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JP2004307666A - 塗料用含フッ素共重合体、塗料用組成物および塗料 - Google Patents

塗料用含フッ素共重合体、塗料用組成物および塗料 Download PDF

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JP2004307666A
JP2004307666A JP2003104002A JP2003104002A JP2004307666A JP 2004307666 A JP2004307666 A JP 2004307666A JP 2003104002 A JP2003104002 A JP 2003104002A JP 2003104002 A JP2003104002 A JP 2003104002A JP 2004307666 A JP2004307666 A JP 2004307666A
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fluorine
coating
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group
copolymer
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Application number
JP2003104002A
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English (en)
Inventor
Sho Masuda
祥 増田
Hiroki Kamiya
浩樹 神谷
Kiyoshi Kasahara
潔 笠原
Keisuke Mori
圭介 森
Takao Hirono
高生 廣野
Mitsugi Saito
貢 齋藤
Isao Kimura
功 木村
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AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
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Publication date
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Abstract

【課題】硬度の高い塗膜を形成できる、弱溶剤可溶性の塗料用含フッ素共重合体、塗料用組成物および塗料の提供。
【解決手段】弱溶剤可溶性であり、架橋反応性官能基を有し、質量平均架橋点間分子量が1300以下であることを特徴とする塗料用含フッ素共重合体。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、弱溶剤可溶性の塗料用含フッ素共重合体、該塗料用含フッ素共重合体を含有する塗料用組成物および塗料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、耐候性に優れる塗膜を与える塗料用樹脂としてフッ素樹脂が知られている。該フッ素樹脂を含む塗料は、鉄等の金属製の構造物への重防食トップコートとして用いられたり、建築用セメント系基材へのトップコートとして用いられている。このような塗料には、耐汚染性、防食性等を向上させるために、高い硬度を有する塗膜を形成できることが望まれている。
【0003】
一方、近年、硬化剤と、該硬化剤と架橋可能な樹脂を含有する溶液とを使用時に混合して用いる二液タイプの塗料が用いられている。二液タイプの塗料は、架橋反応性官能基を有する樹脂と硬化剤とが架橋して3次元の網目構造を構成するため、硬度が高く、耐汚染性に優れた塗膜が得られる。該二液タイプの塗料としては、たとえばイソシアネート系硬化剤と、該硬化剤との架橋反応性部位として水酸基を有する樹脂とを用いるものが知られており、樹脂中の水酸基の含有量(水酸基価)が多いほど、硬度の高い塗膜が得られる。
【0004】
しかし、二液タイプの塗料に用いるためには、樹脂がある程度の量の架橋反応性官能基を含有している必要がある。そのため、例えば架橋反応性官能基が水酸基等の極性を有する基である場合、該樹脂の有機溶剤に対する溶解性が低下する。例えば、特許文献1には、弱溶剤であるミネラルスピリットに可溶性の含フッ素共重合体を含む塗料用組成物が提案されているが、該含フッ素共重合体は、二液タイプの塗料に用いるために水酸基価を高めると、弱溶剤に対する溶解性が低下し、塗装が困難になり、充分な硬度の塗膜を得ることが困難である。
