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JP2004507685A - 高Tc超伝導材料を使用して回転軸を支承する磁気軸受 - Google Patents

高Tc超伝導材料を使用して回転軸を支承する磁気軸受 Download PDF

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JP2004507685A JP2002523497A JP2002523497A JP2004507685A JP 2004507685 A JP2004507685 A JP 2004507685A JP 2002523497 A JP2002523497 A JP 2002523497A JP 2002523497 A JP2002523497 A JP 2002523497A JP 2004507685 A JP2004507685 A JP 2004507685A
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Abstract

本発明は、ステータ内部にで回転軸(3)を磁気的に支承する磁気軸受(2)に関する。この磁気軸受は軸と強固に結合された第1の磁気軸受部分(5)を備え、この軸は、ステータに付設された第2の軸受部分(13)に包まれ、軸受隙間(12)を形成する。第1の軸受部分の磁石装置(7)は永久磁石要素(8i)を備え、第2の軸受部分の冷却された超伝導装置(14)は高Tc超伝導材料を備える。両装置とも、少なくとも1つの断熱スペース(V1、V2)によって共通に包まれている。断熱スペースから分離されている追加スペース(25)が、軸受隙間(12)と部分スペース(25a、25b、26a、26b)とを有し、これら部分スペースは、超伝導装置と磁石装置との両側端面において半径方向へ軸(3)まで延び、軸に対してシールされている。

Description

【0001】
本発明は、ステータ内部で回転軸を磁気的に支承する磁気軸受であって、第1の軸受部分が回転軸に強固に結合され、ステータに付設された第2の軸受部分によって包まれ、これらの軸受部分の間に軸受隙間が形成され、第1の軸受部分が、永久磁石要素を持つ磁石装置を含み、第2の軸受部分が高Tc超伝導材料を持つ超伝導装置を含み、超伝導装置と磁石装置の永久磁石要素との間に磁気的な支承力が生じ、超伝導装置の超伝導材料を超伝導材料の臨界温度以下の運転温度に冷却するために冷却装置が設けられている磁気軸受に関する。
この種の磁気軸受は西独特許第4436831号明細書を出発点とする。
【0002】
磁気軸受は運動部品に対する非接触で摩擦のない支承を可能にする。この磁気軸受は潤滑剤が不要であり、摩擦の少ない構造とすることができる。その際回転可能な(回転する)物体を、これを囲む周囲の環境から、気密に、例えばハーメチックシールに分離することができる。
【0003】
従来(通常)の磁気軸受は、ステータの固定された電磁石と、ロータの一緒に回転する強磁性要素との間の磁力を利用する。この軸受タイプの場合、磁力は常に吸引力である。その結果固有安定的な支承は、原理的に3次元方向すべてにおいては得られない(「Trans.Cambridge Phil.Soc.」1842年、第7巻、p.97〜120に掲載された「アーンショーの定理」参照)。従ってこのような磁気軸受は、位置センサーおよび制御回路を介して支持磁石の電流を制御し、ロータの目標位置からの偏倚を打ち消す能動的な軸受制御機能を必要とする。このため多チャンネルで実行される制御は煩瑣なパワーエレクトロニクスを必要とする。制御回路の突然の機能停止に対抗して、機械的な非常用軸受を追加して設けなければならない。同様な磁気軸受は、例えばターボ分子ポンプ、超遠心分離機、工作機械の高速回転するスピンドル、回転陽極を備えるX線管に用いられる。モーター、発電機、タービンおよびコンプレッサにおける使用も同様に知られている。
【0004】
