JP2004330568A - インクジェット式印刷機及び印刷方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】印刷用紙の種類に左右されずに高画質の印刷物を得ることができる印刷機を提供する。
【解決手段】インクジェット式印刷機10は、前処理工程部11、印刷処理工程部12及び後処理工程部13を連設してなる。前処理工程部11では、噴霧器27からプレコート液が噴射されてインク受容層の形成が行われる。印刷処理工程部12では、記録ヘッド66のノズルからインクが噴射されて画像の形成が行われる。後処理工程部13では、噴霧器82からUVニスが噴射されて保護膜が形成される。連続紙CPは、前処理工程部11、印刷処理工程部12、後処理工程部13をこの順に通過することにより、連続紙CP上に、インク受容層が形成され、この上に画像が形成され、この画像の上に保護膜が形成される。
【選択図】 図1
【解決手段】インクジェット式印刷機10は、前処理工程部11、印刷処理工程部12及び後処理工程部13を連設してなる。前処理工程部11では、噴霧器27からプレコート液が噴射されてインク受容層の形成が行われる。印刷処理工程部12では、記録ヘッド66のノズルからインクが噴射されて画像の形成が行われる。後処理工程部13では、噴霧器82からUVニスが噴射されて保護膜が形成される。連続紙CPは、前処理工程部11、印刷処理工程部12、後処理工程部13をこの順に通過することにより、連続紙CP上に、インク受容層が形成され、この上に画像が形成され、この画像の上に保護膜が形成される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録ヘッドを備えたキャリッジを印刷記録媒体に対して相対移動させながら、前記記録ヘッドからインクを噴射させて、印刷記録媒体に印刷を行うインクジェット式印刷機及び印刷方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、本や雑誌などの印刷物や生鮮食品などのラベルは、オフセット印刷機により印刷されている。オフセット印刷機においては、例えば多数の単位画像を1枚の紙に印刷する。すなわち、従来の印刷機においては、一度に多量の印刷物を製造することにより、安価に印刷物を製造している。
【0003】
近年の技術の発達により、高画質の印刷物を製造するためにインクジェット式印刷機が出現してきている(例えば特許文献1参照)。このインクジェット式印刷機は、記録ヘッドを備えており、その記録ヘッドには複数のノズルとこのノズルからインクを噴射させるための駆動素子とが設けられている。このため、インクジェット式印刷機は、駆動素子を制御してインクの噴射タイミングや噴射量を細かく制御でき、高画質の印刷が行える。通常、この種のインクジェット式印刷機には、染料や顔料等の色材を水に溶解又は分散させたいわゆる水性インクが用いられる。すなわち、インクジェット式印刷機では、油性インクよりも低粘度の水性インクを用いることにより、微小なノズルの目詰まりを防止して、インクの噴射をスムーズに行うことができる。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−225254号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、現在の印刷物のほとんどが、上述したようにオフセット印刷機によって印刷されている。オフセット印刷機では、耐久性などの点から油性インクが用いられている。このため、印刷用の通常の印刷用紙は、油性インクによる印刷に好適な表面加工がされており、水性インクには適していない。そのため、インクジェット式印刷機において、通常の印刷用紙を用いると、すなわちこの印刷用紙に水性インクを噴射すると、その印刷用紙の表面に水性インクが不均一に広がってしまい、インクの噴射タイミングや噴射量が微小に調節されたとしても、きれいな画像が得られない。そこで、従来は、高画質の印刷物を得るために、インクジェット式印刷機専用の印刷用紙を用いていた。しかし、インクジェット式印刷機が普及していないため、専用の印刷用紙を用いて印刷すると、印刷物は高価になってしまう。これでは、多量の印刷物を安価に製造できるという印刷機の利点がなくなってしまう。
【0006】
一方、インクジェット式印刷機においては、耐光性や耐ガス性などの保存性が良好な顔料インクが多用されている。しかしながら、顔料インクは、耐擦性が低いため、画像の表面が擦られると、顔料インクが用紙から剥がれて、印刷の保存性が悪いという問題が生じていた。
【0007】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされ、その目的は、印刷用紙の種類に左右されずに高画質の印刷物を得ることができる印刷機を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のインクジェット式印刷機は、印刷記録媒体に前処理液を塗布する前処理液塗布手段を備えた前処理工程部と、前記前処理工程部において前記前処理液が塗布された前記印刷記録媒体に、ノズルからインクを吐出させ、前記印刷記録媒体に印刷を行う記録ヘッドを備えた印刷処理工程部と、前記印刷処理工程において印刷された前記印刷記録媒体に、後処理液を塗布する後処理液塗布手段を備えた後処理工程部と、前記印刷記録媒体を、前記前処理工程部、前記印刷処理工程部及び前記後処理工程部の順に搬送する搬送手段とを有した。
【0009】
これによれば、印刷記録媒体は、前処理工程部、印刷処理工程部及び後処理工程部を順に通過させられるので、前処理液が塗布された印刷記録媒体上にインクが噴射されて印刷が行われ、印刷が行われた印刷記録媒体上に後処理液が塗布される。このため、印刷記録媒体がインクを弾く性質のもの等であっても、前処理液が塗布された上にインクが不均一に散ることなく印刷記録媒体上に定着し、高画質の画像を印刷することができる。また、保存性が良好であるが耐擦性に劣る顔料インクを使用しても、画像の上に後処理液が塗布されるので、インクが剥がれを極力防止して耐擦性を向上させることができる。従って、保存性及び耐擦性が良好な印刷を行うことができる。更に、印刷記録媒体は、搬送手段により前処理工程、印刷処理工程及び後処理工程をこの順番で通過するため、印刷記録媒体を装着するだけで、簡単に、保存性・耐擦性が良好で高画質の画像を印刷することができる。
【0010】
このインクジェット式印刷機は、前記前処理工程部に供給される前記印刷記録媒体を貯留する貯留手段と、前記後処理工程部から排出される前記印刷記録媒体を回収するための回収手段とを更に設け、前記貯留手段、前記前処理工程部、前記印刷処理工程部、前記後処理工程部及び前記回収手段が、この順番に連設されている。
【0011】
これによれば、前処理工程部、印刷処理工程部、後処理工程部が連設されている。このため、搬送手段は、印刷記録媒体を前処理工程部から後処理工程部に一方向に通過させればよいので、簡単な構成にすることができる。従って、装置全体の小型化を図ることができる。
【0012】
このインクジェット式印刷機は、前記印刷記録媒体は、連続紙であって、前記回収手段は、前記連続紙を巻回することにより回収する。
これによれば、画像が形成された上面に後処理工程において保護膜が形成される。このため、連続紙の印刷記録媒体が巻回されて収容されるときに表面が擦れてインクが剥がれる恐れを少なくすることができる。このため、回収手段を高速回転させてもインクが剥がれ難いので、連続紙を高速で印刷することができる。
【0013】
このインクジェット式印刷機は、前記前処理工程部と前記印刷処理工程部との間、又は前記印刷処理工程部と前記後処理工程部との間に、前記連続紙の一部が滞留する滞留部が設けられている。
【0014】
これによれば、前処理工程部と印刷処理工程部との間、印刷処理工程部と後処理工程部との間に、印刷記録媒体の一部が滞留する滞留部が設けられている。このため、前の工程と、これに続く後の工程との搬送速度及び搬送タイミングが全く同じでなくとも、無理な力が加わることなく連続紙を搬送することができる。従って、印刷記録媒体が途中で切れてしまうという恐れを少なくすることができる。
【0015】
このインクジェット式印刷機は、前記前処理液塗布手段は、前記印刷記録媒体に向かって前記前処理液を噴射する非接触式塗布手段であるとともに、前記後処理液塗布手段は、前記印刷記録媒体に向かって前記後処理液を噴射する非接触式塗布手段である。
【0016】
これによれば、前処理液塗布手段は、噴射により前処理液を非接触で塗布する。また、後処理液塗布手段も噴射により後処理液を非接触で塗布する。すなわち、各処理液を噴射すると、これら各処理液がすぐに印刷記録媒体に塗布されるので、各処理液を印刷記録媒体に塗布するための準備が不要である。このため、印刷の開始及び停止に合わせて、前処理液及び後処理液の塗布の開始及び停止を行うことができ、少量の印刷でもすぐに前処理液及び後処理液を塗布して高画質の画像を印刷することができる。従って、オンデマンド印刷に、より適した印刷とすることができる。
【0017】
また、印刷中に一時停止させても、接触式の場合と異なり接触面に前処理液及び後処理液が溜まってしまうことがないので、間欠的に印刷を行っても、処理液を均一に塗布することができる。更に、表面が粗く凹凸が大きい印刷記録媒体であっても、噴射される側の面には各処理液がより確実に塗布されるので、より確実に高画質を実現することができる。
【0018】
このインクジェット式印刷機は、前記非接触式塗布手段は、空気圧により前処理液又は後処理液を噴射する噴霧器である。
これによれば、非接触式塗布手段は、空気圧により処理液を噴射する噴霧器である。噴霧器は、公知のように高圧空気の圧力により、この空気中に処理液を混入させて霧状に噴霧するので、噴霧するための構造が簡単である。このため、処理液が例えば高粘度の液体であっても、高圧空気によりスムーズに噴射でき、またメンテナンスが容易である。また、噴霧器の構造が簡単であるため、低コストで、噴霧器自体を小さくすることができる。このため、インクジェット式印刷機を小型化することができるとともに、低コストで製造することができる。
【0019】
このインクジェット式印刷機は、前記印刷処理工程部は、前記印刷記録媒体に吐出されたインクを乾燥させる乾燥手段を備えている。
これによれば、後処理工程部に搬送する前に、乾燥手段によりインクがすぐに乾燥される。このため、すぐに後処理工程部において液体を噴射しても、インクと液体とが混合して高画質の画像が得られなくなることがほとんどなく、高画質の画像をより確実に得ることができる。
【0020】
このインクジェット式印刷機は、前記乾燥手段は、前記印刷記録媒体に向かって熱風を送出する熱風供給手段であり、この熱風供給手段が、前記記録ヘッドを搭載するキャリッジに設けられている。
【0021】
これによれば、印刷記録媒体に向かって熱風を送出する熱風供給手段が、インクを吐出する記録ヘッドを搭載したキャリッジに設けられている。このため、キャリッジから噴射されたインクに向かって熱風が供給される。すなわち、この熱風の熱により、集中的に噴射されたインクが乾燥されるため、効率よくインクを乾燥させることができる。
【0022】
このインクジェット式印刷機は、前記乾燥手段は、前記印刷記録媒体を支持するベッドの表面を加熱する加熱手段である。
これによれば、ベッドの表面を加熱する加熱手段がベッドに設けられている。このため、印刷記録媒体は、加熱されたベッドの表面の熱によって加熱される。すなわち、ベッド内に配置された加熱手段により印刷記録媒体が加熱されるので、ベッドを配置した部分のスペースを有効に使用して加熱を行うことができる。従って、印刷処理工程部を大きくせずに、高画質の画像を得ることができる。
【0023】
このインクジェット式印刷機は、前記後処理液塗布手段は、UVニスを塗布する。
これによれば、後処理液は、紫外線を照射することにより固化するUVニスである。このため、紫外線が照射されるまでUVニスは固化されないので、UVニスが固化して固まる前にUVニスを均一にすることが容易に行える。従って、UVニスを均一に塗布することにより、より高画質の画像を得ることができる。
【0024】
本発明の印刷方法は、印刷記録媒体にインクを吐出させて印刷を行う印刷機における印刷方法において、前処理工程部において、前記印刷記録媒体に前処理液を塗布し、前記前処理工程部から印刷処理工程部に前記印刷記録媒体を搬送し、前記印刷処理工程部において、前記前処理液が塗布された前記印刷記録媒体に前記インクを吐出させた後、前記印刷処理工程部から後処理工程部に前記印刷記録媒体を搬送し、前記後処理工程部において、前記インクが吐出された前記印刷記録媒体に対して後処理液を塗布する。
【0025】
これによれば、印刷記録媒体は、前処理工程部、印刷処理工程部及び後処理工程部を順に通過させられるので、前処理液が塗布された印刷記録媒体上にインクが噴射されて印刷が行われ、印刷が行われた印刷記録媒体上に後処理液が塗布される。このため、印刷記録媒体がインクを弾く性質のもの等であっても、前処理液が塗布された上にインクが不均一に散ることなく印刷記録媒体上に定着し、高画質の画像を印刷することができる。また、保存性が良好であるが耐擦性に劣る顔料インクを使用しても、画像の上に後処理液が塗布されるので、インクが剥がれを極力防止して耐擦性を向上させることができる。従って、保存性及び耐擦性が良好な印刷を行うことができる。更に、印刷記録媒体は、搬送手段により前処理工程、印刷処理工程及び後処理工程をこの順番で通過するため、印刷記録媒体を装着するだけで、簡単に、保存性・耐擦性が良好で高画質の画像を印刷することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化したインクジェット式印刷機の一実施形態を図1〜図6に基づいて説明する。
【0027】
図1に示すように、インクジェット式印刷機10は、前処理工程部11と、印刷処理工程部12と、後処理工程部13とを備えている。前処理工程部11は、印刷記録媒体である連続紙CPの表面に、前処理液であるプレコート液を塗布して、連続紙CPの表面にインク受容層を形成し、顔料インクの顔料を凝集させる作用を連続紙CPに与える。印刷処理工程部12は、連続紙CPの表面にインクを噴射して、連続紙CPの表面のインク受容層の上に画像を形成する。後処理工程部13は、連続紙CPの表面に後処理液であるUVニスを塗布して、形成された画像の上に保護膜を形成する。
【0028】
前処理工程部11と印刷処理工程部12との間には、滞留部としての第1バッファ部15が設けられている。この第1バッファ部15は、連続紙CPが弛ませられている部分であって、前処理工程部11と印刷処理工程部12との送り速度が完全に同じでなくても連続紙CPに引っ張り力が加わらないようにするためのものである。また、印刷処理工程部12と後処理工程部13との間にも、滞留部としての第2バッファ部16が設けられている。この第2バッファ部16は、印刷処理工程部12と後処理工程部13との送り速度が完全に同じでなくても連続紙CPに引っ張り力が加わらないようにするためのものである。
【0029】