そのため、二液タイプの塗料には、通常、溶解力の強い強溶剤が用いられているが、このような塗料は、トルエン、キシレン等のいわゆる強溶剤を含むため、該塗料を、経年変化した合成樹脂調合ペイント、塩化ゴム系塗料、他のラッカー類等の旧塗膜に直接塗装すると、チヂミやふくれが生じたり、良好な密着性が得られない問題があった。
【0005】
【特許文献1】
特公平8−32847号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、硬度の高い塗膜を形成可能な、弱溶剤可溶性の塗料用含フッ素共重合体、該塗料用含フッ素共重合体を含有する塗料用組成物および塗料を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前述の課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、弱溶剤可溶性であり、架橋反応性官能基を有し、質量平均架橋点間分子量が1300以下である含フッ素共重合体が、上記課題を解決できることを見い出し、その知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、弱溶剤可溶性であり、架橋反応性官能基を有し、質量平均架橋点間分子量が1300以下であることを特徴とする塗料用含フッ素共重合体(以下、含フッ素共重合体ともいう。)を提供するものである。
また、本発明は、前記塗料用含フッ素共重合体および弱溶剤を含有する塗料用組成物を提供するものである。
さらに、本発明は、前記塗料用組成物および硬化剤を含有する塗料を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
≪塗料用含フッ素共重合体≫
本発明の塗料用含フッ素共重合体は、弱溶剤可溶性であり、架橋点として架橋反応性官能基を有し、質量平均架橋点間分子量が1300以下であることを特徴とする。
【0010】
本明細書において、「架橋反応性官能基」とは、本発明の塗料用含フッ素共重合体を含有する塗料用組成物を塗料として用いる際に、硬化剤と反応して三次元網状構造を形成しうる官能基を意味する。
【0011】
「質量平均架橋点間分子量」とは、[含フッ素共重合体の質量平均分子量(M)/当該含フッ素共重合体1分子当たりの平均の架橋反応性官能基数]で算出される値である。
本発明の塗料用含フッ素共重合体の質量平均架橋点間分子量は1300以下であり、900〜1250が好ましく、1000〜1200がより好ましい。質量平均架橋点間分子量が1300以下であると、硬度の高い塗膜を形成するのに充分な架橋密度で架橋できる。また、質量平均架橋点間分子量が900以上であると、該塗料用含フッ素共重合体を含む塗料を金属などの展性、延性を有するものに対して用いる場合に、適度な柔軟性を有するため好ましい。
【0012】
は、ポリスチレンを標準物質としてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCという。)で測定される値である。本発明の塗料用含フッ素共重合体のMは、10000〜30000が好ましく、15000〜29000がより好ましい。Mが10000以上であると耐候性に優れ、Mが30000以下であると弱溶剤に対する溶解性に優れるため好ましい。
【0013】
また、本発明の塗料用含フッ素共重合体は、GPCで測定される数平均分子量(M)が5000〜7500であることが好ましい。Mが5000以上であると耐候性に優れ、Mが7500以下であると弱溶剤に対する溶解性に優れるため好ましい。
また、同一の含フッ素共重合体におけるM/Mの値は2.0〜4.0であることが好ましい。
【0014】
また、本発明の塗料用含フッ素共重合体のガラス転移点(以下、Tという。)は、25℃以上が好ましく、30〜40℃がより好ましい。Tが25℃以上であると、高硬度の塗膜が得られるため好ましい。
【0015】
本発明の塗料用含フッ素共重合体は、フルオロオレフィンと、フルオロオレフィンと共重合可能な二重結合含有モノマーとの共重合体であることが好ましい。この場合、フルオロオレフィンに基づくフッ素の含有量が10質量%以上であり、二重結合含有モノマーのうち、10〜30モル%が架橋反応性官能基を含有することが好ましい。
