JP2004307838A - 低分子量変性軟質ポリプロピレン及びホットメルト粘接着剤用樹脂組成物 - Google Patents
低分子量変性軟質ポリプロピレン及びホットメルト粘接着剤用樹脂組成物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004307838A JP2004307838A JP2004073758A JP2004073758A JP2004307838A JP 2004307838 A JP2004307838 A JP 2004307838A JP 2004073758 A JP2004073758 A JP 2004073758A JP 2004073758 A JP2004073758 A JP 2004073758A JP 2004307838 A JP2004307838 A JP 2004307838A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- mass
- polypropylene
- resin
- carboxylic acid
- unsaturated carboxylic
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)
- Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
Abstract
【解決手段】 軟質ポリプロピレン(A)100質量部を、不飽和カルボン酸又はその誘導体(B)0.2〜15質量部と、有機過酸化物(C)0.01〜2.0質量部とともにラジカル反応させることにより得られる、135℃テトラリン溶媒中で測定された極限粘度[η]が0.05〜1.5デシリットル/gであり、不飽和カルボン酸又はその誘導体含有量が0.05〜15質量%である低分子量変性軟質ポリプロピレン、及びこの樹脂を使用したホットメルト粘接着剤用樹脂組成物。
【選択図】 なし
Description
一方、接着剤のなかでもホットメルト接着剤は、有機溶媒を使用しないためこれらを放出することがなく環境や人体に対して悪影響がなく、また、塗布後すぐに冷却固化するために短時間で初期接着強度が得られ作業性が良いことなどの利点から、包装、製本、合板、木工、衛生材料などの分野で広く使用されている。従来から用いられているホットメルト接着剤のベースポリマーとしては、スチレン系エラストマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)などが用いられている。しかしながら、近年の脱塩ビの動きや材料リサイクル利用の観点により包装材料等の樹脂原料としてポリオレフィン樹脂の利用が進められている。この材料のポリオレフィン化が進むにつれて、ポリオレフィン樹脂製の材料と他の材料を接着するためのホットメルト粘接着剤が強く求められている。
このような問題を解決するために、特定の軟質ポリプロピレンを不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性することによって、耐熱性、低温衝撃性、及び成形性に優れるとともに接着性の著しく改善された変性軟質ポリプロピレン組成物が提案されている(例えば、特許文献5参照)。この変性軟質ポリプロピレン組成物は、ポリプロピレン系樹脂と他樹脂との積層体における接着層として有用であることが示されている。ここで開示された変性軟質ポリプロピレン組成物は、ポリプロピレン樹脂と他の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、金属材料、紙、木材などのセルロース系材料あるいはガラスなどの多様な材料との接着性に優れていることが示されているが、積層体接着剤としては有用であるものの、分子量が比較的大きい樹脂であるために溶融粘度が高くなり塗工性が悪く、ホットメルト接着剤ベースポリマーとしては適していなかった。
ホットメルト接着剤の溶融粘度を低下させる手法としては、例えば、可塑化オイルやオリゴマーからなるワックスを配合することによってベースポリマーの配合量を少なくする方法が知られている。しかしながら、可塑化オイルを多く配合すると、接着剤の凝集力や耐熱性、耐クリープ性等が大幅に低下し、滲み出しにより外観を損ねたり、粘接着剤がべたつき、かぶれの原因になる等の問題点がある。また、ワックスを多く配合した場合にも、粘接着剤の接着力が低下し、ホットメルト粘接着剤自体が硬くなるために低温接着性や耐クリープ性が大きく低下してしまう傾向がある。
