JP2004320669A - データ通信装置、電源供給回路及び信号伝送回路 - Google Patents
データ通信装置、電源供給回路及び信号伝送回路 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】本発明は、データ通信装置、電源供給回路及び信号伝送回路に関し、例えば無線通信によるデータ通信の基地局に適用して、従来に比して挿入損失を低減し、簡易な構成により伝送路を共用することができるようにする。
【解決手段】本発明は、定インピーダンス線路25を分岐するスタブ26を容量性リアクタンスC1により接地してショートスタブを構成すると共に、この容量性リアクタンスC1を利用して並列共振回路(C1、C2、L1)を構成し、この並列共振回路(C1、C2、L1)を介して電源DC、制御信号SC等を供給し、またこの並列共振回路(C1、C2、L1)を介して電源DC、制御信号SC等の供給を受ける。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明は、定インピーダンス線路25を分岐するスタブ26を容量性リアクタンスC1により接地してショートスタブを構成すると共に、この容量性リアクタンスC1を利用して並列共振回路(C1、C2、L1)を構成し、この並列共振回路(C1、C2、L1)を介して電源DC、制御信号SC等を供給し、またこの並列共振回路(C1、C2、L1)を介して電源DC、制御信号SC等の供給を受ける。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、データ通信装置、電源供給回路及び信号伝送回路に関し、例えば無線通信によるデータ通信の基地局に適用することができる。本発明は、定インピーダンス線路を分岐するスタブを容量性リアクタンスにより接地してショートスタブを形成すると共に、この容量性リアクタンスを利用して並列共振回路を構成し、この並列共振回路を介して電源、制御信号等を供給し、またこの並列共振回路を介して電源、制御信号等の供給を受けることにより、従来に比して挿入損失を低減し、簡易な構成により伝送路を共用することができるようにする。
【0002】
【従来の技術】
従来、ISDN(Integrated Services Digital Network )、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)等のデータ通信においては、伝送路を帯域分割してデータの伝送に割り当てることにより、音声信号による電話回線の伝送路をデータの伝送に共用するようになされている。
【0003】
すなわちこの種のデータ伝送においては、図7に示すように、同軸ケーブル等による伝送路1の一端に、音声信号の周波数帯域を通過帯域に設定してなるローパスフィルタ回路2と、このローパスフィルタ回路2の通過帯域を遮断周波数帯域に設定してなるハイパスフィルタ回路3とが設けられる。また伝送路1の他端に、同様のローパスフィルタ回路4及びハイパスフィルタ回路5が設けられ、これらローパスフィルタ回路2、4及びハイパスフィルタ回路3、5により伝送路1を帯域分割するようになされている。ISDN等においては、このようなローパスフィルタ回路及びハイパスフィルタ回路がディスクリート部品により構成されるようになされている。
【0004】
これに対して無線通信の分野においては、例えば特開2001−148647号公報において、周波数特性評価法により通信状態の良好なアンテナを検出してアンテナを切り換えることにより、スペースダイバーシティの手法を適用して安定な受信状態を確保する方法が提案されるようになされている。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−148647号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところでこのようなスペースダイバーシティによるデータ通信においては、アンテナを切り換える制御信号をアンテナ側に伝送することが必要であり、このようにアンテナで受信した無線通信波と制御信号との伝送においては、いわゆるマルチラインケーブルを使用する方法がある。しかしながらこのようなマルチラインケーブルにあっては、同軸ケーブル等に比して汎用性に欠ける欠点がある。
【0007】
これによりこのような無線通信波の伝送に供する伝送路を帯域分割して、制御信号の伝送に共用することが考えられる。すなわち図7について上述したローパスフィルタ回路2、4及びハイパスフィルタ回路3、5を用いて伝送路を帯域分割することにより、無線通信波と制御信号との伝送を1つの伝送路で共用する方法である。しかしてこのような伝送路の帯域分割においては、信号間の相互干渉を防止するためにローパスフィルタ回路による帯域とハイパスフィルタ回路による帯域とでアイソレーションを高くすることが必要であり、このためにはローパスフィルタ回路及びハイパスフィルタ回路を多段により構成して帯域制限減衰特性を急峻にすることが必要になる。しかしながらこのようにすると従来のディスクリート部品による構成によっては、構成が煩雑になり、さらには挿入損失が増大する問題がある。
【0008】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、従来に比して挿入損失を低減し、簡易な構成により伝送路を共用することができるデータ通信装置、電源供給回路及び信号伝送回路を提案しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため請求項1の発明においては、伝送路により接続されたアンテナを介して少なくとも無線通信波を受信して処理するデータ通信装置に適用して、伝送路に接続された定インピーダンス線路と、定インピーダンス線路を分岐する1/4波長線路と、1/4波長線路を終端して、1/4波長線路によるショートスタブを形成する容量性リアクタンスと、容量性リアクタンスとで並列共振回路を形成する誘導性リアクタンスとを備え、定インピーダンス線路を介して、アンテナで受信した無線通信波を受信して処理し、並列共振回路を介して、アンテナの駆動に必要な電源を供給する。
【0010】
また請求項4の発明においては、伝送路を介してアンテナで受信した無線通信波を本体装置に送出するデータ通信装置に適用して、アンテナ及び伝送路間に介挿された定インピーダンス線路と、定インピーダンス線路を分岐する1/4波長線路と、1/4波長線路を終端して、1/4波長線路によるショートスタブを形成する容量性リアクタンスと、容量性リアクタンスとで並列共振回路を形成する誘導性リアクタンスとを備え、定インピーダンス線路を介して、アンテナで受信した無線通信波を伝送路に送出し、並列共振回路を介して、アンテナの駆動に必要な電源の供給を受ける。
【0011】
また請求項7の発明においては、高周波信号を伝送する伝送路を介して電源を伝送する電源供給回路に適用して、伝送路に接続された定インピーダンス線路と、定インピーダンス線路を分岐する1/4波長線路と、1/4波長線路を終端して、1/4波長線路によるショートスタブを形成する容量性リアクタンスと、容量性リアクタンスとで並列共振回路を形成する誘導性リアクタンスとを備え、並列共振回路を介して、電源を供給する。
【0012】
また請求項8の発明においては、高周波信号を伝送する伝送路を介して電源の供給を受ける電源供給回路に適用して、伝送路に接続された定インピーダンス線路と、定インピーダンス線路を分岐する1/4波長線路と、1/4波長線路を終端して、1/4波長線路によるショートスタブを形成する容量性リアクタンスと、容量性リアクタンスとで並列共振回路を形成する誘導性リアクタンスとを備え、並列共振回路を介して、電源の供給を受ける。
【0013】
また請求項9の発明においては、高周波信号を伝送する伝送路を介して高周波信号に比して周波数の低い低周波信号を伝送する信号伝送回路に適用して、伝送路に接続された定インピーダンス線路と、定インピーダンス線路を分岐する1/4波長線路と、1/4波長線路を終端して、1/4波長線路によるショートスタブを形成する容量性リアクタンスと、容量性リアクタンスとで並列共振回路を形成する誘導性リアクタンスとを備え、並列共振回路を介して、低周波信号を伝送する。
【0014】
