JP2004331900A - 導電性非発泡ポリウレタン樹脂組成物、該組成物からなる導電性非発泡ポリウレタン成形物、該成形物からなる導電性非発泡ロール又は導電性非発泡ベルト - Google Patents
導電性非発泡ポリウレタン樹脂組成物、該組成物からなる導電性非発泡ポリウレタン成形物、該成形物からなる導電性非発泡ロール又は導電性非発泡ベルト Download PDFInfo
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Abstract
【課題】優れた導電性を有し、環境依存性や耐久性にも優れ、さらに、電圧依存性にも優れる、導電性非発泡ポリウレタン樹脂組成物、及び該組成物からなる導電性非発泡ポリウレタン成形物、並びに導電性非発泡ロール又は導電性非発泡ベルトを提供する。
【解決手段】イソシアネート基含有化合物、活性水素含有化合物、添加剤から成る導電性非発泡ポリウレタン樹脂組成物において、添加剤としてカリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを使用し、さらに必要に応じてカーボンブラックを併用することにより解決する。なお、活性水素含有化合物として、ポリエーテルポリオールを使用するのが好ましい。
【選択図】 なし
【解決手段】イソシアネート基含有化合物、活性水素含有化合物、添加剤から成る導電性非発泡ポリウレタン樹脂組成物において、添加剤としてカリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを使用し、さらに必要に応じてカーボンブラックを併用することにより解決する。なお、活性水素含有化合物として、ポリエーテルポリオールを使用するのが好ましい。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、優れた導電性を有し、環境依存性・耐久性に優れ、且つ、電圧依存性にも優れる、導電性非発泡ポリウレタン樹脂組成物、及び該組成物からなる導電性非発泡ポリウレタン成形物、並びに該成形物からなる導電性非発泡ロール又は導電性非発泡ベルトに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、例えば電子写真用途に於いて高画質及び高速処理が要求される等の観点から、樹脂に導電性能を付与することが重要になってきている。これを達成するために、従来より、界面活性剤等の帯電防止剤を樹脂成形品の表面に塗布したり、帯電防止剤を樹脂中に練り込む方法が知られている。しかし、前者の方法では、導電性能に湿度依存性があったり、長期間経過すると導電性能が著しく低下することから、長期間一定の導電性能を持続させる導電性樹脂としては、その実用性について問題となる点があった。また、後者の方法では、練り込んだ帯電防止剤が成形品の表面からの脱落したり、耐熱性が低いために黄色から褐色に着色したり、また、前者の方法と比して導電性能が低いなどの問題点があった。
【0003】
ポリウレタンはその構造上、他の樹脂に比べ電気絶縁性が低く、導電性能については比較的良い傾向を示す。しかし、導電性能を要求される分野においてポリウレタンをそのまま用いるには、その性能面において不十分である。そのため、このポリウレタンに対し、さらに導電性能を付与する方法が行われている。従来、その方法としては、カーボンブラック、導電性フィラー等の添加、界面活性剤の塗布、添加や過塩素酸、チオシアン酸又は硝酸等のアルカリ金属塩を添加する方法(例えば、特許文献1参照) や特殊な第4級アンモニウム塩を添加する方法(例えば、特許文献2参照)が知られている。
【0004】
しかしながら、通常の界面活性剤を使用した場合には、十分な導電性を付与することが出来ず、長期間経過すると導電性が著しく低下したり、更に、湿度依存性があるため、実用上の制約がある。また、カーボンブラックや導電性フィラーを添加した場合には、ポリウレタン原料に添加する際、飛散したり、原料の増粘を伴い成形性に問題を生じる。更に、過塩素酸のアルカリ金属塩を添加する場合には、ポリオールへの溶解性が不十分であったり、溶解時に発熱があり、工業的製造には問題を生じる。加えて、第4級アンモニウム塩は加熱により着色することがあり所望の色に着色する場合に制限がある。
【0005】
これらの一連の課題を解決する方法として、ポリウレタン中にリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド及び/又はリチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタンを添加する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。この方法によれば、優れた導電性を保持しつつ、熱的に安定で、環境依存性がなく、且つ、ブリード・アウトなどの障害を防止し、容易に着色することができる導電性のポリウレタン、及びこの導電性ポリウレタンの製造用添加剤、及び導電性ポリウレタンの製造方法を提供することができる旨の記載がなされている。
【0006】
しかし、この方法により得られる導電性ポリウレタンの試験片の体積固有抵抗値は、該公報の実施例にあるように4×107(Ω・cm)であり、例えば1×105〜9×1010(Ω・cm)程度の導電性能を有する必要がある電子写真用途の分野に供されるものとしては、まだ不十分なものであった。
【0007】
また、この電子写真用途の分野に供されるものとしては、前述のような優れた導電性能を有する必要性がある他にも、例えば高温且つ高湿、又は低温且つ低湿のような条件下で使用されるうえで、その導電性能の変化が極めて小さい、即ち環境依存度が極めて低いことが近年特に要求されている。これらの要求を満たす方法として、前記リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを非エーテル系ウレタンに応用する方法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。しかし、この方法で使用できるポリオールは非エーテル系ポリオールに限られており、エーテル系ウレタンは使用できないという制限がある。
【0008】
電子写真用途の分野に供されるものとしては、前述の要求性能の他にさらに、長期間にわたり繰り返し使用しても変形などの不具合が起きないという優れた機械強度、とりわけ、長期間の使用による歪みが少ないことが要求される。この機械強度や歪みに係る特性を満足させるには、ポリエーテルポリオールを用いたポリウレタンが好適である。
【0009】
【特許文献1】
特開昭63−43951号公報(第2頁左上〜右上)
【特許文献2】
特開平4−298518号公報(第2〜5頁)
【特許文献3】
特開2002−146178号公報(第2〜3頁)
【特許文献4】
特開2002−317114号公報(第2〜3頁)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前述のような課題を解決する、即ち、極めて優れた導電性を持続的に保持し、環境依存性のみならず電圧依存性も極めて低く、且つ、歪みなどの機械強度に優れた導電性ポリウレタン樹脂組成物、好ましくはポリエーテルポリオールのみを用いた導電性エーテル系ポリウレタン樹脂組成物、該組成物からなる導電性非発泡ポリウレタン成形物、及び該成形物からなる導電性非発泡ロール又は導電性非発泡ベルトを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は鋭意研究を重ねた結果、(A)イソシアネート基含有化合物、(B)活性水素含有化合物、(C)特定の添加剤から構成される導電性ポリウレタン樹脂組成物により、これらの課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち本発明は、以下の[1]〜[11]に示されるものである。
