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JP2004307838A - 低分子量変性軟質ポリプロピレン及びホットメルト粘接着剤用樹脂組成物 - Google Patents

低分子量変性軟質ポリプロピレン及びホットメルト粘接着剤用樹脂組成物 Download PDF

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JP2004307838A
JP2004307838A JP2004073758A JP2004073758A JP2004307838A JP 2004307838 A JP2004307838 A JP 2004307838A JP 2004073758 A JP2004073758 A JP 2004073758A JP 2004073758 A JP2004073758 A JP 2004073758A JP 2004307838 A JP2004307838 A JP 2004307838A
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polypropylene
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unsaturated carboxylic
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JP2004073758A
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Fumio Tatsumi
富美男 巽
Akira Yuya
亮 油谷
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Idemitsu Petrochemical Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Petrochemical Co Ltd
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Abstract

【課題】 塗布しやすく、高精度塗布ができ、高速塗工性にも優れた、ポリオレフィン樹脂、エンジニアリングプラスチック、無機材料などの多様な基材について、同種あるいは異種の基材の組合せにおいても優れた接着力を有するホットメルト粘接着剤に好適なベースポリマーを提供する。
【解決手段】 軟質ポリプロピレン(A)100質量部を、不飽和カルボン酸又はその誘導体(B)0.2〜15質量部と、有機過酸化物(C)0.01〜2.0質量部とともにラジカル反応させることにより得られる、135℃テトラリン溶媒中で測定された極限粘度[η]が0.05〜1.5デシリットル/gであり、不飽和カルボン酸又はその誘導体含有量が0.05〜15質量%である低分子量変性軟質ポリプロピレン、及びこの樹脂を使用したホットメルト粘接着剤用樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ホットメルト粘接着剤用のベースポリマーに特に適した低分子量変性軟質ポリプロピレン及びホットメルト粘接着剤用樹脂組成物に関する。更に詳しくは、溶融粘度が低く、接着剤としての塗工作業性や塗工精度、高速塗工性に優れ、かつポリオレフィン材料や他の多様な極性材料の接着に適した、低分子量変性軟質ポリプロピレン及びホットメルト粘接着剤用樹脂組成物に関する。
一般に、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂は、機械的強度や成形性に優れ、化学的に安定であることから汎用されているが、接着性に乏しいという欠点を有している。ポリオレフィン樹脂の接着性を改善する方法として、ポリオレフィン樹脂に不飽和カルボン酸類と有機過酸化物を添加して溶融混練することによってポリオレフィンを変性する方法が従来から知られている。
一方、接着剤のなかでもホットメルト接着剤は、有機溶媒を使用しないためこれらを放出することがなく環境や人体に対して悪影響がなく、また、塗布後すぐに冷却固化するために短時間で初期接着強度が得られ作業性が良いことなどの利点から、包装、製本、合板、木工、衛生材料などの分野で広く使用されている。従来から用いられているホットメルト接着剤のベースポリマーとしては、スチレン系エラストマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)などが用いられている。しかしながら、近年の脱塩ビの動きや材料リサイクル利用の観点により包装材料等の樹脂原料としてポリオレフィン樹脂の利用が進められている。この材料のポリオレフィン化が進むにつれて、ポリオレフィン樹脂製の材料と他の材料を接着するためのホットメルト粘接着剤が強く求められている。
