JP2004316466A - 風力発電用ブレード - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、成形が容易で、高い風圧に対する耐性を有し、且つ軽量な風力発電用ブレードであって、小型風力発電(屋上設置型)の回転中に人間が接触して割れても怪我をせず、電波の反射による電波障害が発生しない風力発電用ブレードを提供する。
【解決手段】引張弾性率が5〜50GPaのポリオレフィン系樹脂延伸シートよりなる翼状断面の表層と、該表層に囲繞されている空間に充填されている、みかけ密度10〜500kg/m3 、圧縮弾性率5MPa以上である弾性体よりなる芯材からなることを特徴とする風力発電用ブレード。
【選択図】 なし
【解決手段】引張弾性率が5〜50GPaのポリオレフィン系樹脂延伸シートよりなる翼状断面の表層と、該表層に囲繞されている空間に充填されている、みかけ密度10〜500kg/m3 、圧縮弾性率5MPa以上である弾性体よりなる芯材からなることを特徴とする風力発電用ブレード。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、風力発電用ブレードに関する。
【0002】
【従来の技術】
風力発電用ブレードは、流線型の翼断面構造を有し、軽量であって金属よりも高い比強度や比弾性率が要求されるので、一般に、繊維強化樹脂(以下、FRPという)製のブレードが使用されている。
【0003】
FRP製の風力発電用ブレードとしては、ブレードの長手方向に多くの繊維を配列させ、ブレードの曲げ疲労による寿命の低下を防止するもの(例えば、特許文献1参照。)、ブレードの長手方向に配列する繊維に加え、長手方向と±45度乃至90度の方向に繊維を配列させた、等方性に近い疑似等方性の積層構成のもの(例えば、特許文献2参照。)等が提案されている。
【0004】
しかしながら、これら積層構造のブレードは、いずれも補強繊維の積層数の増大に伴い、風車全体が大型化して風車の発電効率は向上するが、重量や耐久性の点から見れば、軽量化、疲労寿命の向上に限界があるという問題があった。
【0005】
これらの問題を解決するために、水平方向の幅(W)と垂直方向の厚み(T)を有する繊維強化樹脂製の中空翼形状断面のブレードの内部に、桁材であるフランジ部が設けられた風車用ブレード構造体において、前記フランジ部は、(A)前記ブレードの断面の重心位置を中心に、水平方向に0.2〜0.5(W)の範囲内の幅(Wf)を有するとともに、(B)前炭素繊維強化樹脂層と、伸度が2〜6%の範囲内の高伸度繊維強化樹脂層とが交互に積層されてなる複合層で構成されており、かつ(C)該複合層の総厚み(2Tf)が、前記ブレードの厚み(T)の10〜30%の範囲内であることを特徴とする繊維強化樹脂製風車ブレード構造体が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平6−66244号公報
【特許文献2】
特開平3−271566号公報
【特許文献3】
特開2002−137307号公報
【0007】
しかしながら、上記のFRP製風力発電用ブレードは製造が困難であり、軽量且つ、比強度、比弾性率、風圧に対する耐性等の機械的強度が充分なものは得られず、又、ブレードの回転中に人間が接触すると外皮材が破損して怪我をするという欠点があった。更に、炭素繊維を使用したものでは電波の反射による電波障害が発生するという欠点があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、成形が容易で、高い風圧に対する耐性を有し、且つ軽量な風力発電用ブレードを提供することにあり、他の目的は、小型風力発電(屋上設置型)の回転中に人間が接触して割れても怪我をせず、電波の反射による電波障害が発生しない風力発電用ブレードを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の風力発電用ブレードは、引張弾性率が5〜50GPaのポリオレフィン系樹脂延伸シートよりなる翼状断面の表層と、該表層に囲曉されている空間に充填されている、みかけ密度10〜500kg/m3 、圧縮弾性率5MPa以上である弾性体よりなる芯材からなることを特徴とする。
【0010】
本発明で使用されるポリオレフィン系樹脂延伸シートは、風力発電用ブレードの表層を構成するので、その引張弾性率は小さすぎると風圧に対する耐性が低下し、逆にあまり大きいシートは延伸成形できなくなるので、5〜50GPaである。又、ポリオレフィン系樹脂延伸シートの引張破断伸びは、小さすぎると風力発電用ブレードが破損時に脆性破壊し、危険になり、大きくなると引張弾性率が高いものが得にくい傾向があるので3%以上20%未満が好ましい。
【0011】
尚、本発明において、引張弾性率及び引張破断伸びの測定は、JIS K7127に準拠し、チャック間100mm、引張速度100mm/分の条件で引張試験を行った。
【0012】
上記ポリオレフィン系樹脂延伸シートを構成するオレフィン系樹脂としては、フィルム形成能を有する任意のポリオレフィン系樹脂が使用でき、例えば、高密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、線状低密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ペンテン−1共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリブテン樹脂、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体等が挙げられ、高密度ポリエチレン樹脂が好適に使用される。
【0013】
高密度ポリエチレン樹脂の密度は小さくなると延伸しても機械的強度が向上しなくなるので、0.94g/cm3 以上が好ましい。又、高密度ポリエチレン樹脂の重量平均分子量は、小さくなり過ぎると延伸しても機械的強度があまり向上せず、大きくなり過ぎるとフィルム成形や延伸がしにくくなるので、20万〜50万が好ましく、メルトインデックス(MFR)はフィルム成形性が優れている0.1〜20が好ましく、より好ましくは0.2〜10である。
【0014】
上記ポリオレフィン系樹脂延伸シートは、引張弾性率が高く、引張強度等の機械的強度が高いものが好ましいので10〜40倍と高度に延伸されているのが好ましく、より好ましくは20〜35倍である。
【0015】
ポリオレフィン系樹脂延伸シートの延伸方法は従来公知の任意の方法が採用されてよいが、10〜40倍と高度に延伸する場合は、オレフィン系樹脂シートを圧延した後、延伸又は延伸を複数回繰り返す多段延伸する方法が好ましい。
【0016】
上記圧延は、ポリオレフィン系樹脂シートを一対の反対方向に回転するロールに供給し、押圧してシートの厚みを薄くすると共に伸長する方法であり、圧延されたシートは延伸シートとは異なり、オレフィン系樹脂が配向されることなく緻密になっているので、高度に延伸しやすくなっている。
【0017】
圧延温度は、低くなると均一に圧延できず、高くなると溶融切断するので、圧延する際のロール温度は、圧延するポリオレフィン系樹脂シートのポリオレフィン系樹脂の「融点−40℃」〜融点の範囲が好ましく、より好ましくは、ポリオレフィン系樹脂の「融点−30℃」〜「融点−5℃」である。
【0018】
尚、本発明において、融点とは示差走査型熱量測定機(DSC)で熱分析を行った際に認められる、結晶の融解に伴う吸熱ピークの最大点をいう。
【0019】