[1] (A)イソシアネート基含有化合物、(B)活性水素含有化合物、(C)添加剤から成る導電性ポリウレタン樹脂組成物であって、(C)添加剤として(c−1)を必須成分とすることを特徴とする導電性非発泡ポリウレタン樹脂組成物。
(c−1) 下記(1)式で表されるカリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド
【化2】
[2] (B)活性水素含有化合物として、エーテル結合を有する活性水素含有化合物を用いることを特徴とする、[1]に記載の導電性非発泡ポリウレタン樹脂組成物。
[3] 添加剤(C)として、さらに(c−2)カーボンブラックを用いることを特徴とする[1]又は[2]に記載の導電性非発泡ポリウレタン樹脂組成物。
[4] (A)と(B)の総和に対する(C)が0.0001〜8.0質量%であることを特徴とする、[1]〜[3]のいずれかに記載の導電性非発泡ポリウレタン樹脂組成物。
[5] JIS K6300に準拠して測定される25℃に於ける密度が800〜1300kg/m3であることを特徴とする、[1]〜[4]のいずれかに記載の組成物から得られる導電性非発泡ポリウレタン成形物。
[6] JIS K6911に準拠して測定される、温度10〜30℃且つ相対湿度15〜85%に於ける体積抵抗値が100Vの電圧で1×105〜1×1010Ω・cmであることを特徴とする、[5]に記載の導電性非発泡ポリウレタン成形物。
[7] JIS K7312に準拠して測定されるA硬度が10〜75°であることを特徴とする、[5]又は[6]に記載の導電性非発泡ポリウレタン成形物。
[8] JIS K6301に準拠して70℃×22時間にて測定される圧縮永久歪みが1.2%未満であることを特徴とする、[5]〜[7]に記載の導電性非発泡ポリウレタン成形物。
[9] JIS K7312に準拠したテーバー式摩耗試験により測定される砥石H−22、1kg重、1000回回転時の摩耗減量が200mg以下であることを特徴とする、[5]〜[8]に記載の導電性非発泡ポリウレタン成形物。
[10] [5]〜[9]に記載の成形物からなることを特徴とする、導電性非発泡ロール。
[11] [5]〜[9]に記載の成形物からなることを特徴とする、導電性非発泡ベルト。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0014】
初めに、本発明における導電性ポリウレタン樹脂組成物について詳細に説明する。
【0015】
本発明における(A)イソシアネート基含有化合物としては、1分子中にイソシアネート基を2以上含有するものであれば特に限定されず、いずれも使用することが可能である。
【0016】
(A)イソシアネート基含有化合物としては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート(以下「MDI」と略記)、ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート、トリレンジイソシアネート(以下「TDI」と略記)、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下「HDI」と略記)、ナフタレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート等、また、これらのイソシアネート基を有する化合物のイソシアネート基の一部をビウレット、アロファネート、カルボジイミド、ウレトンイミン、オキサゾリドン、アミド、イミド、イソシアヌレート、ウレトジオン等に変性したものが挙げられる。これらは必要に応じて、単独又は2種以上を併用することができる。
【0017】
本発明においては、得られる成形物の耐久性を向上させる等の観点から、この(A)イソシアネート基含有化合物については、MDI、TDI、HDIのいずれかを単独又は複数選択するのが好ましい。
【0018】
本発明においてはまた、成形物製造時に於ける反応熱の低減、成形時に於ける樹脂の混合性の向上、本願発明の目的とする成形物を工業的に安定して容易に得ること等との観点から、(A)イソシアネート基含有化合物として、前述の(A)イソシアネート基含有化合物と、後述する(B)活性水素含有化合物を成形物製造前に予め反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマーを使用することが好ましい。
【0019】
この場合、前述の(A)イソシアネート基含有化合物と予め反応させる(B)活性水素含有化合物としては、得られる成形物に於ける圧縮永久歪み、硬度、耐摩耗性等について、より本願発明の意図する性能が得られるという観点から、ポリエーテルポリオールを選択することが好ましく、中でも、他樹脂との相溶性や、液性を堅持できる等、より成形時の作業性に優れるイソシアネート基末端プレポリマーを得られるという観点から、数平均分子量が500〜10000、特に1000〜8000のポリエーテルポリオールを選択することがより好ましい。
【0020】
なお、該イソシアネート基末端プレポリマーの1分子当たりのイソシアネート基含有量が4〜12質量%であることが好ましく、中でも、5〜10質量%であることが特に好ましい。1分子当たりのイソシアネート基含有量が4質量%未満の場合、得られるプレポリマーが高粘度で成形時に於ける混合性が悪化する等の不具合が生じるので好ましくない。また、1分子当たりのイソシアネート基含有量が12質量%を越える場合、成形物製造時に於ける反応熱が増大し、泡の巻き込みが多くなる等、本願発明の意図する用途に不適切な成形物となる不具合が生じるので好ましくない。
【0021】
本発明における(A)イソシアネート基含有化合物の平均官能基数は、本願発明が意図する用途に耐えうる成形物を得るとの観点から、2.0〜4.0であることが好ましく、中でも、2.0〜3.0であることが特に好ましい。平均官能基数が2.0未満の場合、得られる成形物が経時により不必要な変形をきたすという不具合が生じるので好ましくない。また、平均官能基数が4.0越える場合、得られる成形物に欠けが生じやすくなるという不具合が生じるので好ましくない。
【0022】
本発明における(A)イソシアネート基含有化合物はまた、本願発明の目的とする成形物を工業的に安定して容易に得るとの観点から、75℃に於ける粘度が50〜2000mPa・sであることが好ましく、中でも、80〜1600mPa・sであることが特に好ましい。粘度が2000mPa・sを越える場合、成形物製造時において混合不良を起こすという不具合が生じるので好ましくない。
【0023】
本発明における(B)活性水素含有化合物としては、1分子中に活性水素を含有する官能基を2以上含有するものであれば特に限定されず、いずれも使用することが可能である。
【0024】
(B)活性水素含有化合物としては、例えば、分子量500未満の低分子ポリオール、低分子ポリアミン、低分子アミノアルコール、数平均分子量500以上の高分子ポリオール等が挙げられる。これらは、単独又は二種以上の混合物を使用することができる。
【0025】
低分子ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、水素添加ビスフェノールA、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、蔗糖、ジグリセリン等が挙げられる。
【0026】