前処理工程部11の連続紙CPの受け入れ側には、駆動ローラ17及び貯留手段としての繰り出しローラ17aが配置されている。繰り出しローラ17aにはトルクコントローラ101a(図6参照)が内蔵されているとともに、巻回された連続紙CPが着脱可能に取り付けられている。トルクコントローラ101aは、繰り出しローラ17aに装着された連続紙CPの張力を検出する。駆動ローラ17は、トルクコントローラ101aの検出に基づいて連続紙CPの繰り出し量を調節しながら前記繰り出しローラ17aから連続紙CPを前処理工程部11に搬送している。すなわち、駆動ローラ17の回転力により繰り出しローラ17aは回転させられる。
【0030】
また、後処理工程部13の連続紙CPの送り出し側には、回収手段としての巻き取りローラ18が配置されている。この巻き取りローラ18には、後処理工程部13から排出された連続紙CPが離脱可能に巻き取られる。従って、連続紙CPは繰り出しローラ17aから巻き取りローラ18に向かって(y方向に)搬送される。
【0031】
次に、前処理工程部11、印刷処理工程部12及び後処理工程部13のそれぞれについて詳細に説明する。
(前処理工程部11)
まず、前処理工程部11について図2に基づいて説明する。図2に示すように、前処理工程部11には、基台20が配置されている。この基台20上には、その上流側(反y方向側)に、連続紙CPを事前に予備加熱するプレヒート部21が配設されている。プレヒート部21には、通過する連続紙CPの上側にヒータ22が設けられている。このヒータ22は、この下側を通過する連続紙CPを加熱する。また、プレヒート部21の連続紙CPの下側にはファン23が設けられている。このファン23は、前記ヒータ22により加熱されたプレヒート部21内の空気を対流させて、加熱むらを減らして、連続紙CPをできるだけ均一に加熱する。
【0032】
基台20の上には、その中央に、プレコート塗布部26が配設されている。プレコート塗布部26では、プレコート液が連続紙CPに塗布される。本実施形態において、このプレコート液は、通常のインク受容層形成用顔料、例えば、シリカやアルミナ、バインダー樹脂成分、有機あるいは無機系のカチオン成分、熱可塑性樹脂エマルジョンの単独の溶剤又はこれらの混合溶液である。または、インク中の色材である顔料を凝集させるカチオン性高分子化合物や多価金属塩を含む溶剤である。
【0033】
プレコート塗布部26には、通過する連続紙CPの上側に、前処理液塗布手段及び非接触式塗布手段としての噴霧器27が内設されている。噴霧器27には、例えばノードソン製のビードガン(商品名)が用いられる。噴霧器27のノズル27aは、下側に向いており、連続紙CPの上面に向かってプレコート液を噴射する。噴霧器27には、空気供給管28を介して加圧ポンプ29が接続されている。また、空気供給管28の途中にはバルブ32が設けられている。従って、噴霧器27には、加圧ポンプ29の駆動によりこれから空気供給管28を介して高圧空気が供給され、バルブ32の開閉により供給される高圧空気の供給時期や供給量が調節される。また、噴霧器27には、液供給管30を介してプレコート液が貯留されているタンク31が接続されている。同タンク31は、プレコート液を加熱する加熱ヒータ36が配設されているとともに、加圧空気供給管34を介して加圧ポンプ29が接続されている。このため、加圧ポンプ29から高圧空気がタンク31に供給されると、タンク31内のプレコート液が噴霧器27に供給される。従って、噴霧器27は、空気供給管28を介して高圧空気が供給されると、この高圧空気の流れに前記タンク31内から供給されたプレコート液が乗って、このプレコート液が霧状になってノズル27aから噴射される。
【0034】
プレコート塗布部26の下流側には、アフターヒート部37が配設されている。アフターヒート部37では、連続紙CPの上面に塗布されたプレコート液を加熱乾燥させる。このアフターヒート部37は、前記プレヒート部21と同じ構造をしている。すなわち、アフターヒート部37は、通過する連続紙CPの上側に配設されたヒータ38と、連続紙CPの下側に配設されアフターヒート部37内の空気を対流させるファン39とを備えている。
【0035】
また、前記プレヒート部21よりも上流側には第1前処理搬送部41が配設されており、プレヒート部21とプレコート塗布部26との間には第2前処理搬送部42が配設されている。また、プレコート塗布部26とアフターヒート部37との間には第3前処理搬送部43が、アフターヒート部37の下流側には第4前処理搬送部44が配設されている。第1〜第4前処理搬送部41〜44は、同期して連続紙CPをy方向に搬送する。また、各第1〜第4前処理搬送部41,42,43,44は、同一の構造をしている。
【0036】
詳述すると、各第1〜第4前処理搬送部41〜44は、基台20上に設置される相対向する一対の支持部41a,42a,43a,44aを有している。この一対の支持部41a〜44aは、第1ローラ41b,42b,43b,44bと、これに所定の間隙をおいて対向する第2ローラ41c,42c,43c,44cとを回転可能に支持している。第1及び第2ローラ41b〜44b,41c〜44cの間は、連続紙CPが挿入可能な大きさで、かつ連続紙CPが挿入されると第1及び第2ローラ41b〜44b,41c〜44cが当接可能となる大きさとなっている。つまり、連続紙CPの下面に第1ローラ41b〜44bが当接し、連続紙CPの上面に第2ローラ41c〜44cが当接する。なお、本実施形態では、アフターヒート部37の下流側にある第4前処理搬送部の第1ローラ44bのみが駆動ローラであり、その他の第1及び第2ローラ41b〜44b,41c〜44cは、駆動ローラである前記第1ローラ44bによりy方向に搬送される連続紙CPの搬送力を受ける従動ローラである。
【0037】
従って、前処理工程部11に至った連続紙CPは第1ローラ44bの搬送力によりy方向に搬送される。そして、連続紙CPは、プレヒート部21において予備加熱され、プレコート塗布部26の噴霧器27によって噴射されたプレコート液が塗布されて、その上面に、インク受容層が形成され又は顔料インクの凝集作用を有した層が形成される。そして、このような層が形成された連続紙CPは、アフターヒート部37において乾燥される。すなわち、乾燥されたインク受容層などの層が上面に形成された連続紙CPが、前記第1ローラ44bの駆動力を受けて前処理工程部11から第1バッファ部15に搬送される。
【0038】
(印刷処理工程部12)
次に、印刷処理工程部12について、図3及び図4に基づいて説明する。図3に示すように、印刷処理工程部12には、基台50が配置されている。この基台50上には、連続紙CPの上面に画像が形成する印刷部51が配置されている。印刷部51の基台50上には、ベッド52が載置されている。このベッド52は、搬送されてくる連続紙CPを吸着保持する。詳述すると、ベッド52には、内部空間Sが形成されているとともに、この内部空間Sを臨むように吸着用ファン53が内設されている。吸着用ファン53は内部空間Sの空気を外部に排出するためのものである。また、図3及び図4に示すように、ベッド52の上面には複数の孔54が形成されており、各孔54は前記内部空間Sに接続されている。従って、吸着用ファン53が駆動されると、内部空間Sを介して孔54の上面の空気が下側に排出され、ベッド52の上面に連続紙CPが吸着保持される。
【0039】
また、図3に示すように、ベッド52の内部空間S内には、乾燥手段及び加熱手段としてのヒータ55が配設されている。このヒータ55は、ベッド52の上面を加熱して、この上面に吸着保持される連続紙CPを加熱する。
【0040】
図4に示すように、ベッド52の上面には、連続紙CPを挟むように1対のガイド部材57,58がy方向に延在して固着されている。更に、ガイド部材57に近接して、主走査ねじ軸59がy方向に延在して配置されている。この主走査ねじ軸59には、その先端に移動手段を構成するy軸位置決めモータ60が連結されており、このy軸位置決めモータ60の回転により回転させられる。また、同主走査ねじ軸59に螺合する移動ブロック61が、ガイド部材57に摺動可能に設けられている。すなわち、移動ブロック61は、y軸位置決めモータ60が駆動されて主走査ねじ軸59が回転されると、この回転を受けて、ガイド部材57に案内されながらy方向及び反y方向に移動させられる。
【0041】
移動ブロック61には、移動手段を構成する図示しないx軸位置決めモータが内蔵されている。このx軸位置決めモータは、その先端にx方向に延びる副走査ねじ軸62が連結されており、この副走査ねじ軸62を回転させる。また、副走査ねじ軸62は、その先端が移動ブロック63に回転可能に支持されており、移動ブロック63はガイド部材58に案内されながらy方向に摺動可能とされている。この副走査ねじ軸62は、キャリッジ65と螺合しており、キャリッジ65には図示しない回り止めが設けられている。このため、キャリッジ65は、移動ブロック61内の副走査ねじ軸62が回転するとこの回転力を受け、回り止めにより回転せずに、x方向及び反x方向に移動する。
【0042】
キャリッジ65の下面には、記録ヘッド66が形成されており、この記録ヘッド66は隙間をおいて前記ベッド52と対向している。記録ヘッド66は、24個のノズル列として下面に開口した図示しない複数のノズルを有している。これら各ノズルのそれぞれには、それぞれに対応する図示しない圧電素子が配設されている。記録ヘッド66は、前記ノズル列のそれぞれに対応する24本の供給チューブ68(図においては1本のみ図示する。)を介して図示しない12個のサブタンクに接続されている。すなわち、12個のサブタンクにはそれぞれ2本の供給チューブ68が接続されており、この供給チューブ68がそれぞれ前記記録ヘッド66に接続されている。なお、記録ヘッド66と供給チューブ68との接合部は、キャリッジ65に設けられたカバー67によって覆われている。そして、各サブタンクは、図示しないチューブを介して、基台50の下に配置された6つのインクカートリッジに接続されている。インクカートリッジは、それぞれマゼンタ、ライトマゼンタ、シアン、ライトシアン、イエロ及びブラックの色の顔料インクをそれぞれ収容している。すなわち、6色のそれぞれのインクは、インクカートリッジからそれぞれ2本のチューブを介して12個のサブタンクに供給され、更にサブタンクから24本の供給チューブ68を介して、記録ヘッド66の各ノズル列のノズルに供給される。そして、記録ヘッド66の圧電素子が駆動されると、各インクカートリッジから記録ヘッド66にインクが供給されて、記録ヘッド66の各ノズルの吐出口から各色の顔料インクがベッド52上の連続紙CPに向かって噴射される。
【0043】
また、キャリッジ65のy方向側及び反y方向側には、乾燥手段及び熱風供給手段としてのドライヤ69,70がそれぞれ設けられている。これらドライヤ69,70は、図示しないファン及びヒータが設けられており、熱風を連続紙CPの上面に向かって送出し、インクが噴射される前の連続紙CP又は記録ヘッド66から連続紙CP上に噴射されたインクを乾燥させる。
【0044】
一方、図3に示すように印刷部51の下流側の基台50上には、乾燥手段としてのアフターヒート部72が配設されている。このアフターヒート部72では、連続紙CPの上面に塗布されたインクを加熱乾燥させる。このアフターヒート部72は前記アフターヒート部37と同じ構造をしており、通過する連続紙CPの上側に配設されたヒータ73と、連続紙CPの下側に配設されアフターヒート部72内の空気を対流させるファン74とを備えている。
【0045】
また、印刷部51よりも上流側には第1印刷処理搬送部76が配設されており、アフターヒート部72よりも下流側には第2印刷処理搬送部77が配設されている。第1及び第2印刷処理搬送部76,77は、前記第1〜第4前処理搬送部41〜44と同じ構造をしている。詳述すると、第1及び第2印刷処理搬送部76,77は、基台50上に設置される相対向する一対の支持部76a,77aを有し、これら一対の支持部76a,77aは第1ローラ76b,77b及びこれに対向する第2ローラ76c,77cを回転可能に支持している。そして、第1ローラ76b,77bは連続紙CPの下面に、第2ローラ76c,77cは連続紙CPの上面に当接する。本実施形態では、アフターヒート部72の下流側にある第1ローラ77bが駆動ローラであり、その他のローラ76b,76c,77cが従動ローラである。すなわち、ローラ76b,76c,77cは、駆動ローラである第1ローラ77bによりy方向に搬送される連続紙CPの搬送力を受けて回転する。
【0046】
従って、前処理工程部11から印刷処理工程部12に至った連続紙CPは、第1ローラ77bにより搬送されて印刷部51に供給される。この印刷部51おいて、インク受容層などの層が形成された連続紙CPの上面に、記録ヘッド66のノズルからインクが噴射(吐出)されて、画像が形成される。そして、この連続紙CPは、ベッド52のヒータ55、キャリッジ65のドライヤ69,70及びアフターヒート部72によってインクが乾燥されて、前記第1ローラ77bの駆動力を受けて第2バッファ部16に搬送される。
【0047】
(後処理工程部13)
次に、後処理工程部13について、図5に基づいて説明する。図5示すように、後処理工程部13は、基台80が配置されている。この基台80上には、その上流側(反y方向側)に、UVニス塗布部81が配設されている。UVニス塗布部81では、後処理液としてのUV(紫外線硬化性樹脂)ニスが連続紙CPに塗布される。
【0048】
このUVニス塗布部81には、通過する連続紙CPの上側に、後処理液塗布手段及び非接触式塗布手段としての噴霧器82が内設されている。噴霧器82は、前記プレコート塗布部26の噴霧器27と同様な噴霧器が用いられている。すなわち、噴霧器82には、バルブ87が設けられた空気供給管83を介して加圧ポンプ84が接続されており、UVニス供給管85を介してUVニスが貯留されているタンク86が接続されている。そして、タンク86には、加圧空気供給管89を介して前記加圧ポンプ84が接続されている。このため、加圧ポンプ84から高圧空気がタンク86に供給されると、タンク86内のUVニスが噴霧器82に供給される。従って、噴霧器82は、空気供給管83を介して高圧空気が供給されると、この高圧空気の流れに前記タンク86から供給されたUVニスが乗ってこのUVニスが霧状になってノズル82aから噴射される。
【0049】
また、UVニス塗布部81の下流側には、レベリング装置91が配設されている。このレベリング装置91は、UVニス塗布部81で連続紙CPの上面に塗布されたUVニスのむらを均すためのものである。詳述すると、レベリング装置91は、通過する連続紙CPの上側に送風機92が配設されている。この送風機92の送風ノズル92aは、通過する連続紙CPの幅方向(y方向に直角な図4で示したx方向)よりも大きな幅を有している。そして、この送風ノズル92aは、UVニス塗布部81の下側を向くように、通過する連続紙CPの上面(すなわちy方向)に対して斜めに向いている。一方、レベリング装置91の基台80上には、ベッド93が送風機92に対向するように配設されている。このベッド93は、通過する連続紙CPが送風機92の風力を受けてもほとんど撓まないように、連続紙CPの撓みを規制するための支持台である。従って、撓みが規制された連続紙CPの上面に、送風ノズル92aから風が供給されると、塗布されたUVニスが反y方向に押し流されて、UVニスが均一となる。
【0050】