ホットメルト粘接着剤は一般に、ベースポリマー、粘着性付与樹脂、さらには必要に応じて可塑化オイル、ワックス、酸化防止剤、充填剤などを混合して用いられている。難接着性であるポリオレフィン材料を接着するための方法として従来から種々提案されている。例えば、ホットメルト接着剤のベースポリマーとして、低粘度の非結晶性ポリオレフィンや、ポリオレフィンとポリスチレンのグラフトブロックコポリマーのブレンド体を使用する方法(例えば、特許文献1参照)、同じくベースポリマーとしてスチレン系熱可塑性ブロック共重合体を使用する方法(例えば、特許文献2参照)等が挙げられる。
しかしながら、これらの方法のうちで、低粘度の非結晶性ポリオレフィンを用いた場合には凝集力が弱く、高温での接着強度が低下する問題がある。また、ポリオレフィン以外の材料との接着性に乏しいといった問題がある。ポリオレフィンとポリスチレンのグラフトブロックコポリマーのブレンド体を使用する方法は、このブレンド体が加熱時に経時変化による相分離が起こり、性能が低下するという問題があった。また、スチレン系熱可塑性ブロック共重合体は溶融粘度が高いために塗工性が悪く、ポリオレフィン材料との接着強度も十分ではなかった。
一方、ポリオレフィン樹脂に不飽和カルボン酸類と有機過酸化物を添加して溶融混練する方法により接着性を付与する方法が従来から知られているが、この方法による接着性の改善は不十分なものであり、満足できるものではなかった。また、低温衝撃性が劣ったものになるという問題があった。さらに、ゴム物質を添加する方法も提案されている(例えば、特許文献3及び4参照)。しかしながら、ゴム物質を添加すると、耐熱性及び成形性が低下するという新たな問題が生じていた。
このような問題を解決するために、特定の軟質ポリプロピレンを不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性することによって、耐熱性、低温衝撃性、及び成形性に優れるとともに接着性の著しく改善された変性軟質ポリプロピレン組成物が提案されている(例えば、特許文献5参照)。この変性軟質ポリプロピレン組成物は、ポリプロピレン系樹脂と他樹脂との積層体における接着層として有用であることが示されている。ここで開示された変性軟質ポリプロピレン組成物は、ポリプロピレン樹脂と他の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、金属材料、紙、木材などのセルロース系材料あるいはガラスなどの多様な材料との接着性に優れていることが示されているが、積層体接着剤としては有用であるものの、分子量が比較的大きい樹脂であるために溶融粘度が高くなり塗工性が悪く、ホットメルト接着剤ベースポリマーとしては適していなかった。
ホットメルト粘接着剤は加熱により溶融させて塗布するという特性上、作業性を向上させるために塗布時の溶融粘度を低くすることが求められている。近年では、包装分野でのアプリケーターの自動化による高速塗工性や、スプレーやスパイラルスプレー等のような低目付(低塗布量)塗布方法の普及により、樹脂の溶融粘度を低下させることがさらに求められている。また、接着部材も高機能化が進み複雑な構造になってきているため、より高精度の塗布ができる塗布性が要求されるようになっている。
ホットメルト接着剤の溶融粘度を低下させる手法としては、例えば、可塑化オイルやオリゴマーからなるワックスを配合することによってベースポリマーの配合量を少なくする方法が知られている。しかしながら、可塑化オイルを多く配合すると、接着剤の凝集力や耐熱性、耐クリープ性等が大幅に低下し、滲み出しにより外観を損ねたり、粘接着剤がべたつき、かぶれの原因になる等の問題点がある。また、ワックスを多く配合した場合にも、粘接着剤の接着力が低下し、ホットメルト粘接着剤自体が硬くなるために低温接着性や耐クリープ性が大きく低下してしまう傾向がある。
従って、ホットメルト粘接着剤の性能を犠牲にすることなく塗工性を向上させるためには、ベースポリマーのさらなる低粘度化が強く求められている。
特開平3−7746号公報 特開平4−351689号公報 特公昭54−40112号公報 特公昭55−5766号公報 特許第2777436号公報
本発明は、以上のような状況に鑑みなされたものであり、特に、特許文献5に記載された方法において、その溶融粘度を低下させて、塗布しやすく、高精度塗布ができ、高速塗工性にも優れた、ポリオレフィン樹脂、セルロース繊維系材料、ポリフェニレンサルファイド、シンジオタクチックポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルなどのエンジニアリングプラスチック、金属、ガラスなどの無機材料などの多様な基材について、同種あるいは異種の基材の組合せにおいても優れた接着力や凝集力、粘着性を有し、ホットメルト粘接着剤に好適なベースポリマーを提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するために種々検討を重ねた結果、軟質ポリプロピレンを不飽和カルボン酸類で変性し、かつ極限粘度がある一定の値以下のものがこれらの課題を満足することを見出し、かかる知見に基づいて本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の内容を要旨するものである。