低分子ポリアミンとしては、例えば、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリレンジアミン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン、ジエチルトリアミン、ジブチルトリアミン、ジプロピレントリアミン等が挙げられる。
【0027】
低分子アミノアルコールとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−n−ブチルエタノールアミン、N−n−ブチルジエタノールアミン、N−(β−アミノエチル)エタノールアミン、N−(β−アミノエチル)イソプロパノールアミン等が挙げられる。
【0028】
高分子ポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、水酸基含有アミン系ポリエーテル、ポリオキシエチレンモノアルキルエーテル、アジピン酸、無水フタル酸等の二塩基酸とエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン等のグリコールやトリオールとの脱水縮合反応により得られる各種ポリエステルポリオール、ε−カプロラクタム等の環状エステルモノマーの開環重合により得られるラクトン系ポリオール、ポリカーボネートポリオール、アクリル系ポリオール、ポリブタジエン系ポリオール、ノボラック樹脂やレゾール樹脂等のフェノール系ポリオール、更にはポリオール中でアクリロニトリル、スチレン等のビニル系モノマーをラジカル重合させたいわゆるポリマーポリオール等が挙げられる。
【0029】
本発明においては、上記に列挙した活性水素含有化合物のいずれも使用することが可能であるが、前述の通り、成形物製造時に於ける反応熱の低減や、成形時に於ける樹脂の混合性の向上等との観点から、これらの(B)活性水素含有化合物については、(A)イソシアネート基含有化合物と成形物製造前に予め反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマーに供し、さらに、成形物製造時に於いて該プレポリマーと反応させる形態で用いるのが好ましい。
【0030】
本発明における(B)活性水素含有化合物の平均官能基数は、本願発明が意図する用途に耐えうる成形物を得るとの観点から、2.0〜4.0であることが好ましく、中でも、2.0〜3.0であることが特に好ましい。平均官能基数が2.0未満の場合、得られる成形物が経時により不必要な変形をきたすという不具合が生じるので好ましくない。また、平均官能基数が4.0越える場合、得られる成形物に欠けが生じやすくなるという不具合が生じるので好ましくない。
【0031】
また、本発明における(B)活性水素含有化合物の数平均分子量は、得られる成形物の硬度を本発明の意図する用途にかなうものとするとの観点から、500〜5000であることが好ましく、中でも、1000〜4000であることが特に好ましい。数平均分子量が500未満の場合、得られる成形物の硬度が不必要に高くなり、本発明の意図する用途に対し不適切なものになるという不具合が生じるので好ましくない。また、数平均分子量が5000を越える場合、得られる成形物が経時により不必要な変形をきたすという不具合が生じるので好ましくない。
【0032】
本発明における(C)添加剤は、少なくとも下記の(c−1)を含む。
(c−1) 下記(1)式で表されるカリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド
【化3】
【0033】
本発明の最大の特徴は、該(C)添加剤として、少なくとも前記(c−1)を使用する点にある。該(c−1)を使用することにより、圧縮永久歪み等に好適なエーテル系活性水素含有化合物を使用しながら、(c−2)カーボンブラックを併用しなくても、環境依存性が小さく、且つ、電圧依存性も小さい導電性非発泡ポリウレタン樹脂組成物を得ることができる。
【0034】
また、該(c−1)を使用することで、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、又はリチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタンを使用した場合よりも、環境依存性や電圧依存性に優れた導電性非発泡ポリウレタン樹脂組成物を得ることができる。
【0035】
本発明においては、(A)イソシアネート基含有化合物と(B)活性水素含有化合物の総和に対する(C)添加剤の導入量は、0.0001〜8.0質量%の範囲であることが好ましく、中でも、0.001〜7.5質量%の範囲であることが特に好ましい。
【0036】
本発明においては、前記の(A)イソシアネート基含有化合物、(B)活性水素含有化合物、並びに、(C)添加剤として前記に記載した化合物の他に、公知のウレタン化触媒、発泡剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色防止剤、蛍光染料、分散性染料、潤滑剤、界面活性剤等を導入することが可能である。
【0037】
次に、本発明における組成物から得られる導電性非発泡ポリウレタン成形物について、詳細に説明する。
【0038】
本発明においては、(c−1)前記(1)式で表されるカリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを、予め(B)活性水素含有化合物に公知の方法により混合・分散させておく方法により導入するのが好ましい。
【0039】
本発明に於ける導電性非発泡ポリウレタン成形物は、(A)イソシアネート基含有化合物、前記の(B)と(c−1)混合分散物、或いはさらに(c−2)カーボンブラックを、公知の混合及び/又は注入方法により各々必要量を配合して型に注入し、さらに、公知の方法により脱泡処理を行い、60〜130℃の温度範囲にて30〜300分間、型内にて反応硬化させて得ることができる。
【0040】
本発明に於いては、この反応硬化を行う際、イソシアネート基:活性水素基=0.60〜1.20(質量比)の割合で配合するのが好ましく、中でも、イソシアネート基:活性水素基=0.70〜1.10(質量比)の割合で配合するのがさらに好ましい。
【0041】
このようにして得られる成形物としては、JIS K6300に準拠して測定される25℃に於ける密度が800〜1300kg/m3の非発泡状のものであることが好ましく、中でも900〜1300kg/m3の非発泡状のものであることが好ましい。
【0042】
本発明に於いて得られる成形物は、JIS K6911に準拠して測定される、温度10〜30℃且つ相対湿度15〜85%に於ける体積抵抗値が100Vの電圧で1×105〜1×1010Ω・cmという優れた性能を有する。さらに、本発明に於いて得られる成形物の体積抵抗値は、後述する実施例に示すように、低温低湿や高温高湿などの環境の変化に伴う体積抵抗値の変化が極めて小さく、しかも、100V〜1000Vの範囲で測定した時の体積抵抗値の変化も極めて小さいという優れた特徴をも有する。
【0043】
本発明に於いて得られる成形物においては、JIS K7312に準拠して測定されるA硬度が10〜75°の範囲で得られるが、所望される用途において好適であるという観点から、40〜75°の範囲であることが好ましい。
【0044】
本発明に於いて得られる成形物は、JIS K6301に準拠して70℃×22時間に於いて測定される圧縮永久歪みが、1.2%未満という優れた性能を有する。
【0045】
本発明に於いて得られる成形物はまた、JIS K7312に準拠したテーバー式摩耗試験により測定される砥石H−22、1kg重、1000回回転時の摩耗減量が200mg以下という、優れた摩耗特性をも有する。
【0046】