従って、ホットメルト粘接着剤の性能を犠牲にすることなく塗工性を向上させるためには、ベースポリマーのさらなる低粘度化が強く求められている。
(1)軟質ポリプロピレン(A)100質量部を、不飽和カルボン酸又はその誘導体(B)0.2〜15質量部と、有機過酸化物(C)0.01〜2.0質量部とともにラジカル反応させることにより得られる、135℃テトラリン溶媒中で測定された極限粘度[η]が0.05〜1.5デシリットル/gであり、不飽和カルボン酸又はその誘導体含有量が0.05〜15質量%であることを特徴とする低分子量変性軟質ポリプロピレン。
(2)極限粘度[η]が0.1〜1.0デシリットル/gである、前記(1)に記載の低分子量変性軟質ポリプロピレン。
(3)不飽和カルボン酸又はその誘導体含有量が0.1〜10質量%である、前記(1)又は(2)に記載の低分子量変性軟質ポリプロピレン。
(4)軟質ポリプロピレン(A)が、極限粘度[η]が0.2〜9.0デシリットル/gである沸騰ヘプタン可溶性ポリプロピレン(A1)10〜90質量%と、極限粘度[η]が0.2〜9.0デシリットル/gである沸騰ヘプタン不溶性ポリプロピレン(A2)90〜10質量%とからなるポリプロピレン系重合体である、前記(1)ないし(3)に記載の低分子量変性軟質ポリプロピレン。
(5)前記(1)ないし(4)に記載の低分子量変性軟質ポリプロピレンに、粘着性付与樹脂、オイル及び/又はワックスを配合することによって得られるホットメルト粘接着剤用樹脂組成物。
従って、この低分子量変性軟質ポリプロピレンをベースポリマーとして使用したホットメルト粘接着剤は、同様にポリオレフィン樹脂、セルロース繊維系材料、ポリフェニレンサルファイド、シンジオタクチックポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルなどのエンジニアリングプラスチック、金属、ガラスなどの無機材料などの多様な基材について、同種あるいは異種の基材の組合せにおいても優れた接着性を有すると同時に、精度の高い、あるいは高速度の塗工を行なうことが出来る。
本発明において「軟質ポリプロピレン(A)」とは、以下の(イ)〜(ニ)に記載のホモ重合体、又は共重合体、更にはそれら重合体を含有する組成物のいずれかを意味する。
(イ)(i)極限粘度[η]が0.2〜9.0デシリットル/g、好ましくは0.5〜3.0デシリットル/gである沸騰ヘプタン可溶性ポリプロピレン(A1)10〜90質量%と、(ii)極限粘度[η]が0.2〜9.0デシリットル/g、好ましくは0.5〜5.0デシリットル/gである沸騰ヘプタン不溶性ポリプロピレン(A2)90〜10質量%とからなるポリプロピレン系重合体(a)、
(ロ)(i)α−オレフィン単位含有量が0.1〜5モル%であり、(ii)極限粘度[η]が0.2デシリットル/g以上、好ましくは0.5デシリットル/g以上、より好ましくは1.2デシリットル/g以上である沸騰ヘキサン可溶分が20〜99.9質量%であり、そして(iii)引張弾性率が490MPa以下である、プロピレンと炭素数4〜30のα−オレフィンとのランダム共重合体(b)、
(ハ)(i)前記ポリプロピレン系重合体(a)10〜95質量%と、(ii)エチレン単位含有量が10〜60モル%で、極限粘度[η]が0.2〜7.0デシリットル/g、好ましくは0.5〜5.0デシリットル/gであるエチレン−プロピレン共重合体(c)、及び/又は(iii)エチレン単位含有量が10〜60モル%で、ポリエン単位含有量が1〜10モル%で、極限粘度[η]が0.2〜7.0デシリットル/g、好ましくは0.5〜5.0デシリットル/gであるエチレン−プロピレン−ポリエン共重合体(c′)90〜5質量%とからなるプロピレン系組成物(d)、及び
(ニ)(i)前記ランダム共重合体(b)10〜95質量%と、(ii)前記エチレン−プロピレン共重合体(c)及び/又はエチレン−プロピレン−ポリエン共重合体(c′)90〜5質量%とからなるプロピレン系組成物(e)。
(i)13C−NMRによるペンタッド分率において、rrrr/1−mmmmが20%以上である。
(ii)示差熱量分析計(DSC)にて測定した融解ピーク温度(Tm)が150℃以上である。
(iii)DSCにて測定した融解エンタルピー(ΔH)が100J/g以下である。
(iv)透過型電子顕微鏡での観察において、ドメイン構造が観察される。
このような軟質ポリプロピレン(A)は、例えば、前述の特許文献5に記載された方法により製造することができ、また、具体例としては、出光石油化学(株)から上市されているオレフィン系熱可塑性エラストマー(商品名:出光TPO)を挙げることができる