(1)軟質ポリプロピレン(A)100質量部を、不飽和カルボン酸又はその誘導体(B)0.2〜15質量部と、有機過酸化物(C)0.01〜2.0質量部とともにラジカル反応させることにより得られる、135℃テトラリン溶媒中で測定された極限粘度[η]が0.05〜1.5デシリットル/gであり、不飽和カルボン酸又はその誘導体含有量が0.05〜15質量%であることを特徴とする低分子量変性軟質ポリプロピレン。
(2)極限粘度[η]が0.1〜1.0デシリットル/gである、前記(1)に記載の低分子量変性軟質ポリプロピレン。
(3)不飽和カルボン酸又はその誘導体含有量が0.1〜10質量%である、前記(1)又は(2)に記載の低分子量変性軟質ポリプロピレン。
(4)軟質ポリプロピレン(A)が、極限粘度[η]が0.2〜9.0デシリットル/gである沸騰ヘプタン可溶性ポリプロピレン(A1)10〜90質量%と、極限粘度[η]が0.2〜9.0デシリットル/gである沸騰ヘプタン不溶性ポリプロピレン(A2)90〜10質量%とからなるポリプロピレン系重合体である、前記(1)ないし(3)に記載の低分子量変性軟質ポリプロピレン。
(5)前記(1)ないし(4)に記載の低分子量変性軟質ポリプロピレンに、粘着性付与樹脂、オイル及び/又はワックスを配合することによって得られるホットメルト粘接着剤用樹脂組成物。
本発明の低分子量変性軟質ポリプロピレンは、ポリオレフィン樹脂、セルロース繊維系材料、ポリフェニレンサルファイド、シンジオタクチックポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルなどのエンジニアリングプラスチック、金属、ガラスなどの無機材料などの多様な基材に対して優れた接着性を有すると同時に、加熱溶融時の溶融粘度が低く流動性に優れる。
従って、この低分子量変性軟質ポリプロピレンをベースポリマーとして使用したホットメルト粘接着剤は、同様にポリオレフィン樹脂、セルロース繊維系材料、ポリフェニレンサルファイド、シンジオタクチックポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルなどのエンジニアリングプラスチック、金属、ガラスなどの無機材料などの多様な基材について、同種あるいは異種の基材の組合せにおいても優れた接着性を有すると同時に、精度の高い、あるいは高速度の塗工を行なうことが出来る。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明において「軟質ポリプロピレン(A)」とは、以下の(イ)〜(ニ)に記載のホモ重合体、又は共重合体、更にはそれら重合体を含有する組成物のいずれかを意味する。
(イ)(i)極限粘度[η]が0.2〜9.0デシリットル/g、好ましくは0.5〜3.0デシリットル/gである沸騰ヘプタン可溶性ポリプロピレン(A1)10〜90質量%と、(ii)極限粘度[η]が0.2〜9.0デシリットル/g、好ましくは0.5〜5.0デシリットル/gである沸騰ヘプタン不溶性ポリプロピレン(A2)90〜10質量%とからなるポリプロピレン系重合体(a)、
(ロ)(i)α−オレフィン単位含有量が0.1〜5モル%であり、(ii)極限粘度[η]が0.2デシリットル/g以上、好ましくは0.5デシリットル/g以上、より好ましくは1.2デシリットル/g以上である沸騰ヘキサン可溶分が20〜99.9質量%であり、そして(iii)引張弾性率が490MPa以下である、プロピレンと炭素数4〜30のα−オレフィンとのランダム共重合体(b)、
(ハ)(i)前記ポリプロピレン系重合体(a)10〜95質量%と、(ii)エチレン単位含有量が10〜60モル%で、極限粘度[η]が0.2〜7.0デシリットル/g、好ましくは0.5〜5.0デシリットル/gであるエチレン−プロピレン共重合体(c)、及び/又は(iii)エチレン単位含有量が10〜60モル%で、ポリエン単位含有量が1〜10モル%で、極限粘度[η]が0.2〜7.0デシリットル/g、好ましくは0.5〜5.0デシリットル/gであるエチレン−プロピレン−ポリエン共重合体(c′)90〜5質量%とからなるプロピレン系組成物(d)、及び
(ニ)(i)前記ランダム共重合体(b)10〜95質量%と、(ii)前記エチレン−プロピレン共重合体(c)及び/又はエチレン−プロピレン−ポリエン共重合体(c′)90〜5質量%とからなるプロピレン系組成物(e)。
なお、前記のポリプロピレン系重合体(a)は次の性質(i)〜(iv)を有しているものが特に好ましい。
(i)13C−NMRによるペンタッド分率において、rrrr/1−mmmmが20%以上である。
(ii)示差熱量分析計(DSC)にて測定した融解ピーク温度(Tm)が150℃以上である。
(iii)DSCにて測定した融解エンタルピー(ΔH)が100J/g以下である。
(iv)透過型電子顕微鏡での観察において、ドメイン構造が観察される。
このような軟質ポリプロピレン(A)は、例えば、前述の特許文献5に記載された方法により製造することができ、また、具体例としては、出光石油化学(株)から上市されているオレフィン系熱可塑性エラストマー(商品名:出光TPO)を挙げることができる
次に、本発明における「不飽和カルボン酸又はその誘導体(B)」について、以下説明する。