また請求項10の発明においては、高周波信号の伝送路を介して伝送される高周波信号に比して周波数の低い低周波信号を受信する信号伝送回路に適用して、伝送路に接続された定インピーダンス線路と、定インピーダンス線路を分岐する1/4波長線路と、1/4波長線路を終端して、1/4波長線路によるショートスタブを形成する容量性リアクタンスと、容量性リアクタンスとで並列共振回路を形成する誘導性リアクタンスとを備え、並列共振回路を介して、低周波信号を受信する。
【0015】
請求項1の構成によれば、伝送路により接続されたアンテナを介して少なくとも無線通信波を受信して処理するデータ通信装置に適用して、伝送路に接続された定インピーダンス線路と、定インピーダンス線路を分岐する1/4波長線路と、1/4波長線路を終端して、1/4波長線路によるショートスタブを形成する容量性リアクタンスと、容量性リアクタンスとで並列共振回路を形成する誘導性リアクタンスとを備え、定インピーダンス線路を介して、アンテナで受信した無線通信波を受信して処理し、並列共振回路を介して、アンテナの駆動に必要な電源を供給することにより、ショートスタブ、並列共振回路により十分なアイソレーションを確保して無線通信波を効率良く伝送し、また電源を効率良く伝送し得、これらにより従来に比して挿入損失を低減し、簡易な構成により無線通信波の伝送と電源の伝送とで伝送路を共用することができる。
【0016】
これにより請求項4の構成によれば、伝送路を介してアンテナで受信した無線通信波を本体装置に送出するデータ通信装置に適用して、従来に比して挿入損失を低減し、簡易な構成により無線通信波の伝送と電源の伝送とで伝送路を共用することができる。
【0017】
また請求項7、請求項8の構成によれば、高周波信号を伝送する伝送路を介して電源を伝送する電源供給回路、高周波信号を伝送する伝送路を介して電源の供給を受ける電源供給回路に適用して、従来に比して挿入損失を低減し、簡易な構成により高周波信号の伝送と電源の伝送とで伝送路を共用することができる。
【0018】
また請求項9、請求項10の構成によれば、高周波信号を伝送する伝送路を介して高周波信号に比して周波数の低い低周波信号を伝送する信号伝送回路に適用して、高周波信号の伝送路を介して伝送される高周波信号に比して周波数の低い低周波信号を受信する信号伝送回路に適用して、従来に比して挿入損失を低減し、簡易な構成により高周波信号の伝送と低周波信号の伝送とで伝送路を共用することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、適宜図面を参照しながら本発明の実施の形態を詳述する。
【0020】
(1)実施の形態の構成
図2は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムの基地局を示すブロック図である。この基地局11は、2.4〔GHz〕の周波数帯域を用いた無線通信によるデータ通信システムである無線LAN(Local Area Network)の基地局であり、図示しないパソコン等の情報端末装置からのデータを受信してインターネット等のネットワークに送出する。
【0021】
このためこの基地局11は、このような情報端末装置の集中する部屋の天井等の、無線通信による障害物の少ない箇所にアンテナ装置12が設けられ、このアンテナ装置12により高周波信号である無線通信波RFを用いて情報端末装置からのデータを受信する。またネットワークへの接続に好適な箇所に本体装置13が設けられ、この本体装置13とアンテナ装置12とが同軸ケーブルによる伝送路14により接続され、この本体装置13がネットワークに接続される。基地局11は、この本体装置13によりネットワークとの間でデータを送受し、またこの本体装置13により伝送路14、アンテナ装置12を介して情報端末装置から取得したデータを送出する。
【0022】
ここでアンテナ装置12は、異なる方向に指向性を有する複数のアンテナ12A〜12Nが設けられ、アンテナ切換部16は、帯域分割回路17から供給される電源DCにより動作して、同様に帯域分割回路17から出力される制御信号SCにより、これら複数のアンテナ12A〜12Nを選択的に帯域分割回路17に接続する。ここで帯域分割回路17は、伝送路14を帯域分割する回路であり、伝送路14を介して本体装置13から供給される電源DC、制御信号SCをアンテナ切換部16に出力する。またアンテナ切換部16により選択されたアンテナ12A〜12Nで受信される無線通信波RFを伝送路14に出力する。これによりこの基地局11では、本体装置13による制御により、所望のアンテナ12A〜12Nを選択的に使用してデータ通信するようになされている。
【0023】
本体装置13において、帯域分割回路18は、伝送路14を帯域分割する回路であり、この伝送路14を介してアンテナ装置12に電源DC、制御信号SCを出力する。また伝送路14から入力される無線通信波RFを受信部19に出力する。
【0024】
受信部19は、帯域分割回路18から入力される無線通信波RFを処理して各情報端末装置から送出されたデータを復調し、このデータをネットワークに送出する。
【0025】
アンテナ選択回路20は、この受信部19における受信結果により、アンテナ装置12においてデータの受信に適したアンテナを検出し、この検出結果に基づいて制御回路21にアンテナの切り換えを指示する。具体的に、アンテナ選択回路20は、アンテナ装置12で順次アンテナ12A〜12Nを選択するように、所定のタイミングで、制御回路21にアンテナの切り換えを指示し、これにより各情報端末装置毎に各アンテナ12A〜12Nによる受信電力を検出する。アンテナ選択回路20は、このようにして検出した検出結果に基づいて、各情報端末装置とのデータ通信の際に、最も受信電力の大きなアンテナを選択するように、制御回路21にアンテナの切り換えを指示する。
【0026】
これにより制御回路21は、このアンテナ選択回路20の指示に基づいて制御信号SCを生成し、この制御信号SCをアンテナ切換部16の電源DCと共に帯域分割回路18に出力する。
【0027】
これらによりこの基地局11では、無線通信波RFの送受と、電源DC及び制御信号SCの伝送とで1つの伝送路14を共用して、データ通信するようになされている。
【0028】
図1は、この本体装置13側の帯域分割回路18を示す接続図である。帯域分割回路18は、所定誘電率による基板の裏面がアース面に設定され、この基板の表面に所定幅Wによりマイクロストリップライン25が形成される。これにより帯域分割回路18は、このマイクロストリップライン25により伝送路14にインピーダンス整合してなる定インピーダンス線路が形成され、このマイクロストリップライン25の両端がそれぞれ伝送路14、受信部19に接続されるようになされている。
【0029】
帯域分割回路18は、このマイクロストリップライン25の途中に、無線通信波RFの波長による1/4波長のスタブ26が作成され、これによりこのマイクロストリップライン25による定インピーダンス線路を分岐する1/4波長線路が形成されるようになされている。
【0030】
また帯域分割回路18は、このスタブ26が、コンデンサC1による容量性リアクタンスにより終端され、これにより1/4波長のスタブ26によりショートスタブを形成し、1/4波長のスタブ26側には無線通信波が漏出しないようになされている。
【0031】
すなわち図3に示すように、このようなマイクロストリップライン25にスタブ26を形成した場合、マイクロストリップライン25側からスタブ26を見たインピーダンスZinにおいては、次式により表すことができる。なおここでZはスタブ終端側から見たインピーダンス、Zo は特性インピーダンス、βは位相定数であり、2π/λである。またleはスタブ26の長さである。
【0032】
【数1】
【0033】
ここでこの場合、スタブ26においては、終端されていることにより、Z=0であり、これを(1)式に代入すると、次式を得ることができる。
【0034】
【数2】
【0035】
またスタブ26においては、le=λ/4であることから、le=λ/4、位相定数β=2π/λを(2)式に代入すると、次式を得ることができ、これによりマイクロストリップライン25側からスタブ26を見たインピーダンスZinにあっては、極めて大きな値に設定することができ、スタブ26側への無線通信波の漏出を防止できることが判る。