不飽和カルボン酸としては、化合物全体の炭素数が3〜8個の、アルケン又はアルキンのモノ又はポリ(特にはジ)カルボン酸であり、具体的にはマレイン酸、フマール酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、メサコン酸、イタコン酸、アンゲリカ酸、ソルビン酸、アクリル酸、メタクリル酸等が好ましい。また不飽和カルボン酸の誘導体としては、前記不飽和カルボン酸の無水物(例えば、無水マレイン酸、無水ナジック酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸)、酸エステル類(例えば、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル)、金属塩、アミド、イミド等を挙げることができる。そのうち特に無水マレイン酸、アクリル酸、アクリル酸エステル類が好ましい。なお、本発明においては、前記の不飽和カルボン酸又はその誘導体を、一種を単独で使用することもできるし、二種以上を組み合せて使用することもできる。
有機過酸化物(C)の添加量は、前記の軟質ポリプロピレン(A)100質量部に対して0.01〜2.0質量部、好ましくは0.02〜1.0質量部、さらに好ましくは0.05〜0.5質量部である。添加量が0.01質量部未満であるとラジカル反応が十分に進行しないために接着性の向上が認められず、また、溶融粘度の低下も十分ではない。また、添加量が2.0質量部を超えるとポリプロピレンの分解が激しくなり、物性が著しく低下する。
極限粘度[η]が0.05デシリットル/g未満であると、変性された重合体の力学物性が低下するために接着性が悪化し、1.5デシリットル/gを超えると溶融粘度が高くなり塗工性が低下するため好ましくない。また、不飽和カルボン酸又はその誘導体の含有量が0.05質量%未満であると高極性材料に対して十分な接着強度が得られず、15質量%を超えると、プロピレン重合体としての力学特性が損なわれる傾向にあるので好ましくない。
(1) 極限粘度[η]:
VMR−053型自動粘度計(株式会社 離合社製)を用い、測定溶媒には酸化防止剤として2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール(BHT)を1g/リットル添加したテトラリンを使用する。溶液温度を135℃とし、試料濃度0.8〜1.4g/リットルで測定を行う。ウベローデ型毛管粘度計において、濃度C(g/デシリットル)の試料溶液の落下時間がt秒、溶媒の落下時間がt0秒であるとき、下記の関係式(Hugginsの式)を用い、k’=0.35として極限粘度を算出する。
ηsp= t/t0 − 1
ηsp/C = k’[η]2 C +[η] (Hugginsの式)
変性軟質ポリプロピレン約1gと酸化防止剤としてBHT 0.1gを0.1リットルのパラキシレン中で攪拌しながら130℃に加熱して、完全に溶解させる。この変性軟質ポリプロピレン溶液を、アセトン/メタノールの1/1混合溶媒 0.5リットルに投入して再沈殿させて、濾過した後、130℃で6時間真空乾燥させて、未反応の不飽和カルボン酸又はその誘導体を完全に除去する。この精製した変性軟質ポリプロピレンを、220℃でホットプレスすることにより厚さ約0.2mmのフィルムにして、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)により、1700〜1800cm-1 に生じるカルボニル基に起因する赤外吸収ピークの強度を測定する。
赤外吸収強度から変性量(酸含有量)を計算するための検量線は、変性反応に用いた不飽和カルボン酸又はその誘導体を原料の軟質ポリプロピレンにブレンドして調製した試料を用いて、同様にFT−IRで測定することにより作成する。
粘着性付与樹脂の配合割合としては、低分子量変性軟質ポリプロピレン100質量部に対して粘着性付与樹脂1〜200質量部、好ましくは5〜120質量部、より好ましくは10〜100質量部である。粘着性付与樹脂の配合量が上記の範囲より多い場合、接着剤組成物の強度が低下することがあり、少ない場合、初期接着性が小さくなる傾向がある。
