JP2004362025A - 車両通信装置、車両通信方法及び車両通信プログラム - Google Patents
車両通信装置、車両通信方法及び車両通信プログラム Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004362025A JP2004362025A JP2003156362A JP2003156362A JP2004362025A JP 2004362025 A JP2004362025 A JP 2004362025A JP 2003156362 A JP2003156362 A JP 2003156362A JP 2003156362 A JP2003156362 A JP 2003156362A JP 2004362025 A JP2004362025 A JP 2004362025A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- vehicle
- congestion
- network
- emergency
- notification
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Traffic Control Systems (AREA)
- Mobile Radio Communication Systems (AREA)
Abstract
【課題】緊急の渋滞時においても、常に前方に集中しながら運転ができる車車間通信装置を提供する。
【解決手段】車両通信装置30は、外部から取得した渋滞情報に基づいて、他車との間で緊急渋滞ネットワークを形成する手段と、形成された前記緊急渋滞ネットワークを介して前記他車における位置情報を取得し、取得した該位置情報に基づいて、自車が前記緊急渋滞ネットワーク内で発生する車両渋滞の最後尾に位置するかどうかを判断する最後尾判断手段326と、最後尾判断手段326により、自車が前記緊急渋滞ネットワーク内で発生する車両渋滞の最後尾にいると判断された場合に、後続車両に対して追突防止を警告するための報知手段へ報知信号を出力する報知信号出力手段327とを有する。
【選択図】 図3
【解決手段】車両通信装置30は、外部から取得した渋滞情報に基づいて、他車との間で緊急渋滞ネットワークを形成する手段と、形成された前記緊急渋滞ネットワークを介して前記他車における位置情報を取得し、取得した該位置情報に基づいて、自車が前記緊急渋滞ネットワーク内で発生する車両渋滞の最後尾に位置するかどうかを判断する最後尾判断手段326と、最後尾判断手段326により、自車が前記緊急渋滞ネットワーク内で発生する車両渋滞の最後尾にいると判断された場合に、後続車両に対して追突防止を警告するための報知手段へ報知信号を出力する報知信号出力手段327とを有する。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車車間通信装置、車両通信方法及び車両通信プログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、渋滞を精度よく検出することができる交通情報収集提供装置が提案されている(特許文献1)。この従来の交通情報収集装置は、交通管制センタで収集された交通情報データ等を道路上に設置された通信装置を利用して、道路上を走行する車両に提供するものである。また、この従来の交通情報装置は、道路上に設置された通信装置からの情報および前方車両の後方に設置された車載後方通信装置からの交通情報を受信する車載前方通信装置およびその情報を車載後方通信装置へ送信する車載制御装置および車両車載後方通信装置を有する。
【0003】
これにより、道路上に設置された通信装置からの情報を車両前後に搭載した車載通信装置により後方車両に順次伝達することにより新たに通信装置を設置することなく交通情報が通信領域から離れた後方の車両で受信できる。また、各車両の位置およびそこまでの所要時間および車速を逆に通信領域にいる前方車両に伝達し路上の通信装置を経由して交通管制センタの処理装置に送信することにより車両センサを設置することなく渋滞を精度よく検出し、任意の地点までの正確な所要時間を生成し車両に提供するというものである。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−198889号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1記載の交通情報収集提供装置では、渋滞現場までの正確な時間を取得することができるものの、緊急な事故渋滞などを後方に報知することは考慮されていない。
【0005】
また、図10に示すように、通常走行中、直前で事故などの理由により渋滞が発生した場合、渋滞の最後尾の車は、後ろからの追突を自己防止する為に、後続車に対してハザードライト点滅をして知らせる必要がある。このように、ハザードライトの手動による表示方法を利用した場合は、ハンドルを握りながら、ハザードライトをオンオフするために少なくとも片方の手をハンドルから放すため、前方に集中して運転をすることができないという問題がある。また、なかなか後続車が来ない場合、後方を確認しながら、後続車が近くに来るまでハザードライトを点滅させておく必要があるため、前方に集中して運転をすることができないという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は上記従来技術の問題点を解決し、緊急の渋滞時においても、常に前方に集中しながら運転ができる車両通信装置、車両通信方法及び車両通信プログラムを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の車両通信方法は、他車との間で車車間通信を行う車両通信方法において、外部から取得した渋滞情報に基づいて、前記他車との間で緊急渋滞ネットワークを形成する第1の段階と、形成された前記緊急渋滞ネットワークを介して前記他車における位置情報を取得し、取得した該位置情報に基づいて、自車が前記緊急渋滞ネットワーク内で発生している車両渋滞の最後尾に位置するかどうかを判断する第2の段階と、該第2の段階により、自車が前記緊急渋滞ネットワーク内で発生する車両渋滞の最後尾に位置すると判断された場合には、後続車両に対して追突防止を警告するための報知手段へ報知信号を出力する第3の段階と、を有することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、第1の段階により、外部から取得した渋滞情報に基づいて、他車との間で緊急渋滞ネットワークを形成し、第2の段階により、緊急渋滞ネットワークを介して他車の位置情報を取得し、取得した他車の位置情報に基づいて、自車が緊急渋滞ネットワーク内で発生する車両渋滞の最後尾に位置するかどうかを判断し、第3の段階によって、第2の段階により自車が前記緊急渋滞ネットワーク内で発生する車両渋滞の最後尾に位置すると判断された場合には、後続車両に対して追突防止を警告するための報知手段へ報知信号を出力するようにしたので、従来、手動で行っていた後続車両に対する追突防止の報知を自動で行うことができる。これにより、運転者は緊急の渋滞時においても、常に前方に集中しながら運転をすることができる。また、運転に集中している状況でもハザードライトによる点滅が自然に視界に入るようにすることができる。
【0009】
また、本発明は、上記車両通信方法において、前記第3の段階は、後方から近づいてきた前記他車が前記緊急渋滞ネットワークの形成に追加されたことをトリガに、前記報知手段へ報知信号を出力することを特徴とする。本発明によれば、前記第3の段階は、後方から近づいてきた他車が緊急渋滞ネットワークの形成に追加されたことをトリガに、報知手段へ報知信号を出力するようにしたので、後方からの他車が緊急ネットワークを介して通信が可能になったとき、すなわち後方から車両が接近していることを認識したときから、後方から来る他車に対して報知手段により報知することができる。
【0010】
また、本発明は、上記車両通信方法において、更に、後続から近づいてきた前記他車からの位置情報を取得し、取得した該位置情報に基づいて、前記車両渋滞の最後尾が入れ替わったことをトリガに、前記報知手段への報知信号の出力を終了する第4の段階を有することを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、車両通信方法は、後続から近づいてきた他車からの位置情報を取得し、取得した該位置情報に基づいて、車両渋滞の最後尾が入れ替わったことをトリガに、報知手段への報知信号の出力を終了するようにしたので、後方車両が近づいて報知手段からの報知が必要でなくなったときに、自動的に報知手段からの報知を終了することができる。このため、従来、手動で行っていた後続車両に対して追突防止の報知を完全に自動で行うことができる。これにより、運転者は運転に集中することができる。
【0012】
また、本発明は、上記車両通信方法において、前記報知手段は、ハザードライトであることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の車両通信装置は、車両に搭載され、他車との間で通信を行う車両通信装置において、外部から取得した渋滞情報に基づいて、前記他車との間で緊急渋滞ネットワークを形成する手段と、形成された前記緊急渋滞ネットワークを介して前記他車における位置情報を取得し、取得した該位置情報に基づいて、自車が前記緊急渋滞ネットワーク内で発生する車両渋滞の最後尾に位置するかどうかを判断する最後尾判断手段と、該最後尾判断手段により、自車が前記緊急渋滞ネットワーク内で発生する車両渋滞の最後尾にいると判断された場合には、後続車両に対して追突防止を警告するための報知手段へ報知信号を出力する報知信号出力手段と、を有することを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、外部から取得した渋滞情報に基づいて、他車との間で緊急渋滞ネットワークを形成し、最後尾判断手段は、緊急渋滞ネットワークを介して他車の位置情報を取得し、取得した他車の位置情報に基づいて、自車が緊急渋滞ネットワーク内で発生する車両渋滞の最後尾に位置するかどうかを判断し、報知信号出力手段は、最後尾判断手段により自車が前記緊急渋滞ネットワーク内で発生する車両渋滞の最後尾に位置する判断された場合には、後続車両に対して追突防止を警告するための報知手段へ報知信号を出力するようにしたので、従来、手動で行っていた後続車両に対して追突防止の報知を自動で行うことができる。これにより、運転者は、緊急の渋滞時においても、常に前方に集中しながら運転をすることができる。
【0015】
また、本発明は、上記車両通信装置において、前記報知信号出力手段は、後方から近づいてきた前記他車が前記緊急渋滞ネットワークの形成に追加されたことをトリガに、前記報知手段へ報知信号を出力することを特徴とする。本発明によれば、前記報知信号出力手段は、後方から近づいてきた他車が緊急渋滞ネットワークの形成に追加されたことをトリガに、報知手段へ報知信号を出力するようにしたので、後方からの他車が緊急ネットワークを介して通信が可能になったとき、すなわち後方から車両が接近していることを認識したときから、後方から来る他車に対して報知手段により報知することができる。
【0016】
また、本発明は、上記車両通信装置おいて、前記報知信号出力手段は、後続から近づいてきた前記他車からの位置情報を取得し、取得した該位置情報に基づいて、前記車両渋滞の最後尾が入れ替わったことをトリガに、前記報知手段への報知信号の出力を終了することを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、報知信号出力手段は、後続から近づいてきた他車からの位置情報を取得し、取得した該位置情報に基づいて、車両渋滞の最後尾が入れ替わったことをトリガに、報知手段への報知信号の出力を終了するようにしたので、後方車両が近づいて報知手段からの報知が必要でなくなったときに、自動的に報知手段からの報知を終了することができる。このため、従来、手動で行っていた後続車両に対して追突防止の報知を完全に自動で行うことができる。これにより、運転者は緊急の渋滞時においても、常に前方に集中しながら運転をすることができる。
