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JP2004306996A - レトルト殺菌可能なピルファープルーフキャップ用ライナー組成物、それを用いたレトルト殺菌可能なピルファープルーフキャップ用ライナー、それを用いたキャップおよびその製法 - Google Patents

レトルト殺菌可能なピルファープルーフキャップ用ライナー組成物、それを用いたレトルト殺菌可能なピルファープルーフキャップ用ライナー、それを用いたキャップおよびその製法 Download PDF

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恵行 高津
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Abstract

【課題】PPキャップ用ライナー組成物、それを用いたPPキャップライナー、それを用いたPPキャップ及びその製造方法の提供。
【解決手段】(A)ハード成分が芳香族ポリエステル、ソフト成分が脂肪族ポリエーテルからなるポリエステル系エラストマー100重量部と
(B)潤滑剤として、(i)高級脂肪酸アミド0.8〜2.0重量部を用い、かつ(ii)該高級脂肪酸アミドのうち少なくとも0.5重量部がエルカ酸アミド
とを含有することを特徴とするレトルト殺菌可能なピルファープルーフキャップ用ライナー組成物それを用いたレトルト殺菌可能なピルファープルー用ライナー、それを用いたキャップおよびその製法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レトルト殺菌可能なピルファープルーフ(PP)キャップ用ライナー組成物、それを用いたPPキャップ用ライナー、それを用いたPPキャップ及びその製造法に関し、更に詳細には本発明は、耐熱性を有し、密封性、開栓性及び耐衝撃性に優れたレトルト殺菌可能なPPキャップ用ライナー組成物、それを用いたPPキャップ用ライナー、それを用いたPPキャップ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】
従来、炭酸飲料、ジュース類、高温処理不要な茶飲料等の内容物が充填される容器としてペットボトル等があり、この容器の蓋用ライナー材として、酢酸ビニール系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリ塩化ビニール系樹脂等の樹脂ライナー材が用いられて来たが、これらは耐熱性が劣るためレトルト処理を行う内容物には適用出来ない。またポリプロピレン樹脂・スチレン系エラストマー・炭化水素油を主成分とする耐熱性ライナーが提案されているが(特許文献1〜5等)、いずれも炭化水素油を相当量含むので軟らかく、レトルト殺菌処理の必要な内容物を充填するボトル缶用のキャップに用いると、レトルト殺菌処理に於いて反撥弾性力が劣化する。このため耐衝撃が劣り流通過程での衝撃により漏洩(密封不良)の発生が屡々認められている。
【0003】
また本発明者らは耐熱性のあるポリエステル系ライナーを提案した(特許文献6)が、樹脂硬度やMFRを制限しないと開栓性(特に高温開栓時)やモールド作業性に於いて問題がある。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−38495号公報
【特許文献2】
特開平11−106565号公報
【特許文献3】
特開2002−160759号公報
【特許文献4】
特開2000−297198号公報
【特許文献5】
特許第3236329号公報
【特許文献6】
特願2001−245063