【0016】
フルオロオレフィンとしては、フッ素付加数は2以上が好ましく、3〜4がより好ましい。フッ素付加数が2以上であると、耐候性が充分であり好ましい。
フルオロオレフィンとしては、例えば、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン等を挙げることができ、特にテトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンが好ましい。
フルオロオレフィンは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0017】
二重結合含有モノマーとしては、フルオロオレフィンと共重合可能な、フルオロオレフィン以外のビニル系モノマーが好ましく使用される。該ビニル系モノマーとは、CH =CH−で表される炭素−炭素二重結合を有する化合物である。該ビニル系モノマーとしては、直鎖状、分岐状または環状のアルキル基を含有するアルキルビニルエーテル、アルキルビニルエステル等が挙げられる。
【0018】
架橋反応性官能基としては、例えば、水酸基、グリシジル基、カルボニル基、カルボキシ基、シラン基等が挙げられる。これらの中でも、常温での硬化性に優れ、可使時間が比較的長いため、水酸基が好ましい。
架橋反応性官能基を含有する二重結合含有モノマー(以下、架橋反応性モノマーという。)の含有量が10モル%以上であると、硬度の高い塗膜を得るために充分な量の架橋反応性官能基が含フッ素共重合体中に導入されるため好ましい。
また、架橋反応性モノマーの含有量が30モル%以下であると、架橋反応性官能基が、水酸基などの極性基である場合であっても、弱溶剤に対し、塗料用として充分な溶解性を維持できるため好ましい。
【0019】
架橋反応性モノマーの炭素数は、特に制限はないが、2〜10が好ましく、4〜6がより好ましい。
架橋反応性官能基として水酸基を含有する架橋反応性モノマーとしては、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル(HBVE)、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル等のヒドロキシアルキルビニルエーテル類、ヒドロキシエチルアリルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノアリルエーテル等のヒドロキシアルキルアリルエーテル類、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル類等が挙げられる。共重合性に優れ、形成される塗膜の耐候性が良好であることから、ヒドロキシアルキルビニルエーテル類が好ましい。
架橋反応性官能基としてグリシジル基を含有する架橋反応性モノマーとしては、グリシジルビニルエーテル、グリシジルアリルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
架橋反応性官能基としてカルボニル基を含有する架橋反応性モノマーとしては、ウンデシレン酸、カルボキシルアクリルアリルエーテル等が挙げられる。
架橋反応性官能基としてカルボキシ基を含有する架橋反応性モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、アクリル酸アルキルアノン、アルキルアリルアノン等が挙げられる。
該架橋反応性モノマーは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0020】
これらの架橋反応性モノマーを共重合させることにより、含フッ素共重合体に架橋反応性官能基が導入される。
含フッ素共重合体に架橋反応性官能基を導入する他の方法としては、含フッ素共重合体を変性せしめることにより架橋反応性官能基を導入する方法、たとえば、水酸基またはグリシジル基に、無水コハク酸のような多塩基酸無水物を反応せしめてカルボキシ基を導入する方法等が挙げられる。また、架橋反応性モノマーは、共重合させずに、含フッ素共重合体とともに存在させておいてもよい。
【0021】
本発明においては、架橋反応性モノマーが、架橋反応性官能基として水酸基、カルボキシ基、カルボニル基、グリシジル基等の極性基を含有するモノマーを含む場合、二重結合含有モノマーのうち、20〜80モル%が炭素数3以上の分岐アルキル基を含有する二重結合含有モノマー(以下、分岐アルキル基含有モノマーという。)を含むことが好ましい。
