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JP2004513477A - 静電対物に調整可能な最終電極を設けたsem - Google Patents

静電対物に調整可能な最終電極を設けたsem Download PDF

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JP2004513477A
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Abstract

二次電子(SE)24のレンズを通じた検出のための静電対物レンズ14、16、及び検出器6、8をもつSEM。適切な電圧コントラスト(1から5Vまで程度の電圧の範囲)が、試料の表面付近の適度な電場を必要とするかもしれないのに対して、SEの適切な収集効率は、試料18の表面付近の比較的高い電場を必要とするかもしれない。本発明に従って、調整可能な電圧源は、電圧コントラスト及び収集効率を測定の必要条件と一致して最適値に調節することができるように、試料に対する最終電極16の電圧を任意に調節するために提供される。

Description

【0001】
本発明は、装置の光軸に沿って移動する荷電粒子の一次ビームを生成するための粒子源、装置によって照射される試料用の試料ホルダー、静電電極によって試料ホルダーの付近に一次ビームのフォーカスを形成するための集束デバイス、一次ビームの入射に応じて試料から出る荷電粒子を検出するための検出手段、、その検出手段は一次ビームにおける荷電粒子の伝播方向で見て集束デバイスの前方に配置され、及び一次ビームにおける荷電粒子の伝播方向で見て試料ホルダーの前方に直接配置される静電最終電極を含む、粒子−光学装置に関する。
【0002】
この種の装置は、公表された国際特許出願WO99/34397から知られている。そこに記載された装置において、検査される試料の領域は、装置の光軸に沿って移動する荷電粒子、通常は電子の一次の集束されたビームによって走査される。この種の装置は、走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope)(SEM)として知られている。
【0003】
検査される試料の照射は、試料からの二次電子のような荷電粒子を放出し、前記粒子は、例えば1乃至5eVの大きさ程度の、一次ビームにおける粒子のものよりも著しく低いエネルギーを有する。このような二次電子のエネルギー及び/又はエネルギー分布は、試料の性質及び構成に関する情報を提供する。従って、SEMに二次電子用の検出(検出器)デバイスを提供することは有用である。このような電子は、一次ビームが入射する試料の側で放出され、その後それらは、一次電子の入射の方向に対して逆に移動する。(例えば、正の電圧を帯びる電極が提供された)検出器が、このようにして逆に移動する二次電子の経路中に配置されるとき、二次電子は、この電極によって捕獲され、検出器は、このように検出される電流に比例する電気信号を出力する。このようにして試料の(二次電子)像は、既知の様式で形成される。像の質、特に像が形成される速度及び信号対雑音比に関して、検出される電流は、好ましくは、できるだけ大きい、すなわち、二次電子の検出効率は、好ましくは、100%の付近にある。
【0004】
最近、できるだけ小さいSEMを構築する傾向がある。経済的な動機(概して、より小さな装置はより経済的に製造することができる)とは別に、このような小さい装置は、要求されるそれらの移動度及び小さな空間のために、それらを実験器具としてだけでなく、例えば集積回路の生産におけるような、小さな構造の形成用の道具としてもまた使用することができる、という利点を提示する。この分野において、小型化されたSEMを、製品の検査にも直接的な生産にも使用することができる。直接的な生産に関して、電子を使用して、製造されるIC上でパターンを書き込むために、SEMを使用することができる。検査のアプリケーションに関して、さらなる粒子線(例えば、製造されるICにおける注入用のイオンビーム)によって書き込む間における関連する工程を観察するために、SEMを使用することができ、製造工程のあるステップの実行後にICのオン・ライン検査のためにもSEMを使用することもできる。