脂肪族系炭化水素樹脂の例としては、1−ブテン、イソブチレン、ブタジエン、1,3−ペンタジエン、イソプレン、ピペリジン等の炭素数4−5のモノ、又はジオレフィンを主成分とする重合体が挙げられる。脂環族系炭化水素樹脂の例としては、炭素数4〜5の石油留分中のジエン成分を環化二量化後重合させた樹脂、シクロペンタジエン等の環化モノマーを重合させた樹脂、芳香族系炭化水素樹脂を核内水添した樹脂などが挙げられる。芳香族系炭化水素樹脂の例としては、ビニルトルエン、インデン、α−メチルスチレン等の炭素数9−10のビニル芳香族炭化水素を主成分とした樹脂等が挙げられる。ポリテルペン系樹脂の例としては、α−ピネン重合体、ジテルペン重合体、テルペンフェノール共重合体、α−ピネン−フェノール共重合体等が挙げられる。ロジン系樹脂の例としては、ガムロジン、ウッドロジン、トール油等のロジン又はその変性物であって、変性物としては水添、不均化、二量化、エステル化等の変性手段を施したものが例示できる。ロジンエステルの例としてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等のエステルが含まれる。スチレン系樹脂の例としては、スチレン、メチルスチレン、α−メチルスチレン、イソプロペニルトルエン等の重合体が挙げられる。上市されている粘着性付与樹脂としては、出光石油化学製 アイマーブ P−125、同アイマーブ P−100、同アイマーブ P−90、三井化学製 ハイレッツ T1115、ヤスハラケミカル製 クリアロン K100、トーネックス製 エスコレッツ 5300、同エスコレッツ2101、荒川化学製 アルコン P100、ハーキュレス(Hercules)製 Regalrez 1078などが挙げられる。本発明では、変性軟質ポリプロピレンとの相溶性及び熱安定性を考慮し、脂環族系炭化水素樹脂を用いることが好ましい。
オイルとしては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、グリコール類、ナフテン系オイル等が挙げられる。
ワックスとしては、例えば、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、アタクチックポリプロピレン等の合成ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油ワックス、木ロウ、カルナバロウ、ミツロウ等の天然ワックス等が挙げられる。
尚、実施例中の溶融粘度及び接着性は以下の方法によって求めた。
(イ) 変性軟質ポリプロピレン及びホットメルト粘接着剤用樹脂組成物の溶融粘度:
ブルックフィールド型粘度計を用いて、JIS K−6862に準拠して、190℃の溶融状態で、B−4ローターを使用し、回転数5min-1の条件にて溶融粘度を測定した。
(ロ) 変性軟質ポリプロピレンの接着性:
JIS K6854に準拠した方法により、次の方法によって剥離接着強さを測定した。即ち、低分子量変性軟質ポリプロピレンを幅25mm、長さ100mm、厚さ0.3mmの2枚の短冊型アルミニウム板の間に挟み、200℃の熱プレス機を用いて3分間予熱後、5MPaの圧力で3分間圧着した。この試験片を室温で8時間以上放置した後、引張速度100mm/分でT形剥離試験を行なった。測定には島津製作所製オートグラフ DSC−200を用いて、最適直線法による平均剥離荷重から剥離接着強さを求めた。
軟質ポリプロピレン(A−1)として出光石油化学(株)製の出光TPOE−2700 プロピレン単独重合体(MI=2.5g/10分、融点=160℃、沸騰ヘプタン可溶部:分率=37.1質量%、極限粘度=1.19デシリットル/g、沸騰ヘプタン不溶部:分率=62.9質量%、極限粘度=1.99デシリットル/g)の1.0kgを用い、これに不飽和カルボン酸(B)として無水マレイン酸の20.0g、及び、有機過酸化物(C)としてα,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼンの4.0g(日本油脂(株)製パーブチルP、純度98質量%)をブレンドした後、26mmφ二軸押出機(東洋精機製作所製、ラボプラストミル)に供給して温度230℃の加熱下で溶融混練してラジカル反応を行わせ、低分子量変性軟質ポリプロピレンを得た。得られた低分子量変性軟質ポリプロピレンの極限粘度を前記の方法で求めたところ、[η]=0.68デシリットル/gであり、同じく無水マレイン酸による軟質ポリプロピレンの変性量(無水マレイン酸含有量)は0.92質量%であった。
軟質ポリプロピレン(A−1)として出光石油化学(株)製の出光TPO E−2710 プロピレン系ランダム共重合体(MI=2.8g/10分、融点=155℃、沸騰ヘプタン可溶部:分率=36.9質量%、極限粘度=1.18デシリットル/g、沸騰ヘプタン不溶部:分率=63.1質量%、極限粘度=1.94デシリットル/g)の4.0kgを用い、これに不飽和カルボン酸(B)として無水マレイン酸の80.0g、及び、有機過酸化物(C)としてα,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼンの60.0gをブレンドした後、30mmφ2軸押出機(日本製鋼所製、TEX30)に供給して、280℃の加熱下で溶融混練してラジカル反応を行わせ、低分子量変性軟質ポリプロピレンを得た。得られた低分子量変性軟質ポリプロピレンの極限粘度は、[η]=0.57デシリットル/g、無水マレイン酸による変性量(無水マレイン酸含有量)は0.86質量%であった。