【0036】
【数3】
【0037】
帯域分割回路18は、このスタブ26の終端側にコイルL1が設けられ、このコイルL1による並列共振回路を介して電源DC及び制御信号SCが入力される。具体的に、帯域分割回路18は、コイルL1の他端がコンデンサC2により接地され、このコイルL1の他端に、コイルL2を介して電源DCが供給され、またコンデンサC3を介して制御信号SCが供給される。
【0038】
帯域分割回路18は、このようにコイルL1の両端を接地するコンデンサC1、C2と、コイルL1とが、無線通信波RFに対して並列共振回路を構成し、かつ制御信号SCを効率良くアンテナ装置12側に伝送し得るように、これらコイルL1、コンデンサC1、C2の値が選定される。帯域分割回路18は、この並列共振回路によっても、さらに一段と無線通信波の漏出を防止するようになされている。
【0039】
すなわちコンデンサC1、C2の合成容量C0、並列共振回路の共振周波数f0においては、次式により表される。
【0040】
【数4】
【数5】
【0041】
ここでC1<C2の条件により制御信号SCの減衰を防止して、無線通信波RFが周波数2.4〔GHz〕であることにより(この場合、波長λは、0.125〔m〕(=3×108 〔m/sec〕/2.4×109 〔Hz〕)である)、C1=2.2〔pF〕、C2=20〔pF〕として、合成容量Coを2.0〔pF〕に設定すると、(5)式によりコイルL1のインダクタンス約2.2〔nH〕を求めることができる。
【0042】
なおこの場合、制御信号SCのクロック周波数を5〔MHz〕とすると、コンデンサC1、C2によるリアクタンスにおいては、次式により表し得、これにより制御信号SCの伝送には殆ど影響を及ぼさないことが判る。
【0043】
【数6】
【0044】
帯域分割回路18は、このようにして共振回路に電源DC及び制御信号SCを供給して、相互に影響を与えないように、また効率良く電源DC及び制御信号SCを伝送し得るように、コンデンサC3、コイルL2が選定される。すなわちコイルL2においては、制御信号SCによる制御回路21への影響を有効に回避し得るように、この実施の形態では、インダクタンスが47〔μH〕に設定される。なおこの場合、リアクタンスXL は、2πfL2により表し得、制御信号SCのクロック周波数5〔MHz〕においては、1.5〔kΩ〕となり、これによりコイルL2を介した制御回路21側への制御信号SCの流入については、十分に防止できることが判る。
【0045】
さらに帯域分割回路18は、マイクロストリップライン25において、スタブ26による分岐点にPINダイオードD1が接続され、このPINダイオードD1が抵抗R1、コンデンサC4により接地される。これにより帯域分割回路18は、電源DCの供給によりバイアスされた状態で、制御信号SCの信号レベルが立ち上がってマイクロストリップライン25における電位が上昇すると、無線通信波RFの周波数帯域において、スタブ26による分岐点を接地するようになされている。
【0046】
しかしてこのようにスタブ26による分岐点側を接地すると、コンデンサC1側から見てスタブ26はショートスタブとなり、コンデンサC1側から見たインピーダンスは極めて高い値となる。これにより制御信号SCの伝送においては、効率良く伝送することができる。またマイクロストリップライン25自体においては、無線通信波の周波数帯域において線路が接地状態となることにより、無線通信波を伝送し得なくなる。
【0047】
これにより図4(A)及び(B)に示すように、この実施の形態では、制御回路21からの制御信号SCの出力により、マイクロストリップライン25の電位が上昇している期間の間、マイクロストリップライン25における無線通信波RFの伝送を停止し、また制御信号SCを効率良く伝送し、この制御信号SCの出力によりアンテナ切換部16によるアンテナ12A〜12Nを切り換えた後において、効率良く無線通信波RFを伝送するようになされている。
【0048】
これに対して図5は、アンテナ12A〜12N側の帯域分割回路17を示す接続図である。この帯域分割回路17においては、コンデンサC3、コイルL2を介して制御信号SC、電源DCをアンテナ切換部16に出力する点、スタブ26による分岐点を接地する構成が省略されている点、マイクロストリップライン25の入出力が異なる点を除いて、本体装置13側の帯域分割回路18と同一に構成される。
【0049】
これによりこの実施の形態において、本体装置13は、伝送路14により接続されたアンテナ12A〜12Nを介して少なくとも無線通信波を受信して処理するデータ通信装置を構成し、この伝送路に接続された定インピーダンス線路25と、定インピーダンス線路25を分岐する1/4波長線路26と、1/4波長線路26を終端して、1/4波長線路26によるショートスタブを形成する容量性リアクタンスC1と、容量性リアクタンスC1とで並列共振回路を形成する誘導性リアクタンスL1とを備え、この定インピーダンス線路25を介して、アンテナ12A〜12Nで受信した無線通信波を受信して処理し、並列共振回路を介して、アンテナ12A〜12Nの駆動に必要な電源DCを供給するようになされている。
【0050】
またアンテナ装置12においては、伝送路14を介してアンテナ12A〜12Nで受信した無線通信波を本体装置13に送出するデータ通信装置を構成し、アンテナ12A〜12N及び伝送路14間に介挿された定インピーダンス線路25と、定インピーダンス線路25を分岐する1/4波長線路26と、1/4波長線路26を終端して、1/4波長線路26によるショートスタブを形成する容量性リアクタンスC1と、容量性リアクタンスC1とで並列共振回路を形成する誘導性リアクタンスL1とを備え、定インピーダンス線路25を介して、アンテナ12A〜12Nで受信した無線通信波を伝送路14に送出し、並列共振回路を介して、アンテナ12A〜12Nの駆動に必要な電源DCの供給を受けるようになされている。
【0051】
また本体装置13側の帯域分割回路18は、高周波信号である無線通信波を伝送する伝送路14を介して電源DC、無線通信波に比して周波数の低い低周波信号である制御信号SCを伝送する電源供給回路、信号伝送回路を構成し、並列共振回路を介して電源DC、制御信号SCを伝送する。これに対して、アンテナ装置12側の帯域分割回路は、高周波信号伝送路14を介して受信される電源DC、無線通信波に比して周波数の低い低周波信号である制御信号SCを受ける電源供給回路、信号伝送回路を構成し、並列共振回路を介して電源DC、制御信号SCの供給を受けるようになされている。
【0052】
(2)実施の形態の動作
以上の構成において、この基地局11(図2)では、アンテナ装置12が設置されてなる箇所の情報端末装置から送信された無線通信波RFがアンテナ装置12側で受信され、この無線通信波RFが伝送路14を介して本体装置13に伝送される。またこの本体装置13でこの無線通信波RFが処理されて情報端末装置から無線通信波RFにより送出されたデータが復調され、このデータがネットワークに送出される。
【0053】
基地局11では、このようにして無線通信波を伝送路14で伝送する際に、本体装置13の制御回路21で電源DC、制御信号SCが生成され、これら電源DC、制御信号SCが伝送路14によりアンテナ装置12に伝送され、このアンテナ装置12のアンテナ切換部16がこの伝送された電源DCにより動作して、制御信号SCに応じて伝送路14に接続するアンテナ12A〜12Nを切り換える。基地局11では、この制御信号SCによる遠隔制御によるアンテナの切り換えが、アンテナ選択回路20の制御により、所定のタイミングで順次循環的に実行されて、各情報端末装置で最も受信電力が大きくなるアンテナ12A〜12Nが検出される。またこのようにして検出したアンテナ12A〜12Nにより対応する情報端末装置との間でデータ通信するように、アンテナ12A〜12Nが切り換えられる。これによりこの基地局11では、スペースダイバーシティーの手法を適用して確実にデータ通信できるようになされている。
【0054】
