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JP2004503394A - ずらした配置の分割面を用いる射出同時成形 - Google Patents

ずらした配置の分割面を用いる射出同時成形 Download PDF

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Abstract

フィルムで覆われたプラスチック製品をインサート成形する方法であって、製品のへりのまわりを塗料フィルムが包み込むのを容易にする方法を開示する。金型キャビティ(210)が備えられ、該キャビティには、キャビティ(210)の必要なへり端(212、214)が、金型分割面(216)に対してずれた関係または離れた関係で、備えられている。このような位置の金型端配置により、金型キャビティ(210)内の塗料フィルムの固定が容易になり、またこの配置でない場合に金型分割面(216)に沿って起こりうる該フィルムのピンチングが防止される。
【選択図】図3

Description

【0001】
本発明は、プラスチック本体(substrate)上にラミネートフィルムその他をインサート成形する改良された方法と該方法によって製造される融着フィルム−プラスチック製品とに関する。
【0002】
いろいろな射出成形製品が製造され、自動車車体およびトリム部品として使用されている。たとえば、バンパー、車体パネル、ドア、充填材(filler)パネル、ホイールカバー、ダッシュボード、ひじ掛け、その他の部品が、射出成形技術によって製造されている。また、自動車外装品に関しては、車体側部成形品、ベルトライン(beltline)成形品、屋根成形品、窓成形品、チンスポイラー(chin spoilers)、ロッカーパネル、その他が、PVCその他の熱可塑性プラスチック材料の射出成形によって、製造されている。
【0003】
これらの部品に塗面を与えるために、フィルムラミネーション技術が使用されて成功している。これらの方法においては、塗料フィルムラミネートが所望の熱可塑性プラスチックとともにインサート成形され、該フィルムが射出成形品上に融着される。得られる射出成形品は、後続塗装なしで、組み立てのために使用することができる。
【0004】
これらのインサート成形技術において使用される塗料フィルムラミネートは、厚さ約0.51mm(0.020インチ)の裏地シートを有し、該シートに塗料層を付着させることができる。一般に、この裏地シートは押し出し熱可塑性プラスチックシートから成る。
【0005】
そのような塗料フィルムラミネートの場合、流延乾燥連続塗装膜から成る塗料フィルムが、裏地シートを覆って備えられる。この塗料フィルムは、モノコート(monocoat)、ベースコート(base coat)を覆うクリアコート(clear coat)、またはプリントもしくはデザインが介在するクリアコートとベースコート、から成るようにすることができる。必要な場合には、ベースコート、クリアコート、およびプリントまたはデザインを有する塗料フィルムは、約0.013〜0.10mm(0.5〜4ミル)の範囲の厚さとすることができる。
【0006】
このラミネート塗料フィルムは、たとえば、いろいろな製造者から入手することができる。このフィルムは、通常、ロールで提供され、巻きを解いてから、適当な“予備成形”寸法と形状に裁断し、射出成形用金型に挿入できるようにする。このプレフォームは、通常、金型のキャビティ面に沿って、塗料側が金型キャビティ面に対面するように配置される。場合によっては、このプレフォームは金型のコア面に沿って配置することができる。それから、金型はクランプされ、必要な溶融樹脂が金型キャビティ内に射出される。金型内の熱と圧力の状態により、裏地シートが部分的に融解し、射出樹脂とフィルムとの溶融接合または融着が起こる。これらの方法で使用される射出成形用金型は、リア(rear)またはエッジゲートのものとし、溶融樹脂がフィルムの裏面に沿って導かれるようにする。
【0007】
これらの方法は著しい利点を与えるものであるが、問題がないわけではない。たとえば、成形品のへり部分、たとえば車体成形品その他に使用される細長いストリップの軸線方向に延びるへりを、フィルムによって完全には覆うことができない。そのため、これらのへりは、プラスチック本体の覆われていない部分として露出し、美的に好ましくない外観を示す。焼き付け表面の連続性が、下にあるプラスチック本体の見苦しい外観によって中断されるからである。
【0008】
これらの同時成形ストリップのへり部分を覆うために、いくつかの方法が開発されている。たとえば、米国特許第5,599,608および第5,783,287号(いずれも、本件と共通の譲渡)明細書によれば、塗料フィルムが同時成形(co−molding)ステップの前に予備成形され、軸線方向に延びるへり部分がフィルムの残りの部分に対して凹角配置されるようになっている。さらに、米国特許第5,746,962号(本件と共通の譲渡)明細書に記載されているように、金型分割面に隣接する、“ポケット”と呼ばれる金型キャビティのへりに沿う端が備えられ、同時成形時に、このポケット内に配置されるフィルムの必要な端が該ポケット内に射出される溶融プラスチックに重なるようになっている。これにより、得られるプラスチック製品のへり部分がフィルムによって実質的に完全に覆われることになる。
