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JP2004511165A - ゼロ中間周波数アーキテクチャーに構成された無線通信装置用較正直流補償装置 - Google Patents

ゼロ中間周波数アーキテクチャーに構成された無線通信装置用較正直流補償装置 Download PDF

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JP2004511165A JP2002533484A JP2002533484A JP2004511165A JP 2004511165 A JP2004511165 A JP 2004511165A JP 2002533484 A JP2002533484 A JP 2002533484A JP 2002533484 A JP2002533484 A JP 2002533484A JP 2004511165 A JP2004511165 A JP 2004511165A
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Abstract

ゼロ中間周波数(ZIF)アーキテクチャー設定された無線通信装置(400,500,600,700)用の較正直流補正システム。前記装置はZIFトランシーバー(201)とベースバンドプロセッサー(203)を備え、該ベースバンドプロセッサーは、さらに較正処理を周期的に実行する較正器(401)を含む。ベースバンドプロセッサーは、利得コントロールロジック(345)、直流コントロールロジック(347)、利得変換器(331)および較正器(401)を含む。利得変換器は、前記利得コントロールロジックと前記直流コントロールロジックの間の利得を変換する。較正器は、較正処理中に決定された値を用いて利得変換器(331)をプログラムする。利得変換器は、前記ZIFトランシーバーのベースバンド利得増幅器の測定された利得に基づいて利得変換値を記憶する自動照合テーブル(501)であってもよい。利得コントロールロジックはさらに最大規制値あるいは一又は複数の利得変動規制値に基づいて作動中に利得調整信号の変動を規制する利得調整リミッター(601)をさらに有してもよい。第二自動照合テーブル(701)は複数の直流調整値を記憶するもので、該調整値は処理中に加算されてさらに直流オフセットを減少させる。較正処理は、逐次近似処理法を用いて所定の二つのレンジ値および対応する直流オフセットにおいて、ベースバンド増幅器(307)の各利得ステップに対する出力信号をサンプリングすることを含む。このデータを用いて利得、直流オフセット、直流差分値を算出し、それらを用いて自動照合テーブルまたは利得調整リミッターにプログラムされ変換値を決定する。
【選択図】図4

Description

【0001】
[関連出願の他所参照事項]
本出願は、本件出願と同時に出願を行う出願番号09/678,901「ゼロ中間周波数アーキテクチャーに構成された無線通信装置用直流補償装置」と題する米国特許出願に関するものである。
【0002】
【発明の属する技術分野】
本出願は無線通信に関するものであり、さらに詳しくは、無線周波数信号をベースバンド周波数へ直接変換可能な直流コントロールループを利用したゼロ中間周波数(ZIF)アーキテクチャーに構成された無線通信装置用較正直流補償システムと、直流電圧レベルを正確に決定し制御する較正処理に関するものである。
【0003】
【従来の技術】
ネットワーク通信は、業務用と家庭用の両方の応用に対する技術が発展している分野である。ネットワークシステムにより通信が向上し、家庭や職場の両方における生産性や適応性を向上させる適切な環境が提供されている。例えばインターネットは、広域の多くの場合、有線の通信網であり、世界規模で複数の装置を互いに接続して、インターネットに接続された何らかの装置間で世界規模の通信を可能にしている。このインターネットによりファイルの共有、ファクス通信、チャット、電子メール及びウエッブサイトを介するファイル、ライブラリー、データーベース、コンピュータープログラムなどへの情報アクセスといった様々なサービスへのアクセスが可能である。
【0004】
多くの事業所や営業所では、生産性と通信の向上を図るためすでにほぼ確立された洗練されたネットワーク環境を備えている。例えば、エクストラネットやイントラネットは、インターネット上で特定のグループの人々に対して高度でしかも外部から防御された、あるいは安全性の高い通信を提供する。多くの小さな事業所や家庭は、ローカルエリアネットワーク(LAN)などの何らかの変形システムを介してインターネットに接続されている。小規模ビジネスや家庭の環境では、インターネットへ接続し、又はファイルの共有、印刷、ファクス通信等のような他のサービスにアクセスし、さらにチャットや電子メールサービスなどを介する通信を可能にし、また共通データベースやライブラリーなどへのアクセスを行なうLAN機能を組み込む事が有利で一般的になりつつある。多くのこうした小規模ネットワークは一組の電線で互いに接続されている。例えば、あるネットワークを標準的な電話回線を介して小規模オフィスや家庭内に構築してもよい。電話回線は企業の各オフィスや一般的な家庭のいくつかの部屋にすでに設置されている。家庭の各部屋に普通に設けられている電力線を介してネットワーク通信を設立する技術も存在している。あるいは、多くの小規模オフィスや家庭は、撚線対電話回線などのようなネットワーク配線で、種々のイーサネット(登録商標)の実施の形態で利用されている対応型RJ−45コネクターを用いて有線接続してもよい。
【0005】
有線ネットワークでは一定レベルの利便性を得られるが、多くの制約もある。ネットワークに接続されている各装置は、そのネットワークがそれによって設立されている対応する配線に接続されていなければならない。従って、各装置の位置はそのネットワーク配線に接続可能にするために制限される。配線を適切に引き回すことができるように装置を設置しなくてはならないためケーブル管理も重要な問題となる。配線は便利に配置され、且つ美的理由から、目につかないことが望ましい。また、いかなる偶発的な妨害や断線、あるいは引きはずしといった事故の可能性をも減少、あるいは除外するように配線は設置すべきである。有線デバイスはいったん適切に配置されると各装置の施動は非常に制約されるか、または配線の実質的な再構成または引き回しのやり直しでも行なわないかぎり実行できない。有線ネットワーク装置のメインテナンスは面倒で、メインテナンスを行なっている最中に配線をはずし、その後適切に付け直すといったことが必要となることがしばしばある。
【0006】
赤外線技術のような一定の無線技術が周知である。遠隔制御装置などのような一定の応用においては赤外線技術はよく作動する。ネットワークへの応用では赤外線技術は比較的安価な選択肢であるが、帯域幅の制限、レンジの制約、視線問題などといったある程度の制約がある。赤外線技術はアクセスポイント(AP)や廊下の端まで等にネットワークを拡張するための二地点間リレーノードなど一定の応用分野で利用されている。例えば、赤外線装置は病院、ホテル、その他比較的大規模な建造物などにおける利用が知られている。しかしながら、アクセスポイントまたはノードは通常物理的な物体との干渉の可能性をさけるために天井などの上に固定して配置されている。赤外線技術はその視線問題のため、人の連関が必要とされるネットワークの終末点におけるネットワーク通信では特に便利ではない。
【0007】
無線周波数(RF)技術は、発展性のある無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)を構築するためのえり抜きの技術であるように思われる。しかしながら、LANシステム用の無線周波数技術は小規模なオフィスや家庭用として特に最適化されたものではない。無線技術は、商工業用分野での利用、ならびに書類配送業サービス、車両のレンタル、倉庫の運営、棚卸しなどの応用のために設立されているものである。商業産業に応用するための無線システムの実施は、非常に高価であったり、あるいは特化されているため小規模なオフィスや家庭環境において直接使用するのには適していない。
【0008】
ブルートゥース技術は家庭やオフィス用として開発が行われている。ブルートゥース技術は、非常に低いコストで比較的限られた帯域幅を提供し、携帯電話、ノートブック型、ラップトップ型、デスクトップ型コンピューター、またさらには個人用携帯型情報端末機器(PDA)などのような携帯デバイスを含むコンピューターシステムのような一連の通信装置間の接続及びネットワーク通信を可能にする。しかしながらブルートゥース技術は帯域幅に制約があるためデータ処理能力が比較的低い。消費者市場ではDVDやその他のマルチメディア分野での応用に必要とされているようなより高いデータ処理能力や信頼性が要求されている。
【0009】
一般的なWLANの環境は、雑音に満ち無線通信に適していない。ほとんどの家庭には、例えば、電子レンジオーブン、ガレージドア開閉装置、ラジオ、テレビ受像機、コンピューター装置などのようにWLAN通信に干渉する可能性のある結果的に、電子ノイズにあふれた環境を作り出す電子装置が備えられている。さらに、無線デバイス間の通信媒体は常に変化している。例えば、無線環境にマルチパスノイズを発生させる多重反射面がたいていの周辺環境や居室の多くに備えられている。さらに手や体、宝石、マウスポインターなどの物品や装置の移動、あるいは冷却ファンのような電子装置の起動は無線通信パス全体に影響を及ぼし無線通信性能を低下させる可能性がある。
【0010】
【非特許文献1】
TSURUMI H ET AL: ”SYSTEM−LEVEL COMPENSATION APPROACH TO OVERCOME SIGNAL SATURATION, DC OFFSET, AND 2ND−ORDER NONLINEAR DESTORTION IN LINEAR DIRECT CONVERSION RECEIVER”
IEICE TRANSACTIONS ON ELECTRONICS, INSTITUTE OF ELECTRONICS INFORMATION AND COMM. ENG. TOKYO, JP, vol. E82−C, no. 5, May 1999(1999−05), pages 708−715, XP000919541   ISSN: 0916−8524
【特許文献1】
国際公開第97/06604A号パンフレット
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
家庭用または小規模ビジネス用WLAN装置などを実現することができる低価格で低電力の無線通信装置が望ましい。さらに、いかなる種類の無線通信システム用でいかなるタイプの応用にも向く低価格、低電力の無線通信デバイスを提供することが望まれている。このシステムは優れた性能を備え、比較的堅牢で、顕著なデータ処理能力を有する必要がある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、利得変換器と、較正処理を周期的に実行しそれに併せて前記利得変換器をプログラムする較正器とからなるゼロ中間周波数(ZIF)アーキテクチャー無線通信デバイス用の較正直流補償装置を提供する。前記無線装置は、直流オフセット信号と入力信号とを混合して、調整済み入力信号を出力するコンバイナーを有する。さらに無線装置は、直流オフセット信号を生成する直流コントロールロジックと、入力信号のパワーを目標レベルに維持する利得コントロールロジックとを有する。利得変換器は、プログラムされた値に基づいて利得コントロールロジックと直流コントロールロジックとの間の利得を変換する。
【0013】
無線通信装置の一次信号パスにおいて、利得増幅器には調整済み入力信号を受信し、利得調節信号に基づいて増幅入力信号を出力する。利得コントロールロジックは、増幅入力信号を受信し、入力信号のパワーを予測し、入力信号のパワーを目標電力レベルに維持する為に利得調節信号を出力する利得フィードバック回路を備える。直流コントロールロジックは、増幅入力信号内の直流レベルを予測し、直流予測信号を出力する直流予測器を含む。また直流コントロールロジックは、前記直流予測信号を受信し、利得変換信号に基づいて直流オフセット信号を出力する直流増幅器を備える。前記利得変換器には前記利得調節信号を受信して、直流増幅器へ利得変換信号を出力する。
【0014】
前記利得変換器は、利得変換値を記憶する自動照合テーブルであってもよい。自動照合テーブルは、作動中に利得調節信号の各利得ステップに対する利得変換値を出力する。較正器は、較正処理を実行して利得値を決定し、ここで各利得値は利得調整信号の各利得ステップにおける利得増幅器の利得を表している。前記較正器は、利得値に基づいて利得変換値を決定して自動照合テーブルのプログラムを作成する。前記利得変換値を決定する際に、前記較正器は利得増幅器と直流増幅器との間の利得レンジとスケールの差分を組み込むことがあり得る。
【0015】
各較正処理の間に、前記較正器は利得フィードバック回路を制御して各利得ステップに利得調節信号を印加し、直流オフセット値を調整して、増幅入力信号が第一及び第二の所定レンジ値となるまで増幅入力信号のサンプリングを行なう。前記較正器は、第一及び第二の所定レンジ値にそれぞれ対応する第一及び第二の直流オフセット値を決定する。前記較正器は、各利得ステップに対する前記レンジ値と直流オフセット値を用いて利得変換値を決定する。前記第一及び第二の所定レンジ値は、前記増幅入力信号値の所定レンジに対応してもよく、ここで前記較正器は逐次近似処理方法を用いて前記第一及び第二直流オフセット値を決定する。例えば、所定レンジ値は、±75ミリボルト(mV)全目盛値に相当してもよい。
【0016】
前記利得フィードバック回路はさらに、作動中に利得調節信号の変動を制限する利得調節リミッターを有してもよい。この利得調節リミッターは、最大利得変動極限値あるいは1または複数の利得変動極限値に基づいて前記利得調節信号の変動を制限してもよい。利得調節信号の各利得ステップごとに、あるいはさらに高い利得レベルに対応する複数の利得ステップに対して、個別の利得変動調整値が提供されてもよい。前記較正器は、前記の決定された利得値や利得増幅器の所定の線状直流オフセット変動モデルに基づいて最大利得変動極限値を決定するために上界法を用いてもよい。前記較正器は複数の直流オフセット値を求めるもので、該直流オフセット値は前記利得増幅器に対して決定された利得値の1つに対応する。前記較正器は、前記利得値と直流オフセット値を用いて利得変動極限値を求め、またこうして得られた利得変動極限値を用いて利得調節リミッターをプログラムする。作動中に、前記利得調節リミッターが利得調節信号の電流レベルをモニターし、また利得調節信号の望ましい変動を示すエラー信号を受信し、対応する利得変動調整値を検索し、前記エラー信号の印加を制限して、前記検索された利得変動極限値に基づいて利得調節信号を変化させる。
【0017】
あるいは、またはさらには、較正直流補償システムは、利得調節信号の各利得ステップの1つにそれぞれ対応する複数の直流調節値を記憶する第二の自動照合テーブルを有する。作動中は、第二の自動照合テーブルは利得調節信号の各利得ステップに対応する直流調節値を提供する。前記較正器は、利得調節信号の利得ステップのそれぞれに対する第一及び第二の直流オフセット値を用いて直流調整値を決定する。前記直流増幅器は、コンバイナーへ利得の補償された直流信号を出力し、該コンバイナーは第二の自動照合テーブルからの直流調整値を利得補正直流信号に加えて直流オフセット信号を提供する。
【0018】