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、前記問題点を解消したPPキャップ用ライナー組成物、それを用いたPPキャップライナー、それを用いたPPキャップ及びその製造方法を提供する点にある。詳しくは、広い温度範囲〔冷蔵庫(5℃前後)からレトルト処理(115〜130℃で約30分間というのが標準である)〕に於いて弾性があり、且つモールデング作業適性が良好で、密封性及び低温(冷蔵保存)から高温(ホットベンダー)までの開栓性が良好なレトルト殺菌可能なPPキャップ用ライナー組成物、それを用いたPPキャップ用ライナー、それを用いたPPキャップ及びその製造方法を提供する点にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1は、
(A)ハード成分が芳香族ポリエステル、ソフト成分が脂肪族ポリエーテルからなるポリエステル系エラストマー100重量部と
(B)潤滑剤として、(i)高級脂肪酸アミド0.8〜2.0重量部を用い、かつ(ii)該高級脂肪酸アミドのうち少なくとも0.5重量部がエルカ酸アミド
とを含有することを特徴とするレトルト殺菌可能なピルファープルーフキャップ用ライナー組成物に関する。
本発明の第2は、
(A)ハード成分が芳香族ポリエステル、ソフト成分が脂肪族ポリエーテルからなるポリエステル系エラストマー100重量部と
(B)潤滑剤として、(i)高級脂肪酸アミド0.8〜2.0重量部を用い、かつ(ii)該高級脂肪酸アミドのうち少なくとも0.5重量部がエルカ酸アミド
とを含有する高分子組成を有し、その組成物のD硬度が43〜52(ASTM D2240)であり、メルトフローレート(MFR)が3〜15g/10分(ASTM D1238、230℃において)であることを特徴とするレトルト殺菌可能なピルファープルーフキャップ用ライナーに関する。
本発明の第3は、請求項1記載のレトルト殺菌可能なピルファープルーフキャップ用ライナー組成物を、210〜250℃に加熱した状態でモールド金型内に置かれたキャップ内面中央部に吐出し、モールド金型で所望の形状に成形することを特徴とするレトルト殺菌可能なピルファープルーフ用キャップの製造方法に関する。
本発明の第4は、請求項2記載のレトルト殺菌可能なピルファープルーフキャップ用ライナーを有するピルファープルーフキャップであって、このキャップを用いて密封した缶詰を5〜55℃で1ヶ月保存した後の開栓トルクがD×0.043Nm〔Dはキップの径(mm)〕以下であることを特徴とするレトルト殺菌可能なピルファープルーフ用キャップに関する。
【0007】
本発明に用いられるポリエステル系エラストマーは、耐熱性(耐レトルト性)、密封性及び開栓性の点から硬度がたいへん重要である。ポリエステル系エラストマーの硬度は、ハード成分とソフト成分の割合により変わり、ソフト成分が多く軟らか過ぎる樹脂は、結晶融点が低下して耐熱性(耐レトルト性)が劣り、開栓トルクが上昇して開栓性も劣ってくる。逆にハード成分が多く硬過ぎる樹脂は、ボトル缶シーリング部への食い込みが悪くなり密封性が劣り、耐衝撃性も悪くなる。
【0008】
ポリエステル系エラストマーとは、分子内の剛直な成分と柔軟な成分の組合せにより、その硬さと柔軟性を調整できるエラストマーであり、その特徴点として、(1)低温から高温まで使用可能な温度範囲が広い、(2)耐荷重性が大きく、強靱であること、(3)反撥弾性に富み、バネ特性が優れる、(4)屈曲疲労抵抗が大きい、(5)耐油、耐薬品性に優れる、(6)結晶化速度が大きく、成形性に優れる等が挙げられる。
【0009】
本発明では、このポリエステル系エラストマー組成物の特徴点を生かして、ライナーのD硬度が43〜52に納まるようにすることが重要である。結晶融点が200℃前後以上有り、D硬度が40程度有れば常温の使用では性能上問題ないが、ホットベンダー等で高温60℃±5℃で販売されると、樹脂に粘性が出て、滑り性が悪くなり、開栓トルクが増大して開け難くなり好ましくない。また硬度が高過ぎると前記密封性の問題以外にシール長さが短く(シール角度が狭く)成る欠陥がある。なお、シール長さについては〔0048〕2.(iv)(3)シール長さの項で後述している。したがって、ASTM D2240で測定したD硬度は43〜52、好ましくは46〜50である。
【0010】
