JP2004302288A - 表示素子および表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】デジタル駆動型の有機EL表示装置を構成する画素回路100において、電流が供給されることにより発光する有機発光素子OLEDと、有機発光素子OLEDへの電流の供給を制御する2個の駆動用トランジスタTr2aおよびTr2bとを直列に接続する。駆動用トランジスタTr2bは、有機発光素子OLEDに流れる電流を調整するための電流調整素子として機能する。有機発光素子OLEDの劣化や温度の低下などにより、有機発光素子OLEDに流れる電流が減少すると、駆動用トランジスタTr2bは電流を増加させるように作用する。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、表示素子および表示装置に関し、とくに、デジタル駆動型の表示素子および表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機エレクトロルミネッセンス表示装置(以下、「有機EL表示装置」または「有機ELパネル」ともいう)が、新たな平面型表示装置として注目されている。有機EL表示装置は、現在広く普及している液晶表示装置を席巻する日も近いと目されており、実用化に向けて熾烈な開発競争の最中にある。
【0003】
有機EL表示装置の駆動方式には、大きく分けて、アナログ駆動方式とデジタル駆動方式の2種類がある。アナログ駆動方式は、各有機EL素子にデータ電圧に応じた大きさの電流を供給して、データ電圧に応じた輝度で点灯させる方式である。デジタル駆動方式は、様々な方式が提案されているが、たとえば時間階調方式は、各有機EL素子にデータ電圧に応じたデューティ比を有するパルス電流を供給して、データ電圧に応じた期間点灯させ、多階調を表現する方式である。
【0004】
時間階調方式のうち、サブフィールド駆動方式では、1画面の表示周期である1フィールド(フレーム)期間を複数のサブフィールド(フレーム)期間に分割し、各サブフィールド期間における点灯のオン/オフを制御することにより、データ電圧に応じた期間、有機EL素子を点灯させる。このとき、有機発光素子には同じ大きさの電流が供給され、有機発光素子は同じ輝度で発光するが、点灯時間の長短により階調が表現される。各サブフィールドの発光期間は、2のn乗(n=0,1,2,・・・,N−1)の長さを有し、たとえば1,2,4,8,16,32,64,128の長さに設定された発光期間のオン/オフにより、256階調が表現される。
【0005】
上述のような時間階調方式を採用した有機ELパネルでは、トランジスタのばらつきの影響を軽減するために、有機発光素子を定電流駆動させるための駆動用トランジスタを線形領域で動作させるのが好ましい。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−312173号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、デジタル駆動方式において、駆動用トランジスタを線形領域で動作させる場合、駆動用トランジスタを飽和領域で動作させるアナログ駆動方式に比べて、温度変化や経時劣化による電流の変動が大きいという問題がある。有機発光素子に供給する電流の変動が大きいと、有機発光素子の輝度にばらつきが生じ、表示品質が劣化する恐れがある。
【0008】
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、デジタル駆動型の表示素子における輝度のばらつきを軽減する技術の提供にある。本発明の別の目的は、デジタル駆動型の表示素子の経時劣化による輝度の低下を軽減する技術の提供にある。本発明のさらに別の目的は、デジタル駆動型の表示装置における熱暴走の発生を抑える技術の提供にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のある態様は、表示素子に関する。この表示素子は、デジタル駆動型の表示素子であって、電流が供給されることにより発光する発光素子と、発光素子への電流の供給を制御する、線形領域で動作される駆動用トランジスタと、発光素子および駆動用トランジスタと直列に接続され、発光素子に流れる電流を調整するための電流調整素子と、を備えることを特徴とする。
【0010】
電流調整素子を設けることにより、温度変化や発光素子の経時劣化などに起因する電流の変動を軽減し、輝度の変動を軽減することができる。
【0011】