あるいは利得変換器は、利得調節信号の利得ステップにそれぞれ対応する複数の調整値を含む調整メモリーを備えてもよい。前記利得変換器は、利得調節信号と対応する調整値に基づいて利得変換信号を直流増幅器へ出力する。前記較正器は、利得調整信号の少なくとも1つの利得ステップにそれぞれ対応する複数の直流差分値を決定する。前記較正器は、この直流差分値に基づいて調整メモリーのプログラムを作成する。前記調整値には、利得増幅器と直流増幅器の間における利得レンジと利得スケールの変換を組み込んだり、乗数または加算値を含めてもよい。
【0019】
さらに具体的な実施の形態において、無線通信デバイスはZIFトランシーバーとベースバンドプロセッサを備え、ここで該ベースバンドプロセッサは較正処理を周期的に実行する較正ロジックを含む。前記ZIFトランシーバーは、ラジオ周波数信号をベースバンド入力信号へ変換するラジオ周波数(RF)ミキサー回路と、直流オフセットと前記ベースバンド入力信号を組み合わせて調整されたベースバンド入力信号を出力するコンバイナーと、前記調整されたベースバンド入力信号を受信して利得調整信号に基づき増幅された入力信号をアサートするベースバンド増幅器とを含む。前記ベースバンドプロセッサーは、利得コントロールロジック、直流コントロールロジック、利得変換器及び換算ロジックとを含む。利得コントロールロジックは増幅入力信号を受信し、入力信号のパワーを予測し、前記入力信号のパワーをターゲットパワーレベルに維持するために利得調整信号をアサートする。前記直流コントロールロジックは、前記増幅入力信号中の直流量を予測し、前記増幅入力信号中の直流を減少させるため前記直流オフセットを出力する。前記利得変換器は、利得コントロールロジックと直流コントロールロジック間の利得を変換する。前記較正ロジックは、前記較正処理の間に決定された値を用いて前記利得変換器のプログラムを作成する。
【0020】
無線ZIF装置における直流を減少させる方法は、受信された無線周波数(RF)信号をベースバンド信号へ変換し、直流オフセット値と前記ベースバンド信号を混合して、調整済みベースバンド信号を得て、利得信号に基づいて前記調整済みベースバンド信号を増幅して増幅入力信号を求め、前記増幅入力信号から入力ベースバンド信号のパワーレベルを求め、前記利得信号を制御して入力ベースバンド信号のターゲットパワーレベルを得て、増幅入力信号の直流レベルを決定し、前記利得信号に基づき利得変換信号を出力し、前記増幅入力信号の直流レベルを減少させるため、前記利得変換信号と前記求められた増幅入力信号の直流レベルとに基づいて直流オフセット値を制御し、較正処理を定期的に実行して前記利得変換信号を調整する処理を行なうことを含む。
【0021】
前記較正処理はさらに、利得信号の複数の利得レベルのそれぞれに対する利得値を測定し、複数の利得変換値を記憶することから成ってもよい。前記方法は、前記利得信号の複数の利得レベルのそれぞれに対する複数の利得変換値の1つを出力することを含んでもよい。前記較正処理はさらに、最大利得変動制限値を決定する処理を含んでもよく、ここで前記方法は利得信号の利得レベルと最大利得変動制限値に基づき利得信号の変動を制限することを含む。前記較正処理はさらに、前記利得信号の複数の利得レベルの1つにそれぞれ対応する複数の直流オフセット値を測定することと、利得値と直流オフセット値に基づいて複数の利得変動制限値を決定することと、利得変動制限値を記憶することを含んでもよい。前記方法はさらに、利得信号の利得レベルと、対応する利得変動制限値とに基づいて利得信号の変動を制限することを含んでもよい。前記方法はまたさらに、複数の直流調整値を記憶することと、利得信号の利得レベルに基づき直流調整値を加算することを含んでもよい。
【0022】
前記方法はさらに、複数の利得レベルのそれぞれに対して利得信号を設定し、各利得レベルに対して第一直流オフセット値を決定して前記増幅入力信号の第一所定レンジ制限値を求め、第二直流オフセット値を決定して増幅入力信号の第二所定レンジ制限値を得ることを含んでもよい。前記第一及び第二直流オフセット値を決定することは、逐次近似処理に基づいてもよい。
【0023】
適切な直流補償と直流較正により高性能無線トランシーバーの中間周波数(IF)部を取り除くことにより、比較的高性能、低価格、低電力型のZIFトランシーバーが結果的に得られることが認識される。本発明の実施の形態に係る利得ループにインターフェース接続された較正直流補正ループを用いることによりこれらの目標が達成される。こうした機能により、比較的堅牢で高度のデータ処理を行なう、優れた性能を持つ家庭用または小規模ビジネス用WLANシステムを設計することが可能となる。
【0024】
以下の図面を併用し、好適実施例に対する下記の詳細な説明を勘案することにより本発明をさらに理解することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の1または複数の実施の形態に従って実行された無線装置の作動を全般的に示す1または複数のWLANのブロック構成図である。説明的な実施の形態でWLANを使用するものとして本発明を説明しているが、本発明はいかなるラジオまたは無線通信にも適用されるものでWLANの適用分野に限定されるものではないことは言うまでもない。第一領域101と第二領域103は、オフィスビル内の事務所や家庭内の部屋のような個別のコンパートメントまたは区画を表している。領域101と103は、それぞれの領域101、103内の通信を制御するためそれぞれ無線アクセスポイント(AP)121と123を備えてもよい。図のように、アクセスポイント121と123はLAN125のような有線ネットワークに接続され、該LAN125はさらに共通サーバーコンピュータ127に接続されている。
【0026】
領域101ではアクセスポイント121を介して無線装置111と113は互いに交信を行なうことができ、領域103ではアクセスポイント123を介して無線装置115と117が互いに交信できる。アクセスポイント121は、LAN125を介してシステム111と113がサーバ127と交信することを可能にし、またアクセスポイント123は、LAN125を介して装置115と117がサーバ127と交信することを可能にしている。さらに、LAN125は、装置111、113、115,117を互いに交信させたり、また接続されている何らかの他の装置と交信させることもできることが分かる。
【0027】
アクセスポイントはもし用いられた場合には、必要な訳ではないが、通常LAN125のような有線LANに接続されている。アクセスポイントの数や位置は、通常、サービスを受けるユーザーの人数や受信可能範囲及び/または隣接チャンネルの干渉などといった特定の構成や必要性次第で決まる。単一アクセスポイントがユーザーの密度や干渉の影響を受けるフロア全体の部屋に役立てることが認識される。多重のアクセスポイントが大いにセルラー通信のセルのように利用されている。隣接アクセスポイントは隣接チャンネルに作動して干渉を防ぐ。移動機能により領域101から103またはその逆のように、ある領域から他の領域へ装置が移動することを可能にしてもよい。一般に、各アクセスポイントは追加ソフトを持ち家庭やビルの主電源にアクセスする。
【0028】
他の実施の形態が、装置131、133、135を含む領域105によって示されている。装置131、133、135は何らかのアクセスポイントを介するのではなくむしろ互いに直接通信している。アクセスポイントのないネットワークは本質的に特殊例で、通常は利用者が少ない。装置111、113、115、117と装置131、133、135との主な相違点は作動モードである。無線装置111、113、115、117、ならびに131、133、135のそれぞれは無線交信を可能にするために本発明の実施の形態に従って実施されてもよい無線トランシーバーを備えている。
【0029】
装置111,113,115,117,131,133,及び135は、無線通信機能を備えたいかなる種類の装置であってもよい。例えば、オフィスや家庭環境では、前記装置は各々、1つまたは複数のパーソナルコンピューター、ラップトップコンピューター、デスクトップコンピューターなどや何らかの種類のプリンター技術を用いた印刷装置、個人用携帯デジタル補助端末機器(PDA)等やスキャナー、ファクス装置などのうちから成ってもよい。無線技術を使用することにより、所定領域内に位置するいかなる装置でも同一通信領域内にある他の装置と通信しまた装置間で、データや情報の転送を行うことができる。たとえば、装置111はプリンタであり得る装置113と無線による交信を行なうコンピューターであってもよい。さらに装置111は、コンピューターとしてサーバー127に対しファィルの送受信を行なってもよい。装置111は、領域101から103へ移動してもなお、アクセスポイント121を介してLAN125とサーバー127との通信を維持することができる。LAN125は、電話回線、電力線、撚線対、同軸ケーブルなどのような何らかの種類の配線技術から成り、何らかの複数のイーサネット(登録商標)構成のような何らかの種類の適切なアーキテクチャに従って実施されてもよい。さらに無線LAN125も考えられ、ここでアクセスポイント121、123はそれぞれ対応する無線トランシーバーを含み、モバイルまたはポータブル装置であることが考えられる。領域105内において、装置131から135自体は同様に互いに交信を行なうための無線LAN(WLAN)を設立する。
【0030】
図2は、本発明の実施の形態に係る無線トランシーバー200で、装置111、113,115,117,131から135までの装置のいずれかに、またアクセスポイント121,123のいずれか一方または両方に組み込まれている無線トランシーバーの簡略化した構成ブロック図である。しかしながら、無線トランシーバー200は、例示的に過ぎないWLAN構成に限定されるのではなく、別の種類のラジオや他の種類の利用分野における無線通信にも利用されてもよいことは言うまでもない。無線トランシーバー200は、ZIFトランシーバー201とベースバンドプロセッサー203を含むゼロ中間周波数(ZIF)アーキテクチャーとして実施されている。以下においてさらに詳しく述べるように、ZIFアーキテクチャーは中間周波数(IF)ロジックや関連回路を完全に削除することによって単純化構成を可能にしている。このように、ZIFアーキテクチャーでは、わずか2個の主要モジュール、チップまたはIC(トランシーバーとプロセッサー)を利用して無線通信を可能にしている。かわってこれにより、中間周波数回路やロジックを含む同様のトランシーバーに比べて無線トランシーバー200の部品数が大幅に削減され、コストが下がり、さらに電力消費も減少している。
【0031】
従来のZIFアーキテクチャーの問題をかもす特徴は、入力信号を捕捉して通信を可能にするために補償または除去をしなければならないかなりの直流オフセット電圧を受信機内に導入することである。無線トランシーバー200は、直流ループ347と組み合わされた自動利得コントロール(AGC)ループ345(図3)で構成されていて、受信機内の望ましくない直流成分を測定及び減少または除去する。以下においてさらに述べるように、自動利得コントロール(AGC)ループ345は増幅入力信号を受信され、入力信号のパワーを予測し、入力信号のパワーをターゲットパワーレベルに維持するために利得調整信号をアサートする利得コントロールロジックを含む。直流ループ347は、増幅入力信号中の直流成分量を予測し、増幅入力信号中の直流成分を減少させるために直流オフセットを出力する直流コントロールロジックを備えている。また、利得コントロールロジックと直流コントロールロジック間の利得レベルを変換する利得インターフェースも設けられている。
【0032】
無線トランシーバー200では、いくつかの対応するデータ処理量をいくらかでも達成するため、何らかの望ましい搬送周波数と変調技術を用いてもよい。例えば、無線トランシーバー200は、電気電子学会(IEEE)802・11bに従って約2.4ギガヘルツ(GHz)の搬送周波数と1、2、5.5または11Mbps毎秒(Mbps)のデータ処理量に従って作動するように構成されてもよい。あるいは、無線トランシーバー200をIEEE802・11aに従って6、12、18、24、36または54MbpSのデータ処理量に対して約5ギガヘルツの搬送周波数にて構成してもよい。図中の実施の形態においては、無線トランシーバー200はIEEE802・11bに従い、2.4GHzの搬送周波数において1、2、5.5または11Mbpsのデータ処理量で作動する。本発明は何らかの特定の通信または変調技術や標準仕様に制限されないことは言うまでもないが、図示されている実施の形態においては直接シーケンス拡散スペクトラム(DSSS)変調技術が用いられている。
【0033】
装置111〜117または131〜133あるいはアクセスポイント121、123のいずれかは無線トランシーバー200に合わせて設定されてもよい。特定の構成は、装置及び通信インターフェースの種類次第である。無線トランシーバー200は、コンピューターシステムの適当なスロットまたはインターフェースに挿し込まれるプラグイン型の周辺または拡張カードとして設定してもよい。例えば、ポータブルコンピューターやラップトップコンピューターなどに対しては、無線トランシーバー200はコンピューターのPCカードスロットへプラグ接続されるパーソナルコンピューターメモリーカード国際協会(PCMCIA)カードまたはPCカードとして実施してもよい。アンテナはPCカード自体上に組み込んだり、コンピューターの外部またはコンピューター上に設けて、何らかの適当な方法でPCカードにインターフェース接続してもよい。デスクトップコンピューターなどに対しては、無線トランシーバー200は、何らかの種類の拡張または周辺標準規格、即ち周辺部品接続(PCI)、産業標準アーキテクチャ(ISA)、拡張ISA(EISA)標準規格などに従って実施してもよい。例えば、無線トランシーバー200を、PCIスロットにプラグ接続されるPCIカード上に実施してもよい。さらにまた、アンテナを一体型や外部接続型としてもよい。ディスプレイに埋め込まれたアンテナを備えた小型PCIカードも考えられる。適当な通信インターフェースがパッケージされた内臓型またはスタンドアロン型も考えられ、これはアクセスポイントには特に有利である。例えば、無線トランシーバー200は、ユニバーサルシリアルバス(USB)接続やイーサネット(登録商標)インターフェース(撚線対、同軸ケーブルなど)あるいは装置との何らかの他の適切なインターフェースといったシリアルまたはパラレル接続を持つ個別のユニットとして実施されてもよい。
【0034】
無線トランシーバー200で送受信するデジタルデータは、媒体アクセスコントロール(MAC)装置205で処理される。送信に対しては、MAC装置205はデジタルデータ信号をパケットエンコーダ207へアサートし、パケットエンコーダ207はこのデータを送信用パケットに作成する。パケットエンコーダ207において、パケットは連続した3個のシリアルビットストリームによって形成される。第一のシリアルビットストリームはプレアンブルと呼ばれ、1または0からなる1Mbpsストリームでそれに同期(sync)パターンが続く。第二シリアルビットストリームはヘッダーと呼ばれ、パケットのデータ部分のパケット長やデータレートなどの1または2Mbpsストリームのパケット情報である。第3のシリアルビットストリームはデータ部またはペイロードと呼ばれ、1、2、5.5、または、11Mbpsの速度のデータ・ストリームのいずれかの選ばれた1つである。
【0035】
