媒を留去する方法、あるいは、
▲5▼前記の樹脂の水系分散体を得た後、フタロシアニン化合物を加えて、高温処理を行う高 温染色法等によって樹脂を着色し、着色した樹脂微粒子の水分散体の乳化を行う方法等 により製造される。なお、製造に際しては、不溶物を除去するため、メンブランフィルター等の微小孔径のフィルターで濾過することもある。
【0059】
乳化して得られた水系分散体中の着色樹脂微粒子(以下、色素で着色した樹脂微粒子を単に着色樹脂微粒子と言うこともある)は、平均粒径が0.01〜1μmであることが好ましく、さらに0.05〜0.8μmであることが特に好ましい。平均粒径が小さすぎると画像濃度の低下や耐水性の低下を引き起こす可能性があり、また、大きすぎるとインク中における分散安定性が低下して沈降物が生じ保存安定性が悪くなる問題や、ノズルの目詰まり等の問題を引き起こす可能性がある。
【0060】
着色樹脂微粒子中の色素の含有量は、用途、目的、色素の種類、インク組成、インクの印字濃度、目詰まり性にもよるが、樹脂中に、1〜90重量%、好ましくは5〜50重量%である。色素の含有量が少ないと十分な記録画像を得ようとした際、多量のインクを必要とし、記録装置の印字ヘッドや記録紙に負荷がかかり、また、多いと色素が樹脂粒子から析出し易くなりインク中に析出物を生じ、印字ヘッドの目詰まり等を引き起こす。また、本発明の分散型水性インクには、インクの色調を調製するために、その他の色素や、インク特性を損なわない程度に、公知の染料や顔料をエマルジョンあるいは微分散状態に処理したものを添加しても差し支えない。また、インク中の着色樹脂微粒子の含有量は1〜70重量%、好ましくは5〜50重量%である。
【0061】
本発明の分散型インクには、必要に応じて、インクの保湿性、表面張力、粘度、乾燥速度等を調整するために、水溶性有機溶媒を含有させることが可能である。水溶性有機溶媒としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、グリセリン、チオグリコール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等の多価アルコールエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の含窒素化合物、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール等のアルコール類、グリセリン等を用いることができる。これらの水溶性有機溶媒を含有させる場合には、インク全量に対して1〜20重量%含有させることが好ましい。
【0062】
また、インクの保存安定性を向上させるためにインクのpHを7〜10に調整することが好ましい。pH調整剤としては、NaHCO3、Na2B4O7 、エタノールアミン、ジエタノールアミンおよびトリエタノールアミン等のアルカノールアミン、水酸化カリウム及び水酸化リチウム等のアルカリ金属の水酸化物等が挙げられる。
【0063】
また、本発明の分散型水性インクには、従来使用されている種々の添加剤を必要に応じて加えることができる。例えば、バインダー樹脂、紫外線吸収剤、酸化防止剤、分散剤、分散安定剤、キレート化剤、水溶性ポリマー、マスキング剤、防かび剤、防腐剤、粘度調節剤、界面活性剤、表面張力調整剤、pH調整剤、比抵抗値調整剤、近赤外線吸収剤、浸透剤等の添加剤が挙げられる。
【0064】
なお、本発明のフタロシアニン化合物は、特にインクジェット用インクに好適であるが、他の用途に使用しても構わない。具体的には、他の各種インク用途のみならず、該化合物は黒色として良好な色相を示すので、電子写真用黒色トナー等にも用いることができる。また、該色素を溶融状態あるいは分散状態にすることで、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂の着色剤、染料、塗料などにも用いても良い。
【0065】
【実施例】
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は重量部を示す。
合成例1
C.I.ピグメントグリーン7(フタロシアニングリーン)(70g, 62mmol)、2−アミノエタンチオール(96g, 1240mmol, 20eq)、炭酸カリウム(309g, 2230mmol, 36eq)をジメチルホルムアミド(2000ml)中、130℃で3時間反応させた。この反応液を室温に冷却後、メタノール(5000ml)中に排出し、析出物を吸引濾過により回収後、メタノール洗浄、水洗後、乾燥させ、下記式(5)のフタロシアニン化合物を含有する黒色混合物(45g)を得た。
【0066】
【化7】
【0067】
合成例2
C.I.ピグメントグリーン7(フタロシアニングリーン)(70g, 62mmol)、2−アミノチオフェノール(155g, 1240mmol, 20eq)、炭酸カリウム(309g, 2230mmol, 36eq)をジメチルホルムアミド(2000ml)中、130℃で3時間反応させた。この反応液を室温に冷却後、メタノール(5000ml)中に排出し、析出物を吸引濾過により回収後、メタノール洗浄、水洗後、乾燥させ、下記式(6)のフタロシアニン化合物を含有する黒色混合物(75g)を得た。
【0068】
【化8】
【0069】
合成例3
C.I.ピグメントグリーン7(フタロシアニングリーン)(70g, 62mmol)、2−アミノフェノール(135g, 1240mmol, 20eq)、炭酸カリウム(309g, 2230mmol, 36eq)をジメチルホルムアミド(2000ml)中、130℃で3時間反応させた。この反応液を室温に冷却後、メタノール(5000ml)中に排出し、析出物を吸引濾過により回収後、メタノール洗浄、水洗後、乾燥させ、下記式(7)のフタロシアニン化合物を含有する黒色混合物(70g)を得た。
【0070】
【化9】
【0071】
合成例4
C.I.ピグメントグリーン7(フタロシアニングリーン)(7.0g, 6.2mmol)、L−システイン(2−アミノ−3−メルカプトプロピオン酸(15.0g, 124mmol, 20eq)、炭酸カリウム(30.9g, 223mmol, 36eq)をジメチルホルムアミド(200ml)中、130℃で3時間反応させた。この反応液を室温に冷却後、メタノール(800ml)中に排出し、析出物を吸引濾過により回収した。更に混合物は、冷10%塩酸水溶液(200ml)中に排出し、析出物を再度吸引濾過により回収後、メタノール洗浄、水洗後、乾燥させ、下記式(8)のフタロシアニン化合物を含有する黒色混合物(7.5g)を得た。
【0072】
【化10】
【0073】
合成例5
合成例1で得られたフタロシアニン化合物(6)(5.0g)をピリジン(100ml)溶媒中、クロロ酢酸(4.8g)を加えて90℃で1時間反応させた。反応混合物は、メタノール(500ml)中に排出し、析出物を吸引濾過により回収した。更に混合物は、冷10%塩酸水溶液(200ml)中に排出し、析出物を再度吸引濾過により回収後、メタノール洗浄、水洗後、乾燥させ、下記式(9)のフタロシアニン化合物を含有する黒色混合物(4.0g)を得た。
【0074】
【化11】
【0075】
合成例6
合成例1で得られたフタロシアニン化合物(6)(5.0g)をピリジン(100ml)溶媒中、エチル琥珀酸クロリド(8.4g)を加えて90℃で1時間反応させた。反応混合物は冷却し、10%水酸化ナトリウム水溶液(50g)を加えて室温で2時間撹拌後、メタノール(500ml)中に排出し、析出物を吸引濾過により回収した。更に混合物は、冷10%塩酸水溶液(200ml)中に排出し、析出物を再度吸引濾過により回収後、メタノール洗浄、水洗後、乾燥させ、下記式(10)のフタロシアニン化合物を含有する黒色混合物(4.5g)を得た。
【0076】
【化12】
【0077】
合成例7
合成例1で得られたフタロシアニン化合物(6)(5.0g)をピリジン(100ml)溶媒中、1,3−プロパンスルトン(6.2g)を加えて90℃で1時間反応させた。反応混合物はメタノール(500ml)中に排出し、析出物を吸引濾過により回収した。更に混合物は、少量の蒸留水に溶解し、苛性ソーダ水溶液でpH8に中和後、イソプロパノールに排出した。析出物を再度吸引濾過により回収後、メタノール洗浄、乾燥させ、下記式(11)のフタロシアニン化合物を含有する黒色混合物(3.0g)を得た。
【0078】
【化13】
【0079】
合成例8
合成例1で得られたフタロシアニン化合物(6)(5.0g)をピリジン(100ml)溶媒中、2−エチルヘキサノイルクロリド(5.8g)を加えて90℃で1時間反応させた。反応混合物は、メタノール(500ml)中に排出し、析出物を吸引濾過により回収後、メタノール洗浄、水洗後、乾燥させ、下記式(12)のフタロシアニン化合物を含有する黒色混合物(8.2g)を得た。
【0080】
【化14】
【0081】
合成例9
合成例2で得られたフタロシアニン化合物(7)(6.0g)をピリジン(100ml)溶媒中、クロロ酢酸(4.2g)を加えて90℃で1時間反応させた。反応混合物は、メタノール(500ml)中に排出し、析出物を吸引濾過により回収した。更に混合物は、冷10%塩酸水溶液(200ml)中に排出し、析出物を再度吸引濾過により回収後、メタノール洗浄、水洗後、乾燥させ、下記式(13)のフタロシアニン化合物を含有する黒色混合物(6.0g)を得た。
【0082】
【化15】
【0083】
合成例10
合成例2で得られたフタロシアニン化合物(7)(6.0g)をピリジン(100ml)溶媒中、エチル琥珀酸クロリド(7.2g)を加えて90℃で1時間反応させた。反応混合物は冷却し、10%水酸化ナトリウム水溶液(50g)を加えて室温で2時間撹拌後、メタノール(500ml)中に排出し、析出物を吸引濾過により回収した。更に混合物は、冷10%塩酸水溶液(200ml)中に排出し、析出物を再度吸引濾過により回収後、メタノール洗浄、水洗後、乾燥させ、下記式(14)のフタロシアニン化合物を含有する黒色混合物(5.5g)を得た。
【0084】
【化16】
【0085】
合成例11
合成例2で得られたフタロシアニン化合物(7)(6.0g)をピリジン(100ml)溶媒中、1,3−プロパンスルトン(5.4g)を加えて90℃で1時間反応させた。反応混合物はメタノール(500ml)中に排出し、析出物を吸引濾過により回収した。更に混合物は、少量の蒸留水に溶解し、苛性ソーダ水溶液でpH8に中和後、イソプロパノールに排出した。析出物を再度吸引濾過により回収後、メタノール洗浄、乾燥させ、下記式(15)のフタロシアニン化合物を含有する黒色混合物(4.0g)を得た。
【0086】
【化17】
【0087】
合成例12
合成例2で得られたフタロシアニン化合物(7)(6.0g)をピリジン(100ml)溶媒中、2−エチルヘキサノイルクロリド(5.1g)を加えて90℃で1時間反応させた。反応混合物は、メタノール(500ml)中に排出し、析出物を吸引濾過により回収後、メタノール洗浄、水洗後、乾燥させ、下記式(16)のフタロシアニン化合物を含有する黒色混合物(8.8g)を得た。
フタロシアニン化合物(16)の吸収スペクトルを下記に示す。
【0088】
【化18】
【0089】
【表10】
【0090】
合成例13
合成例3で得られたフタロシアニン化合物(8)(6.0g)をピリジン(100ml)溶媒中、エチル琥珀酸クロリド(8.0g)を加えて90℃で1時間反応させた。反応混合物は冷却し、10%水酸化ナトリウム水溶液(50g)を加えて室温で2時間撹拌後、メタノール(500ml)中に排出し、析出物を吸引濾過により回収した。更に混合物は、冷10%塩酸水溶液(200ml)中に排出し、析出物を再度吸引濾過により回収後、メタノール洗浄、水洗後、乾燥させ、下記式(17)のフタロシアニン化合物を含有する黒色混合物(5.0g)を得た。
【0091】
【化19】
【0092】
合成例14
25%発煙硫酸(16g)と98%硫酸(10g)の混合液中に、合成例3で得られたフタロシアニン化合物(8)(6.0g)30℃以下でゆっくり加え、65℃で8時間反応させた。反応終了後、反応液は氷水中に排出し、食塩を加えて析出物を得た。吸引濾過にて析出物を集めて、30%苛性ソーダを加えて中和(pH8)した。メタノールを加えて析出した結晶を再度吸引濾過にて集めて90%メタノールで洗浄し後、乾燥させ、下記式(18)のフタロシアニン化合物を含有する黒色混合物(4.0g)を得た。
フタロシアニン化合物(18)の吸収スペクトルを下記に示す。
【0093】
【化20】
【表11】
【0094】
溶解型水性インクの評価
実施例1
<インクの調製>
下記に示す組成にて、フタロシアニン化合物を混合溶解させた(10%苛性ソーダ水を加えてpH8.0に調整)後、孔径0.45ミクロンのテフロン(登録商標)フィルターで濾過してインクを調製した。
<インクの組成>
合成例14のフタロシアニン化合物(18) 5部
グリセリン 5部
ジエチレングリコール 5部
N−メチル−2−ピロリドン 5部
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 10部
イオン交換水 70部
<特性の評価>
上記で調製したインクを用い、ピエゾ方式インクジェットプリンター用インクカートリッジに充填し、同方式プリンターにより印字及び画像記録を行い、下記の項目について試験を行った。その結果、(A)耐湿性評価;○、(B)耐光性評価;○、(C)インクの保存安定性評価;○と良好であった。
なお、各試験項目の評価基準は下記の通りである。
(A)耐湿性評価
画像記録された普通紙を、40℃、湿度85%の条件下、24時間放置したのちの記録画像の状態を目視により耐湿性評価を行った。
評価基準
画像の変化なく問題なし;○
記録画像のエッジ部で変化が見られるが問題ないレベル;△
記録画像のエッジ部で色素のブリードがあり問題あり;×
(B)耐光性評価
キセノンフェードメーター(スガ試験機社製)を用い、照射前と100時間照射した後の印字濃度(OD値)を反射濃度計(マクベス社製)を用いて測定し、下記式で算出したOD1の値を比較して耐光性評価を行った。(OD値は550nmにおける測定値を表す。)
OD1=(照射後のOD値)/(照射前のOD値)×100(%)
評価基準
OD1が100%〜80%以上 ;○
OD1が80%未満〜50%以上;△
OD1が50%未満;×
(C)インクの保存安定性評価
40℃で1ヶ月間保存後のインクの状態を目視にて観察した。
評価基準
問題なし;○
不溶解物が存在するが、使用には問題ないレベル;△
不溶解物が存在し使用に問題あるレベル;×
【0095】
実施例2
<インクの調製>
下記に示す組成にて、フタロシアニン化合物を混合溶解させた(10%苛性ソーダ水を加えてpH8.0に調整)後、孔径0.45ミクロンのテフロン(登録商標)フィルターで濾過してインクを調製した。
<インクの組成>
合成例5のフタロシアニン化合物(9) 5部