電流調整素子は、トランジスタであってもよい。温度変化や経時変化により、発光素子の両電極間の電圧が上昇したときに、その電圧上昇を緩和する方向に動作点がシフトするようにトランジスタを接続すればよい。トランジスタのゲート電極には、駆動用トランジスタのゲート電極に入力される信号と同じ信号が入力されてもよい。これにより、簡略な構成で、電流調整を実現することができる。トランジスタのゲート電極には、発光素子に流れる電流を可変に制御するための制御信号が入力されてもよい。これにより、より効果的に電流を調整することができる。
【0012】
本発明の別の態様は、表示装置に関する。この表示装置は、上述した表示素子のうちいずれかをマトリクス状に配置したことを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1は、実施の形態に係る有機EL表示装置10の構成を示す。有機EL表示装置10は、複数の画素をマトリクス状に配列した有機ELパネル5、有機ELパネル5に走査信号を供給する走査ドライバ3、および有機ELパネル5に輝度データ信号を供給するデータドライバ4を含む有機EL表示ユニット2と、映像信号を処理する映像信号処理回路6と、表示のタイミングを制御するタイミング信号を発生するタイミング信号発生回路7とを備える。
【0014】
映像信号処理回路6は、入力された映像信号に対して表示に必要な処理を施し、R、G、Bの3原色の映像信号をデータドライバ4に出力し、水平同期信号HSyncおよび垂直同期信号VSyncをタイミング信号発生回路7に出力する。タイミング信号発生回路7は、水平同期信号HSyncと垂直同期信号VSyncに基づいて、表示のタイミングを制御するタイミング信号を発生し、走査ドライバ3およびデータドライバ4に供給する。
【0015】
図2は、有機ELパネル5の1画素分の画素回路100の構成を示す。この画素回路100は、有機発光素子OLEDと、有機発光素子OLEDに対するデータの書き込みのタイミングを制御するスイッチングトランジスタTr1と、有機発光素子OLEDに対する通電を制御する駆動用トランジスタTr2aおよびTr2bと、保持容量Cと、輝度データ電圧をパルス幅に変調するパルス幅変調(Pulse Width Modulation:PWM)回路50と、走査信号を送る走査線SCANと、輝度データを送るデータ線DATAと、有機発光素子OLEDに電流を供給する電源供給線VDDとを備える。電源供給線VDDは、有機発光素子OLEDを発光させるための電流を供給する。データ線DATAは、有機発光素子OLEDのそれぞれの輝度を制御するための輝度データの信号を流す。走査線SCANは、有機発光素子OLEDのそれぞれの発光タイミングを制御するための走査信号を流す。
【0016】
本実施の形態の画素回路100は、直列に接続された2つの駆動用トランジスタTr2aおよびTr2bを備える。このとき、一方の駆動用トランジスタTr2bは、後述するように、駆動用トランジスタTr2aおよびTr2bのソース−ドレイン間、および有機発光素子OLEDに流れる電流を調整するための電流調整素子としても機能する。実際には、駆動用トランジスタTr2aおよびTr2bの協働により電流調整作用が実現されるので、双方を電流調整素子と呼んでもよい。電流調整素子を設けることにより、有機発光素子OLEDの温度または経時劣化の影響による輝度の変動を低減することができる。
【0017】
スイッチングトランジスタTr1は、ゲート電極が走査線SCANに接続され、ソース電極がデータ線DATAに接続され、ドレイン電極がPWM回路50に接続される。スイッチングトランジスタTr1は、シングルゲート構造、ダブルゲート構造、または3以上のゲート電極を有するマルチゲート構造のいずれであってもよい。また、スイッチングトランジスタTr1は、nチャネルトランジスタであってもpチャネルトランジスタであってもよい。ソース電極とドレイン電極が逆であってもよい。
【0018】
駆動用トランジスタTr2aは、ソース電極が電源供給線VDDに接続され、ドレイン電極が駆動用トランジスタTr2bのソース電極に接続され、ゲート電極がPWM回路50に接続される。駆動用トランジスタTr2bは、ソース電極が駆動用トランジスタTr2aのドレイン電極に接続され、ドレイン電極が有機発光素子OLEDの陽極に接続され、ゲート電極がPWM回路50に接続される。この例では、駆動用トランジスタTr2を2個直列に設けているが、駆動用トランジスタTr2を3個以上設けてもよい。
【0019】
有機発光素子OLEDは、陽極が駆動用トランジスタTr2bのドレイン電極に接続され、陰極は接地される。保持容量Cの一端は、スイッチングトランジスタTr1のドレイン電極に接続され、他端は、図示しない配線に接続される。保持容量Cの他端は、電源供給線VDDに接続されてもよい。PWM回路50は、スイッチングトランジスタTr1のドレイン電極と、駆動用トランジスタTr2aおよびTr2bのゲート電極との間に設けられる。