更に、レベリング装置91の下流側には、UV照射装置94が配置されている。このUV照射装置94内には、UVを照射するUVランプ95が、通過する連続紙CPの上側に配設されている。すなわち、UVランプ95は、UVニスが塗布された表面に紫外線を照射する。
【0051】
また、UVニス塗布部81よりも上流側には第1後処理搬送部96が配設されており、UV照射装置94よりも下流側には第2後処理搬送部97が配設されている。第1,第2後処理搬送部96,97は、同期して連続紙CPをy方向に搬送する。また、第1,第2後処理搬送部96,97は、前記第1〜第4前処理搬送部41〜44と同じ構造をしている。詳述すると、第1,第2後処理搬送部96,97は、基台80上に設置される相対向する一対の支持部96a,97aを有し、これら一対の支持部96a,97aは第1ローラ96b,97b、これに対向する第2ローラ96c,97cを回転可能に支持している。そして、第1ローラ96b,97bは連続紙CPの下面に、第2ローラ96c,97cは連続紙CPの上面に当接する。また、第2後処理搬送部97の第1ローラ97bが駆動ローラであり、その他のローラ96b,96c,97cが従動ローラである。
【0052】
従って、後処理工程部13においては、まずUVニス塗布部81において、画像が形成された連続紙CPの上面にUVニスが噴射されて塗布される。そして、レベリング装置91において、送風機92の送風ノズル92aからの風により、UVニスのむらが均された後、UV照射装置94にてUV照射されてUVニスが硬化される。そして、UVニスの保護膜が画像の上に形成された連続紙CPは、前記第1ローラ97bの駆動力を受けて後処理工程部13の下流に、すなわち巻き取りローラ18へと搬送される。
【0053】
なお、本実施形態において、搬送手段は、繰り出しローラ17a、駆動ローラ17、各第1〜第4前処理搬送部41〜44、第1、第2印刷処理搬送部76,77及び第1,第2後処理搬送部96,97から構成されている。
【0054】
(電気的構成)
次に、本実施形態のインクジェット式印刷機10の電気的構成について、図6に基づいて説明する。
【0055】
図6に示すように、インクジェット式印刷機10は、全体を統括制御する統括制御部100を備えている。この統括制御部100は、ROM、RAM及びタイマを備えている。ROMには、一連の制御プログラムが記憶されている。この制御プログラムは、印刷の開始時及び印刷停止時にどの駆動部をどのようなタイミングで駆動させるかというプログラムである。また、統括制御部100は、この印刷プログラムに従って、図示しない読み取り装置を介して取得される画像データに基づいて、印刷処理工程部12の駆動部を駆動させるための印刷データを作成し、この印刷データをRAMに一時的に記憶する。
【0056】
また、統括制御部100は、駆動ローラ駆動部101及び巻き取りローラ駆動部102に接続されている。駆動ローラ駆動部101は、駆動ローラ17を駆動させるモータに接続されているとともに、トルクコントローラ101aの検出信号を受けている。このため、駆動ローラ駆動部101は、この検出信号により連続紙CPの繰り出し量を調節しながら駆動ローラ17を回転させている。従って、統括制御部100は、駆動ローラ駆動部101を駆動させて、繰り出しローラ17aに装着された連続紙CPをほぼ常に一定の張力をかけながら前処理工程部11に搬送する。
【0057】
一方、巻き取りローラ駆動部102は、巻き取りローラ18を駆動させるモータに接続されており、このモータを駆動させることにより巻き取りローラ18を回転させる。また、同統括制御部100は、巻き取りローラ駆動部102を駆動させて、後処理工程部13から搬送された連続紙CPを巻き取りローラ18によって巻き取って回収する。
【0058】
更に、統括制御部100は、各前処理工程部11、印刷処理工程部12及び後処理工程部13をそれぞれ制御するための前処理工程制御部106、印刷処理工程制御部107及び後処理工程制御部108に接続されている。
【0059】
前処理工程制御部106は、前処理搬送駆動部111、プレヒート駆動部112、プレコート液塗布制御部113、プレコート液加熱制御部114及びアフターヒート駆動部115を備えている。
【0060】
前処理搬送駆動部111は、前処理工程部11の駆動ローラである第4前処理搬送部44の第1ローラ44bを制御して、所定の搬送速度で連続紙CPをy方向に搬送させる。
【0061】
プレヒート駆動部112は、プレヒート部21のヒータ22及びファン23のモータの通電を行って、プレヒート部21内における加熱を制御する。
プレコート液塗布制御部113は、噴霧器27の加圧ポンプ29及びバルブ32を駆動する。詳述すると、プレコート液塗布制御部113は、加圧ポンプ29を駆動制御することにより、プレコート液を噴霧器27に供給する。また、プレコート液塗布制御部113は、バルブ32の開閉を制御することにより噴霧の開始又は停止を制御する。
【0062】
プレコート液加熱制御部114は、加熱ヒータ36の通電を制御して、タンク31内のプレコート液を加熱制御する。
アフターヒート駆動部115は、アフターヒート部37のヒータ38及びファン39のモータの通電を行って、アフターヒート部37内の加熱を制御する。
【0063】
一方、印刷処理工程制御部107は、図示しないROM、RAM及びタイマを備えている。RAMには、統括制御部100から供給される印刷データが一時的に保存される。ROMには、印刷プログラムが記憶されている。従って、印刷処理工程制御部107は、印刷プログラム及びRAMに記憶された印刷データに基づいて印刷を行う。印刷処理工程制御部107は、印刷処理搬送駆動部121、ベッド制御部122、画像形成制御部123、ドライヤ制御部124及びアフターヒート駆動部125を備えている。
【0064】
印刷処理搬送駆動部121は、印刷処理工程部12の駆動ローラである第2印刷処理搬送部77の第1ローラ77bを間欠動作するように駆動制御する。詳述すると、印刷処理搬送駆動部121は、記録ヘッド66からインクが噴射されて印刷が行われる場合には、第1ローラ77bを停止させて、第4前処理搬送部44の第1ローラ44bに駆動力により印刷処理工程部12においてy方向に搬送される連続紙CPを停止させる。また、この印刷処理搬送駆動部121は、第1ローラ77bを、前記第4前処理搬送部44の第1ローラ44bの速度よりも次のような早い速度で回転させる。図4に示すように、キャリッジ65がx方向及びy方向に移動して印刷を行う範囲を印刷可能領域PSとする。前処理工程部11においてこの印刷可能領域PSをy方向に搬送する時間が、キャリッジ65が印刷可能領域PSの印刷を完了するために必要な時間と、次の新たな印刷可能領域PSを印刷する位置に第1ローラ77bが搬送される時間との和に同じとなる。すなわち、長期的にみて、前処理工程部11における連続紙CPの搬送量と、印刷処理工程部12における連続紙CPの搬送量とが同じとなるように第1ローラ77bの回転速度が決定されている。
【0065】
ベッド制御部122は、図3に示すベッド52の吸着用ファン53及びヒータ55の通電を制御して、印刷部51における連続紙CPの吸着と、ベッド52の加熱とを制御する。
【0066】
画像形成制御部123は、y軸位置決めモータ60、移動ブロック61内に収容されているx軸位置決めモータ、記録ヘッド66の圧電素子の通電を制御する。これにより、キャリッジ65は例えば図4の軌跡t方向又はこの反対方向に移動されながら、ノズルからインクが噴射されて、所定の画像が形成される。
【0067】
ドライヤ制御部124は、ドライヤ69,70に通電を行って、ドライヤ69,70を駆動制御する。ドライヤ69,70は、キャリッジ65が移動しているときに同時に駆動される。従って、軌跡t方向にキャリッジ65が移動するときには、ドライヤ70がインクが噴射される前の連続紙CPを加熱し、ドライヤ69が連続紙CPに噴射されたインクを乾燥させる。また、軌跡tと反対方向にキャリッジ65が移動するときには、ドライヤ69がインクが噴射される前の連続紙CPを加熱し、ドライヤ70が連続紙CPに噴射されたインクを乾燥させる。
【0068】
アフターヒート駆動部125は、アフターヒート部72のヒータ73及びファン74のモータに通電を行って、アフターヒート部72内の加熱を制御する。
一方、後処理工程制御部108は、図示しないROM及びタイマを有している。ROMには、後処理プログラムが記憶されており、このプログラムに基づいて後処理が行われる。また、同後処理工程制御部108は、後処理搬送駆動部131、UVニス塗布制御部132、送風機駆動部133及びUVランプ点灯部134を備えている。
【0069】
後処理搬送駆動部131は、後処理工程部13の駆動ローラである第2後処理搬送部97の第1ローラ97bを、前記印刷処理工程部12の第1ローラ77bと同じ動作をさせるように駆動制御する。すなわち、後処理搬送駆動部131は、後処理工程部13における連続紙CPが、印刷処理工程部12における連続紙CPと同期するような間欠動作によって、y方向に搬送させるような制御を行う。
【0070】
UVニス塗布制御部132は、噴霧器82の加圧ポンプ84及びバルブ87を駆動する。詳述すると、UVニス塗布制御部132は、加圧ポンプ84を駆動制御することにより、UVニスを噴霧器82に供給する。また、UVニス塗布制御部132は、バルブ87の開閉を制御することにより噴霧の開始又は停止を制御する。
【0071】
送風機駆動部133は、レベリング装置91の送風機92のファンの通電を制御して、送風機92からの送風を制御する。また、UVランプ点灯部134は、UV照射装置94の通電を制御してUVランプ95の点灯又は消灯を制御する。
【0072】
次に、インクジェット式印刷機10の作用について、生鮮食品のラベルなどに用いられるタック紙(裏面に糊の付いたラベル用の紙)を印刷する場合を例として説明する。
【0073】
連続紙CPとして、例えば幅が150mmで長さが600mのタック紙を巻回された状態で、繰り出しローラ17aに装着させ、駆動ローラ17に掛け装する。そして、連続紙CPを巻き取りローラ18に巻き取る動作を行うために、図示しないスイッチが押される。これにより、統括制御部100は、駆動ローラ駆動部101、前処理搬送駆動部111、印刷処理搬送駆動部121、後処理搬送駆動部131及び巻き取りローラ駆動部102が駆動される。これにより、繰り出しローラ17aから送り出された連続紙CPは、それぞれの搬送力を受けて前処理工程部11、印刷処理工程部12及び後処理工程部13をy方向に移動して、巻き取りローラ18に巻き取られる。そして、連続紙CPがインクジェット式印刷機10に装着されると、統括制御部100は、各駆動部101,111,121,131,102を停止する。
【0074】
その後、インクジェット式印刷機10が印刷を実行するために、統括制御部100は、まず印刷処理工程制御部107のRAMに印刷データを供給する。そして、統括制御部100は、前処理工程制御部106を介してプレヒート駆動部112、アフターヒート駆動部115を駆動する。また、統括制御部100は、印刷処理工程制御部107を介してアフターヒート駆動部125を駆動する。これにより、各ファン23,39,74がプレヒート部21、アフターヒート部37,72内の空気を対流させ、各ヒータ22,38,73の加熱が開始される。また、統括制御部100は、前処理工程制御部106のプレコート液加熱制御部114を介して加熱ヒータ36の通電を行う。これによりタンク31のプレコート液の加熱が開始される。更に、統括制御部100は、印刷処理工程制御部107のベッド制御部122を介してヒータ55の通電を行う。これにより、ベッド52の表面の加熱が開始される。
【0075】
次に、統括制御部100は、駆動ローラ駆動部101を駆動させて、駆動ローラ17を駆動させる。これにより繰り出しローラ17aに巻回されたタック紙の連続紙CPは、繰り出しローラ17aから繰り出されて前処理工程部11に搬送させる。
【0076】
そして、y方向に搬送される連続紙CPの表面が、ヒータ22により加熱される。その後、統括制御部100は、内蔵するタイマの時間に基づいて、プレヒート部21から連続紙CPの最初の印刷可能領域PSが排出される時期に、プレコート液塗布制御部113を駆動させて、バルブ32を開弁状態とし、かつ加圧ポンプ29を駆動する。これにより、タンク31から加熱されたプレコート液が噴霧器27に供給される。そして、この供給されたプレコート液が、加圧ポンプ29からの高圧空気に乗って霧状になってノズル27aから下方に噴射される。すなわち、プレコート塗布部26内に至った連続紙CPの最初の印刷可能領域PSの上面に、プレコート液が噴霧器27から噴射される。これにより、連続紙CPの上面にプレコート液が塗布され、連続紙CPの上面にインク受容層が形成される。なお、プレヒート部21において連続紙CPが予備加熱されたため、連続紙CPの上面に塗布されたプレコート液は、連続紙CPの予備加熱の熱によって少し乾燥される。
【0077】
そして、プレコート塗布部26を通過してプレコート液が上面に塗布された連続紙CPは、アフターヒート部37に供給されると、その上面がアフターヒート部37のヒータ38によって加熱される。これにより、連続紙CPの上面に塗布されたプレコート液が完全に乾燥される。
【0078】
そして、統括制御部100は、内蔵するタイマにより連続紙CPの最初の印刷可能領域PSが第1バッファ部15を経て、印刷処理工程部12のベッド52上に至ったと判断すると、印刷処理工程制御部107を介して印刷処理を開始する。詳述すると、印刷処理工程制御部107は、ベッド制御部122を駆動して吸着用ファン53を駆動する。これにより、孔54を介して連続紙CPの下側の空気が排出されて、印刷可能領域PSの連続紙CPが吸着保持される。このとき、連続紙CPはヒータ55の熱を受けて加熱される。
【0079】
そして、印刷処理工程制御部107は、RAMに記憶されている印刷データに基づいて、y軸位置決めモータ60及びx軸位置決めモータを駆動しながら、圧電素子を駆動する。これにより、供給チューブ68を介して供給されるインクがベッド52の連続紙CPのインク受容層の上に、噴射されて画像が形成される。
【0080】
また、このとき、印刷処理工程制御部107は、ドライヤ69,70を稼動させる。このとき、図4の軌跡tのようにキャリッジ65が反y方向に移動すると、ドライヤ70がインクが噴射される連続紙CP上に熱風を供給し、インクの噴射前に連続紙CPを加熱する。また、ドライヤ69がインクが噴射された連続紙CP上に熱風を供給して、連続紙CP上に噴射されたばかりのインクを乾燥させる。そして、キャリッジ65が反y方向の端部まで移動して、ベッド52上にある連続紙CPの全面の印刷が終了する。
【0081】
印刷が終了すると、印刷処理工程制御部107は、再び印刷処理搬送駆動部121を駆動して、すなわち駆動ローラの第1ローラ77bを駆動して、連続紙CPをy方向に搬送させる。
【0082】