又、圧延倍率は小さいと後の延伸に負担がかかり、大きくするのは圧延が困難になるので4〜10倍が好ましい。尚、本発明において、圧延倍率及び延伸倍率は、圧延又は延伸前のシートの断面積を圧延又は延伸後のシートの断面積で徐した値である。
【0020】
上記延伸は、従来公知の任意の方法でよく、例えば、ロール延伸法、ゾーン延伸法により、ヒータや熱風により加熱しながら延伸する方法が挙げられる。
【0021】
延伸温度は、低くなると均一に延伸できず、高くなるとシートが溶融切断するので、延伸するポリオレフィン系樹脂シートのポリオレフィン系樹脂の「融点−60℃」〜融点の範囲が好ましく、より好ましくは、ポリオレフィン系樹脂の「融点−50℃」〜「融点−5℃」である。
【0022】
又、延伸倍率は、全体の延伸倍率を10〜40倍にするには、圧延倍率を考慮し、全体の延伸倍率がこの範囲にはいるように決定すればよいが、延伸が少ないと機械的強度が向上しないので、2倍以上が好ましく、より好ましくは3倍以上である。尚、全体の延伸倍率は圧延倍率と延伸倍率を乗じた数値である。
【0023】
上記ポリオレフィン系樹脂延伸シートは、薄くなると機械的強度が低下し、厚くなると、延伸方向に割れやすくなるため、その厚みは一般に0.05〜1mmであり、好ましくは0.1〜0.5mmである。
【0024】
上記ポリオレフィン系樹脂延伸シートは、断面形状が翼状の表層となされ、該表層に囲繞されている空間に芯材が充填されているが、ポリオレフィン系樹脂延伸シートの延伸方向と風力発電用ブレードの長さ方向が略同一なるように形成されるのが好ましい。又、表層は上記ポリオレフィン系樹脂延伸シート単体であってもよいし、ポリオレフィン系樹脂延伸シートが複数枚積層されていてもよい。
【0025】
又、表層に囲繞されている空間に芯材が充填されているが、上記ポリオレフィン系樹脂延伸シートと芯材とは接着されているのが好ましく、上記ポリオレフィン系樹脂延伸シート同士の接着及び上記ポリオレフィン系樹脂延伸シートと芯材とを接着する方法としては、従来公知の任意の積層方法が採用されてよく、例えば、ゴム系、アクリル系、ウレタン系、シリコン系等の接着剤や粘着剤で接着する方法、エチレンー酢酸ビニル共重合体、線状低密度ポリエチレン樹脂等のホットメルト型接着剤で接着する方法等が挙げられる。
【0026】
ホットメルト型接着剤で接着する際には、ホットメルト接着剤を溶融し、塗布しながら接着してもよいし、ホットメルト型接着剤シートを積層し、加熱加圧しながら接着してもよいが、加熱温度が高くなると、ポリオレフィン系樹脂延伸シートが収縮するようになるので、ポリオレフィン系樹脂延伸シートが実質的に熱収縮しない温度、即ち、ポリオレフィン系樹脂延伸シートを構成するポリオレフィン系樹脂の「融点−10℃」以下で接着されるのが好ましい。
【0027】
本発明で使用される弾性体は、表層に囲繞されている空間に芯材として充填されるものであり、その密度は小さすぎると風力発電用ブレードの剛性低下し風圧に耐え切れなくなり屈曲したり破断したりするようになり、大きすぎると重量増加し設置、運転コストが増加し、圧縮弾性率は小さすぎると風力発電用ブレードの剛性が低下し風圧に耐え切れなくなり屈曲したり破断したりするようになるのでみかけ密度は10〜500kg/m3 、圧縮弾性率は5MPa以上である。
【0028】
尚、本発明において、みかけ密度はJIS K6767に準拠して測定し、圧縮弾性率はJIS K7203に準拠し、圧縮速度1mm/分で測定した。
【0029】
上記弾性体としては、上記物性を有する任意の材料が使用可能であり、例えば、紡錘形のセルを有する発泡体、ハニカム構造発泡体、アクリル系樹脂発泡体、プラスチック段ボール等が挙げられる。
【0030】
上記紡錘形のセルを有する発泡体としては、例えば、内在するセルの長径をDz、短径をDxyで表した場合、長径はシートの厚み方向と略一致し、短径はシートの平面方向と略一致し、且つ、アスペクト比Dz/Dxyの平均値が1.1〜4.0であり、密度10〜500kg/m3 、圧縮弾性率が5MPa以上であるポリオレフィン系樹脂発泡体シートが挙げられ、独立気泡発泡体シートが好ましい。
【0031】
上記アスペクト比(Dz/Dxy)の平均値とは、発泡体シート内部のセルにおける定方向最大径の比の個数(算術)平均値を意味し、以下の方法で測定される。
【0032】
アスペクト比(Dz/Dxy)の平均値の測定方法:
発泡体シートのシート厚み方向(z方向と呼ぶ)に平行な任意の断面の10倍の拡大写真を撮り、無作為に選ばれた少なくとも50個のセルの定方向最大径を下記2方向で測定し、各アスペクト比(Dz/Dxy)の個数(算術)平均値を算出する。
【0033】
Dz:発泡体シート中のセルのz方向に平行な最大径
Dxy:発泡体シート中のセルのシート幅方向またはシート長さ方向、即ち、z方向に垂直な面方向(xy方向と呼ぶ)に平行な最大径
【0034】
上記アスペクト比(Dz/Dxy)の平均値を1.1〜4.0(好ましくは1.3〜2.5)とすることにより、発泡体シート中のセルは発泡体シートの厚み方向に長軸を有する紡錘形のセルとなる。従って、発泡体シートが厚み方向に圧縮力を受けた場合、圧縮力は紡錘形のセルの長軸方向に負荷されることになるので、発泡体シートは厚み方向に高い圧縮強度(圧縮弾性率)を発現し得るものとなる。
【0035】
上記アスペクト比(Dz/Dxy)の平均値が1.1未満であると、セルの形状がほぼ球形となって、上記紡錘形のセルに起因する圧縮強度(圧縮弾性率)向上効果が十分に得られないので、発泡体の曲げ剛性が小さくなる。逆に上記アスペクト比(Dz/Dxy)の平均値が4.0を超えると、発泡性樹脂はz方向にのみ、相当量の伸長歪みを受けることになり、発泡の制御が困難となり、均質な発泡体が得られにくくなる。
【0036】
また、発泡体シート内部のセルのDxyの平均値は、特に限定されるものではないが、好ましくは500μm以上、より好ましくは800μm以上である。
【0037】
一般的に、セル径が小さいとセル壁の厚みが薄くなって発泡体シートが座屈を生じ易くなるため、発泡体シート上に重量物を置いた場合、へたり現象や凹み等が発生し易くなるが、発泡体シート内部のセルのDxyの平均値を500μm以上とすることにより、上記座屈に起因するへたり現象や凹み等の発生を効果的に抑制することができる。
【0038】
上記ポリオレフィン系樹脂としては、前述のポリオレフィン系樹脂が挙げられ、ポリオレフィン系樹脂に対し30重量%未満の、例えば、ポリスチレンやスチレン系エラストマー等の他の樹脂が添加されていてもよい。
【0039】
上記発泡体シートの製造方法は、従来公知の任意の方法が採用されてよいが、上記発泡体シートはセルのアスペクト比Dz/Dxyの平均値が1.1〜4.0である、即ち、紡錘形のセルを有する発泡体シートであるから、ポリオレフィン系樹脂と熱分解型発泡剤よりなる架橋発泡性樹脂シートの少なくとも1面に補強シートを積層した積層シートを加熱発泡する方法が好ましい。
【0040】
上記熱分解型発泡剤としては、一般にポリオレフィン系樹脂の発泡に使用されている発泡剤であれば、特に限定されるものではなく、例えば、アゾジカルボンアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、トルエンスルホニルヒドラジド、4,4−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)等が挙げられ、アゾジカルボンアミドが好ましい。これらの熱分解型発泡剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されてもよい。