【0018】
また、本発明は、上記車両通信装置において、前記報知手段は、ハザードライトであることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の車両通信プログラムは、前方に車両渋滞が発生していることを後続車両に対して知らせるためにコンピュータを、外部から取得した渋滞情報に基づいて、前記他車との間で緊急渋滞ネットワークを形成する第1の手段、前記緊急渋滞ネットワークを介して前記他車における位置情報を取得し、取得した該位置情報に基づいて、自車が前記緊急渋滞ネットワーク内で発生する車両渋滞の最後尾に位置するかどうかを判断する第2の手段、該第2の手段により、自車が前記緊急渋滞ネットワーク内で発生する車両渋滞の最後尾に位置すると判断された場合には、後続車両に対して追突防止を警告するための報知手段へ報知信号を出力する第3の手段として機能させる。
【0020】
本発明によれば、第1の手段により、外部から取得した渋滞情報に基づいて、他車との間で緊急渋滞ネットワークを形成し、第2の手段により、緊急渋滞ネットワークを介して他車の位置情報を取得し、取得した位置情報に基づいて、自車が緊急渋滞ネットワーク内で発生する車両渋滞の最後尾に位置するかどうかを判断し、第3の手段によって、第2の手段により自車が前記緊急渋滞ネットワーク内で発生する車両渋滞の最後尾に位置すると判断された場合には、後続車両に対して追突防止を警告するための報知手段へ報知信号を出力するようにしたので、従来、手動で行っていた後続車両に対して追突防止の報知を自動で行うことができる。これにより、運転者は緊急の渋滞時においても、常に前方に集中しながら運転をすることができる。
【0021】
また、本発明は、上記車両通信プログラムにおいて、前記第3の手段は、後方から近づいてきた前記他車が前記緊急渋滞ネットワークの形成に追加されたことをトリガに、前記報知手段へ報知信号を出力することを特徴とする。本発明によれば、前記第3の手段は、後方から近づいてきた他車が緊急渋滞ネットワークの形成に追加されたことをトリガに、報知手段へ報知信号を出力するようにしたので、後方からの他車が緊急ネットワークを介して通信が可能になったとき、すなわち後方から車両が接近していることを認識したときから、後方から来る他車に対して報知手段により報知することができる。
【0022】
また、本発明は、上記車両通信プログラムにおいて、更に、後続から近づいてきた前記他車からの位置情報を取得し、取得した該位置情報に基づいて、前記車両渋滞の最後尾が入れ替わったことをトリガに、前記報知手段への報知信号の出力を終了する第4の手段を有することを特徴とする。
【0023】
本発明によれば、車両通信プログラムは、後続から近づいてきた他車からの位置情報を取得し、取得した該位置情報に基づいて、車両渋滞の最後尾が入れ替わったことをトリガに、報知手段への報知信号の出力を終了するようにしたので、後方車両が近づいて報知手段からの報知が必要でなくなったときに、自動的に報知手段からの報知を終了することができる。このため、従来、手動で行っていた後続車両に対して追突防止の報知を完全に自動で行うことができる。これにより、運転者は緊急の渋滞時においても、常に前方に集中しながら運転をすることができる。
【0024】
また、本発明は、上記車両通信プログラムにおいて、前記報知手段は、ハザードライトであることを特徴とする。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した一実施の形態について、図面を参照しながら説明する。まず、図6から図9を用いて、車車間通信を使った緊急渋滞ネットワークについて説明する。図6は、車両が緊急ネットワークを形成し、車両渋滞の最後尾に位置する車両が追突警告待機状態に入っている状態を示す図である。図7は、後方から近づいてきた他車が緊急渋滞ネットワークの形成に追加されたことをトリガに車両渋滞の最後尾に位置する車両がハザードランプを点滅させた状態を示す図である。図8は、車両渋滞の最後尾が入れ替わったことをトリガに、ハザードランプの点滅を終了し、車両渋滞の最後尾に位置する車両が追突警告待機状態になった状態を示す図である。
【0026】
図6に示すように、事故車などが原因で急な渋滞が発生した場合、事故車などの外部から取得したHelp信号に基づいて、車両A、車両B、車両Cが緊急渋滞ネットワークを形成する。次に、車両A、車両Bからの車両通信で用いる情報(PSSデータ)の自車位置情報から自車が緊急渋滞の最後尾にいることを判断し、最後尾にいるC車の車両通信装置は、追突防止警告待機の状態に入る。
【0027】
次に、図7に示すように、追突防止警告待機中のC車は、自車後方から近づいてきたD車が緊急渋滞ネットワークの形成に追加されたことをトリガに、自車のハザードライトを自動的に点滅させる。図8に示すように、後方から来たD車が、C車の後ろに付き、渋滞の最後尾がC車からD車に入れ替わったことをトリガに、C車はハザードライトによる警告表示を終了する。
【0028】
そして、車両渋滞の最後尾に位置する車両Dが追突警告待機状態に入る。このように、緊急渋滞ネットワークを用いることにより、従来、手動で行っていた後続車両に対する追突防止の報知を自動で行うことができるため、運転者は緊急の渋滞時においても、常に前方に集中しながら運転をすることができる。
【0029】
次に、図1を用いて、車車間通信について説明する。図1は、本実施の形態に係る車車間通信の概略を説明するための図である。各車両は、以下の▲1▼〜▲3▼により車車間通信を行う。
【0030】
▲1▼着目車両10の車両通信装置(図示せず)は、物理的通信手段で構成される物理ネットワークを介して周辺の移動体(車両、歩行者等)と接続して必要な情報を取得する。ここで、物理ネットワークとは、車車間通信技術による周辺車両、歩行者との物理的通信可能範囲のネットワークであり、通信手段としては、無線LAN、ブルーツース(Bluetooth)、携帯電話などが考えられる。
【0031】
また、前記の必要な情報とは、移動体ID、ドライバ属性、車載機器属性、車両位置・速度など、後述する所定の条件を満足するかいなかを判断するに必要な情報である。
【0032】
▲2▼ついで、車両通信装置は、得られた情報を参照して所定の条件を満たす移動体により1つの仮想論理ネットワークを構成し、同様に、他の条件毎に該条件を満たす移動体により別の仮想論理ネットワークを構成する。すなわち、仮想論理ネットワーク毎に、メンバーデーブルMBTiとリソーステーブルRSTiを生成して仮想論理ネットワークを構成する。
【0033】
メンバーテーブルMBTiは、仮想論理ネットワークを構成するメンバーを示し、リソーステーブルRSTiは、各メンバーの能力(通信手段、入出力手段、提供する情報)RMijを示す。
【0034】
図では、仮想論理ネットワークとして、緊急渋滞ネットワークNW1、周辺車両ドライバネットワークNW2、仲間ネットワークNW3、同一車線走行ネットワークNW4が示されている。なお、簡略化するが通信ナビユーザネットワークNW5も示されている。
【0035】
緊急渋滞ネットワークNW1は、事故などにより緊急の渋滞が発生した際に形成されるネットワークで、緊急ネットワークコード等に基づいてこのネットワークに所属させるか否かを決定する。
【0036】
周辺車両ドライバネットワークNW2は、着目車両の周辺車両、周辺ドライバ、歩行者をメンバーとする仮想論理ネットワークで、位置情報に基づいてこのネットワークに所属させるか否かを決定する。
【0037】
仲間ネットワークNW3は、友人、仲間、家族などでグループを形成してドライブする場合、該グループを形成する車両をメンバーとする仮想論理ネットワークで、ドライバ属性に基づいてこのネットワークに所属させるか否かを決定する。
【0038】
同一車線走行ネットワークNW4は、着目車両と同一車線上、同一方面走行中の車両をメンバーとする仮想論理ネットワークで、各車両の位置情報及び着目車両の誘導経路に基づいてこのネットワークを所属させるか否かを決定する。
【0039】
通信ナビユーザネットワークNW5は、地図データを相互に融通できる車両をメンバーとする仮想論理ネットワークで、車載機器属性に基づいてこのネットワークに所属させるか否かを決定する。
【0040】
▲3▼ついで、車両通信装置は、ドライバや車両の環境及び状況変化により、あるいはドライバの要求により、前記複数の仮想論理ネットワークから必要な情報を提供可能な仮想論理ネットワークを選択し、この選択された仮想論理ネットワークを実稼動ネットワークとし、この実稼動ネットワークを構成する所定のメンバー(移動体)に接続して必要な情報を要求し、あるいは通知する。例えば、車車間通信制御装置は、着目車両の速度が所定時間以上連続して低速になったことを検出すれば、同一車線走行ネットワークCを実稼動ネットワークとする。
【0041】
ついで、該実稼動ネットワークのメンバー(車両)の能力(現在位置)を調べ、前方の車両あるいは中間の車両を求め、該車両に対して車速を送るよう要求する。ここで、もし、送られてきた車速が設定速度以下の低速であれば、前方混雑と判定できる。あるいは、車両通信装置は、自動車が幹線道路への進入を検出すれば、周辺車両ドライバネットワークAを実稼動ネットワークとする。ついて、実稼動ネットワークのメンバー(車両)の能力(現在位置)を調べ、前記幹線道路あるいは高速道路上の自車より後方の車両を求め、該車両に対してこれから進入する旨の通知を送る。なお、該車両より了解の通知を受ければ、進入完了後、この車両にお礼のメッセージを送る。
【0042】
次に、車車間通信の構成について説明する。図2は、車車間通信装置の構成を説明するための図である。なお、車両通信装置は車車間通信装置に相当する。各車両には同一構成の車両通信装置30が設けられている。また、図2では、自車と社車のそれぞれの車車間通信装置30を示している。
【0043】
図2に示すように、車車間通信装置30は、車車間送受信部31と、車車間通信制御部32とを有する。また、車車間通信制御部32は、リソースデータベース33を有する。車車間通信制御部32は、リソース検索エンジン40と、仮想ネットワークメンバー設定ブロック41と、メンバーテーブルMBTiと、リソーステーブルRSTiと、自動状況判断バックエンド部44と、仮想ネットワーク選択手段45とを有する。
【0044】
また、リソースデータベース33は、地図データベース34、ノウハウデータベース35、ユーザプロファイルデータベース36、緊急データベース37を有する。それぞれのデータベース情報は以下の通りである。
【0045】
地図データベース34には、一時的に地図データを相互利用できるように工夫された地図データベースであり、地図データベース34の内容は、位置関連POI(Point of Interet:施設)情報などが記憶されている。
【0046】
ノウハウデータベース35には、個人が日常走行している道路に関する統計的な情報、ローカル情報が入ったデータベースである。ノウハウデータベース35の内容は、道路ノウハウ、統計的なノウハウ、ローカル情報などが記憶されている。ユーザプロファイルデータベース36には、ドライバの個人情報、車種情報、嗜好情報、仲間情報、個人DB情報、車載機個別ID、所有車載機情報などが記憶されている。緊急データベース37には、緊急時に必要となる情報を集めたデータベースであり、緊急時の種類としては、故障、事故などが記憶されている。
【0047】
次に、仮想論理ネットワークのメンバーテーブル作成シーケンスについて説明する。
(1)通信(交信)を行う方法
自車から車車間通信により、周期的に(例えば1秒に1回)周囲に交信可能な車両(車車間通信機器を持っている車)があるかどうかを、電波を出して応答を待つ。電波を受けた車両は、その問いかけに対して応答を返すことにより、相互間でネットワークを構成する。交換情報は、少なくとも車両を特定できる個別IDを含むことが必要である。個別IDとしては、メーカーで決めたIDであっても構わないが、Ipv6等の情報を使用しても構わない。
【0048】