【0009】
前記特許明細書に記載されている技術は、非常に大きな成功を収めており、特に、深絞り成形部品または深い寸法の部品の製造の場合にそうである。しかし、割合に平坦なトリム部品の製造の場合、溶融プラスチックの射出の前のフィルムの金型内でのずれまたは回転によって、製品不合格の問題が生じる。さらに、オス型とメス型(male and female mold platens)との間での、金型分割面に沿う高圧ピンチング(pinching)も、好ましくない製品不合格をもたらす。
【0010】
この後者の問題が起こる場合、大きなピンチング力(通常、約600トンの程度)により、プラスチック製品のへりに沿ってフィルムラミネートのギザギザまたは羽毛状のへり外観が生じ、したがって後続の手間のかかる製品トリミングステップにより製品が厳しい品質規格に合うようにすることが必要になりうる。
【0011】
簡単に言えば、先行技術の改良は、塗料フィルムがプラスチック製品の必要なへりの部分を包み込むのを容易にする一方で該フィルムが金型キャビティ内で正しい配置からずれるかまたは回転する機会を最小限に抑える、特殊な金型キャビティ構造の使用によって与えられる。さらに、このキャビティ構造においては、金型キャビティのへり端が金型分割面から物理的に明確に離して配置してある。この特徴により、この特徴がない場合に金型分割面に存在する高圧ニップ(nip)位置で発生しうるフィルム端の高圧ピンチングを最小限に抑えるのが容易になる。
【0012】
もっと詳しく言えば、この金型はオスのコア部分とメスの凹形の部分とから成る。コア部分の表面と凹形表面との間の空間が、その内部に塗料フィルムラミネートを受容するのに適した金型キャビティを定め、このフィルムは通常表の面(show surface)が凹部に対面するように配置される。従来の実施におけると同様に、スプルーとゲートは金型のコア側に取り付けられる。もちろん、金型キャビティ内のフィルムの相対配置と金型キャビティへのプラスチック導入および流入の向きとは、簡単に変更することができる。
【0013】
金型分割面はオスの金型部分とメスの金型部分との合わせ面によって定められる。金型キャビティの端には、金型表面の一つ普通はコア部分が備えられる。成形が完了すると、この端は所望のプラスチック製品の端を形成する。この端をここでは包み込み面(wrap around surface)と呼ぶ。
【0014】
金型の端が金型の分割面に沿ってまたは分割面と隣接して配置される先行技術の構造および方法とは異なり、本発明による包み込み面は、金型分割面によって定められる平面に対して直交するベクトルに沿って測定したとき、金型分割面からずれているかまたは離れている。
【0015】
溶融プラスチックが金型キャビティ内に注入され、金型キャビティの前記端に配置された包み込み面と塗料フィルム端とに向かって導かれる。塗料フィルム端は、包み込み面に沿って向きを変え、したがってプラスチックのへり部分が、重なる塗料フィルムによって実質的に完全に覆われるかまたは包まれる所望のプラスチック製品が得られる。
【0016】
以下、本発明を、添付の図面を参照しつつ、さらに詳しく説明する。
【0017】
本出願の図6および7には、本発明によって製造した、トリム部品たとえば車体側部の成形品部材6を示す。トリム部品6は、細長いものであり、プラスチック本体10上に塗料フィルムラミネートの表側8を備えることにより美的に好ましい外観を示す。
【0018】
図7からわかるように、本体10の長さ方向に延びるへり12、14は、塗料フィルム16によって、包み込みへり18、20において、完全に覆われるかまたは包み込まれている。図6および7に示す部品は、以下で述べる本発明の同時成形(co−molding)法によって製造される。
【0019】
本出願の図1には、プラスチック製品の製造に使用されるタイプの先行技術の金型を示す。この場合、金型100はオスのコア要素102とこれと協働するメスの要素104とから成る。このオスの金型要素は、凸のコア表面106を有し、該表面はメスの凹の表面108と協働して、これらの表面の間に、塗料フィルム被覆製品が製造される金型キャビティ110を定める。
【0020】
金型キャビティの長さ方向に延びるへりの端は、完成した細長い成形製品に沿って長さ方向に延びる一対の表面として備えられている。この場合、左側の端112と右側の端114とが備えられている。これらの端はどちらも、116で示される、金型の水平配置分割面に隣接している、ということに注意すべきである。
【0021】
さらに、図1を参照すると、スプルー118は溶融プラスチックの供給源と連絡しており、したがって該スプルーはプラスチックが金型キャビティ内に流入するための入口位置として働く。
【0022】
同時成形のステップそのものは新しいものではない。従来の同時成形技術においては、塗料フィルムラミネートは、まず、金型キャビティ内に、通常、該塗料フィルムラミネートの表側が、金型のメスの部分によって与えられる凹の表面108に隣接配置されるかまたはすぐ近くにくるように、配置される。次に、溶融プラスチックがスプルーから射出されて金型を満たし、したがって得られる同時成形製品は、プラスチック本体の面とへりに沿って塗料フィルムラミネートによって覆われたプラスチック本体から成る。
【0023】