【0041】
上記熱分解型発泡剤の添加量は、得ようとする発泡体シートにより適宜決定されればよいが、一般的にポリオレフィン系樹脂100重量部に対し、2〜25重量部である。
【0042】
上記架橋発泡性樹脂シートは、上記ポリオレフィン系樹脂と熱分解型発泡剤よりなり、架橋されているが、シートを架橋するために架橋剤が添加されてもよいし、電離性放射線や電子線を照射して架橋してもよい。
【0043】
上記架橋剤としては、一般にポリオレフィン系樹脂の発泡に使用されている架橋剤であれば、特に限定されるものではないが、例えば、ジオキシム化合物、ビスマレイミド化合物、ジビニルベンゼン、アリル系多官能モノマー、(メタ)アクリル系多官能モノマー、キノン化合物等が挙げられる。これらの架橋剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0044】
上記架橋発泡性樹脂シートの架橋度は、得ようとする発泡体シートにより適宜決定されればよいが、一般的に、ゲル分率で5〜30重量%である。尚、ゲル分率とは、試料を120℃の熱キシレン中で24時間溶解した後の未溶解分の重量%である。
【0045】
上記架橋発泡性樹脂シートの製造方法は、従来公知の任意の方法が採用されればよく、例えば、上記ポリオレフィン系樹脂と熱分解型発泡剤を熱分解型発泡剤の熱分解温度以下の温度で溶融押出してシートを得、次いで1〜20Mradの電離性放射線や電子線を照射して架橋する方法、上記ポリオレフィン系樹脂、熱分解型発泡剤及び架橋剤よりなる組成物を熱分解型発泡剤の熱分解温度以下の温度で溶融押出してシートを得る方法等が挙げられる。
【0046】
上記補強シートは、架橋発泡性樹脂シートの発泡温度以上の温度、即ちポリオレフィン系樹脂の融点以上の温度および熱分解型化学発泡剤の分解温度以上の温度に耐え得るものであれば良く、例えば、紙、木材、鉄、非鉄金属、有機繊維やガラス繊維、炭素繊維等の無機繊維からなる織布や不織布、寒冷紗、ポリイミド樹脂シート、フッ素樹脂シート、ポリテトラフルオロエチレンシート、ポリオレフィン系樹脂シート、前述のポリオレフィン系樹脂延伸シート等が挙げられる。
【0047】
架橋発泡性樹脂シートの少なくとも1面に補強シートを積層した積層シートを得るには、例えば、補強シートの上に架橋発泡性樹脂シートを押出成形する方法、補強シートと架橋発泡性樹脂シートを重ね合わせ、加熱プレスする方法等が挙げられる。尚、非架橋発泡性樹脂シートを補強シートの上に押出成形した後、非架橋発泡性樹脂シートを電離性放射線や電子線を照射して架橋してもよいことは言うまでもない。
【0048】
上記積層シートを加熱発泡する方法は、従来公知の任意の方法が採用されてよく、例えば、加熱炉の出口側で発泡体シートを引取りながら連続的に発泡性シートを発泡させる引取り式発泡機、ベルト式発泡機、縦型もしくは横型発泡炉、熱風恒温槽等を用いて発泡を行う方法や、オイルバス、メタルバス、ソルトバス等の熱浴中で発泡を行う方法等が挙げられる。
【0049】
上記積層シートは架橋発泡性樹脂シートの少なくとも片面に補強シートが積層されているので、発泡時における架橋発泡性樹脂シートの面内の二次元方向(xy方向)の発泡が抑制され、厚み方向(z方向)により多く発泡するので、得られた発泡体シート内部のセルは厚み方向にその長軸を配向した紡錘形のセルとなっている。
【0050】
上記ハニカム構造発泡体としては、例えば、上記ポリオレフィン系樹脂、熱分解型発泡剤及び架橋剤よりなる組成物を筒状に溶融押出し、押出された多数の筒状体を金属板等の基板上にその側壁同士が当接するように並べ、加熱発泡することにより得られる。
【0051】
このハニカム構造発泡体は、多数の筒状体がその側壁同士が当接するように並べられているので、筒状体はその内方にのみ発泡することになり、側壁部の強度が高く、内方に発泡体が存在するハニカム構造になっており、機械的強度が大きい。
【0052】
本発明の風力発電用ブレードは、翼状断面の表層に囲曉されている空間に芯材が充填されているが、表層に芯材を充填する方法は従来公知の任意の方法が採用されてよく、例えば、2枚の表層の間に芯材を挟み込んでプレス機に供給し、加熱プレスすればよい。尚、この場合、前述の通り、表層の内側にホットメルト型接着剤が積層されていればより緊密に接着できる。
【0053】
又、芯材が紡錘形のセルを有する発泡体であって、補強シートとして表層を構成するポリオレフィン系樹脂延伸シートを使用している場合は、芯材の上に表層を積層してプレス成形すればよい。
【0054】
本発明の風力発電用ブレードには、引張弾性率が5〜50GPaのポリオレフィン系樹脂延伸シートよりなる桁材が、表層に囲繞されている空間の風力発電用ブレードの長さ方向に設置されていてもよい。このような構成とすることにより、風圧に対する耐性をさらに増大することができる。
【0055】
上記ポリオレフィン系樹脂延伸シートは、前述のポリオレフィン系樹脂延伸シートが使用可能であり、2枚以上のポリオレフィン系樹脂延伸シートが積層された積層シートであってもよいし、複数のポリオレフィン系樹脂延伸シートや積層シートが設置されてもよい。
【0056】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施例を説明する。
【0057】
(実施例1)
ポリオレフィン系樹脂延伸シートとその積層シートの製造
重量平均分子量(Mw)3.3×105 、融点135℃の高密度ポリエチレン樹脂(日本ポリケム社製、商品名「HY540」)を、同方向二軸混練押出機(プラスチック工学研究所製)に供給して樹脂温度200℃で溶融混練した後、溶融混練物をロール温度110℃に制御したカレンダー成形機にて幅300mm、厚さ4.0mmにシート成形してポリエチレン樹脂シートを得た。
【0058】
得られたポリエチレン樹脂シートを120℃に加熱した圧延成形機(積水工機製作所製)を用いて圧延倍率9.4倍に圧延し、幅300mm、厚み420μmの圧延シートを得た。
【0059】
得られた圧延シートを110℃に加熱された熱風加熱式の多段延伸装置(協和エンジニアリング製)にて3.0倍の多段延伸を行い、総延伸倍率28.2倍、幅170mm、厚さ250μmのポリエチレン樹脂延伸シートを得た。
【0060】
フィルム融着装置(甲南設計工業製)を用いて得られたポリエチレン樹脂延伸シートの両面に、融点120℃、幅160mm、厚さ30μmの線状低密度ポリエチレン樹脂シート(積水フィルム社製、商品名「ラミロン」)を160℃の加熱ロールにて熱融着して厚さ310μmの積層シートを得た。
【0061】
芯材の製造
変性用スクリュー押出機として、同方向回転2軸スクリュー押出機(プラスチック工学研究所社製、商品名「BT40」)を用いた。これはセルフワイピング2条スクリューを備え、そのL/Dは35、Dは39mmであった。シリンダーバレルは押出機の上流から下流側へ第1〜6バレルからなり、ダイは3穴ストランドダイであり、揮発分を回収するため第4バレルに真空ベントが設置されていた。
【0062】
操作条件は下記の通りであった。
【0063】
上記変性用スクリュー押出機に、ポリプロピレンランダム共重合体(日本ポリケム社製、商品名「EX6」、MFR;1.8、密度;0.9g/cm3 )を後端ホッパーから10kg/hの供給速度で投入し、第3バレルからジビニルベンゼンと2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3をそれぞれ0.05kg/h及び0.01kg/hの供給速度で注入し、溶融混和した後、ストランドダイから吐出し、水冷し、ペレタイザーで切断して、変性樹脂のペレットを得た。このとき、押出機内で発生した揮発分は真空ベントにより真空引きした。