ポリエステル系エラストマーライナーのMFRを3〜15(g/10min at230℃)としたのは、これ以上小さいと流れが悪くモールドに欠損・欠陥部が発生する恐れがあり、また15以上では240℃前後に加熱溶融して押し出し、所定量にカットする際に(カットしてキャップに供給)完全にカットされず糸引きが発生したり、粘着が発生したりしてキャップを汚染することがあるからである。
【0011】
ライナーが所望のD硬度及びMFRを持つようにするためには、使用するポリエステル系エラストマーのハード成分とソフト成分を調整して1つのエラストマーにより前記物性を達成することもできるが、グレードの異なる複数のポリエステル系エラストマーを混合して使用することも可能である。
【0012】
ポリエステル系エラストマーは、滑り性が劣り、捻りキャップ用シーリング材として使用するに当たっては潤滑剤の添加が必要不可欠である。潤滑剤の中でも高級脂肪酸アミドの潤滑効果が大きく、脂肪族炭化水素・高級脂肪酸・高級脂肪酸金属塩・脂肪酸エステル・トリグリセライド・シリコーン油等の潤滑効果は劣る。
【0013】
高級脂肪酸アミドとして、エチレンビス脂肪酸(C16、C18)アミドや高級脂肪酸(C〜C22)アミドが使用可能であるが、最も潤滑効果のあるものは下記式
【化1】
Figure 2004306996
で示されるエルカ酸アミドで、潤滑剤中にエルカ酸アミドが0.5重量部以上含まれる事が望ましい。
【0014】
潤滑剤としての高級脂肪酸アミドの添加量をポリエステル系エラストマー100重量部に対し0.8〜2.0重量部とし、且つこの潤滑剤の0.5重量部以上をエルカ酸アミドとしたのは、これ以下では潤滑効果が十分でなく、開栓トルクが高くなり、また2.0重量部より多いと表面からにじむ量が増して内容物への落ち込みが発生するためである。最も好ましい量は1.0〜1.5重量部である。
【0015】
配合する潤滑剤は、高級脂肪酸アミドは前述の条件を満たせば単品でも複数種の高級脂肪酸アミドの混合物でもよく、また高級脂肪酸アミド以外の他の潤滑剤との併用も可能である。
【0016】
ポリエステル系エラストマーは、レトルト処理(通常115〜130℃で約30分間処理する)することにより、表面の摩擦係数(粘性)が低下する。これに有効な潤滑剤を配合することにより、普通に開栓出来る(開栓トルクが12kg/cm以下)ライナー(ガスケット)を造ることが出来る。従ってレトルト処理をしない内容物(ジュース等のホット充填品、炭酸飲料・ビール等の低温充填品)に適用すると開栓トルクが高くなり、開栓性が悪く使用出来ない。
【0017】
ポリエステル系エラストマーと潤滑剤以外の配合物として、必要に応じて、酸化チタン等の顔料や着色料、ポリオレフィンを中心とした樹脂類及びその相溶化剤、無機系充填剤等通常の配合成分を配合しても良い。しかしながら、ポリオレフィンがポリエステル系エラストマー100重量部に対して、5重量部以上、とくに10重量部以上になると請求項で規定する要件を満たしていても開栓性が低下する。またシリカのような無機系充填剤もその配合量がポリエステル系エラストマー100重量部に対し、3重量部以上なると開栓性が低下する。これらの傾向は比較例12〜14に示されている。
【0018】
ポリエステル系エラストマーを含む本発明のライナーの硬度やMFRの調整、或いはコスト低減を目的に熱可塑性樹脂や有機・無機物質を配合すると、物性特に開栓トルクに影響を及ぼすことが多々あるので注意が必要である。
【0019】
本発明のPPキャップを製造するための具体的方法としては、レトルト殺菌可能なPPキャップ用ライナー組成物の所定量(28φキャップで550mg前後)をキャップ内面中央部に、組成物温度210〜250℃で吐出した後、所定の金型で成形することである。耐レトルト性ライナーとして適用するポリエステル系エラストマーの結晶融点は200〜215℃であるので、組成物の温度が210℃より低いとエラストマーの流動性が悪くなりガスケット表面に欠陥が生じる恐れがあり、またキャップ内面に施された塗料との接着性が悪くなる。一方組成物の温度が250℃以上になるとエラストマーの分解老化を生じ、エラストマー本来の性能が得られず、密封不良やフレーバー異常の原因となる。