このようにして伝送路14を無線通信波RF、電源DC、制御信号SCの伝送に共用するにつき、基地局11では(図1)、伝送路14とインピーダンス整合してなる定インピーダンス線路であるマイクロストリップライン25を介して無線通信波が伝送される。またこのマイクロストリップライン25に設けられた1/4波長線路であるスタブ26によりマイクロストリップライン25が分岐され、このスタブ26が容量性リアクタンスであるコンデンサC1により接地され、これにより無線通信波RFのスタブ26側への漏出が低減される。またコイルL1、コンデンサC2によりこのコンデンサC1との間で並列共振回路が構成され、この並列共振回路を介して電源DC、制御信号SCが定インピーダンス線路に供給される。
【0055】
これによりこの基地局11では、ショートスタブと並列共振回路との2段の構成により、定インピーダンス線路を伝送する無線通信波RFと、電源DC、制御信号SCとを帯域分離し、これにより少ない挿入損失で高いアイソレーションを確保することができる。また1段目の構成がショートスタブであり、このようなショートスタブと並列共振回路との2段の構成において、定インピーダンス線路を分岐するスタブを容量性リアクタンスにより接地してショートスタブが作成され、この容量性リアクタンスを利用して並列共振回路が作成されることにより、簡易な構成で帯域分離することができ、これらにより従来に比して挿入損失を低減し、簡易な構成により伝送路を共用することができる。
【0056】
基地局11では、このようにして構成されるショートスタブ26による分岐点にPINダイオードD1が接続され、電源DCが供給された状態で、制御信号SCの信号レベルが立ち上がって、定インピーダンス線路25の電位が立ち上がると、このPINダイオードD1がオン状態に切り換わり、この分岐点がコンデンサC4により接地される。これによりこの基地局11では(図4)、制御信号SCの出力によりアンテナ12A〜12Nを切り換えている期間の間、無線通信波RFの伝送が一時停止され、制御信号SCを確実にアンテナ装置12に伝送してアンテナが切り換えられる。
【0057】
これに対してアンテナ装置12側においては(図5)、同様の定インピーダンス線路をスタブにより分岐し、このスタブを容量性リアクタンスにより接地してショートスタブを形成すると共に、この容量性リアクタンスを用いて並列共振回路を形成し、この並列共振回路を介して本体装置13から伝送された電源DC、制御信号SCをアンテナ切換部16に供給することにより、本体装置13側と同様に、従来に比して挿入損失を低減し、簡易な構成により伝送路を共用することができる。
【0058】
(3)実施の形態の効果
以上の構成によれば、定インピーダンス線路を分岐するスタブを容量性リアクタンスにより接地してショートスタブを構成すると共に、この容量性リアクタンスを利用して並列共振回路を構成し、この並列共振回路を介して電源、制御信号を供給し、またこの並列共振回路を介して電源、制御信号の供給を受けることにより、従来に比して挿入損失を低減し、簡易な構成により伝送路を共用することができる。
【0059】
(4)他の実施の形態
なお上述の実施の形態においては、アンテナで受信した無線通信波を伝送して処理する場合について述べたが、無線通信波をアンテナに伝送して送信する場合、無線通信波を送受する場合に広く適用することができる。
【0060】
また上述の実施の形態においては、本体装置側の帯域分割回路についてのみPINダイオードD1に係る構成を設ける場合について述べたが、本発明はこれに限らず、アンテナ装置側に設けるようにしてもよく、アンテナ装置側、本体装置側の双方に設けるようにしてもよい。
【0061】
また上述の実施の形態においては、マイクロストリップラインにより定インピーダンス線路、スタブを構成する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば図6に示すように、同軸ケーブルにより定インピーダンス線路、スタブを構成するようにしてもよい。
【0062】
また上述の実施の形態においては、制御信号によりアンテナを切り換えて指向性を切り換える場合について述べたが、本発明はこれに限らず、偏波面の切り換え等にも広く適用することができる。
【0063】
また上述の実施の形態においては、電源及び制御信号を無線通信波と共に伝送する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、電源のみ、制御信号のみを無線通信波と共に伝送する場合、さらには伝送路を伝送する高周波信号に対して、周波数の低い低周波信号の伝送に伝送路を共用する場合に広く適用することができる。なおこのような電源のみの共用化にあっては、例えば衛生放送受信システムにおいて、アンテナ直下に配置したダウンコンバータへの電源の供給に適用することができる。またこのような低周波信号の伝送にあっては、例えばベースバンドによる映像信号、音声信号等の伝送に適用することができる。
【0064】
また上述の実施の形態においては、アンテナ装置と本体装置との間で無線通信波を伝送する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、無線通信波のみならず、種々の機器間で高周波信号を伝送する場合に広く適用することができる。
【0065】
【発明の効果】
上述のように本発明によれば、定インピーダンス線路を分岐するスタブを容量性リアクタンスにより接地してショートスタブを構成すると共に、この容量性リアクタンスを利用して並列共振回路を構成し、この並列共振回路を介して電源、制御信号等を供給し、またこの並列共振回路を介して電源、制御信号等の供給を受けることにより、従来に比して挿入損失を低減し、簡易な構成により伝送路を共用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る通信システムに適用される帯域分割回路を示す接続図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る通信システムを示すブロック図である。
【図3】図1の帯域分割回路におけるスタブの説明に供する略線図である。
【図4】図1の帯域分割回路による動作の説明に供するタイムチャートである。
【図5】図2の通信システムのアンテナ装置側の帯域分割回路を示す接続図である。
【図6】他の実施の形態に係る定インピーダンス線路及びスタブを示す斜視図である。
【図7】従来の帯域分割の説明に供する略線図である。
【符号の説明】
1、14……伝送路、11……無線通信システム、12……アンテナ装置、13……本体装置、17、18……帯域分割回路、25……マイクロストリップライン、26……スタブ、C1〜C4……コンデンサ、L1、L2……コイル、D1……PINダイオード、R1……抵抗
【発明の属する技術分野】
本発明は、データ通信装置、電源供給回路及び信号伝送回路に関し、例えば無線通信によるデータ通信の基地局に適用することができる。本発明は、定インピーダンス線路を分岐するスタブを容量性リアクタンスにより接地してショートスタブを形成すると共に、この容量性リアクタンスを利用して並列共振回路を構成し、この並列共振回路を介して電源、制御信号等を供給し、またこの並列共振回路を介して電源、制御信号等の供給を受けることにより、従来に比して挿入損失を低減し、簡易な構成により伝送路を共用することができるようにする。
【0002】
【従来の技術】
従来、ISDN(Integrated Services Digital Network )、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)等のデータ通信においては、伝送路を帯域分割してデータの伝送に割り当てることにより、音声信号による電話回線の伝送路をデータの伝送に共用するようになされている。
【0003】
すなわちこの種のデータ伝送においては、図7に示すように、同軸ケーブル等による伝送路1の一端に、音声信号の周波数帯域を通過帯域に設定してなるローパスフィルタ回路2と、このローパスフィルタ回路2の通過帯域を遮断周波数帯域に設定してなるハイパスフィルタ回路3とが設けられる。また伝送路1の他端に、同様のローパスフィルタ回路4及びハイパスフィルタ回路5が設けられ、これらローパスフィルタ回路2、4及びハイパスフィルタ回路3、5により伝送路1を帯域分割するようになされている。ISDN等においては、このようなローパスフィルタ回路及びハイパスフィルタ回路がディスクリート部品により構成されるようになされている。