本発明に於いて得られる成形物は、10℃×15%相対湿度、20℃×55%相対湿度、並びに30℃×55%相対湿度の各雰囲気条件下で、JIS K6911に準拠して測定される100Vにおける体積抵抗値が10倍以内の差に収まるという優れた環境依存性を有する。
【0047】
また、本発明に於いて得られる成形物は、20℃×55%相対湿度の各雰囲気条件下で、JIS K6911に準拠して測定される100Vにおける体積抵抗値と1000Vにおける体積抵抗値が1.2倍以内の差に収まるという優れた電圧依存性をも有する。
【0048】
本発明に於ける導電性非発泡ポリウレタン成形物は、このように、環境の変化や電圧の変化に左右されない優れた導電性能を有しつつ、硬度・圧縮永久歪み・耐摩耗性等の機械的物性面でも高耐久性能をも有するという優れた成形物である。これらの有する優れた性能から、本発明に於ける導電性非発泡ポリウレタン成形物の用途としては、電子写真用品に於いて導電性を必要とする部位、特に長期間連続して使用するに耐えうる必要を要する部位に好適に使用することができる。中でも、画像形成装置に於けるトナー搬送用ロール、現像ロール、転写ロール、クリーニングロール等、プラス又はマイナスの静電気を帯びさせることにより電気的に被接触物をコントロールする導電性非発泡ロールとして特に好適に使用することができる。
【0049】
また、本発明に於ける導電性非発泡ポリウレタン成形物は、前述のとおり優れた性能を有することから、画像形成装置に於ける導電性非発泡ベルトとしても特に好適に使用することができる。
【0050】
【実施例】
以下、本発明における導電性ポリウレタン樹脂組成物、該組成物からなる導電性非発泡ポリウレタン成形物、及び導電性非発泡ロールの諸物性等について、実施例として、更に詳細に説明する。なお、本発明は勿論、かかる実施例のみに限定して解釈されるものではない。
【0051】
(イソシアネート基末端プレポリマーの合成)
撹拌機、温度計、及び窒素ガス導入管を備えた反応器に、表1並びに表2に示すイソシアネートとポリオールを合計3kgになるように仕込み、撹拌しながら窒素雰囲気下で60℃にて3時間反応させた。得られたイソシアネート基末端プレポリマーのイソシアネート基含有量(NCO含量)を表1に示す。
【0052】
【表1】
【0053】
表1の補足説明
MDI:ジフェニルメタンジイソシアネート
(日本ポリウレタン工業(株)製「ミリオネートMT」)
TDI:トルエンジイソシアネート
(日本ポリウレタン工業(株)製「T−80」)
HDI:ヘキサメチレンジイソシアネート
(日本ポリウレタン工業(株)製)
GP−3000:ポリエーテルポリオール
(三洋化成工業(株)製、数平均分子量3000)
PTG−3000TF:ポリエーテルポリオール
(保土谷化学工業(株)製、数平均分子量3000)
【0054】
(実施例1〜8、比較例1・2)
表2〜5に示す活性水素化合物と添加剤(但し、カーボンブラックを除く)を混ぜ合わせて、混合分散物とした。次に、該混合分散物、前述のイソシアネート基末端プレポリマー、さらに必要に応じてカーボンブラックを、表2〜5に示す配合比に基づき、各々1kg調合した。該調合物を完全に均一になるまで充分に撹拌した後、真空ポンプ10Torr以下の減圧度発泡が収まるまで脱泡処理を行った。その後、該調合物を型枠に注入し、80℃にて30分間硬化反応させた後に脱型して、板状の導電性非発泡ポリウレタン成形物を得た。脱型後24時間室温にて成形物を養生させた後、各々の成形物について、成形品の硬度、体積抵抗値、圧縮永久歪み、及び摩耗性を測定した。結果をに表2〜5に示す。
【0055】
【表2】
【0056】
【表3】
【0057】
【表4】
【0058】
【表5】
【0059】
表2〜5の補足説明
PTG−1000SN:ポリエーテルポリオール
(保土谷化学工業(株)製、数平均分子量1000)
G−1500:ポリエーテルポリオール
(旭電化工業(株)製、数平均分子量3000)
EXCENOL5030:ポリエーテルポリオール
(旭硝子(株)製、数平均分子量5000)
添加剤A:カリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドの20%ポリエーテルポリオール溶液(三光化学工業(株)製)
添加剤B:リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドの20%ポリエーテルポリオール溶液(三光化学工業(株)製)
【0060】
成形品の密度、最終硬度、抵抗値、圧縮永久歪み、及び耐摩耗性についての測定方法は、以下の通り。
密度 :JIS K6300に準拠し、25℃に於ける密度を測定した。
最終硬度 :脱型後24時間室温にて成形物を養生させた後、さらに120℃のオーブンに1時間入れアフターキュアを行いこの後、室温25℃、湿度60%の部屋にて7日間エージングを行った後、JIS K7312に準拠し、JIS A硬度計を用いて硬度測定を行った。
抵抗値 :各表に示す各雰囲気条件共に、JIS K6911に準拠し、ADVANTEST社製R8340Aデジタル超高抵抗/微少電流計を用いて測定した。
圧縮永久歪み:JIS K6301に準拠した方法で、70℃×22時間にて評価した。
耐摩耗性 :JIS K7312に準拠したテーバー式摩耗試験により測定した。なお、測定時に使用された砥石は「H−22」、荷重1kg重、1000回回転時に於ける摩耗減量により評価を行った。
【0061】
(実施例9)
実施例1の組成により、市販のレーザービームプリンターで用いられているものと同様の導電性非発泡ローラを作成した。このローラを該レーザービームプリンターで定電流制御で用いられている転写ローラとしてセットし評価したところ、良好な画像が得られた。
【0062】
(実施例10)
実施例1の組成により、市販のレーザービームプリンターで用いられているものと同様の導電性非発泡ベルトを作成した。このベルトを該レーザービームプリンターで定電流制御で用いられているベルトとしてセットし評価したところ、使用回数増に伴うベルトの歪みや位置崩れ、さらに電圧のばらつきが認められず、得られた画像も良好なものであった。
【0063】
【発明の効果】
本発明による導電性ポリウレタン樹脂組成物により、JIS K6911に準拠して測定される、温度10〜30℃且つ相対湿度15〜85%に於ける体積抵抗値が100Vの電圧で1×105〜1×1010Ω・cmという優れた導電性能を有する導電性非発泡ポリウレタン成形物を得ることができる。
【0064】
本発明による該導電性非発泡ポリウレタン成形物は、前述の優れた導電性を持続的に保持し、環境の違いによる導電性の変化が低い、即ち環境依存性が低いという、極めて優れた性能を有する。また、本発明による該導電性非発泡ポリウレタン成形物は同時に、100〜1000Vで測定した抵抗値の変化が小さい、即ち電圧依存性が小さいという、極めて優れた性能をも有する。さらに、本発明による該導電性非発泡ポリウレタン成形物は同時に、圧縮永久歪みや耐摩耗性等といった機械物性にも極めて優れ、長期間の使用に耐えうるという格段に優れた効果を奏する。
【0065】
従って、本発明による該導電性非発泡ポリウレタン成形物は、特に画像形成装置に於けるトナー搬送用ロール、現像ロール、転写ロール、クリーニングロール等、プラス又はマイナスの静電気を帯びさせることにより電気的に被接触物をコントロールする導電性ロールとして好適に使用することができる。
【0066】
また、本発明による該導電性非発泡ポリウレタン成形物は、前述の優れた効果を奏することから、特に画像形成装置に於ける導電性ベルトとしても好適に使用することができる。
【産業上の利用分野】