そして、印刷処理工程制御部107は、内蔵するタイマに基づいて、連続紙CPをy方向に搬送してから所定時間が経過し、次の印刷可能領域PSがベッド52上に至ったと判断すると、印刷処理工程制御部107は、印刷処理搬送駆動部121の駆動を停止して、再び連続紙CPの搬送を停止する。このとき、印刷処理工程部12における連続紙CPの搬送速度は、前処理工程部11におけるそれよりも早いため、第1バッファ部15において二点鎖線のように撓んだ部分が実線のように、ほぼ一直線上の状態となる。また、駆動されている吸着用ファン53により吸着保持された連続紙CPの次の印刷可能領域PSに対して、y軸位置決めモータ60、x軸位置決めモータ及び圧電素子を駆動して印刷を行う。このとき、キャリッジ65は印刷部51の反y方向の端部にあるので、すなわち軌跡tを逆走するようにキャリッジ65が移動される。そこで、印刷処理工程制御部107は、両ドライヤ69,70を駆動する。これによりドライヤ69によりインクが噴射される前の連続紙CPが加熱され、ドライヤ70により連続紙CPに噴射されたばかりのインクが乾燥される。
【0083】
再び印刷が終了すると、印刷処理工程制御部107は印刷処理搬送駆動部121を駆動し、その次の印刷可能領域PSをベッド52上に導くように連続紙CPをy方向に搬送する。
【0084】
そして、印刷部51を通過してインクにより画像が上面に形成された連続紙CPは、アフターヒート部72に供給されて、その上面がヒータ73によって加熱される。これにより、連続紙CPの上面に塗布されたインクが完全に乾燥させられて、第1ローラ77bの駆動力を受けて連続紙CPは後処理工程部13へと搬送される。
【0085】
そして、統括制御部100が、連続紙CPがUVニス塗布部81に至ったと判断すると、後処理工程制御部108は、UVニス塗布制御部132を駆動する。すなわち、バルブ87を開弁状態とし、かつ加圧ポンプ84を駆動する。これにより、タンク86から加熱されたUVニスが噴霧器82に供給される。そして、この供給されたUVニスが、加圧ポンプ84からの高圧空気に乗って霧状になってノズル82aから下方に噴射される。すなわち、UVニス塗布部81内に至った連続紙CPの上面に、UVニスが噴霧器82から噴射される。これにより、UVニスが連続紙CPの画像が形成された上面に塗布される。
【0086】
また、後処理工程制御部108は、上述したUVニス塗布制御部132の駆動とともに送風機駆動部133を駆動し、送風機92から連続紙CPに対して斜めに風が送出される。これにより、連続紙CP上に塗布されたUVニスの噴霧滴は、送風機92からの風圧によって押し流され、反y方向に広がって塗布される。
【0087】
そして、レベリング装置91を通過した連続紙CPは、そのままUV照射装置94を通過する。連続紙CPは、このUV照射装置94において、紫外線が照射されることにより、UVニスが固化されて、画像の上にUVニスの保護膜が形成される。そして、保護膜が形成された連続紙CPは、後処理工程部13から下流へと排出される。
【0088】
一方、統括制御部100は、後処理搬送駆動部131の駆動に同期させて、巻き取りローラ駆動部102を駆動する。これにより、後処理工程部13から排出された連続紙CPは、巻き取りローラ18に巻き取られる。
【0089】
従って、連続紙CPの印刷可能領域PSが、前処理工程部11、印刷処理工程部12及び後処理工程部13を通過して、繰り出しローラ17aから巻き取りローラ18に至る。すると、連続紙CPには、プレコート液によるインク受容層などの層が形成され、この層の上にインクによる画像が形成され、更にこの画像の上にUVニスによる保護膜が形成されて、印刷が完了する。
【0090】
本実施形態のインクジェット式印刷機10によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、印刷処理工程部12の上流側に前処理工程部11を配置した。従って、前処理工程部11において、インクが噴射される前の連続紙CPの上面にインク受容層を形成することにより、連続紙CPが油性インク用に適した用紙であっても、印刷処理工程部12においてインクが不均一に散ってしまうことがなく、きれいに印刷を行うことができる。
【0091】
(2)本実施形態では、印刷処理工程部12の下流側に、後処理工程部13を配置した。このため、印刷処理工程部12において噴射されるインクが耐擦性の悪い顔料インクであっても、その上面がUVニスで保護されるので、印刷の保存性がよい。すなわち、保存性及び耐擦性のよい印刷を行うことができ、高画質の画像を長期間保つことができる。
【0092】
(3)本実施形態では、紫外線が照射されることにより固化するUVニスを用いた。このため、印刷処理工程部12の搬送と同期して後処理工程部13において連続紙CPの搬送が停止する際に、UVニス塗布部81において塗布されたUVニスが固化することがない。このため、UV照射装置94に連続紙CPが到達する前に、レベリング装置91を設けることができ、このレベリング装置105においてUVニスを均一にすることが容易にできる。すなわち、連続紙CPが、UVニス塗布部81からレベリング装置91に至る間に停止するときに、UVニスを均一にすることができるので、余分な時間をかけずに、より高画質の印刷物を得ることができる。
【0093】
(4)本実施形態では、画像が形成された上面にUVニスにより保護膜を形成したので、巻き取りローラ18により連続紙CPが巻回される際に、インクが剥がれる恐れを少なくすることができる。このため、巻き取りローラ18を高速にて回転させても、インクが剥がれ難いので、連続紙CPを高速で印刷することができる。
【0094】
(5)本実施形態では、各搬送部41〜44、76,77,96,97により連続紙CPを、前処理工程部11、印刷処理工程部12及び後処理工程部13の順に搬送させるようにした。従って、印刷記録媒体を装着するだけで、簡単に、保存性・耐擦性が良好で高画質の画像を印刷することができる。
【0095】
(6)本実施形態では、プレコート塗布部26においてはプレコート液を噴霧という非接触で塗布した。また、UVニス塗布部81においてUVニスを噴霧という非接触で塗布した。このため、インクジェット式印刷機10の印刷が実行されるとすぐに、統括制御部100は、プレコート液塗布制御部113、UVニス塗布制御部132を駆動して、プレコート液及びUVニスを連続紙CPに塗布することができる。すなわち、準備が必要な接触式塗布とは異なり、プレコート液及びUVニスをすぐに塗布することができるので、少量の印刷でもすぐに、高画質の画像を印刷することができ、オンデマンド印刷に、より適したインクジェット式印刷機10とすることができる。
【0096】
また、プレコート液塗布制御部113及びUVニス塗布制御部132をすぐに停止することも容易に行える。このため、例えばタンク31,86の交換やインクカートリッジの交換などにより、印刷を停止する場合であっても、接触式塗布の場合と異なり、プレコート液やUVニスが連続紙CP上の溜まってしまうことがなく、プレコート液やUVニスをより均一に塗布することができる。
【0097】
(7)本実施形態では、プレコート液やUVニスは、連続紙CPの上面から噴射されて塗布した。このため、連続紙CPの表面に大きな凹凸形状であっても、その上面にプレコート液やUVニスを塗布することがより確実にできるため、より確実に高画質を実現することができる。
【0098】
(8)本実施形態では、プレコート液及びUVニスは、噴霧器27,82により噴霧した。この噴霧器27,82は、高圧空気の圧力により、プレコート液又はUVニスが霧状となって噴射されるので、噴霧の構造が簡単である。このため、高粘度の液体では目詰まりを生じる記録ヘッド66のノズルと異なり、このような性質の液体であっても、スムーズに噴射することができる。また、メンテナンスも容易である。更に、噴霧の構造が簡単であるため、噴霧器27,82を低コストで製造することができるとともに小型化も容易であり、ひいてはインクジェット式印刷機10を小型化して、低コストで製造することができる。
【0099】
(9)本実施形態では、前処理工程部11、印刷処理工程部12、後処理工程部13を連設した。このため、各搬送部41〜44,76,77,96,97は、連続紙CPをy方向に順に通過させればよい。従って、各搬送部41〜44,76,77,96,97を簡単な構造にすることができ、小型化を図ることができる。
【0100】
(10)本実施形態では、水平方向に通過する連続紙CPに対して、噴霧器27,82は上方から噴霧を行った。従って、プレコート液及びUVニスは重力を受けて連続紙CPに、より確実に塗布されるので、より確実に高画質の印刷を行うことができる。
【0101】
また、連続紙CPを水平方向から垂直方向に向きを変えて搬送した後、再び水平方向に搬送させて、連続紙CPが垂直方向に搬送される箇所において連続紙CPに対して横方向からプレコート液及びUVニスを噴射する場合に比べて、経路を短くすることができる。このため、プレコート塗布部26及びUVニス塗布部81を小型化することができ、ひいてはインクジェット式印刷機10を小型化することができる。
【0102】
(11)本実施形態では、印刷処理工程部12において記録ヘッド66から噴射されたインクを乾燥させた。すなわち、連続紙CP上に噴射されたインクは、噴射されるとすぐに乾燥されるため、インクが連続紙CP上で固着される。このため、後処理工程部13においてすぐにUVニスを噴射しても、インクとUVニスとが混合して高画質の画像が得られなくなることがほとんどなく、高画質の画像をより確実に得ることができる。
【0103】
(12)本実施形態では、キャリッジ65にドライヤ69,70を設け、これらドライヤ69,70から、インクが噴射される前の連続紙CPに対して及び連続紙CP上に噴射されたインクに対して熱風を供給した。すなわち、熱風の熱が集中的に噴射されたばかりのインクに付与されるので、効率よくインクを乾燥させることができる。
【0104】
(13)本実施形態では、印刷されるために連続紙CPの印刷可能領域PSを保持するベッド52にヒータ55を設け、このヒータ55によってもインクを乾燥させた。すなわち、ベッド52内にヒータ55を配置して連続紙CPの裏面から加熱を行うので、ベッド52を配置した部分のスペースを有効に使用して加熱を行うことができる。従って、印刷部51を大きくせずに、高画質の画像を得ることができる。
【0105】
(14)本実施形態では、印刷部51の下流にアフターヒート部72を設けた。従って、連続紙CPに噴射されたインクを、より確実に乾燥させることができる。
【0106】
(15)本実施形態では、前処理工程部11において、塗布されるプレコート液をタンク31内で加熱し、プレヒート部21において予備加熱し、更にアフターヒート部37において加熱した。これにより、噴霧器27から噴射されるプレコート液は、印刷処理工程部12においてインクにより画像が形成される前に十分に乾燥させられる。従って、プレコート液とインクとが混合して高画質の画像が得られなくなることがほとんどなく、高画質の画像をより確実に得ることができる。
【0107】
(16)本実施形態では、前処理工程部11と印刷処理工程部12との間に第1バッファ部15を設けた。このため、印刷処理工程部12において連続紙CPが停止及び搬送を繰り返す間欠動作により搬送される一方、前処理工程部11においては順次連続紙CPを搬送することができる。すなわち、このように搬送しても、連続紙CPに無理な力が加わって破けるというおそれを少なくすることができる。
【0108】
(17)本実施形態では、印刷処理工程部12と後処理工程部13との間に第2バッファ部16を設けた。印刷処理工程部12と、後処理工程部13との搬送速度が全く同期していなくても、連続紙CPに無理な力が加わって破けるというおそれを少なくすることができる。
【0109】
(18)本実施形態では、繰り出しローラ17aに設けられたトルクコントローラ101aの検出信号により駆動ローラ17の駆動を制御した。このため、繰り出しローラ17aに装着された連続紙CPに無理な力が加わって破けるというおそれを少なくすることができる。
【0110】
(変更例)
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○印刷部51において、キャリッジ65をy方向には移動させずに、x方向にのみ移動させて印刷を行うこと。
【0111】
○印刷処理工程部12と後処理工程部13との間の第2バッファ部16を省略すること。上述したように、印刷処理工程部12の駆動ローラである第1ローラ77bと、後処理工程部13の駆動ローラである第1ローラ97bはほとんど同期しているため、第2バッファ部16がなくても連続紙CPに無理な力が加わり破けるおそれが少ない。
【0112】
○印刷処理工程部12のアフターヒート部72又はドライヤ69,70を省略すること。
○プレコート塗布部26とアフターヒート部37との間にある第3前処理搬送部43を省略すること。この場合には、プレコート液が十分に乾燥しないうちに第2ローラ43cが当接することがないので、プレコート液が剥離されるおそれを少なくすることができる。
【0113】
○前処理工程部11、印刷処理工程部12、後処理工程部13を上下に配置すること。すなわち、第1及び第2バッファ部15,16を端部として連続紙CPが折り返すように配置させてもよい。
【0114】
○各ヒート部21,37,72を下側に設け、連続紙CPの裏面から暖めるようにしてもよい。
○連続紙CPの代わりに、他の単票紙に印刷すること。また、印刷記録媒体は、例えば布などの紙以外の材料であってもよい。
【0115】
○後処理工程部13において、UVニスの代わりに、例えば、水溶性樹脂、油溶性樹脂、熱可塑性樹脂エマルジョン、コロイダルシリカ等の無機顔料の単体あるいは混合溶液などの他の後処理液を用いること。
【図面の簡単な説明】
【図1】インクジェット式印刷機の全体構成を示す模式図。
【図2】図1における前処理工程部の構成を示す模式図。
【図3】図1における印刷処理工程部の構成を示す模式図。
【図4】図3における印刷処理工程部の要部の斜視図。
【図5】図1における後処理工程部の構成を示す模式図。
【図6】インクジェット式印刷機の電気的構成を示すブロック図。
【符号の説明】
CP…連続紙、10…インクジェット式印刷機、11…前処理工程部、12…印刷処理工程部、13…後処理工程部、15…滞留部としての第1バッファ部、16…滞留部としての第2バッファ部、17a…貯留手段としての繰り出しローラ、18…回収手段としての巻き取りローラ、27,82…噴霧器、52…ベッド、55…加熱手段としてのヒータ、65…キャリッジ、66…記録ヘッド、69,70…熱風供給手段としてのドライヤ。
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録ヘッドを備えたキャリッジを印刷記録媒体に対して相対移動させながら、前記記録ヘッドからインクを噴射させて、印刷記録媒体に印刷を行うインクジェット式印刷機及び印刷方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、本や雑誌などの印刷物や生鮮食品などのラベルは、オフセット印刷機により印刷されている。オフセット印刷機においては、例えば多数の単位画像を1枚の紙に印刷する。すなわち、従来の印刷機においては、一度に多量の印刷物を製造することにより、安価に印刷物を製造している。
【0003】