図2に示すように、先行技術の金型キャビティの右側の端114は、先行技術の方法と構造とにしたがい、金型116の分割面に隣接している。
【0024】
図3は、本発明によって作られた金型キャビティを示す。この場合、金型200はコア要素202とこれと協働するメスの要素204とから成る。オスのコア表面206を、メスの金型要素の協働表面208とともに示す。要素206と208との間には、本発明による金型キャビティ210が備えられている。この場合、金型キャビティの左側および右側のへり端それぞれ212、214は、金型の分割面216からずらして配置してある。すなわち、へり端212、214は、
分割面216に直交するベクトルに沿ってはかったとき、分割面216から離れている。この場合、へり端212、214は、この図に示すように、製品の分離面220に沿う平面に隣接している。スプルー218は、金型キャビティ内に射出されるプラスチックの流れのための入口位置として働く。
【0025】
へり端212、214の位置が金型216の分割面216からずれまたは離れている配置は、大きな利点を与えるものである。特に、所望の部品が浅いものである場合、従来、金型キャビティ内に配置された塗料フィルムは、ずれたり、場合によっては金型キャビティから落下したりしがちであった。ここでは塗料フィルムのずれまたは回転は、塗料フィルムのへりに沿う部分の向きを端212、214の方に変えることによって防止される。これらの端をここでは包み込み面(wrap around surfaces)とも呼ぶ。さらに、金型のこれらのへりに沿う端が金型分割面に隣接配置される、多くの先行技術の方法においては、先行技術の方法にしたがったため、正しく配置されていない塗料フィルムが金型分割面間のニップ内にずれて、これらのへりが過大な圧力にさらされ、好ましくない羽毛状またはぎざぎざのあるへりを形成する傾向があった。
【0026】
本発明においては、製品の分離面220にかかる圧力は金型の分割面216にかかる圧力よりもずっと小さく、したがって羽毛状またはぎざぎざのあるへりが形成される傾向は最小限に抑えられる。
【0027】
図4には、本発明による製品の拡大断面図が、製品取り出しのため型開きの前の金型内配置状態で示してある。この図は、塗料フィルムが、成形工程によって、金型内に射出されたプラスチックに融着した同時成形製品に関して示してある。
ここでは、製品のへり14は、20で示すように、塗料フィルム16によって完全に包み込まれるかまたは覆われている。オスの表面またはコアの表面の包み込みへり214は、製品の分離面220と共面でありかつ該面に隣接している。
【0028】
図4aに示すもう一つの実施形態の場合、包み込み面が製品の分離面220に隣接する凹面214aであり、該分離面は金型の分割面216(図3)の上方に配置されている。
【0029】
本発明によれば、直線(vertex)300、302の間に90度よりも小さな角αを有する、図5に示すタイプの製品を製造することが可能である。直線300は、部品6の左側の長さ方向に延びるへり18に隣接する、該部品の外側または表側の該部品の湾曲表面に接触する接線である。直線302は、部品のへり18によって定められる平面を示す。直線302によって示される部品のへり18はまっすぐまたは平坦であるということに注意すべきである。このへりは、図6および7に示すように、部品6の軸線105に平行に延びている。したがって、ここに示す方法と金型キャビティ構造とを使用することにより、長さ方向に延びる一対のへり12および14は平坦であり(まるめてない)、また塗料フィルム18、20によって完全に包み込まれるかまたは覆われることになる。
【0030】
以上、本発明を好ましい実施形態にもとづいて詳細に説明したが、明らかに、特許請求の範囲で定義する本発明の範囲を逸脱することなく、変更または変形することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】先行技術の金型キャビティの断面図である。
【図2】図1に示す先行技術の金型キャビティの一部分の拡大断面図である。
【図3】本発明による好ましい金型キャビティの断面図である。
【図4】図3に示す金型キャビティの一部分の拡大断面を、その内部にある、同時成形塗料フィルムラミネートおよびその下のプラスチック材料とともに示す図である。
【図4a】本発明のもう一つの実施形態による金型キャビティの拡大断面図である。
【図5】本発明によって製造した、塗料フィルムラミネート被覆プラスチックトリム部品の一部分を示す拡大断面図である。
【図6】本発明によって製造した塗料フィルム被覆プラスチックトリム部品の平面図である。
【図7】図6の線と矢印7−7に沿う、図6に示すトリム部品の横断面図である。
【符号の説明】
6 トリム部品
8 塗料フィルムラミネートの表側
10 プラスチック本体
12、14 へり
18、20 塗料フィルム
100 金型
102 コア要素
104 メスの要素
106 凸のコア表面
108 凹の表面
110 金型キャビティ
112 左側の端
114 右側の端
116 分割面
118 スプルー
200 金型
202 コア要素
204 メスの要素
206 オスのコア表面
208 メスの協働表面
210 金型キャビティ
212 左側のへり端
214 右側のへり端
214a 凹面の包み込み面
216 分割面
218 スプルー
220 製品の分離面
300、302 直線