ネットワークが完成すると、他車と自車間で車車間通信制御部32の制御で通信が行われ、リソースデータベース33の情報や車両現在位置等の情報交換が行われる。すなわち、車車間通信制御部32のリソース検索エンジン40は、自動的に他車と通信可能な状態を判断し、他車との接続を行うことにより情報交換を行う。
【0049】
次に、仮想ネットワークメンバー選定ブロック41は、受信情報を参照して、仮想論理ネットワーク毎に、他車がこの仮想論理ネットワークのメンバー選定条件にマッチするかどうかを判断し、マッチすれば、この仮想論理ネットワークのメンバーとして対応するメンバーテーブルMBTiに登録する。また、メンバーテーブルMTBiにメンバーIDを登録すると同時に、メンバーが所有するそのネットワークに関係するリソースをリソーステーブルRSTiに登録する。なお、リソーステーブルRSTiに登録するリソースは、仮想ネットワークテーブルの種類によって異なる。
【0050】
(2)交換・登録する情報、リソース内容
車車間で交換・登録する情報、リソース内容は、仮想論理ネットワークによって異なる。図4は、一般的に車車間で交換する情報(PSSデータ)の内容を示した図である。図4に示すように、PSSデータには、アイドリングデータ、PSS−ID、自車位置情報、進行方向情報、ネットワークコード、オプションデータが含まれる。
【0051】
アイドリングデータは、PSS−IDを安定通信するための同期信号である。PSS−IDは、PSSターミナルを搭載した車輌は、常時無線通信を行い、別のPSSターミナル搭載車を探す。PSSターミナル搭載車は、このPSS−IDを含む無線信号を受信した場合、その相手とPSSネットワークを形成する。なお、ネットワークコードの内容に関係なく、このPSS−ID判別により、常時PSSネットワークが形成される。自車位置情報は、PSSターミナル搭載車の自車位置を示す部分である。進行方向情報は、PSSターミナル搭載車の進行方向を示す部分である。
【0052】
ネットワークコードは、形成するネットワークを判別するためのコードであり、ネットワークコードは、例えば、緊急渋滞ネットワークの場合、「0001」となり、周辺車両ドライバネットワークの場合、「0002」、仲間ネットワークの場合、「0003」、同一車両走行ネットワークの場合、「0004」となり、通信ナビユーザネットワークの場合、「0005」のようになる。
【0053】
このネットワークコードは、ネットワーク形成要求時又はネットワーク形成中にどのネットワークかを表す部分である。オプションデータは、自車位置情報、進行方向情報以外に、ネットワーク毎に必要な情報を追加する部分を示している。
【0054】
▲1▼緊急渋滞ネットワークNW1
1)このネットワークは、直接通信で交換可能な範囲の車両で構成される。
2)下記メンバー条件に合致する交信相手はすべてメンバーテーブルMBTiに登録する。
メンバー:直接交信できる範囲に位置する車両はすべて登録対象メンバーとなる。
交換情報:緊急渋滞ネットワークでの交換情報は、図5に示す。
【0055】
図5は、緊急渋滞ネットワークでの交換情報を示したものである。図5に示すように、緊急渋滞ネットワークでの交換情報は、アイドリングデータ、PSS−ID、自車位置情報、進行方向情報、緊急渋滞ネットワークコード、オプションデータが含まれる。
【0056】
緊急渋滞ネットワークコードは、緊急渋滞ネットワークを判別するためのコードである。ハザード待機情報は、上述したオプションデータであり、ハザード待機の状態にするための信号である。ハザード待機信号がオンであれば、ハザード待機の状態にする必要があることを示し、ハザード待機信号がオフであれば、ハザード待機の状態にする必要のないことを示す。また、利用シーンは、緊急の渋滞時である。
【0057】
▲2▼周辺車両ドライバネットワークNW2
1)この周辺車両ドライバネットワークNW2は、直接通信で交信可能な範囲内の車両で構成される。
2)下記メンバー条件に合致する交信相手はすべてメンバーテーブルに登録する。
メンバー:直接交信できる範囲に位置する車両はすべて登録対象メンバー。
交換情報:自車位置情報(緯度、経度、高度)、速度、車種情報(車種、色)など。
リソース情報:表示領域の大きさ、メモリ量、TTSの有無等の車載機の能力に関する情報。
利用シーン:例えば、交差点で、右折する場合、特に注意する前方より来る車とのコミュニケーションを行う場合、高速道路での主走行車線に進入する場合、高速道路後方から来る車とのコミュニケーションを行いたい場合などである。
【0058】
▲3▼仲間ネットワークNW3
メンバー:学校、会社の同僚等、同じ趣旨、所属を有するメンバーが対象となる。
利用シーン:アマチュア無線(パーソナル無線)を利用しているトラックの運転手間など。
【0059】
▲4▼同一車線走行ネットワークNW4
メンバー:同一方向に走行する車両、あるいは、同じ目的地に向かっている車両が対象となる。なお、位置、走行方向から、自車から見てどういう方向へ走行している車両かどうかの判断が可能である。また、直接通信が行えない車両に対しては、情報を伝播する事により、自車より先行している車両の情報を取得し、メンバーとして登録する。
交換情報:自車位置情報(緯度、経度、高度)、速度など。
リソース情報:車載機の能力に関する情報、カメラ装置の所持情報。この場合、リソース情報により、先行車両がカメラを有していれば、カメラ画像をもらう事ができる。
利用シーンは、自車より先行している位置車両の速度を知る事で混雑しているか、渋滞しているかが判断できる。
【0060】
▲5▼通信ナビユーザネットワークNW5
メンバー:同じメーカー、あるいは、同じ地図DBを利用するカーナビを所有する車両である。相互にカーナビのデータに関してデータを共有できる車両が対象となる。
利用シーン:地図がなくなって地図提供センターに接続しようとしてもビジー中で接続できない場合、近くにいるメンバーから地図情報を取得できる。
【0061】
次に、実稼動ネットワークの選択と通信について説明する。車車間通信制御部32の自動状況判断バックエンド部44は、ドライバや車両の環境及び状況により、あるいはドライバの要求により複数の仮想論理ネットワークから必要な情報を提供可能な仮想論理ネットワークを仮想論理ネットワーク選択手段45により選択し、この選択された仮想論理ネットワークを実稼動ネットワークとし、この実稼動ネットワークを構成する所定の移動体に接続して必要な情報を要求し、あるいは通知する。
【0062】
実稼動ネットワークを選択して通信を行うタイミングは、自車環境変化、自車状況変化、ドライバ周囲の環境変化、ドライバ要求、ドライバの感情変化等のタイミングである。特に、緊急渋滞ネットワークNW1が形成された場合には、他のネットワークの選択の有無にかかわらず、仮想ネットワーク選択手段45により、実稼動ネットワークとして緊急渋滞ネットワークNW1が選択される。
【0063】
次に、緊急渋滞ネットワークにおける車両信装置について説明する。図3は、緊急渋滞ネットワークにおける車両通信装置のブロック図である。なお、図2と同一箇所については同一符号を付するものとする。
【0064】
図3に示すように、車車間通信装置30は、車車間送受信部31と、車車間通信制御部32とを有する。また、車車間送受信部31は、受信部311と、送信部312とを有する。また、車車間通信制御部32は、受信メッセージ解析部321と、仮想ネットワーク構成部322と、仮想ネットワーク形成手段323と、自動状況判断バックエンド部44と、送信メッセージ作成部324と、リソースデータベース33と、位置検出部325と、最後尾判断手段326と、報知信号出力手段327、入力部328と、検出センサ329とを有する。
【0065】
また、自動状況判断バックエンド部44は、環境・状況監視部441と、要求入力部442と、仮想ネットワーク選択部443と、通信先決定メッセージ作成部444とを有する。また、50は報知手段を示している。
【0066】
受信メッセージ解析部321は、受信部311からの受信メッセージを解析し、このメッセージが通信先車両のID情報、リソース内容等であれば、これらの情報を仮想ネットワーク構成部322に入力する。
【0067】
仮想ネットワーク構成部322は、図2のリソース検索エンジン40及び仮想ネットワークメンバー選定ブロック41に対応するもので、これらと同様の処理を行う。すなわち、仮想ネットワーク構成部322は、受信情報を参照して通信先車両の所属する仮想論理ネットワークを求め、この通信先車両を仮想論理ネットワークのメンバーとして仮想ネットワークテーブル保持部323のメンバーテーブルMBTiに登録し、同時に、通信先車両が所有するそのネットワークに関係するリソースをリソーステーブルRSTiに登録する。
【0068】
最後尾判断手段326は、緊急渋滞ネットワークが形成された際に、この緊急渋滞ネットワークNW1、受信部311及び受信メッセージ解析部321を介して他車の位置情報を取得し、所得した他車の位置情報に基づいて、自車が緊急渋滞ネットワーク内で発生する車両渋滞の最後尾に位置するかどうかを判断する。
【0069】
報知信号出力手段327は、最後尾判断手段326により、自車が緊急渋滞ネットワーク内で発生する車両渋滞の最後尾に位置すると判断された場合に、後続車両に対して追突防止を警告するための報知手段40へ報知信号を出力する。また、最後尾判断手段326は、仮想ネットワーク保持部323のメンバーテーブルMBTiを参照し、後方から近づいてきた他車が緊急渋滞ネットワークの形成に追加されたことをトリガに、報知手段40へ報知信号を出力するように報知信号出力手段327を制御する。また、最後尾判断手段326は、後続から近づいてきた他車からの位置情報を受信メッセージ解析部321を介して取得し、取得した位置情報に基づいて、車両渋滞の最後尾が入れ替わったことをトリガに、報知手段40への報知信号の出力を終了するように報知信号出力手段327を制御する。
【0070】
報知手段40は、後続車両に対して追突防止を警告するための手段である。例えば、ハザードライト、スピーカ、ディスプレイなどが該当する。
【0071】
他車に情報を送信する場合、車車間通信制御部32は、自分のID情報、リソース内容等を他車に送信する場合には、送信メッセージ作成部324を制御してこれら情報を送信させるようにする。送信メッセージ作成部324は、リソースデータベース33の各種情報や位置検出部325で検出した自車位置情報などを用いてID情報、リソース内容等を作成し、送信部312を介して相手車両に向けて送信する。
【0072】
また、幾つかの仮想論理ネットワークが構成されている状態において、自動状況判断バックエンド部44の環境状況監視部441は、ドライバや車両の環境及び状況を監視し、監視結果を仮想ネットワーク選択部443へ出力する。また、要求入力部442は、ドライバの要求を仮想ネットワーク選択部443へ出力する。仮想ネットワーク選択部443は、両者の環境・状況、ドライバの感情・体調変化並びドライバの要求に応じて、複数の仮想論理ネットワークから最適な仮想論理ネットワークを選択する。
【0073】
通信先決定・メッセージ作成部444は、選択された仮想論理ネットワークを実稼動ネットワークとし、かつ、必要な情報を要求、あるいは通知するための送信メッセージを作成し、メッセージを、実稼動ネットワークを構成する所定の移動体に向けて送信する。
【0074】
次に、情報要求メッセージあるいは情報通信メッセージを受信した場合に車車間通信制御部32の処理について説明する。受信メッセージ解析部321は、受信メッセージすなわち、情報メッセージあるいは情報通知メッセージを送信メッセージ作成部324に入力する。通信メッセージ作成部324は、入力部328から入力されたデータ、検出センサ329により検出されたデータ、リソースデータベース33に保持されているデータを用いて相手からの要求に基づいた応答メッセージを作成して送信部312を介して送信する。
【0075】