ジエチレングリコールモノエチルエーテル 10部
ジエチレングリコール 10部
N,N−ジメチル−2−イミダゾリジノン 5部
尿素 5部
イオン交換水 65部
実施例1と同様に評価したところ、(A)耐湿性評価;○、(B)耐光性評価;○、(C)インクの保存安定性評価;○と良好であった。
【0096】
実施例3
フタロシアニン化合物を合成例6で製造した(10)を使った以外は、実施例1と同様にインクを調整し、評価したところ、(A)耐湿性評価;○、(B)耐光性評価;○、(C)インクの保存安定性評価;○と良好であった。
【0097】
実施例4
フタロシアニン化合物を合成例7で製造した(11)を使った以外は、実施例1と同様にインクを調整し、評価したところ、(A)耐湿性評価;○、(B)耐光性評価;○、(C)インクの保存安定性評価;○と良好であった。
【0098】
実施例5
フタロシアニン化合物を合成例10で製造した(14)を使った以外は、実施例1と同様にインクを調整し、評価したところ、(A)耐湿性評価;○、(B)耐光性評価;○、(C)インクの保存安定性評価;○と良好であった。
【0099】
実施例6
フタロシアニン化合物を合成例11で製造した(15)を使った以外は、実施例1と同様にインクを調整し、評価したところ、(A)耐湿性評価;○、(B)耐光性評価;○、(C)インクの保存安定性評価;○と良好であった。
【0100】
比較例1
フタロシアニン化合物の代わりに、ジスアゾ黒色色素、C.I. Acid Black 1を使った以外は、実施例1と同様にインクを調整し、評価したところ、(A)耐湿性評価;△、(B)耐光性評価;×、(C)インクの保存安定性評価;○であり、本願発明のフタロシアニン化合物と比較して耐光性が著しく劣った。
【0101】
油溶性インクの評価
実施例7
<インクの調製>
下記に示す組成にて、フタロシアニン化合物を混合溶解させた後、1μmのメンブランフィルターを通してインクを作製した。
<インクの組成>
合成例8のフタロシアニン化合物(12) 5部
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 10部
トルエン 85部
<特性の評価>
調製したインクを用い、ピエゾ方式インクジェットプリンター用インクカートリッジに充填し、同方式プリンターにより印字及び画像記録を行い、実施例1と同様に評価したところ、(A)耐湿性評価;○、(B)耐光性評価;○、(C)インクの保存安定性評価;○と良好であった。
【0102】
実施例8
下記に示す組成にて、フタロシアニン化合物を混合溶解させた後、1μmのメンブランフィルターを通してインクを作製した。
<インクの組成>
合成例12のフタロシアニン化合物(16) 5部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 50部
メチルイソブチルケトン 45部
<特性の評価>
調製したインクを用い、ピエゾ方式インクジェットプリンター用インクカートリッジに充填し、同方式プリンターにより印字及び画像記録を行い、実施例1と同様に評価したところ、(A)耐湿性評価;○、(B)耐光性評価;○、(C)インクの保存安定性評価;○と良好であった。
【0103】
実施例9
フタロシアニン化合物を合成例13で製造した(17)を使った以外は、実施例7と同様にインクを調整し、評価したところ、(A)耐湿性評価;○、(B)耐光性評価;○、(C)インクの保存安定性評価;○と良好であった。
【0104】
比較例2
フタロシアニン化合物の代わりに、黒色色素、C.I. Solvent Black 5を使った以外は、実施例1と同様にインクを調整し、評価したところ、(A)耐湿性評価;○、(B)耐光性評価;×、(C)インクの保存安定性評価;△であり、本願発明のフタロシアニン化合物と比較して耐光性が著しく劣った。
【0105】
分散型水性インクの評価
実施例10
温度計、攪拌機を備えたオートクレーブ中に、ジメチルテレフタレート180部、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチルエステル10部、エチレングリコール130部、トリシクロデカンジメタノール25部、テトラブトキシチタネート0.1部を装入し、180〜220℃で約3時間加熱してエステル交換反応を行った。次いで、反応混合物を240℃まで加熱した後、オートクレーブ内の圧力を10mmHgまでゆっくりと下げ、1時間反応を続けた。オートクレーブ内の圧力を大気圧までもどし、共重合ポリエステル樹脂を得た。次に、得られたポリエステル樹脂100部、メチルエチルケトン150部、テトラヒドロフラン150部、合成例12で製造したフタロシアニン化合物(16)10部を混合した後、イオン交換水600部を添加し、さらに混合した。この混合物を0.8ミクロンのメンブランフィルターで濾過し、加熱して溶剤を留去させた。冷却後、イオン交換水を加えて固形分濃度を20重量%とし、着色樹脂微粒子分散液を得た。分散液中に分散している微小樹脂粒子は平均粒径0.1μmを有する黒色に着色された樹脂の微小粒子であった。特性の評価該着色樹脂微粒子分散液にグリセリンおよびイオン交換水を添加し、固形分20重量%を含有する水系インクを得た。
この水系インクを用い、ピエゾ方式インクジェットプリンター用インクカートリッジに充填し、同方式プリンターにより印字及び画像記録を行い、実施例1と同様に評価したところ、(A)耐湿性評価;○、(B)耐光性評価;○、(C)インクの保存安定性評価;○と良好であった。
【0106】
実施例11
温度計、攪拌機を備えたオートクレーブ中に、ジメチルテレフタレート 150部、ジメチルイソフタレート 50部、5ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチルエステル5部、エチレングリコール 150部、ネオペンチルグリコール250部、テトラブトキシチタネート 0.1部を装入し、180〜220℃で約3時間加熱してエステル交換反応を行った。次いで、反応混合物を240℃まで加熱した後、オートクレーブ内の圧力を10mmHgまでゆっくりと下げ、1時間反応を続けた。オートクレーブ内の圧力を大気圧までもどし、共重合ポリエステル樹脂を得た。次に、得られたポリエステル樹脂100部、メチルエチルケトン150部、テトラヒドロフラン150部、合成例13で製造したフタロシアニン化合物(17)10部を混合した後、イオン交換水600部を添加し、さらに混合した。この混合物を0.8ミクロンのメンブランフィルターで濾過し、加熱して溶剤を留去させた。冷却後、イオン交換水を加えて固形分濃度を20重量%とし、着色樹脂微粒子分散液を得た。分散液中に分散している微小樹脂粒子は平均粒径0.1μmを有する黒色に着色された樹脂の微小粒子であった。該着色樹脂微粒子分散液にグリセリンおよびイオン交換水を添加し、固形分20重量%を含有する水系インクを得た。
実施例10と同様に評価したところ、(A)耐湿性評価;○、(B)耐光性評価;○、(C)インクの保存安定性評価;○と良好であった。
【0107】
実施例12
温度計、撹拌機、還流冷却管、滴下装置、および窒素導入管を備えた反応容器に、イオン交換水900部 を装入し、窒素置換を十分に行った。70 ℃まで加熱した後、過硫酸カリウム2部 を装入した。次に、滴下装置中のイオン交換水70部 、ラウリル硫酸ナトリウム1 .0部 にスチレン53部 、ブチルアクリレート59部 、グリシジルメタクリレート48部 、t −ドデシルメルカプタン0 .16部 からなる混合物を、反応容器へ2 時間かけて徐々に滴下した。滴下終了後、2 時間熟成させた。次に、過硫酸アンモニウム2部 、イオン交換水20部 からなる水溶液を反応容器へ装入し、滴下装置中のイオン交換水300部 、ラウリル硫酸ナトリウム2部 、アクリルアミド16部 にスチレン298部 、ブチルアクリレート297部 、メタクリル酸29部 、エチレングリコールジメタクリレート10部 、およびt −ドデシルメルカプタン0 .65部からなる混合物を反応容器へ3 時間かけて滴下した。滴下終了後、3 時間熟成させた。室温まで冷却した後、イオン交換水とアンモニア水を装入して水性アクリル樹脂を得た。得られた水性アクリル樹脂100部、メチルエチルケトン150部、テトラヒドロフラン150部、合成例8で製造したフタロシアニン化合物(12)10部を混合した後、イオン交換水600部を添加し、さらに混合した。この混合物を0.8ミクロンのメンブランフィルターで濾過し、加熱して溶剤を留去させた。冷却後、イオン交換水を加えて固形分濃度を20重量%とし、着色樹脂微粒子分散液を得た。分散液中に分散している微小樹脂粒子は平均粒径0.1μmを有するマゼンタ色に着色された樹脂の微小粒子であった。該着色樹脂微粒子分散液にグリセリンおよびイオン交換水を添加し、固形分20重量%を含有する水系インクを得た。実施例10と同様に評価したところ、(A)耐湿性評価;○、(B)耐光性評価;○、(C)インクの保存安定性評価;○と良好であった。
【0108】
比較例3
フタロシアニン化合物の代わりに、黒色色素、C.I. Solvent Black 5を使った以外は、実施例10と同様にインクを調整しようと試みたが、色素の溶解度が低く乳化出来なかった。
【0109】
【本発明の効果】
本発明のフタロシアニン化合物は、さらには耐候性、保存安定性にも優れ、かつインク溶媒への溶解性が高く、特にインクジェット用インク用途として有用である。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a novel black ink, and more particularly to a black ink suitable for an ink jet recording system.
[0002]
[Prior art]
Ink used for writing instruments or inkjet recording systems is basically composed of pigments, water and organic solvents, but water is mainly used in consideration of odor, safety to the human body and the surrounding environment. Water-based ink as a solvent is the mainstream, and water-soluble acidic dyes, direct dyes, and the like are put to practical use as pigments. In this regard, various characteristics are required for dyes and inks.
In particular, the black ink used in the recording liquid of the ink jet recording system has various required characteristics as described below, but the current situation is that it does not satisfy all the requirements.
(1) Appropriate physical properties such as ink viscosity, surface tension, specific conductivity, density, and pH.
(2) The ink has good long-term storage stability.
(3) The dissolution stability of the dissolved component is high and the nozzle is not clogged.
(4) Quick drying on the recording material is good.
(5) The recorded image is clear, free from bleeding, and has good light resistance, water resistance, and moisture resistance.
Examples of conventionally known black dyes include disazo dyes disclosed in Acid Black 1 and Patent Document 1, metal chelate azo dyes disclosed in Patent Document 2, and Patent Document 3 or the like. Examples of trisazo dyes. However, these azo dyes are still insufficient in terms of fastness such as light resistance.
As described above, the characteristics of the ink used in the ink jet recording method are greatly affected by the characteristics inherent to the dye, and the creation of the dye and ink satisfying these various conditions is extremely important.
[0003]
[Patent Document 1]
JP 2003-138155 A
[Patent Document 2]
JP 2002-30229 A
[Patent Document 3]
Japanese Patent Laid-Open No. 5-93143
[0004]
[Problems to be solved by the invention]
An object of the present invention is to provide a novel phthalocyanine compound having high light resistance, a black ink that retains the characteristics of the coloring matter, ink jet recording that has high image quality, no bleeding, and excellent storage stability, light resistance, and moisture resistance It is to provide an ink useful as a recording liquid of a method.