【0005】
SEMの小型化のために、静電対物を使用することは、このような対物を磁気レンズよりも小さいように構築することができるので、魅力的である。これは、冷却手段(特にレンズコイル用の冷却管)を不要にすることができるという、及びレンズの磁気(鉄)回路は、磁気飽和を予防するために、与えられた最小の容積を必要とするという、事実による。さらに、試料空間における高い真空に関する同時の必要条件のために、(滑らかな金属表面として構築される)静電電極は、コイル、ワイヤー及び/又は真空環がしばしば提供される磁気レンズの表面よりも魅力的である。最後に、粒子光学系において一般的に知られているように、電場は、重粒子(イオン)に対して、磁場よりも適切なレンズである。既知のSEMにおける対物は、ともに一次ビーム用の減速系を構成する二つの静電電極を有する。
【0006】
既知のSEMにおける集束デバイスの前方の二次電子に対する検出器の配置は、SEMをICの観察のために使用するとき、ピット形状の凹凸を調査することもまたより容易であるという利点がある。これは、一次ビームが入射するものと同じ線に沿って観察が起こるためである。さらに、対物の側面へ及び試料上に直接検出器を配置することは、という欠点を有するかもしれない。次に検出器が、対物と試料との間の距離を、要求される分解能に関して十分小さい走査電子スポットの大きさを達成するのに必要な電子源の顕著な縮小に関して望ましいのと同じくらい小さくすることを不可能にするかもしれない。さらに、静電対物をSEMで使用するとき、対物の静電レンズの場が、対物の物理的な境界を越えて、もしかすると試料まで、伸びることは、しばしば起こる。(また、対物の最終電極と試料との間のこの電場は、漏出場とも呼ばれる)。試料から出る二次電子は、前記漏出場によって引きつけられる。次に、例えば対物の側面に配置された検出器は、非常に強い引力効果を必要とするはずであるので、一次ビームは、許容できない程度まで影響を受けるかもしれない。この欠点は、対物より上に検出器を配置することによって回避される。漏出場によって引きつけられた二次電子が対物の穴を通過した後、そのエリアに存在する電場は、対物の前方の空間における電位に相当するエネルギー値まで前記二次電子を加速する。次に、このようにして加速された電子は、検出を可能にして、検出器の材料を励起するには十分であるエネルギーを有し、このようにして検出を可能とする。
【0007】
引用した国際特許出願WO99/34397から知られているSEMにおいて、試料ホルダーに対して最も近くに配置される対物の電極は、一次ビームにおける荷電粒子の伝播方向で見ると試料ホルダーの前方に直接配置される前記静電最終電極によって形成される。しかしながら、引用した特許文書は、この最終電極の電位に関する情報を開示しない。しかしながら、この最終電極は、慣習的にSEMによって照射される試料と同じ電位を有する。
【0008】
試料の検査に対して、電圧コントラストを観察することができること、すなわち、(例えば数ボルトの大きさ程度の)互いに異なる電位の試料の領域が像において異なる強度を示すので、コントラストがこれらの領域の間で生じることは、しばしば望ましい。これは、欠陥の存在が、回路にわたる電圧差の存在又は欠如として明白になる集積回路の検査には特に望ましい。コントラストは次のように生じる。既知であるように、試料の表面から出るほとんどの二次電子は、0及び10eVの間のエネルギーを有する。しかしながら、試料表面上の領域が与えられた電圧(例えば、半導体回路における電極)を示す場合において、このような二次電子は、それらが前記領域中の表面から出ることを可能とするために、対応する最小のエネルギーを有するべきである。これは、前記量より少ないエネルギーを有する全ての二次電子は、出ることができず、よって全体的な二次電子の流れに寄与することができないことを意味する。例えば、例えば3Vの電圧をもつ試料の領域における例えば5eVのエネルギーをもつ一次ビームによって活性化される電子は、表面から出ることができるが、前記試料の領域における例えば2eVのエネルギーを有する電子は、表面を去ることができない。従って、与えられた領域からの全体的な二次電子の流れは、関連する試料の領域の電圧に依存することになる。これは、異なる電圧の領域間の強度における差を形成することになる。