次に、図9を用いて、車車間通信制御部の動作について説明する。図9は、車車通信制御部の動作フローチャートである。なお、図9の説明において、図6から図8を参照する。ステップ1において、事故車などが原因で急な渋滞が発生した場合、事故車などの外部から受信したHelp信号に基づき、車両A、車両B、車両Cが緊急渋滞ネットワークを形成する(図6参照)。ここで、ネットワークの形成において、車車間通信装置30は、物理的通信手段で構成される物理ネットワークを介して周辺の移動体である車両と接続して必要な情報を取得する。
【0076】
次に、車車間通信装置30は、得られた情報を参照して所定の条件を満たす車両により緊急渋滞ネットワークNW1を構成する。すなわち、車車間通信装置30は、緊急渋滞ネットワークのメンバーデーブルMBT1とリソーステーブルRST1を生成して緊急渋滞ネットワークNW1を構成する。
【0077】
次に、緊急渋滞ネットワークNW1が完成すると、他車と自車間で車車間通信制御部32の制御で通信が行われ、リソースデータベース33の情報や車両現在位置等の情報交換が行われる。すなわち、車車間通信制御部32のリソース検索エンジン40(仮想ネットワーク構成部322)は、自動的に他車と通信可能な状態を判断し、他車との接続を行うことにより情報交換を行う。
【0078】
次に、仮想ネットワークメンバー選定ブロック41(仮想ネットワーク構成部322)は、受信情報を参照して、他車が緊急渋滞ネットワークのメンバー選定条件にマッチするかどうかを判断し、マッチすれば、緊急渋滞ネットワークのメンバーとして対応する仮想ネットワークテーブル保持部323のメンバーテーブルMBT1に登録する。
【0079】
また、仮想ネットワークテーブル保持部323のメンバーテーブルMTB1にメンバーIDを登録すると同時に、メンバーが所有するそのネットワークに関係するリソースを仮想ネットワークテーブル保持部323のリソーステーブルRST1に登録する。ステップ2において、車両A、車両BからPSSデータを取得する。なお、このPSSデータの取得は所定間隔をおいて常時行っているものである。
【0080】
ステップ3において、車両A、車両BからのPSSデータの自車位置情報から自車が緊急渋滞の最後尾に位置するかどうかを判断する。つまり、最後尾判断手段326は、緊急渋滞ネットワークNW1、受信部311、受信メッセージ解析部321を介して他車の位置情報を取得し、取得した他車の位置情報に基づいて、自車が緊急渋滞ネットワーク内で発生する車両渋滞の最後尾に位置するかどうかを判断する。ステップ3において、最後尾判断手段326は、自車が車両渋滞の最後尾に位置すると判断した場合には、ステップ4に進む。一方、ステップ3において、最後尾判断手段326は、自車が車両渋滞の最後尾に位置しないと判断した場合には、ステップ2に戻る。
【0081】
ステップ4において、C車の車車間通信装置30は、追突防止警告待機状態に入る。つまり、最後尾判断手段326は、自車が緊急渋滞ネットワーク内で発生する車両渋滞の最後尾に位置すると判断した場合に、後続車両に対して追突防止を警告するための報知手段40へいつでも報知信号を出力できるように準備をする。
【0082】
ステップ5において、追突防止警告待機中のC車は、自車後方から近づいてきたD車が緊急渋滞ネットワークの形成に追加されたかどうかを判断する。つまり、最後尾判断部326は、仮想ネットワーク保持部323のメンバーテーブルMBT1を参照し、D車が緊急渋滞ネットワークの形成に追加されたかどうかを判断する。ステップ5において、D車が緊急渋滞ネットワークの形成に追加されたと判断された場合には、ステップ6に進む。ステップ5において、D車が緊急渋滞ネットワークの形成に追加されていないと判断された場合には、ステップ4に戻る。
【0083】
ステップ6において、D車がネットワークの形成に追加されたことをトリガに、自車のハザードライトを自動的に点滅させる(図7参照)。つまり、最後尾判断手段326は、後方から近づいてきた他車が緊急渋滞ネットワークの形成に追加されたことをトリガに、報知信号出力部327に制御信号を出力し、この制御信号を受信した報知信号出力部327は、報知手段40へ報知信号を出力する。これにより、報知手段50であるハザードライトが点滅する。
【0084】
ステップ7において、後方から来たD車が、C車の後ろに付き、渋滞の最後尾が入れ替わったかどうかを判断する。つまり、最後尾判断手段326は、受信メッセージ321からD車の位置情報を取得し、緊急渋滞ネットワーク内で発生する車両渋滞の最後尾が入れ替わったかどうかを判断する。ステップ7において、最後尾判断手段326は、渋滞の最後尾が入れ替わったと判断した場合には、ステップ8に進む。一方、ステップ7において、最後尾判断手段326は、渋滞の最後尾が入れ替わっていないと判断した場合には、ステップ6に戻る。
【0085】
ステップ8において、渋滞の最後尾が入れ替わったことをトリガにC車はハザードライトによる警告表示を終了する。つまり、最後尾判断手段326は、後続から近づいてきた他車からの位置情報を受信メッセージ解析部321を介して取得し、取得した位置情報に基づいて、車両渋滞の最後尾が入れ替わったことをトリガに、報知手段40への報知信号の出力を終了するように報知信号出力手段327制御する。なお、これにより、車両渋滞の最後尾に位置する車両Dは、追突警告待機状態に入る。
【0086】
上記実施の形態に係る車車間通信装置によれば、車載通信機器を利用しながらも、運転者に自然に視界に入る表示手段(ハザードライト点滅)を使って、追突防止警告が可能になる。
【0087】
また、図9に示した車車間通信制御部部32が行う各処理は、車両通信プログラムによって実行される。車両通信プログラムは、ハードウエアと協働し、ハードウエアと一体となって車車間通信を行う。また、車両通信方法は、車両通信プログラムとして、FD、HD、CD−ROM等の記憶媒体に記憶されており、それぞれが対応する外部記憶装置に装着され、実行時に読み出されてRAMにロードされる。なお、車両通信プログラムが記憶される記憶媒体は、ROM等の半導体メモリでも良い。
【0088】
以上、本発明の一実施の形態を説明した。本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。
【0089】
【発明の効果】
上述したように、本発明によれば、運転者は緊急の渋滞時においても、常に前方に集中しながら運転をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係る車両通信方法の概略を説明するための図である。
【図2】車両通信装置の構成を説明するための図である。
【図3】車車間通信装置30のブロック構成部である。
【図4】一般的に車車間で交換する情報の内容を示した図である。
【図5】緊急渋滞ネットワークを形成する際のPSSデータの内容を示したものである。
【図6】車両が緊急ネットワークを形成し、車両渋滞の最後尾の車両が追突警告待機状態に入っている状態を示す図である。
【図7】後方から近づいてきた他車が緊急渋滞ネットワークの形成に追加されたことをトリガに車両渋滞の最後尾の車両がハザードランプを点滅させた状態を示す図である。
【図8】車両渋滞の最後尾が入れ替わったことをトリガに、ハザードランプの点滅を終了し、車両渋滞の最後尾の車両が追突警告待機状態になった状態を示す図である。
【図9】車車通信装置の動作フローチャートである。
【図10】従来例を説明するための図である。
【符号の説明】
30 車車間通信装置
31 車車間送受信部
32 リソースデータベース
321 受信メッセージ解析部
322 仮想ネットワーク構成部
323 仮想ネットワーク保持部
324 通信メッセージ作成部
44 自動状況判断バックエンド
50 報知手段
【発明の属する技術分野】
本発明は、車車間通信装置、車両通信方法及び車両通信プログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、渋滞を精度よく検出することができる交通情報収集提供装置が提案されている(特許文献1)。この従来の交通情報収集装置は、交通管制センタで収集された交通情報データ等を道路上に設置された通信装置を利用して、道路上を走行する車両に提供するものである。また、この従来の交通情報装置は、道路上に設置された通信装置からの情報および前方車両の後方に設置された車載後方通信装置からの交通情報を受信する車載前方通信装置およびその情報を車載後方通信装置へ送信する車載制御装置および車両車載後方通信装置を有する。
【0003】
これにより、道路上に設置された通信装置からの情報を車両前後に搭載した車載通信装置により後方車両に順次伝達することにより新たに通信装置を設置することなく交通情報が通信領域から離れた後方の車両で受信できる。また、各車両の位置およびそこまでの所要時間および車速を逆に通信領域にいる前方車両に伝達し路上の通信装置を経由して交通管制センタの処理装置に送信することにより車両センサを設置することなく渋滞を精度よく検出し、任意の地点までの正確な所要時間を生成し車両に提供するというものである。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−198889号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1記載の交通情報収集提供装置では、渋滞現場までの正確な時間を取得することができるものの、緊急な事故渋滞などを後方に報知することは考慮されていない。
【0005】
また、図10に示すように、通常走行中、直前で事故などの理由により渋滞が発生した場合、渋滞の最後尾の車は、後ろからの追突を自己防止する為に、後続車に対してハザードライト点滅をして知らせる必要がある。このように、ハザードライトの手動による表示方法を利用した場合は、ハンドルを握りながら、ハザードライトをオンオフするために少なくとも片方の手をハンドルから放すため、前方に集中して運転をすることができないという問題がある。また、なかなか後続車が来ない場合、後方を確認しながら、後続車が近くに来るまでハザードライトを点滅させておく必要があるため、前方に集中して運転をすることができないという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は上記従来技術の問題点を解決し、緊急の渋滞時においても、常に前方に集中しながら運転ができる車両通信装置、車両通信方法及び車両通信プログラムを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の車両通信方法は、他車との間で車車間通信を行う車両通信方法において、外部から取得した渋滞情報に基づいて、前記他車との間で緊急渋滞ネットワークを形成する第1の段階と、形成された前記緊急渋滞ネットワークを介して前記他車における位置情報を取得し、取得した該位置情報に基づいて、自車が前記緊急渋滞ネットワーク内で発生している車両渋滞の最後尾に位置するかどうかを判断する第2の段階と、該第2の段階により、自車が前記緊急渋滞ネットワーク内で発生する車両渋滞の最後尾に位置すると判断された場合には、後続車両に対して追突防止を警告するための報知手段へ報知信号を出力する第3の段階と、を有することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、第1の段階により、外部から取得した渋滞情報に基づいて、他車との間で緊急渋滞ネットワークを形成し、第2の段階により、緊急渋滞ネットワークを介して他車の位置情報を取得し、取得した他車の位置情報に基づいて、自車が緊急渋滞ネットワーク内で発生する車両渋滞の最後尾に位置するかどうかを判断し、第3の段階によって、第2の段階により自車が前記緊急渋滞ネットワーク内で発生する車両渋滞の最後尾に位置すると判断された場合には、後続車両に対して追突防止を警告するための報知手段へ報知信号を出力するようにしたので、従来、手動で行っていた後続車両に対する追突防止の報知を自動で行うことができる。これにより、運転者は緊急の渋滞時においても、常に前方に集中しながら運転をすることができる。また、運転に集中している状況でもハザードライトによる点滅が自然に視界に入るようにすることができる。
【0009】