【0020】
本発明のレトルトPPキャップをボトル缶の密封に使用した実缶を5〜55℃に1ヶ月保存した場合の開栓トルクは、D×0.043N・m以下〔但しDはキャップ径(mm)〕であることが必要であるが、好ましくはD×0.025N・m〜D×0.035N・mであることが望ましい。
ポリエステル系エラストマーライナーは40℃以下では開栓トルクが安定し、経時的変化もないが、ホットベンダー保存温度(55〜60℃)では短期(数日)に開栓トルクが増大する傾向がある。この増大を防ぎ、所定の開栓トルク以下にすることが重要で、このためにはライナーのD硬度を本発明の範囲内とすることが特に重要である。
【0021】
【実施例】
以下に、実施例を挙げ本発明を説明するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例で用いる東レ・デュポン社および東洋紡社の商品は、いずれも「ハード成分が芳香族ポリエステル、ソフト成分が脂肪族ポリエーテルからなるポリエステル系エラストマー」という本発明の必要条件を満たすものであり、その融点は180〜220℃のものである。また、実施例、比較例共に115〜130℃で30分間のレトルト処理を行っている。
【0022】
実施例1
東レ・デュポン社ポリエステルエラストマーハイトレル#4777(融点:200℃、D硬度:47、MFR:1.5)100重量部、潤滑剤としてエルカ酸アミド1.5重量部、顔料として酸化チタン0.6重量部よりなる組成物を二軸押出機(TOYOSEIKI LABO PLASTOMILL 50MR)で混練押出してペレットを作成し、これをキャップ内でライナーに成形し、本発明のPPキャップをつくり、後述の試験を行った(具体的成形条件、試験方法は後段の「評価試験」の項で説明している)。ライナーのD硬度、MFRのデータを含め試験結果は表2に示す。なお、表1には、各実施例の配合組成を示した。
【0023】
実施例2
実施例1のエラストマーの20%を東洋紡績社製ポリエステルエラストマーGP−595(融点:213℃、D硬度:41、MFR:17)に変更した以外は、実施例1と同様の方法で試験した。ライナーのD硬度、MFRのデータを含め、試験結果は下記表2の通りである。
【0024】
実施例3
東レ・デュポン社#4777を70重量部、東洋紡績社GP−300(融点:200℃、D硬度:46、MFR:20)を30重量部、潤滑剤としてエルカ酸アミド2.0重量部とステアリン酸カルシウム0.3重量部、顔料の酸化チタン0.6重量部をPPキャップ用ライナー組成物として用いた以外は、実施例1と同様の方法で試験した。ライナーのD硬度、MFRのデータを含め、試験結果は下記表2の通りである。
【0025】
実施例4
東レ・デュポン社#4777を70重量部、東洋紡績社GP−200(融点:203℃、D硬度:52、MFR:20)を30重量部、潤滑剤としてエルカ酸アミド0.5重量部、オレイン酸アミド0.2重量部、エチレンビスオレイン酸アミド0.2重量部及びホホバ油2.0重量部、顔料の酸化チタン0.6重量部をPPキャップ用ライナー組成物として用いた以外は実施例1と同様の方法で試験した。ライナーのD硬度、MFRのデータを含め、試験結果は下記表2の通りである。
【0026】
実施例5
東レ・デュポン社#4777を50重量部、東洋紡績社GP−595を50重量部、潤滑剤としてエルカ酸アミド1.0重量部、エチレンビスベヘン酸アミド0.2重量部、レシチン0.3重量部、顔料として酸化チタン0.6重量部をPPキャップ用ライナー組成物として用いた以外は実施例1と同様の方法で試験した。ライナーのD硬度、MFRのデータを含め、試験結果は下記表2の通りである。
【0027】
実施例6