近年の技術の発達により、高画質の印刷物を製造するためにインクジェット式印刷機が出現してきている(例えば特許文献1参照)。このインクジェット式印刷機は、記録ヘッドを備えており、その記録ヘッドには複数のノズルとこのノズルからインクを噴射させるための駆動素子とが設けられている。このため、インクジェット式印刷機は、駆動素子を制御してインクの噴射タイミングや噴射量を細かく制御でき、高画質の印刷が行える。通常、この種のインクジェット式印刷機には、染料や顔料等の色材を水に溶解又は分散させたいわゆる水性インクが用いられる。すなわち、インクジェット式印刷機では、油性インクよりも低粘度の水性インクを用いることにより、微小なノズルの目詰まりを防止して、インクの噴射をスムーズに行うことができる。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−225254号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、現在の印刷物のほとんどが、上述したようにオフセット印刷機によって印刷されている。オフセット印刷機では、耐久性などの点から油性インクが用いられている。このため、印刷用の通常の印刷用紙は、油性インクによる印刷に好適な表面加工がされており、水性インクには適していない。そのため、インクジェット式印刷機において、通常の印刷用紙を用いると、すなわちこの印刷用紙に水性インクを噴射すると、その印刷用紙の表面に水性インクが不均一に広がってしまい、インクの噴射タイミングや噴射量が微小に調節されたとしても、きれいな画像が得られない。そこで、従来は、高画質の印刷物を得るために、インクジェット式印刷機専用の印刷用紙を用いていた。しかし、インクジェット式印刷機が普及していないため、専用の印刷用紙を用いて印刷すると、印刷物は高価になってしまう。これでは、多量の印刷物を安価に製造できるという印刷機の利点がなくなってしまう。
【0006】
一方、インクジェット式印刷機においては、耐光性や耐ガス性などの保存性が良好な顔料インクが多用されている。しかしながら、顔料インクは、耐擦性が低いため、画像の表面が擦られると、顔料インクが用紙から剥がれて、印刷の保存性が悪いという問題が生じていた。
【0007】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされ、その目的は、印刷用紙の種類に左右されずに高画質の印刷物を得ることができる印刷機を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のインクジェット式印刷機は、印刷記録媒体に前処理液を塗布する前処理液塗布手段を備えた前処理工程部と、前記前処理工程部において前記前処理液が塗布された前記印刷記録媒体に、ノズルからインクを吐出させ、前記印刷記録媒体に印刷を行う記録ヘッドを備えた印刷処理工程部と、前記印刷処理工程において印刷された前記印刷記録媒体に、後処理液を塗布する後処理液塗布手段を備えた後処理工程部と、前記印刷記録媒体を、前記前処理工程部、前記印刷処理工程部及び前記後処理工程部の順に搬送する搬送手段とを有した。
【0009】
これによれば、印刷記録媒体は、前処理工程部、印刷処理工程部及び後処理工程部を順に通過させられるので、前処理液が塗布された印刷記録媒体上にインクが噴射されて印刷が行われ、印刷が行われた印刷記録媒体上に後処理液が塗布される。このため、印刷記録媒体がインクを弾く性質のもの等であっても、前処理液が塗布された上にインクが不均一に散ることなく印刷記録媒体上に定着し、高画質の画像を印刷することができる。また、保存性が良好であるが耐擦性に劣る顔料インクを使用しても、画像の上に後処理液が塗布されるので、インクが剥がれを極力防止して耐擦性を向上させることができる。従って、保存性及び耐擦性が良好な印刷を行うことができる。更に、印刷記録媒体は、搬送手段により前処理工程、印刷処理工程及び後処理工程をこの順番で通過するため、印刷記録媒体を装着するだけで、簡単に、保存性・耐擦性が良好で高画質の画像を印刷することができる。
【0010】
このインクジェット式印刷機は、前記前処理工程部に供給される前記印刷記録媒体を貯留する貯留手段と、前記後処理工程部から排出される前記印刷記録媒体を回収するための回収手段とを更に設け、前記貯留手段、前記前処理工程部、前記印刷処理工程部、前記後処理工程部及び前記回収手段が、この順番に連設されている。
【0011】
これによれば、前処理工程部、印刷処理工程部、後処理工程部が連設されている。このため、搬送手段は、印刷記録媒体を前処理工程部から後処理工程部に一方向に通過させればよいので、簡単な構成にすることができる。従って、装置全体の小型化を図ることができる。
【0012】
このインクジェット式印刷機は、前記印刷記録媒体は、連続紙であって、前記回収手段は、前記連続紙を巻回することにより回収する。
これによれば、画像が形成された上面に後処理工程において保護膜が形成される。このため、連続紙の印刷記録媒体が巻回されて収容されるときに表面が擦れてインクが剥がれる恐れを少なくすることができる。このため、回収手段を高速回転させてもインクが剥がれ難いので、連続紙を高速で印刷することができる。
【0013】
このインクジェット式印刷機は、前記前処理工程部と前記印刷処理工程部との間、又は前記印刷処理工程部と前記後処理工程部との間に、前記連続紙の一部が滞留する滞留部が設けられている。
【0014】
これによれば、前処理工程部と印刷処理工程部との間、印刷処理工程部と後処理工程部との間に、印刷記録媒体の一部が滞留する滞留部が設けられている。このため、前の工程と、これに続く後の工程との搬送速度及び搬送タイミングが全く同じでなくとも、無理な力が加わることなく連続紙を搬送することができる。従って、印刷記録媒体が途中で切れてしまうという恐れを少なくすることができる。
【0015】
このインクジェット式印刷機は、前記前処理液塗布手段は、前記印刷記録媒体に向かって前記前処理液を噴射する非接触式塗布手段であるとともに、前記後処理液塗布手段は、前記印刷記録媒体に向かって前記後処理液を噴射する非接触式塗布手段である。
【0016】
これによれば、前処理液塗布手段は、噴射により前処理液を非接触で塗布する。また、後処理液塗布手段も噴射により後処理液を非接触で塗布する。すなわち、各処理液を噴射すると、これら各処理液がすぐに印刷記録媒体に塗布されるので、各処理液を印刷記録媒体に塗布するための準備が不要である。このため、印刷の開始及び停止に合わせて、前処理液及び後処理液の塗布の開始及び停止を行うことができ、少量の印刷でもすぐに前処理液及び後処理液を塗布して高画質の画像を印刷することができる。従って、オンデマンド印刷に、より適した印刷とすることができる。
【0017】
また、印刷中に一時停止させても、接触式の場合と異なり接触面に前処理液及び後処理液が溜まってしまうことがないので、間欠的に印刷を行っても、処理液を均一に塗布することができる。更に、表面が粗く凹凸が大きい印刷記録媒体であっても、噴射される側の面には各処理液がより確実に塗布されるので、より確実に高画質を実現することができる。
【0018】
このインクジェット式印刷機は、前記非接触式塗布手段は、空気圧により前処理液又は後処理液を噴射する噴霧器である。
これによれば、非接触式塗布手段は、空気圧により処理液を噴射する噴霧器である。噴霧器は、公知のように高圧空気の圧力により、この空気中に処理液を混入させて霧状に噴霧するので、噴霧するための構造が簡単である。このため、処理液が例えば高粘度の液体であっても、高圧空気によりスムーズに噴射でき、またメンテナンスが容易である。また、噴霧器の構造が簡単であるため、低コストで、噴霧器自体を小さくすることができる。このため、インクジェット式印刷機を小型化することができるとともに、低コストで製造することができる。
【0019】
このインクジェット式印刷機は、前記印刷処理工程部は、前記印刷記録媒体に吐出されたインクを乾燥させる乾燥手段を備えている。
これによれば、後処理工程部に搬送する前に、乾燥手段によりインクがすぐに乾燥される。このため、すぐに後処理工程部において液体を噴射しても、インクと液体とが混合して高画質の画像が得られなくなることがほとんどなく、高画質の画像をより確実に得ることができる。
【0020】
このインクジェット式印刷機は、前記乾燥手段は、前記印刷記録媒体に向かって熱風を送出する熱風供給手段であり、この熱風供給手段が、前記記録ヘッドを搭載するキャリッジに設けられている。
【0021】
これによれば、印刷記録媒体に向かって熱風を送出する熱風供給手段が、インクを吐出する記録ヘッドを搭載したキャリッジに設けられている。このため、キャリッジから噴射されたインクに向かって熱風が供給される。すなわち、この熱風の熱により、集中的に噴射されたインクが乾燥されるため、効率よくインクを乾燥させることができる。
【0022】
このインクジェット式印刷機は、前記乾燥手段は、前記印刷記録媒体を支持するベッドの表面を加熱する加熱手段である。
これによれば、ベッドの表面を加熱する加熱手段がベッドに設けられている。このため、印刷記録媒体は、加熱されたベッドの表面の熱によって加熱される。すなわち、ベッド内に配置された加熱手段により印刷記録媒体が加熱されるので、ベッドを配置した部分のスペースを有効に使用して加熱を行うことができる。従って、印刷処理工程部を大きくせずに、高画質の画像を得ることができる。
【0023】
このインクジェット式印刷機は、前記後処理液塗布手段は、UVニスを塗布する。
これによれば、後処理液は、紫外線を照射することにより固化するUVニスである。このため、紫外線が照射されるまでUVニスは固化されないので、UVニスが固化して固まる前にUVニスを均一にすることが容易に行える。従って、UVニスを均一に塗布することにより、より高画質の画像を得ることができる。
【0024】
本発明の印刷方法は、印刷記録媒体にインクを吐出させて印刷を行う印刷機における印刷方法において、前処理工程部において、前記印刷記録媒体に前処理液を塗布し、前記前処理工程部から印刷処理工程部に前記印刷記録媒体を搬送し、前記印刷処理工程部において、前記前処理液が塗布された前記印刷記録媒体に前記インクを吐出させた後、前記印刷処理工程部から後処理工程部に前記印刷記録媒体を搬送し、前記後処理工程部において、前記インクが吐出された前記印刷記録媒体に対して後処理液を塗布する。
【0025】
これによれば、印刷記録媒体は、前処理工程部、印刷処理工程部及び後処理工程部を順に通過させられるので、前処理液が塗布された印刷記録媒体上にインクが噴射されて印刷が行われ、印刷が行われた印刷記録媒体上に後処理液が塗布される。このため、印刷記録媒体がインクを弾く性質のもの等であっても、前処理液が塗布された上にインクが不均一に散ることなく印刷記録媒体上に定着し、高画質の画像を印刷することができる。また、保存性が良好であるが耐擦性に劣る顔料インクを使用しても、画像の上に後処理液が塗布されるので、インクが剥がれを極力防止して耐擦性を向上させることができる。従って、保存性及び耐擦性が良好な印刷を行うことができる。更に、印刷記録媒体は、搬送手段により前処理工程、印刷処理工程及び後処理工程をこの順番で通過するため、印刷記録媒体を装着するだけで、簡単に、保存性・耐擦性が良好で高画質の画像を印刷することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化したインクジェット式印刷機の一実施形態を図1〜図6に基づいて説明する。
【0027】
図1に示すように、インクジェット式印刷機10は、前処理工程部11と、印刷処理工程部12と、後処理工程部13とを備えている。前処理工程部11は、印刷記録媒体である連続紙CPの表面に、前処理液であるプレコート液を塗布して、連続紙CPの表面にインク受容層を形成し、顔料インクの顔料を凝集させる作用を連続紙CPに与える。印刷処理工程部12は、連続紙CPの表面にインクを噴射して、連続紙CPの表面のインク受容層の上に画像を形成する。後処理工程部13は、連続紙CPの表面に後処理液であるUVニスを塗布して、形成された画像の上に保護膜を形成する。
【0028】
前処理工程部11と印刷処理工程部12との間には、滞留部としての第1バッファ部15が設けられている。この第1バッファ部15は、連続紙CPが弛ませられている部分であって、前処理工程部11と印刷処理工程部12との送り速度が完全に同じでなくても連続紙CPに引っ張り力が加わらないようにするためのものである。また、印刷処理工程部12と後処理工程部13との間にも、滞留部としての第2バッファ部16が設けられている。この第2バッファ部16は、印刷処理工程部12と後処理工程部13との送り速度が完全に同じでなくても連続紙CPに引っ張り力が加わらないようにするためのものである。
【0029】
前処理工程部11の連続紙CPの受け入れ側には、駆動ローラ17及び貯留手段としての繰り出しローラ17aが配置されている。繰り出しローラ17aにはトルクコントローラ101a(図6参照)が内蔵されているとともに、巻回された連続紙CPが着脱可能に取り付けられている。トルクコントローラ101aは、繰り出しローラ17aに装着された連続紙CPの張力を検出する。駆動ローラ17は、トルクコントローラ101aの検出に基づいて連続紙CPの繰り出し量を調節しながら前記繰り出しローラ17aから連続紙CPを前処理工程部11に搬送している。すなわち、駆動ローラ17の回転力により繰り出しローラ17aは回転させられる。
【0030】
また、後処理工程部13の連続紙CPの送り出し側には、回収手段としての巻き取りローラ18が配置されている。この巻き取りローラ18には、後処理工程部13から排出された連続紙CPが離脱可能に巻き取られる。従って、連続紙CPは繰り出しローラ17aから巻き取りローラ18に向かって(y方向に)搬送される。
【0031】
次に、前処理工程部11、印刷処理工程部12及び後処理工程部13のそれぞれについて詳細に説明する。
(前処理工程部11)
まず、前処理工程部11について図2に基づいて説明する。図2に示すように、前処理工程部11には、基台20が配置されている。この基台20上には、その上流側(反y方向側)に、連続紙CPを事前に予備加熱するプレヒート部21が配設されている。プレヒート部21には、通過する連続紙CPの上側にヒータ22が設けられている。このヒータ22は、この下側を通過する連続紙CPを加熱する。また、プレヒート部21の連続紙CPの下側にはファン23が設けられている。このファン23は、前記ヒータ22により加熱されたプレヒート部21内の空気を対流させて、加熱むらを減らして、連続紙CPをできるだけ均一に加熱する。
【0032】
基台20の上には、その中央に、プレコート塗布部26が配設されている。プレコート塗布部26では、プレコート液が連続紙CPに塗布される。本実施形態において、このプレコート液は、通常のインク受容層形成用顔料、例えば、シリカやアルミナ、バインダー樹脂成分、有機あるいは無機系のカチオン成分、熱可塑性樹脂エマルジョンの単独の溶剤又はこれらの混合溶液である。または、インク中の色材である顔料を凝集させるカチオン性高分子化合物や多価金属塩を含む溶剤である。
【0033】