[0005]
[Means for Solving the Problems]
As a result of intensive studies to solve the above problems, the present inventors have found that the phthalocyanine compound of the present invention has high light resistance and can be used as a black dye, and ink using the dye also has excellent light resistance. The present inventors have found that the characteristics can be exhibited with the present invention and have completed the present invention. That is, the present invention relates to (1) a black ink containing a phthalocyanine compound represented by the following general formula (1).
[0006]
[Chemical 3]
[0007]
[Wherein, A1 to A16 each independently represent a hydrogen atom, a halogen atom, a substituent via a carbon atom, a substituent via an oxygen atom, a substituent via a nitrogen atom, or a substituent via a sulfur atom, and are adjacent to each other. The substituent may form a ring. However, at least one of A1 to A16 is a substituent via a nitrogen atom. M represents a divalent metal atom, a trivalent or tetravalent substituted metal atom, or an oxy metal. ]
(2) A black ink in which at least one pair of adjacent substituents among A1 to A16 in the general formula (1) forms a ring.
(3) A phthalocyanine compound represented by the following general formula (2).
[0008]
[Formula 4]
[0009]
Wherein R1 to R16 and Y1 to Y6 are each independently a hydrogen atom, a hydrogen atom, a halogen atom, a substituent via a carbon atom, a substituent via an oxygen atom, a substituent via a nitrogen atom, or a substitution via a sulfur atom. X1 to X4 each independently represents an oxygen atom or a sulfur atom, and M represents a divalent metal atom, a trivalent or tetravalent substituted metal atom, or an oxymetal. m, n, o, and p each represent an integer of 0 to 10, m / 2 + n + o / 2 + p does not exceed 16, and m and o are not 0 at the same time. At least one of R1 to R16 and Y1 to Y6 is a substituent that imparts water solubility. ]
(4) An inkjet black ink comprising at least one phthalocyanine compound described in (3).
[0010]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
In the phthalocyanine compound represented by the general formula (1) of the present invention,
In the formula, A1 to A16 each independently represent a hydrogen atom, a halogen atom, a substituent via a carbon atom, a substituent via an oxygen atom, a substituent via a nitrogen atom, or a substituent via a sulfur atom, and adjacent substitutions The group may form a ring. At least one of A1 to A16 is a substituent via a nitrogen atom. When a nitrogen atom is directly introduced into the phthalocyanine ring, the phthalocyanine compound becomes more suitable as a component of a black ink that is more neutral and has a high color density. M represents a divalent metal atom, a trivalent or tetravalent substituted metal atom, or an oxy metal.
[0011]
Examples of the halogen atom include fluorine, chlorine, bromine and iodine. Examples of the substituent via a carbon atom include a methyl group, an ethyl group, a vinyl group, a propyl group, a propenyl group, a phenyl group, a benzyl group, a methoxymethyl group, a phenoxymethyl group, a phenylaminomethyl group, a methoxyethyl group, and an ethoxycarbonyl group. Methylcarbonyl group, carboxylic acid or a salt thereof, and the like. Examples of the substituent via an oxygen atom include a hydroxyl group, a methoxy group, an ethoxy group, a propoxy group, a butoxy group, an acetoxy group, a phenoxy group, a benzoyloxy group, an aminoethoxy group, an aminophenoxy group, a methoxyphenoxy group, or Table 1. And the described substituents. Examples of the substituent via a nitrogen atom include a methylamino group, an ethylamino group, a propylamino group, a butylamino group, an acetylamino group, a phenylamino group, a benzoylamino group, a phenylazo group, or a substituent described in Table-2. Is given. Examples of the substituent via a sulfur atom include a methylthio group, an ethylthio group, a propylthio group, a butylthio group, a phenylthio group, a sulfonic acid or a salt thereof, or a substituent described in Table-3. The substituents that the adjacent substituents may form a ring preferably form a six-membered ring via a hetero atom, and examples thereof include the substituents described in Table-4. As the metal represented by M, Cu, Zn, Fe, Co, Ni, Al—Cl, Al—Br, Al—F, Ga—Cl, Ga—F, Tl—Cl, Tl—Br, Mn (OH ) 2, Sn (OH) 2, VO, MnO, TiO and the like. Among these, particularly preferred M is Cu, Pd, AlCl, TiO, or VO.
[0012]
[Table 1]
[0013]
[Table 2]
[0014]
[Table 3]
[0015]
[Table 4]
[0016]
[Table 5]
[0017]
[Table 6]
[0018]
[Table 7]
[0019]
[Table 8]
[0020]
Furthermore, as a phthalocyanine compound, it is preferable that at least one adjacent substituent among the substituents A1 to A16 forms a ring. When adjacent substituents form a ring, the phthalocyanine ring is distorted, and the phthalocyanine compound becomes more suitable as a component of a black ink that is more neutral and has a high color density. In addition, it is a compound in which at least one, more preferably two or more, more preferably four or more adjacent substituents form a six-membered ring via a hetero atom.
[0021]
The black ink of the present invention is a soluble water-based ink in which water is a main component and a phthalocyanine compound is dissolved, an oil-soluble ink mainly composed of an organic solvent, a wax-type solid ink, and an emulsion-type dispersion-type water-based ink colored with resin fine particles. For example, when it is used as a soluble water-based ink mainly composed of water, a substituent imparting water solubility is required. A particularly preferred phthalocyanine compound for use as a soluble water-based ink is a phthalocyanine compound represented by the following general formula (2).
[0022]
[Chemical formula 5]
[0023]
In the formula, R1 to R16 and Y1 to Y6 are each independently a hydrogen atom, a hydrogen atom, a halogen atom, a substituent via a carbon atom, a substituent via an oxygen atom, a substituent via a nitrogen atom, or a substituent via a sulfur atom. X1 to X4 each independently represents an oxygen atom or a sulfur atom, and M represents a divalent metal atom, a trivalent or tetravalent substituted metal atom, or an oxymetal. m, n, o, and p each represent an integer of 0 to 10, m / 2 + n + o / 2 + p does not exceed 16, and m and o are not 0 at the same time. At least one of R1 to R16 and Y1 to Y6 is a substituent that imparts water solubility.
[0024]
Examples of the halogen atom represented by R1 to R16 and Y1 to Y6 include fluorine, chlorine, bromine and iodine. Examples of substituents via carbon atoms include methyl, ethyl, vinyl, propyl, propenyl, octyl, stearyl, oleyl, phenyl, benzyl, methoxymethyl, phenoxymethyl, and phenylaminomethyl. Group, methoxyethyl group, 2,3-dihydroxypropyl group, ethoxycarbonylmethyl group, ethoxycarbonyl group, methylcarbonyl group, ethylcarbonyl group, propylcarbonyl group, octylcarbonyl group, benzoyl group, methoxybenzoyl group, hydroxycarbonylmethyl group And salts thereof, aminocarbonylmethyl group, diethylaminocarbonylmethyl group, carboxylic acid or salt thereof, alkyl group substituted by sulfonic acid or salt thereof, aryl group substituted by sulfonic acid or salt thereof, and the like. Examples of the substituent via an oxygen atom include a hydroxyl group, a methoxy group, an ethoxy group, a propoxy group, a butoxy group, an acetoxy group, a phenoxy group, a benzoyloxy group, an aminoethoxy group, an aminophenoxy group, and a methoxyphenoxy group. Examples of the substituent via a nitrogen atom include an amino group, a methylamino group, an ethylamino group, a propylamino group, a butylamino group, an acetylamino group, a phenylamino group, and a benzoylamino group. Examples of the substituent via a sulfur atom include a methylthio group, an ethylthio group, a propylthio group, a butylthio group, a phenylthio group, a sulfonic acid or a salt thereof.
[0025]
More preferable substituents for R1 to R8 are a hydrogen atom, an alkyl group having 1 to 6 carbon atoms, a carboxylic acid or a salt thereof, a sulfonic acid or a salt thereof. Particularly preferred substituents are a hydrogen atom, a carboxylic acid or a salt thereof.
[0026]
More preferable substituents as R9 to R16 include a hydrogen atom, a hydroxyl group, an amino group, an alkyl group having 1 to 6 carbon atoms, an alkoxy group having 1 to 6 carbon atoms, an aryl group having 6 to 12 carbon atoms, and 6 to 6 carbon atoms. 12 aryloxy groups, C1-C6 alkylamino groups, C2-C16 dialkylamino groups, C6-C12 arylamino groups, C7-C18 alkylarylamino groups, C12 -24 diarylamino groups, carboxylic acids or salts thereof, sulfonic acids or salts thereof. Particularly preferred substituents are a hydrogen atom, a hydroxyl group, an amino group, a carboxylic acid or a salt thereof, a sulfonic acid or a salt thereof.
[0027]
More preferable substituents as Y1 to Y6 include a hydrogen atom, a substituted or unsubstituted alkyl group having 1 to 18 carbon atoms, a substituted or unsubstituted aryl group having 6 to 12 carbon atoms, an aminocarbonyl group, and 2 to 2 carbon atoms. 18 alkylcarbonyl groups, carboxylic acids or salts thereof, sulfonic acids or salts thereof. Particularly preferred substituents include a hydrogen atom, a hydroxycarbonylmethyl group or a salt thereof, an alkyl group having 1 to 6 carbon atoms substituted by sulfonic acid or a salt thereof, an aryl group having 6 to 12 carbon atoms substituted by sulfonic acid, or a salt thereof. A salt, 2,3-dihydroxypropane, carboxylic acid or a salt thereof.
[0028]
The substituent that imparts water solubility is a substituent that can form a salt with an alkali metal or an amine to add water solubility, and preferred substituents include a hydroxyl group or a carboxylic acid or a salt thereof, a sulfonic acid or a salt thereof. More preferably, it is a substituent containing a carboxylic acid or a salt thereof, or a sulfonic acid or a salt thereof. Carboxylic acid and sulfonic acid may be mixed, or different types of substituents may be mixed. Specific examples include the compounds described in Table-5. At least one substituent for imparting water solubility is required. Two or more are preferable, and four or more are more preferable.
[0029]
[Table 9]
[0030]
As the metal represented by M, Cu, Zn, Fe, Co, Ni, Al—Cl, Al—Br, Al—F, Ga—Cl, Ga—F, Tl—Cl, Tl—Br, Mn (OH ) 2, Sn (OH) 2, VO, MnO, TiO and the like. Among these, particularly preferable M is Cu, Pd, AlCl, TiO, or VO.
[0031]
The production of the phthalocyanine compound of the present invention is not particularly limited. For example, the phthalodinitrile and the 1,3-diaminoisoindoline compound represented by the following general formula (3) or (4) are used alone or Several kinds of mixtures are reacted with a metal chloride represented by M in formula (1) or (2), oxide, acetate, etc. in a suitable solvent using a basic catalyst as required. Can be obtained.
[0032]
[Chemical 6]
[0033]
[A in the general formulas (3) and (4) corresponds to A1 to A16 in the general formula (1). ]
Alternatively, a halogenated phthalocyanine substituted with 2 to 16 halogen atoms such as fluorine, chlorine, bromine and iodine, and alcohol, amine, thiol or the like corresponding to the general formula (1) or (2), or a mixture of several kinds Is obtained by the presence reaction of a base. Further, in order to impart oil solubility to the obtained compound, an alkyl group, an aryl group, an alkylcarbonyl group, an arylcarbonyl group or the like can be added on the nitrogen atom according to a conventional method. In order to impart water solubility, a sulfonation reaction or the like can be performed on the benzene ring according to a conventional method, or a substituent capable of imparting water solubility can be introduced onto a nitrogen atom according to a conventional method.
[0034]
When the phthalocyanine compound of the present invention is used as a soluble aqueous ink, it may be in the form of a free acid or a salt, and may be used in any form. Examples of the salt include alkali metal salts such as sodium, potassium, and lithium, and salts of organic amines such as ammonia, alkyl, hydroxyalkylamine, and carboxy-substituted amine. These may be used as a single salt, or may be used as a compound in which a plurality of salts are mixed, and some of them may remain in a free acid form. Further, if necessary, salt exchange may be performed as appropriate.
[0035]
The soluble water-based ink of the present invention is useful as various inks, particularly as a recording liquid for an ink jet recording system. The phthalocyanine compound can be used as it is when the content of inorganic salts is small. However, particularly when used as a recording liquid for an ink jet recording system, the discharge nozzle of the recording apparatus is clogged with an inorganic salt contained in the dye. In order to prevent this, it is preferable to carry out purification by, for example, an ion exchange resin, a desalting treatment by ultrafiltration, or other desalting treatment methods.