東レ・デュポン社#4777を50重量部、東洋紡績社GP−300を50重量部、潤滑剤としてエルカ酸アミド1.0重量部、シリコーンとしてジメチルポリシロキサン0.3重量部、ホホバ油2.0重量部、顔料として酸化チタン0.6重量部をPPキャップ用ライナー組成物として用いた以外は実施例1と同様の方法で試験した。ライナーのD硬度、MFRのデータを含め、試験結果は下記表2の通りである。
【0028】
実施例7
東レ・デュポン社#6377(融点:217℃、D強度:63、MFR:1.5)を50重量部、東洋紡績社GP−595を50重量部、潤滑剤としてエルカ酸アミド1.0重量部、モンタンワックス(BASF Luwax E Powder)1.0重量部、顔料として酸化チタン0.6重量部をPPキャップ用ライナー組成物として用いた以外は実施例1と同様の方法で試験した。ライナーのD硬度、MFRのデータを含め、試験結果は下記表2の通りである。
【0029】
実施例8
東レ・デュポン社#4777を30重量部、東洋紡績社GP−300を70重量部、潤滑剤としてエルカ酸アミド1.0重量部、オレイン酸アミド0.2重量部、ジメチルポリシロキサン0.3重量部、顔料の酸化チタン0.6重量部をPPキャップ用ライナー組成物として用いた以外は実施例1と同様の方法で試験した。ライナーのD硬度、MFRのデータを含め、試験結果は下記表2の通りである。
【0030】
【表1】
Figure 2004306996
【0031】
【表2】
Figure 2004306996
【0032】
比較例1
東洋紡績社ポリエステルエラストマーGP−580(融点:182℃、D硬度:44、MFR:22)を100重量部、潤滑剤としてエルカ酸アミド1.0重量部、オレイン酸アミド0.2重量部、ジメチルポリシロキサン0.3重量部、顔料として酸化チタン0.6重量部を、PPキャップ用ライナー組成物として用いた以外は実施例1と同様の方法で試験した。ライナーのD硬度、MFRのデータを含め、試験結果は下記表4の通りである。なお、表3には各比較例の配合組成を示した。
【0033】
比較例2
比較例1のエラストマーを東洋紡績社GP−595に変え、潤滑剤のジメチルポリシロキサン0.3重量部をホホバ油2.0重量部と置き換えた以外は、比較例1と同様の方法で試験した。ライナーのD硬度、MFRのデータを含め、試験結果は下記表4の通りである。
【0034】
比較例3
比較例1のエラストマーを東洋紡績社GP−300に変え、潤滑剤のエルカ酸アミドを1.0重量部から1.5重量部に増量し、オレイン酸アミドをエチレンビスオレイン酸アミドに変えた以外は、比較例1と同様の方法で試験した。ライナーのD硬度、MFRのデータを含め、試験結果は下記表4の通りである。
【0035】
比較例4
比較例3のエラストマーを東洋紡績社GP−200に変え、潤滑剤のエチレンビスオレイン酸アミドをエチレンビスベヘン酸アミドに変更し、ジメチルポリシロキサンを削除した以外は、比較例3と同様の方法で試験した。ライナーのD硬度、MFRのデータを含め、試験結果は下記表4の通りである。
【0036】
比較例5
比較例3のエラストマーを東レ・デュポン社#4057(融点:163℃、D硬度:40、 MFR:13)に変更し、潤滑剤のエチレンビスオレイン酸アミドをエチレンビスベヘン酸アミドに変えた以外は比較例3と同様の方法で試験した。ライナーのD硬度、MFRのデータを含め、試験結果は下記表4の通りである。
【0037】
比較例6
比較例3のエラストマーを東レ・デュポン社#4777に変更し、潤滑剤のジメチルポリシロキサン0.3重量部をレシチン0.3重量部と置き換えた以外は、比較例3と同様の方法で試験した。ライナーのD硬度、MFRのデータを含め、試験結果は下記表4の通りである。
【0038】
比較例7
東洋紡績社エラストマーGP−595を30重量部、東レ・デュポン社エラストマー#6377を70重量部、潤滑剤としてエルカ酸アミド1.5重量部、ジメチルポリシロキサン0.3重量部、顔料として酸化チタン0.6重量部をPPキャップ用ライナー組成物として用いた以外は実施例1と同様に試験した。ライナーのD硬度、MFRのデータを含め、試験結果は下記表4の通りである。