パケットエンコーダ207は、符号化されたベースバンドパケットを拡散エンコーダ(SPREAD)209へ出力する。図示されている実施の形態において、1および2Mbpsビットレートはバーカーワード符号化拡散方式に従って符号化され、一方5.5及び11Mbpsビットレートは相補型コードキーイング(CCK)符号化方式に従って符号化される。拡散エンコーダ209は、直交生成技術を使用して、Iチャンネルへ同相信号(I)を、またQチャンネルへ直交(Q)信号をそれぞれ出力する。1Mbpsに対しては、1ビット入力ごとにバーカーワードの11チップがIとQチャンネルへ全く同じように出力される。入力ビットが0の場合、11チップのセンスは反転し、もし入力ビットが1の場合は、11チップのセンスは反転しない。このようにしてデータはバーカーコードによって拡散される。2Mbpsの場合は、2ビット入力ごとにI及びQチャンネルのそれぞれに11チップが出力される。1ビットを用いてIチャンネルの反転または非反転を行ない、他のビットがQチャンネルに使用される。5.5Mbpsの場合は、4ビットを8複合(IとQチャンネル)チップへ割り当てられる。8チップ複合コードワードが選択されて標準規格に定められている特定のルールに従って回転させられる。11Mbpsは5.5Mbpsに似ているが、8ビットを8複合チップに割り当てる点が異なる。
【0036】
Iチャンネル信号はI D/A変換器(IDAC)211へ出力され、Qチャンネル信号はQDAC213へ出力され、ここでI DAC211とQ DAC213には、またはクロックソース257からクロック信号CREFを受信する。一実施の形態において、CREF信号はIEEE802・11bに対する22MHz基本振動数に基づく44MHzである。I DAC211、Q DAC213はそれぞれI及びQチャンネルの信号をアプサンプリングし、デジタルフィルター処理を行なう。11Mbpsに対しては、I及びQ DACは各チップをそれぞれ4個のサンプルに変換する。I DAC211はIチャンネルアナログ出力信号をアンチエイリアスシングローパスフィルター(AA LPF)215にアサートし、該フィルターはIチャンネル送信信号TXIをZIFトランシーバー201内に設けられたLPF219に出力する。Q DAC213はQチャンネルアナログ出力信号をもう1つのAA LPF217へアサートし、該フィルターはQチャンネル送信信号TXQをZIFトランシーバー201内に設けられたもう1つのLPF221の入力末端に出力する。
【0037】
外部電圧制御発振器(VCO)229は、フェースロックループ(PLL)231とI/Q LO発生器227の入力末端へ出力局部発信器(LO)信号を約4.8GHzの周波数で出力する。一実施の形態において、基準クリスタルを用いてVCO229を電圧制御で整調して、4.8GHzのLO信号を発生させる。PLL231は、適切な低周波信号に分割されたCREFクロック信号を受信する。またPLL231は、VCO4.8GHz信号を同一の適切な低周波信号に分割する。PLL231内に設けられた位相検出器回路(図示せず)は、これら2つの低周波信号、1つはCREF信号であり他はVCO229から出力された低周波信号であるが比較して、フィルター処理された後にVCO229に入力される補正(C)信号を生成する。この位相固定化ループシステムは、VCOから出力されたLO信号のジッターを減少させる。I/Q LO227はPLL231から出力された4.8GHzの搬送波信号を二分割し、同相(I)搬送波信号と直交(Q)搬送波信号の二つの信号を含む、独立した2つの個別の2.4GHz搬送波信号を発生する。このI及びQ搬送波信号は、互いに90度位相がずれている。I搬送波信号はIチャンネルミキサー223の一方の入力末端に出力され、Q搬送波信号はQチャンネルミキサー225の一方の入力末端へ出力される。Iチャンネルミキサー223の他方の入力末端はLPF219の出力を受信し、Qチャンネルミキサー225の他方の入力末端はLPF221の出力信号を受信する。Iチャンネルミキサー223は、I搬送波信号とIチャンネル送信信号を混合してIチャンネルをベースバンドから2.4GHzの無線周波数(RF)へアップコンバートする。Qチャンネルミキサー225はQ搬送波信号とQチャンネル送信信号を混合してQチャンネルをベースバンドから2.4GHzの無線周波数(RF)へアップコンバートする。I/Qチャンネルミキサー223,225からの出力信号は可変利得増幅器(VGA)233の入力末端で混合される。VGA233は、増幅された送信信号を固定化利得増幅器235の入力末端へアサートし、該増幅器はその出力を無線周波数パワー増幅器(RFPA)237に出力する。RFPA237は、増幅された無線周波数信号をRF LPF239へアサートし、該フィルターはフィルター処理されたRF出力信号を送信/受信(T/R)スイッチ241の一方の入力末端へ出力する。送信に対しては、T/Rスイッチ241はLPF239のRF出力信号を双方向バンドパスフィルター(BPF)243に出力し、該フィルターはフィルター処理されたRF出力信号をダイバーシティースイッチ245へ出力する。このダイバーシティースイッチ245は、2台のアンテナ247,249から選択された1つのアンテナへRF送信信号をアサートする。
【0038】
RFPA237は、送信検出(TX DET)信号をベースバンドプロセッサー203内に設けられた送信A/D変換器(ADC)251へ戻してアサートし、該プロセッサーは対応するデジタルフィードバック信号をMAC205へ出力する。前記MAC205は、ADC251を介して送信出力信号を検出するパワー制御アルゴリズムを有し、送信(TX)DAC253の入力末端へフィードフォワード信号を出力し、該変換器は送信自動利得コントロール(TX AGC)信号をアサートしてVGA233の利得を制御する。さらに、ZIFトランシーバー201は電圧基準ソース255を備え、ZIFトランシーバー201とベースバンドプロセッサー203に対する電圧基準(VREF)信号を出力する。このVREF信号は1.2ボルト等のようないかなる使いやすい電圧でもよい。クロックソース257はZIFトランシーバー201内に設けられたPLL231へCREF信号を出力する。
【0039】
T/Rスイッチ241は選択されたアンテナ247,249のいずか一方から信号を受信し、フィルター処理された信号(BPF243経由で)を平衡/不平衡(BALUN)インピーダンス整合ネットワーク259の入力末端へ出力する。BALUN259は受信されたRF入力信号RRFを可変LNA261の入力末端へ出力する。LNA261はその出力信号を固定化利得LNA263の入力末端へアサートする。LNA263は、増幅RF受信信号をIチャンネルミキサー265とQチャンネルミキサー267の各それぞれの入力末端へアサートする。I/Q LO227は、I搬送波信号をIチャンネルミキサー265のもう一方の入力末端へアサートし、またQ搬送波信号をQチャンネルミキサー267のもう一方の入力末端へアサートする。Iチャンネルミキサー265は、RF受信信号中のIチャンネル出力信号からI搬送周波数を分離し、Iチャンネル出力信号をLPF269へ出力する。同様に、Qチャンネルミキサー267は、RF受信信号中のQチャンネル出力信号からQ搬送周波数を分離し、Qチャンネル出力信号をLPF271へ出力する。
【0040】
LPF269の出力信号は、可変ベースバンド自動利得コントロール(BB AGC)増幅器273の入力末端へ出力される。同様に、LPF271は、その出力をもう一方のBB AGC増幅器275の入力末端へアサートする。BB AGC増幅器273は、増幅Iチャンネルアナログ受信信号(RXI)をIチャンネル受信器AA LPF277の入力末端へアサートし、該フィルターはベースバンドプロセッサー203内に設けられたIチャンネルADC(I ADC)281の入力端へその出力をアサートする。BB AGC増幅器275は、増幅Qチャンネルアナログ受信信号(RXQ)をQチャンネルAA LPF279の入力末端へアサートし、該LPFはその出力をベースバンドプロセッサー203内に設けられたQチャンネルADC(Q ADC)283の入力末端へ出力する。I ADC281とQ ADC283は、それぞれのI及びQチャンネルデジタル受信信号RDI、RDQを拡散デコーダ(DE−SPREAD)285へアサートし、該デコーダーは拡散エンコーダー209とは反対の処理を行い受信ベースバンド符号化パケットを検索する。拡散デコーダー285は、受信されたベースバンドパケットをパケットデコーダー287へ出力し、該デコーダーは他の機能の中でもパケットペイロードを検索して受信データ信号のストリームの生成を行う。RDIとRDQ信号は、また後から説明される補償ロジック284へ出力される。パケットデコーダー287からのデータ信号は、MAC装置205の受信入力末端へ出力され、該装置は受信信号を実装インターフェースにわたって対応する装置へ出力する。MACインターフェースは、PCカード等のように装置内部に組み込んでもよいし、あるいはUSB等に従ったように適当な外部コネクタを用いて外部に配置してもよい。
【0041】
ZIFトランシーバー201内に設けられているオーバーロード検出器(OD)289は、LPF269とLPF271の各出力端に接続された第一及び第二入力端を有していて、受信された入力信号のオーバーロードを検出する。オーバーロード検出器289は、ベースバンドプロセッサー203内のOVLD ADC291へベースバンドオーバーロード(BB OVLD)信号をアサートし、該プロセッサーは対応するデジタルオーバーロード信号OVLDを補償装置284へ出力する。このように、補償装置284は受信された信号のオーバーロードを検出し、HI/LO信号をアサートしてZIFトランシーバー201の可変LNA261を制御する。図中の実施の形態においては、可変LNA261は高利得(HI)と低利得(LO)との間に約33デシベル(dB)のステップ差分を有する。この利得は初めは、高く設定されて弱い信号を検出し、受信された信号がオーバーロード検出器289で検出されるようなオーバーロード状態を引き起こすようであれば一定の条件で低利得へと切り換えられる。
【0042】
以下でさらに詳しく述べるように、補償装置284は、AGC DAC297と呼ばれる利得DACへ利得調整信号GADJをアサートすることにより受信信号の利得をターゲットパワーレベルと制御する。AGC DAC297は、対応するアナログフィードバック利得コントロール信号GAIN ADJUSTをアサートしてBB AGC増幅器273、275の両方の利得を制御する。単一の利得制御信号がBB AGC増幅器273、275の双方へ出力され、そのようにしてI及びQチャンネルの受信信号の利得が互いに適切に追従する。さらに補償装置284は、デジタルI及びQチャンネルの直流オフセット信号IDCOFF、QDCOFFとをIチャンネルオフセット(I OFF)DAC293、及びQチャンネルオフセット(Q OFF)DAC295へそれぞれアサートする。I OFF DAC293はIチャンネル直流オフセットアナログ信号(I OFFSET)をLPF269へアサートし、Q OFF DAC295はQチャンネル直流オフセットアナログ信号(Q OFFSET)をLPF271へアサートする。このように、補償装置284は、ZIFトランシーバー201内の受信信号のI及びQチャンネルにおける直流オフセットを測定し、減少または除去しようとする。
【0043】
ZIFアーキテクチャーを利用してより少ないコストと電力消費ならびに十分な性能でより高度の処理量を達成する。このことは、比較的優れた性能が必要とされるマルチメディアやDVD分野への応用を要望する消費者市場では特に有利である。また、消費者市場はコストの削減も要求している。ZIFアーキテクチャーは、中間周波数成分や外部フィルターを取り除くことによって十分な性能を維持しながら、低価格を達成する1つの方法である。本発明はいかなる特定の周波数域にも限定されるものではないが、目標搬送波周波数は2〜5GHzレンジならびにそれ以上といったGHzレンジにある。2〜5GHz帯は、相当な量の干渉を伴い比較的ノイズが多い。ZIFアーキテクチャーはノイズの多い環境において性能レベルを維持するために利用される。
【0044】
ZIFアーキテクチャーに特有の問題は、S/N(SNR)比を劣化させるベースバンドにおける直流オフセットの発生であり、これはシステムの性能に直接関係する。ZIFアーキテクチャーには、著しい直流オフセットレベルを抑制するために利用され得る中間周波段階が設けられていない。多くの直流オフセットの根源は、集積回路の自己発熱のような温度変化によるものである。受信ミキサー265,267は、I/QLO227で発生した搬送周波数からの直流オフセットを内部へ注入する。このLO直流オフセットは、可変LNA261の選択利得レベルだけでなくRF周波数やチャンネル選択によっても変動する。この変動は、チャンネルや利得の変化により極めて最速に発生する。温度によるゆっくりとした直流ドリフトも発生する。外部的にI/QLO227から出力されたLO搬送周波は、アンテナ入力ポートへ漏出し、直流オフセットを引き起こす。この外部直流オフセットは、体、手、宝石、マウスポインターなどの動きや冷却ファン等の電子装置の起動、アンテナの回りにある近辺のリフレクターからの再反射などの外部環境の変化に伴い変動する。無線装置の移動やアンテナ方向の変化によってもまたチャンネルやその領域の伝播特性に著しい変動を引き起こす。こうした環境の変化は、漏出するLO搬送周波数の大きさや位相を動的に変化させるインピーダンスの変化を誘導する。
【0045】
受信ミキサー265,267もその出力端に直流オフセットを発生する。この直流オフセットは、主としてバイポーラーと金属酸化膜半導体(MOS)デバイスとの整合や抵抗体の整合のような回路整合の機能である。この直流オフセットも温度変化や自己発熱によってドリフトする。I及びQチャンネルLPF269とLPF271もそれらの出力端にオフセットを発生する。この直流オフセットもまた回路整合の機能である。I及びQチャンネルベースバンドAGC増幅器273と275もそれらの入力端に直流オフセットを発生する。当該直流オフセットもまた本来回路整合の機能である。この機能に関連するアナログ制御回路のために、整合変動の影響はミキサー265,267及びLPF269,271によって経験される直流オフセットの影響よりもさらに深刻である。この直流オフセットは、また利得設定に伴って非直線的に変動し、温度変化や自己発熱によってドリフトする。制御電圧対利得の特性もまた時間の経過と共に徐々に変化する可能性がある。ドリフトの主な理由は、より緩徐なパッケージ温度の変動にある。デジタル方式で発生された信号の高調波からの内部無線妨害のために一定レベルの直流オフセットが発生することもある。無線妨害は、このDCオフセットはアンテナ及び/またはRFフロントエンドに注入されるので、チャンネルやLNA利得としての機能だけではなくスプリアス信号を発生する特有のデジタル回路の強い機能である。1キロヘルツ(kHz)のように一定の周波数(f)以下では、1/fノイズは直流オフセットの場合と実質上同様の障害として現れる。
【0046】
直流オフセットを除去する1つの可能な解決方法としては、結合コンデンサ等を用いるような交流結合によるものであることが認識される。しかし、交流結合では結果的に低周波成分をフィルター除去してしまう傾向がある。1kHz以上ではかなりの量のデータが除去されてしまうため、交流結合は1kHz以下のデータのみを除去するのでなくてはならない。しかし、この範囲内では約100マイクロセカンド(μs)オーダーのように非常に長い清算時間がかかり、パケットベース通信のようにバースト様の環境では実用的ではない。清算時間は、通信のバースト特性のために制限される。IEEE 802・11aおよびIEEE 802・11bの標準規格の短いプリアンブルタイムラインでは直流を正確に予測する余裕はない。
【0047】