超伝導体によって新しいタイプの磁気軸受が原理的に可能となる。この場合1つの軸受部分が永久磁石要素により形成され、この永久磁石要素は、位置が変化すると磁場が変化する結果として、この第1の軸受部分と間隔を取りながらこれを囲む第2の軸受部分の超伝導材料内に、遮蔽電流を誘起する。その結果生じる力は反発力であったり又は吸引力であったりするが,目標位置からの変位を打ち消す方向へ向いている。通常の磁気軸受とは異なり、固有安定的な軸受が得られる(例えば「Appl.Phys.Lett.」1988年、第53巻第16号、p.1554〜1556参照)。通常の磁気軸受と比較すると、煩瑣で故障に弱い制御回路を省略できる。しかし、超伝導材料を超伝導材料の臨界温度以下の運転温度に冷却するための冷却装置が設けられねばならない。
【0005】
このような磁気軸受に必要な超伝導軸受部分は、1987年以来知られている金属酸化物の高Tc超伝導材料にとって、最初の使用分野の1つである。この材料は例えばY―Ba―Cu―Oという物質系をベースとし、これを液体窒素により約77Kの運転温度に冷却することができる。
【0006】
冒頭に挙げた西独特許明細書に記載された磁気軸受の場合、同様な高Tc超伝導材料を使用することが意図されている。この磁気軸受はロータ軸に多数の永久磁石要素を備え、これらの永久磁石要素は円環板に似た形状であって、軸線方向に順次並んでいる。これらの永久磁石要素はロータ軸の軸線方向に見て極性が交互に変わるように極性を与えられている。隣接する永久磁石要素間には、それぞれ比較的薄い強磁性中間要素が配置されている。これらの中間要素には、隣接する永久磁石要素の磁束線を集中させ、それにより各中間要素の軸受隙間側に、特に高い磁界強さが生じるようにするという責務が与えられている。ロータ側の軸受部分は永久磁石要素からなる磁石装置を備え、ステータ側の位置固定された軸受部分によって囲まれている。この軸受部分は、例えばYBaCuのような高Tc超伝導材料を持つ超伝導装置を含んでいる。超伝導装置と磁石装置の永久磁石要素との間には、先に挙げた磁気的な支承力が生じている。導体装置の超伝導材料は、液体窒素(LN)によって約77Kに維持される。このために超伝導装置の外面に、冷媒を導く冷却チャンネルが設けられている。
【0007】
低温に冷却された部品が軸受隙間に隣接している磁気軸受の場合、周囲環境の空気がこの軸受隙間を通って低温部品に到達し、そこで空気中の水分が氷結するという問題が生じる。このような氷結は、軸受の機能制限または損傷につながることがある。上記西独特許明細書に記載の磁気軸受の場合、蒸発する窒素を排出することにより、軸受隙間のこの種の氷結を防止することができる。軸受のために必要な冷却出力は、50〜80Kのとき、数ワット〜10ワットの規模である。しかし、この公知の磁気軸受の場合とは異なり、特に間接的な冷却機能のみを持ついわゆるクーライオクーラを使用した冷却技術を採用する場合、軸受隙間の氷結の危険を防止するための手段が存在していない。この場合には蒸発する冷媒ガスを利用できないからである。
【0008】
従って本発明の課題は、冒頭に挙げた構成要件を持つ磁気軸受において、いかなる冷却技術を選択するかにかかわらず軸受氷結のこのような危険を最小にし、シールの手間を少なくすることである。
【0009】
この課題は、本発明によれば、超伝導装置と磁石装置とが少なくとも1つの断熱スペースによって共通に包まれ、少なくとも1つの断熱スペースから分離された追加スペースが設けられ、この追加スペースが軸受隙間と部分スペースとを含み、この部分スペースが、超伝導装置と磁石装置との両側端面において半径方向へ回転軸まで伸び、そこで回転軸に対してシールされていることによって解決される。
【0010】
磁気軸受のこの構成にともなう利点は特に、回転部分に対する追加スペースのシールの手間を小さく抑えることができることにある。なぜならばこのシールは可能な限り小さい直径を利用し、これにより回転軸と一緒に回転するシール部品の円周速度が最小限に抑えられるからである。従ってシール機能が簡単になり、それに応じて寿命が向上する。追加スペースのシールが容易になり、効果的にもなったことにともなって、氷結の可能性のあるガスが侵入する危険は大幅に一掃される。
【0011】
この磁気軸受の有利な実施態様は従属請求項に記載されている。
【0012】
このようにして磁気軸受の追加スペースを簡単に排気できる。これにより摩擦損失を有利に軽減できる。回転軸のシール手段に漏れがある場合、理論上はたしかに僅かな空気侵入が生じるが、強い氷結には次のようにして対処できる。すなわち両側の部分スペースにおける対応する流れ断面積を小さく抑えることができるので、シールに欠陥があっても空気の交換が強く防止される。従ってこの磁気軸受は良好な非常運転特性を示す。