【0039】
比較例8
東レ・デュポン社エラストマー#4777を70重量部、東洋紡績社エラストマーGP−300を30重量部、潤滑剤としてエルカ酸アミド0.5重量部、オレイン酸アミド0.2重量部、エチレンビスオレイン酸アミド0.2重量部、ジメチルポリシロキサン0.3重量部、ステアリン酸カルシウム0.2重量部、顔料として酸化チタン0.6重量部をPPキャップ用ライナー組成物として用いた以外は実施例1と同様に試験した。ライナーのD硬度、MFRのデータを含め、試験結果は下記表4の通りである。
【0040】
比較例9
比較例8の東洋紡績社エラストマーGP−300をGP−200に変更し、潤滑剤のエルカ酸アミドを0.5重量部から0.2重量部に削減し、オレイン酸アミドを0.2重量部から0.5重量部に増量した以外は比較例8と同様の方法で試験した。ライナーのD硬度、MFRのデータを含め、試験結果は下記表4の通りである。
【0041】
比較例10
比較例8の潤滑剤のエルカ酸アミドを0.5重量部から2.0重量部に増量し、エチレンビスオレイン酸アミド及びステアリン酸カルシウムを削除した以外は、比較例8と同様の方法で試験した。ライナーのD硬度、MFRのデータを含め、試験結果は下記表4の通りである。
【0042】
比較例11
実施例5の潤滑剤のエルカ酸アミドを1.0重量部から0.2重量部に削減し、オレイン酸アミド0.2重量部とモンタンワックス1.0重量部を加えた以外は、実施例5と同様の方法で試験した。ライナーのD硬度、MFRのデータを含め、試験結果は下記表4の通りである。
【0043】
比較例12
比較例10の潤滑剤エルカ酸アミド2.0重量部を1.0重量部に削減し、ホホバ油を2.0重量部加え、低密度ポリエチレン(PE)〔日本ユニカー(株)DUDJ−0405〕を10重量部添加した以外は比較例10と同様の方法で試験した。ライナーのD硬度、MFRのデータを含め、試験結果は下記表4の通りである。
【0044】
比較例13
比較例12の低密度ポリエチレン(PE)10重量部をポリプロピレン(PP)〔(株)グランドポリマーJ704〕10重量部に変更した以外は、比較例12と同様の方法で試験した。ライナーのD硬度、MFRのデータを含め、試験結果は下記表4の通りである。
【0045】
比較例14
比較例12のHDPE10重量部に変えて、Aerosil300(DEGUSSA独)を4重量部を添加した以外は比較例12と同様の方法で試験した。ライナーのD硬度、MFRのデータを含め、試験結果は下記表4の通りである。
【0046】
【表3】
Figure 2004306996
【0047】
【表4】
Figure 2004306996
【0048】
1.試験キャップの作成
直径28mmのPPキャップの内面に、上記試験ペレット550〜580mgをのせ230℃のオーブンに入れて加熱溶融後、所定の金型で成形して試験キャップとした。作製したキャップを用いて以下の方法で充填し、ライナー性能評価試験の試料とした。500ccのボトル缶に90℃の温水を485g充填し、閉栓後の内圧が1.5±0.5kg/cm(at20℃)になる様に液体窒素(LN)充填して、巻締め荷重120kgfで閉栓した。これを125℃で30分間レトルト処理後、冷却したものを試料とした。
2.評価試験
(i)モールド成形性
二軸押出混練機ノズル出口でペレット状にカットする際、糸引きや粘着が発生し易かったり、成形金型による成形時に欠陥の発生しやすいものを×とした(取り扱い作業性やモールド成形性の良好なものを○とした)。
(ii)耐レトルト性
レトルト時の漏洩発生の有無にて評価した。具体的には内圧が所定の圧力のものを○、減圧しているものを×とした。
(iii)耐衝撃性
落錘試験で缶内圧に異常の発生しないものを○、減圧したものを×とした。具体的には衝撃が10度傾斜した500gの円錐荷重を30cm高さから蓋巻締め部に落下し、この衝撃での缶内圧変化の有無を調査する。
(iv)開栓性
(1)室温(RT)開栓トルク
充填後室温に1週間及び1ヶ月放置後、トルクメーターで開栓トルクを測定した。