[0036]
Other phthalocyanine compound purification methods include dissolving the phthalocyanine compound in ion-exchanged water and crystallizing it by adding a polar solvent, or discharging the aqueous solution of the phthalocyanine compound into the polar solvent. There is a method of crystallization. By this method, KCl, NaCl, Na contained in the phthalocyanine compound 2 SO 4 This is a useful purification method because inorganic substances such as salts can be easily removed as compared with the above-described purification by ion exchange resin or ultrafiltration. The amount of distilled water used when the phthalocyanine compound is dissolved in ion-exchanged water is 1 to 100 parts by weight with respect to the phthalocyanine compound 1, although it varies depending on the solubility of the phthalocyanine compound and the content of inorganic or organic substances. The temperature for dissolution is usually room temperature, but when the phthalocyanine compound has a high concentration or low solubility, it can be dissolved by heating. The amount of polar solvent used depends on the concentration of the phthalocyanine compound, the solubility of the phthalocyanine compound, the content and solubility of the inorganic and organic substances, and also varies depending on the desired inorganic and organic contents of the phthalocyanine compound after purification. And 1 to 100 parts by weight with respect to phthalocyanine compound 1. As the polar solvent, a water-soluble solvent is preferable, and a solvent having low solubility of the phthalocyanine compound is preferable. For example, polyhydric alcohols such as ethylene glycol, diethylene glycol, triethylene glycol, polyethylene glycol, propylene glycol, polypropylene glycol, 1,3-propanediol, glycerin, thioglycol, ethylene glycol monoethyl ether, ethylene glycol monobutyl ether, diethylene glycol Polyhydric alcohol ethers such as monobutyl ether, dipropylene glycol monoethyl ether, triethylene glycol monomethyl ether, ketones such as acetone and methyl ethyl ketone, N, N-dimethylformamide, N, N-diethylformamide, N, N-dimethyl Amides such as acetamide, 2-pyrrolidone, N-methyl-2-pyrrolidone, N-vinyl-2-pyrrolidone, 1 Examples thereof include nitrogen-containing compounds such as 3-dimethyl-2-imidazolidinone, ethers such as tetrahydrofuran and dioxane, alcohols such as methanol, ethanol, 1-propanol, 2-propanol, 1-butanol and 2-butanol. . Preferred polar solvents are alcohols and ketones. These water-soluble organic solvents may be used alone or in combination of two or more.
When crystallization is performed in the purification step, additives having low crystallinity may be added from the viewpoint of promoting crystallization within a range that does not deteriorate the performance of the purified phthalocyanine compound.
[0037]
The main components of the soluble water-based ink of the present invention are those containing the phthalocyanine compound of the present invention, water and, if necessary, an organic solvent. The phthalocyanine compound of the present invention may be used alone or in combination of two or more. The amount used depends on the purpose, purpose, type of dye, ink composition, ink printing density, and clogging, but the phthalocyanine compound is preferably 0.5 to 20% based on the entire aqueous ink. Especially preferably, it is 1 to 10%, and the organic solvent is preferably in the range of 0 to 80%.
In addition, in order to adjust the color of the ink and improve other properties, other dyes, or those obtained by treating known dyes and pigments into emulsion or finely dispersed state to such an extent that the ink properties are not impaired It doesn't matter.
[0038]
The water-soluble ink of the present invention uses water as a main solvent component, but can also be used by mixing with a water-soluble organic solvent for the purpose of preventing the ink from drying and improving the solubility of the phthalocyanine compound. . Examples of water-soluble organic solvents include ethylene glycol, diethylene glycol, triethylene glycol, polyethylene glycol, propylene glycol, polypropylene glycol, 1,3-propanediol, glycerin, thioglycol and other polyhydric alcohols, ethylene glycol monoethyl ether, ethylene Glycol monobutyl ether, diethylene glycol monobutyl ether, dipropylene glycol monoethyl ether, polyhydric alcohol ethers such as triethylene glycol monomethyl ether, ketones such as acetone and methyl ethyl ketone, N, N-dimethylformamide, N, N-diethylformamide, Amides such as N, N-dimethylacetamide, 2-pyrrolidone, N-methyl-2-pyrrolidone, N-vinyl-2 Nitrogen-containing compounds such as pyrrolidone and 1,3-dimethyl-2-imidazolidinone, ethers such as tetrahydrofuran and dioxane, alcohols such as methanol, ethanol, 1-propanol, 2-propanol, 1-butanol and 2-butanol Etc. These water-soluble organic solvents may be used alone or in combination of two or more, and the content is preferably used in the range of 5 to 50%.
[0039]
The pH of the ink is preferably 7 or more in order to improve the storage stability of the ink and the water resistance by changing the viscosity of the ink. In order to further improve the water resistance, it is preferable to use an amine such as ammonia and a hydroxyamine such as triethanolamine in combination. The content is preferably about 0.001 to 10% with respect to the ink. Further, these amines may be used by forming a counter ion with the phthalocyanine compound.
Further, urea, thiourea, biuret, semicarbazide, and derivatives thereof may be used in combination with the water soluble ink containing the phthalocyanine compound of the present invention. The content is preferably about 0.1 to 15% with respect to the aqueous ink.
[0040]
The soluble water-based ink of the present invention composed of the above composition is an ink for a writing instrument or ink for an ink jet recording system, and has recording characteristics, storage stability, fixability to a recording material, sharpness of a recorded image, light resistance. It has excellent properties and moisture resistance.
In addition, various additives conventionally used can be added to the dissolving water-based ink of the present invention as necessary. For example, UV absorbers, antioxidants, chelating agents, water-soluble polymers, masking agents, fungicides, preservatives, viscosity modifiers, surfactants, surface tension regulators, pH regulators, specific resistance regulators , Additives such as near infrared absorbers and penetrants.
[0041]
The solvent-based water-based ink of the present invention is a microporous filter such as a membrane filter that dissolves the phthalocyanine compound of the present invention together with water, an organic solvent, and, if necessary, the additives mentioned above and removes insoluble matters. It is manufactured by filtering with. The solubilized water-based ink produced in this way is particularly useful as a recording liquid for an ink jet recording system, but is also used as a black ink for writing instruments such as ballpoint pens, felt pens, and fountain pens.
[0042]
The black ink of the present invention includes, as described above, an oil-soluble ink mainly composed of an organic solvent, a wax-type solid ink, and resin fine particles, in addition to a water-soluble ink mainly composed of water and having a phthalocyanine compound dissolved therein. It can be used for all types of inks such as emulsion-type dispersion-type water-based inks. That is, the black ink of the present invention can be prepared by uniformly dissolving the phthalocyanine compound of the present invention in various organic solvents, waxes and resins, or can be dispersed in an aqueous solvent using a surfactant or the like. You can also. Further, the emulsion resin can be colored or microencapsulated and dispersed in an aqueous solvent. Preferred forms are oil-soluble inks or solid inks prepared by uniformly dissolving in various organic solvents, waxes and resins, or dispersed water-based inks prepared by coloring emulsion resins and dispersing them in an aqueous solvent. . These black inks may contain additives as necessary, and the phthalocyanine compound may be used alone, or may be used as a mixture of two or more, and other structures are different. The dyes may be mixed.
[0043]
Various organic solvents, waxes, and resins can be used without particular limitation in preparing oil-soluble inks or solid inks prepared by uniformly dissolving them in various organic solvents, waxes, and resins. For example, plant waxes, animal waxes, petroleum waxes, higher saturated or unsaturated fatty acids, ketones such as stearons and laurones, saturated or unsaturated fatty acid amides, saturated or unsaturated fatty acid esters, glycerides, saturated or unsaturated fatty acid esters Amides, saturated or unsaturated aliphatic alcohols, rosin resins, hydrocarbon resins, amide resins, polyesters, polyvinyl acetate, acrylic and methacrylic polymers, styrene polymers, ethylene vinyl acetate copolymers , High molecular weight resins such as polyketone, silicone and coumarone.
[0044]
As an organic solvent, it can select suitably and use on the conditions which a normal organic solvent requires. For example, alcohols such as methanol, ethanol, propanol, butanol, pentanol, heptanol, octanol, cyclohexanol, benzyl alcohol, phenethyl alcohol, phenylpropyl alcohol, furfuryl alcohol, anis alcohol,
Polyhydric alcohols such as ethylene glycol, diethylene glycol, triethylene glycol, polyethylene glycol, propylene glycol, polypropylene glycol, 1,3-propanediol, glycerin, thioglycol, ethylene glycol monoethyl ether, ethylene glycol monobutyl ether, ethylene glycol mono Phenyl ether, diethylene glycol monoethyl ether, diethylene glycol monobutyl ether, propylene glycol monoethyl ether, propylene glycol monophenyl ether, dipropylene glycol monomethyl ether, dipropylene glycol monoethyl ether, triethylene glycol monomethyl ether, triethylene glycol monoethyl ether, etc. Multivalent Call ethers, ethylene glycol diacetate, polyhydric alcohol acetate such as propylene glycol diacetate, ethylene glycol monomethyl ether acetate, ethylene glycol monoethyl ether acetate, polyhydric alcohol ether acetates such as diethylene glycol monoethyl ether acetate,
Ethers such as butyl phenyl ether, diphenyl ether, benzyl ethyl ether, hexyl ether,
Ethyl acetate, amyl acetate, benzyl acetate, phenylethyl acetate, phenoxyethyl acetate, benzyl propionate, ethyl phenylacetate, methyl benzoate, ethyl benzoate, butyl benzoate, methyl laurate, ethyl laurate, propyl laurate, laurin Butyl acid, isopropyl myristate, isopropyl palmitate, triethyl phosphate, tributyl phosphate, tricresyl phosphate, diethyl phthalate, dibutyl phthalate, diethyl malonate, dipropyl malonate, dibutyl malonate, diethyl diethyl malonate, succinic acid Diethyl, dibutyl succinate, dimethyl glutarate, diethyl glutarate, dibutyl glutarate, diethyl adipate, dipropyl adipate, dibutyl adipate, di (2-methoxyethyl) adipate, ce Shin diethyl, diethyl maleate, dibutyl maleate, dioctyl maleate, diethyl fumarate, dioctyl fumarate, esters and cinnamic acid 3-hexenyl,
Ketones such as acetone, methyl ethyl ketone, methyl isobutyl ketone, benzyl methyl ketone, benzyl acetone, diacetone alcohol, and cyclohexanone;
Hydrocarbon solvents such as petroleum ether, petroleum benzyl, toluene, xylene, mesitylene, t-amylbenzene, tetralin, decalin, dimethylnaphthalene,
Amides such as N, N-dimethylformamide, N, N-diethylformamide, N, N-dimethylacetamide, 2-pyrrolidone, N-methyl-2-pyrrolidone, N-vinyl-2-pyrrolidone, N, N-diethyl Nitrogen-containing solvents such as dodecanamide, 1,3-dimethyl-2-imidazolidinone, cyclic ethers such as tetrahydrofuran and dioxane, acetonitrile, sulfolane, N, N-dimethyl sulfoxide, ethylene carbonate, propylene carbonate, dimethyl carbonate, etc. Is mentioned. These organic solvents can be used alone, or two or more kinds can be selected and mixed. However, the organic solvent is not limited to these.
[0045]
Examples of solid oily media include beeswax, carnauba wax, rice wax, wood wax, jojoba oil, whale wax, candelilla wax, lanolin, montan wax, ozokerite, ceresin, paraffin wax, microcrystalline wax, petrolactam. Natural waxes such as polyethylene wax, chlorinated hydrocarbons, palmitic acid, stearyl acid, behenic acid, tiglic acid, 2-acetonaphthobehenic acid, 12-hydroxystearic acid, dihydroxystearic acid and other organic acids; dodecanol, tetradeca Nord, hexadecanol, eicosanol, docosanol, tetracosanol, hexacosanol, octacosanol, dodecenol, myricyl alcohol, tetracenol, hexadecenol, eicosenol, docose , Pinene glycol, hinokiol, butynediol, nonanediol, isophthalyl alcohol, mesicerine, hexanediol, decanediol, tetradecandiol, hexadecandiol, docosanediol, tetracosanediol, tvneol, phenylglycerin, eicosanji Alcohols such as all, octanediol, phenylpropylene glycol;
Phenols such as bisphenol A and p-α-cumylphenol; organic acid esters of the above organic acids such as glycerin, ethylene glycol and diethylene glycol; cholesterol stearate, cholesterol palmitate, cholesterol myristate, cholesterol behenate, cholesterol laurate Cholesterol fatty acid esters such as cholesterol melicinate; sucrose stearate, sucrose palmitate, saccharose behenate, saccharose laurate, saccharose melicinate, lactose stearate, lactose palmitate, lactose behenate, lactose laurate, lactose lactate, etc. Sugar fatty acid esters of benzoyl acetone, diacetbenzene, benzophenone, tricosanone, Ketones such as heptasanone, heptatriacontanone, hentriacontanone, stearone, laurone; oleic acid amide, lauric acid amide, stearic acid amide, ricinoleic acid amide, palmitic acid amide, behenic acid amide, brassic acid amide, tetrahydrofuran acid Amides, erucic acid amides, myristic acid amides, 12-hydroxystearic acid amides, N-stearyl erucic acid amides, N-oleyl stearic acid amides, N 2, N-ethylenebislauric acid amides, N 2, N-ethylenebisstearic acid amides N, N-ethylenebisbehenamide, N, N-xylylenebisstearic acid amide, N, N-butylene bisstearic acid amide, N, N-dioleyl adipic acid amide, N, N-dioleyl sebacic acid A De, N, N - distearyl sebacic acid amide, N, N - distearyl terephthalic acid amide, N. N′-2-hydroxyethyl stearamide, N. N′-ethylenebisoleic acid amide, N. N′-xylene bis-stearic acid amide, stearic acid monomethylol amide, N-stearyl stearic acid amide, N-oleyl palmitic acid amide, N-stearyl erucic acid amide,
Amides such as phenacetin, toluamide and acetamide; Sulfonamides such as p-toluenesulfonamide, ethylbenzenesulfonamide and butylbenzenesulfonamide; Alkylnaphthalenes such as α-methylnaphthalene, β-methylnaphthalene and 2,6-dimethylnaphthalene Carboxylic acid esters such as dibutyl naphthalate, dioctyl phthalate, dibutyl adipate, dimethyl terephthalate, benzyl benzoate, naphthalene-2,6-dicarboxylic acid methyl ester; phosphate esters such as tributyl phosphate and triphenyl phosphate; Is mentioned.