【0009】
試料の観察における別の重要な様相は、収集効率、すなわち、検出される信号に最終的に寄与する放射される二次電子の総数の分数によって形成される。像における信号対雑音比のために、像のピクセル当たりの与えられた最小数の電子を検出することが望ましいが、試料の像の確立は、(好ましくは時間の代わりに、秒の大きさ程度の)一次ビームの走査中の合理的に短い時間周期内で起こらなければならないのでピクセルの観察が非常に長く続くことは、可能ではない。これは、できるだけ少ない二次電子が検出に対して失われるはずであることを意味する。電子は、例えばそれらのエネルギー分布のために、検出に対して失われ得るので、比較的高い熱エネルギーを有する電子は、収集する場から逃れる。また、二次電子それら自体の間の衝突、残余の気体イオンとの衝突、又は、試料からの小さな出口角は、二次電子が収集する場から逃れることを可能とする場合もある。この逆効果を打ち消すために、強い収集する場、すなわち、例えば100Vの大きさ程度の場を用いることは望ましいかもしれない。
【0010】
適切な電圧コントラストに対する要望が、高い収集効率に対する要望とあまり両立できないことが理解されると思われる。
【0011】
本発明の目的は、高い収集効率及び適切な電圧コントラストに関する要求を両方とも満たすことができる、既に述べたこの種の粒子−光学装置を提供することである。このために、本発明に従う装置は、装置は、装置によって照射される試料と最終電極との間の電位差を調節するための電源手段が提供されることを特徴とする。
【0012】
本発明は、適切な観察状況を実現するために、適切な電圧コントラストと適切な収集効率との間の最適を発見することが必要であるという、及び、この最適が、観察状況(例えば、一次ビームに対して傾けられた、又はそれに対して垂直に延びる試料、平坦な表面又は試料中のピット状の窪みでの観察)において、又は、他の観察パラメーターにおいて、検査される試料の性質に依存することになるという事実の認識に基づく。最終電極の電圧を調整可能にするので、各観察に対して、例えば、まだ信号対雑音比を著しい程度まで低下させない、適切な電圧コントラストを探索することができる。例えば、(例えば4:1のアスペクト比で)ピット状の窪みの底における詳細が観察されるとき、詳細が試料の表面上で観察される場合と比較して、ピットの底から二次電子を収集するのに適切である、ピットの底で収集する場を形成するために、はるかに高い電圧を試料の表面上で必要とすることになる。傾けられた試料の場合には、最終電極の電位を変化させることにより補償を提供しなければならないような程度まで傾けることによって、収集する場を歪めてもよい。
【0013】
本発明の好適な実施例における最終電極は、集束させる電極によって形成される、試料ホルダーに最も近く位置するデバイス。対物と試料との間の空間は、このように一次ビームに対する試料の移動、すなわち、特に試料を傾けることに対して完全に利用可能なままにしておかれる。
【0014】
本発明の別の実施例における最終電極は、試料ホルダーと試料ホルダーに最も近い集束デバイスの電極との間に位置する電極によって形成され、前記電極は、光軸のまわりで回転に対称である。たとえ試料の運動に関するいくつかの自由をこのようにして放棄するとしても、最終電極にわたる電圧の調節が、変調される対物の光学特性なしで、望まれるような試料の表面の領域における電場の調節を可能とすることが達成される。また、このステップは、試料中のピット状の窪みの底から出る二次電子の検出に対する利点も提示する。このような電子がこのピット状の窪みから引きつけられることを可能とするために、最終電極の比較的高い電圧、例えば試料から1mmの距離の場合には1Vの電圧、を要求する。もしも仮にこの電圧を対物の最後の電極に印加するとすれば、それの光学特性は、望まれない程度にまで影響を受けるかもしれない。さらに、この追加の電極は、対物の最終電極と組み合わせて、与えられたレンズ効果を有するので、二次電子の戻されたビームは、対物の領域で焦点を、よって、検出器の表面の領域で比較的大きな断面を有する。このようにして、この狭いビームの主要な部分を、検出器の開口を通じて放射し戻すことを避けるので、このビームは、検出されないかもしれない。