【0004】
これに対して無線通信の分野においては、例えば特開2001−148647号公報において、周波数特性評価法により通信状態の良好なアンテナを検出してアンテナを切り換えることにより、スペースダイバーシティの手法を適用して安定な受信状態を確保する方法が提案されるようになされている。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−148647号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところでこのようなスペースダイバーシティによるデータ通信においては、アンテナを切り換える制御信号をアンテナ側に伝送することが必要であり、このようにアンテナで受信した無線通信波と制御信号との伝送においては、いわゆるマルチラインケーブルを使用する方法がある。しかしながらこのようなマルチラインケーブルにあっては、同軸ケーブル等に比して汎用性に欠ける欠点がある。
【0007】
これによりこのような無線通信波の伝送に供する伝送路を帯域分割して、制御信号の伝送に共用することが考えられる。すなわち図7について上述したローパスフィルタ回路2、4及びハイパスフィルタ回路3、5を用いて伝送路を帯域分割することにより、無線通信波と制御信号との伝送を1つの伝送路で共用する方法である。しかしてこのような伝送路の帯域分割においては、信号間の相互干渉を防止するためにローパスフィルタ回路による帯域とハイパスフィルタ回路による帯域とでアイソレーションを高くすることが必要であり、このためにはローパスフィルタ回路及びハイパスフィルタ回路を多段により構成して帯域制限減衰特性を急峻にすることが必要になる。しかしながらこのようにすると従来のディスクリート部品による構成によっては、構成が煩雑になり、さらには挿入損失が増大する問題がある。
【0008】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、従来に比して挿入損失を低減し、簡易な構成により伝送路を共用することができるデータ通信装置、電源供給回路及び信号伝送回路を提案しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため請求項1の発明においては、伝送路により接続されたアンテナを介して少なくとも無線通信波を受信して処理するデータ通信装置に適用して、伝送路に接続された定インピーダンス線路と、定インピーダンス線路を分岐する1/4波長線路と、1/4波長線路を終端して、1/4波長線路によるショートスタブを形成する容量性リアクタンスと、容量性リアクタンスとで並列共振回路を形成する誘導性リアクタンスとを備え、定インピーダンス線路を介して、アンテナで受信した無線通信波を受信して処理し、並列共振回路を介して、アンテナの駆動に必要な電源を供給する。
【0010】
また請求項4の発明においては、伝送路を介してアンテナで受信した無線通信波を本体装置に送出するデータ通信装置に適用して、アンテナ及び伝送路間に介挿された定インピーダンス線路と、定インピーダンス線路を分岐する1/4波長線路と、1/4波長線路を終端して、1/4波長線路によるショートスタブを形成する容量性リアクタンスと、容量性リアクタンスとで並列共振回路を形成する誘導性リアクタンスとを備え、定インピーダンス線路を介して、アンテナで受信した無線通信波を伝送路に送出し、並列共振回路を介して、アンテナの駆動に必要な電源の供給を受ける。
【0011】
また請求項7の発明においては、高周波信号を伝送する伝送路を介して電源を伝送する電源供給回路に適用して、伝送路に接続された定インピーダンス線路と、定インピーダンス線路を分岐する1/4波長線路と、1/4波長線路を終端して、1/4波長線路によるショートスタブを形成する容量性リアクタンスと、容量性リアクタンスとで並列共振回路を形成する誘導性リアクタンスとを備え、並列共振回路を介して、電源を供給する。
【0012】
また請求項8の発明においては、高周波信号を伝送する伝送路を介して電源の供給を受ける電源供給回路に適用して、伝送路に接続された定インピーダンス線路と、定インピーダンス線路を分岐する1/4波長線路と、1/4波長線路を終端して、1/4波長線路によるショートスタブを形成する容量性リアクタンスと、容量性リアクタンスとで並列共振回路を形成する誘導性リアクタンスとを備え、並列共振回路を介して、電源の供給を受ける。
【0013】
また請求項9の発明においては、高周波信号を伝送する伝送路を介して高周波信号に比して周波数の低い低周波信号を伝送する信号伝送回路に適用して、伝送路に接続された定インピーダンス線路と、定インピーダンス線路を分岐する1/4波長線路と、1/4波長線路を終端して、1/4波長線路によるショートスタブを形成する容量性リアクタンスと、容量性リアクタンスとで並列共振回路を形成する誘導性リアクタンスとを備え、並列共振回路を介して、低周波信号を伝送する。
【0014】
また請求項10の発明においては、高周波信号の伝送路を介して伝送される高周波信号に比して周波数の低い低周波信号を受信する信号伝送回路に適用して、伝送路に接続された定インピーダンス線路と、定インピーダンス線路を分岐する1/4波長線路と、1/4波長線路を終端して、1/4波長線路によるショートスタブを形成する容量性リアクタンスと、容量性リアクタンスとで並列共振回路を形成する誘導性リアクタンスとを備え、並列共振回路を介して、低周波信号を受信する。
【0015】
請求項1の構成によれば、伝送路により接続されたアンテナを介して少なくとも無線通信波を受信して処理するデータ通信装置に適用して、伝送路に接続された定インピーダンス線路と、定インピーダンス線路を分岐する1/4波長線路と、1/4波長線路を終端して、1/4波長線路によるショートスタブを形成する容量性リアクタンスと、容量性リアクタンスとで並列共振回路を形成する誘導性リアクタンスとを備え、定インピーダンス線路を介して、アンテナで受信した無線通信波を受信して処理し、並列共振回路を介して、アンテナの駆動に必要な電源を供給することにより、ショートスタブ、並列共振回路により十分なアイソレーションを確保して無線通信波を効率良く伝送し、また電源を効率良く伝送し得、これらにより従来に比して挿入損失を低減し、簡易な構成により無線通信波の伝送と電源の伝送とで伝送路を共用することができる。
【0016】
これにより請求項4の構成によれば、伝送路を介してアンテナで受信した無線通信波を本体装置に送出するデータ通信装置に適用して、従来に比して挿入損失を低減し、簡易な構成により無線通信波の伝送と電源の伝送とで伝送路を共用することができる。
【0017】
また請求項7、請求項8の構成によれば、高周波信号を伝送する伝送路を介して電源を伝送する電源供給回路、高周波信号を伝送する伝送路を介して電源の供給を受ける電源供給回路に適用して、従来に比して挿入損失を低減し、簡易な構成により高周波信号の伝送と電源の伝送とで伝送路を共用することができる。
【0018】
また請求項9、請求項10の構成によれば、高周波信号を伝送する伝送路を介して高周波信号に比して周波数の低い低周波信号を伝送する信号伝送回路に適用して、高周波信号の伝送路を介して伝送される高周波信号に比して周波数の低い低周波信号を受信する信号伝送回路に適用して、従来に比して挿入損失を低減し、簡易な構成により高周波信号の伝送と低周波信号の伝送とで伝送路を共用することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、適宜図面を参照しながら本発明の実施の形態を詳述する。
【0020】
(1)実施の形態の構成
図2は、本発明の実施の形態に係る無線通信システムの基地局を示すブロック図である。この基地局11は、2.4〔GHz〕の周波数帯域を用いた無線通信によるデータ通信システムである無線LAN(Local Area Network)の基地局であり、図示しないパソコン等の情報端末装置からのデータを受信してインターネット等のネットワークに送出する。
【0021】