なお、極性基含有モノマーが炭素数3以上の分岐状アルキル基を含有していてもよく、分岐アルキル基含有モノマーが極性基を含有していてもよい。
【0022】
分岐アルキル基含有モノマーを20モル%以上とすることにより、架橋反応性官能基が極性基であっても、弱溶剤に対する溶解性を確保しつつ、充分な量の架橋反応性官能基を導入することができる。また、分岐アルキル基含有モノマーを80モル%以下とすることにより、得られる含フッ素共重合体のTを25℃以上にすることができる。
該分岐アルキル基含有モノマーを用いることにより、弱溶剤に対する溶解性を確保できる理由は明らかではないが、分岐アルキル基含有モノマーの分子構造と弱溶剤の分子構造とが類似しており、相溶性が高いためと推測される。
【0023】
分岐アルキル基含有モノマーにおける分岐アルキル基の炭素数は、3以上であれば特に制限はなく、4〜15が好ましく、4〜10がより好ましい。
分岐アルキル基含有モノマーとしては、分岐アルキル基を含有するビニルエーテル類、アリルエーテル類または(メタ)アクリル酸エステル類が挙げられる。分岐アルキル基としては、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基等が挙げられる。分岐アルキル基含有モノマーとしては、2−エチルヘキシルビニルエーテル(2−EHVE)、tert−ブチルビニルエーテル(t−BuVE)等のビニルエーテル類が共重合性に優れるため好ましく、特に2−EHVEが好ましい。
該分岐アルキル基含有モノマーは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0024】
本発明においては、二重結合含有モノマーとして、さらに、本発明の効果を損なわない範囲で、架橋反応性モノマー、分岐アルキル基含有モノマー以外の他の二重結合含有モノマーを含有していてもよい。
他の二重結合含有モノマーとしては、アルキル基を含有するモノマーが好ましく、該アルキル基としては、直鎖状、分岐状または環状のアルキル基が挙げられる。該アルキル基の炭素数は2〜8が好ましく、2〜6がより好ましい。
特に、環状アルキル基を含有する二重結合含有モノマーを用いると、含フッ素共重合体のTが上がり、塗膜の硬度がさらに高まるため好ましい。
該環状アルキル基を含有する二重結合含有モノマーとしては、シクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルメチルビニルエーテル等の環状アルキルビニルエーテル類、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸環状アルキルエステル類等が挙げられる。
該他の二重結合含有モノマーは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
二重結合含有モノマーの全量における他の二重結合含有モノマーの割合は、0〜70モル%が好ましく、30〜60モル%がより好ましい。
【0025】
含フッ素共重合体におけるフルオロオレフィンに基づく重合単位と二重結合含有モノマーに基づく重合単位の割合は、フルオロオレフィンに基づく重合単位が30〜70モル%であることが好ましく、40〜60モル%であることがより好ましく、二重結合含有モノマーに基づく重合単位が70〜30モル%であることが好ましく、60〜40モル%であることがより好ましい。フルオロオレフィンに基づく重合単位の割合が70モル%以下であると、含フッ素共重合体の弱溶剤への溶解性が充分となり、30モル%以上であると充分な耐候性が得られるため好ましい。
含フッ素共重合体は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0026】
本発明の塗料用含フッ素共重合体は、フルオロオレフィンと、架橋反応性モノマーを含む二重結合含有モノマーとの混合物に、重合媒体の存在下または非存在下で、重合開始剤または電離性放射線などの重合開始源を作用せしめて共重合反応を行うことによって製造できる。
共重合反応における、フルオロオレフィンと二重結合含有モノマーとの使用量の割合は、上記の含フッ素共重合体におけるフルオロオレフィンに基づく重合単位と二重結合含有モノマーに基づく重合単位の割合と同じであることが好ましい。