【0015】
本発明のまた別の実施例において、最終電極は、光軸のまわりにおける多くの電気的に絶縁されたセグメントに対称的に細分される。これは、二次電子のビームのさらなる影響を及ぼすことを可能とする。このようにして、二次ビームは、ニ又はそれ以上のセグメントへ最終電極を細分することにより、偏向作用にさらされ得るので、双極子場をもともとの回転対称な電場に重ね合わせることができる。それの効果は、二次ビームが対物の開口を通じてわずかに傾斜して向けられることに存在するので、このビームがもはや検知されないかもしれないように、このビームが検出器中の開口を通じて相当な程度まで放射し戻されることも回避する。ここで、二次ビームを、検出器の表面における検出器中の開口の側面へ完全に向けることができるので、実質的に、二次ビームにおける電子の流れ全体が検出される。
【0016】
本発明のまた別の実施例において、最終電極は、試料ホルダーに対して最も近くに位置する集束デバイスの電極と試料ホルダーとの間に位置する電極によって形成され、前記最終電極は、完全に光軸の片側に位置する。本発明に従って実施例の一つに基づいて論証することになるように、このような構築は、失われる試料の移動の自由度における利点なしで、傾けられた試料の場合において電気的な収集する場の分布に関して特別な利点を提示する。
【0017】
本発明を、以後、対応する引用符は対応する要素を表示する図を参照して、詳細に記載するつもりである。
【0018】
図1は、本発明に従うSEMの関連する部分を示す。それらが本発明に関連しない範囲で、電子光学カラムの一部を形成すると共に一次ビームを加速し制御することに役立つ電子源及び全てのさらなる要素は示してない。図1に示してない一次ビームは、SEMの光軸4に沿って移動する。次に一次ビームは、続けて検出器結晶6、静電加速電極8、第一の電気偏向電極10、第二の電気偏向電極12、対物の一部分を形成する第一の静電電極14、及びまた対物の一部分を形成する第二の静電電極16を横断する。最後に、一次ビームの電子は、検査されるか又は作動される試料18に到達する。
【0019】
検出器結晶6は、一次ビームの入射に応じて試料から出る電子の検出に関する検出手段の一部分を形成する。この検出器結晶は、適切なエネルギーの電子の捕獲に応じて光のパルスを生成する物質(例えば、セリウムをドープしたイットリウムアルミニウムガーネット即ちYAG)からなる。この光のパルスは、光ガイド手段(示してない)によってさらに伝導され、光電子変換器中で電気的信号に変換され、望まれるとすれば、そこから試料の像を、導出することができる。また、後者の要素は、前記検出手段の一部分を形成する。 検出器結晶には、一次ビームの通過用の穴が提供される。
【0020】
静電加速電極8は、電極系8、14、16の一部分を形成し、それらの電極14及び16は、一次ビームを集束することに役立つSEMの対物を構成する。
電極8は、一次ビームのための穴が提供される平板として形作られ、導電性酸化物、例えば、インジウム及び/又はスズの酸化物の形態で検出材料に、特にシンチレーション結晶6の検出面に、配置される。電極8を、電源ユニット(示してない)によって、所望の電圧、例えば9kV、に調節することができる。
【0021】