直流オフセットの発生源は全てBB AGC増幅器273,275の入力端と関連している。BB AGC増幅器273,275の利得レンジは、種々の環境において許容可能な性能を保証するのに十分でなくてはならない。図中の実施の形態においては、BB AGC増幅器273,275の各々の利得レンジは、約0.7V/Vから800V/Vまでの所望の作動範囲を得るための約−6dBから60dBすなわち0.5V/Vから1000V/Vまでの範囲である。直流オフセットレンジは、±50〜100ミリボルト(mV)のオーダーでよいことが分かっている。利得レンジが大きいためベースバンド増幅器273,275の前の段で直流補正が起こることが望ましい。
【0048】
図3は、受信信号の利得をコントロールし、ならびにZIFアーキテクチャーにおいて直流オフセットを減少または除去するために利用される補償装置300のブロック模式図である。補償装置300には、利得および直流補償の目的のための無線トランシーバー200の受信部の操作を示している。補償装置300は、補償ロジック284の操作に着目して、ZIFトランシーバー201とベースバンドプロセッサー203の回路を含む無線トランシーバー200内の部材を表す様々なブロックから構成されている。補償装置300のブロック模式図は、簡略化されて個別のI及びQチャンネル信号がI及びQチャンネルの両方の作動を表す単一の通信パスによって図示されている。このように、同じ技術がI及びQチャンネルの両方に適用され、またかくして無線トランシーバー200における利用にも適用可能であることが認識される。
【0049】
BALUN259を介するアンテナ247,249から受信されたRF入力信号RRFがLNA/ミキサー301と呼ばれるRFミキサー回路へ出力され、該ミキサーはLNA261,263と受信ミキサー265,267に相当する。LNA/ミキサー301は、ベースバンド受信入力信号RBBをコンバイナー303の一方の入力端へ出力し、該コンバイナー303は直流の調整された受信入力信号RADJをLPF269,271に相当するベースバンドBB LPF305の入力端へ出力する。前記コンバイナー303のもう一方の入力端はDC OFFSET信号を受信する。コンバイナー303は、DC OFFSET信号をRBB受信信号と混合して直流調整されたRADJ信号を出力するコンバイナーとして作動する。一実施の形態において、コンバイナー303は、RBB受信信号からDC OFFSET信号を減算して直流の調整されたRADJ信号を出力する加算接続部である。または、コンバイナー303は反転DC OFFSET信号を加算する加算接続部としても機能することが認識される。本発明は、何らかの特定の実施の形態または設計設定に制限されるものではない。
【0050】
BB LPF305の出力信号はBB AGC増幅器273,275の作動に相当するベースバンド利得増幅器BB AGC増幅器307の入力端へ出力される。BB LPF305の出力信号は、また、オーバーロード検出器289へ出力され、該検出器はベースバンドオーバーロード信号BB OVLDをベースバンドプロセッサ203内のOVLD ADC291へアサートし、該プロセッサはOVLD信号を補償装置284のオーバーロード検出ブロック309へ出力する。OV検出ブロック309はHI/LO信号をLNA/ミキサー301へアサートし、可変LNA261を高利得と低利得のいずれかへ切り換える。BB AGC増幅器307は、増幅入力信号RをAA LPF277,279に相当するAA LPF311の入力端へアサートする。AA LPF311の出力信号は、ADC281,283に相当するADC313へ出力される。ADC313は、増幅受信入力信号RのデジタルタイプRを出力し、ここでR信号はI及びQデジタル受信信号RDIとRDQに相当する。ADC313から出力されるR信号は、拡散デコーダー285に出力される。
【0051】
信号は、補償ロジック284のシグナルパワー予測ブロック315と直流予測ブロック319へ出力される。シグナルパワー予測ブロック315は、入力シグナルパワー予測信号RESTをコンバイナー321の一方の入力端へ出力する。コンバイナー321はターゲットパワーブロック323から出力されるターゲットパワー(TP)信号を受信して、このTP信号をREST信号と混合して受信エラー信号Rを提供し、このRはもう一方のコンバイナー325の入力端へ出力される。一実施の形態において、コンバイナー321は、REST信号からTP信号を減算して受信エラー信号Rをコンバイナー325の入力端へ出力する加算接続部として作動する。コンバイナー325は、R信号を累算器329から出力された利得累算信号GACCと混合して利得調整信号GADJをその出力端に発生させる。一実施の形態において、コンバイナー325はまた、累算器329から出力される利得累算信号GACCからR信号を減算し利得調整信号GADJをその出力端に出力する加算接続部としても作動する。このGADJ信号は、AGC DAC297、累算器329、利得変換器331のそれぞれの入力端へ出力される。AGC DAC297は、デジタルGADJ信号をアナログGAIN ADJUST信号へ変換し、該信号はBB AGC増幅器307の利得を制御する。累算器329は、継続的または周期的にGACC信号を調整して、GADJ信号の変動を追跡する。
【0052】
直流予測ブロック319は、出力直流予測デジタル信号ODCEST信号を、直流増幅器333の入力端へ出力し、該信号は変換器331の出力端から出力の利得変換信号GCON信号によって調整される。直流増幅器333は、変換器331から出力されるGCON信号によって決定される量によってODCEST信号を増幅または減衰(1/G)させて入力直流予測信号IDCESTをコンバイナー335の一方の入力端へ出力し、該コンバイナーはその他方の入力端に累算器339から出力された直流オフセット蓄積信号DACCを受信する。コンバイナー335は、IDCEST信号とDACC信号を混合し、直流オフセット信号DCOFFを提供し、該信号はDC DAC337の入力端と直流累算器339の入力端に出力される。一実施の形態において、コンバイナー335は、IDCEST信号をDACC信号へ加算して直流オフセット信号DCOFFを提出する加算接続部として機能する。累算器339は、継続的にDACC信号をDCOFF信号のレベルへ調整して累積された直流値を維持する。DC DAC337は、デジタルDCOFF信号をコンバイナー303に出力されるアナログDC OFFSET信号に変換する。DCOFF信号は、IDCOFF及びQDCOFF信号の作用を表し、またDC OFFSET信号はI OFFSET信号及びQ OFFSET信号の作用を表す。
【0053】
多くの選択肢や変形例が考えられることが認識される。例えば、コンバイナー303は単一の加算接続部として実施され、ここで直流増幅器333またはDC DAC337が否定または反転処理を行なって負のDC OFFSET信号を生成し、その信号がコンバイナー303によりRBB信号に加算されてもよい。
【0054】
コントロールロジック343は作動制御や変数設定などを行うためにOV検出ブロック309、ターゲットパワーブロック323、及び直流予測ブロック319に接続されている。例えば、コントロールブロック343を用いて、製造業者やユーザーがターゲットパワーブロック323によって使用される目標電力レベルを設定してTP信号を制御できるようにしてもよい。
【0055】
作動中に、アンテナ247,249から出力されるRRF信号は、LNA/ミキサー301によってベースバンド周波数におけるRBB信号に変換される。OV検出ブロック309は、アンテナ247,249のいずれかで受信される有効ではあるが弱い無線周波信号の検出を確実にするため、最初はHI/LO信号をHIへアサートすることによってLNA/ミキサー301のLNA部分の利得を高く(highに)設定する。RBB信号をコンバイナー303によって直流調整し、該コンバイナーはDC OFFSET信号を混合または減算処理してRADJ信号をBB LPF305へ出力する。BB LPF305は、フィルター処理されたRADJ信号をBB AGC増幅器307へ出力する。DC OFFSET信号は、BB AGC増幅器307の入力端における不要な直流量の予測値に基づいている。オーバーロード検出器289は、BB LPF305の出力端において受信入力信号がオーバーロード状態があるかどうかを検出し、もしオーバーロード状態の場合には、BB OVLD信号をアサートする。もしオーバーロード状態が検出された場合は、OV検出ブロック309はHI/LO信号をLO側へアサートしてLNA/ミキサー301の入力利得を低下させ、受信入力信号RBBをターゲットパワーレベルに近づける。
【0056】
BB AGC増幅器307は、RADJ信号を増幅して、R信号をAA LPF311へ、またさらにベースバンドプロセッサー203のADC313へ出力する。ADC313は、アナログR信号をデジタル受信信号Rに変換し、この信号は拡散デコーダ285へ(RDI信号とRDQ信号として)出力される。シグナルパワー予測ブロック315,コンバイナー321と325,ターゲットパワーブロック323,累算器329,及びAGC DAC297は、BB AGC増幅器307,AA LPF311,及びADC313を含む信号パス装置と組み合わせてAGCループ345を形成し、該ループはBB AGC増幅器307を中心とする利得フィードバック回路である。AGCループ345は、増幅入力信号を受信し、入力信号のパワーを予測し、入力シグナルパワーをターゲットパワーレベルに維持するため利得調整信号をアサートする利得コントロールロジックを含む。特に、シグナルパワー予測ブロック315はR信号中のベースバンド入力信号のパワーを予測し、その信号を表すREST信号をアサートする。一実施の形態において、このパワー予測はR信号のいかなる直流レベルをも除外する。コンバイナー321は、REST信号をTP信号と比較してR信号を生成し、該信号はTP信号で表されるターゲットパワーレベルに関してR信号のパワーエラーの量を確認する。コンバイナー325は、存在するいかなるパワーエラーをも補償するためGADJ信号の現在の値を調整する。AGC DAC297は、GADJ信号をアナログGAIN ADJUST信号に変換し、該信号はBB AGC増幅器307の利得コントロール入力末端へ出力されてR信号内のベースバンド入力信号のパワーレベルを制御する。このように、AGCループ345は、R信号内の入力ベースバンド信号のパワーレベルをターゲットパワーレベルに維持または制限しようとする。
【0057】
図中の実施の形態においては、BB AGC増幅器307は、BB AGC増幅器273,275のいずれかに相当し、デシベル単位で測定される−6から60dBの範囲にわたる対数利得スケールを使用する。R信号はデジタル形式であるため、シグナルパワー予測ブロック315,ターゲットパワーブロック323,累算器329,及びコンバイナー321と325はデジタル装置で、RES 、TP、R、GACC、GADJ信号はデジタル信号である。AGC DAC297は、128段の7ビットDACであり、約±1mAの制御電流レンジを持つアナログ電流信号を出力してBB AGC増幅器307に対する所望利得レンジを得る。AGC DAC297の電流出力は、抵抗ネットワーク等(図示せず)などによって電圧信号に変換されてGAIN ADJUST信号が得られる。
【0058】
直流予測ブロック319、利得変換器331,直流増幅器333,コンバイナー335,累算器339,DC DAC337、及びコンバイナー303は、コンバイナー303とADC313の間の受信信号パスと組み合わせて、入力信号パスにおけるR信号から直流成分を減少または除去するよう作動する直流ループ347を形成する。直流ループ347は、増幅入力信号中の直流量を予測し、増幅入力信号中の直流を減少させるため直流オフセットを出力する直流コントロールロジックを含む。特に、直流予測ブロック319は、R信号の直流オフセットを予測し、直流量を示すODCEST信号をBB AGC増幅器307の出力端に出力する。DC OFFSET信号はコンバイナー303においてBB AGC増幅器307の入力端に印加され、またRADJ信号の残りの直流成分はBB AGC増幅器307で有効に増幅されるため、直流増幅器333はBB AGC増幅器307の利得を補償するように作動する。GADJ信号を受信し、直流増幅器333の利得をコントロールするGCON信号を生成する利得変換器331は、利得コントロールロジックと直流コントロールロジックとの間の利得レベルを変換する利得インターフェースとして作動する。一実施の形態において、前記利得変換器331は利得(1/G)を反転する。利得変換器331はさらに、BB AGC増幅器307と直流増幅器333との間の異なった利得レンジ及び/又は異なった利得レンジの差分を補償しもよい。このように、直流増幅器333でアサートされたIDCEST信号は、DC OFFSET信号のエラーを示す。コンバイナー335は、累算器339によってDACC信号として維持されているDCOFF信号をIDCEST信号によって調整しDC OFFSET信号中のエラーを補償する。
【0059】
図中の実施の形態においては、R信号はデジタル形式であるため、直流予測ブロック319、直流増幅器333,累算器339、及びコンバイナー335はデジタル装置であり、ODCEST、IDCEST、DACC、及びDCOFF信号はデジタル信号である。また、I、Q OFF DAC293,295のいずれかに相当するDC DAC337は、2の補数形式で機能し、約±5ミリアンペア(mA)範囲内でアナログ電流を出力する12ビットの電流ベースDACである。DAC出力電流は、約±75mVの範囲を持つDC OFFSET電圧信号に変換され、約±64mVの範囲の予想直流オフセットの埋め合わせをする。利得変換器331は、もっぱらデジタルデバイスとして作動してデジタルGADJ信号をデジタルGCON信号に変換してもよい。あるいは、直流増幅器333の構成によってはGCON信号はアナログ信号であることも考えられる。図中の実施の形態において、直流増幅器333は線型の利得増幅器である。一般に、BB AGC増幅器307は、何らかの直流を含む入力信号を増幅するので、直流増幅器333はODCEST信号を増幅して直流ループ347の制御を維持する増幅器として作動する。直流増幅器333の増幅量は、GCON信号を介して利得変換器331によって制御される。利得変換器331はGADJ信号を受信し、またGCON信号をそれに合わせて調整する。
【0060】
前述のように、利得変換器331は、利得コントロールロジックと直流コントロールロジックとの間の利得レベルを変換する利得インターフェースとして作動する。一実施の形態において、利得変換器331は、BB AGC増幅器307と直流増幅器333との間の利得を反転する。利得変換器331はさらに、ODCEST信号の増幅がRADJ信号の利得に対応するようにGADJとGCON信号に重み付けする何らかのビットと共に対応するレンジまたはユニット間の変換を行ってもよい。あるいは、またはさらには、利得変換器331は対数スケールと線型スケール間のように利得スケール間を変換する。特に図中の実施の形態の場合は、BB AGC増幅器307はデシベル(dBs)単位で測定される対数利得増幅器であり、また直流増幅器333は線型利得増幅器であるので、利得変換器331はデシベル単位のGADJ信号を線型利得GCON信号に変換する。BB AGC増幅器307と直流増幅器333の双方が線型増幅器である実施の形態に対しては、利得変換器331は、対数変換を要せずにGADJ信号とGCON信号に重み付けする何らかのビットを用いて対応するレンジまたはユニット間を変換する。
【0061】