重合媒体としては、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類、キシレン、トルエン等の芳香族系溶剤、シクロヘキサノン、ソルベントナフサ、ミネラルターペン、ミネラルスピリット、石油ナフサ等の脂肪族系溶剤、3−エトキシプロピオン酸エチル、メチルアミルケトン、酢酸tert−ブチル、4−クロロベンゾトリフルオリド、ベンゾトリフルオリド、モノクロロトルエン、3,4−ジクロロベンゾトリフルオリド等が挙げられる。
重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビスシクロヘキサンカーボネートニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)等のアゾ系開始剤;シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類、tert−ブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類、ベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類、ジ−tert−ブチルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類、2,2−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ブタン等のパーオキシケタール類、tert−ブチルパーオキシピバレイト等のアルキルパーエステル類、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート等のパーカーボネート類等の過酸化物系開始剤;等が挙げられる。
【0027】
該含フッ素共重合体は、フルオロオレフィンに基づくフッ素の含有量が、含フッ素共重合体の総質量に対して10質量%以上であり、20〜30質量%であることが好ましい。フッ素の含有量が10質量%以上であると、塗膜の耐候性が充分となり好ましい。
【0028】
また、該含フッ素共重合体における架橋反応性官能基の量としては、架橋反応性官能基として水酸基を含む場合に水酸化カリウムの化学的反応当量に換算して得られる水酸基価(以下、OHVという。)に換算して、含フッ素共重合体の総固形分に対し、40〜55mgKOH/gが好ましく、45〜55mgKOH/gがより好ましい。
OHVに換算した値が40mgKOH/g以上であると、硬度の高い塗膜を得ることができ、OHVに換算した値が55mgKOH/g以下であると、弱溶剤に対し、塗料用含フッ素共重合体が充分な溶解性を有するため好ましい。
【0029】
本発明の塗料用含フッ素共重合体は、架橋反応性官能基としてグリシジル基、シラン基以外を有する場合、特に水酸基を有する場合、さらに、カルボキシ基を含有することが好ましい。カルボキシ基を含有することにより、例えば塗料として用いる際に顔料の分散性が向上する。含フッ素共重合体におけるカルボキシ基の含有量(酸価(以下、AVという。))は、水酸化カリウムの化学的反応当量に換算して、含フッ素共重合体の総固形分に対し、1〜5mgKOH/gが好ましく、2〜5mgKOH/gがより好ましい。
該カルボキシ基は、例えば、上述したフルオロオレフィンと二重結合含有モノマーとの重合反応後、含フッ素共重合体中の水酸基に多価カルボン酸またはその無水物を反応させることにより導入できる。また、カルボキシ基を有する二重結合含有モノマーの直接重合によっても導入できる。
【0030】
≪塗料用組成物≫
本発明の塗料用組成物は、本発明の塗料用含フッ素共重合体および弱溶剤を含有する。
弱溶剤とは、労働安全衛生法による有機溶剤の分類において、第3種有機溶剤とされているものであり、下記イ)〜ハ)のいずれかに相当するものである。
イ)ガソリン、コールタールナフサ(ソルベントナフサを含む)、石油エーテル、石油ナフサ、石油ベンジン、テレピン油、ミネラルスピリット(ミネラルシンナー、ペトロリウムスピリット、ホワイトスピリットおよびミネラルターペンを含む)、
ロ)イ)のみからなる混合物、
ハ)イ)と、イ)以外のものの混合物で、イ)を5質量%を越えて含有するもの。
本発明の塗料用組成物は、弱溶剤として、これらの第3種有機溶剤を使用したもので、強溶剤に相当する第2種有機溶剤を、全溶剤の5質量%を越えて含有しないものである。
弱溶剤としては、引火点が室温以上であることから、ミネラルスピリットが好ましい。