また、本発明は、上記車両通信方法において、前記第3の段階は、後方から近づいてきた前記他車が前記緊急渋滞ネットワークの形成に追加されたことをトリガに、前記報知手段へ報知信号を出力することを特徴とする。本発明によれば、前記第3の段階は、後方から近づいてきた他車が緊急渋滞ネットワークの形成に追加されたことをトリガに、報知手段へ報知信号を出力するようにしたので、後方からの他車が緊急ネットワークを介して通信が可能になったとき、すなわち後方から車両が接近していることを認識したときから、後方から来る他車に対して報知手段により報知することができる。
【0010】
また、本発明は、上記車両通信方法において、更に、後続から近づいてきた前記他車からの位置情報を取得し、取得した該位置情報に基づいて、前記車両渋滞の最後尾が入れ替わったことをトリガに、前記報知手段への報知信号の出力を終了する第4の段階を有することを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、車両通信方法は、後続から近づいてきた他車からの位置情報を取得し、取得した該位置情報に基づいて、車両渋滞の最後尾が入れ替わったことをトリガに、報知手段への報知信号の出力を終了するようにしたので、後方車両が近づいて報知手段からの報知が必要でなくなったときに、自動的に報知手段からの報知を終了することができる。このため、従来、手動で行っていた後続車両に対して追突防止の報知を完全に自動で行うことができる。これにより、運転者は運転に集中することができる。
【0012】
また、本発明は、上記車両通信方法において、前記報知手段は、ハザードライトであることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の車両通信装置は、車両に搭載され、他車との間で通信を行う車両通信装置において、外部から取得した渋滞情報に基づいて、前記他車との間で緊急渋滞ネットワークを形成する手段と、形成された前記緊急渋滞ネットワークを介して前記他車における位置情報を取得し、取得した該位置情報に基づいて、自車が前記緊急渋滞ネットワーク内で発生する車両渋滞の最後尾に位置するかどうかを判断する最後尾判断手段と、該最後尾判断手段により、自車が前記緊急渋滞ネットワーク内で発生する車両渋滞の最後尾にいると判断された場合には、後続車両に対して追突防止を警告するための報知手段へ報知信号を出力する報知信号出力手段と、を有することを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、外部から取得した渋滞情報に基づいて、他車との間で緊急渋滞ネットワークを形成し、最後尾判断手段は、緊急渋滞ネットワークを介して他車の位置情報を取得し、取得した他車の位置情報に基づいて、自車が緊急渋滞ネットワーク内で発生する車両渋滞の最後尾に位置するかどうかを判断し、報知信号出力手段は、最後尾判断手段により自車が前記緊急渋滞ネットワーク内で発生する車両渋滞の最後尾に位置する判断された場合には、後続車両に対して追突防止を警告するための報知手段へ報知信号を出力するようにしたので、従来、手動で行っていた後続車両に対して追突防止の報知を自動で行うことができる。これにより、運転者は、緊急の渋滞時においても、常に前方に集中しながら運転をすることができる。
【0015】
また、本発明は、上記車両通信装置において、前記報知信号出力手段は、後方から近づいてきた前記他車が前記緊急渋滞ネットワークの形成に追加されたことをトリガに、前記報知手段へ報知信号を出力することを特徴とする。本発明によれば、前記報知信号出力手段は、後方から近づいてきた他車が緊急渋滞ネットワークの形成に追加されたことをトリガに、報知手段へ報知信号を出力するようにしたので、後方からの他車が緊急ネットワークを介して通信が可能になったとき、すなわち後方から車両が接近していることを認識したときから、後方から来る他車に対して報知手段により報知することができる。
【0016】
また、本発明は、上記車両通信装置おいて、前記報知信号出力手段は、後続から近づいてきた前記他車からの位置情報を取得し、取得した該位置情報に基づいて、前記車両渋滞の最後尾が入れ替わったことをトリガに、前記報知手段への報知信号の出力を終了することを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、報知信号出力手段は、後続から近づいてきた他車からの位置情報を取得し、取得した該位置情報に基づいて、車両渋滞の最後尾が入れ替わったことをトリガに、報知手段への報知信号の出力を終了するようにしたので、後方車両が近づいて報知手段からの報知が必要でなくなったときに、自動的に報知手段からの報知を終了することができる。このため、従来、手動で行っていた後続車両に対して追突防止の報知を完全に自動で行うことができる。これにより、運転者は緊急の渋滞時においても、常に前方に集中しながら運転をすることができる。
【0018】
また、本発明は、上記車両通信装置において、前記報知手段は、ハザードライトであることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の車両通信プログラムは、前方に車両渋滞が発生していることを後続車両に対して知らせるためにコンピュータを、外部から取得した渋滞情報に基づいて、前記他車との間で緊急渋滞ネットワークを形成する第1の手段、前記緊急渋滞ネットワークを介して前記他車における位置情報を取得し、取得した該位置情報に基づいて、自車が前記緊急渋滞ネットワーク内で発生する車両渋滞の最後尾に位置するかどうかを判断する第2の手段、該第2の手段により、自車が前記緊急渋滞ネットワーク内で発生する車両渋滞の最後尾に位置すると判断された場合には、後続車両に対して追突防止を警告するための報知手段へ報知信号を出力する第3の手段として機能させる。
【0020】
本発明によれば、第1の手段により、外部から取得した渋滞情報に基づいて、他車との間で緊急渋滞ネットワークを形成し、第2の手段により、緊急渋滞ネットワークを介して他車の位置情報を取得し、取得した位置情報に基づいて、自車が緊急渋滞ネットワーク内で発生する車両渋滞の最後尾に位置するかどうかを判断し、第3の手段によって、第2の手段により自車が前記緊急渋滞ネットワーク内で発生する車両渋滞の最後尾に位置すると判断された場合には、後続車両に対して追突防止を警告するための報知手段へ報知信号を出力するようにしたので、従来、手動で行っていた後続車両に対して追突防止の報知を自動で行うことができる。これにより、運転者は緊急の渋滞時においても、常に前方に集中しながら運転をすることができる。
【0021】
また、本発明は、上記車両通信プログラムにおいて、前記第3の手段は、後方から近づいてきた前記他車が前記緊急渋滞ネットワークの形成に追加されたことをトリガに、前記報知手段へ報知信号を出力することを特徴とする。本発明によれば、前記第3の手段は、後方から近づいてきた他車が緊急渋滞ネットワークの形成に追加されたことをトリガに、報知手段へ報知信号を出力するようにしたので、後方からの他車が緊急ネットワークを介して通信が可能になったとき、すなわち後方から車両が接近していることを認識したときから、後方から来る他車に対して報知手段により報知することができる。
【0022】
また、本発明は、上記車両通信プログラムにおいて、更に、後続から近づいてきた前記他車からの位置情報を取得し、取得した該位置情報に基づいて、前記車両渋滞の最後尾が入れ替わったことをトリガに、前記報知手段への報知信号の出力を終了する第4の手段を有することを特徴とする。
【0023】
本発明によれば、車両通信プログラムは、後続から近づいてきた他車からの位置情報を取得し、取得した該位置情報に基づいて、車両渋滞の最後尾が入れ替わったことをトリガに、報知手段への報知信号の出力を終了するようにしたので、後方車両が近づいて報知手段からの報知が必要でなくなったときに、自動的に報知手段からの報知を終了することができる。このため、従来、手動で行っていた後続車両に対して追突防止の報知を完全に自動で行うことができる。これにより、運転者は緊急の渋滞時においても、常に前方に集中しながら運転をすることができる。
【0024】
また、本発明は、上記車両通信プログラムにおいて、前記報知手段は、ハザードライトであることを特徴とする。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を適用した一実施の形態について、図面を参照しながら説明する。まず、図6から図9を用いて、車車間通信を使った緊急渋滞ネットワークについて説明する。図6は、車両が緊急ネットワークを形成し、車両渋滞の最後尾に位置する車両が追突警告待機状態に入っている状態を示す図である。図7は、後方から近づいてきた他車が緊急渋滞ネットワークの形成に追加されたことをトリガに車両渋滞の最後尾に位置する車両がハザードランプを点滅させた状態を示す図である。図8は、車両渋滞の最後尾が入れ替わったことをトリガに、ハザードランプの点滅を終了し、車両渋滞の最後尾に位置する車両が追突警告待機状態になった状態を示す図である。
【0026】
図6に示すように、事故車などが原因で急な渋滞が発生した場合、事故車などの外部から取得したHelp信号に基づいて、車両A、車両B、車両Cが緊急渋滞ネットワークを形成する。次に、車両A、車両Bからの車両通信で用いる情報(PSSデータ)の自車位置情報から自車が緊急渋滞の最後尾にいることを判断し、最後尾にいるC車の車両通信装置は、追突防止警告待機の状態に入る。
【0027】
次に、図7に示すように、追突防止警告待機中のC車は、自車後方から近づいてきたD車が緊急渋滞ネットワークの形成に追加されたことをトリガに、自車のハザードライトを自動的に点滅させる。図8に示すように、後方から来たD車が、C車の後ろに付き、渋滞の最後尾がC車からD車に入れ替わったことをトリガに、C車はハザードライトによる警告表示を終了する。
【0028】
そして、車両渋滞の最後尾に位置する車両Dが追突警告待機状態に入る。このように、緊急渋滞ネットワークを用いることにより、従来、手動で行っていた後続車両に対する追突防止の報知を自動で行うことができるため、運転者は緊急の渋滞時においても、常に前方に集中しながら運転をすることができる。
【0029】
次に、図1を用いて、車車間通信について説明する。図1は、本実施の形態に係る車車間通信の概略を説明するための図である。各車両は、以下の▲1▼〜▲3▼により車車間通信を行う。
【0030】
▲1▼着目車両10の車両通信装置(図示せず)は、物理的通信手段で構成される物理ネットワークを介して周辺の移動体(車両、歩行者等)と接続して必要な情報を取得する。ここで、物理ネットワークとは、車車間通信技術による周辺車両、歩行者との物理的通信可能範囲のネットワークであり、通信手段としては、無線LAN、ブルーツース(Bluetooth)、携帯電話などが考えられる。
【0031】
また、前記の必要な情報とは、移動体ID、ドライバ属性、車載機器属性、車両位置・速度など、後述する所定の条件を満足するかいなかを判断するに必要な情報である。
【0032】
▲2▼ついで、車両通信装置は、得られた情報を参照して所定の条件を満たす移動体により1つの仮想論理ネットワークを構成し、同様に、他の条件毎に該条件を満たす移動体により別の仮想論理ネットワークを構成する。すなわち、仮想論理ネットワーク毎に、メンバーデーブルMBTiとリソーステーブルRSTiを生成して仮想論理ネットワークを構成する。
【0033】
メンバーテーブルMBTiは、仮想論理ネットワークを構成するメンバーを示し、リソーステーブルRSTiは、各メンバーの能力(通信手段、入出力手段、提供する情報)RMijを示す。
【0034】
図では、仮想論理ネットワークとして、緊急渋滞ネットワークNW1、周辺車両ドライバネットワークNW2、仲間ネットワークNW3、同一車線走行ネットワークNW4が示されている。なお、簡略化するが通信ナビユーザネットワークNW5も示されている。
【0035】
緊急渋滞ネットワークNW1は、事故などにより緊急の渋滞が発生した際に形成されるネットワークで、緊急ネットワークコード等に基づいてこのネットワークに所属させるか否かを決定する。
【0036】
周辺車両ドライバネットワークNW2は、着目車両の周辺車両、周辺ドライバ、歩行者をメンバーとする仮想論理ネットワークで、位置情報に基づいてこのネットワークに所属させるか否かを決定する。