本発明は、優れた導電性を有し、環境依存性・耐久性に優れ、且つ、電圧依存性にも優れる、導電性非発泡ポリウレタン樹脂組成物、及び該組成物からなる導電性非発泡ポリウレタン成形物、並びに該成形物からなる導電性非発泡ロール又は導電性非発泡ベルトに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、例えば電子写真用途に於いて高画質及び高速処理が要求される等の観点から、樹脂に導電性能を付与することが重要になってきている。これを達成するために、従来より、界面活性剤等の帯電防止剤を樹脂成形品の表面に塗布したり、帯電防止剤を樹脂中に練り込む方法が知られている。しかし、前者の方法では、導電性能に湿度依存性があったり、長期間経過すると導電性能が著しく低下することから、長期間一定の導電性能を持続させる導電性樹脂としては、その実用性について問題となる点があった。また、後者の方法では、練り込んだ帯電防止剤が成形品の表面からの脱落したり、耐熱性が低いために黄色から褐色に着色したり、また、前者の方法と比して導電性能が低いなどの問題点があった。
【0003】
ポリウレタンはその構造上、他の樹脂に比べ電気絶縁性が低く、導電性能については比較的良い傾向を示す。しかし、導電性能を要求される分野においてポリウレタンをそのまま用いるには、その性能面において不十分である。そのため、このポリウレタンに対し、さらに導電性能を付与する方法が行われている。従来、その方法としては、カーボンブラック、導電性フィラー等の添加、界面活性剤の塗布、添加や過塩素酸、チオシアン酸又は硝酸等のアルカリ金属塩を添加する方法(例えば、特許文献1参照) や特殊な第4級アンモニウム塩を添加する方法(例えば、特許文献2参照)が知られている。
【0004】
しかしながら、通常の界面活性剤を使用した場合には、十分な導電性を付与することが出来ず、長期間経過すると導電性が著しく低下したり、更に、湿度依存性があるため、実用上の制約がある。また、カーボンブラックや導電性フィラーを添加した場合には、ポリウレタン原料に添加する際、飛散したり、原料の増粘を伴い成形性に問題を生じる。更に、過塩素酸のアルカリ金属塩を添加する場合には、ポリオールへの溶解性が不十分であったり、溶解時に発熱があり、工業的製造には問題を生じる。加えて、第4級アンモニウム塩は加熱により着色することがあり所望の色に着色する場合に制限がある。
【0005】
これらの一連の課題を解決する方法として、ポリウレタン中にリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド及び/又はリチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタンを添加する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。この方法によれば、優れた導電性を保持しつつ、熱的に安定で、環境依存性がなく、且つ、ブリード・アウトなどの障害を防止し、容易に着色することができる導電性のポリウレタン、及びこの導電性ポリウレタンの製造用添加剤、及び導電性ポリウレタンの製造方法を提供することができる旨の記載がなされている。
【0006】
しかし、この方法により得られる導電性ポリウレタンの試験片の体積固有抵抗値は、該公報の実施例にあるように4×107(Ω・cm)であり、例えば1×105〜9×1010(Ω・cm)程度の導電性能を有する必要がある電子写真用途の分野に供されるものとしては、まだ不十分なものであった。
【0007】
また、この電子写真用途の分野に供されるものとしては、前述のような優れた導電性能を有する必要性がある他にも、例えば高温且つ高湿、又は低温且つ低湿のような条件下で使用されるうえで、その導電性能の変化が極めて小さい、即ち環境依存度が極めて低いことが近年特に要求されている。これらの要求を満たす方法として、前記リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを非エーテル系ウレタンに応用する方法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。しかし、この方法で使用できるポリオールは非エーテル系ポリオールに限られており、エーテル系ウレタンは使用できないという制限がある。
【0008】
電子写真用途の分野に供されるものとしては、前述の要求性能の他にさらに、長期間にわたり繰り返し使用しても変形などの不具合が起きないという優れた機械強度、とりわけ、長期間の使用による歪みが少ないことが要求される。この機械強度や歪みに係る特性を満足させるには、ポリエーテルポリオールを用いたポリウレタンが好適である。
【0009】
【特許文献1】
特開昭63−43951号公報(第2頁左上〜右上)
【特許文献2】
特開平4−298518号公報(第2〜5頁)
【特許文献3】
特開2002−146178号公報(第2〜3頁)
【特許文献4】
特開2002−317114号公報(第2〜3頁)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前述のような課題を解決する、即ち、極めて優れた導電性を持続的に保持し、環境依存性のみならず電圧依存性も極めて低く、且つ、歪みなどの機械強度に優れた導電性ポリウレタン樹脂組成物、好ましくはポリエーテルポリオールのみを用いた導電性エーテル系ポリウレタン樹脂組成物、該組成物からなる導電性非発泡ポリウレタン成形物、及び該成形物からなる導電性非発泡ロール又は導電性非発泡ベルトを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は鋭意研究を重ねた結果、(A)イソシアネート基含有化合物、(B)活性水素含有化合物、(C)特定の添加剤から構成される導電性ポリウレタン樹脂組成物により、これらの課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち本発明は、以下の[1]〜[11]に示されるものである。
[1] (A)イソシアネート基含有化合物、(B)活性水素含有化合物、(C)添加剤から成る導電性ポリウレタン樹脂組成物であって、(C)添加剤として(c−1)を必須成分とすることを特徴とする導電性非発泡ポリウレタン樹脂組成物。
(c−1) 下記(1)式で表されるカリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド
【化2】
[2] (B)活性水素含有化合物として、エーテル結合を有する活性水素含有化合物を用いることを特徴とする、[1]に記載の導電性非発泡ポリウレタン樹脂組成物。
[3] 添加剤(C)として、さらに(c−2)カーボンブラックを用いることを特徴とする[1]又は[2]に記載の導電性非発泡ポリウレタン樹脂組成物。
[4] (A)と(B)の総和に対する(C)が0.0001〜8.0質量%であることを特徴とする、[1]〜[3]のいずれかに記載の導電性非発泡ポリウレタン樹脂組成物。
[5] JIS K6300に準拠して測定される25℃に於ける密度が800〜1300kg/m3であることを特徴とする、[1]〜[4]のいずれかに記載の組成物から得られる導電性非発泡ポリウレタン成形物。
[6] JIS K6911に準拠して測定される、温度10〜30℃且つ相対湿度15〜85%に於ける体積抵抗値が100Vの電圧で1×105〜1×1010Ω・cmであることを特徴とする、[5]に記載の導電性非発泡ポリウレタン成形物。
[7] JIS K7312に準拠して測定されるA硬度が10〜75°であることを特徴とする、[5]又は[6]に記載の導電性非発泡ポリウレタン成形物。
[8] JIS K6301に準拠して70℃×22時間にて測定される圧縮永久歪みが1.2%未満であることを特徴とする、[5]〜[7]に記載の導電性非発泡ポリウレタン成形物。