Examples of the fatty acid ester amide include CPH-380N.
The fatty acid ester is preferably a monohydric or polyhydric alcohol fatty acid ester. For example, sorbitan monopalmitate, sorbitan monostearate, sorbitan monobehenate, polyethylene glycol monostearate, polyethylene glycol distearate, propylene glycol monostearate, ethylene glycol distearate, stearic acid monoglyceride, palmitic monoglyceride, oleic acid Examples thereof include monoglyceride and behenic acid monoglyceride.
Also included are higher alcohol esters of higher fatty acids such as myricyl serotate, ceryl serotic acid, ceryl montanate, myricyl palmitate, myricyl stearate, cetyl palmitate and cetyl stearate.
Polyamides are generally roughly classified into aromatic polyamides and dimer acid polyamides. In the present invention, polyamides based on dimer (dimer) acids are particularly desirable. Furthermore, it is optimal that the base acid is oleic acid, linoleic acid, linolenic acid or eleostearic acid.
As the glyceride, at least one or more selected from rosin ester, lanolin ester, hydrogenated castor oil, partially hydrogenated castor oil, extremely hardened oil of soybean oil, extremely hardened oil of rapeseed oil, extremely hardened vegetable oil, etc. Can be mixed and used.
Specific examples of waxes include petroleum waxes such as paraffin wax and microcrystalline wax, plant waxes such as candelilla wax and carnauba wax, higher fatty acids such as polyethylene wax, hardened castor oil, stearic acid, and behenic acid. And ketones such as higher alcohols, stearons and laurones, particularly fatty acid ester amides, saturated or unsaturated fatty acid amides and fatty acid esters are desirable.
Furthermore, as long as it is compatible with other ink components such as fatty acids, fatty acid amides, glycerides, waxes, etc., they can be used in any conceivable combination.
[0046]
The content of the phthalocyanine compound in the ink composition varies depending on the purpose, purpose, type of phthalocyanine compound, ink composition, ink print density, and clogging, but is 0.1 to 50 with respect to the ink composition. % By weight, preferably 1 to 20% by weight.
If a small amount of phthalocyanine compound is used, a large amount of ink is required when trying to obtain a sufficient recorded image, and a load is applied to the print head and recording paper of the recording device. If the content is large, the phthalocyanine compound is precipitated from an organic solvent. It becomes easy to cause precipitation in the ink, causing clogging of the print head and bleeding or the like when printed.
In addition, the oil-soluble ink or solid ink of the present invention was treated with other dyes or known dyes or pigments in an emulsion or finely dispersed state so as not to impair the ink characteristics in order to adjust the color tone of the ink. Things can be added.
[0047]
In addition, various conventionally used additives can be added to the oil-soluble ink or solid ink of the present invention as necessary. For example, binder resin, UV absorber, antioxidant, dispersant, dispersion stabilizer, chelating agent, water-soluble polymer, masking agent, fungicide, antiseptic, viscosity modifier, surfactant, surface tension modifier , PH adjusters, specific resistance adjusters, near infrared absorbers, penetrants and other additives.
The oil-soluble ink or solid ink of the present invention composed of the above components can be used as ink for writing instruments, etc. in addition to being used as ink for ink jet recording system, and has recording characteristics, storage stability, recording material. It has excellent fixability to the image, sharpness of the recorded image, light resistance, water resistance and the like.
[0048]
Dispersion-type water-based ink takes a form (emulsion) in which resin fine particles colored with a pigment are dispersed in an aqueous solvent. The dispersion water-based ink is mainly composed of the phthalocyanine compound of the present invention, water, and a resin. An additive, an emulsifier, other additives and auxiliaries may be used, and the resin fine particles colored with the coloring matter according to the present invention are dispersed in an aqueous medium, and the emulsion is emulsified and dispersed by an emulsification step. A technique such as a microemulsion polymerization method or a miniemulsion polymerization method may be used. In addition, the dispersed water-based ink of the present invention may contain an organic solvent, an additive and the like as necessary. The phthalocyanine compound of the present invention may be used alone, or two or more kinds may be mixed and used, or other dyes having different structures may be mixed.
[0049]
In the dispersed water-based ink of the present invention, the resin constituting the resin fine particles may be any resin having an ionic group on its surface. For example, a polyester resin, a vinyl polymer, a polyurethane resin, a styrene resin, Various resins such as a styrene-acrylic copolymer can be used.
[0050]
Examples of the polyester resin include resins composed of polyvalent carboxylic acids and polyhydric alcohols and polymerized singly or in combination of two or more. The polyvalent carboxylic acids are not particularly limited. For example, terephthalic acid, isophthalic acid, orthophthalic acid, 1,5-naphthalenedicarboxylic acid, 2,6-naphthalenedicarboxylic acid, diphenic acid, sulfoterephthalic acid 5-sulfoisophthalic acid, 4-sulfophthalic acid, 4-sulfonaphthalene-2,7dicarboxylic acid, 5 [4-sulfophenoxy] isophthalic acid, sulfoterephthalic acid, p-oxybenzoic acid, p- (hydroxyethoxy) benzoic acid Acids, succinic acid, adipic acid, azelaic acid, sebacic acid, dodecanedicarboxylic acid, fumaric acid, maleic acid, itaconic acid, hexahydrophthalic acid, tetrahydrophthalic acid, trimellitic acid, trimesic acid, pyromellitic acid, etc. Aromatic polycarboxylic acid, aromatic oxycarboxylic acid, aliphatic dicarboxylic acid , Mentioned alicyclic dicarboxylic acids such as, but these metal salts may also be used as ammonium salts.
[0051]
Polyhydric alcohols are not particularly limited, and examples thereof include aliphatic polyhydric alcohols such as ethylene glycol and lactone polyester polyols, alicyclic polyhydric alcohols, and aromatic polyhydric alcohols. Can be mentioned. In addition, a polyester resin obtained by polymerizing the polyvalent carboxylic acid and the polyhydric alcohol alone or in combination of two or more thereof is used for the terminal of the polymer chain by using a generally known end-capping compound. What sealed the polar group can also be used.
[0052]
The resin such as vinyl polymer, styrene resin, styrene-acrylic copolymer is not particularly limited, and examples thereof include those obtained from the following polymerizable monomers. Examples of the polymerizable monomer include styrene, o-methylstyrene, m-methylstyrene, p-methylstyrene, α-methylstyrene, p-ethylstyrene, 2,4-dimethylstyrene, p-tert-butylstyrene, Vinyl aromatic hydrocarbons such as p-chlorostyrene and divinylbenzene; methyl acrylate, ethyl acrylate, butyl acrylate, n-propyl acrylate, isopropyl acrylate, n-butyl acrylate, isobutyl acrylate, acrylic acid t-butyl, n-pentyl acrylate, isopentyl acrylate, neopentyl acrylate, 3- (methyl) butyl acrylate, 2-ethylhexyl acrylate, cyclohexyl acrylate, hexyl acrylate, octyl acrylate, nonyl acrylate, Decyl acrylate, acrylic Undecyl acrylate, dodecyl acrylate, phenyl acrylate, methyl methacrylate, n-propyl methacrylate, isopropyl methacrylate, n-butyl methacrylate, isobutyl methacrylate, t-butyl methacrylate, n-pentyl methacrylate, methacrylic acid (Meth) such as isopentyl, neopentyl methacrylate, 3- (methyl) butyl methacrylate, 2-ethylhexyl methacrylate, hexyl methacrylate, octyl methacrylate, nonyl methacrylate, decyl methacrylate, undecyl methacrylate, dodecyl methacrylate Unsaturated carboxylic acids such as acrylic ester, acrylic acid, methacrylic acid, itaconic acid, maleic acid; (meth) acrylamide, N-substituted maleimide, maleic anhydride, (meth) acrylonitrile, vinyl Examples thereof include resins obtained by polymerizing nyl ketone, vinyl acetate, vinylidene chloride or the like alone or in combination of two or more.