【0037】
仲間ネットワークNW3は、友人、仲間、家族などでグループを形成してドライブする場合、該グループを形成する車両をメンバーとする仮想論理ネットワークで、ドライバ属性に基づいてこのネットワークに所属させるか否かを決定する。
【0038】
同一車線走行ネットワークNW4は、着目車両と同一車線上、同一方面走行中の車両をメンバーとする仮想論理ネットワークで、各車両の位置情報及び着目車両の誘導経路に基づいてこのネットワークを所属させるか否かを決定する。
【0039】
通信ナビユーザネットワークNW5は、地図データを相互に融通できる車両をメンバーとする仮想論理ネットワークで、車載機器属性に基づいてこのネットワークに所属させるか否かを決定する。
【0040】
▲3▼ついで、車両通信装置は、ドライバや車両の環境及び状況変化により、あるいはドライバの要求により、前記複数の仮想論理ネットワークから必要な情報を提供可能な仮想論理ネットワークを選択し、この選択された仮想論理ネットワークを実稼動ネットワークとし、この実稼動ネットワークを構成する所定のメンバー(移動体)に接続して必要な情報を要求し、あるいは通知する。例えば、車車間通信制御装置は、着目車両の速度が所定時間以上連続して低速になったことを検出すれば、同一車線走行ネットワークCを実稼動ネットワークとする。
【0041】
ついで、該実稼動ネットワークのメンバー(車両)の能力(現在位置)を調べ、前方の車両あるいは中間の車両を求め、該車両に対して車速を送るよう要求する。ここで、もし、送られてきた車速が設定速度以下の低速であれば、前方混雑と判定できる。あるいは、車両通信装置は、自動車が幹線道路への進入を検出すれば、周辺車両ドライバネットワークAを実稼動ネットワークとする。ついて、実稼動ネットワークのメンバー(車両)の能力(現在位置)を調べ、前記幹線道路あるいは高速道路上の自車より後方の車両を求め、該車両に対してこれから進入する旨の通知を送る。なお、該車両より了解の通知を受ければ、進入完了後、この車両にお礼のメッセージを送る。
【0042】
次に、車車間通信の構成について説明する。図2は、車車間通信装置の構成を説明するための図である。なお、車両通信装置は車車間通信装置に相当する。各車両には同一構成の車両通信装置30が設けられている。また、図2では、自車と社車のそれぞれの車車間通信装置30を示している。
【0043】
図2に示すように、車車間通信装置30は、車車間送受信部31と、車車間通信制御部32とを有する。また、車車間通信制御部32は、リソースデータベース33を有する。車車間通信制御部32は、リソース検索エンジン40と、仮想ネットワークメンバー設定ブロック41と、メンバーテーブルMBTiと、リソーステーブルRSTiと、自動状況判断バックエンド部44と、仮想ネットワーク選択手段45とを有する。
【0044】
また、リソースデータベース33は、地図データベース34、ノウハウデータベース35、ユーザプロファイルデータベース36、緊急データベース37を有する。それぞれのデータベース情報は以下の通りである。
【0045】
地図データベース34には、一時的に地図データを相互利用できるように工夫された地図データベースであり、地図データベース34の内容は、位置関連POI(Point of Interet:施設)情報などが記憶されている。
【0046】
ノウハウデータベース35には、個人が日常走行している道路に関する統計的な情報、ローカル情報が入ったデータベースである。ノウハウデータベース35の内容は、道路ノウハウ、統計的なノウハウ、ローカル情報などが記憶されている。ユーザプロファイルデータベース36には、ドライバの個人情報、車種情報、嗜好情報、仲間情報、個人DB情報、車載機個別ID、所有車載機情報などが記憶されている。緊急データベース37には、緊急時に必要となる情報を集めたデータベースであり、緊急時の種類としては、故障、事故などが記憶されている。
【0047】
次に、仮想論理ネットワークのメンバーテーブル作成シーケンスについて説明する。
(1)通信(交信)を行う方法
自車から車車間通信により、周期的に(例えば1秒に1回)周囲に交信可能な車両(車車間通信機器を持っている車)があるかどうかを、電波を出して応答を待つ。電波を受けた車両は、その問いかけに対して応答を返すことにより、相互間でネットワークを構成する。交換情報は、少なくとも車両を特定できる個別IDを含むことが必要である。個別IDとしては、メーカーで決めたIDであっても構わないが、Ipv6等の情報を使用しても構わない。
【0048】
ネットワークが完成すると、他車と自車間で車車間通信制御部32の制御で通信が行われ、リソースデータベース33の情報や車両現在位置等の情報交換が行われる。すなわち、車車間通信制御部32のリソース検索エンジン40は、自動的に他車と通信可能な状態を判断し、他車との接続を行うことにより情報交換を行う。
【0049】
次に、仮想ネットワークメンバー選定ブロック41は、受信情報を参照して、仮想論理ネットワーク毎に、他車がこの仮想論理ネットワークのメンバー選定条件にマッチするかどうかを判断し、マッチすれば、この仮想論理ネットワークのメンバーとして対応するメンバーテーブルMBTiに登録する。また、メンバーテーブルMTBiにメンバーIDを登録すると同時に、メンバーが所有するそのネットワークに関係するリソースをリソーステーブルRSTiに登録する。なお、リソーステーブルRSTiに登録するリソースは、仮想ネットワークテーブルの種類によって異なる。
【0050】
(2)交換・登録する情報、リソース内容
車車間で交換・登録する情報、リソース内容は、仮想論理ネットワークによって異なる。図4は、一般的に車車間で交換する情報(PSSデータ)の内容を示した図である。図4に示すように、PSSデータには、アイドリングデータ、PSS−ID、自車位置情報、進行方向情報、ネットワークコード、オプションデータが含まれる。
【0051】
アイドリングデータは、PSS−IDを安定通信するための同期信号である。PSS−IDは、PSSターミナルを搭載した車輌は、常時無線通信を行い、別のPSSターミナル搭載車を探す。PSSターミナル搭載車は、このPSS−IDを含む無線信号を受信した場合、その相手とPSSネットワークを形成する。なお、ネットワークコードの内容に関係なく、このPSS−ID判別により、常時PSSネットワークが形成される。自車位置情報は、PSSターミナル搭載車の自車位置を示す部分である。進行方向情報は、PSSターミナル搭載車の進行方向を示す部分である。
【0052】
ネットワークコードは、形成するネットワークを判別するためのコードであり、ネットワークコードは、例えば、緊急渋滞ネットワークの場合、「0001」となり、周辺車両ドライバネットワークの場合、「0002」、仲間ネットワークの場合、「0003」、同一車両走行ネットワークの場合、「0004」となり、通信ナビユーザネットワークの場合、「0005」のようになる。
【0053】
このネットワークコードは、ネットワーク形成要求時又はネットワーク形成中にどのネットワークかを表す部分である。オプションデータは、自車位置情報、進行方向情報以外に、ネットワーク毎に必要な情報を追加する部分を示している。
【0054】
▲1▼緊急渋滞ネットワークNW1
1)このネットワークは、直接通信で交換可能な範囲の車両で構成される。
2)下記メンバー条件に合致する交信相手はすべてメンバーテーブルMBTiに登録する。
メンバー:直接交信できる範囲に位置する車両はすべて登録対象メンバーとなる。
交換情報:緊急渋滞ネットワークでの交換情報は、図5に示す。
【0055】
図5は、緊急渋滞ネットワークでの交換情報を示したものである。図5に示すように、緊急渋滞ネットワークでの交換情報は、アイドリングデータ、PSS−ID、自車位置情報、進行方向情報、緊急渋滞ネットワークコード、オプションデータが含まれる。
【0056】
緊急渋滞ネットワークコードは、緊急渋滞ネットワークを判別するためのコードである。ハザード待機情報は、上述したオプションデータであり、ハザード待機の状態にするための信号である。ハザード待機信号がオンであれば、ハザード待機の状態にする必要があることを示し、ハザード待機信号がオフであれば、ハザード待機の状態にする必要のないことを示す。また、利用シーンは、緊急の渋滞時である。
【0057】
▲2▼周辺車両ドライバネットワークNW2
1)この周辺車両ドライバネットワークNW2は、直接通信で交信可能な範囲内の車両で構成される。
2)下記メンバー条件に合致する交信相手はすべてメンバーテーブルに登録する。
メンバー:直接交信できる範囲に位置する車両はすべて登録対象メンバー。
交換情報:自車位置情報(緯度、経度、高度)、速度、車種情報(車種、色)など。
リソース情報:表示領域の大きさ、メモリ量、TTSの有無等の車載機の能力に関する情報。
利用シーン:例えば、交差点で、右折する場合、特に注意する前方より来る車とのコミュニケーションを行う場合、高速道路での主走行車線に進入する場合、高速道路後方から来る車とのコミュニケーションを行いたい場合などである。
【0058】
▲3▼仲間ネットワークNW3
メンバー:学校、会社の同僚等、同じ趣旨、所属を有するメンバーが対象となる。
利用シーン:アマチュア無線(パーソナル無線)を利用しているトラックの運転手間など。
【0059】
▲4▼同一車線走行ネットワークNW4
メンバー:同一方向に走行する車両、あるいは、同じ目的地に向かっている車両が対象となる。なお、位置、走行方向から、自車から見てどういう方向へ走行している車両かどうかの判断が可能である。また、直接通信が行えない車両に対しては、情報を伝播する事により、自車より先行している車両の情報を取得し、メンバーとして登録する。
交換情報:自車位置情報(緯度、経度、高度)、速度など。
リソース情報:車載機の能力に関する情報、カメラ装置の所持情報。この場合、リソース情報により、先行車両がカメラを有していれば、カメラ画像をもらう事ができる。
利用シーンは、自車より先行している位置車両の速度を知る事で混雑しているか、渋滞しているかが判断できる。
【0060】
▲5▼通信ナビユーザネットワークNW5
メンバー:同じメーカー、あるいは、同じ地図DBを利用するカーナビを所有する車両である。相互にカーナビのデータに関してデータを共有できる車両が対象となる。
利用シーン:地図がなくなって地図提供センターに接続しようとしてもビジー中で接続できない場合、近くにいるメンバーから地図情報を取得できる。
【0061】
次に、実稼動ネットワークの選択と通信について説明する。車車間通信制御部32の自動状況判断バックエンド部44は、ドライバや車両の環境及び状況により、あるいはドライバの要求により複数の仮想論理ネットワークから必要な情報を提供可能な仮想論理ネットワークを仮想論理ネットワーク選択手段45により選択し、この選択された仮想論理ネットワークを実稼動ネットワークとし、この実稼動ネットワークを構成する所定の移動体に接続して必要な情報を要求し、あるいは通知する。
【0062】
実稼動ネットワークを選択して通信を行うタイミングは、自車環境変化、自車状況変化、ドライバ周囲の環境変化、ドライバ要求、ドライバの感情変化等のタイミングである。特に、緊急渋滞ネットワークNW1が形成された場合には、他のネットワークの選択の有無にかかわらず、仮想ネットワーク選択手段45により、実稼動ネットワークとして緊急渋滞ネットワークNW1が選択される。
【0063】
次に、緊急渋滞ネットワークにおける車両信装置について説明する。図3は、緊急渋滞ネットワークにおける車両通信装置のブロック図である。なお、図2と同一箇所については同一符号を付するものとする。
【0064】
図3に示すように、車車間通信装置30は、車車間送受信部31と、車車間通信制御部32とを有する。また、車車間送受信部31は、受信部311と、送信部312とを有する。また、車車間通信制御部32は、受信メッセージ解析部321と、仮想ネットワーク構成部322と、仮想ネットワーク形成手段323と、自動状況判断バックエンド部44と、送信メッセージ作成部324と、リソースデータベース33と、位置検出部325と、最後尾判断手段326と、報知信号出力手段327、入力部328と、検出センサ329とを有する。