無水マレイン酸を配合しない以外は実施例1と同様にして溶融混練を行い、未変性の低分子量軟質ポリプロピレン([η]=0.63デシリットル/g)を得た。この未変性の低分子量軟質ポリプロピレンの沸騰ヘプタン可溶部は58.3質量%であり、その極限粘度は0.60デシリットル/g、沸騰ヘプタン不溶部は41.7質量%であり、その極限粘度は0.71デシリットル/gであった。
上記の比較例1で得られた未変性の低分子量軟質ポリプロピレン(A)の100gを0.5リットルのガラス製セパラブルフラスコに仕込み、180℃にて加熱溶解させた。温度を180℃に保持したまま溶融ポリマーを攪拌しながら、無水マレイン酸(B)の1.3g、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド(C)の0.49g(日本油脂(株)製 パークミルP 純度50質量%)を60分間かけて滴下し、滴下終了後さらに30分間攪拌を続けてラジカル反応を行わせた。反応終了後、低分子量変性軟質ポリプロピレンをバットに取り出し、120℃で4時間減圧乾燥を行った。得られた低分子量変性軟質ポリプロピレンの極限粘度は[η]=0.63デシリットル/g、無水マレイン酸による変性量(無水マレイン酸含有量)は0.09質量%であった。
実施例3において、不飽和カルボン酸(B)として無水マレイン酸をアクリル酸−2−エチルヘキシルとし、その添加量を5.0gとした以外は実施例3と同様の方法によって、比較例1で得られた未変性の低分子量軟質ポリプロピレンの変性反応を行った。得られた低分子量変性軟質ポリプロピレンの極限粘度は[η]=0.53デシリットル/g、アクリル酸−2−エチルヘキシルによる変性量(アクリル酸−2−エチルヘキシル含有量)は3.30質量%であった。
実施例3において、不飽和カルボン酸(B)として無水マレイン酸をアクリル酸とし、その添加量を5.0gとした以外は実施例3と同様の方法によって、比較例1で得られた未変性の低分子量軟質ポリプロピレンの変性反応を行った。得られた低分子量変性軟質ポリプロピレンの極限粘度は[η]=0.62デシリットル/g、アクリル酸による変性量(アクリル酸含有量)は1.59質量%であった。
不飽和カルボン酸(B)として無水マレイン酸を2.0g、有機過酸化物(C)としてα,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼンを0.1gとした以外は実施例1と同様の方法によって、軟質ポリプロピレン(A−1)の変性反応を行った。得られた変性軟質ポリプロピレンの極限粘度は[η]=1.67デシリットル/gであり、無水マレイン酸による変性量(無水マレイン酸含有量)は0.01質量%であった。
これらの低分子量変性軟質ポリプロピレンの溶融粘度及び接着性を評価した結果を表1に示す。
上記の実施例1〜5及び比較例1〜2で得られた変性又は未変性の低分子量軟質ポリプロピレンの20gに、粘着性付与樹脂としてC5/芳香族共重合系石油樹脂の水添物(商品名:アイマーブP−125、出光石油化学(株)製)の10g、フェノール系酸化防止剤としてテトラキス(メチレン3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン(商品名:イルガノックス1010、チバ スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)の0.3gを配合し、0.1リットルのサンプル管に入れてオイルバスで180℃に加熱し、溶融状態で攪拌混合を行ってホットメルト粘接着剤用樹脂組成物を調製した。
ポリオレフィンと高極性材料との接着性を評価するために、アルミニウム板とポリプロピレンシートとの剥離接着強さを、JIS K6854に準拠して測定した。上記の操作で得たホットメルト粘接着剤用樹脂組成物の溶融物を、幅25mm、長さ100mm、厚さ0.3mmの短冊型アルミニウム板の下端から30mmにステンレス製のへらで均一に塗布した。冷却固化後の樹脂組成物層の厚さは、約0.2mmであった。アルミニウム板の樹脂組成物の塗工面に幅25mm、長さ150mm、厚さ0.3mmのプロピレン単独重合体製シートを重ねて、熱プレス機を用いて60秒間予熱後、1MPaの圧力で2秒間圧着した。試験片の接着面は、あらかじめアセトンで表面を洗浄後、室温で十分に乾燥させた。プレス温度は、アルミニウム板側を230℃、ポリプロピレンシート側を120℃に設定した。この試験片を室温で8時間以上放置した後、引張速度100mm/分で180度剥離試験を行なった。測定には島津製作所製オートグラフ DSC−200 を用いて、最適直線法による平均剥離荷重から剥離接着強さを求め、試験後の破壊状態を観察した。