[0053]
Examples of the polyurethane-based resin include resins composed of isocyanates and compounds having a functional group capable of reacting with isocyanates and polymerized singly or in combination of two or more. Examples of isocyanates include ethylene diisocyanate, trimethylene diisocyanate, tetramethylene diisocyanate, hexamethylene diisocyanate, octamethylene diisocyanate, nonamethylene diisocyanate, 2,2-dimethylpentane diisocyanate, 2,2,4-trimethylhexamethylene diisocyanate, deca Methylene diisocyanate, butene diisocyanate, 1,3-butadiene-1,4-diisocyanate, 2,4,4-trimethylhexamethylene diisocyanate, 1,6,11-undecatriisocyanate, 1,3,6-hexamethylene triisocyanate, 1,8-diisocyanato-4-isocyanatomethyloctane, 2,5,7-trimethyl-1,8-diisocyanato-5-iso Anatomethyloctane, bis (isocyanatoethyl) carbonate, bis (isocyanatoethyl) ether, 1,4-butylene glycol dipropyl ether-ω, ω′-diisocyanate, lysine diisocyanatomethyl ester, lysine triisocyanate, 2- Isocyanatoethyl-2,6-diisocyanatoethyl-2,6-diisocyanatohexanoate, 2-isocyanatopropyl-2,6-diisocyanatohexanoate, xylylene diisocyanate, bis (isocyanato Ethyl) benzene, bis (isocyanatopropyl) benzene, α, α, α ′, α′-tetramethylxylylene diisocyanate, bis (isocyanatobutyl) benzene, bis (isocyanatomethyl) naphthalene, bis (isocyanatomethyl) ) Diphenyl ether, Scan (isocyanatoethyl) phthalate, mesitylene triisocyanate, 2,6-di (isocyanatomethyl) furan and aliphatic polyisocyanates;
Isophorone diisocyanate, bis (isocyanatomethyl) cyclohexane, dicyclohexylmethane diisocyanate, cyclohexane diisocyanate, methylcyclohexane diisocyanate, dicyclohexyldimethylmethane diisocyanate, 2,2-dimethyldicyclohexylmethane diisocyanate, bis (4-isocyanato-n-butylidene) pentaerythritol, dimer Acid diisocyanate, 2-isocyanatomethyl-3- (3-isocyanatopropyl) -5-isocyanatomethyl-bicyclo [2,2,1] -heptane, 2-isocyanatomethyl-3- (3-isocyanatopropyl ) -6-Isocyanatomethyl-bicyclo [2,2,1] -heptane, 2-isocyanatomethyl-2- (3-isocyanatopropyl) -5 Socyanatomethyl-bicyclo [2,2,1] -heptane, 2-isocyanatomethyl-2- (3-isocyanatopropyl) -6-isocyanatomethyl-bicyclo [2,2,1] -heptane, 2- Isocyanatomethyl-3- (3-isocyanatopropyl) -6- (2-isocyanatoethyl) -bicyclo [2,2,1] -heptane, 2-isocyanatomethyl-3- (3-isocyanatopropyl) -6- (2-isocyanatoethyl) -bicyclo [2,1,1] -heptane, 2-isocyanatomethyl-2- (3-isocyanatopropyl) -5- (2-isocyanatoethyl) -bicyclo [ 2,1,1] -heptane, 2-isocyanatomethyl-2- (3-isocyanatopropyl) -6- (2-isocyanatoethyl) -bicyclo [2,2,1] -heptane, Alicyclic polyisocyanates such as Ruborunanbisu (isocyanatomethyl);
Phenylene diisocyanate, tolylene diisocyanate, ethyl phenylene diisocyanate, isopropyl phenylene diisocyanate, dimethyl phenylene diisocyanate, diisopropyl phenylene diisocyanate, triisopropyl benzene triisocyanate, benzene triisocyanate, naphthalene diisocyanate, methyl naphthalene diisocyanate, biphenyl diisocyanate, tolidine diisocyanate, 4,4′-diphenylmethane diisocyanate, 3,3′-dimethyldiphenylmethane-4,4′-diisocyanate, bibenzyl-4,4′-diisocyanate, bis (isocyanatophenyl) ethylene, 3,3′-dimethoxybiphenyl-4- 4'-diisocyanate, g Phenylmethane triisocyanate, polymeric MDI, naphthalene triisocyanate, diphenylmethane-2,4,4′-triisocyanate, 3-methyldiphenylmethane-4,6,4′-triisocyanate, 4-methyl-diphenylmethane-3,5,2 ', 4', 6'-pentaisocyanate, phenyl isocyanatomethyl isocyanate, phenyl isocyanatoethyl isocyanate, tetrahydronaphthylene diisocyanate, hexahydrobenzene diisocyanate, hexahydrodiphenylmethane-4,4'-diisocyanate, diphenyl ether diisocyanate, ethylene glycol diphenyl ether Diisocyanate, 1,3-propylene glycol diphenyl ether diisocyanate, benzophenone diisocyanate Sulfonates, diethylene glycol diphenyl ether diisocyanate, dibenzofuran diisocyanate, carbazole diisocyanate, ethylcarbazole diisocyanate, aromatic polyisocyanates such as dichloro carbazole diisocyanate;
Sulfur-containing aliphatic isocyanates such as thiodiethyl diisocyanate, thiopropyl diisocyanate, thiodihexyl diisocyanate, dimethyl sulfone diisocyanate, dithiodimethyl diisocyanate, dithiodiethyl diisocyanate, dithiopropyl diisocyanate, dicyclohexyl sulfide-4,4′-diisocyanate;
Diphenyl sulfide-2,4′-diisocyanate, diphenyl sulfide-4,4′-diisocyanate, 3,3′-dimethoxy-4,4′-diisocyanatodibenzylthioether, bis (4-isocyanatomethylbenzene) sulfide, Aromatic sulfide-based isocyanates such as 4,4′-methoxybenzenethioethylene glycol-3,3′-diisocyanate;
Diphenyl disulfide-4,4′-diisocyanate, 2,2′-dimethyldiphenyl disulfide-5,5′-diisocyanate, 3,3′-dimethyldiphenyl disulfide-5,5′-diisocyanate, 3,3′-dimethyldiphenyl disulfide -6,6'-diisocyanate, 4,4'-dimethyldiphenyl disulfide-5,5'-diisocyanate, 3,3'-dimethoxydiphenyl disulfide-4,4'-diisocyanate, 4,4'-dimethoxydiphenyl disulfide-3 Aromatic disulfide isocyanates such as 3,3′-diisocyanate;
Diphenylsulfone-4,4′-diisocyanate, diphenylsulfone-3,3′-diisocyanate, benzidine sulfone-4,4′-diisocyanate, diphenylmethanesulfone-4,4′-diisocyanate, 4-methyldiphenylmethanesulfone-2,4 '-Diisocyanate, 4,4'-dimethoxydiphenylsulfone-3,3'-diisocyanate, 3,3'-dimethoxy-4,4'-diisocyanate dibenzylsulfone, 4,4'-dimethyldiphenylsulfone-3,3' -Diisocyanate, 4,4'-di-tert-butyldiphenylsulfone-3,3'-diisocyanate, 4,4'-methoxybenzeneethylene disulfone-3,3'-diisocyanate, 4,4'-dichlorodiphenylsulfone-3 , 3'-diisocyanate, etc. Family sulfone-based isocyanate;
Sulfonate isocyanates such as 4-methyl-3-isocyanatobenzenesulfonyl-4′-isocyanatophenol ester, 4-methoxy-3-isocyanatobenzenesulfonyl-4′-isocyanatophenol ester;
4-methyl-4'-isocyanate, dibenzenesulfonyl-ethylenediamine-4,4'-diisocyanate, 4,4'-methoxybenzenesulfonyl-ethylenediamine-3,3'-diisocyanate, 4-methyl-3-isocyanatobenzenesulfonyl Aromatic sulfonic amides such as anilide-4-methyl-3′-isocyanate;
Sulfur-containing complexes such as thiophene-2,5-diisocyanate, thiophene-2,5-diisocyanatomethyl, 1,4-dithian-2,5-diisocyanate, 1,4-dithian-2,5-diisocyanatomethyl A ring compound etc. are mentioned.
[0054]
Examples of the compound having a functional group capable of reacting with the isocyanates include the following. Polyol compound: ethylene glycol, diethylene glycol, triethylene glycol, tetraethylene glycol, propylene glycol, dipropylene glycol, butylene glycol, neopentyl glycol, glycerin, trimethylol ethane, trimethylol propane, butane triol, 1,2-methylglycoside , Pentaerythritol, dipentaerythritol, tripentaerythritol, sorbitol, erythritol, threitol, ribitol, arabinitol, xylitol, allitol, mannitol, dolitol, iditol, glycol, inositol, hexanetriol, triglycerose, diglycerol, polyethylene glycol, polypropylene Glycol, polytetraethylene ether Glycol, tris (2-hydroxyethyl) isocyanurate, cyclobutanediol, cyclopentanediol, cyclohexanediol, cycloheptanediol, cyclooctanediol, cyclohexanedimethanol, hydroxypropylcyclohexanol, tricyclo [5,2,1,02, 6] decane-dimethanol, bicyclo [4,3,0] -nonanediol, dicyclohexanediol, tricyclo [5,3,1,1] dodecanediol, bicyclo [4,3,0] nonanedimethanol, tricyclo [ 5,3,1,1] dodecane-ethanol, hydroxypropyltricyclo [5,3,1,1] dodecanol, spiro [3,4] octanediol, 1,1′-bicyclohexylidenediol, cyclohexanetriol, Aliphatic polyols such as maltitol and lactitol;
Dihydroxynaphthalene, trihydroxynaphthalene, tetrahydroxynaphthalene, dihydroxybenzene, benzenetriol, biphenyltetraol, pyrogallol, (hydroxynaphthyl) pyrogallol, trihydroxyphenanthrene, bisphenol A, bisphenol F, xylylene glycol, di (2-hydroxyethoxy) Aromatic polyols such as benzene, bisphenol A-bis- (2-hydroxyethyl ether), tetrabromobisphenol A, tetrabromobisphenol A-bis- (2-hydroxyethyl ether), bisphenol S;
Halogenated polyol such as dibromoneopentyl glycol, polyester polyol, polycaprolactone, polythioether polyol, polyacetal polyol, polycarbonate polyol, polycaprolactone polyol, polythioether polyol, polybutadiene polyol, flanged methanol, oxalic acid, glutamic acid, adipic acid, A condensation reaction product of an organic acid such as acetic acid, phthalic acid, isophthalic acid, salicylic acid, pyromellitic acid and the polyol, an addition reaction product of the polyol and an ethylene oxide such as ethylene oxide or propylene oxide, an alkylene polyamine and an alkylene oxide Addition reaction product with 2,2-dimethylol lactic acid, 2,2-dimethylol propionic acid, 2,2-dimethylol pig Acid, 2,2-dimethylol valeric acid, 3,4-diaminobutane sulfonic acid, 3,6-diamino-2-toluenesulfonic acid, and caprolactone modified products;
2-mercaptoethanol, 3-mercapto-1,2-propanediol, glycerol di (mercaptoacetate), 1-hydroxy-4-mercaptocyclohexane, 2,4-dimercaptophenol, 2-mercaptohydroquinone, 4-mercaptophenol, 1,3-dimercapto-2-propanol, 2,3-dimercapto-1,3-butanediol, pentaerythritol tris (3-mercaptopropionate), pentaerythritol mono (3-mercaptopropionate), pentaerythritol tris (Thioglycolate), pentaerythritol pentakis (3-mercaptopropionate), hydroxymethyl-tris (mercaptoethylthiomethyl) methane, 1-hydroxyethylthio-3-mercaptoethylthio Benzene, 4-hydroxy-4′-mercaptodiphenylsulfone, 2- (2-mercaptoethylthio) ethanol, dihydroxyethyl sulfide mono (3-mercaptopropionate), dimercaptoethane mono (sulcylate), hydroxyethylthiomethyl- And tris (mercaptoethylthio) methane.
[0055]
In addition, ethylenediamine, diethylenetriamine, triethylenetetramine, propylenediamine, butylenediamine, hexamethylenediamine, cyclohexylenediamine, piperazine, 2-methylpiperazine, phenylenediamine, tolylenediamine, xylylenediamine, α, α'-methylenebis ( 2-chloroaniline) 3,3′-dichloro-α, α′-biphenylamine, m-xylenediamine, isophoronediamine, N-methyl-3,3′-diaminopropylamine, polyamino compounds such as norbornenediamine, polythiol Compounds, α-amino acids such as serine, lysine, histidine and the like, and halogen-substituted products of these active hydrogen compounds can also be used. These may be used alone or in combination of two or more. These resins can be used alone or in combination of two or more, but are not limited to these.
[0056]
The resin exhibits excellent water dispersibility by containing an ionic group on the surface thereof. Such ionic groups include sulfonic acid groups, carboxylic acid groups, sulfuric acid groups, phosphoric acid groups, phosphonic acid groups and phosphinic acid groups, or alkali metal bases and ammonium bases thereof, or primary to tertiary amine groups. Examples thereof include carboxylic acid alkali metal bases, carboxylic acid ammonium bases, sulfonic acid alkali metal bases and sulfonic acid ammonium bases, and particularly sulfonic acid alkali metal bases and sulfonic acid ammonium bases are water dispersion stable. Is preferable. For the introduction of the ionic group, a monomer having an ionic group may be added during resin synthesis. For example, when introducing an alkali metal carboxylate or ammonium carboxylate as an ionic group into a polyester resin, by introducing a polyvalent carboxylic acid such as trimellitic acid into the system at the end of polymerization of the polyester, A method can be used in which a carboxyl group is added to the end of the resin, and further this is neutralized with ammonia, sodium hydroxide or the like to exchange with a carboxylate group.
[0057]
When introducing an alkali metal sulfonate or ammonium sulfonate group as an ionic group into the polyester resin fine particles, a mono- or dicarboxylic acid having an alkali metal sulfonate or ammonium sulfonate group is introduced into the system. Thus, these ionic groups can be introduced into the polyester resin. Examples of the salt include ammonium ions, Li, Na, K, Mg, Ca, Cu, Fe, and the like, and particularly preferable is K or Na.
[0058]
Furthermore, the dispersed water-based ink of the present invention is an emulsion using the phthalocyanine compound of the present invention, a resin and water as essential components, and can be produced by the following method.
(1) After the phthalocyanine compound is dissolved or dispersed in the polymerizable monomer, emulsion polymerization is performed, and if necessary, an additive or the like is added to uniformly dissolve or uniformly disperse, and water is further added to form an aqueous dispersion. A method of emulsifying
(2) After obtaining the above resin by polymerization, add a phthalocyanine compound directly, and if necessary, add an additive or the like to uniformly dissolve or uniformly disperse, and further add water to emulsify into an aqueous dispersion. Method,
(3) An ink jet recording dye is dissolved in a water-soluble organic solvent (eg, acetone, methyl ethyl ketone, tetrahydrofuran, dioxane, etc.) or a commonly known film-forming aid (eg, texanol, N, N-dimethylpyrrolidone, etc.) The dispersion is added to the above polymerized resin, and if necessary, an additive or the like is added to uniformly dissolve or uniformly disperse, and further water is added to emulsify into an aqueous dispersion. Further necessary According to the method of distilling off the water-soluble organic solvent,
(4) A solution in which a phthalocyanine compound is dissolved or dispersed in a water-insoluble organic solvent (for example, toluene) is added to the polymerized resin, and if necessary, an additive or the like is added to uniformly dissolve or Uniform dispersion, further adding water to emulsify as a water dispersion, and further distilling off the water-insoluble organic solvent if necessary, or
(5) A method of emulsifying an aqueous dispersion of colored resin fine particles after obtaining an aqueous dispersion of the above resin, adding a phthalocyanine compound, and coloring the resin by a high temperature dyeing method that performs high temperature treatment, etc. Manufactured by. In the production, in order to remove insoluble matter, it may be filtered with a micropore filter such as a membrane filter.