図4は、さらに正確に直流を測定及び制御するために較正処理を利用する点を除き、補償装置300に類似した較正直流補償システム400のブロック構成図である。特に、較正ブロック401は、R信号を受信し、まとめてPGM信号と呼ばれる1または複数の較正プログラム信号を利得変換器331へ出力する較正ロジックからなる。利得変換器331は、さらに以下において説明するように調整値を記憶するための任意の調節メモリ405を含む。PGM信号は、多重バス信号などの様に何らかの適切な方法で実施して調節メモリ405をプログラムしてもよい。また、コントロールブロック343を用いて較正処理あるいは較正機能を制御し、あるいは較正ブロック401によって較正処理を実行するか否かまたいつ実行するかを制御してもよい。例えば、コントロールロジック343に以下でさらに説明するように、較正処理を実行するための時間間隔を決めるタイミングロジック403等をオプションとして備える。連続較正処理の間隔は、特定の設定または実施方法によって決まる。図中の実施の形態においては、較正時間間隔は約30秒または1分などといった秒や分のオーダーである。
【0062】
前述のように、直流の発生源は多数であり、また直流レベルは時間が経つにつれて変化する。BB AGC増幅器307自体には、ステップからステップへと著しく変化する可能性がある直流オフセットを導入する。図中の実施の形態においては、較正ブロック401は較正器として作動するデジタルデバイスであってデジタルRD信号をモニターし、適当な測定や演算を実行し、それに従って調整メモリー405をプログラムする。変換器331はGADJ信号を受信し、またGCON信号に対する対応初期値を決定し、もしその初期値が提供されれば調節メモリ405内の調節値を利用して何らかの必要な調整を行う。この調節値は、複数ある方法のうちいずれか1つの方法で組み込まれてもよい。一構成においては、前記調整値は、利得変換器331によって決定された初期変換値を乗じた乗算値であり、またその結果はGCON信号として利用されて直流増幅器333を制御する。あるいは、前記調整値は、利得変換器331によって決定された初期変換値に加算またはそれから減算されるオフセットまたは加算値で、また合計値はGCON信号として用いられて直流増幅器333を制御する。別の実施の形態においては、較正ブロック401は、GCON信号を調整するために使用される較正信号を単にアサートしてもよい。前記較正信号は、較正ブロック401によって制御されて現在の調整レベルに維持され、また単一調整値の場合と同様に利得変換器331によって利用される。しかしながら、多くの環境においてはZIFアーキテクチャーの実施の形態における直流電圧の予測不能で非線形の特性のため、単一値の較正信号では十分に直流を補正できないかもしれないことを認識すべきである。
【0063】
何らかの所望の精度を得るために何らかの適切な個数の調整値が考えられる。一構成において、低利得調整値と高利得調整値とが使用される。閾値として低利得調整値と高利得調整値の切換に利用される特定のGADJ値を任意にまたは実験的に求めても良い。特定の構成や設計次第でどのような適切な閾値点で考慮されるが、中間点が検討される。あるいは、いかなる数の調整値でもGADJ信号の利得ステップまたは利得レベルに対応する数の調整値の各々に対して用いることができる。もしAGC DAC297が例えば128個の対応する個別の利得ステップを有する7ビットDACであるならば、調整メモリー405にプログラムされる利得調整値の個数は、2から128までの異なる調整値の範囲となるかも知れない。GADJ信号の各個別の利得ステップに対する異なった調整値の実施は比較的高い精度を提供する。
【0064】
タイミングロジック403が一時中断すると、コントロールロジック343は無線トランシーバー200が情報パケットの送受信のような何らかの通信機能を実行しているか否かを決定する。もしビジーでなければ、あるいは無線トランシーバー200がすでにその機能を実行しアイドル状態になっている場合には、コントロールロジック343は較正ブロック401に対して較正処理を実行するよう指示する。較正ブロック401は、点線351で示すように無線トランシーバー200の一定の機能を制御して較正を実行するよう接続されている。較正処理中は、較正ブロック401がLNA/ミキサー301および/またはコンバイナー303を制御して補償装置300から入力信号RBBを一時的に除去してもよい。例えば、RBB信号を受信するコンバイナー303の入力端を一時的にLNA/ミキサー303から切り離し、接地またはフロート状態にしておく。しかし、LNA/ミキサー301および/またはコンバイナー303の制御にはZIFトランシーバー201とベースバンド増幅器203との間にもっと複雑なインターフェースが必要となるかも知れないことに注意する。あるいは、較正処理と機能を全体としてベースバンドプロセッサー203内にまとめてもよい。いずれの場合も、較正ブロック401は、DC DAC337とAGC DAC297を制御して一時的にAGCループ345と直流ループ347が較正処理を実施できないようにする。
【0065】
較正処理の間は、較正ブロック401はDC DAC337を制御して0ボルトの直流値あるいは、何らかの他の所定のまたは適切な電圧値のような所定または任意の直流レベルあるいは設定値を補償システム300に注入する。較正ブロック401は、AGC DAC297を所定の利得ステップまたはレベルに制御したり、あるいはAGC DAC297を1以上の利得ステップを連続して1つずつ実行するように制御する。次に、較正ブロック401は、各利得ステップに対してR信号を1または複数回サンプリングする。このデータから、較正ブロックは1または複数の利得値を決定し、あるいはさもなくばR信号の直流レベルに相当する1または複数の直流オフセット値を決定する。いくつかの実施の形態において、較正ブロック401はR信号の直流レベルおよび/またはBB AGC増幅器307の利得のように測定助変数に基づいて何らかの必要な演算を実行し、それに従って1または複数の調整値を用いて調節メモリ405をプログラムする。
【0066】
一実施の形態において、較正ブロック401はDC DAC337を制御して任意及び既知の直流電圧をコンバイナー303にアサートし、またAGC DAC297を特定の利得レベルに制御する。次いで、較正ブロック401は、R信号をサンプリングする。較正ブロック401は、BB AGC増幅器307の推定または理論利得を用い、その利得レベルに基づいてR信号の理論値を算出し、測定R信号の実際の値と比較してもよい。理論利得値と測定値との差は、前記利得レベルで必要な直流オフセットを決定するのに利用される直流差分値である。あるいは、較正ブロック401はBB AGC増幅器307の測定利得に相当する1または複数の利得値を何らかの適切な方法で決定し、また理論利得値よりもこうして求められた利得値を演算に用いる。例えば、較正ブロック401は、DC DAC337にプログラムされ、結果的には75%以上及び以下の値といった対応する第一および第二レンジ値に到達するR信号となる、第一及び第二の直流オフセット値を求めてもよい。以下にさらに述べるように、第一及び第二の直流オフセット値を利用してAGC DAC297の特定の利得ステップにおけるBB AGC増幅器307の利得値を算出する。
【0067】
較正ブロック401は、AGC DAC297の1または複数の利得ステップに対する操作を繰り返し、結果的に調整メモリー405にプログラムされる調整値を決定するために用いられる複数の利得値と直流差分値が求められる。較正ブロック401は、BB AGC増幅器307と直流増幅器333との間の利得レンジまたはスケールの何らかの差分を組み込んで各直流差分値を適切な調整値に変換してもよい。例えば、対数スケールから線式スケールへの変換が考えられる。あるいは、調整メモリー405は直流差分値でプログラムされ、ここで利得変換器331が処理中に必要な変換を行う。較正ブロック401と調整メモリー405は回路やロジックをさらに複雑にする付加的な部品ではあるが、直流ループ347は直流オフセットをより速やかに収束して、除去する。動作環境が動的で予測不可能であるため、較正処理は周期的に繰り返される。
【0068】
図5は、AGCループ345と直流ループ347との間の利得インターフェースとして利得変換器331を自動照合テーブル(LUT)501に置き換えた点を除き、補償システム400に類似する較正補償装置500のブロック構成図である。LUT501は、LUT501にプログラムされている利得変換値をGCON信号として直接アサートして直流増幅器333の利得を制御する点を除き、利得変換器331と調節メモリー403と同様に作動するメモリーデバイスである。特に、GADJ信号をアドレスとして使用し、LUT501内の利得変換値へアクセスし、次に該利得変換値はGCON信号として直流増幅器333へアサートされる。較正ブロック401は、上記と同様の方法で較正処理を実行してR信号を介して1または複数の利得値あるいは直流オフセット値を決定する。
【0069】
較正ブロック401は、測定された利得値および/または直流オフセット値について何らかの必要な計算を行い、AGCループ345と直流ループ347の間で変換して、LUT501内に利得変換値をプログラムする。特に、較正ブロック401は、前述のようにGADJとGCON信号に重み付けする何らかのビットを用いて対応するレンジまたはユニット間で変換を行う。あるいは、またはさらには、較正ブロック401はさらに異なるスケール間の変換を行い、もしあるとすれば、前述のような対数スケールと直線スケール間の変換のようにBB AGC増幅器307と直流増幅器333との間の変換も行う。較正ブロック401は、AGC DAC297の少なくとも1つの利得レベルまたはステップに対応するLUT501内の個別の利得変換値をプログラムする。各利得ステップに対して個別利得変換値が考えられ、これにより処理中は変換が不要になるためLUT501が各GADJ値に対して適切なGCON値を供給するといった利点がある。
【0070】
図6は、補償システム500に類似しているが、処理中に利得調整リミッターとして作動してGADJ信号の変動を制限するリミットブロック601をさらに備えている較正補償システム600のブロック模式図である。コンバイナー321からのR信号がリミットブロック601に出力され、該ブロックはまた累算器329からGACC信号を受信する。リミットブロック601は、R信号よりはむしろRLEと呼ばれる制限受信エラー信号を累算器325に対してアサートする。このように、RLE信号とは、リミットブロック601によってR信号とGACC信号を用いて決定されたR信号の1つの限定版信号である。GACC信号は、(GADJ信号を介して)AGC DAC297の現在の利得レベルであり、R信号はGADJ信号の新しいレベルを求めるための所望のエラー差分値または変動値である。累算器329は、変動後GADJ信号の新しい値を用いてGACC信号を最新化する。
【0071】
直接R信号を印加する代わりに、さらに以下に説明するように、リミットブロック601は、GADJ信号の変動量を制限してループ制御の喪失を防ぐ方法を提供する。多くの異なった実施の形態が考えられる。一実施の形態においてリミットブロック601は、RE信号等に印加される90%の倍率等の倍率を常に印加する所定の利得変動制限値あるいは無線トランシーバー200の動作中に越えられることのない一定の最大利得変動制限値を用いて予めプログラムされる。あるいは、リミットブロック601は、LUT501についてすでに説明したのと同様の方法で1または複数のGLIM信号等を介して較正ブロック401によりプログラムされる。
【0072】
ADC313は、BB AGC増幅器307によってアサートされる受信信号Rのほとんどの、実質的に全てのあるいは可能な限り全てのレンジをとらえるために必要なできるだけ多くのビットを有することが可能である。ある特定の実施の形態においては、BB AGC増幅器307は約66dB(−6dBから60dB)の利得レンジを有し、十分な利得レンジを提供して予測される環境における適切な作動を可能にしている。AGC DAC297は十分な数のビットを有し、BB AGC307の全利得レンジにわたって所望の精度を達成する。例えば、一実施の形態において、AGC DAC297は7ビットである。こうした構成ではBB AGC増幅器307の利得レベルに関わらず受信信号Rを追従するために極めて多数のビットをADC313は有していなくてはならなくなる。さらに、直流ループ347によってまだ完全には補償されていないかも知れない受信信号内に組み込まれた直流オフセットの全レンジを取り込むために追加のビットをAGC313がさらに有することが可能であることに注目する。また、これは大きなADC313を必要とする十分に大きなビット数である。さらに、ADC313の極めて多数のビットを適切に取り扱うようベースバンドプロセッサ203を設計することができる。
【0073】
さらに実際的な実施の形態においては、ADC313は、十分なヘッドルームとフットルーム(総称してヘッドルーム)を持って信号の保全を維持するために必要なだけの個数のビットを含む。一実施の形態において、例えば、ADC313は結果的に約6dB/ビットとなる36dBレンジを備える6ビットの変換器である。このように、ADC313は、BB AGC307の作動範囲全体に対処せんとするものではなく、十分なヘッドルームを持って信号の保全を維持するには十分である。ターゲットパワーブロック323は、直流オフセットを減少または除去された受信信号RをADC313の作動範囲内に維持しようとしてTP信号を適切なターゲットパワーにアサートする。ターゲットパワーは、ADC313の全規模以下であり、一実施の形態においては、ADC313で観測できる全規模パワーの約±75パーセントに設定されていることに注目する。
【0074】
従って、ZIFトランシーバー201は、ベースバンドプロセッサー203のADC313の範囲を越える受信R信号を出力してもよい。このことは、最初のパケット獲得処理中に特によく当てはまるかも知れない。例えば、過剰の直流レベルによってADC313をその最大または最小制限値いずれか一方に向かう道筋につけることになるかもしれない。過電力入力受信信号は、対応するDCレベルに依存して、いずれか一方または両方の道筋Rでクリッピングを起こすかもしれない。AGCループ297と直流ループ347は、シグナルパワーと直流レベルを補償してR信号のレベルを所望のターゲットパワーやベースバンドプロセッサー203の作動範囲内に制御するため設けられている。さらに、R信号が所望の作動範囲に収束した後でも、環境状況が突然変化してシグナルパワーおよび/または直流レベルの変化を起こすかもしれない。BB AGC増幅器307は、利得レベルの変動に伴い著しく変化するかもしれない予測不能の直流成分をその入力端に持つため、シグナルパワー予測ブロック315によって要求される大幅な利得変動がさもなくばR信号の直流レベルを著しく変化させて、このためADC313にレール状況を起こさせたりおよび/または直流ループ347の制御が失われてしまう場合があるかもしれない。このことは何らかの新しい直流レベルもBB AGC増幅器307により実質的に高い利得で増幅されて潜在的にループ制御が速やかに失われる可能性があるため、高い利得レベルでは特に問題である。
【0075】
リミットブロック601が、シグナルパワー予測ブロック315による過剰補正を減少または除去するために補償装置600内に設けられている。BB AGC増幅器307のより高い利得レベルに対応するAGC DAC297のより高いレベルの利得ステップにおいて、REST信号の一定のレベルが、GADJ信号とAGC DAC297との間の非常に大きな量の差に相当するかもしれず、これが直流ループ347による制御には大きすぎる直流オフセットを導入することになり得る。あるいは、GADJ信号における著しい変動がBB AGC増幅器307によってさもなくば供給される直流オフセットを大幅に減少させるかもしれず、そのため累積された直流オフセット信号自身が過剰補償して、制御不能となるかもしれない過大な直流電圧を誘導することになるかもしれない。このように、リミットブロック601は、より高い利得ステップにおいて、R信号の補正量を減少する。リミットブロック601は、R信号とGACC信号とを比較し、またRLE信号のレベルを決定してGADJ信号の制御可能な改変を維持して、適切なコントロールループ作動を維持する。