【0064】
発泡剤混練用スクリュー押出機は、同方向回転2軸スクリュー押出機(日本製鋼所社製、商品名「TEX−44型」)であり、これはセルフワイピング2条スクリューを備え、そのL/Dは45.5、Dは47mmであった。シリンダーバレルは押出機の上流から下流側へ第1〜12バレルからなり、成形ダイは7穴ストランドダイであり、温度設定区分は下記の通りであった。
【0065】
第1バレルは常時冷却
第1ゾーン;第2〜4バレル
第2ゾーン;第5〜8バレル
第3ゾーン;第9〜12バレル
第4ゾーン;ダイおよびアダプター部
【0066】
発泡剤を供給するために第6バレルにサイドフィーダーが設置され、揮発分を回収するため第11バレルに真空ベントが設置されていた。操作条件は下記の通りであった。
【0067】
【0068】
得られた変性樹脂のペレットと、ホモタイプのポリプロピレン樹脂(日本ポリケム社製、商品名「FY4」、MFR;5.0、密度;0.9g/cm3 )を、それぞれ10kg/hの供給速度で、発泡剤混練用スクリュー押出機に供給した。又、同押出機にそのサイドフィーダーからアゾジカルボンイミドを1.0kg/hの供給速度で供給して溶融混練して、Tダイから押出し、幅350mm×厚み0.5mmのポリオレフィン系樹脂発泡性シートを得た。
【0069】
得られたポリオレフィン系樹脂発泡性シートの両面に、してポリエチレンテレフタレート製の不織布(東洋紡績社製、商品名「スパンボンド エクーレ 6301A」、秤量30g/m2 )を積層し、プレス成形機を用いて温度180℃でプレス成形を行い、積層発泡性シートを得た。
【0070】
得られた積層発泡性シートの縁部を取り除き、一辺300mmの正方形サンプルを得た。得られたサンプルを230℃のオーブンに供給し、約5分間加熱発泡して、厚み10mmのポリオレフィン系樹脂発泡体シートを得た。
【0071】
風力発電用ブレードの成形
得られた2枚の積層シートを表層として、得られたポリオレフィン系樹脂発泡体シートを挟み、120℃にて加熱した。次に、120℃に加熱した翼状断面を有する長さ355mm、最大幅85mm、最大高さ10mmの金型に供給し、加圧プレスして賦型し、常温に冷却して金型から取出して風力発電用ブレードを得た。尚、積層シートの延伸方向と風力発電用ブレードの長手方向が一致するように挟んでプレス成形した。
【0072】
(実施例2)
桁材の成形
実施例1で得られたポリオレフィン系延伸延伸シート5枚を積層して120℃に加熱し、雄型および雌型からなるU字型金型(幅30mm、高さ20mm)に供給しU字型に賦型した。得られた積層体を、風力発電用ブレードの桁材として使用できるように上面を切断し、桁材を得た。
【0073】
風力発電用ブレードの成形
図1は実施例2で得られた風力発電用ブレードを示す断面図である。実施例1で得られたポリオレフィン系延伸シートを表層1として、得られた桁材2及び実施例1で得られたポリオレフィン系樹脂発泡体シート3を挟み、120℃にて加熱した。次に、120℃に加熱した翼状断面を有する長さ355mm、最大幅85mm、最大高さ10mmの金型に供給し、加圧プレスして賦型し、常温に冷却して金型から取出して風力発電用ブレードを得た。尚、積層シートの延伸方向と風力発電用ブレードの長手方向が一致するように挟んでプレス成形した。
【0074】
(実施例3)
重量平均分子量(Mw)3.3×105 、融点135℃の高密度ポリエチレン樹脂(日本ポリケム社製、商品名「HY540」)を、同方向二軸混練押出機(プラスチック工学研究所製)に供給して樹脂温度200℃で溶融混練した後、溶融混練物をロール温度110℃に制御したカレンダー成形機にて幅300mm、厚さ1.8mmにシート成形してポリエチレン樹脂シートを得た。
【0075】
得られたポリエチレン樹脂シートを120℃に加熱した圧延成形機(積水工機製作所製)を用いて圧延倍率4.8倍に圧延し、幅300mm、厚み370μmの圧延シートを得た。
【0076】
フィルム融着装置(甲南設計工業製)を用いて得られた圧延シートの両面に、融点120℃、幅160mm、厚さ30μmの線状低密度ポリエチレン樹脂シート(積水フィルム社製、商品名「ラミロン」)を160℃の加熱ロールにて熱融着して厚さ430μmの積層シートを得た。
【0077】
得られた積層シートを用い、実施例2で行ったと同様にして桁材を得、実施例2で行ったと同様にして風力発電用ブレードを得た。
【0078】
(実施例4)
実施例1で得られた積層発泡性シートに代えて、アクリル発泡体(積水化学工業株式会社製、商品名「フォーマック」、厚み10mm)を芯材として使用した以外は実施例1で行ったと同様にして、風力発電用ブレードを得た。
【0079】
(比較例1)
実施例3で得られた積層シートを表層用の積層シートとして使用した以外は実施例1で行ったと同様にして風力発電用ブレードを得た。
【0080】
(比較例2)
実施例1で得られたポリオレフィン系樹脂発泡体シートに代えて、ポリエチレン樹脂発泡体シート(積水化学社製、商品名「ソフトロン」、厚み10mm)を芯材として使用した以外は実施例1で行ったと同様にして風力発電用ブレードを得た。
【0081】
(比較例3)
実施例1で得られたポリオレフィン系延伸シートに代えて、実施例3で得られた積層シートを使用した以外は実施例2で行ったと同様にして桁材を得た。得られた桁材と、表層として、実施例3で得られた積層シートを使用した以外は実施例2で行ったと同様にして風力発電用ブレードを得た。
【0082】
物性評価
(1)引張強度、引張弾性率、引張破断伸び
JIS K 7127に準拠して、チャック間距離100mm、試験速度100mm/分にて表層及び桁材の引張試験を行い、引張強度、引張弾性率、および引張破断伸びを求めた。
【0083】
(2)圧縮弾性率
発泡体シートの発泡体部分のみを切り出し、JIS K 7203に準拠して、試験速度1mm/minにて圧縮試験を行い、圧縮弾性率を求めた。
【0084】
(3)みかけ密度
発泡体シートの発泡体部分のみを切り出し、JIS K 6767に準拠して見かけ密度を測定した。
【0085】
(4)実装試験(風圧に対する耐性)
各実施例及び比較例で得られた風力発電用ブレードそれぞれ6枚を風力発電機(LVM社製、商品名「AEROGEN 4F」)本体に取り付け、風力発電機の前方2.0mに設置した水平循環型風洞装置により風速約20m/分の風を約10分間送風したのちの曲がり変位量を測定することにより評価した。
得られた結果を、各発泡体のアスペクト比と共に表1に示した。
【0086】
【表1】
【0087】
【発明の効果】
請求項1に記載の風力発電用ブレードの構成は上述の通りであるから、成形が容易で、高い風圧に対する耐性を有し、且つ軽量である。又、風力発電中、即ち、風力発電用ブレードの回転中に人間が接触してブレードが割れても人間が怪我をすることがなく、電波の反射による電波障害が発生することもない。
【0088】
請求項2に記載の風力発電用ブレードは、更に、引張弾性率が5〜50GPaのポリオレフィン系樹脂延伸シートよりなる桁材が、表層に囲繞されている空間の風力発電用ブレードの長さ方向に設置されているので、より高い風圧に対する耐性曲げ疲労疲労強度を有し風力発電用ブレードとして好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は実施例2で得られた本発明の風力発電用ブレードの1例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 表層