【0013】
上記に代わり、追加スペースに乾燥した保護ガスを充填すると有利である。乾燥した保護ガスとしては、運転温度において軸受隙間の範囲に氷結を生じる成分を含んでいなければ、どんなガスまたはガス混合物でも適する。保護ガスとしてHe、Ne、Ar、Nのグループから選択でき、これらのガスの少なくとも1つを含むガス混合物も適する。この追加スペースにいずれか1つのガスを充填すると、熱は、小さい断面積で有利に形成されている両側の部分スペース内で高温の回転軸から低温の軸受隙間に向かって伝導し、その場合に対流による熱損失は生じない。すなわち、密度の小さいガスを持つ両側の部分スペースの高温端部が回転軸の近くに位置することにより、対流が妨げられる。回転するときは遠心力により、安定した成層が得られる。そのほかに、ガス室中の圧力が僅かに変動しても機能するので、例えばシール領域に漏れによるガス損失があっても、広い範囲内でそれを許容できることは特に有利である。用途に対する要求に応じて、ガス圧を1バール以下、1バールあるいは1バール以上にできるので、特に最後の場合は低温領域に氷結を生じる湿った空気の侵入が確実に防止される。
【0014】
磁気軸受の冷却されるべき部分を有効に断熱するために、少なくとも1つの断熱スペースを特に排気することができる。その代わりに、あるいは好ましくはそれに追加して、このスペースの少なくとも一部に、少なくとも1つの公知の断熱材をさらに充填することができる。
【0015】
そのほかに、磁気軸受の冷却装置が、少なくとも1つの冷却ヘッドを持つ少なくとも1つのクーライオクーラを有することは特に有利である。この冷却ヘッドは、超伝導装置を間接的に冷却するために、好ましくは少なくとも1つの熱伝導体を介して超伝導装置に熱的に結合されている。このようなクーライオクーラを使用することは、ほぼボタンを押すだけで冷却出力を利用でき、超低温液体の取扱いが避けられるという利点がある。この公知の高Tc超伝導材料を有効に冷却するには、冷却ヘッドへの熱伝導による間接冷却で十分である。クーライオクーラを使用する場合、窒素のような蒸発する冷却ガスを流出させて軸受隙間の氷結を抑制することはたしかに存在しない。さらに、軸受隙間において超伝導材料を断熱するならば、軸受隙間の著しい拡大がもたらされ、それに対応して軸受の支持力および剛性のドラスチックな減少がもたらされる。しかし良好な機能を得るには、軸受隙間はできるだけ小さくし、例えば1mmの規模とするべきであろう。このために、断熱された真空容器内に軸受を完全に収めるならば、この真空容器を原理的には2つのハーメチックシールにより回転軸に対してシールしなければならないであろう。しかしこれには、漏れを生じる場合真空が崩壊し、軸受と支承された機械部分との機能がそれに対応して障害を起こすという欠点がある。この場合永久磁石要素は主として熱放射により、超伝導材料の運転温度と周囲温度との間の中間温度までゆっくり冷却される。しかし本発明によって超伝導装置と磁石装置とを共通に包む断熱スペースから分離されている特別な追加スペースを形成することにより、前記シール問題に有利に対処することができる。なぜならば、すでに述べたように、この追加スペースのシールに課される要件は少ないからである。従って間接的冷却法を問題なく使用できる。
【0016】
本発明による磁気軸受のそのほかの有利な実施態様を、そのほかの請求項に記載した。
【0017】
以下において図面を参照して本発明をさらに詳しく説明する。図には、本発明による磁気軸受の1つの実施例の重要な部分が概略的に示されている。図1は磁気軸受の縦断面図、図2は図1に示した磁気軸受のシール装置の詳細図を示す。各図とも同じ部品には同じ参照記号を付した。
【0018】