【0076】
リミットブロック601の多くの異った実施の形態や変化例が考えられる。一実施の形態において、リミットブロック601を全ての作動利得レベルに適用可能な単一の最大利得差分値で予めプログラムしておく。あるいは、較正動作中に1または複数の利得制限値を用いGLIM信号を介して較正ブロック401によりリミットブロック601をプログラムする。単一最大利得変動制限値Gは、較正ブロック401で決定され、プログラムされるものと考えられる。また、特定の利得ステップに依存して、1または複数の利得変動制限値が決定され、プログラムされてもよい。リミットブロック601は、GADJ信号の各利得ステップに対する異なった利得変動制限値でプログラムされ、LUT501と同様に作動を可能にしてもよい。あるいは、リミットブロック601をより高い30dB利得レベルのようなより高い利得レベルにおいてのみ利得変動制限値でプログラムしてもよい。または、リミットブロック601を、全利得レンジにわたって作動可能な最大利得変動制限値や、より高い利得レベルのような特定の利得レベルにおける特定の利得変動制限値を含む何らかの利得制限値の組み合わせを用いて実施してもよい。
【0077】
前述のように、またはさらに以下に述べるように、一実施の形態において、較正ブロック401は各較正処理の間にGADJ信号の各利得ステップ(またはAGC DAC297の利得ステップ)に対するBB AGC307の利得を表す利得値を測定さかなくば決定する。次いで、較正ブロック401は、推定直流オフセットモデルまたはBB AGC増幅器307の特性をさらに利用する上界法を用いることが可能である。仮定のモデルでは、直流オフセットの変動(dV)は線状利得変動(dG)に対し線状であるため、直流オフセットの変動レートは電圧利得に関して一定、すなわちdV/dG=k、であると仮定され、ここで接頭辞「d」は導関数値またはデルタ値を表す。このモデルを用いて、電圧利得に関する直流オフセットの変動レートは一定値「k」であると仮定される。このことはBB AGC増幅器307の特定の構成に対してあてはまらないかもしれないが、このモデルは上界法の視点から見れば十分に正確である。デシベルレンジ(dV/dGdB)に変換すると、線形直流オフセット変動モデルはもはや線形ではなく、利得dBの増加に伴いより急速に変化する。しかし、小さな利得レンジの範囲では、線形近似化はいかなる所定の利得点においても直流オフセットの変動の比較的正確な予測である。変動レートはより低い利得点では比較的小さいが、約30dBの中間レンジ点では急速に増加し始める。このようにして、利得レンジ全体またはより高い利得レベルで補正を適用することになるかもしれない。
【0078】
dV/dGdBに対する比較的正確な勾配を求めるためには、比較的近接している2点における直流および利得の差を見つけることが望ましい。便宜上、これらの2点は現在の作動利得G1dBとこれより1dB大きい利得すなわちG2dB=G1dB+1とする。このように、dGdb=1dBであり、これは実施目的のためにはより簡単で十分に正確である。dV(すなわちデルタDC)を見出すため、線形モデルとdBスケールとの間の変換を行うことで定数「k」を有する線形カーブを二つの利得点で利用する。第一に、線形利得G1=invlogG1dB=10^(G1dB/20)、ここで「^」は力率または「電力への上昇」を示す。第一直流オフセットはDC1=k*G1で,ここで「*」は乗算を表す。G2dB=G1dB+1の場合、第二直流オフセットはDC2=k(G2)=k10^[(G1dB+1)/20]である。このようにして、dV=DC2−DC1=dV/dGdBである。
【0079】
利得変動制限値はMaxGainStepと呼ばれ、ADC313において観測されうる最大の特大直流が発生する初期動作点からの利得におけるステップである。直流成分が最初にかなり良く補償されていれば、許容可能な最大の特大直流は、ADC313のレンジの半分であり、MaxDCStepと呼ばれる。このように、電流利得ステップに対するMaxGainStepは、MaxGainStep=MaxDCStep/(dV/dGdB)である。ADC313は、約±500mVのレンジを備えており、そのためMaxDCStep=500mVが図中の実施の形態に対する許容制限値である。一実施の形態において、指数「i」で示されている個別のdVはBB AGC増幅器307の各利得レベルまたはステップ(i)毎あるいはGADJ信号の各利得ステップ毎に測定される。対応するMaxGainStep値を各利得ステップ(i)毎に求める。一実施の形態において、全MaxGainStep値は較正ブロック401によってリミットブロック601内に記憶される。7ビットのADC DAC297に対しては、128通りの異なるMaxGainStep値が算出されて記憶される。あるいは、BB AGC増幅器307の上側30dB利得レンジに対応する利得ステップのような、MaxGainStep値のサブセットが算出されて記憶される。処理においては、自動照合テーブルの実施の形態と同様にリミットブロック601にもし対応するMaxGainStep値が記憶されている場合はGACC信号によって決定される現在の利得を用いて、その値にアクセスする。RLE信号は、リミットブロック601により現在のR信号や対応するMaxGainStep値よりも小さな信号としてアサートされる。その他の実施の形態において、各dV値は算出されるが、最大値すなわちd/Vのみが記憶される。次に、dVを用いて最大利得変動制限値すなわちGが算出され、リミットブロック601に記憶されて全利得レンジにわたって使用される。
【0080】
さらにその他の実施の形態において、線形モデルは実際の直流オフセットのためには使用されない。図中の実施の形態において、AGC DAC297は、2mAの全目盛値のレンジに対してGD_lsb=約2/128mA/ステップまたはクリック、ここでGD_lsbはAGC DAC297に対する最下位ビット(lsb)の変換値を表す、を有する電流ベースの7ビットDACである。「i」がAGC DAC297に対応するGADJ信号の利得ステップを表す指数であり、Vo(i)が作動点(i)における特定の利得レベルで測定された直流オフセットを表し、また、dGmaがミリアンペア単位の利得変動である場合には、各利得ステップ(i)に対するdV/dGma(i)は以下の式(1)に従って求められる。
【0081】
【式1】
Figure 2004511165
【0082】
ここで、Vo(i+1)―Vo(i−1)なる量は、BB AGC増幅器307の後でADC313への入力端で観測される2つの利得ステップにわたる局部的直流オフセット変動である。mAからdBへの変換はほぼ直線的で、ここで各利得ステップに対するdV/dGdB(i)は以下の式(2)に従ってdV/dGmA(i)の変換によって求められる。
【0083】
【式2】
Figure 2004511165
【0084】
ここで、maxGdb(i)とminGdb(i)は、それぞれデシベル単位の最大及び最小測定利得値である。次に、dV/dGdB(i)は以下の式(3)に従って求められる。
【0085】
【式3】
Figure 2004511165
【0086】
図7は、追加の自動照合テーブル(LUT)701を包含する、補償システム500に類似した較正補償システム700のブロック模式図である。LUT701は、信号DCOFF上の測定された直流調整値を記憶し、且つこれをコンバイナー335の他の入力端にアサートする別のメモリー装置である。GADJ信号はLUT701の入力端に出力され、該装置は較正ブロック401によってPGM信号を介して直流調整値を用いてプログラムされる。直流調整値は、GADJ信号の対応する利得ステップ(i)に対する測定直流オフセットを表している。較正補償システム500−600では、直流増幅器333によってアサートされているIDCEST信号は、測定された直流レベルを計上しない利得補償直流信号である。LUT701は、測定された直流レベルに基づきその追加の補正を提供する。例えば、GADJ信号による利得の変動はLUT501によって処理され、利得ステップにおける測定された直流オフセットはLUT701によって処理される。追加のコンバイナーを加えることもできるが、LUT701がDC DAC337を介してDCADJ信号とDC OFFSET信号をより直接的に制御するためにコンバイナー335に直接直流オフセット補正を都合良く提供する。リミットブロック601も追加できるが、測定された直流オフセットが補償システム700内でLUT701を介して補償されるため不要と思われる。
【0087】
図8A〜8Cは、本発明の一実施の形態に係る較正処理を説明するフローチャート模式図である。この特定の較正処理では、AGC DAC297の利得ステップ(i)の各ステップにおけるBB AGC増幅器307の利得とさらにR信号の対応する直流オフセットの双方を測定する。さらに、もし必要であれば、直流オフセットの変動および/または直流オフセットの導関数値が、リミットブロック601による使用に対して求められる。
【0088】
特定の作動について説明する前に、全体の作動について簡単に論じる。前述したように、較正ブロック401は、無線トランシーバー200がアイドル状態で通信を行っていない間にはAGC DAC297とDC DAC337を制御して測定を行う。逐次近似アルゴリズムを利用してR信号の所望の電圧差に相当する電圧差をBB AGC増幅器307に設立する。較正処理中は、AGC DAC297は最低値に始まり最高値まで各利得ステップ(i)を通して段階的に処理をする。各利得ステップ毎に、DC DAC337を調整してADC313によってR信号の目標レベルを得る。前述されている特定の実施の形態において、R信号の高値と低値を逐次近似法によって求め、AGC DAC297の各利得ステップ毎に記憶させる。R信号の二つの別々の目標レベルを用いることで、直流オフセットが共通モードで互いに打ち消し合う差分値を用いて利得を算出することが可能になる。また、以前に算出された利得値と共に積算を利用して実際の直流オフセット電圧値を算出してもよい。
【0089】
逐次近似のためには、DC DAC337の値は最初は低いレベルからスタートし、R信号が所定の高い値でサンプリングされるまで連続的に増大する。次いで、DC DAC337の値は最初高いレベルからスタートし、R信号の低い値が所定の低い値でサンプリングされるまで連続的に低下する。所望の電圧値に即座に収束させるため逐次近似法や二値検索法が用いられる。特に、最上位ビット(MSB)から始まり最下位ビット(LSB)で終わる各ビットは、R信号が前記高い値以下にあるいは等しくなるか、あるいは前記低い値以上または等しくなるまで個別に反転および調査される。
【0090】
図8Aについては、較正処理で用いられるいくつかの変数が、第一ブロック801で初期化される。各利得ステップ毎に、二進変数ADC_HiLoを用いて高い目標値と低い目標値を区別する。最初は、1に等しく設定されている。Next_Bit変数を用いて逐次近似アルゴリズムによりDC DAC337の各ビット毎に段階的に処理を実行する。Next_Bit変数は、最初はMSB_BITに等しく設定され、DC DAC337の最上位ビットを指摘する。補償システム300〜700に対して示されている実施の形態において、DC DAC337は12ビットであるためMSB_BITは12に等しく設定される。GainStep変数を利用してBB AGC増幅器307を制御するためにAGC DAC297の各利得ステップを追跡する。GainStep変数は、最初はGS_MINにまたはAGC DAC297の最小設定値に等しく設定される。図中の実施の形態ではGS_MINは―64であり、図中の実施の形態では63である最高位利得ステップまたはGS_MAXまで増大する。指数変数”「i」”は、各較正処理の後で実行される演算用の変数を記憶するための指数として使用され、GainStep変数の追従を行う。DC_DAC変数を用いてDC DAC337内にプログラムされている値を繰り返し連続的に追跡する。図中の実施の形態では、DC_DACは、100000000000bから011111111111bまでの範囲の符号付き2の補数形式で表される12ビット変数であり、ここで”「b」”は二進値である。この二進レンジは、−2048から+2047までの十進レンジとして表される。
【0091】
ブロック801において、DC_DACは最初はALL_ZEROに等しく設定されていて、これはDC_DACの全12ビットが二進値ゼロに等しく設定されていることを意味している。符号付き2の補数形式において、このことはまた、二進値と十進値のゼロ(0)を表している。較正処理の第一繰り返し処理では、DC DAC337は最低値−2048から増加し、R信号が図中の実施の形態においては+24であるADC_HI_RANGE定数に等しくなるまで連続して増大する。DC DAC337が逐次近似法において−2048から+2047の最大値まで増加すべきものとすれば、最初はゼロの中間レンジ値にほぼ等しくなるように設定される。次のブロック803においては、GainStep変数をAGC DAC297に書き込まれるBB AGC増幅器307の利得をその最低レベルに設定する。次のブロック805においては、DC_DAC変数がDC DAC337に書き込まれる。このように、第一の繰り返し処理では、AGC DAC297は最低利得ステップにあり、DC DAC337はゼロに等しいかまたはその中間レンジレベルに設定されている。
【0092】
次のブロック807においては、R信号は較正ブロック401によって1回または複数回サンプリングされる。次のブロック809においては、ブロック807で採取された有効サンプルの算術的平均値が可変ADC_Meanに記憶される。図中の実施の形態において、ブロック807で48個のサンプルが採取され、最初の16個は廃棄され、そのようにして残りの32個のサンプルが有効と考えられる。こうして最後の32個のサンプルの平均値を求め、ADC_Meanは求められた平均値に等しく設定される。
【0093】
次のブロック811においては、ADC_HiLoが1に等しいか否か問い質される。第一繰り返し処理中にADC_HiLoはブロック801において1に等しく設定されたので、操作は次のブロック813に進み、そこでADC_MeanがADC_HI_RANGE定数よりも大きいか否かが問い質される。前述のように、DC_DAC変数を用いるDC DAC337の各ビットは、R信号がADC_HI_RANGE定数に達成するまで、第一繰り返し処理ではGS_MINの最小利得ステップである各利得ステップ毎に連続して検査される。ADC_Mean値がブロック813で求めてADC_HI_RANGEを越えて増加した場合には、次いで操作をブロック817に進め、そこでDC_DAC変数のNext_Bitは廃棄される。ビットを廃棄するには、その値を変化または「反転」させ、そこでもし値が0の場合は1に変化され、またはその逆である。実際に、平均値がADC_HI_RANGE定数の目標値を飛び越えてしまったならばそのビットは廃棄される。例えば、Next_Bitが図中の実施の形態において12に等しくまた当初0に設定されている第一繰り返し処理において、もし平均値ADC_MeanがADC_HI_RANGE定数(+24)より大であればDC_DAC変数の12番目のビットまたは最上位ビットは1へ反転「戻し」されてそのビットは廃棄される。もしこれが起これば、DC_DACは100000000000bまたは−2048の最小値に等しくなる。さもなければ、もしADC_Mean変数がADC_HI_RANGE定数よりも大きくない場合は、ブロック817は飛び越され、そのためNext_Bitまたはビット12は0のままである。