2 桁材
3 ポリオレフィン系樹脂発泡体シート
【発明の属する技術分野】
本発明は、風力発電用ブレードに関する。
【0002】
【従来の技術】
風力発電用ブレードは、流線型の翼断面構造を有し、軽量であって金属よりも高い比強度や比弾性率が要求されるので、一般に、繊維強化樹脂(以下、FRPという)製のブレードが使用されている。
【0003】
FRP製の風力発電用ブレードとしては、ブレードの長手方向に多くの繊維を配列させ、ブレードの曲げ疲労による寿命の低下を防止するもの(例えば、特許文献1参照。)、ブレードの長手方向に配列する繊維に加え、長手方向と±45度乃至90度の方向に繊維を配列させた、等方性に近い疑似等方性の積層構成のもの(例えば、特許文献2参照。)等が提案されている。
【0004】
しかしながら、これら積層構造のブレードは、いずれも補強繊維の積層数の増大に伴い、風車全体が大型化して風車の発電効率は向上するが、重量や耐久性の点から見れば、軽量化、疲労寿命の向上に限界があるという問題があった。
【0005】
これらの問題を解決するために、水平方向の幅(W)と垂直方向の厚み(T)を有する繊維強化樹脂製の中空翼形状断面のブレードの内部に、桁材であるフランジ部が設けられた風車用ブレード構造体において、前記フランジ部は、(A)前記ブレードの断面の重心位置を中心に、水平方向に0.2〜0.5(W)の範囲内の幅(Wf)を有するとともに、(B)前炭素繊維強化樹脂層と、伸度が2〜6%の範囲内の高伸度繊維強化樹脂層とが交互に積層されてなる複合層で構成されており、かつ(C)該複合層の総厚み(2Tf)が、前記ブレードの厚み(T)の10〜30%の範囲内であることを特徴とする繊維強化樹脂製風車ブレード構造体が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平6−66244号公報
【特許文献2】
特開平3−271566号公報
【特許文献3】
特開2002−137307号公報
【0007】
しかしながら、上記のFRP製風力発電用ブレードは製造が困難であり、軽量且つ、比強度、比弾性率、風圧に対する耐性等の機械的強度が充分なものは得られず、又、ブレードの回転中に人間が接触すると外皮材が破損して怪我をするという欠点があった。更に、炭素繊維を使用したものでは電波の反射による電波障害が発生するという欠点があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、成形が容易で、高い風圧に対する耐性を有し、且つ軽量な風力発電用ブレードを提供することにあり、他の目的は、小型風力発電(屋上設置型)の回転中に人間が接触して割れても怪我をせず、電波の反射による電波障害が発生しない風力発電用ブレードを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の風力発電用ブレードは、引張弾性率が5〜50GPaのポリオレフィン系樹脂延伸シートよりなる翼状断面の表層と、該表層に囲曉されている空間に充填されている、みかけ密度10〜500kg/m3 、圧縮弾性率5MPa以上である弾性体よりなる芯材からなることを特徴とする。
【0010】
本発明で使用されるポリオレフィン系樹脂延伸シートは、風力発電用ブレードの表層を構成するので、その引張弾性率は小さすぎると風圧に対する耐性が低下し、逆にあまり大きいシートは延伸成形できなくなるので、5〜50GPaである。又、ポリオレフィン系樹脂延伸シートの引張破断伸びは、小さすぎると風力発電用ブレードが破損時に脆性破壊し、危険になり、大きくなると引張弾性率が高いものが得にくい傾向があるので3%以上20%未満が好ましい。
【0011】
尚、本発明において、引張弾性率及び引張破断伸びの測定は、JIS K7127に準拠し、チャック間100mm、引張速度100mm/分の条件で引張試験を行った。
【0012】
上記ポリオレフィン系樹脂延伸シートを構成するオレフィン系樹脂としては、フィルム形成能を有する任意のポリオレフィン系樹脂が使用でき、例えば、高密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、低密度ポリエチレン樹脂、線状低密度ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ペンテン−1共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリブテン樹脂、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体等が挙げられ、高密度ポリエチレン樹脂が好適に使用される。
【0013】
高密度ポリエチレン樹脂の密度は小さくなると延伸しても機械的強度が向上しなくなるので、0.94g/cm3 以上が好ましい。又、高密度ポリエチレン樹脂の重量平均分子量は、小さくなり過ぎると延伸しても機械的強度があまり向上せず、大きくなり過ぎるとフィルム成形や延伸がしにくくなるので、20万〜50万が好ましく、メルトインデックス(MFR)はフィルム成形性が優れている0.1〜20が好ましく、より好ましくは0.2〜10である。
【0014】
上記ポリオレフィン系樹脂延伸シートは、引張弾性率が高く、引張強度等の機械的強度が高いものが好ましいので10〜40倍と高度に延伸されているのが好ましく、より好ましくは20〜35倍である。
【0015】
ポリオレフィン系樹脂延伸シートの延伸方法は従来公知の任意の方法が採用されてよいが、10〜40倍と高度に延伸する場合は、オレフィン系樹脂シートを圧延した後、延伸又は延伸を複数回繰り返す多段延伸する方法が好ましい。
【0016】
上記圧延は、ポリオレフィン系樹脂シートを一対の反対方向に回転するロールに供給し、押圧してシートの厚みを薄くすると共に伸長する方法であり、圧延されたシートは延伸シートとは異なり、オレフィン系樹脂が配向されることなく緻密になっているので、高度に延伸しやすくなっている。
【0017】
圧延温度は、低くなると均一に圧延できず、高くなると溶融切断するので、圧延する際のロール温度は、圧延するポリオレフィン系樹脂シートのポリオレフィン系樹脂の「融点−40℃」〜融点の範囲が好ましく、より好ましくは、ポリオレフィン系樹脂の「融点−30℃」〜「融点−5℃」である。
【0018】
尚、本発明において、融点とは示差走査型熱量測定機(DSC)で熱分析を行った際に認められる、結晶の融解に伴う吸熱ピークの最大点をいう。
【0019】
又、圧延倍率は小さいと後の延伸に負担がかかり、大きくするのは圧延が困難になるので4〜10倍が好ましい。尚、本発明において、圧延倍率及び延伸倍率は、圧延又は延伸前のシートの断面積を圧延又は延伸後のシートの断面積で徐した値である。
【0020】
上記延伸は、従来公知の任意の方法でよく、例えば、ロール延伸法、ゾーン延伸法により、ヒータや熱風により加熱しながら延伸する方法が挙げられる。
【0021】
延伸温度は、低くなると均一に延伸できず、高くなるとシートが溶融切断するので、延伸するポリオレフィン系樹脂シートのポリオレフィン系樹脂の「融点−60℃」〜融点の範囲が好ましく、より好ましくは、ポリオレフィン系樹脂の「融点−50℃」〜「融点−5℃」である。
【0022】
又、延伸倍率は、全体の延伸倍率を10〜40倍にするには、圧延倍率を考慮し、全体の延伸倍率がこの範囲にはいるように決定すればよいが、延伸が少ないと機械的強度が向上しないので、2倍以上が好ましく、より好ましくは3倍以上である。尚、全体の延伸倍率は圧延倍率と延伸倍率を乗じた数値である。