プレコート塗布部26には、通過する連続紙CPの上側に、前処理液塗布手段及び非接触式塗布手段としての噴霧器27が内設されている。噴霧器27には、例えばノードソン製のビードガン(商品名)が用いられる。噴霧器27のノズル27aは、下側に向いており、連続紙CPの上面に向かってプレコート液を噴射する。噴霧器27には、空気供給管28を介して加圧ポンプ29が接続されている。また、空気供給管28の途中にはバルブ32が設けられている。従って、噴霧器27には、加圧ポンプ29の駆動によりこれから空気供給管28を介して高圧空気が供給され、バルブ32の開閉により供給される高圧空気の供給時期や供給量が調節される。また、噴霧器27には、液供給管30を介してプレコート液が貯留されているタンク31が接続されている。同タンク31は、プレコート液を加熱する加熱ヒータ36が配設されているとともに、加圧空気供給管34を介して加圧ポンプ29が接続されている。このため、加圧ポンプ29から高圧空気がタンク31に供給されると、タンク31内のプレコート液が噴霧器27に供給される。従って、噴霧器27は、空気供給管28を介して高圧空気が供給されると、この高圧空気の流れに前記タンク31内から供給されたプレコート液が乗って、このプレコート液が霧状になってノズル27aから噴射される。
【0034】
プレコート塗布部26の下流側には、アフターヒート部37が配設されている。アフターヒート部37では、連続紙CPの上面に塗布されたプレコート液を加熱乾燥させる。このアフターヒート部37は、前記プレヒート部21と同じ構造をしている。すなわち、アフターヒート部37は、通過する連続紙CPの上側に配設されたヒータ38と、連続紙CPの下側に配設されアフターヒート部37内の空気を対流させるファン39とを備えている。
【0035】
また、前記プレヒート部21よりも上流側には第1前処理搬送部41が配設されており、プレヒート部21とプレコート塗布部26との間には第2前処理搬送部42が配設されている。また、プレコート塗布部26とアフターヒート部37との間には第3前処理搬送部43が、アフターヒート部37の下流側には第4前処理搬送部44が配設されている。第1〜第4前処理搬送部41〜44は、同期して連続紙CPをy方向に搬送する。また、各第1〜第4前処理搬送部41,42,43,44は、同一の構造をしている。
【0036】
詳述すると、各第1〜第4前処理搬送部41〜44は、基台20上に設置される相対向する一対の支持部41a,42a,43a,44aを有している。この一対の支持部41a〜44aは、第1ローラ41b,42b,43b,44bと、これに所定の間隙をおいて対向する第2ローラ41c,42c,43c,44cとを回転可能に支持している。第1及び第2ローラ41b〜44b,41c〜44cの間は、連続紙CPが挿入可能な大きさで、かつ連続紙CPが挿入されると第1及び第2ローラ41b〜44b,41c〜44cが当接可能となる大きさとなっている。つまり、連続紙CPの下面に第1ローラ41b〜44bが当接し、連続紙CPの上面に第2ローラ41c〜44cが当接する。なお、本実施形態では、アフターヒート部37の下流側にある第4前処理搬送部の第1ローラ44bのみが駆動ローラであり、その他の第1及び第2ローラ41b〜44b,41c〜44cは、駆動ローラである前記第1ローラ44bによりy方向に搬送される連続紙CPの搬送力を受ける従動ローラである。
【0037】
従って、前処理工程部11に至った連続紙CPは第1ローラ44bの搬送力によりy方向に搬送される。そして、連続紙CPは、プレヒート部21において予備加熱され、プレコート塗布部26の噴霧器27によって噴射されたプレコート液が塗布されて、その上面に、インク受容層が形成され又は顔料インクの凝集作用を有した層が形成される。そして、このような層が形成された連続紙CPは、アフターヒート部37において乾燥される。すなわち、乾燥されたインク受容層などの層が上面に形成された連続紙CPが、前記第1ローラ44bの駆動力を受けて前処理工程部11から第1バッファ部15に搬送される。
【0038】
(印刷処理工程部12)
次に、印刷処理工程部12について、図3及び図4に基づいて説明する。図3に示すように、印刷処理工程部12には、基台50が配置されている。この基台50上には、連続紙CPの上面に画像が形成する印刷部51が配置されている。印刷部51の基台50上には、ベッド52が載置されている。このベッド52は、搬送されてくる連続紙CPを吸着保持する。詳述すると、ベッド52には、内部空間Sが形成されているとともに、この内部空間Sを臨むように吸着用ファン53が内設されている。吸着用ファン53は内部空間Sの空気を外部に排出するためのものである。また、図3及び図4に示すように、ベッド52の上面には複数の孔54が形成されており、各孔54は前記内部空間Sに接続されている。従って、吸着用ファン53が駆動されると、内部空間Sを介して孔54の上面の空気が下側に排出され、ベッド52の上面に連続紙CPが吸着保持される。
【0039】
また、図3に示すように、ベッド52の内部空間S内には、乾燥手段及び加熱手段としてのヒータ55が配設されている。このヒータ55は、ベッド52の上面を加熱して、この上面に吸着保持される連続紙CPを加熱する。
【0040】
図4に示すように、ベッド52の上面には、連続紙CPを挟むように1対のガイド部材57,58がy方向に延在して固着されている。更に、ガイド部材57に近接して、主走査ねじ軸59がy方向に延在して配置されている。この主走査ねじ軸59には、その先端に移動手段を構成するy軸位置決めモータ60が連結されており、このy軸位置決めモータ60の回転により回転させられる。また、同主走査ねじ軸59に螺合する移動ブロック61が、ガイド部材57に摺動可能に設けられている。すなわち、移動ブロック61は、y軸位置決めモータ60が駆動されて主走査ねじ軸59が回転されると、この回転を受けて、ガイド部材57に案内されながらy方向及び反y方向に移動させられる。
【0041】
移動ブロック61には、移動手段を構成する図示しないx軸位置決めモータが内蔵されている。このx軸位置決めモータは、その先端にx方向に延びる副走査ねじ軸62が連結されており、この副走査ねじ軸62を回転させる。また、副走査ねじ軸62は、その先端が移動ブロック63に回転可能に支持されており、移動ブロック63はガイド部材58に案内されながらy方向に摺動可能とされている。この副走査ねじ軸62は、キャリッジ65と螺合しており、キャリッジ65には図示しない回り止めが設けられている。このため、キャリッジ65は、移動ブロック61内の副走査ねじ軸62が回転するとこの回転力を受け、回り止めにより回転せずに、x方向及び反x方向に移動する。
【0042】
キャリッジ65の下面には、記録ヘッド66が形成されており、この記録ヘッド66は隙間をおいて前記ベッド52と対向している。記録ヘッド66は、24個のノズル列として下面に開口した図示しない複数のノズルを有している。これら各ノズルのそれぞれには、それぞれに対応する図示しない圧電素子が配設されている。記録ヘッド66は、前記ノズル列のそれぞれに対応する24本の供給チューブ68(図においては1本のみ図示する。)を介して図示しない12個のサブタンクに接続されている。すなわち、12個のサブタンクにはそれぞれ2本の供給チューブ68が接続されており、この供給チューブ68がそれぞれ前記記録ヘッド66に接続されている。なお、記録ヘッド66と供給チューブ68との接合部は、キャリッジ65に設けられたカバー67によって覆われている。そして、各サブタンクは、図示しないチューブを介して、基台50の下に配置された6つのインクカートリッジに接続されている。インクカートリッジは、それぞれマゼンタ、ライトマゼンタ、シアン、ライトシアン、イエロ及びブラックの色の顔料インクをそれぞれ収容している。すなわち、6色のそれぞれのインクは、インクカートリッジからそれぞれ2本のチューブを介して12個のサブタンクに供給され、更にサブタンクから24本の供給チューブ68を介して、記録ヘッド66の各ノズル列のノズルに供給される。そして、記録ヘッド66の圧電素子が駆動されると、各インクカートリッジから記録ヘッド66にインクが供給されて、記録ヘッド66の各ノズルの吐出口から各色の顔料インクがベッド52上の連続紙CPに向かって噴射される。
【0043】
また、キャリッジ65のy方向側及び反y方向側には、乾燥手段及び熱風供給手段としてのドライヤ69,70がそれぞれ設けられている。これらドライヤ69,70は、図示しないファン及びヒータが設けられており、熱風を連続紙CPの上面に向かって送出し、インクが噴射される前の連続紙CP又は記録ヘッド66から連続紙CP上に噴射されたインクを乾燥させる。
【0044】
一方、図3に示すように印刷部51の下流側の基台50上には、乾燥手段としてのアフターヒート部72が配設されている。このアフターヒート部72では、連続紙CPの上面に塗布されたインクを加熱乾燥させる。このアフターヒート部72は前記アフターヒート部37と同じ構造をしており、通過する連続紙CPの上側に配設されたヒータ73と、連続紙CPの下側に配設されアフターヒート部72内の空気を対流させるファン74とを備えている。
【0045】
また、印刷部51よりも上流側には第1印刷処理搬送部76が配設されており、アフターヒート部72よりも下流側には第2印刷処理搬送部77が配設されている。第1及び第2印刷処理搬送部76,77は、前記第1〜第4前処理搬送部41〜44と同じ構造をしている。詳述すると、第1及び第2印刷処理搬送部76,77は、基台50上に設置される相対向する一対の支持部76a,77aを有し、これら一対の支持部76a,77aは第1ローラ76b,77b及びこれに対向する第2ローラ76c,77cを回転可能に支持している。そして、第1ローラ76b,77bは連続紙CPの下面に、第2ローラ76c,77cは連続紙CPの上面に当接する。本実施形態では、アフターヒート部72の下流側にある第1ローラ77bが駆動ローラであり、その他のローラ76b,76c,77cが従動ローラである。すなわち、ローラ76b,76c,77cは、駆動ローラである第1ローラ77bによりy方向に搬送される連続紙CPの搬送力を受けて回転する。
【0046】
従って、前処理工程部11から印刷処理工程部12に至った連続紙CPは、第1ローラ77bにより搬送されて印刷部51に供給される。この印刷部51おいて、インク受容層などの層が形成された連続紙CPの上面に、記録ヘッド66のノズルからインクが噴射(吐出)されて、画像が形成される。そして、この連続紙CPは、ベッド52のヒータ55、キャリッジ65のドライヤ69,70及びアフターヒート部72によってインクが乾燥されて、前記第1ローラ77bの駆動力を受けて第2バッファ部16に搬送される。
【0047】
(後処理工程部13)
次に、後処理工程部13について、図5に基づいて説明する。図5示すように、後処理工程部13は、基台80が配置されている。この基台80上には、その上流側(反y方向側)に、UVニス塗布部81が配設されている。UVニス塗布部81では、後処理液としてのUV(紫外線硬化性樹脂)ニスが連続紙CPに塗布される。
【0048】
このUVニス塗布部81には、通過する連続紙CPの上側に、後処理液塗布手段及び非接触式塗布手段としての噴霧器82が内設されている。噴霧器82は、前記プレコート塗布部26の噴霧器27と同様な噴霧器が用いられている。すなわち、噴霧器82には、バルブ87が設けられた空気供給管83を介して加圧ポンプ84が接続されており、UVニス供給管85を介してUVニスが貯留されているタンク86が接続されている。そして、タンク86には、加圧空気供給管89を介して前記加圧ポンプ84が接続されている。このため、加圧ポンプ84から高圧空気がタンク86に供給されると、タンク86内のUVニスが噴霧器82に供給される。従って、噴霧器82は、空気供給管83を介して高圧空気が供給されると、この高圧空気の流れに前記タンク86から供給されたUVニスが乗ってこのUVニスが霧状になってノズル82aから噴射される。
【0049】
また、UVニス塗布部81の下流側には、レベリング装置91が配設されている。このレベリング装置91は、UVニス塗布部81で連続紙CPの上面に塗布されたUVニスのむらを均すためのものである。詳述すると、レベリング装置91は、通過する連続紙CPの上側に送風機92が配設されている。この送風機92の送風ノズル92aは、通過する連続紙CPの幅方向(y方向に直角な図4で示したx方向)よりも大きな幅を有している。そして、この送風ノズル92aは、UVニス塗布部81の下側を向くように、通過する連続紙CPの上面(すなわちy方向)に対して斜めに向いている。一方、レベリング装置91の基台80上には、ベッド93が送風機92に対向するように配設されている。このベッド93は、通過する連続紙CPが送風機92の風力を受けてもほとんど撓まないように、連続紙CPの撓みを規制するための支持台である。従って、撓みが規制された連続紙CPの上面に、送風ノズル92aから風が供給されると、塗布されたUVニスが反y方向に押し流されて、UVニスが均一となる。
【0050】
更に、レベリング装置91の下流側には、UV照射装置94が配置されている。このUV照射装置94内には、UVを照射するUVランプ95が、通過する連続紙CPの上側に配設されている。すなわち、UVランプ95は、UVニスが塗布された表面に紫外線を照射する。
【0051】
また、UVニス塗布部81よりも上流側には第1後処理搬送部96が配設されており、UV照射装置94よりも下流側には第2後処理搬送部97が配設されている。第1,第2後処理搬送部96,97は、同期して連続紙CPをy方向に搬送する。また、第1,第2後処理搬送部96,97は、前記第1〜第4前処理搬送部41〜44と同じ構造をしている。詳述すると、第1,第2後処理搬送部96,97は、基台80上に設置される相対向する一対の支持部96a,97aを有し、これら一対の支持部96a,97aは第1ローラ96b,97b、これに対向する第2ローラ96c,97cを回転可能に支持している。そして、第1ローラ96b,97bは連続紙CPの下面に、第2ローラ96c,97cは連続紙CPの上面に当接する。また、第2後処理搬送部97の第1ローラ97bが駆動ローラであり、その他のローラ96b,96c,97cが従動ローラである。
【0052】
従って、後処理工程部13においては、まずUVニス塗布部81において、画像が形成された連続紙CPの上面にUVニスが噴射されて塗布される。そして、レベリング装置91において、送風機92の送風ノズル92aからの風により、UVニスのむらが均された後、UV照射装置94にてUV照射されてUVニスが硬化される。そして、UVニスの保護膜が画像の上に形成された連続紙CPは、前記第1ローラ97bの駆動力を受けて後処理工程部13の下流に、すなわち巻き取りローラ18へと搬送される。
【0053】
なお、本実施形態において、搬送手段は、繰り出しローラ17a、駆動ローラ17、各第1〜第4前処理搬送部41〜44、第1、第2印刷処理搬送部76,77及び第1,第2後処理搬送部96,97から構成されている。
【0054】
(電気的構成)
次に、本実施形態のインクジェット式印刷機10の電気的構成について、図6に基づいて説明する。
【0055】
図6に示すように、インクジェット式印刷機10は、全体を統括制御する統括制御部100を備えている。この統括制御部100は、ROM、RAM及びタイマを備えている。ROMには、一連の制御プログラムが記憶されている。この制御プログラムは、印刷の開始時及び印刷停止時にどの駆動部をどのようなタイミングで駆動させるかというプログラムである。また、統括制御部100は、この印刷プログラムに従って、図示しない読み取り装置を介して取得される画像データに基づいて、印刷処理工程部12の駆動部を駆動させるための印刷データを作成し、この印刷データをRAMに一時的に記憶する。