[0059]
The colored resin fine particles in the aqueous dispersion obtained by emulsification (hereinafter, the resin fine particles colored with a pigment may be simply referred to as colored resin fine particles) preferably have an average particle diameter of 0.01 to 1 μm. Further, it is particularly preferably 0.05 to 0.8 μm. If the average particle size is too small, it may cause a decrease in image density and water resistance, and if it is too large, the dispersion stability in the ink will decrease, resulting in the formation of sediment and poor storage stability. This may cause problems such as nozzle clogging.
[0060]
The content of the coloring matter in the colored resin fine particles is 1 to 90% by weight, preferably 5 to 50% in the resin, although it depends on the purpose, purpose, kind of coloring matter, ink composition, ink printing density and clogging property. % By weight. When the content of the dye is low, a sufficient amount of ink is required when trying to obtain a sufficient recorded image, and the print head or recording paper of the recording apparatus is loaded. If the content is large, the dye is likely to precipitate from the resin particles. As a result, precipitates are formed in the ink, and the print head is clogged. In addition, the dispersed water-based ink of the present invention is prepared by treating other dyes or pigments that have been processed into an emulsion or a finely dispersed state so as not to impair the ink characteristics in order to adjust the color tone of the ink. It can be added. The content of the colored resin fine particles in the ink is 1 to 70% by weight, preferably 5 to 50% by weight.
[0061]
The dispersion-type ink of the present invention can contain a water-soluble organic solvent in order to adjust the moisture retention, surface tension, viscosity, drying speed, etc. of the ink as necessary. Examples of water-soluble organic solvents include ethylene glycol, diethylene glycol, triethylene glycol, polyethylene glycol, propylene glycol, polypropylene glycol, 1,3-propanediol, glycerin, thioglycol and other polyhydric alcohols, ethylene glycol monoethyl ether, ethylene Glycol monobutyl ether, diethylene glycol monobutyl ether, dipropylene glycol monoethyl ether, polyhydric alcohol ethers such as triethylene glycol monomethyl ether, ketones such as acetone and methyl ethyl ketone, N, N-dimethylformamide, N, N-diethylformamide, Amides such as N, N-dimethylacetamide, 2-pyrrolidone, N-methyl-2-pyrrolidone, N-vinyl-2 Nitrogen-containing compounds such as pyrrolidone and 1,3-dimethyl-2-imidazolidinone, ethers such as tetrahydrofuran and dioxane, alcohols such as methanol, ethanol, 1-propanol, 2-propanol, 1-butanol and 2-butanol Glycerin or the like can be used. When these water-soluble organic solvents are contained, it is preferably contained in an amount of 1 to 20% by weight based on the total amount of the ink.
[0062]
Further, it is preferable to adjust the pH of the ink to 7 to 10 in order to improve the storage stability of the ink. Examples of the pH adjuster include NaHCO3, Na2B4O7, alkanolamines such as ethanolamine, diethanolamine and triethanolamine, and alkali metal hydroxides such as potassium hydroxide and lithium hydroxide.
[0063]
Moreover, various conventionally used additives can be added to the dispersed water-based ink of the present invention as required. For example, binder resin, UV absorber, antioxidant, dispersant, dispersion stabilizer, chelating agent, water-soluble polymer, masking agent, fungicide, antiseptic, viscosity modifier, surfactant, surface tension modifier , PH adjusters, specific resistance adjusters, near infrared absorbers, penetrants and other additives.
[0064]
The phthalocyanine compound of the present invention is particularly suitable for ink jet ink, but may be used for other purposes. Specifically, the compound exhibits a good hue as black as well as various other ink applications, and therefore can be used for black toner for electrophotography. Further, the pigment may be used in thermoplastic resins, colorants for thermosetting resins, dyes, paints, etc. by making the pigment into a molten or dispersed state.
[0065]
【Example】
EXAMPLES The present invention will be specifically described below with reference to examples, but the present invention is not limited to the following examples. In addition, "part" in an Example shows a weight part.
Synthesis example 1
C. I. Pigment Green 7 (phthalocyanine green) (70 g, 62 mmol), 2-aminoethanethiol (96 g, 1240 mmol, 20 eq) and potassium carbonate (309 g, 2230 mmol, 36 eq) were reacted in dimethylformamide (2000 ml) at 130 ° C. for 3 hours. It was. After cooling this reaction liquid to room temperature, it was discharged into methanol (5000 ml), and the precipitate was collected by suction filtration, washed with methanol, washed with water, dried, and then a black mixture containing a phthalocyanine compound of the following formula (5) ( 45 g) was obtained.
[0066]
[Chemical 7]
[0067]
Synthesis example 2
C. I. Pigment Green 7 (phthalocyanine green) (70 g, 62 mmol), 2-aminothiophenol (155 g, 1240 mmol, 20 eq) and potassium carbonate (309 g, 2230 mmol, 36 eq) were reacted in dimethylformamide (2000 ml) at 130 ° C. for 3 hours. It was. After cooling this reaction liquid to room temperature, it was discharged into methanol (5000 ml), and the precipitate was collected by suction filtration, washed with methanol, washed with water, dried, and then a black mixture containing a phthalocyanine compound of the following formula (6) ( 75 g) was obtained.
[0068]
[Chemical 8]
[0069]
Synthesis example 3
C. I. Pigment Green 7 (phthalocyanine green) (70 g, 62 mmol), 2-aminophenol (135 g, 1240 mmol, 20 eq) and potassium carbonate (309 g, 2230 mmol, 36 eq) were reacted in dimethylformamide (2000 ml) at 130 ° C. for 3 hours. . After cooling this reaction liquid to room temperature, it was discharged into methanol (5000 ml), and the precipitate was collected by suction filtration, washed with methanol, washed with water, dried, and then a black mixture containing a phthalocyanine compound of the following formula (7) ( 70 g) was obtained.
[0070]
[Chemical 9]
[0071]
Synthesis example 4
C. I. Pigment Green 7 (phthalocyanine green) (7.0 g, 6.2 mmol), L-cysteine (2-amino-3-mercaptopropionic acid (15.0 g, 124 mmol, 20 eq), potassium carbonate (30.9 g, 223 mmol, 36 eq) ) In dimethylformamide (200 ml) for 3 hours at 130 ° C. The reaction solution was cooled to room temperature and then discharged into methanol (800 ml), and the precipitate was collected by suction filtration. After discharging into a 10% aqueous hydrochloric acid solution (200 ml), the precipitate was collected again by suction filtration, washed with methanol, washed with water, and dried to obtain a black mixture (7.5 g) containing a phthalocyanine compound of the following formula (8). Obtained.
[0072]
Embedded image
[0073]
Synthesis example 5
The phthalocyanine compound (6) (5.0 g) obtained in Synthesis Example 1 was reacted with chloroacetic acid (4.8 g) in a pyridine (100 ml) solvent at 90 ° C. for 1 hour. The reaction mixture was discharged into methanol (500 ml), and the precipitate was collected by suction filtration. Further, the mixture was discharged into a cold 10% hydrochloric acid aqueous solution (200 ml), and the precipitate was collected again by suction filtration, washed with methanol, washed with water, dried, and then a black mixture containing a phthalocyanine compound of the following formula (9) ( 4.0 g) was obtained.
[0074]
Embedded image
[0075]
Synthesis Example 6
Ethyl succinate chloride (8.4 g) was added to the phthalocyanine compound (6) (5.0 g) obtained in Synthesis Example 1 in a pyridine (100 ml) solvent and reacted at 90 ° C. for 1 hour. The reaction mixture was cooled, 10% aqueous sodium hydroxide solution (50 g) was added, and the mixture was stirred at room temperature for 2 hr. The mixture was discharged into methanol (500 ml), and the precipitate was collected by suction filtration. Further, the mixture was discharged into a cold 10% hydrochloric acid aqueous solution (200 ml), and the precipitate was collected again by suction filtration, washed with methanol, washed with water, dried, and then a black mixture containing a phthalocyanine compound of the following formula (10) ( 4.5 g) was obtained.
[0076]
Embedded image
[0077]
Synthesis example 7
1,3-propane sultone (6.2 g) was added to the phthalocyanine compound (6) (5.0 g) obtained in Synthesis Example 1 in a pyridine (100 ml) solvent and reacted at 90 ° C. for 1 hour. The reaction mixture was discharged into methanol (500 ml), and the precipitate was collected by suction filtration. Further, the mixture was dissolved in a small amount of distilled water, neutralized to pH 8 with an aqueous caustic soda solution, and then discharged into isopropanol. The precipitate was collected again by suction filtration, washed with methanol and dried to obtain a black mixture (3.0 g) containing a phthalocyanine compound of the following formula (11).
[0078]
Embedded image
[0079]
Synthesis Example 8
To the phthalocyanine compound (6) (5.0 g) obtained in Synthesis Example 1 was added 2-ethylhexanoyl chloride (5.8 g) in a pyridine (100 ml) solvent and reacted at 90 ° C. for 1 hour. The reaction mixture was discharged into methanol (500 ml), and the precipitate was collected by suction filtration, washed with methanol, washed with water and dried to obtain a black mixture (8.2 g) containing a phthalocyanine compound of the following formula (12). Obtained.
[0080]
Embedded image
[0081]
Synthesis Example 9
The phthalocyanine compound (7) (6.0 g) obtained in Synthesis Example 2 was reacted with chloroacetic acid (4.2 g) in a pyridine (100 ml) solvent at 90 ° C. for 1 hour. The reaction mixture was discharged into methanol (500 ml), and the precipitate was collected by suction filtration. Further, the mixture was discharged into a cold 10% hydrochloric acid aqueous solution (200 ml), and the precipitate was collected again by suction filtration, washed with methanol, washed with water, dried, and then a black mixture containing a phthalocyanine compound of the following formula (13) ( 6.0 g) was obtained.
[0082]
Embedded image
[0083]
Synthesis Example 10
Ethyl succinate chloride (7.2 g) was added to the phthalocyanine compound (7) (6.0 g) obtained in Synthesis Example 2 in a pyridine (100 ml) solvent and reacted at 90 ° C. for 1 hour. The reaction mixture was cooled, 10% aqueous sodium hydroxide solution (50 g) was added, and the mixture was stirred at room temperature for 2 hr. The mixture was discharged into methanol (500 ml), and the precipitate was collected by suction filtration. Further, the mixture was discharged into a cold 10% hydrochloric acid aqueous solution (200 ml), and the precipitate was collected again by suction filtration, washed with methanol, washed with water, dried, and then a black mixture containing a phthalocyanine compound of the following formula (14) ( 5.5 g) was obtained.
[0084]
Embedded image
[0085]
Synthesis Example 11
1,3-propane sultone (5.4 g) was added to the phthalocyanine compound (7) (6.0 g) obtained in Synthesis Example 2 in a pyridine (100 ml) solvent and reacted at 90 ° C. for 1 hour. The reaction mixture was discharged into methanol (500 ml), and the precipitate was collected by suction filtration. Further, the mixture was dissolved in a small amount of distilled water, neutralized to pH 8 with an aqueous caustic soda solution, and then discharged into isopropanol. The precipitate was collected again by suction filtration, washed with methanol and dried to obtain a black mixture (4.0 g) containing a phthalocyanine compound of the following formula (15).
[0086]
Embedded image
[0087]
Synthesis Example 12
To the phthalocyanine compound (7) (6.0 g) obtained in Synthesis Example 2 was added 2-ethylhexanoyl chloride (5.1 g) in a pyridine (100 ml) solvent and reacted at 90 ° C. for 1 hour. The reaction mixture was discharged into methanol (500 ml), and the precipitate was collected by suction filtration, washed with methanol, washed with water and dried to obtain a black mixture (8.8 g) containing a phthalocyanine compound of the following formula (16). Obtained.
The absorption spectrum of the phthalocyanine compound (16) is shown below.
[0088]
Embedded image
[0089]
[Table 10]
[0090]
Synthesis Example 13
Ethyl succinic acid chloride (8.0 g) was added to the phthalocyanine compound (8) (6.0 g) obtained in Synthesis Example 3 in a pyridine (100 ml) solvent and reacted at 90 ° C. for 1 hour. The reaction mixture was cooled, 10% aqueous sodium hydroxide solution (50 g) was added, and the mixture was stirred at room temperature for 2 hr. The mixture was discharged into methanol (500 ml), and the precipitate was collected by suction filtration. Further, the mixture was discharged into a cold 10% hydrochloric acid aqueous solution (200 ml), and the precipitate was collected again by suction filtration, washed with methanol, washed with water, dried and then a black mixture containing a phthalocyanine compound of the following formula (17) ( 5.0 g) was obtained.
[0091]
Embedded image
[0092]
Synthesis Example 14
The phthalocyanine compound (8) (6.0 g) obtained in Synthesis Example 3 was slowly added to a mixed solution of 25% fuming sulfuric acid (16 g) and 98% sulfuric acid (10 g) at 30 ° C. or lower, and reacted at 65 ° C. for 8 hours. I let you. After completion of the reaction, the reaction solution was discharged into ice water, and sodium chloride was added to obtain a precipitate. The precipitate was collected by suction filtration and neutralized (pH 8) by adding 30% sodium hydroxide. Methanol was added and the precipitated crystals were collected again by suction filtration, washed with 90% methanol, and dried to obtain a black mixture (4.0 g) containing a phthalocyanine compound of the following formula (18).