第一の電気偏向電極10及び第二の電気偏向電極12は、一次ビームを偏向させるためのビーム偏向系の一部分を形成する。これらの二つの電極の各々は、直円柱の形態にある外形、及び、ビームの方向に先細になる円錐の形態にある内形を有する管状部分として構築される。電極10及び12の各々は、光軸を通る互いに垂直な平面における二つの刻み込みカットによって、四つの等しい部分に、電極10及び12の各々がその部分間における適切な電圧差の印加によってy方向だけでなくx方向でも電気双極子場を生成することが可能であるように、細分されるので、一次ビームを、試料18にわたって偏向させることができ、検出器結晶の方向で移動する二次電子の経路に影響を及ぼすことができる。電極10及び12を四つの部分に細分する代わりに、それらを、光軸を通る平面における4つの刻み込みカットによって、より大きな数の部分(例えば8つの等しい部分)に細分することもできる。電極の各々の様々な部分への適切な電圧の印加によって、このようにして形成された系を、ビームを偏向させることだけでなく非点補正装置としてもまた使用することができる。
【0022】
第一の電極14及び第二の電極16は、SEMの対物を形成する電極系を構成する。外部だけでなく内部にも、電極14は、下方へ先細である円錐として形作られるので、この電極は、電極16内に適合する。外部だけでなく内部にも、電極16もまた、下方へ先細である円錐として形作られる。外部の円錐形状は、ICの製造のために使用されると共に300mmの直径に到達してもよい円形のウエハーのような、比較的大きな試料の処理用の最適な空間を提示する。電極16における外部の円錐形状のために、ウエハーが対物から突き出る部分によって遮断されることなく、対物の真下のウエハーを傾けることによって、比較的大きな角度でウエハーに、一次ビームを衝突させることができる。図中の破線20は、電気的な対物の場(すなわち対物の近軸中心)のレンズ効果を局在化すると仮定することができる領域を示す。
【0023】
対物14、16は、一般に非常に大きな縮小で(接地された)試料上に電子源を撮像するような様式で、一次ビームを集束させる。この強い縮小のために、
試料18の表面とレンズ20の中心との間の距離(焦点距離)は、非常に小さく、既に述べてきたように円錐でない。
【0024】
図は、粒子−光学機器におけるいくつかの電子の経路の進行を示す。 これらの経路の進行は、コンピューターシミュレーションによって得られてきた。次の仮定を、このシミュレーションに関してした。一次ビームが加速される電圧は、実質上10kVに等しかった。二次電子のエネルギーは、1eVである。試料は、接地される。検出器での電圧Vは、実質上9kVに等しい。電極10での電圧は、9+2=11kV及び9−2=7kVである。電極12での電圧は、9−1.8=7.2kV及び9+1.8=10.8kVである。図における電子の進路の表示では、電極16は、試料18と同じ電位を帯びる。
【0025】
検出器、偏向電極、及び対物によって形成された組み立て品に入る(この図における破線で図表でのみ表わされた)一次ビーム22は、最初に光軸4に沿って移動する。電極10によって発生する電気的な偏向場の影響下で、ビームは、軸から離れて偏向し、その後それは、電極12によって発生する反対側の偏向場の影響下で再び軸に向って偏向する。結果として、一次ビームは、偏向電極10及び12よりはるか下で光軸と交差する。のその配置及びビーム偏向系が二つの向かい合う場と共に動作するという事実の結果として、傾き点が対物の中央の平面20に位置することが達成されるので、一次ビームの走査運動の大きさにかかわらず、大きな視界及び最小の撮像の誤差が達成される。偏向場による偏向の後に一次ビームが中央の平面20において光軸4と交差することを示す図において、この現象を、明らかに観察することができる。
【0026】
試料18における一次ビーム22の入射は、対物の、偏向系の、及び検出器の電圧における電場の影響下で上方へ移動する、試料からの二次電子を放出する。図は、このような二次電子の経路24を示す。二次電子は、対物の穴へ引きつけられ、その後それは、偏向器の場にさらされることになる。図は、経路26によって電気的な偏向場の効果を説明する。
【0027】
電極16と試料18との間で、装置によって照射される試料18と電極16との間の電位差を調節するために配置された電源手段があり、前記手段は、調整可能な電圧源28によって形成される。
【0028】