【0056】
また、統括制御部100は、駆動ローラ駆動部101及び巻き取りローラ駆動部102に接続されている。駆動ローラ駆動部101は、駆動ローラ17を駆動させるモータに接続されているとともに、トルクコントローラ101aの検出信号を受けている。このため、駆動ローラ駆動部101は、この検出信号により連続紙CPの繰り出し量を調節しながら駆動ローラ17を回転させている。従って、統括制御部100は、駆動ローラ駆動部101を駆動させて、繰り出しローラ17aに装着された連続紙CPをほぼ常に一定の張力をかけながら前処理工程部11に搬送する。
【0057】
一方、巻き取りローラ駆動部102は、巻き取りローラ18を駆動させるモータに接続されており、このモータを駆動させることにより巻き取りローラ18を回転させる。また、同統括制御部100は、巻き取りローラ駆動部102を駆動させて、後処理工程部13から搬送された連続紙CPを巻き取りローラ18によって巻き取って回収する。
【0058】
更に、統括制御部100は、各前処理工程部11、印刷処理工程部12及び後処理工程部13をそれぞれ制御するための前処理工程制御部106、印刷処理工程制御部107及び後処理工程制御部108に接続されている。
【0059】
前処理工程制御部106は、前処理搬送駆動部111、プレヒート駆動部112、プレコート液塗布制御部113、プレコート液加熱制御部114及びアフターヒート駆動部115を備えている。
【0060】
前処理搬送駆動部111は、前処理工程部11の駆動ローラである第4前処理搬送部44の第1ローラ44bを制御して、所定の搬送速度で連続紙CPをy方向に搬送させる。
【0061】
プレヒート駆動部112は、プレヒート部21のヒータ22及びファン23のモータの通電を行って、プレヒート部21内における加熱を制御する。
プレコート液塗布制御部113は、噴霧器27の加圧ポンプ29及びバルブ32を駆動する。詳述すると、プレコート液塗布制御部113は、加圧ポンプ29を駆動制御することにより、プレコート液を噴霧器27に供給する。また、プレコート液塗布制御部113は、バルブ32の開閉を制御することにより噴霧の開始又は停止を制御する。
【0062】
プレコート液加熱制御部114は、加熱ヒータ36の通電を制御して、タンク31内のプレコート液を加熱制御する。
アフターヒート駆動部115は、アフターヒート部37のヒータ38及びファン39のモータの通電を行って、アフターヒート部37内の加熱を制御する。
【0063】
一方、印刷処理工程制御部107は、図示しないROM、RAM及びタイマを備えている。RAMには、統括制御部100から供給される印刷データが一時的に保存される。ROMには、印刷プログラムが記憶されている。従って、印刷処理工程制御部107は、印刷プログラム及びRAMに記憶された印刷データに基づいて印刷を行う。印刷処理工程制御部107は、印刷処理搬送駆動部121、ベッド制御部122、画像形成制御部123、ドライヤ制御部124及びアフターヒート駆動部125を備えている。
【0064】
印刷処理搬送駆動部121は、印刷処理工程部12の駆動ローラである第2印刷処理搬送部77の第1ローラ77bを間欠動作するように駆動制御する。詳述すると、印刷処理搬送駆動部121は、記録ヘッド66からインクが噴射されて印刷が行われる場合には、第1ローラ77bを停止させて、第4前処理搬送部44の第1ローラ44bに駆動力により印刷処理工程部12においてy方向に搬送される連続紙CPを停止させる。また、この印刷処理搬送駆動部121は、第1ローラ77bを、前記第4前処理搬送部44の第1ローラ44bの速度よりも次のような早い速度で回転させる。図4に示すように、キャリッジ65がx方向及びy方向に移動して印刷を行う範囲を印刷可能領域PSとする。前処理工程部11においてこの印刷可能領域PSをy方向に搬送する時間が、キャリッジ65が印刷可能領域PSの印刷を完了するために必要な時間と、次の新たな印刷可能領域PSを印刷する位置に第1ローラ77bが搬送される時間との和に同じとなる。すなわち、長期的にみて、前処理工程部11における連続紙CPの搬送量と、印刷処理工程部12における連続紙CPの搬送量とが同じとなるように第1ローラ77bの回転速度が決定されている。
【0065】
ベッド制御部122は、図3に示すベッド52の吸着用ファン53及びヒータ55の通電を制御して、印刷部51における連続紙CPの吸着と、ベッド52の加熱とを制御する。
【0066】
画像形成制御部123は、y軸位置決めモータ60、移動ブロック61内に収容されているx軸位置決めモータ、記録ヘッド66の圧電素子の通電を制御する。これにより、キャリッジ65は例えば図4の軌跡t方向又はこの反対方向に移動されながら、ノズルからインクが噴射されて、所定の画像が形成される。
【0067】
ドライヤ制御部124は、ドライヤ69,70に通電を行って、ドライヤ69,70を駆動制御する。ドライヤ69,70は、キャリッジ65が移動しているときに同時に駆動される。従って、軌跡t方向にキャリッジ65が移動するときには、ドライヤ70がインクが噴射される前の連続紙CPを加熱し、ドライヤ69が連続紙CPに噴射されたインクを乾燥させる。また、軌跡tと反対方向にキャリッジ65が移動するときには、ドライヤ69がインクが噴射される前の連続紙CPを加熱し、ドライヤ70が連続紙CPに噴射されたインクを乾燥させる。
【0068】
アフターヒート駆動部125は、アフターヒート部72のヒータ73及びファン74のモータに通電を行って、アフターヒート部72内の加熱を制御する。
一方、後処理工程制御部108は、図示しないROM及びタイマを有している。ROMには、後処理プログラムが記憶されており、このプログラムに基づいて後処理が行われる。また、同後処理工程制御部108は、後処理搬送駆動部131、UVニス塗布制御部132、送風機駆動部133及びUVランプ点灯部134を備えている。
【0069】
後処理搬送駆動部131は、後処理工程部13の駆動ローラである第2後処理搬送部97の第1ローラ97bを、前記印刷処理工程部12の第1ローラ77bと同じ動作をさせるように駆動制御する。すなわち、後処理搬送駆動部131は、後処理工程部13における連続紙CPが、印刷処理工程部12における連続紙CPと同期するような間欠動作によって、y方向に搬送させるような制御を行う。
【0070】
UVニス塗布制御部132は、噴霧器82の加圧ポンプ84及びバルブ87を駆動する。詳述すると、UVニス塗布制御部132は、加圧ポンプ84を駆動制御することにより、UVニスを噴霧器82に供給する。また、UVニス塗布制御部132は、バルブ87の開閉を制御することにより噴霧の開始又は停止を制御する。
【0071】
送風機駆動部133は、レベリング装置91の送風機92のファンの通電を制御して、送風機92からの送風を制御する。また、UVランプ点灯部134は、UV照射装置94の通電を制御してUVランプ95の点灯又は消灯を制御する。
【0072】
次に、インクジェット式印刷機10の作用について、生鮮食品のラベルなどに用いられるタック紙(裏面に糊の付いたラベル用の紙)を印刷する場合を例として説明する。
【0073】
連続紙CPとして、例えば幅が150mmで長さが600mのタック紙を巻回された状態で、繰り出しローラ17aに装着させ、駆動ローラ17に掛け装する。そして、連続紙CPを巻き取りローラ18に巻き取る動作を行うために、図示しないスイッチが押される。これにより、統括制御部100は、駆動ローラ駆動部101、前処理搬送駆動部111、印刷処理搬送駆動部121、後処理搬送駆動部131及び巻き取りローラ駆動部102が駆動される。これにより、繰り出しローラ17aから送り出された連続紙CPは、それぞれの搬送力を受けて前処理工程部11、印刷処理工程部12及び後処理工程部13をy方向に移動して、巻き取りローラ18に巻き取られる。そして、連続紙CPがインクジェット式印刷機10に装着されると、統括制御部100は、各駆動部101,111,121,131,102を停止する。
【0074】
その後、インクジェット式印刷機10が印刷を実行するために、統括制御部100は、まず印刷処理工程制御部107のRAMに印刷データを供給する。そして、統括制御部100は、前処理工程制御部106を介してプレヒート駆動部112、アフターヒート駆動部115を駆動する。また、統括制御部100は、印刷処理工程制御部107を介してアフターヒート駆動部125を駆動する。これにより、各ファン23,39,74がプレヒート部21、アフターヒート部37,72内の空気を対流させ、各ヒータ22,38,73の加熱が開始される。また、統括制御部100は、前処理工程制御部106のプレコート液加熱制御部114を介して加熱ヒータ36の通電を行う。これによりタンク31のプレコート液の加熱が開始される。更に、統括制御部100は、印刷処理工程制御部107のベッド制御部122を介してヒータ55の通電を行う。これにより、ベッド52の表面の加熱が開始される。
【0075】
次に、統括制御部100は、駆動ローラ駆動部101を駆動させて、駆動ローラ17を駆動させる。これにより繰り出しローラ17aに巻回されたタック紙の連続紙CPは、繰り出しローラ17aから繰り出されて前処理工程部11に搬送させる。
【0076】
そして、y方向に搬送される連続紙CPの表面が、ヒータ22により加熱される。その後、統括制御部100は、内蔵するタイマの時間に基づいて、プレヒート部21から連続紙CPの最初の印刷可能領域PSが排出される時期に、プレコート液塗布制御部113を駆動させて、バルブ32を開弁状態とし、かつ加圧ポンプ29を駆動する。これにより、タンク31から加熱されたプレコート液が噴霧器27に供給される。そして、この供給されたプレコート液が、加圧ポンプ29からの高圧空気に乗って霧状になってノズル27aから下方に噴射される。すなわち、プレコート塗布部26内に至った連続紙CPの最初の印刷可能領域PSの上面に、プレコート液が噴霧器27から噴射される。これにより、連続紙CPの上面にプレコート液が塗布され、連続紙CPの上面にインク受容層が形成される。なお、プレヒート部21において連続紙CPが予備加熱されたため、連続紙CPの上面に塗布されたプレコート液は、連続紙CPの予備加熱の熱によって少し乾燥される。
【0077】
そして、プレコート塗布部26を通過してプレコート液が上面に塗布された連続紙CPは、アフターヒート部37に供給されると、その上面がアフターヒート部37のヒータ38によって加熱される。これにより、連続紙CPの上面に塗布されたプレコート液が完全に乾燥される。
【0078】
そして、統括制御部100は、内蔵するタイマにより連続紙CPの最初の印刷可能領域PSが第1バッファ部15を経て、印刷処理工程部12のベッド52上に至ったと判断すると、印刷処理工程制御部107を介して印刷処理を開始する。詳述すると、印刷処理工程制御部107は、ベッド制御部122を駆動して吸着用ファン53を駆動する。これにより、孔54を介して連続紙CPの下側の空気が排出されて、印刷可能領域PSの連続紙CPが吸着保持される。このとき、連続紙CPはヒータ55の熱を受けて加熱される。
【0079】
そして、印刷処理工程制御部107は、RAMに記憶されている印刷データに基づいて、y軸位置決めモータ60及びx軸位置決めモータを駆動しながら、圧電素子を駆動する。これにより、供給チューブ68を介して供給されるインクがベッド52の連続紙CPのインク受容層の上に、噴射されて画像が形成される。
【0080】
また、このとき、印刷処理工程制御部107は、ドライヤ69,70を稼動させる。このとき、図4の軌跡tのようにキャリッジ65が反y方向に移動すると、ドライヤ70がインクが噴射される連続紙CP上に熱風を供給し、インクの噴射前に連続紙CPを加熱する。また、ドライヤ69がインクが噴射された連続紙CP上に熱風を供給して、連続紙CP上に噴射されたばかりのインクを乾燥させる。そして、キャリッジ65が反y方向の端部まで移動して、ベッド52上にある連続紙CPの全面の印刷が終了する。
【0081】
印刷が終了すると、印刷処理工程制御部107は、再び印刷処理搬送駆動部121を駆動して、すなわち駆動ローラの第1ローラ77bを駆動して、連続紙CPをy方向に搬送させる。
【0082】
そして、印刷処理工程制御部107は、内蔵するタイマに基づいて、連続紙CPをy方向に搬送してから所定時間が経過し、次の印刷可能領域PSがベッド52上に至ったと判断すると、印刷処理工程制御部107は、印刷処理搬送駆動部121の駆動を停止して、再び連続紙CPの搬送を停止する。このとき、印刷処理工程部12における連続紙CPの搬送速度は、前処理工程部11におけるそれよりも早いため、第1バッファ部15において二点鎖線のように撓んだ部分が実線のように、ほぼ一直線上の状態となる。また、駆動されている吸着用ファン53により吸着保持された連続紙CPの次の印刷可能領域PSに対して、y軸位置決めモータ60、x軸位置決めモータ及び圧電素子を駆動して印刷を行う。このとき、キャリッジ65は印刷部51の反y方向の端部にあるので、すなわち軌跡tを逆走するようにキャリッジ65が移動される。そこで、印刷処理工程制御部107は、両ドライヤ69,70を駆動する。これによりドライヤ69によりインクが噴射される前の連続紙CPが加熱され、ドライヤ70により連続紙CPに噴射されたばかりのインクが乾燥される。
【0083】
再び印刷が終了すると、印刷処理工程制御部107は印刷処理搬送駆動部121を駆動し、その次の印刷可能領域PSをベッド52上に導くように連続紙CPをy方向に搬送する。
【0084】
そして、印刷部51を通過してインクにより画像が上面に形成された連続紙CPは、アフターヒート部72に供給されて、その上面がヒータ73によって加熱される。これにより、連続紙CPの上面に塗布されたインクが完全に乾燥させられて、第1ローラ77bの駆動力を受けて連続紙CPは後処理工程部13へと搬送される。
【0085】
そして、統括制御部100が、連続紙CPがUVニス塗布部81に至ったと判断すると、後処理工程制御部108は、UVニス塗布制御部132を駆動する。すなわち、バルブ87を開弁状態とし、かつ加圧ポンプ84を駆動する。これにより、タンク86から加熱されたUVニスが噴霧器82に供給される。そして、この供給されたUVニスが、加圧ポンプ84からの高圧空気に乗って霧状になってノズル82aから下方に噴射される。すなわち、UVニス塗布部81内に至った連続紙CPの上面に、UVニスが噴霧器82から噴射される。これにより、UVニスが連続紙CPの画像が形成された上面に塗布される。
【0086】
また、後処理工程制御部108は、上述したUVニス塗布制御部132の駆動とともに送風機駆動部133を駆動し、送風機92から連続紙CPに対して斜めに風が送出される。これにより、連続紙CP上に塗布されたUVニスの噴霧滴は、送風機92からの風圧によって押し流され、反y方向に広がって塗布される。
【0087】
そして、レベリング装置91を通過した連続紙CPは、そのままUV照射装置94を通過する。連続紙CPは、このUV照射装置94において、紫外線が照射されることにより、UVニスが固化されて、画像の上にUVニスの保護膜が形成される。そして、保護膜が形成された連続紙CPは、後処理工程部13から下流へと排出される。