このためこの基地局11は、このような情報端末装置の集中する部屋の天井等の、無線通信による障害物の少ない箇所にアンテナ装置12が設けられ、このアンテナ装置12により高周波信号である無線通信波RFを用いて情報端末装置からのデータを受信する。またネットワークへの接続に好適な箇所に本体装置13が設けられ、この本体装置13とアンテナ装置12とが同軸ケーブルによる伝送路14により接続され、この本体装置13がネットワークに接続される。基地局11は、この本体装置13によりネットワークとの間でデータを送受し、またこの本体装置13により伝送路14、アンテナ装置12を介して情報端末装置から取得したデータを送出する。
【0022】
ここでアンテナ装置12は、異なる方向に指向性を有する複数のアンテナ12A〜12Nが設けられ、アンテナ切換部16は、帯域分割回路17から供給される電源DCにより動作して、同様に帯域分割回路17から出力される制御信号SCにより、これら複数のアンテナ12A〜12Nを選択的に帯域分割回路17に接続する。ここで帯域分割回路17は、伝送路14を帯域分割する回路であり、伝送路14を介して本体装置13から供給される電源DC、制御信号SCをアンテナ切換部16に出力する。またアンテナ切換部16により選択されたアンテナ12A〜12Nで受信される無線通信波RFを伝送路14に出力する。これによりこの基地局11では、本体装置13による制御により、所望のアンテナ12A〜12Nを選択的に使用してデータ通信するようになされている。
【0023】
本体装置13において、帯域分割回路18は、伝送路14を帯域分割する回路であり、この伝送路14を介してアンテナ装置12に電源DC、制御信号SCを出力する。また伝送路14から入力される無線通信波RFを受信部19に出力する。
【0024】
受信部19は、帯域分割回路18から入力される無線通信波RFを処理して各情報端末装置から送出されたデータを復調し、このデータをネットワークに送出する。
【0025】
アンテナ選択回路20は、この受信部19における受信結果により、アンテナ装置12においてデータの受信に適したアンテナを検出し、この検出結果に基づいて制御回路21にアンテナの切り換えを指示する。具体的に、アンテナ選択回路20は、アンテナ装置12で順次アンテナ12A〜12Nを選択するように、所定のタイミングで、制御回路21にアンテナの切り換えを指示し、これにより各情報端末装置毎に各アンテナ12A〜12Nによる受信電力を検出する。アンテナ選択回路20は、このようにして検出した検出結果に基づいて、各情報端末装置とのデータ通信の際に、最も受信電力の大きなアンテナを選択するように、制御回路21にアンテナの切り換えを指示する。
【0026】
これにより制御回路21は、このアンテナ選択回路20の指示に基づいて制御信号SCを生成し、この制御信号SCをアンテナ切換部16の電源DCと共に帯域分割回路18に出力する。
【0027】
これらによりこの基地局11では、無線通信波RFの送受と、電源DC及び制御信号SCの伝送とで1つの伝送路14を共用して、データ通信するようになされている。
【0028】
図1は、この本体装置13側の帯域分割回路18を示す接続図である。帯域分割回路18は、所定誘電率による基板の裏面がアース面に設定され、この基板の表面に所定幅Wによりマイクロストリップライン25が形成される。これにより帯域分割回路18は、このマイクロストリップライン25により伝送路14にインピーダンス整合してなる定インピーダンス線路が形成され、このマイクロストリップライン25の両端がそれぞれ伝送路14、受信部19に接続されるようになされている。
【0029】
帯域分割回路18は、このマイクロストリップライン25の途中に、無線通信波RFの波長による1/4波長のスタブ26が作成され、これによりこのマイクロストリップライン25による定インピーダンス線路を分岐する1/4波長線路が形成されるようになされている。
【0030】
また帯域分割回路18は、このスタブ26が、コンデンサC1による容量性リアクタンスにより終端され、これにより1/4波長のスタブ26によりショートスタブを形成し、1/4波長のスタブ26側には無線通信波が漏出しないようになされている。
【0031】
すなわち図3に示すように、このようなマイクロストリップライン25にスタブ26を形成した場合、マイクロストリップライン25側からスタブ26を見たインピーダンスZinにおいては、次式により表すことができる。なおここでZはスタブ終端側から見たインピーダンス、Zo は特性インピーダンス、βは位相定数であり、2π/λである。またleはスタブ26の長さである。
【0032】
【数1】
【0033】
ここでこの場合、スタブ26においては、終端されていることにより、Z=0であり、これを(1)式に代入すると、次式を得ることができる。
【0034】
【数2】
【0035】
またスタブ26においては、le=λ/4であることから、le=λ/4、位相定数β=2π/λを(2)式に代入すると、次式を得ることができ、これによりマイクロストリップライン25側からスタブ26を見たインピーダンスZinにあっては、極めて大きな値に設定することができ、スタブ26側への無線通信波の漏出を防止できることが判る。
【0036】
【数3】
【0037】
帯域分割回路18は、このスタブ26の終端側にコイルL1が設けられ、このコイルL1による並列共振回路を介して電源DC及び制御信号SCが入力される。具体的に、帯域分割回路18は、コイルL1の他端がコンデンサC2により接地され、このコイルL1の他端に、コイルL2を介して電源DCが供給され、またコンデンサC3を介して制御信号SCが供給される。
【0038】
帯域分割回路18は、このようにコイルL1の両端を接地するコンデンサC1、C2と、コイルL1とが、無線通信波RFに対して並列共振回路を構成し、かつ制御信号SCを効率良くアンテナ装置12側に伝送し得るように、これらコイルL1、コンデンサC1、C2の値が選定される。帯域分割回路18は、この並列共振回路によっても、さらに一段と無線通信波の漏出を防止するようになされている。
【0039】
すなわちコンデンサC1、C2の合成容量C0、並列共振回路の共振周波数f0においては、次式により表される。
【0040】
【数4】
【数5】
【0041】
ここでC1<C2の条件により制御信号SCの減衰を防止して、無線通信波RFが周波数2.4〔GHz〕であることにより(この場合、波長λは、0.125〔m〕(=3×108 〔m/sec〕/2.4×109 〔Hz〕)である)、C1=2.2〔pF〕、C2=20〔pF〕として、合成容量Coを2.0〔pF〕に設定すると、(5)式によりコイルL1のインダクタンス約2.2〔nH〕を求めることができる。
【0042】
なおこの場合、制御信号SCのクロック周波数を5〔MHz〕とすると、コンデンサC1、C2によるリアクタンスにおいては、次式により表し得、これにより制御信号SCの伝送には殆ど影響を及ぼさないことが判る。
【0043】
【数6】
【0044】
帯域分割回路18は、このようにして共振回路に電源DC及び制御信号SCを供給して、相互に影響を与えないように、また効率良く電源DC及び制御信号SCを伝送し得るように、コンデンサC3、コイルL2が選定される。すなわちコイルL2においては、制御信号SCによる制御回路21への影響を有効に回避し得るように、この実施の形態では、インダクタンスが47〔μH〕に設定される。なおこの場合、リアクタンスXL は、2πfL2により表し得、制御信号SCのクロック周波数5〔MHz〕においては、1.5〔kΩ〕となり、これによりコイルL2を介した制御回路21側への制御信号SCの流入については、十分に防止できることが判る。
【0045】
さらに帯域分割回路18は、マイクロストリップライン25において、スタブ26による分岐点にPINダイオードD1が接続され、このPINダイオードD1が抵抗R1、コンデンサC4により接地される。これにより帯域分割回路18は、電源DCの供給によりバイアスされた状態で、制御信号SCの信号レベルが立ち上がってマイクロストリップライン25における電位が上昇すると、無線通信波RFの周波数帯域において、スタブ26による分岐点を接地するようになされている。
【0046】