図2aは、既知の粒子−光学装置において、すなわち電極16が試料と同じ電位を帯びる状況において、対物の電極構造の外側における電場の分布を示す。明瞭にするために、一次ビームをこの図で省略してきたが、このビームを試料18上に集束させる。二次電子のビーム22を図中に図表で示す。このビームは、一次ビームの焦点のまわりにおける小さな領域で試料18から去り、上方へ移動すると間に対物14、16内に集束される。二次電子の初期のエネルギーを5eVであると仮定する。この図では、対物の励起は、実質上12kVに等しかった。この図は、それぞれ2V、4V、6V、8V及び10Vの電位を表わす、五つの等電位線30a、30b、30c、30d及び30eを示す。この図は、10Vの大きさ程度の電位が試料18の表面にわたって存在することを明らかに示す。結果として、高い収集効率を達成するように、実際には全ての二次電子が対物中に引かれる。図2bは、図1に示すような対物の電極構造の外側における電場の分布を示し、電極16は−100Vの電位に調節される。対物の励起は、この図で実質上12kVに等しかった。この図の明瞭にするために、一次ビームを省略してきたが、それは、また試料18上へ集束される。この図は、再び、それぞれ2V、4V、6V、8V及び10Vの電位を表わす、五つの等電位線30a、30b、30c、30d及び30eを示す。ここに示す状況において、これらの線は、試料の表面から実質的により遠くに位置する。結果として、(その経路を領域32内に示す)二次電子を電極16の方向に部分的にのみ移動することができる。これらは、比較的大きな角度で試料の表面から出る二次電子である。これらの電子の経路は、図において引用符34によって表示される。他の二次電子は、収集する場及び電極16の方向でこれらの電子に適切なエネルギーを付与するほどは十分に大きくない角度で試料の表面から出る。これらの二次電子は、試料に戻り、よって像に関係しない。これらの二次電子の経路は、図において引用符36によって表示される。
【0029】
図3bが、次に粒子−光学装置で測定された検出効率のグラフ表示であるのに対して、図3aは、本発明に従う粒子−光学装置で測定された電圧コントラストのグラフ表示である。これらの二つの図を次のようにして得てきた。検査される試料は、導電性ストリップが提供され、その一つは、他方が+2Vの電圧に調節されるのに対して、0Vの電圧に調節される。二つのストリップから出る二次電子の強度を比較し、電圧コントラストはそれの根拠で決定される。対物にわたる集束電圧が、実質上12kVに等しかったと同時に、静電加速電極8にわたる、及び偏向電極にわたる電圧は、実質上6kVに等しかった。最終電極16と光軸及び試料の表面の交点との間の距離は、実質上2mmに等しかった。試料は、傾けられなかった。対物の電極16にわたる電圧は、0Vと−200Vとの間で調整可能である。これらの図の状況において、用語“電圧コントラスト”は、前記ストリップの各々から出る二次電子の電流の比率を意味することが理解され得る。二つの図の比較は、電圧コントラストに対して最も感度の高い領域が−100V付近にあることを示す(ここで、前記ストリップの各々からの二次電子の流れの比率は極端な値を有する)。その値では、収集効率は、まだ実質上約50%に等しい。図3bに示すように、二次電子の加速を減少させることにより検出効率が減少する。より少ない電圧コントラストが十分である一方、より良好な検出効率を達成することが必要である測定の間に、ここで、電極16にわたる電圧を変動させることにより、異なる、より好ましい状況を選ぶことは可能である。
【0030】
図4aは、粒子−光学装置において傾けられた試料18の近くにおける場の分布を示す。試料は、光軸に対して45度の角度を囲む。 静電加速電極8にわたる、並びに偏向電極10及び12にわたる電圧は、実質上+10kVに等しかった。対物にわたる集束電圧は、実質上+12kVに等しかった。最終電極16と光軸及び試料の表面の交点との間の距離は、実質上4mmに等しかった。図は、漏出場の等電位線を、すなわち全て電極16にわたる0Vの電極の電圧に対して、示す。漏出場の回転対称は、試料の傾きによりひどく乱されるので、二次電子の収集効率は、強く影響を受ける。例えば、電極16が、試料と同じ電位を帯びるとき(その場合には電極の電圧が実質上0Vに等しい)、二次電子の収集効率は、10%の大きさ程度である。示す状況において、収集効率を、電極16の電位を変動させることによって増強することができることを発見してきた。それの結果を図4bに示す。