【0088】
一方、統括制御部100は、後処理搬送駆動部131の駆動に同期させて、巻き取りローラ駆動部102を駆動する。これにより、後処理工程部13から排出された連続紙CPは、巻き取りローラ18に巻き取られる。
【0089】
従って、連続紙CPの印刷可能領域PSが、前処理工程部11、印刷処理工程部12及び後処理工程部13を通過して、繰り出しローラ17aから巻き取りローラ18に至る。すると、連続紙CPには、プレコート液によるインク受容層などの層が形成され、この層の上にインクによる画像が形成され、更にこの画像の上にUVニスによる保護膜が形成されて、印刷が完了する。
【0090】
本実施形態のインクジェット式印刷機10によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、印刷処理工程部12の上流側に前処理工程部11を配置した。従って、前処理工程部11において、インクが噴射される前の連続紙CPの上面にインク受容層を形成することにより、連続紙CPが油性インク用に適した用紙であっても、印刷処理工程部12においてインクが不均一に散ってしまうことがなく、きれいに印刷を行うことができる。
【0091】
(2)本実施形態では、印刷処理工程部12の下流側に、後処理工程部13を配置した。このため、印刷処理工程部12において噴射されるインクが耐擦性の悪い顔料インクであっても、その上面がUVニスで保護されるので、印刷の保存性がよい。すなわち、保存性及び耐擦性のよい印刷を行うことができ、高画質の画像を長期間保つことができる。
【0092】
(3)本実施形態では、紫外線が照射されることにより固化するUVニスを用いた。このため、印刷処理工程部12の搬送と同期して後処理工程部13において連続紙CPの搬送が停止する際に、UVニス塗布部81において塗布されたUVニスが固化することがない。このため、UV照射装置94に連続紙CPが到達する前に、レベリング装置91を設けることができ、このレベリング装置105においてUVニスを均一にすることが容易にできる。すなわち、連続紙CPが、UVニス塗布部81からレベリング装置91に至る間に停止するときに、UVニスを均一にすることができるので、余分な時間をかけずに、より高画質の印刷物を得ることができる。
【0093】
(4)本実施形態では、画像が形成された上面にUVニスにより保護膜を形成したので、巻き取りローラ18により連続紙CPが巻回される際に、インクが剥がれる恐れを少なくすることができる。このため、巻き取りローラ18を高速にて回転させても、インクが剥がれ難いので、連続紙CPを高速で印刷することができる。
【0094】
(5)本実施形態では、各搬送部41〜44、76,77,96,97により連続紙CPを、前処理工程部11、印刷処理工程部12及び後処理工程部13の順に搬送させるようにした。従って、印刷記録媒体を装着するだけで、簡単に、保存性・耐擦性が良好で高画質の画像を印刷することができる。
【0095】
(6)本実施形態では、プレコート塗布部26においてはプレコート液を噴霧という非接触で塗布した。また、UVニス塗布部81においてUVニスを噴霧という非接触で塗布した。このため、インクジェット式印刷機10の印刷が実行されるとすぐに、統括制御部100は、プレコート液塗布制御部113、UVニス塗布制御部132を駆動して、プレコート液及びUVニスを連続紙CPに塗布することができる。すなわち、準備が必要な接触式塗布とは異なり、プレコート液及びUVニスをすぐに塗布することができるので、少量の印刷でもすぐに、高画質の画像を印刷することができ、オンデマンド印刷に、より適したインクジェット式印刷機10とすることができる。
【0096】
また、プレコート液塗布制御部113及びUVニス塗布制御部132をすぐに停止することも容易に行える。このため、例えばタンク31,86の交換やインクカートリッジの交換などにより、印刷を停止する場合であっても、接触式塗布の場合と異なり、プレコート液やUVニスが連続紙CP上の溜まってしまうことがなく、プレコート液やUVニスをより均一に塗布することができる。
【0097】
(7)本実施形態では、プレコート液やUVニスは、連続紙CPの上面から噴射されて塗布した。このため、連続紙CPの表面に大きな凹凸形状であっても、その上面にプレコート液やUVニスを塗布することがより確実にできるため、より確実に高画質を実現することができる。
【0098】
(8)本実施形態では、プレコート液及びUVニスは、噴霧器27,82により噴霧した。この噴霧器27,82は、高圧空気の圧力により、プレコート液又はUVニスが霧状となって噴射されるので、噴霧の構造が簡単である。このため、高粘度の液体では目詰まりを生じる記録ヘッド66のノズルと異なり、このような性質の液体であっても、スムーズに噴射することができる。また、メンテナンスも容易である。更に、噴霧の構造が簡単であるため、噴霧器27,82を低コストで製造することができるとともに小型化も容易であり、ひいてはインクジェット式印刷機10を小型化して、低コストで製造することができる。
【0099】
(9)本実施形態では、前処理工程部11、印刷処理工程部12、後処理工程部13を連設した。このため、各搬送部41〜44,76,77,96,97は、連続紙CPをy方向に順に通過させればよい。従って、各搬送部41〜44,76,77,96,97を簡単な構造にすることができ、小型化を図ることができる。
【0100】
(10)本実施形態では、水平方向に通過する連続紙CPに対して、噴霧器27,82は上方から噴霧を行った。従って、プレコート液及びUVニスは重力を受けて連続紙CPに、より確実に塗布されるので、より確実に高画質の印刷を行うことができる。
【0101】
また、連続紙CPを水平方向から垂直方向に向きを変えて搬送した後、再び水平方向に搬送させて、連続紙CPが垂直方向に搬送される箇所において連続紙CPに対して横方向からプレコート液及びUVニスを噴射する場合に比べて、経路を短くすることができる。このため、プレコート塗布部26及びUVニス塗布部81を小型化することができ、ひいてはインクジェット式印刷機10を小型化することができる。
【0102】
(11)本実施形態では、印刷処理工程部12において記録ヘッド66から噴射されたインクを乾燥させた。すなわち、連続紙CP上に噴射されたインクは、噴射されるとすぐに乾燥されるため、インクが連続紙CP上で固着される。このため、後処理工程部13においてすぐにUVニスを噴射しても、インクとUVニスとが混合して高画質の画像が得られなくなることがほとんどなく、高画質の画像をより確実に得ることができる。
【0103】
(12)本実施形態では、キャリッジ65にドライヤ69,70を設け、これらドライヤ69,70から、インクが噴射される前の連続紙CPに対して及び連続紙CP上に噴射されたインクに対して熱風を供給した。すなわち、熱風の熱が集中的に噴射されたばかりのインクに付与されるので、効率よくインクを乾燥させることができる。
【0104】
(13)本実施形態では、印刷されるために連続紙CPの印刷可能領域PSを保持するベッド52にヒータ55を設け、このヒータ55によってもインクを乾燥させた。すなわち、ベッド52内にヒータ55を配置して連続紙CPの裏面から加熱を行うので、ベッド52を配置した部分のスペースを有効に使用して加熱を行うことができる。従って、印刷部51を大きくせずに、高画質の画像を得ることができる。
【0105】
(14)本実施形態では、印刷部51の下流にアフターヒート部72を設けた。従って、連続紙CPに噴射されたインクを、より確実に乾燥させることができる。
【0106】
(15)本実施形態では、前処理工程部11において、塗布されるプレコート液をタンク31内で加熱し、プレヒート部21において予備加熱し、更にアフターヒート部37において加熱した。これにより、噴霧器27から噴射されるプレコート液は、印刷処理工程部12においてインクにより画像が形成される前に十分に乾燥させられる。従って、プレコート液とインクとが混合して高画質の画像が得られなくなることがほとんどなく、高画質の画像をより確実に得ることができる。
【0107】
(16)本実施形態では、前処理工程部11と印刷処理工程部12との間に第1バッファ部15を設けた。このため、印刷処理工程部12において連続紙CPが停止及び搬送を繰り返す間欠動作により搬送される一方、前処理工程部11においては順次連続紙CPを搬送することができる。すなわち、このように搬送しても、連続紙CPに無理な力が加わって破けるというおそれを少なくすることができる。
【0108】
(17)本実施形態では、印刷処理工程部12と後処理工程部13との間に第2バッファ部16を設けた。印刷処理工程部12と、後処理工程部13との搬送速度が全く同期していなくても、連続紙CPに無理な力が加わって破けるというおそれを少なくすることができる。
【0109】
(18)本実施形態では、繰り出しローラ17aに設けられたトルクコントローラ101aの検出信号により駆動ローラ17の駆動を制御した。このため、繰り出しローラ17aに装着された連続紙CPに無理な力が加わって破けるというおそれを少なくすることができる。
【0110】
(変更例)
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○印刷部51において、キャリッジ65をy方向には移動させずに、x方向にのみ移動させて印刷を行うこと。
【0111】
○印刷処理工程部12と後処理工程部13との間の第2バッファ部16を省略すること。上述したように、印刷処理工程部12の駆動ローラである第1ローラ77bと、後処理工程部13の駆動ローラである第1ローラ97bはほとんど同期しているため、第2バッファ部16がなくても連続紙CPに無理な力が加わり破けるおそれが少ない。
【0112】
○印刷処理工程部12のアフターヒート部72又はドライヤ69,70を省略すること。
○プレコート塗布部26とアフターヒート部37との間にある第3前処理搬送部43を省略すること。この場合には、プレコート液が十分に乾燥しないうちに第2ローラ43cが当接することがないので、プレコート液が剥離されるおそれを少なくすることができる。
【0113】
○前処理工程部11、印刷処理工程部12、後処理工程部13を上下に配置すること。すなわち、第1及び第2バッファ部15,16を端部として連続紙CPが折り返すように配置させてもよい。
【0114】
○各ヒート部21,37,72を下側に設け、連続紙CPの裏面から暖めるようにしてもよい。
○連続紙CPの代わりに、他の単票紙に印刷すること。また、印刷記録媒体は、例えば布などの紙以外の材料であってもよい。
【0115】
○後処理工程部13において、UVニスの代わりに、例えば、水溶性樹脂、油溶性樹脂、熱可塑性樹脂エマルジョン、コロイダルシリカ等の無機顔料の単体あるいは混合溶液などの他の後処理液を用いること。
【図面の簡単な説明】
【図1】インクジェット式印刷機の全体構成を示す模式図。
【図2】図1における前処理工程部の構成を示す模式図。
【図3】図1における印刷処理工程部の構成を示す模式図。
【図4】図3における印刷処理工程部の要部の斜視図。
【図5】図1における後処理工程部の構成を示す模式図。
【図6】インクジェット式印刷機の電気的構成を示すブロック図。
【符号の説明】
CP…連続紙、10…インクジェット式印刷機、11…前処理工程部、12…印刷処理工程部、13…後処理工程部、15…滞留部としての第1バッファ部、16…滞留部としての第2バッファ部、17a…貯留手段としての繰り出しローラ、18…回収手段としての巻き取りローラ、27,82…噴霧器、52…ベッド、55…加熱手段としてのヒータ、65…キャリッジ、66…記録ヘッド、69,70…熱風供給手段としてのドライヤ。
Claims (11)
- 印刷記録媒体に前処理液を塗布する前処理液塗布手段を備えた前処理工程部と、
前記前処理工程部において前記前処理液が塗布された前記印刷記録媒体に、ノズルからインクを吐出させ、前記印刷記録媒体に印刷を行う記録ヘッドを備えた印刷処理工程部と、
前記印刷処理工程において印刷された前記印刷記録媒体に、後処理液を塗布する後処理液塗布手段を備えた後処理工程部と、
前記印刷記録媒体を、前記前処理工程部、前記印刷処理工程部及び前記後処理工程部の順に搬送する搬送手段と
を有したことを特徴とするインクジェット式印刷機。 - 請求項1に記載のインクジェット式印刷機において、
前記前処理工程部に供給される前記印刷記録媒体を貯留する貯留手段と、
前記後処理工程部から排出される前記印刷記録媒体を回収するための回収手段とを更に設け、
前記貯留手段、前記前処理工程部、前記印刷処理工程部、前記後処理工程部及び前記回収手段が、この順番に連設されている
ことを特徴とするインクジェット式印刷機。 - 請求項2に記載のインクジェット式印刷機において、
前記印刷記録媒体は、連続紙であって、
前記回収手段は、前記連続紙を巻回することにより回収する
ことを特徴とするインクジェット式印刷機。 - 請求項3に記載のインクジェット式印刷機において、
前記前処理工程部と前記印刷処理工程部との間、又は
前記印刷処理工程部と前記後処理工程部との間に、
前記連続紙の一部が滞留する滞留部が設けられていることを特徴とするインクジェット式印刷機。 - 請求項1〜4のいずれか1つに記載のインクジェット式印刷機において、
前記前処理液塗布手段は、前記印刷記録媒体に向かって前記前処理液を噴射する非接触式塗布手段であるとともに、
前記後処理液塗布手段は、前記印刷記録媒体に向かって前記後処理液を噴射する非接触式塗布手段である
ことを特徴とするインクジェット式印刷機。 - 請求項5に記載のインクジェット式印刷機において、
前記非接触式塗布手段は、空気圧により前処理液又は後処理液を噴射する噴霧器であることを特徴とするインクジェット式印刷機。 - 請求項1〜6のいずれか1つに記載のインクジェット式印刷機において、
前記印刷処理工程部は、前記印刷記録媒体に吐出されたインクを乾燥させる乾燥手段を備えていることを特徴とするインクジェット式印刷機。 - 請求項7に記載のインクジェット式印刷機において、
前記乾燥手段は、前記印刷記録媒体に向かって熱風を送出する熱風供給手段であり、
この熱風供給手段が、前記記録ヘッドを搭載するキャリッジに設けられていることを特徴とするインクジェット式印刷機。 - 請求項7又は8に記載のインクジェット式印刷機において、
前記乾燥手段は、前記印刷記録媒体を支持するベッドの表面を加熱する加熱手段であることを特徴とするインクジェット式印刷機。 - 請求項1〜9のいずれか1つに記載のインクジェット式印刷機において、
前記後処理液塗布手段は、UVニスを塗布することを特徴とするインクジェット式印刷機。 - 印刷記録媒体にインクを吐出させて印刷を行う印刷機における印刷方法において、
前処理工程部において、前記印刷記録媒体に前処理液を塗布し、
前記前処理工程部から印刷処理工程部に前記印刷記録媒体を搬送し、
前記印刷処理工程部において、前記前処理液が塗布された前記印刷記録媒体に前記インクを吐出させた後、
前記印刷処理工程部から後処理工程部に前記印刷記録媒体を搬送し、
前記後処理工程部において、前記インクが吐出された前記印刷記録媒体に対して後処理液を塗布することを特徴とする印刷方法。
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