不飽和カルボン酸としては、化合物全体の炭素数が3〜8個の、アルケン又はアルキンのモノ又はポリ(特にはジ)カルボン酸であり、具体的にはマレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、メサコン酸、イタコン酸、アンゲリカ酸、ソルビン酸、アクリル酸、メタクリル酸等が好ましい。また不飽和カルボン酸の誘導体としては、前記不飽和カルボン酸の無水物(例えば、無水マレイン酸、無水ナジック酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸)、酸エステル類(例えば、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル)、金属塩、アミド、イミド等を挙げることができる。そのうち特に無水マレイン酸、アクリル酸、アクリル酸エステル類が好ましい。なお、本発明においては、前記の不飽和カルボン酸又はその誘導体を、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合せて使用することもできる。
不飽和カルボン酸又はその誘導体の添加量としては、軟質ポリプロピレン(A)100質量部に対して0.2〜15質量部が適当であり、好ましくは0.3〜10質量部である。不飽和カルボン酸又はその誘導体の最適な添加量は、その種類、溶融混練反応の条件、目的とする接着剤の配合や要求特性などによって変化するが、不飽和カルボン酸又はその誘導体の添加量が少なすぎるとグラフト反応により導入されるグラフト基が少なくなり、極性被着体との接着力が低下する。また、添加量が多すぎるとゲル化が進み黄色化し、変性軟質ポリプロピレンの物性が大きく低下することがある。また、不飽和カルボン酸又はその誘導体の単独重合体や未反応物が増加するために刺激臭など作業環境の悪化を引き起こし、好ましくない。
また、本発明における「有機過酸化物(C)」としては、分解温度が好ましくは80〜200℃、特に好ましくは90〜180℃の化合物が好適に使用され、例えば、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジ−t−ブチルパーオキシド、2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート等が挙げられる。
有機過酸化物(C)の添加量は、前記の軟質ポリプロピレン(A)100質量部に対して0.01〜2.0質量部、好ましくは0.02〜1.0質量部、さらに好ましくは0.05〜0.5質量部である。添加量が0.01質量部未満であるとラジカル反応が十分に進行しないために接着性の向上が認められず、また、溶融粘度の低下も十分ではない。また、添加量が2.0質量部を超えるとポリプロピレンの分解が激しくなり、物性が著しく低下する。
本発明の低分子量変性軟質ポリプロピレンは、上記の軟質ポリプロピレン(A)を不飽和カルボン酸又はその誘導体(B)及び有機過酸化物(C)とともに、加熱下に溶融混合してラジカル反応を起こさせることによって得られる。即ち、軟質プロピレン重合体(A)と、不飽和カルボン酸又はその誘導体(B)と、有機過酸化物(C)との各成分を、溶融混練機又は攪拌装置を備えた槽型反応器などを用いて、160〜270℃、好ましくは180〜250℃でラジカル反応させることによって得ることができる。反応温度が160℃よりも低温では、ラジカル反応の効率が向上せず、目的とした酸変性率が達成できない。270℃よりも高温では、プロピレン重合体の熱分解や酸化劣化が起こりやすくなる。
溶融混練機としては、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、単軸押出機、二軸押出機等、通常樹脂を混練するために用いられる混練機を使用することができ、なかでも二軸押出機が好ましい。二軸押出機の具体例としては、ラボプラストミル(東洋精機製作所製)、TEM−35B(東芝機械(株)製)等を挙げることができる。溶融混練機での滞留時間(即ち、反応時間)は10秒〜10分、好ましくは30秒〜5分である。槽型反応器としては、ガラス製セパラブルフラスコ、ステンレス製オートクレーブ等を使用することができる。この場合の反応時間は10分〜240分、好ましくは20分〜120分である。反応時間が上記範囲よりも短いと、ラジカル反応が十分に進行せずに目的とした酸変性量が達成できない。上記範囲よりも長いと、プロピレン重合体の熱分解や酸化劣化が起こりやすくなる。
不飽和カルボン酸又はその誘導体(B)と有機過酸化物(C)の供給方法は、反応直前に一括投入することもできるし、反応中に逐次供給することもできる。また、槽型応器を用いる場合には、プロピレン重合体(A)を脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、あるいは芳香族炭化水素のような有機溶媒に溶解させて反応を行い、反応終了後にジアルキルケトン、低級アルコール、あるいはそれらの混合溶媒で反応生成物を沈殿させ、未反応の不飽和カルボン酸又はその誘導体を濾別して除去することによって実施することもできる。