The absorption spectrum of the phthalocyanine compound (18) is shown below.
[0093]
Embedded image
[Table 11]
[0094]
Evaluation of soluble water-based ink
Example 1
<Preparation of ink>
In the composition shown below, a phthalocyanine compound was mixed and dissolved (adjusted to pH 8.0 by adding 10% caustic soda water), and then filtered through a Teflon (registered trademark) filter having a pore size of 0.45 microns to prepare an ink. .
<Ink composition>
5 parts of phthalocyanine compound (18) of Synthesis Example 14
Glycerin 5 parts
Diethylene glycol 5 parts
N-methyl-2-pyrrolidone 5 parts
10 parts of triethylene glycol monobutyl ether
70 parts of ion exchange water
<Evaluation of characteristics>
Using the ink prepared above, the ink cartridge for a piezo ink jet printer was filled, and printing and image recording were performed using the same printer, and the following items were tested. As a result, (A) evaluation of moisture resistance; ○, (B) evaluation of light resistance; ○, (C) evaluation of storage stability of ink;
The evaluation criteria for each test item are as follows.
(A) Evaluation of moisture resistance
The plain paper on which the image was recorded was allowed to stand for 24 hours under the conditions of 40 ° C. and 85% humidity, and then the moisture resistance of the recorded image was visually evaluated.
Evaluation criteria
No problem with no change in image; ○
A level where no change is observed at the edge of the recorded image, but there is no problem;
There is a problem with bleeding of the dye at the edge of the recorded image; ×
(B) Light resistance evaluation
Using a xenon fade meter (manufactured by Suga Test Instruments Co., Ltd.), the printing density (OD value) before irradiation and after irradiation for 100 hours was measured using a reflection densitometer (manufactured by Macbeth Co.), and OD1 calculated by the following formula The light resistance was evaluated by comparing the values. (OD value represents the measured value at 550 nm.)
OD1 = (OD value after irradiation) / (OD value before irradiation) × 100 (%)
Evaluation criteria
OD1 is 100% to 80% or more;
OD1 is less than 80% to 50% or more;
OD1 is less than 50%; ×
(C) Evaluation of ink storage stability
The state of the ink after storage for 1 month at 40 ° C. was visually observed.
Evaluation criteria
No problem; ○
Insoluble matter is present, but there is no problem in use;
Insoluble material present and problematic level for use; ×
[0095]
Example 2
<Preparation of ink>
In the composition shown below, a phthalocyanine compound was mixed and dissolved (adjusted to pH 8.0 by adding 10% caustic soda water), and then filtered through a Teflon (registered trademark) filter having a pore size of 0.45 microns to prepare an ink. .
<Ink composition>
5 parts of phthalocyanine compound (9) of Synthesis Example 5
10 parts of diethylene glycol monoethyl ether
10 parts of diethylene glycol
N, N-dimethyl-2-imidazolidinone 5 parts
Urea 5 parts
65 parts of ion exchange water
When evaluated in the same manner as in Example 1, (A) evaluation of moisture resistance; ◯, (B) evaluation of light resistance; ◯, (C) evaluation of storage stability of ink;
[0096]
Example 3
The ink was prepared and evaluated in the same manner as in Example 1 except that (10) produced in Synthesis Example 6 was used for the phthalocyanine compound. (A) Moisture resistance evaluation; (B) Light resistance evaluation; (C) Storage stability evaluation of the ink;
[0097]
Example 4
An ink was prepared and evaluated in the same manner as in Example 1 except that (11) produced in Synthesis Example 7 was used for the phthalocyanine compound. (A) Moisture resistance evaluation; (B) Light resistance evaluation; (C) Storage stability evaluation of the ink;
[0098]
Example 5
An ink was prepared and evaluated in the same manner as in Example 1 except that (14) produced in Synthesis Example 10 was used for the phthalocyanine compound. (A) Moisture resistance evaluation; (B) Light resistance evaluation; (C) Storage stability evaluation of the ink;
[0099]
Example 6
An ink was prepared and evaluated in the same manner as in Example 1 except that (15) produced in Synthesis Example 11 was used for the phthalocyanine compound. (A) Moisture resistance evaluation; (B) Light resistance evaluation; (C) Storage stability evaluation of the ink;
[0100]
Comparative Example 1
In place of the phthalocyanine compound, disazo black dye, C.I. I. The ink was prepared and evaluated in the same manner as in Example 1 except that Acid Black 1 was used. (A) Moisture resistance evaluation; Δ, (B) Light resistance evaluation; ×, (C) Storage stability of ink Evaluation: ◯, light resistance was remarkably inferior compared with the phthalocyanine compound of the present invention.
[0101]
Evaluation of oil-soluble ink
Example 7
<Preparation of ink>
After the phthalocyanine compound was mixed and dissolved in the composition shown below, an ink was prepared through a 1 μm membrane filter.
<Ink composition>
5 parts of phthalocyanine compound (12) of Synthesis Example 8
10 parts of diethylene glycol monobutyl ether
Toluene 85 parts
<Evaluation of characteristics>
Using the prepared ink, the ink cartridge for a piezo-type inkjet printer was filled, and printing and image recording were performed with the same-type printer. Evaluation was made in the same manner as in Example 1. Evaluation of light resistance: ○, (C) Storage stability evaluation of ink;
[0102]
Example 8
After the phthalocyanine compound was mixed and dissolved in the composition shown below, an ink was prepared through a 1 μm membrane filter.
<Ink composition>
5 parts of phthalocyanine compound (16) of Synthesis Example 12
50 parts of propylene glycol monomethyl ether acetate
45 parts methyl isobutyl ketone
<Evaluation of characteristics>
Using the prepared ink, the ink cartridge for a piezo-type inkjet printer was filled, and printing and image recording were performed with the same-type printer. Evaluation was made in the same manner as in Example 1. Evaluation of light resistance: ○, (C) Storage stability evaluation of ink;
[0103]
Example 9
The ink was prepared and evaluated in the same manner as in Example 7 except that (17) produced in Synthesis Example 13 was used for the phthalocyanine compound. (A) Moisture resistance evaluation; (B) Light resistance evaluation; (C) Storage stability evaluation of the ink;
[0104]
Comparative Example 2
Instead of the phthalocyanine compound, a black pigment, C.I. I. Except that Solvent Black 5 was used, the ink was prepared and evaluated in the same manner as in Example 1. As a result, (A) moisture resistance evaluation; ○, (B) light resistance evaluation; ×, (C) ink storage stability. Evaluation: Δ, light resistance was remarkably inferior compared with the phthalocyanine compound of the present invention.
[0105]
Evaluation of dispersed water-based ink
Example 10
In an autoclave equipped with a thermometer and a stirrer, 180 parts of dimethyl terephthalate, 10 parts of dimethyl ester of 5-sodium sulfoisophthalic acid, 130 parts of ethylene glycol, 25 parts of tricyclodecane dimethanol and 0.1 part of tetrabutoxy titanate were charged. The mixture was heated at 180 to 220 ° C. for about 3 hours to conduct a transesterification reaction. Next, after the reaction mixture was heated to 240 ° C., the pressure in the autoclave was slowly lowered to 10 mmHg, and the reaction was continued for 1 hour. The pressure in the autoclave was returned to atmospheric pressure to obtain a copolyester resin. Next, after 100 parts of the obtained polyester resin, 150 parts of methyl ethyl ketone, 150 parts of tetrahydrofuran and 10 parts of the phthalocyanine compound (16) produced in Synthesis Example 12 were mixed, 600 parts of ion-exchanged water was added and further mixed. The mixture was filtered through a 0.8 micron membrane filter and heated to distill off the solvent. After cooling, ion exchange water was added to make the solid content concentration 20% by weight, and a colored resin fine particle dispersion was obtained. The fine resin particles dispersed in the dispersion were fine resin particles colored black having an average particle size of 0.1 μm. Evaluation of characteristics Glycerin and ion-exchanged water were added to the colored resin fine particle dispersion to obtain a water-based ink containing a solid content of 20% by weight.
Using this water-based ink, an ink cartridge for a piezo-type inkjet printer was filled, and printing and image recording were performed with the same-type printer. When evaluated in the same manner as in Example 1, (A) evaluation of moisture resistance; ○, (B) Evaluation of light resistance: ○, (C) Storage stability evaluation of ink;
[0106]
Example 11
In an autoclave equipped with a thermometer and a stirrer, 150 parts of dimethyl terephthalate, 50 parts of dimethyl isophthalate, 5 parts of dimethyl ester of 5 sodium sulfoisophthalic acid, 150 parts of ethylene glycol, 250 parts of neopentyl glycol, 0.1 part of tetrabutoxy titanate Was transesterified by heating at 180-220 ° C. for about 3 hours. Next, after the reaction mixture was heated to 240 ° C., the pressure in the autoclave was slowly lowered to 10 mmHg, and the reaction was continued for 1 hour. The pressure in the autoclave was returned to atmospheric pressure to obtain a copolyester resin. Next, after 100 parts of the obtained polyester resin, 150 parts of methyl ethyl ketone, 150 parts of tetrahydrofuran and 10 parts of the phthalocyanine compound (17) produced in Synthesis Example 13 were mixed, 600 parts of ion-exchanged water was added and further mixed. The mixture was filtered through a 0.8 micron membrane filter and heated to distill off the solvent. After cooling, ion exchange water was added to make the solid content concentration 20% by weight, and a colored resin fine particle dispersion was obtained. The fine resin particles dispersed in the dispersion were fine resin particles colored black having an average particle size of 0.1 μm. Glycerin and ion-exchanged water were added to the colored resin fine particle dispersion to obtain an aqueous ink containing a solid content of 20% by weight.
When evaluated in the same manner as in Example 10, (A) evaluation of moisture resistance; ○, (B) evaluation of light resistance; ○, (C) evaluation of storage stability of ink;
[0107]
Example 12
A reaction vessel equipped with a thermometer, a stirrer, a reflux condenser, a dripping device, and a nitrogen introduction tube was charged with 900 parts of ion-exchanged water, followed by sufficient nitrogen replacement. After heating to 70 ° C., 2 parts of potassium persulfate was charged. Next, 70 parts of ion-exchanged water in the dropping apparatus, sodium lauryl sulfate 1. 0 parts styrene 53 parts, butyl acrylate 59 parts, glycidyl methacrylate 48 parts, t-dodecyl mercaptan 0. The mixture consisting of 16 parts was gradually added dropwise to the reaction vessel over 2 hours. After completion of dropping, the mixture was aged for 2 hours. Next, an aqueous solution comprising 2 parts of ammonium persulfate and 20 parts of ion exchange water was charged into the reaction vessel, 300 parts of ion exchange water in the dropping device, 2 parts of sodium lauryl sulfate, 16 parts of acrylamide, 298 parts of styrene, and butyl acrylate. 297 parts, methacrylic acid 29 parts, ethylene glycol dimethacrylate 10 parts, and t-dodecyl mercaptan 0. A mixture consisting of 65 parts was added dropwise to the reaction vessel over 3 hours. After completion of dropping, the mixture was aged for 3 hours. After cooling to room temperature, ion exchange water and ammonia water were charged to obtain an aqueous acrylic resin. After mixing 100 parts of the obtained aqueous acrylic resin, 150 parts of methyl ethyl ketone, 150 parts of tetrahydrofuran and 10 parts of the phthalocyanine compound (12) produced in Synthesis Example 8, 600 parts of ion-exchanged water was added and further mixed. The mixture was filtered through a 0.8 micron membrane filter and heated to distill off the solvent. After cooling, ion exchange water was added to make the solid content concentration 20% by weight, and a colored resin fine particle dispersion was obtained. The fine resin particles dispersed in the dispersion were magenta colored resin fine particles having an average particle diameter of 0.1 μm. Glycerin and ion-exchanged water were added to the colored resin fine particle dispersion to obtain an aqueous ink containing a solid content of 20% by weight. When evaluated in the same manner as in Example 10, (A) evaluation of moisture resistance; ○, (B) evaluation of light resistance; ○, (C) evaluation of storage stability of ink;
[0108]
Comparative Example 3
Instead of the phthalocyanine compound, a black pigment, C.I. I. Except for using Solvent Black 5, an attempt was made to prepare the ink in the same manner as in Example 10, but the solubility of the dye was so low that emulsification could not be performed.
[0109]
[Effect of the present invention]
The phthalocyanine compound of the present invention is further excellent in weather resistance and storage stability, has high solubility in an ink solvent, and is particularly useful as an inkjet ink application.