[9] JIS K7312に準拠したテーバー式摩耗試験により測定される砥石H−22、1kg重、1000回回転時の摩耗減量が200mg以下であることを特徴とする、[5]〜[8]に記載の導電性非発泡ポリウレタン成形物。
[10] [5]〜[9]に記載の成形物からなることを特徴とする、導電性非発泡ロール。
[11] [5]〜[9]に記載の成形物からなることを特徴とする、導電性非発泡ベルト。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0014】
初めに、本発明における導電性ポリウレタン樹脂組成物について詳細に説明する。
【0015】
本発明における(A)イソシアネート基含有化合物としては、1分子中にイソシアネート基を2以上含有するものであれば特に限定されず、いずれも使用することが可能である。
【0016】
(A)イソシアネート基含有化合物としては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート(以下「MDI」と略記)、ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート、トリレンジイソシアネート(以下「TDI」と略記)、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下「HDI」と略記)、ナフタレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート等、また、これらのイソシアネート基を有する化合物のイソシアネート基の一部をビウレット、アロファネート、カルボジイミド、ウレトンイミン、オキサゾリドン、アミド、イミド、イソシアヌレート、ウレトジオン等に変性したものが挙げられる。これらは必要に応じて、単独又は2種以上を併用することができる。
【0017】
本発明においては、得られる成形物の耐久性を向上させる等の観点から、この(A)イソシアネート基含有化合物については、MDI、TDI、HDIのいずれかを単独又は複数選択するのが好ましい。
【0018】
本発明においてはまた、成形物製造時に於ける反応熱の低減、成形時に於ける樹脂の混合性の向上、本願発明の目的とする成形物を工業的に安定して容易に得ること等との観点から、(A)イソシアネート基含有化合物として、前述の(A)イソシアネート基含有化合物と、後述する(B)活性水素含有化合物を成形物製造前に予め反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマーを使用することが好ましい。
【0019】
この場合、前述の(A)イソシアネート基含有化合物と予め反応させる(B)活性水素含有化合物としては、得られる成形物に於ける圧縮永久歪み、硬度、耐摩耗性等について、より本願発明の意図する性能が得られるという観点から、ポリエーテルポリオールを選択することが好ましく、中でも、他樹脂との相溶性や、液性を堅持できる等、より成形時の作業性に優れるイソシアネート基末端プレポリマーを得られるという観点から、数平均分子量が500〜10000、特に1000〜8000のポリエーテルポリオールを選択することがより好ましい。
【0020】
なお、該イソシアネート基末端プレポリマーの1分子当たりのイソシアネート基含有量が4〜12質量%であることが好ましく、中でも、5〜10質量%であることが特に好ましい。1分子当たりのイソシアネート基含有量が4質量%未満の場合、得られるプレポリマーが高粘度で成形時に於ける混合性が悪化する等の不具合が生じるので好ましくない。また、1分子当たりのイソシアネート基含有量が12質量%を越える場合、成形物製造時に於ける反応熱が増大し、泡の巻き込みが多くなる等、本願発明の意図する用途に不適切な成形物となる不具合が生じるので好ましくない。
【0021】
本発明における(A)イソシアネート基含有化合物の平均官能基数は、本願発明が意図する用途に耐えうる成形物を得るとの観点から、2.0〜4.0であることが好ましく、中でも、2.0〜3.0であることが特に好ましい。平均官能基数が2.0未満の場合、得られる成形物が経時により不必要な変形をきたすという不具合が生じるので好ましくない。また、平均官能基数が4.0越える場合、得られる成形物に欠けが生じやすくなるという不具合が生じるので好ましくない。
【0022】
本発明における(A)イソシアネート基含有化合物はまた、本願発明の目的とする成形物を工業的に安定して容易に得るとの観点から、75℃に於ける粘度が50〜2000mPa・sであることが好ましく、中でも、80〜1600mPa・sであることが特に好ましい。粘度が2000mPa・sを越える場合、成形物製造時において混合不良を起こすという不具合が生じるので好ましくない。
【0023】
本発明における(B)活性水素含有化合物としては、1分子中に活性水素を含有する官能基を2以上含有するものであれば特に限定されず、いずれも使用することが可能である。
【0024】
(B)活性水素含有化合物としては、例えば、分子量500未満の低分子ポリオール、低分子ポリアミン、低分子アミノアルコール、数平均分子量500以上の高分子ポリオール等が挙げられる。これらは、単独又は二種以上の混合物を使用することができる。
【0025】
低分子ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、水素添加ビスフェノールA、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、蔗糖、ジグリセリン等が挙げられる。
【0026】
低分子ポリアミンとしては、例えば、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トリレンジアミン、4,4′−ジアミノジフェニルメタン、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン、ジエチルトリアミン、ジブチルトリアミン、ジプロピレントリアミン等が挙げられる。
【0027】
低分子アミノアルコールとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−n−ブチルエタノールアミン、N−n−ブチルジエタノールアミン、N−(β−アミノエチル)エタノールアミン、N−(β−アミノエチル)イソプロパノールアミン等が挙げられる。
【0028】
高分子ポリオールとしては、例えば、ポリエーテルポリオール、水酸基含有アミン系ポリエーテル、ポリオキシエチレンモノアルキルエーテル、アジピン酸、無水フタル酸等の二塩基酸とエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチロールプロパン等のグリコールやトリオールとの脱水縮合反応により得られる各種ポリエステルポリオール、ε−カプロラクタム等の環状エステルモノマーの開環重合により得られるラクトン系ポリオール、ポリカーボネートポリオール、アクリル系ポリオール、ポリブタジエン系ポリオール、ノボラック樹脂やレゾール樹脂等のフェノール系ポリオール、更にはポリオール中でアクリロニトリル、スチレン等のビニル系モノマーをラジカル重合させたいわゆるポリマーポリオール等が挙げられる。
【0029】
本発明においては、上記に列挙した活性水素含有化合物のいずれも使用することが可能であるが、前述の通り、成形物製造時に於ける反応熱の低減や、成形時に於ける樹脂の混合性の向上等との観点から、これらの(B)活性水素含有化合物については、(A)イソシアネート基含有化合物と成形物製造前に予め反応させて得られるイソシアネート基末端プレポリマーに供し、さらに、成形物製造時に於いて該プレポリマーと反応させる形態で用いるのが好ましい。
【0030】