【0031】
図4bは、図4aに示すような粒子−光学装置における二次電子の検出効率のグラフ表示である。このグラフを、コンピューターシミュレーションによって得てきた。 このグラフでは、電極16の電位は、0Vと−200Vとの間で変動する。最終電極に対する負の電位の印加によって初期に収集効率を増強することができるという事実を、レンズ開口の方向から離れた方向における前記双極子場による効果をこのようにして打ち消すことを実現することによって、説明することができる。次に、二次電子は、最終電極の側壁に向ってはあまり引かれず、電極の開口に向ってより引かれる。これは、傾けられた試料の場合においてさえ、最終電極の電位の正確な調節によって、検出効率をかなり増強することができることを論証する。グラフは、80%の値でさえも−125Vの電極の電位で到達することができることを示す。
【0032】
図5aは、粒子−光学装置における傾けられた試料18及び板−形状の電極40の近くにおける場の分布を示す。板−形状の電極40は、完全に光軸の片側に配置される。それは、図の平面に対して垂直に延びるまっすぐな縁を有する。試料は、光軸に対して45度の角度を囲む。 静電加速電極8にわたる、及び偏向電極10及び12にわたる電圧は、実質上+10kVに等しかったと共に、
、対物にわたる集束電圧は、実質上+12kVに等しかった。最終電極16と光軸及び試料の表面の交点との間の距離は、実質上4mmに等しかったと共に、板40は、最終電極のより低い側面より5mm下に、及び試料の表面から0.1mmの距離に、位置する。この図は、漏出場の等電位線を、すなわち全て電極16にわたる0Vの電圧及び板40にわたる100Vの電圧に対して、示す。図4aにおけるのと同様に、試料の傾きは、漏出場の回転対称をひどく乱してきたが、板40の存在は、二次電子の収集効率を増強するように、双極子場成分の偏向効果を打ち消す。図5は、前述のものの結果を示す。
【0033】
図5bは、図5aに示す粒子−光学装置における二次電子の検出効率のグラフ表示である。このグラフを、コンピューターシミュレーションによって得てきた。このグラフでは、板40の電位を、すなわち−125Vだけでなく0Vの電極16の電位に対して、0Vと−200Vとの間で変動させる。電極16にわたる0Vの電位の場合には、板40の電位の変動が、図4bにおける電極16にわたる電圧の変動のものと類似する効果を有することを発見してきたが、図5bにおける電圧の値は、板40と試料の表面との間におけるより小さな距離のために、図4bにおけるものと異なる。また図5bは、傾けられた試料の場合においてさえ、(この場合には板40である)最終電極の電位の正確な調節によって、検出効率をかなり増強することができることを示す。示すグラフは、約95%の値でさえ−70Vの板の電位に対して達成することができることを論証する。
【0034】
図6は、回転対称な最終電極42を対物と試料との間に配置する本発明の実施例を示す。最終電極42の形状は、実質的に電極16のものと同じであてもよいが、それはまた、例えば、平坦な丸いディスクとして形作られる場合もある。
対物の光学特性をかなりの程度までに変化させることなく、試料の表面の領域での電場を任意に調節することができることは、このようにして達成することができる。さらに、試料におけるピット状の窪みの底から出る二次電子を、このようにして検出することができる。これは、最終電極42にわたる比較的高い電圧、例えば試料から1mmの距離に対して1kV、を要求する。このような電圧は、対物の電圧に重ね合わせられるとき、望まれずに、それの光学特性に影響する場合もある。さらに、対物の最終電極と組み合わせて、この追加の電極42はまた、ビームの主要な部分を検出器における開口を通じて放射し戻すことを予防するように二次ビームが検出器の表面の領域での比較的大きな断面を有するという結果と共に、ある与えられたレンズ効果を有する。