上記で得た各樹脂組成物の溶融粘度及び接着性評価の結果を表2に示す。なお比較例2の樹脂組成物は、溶融粘度が高いためにアルミニウム板に均一に塗布することができず、剥離試験片を得ることができなかった。
エンジニアリングプラスチックに対する接着性を評価するために、アルミニウム板とポリフェニレンサルファイド(PPS)及びシンジオタクチックポリスチレン(SPS)との引張剪断接着強さを JIS K6850 に準拠して測定した。
実施例6と同様にして、アルミニウム板の樹脂組成物の塗工面に幅25mm、長さ100mm、厚さ3mmのPPS(商品名:出光PPS C−140SG (GF40質量%含有)、出光石油化学(株)製)及びSPS(商品名:ザレック S132 (GF30質量%含有)、出光石油化学(株)製)の射出試験片を重ねて、熱プレス機を用いて60秒間予熱後、1MPaの圧力で2秒間圧着した。各試験片の接着面は、あらかじめアセトンで表面を洗浄後、室温で十分に乾燥させた。プレス温度は、アルミニウム板側を240℃、PPS及びSPS側を200℃に設定した。この接着試験片を室温で8時間以上放置した後、引張速度50mm/分で引張剪断接着強さ試験を行なった。測定には島津製作所製オートグラフ DSC−200 を用いて、破壊するまでの最大荷重から引張剪断接着強さを求め、試験後の破壊状態を観察した。
比較として市販の化学反応型接着剤について評価を実施した。反応型接着剤としてセメダイン(株)製ハイスーパー5(比較例3)、及びセメダイン(株)製スーパーXクリア(比較例4)を用いた。それぞれ使用法に従って接着し、最終接着強さが得られるまで室温で放置した後に試験を行った。
製造例で得た実施例1を使用した樹脂組成物及び市販の化学反応型接着剤の接着性評価の結果を表3に示す。
Claims (5)
- 軟質ポリプロピレン(A)100質量部を、不飽和カルボン酸又はその誘導体(B)0.2〜15質量部と、有機過酸化物(C)0.01〜2.0質量部とともにラジカル反応させることにより得られる、135℃テトラリン溶媒中で測定された極限粘度[η]が0.05〜1.5デシリットル/gであり、不飽和カルボン酸又はその誘導体の含有量が0.05〜15質量%であることを特徴とする低分子量変性軟質ポリプロピレン。
- 極限粘度[η]が0.1〜1.0デシリットル/gである、請求項1に記載の低分子量変性軟質ポリプロピレン。
- 不飽和カルボン酸又はその誘導体の含有量が0.1〜10質量%である、請求項1又は2に記載の低分子量変性軟質ポリプロピレン。
- 軟質ポリプロピレン(A)が、極限粘度[η]が0.2〜9.0デシリットル/gである沸騰ヘプタン可溶性ポリプロピレン(A1)10〜90質量%と、極限粘度[η]が0.2〜9.0デシリットル/gである沸騰ヘプタン不溶性ポリプロピレン(A2)90〜10質量%とからなるポリプロピレン系重合体である、請求項1ないし3のいずれかに記載の低分子量変性軟質ポリプロピレン。
- 請求項1ないし4のいずれかに記載の低分子量変性軟質ポリプロピレンに、粘着性付与樹脂、オイル及び/又はワックスを配合することによって得られるホットメルト粘接着剤用樹脂組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004073758A JP2004307838A (ja) | 2003-03-26 | 2004-03-16 | 低分子量変性軟質ポリプロピレン及びホットメルト粘接着剤用樹脂組成物 |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003086323 | 2003-03-26 | ||
JP2004073758A JP2004307838A (ja) | 2003-03-26 | 2004-03-16 | 低分子量変性軟質ポリプロピレン及びホットメルト粘接着剤用樹脂組成物 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004307838A true JP2004307838A (ja) | 2004-11-04 |
Family
ID=33478331