【0065】
また、自動状況判断バックエンド部44は、環境・状況監視部441と、要求入力部442と、仮想ネットワーク選択部443と、通信先決定メッセージ作成部444とを有する。また、50は報知手段を示している。
【0066】
受信メッセージ解析部321は、受信部311からの受信メッセージを解析し、このメッセージが通信先車両のID情報、リソース内容等であれば、これらの情報を仮想ネットワーク構成部322に入力する。
【0067】
仮想ネットワーク構成部322は、図2のリソース検索エンジン40及び仮想ネットワークメンバー選定ブロック41に対応するもので、これらと同様の処理を行う。すなわち、仮想ネットワーク構成部322は、受信情報を参照して通信先車両の所属する仮想論理ネットワークを求め、この通信先車両を仮想論理ネットワークのメンバーとして仮想ネットワークテーブル保持部323のメンバーテーブルMBTiに登録し、同時に、通信先車両が所有するそのネットワークに関係するリソースをリソーステーブルRSTiに登録する。
【0068】
最後尾判断手段326は、緊急渋滞ネットワークが形成された際に、この緊急渋滞ネットワークNW1、受信部311及び受信メッセージ解析部321を介して他車の位置情報を取得し、所得した他車の位置情報に基づいて、自車が緊急渋滞ネットワーク内で発生する車両渋滞の最後尾に位置するかどうかを判断する。
【0069】
報知信号出力手段327は、最後尾判断手段326により、自車が緊急渋滞ネットワーク内で発生する車両渋滞の最後尾に位置すると判断された場合に、後続車両に対して追突防止を警告するための報知手段40へ報知信号を出力する。また、最後尾判断手段326は、仮想ネットワーク保持部323のメンバーテーブルMBTiを参照し、後方から近づいてきた他車が緊急渋滞ネットワークの形成に追加されたことをトリガに、報知手段40へ報知信号を出力するように報知信号出力手段327を制御する。また、最後尾判断手段326は、後続から近づいてきた他車からの位置情報を受信メッセージ解析部321を介して取得し、取得した位置情報に基づいて、車両渋滞の最後尾が入れ替わったことをトリガに、報知手段40への報知信号の出力を終了するように報知信号出力手段327を制御する。
【0070】
報知手段40は、後続車両に対して追突防止を警告するための手段である。例えば、ハザードライト、スピーカ、ディスプレイなどが該当する。
【0071】
他車に情報を送信する場合、車車間通信制御部32は、自分のID情報、リソース内容等を他車に送信する場合には、送信メッセージ作成部324を制御してこれら情報を送信させるようにする。送信メッセージ作成部324は、リソースデータベース33の各種情報や位置検出部325で検出した自車位置情報などを用いてID情報、リソース内容等を作成し、送信部312を介して相手車両に向けて送信する。
【0072】
また、幾つかの仮想論理ネットワークが構成されている状態において、自動状況判断バックエンド部44の環境状況監視部441は、ドライバや車両の環境及び状況を監視し、監視結果を仮想ネットワーク選択部443へ出力する。また、要求入力部442は、ドライバの要求を仮想ネットワーク選択部443へ出力する。仮想ネットワーク選択部443は、両者の環境・状況、ドライバの感情・体調変化並びドライバの要求に応じて、複数の仮想論理ネットワークから最適な仮想論理ネットワークを選択する。
【0073】
通信先決定・メッセージ作成部444は、選択された仮想論理ネットワークを実稼動ネットワークとし、かつ、必要な情報を要求、あるいは通知するための送信メッセージを作成し、メッセージを、実稼動ネットワークを構成する所定の移動体に向けて送信する。
【0074】
次に、情報要求メッセージあるいは情報通信メッセージを受信した場合に車車間通信制御部32の処理について説明する。受信メッセージ解析部321は、受信メッセージすなわち、情報メッセージあるいは情報通知メッセージを送信メッセージ作成部324に入力する。通信メッセージ作成部324は、入力部328から入力されたデータ、検出センサ329により検出されたデータ、リソースデータベース33に保持されているデータを用いて相手からの要求に基づいた応答メッセージを作成して送信部312を介して送信する。
【0075】
次に、図9を用いて、車車間通信制御部の動作について説明する。図9は、車車通信制御部の動作フローチャートである。なお、図9の説明において、図6から図8を参照する。ステップ1において、事故車などが原因で急な渋滞が発生した場合、事故車などの外部から受信したHelp信号に基づき、車両A、車両B、車両Cが緊急渋滞ネットワークを形成する(図6参照)。ここで、ネットワークの形成において、車車間通信装置30は、物理的通信手段で構成される物理ネットワークを介して周辺の移動体である車両と接続して必要な情報を取得する。
【0076】
次に、車車間通信装置30は、得られた情報を参照して所定の条件を満たす車両により緊急渋滞ネットワークNW1を構成する。すなわち、車車間通信装置30は、緊急渋滞ネットワークのメンバーデーブルMBT1とリソーステーブルRST1を生成して緊急渋滞ネットワークNW1を構成する。
【0077】
次に、緊急渋滞ネットワークNW1が完成すると、他車と自車間で車車間通信制御部32の制御で通信が行われ、リソースデータベース33の情報や車両現在位置等の情報交換が行われる。すなわち、車車間通信制御部32のリソース検索エンジン40(仮想ネットワーク構成部322)は、自動的に他車と通信可能な状態を判断し、他車との接続を行うことにより情報交換を行う。
【0078】
次に、仮想ネットワークメンバー選定ブロック41(仮想ネットワーク構成部322)は、受信情報を参照して、他車が緊急渋滞ネットワークのメンバー選定条件にマッチするかどうかを判断し、マッチすれば、緊急渋滞ネットワークのメンバーとして対応する仮想ネットワークテーブル保持部323のメンバーテーブルMBT1に登録する。
【0079】
また、仮想ネットワークテーブル保持部323のメンバーテーブルMTB1にメンバーIDを登録すると同時に、メンバーが所有するそのネットワークに関係するリソースを仮想ネットワークテーブル保持部323のリソーステーブルRST1に登録する。ステップ2において、車両A、車両BからPSSデータを取得する。なお、このPSSデータの取得は所定間隔をおいて常時行っているものである。
【0080】
ステップ3において、車両A、車両BからのPSSデータの自車位置情報から自車が緊急渋滞の最後尾に位置するかどうかを判断する。つまり、最後尾判断手段326は、緊急渋滞ネットワークNW1、受信部311、受信メッセージ解析部321を介して他車の位置情報を取得し、取得した他車の位置情報に基づいて、自車が緊急渋滞ネットワーク内で発生する車両渋滞の最後尾に位置するかどうかを判断する。ステップ3において、最後尾判断手段326は、自車が車両渋滞の最後尾に位置すると判断した場合には、ステップ4に進む。一方、ステップ3において、最後尾判断手段326は、自車が車両渋滞の最後尾に位置しないと判断した場合には、ステップ2に戻る。
【0081】
ステップ4において、C車の車車間通信装置30は、追突防止警告待機状態に入る。つまり、最後尾判断手段326は、自車が緊急渋滞ネットワーク内で発生する車両渋滞の最後尾に位置すると判断した場合に、後続車両に対して追突防止を警告するための報知手段40へいつでも報知信号を出力できるように準備をする。
【0082】
ステップ5において、追突防止警告待機中のC車は、自車後方から近づいてきたD車が緊急渋滞ネットワークの形成に追加されたかどうかを判断する。つまり、最後尾判断部326は、仮想ネットワーク保持部323のメンバーテーブルMBT1を参照し、D車が緊急渋滞ネットワークの形成に追加されたかどうかを判断する。ステップ5において、D車が緊急渋滞ネットワークの形成に追加されたと判断された場合には、ステップ6に進む。ステップ5において、D車が緊急渋滞ネットワークの形成に追加されていないと判断された場合には、ステップ4に戻る。
【0083】
ステップ6において、D車がネットワークの形成に追加されたことをトリガに、自車のハザードライトを自動的に点滅させる(図7参照)。つまり、最後尾判断手段326は、後方から近づいてきた他車が緊急渋滞ネットワークの形成に追加されたことをトリガに、報知信号出力部327に制御信号を出力し、この制御信号を受信した報知信号出力部327は、報知手段40へ報知信号を出力する。これにより、報知手段50であるハザードライトが点滅する。
【0084】
ステップ7において、後方から来たD車が、C車の後ろに付き、渋滞の最後尾が入れ替わったかどうかを判断する。つまり、最後尾判断手段326は、受信メッセージ321からD車の位置情報を取得し、緊急渋滞ネットワーク内で発生する車両渋滞の最後尾が入れ替わったかどうかを判断する。ステップ7において、最後尾判断手段326は、渋滞の最後尾が入れ替わったと判断した場合には、ステップ8に進む。一方、ステップ7において、最後尾判断手段326は、渋滞の最後尾が入れ替わっていないと判断した場合には、ステップ6に戻る。
【0085】
ステップ8において、渋滞の最後尾が入れ替わったことをトリガにC車はハザードライトによる警告表示を終了する。つまり、最後尾判断手段326は、後続から近づいてきた他車からの位置情報を受信メッセージ解析部321を介して取得し、取得した位置情報に基づいて、車両渋滞の最後尾が入れ替わったことをトリガに、報知手段40への報知信号の出力を終了するように報知信号出力手段327制御する。なお、これにより、車両渋滞の最後尾に位置する車両Dは、追突警告待機状態に入る。
【0086】
上記実施の形態に係る車車間通信装置によれば、車載通信機器を利用しながらも、運転者に自然に視界に入る表示手段(ハザードライト点滅)を使って、追突防止警告が可能になる。
【0087】
また、図9に示した車車間通信制御部部32が行う各処理は、車両通信プログラムによって実行される。車両通信プログラムは、ハードウエアと協働し、ハードウエアと一体となって車車間通信を行う。また、車両通信方法は、車両通信プログラムとして、FD、HD、CD−ROM等の記憶媒体に記憶されており、それぞれが対応する外部記憶装置に装着され、実行時に読み出されてRAMにロードされる。なお、車両通信プログラムが記憶される記憶媒体は、ROM等の半導体メモリでも良い。
【0088】
以上、本発明の一実施の形態を説明した。本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。
【0089】
【発明の効果】
上述したように、本発明によれば、運転者は緊急の渋滞時においても、常に前方に集中しながら運転をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係る車両通信方法の概略を説明するための図である。
【図2】車両通信装置の構成を説明するための図である。
【図3】車車間通信装置30のブロック構成部である。
【図4】一般的に車車間で交換する情報の内容を示した図である。
【図5】緊急渋滞ネットワークを形成する際のPSSデータの内容を示したものである。
【図6】車両が緊急ネットワークを形成し、車両渋滞の最後尾の車両が追突警告待機状態に入っている状態を示す図である。
【図7】後方から近づいてきた他車が緊急渋滞ネットワークの形成に追加されたことをトリガに車両渋滞の最後尾の車両がハザードランプを点滅させた状態を示す図である。
【図8】車両渋滞の最後尾が入れ替わったことをトリガに、ハザードランプの点滅を終了し、車両渋滞の最後尾の車両が追突警告待機状態になった状態を示す図である。
【図9】車車通信装置の動作フローチャートである。
【図10】従来例を説明するための図である。
【符号の説明】
30 車車間通信装置
31 車車間送受信部
32 リソースデータベース
321 受信メッセージ解析部
322 仮想ネットワーク構成部
323 仮想ネットワーク保持部
324 通信メッセージ作成部
44 自動状況判断バックエンド
50 報知手段
Claims (12)