本発明の目的とする、特にホットメルト粘接着剤の用途に適した溶融粘度の低い低分子量変性軟質ポリプロピレンを得るためには、かかるラジカル重合反応の結果得られた変性された重合体の135℃テトラリン溶媒中で測定された極限粘度[η]が0.05〜1.5デシリットル/gであり、不飽和カルボン酸又はその誘導体の含有量が0.05〜15質量%であることが必要である。更に、より好ましくは、135℃テトラリン溶媒中で測定された極限粘度[η]が0.1〜1.0デシリットル/gであり、不飽和カルボン酸又はその誘導体の含有量が0.1〜10質量%である。
極限粘度[η]が0.05デシリットル/g未満であると、変性された重合体の力学物性が低下するために接着性が悪化し、1.5デシリットル/gを超えると溶融粘度が高くなり塗工性が低下するため好ましくない。また、不飽和カルボン酸又はその誘導体の含有量が0.05質量%未満であると高極性材料に対して十分な接着強度が得られず、15質量%を超えると、プロピレン重合体としての力学特性が損なわれる傾向にあるので好ましくない。
なお、ここで極限粘度[η]及び不飽和カルボン酸又はその誘導体の含有量(酸含有量)は、以下の方法によって求めた値である。
(1) 極限粘度[η]:
VMR−053型自動粘度計(株式会社 離合社製)を用い、測定溶媒には酸化防止剤として2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール(BHT)を1g/リットル添加したテトラリンを使用する。溶液温度を135℃とし、試料濃度0.8〜1.4g/リットルで測定を行う。ウベローデ型毛管粘度計において、濃度C(g/デシリットル)の試料溶液の落下時間がt秒、溶媒の落下時間がt0秒であるとき、下記の関係式(Hugginsの式)を用い、k’=0.35として極限粘度を算出する。
ηsp= t/t0 − 1
ηsp/C = k’[η]2 C +[η] (Hugginsの式)
(2) 不飽和カルボン酸又はその誘導体含有量(酸含有量):
変性軟質ポリプロピレン約1gと酸化防止剤としてBHT 0.1gを0.1リットルのパラキシレン中で攪拌しながら130℃に加熱して、完全に溶解させる。この変性軟質ポリプロピレン溶液を、アセトン/メタノールの1/1混合溶媒 0.5リットルに投入して再沈殿させて、濾過した後、130℃で6時間真空乾燥させて、未反応の不飽和カルボン酸又はその誘導体を完全に除去する。この精製した変性軟質ポリプロピレンを、220℃でホットプレスすることにより厚さ約0.2mmのフィルムにして、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)により、1700〜1800cm-1 に生じるカルボニル基に起因する赤外吸収ピークの強度を測定する。
赤外吸収強度から変性量(酸含有量)を計算するための検量線は、変性反応に用いた不飽和カルボン酸又はその誘導体を原料の軟質ポリプロピレンにブレンドして調製した試料を用いて、同様にFT−IRで測定することにより作成する。
本発明の低分子量変性軟質ポリプロピレンは、ラジカル変性反応の際又は反応後に、必要に応じて他の熱可塑性樹脂、エチレン−プロピレンゴム又はエチレン−プロピレン−ジエンターポリマー等のゴム類、さらには粘着性付与樹脂、ワックス類、各種充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、分散剤その他の添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で適宜配合することもできる。
本発明の低分子量変性軟質ポリプロピレンは、そのまま接着性樹脂あるいはホットメルト粘接着剤として使用することもできるが、粘着性付与樹脂、オイル及び/又はワックスを混合してホットメルト粘接着剤組成物として用いることもできる。更に、必要に応じて顔料、染料、酸化防止剤、各種安定剤、可塑剤、無機充填剤などを、本発明の目的を損なわない範囲で適宜配合することができる。
粘着性付与樹脂の配合割合としては、低分子量変性軟質ポリプロピレン100質量部に対して粘着性付与樹脂1〜200質量部、好ましくは5〜120質量部、より好ましくは10〜100質量部である。粘着性付与樹脂の配合量が上記の範囲より多い場合、接着剤組成物の強度が低下することがあり、少ない場合、初期接着性が小さくなる傾向がある。
オイル、ワックスの配合割合としては、低分子量変性軟質ポリプロピレン100質量部に対して、それぞれ0〜100質量部、好ましくは5〜70質量部、より好ましくは10〜50質量部である。オイルの配合量が上記の範囲より多い場合、接着剤の凝集力や耐熱性、耐クリープ性等が大幅に低下し、滲み出しにより外観を損ねたり、接着剤がべたつき、かぶれの原因になることある。ワックスの配合量が上記範囲より多い場合、ホットメルト粘接着剤の接着力が発現しない傾向がある。
粘着付与樹脂としては、一般にホットメルト粘接着剤の関連分野で使用されるものであれば、特に限定されることなく使用され、例えば脂肪族系炭化水素樹脂、脂環族系炭化水素樹脂、芳香族炭化水素樹脂、ポリテルペン系樹脂、ロジン系樹脂、スチレン系樹脂、クマロンインデン系樹脂などが挙げられる。