図1では磁気軸受全体に番号2を付したが、この磁気軸受は前記西独特許4436831号明細書に記載の実施例に基づいている。この軸受は、(回転可能な)ロータ軸3を磁気的に支承するために設けられ、ロータ軸3は非磁性材料、例えばスチール(鋼)からなる。例えばこのロータ軸3は図示されていない電気的機械、例えば発電機の一部である。ロータ軸3にはこのロータ軸3と一緒に回転する第1の軸受部分5が付設され、この第1の軸受部分5が軸受範囲においてロータ軸3を同心円的に包んでいる。この第1の軸受部分5は、ディスク状の支持要素6a,6bを介してロータ軸3に強固に固定される。これらの支持要素6a,6bが、熱伝導を最小限に抑えるために、熱伝導性の悪い材料(例えばガラス繊維強化プラスチック)から構成されていると有利である。第1の軸受部分5は、上記西独特許明細書に従って、永久磁石材料からなる円環板状要素8iを持つ磁石装置7を有している。これらの円環板状要素8iは、軸線方向に見て交互に磁気的に極性を与えられ、例えば鉄のような強磁性材料からなる円環板状の中間要素9iによって互いに離間している。この中間要素9iの強磁性材料は、第1の軸受部分5の円筒形外側表面に磁束を集中させるために用いられ、それにより磁気軸受の支持力を向上させる。すべての要素8i,9iは1つの支持体10の中に積層状に並べて配置され、この支持体10は円環板状の支持要素6a,6bを介してロータ軸3との摩擦結合を保証している。
【0019】
永久磁石要素8iを持ちロータ軸3と一緒に回転する第1の軸受部分5は、位置固定された中空円筒形の第2の軸受部分13に囲まれ、軸受隙間12によって第2の軸受部分13と分離されている。軸受隙間12の隙間幅wは数ミリメートルの大きさにすることができる。位置固定されてステータを形成する第2の軸受部分13は、第1の軸受部分5側の内側に中空円筒形の超伝導装置を有し、この超伝導装置は公知の高Tc超伝導材料の1つからなり、運転の際にはこの材料をその臨界温度以下の運転温度に保たなければならない。永久磁石要素8iの位置が変化すると磁場も変化するので、この永久磁石要素によってその超伝導材料内に遮蔽電流が誘起される。この遮蔽電流は軸受部分5,13間に所望の磁気的な支承力を生じる。
【0020】
位置固定された第2の軸受部分13にある中空円筒形の超伝導装置14は、その軸受隙間12とは反対側を、例えばCuのような熱伝導性の良好な材料からなる中間円筒15を介して、支持体16の内部に固定されている。この超伝導装置14を冷却するために、超伝導装置14が、熱伝導体18を介して、ここには詳しく記載しないクーライオクーラの冷却ヘッド20に熱的に結合されている。このクーライオクーラは、特にはHeガスの閉じた圧縮ガス回路を備え、例えばギフォード・マクマホンタイプまたはスターリングタイプであるか、あるいはいわゆるパルス管冷凍機として形成されている。クーライオクーラは一般に知られている。このクーライオクーラは、特に再生器ないし再生形の動作サイクルを持ついわゆる再生形クーラ(クーライオクーラの通常の分類に対応して)として実施されている(日本国北九州市で1996年5月20〜24日に開催された“第16回国際低温工学会議(ICEC 16)”の議事録、エルゼフィーア・サイエンス出版社、1997年、p.33〜44参照。「Adv.Cryog.Engng.」、第35巻,1990年、p.1191〜120参照、または米国特許第5,335,505号明細書参照)。
【0021】
冷却ヘッド20は、室温にあり軸受2を完全に包んでいる軸受ケーシング21の外側にある。この軸受ケーシング21の内側には、位置固定された第2の軸受部分13が、円環板状の支持要素22a,22bを介して固定されている。この支持要素が、熱伝導を最小にするために、例えばガラス繊維強化プラスチックのような熱伝導性の悪い材料からなっていると有利である。断熱のために、軸受ケーシング21の内側スペースの少なくとも一部を少なくとも1つの断熱スペースとして形成し、この断熱スペースの少なくとも大部分が、超伝導装置14と磁石装置7とからなるユニットを包んでいる。特に以下に記載するように、このスペースを排気することができる。その代わりに、あるいは好ましくはそれに加えて、このスペースの少なくとも一部に、少なくとも1つの断熱材を充填することもできる。それに適する断熱材は、例えば断熱フォーム、超断熱材、断熱フレーク、またはガラス繊維である。ここに示す実施例に従って、断熱のために2つの互いに分離された真空スペースV1,V2が設けられている。真空スペースV1は2つの側面領域V1a,V1bと半径方向外側にある中央領域V1cとから構成されている。中央領域V1cは、位置固定された第2の軸受部分13と、真空ケーシング21の半径方向外側に位置する部分との間にある。真空スペースV2は、ロータ軸3と、これと一緒に回転する第1の軸受部分5との間に位置し、側面を支持要素6a,6bによって形成されている。従ってこの真空スペースV2はこれらの部品と一緒に回転する。ここに示した図とは異なるが、これらの真空スペースV1,V2の少なくとも一部に、さらに例えば超断熱材または断熱フォームのような公知の断熱材の少なくとも1つを充填することができる。