【0094】
図8Bについて、もしADC_Meanが、ブロック813で決定してADC_HI_RANGE定数よりも大きくないと判断された場合、あるいはNext_Bitがブロック817において廃棄された後は、操作はブロック819に進み、そこでNext_Bitが0に等しいかどうかが吟味される。もし等しくない場合は、操作は次のブロック821へ進み、そこでNext_Bitは減少される。第一繰り返し処理では、Next_Bitは11まで減少されて逐次近似法でDC_DACの次のビットを試験する。このように、DC DAC337の各ビットはNext_Bitがブロック819において決定されて0に等しくなるまで試験される。次のブロック823において、DC_DACのNext_Bitは評価のため反転される。第一繰り返し処理では、Next_BitまたはDC_DACのビット11は1に等しく設定されているため、DC_DAC変数は逐次近似アルゴリズムに従って値が増加する。特に、ブロック817において第12番目のビットが廃棄されてしまったために、DC_DACは100000000000bまたは−2048に等しくなったならば、DC_DACはブロック823において110000000000bまたは―1024に等しく設定される。さもなければ、第12番目のビットがブロック813決定された際、廃棄されていなかった場合は、そのようにしてDC_DACはゼロのままで、DC_DACはブロック823において010000000000bまたは+1024に等しく設定される。
【0095】
DC_DACのNext_Bitがブロック823で反転された後、操作はブロック805に戻りDC_DACの新しい値をDC DAC337に書き込む。このように操作はNext_Bitがブロック819で決定されてゼロまで減少するまで、DC_DAC変数の各ビット毎にブロック813を介してブロック805から823までの間繰り返される。これが起こるとDC_DAC変数はそれが、AGC DAC297の最低利得ステップにおいてDC DAC337にプログラムされた場合には、DC_DA変数は、所定のADC_HI_RANGE定数にできるだけ近い、またはそれ以下あるいは等しいR信号を生成する。次いで操作はブロック825に進み、そこでADC_HiLo変数は吟味される。ADC_HiLoが第一繰り返し処理において、なお1であるため、操作は次のブロック827に進み、そこで指数変数DC_DAC_HIは記憶および/または演算のためDC_DAC変数に等しく設定される。またブロック827においては、平均値変数ADC_HIはADC_Meanの現在の値に等しく設定される。ADC_MeanはADC_HI_RANGE定数に等しくあるべきであるが、若干変動する場合があり、いかなる変動値も演算用として記憶されることに注目する。
【0096】
操作はブロック827から829と進み、現在の利得ステップ(i)に対して逐次近似法の第一繰り返し処理の後半に対する変数をリセットする。特に、Next_BitはMSB_BITに等しく戻して設定され、ADC_HiLoは0と等しく設定され、またDC_DAC変数は二進値変数ALL_ONEに等しく設定され、これはDC_DAC変数の全ビットがゼロに等しく設定されることを意味している。これにより現在の利得ステップでの演算処理の後半に対する変数が初期化され、ここでDC_DAC337は最大値即ち+2047で始まり、所定のADC_LO_RANGE定数ブロック815で決定されて得られるまで逐次近似アルゴリズムに従って順次減少する。符号付き2の補数形式の111111111111bは、最大DAC値+2047と最小DAC値−2048とのほぼ中間である−1を表すため、DC_DACが−1に等しく有効に設定されることに注目する。
【0097】
ブロック829から操作はブロック805へと逆に進み、ここで新しいDC_DAC値がDC DAC337に書き込まれる。また、ブロック807においてR信号の1または複数のサンプルが採取され、ブロック809で有効サンプルの平均値が求められてADC_Mean変数内に記憶される。次のブロック811においては、ADC_HiLoが0に等しいため、操作はブロック815に進み、ここでADC_MeanがADC_LO_RANGE常数以下であるか否かが決定される。もし以下でない場合は、操作は直接819に進み、もし、以下の場合は、操作は次のブロック817に進み、そこで前述したと同様の方法でNext_Bitは廃棄される。もし、Next_Bitが第一繰り返し処理中に廃棄されない場合は、操作はDC_DACの値−1または111111111111bで進行する。もしNext_Bitがブロック817で廃棄される場合は、DC_DACの値は最大DAC値である+2047または0111111111111bに等しく設定される。
【0098】
次のブロック819においては、Next_Bitが0に等しいか否かが吟味され、等しくない場合は、操作はブロック812と823に進み、前述のように、Next_Bitは減少し、またDC_DAC変数の対応するビットは評価のため反転される。前述した場合と同様に、DC_DACが−1または1111111111111bに等しい場合は、ブロック823においてDC_DACは次いで−1025または1011111111111bに等しく設定される。あるいは、DC_DACが+2047または011111111111bであった場合は、ブロック823においてDC_DACは+1023または001111111111bに等しく設定される。
【0099】
操作はNext_Bitがブロック819において測定されてゼロに減少するまでブロック815を介してブロック805から823までの間の逐次近似法による低い値から高い値への処理を同様に繰り返す。この点では、ADC_Meanはブロック815で決定されてADC_LO_RANGE定数に近くまたは大きく、または等しくあるべきである。全ビットが調べられた後に、操作は次のブロック825に進み、ここでADC_HiLoの値が吟味される。これが現在の利得ステップの第一繰り返し処理の後半部であるため、ここでADC_HiLoは0であるが、次のブロック831へ操作は進み、ここでDC_DAC変数は現在の利得ステップのために指数変数DC_DAC_LOに記憶される。また、ADC_Meanの現在の値はブロック831において指数値ADC_LOに記憶される。次のブロック833においては、前記変数はGainStep変数で追従させて逐次近似処理の次の繰り返し処理の前半部分のために初期化される。特に、Next_Bitは12に等しく設定され、ADC_HiLoは戻して1に等しく設定され、DC_DACは戻してALL_ZEROに等しく設定される。さらに、GainStepと指数「i」はいずれも増加する。前述のように、GainStepは図中の実施の形態において当初GS_MINすなわち−64に設定されている。このようにして、ブロック833の最初の処理において、GainStepは−63に等しく設定され、「i」は2まで増加する。次のブロック835では、全ての利得ステップについて演算が完了したか否かを判断するためGainStepがGS_MAX定数よりも大きくなったか否かが吟味される。ブロック835の第一繰り返し処理では、操作は戻ってブロック803に進み、ここでGainStepの新しい値がAGC DAC297に書き込まれる。DC_DAC変数を利用して逐次近似法の前半部と後半部の全体が次のGainStepについて繰り返される。このように、必要であれば各GainStep毎に、指数変数DC_DAC_HI、ADC_HI、DC_DAC_LO、ADC_LOが決定されてそれぞれの場所に記憶される。
【0100】
各GainStepに対する全ての計算が決定され、ここでブロック835において測定されたGainStepがGS_MAX以上まで増加した後に、図8Cに示すように操作はブロック837に進み、そこで記憶されている指数変数を用いて演算が開始される。ブロック837では、G(i)と呼ばれる利得データが各利得ステップ(i)毎に決定される。図中の実施の形態において、「i」はそれぞれ−64から+63までのGainStepを示す1から128まで変動する指数値である。以下の式(4)をブロック837で用いて利得データG(i)を算出する。
【0101】
【式4】
Figure 2004511165
【0102】
ここでADC_lsbはADC313のステップ値変換であり、DC_DAC_lsbはDC DAC337のステップ値変換であり、ここでADC_HI、ADC_LO、DC_DAC_HIとDC_DAC_LOはブロック827と831ですでに求められた指数変数である。図中の実施の形態において、ADC_lsbは1Vpp/64または15.625x10―0.3V/ステップにほぼ等しく、DC_DAC_lsbは150mV/4096または36.62x10−0.3mV/ステップにほぼ等しい。128個の利得データ値G(i)は図中の実施の形態において求められる。次のブロック839では、フィルターを適用して利得データG(i)を平滑化する。一実施の形態においては、利得G(i)の全体にわたってデータ5幅可動形平均フィルターが適用され、曲線を平滑化する。第二の値及び最後から二番目値までについて終点で3幅フィルターを用い、終点値は変えられない。特に、最初の3つの値は平均化され、第二番目の値は平均値に等しく設定される。次いで、最初の5個の値が平均され、第三の値は平均値に等しく設定される。次いで第二から第五の値が平均化され、第四の値は該平均値に等しく設定される。五幅可動形平均化は、このように最後の五つの値が平均化され、第三から最後の値までが平均値に等しく設定されるまで継続する。次に、最後の3つの値が平均化され第二から最後までの値が平均値に等しく設定され、フィルター処理は完了する。かなりの変動やエラーが発生しそうな非常にノイズの多い環境で測定利得値を計算される可能性があるためフィルターが利用される。
【0103】
操作はブロック839から841へと進み、ここで各利得ステップ(i)毎に算出直流オフセット値Voffset(i)が決定され、ここでVoffsetはBB AGC増幅器307に対する入力端における演算直流オフセットを指す。Voffset(i)sで示されている直流オフセット値の単純化したものが次式(5)に従って求められる。
【0104】
【式5】
Figure 2004511165
【0105】
単純化されたオフセット値は、ADC_HIとADC_LO変数がそれぞれADC_HI_RANGEとADC_LO_RANGE定数に設定されていると仮定している。しかしながら、実際の操作においてはADC_HIとADC_LO変数は1つやまたは2つのステップ毎に変化するかもしれないので、そのため、次の式(6)に従って各利得ステップ(i)毎に調整値ADJが算出される。
【0106】
【式6】
Figure 2004511165
【0107】
この調整値を利用して次式(7)に従ってより正確な直流オフセット値Vo(i)を算出する。
【0108】
【式7】
Figure 2004511165
【0109】
ADC_HIがADC_HI_RANGEに等しく、そしてまたADC_LOがADC_LO_RANGEに等しくなる各場合に、調整値ADJは無効となり、ゼロになることに注目する。さもなければ、調整値を用いて精度を向上させる。操作はブロック843に進み、3幅フィルターを両端に備える5幅可動式平均フィルターなどでブロック839に対する前述と同様にして直流オフセットデータVoffset(i)を平滑化する。
【0110】
次のブロック845において、式Vo(i)=Voffset(i)*G(i)に従ってBB AGC増幅器307の出力端で直流オフセットを先ず算出し、次いで前述の式(3)に各Vo(i)値を挿入することによって直流オフセットの導関数データdV/dGdB(i)が各利得ステップ(i)毎に求められる。次のブロック847では、両終末点において3幅フィルターを有する5幅可動形平均フィルターを使用するなどして、前述と同様に直流オフセット導関数データdV/dGdB(i)を平滑化する。次のブロック849では、測定および/または算出データは、特定の構成次第で変換および/または記憶される。例えば、補償システム500−700に対しては、LUT501へ利得データG(i)は記憶される。補償システム700に対しては、直流オフセットデータVo(i)はLUT701に記憶され、また、補償システム600に対しては、導関数データdV/dGdB(i)を用いて、最大利得変動制限値Gをまたは1または複数の利得変動制限値を1または複数の利得ステップ毎に求める。こうして求められた(複数の)利得変動制限値はリミットブロック601に記憶される。
【0111】
適切な直流補償や直流較正を行って高性能無線トランシーバーの中間周波数(IF)部分を取り除くことで、結果的に電力要求が少なく比較的高性能で低価格の無線ZIFトランシーバーが得られることが認識される。本発明の実施の形態に従って利得ループにインターフェース接続された較正直流補償ループを用いることにより、こうした目標が達成される。ベースバンド利得増幅器の出力端における直流値を予測し、利得ループに連結された利得変換処理に基づき予測直流を増幅させることにより入力端に直流オフセットを出力して、ベースバンドプロセッサーデコーダー装置に出力される直流を有効に制御する。実際の利得と直流オフセットを周期的に測定し、1または複数の利得調整値または直流オフセット値を記憶することにより較正操作は精度をさらに向上する。操作中に調整値を利用して利得変換信号を改変したり、あるいは利得変動を制限してループ制御を維持する。こうした機能により、比較的堅牢で、比較的高いデータ処理量操作を有する優れた性能を持つ家庭用または小規模ビジネス用としてWLAN装置を設計することが可能となる。本発明の実施の形態に従ったZIF設計により、高感度が得られ、利得および直流オフセットループの設定を手早く行うことが可能となる。通信がバースト様およびパケット様特性を有しているため、手早い設定が望ましい。直流オフセットを補償するため平均化されたりあるいは除去されたりする多大量の固有ノイズにもこの設計はよく対処している。
【0112】
本発明に係わる装置および方法について1または複数の好適実施の形態に関連して説明してきたが、本発明はここに記載された特定の形式に限定されることを意図しているのではなく、むしろこうした他の代替例、変形例、同等例が添付の請求項に記載されているように本発明の思想および範囲に正当に含まれ、網羅されることを意図している。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の1または複数の実施の形態に従って実施された無線装置の作動を全般的に図示する1または複数の無線LANのブロック構成図である。
【図2】図2は、図1の装置またはアクセスポイントのいずれかに組み込まれてもよい本発明の実施の形態に従って実施されているゼロ中間周波数(ZIF)アーキテクチャー内無線トランシーバーの簡略な概略ブロック構製図である。
【図3】図3は、図2の無線トランシーバー内で受信された信号の利得を制御し、また直流オフセット値を低下または除去するために用いられる補償システムのブロック構成図である。
【図4】図4は、図3の補償システムに類似し、較正処理を周期的に実行する較正器と、より正確にDCを決定して制御するために利得ループと直流ループの間の利得インターフェースに設けられたプログラムを作成し得る調節メモリーを含む較正直流補償システムのブロック構成図である。
【図5】図5は、図4の補償システムに類似し、利得ループと直流ループの間の利得インターフェースとして自動照合テーブルを利用する較正システム装置のブロック構成図である。
【図6】図6は、図5の補償システムに類似し、利得変動を制限するために利得ループ内にリミットブロックが設けられた較正補償システムのブロック構成図である。