【0020】
以上の構成による動作を説明する。まず、データドライバ4は、1ライン分の輝度データを用意し、各データ線DATAに供給する。ここで、走査ドライバ3が、データの書き込みを行う水平ラインの走査線SCANに走査信号を送ると、その水平ラインの画素のスイッチングトランジスタTr1がオンになり、データ線DATAに設定された輝度データが保持容量Cに設定されるとともに、PWM回路50に入力される。PWM回路50は、入力された輝度データの電圧を、その電圧に応じた幅を有するパルス信号に変調する。パルス信号は、一定の振幅を有し、輝度データに応じた期間アクティブとなる信号である。PWM回路50から出力されたパルス信号は、駆動用トランジスタTr2aおよびTr2bのゲート電極に入力される。パルス信号がアクティブである期間だけ駆動用トランジスタTr2aおよびTr2bがオンとなり、一定の電流が有機発光素子OLEDに供給されて、有機発光素子OLEDが発光する。以上の動作が水平ライン分繰り返され、1フレームの画像が表示される。
【0021】
図3は、駆動用トランジスタTr2aおよびTr2bのソース−ドレイン間電圧と、有機発光素子OLEDの両電極間の電圧の関係を示す。駆動用トランジスタTr2aおよびTr2bと、有機発光素子OLEDは、直列に接続されているので、漏れ電流を考慮しなければ、流れる電流Iは同じである。駆動用トランジスタTr2aのソース−ドレイン間電圧をVDS1、駆動用トランジスタTr2bのソース−ドレイン間電圧をVDS2、有機発光素子OLEDの両電極間の電圧をVOLEDとすると、次式が成立する。
VDD=VDS1+VDS2+VOLED
【0022】
図4は、温度変化や経時変化により有機発光素子OLEDに流れる電流が変動したときに、電流調整素子により電流の変動が軽減される様子を説明するための図である。ある時点t1における有機発光素子OLEDの特性曲線を200a、駆動用トランジスタTr2aの特性曲線を210、駆動用トランジスタTr2bの特性曲線を220aで示す。このとき、駆動用トランジスタTr2bの動作点は230aであり、有機発光素子OLED、駆動用トランジスタTr2aおよびTr2bには、電流値I1の電流が流れる。
【0023】
有機発光素子OLEDは、発光時間の経過とともに電流が流れにくくなり、輝度が低下することが知られている。すなわち、有機発光素子OLEDの特性曲線は、経時劣化に伴って、図3において右方向へシフトする。また、温度の低下によっても、有機発光素子OLEDの特性曲線は右方向へシフトする。経時劣化により輝度と電流が低下すると、表示パネルの温度が低下し、より電流を減少させる方向に特性曲線がシフトするので、さらに輝度が低下するという悪循環に陥る恐れがある。
【0024】
ここで、経時変化または温度の低下により、ある時点t2における有機発光素子OLEDの特性曲線が200bにシフトすると、動作点は230bに移動し、電流値はI2に低下する。このとき、駆動用トランジスタTr2aの動作点も右へ移動するので、駆動用トランジスタTr2bのソース電極の電位が上昇し、駆動用トランジスタTr2bのゲート−ソース間電圧VGSが上昇する。すると、Tr2bの特性曲線は220bに変わるので、動作点は230cとなり、電流値はI3に増加する。駆動用トランジスタが1つだけ設けられていた場合は、電流がI2に減少することになるが、駆動用トランジスタを直列に2個接続することで電流はI3となり、温度の低下や経時変化による電流の減少を軽減することができる。
【0025】
逆に、温度が高くなったとき、有機発光素子OLEDの特性曲線は左方向にシフトするので、動作点が左上方向にシフトし、電流が増加する。すると、パネルの温度がさらに上昇して、熱暴走を引き起こす恐れがある。この場合も、本実施の形態の画素回路100によれば、電流調整作用が働いて、電流値を減少させる方向に動作点をシフトさせ、熱暴走を抑えることができる。具体的には、温度の上昇に伴って動作点230aが左上方向にシフトすると、駆動用トランジスタTr2bのゲート−ソース間電圧VGSが低下して、駆動用トランジスタTr2bの特性曲線が下方向にシフトする。これにより、動作点が左下方向にシフトするので、電流の増加を軽減することができる。
【0026】
駆動用トランジスタを複数個設けることにより、有機発光素子OLEDに繋がるトランジスタの線形領域の傾きがなだらかになり、温度変化や経時劣化の影響を受けにくくなるという効果もある。