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2004073758A Pending JP2004307838A (ja) | 2003-03-26 | 2004-03-16 | 低分子量変性軟質ポリプロピレン及びホットメルト粘接着剤用樹脂組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004307838A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005082963A1 (ja) * | 2004-02-26 | 2005-09-09 | Nippon Paper Chemicals Co., Ltd. | 変性ポリオレフィン樹脂 |
WO2005090505A1 (ja) * | 2004-03-19 | 2005-09-29 | Mitsui Chemicals, Inc. | 粘着材、粘着フィルム及びその使用方法 |
JP2007284574A (ja) * | 2006-04-17 | 2007-11-01 | Sanyo Chem Ind Ltd | ホットメルト接着剤 |
JP2014028914A (ja) * | 2012-07-04 | 2014-02-13 | Sanyo Chem Ind Ltd | ホットメルト接着剤 |
JP2022058612A (ja) * | 2015-05-05 | 2022-04-12 | ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー | 官能化ハロゲン化オレフィン系接着剤、それを含有する物品、及びそれを使用するための方法 |
Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS59217709A (ja) * | 1983-05-25 | 1984-12-07 | Mitsui Petrochem Ind Ltd | 変性プロピレン低分子量重合体およびその製法 |
JPH026513A (ja) * | 1988-06-27 | 1990-01-10 | Mitsui Petrochem Ind Ltd | ポリオレフィン変性重合体 |
JPH08319324A (ja) * | 1995-05-29 | 1996-12-03 | Mitsui Petrochem Ind Ltd | 変性プロピレン系エラストマー |
JP2777436B2 (ja) * | 1989-11-28 | 1998-07-16 | 出光石油化学株式会社 | 変性軟質ポリプロピレン組成物 |
-
2004
- 2004-03-16 JP JP2004073758A patent/JP2004307838A/ja active Pending
Patent Citations (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS59217709A (ja) * | 1983-05-25 | 1984-12-07 | Mitsui Petrochem Ind Ltd | 変性プロピレン低分子量重合体およびその製法 |
JPH026513A (ja) * | 1988-06-27 | 1990-01-10 | Mitsui Petrochem Ind Ltd | ポリオレフィン変性重合体 |
JP2777436B2 (ja) * | 1989-11-28 | 1998-07-16 | 出光石油化学株式会社 | 変性軟質ポリプロピレン組成物 |
JPH08319324A (ja) * | 1995-05-29 | 1996-12-03 | Mitsui Petrochem Ind Ltd | 変性プロピレン系エラストマー |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005082963A1 (ja) * | 2004-02-26 | 2005-09-09 | Nippon Paper Chemicals Co., Ltd. | 変性ポリオレフィン樹脂 |
WO2005090505A1 (ja) * | 2004-03-19 | 2005-09-29 | Mitsui Chemicals, Inc. | 粘着材、粘着フィルム及びその使用方法 |
JP2007284574A (ja) * | 2006-04-17 | 2007-11-01 | Sanyo Chem Ind Ltd | ホットメルト接着剤 |
JP2014028914A (ja) * | 2012-07-04 | 2014-02-13 | Sanyo Chem Ind Ltd | ホットメルト接着剤 |