【図7】図7は、図5の補償システムに類似し、直流ループをさらに調整するために1または複数の直流調整値を記憶し出力する追加の自動照合テーブルを有する較正補償システムのブロック構成図である。
【図8】図8Aから8Cは、利得、直流オフセット値及び導関数データを決定する本発明の実施の形態に係わる較正処理を示すフローチャート構成図である。

Claims (30)

  1. ゼロ中間周波数(ZIF)アーキテクチャー構成の無線通信装置用の較正直流補償システムであって、
    直流オフセット信号を入力信号と混合し、調整された入力信号を出力するコンバイナーと、
    前記調整された入力信号を受信して、利得調整信号に基づいて増幅された入力信号を出力する利得増幅器と、
    前記増幅された入力信号を受信して、入力された信号のパワーを予測し、ターゲットパワーレベルに前記入力された信号のパワーを維持するために前記利得調整信号を出力する利得フィードバック回路と、
    前記増幅された入力信号の直流レベルを予測して、直流予測信号を出力する直流予測器と、
    前記直流予測信号を受信して、利得変換信号に基づいて前記直流オフセット信号を出力する直流増幅器と、
    前記直流増幅器と前記利得フィードバック回路に接続され、前記利得調整信号に基づいて前記利得変換信号を出力するプログラムを作成し得る利得変換器と、
    前記利得変換器と前記利得フィードバック回路に接続され、較正処理を周期的に実施し、前記利得変換器にプログラムを作成する較正器と、から構成されることを特徴とする較正直流補償システム。
  2. 請求項1の較正直流補償装置であって、さらに、
    複数の利得ステップを有する前記利得調整信号と、
    調整メモリーを備え、該調整メモリーは、複数の調節道を含み、各調節道は、前記利得調整信号の前記複数の利得ステップのうち少なくとも1つのステップにしている前記利得変換器と、
    前記利得調整信号と複数の調整値のうち対応する1つの調整値とに基づいて前記直流増幅器へ前記利得変換信号を出力する前記利得変換器と、
    複数の直流差分値に基づき前記調整メモリーをプログラムする較正器であって、前記利得調整信号の前記複数の利得ステップのうちの少なくとも1つに対応するような各直流差分値からなる複数の直流差分値を決定する較正器と、からなることを特徴とする較正直流補償システム。
  3. 請求項2記載の較正直流補償装置であって、前記複数の調整値は前記利得増幅器と前記直流増幅器との間の利得レンジとスケールを変換する処理を組み込むことを特徴とする較正直流補償システム。
  4. 請求項2記載の較正直流補償装置であって、前記複数の調整値のそれぞれは乗数と加算値のいずれか一方からなることを特徴とする較正直流補償システム。
  5. 請求項1の較正直流補償装置であって、さらに、
    複数の利得ステップを有する前記利得調整信号と、
    前記利得調整信号の各利得ステップに対応する利得変換値を提供する照合テーブルであって、前記利得調整信号の前記複数の利得ステップの1つに対応する個々の利得変換値からなる複数の利得変換値を記憶する照合テーブルからなる前記利得変換器と、
    前記複数の利得変換値を用いて前記照合テーブルをプログラムする前記較正器であって、前記利得調整信号の前記複数の利得ステップの1つに対応する個々の利得値からなる前記利得増幅器の複数の利得値を決定する前記較正器と、からなることを特徴とする較正直流補償システム。
  6. 請求項5記載の較正直流補償システムであって、前記較正器は前記複数の利得変換値を求める際に前記利得増幅器と前記直流増幅器の利得レンジとスケールの差分を取り込むことを特徴とする較正直流補償システム。
  7. 請求項5記載の較正直流補償システムであって、さらに、
    前記利得フィードバック回路を制御して前記複数の利得ステップのそれぞれに前記利得調整信号を印加する前記較正器と、
    前記複数の利得ステップ毎に、直流オフセットを調整し、また前記増幅入力信号が対応する第一及び第二直流オフセット値を有する第1及び第2の所定のレンジ値となるまで前記増幅入力信号をサンプリングする前記較正器と、
    前記複数の利得ステップの各ステップに対して第一及び第二所定レンジ値と前記第一及び第二直流オフセット値を用いて前記複数の利得変換値を決定する前記較正器と、からなることを特徴とする較正直流補償システム。
  8. 請求項7記載の較正直流補償システムであって、
    前記増幅入力信号の所定レンジに相当する前記第一及び第二所定レンジ値と、
    次近似処理を用いて前記第一及び第二直流オフセット値を決定する前記較正器と、からなることを特徴とする較正直流補償システム。
  9. 請求項7記載の較正直流補償装置であって、さらに、
    前記利得調整信号の各利得ステップに対して対応する直流調整値を提供する第2の照合テーブルであって、前記利得調整信号の前記複数の利得ステップの1つに各々が対応する複数の直流調整値を記憶する第2の照合テーブルと、
    前記複数の利得ステップの各々に対して前記第一及び第二直流オフセット値を用いて前記複数の直流調整値を求める前記較正器と、
    利得補償された直流信号を出力する前記直流増幅器と、
    前記直流オフセット信号を提供する前記第2の照合テーブルからの直流調整値に前記利得補償された直流信号を混合する、前記直流増幅器と前記第2の照合テーブルとに接続された第2のコンバイナーと、からなることを特徴とする較正直流補償システム。
  10. 請求項5記載の較正直流補償システムであって、前記利得フィードバック回路はさらに、操作中に前記利得調整信号の変動を制限する利得調整リミッターを含むことを特徴とする較正直流補償システム。
  11. 請求項10記載の較正直流補償システムであって、さらに、
    前記利得調整信号の変動を最大利得変動規制値に制限する前記利得リミッターと、
    上界法を用い、前記決定された複数の利得値と前記利得増幅器の所定線形直流オフセット変動モデルとに基づき前記最大利得変動規制値を決定する前記較正器と、からなることを特徴とする較正直流補償システム。
  12. 請求項10記載の較正直流補償システムであって、
    少なくとも1つの利得変動規制値に基づき前記利得調整信号の変動を制限する前記利得調整リミッターと、
    各CDオフセット値が複数の利得値の1つに対応している複数の直流オフセット値をさらに決定する前記較正器と、
    前記複数の利得値と前記複数の直流オフセット値を用いて少なくとも1つの利得変動規制値を決定し、また少なくとも1つの利得変動規制値を用いて前記利得調整リミッターをプログラムする前記較正器と、からなることを特徴とする較正直流補償システム。
  13. 請求項12記載の較正直流補償装置であって、少なくとも1つの利得変動規制値は、前記複数の利得値に対応する複数の利得変動規制値からなることを特徴とする較正直流補償システム。
  14. 較正直流補償を行なう無線通信装置は、ZIFトランシーバー及び該ZIFトランシーバーに接続されたベースバンドプロセッサーからなり、
    該ZIFトランシーバーは、
    無線周波数(RF)信号をベースバンド入力信号へ変換するRFミキサー回路と、
    前記RFミキサー回路に接続され、直流オフセット信号を前記ベースバンド入力信号と混合して調整されたベースバンド入力信号を出力するコンバイナーと、
    利得調整信号に基づき増幅入力信号をアサートする及び前記調整されたベースバンド入力信号を受信する前記コンバイナーに接続されたベースバンド増幅器と、からなり、
    前記ベースバンドプロセッサーは、
    前記増幅入力信号を受信し、入力信号のパワーを予測し、前記入力信号のパワーをターゲットパワーレベルに維持するため前記利得調整信号をアサートする利得コントロールロジックと、
    前記増幅入力信号中の直流量を予測し、前記増幅入力信号の直流レベルを減少させるため前記直流オフセット信号を出力する直流コントロールロジックと、
    前記利得コントロールロジックと前記直流コントロールロジックに接続され、前記利得コントロールロジックと前記直流コントロールロジックとの間の利得を変換する利得コンバーターと、
    前記利得変換器と前記利得コントロールロジックとに接続され、周期的に較正処理を実行し、前記利得変換器をプログラムする較正ロジックと、からなることを特徴とする無線通信装置。
  15. 請求項14記載の無線通信装置であって、
    複数の利得ステップを有する前記利得調整信号と、
    各利得変換値が前記利得調整信号の前記複数の利得ステップの1つにそれぞれが対応する複数の利得変換値を記憶するメモリー装置を有し、該メモリー装置は前記利得調整信号の各利得ステップに対する対応する利得変換値を出力する前記利得変換器と、
    前記複数の利得ステップの各ステップに前記利得調整信号を設定し、前記ベースバンド増幅器の対応する複数の利得値を決定し、前記複数の利得変換値を用いて前記メモリー装置をプログラムする前記較正ロジックと、からさらに構成されることを特徴とする無線通信装置。
  16. 請求項15記載の無線通信装置であって、前記利得コントロールロジックは操作中に前記利得調整信号の変動を制限する利得調整リミッターからさらになることを特徴とする無線通信装置。
  17. 請求項16記載の無線通信装置であって、
    前記利得調整信号の変動を最大利得変動規制値に制限する前記利得調整リミッターと、
    上界法を用いて前記複数の利得値と前記部ベースバンド増幅器の所定線形直流オフセット変動モデルに基づき前記最大利得変動規制値を決定する前記較正ロジックと、からさらになることを特徴とする無線通信装置。
  18. 請求項16記載の無線通信装置であって、
    複数の利得変動規制値に基づき前記利得調整信号の変動を制限する前記利得調整リミッターと、
    各直流オフセット値が前記複数の利得ステップの1つにそれぞれに対応する複数の直流オフセット値をさらに決定する前記較正ロジックと、
    前記複数の利得値と前記複数の直流オフセット値を使用して少なくとも1つの利得変動規制値を決定し、前記利得調整リミッターを前記複数の利得変動規制値を用いてプログラムする前記較正ロジックと、からさらになることを特徴とする無線通信装置。
  19. 請求項15記載の無線通信装置であって、
    記利得コントロールロジックを制御して前記複数の利得ステップのそれぞれに前記利得調整信号を印加する前記較正ロジックと、
    前記複数の利得ステップのそれぞれに対して、直流コントロールロジックを制御して直流オフセット信号を調整し、また前記増幅入力信号が対応する第一及び第二直流オフセット値を用いて第一及び第2所定レンジ値となるまで前記増幅入力信号をサンプリングする前記較正ロジックと、
    前記複数の利得ステップの各ステップに対する第一及び第二所定レンジ値と前記第一及び第二直流オフセット値を用いて前記複数の利得変換値を決定する前記較正ロジックと、からさらになることを特徴とする無線通信装置。
  20. 請求項19に記載の較正直流補償システムであって、
    前記較正ロジックと前記直流コントロールロジックに接続され、前記利得調整信号の前記複数の利得ステップの1つにそれぞれ対応する複数の直流調整値を記憶し、第二自動照合テーブルが前記利得調整信号の各利得ステップに対する対応する直流調整値を提出する第二メモリー装置と、
    前記複数の利得ステップの各ステップに対して前記第一及び第二直流オフセット値を用いて前記複数の直流調整値を決定する前記較正ロジックと、
    前記第二メモリー装置から入力された直流調整値を用いて前記直流オフセット信号を調整する前記直流コントロールロジックとからさらになることを特徴とする較正直流補償システム。
  21. 無線ゼロ中間周波数(ZIF)内で直流成分を減少させる方法であって、
    受信された無線周波数(RF)信号をベースバンド信号に変換し、
    直流オフセットを前記ベースバンド信号と混合して調整されたベースバンド信号を得、
    利得信号に基づき前記調整されたベースバンド信号を増幅して増幅入力信号を出力し、
    前記増幅された入力信号から入力ベースバンド信号のパワーレベルを決定し、
    前記利得信号を制御して前記入力ベースバンド信号のターゲットパワーレベルを求め、
    前記増幅された入力信号の直流レベルを決定し、
    前記利得信号に基づき利得変換信号を出力し、
    前記増幅入力信号の前記直流レベルを減少させるため前記利得変換信号と前記増幅入力信号の決定された直流レベルに基づき前記直流オフセットを制御し、
    較正処理を周期的に実施して前記利得変換信号を調整することからなることを特徴とする方法。
  22. 請求項21記載の方法であって、さらに、
    前記利得信号の複数の利得レベルのそれぞれに対する利得値を測定し、
    前記複数の利得レベルの1つに対応する個々の利得変換値からなる複数の利得変換値を記憶し、
    前記利得信号の前記複数の利得レベルのそれぞれに対する前記複数の利得変換値の1つを提供することからなる利得変換信号の提供を行うことからなる方法。
  23. 請求項22記載の方法であって、前記較正処理を実施することは、さらに利得レンジと利得スケールとの間の変換をすることからなる方法。
  24. 請求項22記載の方法であって、
    最大利得変動規制値を決定することをさらに含む較正処理を実行し、
    前記利得信号の利得レベルと前記最大利得変動規制値に基づき前記利得信号の変動を規制することからなる利得信号の制御を行うことを特徴とする方法。
  25. 請求項22に記載の方法であって、さらに較正処理及び利得信号の制御からなり、
    該較正処理は、
    前記利得信号の複数の利得レベルの1つに対応する個々の直流オフセット値からなる複数の直流オフセット値を測定し、
    前記複数の利得値と前記複数の直流オフセット値に基づき複数の利得変動規制値を決定し、
    前記複数の利得レベルの1つに対応する個々の利得変動規制値からなる前記複数の利得変動規制値を記憶することからなり、
    前記利得信号の制御は、前記複数の利得変動制限値の対応する値及び前記利得信号の利得レベルに基づいて前記利得信号の変動の制限を行うことからなることを特徴とする方法。
  26. 請求項に22記載の方法であって、さらに較正処理及び直流オフセットの制御からなり、
    該較正処理は、
    前記利得信号の複数の利得レベルのそれぞれに対する少なくとも1つの直流オフセット値を測定し、
    複数の直流調整値を記憶することからなり、
    前記直流オフセットの制御は、
    前記利得信号の利得レベルに基づき前記複数の直流調整値の1つを加算することを含むことを特徴とする方法。
  27. 請求項21記載の方法において、較正処理を実行することは、
    複数の利得レベルのそれぞれに対する前記利得信号を設定し、
    各利得レベルに対し、前記増幅入力信号の第1の所定レンジ規制を達成する第1の直流オフセット値を決定し、
    各利得レベルに対し、前記増幅入力信号の第2の所定レンジ規制を達成する第2の直流オフセット値を決定することからなることを特徴とする方法。
  28. 請求項27記載の方法であって、前記第1及び第2の直流オフセット値を決定することが逐次近似法に基づいていることを特徴とする方法。
  29. 請求項27記載の方法であって、前記第1及び第2の直流オフセット値を用いて前記利得信号の各利得レベルに対する複数の利得値を決定して、記憶することを特徴とする方法。
  30. 請求項27記載の方法であって、前記第1及び第2の直流オフセット値を用いて前記利得信号の各利得レベルに対する複数の直流オフセット値を決定して記憶することを特徴とする方法。
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