- 他車との間で車車間通信を行う車両通信方法において、
外部から取得した渋滞情報に基づいて、前記他車との間で緊急渋滞ネットワークを形成する第1の段階と、
形成された前記緊急渋滞ネットワークを介して前記他車における位置情報を取得し、取得した該位置情報に基づいて、自車が前記緊急渋滞ネットワーク内で発生している車両渋滞の最後尾に位置するかどうかを判断する第2の段階と、
該第2の段階により、自車が前記緊急渋滞ネットワーク内で発生する車両渋滞の最後尾に位置すると判断された場合には、後続車両に対して追突防止を警告するための報知手段へ報知信号を出力する第3の段階と、を有することを特徴とする車両通信方法。 - 前記第3の段階は、後方から近づいてきた前記他車が前記緊急渋滞ネットワークの形成に追加されたことをトリガに、前記報知手段へ報知信号を出力することを特徴とする請求項1記載の車両通信方法。
- 前記車両通信方法は更に、後続から近づいてきた前記他車からの位置情報を取得し、取得した該位置情報に基づいて、前記車両渋滞の最後尾が入れ替わったことをトリガに、前記報知手段への報知信号の出力を終了する第4の段階を有することを特徴とする請求項1又は2記載の車両通信方法。
- 前記報知手段は、ハザードライトであることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の車両通信方法。
- 車両に搭載され、他車との間で通信を行う車両通信装置において、
外部から取得した渋滞情報に基づいて、前記他車との間で緊急渋滞ネットワークを形成する手段と、
形成された前記緊急渋滞ネットワークを介して前記他車における位置情報を取得し、取得した該位置情報に基づいて、自車が前記緊急渋滞ネットワーク内で発生する車両渋滞の最後尾に位置するかどうかを判断する最後尾判断手段と、
該最後尾判断手段により、自車が前記緊急渋滞ネットワーク内で発生する車両渋滞の最後尾にいると判断された場合には、後続車両に対して追突防止を警告するための報知手段へ報知信号を出力する報知信号出力手段と、を有することを特徴とする車両通信装置。 - 前記報知信号出力手段は、後方から近づいてきた前記他車が前記緊急渋滞ネットワークの形成に追加されたことをトリガに、前記報知手段へ報知信号を出力することを特徴とする請求項5記載の車両通信装置。
- 前記報知信号出力手段は、後続から近づいてきた前記他車からの位置情報を取得し、取得した該位置情報に基づいて、前記車両渋滞の最後尾が入れ替わったことをトリガに、前記報知手段への報知信号の出力を終了することを特徴とする請求項5又は6記載の車両通信装置。
- 前記報知手段は、ハザードライトであることを特徴とする請求項5から7のいずれか一項に記載の車両通信装置。
- 前方に車両渋滞が発生していることを後続車両に対して知らせるためにコンピュータを、
外部から取得した渋滞情報に基づいて、前記他車との間で緊急渋滞ネットワークを形成する第1の手段、
前記緊急渋滞ネットワークを介して前記他車における位置情報を取得し、取得した該位置情報に基づいて、自車が前記緊急渋滞ネットワーク内で発生する車両渋滞の最後尾に位置するかどうかを判断する第2の手段、
該第2の手段により、自車が前記緊急渋滞ネットワーク内で発生する車両渋滞の最後尾に位置すると判断された場合には、後続車両に対して追突防止を警告するための報知手段へ報知信号を出力する第3の手段として機能させるための車両通信プログラム。 - 前記第3の手段は、後方から近づいてきた前記他車が前記緊急渋滞ネットワークの形成に追加されたことをトリガに、前記報知手段へ報知信号を出力することを特徴とする請求項9記載の車両通信プログラム。
- 前記車両通信プログラムは更に、後続から近づいてきた前記他車からの位置情報を取得し、取得した該位置情報に基づいて、前記車両渋滞の最後尾が入れ替わったことをトリガに、前記報知手段への報知信号の出力を終了する第4の手段を有することを特徴とする請求項9又は10記載の車両通信プログラム。
- 前記報知手段は、ハザードライトであることを特徴とする請求項9から11のいずれか一項に記載の車両通信プログラム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003156362A JP2004362025A (ja) | 2003-06-02 | 2003-06-02 | 車両通信装置、車両通信方法及び車両通信プログラム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003156362A JP2004362025A (ja) | 2003-06-02 | 2003-06-02 | 車両通信装置、車両通信方法及び車両通信プログラム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004362025A true JP2004362025A (ja) | 2004-12-24 |
Family
ID=34050469
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003156362A Pending JP2004362025A (ja) | 2003-06-02 | 2003-06-02 | 車両通信装置、車両通信方法及び車両通信プログラム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004362025A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013037621A (ja) * | 2011-08-10 | 2013-02-21 | Denso Corp | 走行支援装置及び走行支援システム |
JP2015203951A (ja) * | 2014-04-14 | 2015-11-16 | 株式会社Nttドコモ | 情報処理装置、情報処理方法及びプログラム |
WO2019181843A1 (ja) * | 2018-03-23 | 2019-09-26 | パイオニア株式会社 | データ構造、情報処理装置、データ通信方法、プログラム及び記憶媒体 |
JP2019168995A (ja) * | 2018-03-23 | 2019-10-03 | パイオニア株式会社 | データ構造、端末装置、データ通信方法、プログラム及び記憶媒体 |
CN114093159A (zh) * | 2020-08-24 | 2022-02-25 | 中兴通讯股份有限公司 | 信息传递方法、装置以及计算机可读存储介质 |
-
2003
- 2003-06-02 JP JP2003156362A patent/JP2004362025A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013037621A (ja) * | 2011-08-10 | 2013-02-21 | Denso Corp | 走行支援装置及び走行支援システム |
JP2015203951A (ja) * | 2014-04-14 | 2015-11-16 | 株式会社Nttドコモ | 情報処理装置、情報処理方法及びプログラム |
WO2019181843A1 (ja) * | 2018-03-23 | 2019-09-26 | パイオニア株式会社 | データ構造、情報処理装置、データ通信方法、プログラム及び記憶媒体 |
JP2019168995A (ja) * | 2018-03-23 | 2019-10-03 | パイオニア株式会社 | データ構造、端末装置、データ通信方法、プログラム及び記憶媒体 |
CN114093159A (zh) * | 2020-08-24 | 2022-02-25 | 中兴通讯股份有限公司 | 信息传递方法、装置以及计算机可读存储介质 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US11308807B2 (en) | Roadside device, communication system, and danger detection method | |
US8902080B2 (en) | Vehicle-mounted narrow-band wireless communication apparatus and roadside-to-vehicle narrow-band wireless communication system | |
JP4076071B2 (ja) | 移動体間の通信方法及び車両通信装置 | |
JP6699230B2 (ja) | 道路異常警告システム及び車載機 | |
JP6791221B2 (ja) | 車両用メッシュネットワークのpsmメッセージに基づくデバイス検出 | |
US11887476B2 (en) | Emergency service vehicle notification and acknowledgement | |
US20200326203A1 (en) | Real-world traffic model | |
JP7122465B2 (ja) | 情報処理装置、情報処理方法、及びサーバ | |
US20200327806A1 (en) | Connected vehicle platform assisted v2x communications | |
JP6269562B2 (ja) | 運転支援システム、車載機 | |
US9626870B2 (en) | Method for communicating within an ad hoc-type motor vehicle communication system | |
JP7553573B2 (ja) | 車両対あらゆるモノ(v2x)によって支援されるローカルナビゲーション | |
JP2019079454A (ja) | 車両制御システム、機能通知装置、機能通知方法およびコンピュータプログラム | |
JPWO2020039798A1 (ja) | 情報提供装置、情報提供方法、情報提供システム、コンピュータプログラム、及びデータ構造 | |
CN108616559A (zh) | 一种车辆信息发送、处理方法和装置 | |
JP4102181B2 (ja) | 信号待ち回数予測方法及びナビゲーション装置 | |
JP2008059171A (ja) | 車両用運転支援装置、及び、運転支援システム | |
JP2004362025A (ja) | 車両通信装置、車両通信方法及び車両通信プログラム | |
JP4063736B2 (ja) | 車車間通信装置、車車間通信方法及びプログラム | |
US11979805B2 (en) | Control method, communication terminal, and communication system | |
Stübing et al. | Car-to-X communication: System architecture and applications | |
CN113179500A (zh) | 用于桥接和优化车辆中的v2x网络的方法和设备 | |
JP7324914B2 (ja) | 情報処理装置、情報処理方法、及びサーバ | |
US20240127633A1 (en) | Dynamic autonomous vehicle modem orchestration | |
US20240067204A1 (en) | Method for building an ad hoc virtual network and system |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20051129 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20071227 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080129 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20080704 |