【0022】
本発明により磁気軸受を形成する場合、ロータ軸3に対する真空スペースV1のシールが不要であるのは有利である。なぜならば本発明では、ロータ軸3と一緒に回転する第1の軸受部分5と、位置固定された第2の軸受部分13との間に形成される軸受隙間12の隙間幅wが小さく、この軸受隙間12は真空スペースV1と結合されていないからである。むしろこの軸受隙間の中間スペースを(別の)追加スペース25の一部とし、この中間スペースを軸に対してシールしている。このため軸受隙間12のスペースはその軸線方向の両側端部で、それぞれ半径方向にロータ軸3まで伸びる部分スペース25a,25bに開口している。これらの部分スペース25a,25bがそれぞれほぼ円環状のスペース容積を有し、軸線方向においては非常に狭く維持されると有利である。これらの部分スペースはロータ軸に接するところで、軸線方向に外側へ延びるシール隙間26a,26bに移行している。これらのシール隙間26a,26bはシール装置28a,28bの一部である。追加スペース25は、排気されるか、あるいは例えばNのような乾燥した保護ガスを充填されている。ガス圧力は一般に0.1〜10バールであり、標準圧力よりも僅かに過圧状態にあると特に有利である。シール装置28a,28bは図1には詳細を示されていない。その詳細は図2に示されている。
【0023】
図2は、シール装置、例えばシール装置28aに関する詳細図である。そこに示されているように、シール隙間26aは軸受ケーシング21と磁気軸受2とを囲む外部スペースRに開口している。この外部スペースRは一般に室温かつ標準圧力にある。外部スペースに対してシールするために、シール隙間26a内にシール装置28aの少なくとも1つのシール要素30が設けられており、このシール要素30は例えば強磁性流体シール要素(独国特許出願公開第2034213号明細書参照)として形成されている。従ってこのシール装置28aは、磁極N,Sと、側面からそれに当接し磁束を導く2つのヨーク脚34a,34bとを持つ永久磁石33を含んでいる。このヨーク脚34a,34bはそのロータ軸側がシール隙間26aの領域に先端を備え、これらの先端に強磁性流体リング35iが磁気により保持されている。このためには、ロータ軸3の少なくともそれぞれのシール要素30の領域が強磁性でなければならない。従って例えば、強磁性材料から成る図示されていない中空管が、非磁性材料から製造されたロータ軸上に嵌め込まれている。
【0024】
ここに示したタイプのシール装置の代わりにそのほかの公知の例、例えばラビリンスシールまたは非接触シールを使用することもできる。シール隙間26bを持つシール装置28bとして適切なシールが設けられている。
【0025】
さらに図2の詳細図に記載するように、真空スペースV1つまりその部分スペースV1aは、ロータ軸3の領域でシール隙間26aの位置固定された壁31によって、またヨーク脚34aによって密閉されている。このヨーク脚は、軸受ケーシング21の側壁21aの延長部分である。その代わりに、この側壁21aを壁31まで伸ばして、シール装置28aの側面を側壁21aに当接させ、例えばOリングと気密にフランジ接合することもできる。
【0026】
本発明による磁気軸受におけるこれらの実施例の場合、回転部分の断熱された真空スペースV1ないしは断熱スペースに、密封問題が生じないのは有利である。従ってこの軸受の場合、ロータ軸3における軸受隙間12に、問題がなくて手間のあまりかからないシールをただ1つ設ければよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は磁気軸受の縦断面図を示す。
【図2】図2は図1に示した磁気軸受のシール装置の詳細図を示す。
【符号の説明】
2    磁気軸受
3    ロータ軸、回転軸
5    第1の軸受部分
6a,6b 支持要素