【0027】
図5は、画素回路100の他の例を示す。図5の例では、電流調整素子として機能する駆動用トランジスタTr2aのゲート電極に、図示しない電流制御部により生成された、電流を可変に制御するための制御信号が入力される。これにより、有機発光素子OLEDに流れる電流を能動的に制御することができるので、より効果的な電流調整を実現することができる。この画素回路100における電流調整作用について、図4を参照して説明する。駆動用トランジスタTr2aのゲート電圧を調整することにより、特性曲線210が上下にシフトする。これに加えて、駆動用トランジスタTr2bのゲート−ソース間電圧VGSが増減するので、特性曲線220aが上下にシフトし、動作点230aが移動する。
【0028】
図6は、画素回路100の他の例を示す。図6の例では、電流調整素子として機能する駆動用トランジスタTr2bのゲート電極に、図示しない電流制御部により生成された、電流を可変に制御するための制御信号が入力される。これにより、有機発光素子OLEDに流れる電流を能動的に制御することができるので、より効果的な電流調整を実現することができる。この画素回路100における電流調整作用について、図4を参照して説明する。駆動用トランジスタTr2bのゲート電圧を調整することにより、特性曲線220aが上下にシフトし、動作点230aが移動する。
【0029】
以上、説明したように、本実施の形態の技術によれば、表示素子における温度変化や経時変化による輝度の変動を最小限に抑えることができる。これにより、表示装置の焼き付きを抑え、寿命を延ばすことができる。
【0030】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0031】
実施の形態では、PWM回路50により輝度データに応じたパルス幅を有するパルス信号を発生して、有機発光素子OLEDをデジタル駆動する例について説明したが、別の例では、サブフィールド駆動であってもよい。また、有機発光素子を例にとって説明したが、他の電流駆動型の発光素子にも本発明を適用可能である。
【0032】
【発明の効果】
本発明によれば、デジタル駆動型の表示素子における輝度の変動を軽減する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態に係る有機EL表示装置の構成を示す図である。
【図2】有機ELパネルの1画素分の画素回路の構成を示す図である。
【図3】駆動用トランジスタTr2aおよびTr2bのソース−ドレイン間電圧と、有機発光素子OLEDの両電極間の電圧の関係を示す図である。
【図4】温度変化や経時変化により有機発光素子OLEDに流れる電流が変動したときに、電流調整素子により電流の変動が軽減される様子を説明するための図である。
【図5】画素回路の他の例を示す図である。
【図6】画素回路の他の例を示す図である。
【符号の説明】
2・・・有機EL表示ユニット、3・・・走査ドライバ、4・・・データドライバ、5・・・有機ELパネル、6・・・映像信号処理回路、7・・・タイミング信号発生回路、10・・・有機EL表示装置、50・・・PWM回路、100・・・画素回路、C・・・保持容量、DATA・・・データ線、OLED・・・有機発光素子、SCAN・・・走査線、Tr1・・・スイッチングトランジスタ、Tr2・・・駆動用トランジスタ、Tr2a・・・駆動用トランジスタ、Tr2b・・・駆動用トランジスタ、VDD・・・電源供給線。
Claims (5)
- デジタル駆動型の表示素子であって、
電流が供給されることにより発光する発光素子と、
前記発光素子への電流の供給を制御する、線形領域で動作される駆動用トランジスタと、
前記発光素子および前記駆動用トランジスタと直列に接続され、前記発光素子に流れる電流を調整するための電流調整素子と、
を備えることを特徴とする表示素子。 - 前記電流調整素子は、トランジスタであることを特徴とする請求項1に記載の表示素子。
- 前記トランジスタのゲート電極には、前記駆動用トランジスタのゲート電極に入力される信号と同じ信号が入力されることを特徴とする請求項2に記載の表示素子。
- 前記トランジスタのゲート電極には、前記発光素子に流れる電流を可変に制御するための制御信号が入力されることを特徴とする請求項2に記載の表示素子。
- 請求項1から4のいずれかに記載の表示素子をマトリクス状に配置したことを特徴とする表示装置。
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2003
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