Claims (10)

  1. プラスチック本体上に塗料フィルムをインサート成形することによってプラスチック製品を製造する方法であって、
    (a)コア部分を有するオスの金型要素と凹面を定める表面を有するメスの要素とを準備し、前記オスの金型要素と前記メスの金型要素とがこれらの要素の間に金型キャビティを定め、かつ大体平坦な分割面に沿って合わされており、前記オスの金型要素が、前記成形金型の端に配置され、かつ前記分割面から離れている少なくとも一つの包み込み面を有し、
    (b)塗料フィルムを前記金型キャビティに挿入して、該フィルムの一端を前記包み込み面に隣接させて配置し、
    (c)前記金型キャビティに溶融プラスチックを射出して、該溶融プラスチックを前記包み込み面と該包み込み面に隣接配置された前記フィルム端とに導き、それによって、前記フィルムが、前記包み込み面に隣接配置される前記溶融プラスチックに重なり、したがって前記本体のへり部分が前記塗料フィルムによって実質的に完全に覆われた前記プラスチック製品が成形される、
    ことを特徴とする方法。
  2. さらに、前記少なくとも一つの包み込み面を、前記分割面に大体平行な平面に沿って備えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 一対の包み込み面を備え、該包み込み面の各々が前記金型キャビティの対向するへりに沿う端に沿って配置されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. 前記包み込み面が凹面の形であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  5. 前記包み込み面が実質的に平面であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  6. 前記包み込み面が前記コア部分に備えられることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  7. 請求項1の方法によって製造されることを特徴とするプラスチック製品。
  8. 請求項3の方法によって製造されることを特徴とするプラスチック製品。
  9. 軸線を有するプラスチック本体であって、前記軸線に平行な少なくとも一つの平面状長さ方向へりを有する本体と、前記本体を覆い、また完全に巻き込まれて、前記平面状長さ方向へりを覆う塗料フィルムラミネートとの組み合わせを有することを特徴とするプラスチック製品。
  10. さらに、前記軸線に平行に延びる一対の平面状長さ方向へりを有し、該一対の平面状長さ方向へりの各々が前記塗料フィルムラミネートによって包み込まれて覆われることを特徴とする請求項9に記載のプラスチック製品。
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