7    磁石装置
8i   永久磁石要素
9i   中間要素
12    軸受隙間
13    第2の軸受部分
14    超伝導装置
16    支持体
20    冷却ヘッド
21    軸受ケーシング

Claims (16)

  1. ステータ内部で回転軸を磁気的に支承する磁気軸受であって、
    第1の軸受部分が回転軸に強固に結合され、ステータに付設された第2の軸受部分によって包まれ、これらの軸受部分の間に軸受隙間が形成され、
    第1の軸受部分が、永久磁石要素を持つ磁石装置を含み、
    第2の軸受部分が高Tc超伝導材料を持つ超伝導装置を含み、超伝導装置と磁石装置の永久磁石要素との間に磁気的な支承力が生じ、
    超伝導装置の超伝導材料を超伝導材料の臨界温度以下の運転温度に冷却するために冷却装置が設けられている磁気軸受において、
    超伝導装置(14)と磁石装置(7)とが少なくとも1つの断熱スペース(V1、V2)によって共通に包まれ、
    少なくとも1つの断熱スペースから分離された追加スペース(25)が設けられ、この追加スペースが軸受隙間(12)と部分スペース(25a、25b、26a、26b)とを含み、この部分スペース(25a、25b、26a、26b)が、超伝導装置と磁石装置との両側端面において半径方向へ回転軸(3)まで伸び、そこで回転軸に対してシールされていることを特徴とする磁気軸受。
  2. 追加スペース(25)が乾燥した保護ガスを充填されていることを特徴とする請求項1記載の磁気軸受。
  3. 保護ガスとしてHe、Ne、ArまたはN、またはこれらのガスの少なくとも1つを含む混合物が用いられていることを特徴とする請求項2記載の磁気軸受。
  4. 保護ガスが0.1〜10バールの圧力状態にあることを特徴とする請求項2又は3記載の磁気軸受。
  5. 追加スペース(25)が排気されていることを特徴とする請求項1記載の磁気軸受。
  6. 少なくとも1つの断熱スペース(V1、V2)が排気されていることを特徴とする請求項1乃至5の1つに記載の磁石装置。
  7. 少なくとも1つの断熱スペース(V1、V2)の少なくとも一部に少なくとも1つの断熱材が充填されていることを特徴とする各請求項1乃至6の1つに記載の磁石装置。
  8. 少なくとも1つの断熱材が、断熱フォーム、超断熱材、断熱フレーク、ガラス繊維のグループから選択されていることを特徴とする請求項7記載の磁気軸受。
  9. 超伝導装置(14)が、熱伝導性の悪い支持要素(22a、22b)を介して、室温の軸受ケーシング(21)の内部に固定されていることを特徴とする請求項1乃至8の1つに記載の磁石装置。
  10. 磁石装置(7)が熱伝導性の悪い支持要素(6a、6b)を介して回転軸(3)に固定されていることを特徴とする請求項1乃至9の1つに記載の磁気軸受。
  11. 第1の軸受部分(5)と回転軸(3)とが、閉じられて回転軸(3)と一緒に回転する断熱スペース(V2)を画成していることを特徴とする請求項1乃至10の1つに記載の磁気軸受。
  12. 追加スペース(25)の両側の部分スペース(25a、25b)がそれぞれ、回転軸(3)を包んで軸線方向に位置するシール隙間(26a、26b)に開口し、このシール隙間にそれぞれ少なくとも1つのシール装置(28a、28b)が設けられていることを特徴とする請求項1乃至11の1つに記載の磁気軸受。
  13. シール装置(28a、28b)がそれぞれ、強磁性流体シール、ラビリンスシール、または非接触シールのグループのうちの少なくとも1つのシールを有することを特徴とする請求項12記載の磁気軸受。
  14. 冷却装置が少なくとも1つの冷却ヘッド(20)を持つ少なくとも1つのクーライオクーラを有することを特徴とする請求項1乃至13の1つに記載の磁気軸受。
  15. クーライオクーラがギフォード・マクマホンクーラ、またはスターリングクーラ、またはパルス管冷凍機であることを特徴とする請求項14記載の磁気軸受。
  16. 冷却ヘッド(20)が少なくとも1つの熱伝導体(18)を介して超伝導装置(14)に熱的に結合されていることを特徴とする請求項14又は15記載の磁気軸受。
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