【0023】
上記ポリオレフィン系樹脂延伸シートは、薄くなると機械的強度が低下し、厚くなると、延伸方向に割れやすくなるため、その厚みは一般に0.05〜1mmであり、好ましくは0.1〜0.5mmである。
【0024】
上記ポリオレフィン系樹脂延伸シートは、断面形状が翼状の表層となされ、該表層に囲繞されている空間に芯材が充填されているが、ポリオレフィン系樹脂延伸シートの延伸方向と風力発電用ブレードの長さ方向が略同一なるように形成されるのが好ましい。又、表層は上記ポリオレフィン系樹脂延伸シート単体であってもよいし、ポリオレフィン系樹脂延伸シートが複数枚積層されていてもよい。
【0025】
又、表層に囲繞されている空間に芯材が充填されているが、上記ポリオレフィン系樹脂延伸シートと芯材とは接着されているのが好ましく、上記ポリオレフィン系樹脂延伸シート同士の接着及び上記ポリオレフィン系樹脂延伸シートと芯材とを接着する方法としては、従来公知の任意の積層方法が採用されてよく、例えば、ゴム系、アクリル系、ウレタン系、シリコン系等の接着剤や粘着剤で接着する方法、エチレンー酢酸ビニル共重合体、線状低密度ポリエチレン樹脂等のホットメルト型接着剤で接着する方法等が挙げられる。
【0026】
ホットメルト型接着剤で接着する際には、ホットメルト接着剤を溶融し、塗布しながら接着してもよいし、ホットメルト型接着剤シートを積層し、加熱加圧しながら接着してもよいが、加熱温度が高くなると、ポリオレフィン系樹脂延伸シートが収縮するようになるので、ポリオレフィン系樹脂延伸シートが実質的に熱収縮しない温度、即ち、ポリオレフィン系樹脂延伸シートを構成するポリオレフィン系樹脂の「融点−10℃」以下で接着されるのが好ましい。
【0027】
本発明で使用される弾性体は、表層に囲繞されている空間に芯材として充填されるものであり、その密度は小さすぎると風力発電用ブレードの剛性低下し風圧に耐え切れなくなり屈曲したり破断したりするようになり、大きすぎると重量増加し設置、運転コストが増加し、圧縮弾性率は小さすぎると風力発電用ブレードの剛性が低下し風圧に耐え切れなくなり屈曲したり破断したりするようになるのでみかけ密度は10〜500kg/m3 、圧縮弾性率は5MPa以上である。
【0028】
尚、本発明において、みかけ密度はJIS K6767に準拠して測定し、圧縮弾性率はJIS K7203に準拠し、圧縮速度1mm/分で測定した。
【0029】
上記弾性体としては、上記物性を有する任意の材料が使用可能であり、例えば、紡錘形のセルを有する発泡体、ハニカム構造発泡体、アクリル系樹脂発泡体、プラスチック段ボール等が挙げられる。
【0030】
上記紡錘形のセルを有する発泡体としては、例えば、内在するセルの長径をDz、短径をDxyで表した場合、長径はシートの厚み方向と略一致し、短径はシートの平面方向と略一致し、且つ、アスペクト比Dz/Dxyの平均値が1.1〜4.0であり、密度10〜500kg/m3 、圧縮弾性率が5MPa以上であるポリオレフィン系樹脂発泡体シートが挙げられ、独立気泡発泡体シートが好ましい。
【0031】
上記アスペクト比(Dz/Dxy)の平均値とは、発泡体シート内部のセルにおける定方向最大径の比の個数(算術)平均値を意味し、以下の方法で測定される。
【0032】
アスペクト比(Dz/Dxy)の平均値の測定方法:
発泡体シートのシート厚み方向(z方向と呼ぶ)に平行な任意の断面の10倍の拡大写真を撮り、無作為に選ばれた少なくとも50個のセルの定方向最大径を下記2方向で測定し、各アスペクト比(Dz/Dxy)の個数(算術)平均値を算出する。
【0033】
Dz:発泡体シート中のセルのz方向に平行な最大径
Dxy:発泡体シート中のセルのシート幅方向またはシート長さ方向、即ち、z方向に垂直な面方向(xy方向と呼ぶ)に平行な最大径
【0034】
上記アスペクト比(Dz/Dxy)の平均値を1.1〜4.0(好ましくは1.3〜2.5)とすることにより、発泡体シート中のセルは発泡体シートの厚み方向に長軸を有する紡錘形のセルとなる。従って、発泡体シートが厚み方向に圧縮力を受けた場合、圧縮力は紡錘形のセルの長軸方向に負荷されることになるので、発泡体シートは厚み方向に高い圧縮強度(圧縮弾性率)を発現し得るものとなる。
【0035】
上記アスペクト比(Dz/Dxy)の平均値が1.1未満であると、セルの形状がほぼ球形となって、上記紡錘形のセルに起因する圧縮強度(圧縮弾性率)向上効果が十分に得られないので、発泡体の曲げ剛性が小さくなる。逆に上記アスペクト比(Dz/Dxy)の平均値が4.0を超えると、発泡性樹脂はz方向にのみ、相当量の伸長歪みを受けることになり、発泡の制御が困難となり、均質な発泡体が得られにくくなる。
【0036】
また、発泡体シート内部のセルのDxyの平均値は、特に限定されるものではないが、好ましくは500μm以上、より好ましくは800μm以上である。
【0037】
一般的に、セル径が小さいとセル壁の厚みが薄くなって発泡体シートが座屈を生じ易くなるため、発泡体シート上に重量物を置いた場合、へたり現象や凹み等が発生し易くなるが、発泡体シート内部のセルのDxyの平均値を500μm以上とすることにより、上記座屈に起因するへたり現象や凹み等の発生を効果的に抑制することができる。
【0038】
上記ポリオレフィン系樹脂としては、前述のポリオレフィン系樹脂が挙げられ、ポリオレフィン系樹脂に対し30重量%未満の、例えば、ポリスチレンやスチレン系エラストマー等の他の樹脂が添加されていてもよい。
【0039】
上記発泡体シートの製造方法は、従来公知の任意の方法が採用されてよいが、上記発泡体シートはセルのアスペクト比Dz/Dxyの平均値が1.1〜4.0である、即ち、紡錘形のセルを有する発泡体シートであるから、ポリオレフィン系樹脂と熱分解型発泡剤よりなる架橋発泡性樹脂シートの少なくとも1面に補強シートを積層した積層シートを加熱発泡する方法が好ましい。
【0040】
上記熱分解型発泡剤としては、一般にポリオレフィン系樹脂の発泡に使用されている発泡剤であれば、特に限定されるものではなく、例えば、アゾジカルボンアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、トルエンスルホニルヒドラジド、4,4−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)等が挙げられ、アゾジカルボンアミドが好ましい。これらの熱分解型発泡剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されてもよい。
【0041】
上記熱分解型発泡剤の添加量は、得ようとする発泡体シートにより適宜決定されればよいが、一般的にポリオレフィン系樹脂100重量部に対し、2〜25重量部である。
【0042】
上記架橋発泡性樹脂シートは、上記ポリオレフィン系樹脂と熱分解型発泡剤よりなり、架橋されているが、シートを架橋するために架橋剤が添加されてもよいし、電離性放射線や電子線を照射して架橋してもよい。
【0043】
上記架橋剤としては、一般にポリオレフィン系樹脂の発泡に使用されている架橋剤であれば、特に限定されるものではないが、例えば、ジオキシム化合物、ビスマレイミド化合物、ジビニルベンゼン、アリル系多官能モノマー、(メタ)アクリル系多官能モノマー、キノン化合物等が挙げられる。これらの架橋剤は、単独で用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0044】