脂肪族系炭化水素樹脂の例としては、1−ブテン、イソブチレン、ブタジエン、1,3−ペンタジエン、イソプレン、ピペリジン等の炭素数4−5のモノ、又はジオレフィンを主成分とする重合体が挙げられる。脂環族系炭化水素樹脂の例としては、炭素数4〜5の石油留分中のジエン成分を環化二量化後重合させた樹脂、シクロペンタジエン等の環化モノマーを重合させた樹脂、芳香族系炭化水素樹脂を核内水添した樹脂などが挙げられる。芳香族系炭化水素樹脂の例としては、ビニルトルエン、インデン、α−メチルスチレン等の炭素数9−10のビニル芳香族炭化水素を主成分とした樹脂等が挙げられる。ポリテルペン系樹脂の例としては、α−ピネン重合体、ジテルペン重合体、テルペンフェノール共重合体、α−ピネン−フェノール共重合体等が挙げられる。ロジン系樹脂の例としては、ガムロジン、ウッドロジン、トール油等のロジン又はその変性物であって、変性物としては水添、不均化、二量化、エステル化等の変性手段を施したものが例示できる。ロジンエステルの例としてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等のエステルが含まれる。スチレン系樹脂の例としては、スチレン、メチルスチレン、α−メチルスチレン、イソプロペニルトルエン等の重合体が挙げられる。上市されている粘着性付与樹脂としては、出光石油化学製 アイマーブ P−125、同アイマーブ P−100、同アイマーブ P−90、三井化学製 ハイレッツ T1115、ヤスハラケミカル製 クリアロン K100、トーネックス製 エスコレッツ 5300、同エスコレッツ2101、荒川化学製 アルコン P100、ハーキュレス(Hercules)製 Regalrez 1078などが挙げられる。本発明では、変性軟質ポリプロピレンとの相溶性及び熱安定性を考慮し、脂環族系炭化水素樹脂を用いることが好ましい。
オイル及び/又はワックスとしては、一般にホットメルト粘接着剤の関連分野で使用されるものであれば、特に限定されることなく使用することができる。
オイルとしては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、グリコール類、ナフテン系オイル等が挙げられる。
ワックスとしては、例えば、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、アタクチックポリプロピレン等の合成ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油ワックス、木ロウ、カルナバロウ、ミツロウ等の天然ワックス等が挙げられる。
このようにして得られた、本発明の低分子量変性軟質ポリプロピレン、又はこれをベースポリマーとして使用したホットメルト粘接着剤は、ポリオレフィン、ポリフェニレンサルファイド、シンジオタクチックポリスチレン、ポリエステル、ポリスチレン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂等の熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂などの熱硬化性樹脂、アルミニウム、鉄、トタン、ブリキ、銅等の金属材料、紙、布、木材などのセルロース系材料、ガラスなどの他の材料に容易に、かつ十分な強度で接着させることができる。特に、その溶融粘度が低いため、ホットメルト粘接着剤として使用した場合には、塗布しやすく、高精度の塗布が可能となり、更に高速塗工性にも優れるという特性を有し、優れたホットメルト粘接着剤を得ることが出来る。
以下に、実施例によって本発明を更に説明する。なお、例中%は特に注記しない限り質量基準である。
尚、実施例中の溶融粘度及び接着性は以下の方法によって求めた。
(イ) 変性軟質ポリプロピレン及びホットメルト粘接着剤用樹脂組成物の溶融粘度:
ブルックフィールド型粘度計を用いて、JIS K−6862に準拠して、190℃の溶融状態で、B−4ローターを使用し、回転数5min-1の条件にて溶融粘度を測定した。
(ロ) 変性軟質ポリプロピレンの接着性:
JIS K6854に準拠した方法により、次の方法によって剥離接着強さを測定した。即ち、低分子量変性軟質ポリプロピレンを幅25mm、長さ100mm、厚さ0.3mmの2枚の短冊型アルミニウム板の間に挟み、200℃の熱プレス機を用いて3分間予熱後、5MPaの圧力で3分間圧着した。この試験片を室温で8時間以上放置した後、引張速度100mm/分でT形剥離試験を行なった。測定には島津製作所製オートグラフ DSC−200を用いて、最適直線法による平均剥離荷重から剥離接着強さを求めた。
実施例1:
軟質ポリプロピレン(A−1)として出光石油化学(株)製の出光TPOE−2700 プロピレン単独重合体(MI=2.5g/10分、融点=160℃、沸騰ヘプタン可溶部:分率=37.1質量%、極限粘度=1.19デシリットル/g、沸騰ヘプタン不溶部:分率=62.9質量%、極限粘度=1.99デシリットル/g)の1.0kgを用い、これに不飽和カルボン酸(B)として無水マレイン酸の20.0g、及び、有機過酸化物(C)としてα,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼンの4.0g(日本油脂(株)製パーブチルP、純度98質量%)をブレンドした後、26mmφ二軸押出機(東洋精機製作所製、ラボプラストミル)に供給して温度230℃の加熱下で溶融混練してラジカル反応を行わせ、低分子量変性軟質ポリプロピレンを得た。得られた低分子量変性軟質ポリプロピレンの極限粘度を前記の方法で求めたところ、[η]=0.68デシリットル/gであり、同じく無水マレイン酸による軟質ポリプロピレンの変性量(無水マレイン酸含有量)は0.92質量%であった。