JP2022058612A (ja) * | 2015-05-05 | 2022-04-12 | ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー | 官能化ハロゲン化オレフィン系接着剤、それを含有する物品、及びそれを使用するための方法 |
JP7274615B2 (ja) | 2015-05-05 | 2023-05-16 | ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー | 官能化ハロゲン化オレフィン系接着剤、それを含有する物品、及びそれを使用するための方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4762468B2 (ja) | Eprおよび/またはepdmと半結晶質オレフィンポリマーのブレンドに基づくホットメルト接着剤 | |
US7541402B2 (en) | Blend functionalized polyolefin adhesive | |
JP6184412B2 (ja) | ワセリンを含有する瓶ラベル貼付用ホットメルト接着剤 | |
CA2830495C (en) | Adhesives made from polymer systems | |
TW201542605A (zh) | 非晶型丙烯-乙烯共聚物 | |
JP2008163121A (ja) | 樹脂組成物 | |
JP2009057397A (ja) | 難接着基材用ホットメルト接着剤 | |
JP7095682B2 (ja) | 接着剤組成物 | |
JP5738135B2 (ja) | 変性プロピレン系樹脂組成物および当該組成物からなる接着剤 | |
JP5751581B2 (ja) | ホットメルト接着剤組成物 | |
US12122944B2 (en) | Hot melt adhesive composition | |
WO2020075577A1 (ja) | ポリオレフィン系接着剤組成物 | |
JP2004307838A (ja) | 低分子量変性軟質ポリプロピレン及びホットメルト粘接着剤用樹脂組成物 | |
JP5133113B2 (ja) | 難接着基材用ホットメルト接着剤 | |
JP3676079B2 (ja) | 重合体組成物 | |
JP4414251B2 (ja) | 滑り止め加工用ホットメルト組成物 | |
JP2005105205A (ja) | ホットメルト接着剤組成物 | |
JP3032881B2 (ja) | 複合樹脂組成物およびホットメルト接着剤 | |
JP2004292716A (ja) | ホットメルト接着剤組成物 | |
JP3038549B2 (ja) | 接着剤用添加剤およびホットメルト接着剤組成物 | |
JP2017145425A (ja) | アルカリ分散型ホットメルト粘着剤及びそれを用いた容器 | |
JP2023005102A (ja) | 再剥離性粘着剤組成物 | |
JPH04236287A (ja) | ホットメルト接着剤組成物 | |
JP3041687B2 (ja) | 接着剤用改質剤およびホットメルト接着剤組成物 | |
JPH0848731A (ja) | 複合樹脂組成物およびホットメルト接着剤 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A711 | Notification of change in applicant |
Effective date: 20041109 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712 |
|
A621 | Written request for application examination |
Effective date: 20061011 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20090601 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20090609 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20090730 |
|
A02 | Decision of refusal |
Effective date: 20100831 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 |