上記架橋発泡性樹脂シートの架橋度は、得ようとする発泡体シートにより適宜決定されればよいが、一般的に、ゲル分率で5〜30重量%である。尚、ゲル分率とは、試料を120℃の熱キシレン中で24時間溶解した後の未溶解分の重量%である。
【0045】
上記架橋発泡性樹脂シートの製造方法は、従来公知の任意の方法が採用されればよく、例えば、上記ポリオレフィン系樹脂と熱分解型発泡剤を熱分解型発泡剤の熱分解温度以下の温度で溶融押出してシートを得、次いで1〜20Mradの電離性放射線や電子線を照射して架橋する方法、上記ポリオレフィン系樹脂、熱分解型発泡剤及び架橋剤よりなる組成物を熱分解型発泡剤の熱分解温度以下の温度で溶融押出してシートを得る方法等が挙げられる。
【0046】
上記補強シートは、架橋発泡性樹脂シートの発泡温度以上の温度、即ちポリオレフィン系樹脂の融点以上の温度および熱分解型化学発泡剤の分解温度以上の温度に耐え得るものであれば良く、例えば、紙、木材、鉄、非鉄金属、有機繊維やガラス繊維、炭素繊維等の無機繊維からなる織布や不織布、寒冷紗、ポリイミド樹脂シート、フッ素樹脂シート、ポリテトラフルオロエチレンシート、ポリオレフィン系樹脂シート、前述のポリオレフィン系樹脂延伸シート等が挙げられる。
【0047】
架橋発泡性樹脂シートの少なくとも1面に補強シートを積層した積層シートを得るには、例えば、補強シートの上に架橋発泡性樹脂シートを押出成形する方法、補強シートと架橋発泡性樹脂シートを重ね合わせ、加熱プレスする方法等が挙げられる。尚、非架橋発泡性樹脂シートを補強シートの上に押出成形した後、非架橋発泡性樹脂シートを電離性放射線や電子線を照射して架橋してもよいことは言うまでもない。
【0048】
上記積層シートを加熱発泡する方法は、従来公知の任意の方法が採用されてよく、例えば、加熱炉の出口側で発泡体シートを引取りながら連続的に発泡性シートを発泡させる引取り式発泡機、ベルト式発泡機、縦型もしくは横型発泡炉、熱風恒温槽等を用いて発泡を行う方法や、オイルバス、メタルバス、ソルトバス等の熱浴中で発泡を行う方法等が挙げられる。
【0049】
上記積層シートは架橋発泡性樹脂シートの少なくとも片面に補強シートが積層されているので、発泡時における架橋発泡性樹脂シートの面内の二次元方向(xy方向)の発泡が抑制され、厚み方向(z方向)により多く発泡するので、得られた発泡体シート内部のセルは厚み方向にその長軸を配向した紡錘形のセルとなっている。
【0050】
上記ハニカム構造発泡体としては、例えば、上記ポリオレフィン系樹脂、熱分解型発泡剤及び架橋剤よりなる組成物を筒状に溶融押出し、押出された多数の筒状体を金属板等の基板上にその側壁同士が当接するように並べ、加熱発泡することにより得られる。
【0051】
このハニカム構造発泡体は、多数の筒状体がその側壁同士が当接するように並べられているので、筒状体はその内方にのみ発泡することになり、側壁部の強度が高く、内方に発泡体が存在するハニカム構造になっており、機械的強度が大きい。
【0052】
本発明の風力発電用ブレードは、翼状断面の表層に囲曉されている空間に芯材が充填されているが、表層に芯材を充填する方法は従来公知の任意の方法が採用されてよく、例えば、2枚の表層の間に芯材を挟み込んでプレス機に供給し、加熱プレスすればよい。尚、この場合、前述の通り、表層の内側にホットメルト型接着剤が積層されていればより緊密に接着できる。
【0053】
又、芯材が紡錘形のセルを有する発泡体であって、補強シートとして表層を構成するポリオレフィン系樹脂延伸シートを使用している場合は、芯材の上に表層を積層してプレス成形すればよい。
【0054】
本発明の風力発電用ブレードには、引張弾性率が5〜50GPaのポリオレフィン系樹脂延伸シートよりなる桁材が、表層に囲繞されている空間の風力発電用ブレードの長さ方向に設置されていてもよい。このような構成とすることにより、風圧に対する耐性をさらに増大することができる。
【0055】
上記ポリオレフィン系樹脂延伸シートは、前述のポリオレフィン系樹脂延伸シートが使用可能であり、2枚以上のポリオレフィン系樹脂延伸シートが積層された積層シートであってもよいし、複数のポリオレフィン系樹脂延伸シートや積層シートが設置されてもよい。
【0056】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施例を説明する。
【0057】
(実施例1)
ポリオレフィン系樹脂延伸シートとその積層シートの製造
重量平均分子量(Mw)3.3×105 、融点135℃の高密度ポリエチレン樹脂(日本ポリケム社製、商品名「HY540」)を、同方向二軸混練押出機(プラスチック工学研究所製)に供給して樹脂温度200℃で溶融混練した後、溶融混練物をロール温度110℃に制御したカレンダー成形機にて幅300mm、厚さ4.0mmにシート成形してポリエチレン樹脂シートを得た。
【0058】
得られたポリエチレン樹脂シートを120℃に加熱した圧延成形機(積水工機製作所製)を用いて圧延倍率9.4倍に圧延し、幅300mm、厚み420μmの圧延シートを得た。
【0059】
得られた圧延シートを110℃に加熱された熱風加熱式の多段延伸装置(協和エンジニアリング製)にて3.0倍の多段延伸を行い、総延伸倍率28.2倍、幅170mm、厚さ250μmのポリエチレン樹脂延伸シートを得た。
【0060】
フィルム融着装置(甲南設計工業製)を用いて得られたポリエチレン樹脂延伸シートの両面に、融点120℃、幅160mm、厚さ30μmの線状低密度ポリエチレン樹脂シート(積水フィルム社製、商品名「ラミロン」)を160℃の加熱ロールにて熱融着して厚さ310μmの積層シートを得た。
【0061】
芯材の製造
変性用スクリュー押出機として、同方向回転2軸スクリュー押出機(プラスチック工学研究所社製、商品名「BT40」)を用いた。これはセルフワイピング2条スクリューを備え、そのL/Dは35、Dは39mmであった。シリンダーバレルは押出機の上流から下流側へ第1〜6バレルからなり、ダイは3穴ストランドダイであり、揮発分を回収するため第4バレルに真空ベントが設置されていた。
【0062】
操作条件は下記の通りであった。
【0063】
上記変性用スクリュー押出機に、ポリプロピレンランダム共重合体(日本ポリケム社製、商品名「EX6」、MFR;1.8、密度;0.9g/cm3 )を後端ホッパーから10kg/hの供給速度で投入し、第3バレルからジビニルベンゼンと2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3をそれぞれ0.05kg/h及び0.01kg/hの供給速度で注入し、溶融混和した後、ストランドダイから吐出し、水冷し、ペレタイザーで切断して、変性樹脂のペレットを得た。このとき、押出機内で発生した揮発分は真空ベントにより真空引きした。
【0064】
発泡剤混練用スクリュー押出機は、同方向回転2軸スクリュー押出機(日本製鋼所社製、商品名「TEX−44型」)であり、これはセルフワイピング2条スクリューを備え、そのL/Dは45.5、Dは47mmであった。シリンダーバレルは押出機の上流から下流側へ第1〜12バレルからなり、成形ダイは7穴ストランドダイであり、温度設定区分は下記の通りであった。
【0065】
第1バレルは常時冷却
第1ゾーン;第2〜4バレル
第2ゾーン;第5〜8バレル
第3ゾーン;第9〜12バレル
第4ゾーン;ダイおよびアダプター部
【0066】
発泡剤を供給するために第6バレルにサイドフィーダーが設置され、揮発分を回収するため第11バレルに真空ベントが設置されていた。操作条件は下記の通りであった。