【0031】
本発明の塗料用組成物は、本発明の塗料用含フッ素共重合体および弱溶剤のほか、塗膜の乾燥性を改善するために、CAB(セルロースアセテートブトレート)、NC(ニトロセルロース)等を含有してもよく、塗膜の光沢、硬度、塗料の施工性を改良するために、アクリル酸またはそのエステルからなる重合体、ポリエステル等の塗料用樹脂を含有していてもよい。
【0032】
本発明の塗料用組成物においては、本発明の塗料用含フッ素共重合体が、塗料用組成物に含まれる総固形分の20質量%以上を占めることが好ましく、30質量%以上がより好ましく、40質量%以上が最も好ましい。
【0033】
本発明の塗料用組成物は、含有する固形分の全量が弱溶剤に溶解していることが最も好ましいが、若干の不溶部があってもよい。
塗料用組成物における弱溶剤の量は、含フッ素共重合体の溶解性、塗料として塗装する際の適度な粘度、塗装方法などを考慮して適宜決定される。
【0034】
本発明の塗料用組成物は、二液タイプの塗料として、使用前に硬化剤と混合されて用いられる。
【0035】
≪塗料≫
本発明の塗料は、本発明の塗料用組成物および硬化剤を含有する。
該硬化剤としては、含フッ素共重合体における架橋反応性官能基と架橋しうるものであれば特に限定されることなく使用できる。
例えば架橋反応性官能基が水酸基である場合の硬化剤としては、イソシアネート系硬化剤、ブロックイソシアネート系硬化剤、メラミン系硬化剤等の塗料用硬化剤が挙げられる。
架橋反応性官能基がグリシジル基である場合の硬化剤としては、アミン系硬化剤、酸系硬化剤等の塗料用硬化剤が挙げられる。
架橋反応性官能基がカルボニル基である場合の硬化剤としては、ヒドラジン系硬化剤等の塗料用硬化剤が挙げられる。
架橋反応性官能基がカルボキシ基である場合の硬化剤としては、グリシジル系硬化剤等の塗料用硬化剤が挙げられる。
【0036】
イソシアネート系硬化剤としては、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の無黄変イソシアネート類が挙げられる。
ブロックイソシアネート系硬化剤としては、イソシアネート硬化剤のイソシアネート基をカプロラクタム、イソホロン、β−ジケトン等でブロックしたものが挙げられる。
メラミン系硬化剤としては、ブチル化メラミン等の低級アルコールによりエーテル化されたメラミン、エポキシ変性メラミン等が挙げられる。
アミン系硬化剤としては、脂肪酸、脂環式ポリアミン、芳香族ポリアミン、環状アミジン(イミダゾール)等が挙げられる。
酸系硬化剤としては、プロトンを放出するものであれば特に制限はなく、例えば、ドデカン酸、トリメリット酸、TB−4400(大日本インキ化学工業社製、商品名)等の有機多塩基酸;該有機多塩基酸の無水物:四塩化チタン、四塩化スズ、三フッ化ホウ素金属錯体等のルイス酸等が挙げられる。
ヒドラジン系硬化剤としては、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド等が挙げられる。
グリシジル系硬化剤としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビフェノール、ハイドロキノン、トリイソシアルヌ酸にエピハロヒドリンを用いてエーテル化またはエステル化したグリシジルエーテルまたはグリシジルエステル等が挙げられる。
【0037】
塗料における硬化剤の含有量は、塗料用組成物中の含フッ素共重合体を含む樹脂成分の100質量部に対して、1〜100質量部が好ましく、1〜50質量部がより好ましい。
硬化剤が1質量部以上であると、塗膜の耐溶剤性と硬度が充分であり、硬化剤が100質量部以下であると、加工性、耐衝撃性に優れるため好ましい。
【0038】
本発明の塗料は、必要に応じて、他の機能性配合剤を含有することが好ましい。他の機能性配合剤としては、着色顔料、染料、塗膜の付着性向上のためのシランカップリング剤、紫外線吸収剤、硬化促進剤、光安定剤、つや消し剤等が挙げられる
着色顔料、染料としては、耐候性の良いカーボンブラック、酸化チタン等の無機顔料、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、キナクリドンレッド、インダンスレンオレンジ、イソインドリノン系イエロー等の有機顔料、染料等が挙げられる。