実施例2:
軟質ポリプロピレン(A−1)として出光石油化学(株)製の出光TPO E−2710 プロピレン系ランダム共重合体(MI=2.8g/10分、融点=155℃、沸騰ヘプタン可溶部:分率=36.9質量%、極限粘度=1.18デシリットル/g、沸騰ヘプタン不溶部:分率=63.1質量%、極限粘度=1.94デシリットル/g)の4.0kgを用い、これに不飽和カルボン酸(B)として無水マレイン酸の80.0g、及び、有機過酸化物(C)としてα,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼンの60.0gをブレンドした後、30mmφ2軸押出機(日本製鋼所製、TEX30)に供給して、280℃の加熱下で溶融混練してラジカル反応を行わせ、低分子量変性軟質ポリプロピレンを得た。得られた低分子量変性軟質ポリプロピレンの極限粘度は、[η]=0.57デシリットル/g、無水マレイン酸による変性量(無水マレイン酸含有量)は0.86質量%であった。
比較例1:
無水マレイン酸を配合しない以外は実施例1と同様にして溶融混練を行い、未変性の低分子量軟質ポリプロピレン([η]=0.63デシリットル/g)を得た。この未変性の低分子量軟質ポリプロピレンの沸騰ヘプタン可溶部は58.3質量%であり、その極限粘度は0.60デシリットル/g、沸騰ヘプタン不溶部は41.7質量%であり、その極限粘度は0.71デシリットル/gであった。
実施例3:
上記の比較例1で得られた未変性の低分子量軟質ポリプロピレン(A)の100gを0.5リットルのガラス製セパラブルフラスコに仕込み、180℃にて加熱溶解させた。温度を180℃に保持したまま溶融ポリマーを攪拌しながら、無水マレイン酸(B)の1.3g、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド(C)の0.49g(日本油脂(株)製 パークミルP 純度50質量%)を60分間かけて滴下し、滴下終了後さらに30分間攪拌を続けてラジカル反応を行わせた。反応終了後、低分子量変性軟質ポリプロピレンをバットに取り出し、120℃で4時間減圧乾燥を行った。得られた低分子量変性軟質ポリプロピレンの極限粘度は[η]=0.63デシリットル/g、無水マレイン酸による変性量(無水マレイン酸含有量)は0.09質量%であった。
実施例4
実施例3において、不飽和カルボン酸(B)として無水マレイン酸をアクリル酸−2−エチルヘキシルとし、その添加量を5.0gとした以外は実施例3と同様の方法によって、比較例1で得られた未変性の低分子量軟質ポリプロピレンの変性反応を行った。得られた低分子量変性軟質ポリプロピレンの極限粘度は[η]=0.53デシリットル/g、アクリル酸−2−エチルヘキシルによる変性量(アクリル酸−2−エチルヘキシル含有量)は3.30質量%であった。
実施例5:
実施例3において、不飽和カルボン酸(B)として無水マレイン酸をアクリル酸とし、その添加量を5.0gとした以外は実施例3と同様の方法によって、比較例1で得られた未変性の低分子量軟質ポリプロピレンの変性反応を行った。得られた低分子量変性軟質ポリプロピレンの極限粘度は[η]=0.62デシリットル/g、アクリル酸による変性量(アクリル酸含有量)は1.59質量%であった。
比較例2:
不飽和カルボン酸(B)として無水マレイン酸を2.0g、有機過酸化物(C)としてα,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼンを0.1gとした以外は実施例1と同様の方法によって、軟質ポリプロピレン(A−1)の変性反応を行った。得られた変性軟質ポリプロピレンの極限粘度は[η]=1.67デシリットル/gであり、無水マレイン酸による変性量(無水マレイン酸含有量)は0.01質量%であった。
これらの低分子量変性軟質ポリプロピレンの溶融粘度及び接着性を評価した結果を表1に示す。
Figure 2004307838
実施例6:粘接着剤としての評価(1)
上記の実施例1〜5及び比較例1〜2で得られた変性又は未変性の低分子量軟質ポリプロピレンの20gに、粘着性付与樹脂としてC5/芳香族共重合系石油樹脂の水添物(商品名:アイマーブP−125、出光石油化学(株)製)の10g、フェノール系酸化防止剤としてテトラキス(メチレン3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン(商品名:イルガノックス1010、チバ スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)の0.3gを配合し、0.1リットルのサンプル管に入れてオイルバスで180℃に加熱し、溶融状態で攪拌混合を行ってホットメルト粘接着剤用樹脂組成物を調製した。