【0067】
【0068】
得られた変性樹脂のペレットと、ホモタイプのポリプロピレン樹脂(日本ポリケム社製、商品名「FY4」、MFR;5.0、密度;0.9g/cm3 )を、それぞれ10kg/hの供給速度で、発泡剤混練用スクリュー押出機に供給した。又、同押出機にそのサイドフィーダーからアゾジカルボンイミドを1.0kg/hの供給速度で供給して溶融混練して、Tダイから押出し、幅350mm×厚み0.5mmのポリオレフィン系樹脂発泡性シートを得た。
【0069】
得られたポリオレフィン系樹脂発泡性シートの両面に、してポリエチレンテレフタレート製の不織布(東洋紡績社製、商品名「スパンボンド エクーレ 6301A」、秤量30g/m2 )を積層し、プレス成形機を用いて温度180℃でプレス成形を行い、積層発泡性シートを得た。
【0070】
得られた積層発泡性シートの縁部を取り除き、一辺300mmの正方形サンプルを得た。得られたサンプルを230℃のオーブンに供給し、約5分間加熱発泡して、厚み10mmのポリオレフィン系樹脂発泡体シートを得た。
【0071】
風力発電用ブレードの成形
得られた2枚の積層シートを表層として、得られたポリオレフィン系樹脂発泡体シートを挟み、120℃にて加熱した。次に、120℃に加熱した翼状断面を有する長さ355mm、最大幅85mm、最大高さ10mmの金型に供給し、加圧プレスして賦型し、常温に冷却して金型から取出して風力発電用ブレードを得た。尚、積層シートの延伸方向と風力発電用ブレードの長手方向が一致するように挟んでプレス成形した。
【0072】
(実施例2)
桁材の成形
実施例1で得られたポリオレフィン系延伸延伸シート5枚を積層して120℃に加熱し、雄型および雌型からなるU字型金型(幅30mm、高さ20mm)に供給しU字型に賦型した。得られた積層体を、風力発電用ブレードの桁材として使用できるように上面を切断し、桁材を得た。
【0073】
風力発電用ブレードの成形
図1は実施例2で得られた風力発電用ブレードを示す断面図である。実施例1で得られたポリオレフィン系延伸シートを表層1として、得られた桁材2及び実施例1で得られたポリオレフィン系樹脂発泡体シート3を挟み、120℃にて加熱した。次に、120℃に加熱した翼状断面を有する長さ355mm、最大幅85mm、最大高さ10mmの金型に供給し、加圧プレスして賦型し、常温に冷却して金型から取出して風力発電用ブレードを得た。尚、積層シートの延伸方向と風力発電用ブレードの長手方向が一致するように挟んでプレス成形した。
【0074】
(実施例3)
重量平均分子量(Mw)3.3×105 、融点135℃の高密度ポリエチレン樹脂(日本ポリケム社製、商品名「HY540」)を、同方向二軸混練押出機(プラスチック工学研究所製)に供給して樹脂温度200℃で溶融混練した後、溶融混練物をロール温度110℃に制御したカレンダー成形機にて幅300mm、厚さ1.8mmにシート成形してポリエチレン樹脂シートを得た。
【0075】
得られたポリエチレン樹脂シートを120℃に加熱した圧延成形機(積水工機製作所製)を用いて圧延倍率4.8倍に圧延し、幅300mm、厚み370μmの圧延シートを得た。
【0076】
フィルム融着装置(甲南設計工業製)を用いて得られた圧延シートの両面に、融点120℃、幅160mm、厚さ30μmの線状低密度ポリエチレン樹脂シート(積水フィルム社製、商品名「ラミロン」)を160℃の加熱ロールにて熱融着して厚さ430μmの積層シートを得た。
【0077】
得られた積層シートを用い、実施例2で行ったと同様にして桁材を得、実施例2で行ったと同様にして風力発電用ブレードを得た。
【0078】
(実施例4)
実施例1で得られた積層発泡性シートに代えて、アクリル発泡体(積水化学工業株式会社製、商品名「フォーマック」、厚み10mm)を芯材として使用した以外は実施例1で行ったと同様にして、風力発電用ブレードを得た。
【0079】
(比較例1)
実施例3で得られた積層シートを表層用の積層シートとして使用した以外は実施例1で行ったと同様にして風力発電用ブレードを得た。
【0080】
(比較例2)
実施例1で得られたポリオレフィン系樹脂発泡体シートに代えて、ポリエチレン樹脂発泡体シート(積水化学社製、商品名「ソフトロン」、厚み10mm)を芯材として使用した以外は実施例1で行ったと同様にして風力発電用ブレードを得た。
【0081】
(比較例3)
実施例1で得られたポリオレフィン系延伸シートに代えて、実施例3で得られた積層シートを使用した以外は実施例2で行ったと同様にして桁材を得た。得られた桁材と、表層として、実施例3で得られた積層シートを使用した以外は実施例2で行ったと同様にして風力発電用ブレードを得た。
【0082】
物性評価
(1)引張強度、引張弾性率、引張破断伸び
JIS K 7127に準拠して、チャック間距離100mm、試験速度100mm/分にて表層及び桁材の引張試験を行い、引張強度、引張弾性率、および引張破断伸びを求めた。
【0083】
(2)圧縮弾性率
発泡体シートの発泡体部分のみを切り出し、JIS K 7203に準拠して、試験速度1mm/minにて圧縮試験を行い、圧縮弾性率を求めた。
【0084】
(3)みかけ密度
発泡体シートの発泡体部分のみを切り出し、JIS K 6767に準拠して見かけ密度を測定した。
【0085】
(4)実装試験(風圧に対する耐性)
各実施例及び比較例で得られた風力発電用ブレードそれぞれ6枚を風力発電機(LVM社製、商品名「AEROGEN 4F」)本体に取り付け、風力発電機の前方2.0mに設置した水平循環型風洞装置により風速約20m/分の風を約10分間送風したのちの曲がり変位量を測定することにより評価した。
得られた結果を、各発泡体のアスペクト比と共に表1に示した。
【0086】
【表1】
【0087】
【発明の効果】
請求項1に記載の風力発電用ブレードの構成は上述の通りであるから、成形が容易で、高い風圧に対する耐性を有し、且つ軽量である。又、風力発電中、即ち、風力発電用ブレードの回転中に人間が接触してブレードが割れても人間が怪我をすることがなく、電波の反射による電波障害が発生することもない。
【0088】
請求項2に記載の風力発電用ブレードは、更に、引張弾性率が5〜50GPaのポリオレフィン系樹脂延伸シートよりなる桁材が、表層に囲繞されている空間の風力発電用ブレードの長さ方向に設置されているので、より高い風圧に対する耐性曲げ疲労疲労強度を有し風力発電用ブレードとして好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は実施例2で得られた本発明の風力発電用ブレードの1例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 表層
2 桁材
3 ポリオレフィン系樹脂発泡体シート
Claims (2)
- 引張弾性率が5〜50GPaのポリオレフィン系樹脂延伸シートよりなる翼状断面の表層と、該表層に囲繞されている空間に充填されている、みかけ密度10〜500kg/m3 、圧縮弾性率5MPa以上である弾性体よりなる芯材からなることを特徴とする風力発電用ブレード。
- 請求項1記載の風力発電用ブレードにおいて、引張弾性率が5〜50GPaのポリオレフィン系樹脂延伸シートよりなる桁材が、表層に囲繞されている空間の風力発電用ブレードの長さ方向に設置されていることを特徴とする風力発電用ブレード。
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