しかしてこのようにスタブ26による分岐点側を接地すると、コンデンサC1側から見てスタブ26はショートスタブとなり、コンデンサC1側から見たインピーダンスは極めて高い値となる。これにより制御信号SCの伝送においては、効率良く伝送することができる。またマイクロストリップライン25自体においては、無線通信波の周波数帯域において線路が接地状態となることにより、無線通信波を伝送し得なくなる。
【0047】
これにより図4(A)及び(B)に示すように、この実施の形態では、制御回路21からの制御信号SCの出力により、マイクロストリップライン25の電位が上昇している期間の間、マイクロストリップライン25における無線通信波RFの伝送を停止し、また制御信号SCを効率良く伝送し、この制御信号SCの出力によりアンテナ切換部16によるアンテナ12A〜12Nを切り換えた後において、効率良く無線通信波RFを伝送するようになされている。
【0048】
これに対して図5は、アンテナ12A〜12N側の帯域分割回路17を示す接続図である。この帯域分割回路17においては、コンデンサC3、コイルL2を介して制御信号SC、電源DCをアンテナ切換部16に出力する点、スタブ26による分岐点を接地する構成が省略されている点、マイクロストリップライン25の入出力が異なる点を除いて、本体装置13側の帯域分割回路18と同一に構成される。
【0049】
これによりこの実施の形態において、本体装置13は、伝送路14により接続されたアンテナ12A〜12Nを介して少なくとも無線通信波を受信して処理するデータ通信装置を構成し、この伝送路に接続された定インピーダンス線路25と、定インピーダンス線路25を分岐する1/4波長線路26と、1/4波長線路26を終端して、1/4波長線路26によるショートスタブを形成する容量性リアクタンスC1と、容量性リアクタンスC1とで並列共振回路を形成する誘導性リアクタンスL1とを備え、この定インピーダンス線路25を介して、アンテナ12A〜12Nで受信した無線通信波を受信して処理し、並列共振回路を介して、アンテナ12A〜12Nの駆動に必要な電源DCを供給するようになされている。
【0050】
またアンテナ装置12においては、伝送路14を介してアンテナ12A〜12Nで受信した無線通信波を本体装置13に送出するデータ通信装置を構成し、アンテナ12A〜12N及び伝送路14間に介挿された定インピーダンス線路25と、定インピーダンス線路25を分岐する1/4波長線路26と、1/4波長線路26を終端して、1/4波長線路26によるショートスタブを形成する容量性リアクタンスC1と、容量性リアクタンスC1とで並列共振回路を形成する誘導性リアクタンスL1とを備え、定インピーダンス線路25を介して、アンテナ12A〜12Nで受信した無線通信波を伝送路14に送出し、並列共振回路を介して、アンテナ12A〜12Nの駆動に必要な電源DCの供給を受けるようになされている。
【0051】
また本体装置13側の帯域分割回路18は、高周波信号である無線通信波を伝送する伝送路14を介して電源DC、無線通信波に比して周波数の低い低周波信号である制御信号SCを伝送する電源供給回路、信号伝送回路を構成し、並列共振回路を介して電源DC、制御信号SCを伝送する。これに対して、アンテナ装置12側の帯域分割回路は、高周波信号伝送路14を介して受信される電源DC、無線通信波に比して周波数の低い低周波信号である制御信号SCを受ける電源供給回路、信号伝送回路を構成し、並列共振回路を介して電源DC、制御信号SCの供給を受けるようになされている。
【0052】
(2)実施の形態の動作
以上の構成において、この基地局11(図2)では、アンテナ装置12が設置されてなる箇所の情報端末装置から送信された無線通信波RFがアンテナ装置12側で受信され、この無線通信波RFが伝送路14を介して本体装置13に伝送される。またこの本体装置13でこの無線通信波RFが処理されて情報端末装置から無線通信波RFにより送出されたデータが復調され、このデータがネットワークに送出される。
【0053】
基地局11では、このようにして無線通信波を伝送路14で伝送する際に、本体装置13の制御回路21で電源DC、制御信号SCが生成され、これら電源DC、制御信号SCが伝送路14によりアンテナ装置12に伝送され、このアンテナ装置12のアンテナ切換部16がこの伝送された電源DCにより動作して、制御信号SCに応じて伝送路14に接続するアンテナ12A〜12Nを切り換える。基地局11では、この制御信号SCによる遠隔制御によるアンテナの切り換えが、アンテナ選択回路20の制御により、所定のタイミングで順次循環的に実行されて、各情報端末装置で最も受信電力が大きくなるアンテナ12A〜12Nが検出される。またこのようにして検出したアンテナ12A〜12Nにより対応する情報端末装置との間でデータ通信するように、アンテナ12A〜12Nが切り換えられる。これによりこの基地局11では、スペースダイバーシティーの手法を適用して確実にデータ通信できるようになされている。
【0054】
このようにして伝送路14を無線通信波RF、電源DC、制御信号SCの伝送に共用するにつき、基地局11では(図1)、伝送路14とインピーダンス整合してなる定インピーダンス線路であるマイクロストリップライン25を介して無線通信波が伝送される。またこのマイクロストリップライン25に設けられた1/4波長線路であるスタブ26によりマイクロストリップライン25が分岐され、このスタブ26が容量性リアクタンスであるコンデンサC1により接地され、これにより無線通信波RFのスタブ26側への漏出が低減される。またコイルL1、コンデンサC2によりこのコンデンサC1との間で並列共振回路が構成され、この並列共振回路を介して電源DC、制御信号SCが定インピーダンス線路に供給される。
【0055】
これによりこの基地局11では、ショートスタブと並列共振回路との2段の構成により、定インピーダンス線路を伝送する無線通信波RFと、電源DC、制御信号SCとを帯域分離し、これにより少ない挿入損失で高いアイソレーションを確保することができる。また1段目の構成がショートスタブであり、このようなショートスタブと並列共振回路との2段の構成において、定インピーダンス線路を分岐するスタブを容量性リアクタンスにより接地してショートスタブが作成され、この容量性リアクタンスを利用して並列共振回路が作成されることにより、簡易な構成で帯域分離することができ、これらにより従来に比して挿入損失を低減し、簡易な構成により伝送路を共用することができる。
【0056】
基地局11では、このようにして構成されるショートスタブ26による分岐点にPINダイオードD1が接続され、電源DCが供給された状態で、制御信号SCの信号レベルが立ち上がって、定インピーダンス線路25の電位が立ち上がると、このPINダイオードD1がオン状態に切り換わり、この分岐点がコンデンサC4により接地される。これによりこの基地局11では(図4)、制御信号SCの出力によりアンテナ12A〜12Nを切り換えている期間の間、無線通信波RFの伝送が一時停止され、制御信号SCを確実にアンテナ装置12に伝送してアンテナが切り換えられる。
【0057】
これに対してアンテナ装置12側においては(図5)、同様の定インピーダンス線路をスタブにより分岐し、このスタブを容量性リアクタンスにより接地してショートスタブを形成すると共に、この容量性リアクタンスを用いて並列共振回路を形成し、この並列共振回路を介して本体装置13から伝送された電源DC、制御信号SCをアンテナ切換部16に供給することにより、本体装置13側と同様に、従来に比して挿入損失を低減し、簡易な構成により伝送路を共用することができる。
【0058】
(3)実施の形態の効果
以上の構成によれば、定インピーダンス線路を分岐するスタブを容量性リアクタンスにより接地してショートスタブを構成すると共に、この容量性リアクタンスを利用して並列共振回路を構成し、この並列共振回路を介して電源、制御信号を供給し、またこの並列共振回路を介して電源、制御信号の供給を受けることにより、従来に比して挿入損失を低減し、簡易な構成により伝送路を共用することができる。
【0059】
(4)他の実施の形態
なお上述の実施の形態においては、アンテナで受信した無線通信波を伝送して処理する場合について述べたが、無線通信波をアンテナに伝送して送信する場合、無線通信波を送受する場合に広く適用することができる。
【0060】