ポリオレフィンと高極性材料との接着性を評価するために、アルミニウム板とポリプロピレンシートとの剥離接着強さを、JIS K6854に準拠して測定した。上記の操作で得たホットメルト粘接着剤用樹脂組成物の溶融物を、幅25mm、長さ100mm、厚さ0.3mmの短冊型アルミニウム板の下端から30mmにステンレス製のへらで均一に塗布した。冷却固化後の樹脂組成物層の厚さは、約0.2mmであった。アルミニウム板の樹脂組成物の塗工面に幅25mm、長さ150mm、厚さ0.3mmのプロピレン単独重合体製シートを重ねて、熱プレス機を用いて60秒間予熱後、1MPaの圧力で2秒間圧着した。試験片の接着面は、あらかじめアセトンで表面を洗浄後、室温で十分に乾燥させた。プレス温度は、アルミニウム板側を230℃、ポリプロピレンシート側を120℃に設定した。この試験片を室温で8時間以上放置した後、引張速度100mm/分で180度剥離試験を行なった。測定には島津製作所製オートグラフ DSC−200 を用いて、最適直線法による平均剥離荷重から剥離接着強さを求め、試験後の破壊状態を観察した。
上記で得た各樹脂組成物の溶融粘度及び接着性評価の結果を表2に示す。なお比較例2の樹脂組成物は、溶融粘度が高いためにアルミニウム板に均一に塗布することができず、剥離試験片を得ることができなかった。
Figure 2004307838
(注)
CF:凝集破壊
AF:接着破壊
実施例7:粘接着剤としての評価(2)
エンジニアリングプラスチックに対する接着性を評価するために、アルミニウム板とポリフェニレンサルファイド(PPS)及びシンジオタクチックポリスチレン(SPS)との引張剪断接着強さを JIS K6850 に準拠して測定した。
実施例6と同様にして、アルミニウム板の樹脂組成物の塗工面に幅25mm、長さ100mm、厚さ3mmのPPS(商品名:出光PPS C−140SG (GF40質量%含有)、出光石油化学(株)製)及びSPS(商品名:ザレック S132 (GF30質量%含有)、出光石油化学(株)製)の射出試験片を重ねて、熱プレス機を用いて60秒間予熱後、1MPaの圧力で2秒間圧着した。各試験片の接着面は、あらかじめアセトンで表面を洗浄後、室温で十分に乾燥させた。プレス温度は、アルミニウム板側を240℃、PPS及びSPS側を200℃に設定した。この接着試験片を室温で8時間以上放置した後、引張速度50mm/分で引張剪断接着強さ試験を行なった。測定には島津製作所製オートグラフ DSC−200 を用いて、破壊するまでの最大荷重から引張剪断接着強さを求め、試験後の破壊状態を観察した。
比較として市販の化学反応型接着剤について評価を実施した。反応型接着剤としてセメダイン(株)製ハイスーパー5(比較例3)、及びセメダイン(株)製スーパーXクリア(比較例4)を用いた。それぞれ使用法に従って接着し、最終接着強さが得られるまで室温で放置した後に試験を行った。
製造例で得た実施例1を使用した樹脂組成物及び市販の化学反応型接着剤の接着性評価の結果を表3に示す。
Figure 2004307838
(注)
MF:被着剤破壊
AF:接着破壊
本発明の低分子量変性軟質ポリプロピレンをベースポリマーとして使用したホットメルト樹脂粘接着剤は、ポリオレフィン樹脂、セルロース繊維系材料、ポリフェニレンサルファイド、シンジオタクチックポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルなどのエンジニアリングプラスチック、金属、ガラスなどの無機材料などの多様な基材について、同種あるいは異種の基材の組合せにおいても優れた接着性を有すると同時に、精度の高い、あるいは高速度の塗工を行なうことが出来る。

Claims (5)

  1. 軟質ポリプロピレン(A)100質量部を、不飽和カルボン酸又はその誘導体(B)0.2〜15質量部と、有機過酸化物(C)0.01〜2.0質量部とともにラジカル反応させることにより得られる、135℃テトラリン溶媒中で測定された極限粘度[η]が0.05〜1.5デシリットル/gであり、不飽和カルボン酸又はその誘導体の含有量が0.05〜15質量%であることを特徴とする低分子量変性軟質ポリプロピレン。
  2. 極限粘度[η]が0.1〜1.0デシリットル/gである、請求項1に記載の低分子量変性軟質ポリプロピレン。
  3. 不飽和カルボン酸又はその誘導体の含有量が0.1〜10質量%である、請求項1又は2に記載の低分子量変性軟質ポリプロピレン。
  4. 軟質ポリプロピレン(A)が、極限粘度[η]が0.2〜9.0デシリットル/gである沸騰ヘプタン可溶性ポリプロピレン(A1)10〜90質量%と、極限粘度[η]が0.2〜9.0デシリットル/gである沸騰ヘプタン不溶性ポリプロピレン(A2)90〜10質量%とからなるポリプロピレン系重合体である、請求項1ないし3のいずれかに記載の低分子量変性軟質ポリプロピレン。
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載の低分子量変性軟質ポリプロピレンに、粘着性付与樹脂、オイル及び/又はワックスを配合することによって得られるホットメルト粘接着剤用樹脂組成物。

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