シランカップリング剤としては、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、ウレイドプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、シアノアクリレート系の紫外線吸収剤が挙げられる。
硬化促進剤としては、イソシアネート系硬化剤用にジブチルスズジラウレート等、メラミン系硬化剤用にパラトルエンスルホン酸等の酸性触媒が挙げられる。
光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤等が挙げられ、アデカスタブLA62、アデカスタブLA67(以上、アデカアーガス化学社製、商品名)、チヌビン292、チヌビン144、チヌビン123、チヌビン440(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名)等が挙げられる。
つや消し剤としては、超微粉合成シリカ等が挙げられ、つや消し剤を使用した場合、優雅な半光沢、つや消し仕上げの塗膜を形成できる。
【0039】
本発明の塗料の製造は、本発明の塗料用組成物、硬化剤、必要に応じて添加される機能性配合剤を混合することにより行うことができる。
その混合順序は特に限定されず、本発明の塗料用組成物と添加剤を予め混合し、それに硬化剤を混合してもよく、本発明の塗料用組成物および硬化剤を混合し、次いで添加剤を混合してもよく、これらを同時に混合してもよい。
【0040】
なお、本発明の塗料に含まれる含フッ素共重合体のTが高いほど、該塗料を用いて得られる塗膜のTが高くなり、それに伴って硬度が高くなる。塗膜のTは、含フッ素共重合体のTと架橋密度nに影響され、以下の式で表される。
=K・ln(n/n)+T°
式中、K、nは定数、T°は該塗料に含まれる含フッ素共重合体のTを示す。また、架橋密度nは、含フッ素共重合体の1分子当たりの架橋反応性官能基に支配される。
【0041】
本発明の塗料を用いて塗装する方法としては、エアレススプレー塗装、エアスプレー塗装、はけ塗り、浸漬法、ロールコーター、フローコーター等の任意の方法を適用できる。
【0042】
塗装される物品材質としては、コンクリート、自然石、ガラス等の無機物、鉄、ステンレス、アルミニウム、銅、真鍮、チタン等の金属、プラスチック、ゴム、接着剤、木材等の有機物が挙げられる。特に、すでに形成された塗膜の表面への塗装に適する。また有機無機複合材であるFRP、樹脂強化コンクリート、繊維強化コンクリート等の塗装にも適する。
【0043】
また塗装される物品としては、自動車、電車、航空機等の輸送用機器、橋梁部材、鉄塔などの土木部材、防水材シート、タンク、パイプ等の産業機材、ビル外装、ドア、窓門部材、モニュメント、ポール等の建築部材、道路の中央分離帯、ガードレール、防音壁、ポリカーボネート製透光板等の道路部材、通信機材、電気および電子部品等が挙げられる。
【0044】
【実施例】
以下に発明をより詳細に説明するために実施例(例1,3は実施例、例2,4は比較例)を示す。本発明は、これらの例によって何ら制限されるものではない。
【0045】
(含フッ素共重合体Aの製造)
内容積2000mLのステンレス製撹拌機付きオートクレーブに、組成がシクロヘキシルビニルエーテル(CHVE)の263g、2−エチルヘキシルビニルエーテル(2−EHVE)の182gおよびヒドロキシブチルビニルエーテル(HBVE)の107gである二重結合含有モノマーの混合物、キシレンの670g、エタノールの189gおよび炭酸カリウムの9.5gを投入し、窒素により溶存酸素を除去した。
その後、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)の505gをオートクレーブ中に導入して徐々に昇温し、65℃に達した後、tert−ブチルパーオキシピバレートの50%キシレン溶液の7.0gを7時間かけてオートクレーブ中に導入し、その後さらに15時間撹拌した後に反応を停止した。
得られた含フッ素共重合体のキシレン溶液をエバポレーションしながらミネラルスピリットへの溶媒置換を行い、不揮発分を60質量%にした後、水素添加無水フタル酸の5.8gを添加し、さらにトリエチルアミンの0.05gを添加した後、フラスコを徐々に昇温した。フラスコ内温度が70℃に達した後、その温度を2時間保持し、質量平均架橋点間分子量が1192、Mが24000、Mが7300、OHVが47mgKOH/g、AVが2mgKOH/g、Tが30℃である含フッ素共重合体Aのミネラルスピリット溶液(不揮発分60質量%)を得た。