また上述の実施の形態においては、本体装置側の帯域分割回路についてのみPINダイオードD1に係る構成を設ける場合について述べたが、本発明はこれに限らず、アンテナ装置側に設けるようにしてもよく、アンテナ装置側、本体装置側の双方に設けるようにしてもよい。
【0061】
また上述の実施の形態においては、マイクロストリップラインにより定インピーダンス線路、スタブを構成する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば図6に示すように、同軸ケーブルにより定インピーダンス線路、スタブを構成するようにしてもよい。
【0062】
また上述の実施の形態においては、制御信号によりアンテナを切り換えて指向性を切り換える場合について述べたが、本発明はこれに限らず、偏波面の切り換え等にも広く適用することができる。
【0063】
また上述の実施の形態においては、電源及び制御信号を無線通信波と共に伝送する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、電源のみ、制御信号のみを無線通信波と共に伝送する場合、さらには伝送路を伝送する高周波信号に対して、周波数の低い低周波信号の伝送に伝送路を共用する場合に広く適用することができる。なおこのような電源のみの共用化にあっては、例えば衛生放送受信システムにおいて、アンテナ直下に配置したダウンコンバータへの電源の供給に適用することができる。またこのような低周波信号の伝送にあっては、例えばベースバンドによる映像信号、音声信号等の伝送に適用することができる。
【0064】
また上述の実施の形態においては、アンテナ装置と本体装置との間で無線通信波を伝送する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、無線通信波のみならず、種々の機器間で高周波信号を伝送する場合に広く適用することができる。
【0065】
【発明の効果】
上述のように本発明によれば、定インピーダンス線路を分岐するスタブを容量性リアクタンスにより接地してショートスタブを構成すると共に、この容量性リアクタンスを利用して並列共振回路を構成し、この並列共振回路を介して電源、制御信号等を供給し、またこの並列共振回路を介して電源、制御信号等の供給を受けることにより、従来に比して挿入損失を低減し、簡易な構成により伝送路を共用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る通信システムに適用される帯域分割回路を示す接続図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る通信システムを示すブロック図である。
【図3】図1の帯域分割回路におけるスタブの説明に供する略線図である。
【図4】図1の帯域分割回路による動作の説明に供するタイムチャートである。
【図5】図2の通信システムのアンテナ装置側の帯域分割回路を示す接続図である。
【図6】他の実施の形態に係る定インピーダンス線路及びスタブを示す斜視図である。
【図7】従来の帯域分割の説明に供する略線図である。
【符号の説明】
1、14……伝送路、11……無線通信システム、12……アンテナ装置、13……本体装置、17、18……帯域分割回路、25……マイクロストリップライン、26……スタブ、C1〜C4……コンデンサ、L1、L2……コイル、D1……PINダイオード、R1……抵抗
Claims (10)
- 伝送路により接続されたアンテナを介して少なくとも無線通信波を受信して処理するデータ通信装置であって、
前記伝送路に接続された定インピーダンス線路と、
前記定インピーダンス線路を分岐する1/4波長線路と、
前記1/4波長線路を終端して、前記1/4波長線路によるショートスタブを形成する容量性リアクタンスと、
前記容量性リアクタンスとで並列共振回路を形成する誘導性リアクタンスとを備え、
前記定インピーダンス線路を介して、前記アンテナで受信した無線通信波を受信して処理し、
前記並列共振回路を介して、前記アンテナの駆動に必要な電源を供給する
ことを特徴とするデータ通信装置。 - 前記並列共振回路を介して、前記アンテナの動作を制御する制御信号を供給する
ことを特徴とする請求項1に記載のデータ通信装置。 - 前記定インピーダンス線路における電位の変化により、前記無線通信波の周波数帯域において、前記1/4波長線路による前記定インピーダンス線路の分岐点を接地するダイオードを有する
ことを特徴とする請求項1に記載のデータ通信装置。 - 伝送路を介してアンテナで受信した無線通信波を本体装置に送出するデータ通信装置であって、
前記アンテナ及び伝送路間に介挿された定インピーダンス線路と、
前記定インピーダンス線路を分岐する1/4波長線路と、
前記1/4波長線路を終端して、前記1/4波長線路によるショートスタブを形成する容量性リアクタンスと、
前記容量性リアクタンスとで並列共振回路を形成する誘導性リアクタンスとを備え、
前記定インピーダンス線路を介して、前記アンテナで受信した無線通信波を前記伝送路に送出し、
前記並列共振回路を介して、前記アンテナの駆動に必要な電源の供給を受ける
ことを特徴とするデータ通信装置。 - 前記並列共振回路を介して、前記アンテナの動作を制御する制御信号の供給を受ける
ことを特徴とする請求項4に記載のデータ通信装置。 - 前記定インピーダンス線路における電位の変化により、前記無線通信波の周波数帯域において、前記1/4波長線路による前記定インピーダンス線路の分岐点を接地するダイオードを有する
ことを特徴とする請求項4に記載のデータ通信装置。 - 高周波信号を伝送する伝送路を介して電源を伝送する電源供給回路であって、
前記伝送路に接続された定インピーダンス線路と、
前記定インピーダンス線路を分岐する1/4波長線路と、
前記1/4波長線路を終端して、前記1/4波長線路によるショートスタブを形成する容量性リアクタンスと、
前記容量性リアクタンスとで並列共振回路を形成する誘導性リアクタンスとを備え、
前記並列共振回路を介して、前記電源を供給する
ことを特徴とする電源供給回路。 - 高周波信号を伝送する伝送路を介して電源の供給を受ける電源供給回路であって、
前記伝送路に接続された定インピーダンス線路と、
前記定インピーダンス線路を分岐する1/4波長線路と、
前記1/4波長線路を終端して、前記1/4波長線路によるショートスタブを形成する容量性リアクタンスと、
前記容量性リアクタンスとで並列共振回路を形成する誘導性リアクタンスとを備え、
前記並列共振回路を介して、前記電源の供給を受ける
ことを特徴とする電源供給回路。 - 高周波信号を伝送する伝送路を介して前記高周波信号に比して周波数の低い低周波信号を伝送する信号伝送回路であって、
前記伝送路に接続された定インピーダンス線路と、
前記定インピーダンス線路を分岐する1/4波長線路と、
前記1/4波長線路を終端して、前記1/4波長線路によるショートスタブを形成する容量性リアクタンスと、
前記容量性リアクタンスとで並列共振回路を形成する誘導性リアクタンスとを備え、
前記並列共振回路を介して、前記低周波信号を送出する
ことを特徴とする信号伝送回路。 - 高周波信号の伝送路を介して伝送される前記高周波信号に比して周波数の低い低周波信号を受信する信号伝送回路であって、
前記伝送路に接続された定インピーダンス線路と、
前記定インピーダンス線路を分岐する1/4波長線路と、
前記1/4波長線路を終端して、前記1/4波長線路によるショートスタブを形成する容量性リアクタンスと、
前記容量性リアクタンスとで並列共振回路を形成する誘導性リアクタンスとを備え、
前記並列共振回路を介して、前記低周波信号を受信する
ことを特徴とする信号伝送回路。
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CN107340416A (zh) * | 2017-08-28 | 2017-11-10 | 国网江西省电力公司电力科学研究院 | 一种配电网故障指示器lc调谐外施信号源 |
-
2003
- 2003-04-21 JP JP2003115173A patent/JP2004320669A/ja active Pending
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