評価は、0.5〜1.2N・mを○、0.5N・m未満又は1.2N・mを上回るもの×とした。
(2)55℃開栓トルク
ホットベンダー販売を想定し、充填後、55℃に1週間及び1ヶ月間貯蔵し、恒温貯蔵庫から取り出して即トルクメーターで測定した。
評価は室温貯蔵の場合に準じた。
(3)シール長さ
開栓時、キャップが廻り始めてから内圧が抜けるまでの回転距離(長さ)を測定した。
評価は、回転長さが10〜25mmを○とし、これより短かったり、長いものは×とした。キャップは開栓するとブリッジが破断して、開栓したことが外観で判断できる。従って、ブリッジが破断する前に、内圧が抜けたり、また、外気と内容物が触れるようなことがあっては絶対許されない。その評価として、シール長さの評価が存在する。つまり回転長さが10〜25mmを○としたときこの範囲であれば、ブリッジが破断してから内圧は抜ける状態になる。また、これより回転長さが短いものはブリッジが破断する前に内圧が抜けてしまう。もし、市場で売られた場合、消費者はブリッジが破断してないことで開封していないと思って買うが、開けてみると内圧が抜けた(炭酸等が抜けた)または、外気の菌が混入した飲料等を口にするおそれがある。また逆にこれより長いと開栓性に問題が発生する。つまり長いほどその間はライナーからの摩擦抵抗が開栓トルクとしてはねかえってくることになる。
(v)潤滑剤の過剰ブルーム
潤滑剤が過剰にライナー表面にブルームして、内容物へ落ち込む事がある。室温1ヶ月貯蔵品及び55℃1ヶ月貯蔵品をそれぞれビーカーにあけ、1日後に潤滑剤の浮きの有無を肉眼調査した。潤滑剤が液表面に浮いているものを×、異常のないものを○とした。
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、低温(冷蔵)から高温(レトルト時)で優れた弾性があり、且つ密封性及び開栓性が良好なレトルト方式の飲料品等の容器キャップに適したレトルトPPキャップ用ライナー組成物、それを用いたPPキャップ用ライナー、それを用いたPPキャップおよびその製法を提供できた。

Claims (4)

  1. (A)ハード成分が芳香族ポリエステル、ソフト成分が脂肪族ポリエーテルからなるポリエステル系エラストマー100重量部と
    (B)潤滑剤として、(i)高級脂肪酸アミド0.8〜2.0重量部を用い、かつ(ii)該高級脂肪酸アミドのうち少なくとも0.5重量部がエルカ酸アミド
    とを含有することを特徴とするレトルト殺菌可能なピルファープルーフキャップ用ライナー組成物。
  2. (A)ハード成分が芳香族ポリエステル、ソフト成分が脂肪族ポリエーテルからなるポリエステル系エラストマー100重量部と
    (B)潤滑剤として、(i)高級脂肪酸アミド0.8〜2.0重量部を用い、かつ(ii)該高級脂肪酸アミドのうち少なくとも0.5重量部がエルカ酸アミド
    とを含有する高分子組成を有し、その組成物のD硬度が43〜52(ASTM D2240)であり、メルトフローレート(MFR)が3〜15g/10分(ASTM D1238、230℃において)であることを特徴とするレトルト殺菌可能なピルファープルーフキャップ用ライナー。
  3. 請求項1記載のレトルト殺菌可能なピルファープルーフキャップ用ライナー組成物を、210〜250℃に加熱した状態でモールド金型内に置かれたキャップ内面中央部に吐出し、モールド金型で所望の形状に成形することを特徴とするレトルト殺菌可能なピルファープルーフ用キャップの製造方法。
  4. 請求項2記載のレトルト殺菌可能なピルファープルーフキャップ用ライナーを有するピルファープルーフキャップであって、このキャップを用いて密封した缶詰を5〜55℃で1ヶ月保存した後の開栓トルクがD×0.043Nm〔Dはキップの径(mm)〕以下であることを特徴とするレトルト殺菌可能なピルファープルーフ用キャップ。
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