本発明における(B)活性水素含有化合物の平均官能基数は、本願発明が意図する用途に耐えうる成形物を得るとの観点から、2.0〜4.0であることが好ましく、中でも、2.0〜3.0であることが特に好ましい。平均官能基数が2.0未満の場合、得られる成形物が経時により不必要な変形をきたすという不具合が生じるので好ましくない。また、平均官能基数が4.0越える場合、得られる成形物に欠けが生じやすくなるという不具合が生じるので好ましくない。
【0031】
また、本発明における(B)活性水素含有化合物の数平均分子量は、得られる成形物の硬度を本発明の意図する用途にかなうものとするとの観点から、500〜5000であることが好ましく、中でも、1000〜4000であることが特に好ましい。数平均分子量が500未満の場合、得られる成形物の硬度が不必要に高くなり、本発明の意図する用途に対し不適切なものになるという不具合が生じるので好ましくない。また、数平均分子量が5000を越える場合、得られる成形物が経時により不必要な変形をきたすという不具合が生じるので好ましくない。
【0032】
本発明における(C)添加剤は、少なくとも下記の(c−1)を含む。
(c−1) 下記(1)式で表されるカリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド
【化3】
【0033】
本発明の最大の特徴は、該(C)添加剤として、少なくとも前記(c−1)を使用する点にある。該(c−1)を使用することにより、圧縮永久歪み等に好適なエーテル系活性水素含有化合物を使用しながら、(c−2)カーボンブラックを併用しなくても、環境依存性が小さく、且つ、電圧依存性も小さい導電性非発泡ポリウレタン樹脂組成物を得ることができる。
【0034】
また、該(c−1)を使用することで、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、又はリチウムトリス(トリフルオロメタンスルホニル)メタンを使用した場合よりも、環境依存性や電圧依存性に優れた導電性非発泡ポリウレタン樹脂組成物を得ることができる。
【0035】
本発明においては、(A)イソシアネート基含有化合物と(B)活性水素含有化合物の総和に対する(C)添加剤の導入量は、0.0001〜8.0質量%の範囲であることが好ましく、中でも、0.001〜7.5質量%の範囲であることが特に好ましい。
【0036】
本発明においては、前記の(A)イソシアネート基含有化合物、(B)活性水素含有化合物、並びに、(C)添加剤として前記に記載した化合物の他に、公知のウレタン化触媒、発泡剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色防止剤、蛍光染料、分散性染料、潤滑剤、界面活性剤等を導入することが可能である。
【0037】
次に、本発明における組成物から得られる導電性非発泡ポリウレタン成形物について、詳細に説明する。
【0038】
本発明においては、(c−1)前記(1)式で表されるカリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを、予め(B)活性水素含有化合物に公知の方法により混合・分散させておく方法により導入するのが好ましい。
【0039】
本発明に於ける導電性非発泡ポリウレタン成形物は、(A)イソシアネート基含有化合物、前記の(B)と(c−1)混合分散物、或いはさらに(c−2)カーボンブラックを、公知の混合及び/又は注入方法により各々必要量を配合して型に注入し、さらに、公知の方法により脱泡処理を行い、60〜130℃の温度範囲にて30〜300分間、型内にて反応硬化させて得ることができる。
【0040】
本発明に於いては、この反応硬化を行う際、イソシアネート基:活性水素基=0.60〜1.20(質量比)の割合で配合するのが好ましく、中でも、イソシアネート基:活性水素基=0.70〜1.10(質量比)の割合で配合するのがさらに好ましい。
【0041】
このようにして得られる成形物としては、JIS K6300に準拠して測定される25℃に於ける密度が800〜1300kg/m3の非発泡状のものであることが好ましく、中でも900〜1300kg/m3の非発泡状のものであることが好ましい。
【0042】
本発明に於いて得られる成形物は、JIS K6911に準拠して測定される、温度10〜30℃且つ相対湿度15〜85%に於ける体積抵抗値が100Vの電圧で1×105〜1×1010Ω・cmという優れた性能を有する。さらに、本発明に於いて得られる成形物の体積抵抗値は、後述する実施例に示すように、低温低湿や高温高湿などの環境の変化に伴う体積抵抗値の変化が極めて小さく、しかも、100V〜1000Vの範囲で測定した時の体積抵抗値の変化も極めて小さいという優れた特徴をも有する。
【0043】
本発明に於いて得られる成形物においては、JIS K7312に準拠して測定されるA硬度が10〜75°の範囲で得られるが、所望される用途において好適であるという観点から、40〜75°の範囲であることが好ましい。
【0044】
本発明に於いて得られる成形物は、JIS K6301に準拠して70℃×22時間に於いて測定される圧縮永久歪みが、1.2%未満という優れた性能を有する。
【0045】
本発明に於いて得られる成形物はまた、JIS K7312に準拠したテーバー式摩耗試験により測定される砥石H−22、1kg重、1000回回転時の摩耗減量が200mg以下という、優れた摩耗特性をも有する。
【0046】
本発明に於いて得られる成形物は、10℃×15%相対湿度、20℃×55%相対湿度、並びに30℃×55%相対湿度の各雰囲気条件下で、JIS K6911に準拠して測定される100Vにおける体積抵抗値が10倍以内の差に収まるという優れた環境依存性を有する。
【0047】
また、本発明に於いて得られる成形物は、20℃×55%相対湿度の各雰囲気条件下で、JIS K6911に準拠して測定される100Vにおける体積抵抗値と1000Vにおける体積抵抗値が1.2倍以内の差に収まるという優れた電圧依存性をも有する。
【0048】
本発明に於ける導電性非発泡ポリウレタン成形物は、このように、環境の変化や電圧の変化に左右されない優れた導電性能を有しつつ、硬度・圧縮永久歪み・耐摩耗性等の機械的物性面でも高耐久性能をも有するという優れた成形物である。これらの有する優れた性能から、本発明に於ける導電性非発泡ポリウレタン成形物の用途としては、電子写真用品に於いて導電性を必要とする部位、特に長期間連続して使用するに耐えうる必要を要する部位に好適に使用することができる。中でも、画像形成装置に於けるトナー搬送用ロール、現像ロール、転写ロール、クリーニングロール等、プラス又はマイナスの静電気を帯びさせることにより電気的に被接触物をコントロールする導電性非発泡ロールとして特に好適に使用することができる。
【0049】
また、本発明に於ける導電性非発泡ポリウレタン成形物は、前述のとおり優れた性能を有することから、画像形成装置に於ける導電性非発泡ベルトとしても特に好適に使用することができる。
【0050】
【実施例】
以下、本発明における導電性ポリウレタン樹脂組成物、該組成物からなる導電性非発泡ポリウレタン成形物、及び導電性非発泡ロールの諸物性等について、実施例として、更に詳細に説明する。なお、本発明は勿論、かかる実施例のみに限定して解釈されるものではない。
【0051】
(イソシアネート基末端プレポリマーの合成)
撹拌機、温度計、及び窒素ガス導入管を備えた反応器に、表1並びに表2に示すイソシアネートとポリオールを合計3kgになるように仕込み、撹拌しながら窒素雰囲気下で60℃にて3時間反応させた。得られたイソシアネート基末端プレポリマーのイソシアネート基含有量(NCO含量)を表1に示す。
【0052】
【表1】