【0046】
(含フッ素共重合体Dの製造)
含フッ素共重合体Aの製造において、二重結合含有モノマーの組成を2−EHVEの507g、HBVEの82gとした以外は含フッ素共重合体Aの製造と同様にして、質量平均架橋点間分子量が1557、Mが33000、Mが7500、OHVが36mgKOH/g、AVが2mgKOH/g、Tが6℃である含フッ素共重合体Dのミネラルスピリット溶液(不揮発分60質量%)を得た。
含フッ素共重合体Dは、質量平均架橋点間分子量が1300を越える点で、本発明に相当しない。また、Tが25℃未満である。
【0047】
<例1,2>
得られた含フッ素共重合体A,Dのミネラルスピリット溶液(不揮発分60質量%)を1として、ミネラルスピリットを用いて白濁するまで希釈を行い、希釈可能倍率(ミネラルスピリット希釈性)を求めた。
【0048】
表1に、含フッ素共重合体A,Dのモノマー組成(モル%)、質量平均架橋点間分子量、M、M、OHV、AVおよびミネラルスピリット希釈性を示す。含フッ素共重合体A、Dは、10倍に希釈した時点でも全く白濁が見られなかった。
【0049】
【表1】
Figure 2004307666
【0050】
<例3,4>
含フッ素共重合体A,Dのミネラルスピリット溶液(不揮発分60質量%)の100質量部に対し、ミネラルスピリット可溶型イソシアネート硬化剤「タケネートD−177N」(三井武田ケミカル社製、商品名)、フロー助剤「BYK−320」(ポリエーテル変性メチルアルキルポリシロキサン、BYK−Chemie社製、商品名)、硬化触媒のジブチルスズジラウレートを表2に示す量(質量部)投入した。さらに、イワタカップ(粘度調整用器具)で25秒になるようにミネラルスピリットで粘度調整を行い、塗料A,Dを作成した。
なお、表2中のNCOインデックスが1とは、含フッ素共重合体のOHV/硬化剤のNCO=1/1となるように配合したことを意味する。
【0051】
クロメート処理したアルミ板の表面に白色の溶剤型アクリルウレタン塗料を25μmの膜厚で塗装して塗膜を形成し、その表面に、前記塗料A,Dをそれぞれ20μmの膜厚になるよう塗装して塗膜を形成し、20℃の恒温室中で2週間養生した。得られた塗膜について以下の評価を行った。
「塗膜の粘着性」:指触にて判定 ○:粘着性なし ×:粘着性あり
「カーボン汚れ性」:塗膜の表面にカーボンブラック#5(デグサ社製、商品名)を均一に振りかけた後、払い落とし、振りかけていない場所との汚れの程度の差をΔL値で表した。ΔLとは明度の差を示す値であり、ΔLが10以上であると汚染性があると判断できる。ΔLはSQ−2000(色差計:日本電色工業社製)を用いて測定した。
「クロスカット試験」:JIS5400 8.5準拠
「塗膜の鏡面光沢度」:JIS5400 7.6準拠
【0052】
【表2】
Figure 2004307666
【0053】
本発明の含フッ素共重合体Aと比較例の含フッ素共重合体Dは、表1に示すように、ともに10倍以上の優れたミネラルスピリット希釈性を有していた。しかし、表2に示すように、含フッ素共重合体Aを使用した例3の塗料Aを用いた塗膜は、全ての評価項目において優れていたのに対し、含フッ素共重合体Dを使用した例4の塗料Dを用いた塗膜は、塗膜の粘着性に劣っていた。また、カーボン汚れ性に劣っていたことから、例4の塗膜の硬度が低かったと推測される。
【0054】
【発明の効果】
本発明の塗料用含フッ素共重合体は弱溶剤可溶性であり、該塗料用含フッ素共重合体を含有する塗料用組成物は弱溶剤形塗料に有用であり、該塗料用組成物を含有する塗料は、すでに形成された塗膜への影響がなく、硬度の高い塗膜を形成できる。

Claims (5)

  1. 弱溶剤可溶性であり、架橋反応性官能基を有し、質量平均架橋点間分子量が1300以下であることを特徴とする塗料用含フッ素共重合体。
  2. ガラス転移点が25℃以上である請求項1に記載の塗料用含フッ素共重合体。
  3. 架橋反応性官能基が水酸基である請求項1または2に記載の塗料用含フッ素共重合体。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の塗料用含フッ素共重合体および弱溶剤を含有する塗料用組成物。
  5. 請求項4に記載の塗料用組成物および硬化剤を含有する塗料。
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