【0035】
最終電極42を、光軸4のまわりにおける多くの電気的に絶縁されたセグメントに細分することができる。(このようなセグメンテーションを図に示してない)。二次ビームを、セグメントに異なる電圧を印加することによって、偏向させることができる。これを、最終電極42を二つ、四つ、又はそれ以上のセグメントへ細分することによって実現することができる。二つのセグメントの場合には、固定された偏向方向が得られる。四つのセグメントの場合には、偏向方向を任意に調節することができ、より多くのセグメント(例えば八つのセグメント)の場合には、偏向の場におけるより高い次数の項は減少させることができ、このようにして二次ビームの望まれない変形を減少させる。それの効果は、二次ビームを、対物の開を通じてわずかに傾斜して向けるということであるので、このビームの主要な部分を検出器における開口を通じて放射し戻すことを再び予防する。一次ビームは、それが二次ビームのものよりもはるかに高いエネルギーを有するので、このようなセグメンテーションによって影響されないか、又はもっぱらほとんど影響されない。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明に従う粒子−光学装置の関連する部分の図表の表示である。
【図2a】
既知の粒子−光学装置における対物の電極構造の外側における電場の分布を説明する。
【図2b】
図1の中で示すような対物の電極構造の外側における電場の分布を説明する。
【図3a】
本発明に従う粒子−光学装置における二次電子の測定された電圧コントラストのグラフ表示である。
【図3b】
本発明に従う粒子−光学装置における二次電子の測定された検出効率のグラフ表示である。
【図4a】
本発明に従う粒子−光学装置における傾けられた試料の近くでの場の分布を図表で示す。
【図4b】
図4aに示すような粒子−光学装置における二次電子のシミュレートした検出効率のグラフ表示である。
【図5a】
本発明に従う粒子−光学装置における傾けられた試料及び板−形状の電極の近くにおける場の分布の図表の表示である。
【図5b】
図5aに示すような粒子−光学装置におけるシミュレートした検出効率のグラフ表示である。
【図6】
対物と試料との間に配置される回転対称な最終電極を含む本発明の実施例を示す。

Claims (5)

  1. 粒子−光学装置であって、
    該粒子−光学装置は、前記装置の光軸に沿って移動する荷電粒子の一次ビームを生成する粒子源、
    前記装置によって照射される試料用の試料ホルダー、
    静電電極によって前記試料ホルダーの近くに前記一次ビームのフォーカスを形成する集束デバイス、
    前記一次ビームの入射に応じて前記試料から出る荷電粒子を検出する検出手段、及び
    前記一次ビームにおける前記荷電粒子の伝播方向で見て、前記試料ホルダーの前方に直接配置される静電最終電極、を含み、
    前記検出手段は、前記一次ビームにおける前記荷電粒子の伝播方向で見て、前記集束デバイスの前方に直接配置され、
    前記装置は、前記装置によって照射される前記試料及び前記最終電極の間の電位差を調節する電源手段が提供されることを特徴とする粒子−光学装置。
  2. 前記最終電極は、前記試料ホルダーに最も近く位置する、前記集束デバイスの前記電極によって形成される請求項1記載の粒子−光学装置。
  3. 前記最終電極は、前記試料ホルダーに最も近い前記集束デバイスの前記電極及び前記試料ホルダーの間に位置する電極によって形成され、
    前記電極は、前記光軸のまわりに回転対称である請求項1記載の粒子−光学装置。
  4. 前記最終電極は、前記光軸のまわりの多くの電気的に絶縁されたセグメントに対称的に細分される請求項2又は3記載の粒子−光学装置。
  5. 前記最終電極は、前記試料ホルダーに最も近い前記集束デバイスの前記電極及び前記試料ホルダーの間に位置する電極によって形成され、
    前記最終電極は、完全に前記光軸の片側に位置する請求項1記載の粒子−光学装置。
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