【0053】
表1の補足説明
MDI:ジフェニルメタンジイソシアネート
(日本ポリウレタン工業(株)製「ミリオネートMT」)
TDI:トルエンジイソシアネート
(日本ポリウレタン工業(株)製「T−80」)
HDI:ヘキサメチレンジイソシアネート
(日本ポリウレタン工業(株)製)
GP−3000:ポリエーテルポリオール
(三洋化成工業(株)製、数平均分子量3000)
PTG−3000TF:ポリエーテルポリオール
(保土谷化学工業(株)製、数平均分子量3000)
【0054】
(実施例1〜8、比較例1・2)
表2〜5に示す活性水素化合物と添加剤(但し、カーボンブラックを除く)を混ぜ合わせて、混合分散物とした。次に、該混合分散物、前述のイソシアネート基末端プレポリマー、さらに必要に応じてカーボンブラックを、表2〜5に示す配合比に基づき、各々1kg調合した。該調合物を完全に均一になるまで充分に撹拌した後、真空ポンプ10Torr以下の減圧度発泡が収まるまで脱泡処理を行った。その後、該調合物を型枠に注入し、80℃にて30分間硬化反応させた後に脱型して、板状の導電性非発泡ポリウレタン成形物を得た。脱型後24時間室温にて成形物を養生させた後、各々の成形物について、成形品の硬度、体積抵抗値、圧縮永久歪み、及び摩耗性を測定した。結果をに表2〜5に示す。
【0055】
【表2】
【0056】
【表3】
【0057】
【表4】
【0058】
【表5】
【0059】
表2〜5の補足説明
PTG−1000SN:ポリエーテルポリオール
(保土谷化学工業(株)製、数平均分子量1000)
G−1500:ポリエーテルポリオール
(旭電化工業(株)製、数平均分子量3000)
EXCENOL5030:ポリエーテルポリオール
(旭硝子(株)製、数平均分子量5000)
添加剤A:カリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドの20%ポリエーテルポリオール溶液(三光化学工業(株)製)
添加剤B:リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドの20%ポリエーテルポリオール溶液(三光化学工業(株)製)
【0060】
成形品の密度、最終硬度、抵抗値、圧縮永久歪み、及び耐摩耗性についての測定方法は、以下の通り。
密度 :JIS K6300に準拠し、25℃に於ける密度を測定した。
最終硬度 :脱型後24時間室温にて成形物を養生させた後、さらに120℃のオーブンに1時間入れアフターキュアを行いこの後、室温25℃、湿度60%の部屋にて7日間エージングを行った後、JIS K7312に準拠し、JIS A硬度計を用いて硬度測定を行った。
抵抗値 :各表に示す各雰囲気条件共に、JIS K6911に準拠し、ADVANTEST社製R8340Aデジタル超高抵抗/微少電流計を用いて測定した。
圧縮永久歪み:JIS K6301に準拠した方法で、70℃×22時間にて評価した。
耐摩耗性 :JIS K7312に準拠したテーバー式摩耗試験により測定した。なお、測定時に使用された砥石は「H−22」、荷重1kg重、1000回回転時に於ける摩耗減量により評価を行った。
【0061】
(実施例9)
実施例1の組成により、市販のレーザービームプリンターで用いられているものと同様の導電性非発泡ローラを作成した。このローラを該レーザービームプリンターで定電流制御で用いられている転写ローラとしてセットし評価したところ、良好な画像が得られた。
【0062】
(実施例10)
実施例1の組成により、市販のレーザービームプリンターで用いられているものと同様の導電性非発泡ベルトを作成した。このベルトを該レーザービームプリンターで定電流制御で用いられているベルトとしてセットし評価したところ、使用回数増に伴うベルトの歪みや位置崩れ、さらに電圧のばらつきが認められず、得られた画像も良好なものであった。
【0063】
【発明の効果】
本発明による導電性ポリウレタン樹脂組成物により、JIS K6911に準拠して測定される、温度10〜30℃且つ相対湿度15〜85%に於ける体積抵抗値が100Vの電圧で1×105〜1×1010Ω・cmという優れた導電性能を有する導電性非発泡ポリウレタン成形物を得ることができる。
【0064】
本発明による該導電性非発泡ポリウレタン成形物は、前述の優れた導電性を持続的に保持し、環境の違いによる導電性の変化が低い、即ち環境依存性が低いという、極めて優れた性能を有する。また、本発明による該導電性非発泡ポリウレタン成形物は同時に、100〜1000Vで測定した抵抗値の変化が小さい、即ち電圧依存性が小さいという、極めて優れた性能をも有する。さらに、本発明による該導電性非発泡ポリウレタン成形物は同時に、圧縮永久歪みや耐摩耗性等といった機械物性にも極めて優れ、長期間の使用に耐えうるという格段に優れた効果を奏する。
【0065】
従って、本発明による該導電性非発泡ポリウレタン成形物は、特に画像形成装置に於けるトナー搬送用ロール、現像ロール、転写ロール、クリーニングロール等、プラス又はマイナスの静電気を帯びさせることにより電気的に被接触物をコントロールする導電性ロールとして好適に使用することができる。
【0066】
また、本発明による該導電性非発泡ポリウレタン成形物は、前述の優れた効果を奏することから、特に画像形成装置に於ける導電性ベルトとしても好適に使用することができる。
Claims (11)
- (B)活性水素含有化合物として、エーテル結合を有する活性水素含有化合物を用いることを特徴とする、請求項1に記載の導電性非発泡ポリウレタン樹脂組成物。
- 添加剤(C)として、さらに(c−2)カーボンブラックを用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の導電性非発泡ポリウレタン樹脂組成物。
- (A)と(B)の総和に対する(C)が0.0001〜8.0質量%であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の導電性非発泡ポリウレタン樹脂組成物。
- JIS K6300に準拠して測定される25℃に於ける密度が800〜1300kg/m3であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の組成物から得られる導電性非発泡ポリウレタン成形物。
- JIS K6911に準拠して測定される、温度10〜30℃且つ相対湿度15〜85%に於ける体積抵抗値が100Vの電圧で1×105〜1×1010Ω・cmであることを特徴とする、請求項5に記載の導電性非発泡ポリウレタン成形物。
- JIS K7312に準拠して測定されるA硬度が10〜75°であることを特徴とする、請求項5又は6に記載の導電性非発泡ポリウレタン成形物。
- JIS K6301に準拠して70℃×22時間にて測定される圧縮永久歪みが1.2%未満であることを特徴とする、請求項5〜7に記載の導電性非発泡ポリウレタン成形物。
- JIS K7312に準拠したテーバー式摩耗試験により測定される砥石H−22、1kg重、1000回回転時の摩耗減量が200mg以下であることを特徴とする、請求項5〜8に記載の導電性非発泡ポリウレタン成形物。
- 請求項5〜9に記載の成形物からなることを特徴とする、導電性非発泡ロール。
- 請求項5〜9に記載の成形物からなることを特徴とする、導電性非発泡ベルト。
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- 2003-05-12 JP JP2003132563A patent/JP2004331900A/ja active Pending
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